JP7159993B2 - 推定装置、推定方法、及び車両 - Google Patents

推定装置、推定方法、及び車両 Download PDF

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Description

本開示は、推定装置、推定方法、及び車両に関する。
従来、エンジンに接続されて、当該エンジンに供給する空気の圧力を高圧化するターボチャージャ(ターボ式過給器とも称される)が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
この種のターボチャージャは、吸気通路側に設けられたコンプレッサと、排気通路側に設けられたタービンと、タービンとコンプレッサとを接続する軸部材を含んで構成される。そして、ターボチャージャは、排気通路に通流する排ガスの圧力を利用してタービンを回転させ、タービンの回転運動によって、同軸上のコンプレッサを動作させる。これによって、吸気通路に通流する空気を圧縮して、エンジン(即ち、シリンダ)に供給する空気の圧力を高圧化する。この種のターボチャージャによれば、より多くの空気をエンジンに導入できるため、トルクの向上及び排ガスの有害物質の低減を図ることができる。
尚、この種のターボチャージャにおいては、タービンの排ガス通過面積を変化させるバルブの制御によって、過給圧を制御することができるものも知られている。
特開平11-287126号公報
ところで、この種のターボチャージャにおいては、エンジンの出力増大要求があった場合(典型的には、アクセル開度が増大した場合)、エンジンの出力増大要求があった時点から、過給圧が目標過給圧に到達するまでにある程度のディレイ時間(以下、「ディレイ時間」と称する)が存在することが知られている。
近年、エンジンの運転状態の最適化、及びターボチャージャのブースト異常の診断等に供するため、このディレイ時間を正確に推定する要請がある。
本開示は、上記の問題点に鑑みてなされたもので、ターボチャージャのディレイ時間を正確に推定し得る推定装置、推定方法、及び車両を提供することを目的とする。
前述した課題を解決する主たる本開示は、
排気管を介してエンジンに接続されたターボチャージャの過給状態を推定する推定装置であって、
前記エンジンから排出された排ガスが、前記ターボチャージャに流入する際の温度を検出する温度センサのセンサ信号を取得するセンサ信号取得部と、
前記エンジンに対する出力増大要求があった場合、前記温度センサに検出される前記排ガスの温度に基づいて、前記ターボチャージャの実過給圧が目標過給圧に到達するまでのディレイ時間を推定するディレイ時間推定部と、
を備える推定装置である。
又、他の局面では、
上記の推定装置を備える車両である。
又、他の局面では、
排気管を介してエンジンに接続されたターボチャージャの過給状態を推定する推定方法であって、
前記エンジンから排出された排ガスが、前記ターボチャージャに流入する際の温度を検出する温度センサのセンサ信号を取得し、
前記エンジンに対する出力増大要求があった場合、前記温度センサに検出される前記排ガスの温度に基づいて、前記ターボチャージャの実過給圧が目標過給圧に到達するまでのディレイ時間を推定する、
推定方法である。
本開示に係る推定装置によれば、ターボチャージャのディレイ時間を正確に推定することが可能である。
一実施形態に係る車両の構成の一例を示す図 一実施形態に係る排ガスの温度とディレイ時間との関係を規定する制御マップの一例を示す図 一実施形態に係るエンジンに対する出力増大要求とターボチャージャの目標過給圧との関係を規定する制御マップの一例を示す図 一実施形態に係るECUの動作の一例を示すフローチャート 一実施形態に係るエンジンに対する出力増大要求があった場合の実過給圧の挙動を示すタイミングチャート 変形例に係るECUの動作の一例を示すフローチャート
以下に添付図面を参照しながら、本開示の好適な実施形態について詳細に説明する。尚、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
[車両の構成]
以下、図1を参照して、本実施形態に係る推定装置の構成の一例について説明する。本実施形態に係る推定装置は、車両(ここでは、ディーゼルエンジン車両)に適用され、当該車両に搭載されたターボチャージャのディレイ時間を推定する。
図1は、本実施形態に係る車両Aの構成の一例を示す図である。
本実施形態に係る車両Aは、エンジン10、吸気管20、排気管30、エアクリーナ21、ターボチャージャ22、EGR装置31、排気浄化装置40、各種センサ51~53、及び、ECU(Electronic Control Unit)60を備えている。
エンジン10は、燃焼室及び当該燃焼室に燃料供給を行う燃料噴射装置(図示せず)を含んで構成される。エンジン10は、燃焼室内で、空気の吸気行程、空気の圧縮行程、燃焼ガスの膨張行程、及び燃焼ガスの排気行程を繰り返し行わせることよって、車両Aの動力を生成する。エンジン10の燃料噴射装置は、例えば、ECU60からの制御信号によって動作する。
尚、本実施形態に係るエンジン10は、4気筒エンジンである。吸気管20は、吸気マニホルドを介して四つの燃焼室に分岐する。そして、排気管30は、当該四つの燃焼室それぞれから延在する四本の排気マニホルドを有し、当該四本の排気マニホルドが一本の排気管に合流するように構成されている。
吸気管20は、吸気口20aから空気(新気)を吸入し、エンジン10に当該空気を供給する。吸気管20には、上流側の吸気口20aからエンジン10にかけて、順に、エアクリ-ナ21、ターボチャージャ22のコンプレッサ22aが設けられている。
エアクリ-ナ21は、吸気口20aから吸入された空気を取り込んで、当該空気から不純物質を除去してターボチャージャ22側に送り出す。
ターボチャージャ22は、吸気管20側に設けられたコンプレッサ22aと、排気管30側に設けられたタービン22bと、を含んで構成される。ターボチャージャ22は、排気管30の排ガスの圧力を利用してタービン22bを回転させる。そして、ターボチャージャ22は、タービン22bの回転運動によって、当該タービン22bと同軸上に配されたコンプレッサ22aを動作させ、エアクリーナ21から流入する空気を圧縮して、エンジン10の燃焼室に送り出す。
尚、ターボチャージャ22のタービン22b側には、タービン22bの排ガス通過面積を変化させるバルブ等が設けられてもよい。
排気管30は、エンジン10から排出される燃焼後の排ガスを、車両Aの外部に排出する。排気管30には、エンジン10から下流側に向かって、順に、EGR装置31、ターボチャージャ22のタービン22b、及び、排気浄化装置40が設けられている。
EGR装置31は、排気管30を流れる排ガスの一部を吸気管20に環流させる。EGR装置31は、排気管30と吸気管20とを連通し、燃焼室から排気管30に排気される排ガスの一部を、吸気管20の側に通流させるEGR通路31a、EGR通路31aを通流する排ガスを冷却するEGRクーラ31b、及びEGR通路31aを通流する排ガスの量を調整するEGRバルブ31c等を含んで構成される。
排気浄化装置40は、排ガス中のNOxを吸蔵する吸蔵型NOx触媒41、及び、排ガス中のPM(Particulate Matter)を捕捉するPMフィルタ42を含んで構成される。
各種センサ51~53は、車両Aの各部の状態を検出するために設けられている。具体的には、各種センサ51~53としては、ターボチャージャ22のコンプレッサ22aからエンジン10に送出される空気の過給圧を検出する圧力センサ51、エンジン10から排出され、ターボチャージャ22(タービン22b)に流入する排ガスの温度を検出する温度センサ52、運転者が行うアクセル操作の操作量を検出するアクセル開度センサ53を含む。そして、これらの各種センサ51~53は、検出により得られた情報をセンサ信号として、逐次、ECU60に送信する(図1中の点線)。
尚、本実施形態に係る温度センサ52は、ターボチャージャ22(タービン22b)に流入する排ガスの温度を検出するため、エンジン10から排出される排ガスの温度をエンジン10とターボチャージャ22(タービン22b)との間を接続する排気管30のターボチャージャ22側の位置(典型的には、タービン22bへの入力ポートの位置)に配設されている。
ECU60(本発明の「推定装置」に相当する)は、エンジン10の燃料噴射装置の制御、及び、ターボチャージャ22のブースト異常の診断等を行う電子制御ユニットであり、例えば、CPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入力ポート、及び出力ポート等を含んで構成されている。ECU60は、車両Aの各部と通信することで、これらを制御したり、これらからデータを受信したりする。尚、ECU60の後述する各機能は、例えば、CPUがコンピュータプログラムを実行することで実現される。
[ECUの構成]
次に、図1~図3を参照して、ECU60の構成について、説明する。
図2は、排ガスの温度とディレイ時間との関係を規定する制御マップ(以下、「ディレイ時間制御マップ」と称する)の一例を示す図である。図3は、エンジン10に対する出力増大要求とターボチャージャ22の目標過給圧との関係を規定する制御マップ(以下、「目標過給圧制御マップ」と称する)の一例を示す図である。
ECU60は、センサ信号取得部61、エンジン制御部62、ディレイ時間推定部63、及び診断部64を備えている。
センサ信号取得部61は、車両Aに設けられた各種センサ(圧力センサ51、温度センサ52、及びアクセル開度センサ53)からセンサ信号を取得する。
エンジン制御部62は、例えば、アクセル開度センサ53の検出値に基づいてエンジン10の燃料噴射装置の燃料の噴射開始時期及び噴射量を制御する。エンジン制御部62は、典型的には、アクセル開度が大きくなるほど、エンジン10の出力が大きくなるように、燃料の噴射開始時期及び噴射量を制御する。
尚、エンジン制御部62は、ターボチャージャ22から供給される空気の過給圧(即ち、エンジン10に対して供給される空気量)に基づいて、エンジン10を制御してもよい。又、このとき、エンジン制御部62は、ディレイ時間推定部63に推定されるディレイ時間(即ち、エンジン10に対して供給される空気量の予測推移)に基づいて、エンジン10を制御してもよい。
ディレイ時間推定部63は、エンジン10に対して出力増大要求があった場合、当該出力増大要求があった時点において温度センサ52に検出されるターボチャージャ22に流入する排ガスの温度に基づいて、ターボチャージャ22の実過給圧が目標過給圧に到達するまでのディレイ時間を推定する。
ディレイ時間推定部63は、例えば、アクセル開度センサ53のセンサ信号に基づいて、出力増大要求を検出する。そして、ディレイ時間推定部63は、例えば、エンジン10に対して出力増大要求があった場合、温度センサ52のセンサ信号に基づいて、当該出力増大要求があった時点におけるターボチャージャ22に流入する排ガスの温度を検出する。そして、ディレイ時間推定部63は、例えば、予めROM等に記憶したターボチャージャ22に流入する排ガスの温度とディレイ時間との関係を示す制御マップを用いて、排ガスの温度に基づいて、ディレイ時間を推定する。尚、かかる制御マップとしては、例えば、予め実験により排ガスの温度とディレイ時間との関係を特定したものが用いられている。
一般に、エンジン10の出力を増大させた場合には、エンジン10の燃焼室内において発生する熱エネルギーが増大することから、当該エンジン10から排出される排ガスの温度(即ち、ターボチャージャ22に流入する排ガスの温度)も上昇することになる。排ガスの温度の上昇は、ボイルシャルルの法則(n=PV/RT)に即して、ターボチャージャ22に流入する排ガスの圧力の上昇に直結するため、エンジン10の出力の増大に伴って、ターボチャージャ22の過給圧(即ち、コンプレッサ22aがエンジン10に供給する空気圧)も漸次増大する。
このとき、ディレイ時間は、排ガスの温度の上昇率に依拠することになる。即ち、排ガスの温度の上昇率が高いときには、排ガスの圧力の上昇率も高くなるため、ディレイ時間は、短時間となる一方で、排ガスの温度の上昇率が低いときには、排ガスの圧力の上昇率も低いため、ディレイ時間は、長時間となる。
かかる原理によると、エンジン10の出力の増大幅が同一である場合、ディレイ時間は、略同一となる。しかしながら、本願の発明者らは、鋭意検討の結果、エンジン10の出力を増大させた際の排ガスの温度の上昇率が、予想以上に排気管30からの放熱量に影響を受けているという知見を得るに到った。
具体的には、ターボチャージャ22に流入する排ガスの熱量(即ち、温度)は、エンジン10から排出される排ガスの全排出熱量から排気管30における放熱量を差し引いたものである。そのため、排気管30における放熱量が多い場合には、排ガスの温度の上昇率が低くなり、排ガスの圧力の上昇率も低くなる。一方、排気管30における放熱量が小さい場合には、排ガスの温度の上昇率が大きくなり、排ガスの圧力の上昇率も大きくなる。即ち、排気管30における放熱量が多い場合には、ディレイ時間は、長時間となり、排気管30における放熱量が少ない場合には、ディレイ時間は、短時間となる。
尚、排気管30における放熱は、特に、排気管30の温度による影響が大きい。例えば、エンジン10を高負荷状態で長時間運転しているときと、エンジン10を始動したときとでは、排気管30の温度が100度以上異なるため、その時々で排気管30における放熱量も大きく変動することになる。又、排気管30の温度は、外気温度にも大きく影響受けることになる。
この点、ターボチャージャ22に流入する排ガス温度を検出することによって、エンジン10から排出された排ガスの排気管30における放熱量を推定することが可能である。つまり、ターボチャージャ22に流入する排ガス温度が低い状態のときには、排気管30の温度が低い状態となっており、エンジン10から排出される熱エネルギーの多くが、排気管30からの放熱により失われる状態となっていると考えられる。
ディレイ時間推定部63は、かかる現象を考慮して、図2に示すように、ターボチャージャ22に流入する排ガスの温度が高いときには、ディレイ時間が短く、ターボチャージャ22に流入する排ガスの温度が低いときには、ディレイ時間が長くなるように、ディレイ時間を推定する。これによって、ディレイ時間を正確に推定することが可能となる。
尚、ディレイ時間推定部63は、エンジン10に対する出力増大要求があった時点からの排ガスの温度の推移を検出してもよい。これによって、より高精度に、排気管30の放熱特性を把握することが可能となる。
但し、ディレイ時間推定部63は、好ましくは、ターボチャージャ22に流入する排ガスの温度、及びエンジン10に対する要求出力の両方に基づいて、ディレイ時間を推定する。これによって、エンジン10に対する要求出力に対応する目標過給圧を考慮して、ターボチャージャ22の実過給圧が目標過給圧に到達するまでのディレイ時間を推定することが可能となる。
一般に、目標過給圧は、図3に示すように、エンジン10が必要とする酸素量に応じて設定されることから、エンジン10に対する要求出力が大きいほど、目標過給圧は大きい値に設定される。つまり、エンジン10に対する要求出力に応じて、出力増大要求があった時点における実過給圧と目標過給圧との差分値も変化する。
かかる観点から、ディレイ時間推定部63は、エンジン10に対する要求出力(又は要求出力の増大幅)が大きいほど、ディレイ時間が長く、且つ、エンジン10に対する要求出力(又は要求出力の増大幅)が小さいほど、ディレイ時間が短くなるように、ディレイ時間を推定するのが望ましい。尚、かかる機能を実現するためには、例えば、エンジン10に対する要求出力毎に、図2に示すような制御マップを準備しておけばよい。
診断部64は、ディレイ時間推定部63に推定されたディレイ時間(以下、「推定ディレイ時間」と称する)と、圧力センサ51で検出されるターボチャージャ22の実過給圧と、に基づいて、ターボチャージャ22のブースト異常を診断する。
一般に、ターボチャージャ22においては、吸気管20や排気管30におけるリーク、及びターボチャージャ22(タービン22b)に通流させる排ガスの流量を制御するバルブ(図示せず)の固着状態等に起因して、ターボチャージャ22の過給状態が異常状態(アンダーブースト異常又はオーバーブースト異常)となる場合がある。
従来、この種のブースト異常を診断する手法としては、ブースト異常が発生していない通常状態において想定し得るディレイ時間全てを包含し得るように、判定基準時間(例えば、10秒)を長めに設定し、エンジン10に対する出力増大要求があった時点から当該判定基準時間経過後における実過給圧と目標過給圧との差分値に基づいてブースト異常を診断する手法が用いられている。しかしながら、従来技術に係る診断手法においては、判定基準時間が長時間に設定されすぎているため、ブースト異常を精度良く診断するためには、エンジン10に対する要求出力が一定値の状態で長時間維持されている必要があった。つまり、従来技術に係る診断手法は、エンジン10に対する要求出力の時間的変化が大きい実際の車両Aの走行環境においては、ブースト異常を精度良く診断することが困難であった。
そこで、本実施形態に係る診断部64は、ディレイ時間推定部63により精度良く推定されたディレイ時間を基準として、ブースト異常を診断する。これによって、エンジン10に対する出力増大要求があった時点から判定基準タイミングまでの判定基準時間を、現時点の排ガスの温度上昇率に対応させるように設定することができるため、当該判定基準時間を、短時間に設定することが可能となる。これにより、エンジン10に対する要求出力が変化する前に診断を完了でき、ブースト異常を精度良く診断することが可能となる。
具体的には、診断部64は、エンジン10に対する出力増大要求が行われた時点から、推定ディレイ時間が経過した時点(以下、「推定到達タイミング」と称する)におけるターボチャージャ22の実過給圧と目標過給圧との差分値に基づいて、ターボチャージャ22のブースト異常を診断する(後述する図5を参照)。そして、診断部64は、当該差分値が閾値よりも大きい場合には、ターボチャージャ22のブースト異常が発生していると診断し、当該差分値が閾値よりも以下の場合には、ターボチャージャ22のブースト異常が発生していない(即ち、正常)と診断する。
ここで、診断部64が参照する目標過給圧は、固定値であってもよいが、図3に示すように、エンジン10に対する要求出力が大きいほど、目標過給圧が大きくなるように決定されるのが望ましい。診断部64は、例えば、図3に示す目標過給圧制御マップを用いて、エンジン10に対する要求出力から目標過給圧を決定する。
又、診断部64が診断時に参照するターボチャージャ22の実過給圧と目標過給圧との差分値は、絶対値として算出されるのが望ましい。これによって、アンダーブースト異常及びオーバーブースト異常のいずれの状態も診断することが可能となる。
[ECUの動作]
次に、図4~図5を参照して、ECU60が、ターボチャージャ22のブースト異常を診断する際の動作について説明する。
図4は、ECU60の動作の一例を示すフローチャートである。図4に示すフローチャートは、例えば、ECU60がコンピュータプログラムに従って、所定間隔(例えば、1秒毎)で実行するものである。
図5は、エンジン10に対する出力増大要求があった場合の実過給圧の挙動を示すタイミングチャートである。図5には、時間軸をあわせて、アクセル開度[%]、及び、実過給圧[Pa]を示している。尚、図5には、実線で実過給圧の実際の挙動を示し、点線で推定される実過給圧の挙動(即ち、正常時の理想挙動)を示している。
又、図5中のT1は、エンジン10に対する出力増大要求があったタイミング(例えば、アクセル開度がゼロ[%]の状態から100[%]の状態になったタイミング)を表し、T2は、出力増大要求が行われた時点からディレイ時間推定部63によって推定されたディレイ時間Lt1が経過した時点のタイミング(推定到達タイミング)を表す。
ステップS1において、ECU60は、アクセル開度センサ53のセンサ信号に基づいて、エンジン10に対する出力増大要求が発生したか否かを判定する。そして、ECU60は、エンジン10に対する出力増大要求が発生した場合(S1:YES)、ステップS2に処理を進め、エンジン10に対する出力増大要求が発生していない場合(S1:NO)、図4のフローチャートを終了する。
ステップS2において、ECU60は、エンジン10に対する要求出力(アクセル開度)に基づいて、目標過給圧制御マップ(図3を参照)を用いて、目標過給圧を設定する。
ステップS3において、ECU60は、温度センサ52からのセンサ信号を取得して、エンジン10に対する出力増大要求が発生した時点における排ガスの温度を検出する。
ステップS4において、ECU60は、ターボチャージャ22に流入する排ガスの温度に基づいて、ディレイ時間制御マップ(図2を参照)を用いて、ディレイ時間を推定する。
ステップS5において、ECU60は、自身が内蔵するタイマー(図示せず)を用いて計時し、エンジン10に対する出力増大要求が行われた時点から、推定されたディレイ時間が経過するのを待ち受ける。そして、ECU60は、推定ディレイ時間経過後に、圧力センサ51からのセンサ信号を取得して、ターボチャージャ22の実過給圧を検出する。
ステップS6において、ECU60は、目標過給圧と実過給圧の差分値を算出し、当該差分値が閾値以上であるか否かを判定する。そして、ECU60は、目標過給圧と実過給圧の差分値が閾値以上である場合(S6:YES)、ステップS7に処理を進め、目標過給圧と実過給圧の差分値(図5のPs)が閾値未満である場合(S6:NO)、ステップS8に処理を進める。
ステップS7において、ECU60は、ターボチャージャ22のブースト異常が発生していると診断する。そして、ECU60は、この結果を、例えば、車両Aのインジケータに表示することによって、ユーザに通知する。
ステップS8において、ECU60は、ターボチャージャ22のブースト異常が発生していないと診断する。ECU60は、この場合、ユーザに通知を実行することなく、処理を終了する。
[効果]
以上のように、本実施形態に係るECU(推定装置)60は、エンジン10に対する出力増大要求があった場合、当該出力増大要求があった時点に検出されるターボチャージャ22に流入する排ガスの温度に基づいて、ターボチャージャ22の実過給圧が目標過給圧に到達するまでのディレイ時間を推定する。これによって、ディレイ時間を正確に推定することが可能となる。
又、これによって、ターボチャージャ22のブースト異常を、短時間で高精度に診断することが可能となる。
又、これによって、実際のディレイ時間に対応するように、エンジン10を動作させることが可能となるため、燃費の改善や排気エミッションの改善にも資する。
(変形例)
上記実施形態では、診断部64は、エンジン10に対する出力増大要求が行われた時点から、推定ディレイ時間が経過した時点におけるターボチャージャ22の実過給圧と目標過給圧との差分値に基づいて、ターボチャージャ22のブースト異常を診断する態様を示した。
本変形例に係る診断部64は、ディレイ推定部63に推定されたディレイ時間と、圧力センサ51のセンサ信号から検出される実際のディレイ時間との間の差分値に基づいて、ターボチャージャ22のブースト異常を診断する。
図6は、変形例に係るECU60の動作の一例を示すフローチャートである。図6に示すフローチャートのステップS11~S14は、図4に示したフローチャートのステップS1~S4の処理と同一である。
具体的には、ECU60は、ステップS14においてディレイ時間を推定した後、圧力センサ51のセンサ信号を監視して、ターボチャージャ22の実過給圧が目標過給圧に到達するのを待ち受ける(S15:NO)。そして、ECU60は、ターボチャージャ22の実過給圧が目標過給圧に到達した場合(S15:YES)、ステップS16に処理を進める。即ち、ECU60は、このステップS15において、実際のディレイ時間(以下、「実ディレイ時間」と称する)を検出する。
ECU60は、ステップS14において推定された推定ディレイ時間と、ステップS15において検出された実ディレイ時間との差分値を算出し、当該差分値が閾値以上であるか否かを判定する(ステップS16)。そして、ECU60は、推定ディレイ時間と実ディレイ時間との差分値が閾値以上である場合(S16:YES)、ターボチャージャ22のブースト異常が発生していると診断する(ステップS17)。一方、推定ディレイ時間と実ディレイ時間との差分値が閾値未満である場合(S16:NO)、ターボチャージャ22のブースト異常が発生していないと診断する(ステップS18)。
このように、本変形例に係る診断部64の構成によっても、ターボチャージャ22のブースト異常を、短時間で高精度に診断することが可能である。
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態に限らず、種々に変形態様が考えられる。
上記実施形態では、ECU60(ディレイ時間推定部63)の一例として、ターボチャージャ22に流入する排ガスの温度に基づいて、ディレイ時間制御マップからディレイ時間を直接的に推定する手法を示した。但し、ECU60(ディレイ時間推定部63)は、かかる手法に代えて、ターボチャージャ22に流入する排ガスの温度に基づいて、予め規定されたディレイ時間を補正する手法を用いてもよい。
又、上記実施形態では、ECU60の一例として、ユーザのアクセル操作を検出するアクセル開度センサ53のセンサ信号に基づいて、エンジン10に対する出力増大要求を検出する態様を示した。しかしながら、ディレイ時間推定部63は、車両Aを自動制御する車両ECUからのエンジン10に対する出力増大要求を受け付ける構成であってもよい。
又、上記実施形態では、車両Aの構成の一例として、吸気管20に、過給圧を検出する圧力センサ51が設けられた態様を示した。しかしながら、圧力センサ51は、過給圧を間接的に検出可能とする排気管30に設けられてもよい。
又、上記実施形態では、ECU60の構成の一例として、センサ信号取得部61、エンジン制御部62、ディレイ時間推定部63、及び診断部64の機能が一のコンピュータによって実現されるものとして記載したが、複数のコンピュータによって実現されてもよいのは勿論である。例えば、エンジン制御部62の機能とディレイ時間推定部63の機能は、それぞれ別個のECUに搭載されてもよい。
又、上記実施形態では、ECU60を適用する車両Aの一例として、ディーゼルエンジン車両に適用した態様ついて説明する。但し、本発明に係るECU60は、ガソリンエンジン車両にも適用し得る。又、車両に限らず、船舶や産業機械等にも適用することができる。
又、上記実施形態では、排気浄化装置40の一例として、吸蔵型NOx触媒41及びPMフィルタ42を示した。しかしながら、本発明において、排気浄化装置の種類は、任意であり、他の触媒(酸化触媒やアンモニアスリップ触媒等)等を備える内燃機関や車両にも適用することができるのは勿論である。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
本開示に係る推定装置によれば、ターボチャージャのディレイ時間を正確に推定することが可能である。
A 車両
10 エンジン
20 吸気管
20a 吸気口
21 エアクリーナ
22 ターボチャージャ
22a コンプレッサ
22b タービン
30 排気管
31 EGR装置
40 排気浄化装置
41 吸蔵型NOx触媒
42 PMフィルタ
51 圧力センサ
52 温度センサ
53 アクセル開度センサ
60 ECU(推定装置)
61 センサ信号取得部
62 エンジン制御部
63 ディレイ時間推定部
64 診断部

Claims (7)

  1. 排気管を介してエンジンに接続されたターボチャージャの過給状態を推定する推定装置であって、
    前記エンジンから排出された排ガスが、前記ターボチャージャに流入する際の温度を検出する温度センサのセンサ信号を取得するセンサ信号取得部と、
    前記エンジンに対する出力増大要求があった場合、前記温度センサに検出される前記排ガスの温度に基づいて、前記ターボチャージャの実過給圧が目標過給圧に到達するまでのディレイ時間を推定するディレイ時間推定部と、
    を備える推定装置。
  2. 前記ディレイ時間推定部は、前記温度センサに検出される前記排ガスの温度、及び前記出力増大要求の要求出力に基づいて、前記ディレイ時間を推定する、
    請求項1に記載の推定装置。
  3. 前記出力増大要求があった時点から前記ディレイ時間が経過した時点における前記ターボチャージャの実過給圧と目標過給圧との差分値に基づいて、前記ターボチャージャのブースト異常を診断する診断部を更に備える、
    請求項1又は2に記載の推定装置。
  4. 前記ディレイ時間推定部に推定された前記ディレイ時間と実際の前記ディレイ時間との間の差分値に基づいて、前記ターボチャージャのブースト異常を診断する診断部を更に備える、
    請求項1又は2に記載の推定装置。
  5. 前記温度センサは、前記排気管の前記ターボチャージャ側の位置に配設されている、
    請求項1乃至4のいずれか一項に記載の推定装置。
  6. 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の推定装置を備える車両。
  7. 排気管を介してエンジンに接続されたターボチャージャの過給状態を推定する推定方法であって、
    前記エンジンから排出された排ガスが、前記ターボチャージャに流入する際の温度を検出する温度センサのセンサ信号を取得し、
    前記エンジンに対する出力増大要求があった場合、前記温度センサに検出される前記排ガスの温度に基づいて、前記ターボチャージャの実過給圧が目標過給圧に到達するまでのディレイ時間を推定する、
    推定方法。
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