JP7157706B2 - バッテリパック - Google Patents

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Description

本発明は、複数個のコアパックがケースに収容されて構成されるバッテリパックに関する。
様々な機器において、バッテリパックが電源として着脱可能に設けられる。この種のバッテリパックは、特許文献1に記載されるように、複数個の単セルを有するコアパックがケースの中空内部に収容されることで構成されている。単セルは、例えば、複数列に整列されるとともに、任意のセル列(任意列)の単セルは各々の正極が同一方向を指向する姿勢とされる。また、該任意列に隣接するセル列(隣接列)の単セルは、各々の正極が、前記任意列の単セルの正極と逆方向を指向する姿勢とされる。
このため、任意列の単セルの正極と、隣接列の単セルの負極とが同一方向を指向する。そして、正極と負極がバスバーを介して電気的に接続される。すなわち、任意列の単セルと隣接列の単セルとが電気的に直列接続された状態となる。
ケースの、例えば、底面にはコネクタが設けられており、該コネクタは、電動車両等の外部機器に設けられたコネクタに係合される。すなわち、コネクタ同士が電気的に接続される。そして、バッテリパックからの電力が前記2個のコネクタを介して外部機器に供給される。
特開2011-216366号公報
放電容量や電圧を大きくするべく、ケース内に複数個のコアパックを収容することが想定される。この構成を具現化するに際し、互いに対向するコアパックの、コネクタから最も離間したセル列同士を、バスバーを介して電気的に直列接続することが考えられる(図3参照)。この場合、コネクタの正極に最も近接するセル列と、この隣接列とに橋架されたバスバーは、全バスバーの中で電位が最高となる。一方、コネクタの負極に最も近接するセル列と、この隣接列とに橋架されたバスバーでは、全バスバーの中で電位が最低となる。そして、ケース内では、電位が最低であるバスバーと、電位が最高であるバスバーとが対向する。
ここで、バッテリパック自体はシールがなされているものの、万一、バッテリパック内に雨水等が浸入した場合、電位が最低であるバスバーと、電位が最高であるバスバーとの間で短絡が起こる懸念がある。特に、これら2個のバスバーの電位差が大きいときには、短絡の可能性が大きくなると予想される。
本発明は上記した問題を解決するためになされたもので、バッテリパック内に水が浸入した場合等においても、バスバー同士の間の短絡電流を可及的に低減し得るバッテリパックを提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために、本発明の一実施形態によれば、第1電極及び第2電極を有する単セルを複数個収容したケースと、前記ケースに設けられたコネクタとを備えるバッテリパックにおいて、
前記単セルを複数個保持するとともに、前記ケース内で互いに対向するように収容された第1コアパック及び第2コアパックを備え、
前記第1コアパック内及び前記第2コアパック内で、第1電極が同一方向を指向する姿勢とされた複数個の前記単セルによって第1セル群が形成され、且つ第1電極が前記第1セル群の前記単セルの第1電極と逆方向を指向する姿勢とされた複数個の前記単セルによって第2セル群が形成されるとともに、前記第1セル群と前記第2セル群が交互に配置され、
さらに、前記コネクタの正極端子部と、前記第1コアパック内又は前記第2コアパック内の、前記第1セル群又は前記第2セル群の前記単セルの正極とを電気的に接続する正極側連絡バスバーと、
前記コネクタの負極端子部と、前記第2コアパック内又は前記第1コアパック内の、前記第1セル群又は前記第2セル群の前記単セルの負極とを電気的に接続する負極側連絡バスバーと、
前記第1コアパック内又は前記第2コアパック内で、前記第1セル群の前記単セルと、前記第2セル群の前記単セルとを電気的に接続するセル群間連絡バスバーと、
前記第1コアパック内で端部に位置する前記第1セル群又は前記第2セル群の前記単セルと、前記第2コアパック内で端部に位置する前記第1セル群又は前記第2セル群の前記単セルとを電気的に直列接続するコアパック間連絡バスバーと、
を備え、
前記セル群間連絡バスバーの中の、負極が前記負極側連絡バスバーを介して前記負極端子部に電気的に接続された前記単セルの正極を、隣接する前記第2セル群又は前記第1セル群の前記単セルの負極に電気的に接続するセル群間連絡バスバーと、正極が前記正極側連絡バスバーを介して前記正極端子部に電気的に接続された前記単セルの負極を、隣接する前記第2セル群又は前記第1セル群の前記単セルの正極に電気的に接続するセル群間連絡バスバーとが互いに対向し、
少なくとも、互いに対向する前記2個のセル群間連絡バスバー同士の間に、その電位が、前記2個のセル群間連絡バスバー中の1個の電位よりも高く、且つ残余の1個の電位よりも低い中電位バスバーが介挿されたバッテリパックが提供される。
本発明によれば、互いに対向するセル群間連絡バスバーの中、少なくとも、負極が負極側連絡バスバーを介して負極端子部に電気的に接続された単セルの正極を、隣接する第2セル群又は第1セル群の単セルの負極に電気的に接続するセル群間連絡バスバーと、正極が正極側連絡バスバーを介して正極端子部に電気的に接続された単セルの負極を、隣接する第2セル群又は第1セル群の単セルの正極に電気的に接続するセル群間連絡バスバーとの間に、中電位バスバーを介挿するようにしている。このため、短絡は、セル群間連絡バスバーと中電位バスバーの間で起こる。
全セル群間連絡バスバーの中で、前記2個のセル群間連絡バスバーの一方の電位は最低であり、他方は電位が最高である。そして、中電位バスバーの電位は、電位が最低であるセル群間連絡バスバーよりも高く、且つ電位が最高であるセル群間連絡バスバーよりも低い。従って、セル群間連絡バスバーと中電位バスバーの間に流れる短絡電流の電流値は、前記2個のセル群間連絡バスバー同士の間に流れる短絡電流の電流値よりも小さくなる。
すなわち、仮にバッテリパックのケース内に水が浸入した場合であっても、中電位バスバーが介在するために短絡電流が十分に小さくなる。このため、単セル、ひいてはバッテリパックの発熱を抑制することができる。
本発明の第1実施形態に係るバッテリパックの概略全体斜視図である。 図1のバッテリパックの概略分解斜視図である。 図1のバッテリパックの長手方向に沿った概略縦断面図である。 図1のバッテリパックを構成する中電位バスバー、バスバーホルダ、セル群間連絡バスバーを示した概略斜視展開図である。 本発明の第2実施形態に係るバッテリパックの概略分解斜視図である。 図5のバッテリパックの長手方向に沿った概略縦断面図である。 図5のバッテリパックを構成する中電位バスバー、バスバーホルダ、セル群間連絡バスバーを示した概略斜視展開図である。
以下、本発明に係るバッテリパックにつき好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
図1~図3は、それぞれ、本実施の形態に係るバッテリパック10の概略全体斜視図、概略分解斜視図、長手方向に沿った概略縦断面図である。このバッテリパック10は、両端が開口した中空四角柱形状のケース12と、該ケース12の中空内部に収容される第1コアパック14、第2コアパック16とを有する。この中のケース12は、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金からなる素材に対して押出成形を施すことで作製される。この場合、ケース12は、強度に優れるとともに軽量であり、且つ熱伝導度が高いために伝熱効率に優れる。しかも、安価であるので、ケース12を低コストで得ることができる。
ケース12の底側の開口は、ボトムケース18で閉塞される。該ボトムケース18の底面には、放電時に第1コアパック14、第2コアパック16から電力を取り出す一方、充電時に第1コアパック14、第2コアパック16に電力を供給するためのコネクタ20が設けられる。コネクタ20は、正極端子部と負極端子部(いずれも図示せず)を有する。
さらに、ボトムケース18と第1コアパック14、第2コアパック16の間には、これら第1コアパック14、第2コアパック16の温度や電圧を管理するコントロールユニットであるバッテリマネージメントユニット(BMU)24が挿入される。BMU24は、外部機器(電動車両等)や充電装置と通信を行う通信部を兼ねる。
一方、ケース12の天井側の開口は、トップケース26で閉塞される。該トップケース26には、ユーザがバッテリパック10を持ち上げたり、搬送したりするときに把持するための取っ手28がアーチ形状に形成される。
第1コアパック14は、複数の単セル30が第1セルホルダ32a、第2セルホルダ32bに保持されることで構成される。この場合、単セル30は円柱形状をなし、軸方向の両端部に正極端子、負極端子がそれぞれ設けられている。正極は、例えば、第1電極であり、この場合、負極は、正極とは逆の極性の第2電極である。このような単セル30の構成は周知であり、従って、正極端子及び負極端子の図示や詳細な説明は省略する。
単セル30の好適な例としては、リチウムイオン二次電池が挙げられるが、特にこれに限定されるものではない。その他の好適な例としては、ニッケル水素電池やニッケルカドミウム電池等が挙げられる。
第1セルホルダ32a、第2セルホルダ32bには、複数個の収容孔34a、34bがそれぞれ貫通形成される。これら収容孔34a、34bは、第1セルホルダ32aと第2セルホルダ32bが重ね合わせられることに伴って互いに連なる。収容孔34a、34bの直径は、単セル30の直径に対応する。また、連なった収容孔34a、34bの長さは、単セル30の高さに対応する。単セル30は、その長手方向がバッテリパック10の長手方向(上下方向)に対して直交する姿勢とされ、この状態で、収容孔34a、34bに個別に挿入されて保持される。
収容孔34a、34b内に挿入された単セル30は、その長手方向に直交する横方向に沿って並列される。以下、横方向に並ぶ複数個の単セル30によって形成される一列を「セル群」と表記する。
第1セルホルダ32a及び第2セルホルダ32bにおいて、コネクタ20に最近接する最下のセル群では、単セル30は、負極が第2コアパック16に臨む姿勢とされている。また、該最下の直上のセル群では、単セル30は、正極が第2コアパック16に臨む姿勢とされている。以下、負極が第2コアパック16に臨む姿勢の単セル30からなるセル群を「第1セル群」、正極が第2コアパック16に臨む姿勢の単セル30からなるセル群を「第2セル群」と指称する。
最下の第2セル群の直上は第1セル群であり、この第1セル群の直上は第2セル群である。このように、第1セル群と第2セル群は交互に配設される。すなわち、隣接するセル群同士では、逆極性の電極端子が同一方向を臨む。
本実施の形態では、第1コアパック14に4個の第1セル群と3個の第2セル群が設けられている。以下、区別を容易にするべく、第1セル群の参照符号を、下方から上方に向かう順に40a、40b、40c、40dとする。また、第2セル群の参照符号を、下方から上方に向かう順に42a、42b、42cとする。なお、以下において、「第1セル群の正極(又は負極)」は「第1セル群を形成する単セル30の正極(又は負極)」を意味し、同様に、「第2セル群の正極(又は負極)」は「第2セル群を形成する単セル30の正極(又は負極)」を意味する。
最下の、換言すれば、コネクタ20に最も近接する第1セル群40aの正極は、コネクタ20の正極端子部に対し、正極側連絡バスバー44を介して電気的に接続されている。正極側連絡バスバー44は、ケース12の内壁に対向するように配置されるとともに、第1セル群40aを形成する単セル30の正極同士を電気的に並列接続する。
第1セル群40aの負極と第2セル群42aの正極は、隣接するセル群同士に跨がるセル群間連絡バスバー46を介して電気的に直列接続される。なお、セル群間連絡バスバー46は、第1セル群40aを形成する単セル30の負極同士、第2セル群42aを形成する単セル30の正極同士を電気的に並列接続する役割も果たす。
同様に、第2セル群42aの負極と第1セル群40bの正極、第1セル群40bの負極と第2セル群42bの正極、第2セル群42bの負極と第1セル群40cの正極、第1セル群40cの負極と第2セル群42cの正極、第2セル群42cの負極と第1セル群40dの正極が、セル群間連絡バスバー46を介して電気的に直列接続される。勿論、セル群間連絡バスバー46により、同一のセル群を形成する単セル30同士が電気的に並列接続される。
第2コアパック16も同様に、複数の単セル30が第3セルホルダ32c、第4セルホルダ32dに保持されることで構成される。すなわち、第3セルホルダ32c、第4セルホルダ32dにそれぞれ貫通形成された複数個の収容孔34c、34dは、第3セルホルダ32cと第4セルホルダ32dが重ね合わせられることに伴って互いに連なる。単セル30は、その長手方向がバッテリパック10の長手方向(上下方向)に対して直交する姿勢とされた状態で、収容孔34c、34dに個別に挿入されて保持される。
以下、正極が、第1コアパック14の第1セル群40a~40dの正極と同一方向を指向するセル群を「第1セル群」と指称し、負極が第1コアパック14の第2セル群42a~42cの負極と同一方向を指向するセル群を「第2セル群」と指称する。従って、第2コアパック16内で第1セル群を形成する単セル30の正極と、第2セル群を形成する単セル30の負極は、第1コアパック14に臨む。
第2コアパック16において、コネクタ20に最近接する最下のセル群は第1セル群であり、その直上は、最下の第2セル群である。また、この第2セル群の直上は第1セル群である。すなわち、第2コアパック16においても、第1セル群と第2セル群が交互に配設される。本実施の形態では、第2コアパック16に4個の第1セル群と3個の第2セル群が設けられている。以下、区別を容易にするべく、第1セル群の参照符号を、下方から上方に向かう順に40e、40f、40g、40hとする。また、第2セル群の参照符号を、下方から上方に向かう順に42d、42e、42fとする。
最下の、換言すれば、コネクタ20に最も近接する第1セル群40eの負極は、コネクタ20の負極端子部に対し、負極側連絡バスバー48を介して電気的に接続されている。負極側連絡バスバー48は、ケース12の内壁に対向するように配置されるとともに、第1セル群40eを形成する単セル30の負極同士を電気的に並列接続する。
また、第1コアパック14と同様に、第1セル群40eの正極と第2セル群42dの負極、第2セル群42dの正極と第1セル群40fの負極、第1セル群40fの正極と第2セル群42eの負極、第2セル群42eの正極と第1セル群40gの負極、第1セル群40gの正極と第2セル群42fの負極、第2セル群42fの正極と第1セル群40hの負極が、セル群間連絡バスバー46を介して電気的に直列接続される。セル群間連絡バスバー46により、同一のセル群を形成する単セル30同士が電気的に並列接続される。
さらに、第2コアパック16の最上に位置する第1セル群40hの正極は、第1コアパック14の最上に位置する第1セル群40dの負極に対し、第1コアパック間連絡バスバー49、中電位バスバー50(後述)、第2コアパック間連絡バスバー51を介して電気的に直列接続される。すなわち、第1コアパック間連絡バスバー49、中電位バスバー50、第2コアパック間連絡バスバー51は、第2コアパック16を指向するように折曲されたタブ部52、54、56をそれぞれ有する(特に図4参照)。そして、タブ部54を間に挟むようにしてタブ部52、56が重畳される。この重畳により、第1コアパック14内の、コネクタ20から最も離間した第1セル群40dの負極と、第2コアパック16内の、コネクタ20から最も離間した第1セル群40hの正極とが電気的に直列接続される。
なお、第1コアパック間連絡バスバー49は、第1セル群40dを形成する単セル30の負極同士を電気的に並列接続する。一方、第2コアパック間連絡バスバー51は、第1セル群40hを形成する単セル30の正極同士を電気的に並列接続する。
このような構成において、全てのセル群間連絡バスバー46の電位を比較すると、後述する理由から、コネクタ20の負極端子部に最も近接する第1セル群40eと、その直上の第2セル群42dとを接続するものの電位が最低となる。その一方で、コネクタ20の正極端子部に最も近接する第1セル群40aと、その直上の第2セル群42aとを接続するセル群間連絡バスバー46が、全てのセル群間連絡バスバー46の中で電位が最高となる。以下、他のセル群間連絡バスバー46との区別を容易にするべく、電位が最低となるセル群間連絡バスバー46を「最低電位バスバー46a」、電位が最高となるセル群間連絡バスバー46を「最高電位バスバー46b」と表記する。
さらに、第1コアパック間連絡バスバー49、第2コアパック間連絡バスバー51及び中電位バスバー50の電位は互いに等しく、且つ正極側連絡バスバー44と負極側連絡バスバー48との電位差の略中間、換言すれば、約1/2となる。また、中電位バスバー50の電位は、最低電位バスバー46aの電位よりも高く、且つ最高電位バスバー46bの電位よりも低い。この理由についても後述する。
図3から諒解されるように、最低電位バスバー46aは、第2コアパック16の、第1コアパック14を臨む面に配設される。一方、最高電位バスバー46bは、第1コアパック14の、第2コアパック16を臨む面に配設される。すなわち、最低電位バスバー46aと最高電位バスバー46bは、ケース12内で互いに対向する。
第1実施形態では、中電位バスバー50は、バスバーホルダ60に保持されて第1コアパック14と第2コアパック16との間に介挿されている。具体的には、バスバーホルダ60は、図4に示すように2個の矩形部62a、62bの長手方向各側面に平板部64a、64bが設けられた形状の枠体からなる。勿論、2個の矩形部62a、62bは、中電位バスバー50を挿入し得、且つ挿入された中電位バスバー50がケース12の長手方向に対して平行を維持し得る程度に離間している。
バスバーホルダ60は、樹脂等の絶縁体からなる。図2及び図3に示すように、中電位バスバー50は、第1コアパック14と第2コアパック16の間で互いに対向するセル群間連絡バスバー46同士の全ての間に介在する。また、バスバーホルダ60に保持された中電位バスバー50とセル群間連絡バスバー46は、ケース12内で互いに離間する。この離間により、両バスバー46、50同士の絶縁がなされている。
第1セルホルダ32a~第4セルホルダ32dには、枠状部66を形成するための壁部がそれぞれ突出形成される。セル群間連絡バスバー46、正極側連絡バスバー44の大部分、負極側連絡バスバー48の大部分は、枠状部66に収容される。
ケース12の内壁と、該ケース12に臨むセル群間連絡バスバー46との間には、放熱部材としての放熱シート68が介挿される。放熱シート68は、弾性に富み且つ第1セルホルダ32a又は第4セルホルダ32dと、ケース12の内壁との間で圧縮された状態を維持し得るものが好適に選定される。この場合、放熱シート68が、第1コアパック14又は第2コアパック16と、ケース12の内壁とに対して広面積で密着するからである。
第1実施形態に係るバッテリパック10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその作用効果について説明する。
バッテリパック10を電動車両等の外部機器に装着する場合、ユーザは、取っ手28を把持してバッテリパック10を当該外部機器まで搬送し、コネクタ20と外部機器のコネクタとが電気的に接続されるようにしてバッテリパック10を外部機器のバッテリ装着部に収容する。コネクタ20がボトムケース18の底面に設けられている(図1参照)ので、バッテリパック10は、通常、長手方向が重力方向に沿って延在する姿勢、又は、長手方向が重力方向に対して若干傾斜した姿勢となる。そして、外部機器のスタータスイッチをONにすることにより、ケース12内の各単セル30から外部機器に電力が供給される。すなわち、各単セル30からの放電がなされる。
ここで、上下に隣接するセル群同士はセル群間連絡バスバー46を介して電気的に直列接続されており、また、コネクタ20の負極端子部には負極側連絡バスバー48を介して第1セル群40eの負極が接続されるとともに、正極端子部には、正極側連絡バスバー44を介して第1セル群40aの正極が接続されている。さらに、第2コアパック16内の第1セル群40hの正極と、第1コアパック14内の第1セル群40dの負極とが、第2コアパック間連絡バスバー51のタブ部56、中電位バスバー50のタブ部54、第1コアパック間連絡バスバー49のタブ部52を介して接続されている。従って、電子は、負極端子部→第1セル群40e→第2セル群42d→第1セル群40f→第2セル群42e→第1セル群40g→第2セル群42f→第1セル群40h→第1セル群40d→第2セル群42c→第1セル群40c→第2セル群42b→第1セル群40b→第2セル群42a→第1セル群40a→正極端子部の順に移動する。このため、全てのセル群間連絡バスバー46の中では、コネクタ20の負極端子部に最も近接する第1セル群40eと、その直上の第2セル群42dとを接続するものの電位が最低となる。すなわち、第1セル群40eと第2セル群42dを接続するセル群間連絡バスバー46は、最低電位バスバー46aである。
その一方で、コネクタ20の正極端子部に最も近接する第1セル群40aと、その直上の第2セル群42aとを接続するセル群間連絡バスバー46が、全てのセル群間連絡バスバー46の中で電位が最高となる。すなわち、第1セル群40aと第2セル群42aを接続するセル群間連絡バスバー46は、最高電位バスバー46bである。なお、互いに対向するセル群間連絡バスバー46同士の電位差は、コネクタ20から離間するに従って小さくなる。
上記したように、第1コアパック間連絡バスバー49、第2コアパック間連絡バスバー51は、セル群間連絡バスバー46を介して直列接続された第1コアパック14内のセル群と、セル群間連絡バスバー46を介して直列接続された第2コアパック16内のセル群とを直列接続する。また、第1コアパック14内のセル群(単セル30)の個数と第2コアパック16内のセル群(単セル30)の個数は、同一である。従って、第1コアパック間連絡バスバー49、第2コアパック間連絡バスバー51の電位は、最低電位バスバー46aの電位よりも高く且つ最高電位バスバー46bの電位よりも低く、さらに、正極側連絡バスバー44と負極側連絡バスバー48との電位差の約1/2となる。従って、タブ部52、54、56を介して最低電位バスバー46a及び最高電位バスバー46bに電気的に接続された中電位バスバー50の電位も、最低電位バスバー46aよりも高で且つ最高電位バスバー46bよりも低であり、さらに、正極側連絡バスバー44と負極側連絡バスバー48との電位差の約1/2となる。
中電位バスバー50が設けられていないバッテリパックでは、万一、バッテリ装着部からケース12内に水が浸入した場合、最低電位バスバー46aと最高電位バスバー46bの間で短絡が起こる懸念がある。最低電位バスバー46aと最高電位バスバー46bの電位差が、互いに対向するその他のセル群間連絡バスバー46同士の電位差よりも大きく、しかも、これら最低電位バスバー46a及び最高電位バスバー46bが、セル群間連絡バスバー46の中でボトムケース18(及びコネクタ20)に最近接しているからである。
これに対し、バッテリパック10では、最低電位バスバー46aと最高電位バスバー46bとの間に中電位バスバー50が介挿されている。従って、短絡は、最低電位バスバー46aと中電位バスバー50との間、ないし中電位バスバー50と最高電位バスバー46bとの間で起こる。
ここで、中電位バスバー50の電位が正極側連絡バスバー44と負極側連絡バスバー48との電位差の約1/2であるので、最低電位バスバー46aと中電位バスバー50との電位差、中電位バスバー50と最高電位バスバー46bとの電位差は、それぞれ、最低電位バスバー46aと最高電位バスバー46bとの電位差の約1/2となる。従って、最低電位バスバー46aと中電位バスバー50との間、中電位バスバー50と最高電位バスバー46bとの間で流れる短絡電流の電流値は、最低電位バスバー46aと最高電位バスバー46bの間で流れる短絡電流の電流値の略半分となる。
以上のように、最低電位バスバー46aと最高電位バスバー46bの間に、電位が両バスバー46a、46bの電位の中間である中電位バスバー50を配設したことにより、中電位バスバー50を配設しない場合に比して短絡電流の電流値を低減することができる。従って、各単セル30に流れる短絡電流が十分に抑制される。このために単セル30の発熱量が小さくなるので、該単セル30、ひいてはバッテリパック10の温度が過度に上昇することを回避することができる。
ところで、最低電位バスバー46a及び最高電位バスバー46bよりも上方で互いに対向するセル群間連絡バスバー46同士の電位差は、さほど大きくはない。従って、短絡が起こったとしても、その短絡電流の電流値は小さい。このような理由から、中電位バスバー50を最低電位バスバー46aと最高電位バスバー46bの間のみに介挿することもできる。このように構成した態様を、第2実施形態として以下に説明する。なお、第1実施形態に係るバッテリパック10の構成要素に対応する構成要素には同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
図5及び図6は、それぞれ、第2実施形態に係るバッテリパック70の概略分解斜視図、概略縦断面図である。このバッテリパック70は、単一部材からなる1個のコアパック間連絡バスバー72を有する。すなわち、コアパック間連絡バスバー72は、第1コアパック間連絡バスバー49、タブ部52、タブ部56、第2コアパック間連絡バスバー51が一体的に連なったような形状をなし、タブ部52、56に代替してブリッジ部74が設けられる。このブリッジ部74を介して、第1コアパック14内の第1セル群40dと、第2コアパック16内の第1セル群40hとが電気的に直列接続される。
第2実施形態では、図7に示すように、中電位バスバー76及びバスバーホルダ78の双方とも短尺である。すなわち、中電位バスバー76及びバスバーホルダ78の高さは、最低電位バスバー46a、最高電位バスバー46bにのみ対向する程度に設定される。換言すれば、中電位バスバー76は、最低電位バスバー46aと最高電位バスバー46bの間にのみ介挿され、その他のセル群間連絡バスバー46同士の間には介挿されていない。
バスバーホルダ78は、矩形状をなす四角枠部80と、該四角枠部80の両側面に設けられた平板部82a、82bとを有し、樹脂等の絶縁体からなる。四角枠部80の内縁にはスリットが形成されるとともに、平板部82aに差込孔84が形成される。中電位バスバー76は、差込孔84に通されるとともに、その外縁部が前記スリットに挿入される。勿論、スリットの幅は、中電位バスバー76を挿入し得、且つ挿入された中電位バスバー76がケース12の長手方向に対して平行を維持し得る程度に設定されている。
中電位バスバー76の一側面は幅広に設定されており、このため、差込孔84を通過することはできない。すなわち、幅広の一側面は、平板部82aに当接して中電位バスバー76のそれ以上の進入を阻止するストッパ部である。
ストッパ部には、導線(導体)を束ねたハーネス86の一端が電気的に接続される。該ハーネス86の他端は、コアパック間連絡バスバー72のブリッジ部74に電気的に接続される。すなわち、中電位バスバー76とコアパック間連絡バスバー72は、ハーネス86内の導線を介して電気的に接続されており、このため、互いの電位は等しい。なお、ハーネス86に代替してバスバー(導体)を採用するようにしてもよい。
そして、上記の電気的接続がなされていることから、第1実施形態と同様に、コアパック間連絡バスバー72及び中電位バスバー76の電位は、最低電位バスバー46aの電位よりも高で且つ最高電位バスバー46bの電位よりも低であり、さらに、正極側連絡バスバー44と負極側連絡バスバー48との電位差の約1/2となる。
このように構成されるバッテリパック70のケース12内に水が浸入したときにも、短絡は、最低電位バスバー46aと中電位バスバー76との間、ないし中電位バスバー76と最高電位バスバー46bとの間で起こる。最低電位バスバー46aと中電位バスバー76との電位差、中電位バスバー76と最高電位バスバー46bとの電位差は、それぞれ、最低電位バスバー46aと最高電位バスバー46bとの電位差の約1/2である。従って、最低電位バスバー46aと中電位バスバー76との間、中電位バスバー76と最高電位バスバー46bとの間で流れる短絡電流の電流値を、最低電位バスバー46aと最高電位バスバー46bの間で流れる短絡電流の電流値の略半分に低減することができる。
以上のように、最低電位バスバー46aと最高電位バスバー46bの間のみに中電位バスバー76を配設した場合においても、短絡電流の電流値を低減することができる。従って、各単セル30に流れる短絡電流が十分に抑制されて該単セル30の発熱量が小さくなる。これにより、該単セル30やバッテリパック10の温度が過度に上昇することが回避される。
また、第2実施形態によれば、中電位バスバー76及びバスバーホルダ78を、中電位バスバー50及びバスバーホルダ60に比して小型化及び軽量化することができる。
本発明は、上記した実施の形態に特に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、各単セル30の負極を第1電極とし、且つ正極を第2電極とするようにしてもよい。
また、第1コアパック14の単セル30(ないしセル群)の個数と、第2コアパック16の単セル30(ないしセル群)の個数とを同一とする必要は特にない。この場合、第1コアパック間連絡バスバー49、第2コアパック間連絡バスバー51、コアパック間連絡バスバー72に中電位バスバー50、76を電気的に接続すると、中電位バスバー50、76の電位は、正極側連絡バスバー44と負極側連絡バスバー48との電位差の1/2よりも大きく、又は小さくなる。
10、70…バッテリパック 12…ケース
14、16…第1、第2コアパック 20…コネクタ
24…BMU 30…単セル
32a~32d…第1~第4セルホルダ 40a~40h…第1セル群
42a~42f…第2セル群 44…正極側連絡バスバー
46…セル群間連絡バスバー 46a…最低電位バスバー
46b…最高電位バスバー 48…負極側連絡バスバー
49、51…第1、第2コアパック間連絡バスバー
50、76…中電位バスバー 60、78…バスバーホルダ
86…ハーネス

Claims (6)

  1. 第1電極及び第2電極を有する単セルを複数個収容したケースと、前記ケースに設けられたコネクタとを備えるバッテリパックにおいて、
    前記単セルを複数個保持するとともに、前記ケース内で互いに対向するように収容された第1コアパック及び第2コアパックを備え、
    前記第1コアパック内及び前記第2コアパック内で、第1電極が同一方向を指向する姿勢とされた複数個の前記単セルによって第1セル群が形成され、且つ第1電極が前記第1セル群の前記単セルの第1電極と逆方向を指向する姿勢とされた複数個の前記単セルによって第2セル群が形成されるとともに、前記第1セル群と前記第2セル群が交互に配置され、
    さらに、前記コネクタの正極端子部と、前記第1コアパック内又は前記第2コアパック内の、前記第1セル群又は前記第2セル群の前記単セルの正極とを電気的に接続する正極側連絡バスバーと、
    前記コネクタの負極端子部と、前記第2コアパック内又は前記第1コアパック内の、前記第1セル群又は前記第2セル群の前記単セルの負極とを電気的に接続する負極側連絡バスバーと、
    前記第1コアパック内又は前記第2コアパック内で、前記第1セル群の前記単セルと、前記第2セル群の前記単セルとを電気的に接続するセル群間連絡バスバーと、
    前記第1コアパック内で端部に位置する前記第1セル群又は前記第2セル群の前記単セルと、前記第2コアパック内で端部に位置する前記第1セル群又は前記第2セル群の前記単セルとを電気的に直列接続するコアパック間連絡バスバーと、
    を備え、
    前記セル群間連絡バスバーの中の、負極が前記負極側連絡バスバーを介して前記負極端子部に電気的に接続された前記単セルの正極を、隣接する前記第2セル群又は前記第1セル群の前記単セルの負極に電気的に接続するセル群間連絡バスバーと、正極が前記正極側連絡バスバーを介して前記正極端子部に電気的に接続された前記単セルの負極を、隣接する前記第2セル群又は前記第1セル群の前記単セルの正極に電気的に接続するセル群間連絡バスバーとが互いに対向し、
    少なくとも、互いに対向する前記2個のセル群間連絡バスバー同士の間に、その電位が、前記2個のセル群間連絡バスバー中の1個の電位よりも高く、且つ残余の1個の電位よりも低い中電位バスバーが介挿されたバッテリパック。
  2. 請求項1記載のバッテリパックにおいて、前記中電位バスバーが、前記セル群間連絡バスバーの中の、前記ケース内で互いに対向するもの同士の全ての間に介挿されたバッテリパック。
  3. 請求項1又は2記載のバッテリパックにおいて、前記中電位バスバーの電位が、前記正極側連絡バスバーと前記負極側連絡バスバーとの電位差の1/2であるバッテリパック。
  4. 請求項1~3のいずれか1項に記載のバッテリパックにおいて、前記中電位バスバーが、前記コアパック間連絡バスバーに電気的に接続されているバッテリパック。
  5. 請求項4記載のバッテリパックにおいて、前記中電位バスバーが導体を介して前記コアパック間連絡バスバーに電気的に接続されているバッテリパック。
  6. 請求項1~5のいずれか1項に記載のバッテリパックにおいて、前記中電位バスバーを保持するバスバーホルダを有するバッテリパック。
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