JP7158246B2 - 非水電解液二次電池 - Google Patents
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Description
前記多孔質層は、下記式(1)で表される値が、0.10~0.42の範囲であり、
|1-T/M|・・・(1)
(式(1)中、Tは、TDにおける0.1Nの一定荷重下でのスクラッチ試験における、臨界荷重までの距離を表し、Mは、MDにおける0.1Nの一定荷重下でのスクラッチ試験における、臨界荷重までの距離を表す。)
前記非水電解液は、下記式(A)で表されるイオン電導度低下率Lが1.0%以上、6.0%以下である添加剤を0.5ppm以上、300ppm以下含有する。
L=(LA-LB)/LA・・・(A)
(式(A)中、LAは、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネートおよびジエチルカーボネートを3:5:2の体積比で含む混合溶媒に、LiPF6をその濃度が1mol/Lとなるように溶解させた参照用電解液のイオン電導度(mS/cm)を表し、
LBは、前記参照用電解液に、添加剤を1.0重量%溶解させた電解液のイオン電導度(mS/cm)を表す。)
また、本発明の態様2に係る非水電解液二次電池は、前記態様1において、前記多孔質層が、ポリオレフィン多孔質フィルムの片面または両面に積層されている。
本発明の一実施形態における多孔質層は、無機フィラーと樹脂とを含む多孔質層であって、下記式(1)または(2)で表される値が、0.10~0.42の範囲にある。
1-T/M・・・(2)
(式(1)および(2)中、Tは、TD(Transverse Direction)における0.1Nの一定荷重下でのスクラッチ試験における、臨界荷重までの距離を表し、Mは、MD(Machine Direction)における0.1Nの一定荷重下でのスクラッチ試験における、臨界荷重までの距離を表す。)
本発明の一実施形態において、多孔質層は、非水電解液二次電池を構成する部材として、ポリオレフィン多孔質フィルムと、正極および負極の少なくともいずれか一方との間に配置され得る。前記多孔質層は、ポリオレフィン多孔質フィルムの片面または両面に形成され得る。或いは、前記多孔質層は、正極および負極の少なくともいずれか一方の活物質層上に形成され得る。或いは、前記多孔質層は、ポリオレフィン多孔質フィルムと、正極および負極の少なくともいずれか一方との間に、これらと接するように配置されてもよい。ポリオレフィン多孔質フィルムと正極および負極の少なくともいずれか一方との間に配置される多孔質層は1層でもよく2層以上であってもよい。多孔質層は、樹脂を含む絶縁性の多孔質層であることが好ましい。
本発明の一実施形態における多孔質層は、以下の式(1)で表される値が、0.10~0.42の範囲であることが好ましく、0.10~0.40の範囲であることがより好ましく、0.10~0.30の範囲であることがさらに好ましい。
(式(1)中、Tは、TDにおける0.1Nの一定荷重下でのスクラッチ試験における、臨界荷重までの距離を表し、Mは、MDにおける0.1Nの一定荷重下でのスクラッチ試験における、臨界荷重までの距離を表す。)
また、本発明の一実施形態における多孔質層は、以下の式(2)で表される値が、0.10~0.42の範囲であることが好ましく、0.10~0.40の範囲であることがより好ましく、0.10~0.30の範囲であることがさらに好ましい。
(式(2)中、Tは、TDにおける0.1Nの一定荷重下でのスクラッチ試験における、臨界荷重までの距離を表し、Mは、MDにおける0.1Nの一定荷重下でのスクラッチ試験における、臨界荷重までの距離を表す。)
上記式(1)、式(2)にて表される値は、スクラッチ試験における臨界荷重までの距離の異方性を示す値であり、その値がゼロに近いほど、上記臨界荷重までの距離が等方性であることを示す。
(1)測定対象の多孔質層をポリオレフィン多孔質フィルムに積層した積層体を20mm×60mmに裁断する。その後、当該裁断した積層体を、30mm×70mmのガラス製プレパラート上に水性糊にて貼合し、25℃の温度下にて一昼夜乾燥させることにより、試験用サンプルを作製する。なお、上記貼合のときは、積層多孔質フィルムとガラス製プレパラートとの間に気泡が入らない様に注意する。
(2)工程(1)にて作製された試験用サンプルを、マイクロスクラッチ試験装置に設置する。当該試験装置におけるダイヤモンド圧子を当該試験用サンプル上に0.1Nの大きさの垂直荷重をかけたままの状態にて、当該試験装置におけるテーブルを、積層体のTDに向けて、5mm/minの速さにて、10mmの距離を移動させる。その間の、上記ダイヤモンド圧子と当該試験用サンプルとの間に発生する応力である摩擦力を測定する。
(3)工程(2)にて測定された応力の変位と、上記テーブルの移動距離との関係を示す曲線グラフを作成する。当該曲線グラフから、図3に示すように、TDにおける、臨界荷重値、および、臨界荷重に至るまでの距離を算出する。
(4)上記テーブルの移動方向をMDに変更して、上述の工程(1)~(3)を繰り返して行い、MDにおける、臨界荷重値、および、臨界荷重に至るまでの距離を算出する。
(i)積層体中の多孔質層におけるMDへの樹脂の配向状態
(ii)積層体中の多孔質層におけるTDへの樹脂の配向状態
(iii)積層体中の多孔質層の厚み方向におけるMD方向、TD方向に配向した樹脂の接触状態
上述の式(1)および(2)が0.42より大きい場合には、多孔質層内部構造の異方性が過度に高い構造となるため、多孔質層内部のイオン透過流路長が長くなる。その結果、前記多孔質層を組み込んだ非水電解液二次電池において、多孔質層のイオン透過抵抗が増加し、当該非水電解液二次電池におけるセパレータの抵抗が増加する。一方、上述の式(1)および(2)が0.10未満である場合には、多孔質層の構造が、過度に高い等方性を有する構造となっていると考えられる。多孔質層の構造が過度に高い等方性を有するときには、当該多孔質層を組み込んだ非水電解液二次電池において、電池作動時の多孔質層の電解液受入能力が過度に高くなる傾向がある。その結果、多孔質層と接し、当該多孔質層へ電解液を供給するセパレータ基材であるポリオレフィン多孔質フィルムおよび電極の電解液供給能力が非水電解液二次電池全体の電解液の流れを律速することになる。結果として、当該非水電解液二次電池におけるセパレータの抵抗が増加する。
本発明の一実施形態における多孔質層は、無機フィラーの中心粒径が0.1μm~11μmの範囲であることが好ましく、0.1μm~10μmの範囲であることがより好ましく、0.1μm~5μmの範囲であることがさらに好ましく、0.5μmであることが特に好ましい。
本発明の一実施形態における多孔質層は、無機フィラーの単位面積当たりのBET比表面積が100m2/g以下であることが好ましく、50m2/g以下であることがより好ましく、10m2/g以下であってもよい。
(1)80℃で8時間の真空乾燥により、フィラーの前処理を行う工程。
(2)定容法により、窒素による吸着脱離等温線を測定する工程。
(3)BET法により、フィラーの比表面積を算出する工程。
本発明の一実施形態における多孔質層の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、基材上に、以下に示す工程(1)~(3)の何れかの1つの工程を用いて、前記無機フィラーと前記樹脂とを含む多孔質層を形成する方法を挙げることができる。以下に示す工程(2)および工程(3)の場合においては、前記樹脂を析出させた後にさらに乾燥させ、溶媒を除去することによって、製造され得る。工程(1)~(3)における塗工液は、前記無機フィラーが分散しており、かつ、前記樹脂が溶解している状態であってもよい。なお、前記溶媒は、樹脂を溶解させる溶媒であるとともに、樹脂または無機フィラーを分散させる分散媒であるとも言える。
本発明の一実施形態における非水電解液は、下記式(A)で表されるイオン電導度低下率Lが1.0%以上、6.0%以下である添加剤を0.5ppm~300ppm含有する。
L=(LA-LB)/LA・・・(A)
式(A)中、LAは、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネートおよびジエチルカーボネートを3:5:2の体積比で含む混合溶媒に、LiPF6をその濃度が1mol/Lとなるように溶解させた参照用電解液のイオン電導度(mS/cm)を表す。LBは、前記参照用電解液に、添加剤を1.0重量%溶解させた電解液のイオン電導度(mS/cm)を表す。
本発明の一実施形態における正極は、一般に非水電解液二次電池の正極として使用されるものであれば、特に限定されない。例えば、正極として、正極活物質および結着剤を含む活物質層が正極集電体上に成形された構造を備える正極シートを使用することができる。なお、前記活物質層は、更に導電剤を含んでもよい。
本発明の一実施形態における負極としては、一般に非水電解液二次電池の負極として使用されるものであれば、特に限定されない。例えば、負極として、負極活物質および結着剤を含む活物質層が負極集電体上に成形された構造を備える負極シートを使用することができる。なお、前記活物質層は、更に導電剤を含んでもよい。
本発明の一実施形態における非水電解液二次電池は、ポリオレフィン多孔質フィルムを備えていてもよい。以下では、ポリオレフィン多孔質フィルムを単に「多孔質フィルム」と称することがある。前記多孔質フィルムは、ポリオレフィン系樹脂を主成分とし、その内部に連結した細孔を多数有しており、一方の面から他方の面に気体および液体を通過させることが可能となっている。前記多孔質フィルムは、単独で非水電解液二次電池用セパレータとなり得る。また、上述の多孔質層が積層された非水電解液二次電池用積層セパレータの基材ともなり得る。
前記ポリオレフィン多孔質フィルムの製造方法は特に限定されるものではない。例えば、ポリオレフィン系樹脂と、無機充填剤および可塑剤等の孔形成剤と、任意で酸化防止剤等を混練した後に押し出すことで、シート状のポリオレフィン樹脂組成物を作製する。適当な溶媒にて当該孔形成剤を当該シート状のポリオレフィン樹脂組成物から除去した後、当該孔形成剤が除去されたポリオレフィン樹脂組成物を延伸することで、ポリオレフィン多孔質フィルムを製造することができる。
(A)超高分子量ポリエチレンと、重量平均分子量1万以下の低分子量ポリエチレンと、炭酸カルシウムまたは可塑剤等の孔形成剤と、酸化防止剤とを混練してポリオレフィン樹脂組成物を得る工程、
(B)得られたポリオレフィン樹脂組成物を一対の圧延ローラで圧延し、速度比を変えた巻き取りローラで引っ張りながら段階的に冷却し、シートを成形する工程、
(C)得られたシートの中から適当な溶媒にて孔形成剤を除去する工程、
(D)孔形成剤が除去されたシートを適当な延伸倍率にて延伸する工程。
本発明の一実施形態における非水電解液二次電池用積層セパレータの製造方法としては、例えば、上述の「多孔質層の製造方法」において、前記塗工液を塗布する基材として、上述のポリオレフィン多孔質フィルムを使用する方法を挙げることができる。
本発明の一実施形態に係る非水二次電池の製造方法としては、従来公知の製造方法を採用することができる。例えば、正極、ポリオレフィン多孔質フィルムおよび負極をこの順で配置することにより非水電解液二次電池用部材を形成する。ここで、多孔質層は、ポリオレフィン多孔質フィルムと正極および負極の少なくとも一方との間に存在し得る。次いで、非水電解液二次電池の筐体となる容器に当該非水電解液二次電池用部材を入れる。当該容器内を前記非水電解液で満たした後、減圧しつつ密閉する。これにより、本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池を製造することができる。
実施例および比較例にて製造された多孔質層、非水電解液二次電池用セパレータの物性等、並びに、非水電解液二次電池のハイレート放電後の充電容量を、以下の方法を用いて測定した。
非水電解液二次電池用セパレータおよび多孔質層の膜厚は、株式会社ミツトヨ製の高精度デジタル測長機(VL-50)を用いて測定した。多孔質層の膜厚は、各々の積層体において多孔質層が形成されている部分の膜厚から、多孔質層が形成されていない部分の膜厚を引いた値とした。
臨界荷重値、および臨界点までの距離、すなわち臨界荷重までの距離のTD/MD比を以下に示すスクラッチ試験にて測定した。以下に記載する以外の測定条件等は、JIS R 3255と同様の条件等にして、測定を行った。また、測定装置は、マイクロスクラッチ試験装置(CSEM Instruments社製)を使用した。
(i)実施例、比較例にて製造された多孔質層を積層した積層体を20mm×60mmに裁断した。その後、水で5倍希釈したアラビックヤマト水性液状糊(ヤマト株式会社製)を、前記裁断した積層体の非水電解液二次電池用セパレータ側、すなわち基材側の全面に、目付1.5g/m2程度に少量で薄く塗布した。次いで、その水性液状糊を塗布した面を、30mm×70mmのガラス製プレパラートに貼り合せた後、25℃の温度下にて一昼夜乾燥させることにより、試験用サンプルを作製した。なお、上記貼合のときは、積層体とガラス製プレパラートとの間に気泡が入らない様にした。
(ii)工程(i)にて作製された試験用サンプルを、マイクロスクラッチ試験装置(CSEM Instruments社製)に設置した。当該試験装置における、頂角120°、先端半径0.2mmの円錐状のダイヤモンド圧子を、当該試験用サンプル上に0.1Nの大きさの垂直荷重をかけたままの状態にて、当該試験装置におけるテーブルを、積層体のTDに向けて、5mm/minの速さにて、10mmの距離を移動させた。その間の、上記ダイヤモンド圧子と当該試験用サンプルとの間に発生する応力、すなわち摩擦力を測定した。
(iii)工程(ii)にて測定された応力の変位と、上記テーブルの移動距離との関係を示す曲線グラフを作成した。当該曲線グラフから、TDにおける、臨界荷重値および、臨界荷重に至るまでの距離を算出した。
(iv)上記テーブルの移動方向をMDに変更して、上述の工程(i)~(iii)を繰り返して行い、MDにおける、臨界荷重値および、臨界荷重に至るまでの距離を算出した。
エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネートおよびジエチルカーボネートを3:5:2の体積比で混合してなる混合溶媒に、LiPF6をその濃度が1mol/Lとなるように溶解することにより、参照用電解液を得た。当該参照用電解液に、各添加剤を1%となるように添加して溶解した後、イオン電導度(mS/cm)を測定した。イオン電導度は株式会社堀場製作所製の電気伝導率計(ES-71)を用いて測定した。
イオン電導度低下率は、下記式(A)で表される。
L:イオン電導度低下率(%)、
LA:添加する前のイオン電導度(mS/cm)、
LB:添加後のイオン電導度(mS/cm)。
後述のようにして組み立てた非水電解液二次電池を、25℃で電圧範囲;4.1~2.7V、充電電流値;0.2CのCC-CV充電(終止電流条件0.02C)、放電電流値0.2CのCC放電を1サイクルとして、4サイクルの初期充放電を25℃にて実施した。
[非水電解液二次電池用セパレータの製造]
ポリエチレンを用いて非水電解液二次電池用セパレータを作製した。具体的には、超高分子量ポリエチレン粉末(340M、三井化学株式会社製)70重量部と、重量平均分子量1000のポリエチレンワックス(FNP-0115、日本精鑞株式会社製)30重量部とを混合して混合ポリエチレンを得た。得られた混合ポリエチレン100重量部に対して、酸化防止剤(Irg1010、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)0.4重量部、酸化防止剤(P168、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ株式会社製)0.1重量部、およびステアリン酸ナトリウム1.3重量部を加え、さらに、全体積に占める割合が38体積%となるように、平均粒子径0.1μmの炭酸カルシウム(丸尾カルシウム株式会社製)を加えた。この組成物を粉末のまま、ヘンシェルミキサーで混合した後、二軸混練機で溶融混練することにより、ポリエチレン樹脂組成物を得た。次いで、このポリエチレン樹脂組成物を、表面温度が150℃に設定された一対のローラにて圧延することにより、シートを作製した。このシートを、4mol/Lの塩酸に0.5重量%の非イオン系界面活性剤を配合して調製した塩酸水溶液に浸漬させることで炭酸カルシウムを溶解して除去した。続いて、当該シートを105℃で6倍に延伸することにより、ポリオレフィン多孔質フィルムを作製した。ポリオレフィン多孔質フィルムの空隙率53%、目付7g/m2、膜厚16μmであった。このポリオレフィン多孔質フィルムを、非水電解液二次電池用セパレータ1とした。
(塗工液の製造)
無機フィラーの原料として、αアルミナ(住友化学株式会社製、商品名:AKP3000)および六角板状酸化亜鉛(堺化学工業株式会社製、商品名:XZ-100F)を用い、無機フィラーとして、αアルミナ99重量部と、六角板状酸化亜鉛1重量部とを、乳鉢で混合しして得た、酸素原子質量百分率47%の混合物を用いた。
得られた前記塗工液を、前記非水電解液二次電池用セパレータ1の片面にドクターブレード法により、塗工せん断速度39.4(1/s)にて塗工し、前記非水電解液二次電池用セパレータ1の片面に塗膜を形成した。その後、前記塗膜を、65℃にて20分間かけて乾燥することで、前記非水電解液二次電池用セパレータ1の片面に多孔質層1を形成した。これにより非水電解液二次電池用セパレータ1と多孔質層1を備えた積層体1を得た。多孔質層1の目付は7g/m2であり、厚みは4μmであった。無機フィラーおよび積層体1の各種物性の測定結果を表1に示す。
(正極の作製)
LiNi0.5Mn0.3Co0.2O2/導電剤/PVDF(重量比92/5/3)をアルミニウム箔に塗布することにより製造された市販の正極を用いた。前記市販の正極を、正極活物質層が形成された部分の大きさが40mm×35mmであり、かつその外周に幅13mmで正極活物質層が形成されていない部分が残るように、アルミニウム箔を切り取って正極とした。正極活物質層の厚さは58μm、密度は2.50g/cm3であった。
黒鉛/スチレン-1,3-ブタジエン共重合体/カルボキシメチルセルロースナトリウム(重量比98/1/1)を銅箔に塗布することにより製造された市販の負極を用いた。前記市販の負極を、負極活物質層が形成された部分の大きさが50mm×40mmであり、かつその外周に幅13mmで負極活物質層が形成されていない部分が残るように、銅箔を切り取って負極とした。負極活物質層の厚さは49μm、の密度は1.40g/cm3であった。
エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネートを3:5:2の体積比で混合した混合溶媒に、LiPF6をその濃度が1mol/Lとなるように溶解して、電解液原液1とした。この電解液原液1はLi+イオンを含む非プロトン性極性溶媒電解液である。
前記正極、前記負極および積層体1および非水電解液1を使用して、以下に示す方法にて非水電解液二次電池を製造した。製造した非水電解液二次電池を非水電解液二次電池1とした。
[非水電解液二次電池の作製]
(非水電解液の作製)
エチレンカーボネート、ジエチルカーボネートを3:7の体積比で混合した混合溶媒に、LiPF6をその濃度が1mol/Lとなるように溶解して、電解液原液2とした。
非水電解液1の代わりに、非水電解液2を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、非水電解液二次電池を作製した。作製した非水電解液二次電池を非水電解液二次電池2とした。
[非水電解液二次電池用セパレータと多孔質層を備えた積層体の製造]
以下に示すこと以外は、実施例1と同様にして非水電解液二次電池用セパレータ1と多孔質層2とを備えた積層体2を得た。
・無機フィラーとして、酸素原子質量百分率が20%である六角板状酸化亜鉛(堺化学工業株式会社製、商品名:XZ-100F)を用いたこと。
・無機フィラー90重量部に対して、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体を10重量部混合した後、得られる混合液における、無機フィラーおよびフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体からなる固形分の濃度が37重量%となるように溶媒を混合して混合液を作製したこと。
・塗工液を塗工せん断速度3.9(1/s)にて塗工することにより、多孔質層1の代わりに多孔質層2を形成したこと。
(非水電解液の作製)
エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネートを4:4:2の体積比で混合してなる混合溶媒に、LiPF6をその濃度が1mol/Lとなるように溶解して、電解液原液3とした。
積層体1の代わりに積層体2を使用したこと、および非水電解液1の代わりに非水電解液3を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、非水電解液二次電池を作製した。作製した非水電解液二次電池を非水電解液二次電池3とした。
[非水電解液二次電池用セパレータと多孔質層を備えた積層体の製造]
以下に示すこと以外は、実施例1と同様にして非水電解液二次電池用セパレータ1と多孔質層3とを備えた積層体3を得た。
・無機フィラーとして、酸素原子質量百分率41%であるワラストナイト(林化成株式会社製、商品名:ワラストナイト VM-8N)を用いたこと。
・無機フィラー90重量部に対して、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体を10重量部混合した後、得られる混合液における、無機フィラー及びフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体からなる固形分の濃度が40重量%となるように溶媒を混合して混合液を作製したこと。
・塗工液を塗工せん断速度7.9(1/s)にて塗工することにより、多孔質層1の代わりに多孔質層3を形成したこと。
(非水電解液の作製)
エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネートを2:5:3の体積比で混合してなる混合溶媒に、LiPF6をその濃度が1mol/Lとなるように溶解して、電解液原液4とした。90μLの添加液4と1910μLの電解液原液4を混合し、非水電解液4とした。非水電解液4における前記添加剤の含有量を表2に示す。
積層体1の代わりに積層体3を使用したこと、および非水電解液1の代わりに非水電解液4を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、非水電解液二次電池を作製した。作製した非水電解液二次電池を非水電解液二次電池4とした。
[非水電解液二次電池の作製]
(非水電解液の作製)
トリス-(4-t-ブチル-2,6-ジ-メチル-3-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレイト(Cyanox1790、イオン電導度低下率:6.1%)9.7mgにジエチルカーボネートを加えて溶かして5mLとし、添加液5とした。90μLの添加液5と1910μLの電解液原液1を混合し、非水電解液5とした。非水電解液5における前記添加剤の含有量を表2に示す。
非水電解液1の代わりに非水電解液5を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、非水電解液二次電池を作製した。作製した非水電解液二次電池を非水電解液二次電池5とした。
[非水電解液二次電池用セパレータと多孔質層を備えた積層体の製造]
以下に示すこと以外は、実施例1と同様にして非水電解液二次電池用セパレータ1と多孔質層4とを備えた積層体4を得た。
・無機フィラーとして、酸素原子質量百分率71%であるホウ砂(和光純薬製)を用いたこと。
・無機フィラー90重量部に対して、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体を10重量部混合した後、得られる混合液における、無機フィラーおよびフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体からなる固形分の濃度が40重量%となるように溶媒を混合して混合液を作製したこと。
・塗工液を塗工せん断速度7.9(1/s)にて塗工することにより、多孔質層1の代わりに多孔質層4を形成したこと。
(非水電解液の作製)
90μLの添加液4と1910μLの電解液原液1とを混合し、非水電解液6とした。非水電解液6における前記添加剤の含有量を表2に示す。
積層体1の代わりに積層体4を使用したこと、および非水電解液1の代わりに非水電解液6を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、非水電解液二次電池を作製した。作製した非水電解液二次電池を非水電解液二次電池6とした。
[非水電解液二次電池の作製]
(非水電解液二次電池の組み立て)
非水電解液1の代わりに電解液原液1を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、非水電解液二次電池を作製した。作製した非水電解液二次電池を非水電解液二次電池7とした。
[非水電解液二次電池用セパレータと多孔質層を備えた積層体の製造]
以下に示すこと以外は、実施例1と同様にして非水電解液二次電池用セパレータ1と多孔質層5とを備えた積層体5を得た。
・無機フィラーとして、酸素原子質量百分率47%である球状アルミナ(住友化学株式会社製、商品名:AA03)を用いたこと。
・無機フィラー90重量部に対して、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体を10重量部混合した後、得られる混合液における、無機フィラーおよびフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体からなる固形分の濃度が40重量%となるように溶媒を混合して混合液を作製したこと。
・塗工液を塗工せん断速度7.9(1/s)にて塗工することにより、多孔質層1の代わりに多孔質層5を形成したこと。
(非水電解液二次電池の組み立て)
積層体1の代わりに積層体5を使用したこと、および非水電解液1の代わりに非水電解液6を使用したこと以外は、実施例1と同様にして、非水電解液二次電池を作製した。作製した非水電解液二次電池を非水電解液二次電池8とした。
2 基板
3 ポリオレフィンを主成分とする多孔質フィルム
Claims (4)
- 無機フィラーと樹脂とを含む多孔質層、非水電解液、正極および負極を備え、
前記正極と前記負極との間にポリオレフィン多孔質フィルムが配置され、かつ、前記多孔質層が、前記ポリオレフィン多孔質フィルムと、前記正極および前記負極の少なくとも一方との間に配置され、
前記多孔質層は、下記式(1)で表される値が、0.10~0.42の範囲であり、
|1-T/M|・・・(1)
(式(1)中、Tは、TDにおける0.1Nの一定荷重下でのスクラッチ試験における、臨界荷重までの距離を表し、Mは、MDにおける0.1Nの一定荷重下でのスクラッチ試験における、臨界荷重までの距離を表す。)
前記非水電解液は、電解質、有機溶媒および添加剤を含み、
前記電解質が、LiClO 4 、LiPF 6 、LiAsF 6 、LiSbF 6 、LiBF 4 、LiCF 3 SO 3 、LiN(CF 3 SO 2 ) 2 、LiC(CF 3 SO 2 ) 3 、Li 2 B 10 Cl 10 、低級脂肪族カルボン酸リチウム塩およびLiAlCl 4 からなる群から1種以上選択される電解質であり、
前記有機溶媒が、エチレンカーボネートである環状化合物と、エチルメチルカーボネートおよびジエチルカーボネートからなる群から1種以上選択される鎖状化合物とを、環状化合物:鎖状化合物=2:8~4:6(体積比)の割合にて混合してなる混合溶媒であり、
前記添加剤が、下記式(A)で表されるイオン電導度低下率Lが1.3%以上、5.3%以下である添加剤であり、
前記非水電解液は、前記添加剤を0.5ppm以上、300ppm以下含有する、非水電解液二次電池。
L=(LA-LB)/LA・・・(A)
(式(A)中、LAは、エチレンカーボネート、エチルメチルカーボネートおよびジエチルカーボネートを3:5:2の体積比で含む混合溶媒に、LiPF6をその濃度が1mol/Lとなるように溶解させた参照用電解液のイオン電導度(mS/cm)を表し、
LBは、前記参照用電解液に、添加剤を1.0重量%溶解させた電解液のイオン電導度(mS/cm)を表す。) - 前記多孔質層が、ポリオレフィン多孔質フィルムの片面または両面に積層されている、請求項1に記載の非水電解液二次電池。
- 前記多孔質層が、ポリオレフィン、(メタ)アクリレート系樹脂、含フッ素樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂および水溶性ポリマーからなる群より1種以上選択される樹脂を含む、請求項1または2に記載の非水電解液二次電池。
- 上記ポリアミド系樹脂がアラミド樹脂である、請求項3に記載の非水電解液二次電池。
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