以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
まず、図1及び図2を参照して、本発明の実施形態に係る内照式構造物監視システム100について説明する。図1は、内照式構造物監視システム100が適用される内照式構造物としての内照式看板10の斜視図であり、図2は、内照式構造物監視システム100を構成する各装置を示した構成図である。
内照式構造物監視システム100は、内照式看板10の異常の有無を監視するためのシステムであり、内照式看板10に設けられ内照式看板10の状態を検出する後述の各種検出部と、各種検出部により検出された検出値が送られる監視部80と、を備える。
図1に示すように、内照式構造物監視システム100が適用される内照式看板10は、宣伝や広告、店舗名等の情報が表示される一対の面板11と、面板11を保持する枠体12と、面板11と枠体12とによって囲まれる内部空間内に設けられる照明機器20と、照明機器20に電力を供給する電源部30と、を有する。
枠体12は、一対の側板12aと、側板12aの上方を接続する天板12bと、側板12aの下方を接続する底板12cと、により構成されるアルミ合金製のフレームである。枠体12の底板12cには、支柱14の一端が結合されており、内照式看板10は、支柱14によって地面(設置面)に対して支持される。なお、枠体12は、アルミ合金等の金属製に限定されず、プラスチック製であってもよいし、金属とプラスチックとを組み合わせて構成されていてもよい。
面板11は、光透過性を有するプラスチック、例えばアクリルやポリカーボネイト等の樹脂系板材によって形成され、表面には、色彩を有する文字や図形が施される。
照明機器20は、電源部30から供給される電力によって発光するLED(Light Emitting Diode)である。照明機器20は、図示しない支持部材を介して枠体12に支持され、内照式看板10の内部空間の略中央に配置される。照明機器20により内照式看板10の内部から面板11を照明することによって面板11に施された文字や図形を夜間でも見えやすくさせることができる。なお、照明機器20は、LEDに限定されず、蛍光灯であってもよい。また、照明機器20は、内照式看板10の内部において1カ所だけではなく、分散して配置されていてもよい。
上記構成の内照式看板10には、内照式看板10の状態を検出するために、内照式看板10の内部の照度を検出する照度検出部40と、内照式看板10の傾きを検出する傾斜検出部としての傾斜センサ50と、照明機器20への電力の供給状態を検出する通電センサ34と、が設けられる。
照度検出部40は、照明機器20の照度及び面板11を透過する光の照度を検出する照度検出器としての第1照度センサ42と、面板11に使用される特定の色素に対応する波長域の照度を検出可能な特定色素照度検出器としての第2照度センサ44と、紫外線を検出する紫外線検出器としての紫外線センサ46と、の3種類のセンサを有する。
第1照度センサ42は、例えばフォトダイオードといった照度を検出可能なセンサであり、図示しない検出面が照明機器20に対向するように底板12c上に設置される。第1照度センサ42は、検出面が上方に向かって設置されることによって、照明機器20の照度とともに、面板11を透過し外部から入射する光、例えば、太陽光や太陽光の反射光、街灯の光の照度を検出することができる。第1照度センサ42の検出範囲としては、可視光領域(約400nmから850nm)の波長を検出できることが好ましい。
第2照度センサ44は、例えばフォトダイオードといった照度を検出可能なセンサに光学的フィルタが付されたセンサであり、第1照度センサ42と同様に、図示しない検出面が照明機器20に対向するように底板12c上に設置される。第2照度センサ44は、光学的フィルタが設けられることで面板11に使用される色素、例えば、赤や黄、青といった特定の色の部分を透過する光の照度を検出することが可能となる。第2照度センサ44の検出範囲としては、検出対象となる色素の波長含む波長を検出可能であればよく、例えば、検出対象が赤色であれば約620nmから750nmの波長を含む波長、青色であれば約450nmから495nmの波長を含む波長、黄色であれば約570nmから590nmの波長を含む波長を検出できることが好ましい。なお、光学的フィルタとしては色付きフィルムが用いられてもよい。また、第2照度センサ44の数は1つに限定されず、面板11に使用される色素に合せて複数設けられてもよい。
紫外線センサ46は、例えばガリウムを含む化合物半導体といった紫外線を検出可能なセンサであり、第1照度センサ42と同様に、図示しない検出面が照明機器20に対向するように底板12c上に設置される。紫外線センサ46は、検出面が上方に向かって設置されることによって、面板11を透過して入射する太陽光に含まれる紫外線を検出することができる。なお、紫外線センサ46の検出範囲としては、約250nmから400nmの波長を検出できることが好ましい。
傾斜センサ50は、例えばジャイロセンサや加速度センサといった傾きを検出可能なセンサであり、照度検出部40と共に、底板12c上に設置される。傾斜センサ50は、地面(設置面)に対して内照式看板10がどの程度傾いているか、すなわち、鉛直方向に対する傾斜角度を検出する。
通電センサ34は、電源32と照明機器20との間の電流または電圧を検出するセンサであり、電源部30の内部に電源32とともに設けられる。電源32が交流電源を直流電源に変換する構成を有する場合には、通電センサ34は、交流電源と直流電源、さらに交流電源と直流電源との間の電流または電圧を検出可能であることが好ましい。
これら各種センサで検出された検出値を監視部80へ送信するために、内照式看板10には、送信部60がさらに設けられる。
送信部60は、上述の各種センサで検出された検出値を監視部80へ送信可能な無線データ通信器であり、具体的には、例えば、電力消費量が小さいSIGFOX(登録商標)である。なお、送信部60としては、SIGFOXに限定されず、通信事業者の基地局91と、インターネット回線である通信ネットワーク90と、を介して監視部80へデータを送信可能な無線通信機器であればどのような規格のものであってもよく、例えば、3G(3rd Generation)やLTE(Long Term Evolution)であってもよいが、消費電力低減の観点からはSIGFOXを用いることが好ましい。また、送信部60は、通信ネットワーク90と有線接続される有線通信器であってもよい。また、送信部60は、各種センサが検出を行う時間間隔や検出を行う時刻を制御するとともに、送信部60がデータを送信する時間間隔や送信を行う時刻等を制御する図示しない制御部を有する。
なお、電源部30及び送信部60は、内照式看板10の内部に配置される必要はなく、メンテナンスの観点からは、例えば、支柱14の下方に設けられたボックス内に配置されてもよい。また、送信部60は、照度検出部40及び傾斜センサ50とともに1つの筐体に収容されたユニットとして、内照式看板10の内部に配置されていてもよい。
次に、監視部80について説明する。
監視部80は、複数の内照式看板10の異常の有無を監視する監視センタであり、送信部60を介して送信されたデータを受信する受信部82と、受信部82で受信されたデータが保存されるデータベース81と、データベース81に保存されたデータに基づき後述の各基準値を設定する基準値設定部84と、基準値設定部84で設定された基準値とデータベース81に保存されたデータとに基づき内照式看板10の異常の有無を判定する判定部83と、判定部83の判定結果を報知する報知部85と、を有する。
具体的には、監視部80は、CPU(中央演算処理装置)、ROM(リードオンリメモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、及びI/Oインターフェース(入出力インターフェース)等を備えたコンピュータで構成される。RAMはCPUの処理におけるデータを記憶し、ROMはCPUの制御プログラム等を予め記憶し、I/Oインターフェースは接続された機器との情報の入出力に使用される。ROMに格納されたプログラムに従ってCPUやRAM等を動作させることによって内照式看板10の異常の有無が判定される。
上述の判定部83や基準値設定部84は、監視部80の各機能を仮想的なユニットとして示したものであり、物理的に存在することを意味するものではない。例えば、判定部83で行われる判定や基準値設定部84で行われる基準値の設定は、主にCPUにより行われ、判定結果や基準値の記憶は、RAMやROMにより行われる。また、受信部82はI/Oインターフェースに相当し、データベース81はROMに格納され、報知部85はモニタ等の表示装置に相当する。なお、監視部80は、クラウドサーバ等のサーバであってもよく、この場合、サーバ上のアプリケーションによって判定部83で行われる判定や基準値設定部84で行われる基準値の設定が行われ、判定結果をサーバ上で共有することが可能となる。
次に内照式構造物監視システム100による内照式看板10の異常判定について説明する。
上記構成の内照式構造物監視システム100では、照度検出部40により検出された検出照度を用いて、内照式看板10の面板11の劣化や破損といった異常の有無の判定が行われるとともに、照明機器20の不点灯や消し忘れといった異常の有無の判定や内照式看板10の火災の有無の判定、内照式看板10の異常傾斜の有無の判定が行われる。
まず、図3を参照し、内照式看板10の面板11の異常である劣化の判定について説明する。図3は、日中に第1照度センサ42または第2照度センサ44により検出される検出照度の時間(年)推移を示したグラフである。
屋外に設置される内照式看板10は、経年劣化により面板11が変質して黄変化や白濁化してしまったり、面板11へ汚れが膠着してしまったりすることによって、面板11に施された表示が不鮮明となってしまうおそれがある。特に日差しが強い地域や風雨が強い地域では、このような面板11の劣化が進行しやすい。このような状態の内照式看板10を放置したままにしておくと、面板11に表示された宣伝や広告を見た人々にかえって悪い印象を与えてしまうおそれがある。
面板11が黄変化や白濁化したり面板11に汚れが膠着したりすると、太陽光は面板11を透過しにくくなる。このような傾向を利用し、内照式構造物監視システム100では、内照式看板10の内部に配置された第1照度センサ42によって日中に検出された検出照度に基づき、このような劣化が生じているか否かを判定している。
具体的には、定期的(例えば1年毎)に面板11を透過する太陽光等の照度を第1照度センサ42で検出し、検出された検出照度が、予め設定された第1基準値R1以下となった場合、判定部83は、面板11が劣化したと判定する。
判定部83により面板11が劣化したと判定されると、報知部85により、劣化が生じた内照式看板10の設置位置や設置年数、外観といった諸情報がモニタ等を介して報知される。報知内容に基づき劣化が生じた内照式看板10を作業者がメンテナンスすることによって、劣化に気付かれることなく内照式看板10が放置され続けてしまうことを防止することができる。また、劣化判定に関する情報やメンテナンスの進捗状況はデータベース81に保存され、内照式看板10の所有者や管理者がデータベース81にアクセスすることによって閲覧可能な状態とされる。
劣化の判定に用いられる第1基準値R1は、基準値設定部84で設定される値であり、内照式看板10が設置された最初の年に第1照度センサ42で検出された検出照度を基準照度として、基準照度の80%前後の値が第1基準値R1として設定される。なお、第1基準値R1は、基準照度の80%前後の値に限定されず、基準照度の任意の割合の値であってもよいし、予め設定された値であってもよい。また、判定部83は、基準照度に対する検出照度の割合が、所定の割合、例えば80%以下となったときに面板11が劣化したと判定してもよい。
上述の基準照度としては、瞬時値ではなく、数日から数週間にわたって第1照度センサ42で検出された検出照度の平均値が用いられる。より好ましくは、内照式看板10が設置される地域において晴れの日が多い季節、例えば冬至を含む数週間にわたって第1照度センサ42で検出された各日の検出照度の最大値の平均値が用いられる。
なお、基準照度は、冬至に限定されず、夏至や春分、秋分に検出された値が用いられてもよい。また、判定部83による面板11の劣化の判定は、基準照度が検出された季節に合せて行うことが好ましい。例えば、基準照度が冬至に設定された場合は、以降、毎年、冬至を含む数週間にわたって第1照度センサ42で検出された各日の検出照度の最大値の平均値を特定時季検出照度としてデータベース81に記憶し、この特定時季検出照度が第1基準値R1以下となった場合、判定部83により面板11が劣化したと判定される。
天候が晴れであっても第1照度センサ42で検出される検出照度は、季節に応じて少なからず変化することから、面板11の劣化の判定を基準照度が検出された季節に合せて行うことによって、判定精度を向上させることができる。
一方で、面板11の劣化には、面板11の表面に施された図形や文字の色が色褪せることで面板11に施された表示が不鮮明となる場合もある。このような劣化は、例えば、面板11の表面に施されたカラーフィルムが劣化して細かく剥がれてしまったり、面板11の表面に施された塗料が経年劣化で褪色してしまったりすることで生じる。そして、このような劣化では、面板11を透過する透過光が劣化前よりも多くなることがあるため、上述のような第1照度センサ42で検出される検出照度に基づく劣化判定では面板11の劣化を十分に判定できない場合がある。
ここで、面板11の表面に施された特定の色素が上述のように色褪せた場合、特定の色素が施された面積が減ってしまうことから、色褪せが生じていない面板11を透過する太陽光等に含まれる特定の色素の照度よりも、色褪せが生じている面板11を透過する太陽光等に含まれる特定の色素の照度の方が低くなる。具体的には、例えば、面板11の表面に施された赤色のフィルムが劣化して細かくなって部分的に剥がれたりした場合、面板11の表面において赤色で施された面積が実質的に減少することになるため、面板11を透過する太陽光等に含まれる赤色の波長域の照度は劣化前と比較して低くなる。このような傾向を利用し、内照式構造物監視システム100では、面板11に使用される特定の色素に対応する波長域の照度を検出する第2照度センサ44によって日中に検出された特定波長検出照度に基づき、色褪せによる劣化が生じているか否かを判定している。
具体的には、定期的(例えば1年毎)に面板11を透過する太陽光等の照度を第2照度センサ44で検出し、検出された特定波長検出照度が、予め設定された第2基準値R2以下となった場合、判定部83は、面板11に施された文字や図形の特定の色素が色褪せたと判定する。
判定部83により色褪せが生じたと判定されると、報知部85により、色褪せが生じた内照式看板10の設置位置や設置年数、外観といった諸情報がモニタ等を介して報知される。報知内容に基づき色褪せが生じた内照式看板10を作業者がメンテナンスすることによって、色褪せに気付かれることなく内照式看板10が放置され続けてしまうことを防止することができる。また、劣化判定に関する情報やメンテナンスの進捗状況はデータベース81に保存され、内照式看板10の所有者や管理者がデータベース81にアクセスすることによって閲覧可能な状態とされる。
色褪せの判定に用いられる第2基準値R2は、基準値設定部84で設定される値であり、内照式看板10が設置された最初の年に第2照度センサ44で検出された特定波長検出照度を基準照度として、第1基準値R1と同様にして設定される。また、判定部83による色褪せの判定は、上述の面板11の劣化の判定と同様に、基準照度が検出された季節に合せて特定の時季に行われることが好ましい。
このように、内照式構造物監視システム100では、面板11を透過する光の照度を検出する第1照度センサ42により検出された検出照度に基づく劣化判定に加えて、面板11に使用される特定の色素に対応する波長域の照度を検出する第2照度センサ44より検出された検出照度に基づく劣化判定が行われるため、面板11を透過する透過光が劣化前と比較して変わらないか若干多くなるような色褪せによる劣化が面板11に生じている場合であっても面板11の劣化を判定することができる。
次に、図4を参照し、内照式看板10の面板11の異常である破損の判定について説明する。図4は、日中に第1照度センサ42により検出される検出照度の時間推移を示したグラフである。
屋外に設置される内照式看板10では、風が強い日に飛来物が衝突するなどして面板11が破損してしまうおそれがある。このように何らかの原因で面板11が破損した内照式看板10を放置したままにしておくと、破損した面板11等が落下し、さらに被害が生じるおそれがある。
面板11が破損すると、破損した箇所から太陽光等の光が直接入射し、内照式看板10の内部の照度が上昇することになる。このような傾向を利用し、内照式構造物監視システム100では、内照式看板10の内部に配置された第1照度センサ42によって日中に検出された検出照度に基づき、このような破損が生じたか否かを判定している。
具体的には、定期的(例えば数分から数時間毎)に面板11を透過する太陽光等の照度を第1照度センサ42で検出し、検出された検出照度と直前の所定期間P1にわたって検出された検出照度の平均照度IAとの差が所定照度I1以上となった場合、判定部83は、面板11が破損したと判定する。
判定部83により面板11が破損したと判定されると、報知部85により、破損が生じた内照式看板10の設置位置や設置年数、外観といった諸情報がモニタ等を介して報知される。報知内容に基づき破損が生じた内照式看板10を作業者がメンテナンスすることによって、破損に気付かれることなく内照式看板10が放置され続けてしまうことを防止することができる。また、破損判定に関する情報やメンテナンスの進捗状況はデータベース81に保存され、内照式看板10の所有者や管理者がデータベース81にアクセスすることによって閲覧可能な状態とされる。
破損の判定に用いられる差分である所定照度I1は、任意の値であるが、小さすぎると天候が曇天から急に晴天になったり晴天から急に曇天になったりすることで検出照度が急変したときなどに誤った判定がなされるおそれがある。このため、所定照度I1の大きさは、確実に破損であると判定される程度の大きさに実験的に設定される。また、直前の所定期間P1の長さは、数十分から数時間の任意の長さに設定される。
また、面板11が破損した際に、面板11のかけらによって第1照度センサ42の検出面が覆われてしまうと、第1照度センサ42の検出値がほぼゼロとなるおそれがある。このような場合を想定し、判定部83は、第1照度センサ42で検出された検出照度が平均照度IAから所定照度I1以上高くなった場合だけではなく、平均照度IAから所定照度I1以上低くなった場合にも面板11が破損したと判定する。
次に、図5を参照し、内照式看板10の照明機器20の不点灯異常の判定について説明する。図5は、日没時刻前後に第1照度センサ42により検出される検出照度の時間推移を示したグラフである。
屋外に設置される内照式看板10において、日没後に照明機器20が点灯していないと、宣伝広告機能を発揮できないとともに、内照式看板10が店舗の看板である場合は、店舗が休みであると勘違いされてしまうおそれがある。
照明機器20が点灯していなければ、太陽が沈むとともに内照式看板10の内部の照度は当然に低下することになる。このような傾向を利用し、内照式構造物監視システム100では、上述の面板11の異常判定に用いられる照度検出部40の第1照度センサ42によって日没後に検出された検出照度に基づき、照明機器20が点灯しているか否かを判定している。
具体的には、日没後の所定の第1判定時刻T1に、内照式看板10の内部の照度を第1照度センサ42で検出し、検出された検出照度が、予め設定された第3基準値R3以下であった場合、判定部83は、照明機器20が点灯していないと判定する。
判定部83により照明機器20が点灯していないと判定されると、報知部85により、照明機器20が点灯していない内照式看板10の設置位置や連絡先といった諸情報がモニタ等を介して報知される。報知内容に基づき内照式看板10の管理者へ照明機器20の点灯を促すことで内照式看板10の照明機器20が消えたまま放置されてしまうことを防止することができる。なお、照明機器20の点灯が店舗において管理されている場合は、照明機器20が点灯していないことを報知する報知装置を店舗に設置してもよい。
判定に用いられる第3基準値R3は、任意の値であるが、照明機器20が点灯している場合の照度と点灯していない場合の照度との中間値とすることが好ましい。また、判定を行う第1判定時刻T1は、日没から所定時間後であるが、日没時刻は季節によって変わることから日没時刻に応じて適宜変更される。また、太陽が沈むと太陽光に含まれる紫外線が内照式看板10の内部に入射しないことから、日没時刻を照度検出部40の紫外線センサ46の検出値に基づいて判定し、その所定時間後に照明機器20の点灯の有無を判定するようにしてもよい。
また、内照式構造物監視システム100の判定部83は、照明機器20が点灯していないと判定された場合、その原因についてさらに判定する。具体的には、通電センサ34によって電源32と照明機器20との間の通電が検出された場合は、照明機器20の故障と判定し、通電が検出されない場合は、電源32の故障または図示しないスイッチの動作不良ないし未操作と判定する。また、電源32が交流電源を直流電源に変換する構成を有する場合には、各接続部の通電状態からAC-DCコンバータ等の故障を判定することも可能である。
次に、図6を参照し、内照式看板10の照明機器20の消し忘れの判定について説明する。図6は、消灯時刻前後に第1照度センサ42により検出される検出照度の時間推移を示したグラフである。
屋外に設置される内照式看板10において、消灯時刻を過ぎて照明機器20を点灯したままにしておくと電力を無駄に消費してしまうとともに、内照式看板10が店舗の看板である場合は、店舗がまだ営業していると勘違いされてしまうおそれがある。
夜間であっても照明機器20が点灯していれば内照式看板10の内部の照度は当然に高くなる。このような傾向を利用し、内照式構造物監視システム100では、上述の面板11の異常判定に用いられる照度検出部40の第1照度センサ42によって日没後であって照明機器20を消灯すべき時間帯に検出された検出照度に基づき、照明機器20が点灯しているか否かを判定している。
具体的には、消灯時刻後の所定の第2判定時刻T2に、内照式看板10の内部の照度を第1照度センサ42で検出し、検出された検出照度が、予め設定された第4基準値R4以上であった場合、判定部83は、照明機器20の消し忘れと判定する。
判定部83により照明機器20の消し忘れと判定されると、報知部85により、照明機器20が消灯していない内照式看板10の設置位置や連絡先といった諸情報がモニタ等を介して報知される。報知内容に基づき内照式看板10の管理者へ照明機器20の消灯を促すことで内照式看板10の照明機器20がついたまま放置されてしまうことを防止することができる。なお、照明機器20の消灯が店舗において管理されている場合は、照明機器20の消し忘れを報知する報知装置を店舗に設置してもよい。
判定に用いられる第4基準値R4は、任意の値であるが、第3基準値R3と同様に、照明機器20が点灯している場合の照度と点灯していない場合の照度との中間値とすることが好ましい。また、判定を行う第2判定時刻T2は、任意に設定される消灯時刻に応じて変更される。
次に、内照式看板10の火災の判定について説明する。
内照式看板10では、漏電等によって火災が発生するおそれがある。
一般的に火炎には所定の波長の紫外線が一般的に含まれており、このような紫外線は、日没時刻を判定するために内照式構造物監視システム100に設けられている紫外線センサ46によって検出可能である。
このため、内照式構造物監視システム100において、紫外線センサ46により火炎に特有の波長である所定波長の紫外線、例えば250~280nmの波長の紫外線が検出された場合、判定部83は、内照式看板10の火災と判定する。
判定部83により内照式看板10の火災と判定されると、報知部85により、内照式看板10の設置位置や連絡先といった諸情報がモニタ等を介して報知される。報知内容に基づき内照式看板10の管理者へ火災の確認を促すことで内照式看板10の火災を速やかに消火することができる。なお、内照式看板10が店舗の看板である場合は、内照式看板10の火災の発生を報知する報知装置を店舗に設置してもよい。
このように内照式構造物監視システム100において、内照式看板10の火災の判定には、日中か日没後かを判定するために用いられる紫外線センサ46が利用されるため、火災の判定を行うために特別なセンサを別途設ける必要はない。
次に、図7を参照し、内照式看板10の異常傾斜の判定について説明する。図7は、第1照度センサ42により検出される検出照度と傾斜センサ50により検出される傾斜角度とをプロットしたグラフである。
支柱14によって支持される内照式看板10では、支柱14の腐食や車両の衝突などによって、支柱14が傾いてしまうおそれがある。このように何らかの原因で支柱14が傾いた内照式看板10を放置したままにしておくと、内照式看板10が倒壊しさらに被害が生じるおそれがある。
支柱14の傾きは常に一定である訳ではなく、日差しを受けることで支柱14が熱膨張することによって太陽とは反対の方向に傾斜する傾向があり、その傾きの大きさは、太陽光の照度の大きさと相関性を有する。このような傾向を利用し、内照式構造物監視システム100では、上述の面板11の異常判定に用いられる照度検出部40の第1照度センサ42によって検出された検出照度と、傾斜センサ50によって検出された傾斜角度と、に基づき、内照式看板10が異常に傾斜しているか否かを判定している。
具体的には、内照式看板10が設置されてから所定の期間(例えば、1年)にわたって、第1照度センサ42により検出される検出照度と傾斜センサ50により検出される傾斜角度とをプロットして内照式看板10の傾きが正常状態にあるときの正常クラスタC1を生成する。その後、第1照度センサ42及び傾斜センサ50により検出された値が正常クラスタC1から離れてプロットされた場合、例えば、プロットされた検出点X1と正常クラスタC1との差が所定差D1以上である場合、判定部83は、内照式看板10の傾斜異常と判定する。
判定部83により内照式看板10が異常に傾斜したと判定されると、報知部85により、異常傾斜が生じた内照式看板10の設置位置や設置年数、外観といった諸情報がモニタ等を介して報知される。報知内容に基づき異常傾斜が生じた内照式看板10を作業者がメンテナンスすることによって、異常傾斜に気付かれることなく内照式看板10が放置され続けてしまうことを防止することができる。また、異常傾斜判定に関する情報やメンテナンスの進捗状況はデータベース81に保存され、内照式看板10の所有者や管理者がデータベース81にアクセスすることによって閲覧可能な状態とされる。
なお、支柱14の熱膨張量は気温の影響も受けることから、正常クラスタC1を季節毎に生成しておき、異常傾斜の判定が行われる季節に応じて判断基準となる正常クラスタC1を変更することが好ましい。
以上の実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
本実施形態に係る内照式構造物監視システム100では、内照式看板10の内部の照度を検出する照度検出部40により検出された検出照度に基づいて、内照式看板10の面板11の劣化や色褪せといった異常が判定部83によって判定される。このように、内照式看板10の面板11に異常が生じたことが自動的に検出されることによって、目視によって内照式看板10を1つずつ点検することなく、メンテナンスが必要な内照式看板10を容易に把握することができるとともに、面板11に異常がある内照式看板10が放置され続けてしまうことを防止することができる。
次に、本実施形態の変形例について説明する。
上記実施形態では、照度検出部40は、第1照度センサ42と第2照度センサ44と紫外線センサ46との3種類のセンサを有している。照度検出部40は、上述の3種類のセンサを有するものに限定されず、3種類のセンサの機能を有する1つの検出器、例えば、紫外線域と可視光線全域における照度を検出可能な分光照度検出器であってもよい。この場合、第1照度センサ42、第2照度センサ44及び紫外線センサ46によって検出された各検出値に基づいて判定部83で行われる上述の異常判定は、1つの検出器により検出された検出値に基づいて行うことが可能となる。
また、上記実施形態では、判定部83及び基準値設定部84は、内照式看板10とは別の場所である監視部80に設けられている。これに代えて、内照式看板10毎にCPUやROM等を有するマイクロコンピュータを設け、マイクロコンピュータを判定部83及び基準値設定部84として機能させてもよい。この場合、内照式看板10内に設けられる各種センサの検出値はROM等に保存され、監視部80へは、内照式看板10毎に設けられた判定部83で判定された結果のみが送信部60を介して送信される。
また、上記実施形態では、内照式看板10から監視部80へと予め設定された時間間隔でデータが送信されている。これに代えて、監視部80からの要求に応じて内照式看板10から監視部80へとデータを送信する構成としてもよい。
また、上記実施形態では、内照式看板10は、支柱14に支えられている。これに代えて、内照式看板10は、内部に照明機器20を有し、面板11が表示面となっていればどのような形式のものであってもよく、例えば、建物の壁面に取り付けられたものであってもよいし、支柱等にぶら下げられたものであってもよい。
以下、本発明の実施形態の構成、作用、及び効果をまとめて説明する。
照明機器20を内部に備えた内照式看板10を監視する内照式構造物監視システム100は、内照式看板10の内部の照度を検出する照度検出部40(第1照度センサ42,第2照度センサ44)と、日中に照度検出部40(第1照度センサ42,第2照度センサ44)により検出された検出照度に基づき、内照式看板10の面板11の異常を判定する判定部83と、を備える。
この構成では、内照式看板10の内部の照度を検出する照度検出部40(第1照度センサ42,第2照度センサ44)により検出された検出照度に基づいて、内照式看板10の面板11の劣化や色褪せといった異常が判定部83によって判定される。このように、面板11に異常が生じたことが自動的に検出されることによって、目視によって内照式看板10を1つずつ点検することなく、メンテナンスが必要な内照式看板10を容易に把握することができるとともに、面板11に異常がある内照式看板10が放置され続けてしまうことを防止することができる。
また、判定部83は、第1照度センサ42により検出された検出照度が第1基準値R1以下となった場合、面板11の劣化と判定する。
この構成では、第1照度センサ42により検出された検出照度が所定の第1基準値R1以下となった場合、面板11への汚れの膠着や面板11の変質等により面板11が劣化したと判定部83により判定される。このように、面板11に劣化が生じたことが自動的に検出されることによって、目視によって内照式看板10を1つずつ点検することなく、メンテナンスが必要な内照式看板10を容易に把握することができるとともに、面板11の表示が劣化した内照式看板10が放置され続けてしまうことを防止することができる。
また、判定部83による面板11の劣化の判定は、特定の季節に第1照度センサ42により検出される特定時季検出照度に基づいて行われる。
この構成では、特定の季節に第1照度センサ42により検出される特定時季検出照度に基づいて、判定部83による面板11の劣化の判定が行われる。天候が晴れであっても第1照度センサ42で検出される検出照度は、季節に応じて少なからず変化することから、毎年、同じ季節に第1照度センサ42で検出される特定時季検出照度に基づいて面板11の劣化の判定を行うことによって判定精度を向上させることができる。
また、内照式看板10が設置されてから所定の期間にわたって日中に第1照度センサ42により検出された検出照度に基づいて第1基準値R1を設定する基準値設定部84をさらに備える。
この構成では、第1基準値R1が、内照式看板10が設置されてから所定の期間にわたって日中に第1照度センサ42により検出された検出照度に基づいて、基準値設定部84により設定される。ここで、第1基準値R1は、予め決定された値ではなく、内照式看板10が設置された状態で第1照度センサ42により検出された実際の検出照度に応じて設定される値である。このように、内照式看板10毎に設定される第1基準値R1を基準として面板11の劣化の判定を行うことによって判定精度を向上させることができる。
また、判定部83は、日中に第2照度センサ44により検出された特定の波長域の特定波長検出照度が第2基準値R2以下となった場合、面板11に使用される色素のうち特定の波長域に相当する色素の色褪せと判定する。
この構成では、第2照度センサ44により検出された特定波長検出照度が第2基準値R2以下となった場合、面板11に使用される特定の色素に色褪せが生じたと判定部83により判定される。このように、面板11の表示に色褪せが生じたことが自動的に検出されることによって、目視によって内照式看板10を1つずつ点検することなく、メンテナンスが必要な内照式看板10を容易に把握することができるとともに、面板11の表示が色褪せた内照式看板10が放置され続けてしまうことを防止することができる。また、面板11の色褪せの判定は、面板11に使用される特定の色素に対応する波長域の照度を検出する第2照度センサ44より検出された検出照度の変化、つまり、面板11を透過する透過光全体の照度の変化ではなく、面板11に使用される特定の色素の照度の変化に基づいて行われるため、面板11を透過する透過光が劣化前と比較して変わらないか若干多くなるような劣化が面板11に生じている場合であっても面板11の劣化を正確に判定することができる。
また、照度検出部40は、色褪せの判定が行われる色素に対応する波長域の照度を検出する特定色素照度検出器としての第2照度センサ44を有し、面板11の色褪せの判定は、第2照度センサ44により検出された検出照度に基づいて行われる。
この構成では、特定の色素に対応する波長域の照度を検出する第2照度センサ44により検出された検出照度に基づいて、面板11の色褪せの判定が行われる。このように、面板11に使用される特定の色素の照度を検出可能な第2照度センサ44により検出された検出照度に基づいて面板11の色褪せの判定を行うことによって判定精度を向上させることができる。
また、判定部83は、検出照度と直前の所定期間P1にわたって検出された検出照度の平均照度IAとの差が所定照度I1以上である場合、面板11の破損と判定する。
この構成では、検出照度と直前の所定期間P1にわたって検出された検出照度の平均照度IAとの差が所定照度I1以上である場合、面板11に破損が生じた判定部83により判定される。このように、面板11に破損が生じたことが自動的に検出されることによって、目視によって内照式看板10を1つずつ点検することなく、メンテナンスが必要な内照式看板10を容易に把握することができるとともに、面板11が破損した内照式看板10が放置され続けてしまうことを防止することができる。
また、判定部83は、さらに、日没後に照度検出部40により検出された検出照度が、第3基準値R3以下である場合、照明機器20の異常と判定する。
この構成では、日没後に照度検出部40により検出された検出照度が第3基準値R3以下である場合、照明機器20に異常が生じたと判定部83により判定される。このように、照明機器20に不点灯等の異常が生じたことが自動的に検出されることによって、内照式看板10の照明機器20が不点灯状態で放置され続けてしまうことを防止することができる。また、照明機器20の異常の判定には、面板11の異常の判定に用いられる照度検出部40が用いられることから、照明機器20の異常を検出するために別途センサを設ける必要がない。このため、内照式構造物監視システム100の製造コストを増大させることなく、照明機器20の異常を検出することが可能である。
また、判定部83により照明機器20の異常の判定が行われる時刻は、日没時刻の変化に応じて変更される。
この構成では、判定部83により照明機器20の異常の判定が行われる時刻が、日没時刻の変化に応じて変更される。このように、照明機器20の異常の判定が行われる際の周囲の明るさをほぼ一定とすることによって、判定精度を向上させることができる。
また、判定部83は、さらに、日没後であって照明機器20を消灯すべき時間帯に照度検出部40により検出された検出照度が、第4基準値R4以上である場合、照明機器20の消し忘れと判定する。
この構成では、日没後であって照明機器20を消灯すべき時間帯に照度検出部40により検出された検出照度が、第4基準値R4以上である場合、照明機器20が消し忘れ状態にあると判定部83により判定される。このように、照明機器20が消し忘れ状態にあることが自動的に検出されることによって、内照式看板10の照明機器20が点灯状態で放置され続けてしまうことを防止することができる。また、照明機器20の消し忘れの判定には、面板11の異常の判定に用いられる照度検出部40が用いられることから、照明機器20の消し忘れを検出するために別途センサを設ける必要がない。このため、内照式構造物監視システム100の製造コストを増大させることなく、照明機器20の消し忘れを検出することが可能である。
また、照度検出部40は、照明機器20の照度及び面板11を透過する光の照度を検出する第1照度センサ42と、紫外線を検出する紫外線センサ46と、を有し、判定部83は、紫外線センサ46により検出された検出照度に基づいて日中か日没後かを判定する。
この構成では、照度検出部40に設けられる紫外線センサ46により検出された検出照度に基づいて日中か日没後かが判定部83により判定される。このように日中か日没後かを紫外線センサ46により検出された検出照度に基づいて判定することによって、面板11の異常の判定や照明機器20の異常の判定が適切なタイミングで行われることとなり、結果として、これらの判定精度を向上させることができる。
また、判定部83は、さらに、紫外線センサ46により所定波長の紫外線が検出された場合、内照式看板10の火災と判定する。
この構成では、紫外線センサ46により所定波長の紫外線が検出された場合、内照式看板10において火災が生じたと判定部83により判定される。このように、内照式看板10の火災が自動的に検出されることによって、内照式看板10の管理者へ火災の確認を促すことで内照式看板10の火災を速やかに消火することができる。また、内照式看板10の火災の判定には、日中か日没後かの判定に用いられる紫外線センサ46が用いられることから、内照式看板10の火災を検出するために別途センサを設ける必要がない。このため、内照式構造物監視システム100の製造コストを増大させることなく、内照式看板10の火災を検出することが可能である。
また、内照式看板10の傾きを検出する傾斜センサ50をさらに備え、判定部83は、さらに、照度検出部40により検出された検出照度及び傾斜センサ50により検出された検出傾斜に基づいて、内照式看板10の支持異常を判定する。
この構成では、照度検出部40により検出された検出照度及び傾斜センサ50により検出された検出傾斜に基づいて、内照式看板10の支持異常が判定部83により判定される。このように、内照式看板10が異常に傾いた状態にあることが自動的に検出されることによって、目視によって内照式看板10を1つずつ点検することなく、メンテナンスが必要な内照式看板10を容易に把握することができるとともに、支持異常がある内照式看板10が放置され続けてしまうことを防止することができる。
また、判定部83は、所定の期間にわたって検出された検出照度及び検出傾斜から生成される正常クラスタC1と、照度検出部40により検出された現在の検出照度及び傾斜センサ50により検出された現在の検出傾斜と、の差が所定差D1以上である場合、内照式看板10が傾斜したと判定する。
この構成では、所定の期間にわたって検出された検出照度及び検出傾斜から生成される正常クラスタC1と、照度検出部40により検出された現在の検出照度及び傾斜センサ50により検出された現在の検出傾斜と、の差が所定差D1以上である場合、内照式看板10が傾斜した状態にあると判定部83により判定される。ここで、正常クラスタC1は、予め決定されたものではなく、内照式看板10の傾斜が正常であったときに照度検出部40及び傾斜センサ50により検出された実際の検出値に応じて設定される。このように、内照式看板10の傾斜が正常であったときの検出値を基準として内照式看板10の傾斜異常の判定を行うことによって判定精度を向上させることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。