JP7164102B2 - 食物繊維補給食品 - Google Patents

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本発明は、1日に必要とされる食物繊維を含む食物繊維補給食品に関する。
食物繊維は、ヒトの消化酵素で分解されない食品中の難消化性成分の総称と定義され、たんぱく質、炭水化物、脂質、ビタミン、ミネラルに続く、第6の栄養素といわれている。食物繊維は、摂取した際、水分吸収性、膨潤性、腸内細菌での資化性によって様々な生理機能を示すこと、食物繊維が不足すると、腸内細菌により分解されて発生する腐敗物質が長期間腸内に停滞し、腐敗物質が体内に吸収されると、血液を汚し、吹き出物などの肌のトラブルを起こすだけでなく、大腸ガンなどのさまざまな病気やミネラルの吸収阻害を引き起こす原因となることが明らかとなっている。
食物繊維の成分は、おもに植物性食品に含まれ、水溶性と不溶性に分類される。また、食物繊維の代表的な機能としては、便秘や軟性便の改善機能による便通改善効果が知られている。そして、便通改善効果と相乗する効果として、体内に経口により入った有害物質を体外排泄する機能も知られている。さらには、糖質の吸収抑制作用による血糖値の上昇抑制をはじめとする糖質代謝改善効果やコレステロールの吸収阻害による脂質代謝改善機能なども確認されており、生活習慣病の予防に対し有効とされている。
このため、食物繊維の摂取は広く推奨されており、日常の食生活において、根菜類、野菜類、海藻類を多く取り入れることにより摂取されることが望まれる。しかしながら、現代の食生活は、多様化、インスタント化しており、理想とされる1日に20g程度の食物繊維を摂取することが困難な状況である。
そこで、食物繊維を手軽に補給するために、錠剤型サプリメント状の食物繊維補給食品が上市され広く使用されている。一般的に言われている食物繊維目標摂取量の不足分である5~7gをこれらの錠剤型サプリメントで補おうとした場合、摂取粒数は多くなり、日常的な摂取には困難を伴うため、食物繊維を顆粒状にすることにより、水などに溶解させて一気に飲用してしまうタイプ、もしくは、顆粒をそのまま摂取するタイプの製品が開発されている(特許文献1)。また、ダイエット効果を狙った食品も開発されている(特許文献2)。また、摂取をしやすくする観点からゼリー状、菓子としたものも開発されている(特許文献3,4)。
食物繊維については、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維を併用して摂取することが生活習慣病に対して優れた効果が認められており、イヌリンを主成分とする水溶性食物繊維粉末に、ふすま、ぬか、又はオカラから選ばれる1種又は2種以上の不溶性食物繊維を2倍重量部以上20倍重量部以下で配合する方法について開示されている(特許文献5)。
特開2001-025377号公報 特開2006-042816号公報 特開2007-075085号公報 特開2006-325471号公報 特開2009-207484号公報
本発明は、理想とされる1日に20g程度の食物繊維、とりわけ不溶性食物繊維を水溶性食物繊維に対して多く配合することにより、食品添加物として料理、食事に添加して、20g程度以上の食物繊維を手軽に補給することができる食物繊維補給食品を提供することである。とりわけ、水溶性食物繊維及び不溶性食物繊維を精製した特定の食物成分からではなく、選択した食物繊維を含む食材を直接加工することにより食物繊維補給食品を提供することである。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維を含む選択された食材を組み合わせて配合することで、上記課題を解決するに至った。具体的には、以下の態様により解決できる。
(態様1) 水溶性食物繊維及び不溶性食物繊維を含む食材を2以上配合した食物繊維補給食品であって、前記水溶性食物繊維及び不溶性食物繊維を含む食材が、食品加工廃棄物であるラッキョウ葉鞘部、ラッキョウ根盤部及びおからの粉体処理物と、海藻類であるオゴノリから選択された粉体処理物であり、ラッキョウ葉鞘部、ラッキョウ根盤部の粉体処理物の配合量のおからの粉体処理物の配合量に対する比が1.3、またはオゴノリの粉体処理物の配合量のおからの粉体処理物の配合量に対する比が3.0、のいずれかであり、前記水溶性食物繊維の含有量に対する前記不溶性食物繊維の含有量の比を、1.5~2.5であり、かつ水溶性食物繊維及び不溶性食物繊維の総配合量が25g~50gとなるように配合されている粉体食物繊維補給食品である。日本食品標準成分表その他水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の構成比率が分析されている食材を選択して組み合わせることにより、特定の食物成分によらずに水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の配合比を定めることができるからである。また、水溶性食物繊維の配合量に対する不溶性食物繊維の配合量の比を1.5~2.5とすることで、食物繊維補給食品として摂取したときに不溶性食物繊維、水溶性食物繊維それぞれの効果を十分に発揮できるからである。1日に必要とされる食物繊維を簡単に摂取することができるからである。ラッキョウ葉鞘部、ラッキョウ根盤部、オカラという食品加工廃棄物を利用することでコストを抑えることができ、食品廃棄物を低減できて環境負荷の低減に資するからである。また、オゴノリは食品加工用途が限られており、天然資源の有効活用に資するからである。紛体処理することで保存性が良くなるからである。
本発明により、不溶性食物繊維を水溶性食物繊維に対して多く配合した食品添加物として料理、食事、食品に添加して、20g程度以上の食物繊維を手軽に補給することができる食物繊維を含む食材から選択した食物繊維補給食品を提供できる。
本発明を実施するための形態を以下に説明する。なお、本発明の上記特徴(態様1)から(態様3)を備えるものであれば良く、実施形態に限定されるものではない。
本発明は、水溶性食物繊維及び不溶性食物繊維を含む食材を2以上配合した食物繊維補給食品である。以下、水溶性食物繊維、不溶性食物繊維、水溶性食物繊維及び不溶性食物繊維を含む食材、食物繊維の定量方法について説明する。
<水溶性食物繊維>
水溶性食物繊維とは、ヒトの消化酵素により消化されない又は消化され難い食品中の多糖類を主体とした高分子成分のうち水溶性のものをいう。
水溶性食物繊維は、水分を含むとゲル状になり、食物中の有害ミネラル、食品添加物などの化学物質、糖質、脂質をくるみ込んで体外に排出する作用(デトックス作用)があるので、食後の血糖値の上昇を抑えたり、コレステロールを排出して糖尿病、高脂血症、動脈硬化、心疾患の予防に役立つ。また、粘着性により胃腸内をゆっくり移動するので、おなかがすきにくく、食べ過ぎを防ぐ効果がある。さらには、大腸内で発酵・分解されるとビフィズス菌などが増え、腸内環境が良くなるという効果もある。
水溶性食物繊維としては、例えば、菊芋に含まれるイヌリン、納豆、山芋、オクラなどに含まれるコンドロイチン、コンニャクに含まれるグルコマンナン、リンゴ、バナナ、人参、イチゴなどに含まれる水溶性ペクチン、海藻類に含まれるアガロース、カラギーナン、フコイダン、アルギン酸ナトリウムがある。また、難消化性デキストリン、ポリデキストロース、グアーガム、βグルカンなどもある。
<不溶性食物繊維>
不溶性食物繊維とは、ヒトの消化酵素により消化されない又は消化され難い食品中の多糖類を主体とした高分子成分のうち水に不溶のものをいう。
不溶性食物繊維は、胃や腸で水分を吸収して大きく膨らみ、ぜん動運動を活発にして便通を促すと共に、便の量を増やして便秘解消に役立ち、ぜん動運動により副交感神経が刺激されリラックスに繋がる。また、有害物質や発がん性物質の腸内滞留時間を短くし発がん物質の生成を抑制する効果がある。さらには、よく噛んで食べるので食べ過ぎを防ぐと共に、顎の発育を促すという効果もある。
不溶性食物繊維としては、例えば、小麦ふすま、リンゴ、穀類、大豆などの豆類、ナッツ類に含まれるセルロース、ヘミセルロース、リグニン、蟹などの甲殻類に含まれるキチンやキトサン、リンゴ、ココア、ピーナッツに含まれる不溶性ペクチン、キノコ類に含まれるグルカンがある。
水溶性食物繊維に対する不溶性食物繊維の配合量比は、1.5~2.5であることが好ましく、1.8~2.2であることがより好ましい。不溶性食物繊維に対する水溶性食物繊維の配合量比を左記の範囲内にすることにより、食物繊維補給食品として摂取したときに、食物繊維が不足がちな食生活を改善でき、上述した水溶性食物繊維及び不溶性食物繊維の効果を発揮できるからである。
水溶性食物繊維及び不溶性食物繊維の総配合量は25g~50gであることが好ましく、35g~50gであることがより好ましい。総配合量が25g~50gとすることで、1日に必要とされる食物繊維を簡単に摂取することができるからである。
<水溶性食物繊維及び不溶性食物繊維を含む食材>
日本食物標準成分表によると、いずれの食材にも食物繊維として水溶性食物繊維及び不溶性食物繊維が含まれている。しかしながら、水溶性食物繊維の含有量が不溶性食物繊維の含有量に比べて多い食材は限られている。
具体的には、日本食物標準成分表の100g当たりの食物繊維含有量において、水溶性食物繊維が不溶性食物繊維に比べて多い食材としては、コンニャク(73.3対6.6)、ラッキョウ(18.6対2.4)が開示されているのみである。一方で、水溶性食物繊維が不溶性食物繊維に比べて少ない食材は、オカラ(1.5対42.1)、小麦(0.7対10.1)、大豆(1.8対15.3)、切り干し大根(5.2対16.1)、ココア(5.6対18.3)、玉露(5.0対38.9)など多くの食材が開示されている。
このため、特別に食材を選択して摂取しない限り、通常の食事において食材を摂取するだけでは、水溶性食物繊維が不足することになる。本発明の食物繊維補給食品は、かかる課題を解決するために提案したものである。
また、本発明においては、食物繊維の供給原となる食材として、ラッキョウ葉鞘部、ラッキョウ根盤部、サツマイモの蔓、オカラ等の食品加工廃棄物又はオゴノリ、ホンダワラ等の海藻類を用いている点に特徴がある。
食品加工廃棄物を利用することでコストを抑えることができ、食品廃棄物を低減できて環境負荷の低減に資するからである。また、オゴノリ、ホンダワラ等の海藻類は食品加工用途が限られており、天然資源の有効活用に資するからである。
<食物繊維の定量方法>
本発明に用いる食材の食物繊維(水溶性食物繊維及び不溶性食物繊維)含有量は、体内での消化を模したプロスキー法により食物繊維の総含有量を求め、その後、酵素-高速液体クロマトグラフ法により水溶性食物繊維含有量を求めた。
食物繊維の総含有量は、食材試料を熱安定α-アミラーゼで処理して高分子のでんぷん粉を断片化する。次いで、プロテアーゼ処理でたんぱく質を低分子のポリペプチドやアミノ酸に分解する。続いて、アミログルコーシターゼ処理により断片化されたでんぷん粉をさらに分解する。分解が終わった試料にエタノールを添加して生じた沈殿物をろ過により回収して、エタノールとアセトンで洗浄する。一連の処理をした試料を乾燥後、重量測定した。なお、得られた乾燥試料につき、たんぱく質をケルダール法、無機物質を焼成法により別途定量して、補正を行った。
具体的には以下のように行った。
水溶性食物繊維の含有量は、酵素-高速クロマトグラフ法により求めた。具体的には、
サンプル1gを精密に測り、0.08mol/lリン酸緩衝液50mlを加え、pH6.0±0.5であることを確認する。これに熱安定性α-アミラーゼ(Sigma社:EC3.2.1.1 Bacilluslicheniformis由来)溶液0.1mlを加え、沸騰水中に入れ、5分ごとに撹拌しながら30分間反応させる。冷却後、水酸化ナトリウム溶液(1.1→100)を加えてpHを7.5±0.1に調整する。プロテアーゼ(Sigma社:EC3.4.21.62 Bacilluslicheniformis由来 50mg/ml リン酸緩衝液)溶液0.1mlを加えて、60℃の水浴中で振とうしながら30分間反応させる。冷却後、0.325mol/l塩酸(1.1→100)を加え、pHを4.3±0.3に調整する。アミログルコシダーゼ(Sigma社:EC3.2.13 Aspergillusniger由来)溶液0.1mlを加え、60℃の水浴中で振とうしながら30分間反応させる。冷却後、グリセリン(10→100)を内部標準物質として加え、水で100mlに定容し酵素処理液とする。酵素処理液50mlをイオン交換樹脂(アンバーライトIRA-67 OH型:アンバーライト200CT H型=1:1)50mlを充填したカラム(ガラス管φ20mm×300mm)に通液速度50ml/hrで通液し、さらに水を150ml通してカラム溶出液の全量を200mlとする。
この溶液をロータリー・エバポレーターで濃縮し、全量を水で10mlとする。孔径0.45μmのメンブレンフィルターでろ過し、検液とする。
次に、検液20μlにつき、高速液体クロマトグラフィー分析を行い、検液のグリセリンおよび食物繊維画分のピーク面積値を測定した。
高速液体クロマトグラフィーの分析条件は以下の通りである。
検出器:示差屈折計
カラム:ULTRON PS-80N(φ8.0×300mm、島津ジーエルシー)を二本連結
カラム温度:80℃
移動相:純水
流速:0.5ml/分
水溶性食物繊維成分含量は以下の式から算出した。
水溶性食物繊維成分含量(%)=[食物繊維成分のピーク面積/グリセリンのピーク面積]×f1×[内部標準グリセリン添加量(mg)/秤取試料重量(mg)]×100
(上記式中、f1は使用高速液体クロマトグラフィー条件におけるグリセリンとブドウ糖のピーク面積の感度比(0.82)である。)
本発明は、水溶性食物繊維及び不溶性食物繊維を含む食材を紛体処理して、2以上を配合した食物繊維補給食品である。本発明の紛体処理、配合について説明する。
<紛体処理>
本発明の紛体処理は、水溶性食物繊維及び不溶性食物繊維を含む食材(以下、「食材」という。)を、水洗、裁断、乾燥、粉砕することにより行う。
水洗は、食材に含まれる異物などの夾雑物を取り除くために行う。水溶性食物繊維を含む食材であるため、水溶性食物繊維の流出を抑えるため低温水で短時間に行う。
裁断は、食材を乾燥、粉砕処理するために必要な大きさに揃えるために行う。
乾燥は、食材を粉砕処理するために行う。食材によっては、凍結乾燥を行うことができる。また、食材の脱臭、脱色のために焙煎処理を行うことができる。
粉砕は、石臼、ボールミルなどを用いた公知の乾式粉砕装置を用いて行う。食材の熱による分解を避けるため低速、低温で行うことが望ましい。
<配合>
紛体処理を終えた食材を、事前に行った食物繊維含有量に応じて、2以上組み合わせて配合し、防湿性の包装袋に分包する。シート状又は袋状の乾燥剤、酸化防止剤を同封することもできる。
以下に、実施例を示して本発明をさらに詳細かつ具体的に説明するが、実施例は本発明を限定するものと解してはならない。また、実施例1~4を表1にまとめて示す。
Figure 0007164102000001
<実施例1>
ラッキョウの葉鞘部及び根盤部を洗浄、裁断、乾燥、粉砕して紛体とした。同様にオカラを洗浄、乾燥、粉砕して紛体とした。ラッキョウ紛体物40gとオカラ紛体物30gを混合した。混合物100g当たりの食物繊維含有量は、水溶性食物繊維7.9g、不溶性食物繊維13.1gであった。
<実施例2>
コンニャクを洗浄、裁断、凍結乾燥、粉砕して紛体とした。同様にオカラを洗浄、乾燥、粉砕して紛体とした。コンニャク紛体物10gとオカラ紛体物40gを混合した。混合物100g当たりの食物繊維含有量は、水溶性食物繊維7.9g、不溶性食物繊維17.4gであった。
<実施例3>
オゴノリを洗浄、裁断、乾燥、粉砕して紛体とした。同様にオカラを洗浄、乾燥、粉砕して紛体とした。オゴノリ紛体物120gとオカラ紛体物40gを混合した。混合物100g当たりの食物繊維含有量は、水溶性食物繊維7.3g、不溶性食物繊維17.4gであった。
<実施例4>
ホンダワラを洗浄、裁断、乾燥、粉砕して紛体とした。同様にサツマイモの蔓部を洗浄、乾燥、粉砕して紛体とした。ホンダワラ紛体物140gとサツマイモ紛体物40gを混合した。混合物100g当たりの食物繊維含有量は、水溶性食物繊維6.9g、不溶性食物繊維17.3gであった。
本発明の食物繊維補給食品は、生活習慣病を防ぐ食品添加物として利用可能である。

Claims (1)

  1. 水溶性食物繊維及び不溶性食物繊維を含む食材を2以上配合した食物繊維補給食品であって、前記水溶性食物繊維及び不溶性食物繊維を含む食材が、食品加工廃棄物であるラッキョウ葉鞘部、ラッキョウ根盤部及びおからの粉体処理物と、海藻類であるオゴノリから選択された粉体処理物であり、ラッキョウ葉鞘部、ラッキョウ根盤部の粉体処理物の配合量のおからの粉体処理物の配合量に対する比が1.3、またはオゴノリの粉体処理物の配合量のおからの粉体処理物の配合量に対する比が3.0、のいずれかであり、粉体処理物前記水溶性食物繊維の含有量に対する前記不溶性食物繊維の含有量の比を、1.5~2.5であり、かつ水溶性食物繊維及び不溶性食物繊維の総配合量が25g~50gとなるように配合されている粉体食物繊維補給食品。
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