以下に、実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、実施の形態を通して共通の構成には同一の符号を付すものとし、重複する説明は省略する。また、各図は実施の形態の説明とその理解を促すための模式図であり、その形状や寸法、比などは実際の装置等で異なる個所があるが、これらは以下の説明と公知の技術とを参酌して、適宜設計変更することができる。
[第1の実施形態]
第1の実施形態の電池を図1~図23を参照して説明する。図面の一部は斜視図や展開図であり、一部の部材及び部分は図示されていないが、正極及び負極は対称に構成されているため、一方の電極の図示されない部分は、他方の電極の構造から明らかにされる。なお、実施形態は、正極及び負極を非対称に構成することを認める。
図1に示す電池100は、外装部材1と、電極群2と、正極端子部3と、負極端子部4と、電解質(図示しない)とを含む。図1に示す電池100は、例えば、二次電池である。実施形態の電池100は、薄型である。薄型である電池100の厚さは、5mm以上30mm以下が好ましく、5mm以上25mm以下がより好ましい。
図2は、図1に示す電池の正極側から見た分解斜視図である。図3は、図1に示す電池の負極側から見た分解斜視図である。図1、図2及び図3に示すように、外装部材1は、第1の外装部5と、第2の外装部6とを含む。第1の外装部5は、底付き角筒容器であり、開口部5aにフランジ部5bを有する。外装部材1には、第1の外装部5のフランジ部5bと第2の外装部6が溶接されて形成された空間内に電極群2が収納されている。
第1の外装部5及び第2の外装部6は、ステンレス、アルミラミネート及びアルミニウムからなる群より選ばれるいずれかからなることが好ましい。また、電池100の体積当たりの電池容量を増加させるために、第1の外装部5及び第2の外装部6の厚さ、つまり、第1の外装部5及び第2の外装部6の板厚は、0.02mm以上0.3mm以下の範囲にすることが望ましい。この範囲にすることにより、機械的強度と柔軟性という相反する性質を両立させることができる。板厚のより好ましい範囲は、0.05mm以上0.15mm以下である。
図1、図2及び図3に示すように、第1の外装部5の短辺側壁と底部とを繋ぐコーナの中央付近に内側に張り出した凹部が設けられており、凹部の底部が傾斜面5dになっている。第1の外装部5は、開口部5aの大きさ(開口面積となる部分の最大長)以下の深さを有するものである。より好ましい第1の外装部5は、開口面積となる部分の短辺以下の深さを有するものである(例えば図2に示すもの)。第1の外装部5は、例えば、鋼板から浅絞り加工によって作製された開口部を有するカップ型容器である。一方、第2の外装部6は、蓋である。第2の外装部6は第1の外装部5の開口部を覆う。第2の外装部6も第1の外装部5と同様に浅絞り加工によって作成されたカップ型容器でも板状でもよい。第2の外装部6がカップ型容器であるとき、第2の外装部6の側面を第1の外装部5の側面の一部と見なすことができる。また、第2の外装部6がカップ型容器であるとき、第2の外装部6の側面側の内面を第1の外装部5の内面の一部と見なすことができる。第1の外装部5のフランジ部5bが第2の外装部6の四辺に溶接されて形成された空間内に電極群2が収納される。溶接には、例えば、抵抗シーム溶接が用いられる。抵抗シーム溶接は、レーザ溶接に比して低いコストで高い気密性と耐熱性を実現することができる。
図4は、図1に示す電池100の電極群2の斜視図である。図4に示す電極群2の正極集電タブ7aは、電極群側正極リード12と電気的に接続している。バックアップ正極リード11を用いる場合、正極集電タブ7aをバックアップ正極リード11で挟み、バックアップ正極リード11が電極群側正極リード12と電気的に接続した構成とすることが出来る。同様に、図4に示す電極群2の負極集電タブ8aは、電極群側負極リード14と電気的に接続している。バックアップ負極リード13を用いる場合、負極集電タブ8aをバックアップ負極リード13で挟み、バックアップ負極リード13が電極群側負極リード14と電気的に接続した構成とすることが出来る。
薄型の電池であるため、電極群2が収容される空間は、高さの低い空間である。外装部材1の高さ(第1の外装部5と第2の外装部6の最大距離)は、5mm以上30mm以下である。電池100が薄型であるが、高容量とするために外装部材1の部材の厚さは薄くする必要がある。外装部材1の部材の厚さを薄くすると電池が変形しやすいが、電池の厚さが薄いため補強がしにくいという問題がある。実施形態では、正極端子17の直下の第1の正極絶縁補強部材24に正極絶縁補強保持部24aと負極端子32の直下の第1の負極絶縁補強部材37に負極絶縁補強保持部37aを設けて、電池100の厚さ方向の外圧や衝撃によっても電池100が変形しにくくなっている。
電極群2は、図5に示すように、扁平形状で、正極7と、負極8と、正極7と負極8の間に配置されたセパレータ9とを含む。扁平状の電極群2は、正極7、正極7と電気的に接続された正極集電タブ7a、負極8、及び、負極8と電気的に接続された負極集電タブ8aを含み、扁平形状に捲回された正極集電タブ7aが第一端面に位置し、かつ扁平形状に捲回された負極集電タブ8aが第二端面に位置する。電極群2の扁平な2面のうち1つの面が第1の外装部5の底面と対向し、電極群2の扁平な2面のうち他方の面が第2の外装部6の面と対向する。
正極7は、例えば箔からなる帯状の正極集電体と、正極集電体の長辺に平行な一端部からなる正極集電タブ7aと、少なくとも正極集電タブ7aの部分を除いて正極集電体に形成された正極材料層(正極活物質含有層)7bとを含む。正極集電タブ7aは、電極群2の幅方向の中心に配置されている。正極集電タブ7aの幅は、電極群2の幅より狭いことが好ましい。正極集電タブ7aの幅と電極群2の幅は、電池100の厚さ方向と電池の奥行き方向(正極端子17から負極端子32に向かう方向)の両方に垂直な方向である。正極集電タブ7aが電極群2の幅より狭いということは、正極集電タブ7aの幅方向の端が切り欠けられているということである。集電体2を効率よく外装部材1に収容する観点から、正極集電タブ7aは、両端からそれぞれ5mm以上切り欠けられていて、電極群2の幅よりも10mm以上狭いことがより好ましい。図2等では、正極集電タブ7aの両側の端部は切り欠けられている。
一方、負極8は、例えば箔からなる帯状の負極集電体と、負極集電体の長辺に平行な一端部からなる負極集電タブ8aと、少なくとも負極集電タブ8aの部分を除いて負極集電体に形成された負極材料層(負極活物質含有層)8bとを含む。負極集電タブ8aの幅は、電極群2の幅より狭いことが好ましい。負極集電タブ8aの幅と電極群2の幅は、電池100の厚さ方向と電池100の奥行き方向(正極端子17から負極端子32に向かう方向)の両方に垂直な方向である。負極集電タブ8aが電極群2の幅より狭いということは、負極集電タブ8aの幅方向の端が切り欠けられているということである。電極群2を効率よく外装部材1に収容する観点から、負極集電タブ8aは、両端からそれぞれ5mm以上切り欠けられていて、電極群2の幅よりも10mm以上狭いことがより好ましい。図3等では、負極集電タブ8aの両側の端部は、切り欠けられている。
電極群2は、正極7の正極材料層7bと負極8の負極材料層8bがセパレータ9を介して対向すると共に、捲回軸の一方側に正極集電タブ7aが負極8及びセパレータ9よりも突出し、かつ他方側に負極集電タブ8aが正極7及びセパレータ9よりも突出するように、正極7、セパレータ9及び負極8が扁平形状に捲回されたものである。よって、電極群2において、捲回軸と垂直な第一端面に、扁平の渦巻き状に捲回された正極集電タブ7aが位置する。
また、捲回軸と垂直な第二端面に、扁平の渦巻き状に捲回された負極集電タブ8aが位置する。絶縁シート10は、電極群2の最外周のうち、正極集電タブ7aと負極集電タブ8aの間の部分を被覆している。そして、絶縁シート10は、電極群2の最外周のうち、正極集電タブ7a及び負極集電タブ8aの一部も被覆している。なお、電極群2は、電解質(図示しない)を保持している。
バックアップ正極リード11は、導電性の板をU字状に折り曲げたもので、正極集電タブ7aの両端の湾曲部を除いた部分(中央付近)を挟んで正極集電タブ7aの層同士を密着させている。電極群側正極リード12は、バックアップ正極リード11よりも大きな面積の導電性の板である。バックアップ正極リード11を省略することが出来る。バックアップ正極リード11を用いない場合は、正極集電タブ7aは、電極群側正極リード12と直接的に電気的に接続している。
バックアップ負極リード13は、導電性の板をU字形状に折り曲げたもので、負極集電タブ8aの両端の湾曲部を除いた部分(中央付近)を挟んで負極集電タブ8aの層同士を密着させている。電極群側負極リード14は、バックアップ負極リード13よりも大きな面積の導電性の板である。バックアップ負極リード13を省略することが出来る。バックアップ負極リード13を用いない場合は、負極集電タブ8aは、電極群側負極リード14と直接的に電気的に接続している。
図6に正極端子部3側(負極端子部4側)側から電池100を見た概略図を示す。正極端子部3側から見た図と負極端子側部4から見た図は、同様である。図6には、A-A’、B-B’とC-C’の仮想線(破線)を示している。図7以降の断面図においては、これらA-A’面、B-B’面とC-C’面の断面図、つまり、仮想線から電池100の奥行き方向(正極端子部3から負極端子部4に向かう方向)に切断した断面図を示している。
図7は、図6の正極端子部3側のA-A’面に沿って切断した際に得られる断面図である。A-A’面は、正極端子17の中央(傾斜面5dの中央)を通る断面であり、正極絶縁補強保持部24aを含む断面である。図8は、図6の正極端子部3側のB-B’面に沿って切断した際に得られる断面図である。B-B’面は、正極端子17寄りの正極端子17の外側を通る断面であり、正極絶縁補強保持部24aを含まない断面である。図9は、図6の正極端子部3側のC-C’面に沿って切断した際に得られる断面図である。C-C’面は、第1の外装部5の端部に近いところを通る断面であり、正極絶縁補強保持部24aを含まない断面である。図7に示すように、正極端子17の電池100内側は、正極絶縁補強保持部24aによって支えられている。正極絶縁補強保持部24aは、電池100の外側から力が加わった際に電池100全体、特に正極端子部3側の変形を防ぐ。
また、図10には、図7のD-D’面に沿って切断した際に得られる断面図を示している。そして、図11には、図6の負極端子部4側のA-A’面に沿って切断した際に得られる断面図である。A-A’面は、負極端子32の中央(傾斜面5dの中央)を通る断面であり、負極絶縁補強保持部37aを含む断面である。図11に示すように、負極端子32の電池100内側は、負極絶縁補強保持部37aによって支えられている。負極絶縁補強保持部37aは、電池100の外側から力が加わった際に電池100全体、特に負極端子部4側の変形を防ぐ。正極側と負極側は対称であるため、負極側のB-B’面、C-C’面及びD-D’面の断面図は、図示しないが、正極端子部3側の図8-10を参考にすることによって負極端子部4側の構造が理解される。
以下、図2、図3、図7~図11を参照して電池100の内部構造について説明する。
図2、図3、図7~図10に示すように、電極群側正極リード12は、正極集電タブ7a側に正極集電タブ7a側と電気的に接続する平板部12aと、第2の外装部6側に延びる第1の延出部12bと第2の延出部12cを有する。図8に示すように、第1の延出部12bと第2の延出部12cは、正極端子リード23と直接的かつ電気的に接続している。第1の延出部12bと第2の延出部12cの間には、電極群側正極リード12が存在しないギャップ12dが存在する。図7及び図10に示すようにギャップ12dから正極軸部17bが露出している。電極群側正極リード12は、バックアップ正極リード11又は正極集電タブ7aの面に接続されている。バックアップ正極リード11は、正極集電タブ7a及び電極群側正極リード12と電気的に接続している。また、正極集電タブ7aは、電極群側正極リード12と電気的に接続している。
正極集電タブ7a、バックアップ正極リード11及び電極群側正極リード12は、溶接により一体化され、これにより正極7が正極集電タブ7a及びバックアップ正極リード11を介して電極群側正極リード12と電気的に接続されている。正極集電タブ7aとバックアップ正極リード11との溶接は、例えばレーザ溶接や超音波溶接により行われる。バックアップ正極リード11と電極群側正極リード12との溶接は、例えばレーザ溶接や超音波溶接により行われる。バックアップ正極リード11は省略可能である。バックアップ正極リード11が省略される場合、正極集電タブ7aと電極側正極リード12とが溶接されることが好ましい。
図2、図3及び図11に示すように、電極群側負極リード14は、負極集電タブ8a側に負極集電タブ8a側と電気的に接続する平板部14aと、第2の外装部6側に延びる第1の延出部14bと第2の延出部14cを有する。図8を参考に、第1の延出部14bと第2の延出部14cは、負極端子リード36と直接的かつ電気的に接続している。第1の延出部14bと第2の延出部14cの間には、電極群側負極リード14が存在しないギャップ14dが存在する。参考とする図10及び図11に示すようにギャップ14dから正極軸部32bが露出している。電極群側負極リード14は、バックアップ負極リード13又は負極集電タブ8aの面に接続されている。バックアップ負極リード13は、負極集電タブ8a及び電極群側負極リード14と電気的に接続している。また、負極集電タブ8aは、電極群側負極リード14と電気的に接続している。
負極集電タブ8a、バックアップ負極リード13及び電極群側負極リード14は、溶接により一体化され、これにより負極8が負極集電タブ8a及びバックアップ負極リード13を介して電極群側負極リード14と電気的に接続されている。負極集電タブ8aとバックアップ負極リード13との溶接は、例えばレーザ溶接や超音波溶接により行われる。バックアップ負極リード13と電極群側負極リード14との溶接は、例えばレーザ溶接や超音波溶接により行われる。
正極端子部3は、図2、図3、図7及び図10に示すように、第1の外装部5の傾斜面5dに開口された貫通孔15と、正極外子17と、正極絶縁部材18a、正極補強部材(リング状部材)18bと、絶縁ガスケット19と、正極端子絶縁部材20とを含む。
正極端子部3において、第1の外装部5は正極集電タブ7a側に貫通孔15を有している。正極端子部3の正極端子17は、正極頭部17a及び正極頭部17aから延び出た正極軸部17bを含む。正極端子部3において、貫通孔23eを有する正極端子リード23を含む。正極端子部3において、正極頭部17aが第1の外装部5の外側に突出し、正極軸部17bが正極端子リード23の貫通孔23eに挿入されて、正極軸部17bが第1の外装部5及び正極端子リード23にカシメ固定されている。
バーリング部(環状の立ち上がり部)16は、図7に示すように、貫通孔15の周縁部から外装部材1の内側に向けて延びており、バーリング加工によって形成されたものである。
正極端子17は、図7に示すように、角錐台形状の正極頭部17aと、第1の外装部5の貫通孔15を貫通する円柱状の正極軸部17bとを含む。円柱状の正極軸部17bは、正極頭部17aの頂面と平行な平面から伸び出ている。正極外部端子17は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金等の導電性材料から形成される。
正極絶縁部材18aは、第1の外装部5を正極端子17及び正極端子リード23と絶縁する。第1の外装部5と、正極絶縁部材18aによって、正極補強部材18bが挟まれている。
正極補強部材18bは、例えば、ガスケットよりも剛性の高い材質で形成された円形リングからなる。ガスケットよりも剛性の高い材質の例には、ステンレス鋼、鉄にメッキ(例えばNi、NiCr等)を施したもの、セラミックス、ガスケットよりも高い剛性を持ち得る樹脂(例えばポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT))などが含まれる。正極補強部材18bは、図7に示すように、バーリング部16の外周面上に配置されてバーリング部16及び正極絶縁部材18aと接している。また、正極補強部材18bを樹脂やセラミックス等絶縁材料で形成した場合は、第2の正極絶縁補強部材25と一体化することも出来る。
絶縁ガスケット19は、一方の開口端にフランジ部19aを有する円筒体(筒部)である。絶縁ガスケット19は、図7に示すように、円筒体の部分が貫通孔15及びバーリング部16内に挿入され、フランジ部19aが第1の外装部5の外面上の貫通孔15の外周に配置されている。絶縁ガスケット19は、例えば、フッ素樹脂、フッ素ゴム、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS樹脂)、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK樹脂)、ポリプロピレン樹脂(PP樹脂)、及びポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT樹脂)などの樹脂から形成されている。
正極端子絶縁部材20は、図2及び図7に示すように、鈍角に折れ曲がった板状部材であり、底部に貫通孔20aを有する。正極端子絶縁部材20は、第1の外装部5の外面上に配置されている。正極端子絶縁部材20の貫通孔20aには、絶縁ガスケット19が挿入されている。
正極端子リード23は、平板部23a、第1の延出部23b、第2の延出部23cと第3の延出部23dを有する導電性の板である。図8では、正極端子リード23は、電極群2側に平板部23aを有する。第1の延出部23bと第2の延出部23cは、第1の外装部5の開口部側、すなわち、第2の外装部6側に延出している。第1の延出部23b及び第2の延出部23cは、第2の外装材6側に位置し、電極群側正極リード12の第1の延出部12b及び第2の延出部12cと同方向に延出している。第3の延出部23dは、傾斜面5dに沿う方向に延びている。第3の延出部23dの中央には、貫通孔23eが設けられている。
図8~図10に示すように、正極端子リード23の第1の延出部23bは、電極群側正極リード12の第1の延出部12bと溶接により一体化されている。正極端子リード23の第1の延出部23bと電極群側正極リード12の第1の延出部12bの対向する面、又は/及び、先端側の正極端子リード23の第1の延出部23bの端面と電極群側正極リード12の第1の延出部12bの端面が溶接されている。
図8~図10に示すように、正極端子リード23の第2の延出部23cは、電極群側正極リード12の第2の延出部12cと溶接により一体化されている。正極端子リード23の第2の延出部23cと電極群側正極リード12の第2の延出部12cの対向する面、又は/及び、先端側の正極端子リード23の第2の延出部23cの端面と電極群側正極リード12の第2の延出部12cの端面が溶接されている。
図8~図10に示すように、正極端子リード23の第1の延出部23b及び電極群側正極リード12の第1の延出部12bの少なくとも先端部分の延在方向は、第2の外装部6の面に対して垂直又は略垂直(80°以上100°以下)であることが好ましい。正極端子リード23の第1の延出部23b及び電極群側正極リード12の第1の延出部12bの少なくとも先端部分の延在方向が第2の外装部6の面に対して垂直又は略垂直であることは、正極端子リード23の第1の延出部23bと電極群側正極リード12の第1の延出部12bの溶接後にリードを折り曲げずに作成されたことを表している。
図8~図10に示すように、正極端子リード23の第2の延出部23c及び電極群側正極リード12の第2の延出部12cの少なくとも先端部分の延在方向は、第2の外装部6の面に対して垂直又は略垂直(80°以上100°以下)であることが好ましい。正極端子リード23の第2の延出部23c及び電極群側正極リード12の第2の延出部12cの少なくとも先端部分の延在方向が第2の外装部6の面に対して垂直又は略垂直であることは、正極端子リード23の第2の延出部23cと電極群側正極リード12の第2の延出部12cの溶接後にリードを折り曲げずに作成されたことを表している。
溶接後にリードを折り曲げることによって電極の端子部分の配線をコンパクトにできるという利点があるが、溶接後に折曲げを精度良く行うには、リードの厚さを薄くすることが求められる。しかし、リードの厚さを薄くすると大電流を流しにくいという点で好ましくない。溶接された部分が第2の外装部6の面の方向を向くようにすることで、リードの厚さを厚くすることができる。
大電流特性を考慮すると、正極端子リード23の厚さは、0.5mm以上3.0mm以下とすることができ、また、電極群側正極リード12の厚さは、0.5mm以上3.0mm以下とすることができる。さらに、リード同士の溶接前のリードの折り曲げ工程及び大電流特性を考慮すると、正極端子リード23の厚さと電極群側正極リード12の厚さの和は、1.0mm以上1.2mm以下とすることが好ましい。これらの厚さは、溶接されている部分で少なくとも満たすことが好ましい。
第1の正極絶縁補強部材24は、図2、図3、図7~10に示すように、有底矩形筒を長辺方向に半割した構造を有する。第1の正極絶縁補強部材24は、正極集電タブ7aのうち、捲回中心から第2の外装部6側までの半分程度を被覆するこれにより、第2の外装部6、特に短辺付近を補強することができる。第1の正極絶縁補強部材24は、第1の外装部5の内面側及び第2の外装部6の内面側に配置され、正極端子17と第2の外装部6の間に配置されている。第1の正極絶縁補強部材24は、正極絶縁補強保持部24aを有する。正極絶縁補強保持部24aは、正極軸部17bの正極頭部17a側とは反対側の端部と対向する斜面を有する。この正極絶縁補強保持部24aの斜面によって正極端子部3が支えられることで、電池100の強度を向上させる。正極絶縁補強保持部24aは、第1の正極絶縁補強部材24の第2の外装部6側を向く底部24bから延出した部分である。第1の正極絶縁補強部材24は、第1の外装部5の正極端子側を向く第1側面24cと第1の外装部5の幅方向の面を向く第2側面24dを含む。正極端子部3側の電池100の補強の観点から、正極軸部17bの正極絶縁補強保持部24aを向く面、つまり、正極軸部17bの正極頭部17a側とは反対側の端部の面は、正極絶縁補強保持部24aの斜面、つまり、正極絶縁補強保持部24aの正極軸部17bと対向し、正極軸部17bと最も距離の近い面よりも小さいことが好ましい。この要件を満たすとき、正極端子リード23にカシメ固定された正極軸部17が広い面積の正極絶縁補強保持部24aの斜面と接し、保持可能となることで、正極端子部3側の電池100の強度が向上する。
正極端子部3が第2の正極絶縁補強部材25をさらに備えることが好ましい。図2、図3、図7~10に示すように、第2の正極絶縁補強部材25は、有底矩形筒を長辺方向に半割した構造を有する。第2の正極絶縁補強部材25は、第1の外装部5の内面側であって、正極端子リード23と第1の外装部5との間に配置され、第1の正極絶縁補強部材24と対向している。
第2の正極絶縁補強部材25は、第1の外装部5の底部側を向く底部25aと、第1の外装部5の正極端子方向の側面(短辺側側壁)側を向く第1側面部25bと、底部25aと第1側面部25bをつなぎ、第2の正極絶縁補強部材25の中央に配置された傾斜部25cと、傾斜部25cの中央に開口された貫通孔25dと、第1の外装部5の幅方向の側面(長辺側側壁)側を向く第2側面部25eとを有する。第2の正極絶縁補強部材25は、第1の外装部5の短辺側側壁から底面に繋がるコーナ部と、第1の外装部5の短辺側側壁から長辺側側面に繋がるコーナ部を被覆する。これにより、第1の外装部5、特に短辺側側壁と長辺側側壁と底部とが交わるコーナ付近を補強することができる。貫通孔25dは、第1の外装部5の貫通孔15と連通する。第2の正極絶縁補強部材25上に、正極端子リード23が配置される。正極端子リード23の貫通孔23eは、第2の正極絶縁補強部材25の貫通孔25d及び第1の外装部5の貫通孔15と連通する。
第2の正極絶縁補強部材25は、正極軸部17b、第1の外装部5及び正極端子リード23にカシメ固定され、正極端子部3において固定されていることが、絶縁性及び強度付与の観点から好ましい。
第1の正極絶縁補強部材24及び第2の正極絶縁補強部材25は、絶縁性であり、成型された樹脂であることが好ましい。
例えば、絶縁シート10で正極集電タブ7aを一部巻き、少なくとも正極集電タブ7a側の絶縁シート10を第1の正極絶縁補強部材24及び第2の正極絶縁補強部材25で覆うことで、電池100の内部の正極集電タブ7aや正極端子17が第1の外装部5及び第2の外装部6と短絡しないように構成されていることが好ましい。また、第1の外装部5及び第2の外装部6の正極端子17から正極集電タブ7aの間の内面側は、第1の正極絶縁補強部材24及び第2の正極絶縁補強部材25で覆われることで、電池100の内部の正極集電タブ7aや正極端子17が第1の外装部5及び第2の外装部6と短絡しないように構成されていることが好ましい。
正極外部端子17の正極軸部17bは、絶縁ガスケット19、正極端子絶縁部材20の貫通孔20a、第1の外装部5の貫通孔15、第2の正極絶縁補強部材25の貫通孔25c及び正極端子リード23の貫通孔23eに挿入された後、カシメ加工によって塑性変形を生じる。その結果、これらの部材が一体化されると共に、正極外部端子17が正極端子リード23と電気的に接続される。よって、正極外部端子17は、リベットの役割も担う。なお、正極外部端子17の正極軸部の17b端面と正極端子リード23の貫通孔23eとの境界部をレーザ等により溶接し、より強固な接続と電気導通性の向上を施しても良い。
負極端子部4は、図3及び図11に示すように、第1の外装部5の傾斜面5dに開口された貫通孔30と、負極端子32と、負極絶縁部材33a、負極補強部材(リング状部材)33bと、絶縁ガスケット34と、負極端子絶縁部材35とを含む。
負極端子部4において、第1の外装部5は負極集電タブ8a側に貫通孔30を有している。負極端子部4の負極端子32は、負極頭部32a及び負極頭部32aから延び出た負極軸部32bを含む。負極端子部4において、貫通孔36eを有する負極端子リード36を含む。負極端子部4において、負極頭部32aが第1の外装部5の外側に突出し、負極軸部32bが負極端子リード36の貫通孔36eに挿入されて、負極軸部32bが第1の外装部5及び負極端子リード36にカシメ固定されている。
バーリング部(環状の立ち上がり部)31は、図11に示すように、貫通孔30の周縁部から外装部材1の内側に向けて延びており、バーリング加工によって形成されたものである。
負極端子32は、図11に示すように、角錐台形状の負極頭部32aと、第1の外装部5の貫通孔30を貫通する円柱状の負極軸部32bとを含む。円柱状の負極軸部32bは、負極頭部32aの頂面と平行な平面から伸び出ている。負極端子32は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金等の導電性材料から形成される。
負極絶縁部材33aは、第1の外装部5を負極端子32及び負極端子リード36と絶縁する。第1の外装部5と、負極絶縁部材33aによって、負極補強部材33bが挟まれている。
負極補強部材33bは、例えば、ガスケットよりも剛性の高い材質で形成された円形リングからなる。ガスケットよりも剛性の高い材質の例には、ステンレス鋼、鉄にメッキ(例えばNi、NiCr等)を施したもの、セラミックス、ガスケットよりも高い剛性を持ち得る樹脂(例えばポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT))などが含まれる。負極補強部材33bは、図11に示すように、バーリング部31の外周面上に配置されてバーリング部31及び負極絶縁部材33aと接している。また、負極補強部材33bを樹脂やセラミックス等絶縁材料で形成した場合は、第1の負極絶縁補強部材37と一体化することも出来る。
絶縁ガスケット34は、一方の開口端にフランジ部34aを有する円筒体(筒部)である。絶縁ガスケット34は、図3及び図11に示すように、円筒体の部分が貫通孔30及びバーリング部31内に挿入され、フランジ部34aが第1の外装部5の外面上の貫通孔30の外周に配置されている。絶縁ガスケット34は、例えば、フッ素樹脂、フッ素ゴム、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS樹脂)、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK樹脂)、ポリプロピレン樹脂(PP樹脂)、及びポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT樹脂)などの樹脂から形成されている。
負極端子絶縁部材35は、図3及び図11に示すように、鈍角に折れ曲がった板状部材であり、底部に貫通孔35aを有する。負極端子絶縁部材35は、第1の外装部5の外面上に配置されている。負極端子絶縁部材35の貫通孔35aには、絶縁ガスケット34が挿入されている。
負極端子リード36は、平板部36a、第1の延出部36b、第2の延出部36cと第3の延出部36dを有する導電性の板である。図11では、負極端子リード36は、電極群2側に平板部36aを有する。第1の延出部36bと第2の延出部36cは、第1の外装部5の開口部側、すなわち、第2の外装部6側に延出している。第1の延出部36b及び第2の延出部36cは、第2の外装材6側に位置し、電極群側負極リード14の第1の延出部14b及び第2の延出部14cと同方向に延出している。第3の延出部36dは、傾斜面5dに沿う方向に延びている。第3の延出部36dの中央には、貫通孔36eが設けられている。
参考とする図9~10及び図11に示すように、負極端子リード36の第1の延出部36bは、電極群側負極リード14の第1の延出部14bと溶接により一体化されている。負極端子リード36の第1の延出部36bと電極群側負極リード14の第1の延出部14bの対向する面、又は/及び、先端側の負極端子リード36の第1の延出部36bの端面と電極群側負極リード14の第1の延出部14bの端面も溶接されている。
参考とする図9~10及び図11に示すように、負極端子リード36の第2の延出部36cは、電極群側負極リード14の第2の延出部14cと溶接により一体化されている。負極端子リード36の第2の延出部36cと電極群側負極リード14の第2の延出部14cの対向する面、又は/及び、先端側の負極端子リード36の第2の延出部36cの端面と電極群側負極リード14の第2の延出部14cの端面が溶接されている。
参考とする図9~10及び図11に示すように、負極端子リード36の第1の延出部36b及び電極群側負極リード14の第1の延出部14bの少なくとも先端部分の延在方向は、第2の外装部6の面に対して垂直又は略垂直(80°以上100°以下)であることが好ましい。負極端子リード36の第1の延出部36b及び電極群側負極リード14の第1の延出部14bの少なくとも先端部分の延在方向が第2の外装部6の面に対して垂直又は略垂直であることは、負極端子リード36の第1の延出部36bと電極群側負極リード14の第1の延出部14bの溶接後にリードを折り曲げずに作成されたことを表している。
参考とする図9~10及び図11に示すように、負極端子リード36の第2の延出部36c及び電極群側負極リード14の第2の延出部14cの少なくとも先端部分の延在方向は、第2の外装部6の面に対して垂直又は略垂直(80°以上100°以下)であることが好ましい。負極端子リード36の第2の延出部36c及び電極群側負極リード14の第2の延出部14cの少なくとも先端部分の延在方向が第2の外装部6の面に対して垂直又は略垂直であることは、負極端子リード36の第2の延出部36cと電極群側負極リード14の第2の延出部14cの溶接後にリードを折り曲げずに作成されたことを表している。
溶接後にリードを折り曲げることによって電極の端子部分の配線をコンパクトにできるという利点があるが、溶接後に折曲げを精度良く行うには、リードの厚さを薄くすることが求められる。しかし、リードの厚さを薄くすると大電流を流しにくいという点で好ましくない。溶接された部分が第2の外装部6の面の方向を向くようにすることで、リードの厚さを厚くすることができる。
大電流特性を考慮すると、負極端子リード36の厚さは、0.5mm以上3.0mm以下とすることができ、また、電極群側負極リード14の厚さは、0.5mm以上3.0mm以下とすることができる。さらに、リード同士の溶接前のリードの折り曲げ工程及び大電流特性を考慮すると、負極端子リード36の厚さと電極群側負極リード14の厚さの和は、1.0mm以上1.2mm以下とすることが好ましい。
第1の負極絶縁補強部材37は、図2、図3、図11及び参考とする図9~10に示すように、有底矩形筒を長辺方向に半割した構造を有する。第1の負極絶縁補強部材37は、負極集電タブ8aのうち、捲回中心から第2の外装部6側までの半分程度を被覆するこれにより、第2の外装部6、特に短辺付近を補強することができる。第1の負極絶縁補強部材37は、第1の外装部5の内面側及び第2の外装部6の内面側に配置され、負極端子32と第2の外装部6の間に配置されている。第1の負極絶縁補強部材37は、負極絶縁補強保持部37aを有する。負極絶縁補強保持部37aは、負極軸部32bの負極頭部32a側とは反対側の端部と対向する斜面を有する。この負極絶縁補強保持部37aの斜面によって負極端子部3が支えられることで、電池100の強度を向上させる。負極絶縁補強保持部37aは、第1の負極絶縁補強部材37の第2の外装部6側を向く底部37bから延出した部分である。第1の負極絶縁補強部材37は、第1の外装部5の負極端子側を向く第1側面37cと第1の外装部5の幅方向の面を向く第2側面37dを含む。負極端子部4側の電池100の補強の観点から、負極軸部32bの負極絶縁補強保持部37aを向く面、つまり、負極軸部32bの正極頭部32a側とは反対側の端部の面は、負極絶縁補強保持部37aの斜面、つまり、負極絶縁補強保持部37aの負極軸部32bと対向し、負極軸部32bと最も距離の近い面よりも小さいことが好ましい。この要件を満たすとき、負極端子リード36にカシメ固定された負極軸部32が広い面積の負極絶縁補強保持部37aの斜面と接し、保持可能となることで、負極端子部4側の電池100の強度が向上する。
負極端子部3が第2の負極絶縁補強部材38をさらに備えることが好ましい。図2、図3、図11及び参考とする図9~10に示すように、第2の負極絶縁補強部材38は、有底矩形筒を長辺方向に半割した構造を有する。第2の負極絶縁補強部材38は、第1の外装部5の内面側であって、負極端子リード36と第1の外装部5との間に配置され、第1の負極絶縁補強部材37と対向している。
第2の負極絶縁補強部材38は、第1の外装部5の底部側を向く底部38aと、第1の外装部5の負極端子方向の側面(短辺側側壁)側を向く第1側面部38bと、底部38aと第1側面部38bをつなぎ、第2の負極絶縁補強部材38の中央に配置された傾斜部38cと、傾斜部38dの中央に開口された貫通孔38dと、第1の外装部5の幅方向の側面(長辺側側壁)側を向く第2側面部38eとを有する。第2の負極絶縁補強部材38は、第1の外装部5の短辺側側壁から底面に繋がるコーナ部と、第1の外装部5の短辺側側壁から長辺側側面に繋がるコーナ部を被覆する。これにより、第1の外装部5、特に短辺側側壁と長辺側側壁と底部とが交わるコーナ付近を補強することができる。貫通孔38dは、第1の外装部5の貫通孔30と連通する。第2の負極絶縁補強部材38上に、負極端子リード36が配置される。負極端子リード36の貫通孔36eは、第2の負極絶縁補強部材38の貫通孔38d及び第1の外装部5の貫通孔30と連通する。
第2の負極絶縁補強部材38は、負極軸部32b、第1の外装部5及び負極端子リード36にカシメ固定され、負極端子部4において固定されていることが、絶縁性及び強度付与の観点から好ましい。
第1の負極絶縁補強部材37及び第2の負極絶縁補強部材38は、絶縁性であり、成型された樹脂であることが好ましい。
例えば、絶縁シート10で負極集電タブ8aを一部巻き、少なくとも負極集電タブ8a側の絶縁シート10を第1の負極絶縁補強部材37及び第2の負極絶縁補強部材38で覆うことで、電池100の内部の負極集電タブ8aや正極端子17が第1の外装部5及び第2の外装部6と短絡しないように構成されていることが好ましい。また、第1の外装部5及び第2の外装部6の負極端子32から負極集電タブ8aの間の内面側は、第1の負極絶縁補強部材37及び第2の負極絶縁補強部材38で覆われることで、電池100の内部の負極集電タブ8aや負極端子32が第1の外装部5及び第2の外装部6と短絡しないように構成されていることが好ましい。
負極端子32の負極軸部32bは、絶縁ガスケット34、負極絶縁部材35の貫通孔35a、第1の外装部5の貫通孔30、第1の負極絶縁補強部材37の貫通孔37c及び負極端子リード36の貫通孔36eに挿入された後、カシメ加工によって塑性変形を生じる。その結果、これらの部材が一体化されると共に、負極端子32が負極端子リード36と電気的に接続される。よって、負極端子32は、リベットの役割も担う。なお、負極端子32の負極軸部の32b端面と負極端子リード36の貫通孔36eとの境界部をレーザ等により溶接し、より強固な接続と電気導通性の向上を施しても良い。
バックアップ正極端子リード11、電極群側正極リード12、正極端子リード23、バックアップ負極端子リード13、電極群側負極リード14及び負極端子リード36は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金材から形成することができる。接触抵抗を低減するために、リードの材料は、リードに電気的に接続し得る正極集電体又は負極集電体の材料と同じであることが好ましい。
正極絶縁部材18a、第1の正極絶縁補強部材24、第2の正極絶縁補強部材25、負極絶縁部材33a、第1の負極端子絶縁補強部材37及び第2の負極絶縁補強部材38は、例えば、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリテトラフロロエチレン(PTFE)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)及びポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等からなる群より選ばれる1種以上を含む熱可塑性樹脂から形成される。
電極群2は、第1の外装部5内に、正極集電タブ7aが正極端子部3と対向し、かつ負極集電タブ8aが負極端子部4と対向するように収納される。そのため、電極群2の正極集電タブ7a及び負極集電タブ8aと交わる平面が第1の外装部5内の底面5cと対向し、正極集電タブ7a及び負極集電タブ8aと交わる湾曲面が第1の外装部5内の長辺側側面と対向する。
実施形態のように正極絶縁補強保持部24a及び負極絶縁補強保持部37aを設けることで、電池100の強度が向上する。強度が向上した電池100においては、正極端子又は前記負極端子に対して第1の外装部5から第2の外装部6に向かう方向に10Nの負荷を加えた際の電池100の変位が1.0mm未満である。従って、過酷な環境においても、電池100の信頼性が向上する。
次に、図12を参照して、正極端子17(負極端子32)と正極絶縁補強保持部24a(負極絶縁補強保持部37a)との角度と距離等について説明する。図12は、端子、リード、斜面の角度を説明するための概略図である。正極側と負極側は同様であるため、正極側について主に説明する。
正極絶縁補強保持部24aの正極軸部17bの正極頭部17aとは反対側の端部と対向する斜面は、かかる斜面と対向する正極軸部17bの正極頭部17aとは反対側の端部と平行若しくは略平行であると、外圧による電池100の変形をより防ぐことが出来る。そこで、正極軸部17aが正極絶縁補強保持部24aの斜面と対向する面と第2の外装部6とのなす角度をA1とし、正極絶縁補強保持部24aの斜面と第2の外装部6とのなす角度をA2とし、負極軸部32bが負極絶縁補強保持部37aの斜面と対向する面と第2の外装部6とのなす角度をB1とし、負極絶縁補強保持部37aの斜面と第2の外装部6とのなす角度をB2とするとき、|A1-A2|≦8度、及び、|B1-B2|≦8度を満たすことが好ましい。この関係を満たすとき、かかる斜面と対向する正極軸部17bの正極頭部17aとは反対側の端部の角度の差が少ないため、かかる斜面の全体で、外圧を受けることができる。同観点から、|A1-A2|≦5度、及び、|B1-B2|≦5度を満たすことがより好ましい。
正極軸部17aが正極絶縁補強保持部24aの斜面と対向する面と第2の外装部6とのなす角度をA1、正極絶縁補強保持部24aの斜面と第2の外装部6とのなす角度をA2は、図12の仮想線L1~L5を用いて求められる。角度は、正極軸部17aと正極絶縁補強保持部24aが含まれる図7のような電池100の中央の断面をX線を用いたCT(Computed Tomography)検査して求める。
仮想線L1は、第2の外装部6の底面に沿う線である。仮想線L2は、正極端子リード23の第3の延出部23dと正極軸部17bとが接する2点(X1及びX2)を通る線である。接する点X1を通る仮想線L2からの垂線L3と正極絶縁補強保持部24aとの交点をY1とする。また、接する点X2を通る仮想線L2からの垂線L4と正極絶縁補強保持部24aとの交点をY2とする。Y1とY2を通る線を仮想線L5とする。正極軸部17aが正極絶縁補強保持部24aの斜面と対向する面と第2の外装部6とのなす角度をA1は、仮想線L1と仮想線L2とがなす角度である。正極絶縁補強保持部24aの斜面と第2の外装部6とのなす角度をA2は、仮想線L1と仮想線L2とがなす角度である。
負極軸部32bが負極絶縁補強保持部37aの斜面と対向する面と第2の外装部6とのなす角度をB1と、負極絶縁補強保持部37aの斜面と第2の外装部6とのなす角度をB2も同様にして求められる。
正極絶縁補強保持部24aの斜面と正極軸部17bとの距離が離れていると、正極絶縁補強保持部24aと正極軸部17bが接する際の衝撃が大きくなりやすく、電池100の強度向上の効果が少ない。そこで、正極絶縁補強保持部24aの斜面と正極軸部17bとの距離は、0.0mm以上1.0mm以下であることが好ましい。同様に、負極絶縁補強保持部37aの斜面と負極軸部32bとの距離は、0.0mm以上1.0mm以下であることが好ましい。
正極絶縁補強保持部24aの斜面と正極軸部17bとの距離は、X1とY1の距離と、X2とY2の距離の平均値から求める。負極絶縁補強保持部37aの斜面と負極軸部32bとの距離も、X1とY1の距離と、X2とY2の距離の平均値から求める。
正極絶縁補強保持部24aによる強度向上をより効果的にするために、正極絶縁補強保持部24aの斜面は、広い斜面であり、正極端子リード23(第3の延出部23d)とも対向していることが好ましい。同様に、負極絶縁補強保持部37aの斜面は、広い斜面であり、負極端子リード36(第3の延出部23d)とも対向していることが好ましい。
正極絶縁補強保持部24aの斜面と正極端子リード23との距離が離れていると、正極絶縁補強保持部24aと正極端子リード23が接する際の衝撃が大きくなりやすいため、電池100の強度向上の効果が減少してしまう。そこで、正極絶縁補強保持部24aの斜面と正極端子リード23との距離0.0mm以上1.0mm以下であることが好ましい。同様に、負極絶縁補強保持部37aの斜面と負極端子リード36との距離は、0.0mm以上1.0mm以下であることが好ましい。
正極絶縁補強保持部24aの斜面と正極端子リード23との距離は、仮想線L3と正極端子リード23の正極絶縁補強保持部24a側の交点とY1との距離と仮想線L4と正極端子リード23の正極絶縁補強保持部24a側の交点とY2との距離の平均値から求める。負極側についても同様に、負極絶縁補強保持部37aの斜面と負極端子リード36との距離は、仮想線L3と負極端子リード36の負極絶縁補強保持部37a側の交点とY1との距離と仮想線L4と負極端子リード36の負極絶縁補強保持部37a側の交点とY2との距離の平均値から求める。
第1の外装部5の短辺側壁と底部とを繋ぐコーナ部においては、電極群2正極集電タブ7aとの間、負極集電タブ8aとの間、それぞれに隙間が存在する。第1の外装部5の短辺側壁と底部とを繋ぐコーナ部に内側に張り出した凹部を設け、凹部の底部を傾斜面5dとすることにより、第1の外装部5内のデッドスペースが少なくなるため、電池の体積エネルギー密度を高くすることが可能となる。また、傾斜面5dそれぞれに正極端子部3、負極端子部4を配置することにより、傾斜面を持たない短辺側面に正極端子部3及び負極端子部4を設ける場合よりも、端子部の設置面積を増やすことができる。そのため、正極端子17の正極軸部17b及び負極端子32の負極軸部32bの径を太くすることが可能になるため、低抵抗で大きな電流(ハイレート電流)を流すことが可能となる。
電極群2が第1の外装部5内に収納された結果、第2の正極絶縁補強部材25の下端が第1の正極絶縁補強部材24の上端と接することにより形成された有底矩形筒状のカバーで正極集電タブ7aが被覆される。また、第2の負極絶縁補強部材38の下端が第1の負極絶縁補強部材37の上端と接することにより形成された有底矩形筒状のカバーで負極集電タブ8aが被覆される。
第2の外装部6は、第1の外装部5の蓋として機能する。第1の外装部5のフランジ部5bと第2の外装部6の四辺が溶接されることにより、電極群2が外装部材1内に封止される。
以上説明した図1~図11に示す電池は、開口部にフランジ部を有する第1の外装部と第2の外装部が溶接されて形成された空間内に電極群が収納される外装部材を含むことが好ましい。正極絶縁補強保持部24aと負極絶縁補強保持部37aを有することで、第1、第2の外装部の板厚を薄くした際にも高い強度を保つことができる。その結果、外装部材の柔軟性を高めることができるため、減圧封止又は外装部材1の外側から荷重を加える等により電極群2を拘束しやすくなる。これにより、電極群2の極間距離が安定して抵抗を低くすることができると共に、耐振動性と耐衝撃性を有する電池パックの実現が容易になる。さらに、第1の外装部5及び第2の外装部6の柔軟性が高いと、第1,第2の外装部の内面から電極群2までの距離を縮めることが容易となるため、電池の放熱性を改善し得る。
ステンレス鋼製の第1の外装部5及び第2の外装部6は、溶接がし易く、安価な抵抗シーム溶接により封止が可能である。よって、ラミネートフィルム製容器よりも気体シール性の高い外装部材1を低コストで実現することができる。また、外装部材1の耐熱性を向上することができる。例えば、SUS304の融点が1400℃であるのに対し、Alの融点は650℃である。
また、外部端子の軸部は、貫通孔にカシメ固定された結果、塑性変形を生じる。その結果、絶縁ガスケットの径方向に力が加わるが、バーリング部がその外側に配置されたリング状部材で補強されているため、絶縁ガスケットに圧縮応力が生じて外部端子を第1の外装部5に高い強度で接続することができる。第1の外装部5の板厚、すなわち、バーリング部の板厚を薄くしてもリング状部材でバーリング部を補強することができるため、第1の外装部5の板厚に拘らず、外部端子を第1の外装部5に高い強度で接続することができる。さらに、バーリング部が、貫通孔の縁部から外装部材1内に向けて延びているため、ガス発生等により外装部材1の内圧が上昇した際の液漏れを、外圧の作用によって抑えることが可能となる。よって、第1の外装部5及び第2の外装部6の板厚を薄くした際にも高い信頼性を実現することができる。
よって、第1の実施形態の電池によれば、第1の外装部5及び第2の外装部6の板厚を薄くした際にも高い強度と信頼性を得ることができるため、柔軟性と放熱性に優れ、かつ強度と信頼性の高い電池を提供することができる。
第1の外装部5を、開口部の最大長以下の深さを有するものにすると、第1の外装部5の開口部面積が広くなる。第1の外装部の四辺に第2の外装部が溶接されるが、開口部面積が大きくなると、溶接される一辺の長さが長くなるため、三辺を先に溶接して残りの一辺の隙間から電解液を注液するのが容易となる。また、溶接強度が他よりも低い箇所を設ける等により外装部材1を仮封止することができるため、仮封止用の部品(例えばゴム栓)を不要にすることができる。さらに、外装部材1が扁平形状になるため、電池の放熱性を向上することができる。
第1の外装部5が傾斜面5dを有する凹部を含み、傾斜面5dに端子部を配置することにより、第1の外装部5内のデッドスペースを削減することができる。
なお、傾斜面5dは、外装部材1の短辺の中央部付近に設けるものに限定されず、外装部材の短辺全体に亘るものでも良い。
電極端子の頭部の端面が、四辺形の頂面と、頂面の互いに対向する二辺に連結された第1、第2の傾斜面とを有することにより、三つの面のいずれかを溶接面に選択することで溶接方向を変更することができる。また、電極端子の軸部が階段状の傾斜面を有しすることで、電極端子が強固に固定される。
正極端子部3、負極端子部4又は両方のリング状部材の外郭と内径の差(肉厚)は、第1の外装部5の板厚と同じ又はそれ以上であることが望ましい。これにより、第1の外装部5の板厚に拘らず、外部端子を第1の外装部5に高い強度で接続することができる。具体的には、最短肉厚は0.1mm以上にすることができる。
また、リング状部材の外郭形状は必ずしもバーリング断面形状と同様形状である必要は無く、長方形や六角形などの多面体でも良く、単数又は複数の曲線と単数又は複数の直線の複合形状でも良い。
第2の外装部6には、図5及び図6に例示されるような平板を使用することができるが、平板の代わりに、開口部にフランジ部を有するものを使用しても良い。このような構造の例には、第1の外装部5と同様なものを挙げることができる。
バックアップ正極リード11及びバックアップ負極リード13は、U字形状の導電板に限定されず、導電性の平板を使用しても良い。また、バックアップ正極リード11またはバックアップ負極リード13あるいは両方を用いない構成にすることも可能である。
外装部材1は、電池内圧が規定値以上に上昇した際に電池内部の圧力を開放することができる安全弁などを更に備えることもできる。
第1の実施形態に係る電池100は、一次電池であってもよいし、又は二次電池であってもよい。第1の実施形態に係る電池100の一例としては、リチウムイオン二次電池が挙げられる。
第1の実施形態の電池100の正極7、負極8、セパレータ9及び電解質について、以下に説明する。
1)正極7
正極7は、例えば、正極集電体と、正極集電体に保持された正極材料層と、正極集電タブ7aとを含むことができる。正極材料層は、例えば、正極活物質、導電剤、及び結着剤を含むことができる。
正極活物質としては、例えば、酸化物又は硫化物を用いることができる。酸化物及び硫化物の例には、リチウムを吸蔵する二酸化マンガン(MnO2)、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、リチウムマンガン複合酸化物(例えばLixMn2O4またはLixMnO2)、リチウムニッケル複合酸化物(例えばLixNiO2)、リチウムコバルト複合酸化物(例えばLixCoO2)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(例えばLiNi1-yCoyO2)、リチウムマンガンコバルト複合酸化物(例えばLixMnyCo1-yO2)、スピネル構造を有するリチウムマンガンニッケル複合酸化物(例えばLixMn2-yNiyO4)、オリビン構造を有するリチウムリン酸化物(例えばLixFePO4、LixFe1-yMnyPO4、LixCoPO4)、硫酸鉄(Fe2(SO4)3)、バナジウム酸化物(例えばV2O5)及び、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物が挙げられる。上記の式において、0<x≦1であり、0<y≦1である。活物質として、これらの化合物を単独で用いてもよく、或いは、複数の化合物を組合せて用いてもよい。
結着剤は、活物質と集電体とを結着させるために配合される。結着剤の例としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ素系ゴムが挙げられる。
導電剤は、集電性能を高め、且つ、活物質と集電体との接触抵抗を抑えるために必要に応じて配合される。導電剤の例としては、アセチレンブラック、カーボンブラック及び黒鉛のような炭素質物が挙げられる。
正極材料層において、正極活物質及び結着剤は、それぞれ、80質量%以上98質量%以下及び2質量%以上20質量%以下の割合で配合することが好ましい。
結着剤は、2質量%以上の量にすることにより十分な電極強度を得ることができる。また、20質量%以下にすることにより電極の絶縁材の配合量を減少させ、内部抵抗を減少できる。
導電剤を加える場合には、正極活物質、結着剤及び導電剤は、それぞれ、77質量%以上95質量%以下、2質量%以上20質量%以下、及び3質量%以上15質量%以下の割合で配合することが好ましい。導電剤は、3質量%以上の量にすることにより上述した効果を発揮することができる。また、15質量%以下にすることにより、高温保存下での正極導電剤表面での非水電解質の分解を低減することができる。
正極集電体は、アルミニウム箔、又は、Mg、Ti、Zn、Ni、Cr、Mn、Fe、Cu及びSiから選択される少なくとも1種類の元素を含むアルミニウム合金箔であることが好ましい。
正極集電体は、正極集電タブと一体であることが好ましい。或いは、正極集電体は、正極集電タブと別体でもよい。
2)負極8
負極8は、例えば、負極集電体と、負極集電体に保持された負極材料層と、負極集電タブ8aとを含むことができる。負極材料層は、例えば、負極活物質、導電剤、及び結着剤を含むことができる。
負極活物質としては、例えば、リチウムイオンを吸蔵及び放出することができる、金属酸化物、金属窒化物、合金、炭素等を用いることができる。0.4V以上(対Li/Li+)貴な電位でリチウムイオンの吸蔵及び放出が可能な物質を負極活物質として用いることが好ましい。
負極活物質としては、例えば、黒鉛質材料もしくは炭素質材料(例えば、黒鉛、コークス、炭素繊維、球状炭素、熱分解気相炭素質物、樹脂焼成体など)、カルコゲン化合物(例えば、二硫化チタン、二硫化モリブデン、セレン化ニオブなど)、軽金属(例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム合金、リチウム、リチウム合金など)、Li4+xTi5O12(xは充放電反応により-1≦x≦3の範囲で変化する)で表されるスピネル型チタン酸リチウム、ラムステライド型Li2+xTi3O7(xは充放電反応により-1≦x≦3の範囲で変化する)、TiとP、V、Sn、Cu、NiおよびFeからなる群より選択される少なくとも1種類の元素を含有する金属複合酸化物及びニオブチタン複合酸化物などが挙げられる。
TiとP、V、Sn、Cu、NiおよびFeからなる群より選択される少なくとも1種類の元素を含有する金属複合酸化物としては、例えば、TiO2-P2O5、TiO2-V2O5、TiO2-P2O5-SnO2、TiO2-P2O5-MO(MはCu、Ni及びFeからなる群より選択される少なくとも1つの元素)を挙げることができる。これらの金属複合酸化物は、充電によりリチウムが挿入されることでリチウムチタン複合酸化物に変化する。リチウムチタン酸化物(例えば、スピネル型のチタン酸リチウム)、ケイ素とスズ等から成る群のうちの1以上の物質を含むことが好ましい。負極活物質層の結着剤は、正極活物質層の結着剤と共通する。負極活物質層の導電剤は、正極活物質層の導電剤と共通する。
ニオブチタン含有複合酸化物としては、例えば、一般式LiaTiMbNb2±βO7±σ(ここで、各添字の値は、0≦a≦5、0≦b≦0.3、0≦β≦0.3の範囲内にあり、0≦σ≦0.3、MはFe、V、Mo及びTaからなる群より選ばれる少なくとも1種(1種でもよいし、又は複数種でもよい)である)で表される単斜晶型の結晶構造を有する複合酸化物、一般式Li2+a1M(I)2-b1Ti6-c1M(II)d1O14+σ1(ここで、各添字の値は、0≦a1≦6、0<b1<2、0<c1<6、0<d1<6、-0.5≦σ1≦0.5の範囲内にあり、M(I)はSr、Ba、Ca、Mg、Na、Cs及びKからなる群より選ばれる少なくとも1種(1種でもよいし、又は複数種でもよい)であり、M(II)はZr、Sn、V、Nb、Ta、Mo、W、Fe、Co、Mn及びAlからなる群より選ばれる少なくとも1種(1種でもよいし、又は複数種でもよい)であり、且つNbを含む)で表される斜方晶型の結晶構造を有する複合酸化物を用いることができる。上記一般式Li2+a1M(I)2-b1Ti6-c1M(II)d1O14+σ1において、各添字の値は、0≦a1≦6、0<b1<2、0<c1<6、0<d1<6、-0.5≦σ1≦0.5の範囲内にあり、M(I)はSr、Ba、Ca、Mg、Na、Cs及びKからなる群より選ばれる少なくとも1種(1種でもよいし、又は複数種でもよい)であり、M(II)はNbであるか、又はNbと、Zr、Sn、V、Ta、Mo、W、Fe、Co、Mn及びAlからなる群より選ばれる少なくとも1種(1種でもよいし、又は複数種でもよい)との組み合わせであることが好ましい。特に、単斜晶系ニオブチタン含有複合酸化物は、重量当たりの容量が大きく、電池容量を高めることができるのでより望ましい。
導電剤は、集電性能を高め、且つ、負極活物質と集電体との接触抵抗を抑えるために配合される。導電剤の例としては、アセチレンブラック、カーボンブラック及び黒鉛のような炭素質物が挙げられる。
結着剤は、分散された負極活物質の間隙を埋め、また、負極活物質と集電体とを結着させるために配合される。結着剤の例としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ素系ゴム、及びスチレンブタジェンゴムが挙げられる。
負極材料層中の活物質、導電剤及び結着剤は、それぞれ、68質量%以上96質量%以下、2質量%以上30質量%以下、及び2質量%以上30質量%以下の割合で配合することが好ましい。導電剤の量を2質量%以上とすることにより、負極層の集電性能を向上させることができる。また、結着剤の量を2質量%以上とすることにより、負極材料層と集電体との結着性を十分に発現することができ、優れたサイクル特性を期待できる。一方、導電剤及び結着剤はそれぞれ28質量%以下にすることが高容量化を図る上で好ましい。
集電体としては、負極活物質のリチウムの吸蔵電位及び放出電位において電気化学的に安定である材料が用いられる。集電体は、銅、ニッケル、ステンレス又はアルミニウム、或いは、Mg、Ti、Zn、Mn、Fe、Cu、及びSiから選択される少なくとも1種類の元素を含むアルミニウム合金から作られることが好ましい。集電体の厚さは5~20μmの範囲内にあることが好ましい。このような厚さを有する集電体は、負極の強度と軽量化とのバランスをとることができる。
負極集電体は、負極集電タブ8aと一体であることが好ましい。或いは、負極集電体は、負極集電タブ8aと別体でもよい。
負極8は、例えば負極活物質、結着剤および導電剤を汎用されている溶媒に懸濁してスラリーを調製し、このスラリーを集電体に塗布し、乾燥させて、負極材料層を形成した後、プレスを施すことにより作製される。負極はまた、負極活物質、結着剤及び導電剤をペレット状に形成して負極材料層とし、これを集電体上に配置することにより作製されてもよい。
3)セパレータ9
多孔質で薄い絶縁性の薄膜である。セパレータ9としては、樹脂製の極薄ナノファイバー膜を含む不織布、フィルム、紙や無機粒子層などが含まれる。セパレータ9の構成材料の例に、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン、セルロース、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリテトラフルオロエチレン及びビニロンが含まれる。薄さと機械的強度の観点から好ましいセパレータ9の例に、セルロース繊維を含む不織布を挙げることができる。無機粒子層は、酸化物粒子、増粘剤、結着剤を含む。酸化物粒子には、酸化アルミ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、硫酸バリウムなどの金属酸化物が使用できる。増粘剤にはカルボキシメチルセルロースが使用できる。結着剤には、アクリル酸メチルやそれを含むアクリル系共重合体、スチレンブタジエンゴム(SBR)などが使用できる。絶縁シート10もセパレータ9と同様に不織布、フィルム、紙を用いてもよい。絶縁シート10はさらに図示しないテープで固定されていることが好ましい。
4)電解質
電解質は、電解質塩と非水溶媒を含む溶液、電解質塩と非水溶媒を含む溶液に高分子材料を複合化した非水系ゲル状電解質、電解質塩と水を含む溶液又は電解質塩と水を含む溶液に高分子材料を複合化した水系ゲル状電解質を用いることが好ましい。
非水系溶液に含まれる電解質塩は、例えばLiPF6、LiBF4、Li(CF3SO2)2N(ビストリフルオロメタンスルホニルアミドリチウム;通称LiTFSI)、LiCF3SO3(通称LiTFS)、Li(C2F5SO2)2N(ビスペンタフルオロエタンスルホニルアミドリチウム;通称LiBETI)、LiClO4、LiAsF6、LiSbF6、LiB(C2O4)2(ビスオキサラトホウ酸リチウム;通称LiBOB)、ジフルオロ(トリフルオロ-2-オキシド-2-トリフルオロ-メチルプロピオナト(2-)-0,0)、LiBF2OCOOC(CF3)2(ホウ酸リチウム;通称LiBF2(HHIB))のようなリチウム塩を用いることができる。これらの電解質塩は一種類で使用してもよいし二種類以上を混合して用いてもよい。特にLiPF6、LiBF4が好ましい。リチウム塩には、イオンを導電する支持塩を使用することができる。例えば、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)や四フッ化ホウ酸リチウム、イミド系支持塩などが挙げられる。リチウム塩は1種類、または2種類以上を含んでいても良い。
非水系の電解質塩濃度は、0.5mol/L以上3mol/L以下の範囲内にすることが好ましく、0.7mol/L以上2mol/L以下の範囲内にすることがより好ましい。このような電解質濃度の規定によって、電解質塩濃度の上昇による粘度増加の影響を抑えつつ、高負荷電流を流した場合の性能をより向上することが可能になる。
非水溶媒は、特に限定されるものではないが、例えば、プロピレンカーボネート(PC)やエチレンカーボネート(EC)などの環状カーボネート、ジエチルカーボネート(DEC)やジメチルカーボネート(DMC)あるいはメチルエチルカーボネート(MEC)もしくはジプロピルカーボネート(DPC)などの鎖状カーボネート、1,2-ジメトキシエタン(DME)、γ-ブチロラクトン(GBL)、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルテトラヒドロフラン(2-MeHF)、1,3-ジオキソラン、スルホラン、アセトニトリル(AN)を用いることができる。これらの溶媒は一種類で使用してもよいし二種類以上を混合して用いてもよい。環状カーボネート及び/または鎖状カーボネートを含む非水溶媒が好ましい。非水系ゲル状電解質に含まれる高分子材料としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリエチレンオキサイド(PEO)やポリメタクリレート等を挙げることができる。
水系溶液に含まれる電解質塩は、LiCl、LiBr、LiOH、Li2SO4、LiNO3、LiN(SO2CF3)2(リチウムトリフルオロメタンスルホニルアミド;通称LiTFSA)、LiN(SO2C2F5)2(リチウムビスペンタフルオロエタンスルホニルアミド;通称LiBETA)、LiN(SO2F)2(リチウムビスフルオロスルホニルアミド;通称LiFSA)、LiB[(OCO)2]2などが挙げられる。使用するリチウム塩の種類は、1種類または2種類以上にすることができる。水系のゲル状電解質に含まれる高分子材料としては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリエチレンオキサイド(PEO)やポリメタクリレート等を挙げることができる。
水系の電解質塩濃度は、1mol/L以上12mol/Lが好ましく、より好ましく112mol/L以上10mol/L以下である。電解液の電気分解を抑制させるために、LiOHやLi2SO4を添加し、pHを調整することができる。pH値は3以上13以下が好ましく、さらに好ましくはpH4以上12以下の範囲である。
或いは、非水系電解質として、リチウムイオンを含有した常温溶融塩(イオン性融体)、高分子固体電解質、無機固体電解質等を用いてもよい。
常温溶融塩(イオン性融体)は、有機物カチオンとアニオンとの組合せからなる有機塩のうち、常温(15~25℃)で液体として存在し得る化合物を指す。常温溶融塩には、単体で液体として存在する常温溶融塩、電解質と混合させることで液体となる常温溶融塩、及び有機溶媒に溶解させることで液体となる常温溶融塩が含まれる。一般に、非水電解質電池に用いられる常温溶融塩の融点は、25℃以下である。また、有機物カチオンは、一般に4級アンモニウム骨格を有する。
図13に第1の実施形態の電池100の変形例である電池101の正極部分を示す。正極側と負極側は対称であるため、負極側の図示及び一部説明を省略する。図13は、変形例における図6のA-A’面の断面図を示している。図13に示す電池101の正極端子部3側では、第1の正極絶縁補強部材24の正極集電タブ7a側の端部側が第2の正極絶縁補強部材25側に突出しており、第2の正極絶縁補強部材25の正極集電タブ7a側の端部側が第1の正極絶縁補強部材24側に突出している。第1の正極絶縁補強部材24の突出した部分を突出部24dとする。第2の正極絶縁補強部材25の突出した部分を突出部25fとする。第1の正極絶縁補強部材24の突出部24dと第2の正極絶縁補強部材25の突出部25fは対向することが好ましい。突出部24dと突出部25fによって、正極集電タブ7aが正極端子部3側に近接することを防ぐことで、電池101の奥行き方向への力による電池101の変形を防ぐことができる。負極端子部4側についても同様であり、図示していないが、第1の負極絶縁補強部材37の負極集電タブ8a側の端部側が第2の負極絶縁補強部材38側に突出しており、第2の負極絶縁補強部材38の負極集電タブ8a側の端部側が第1の負極絶縁補強部材37側に突出していることで、電池101の奥行き方向への力による電池101の変形を防ぐことができる。
図14に第1の実施形態の電池100の変形例である電池102の正極端子部3側を示す。正極端子部3側と負極端子部4側は対称であるため、負極端子部4側の図示及び一部説明を省略する。図14に示す電池102の正極端子部3側では、第1の正極絶縁補強部材24及び第2の正極絶縁補強部材25は嵌合している。図14は、変形例における図6のA-A’面の断面図を示している。嵌合について、具体的に説明すると、第1の正極絶縁補強部材24における第1の外装部5のフランジ部5bと傾斜部5dの間の側壁5eに沿っている第1側面24cの凸部24eと第2の正極絶縁補強部材25における第1の外装部5のフランジ部5bと傾斜部5dの間の側壁5eに沿っていて、第1の正極絶縁補強部材24の第1側面24cと対向する第1側面部25bの凹部25gが嵌合していることが好ましい。凸部24eが凹部25gよりも第1の外装部5側に配置していることで、カシメ固定されていない第1の正極絶縁補強部材24がカシメ固定された第2の正極絶縁補強部材25によって、固定することができる。第1の正極絶縁補強部材24の固定によって、第1の正極絶縁補強部材24が正極集電タブ7a側に近接することを防ぐことで、電池102の奥行き方向への力による電池102の変形を防ぐことができる。図示は、省略するが、負極端子部4側も同様に第1の負極絶縁補強部材37及び第2の負極絶縁補強部材38は嵌合している。負極端子部4側の嵌合によって、正極端子部3側と同様に負極端子部4側においても電池102の奥行き方向への力による電池102の変形を防ぐことができる。嵌合の凹凸の形状やどちらを凸部とするかは任意に選択することができる。
図15に第1の実施形態の電池100の変形例である電池103の正極端子部3側を示す。正極端子部3側と負極端子部4側は対称であるため、負極端子部4側の図示及び一部説明を省略する。図15は、変形例における図6のB-B’面の断面図を示している。図15に示す電池103の正極端子部3側では、第1の正極絶縁補強部材24及び第2の正極絶縁補強部材25は、支柱となる突出部を設け、正極端子17の直下以外において、第1の正極絶縁補強部材24及び第2の正極絶縁補強部材25の変形を防ぐことで、電池103の強度を向上させている。図15では、第1の正極絶縁補強部材24の突出部24fと第2の正極絶縁補強部材25の突出部25hが支柱を構成しているが、突出部24f又は突出部25hのみによって支柱を構成することも出来る。正極端子部3側と同様に負極端子部4側においても支柱を設けることで電池103の厚さ方向への力による電池103の変形を防ぐことができる。
図16に第1の実施形態の電池100の変形例である電池104の正極端子部3側を示す。正極端子部3側と負極端子部4側は対称であるため、負極端子部4側の図示及び一部説明を省略する。図16に示す電池104の正極端子部3側では、第1の正極絶縁補強部材24及び第2の正極絶縁補強部材25は嵌合している。図16は、変形例における図6のE-E’面の断面図を示している。嵌合について、具体的に説明すると、第1の正極絶縁補強部材24における第1の外装部5の幅方向の面を向く第2側面24dの凹部24gと第2の正極絶縁補強部材25における第1の外装部5の幅方向の側面(長辺側側壁)側を向く第2側面部25eの凸部25iが嵌合していることが好ましい。凸部24eと凹部25gによる嵌合によって、カシメ固定されていない第1の正極絶縁補強部材24がカシメ固定された第2の正極絶縁補強部材25によって、固定することができる。第1の正極絶縁補強部材24の固定によって、第1の正極絶縁補強部材24が正極集電タブ7a側に近接することを防ぐことで、電池102の奥行き方向への力による電池104の変形を防ぐことができる。図示は、省略するが、負極端子部4側も同様に第1の負極絶縁補強部材37及び第2の負極絶縁補強部材38は嵌合している。負極端子部4側の嵌合によって、正極端子部3側と同様に負極端子部4側においても電池104の奥行き方向への力による電池102の変形を防ぐことができる。嵌合の凹凸の形状やどちらを凸部とするかは任意に選択することができる。
図17に第1の実施形態の電池100の変形例である電池105の正極端子部3側を示す。正極側と負極側は対称であるため、負極側の図示及び一部説明を省略する。図17に示す電池105は、図14に示す電池102の変形例であって、第1の正極絶縁補強部材24と第2の正極絶縁補強部材25が嵌合している。第1の正極絶縁補強部材24の突出部24fに設けた凹部24hと第2の正極絶縁補強部材25の突出部25hに設けた凸部25jが嵌合して、支柱による厚さ方向と嵌合による奥行き方向の電池105の強度が向上する。負極端子部4側に関しても正極端子部3側と同様に電池105の厚さ方向と奥行き方向への力による変形を防ぐことができる。嵌合の凹凸の形状やどちらを凸部とするかは任意に選択することができる。
図18及び19に第1の実施形態の電池100の変形例である電池106の正極端子部3側を示す。正極側と負極側は対称であるため、負極側の図示及び一部説明を省略する。図18は、変形例における図6のA-A’面の断面図を示している。図19は、変形例における図6のB-B’面の断面図を示している。電池106に占める電極群2の比率を高められるように、正極集電タブ7aの幅方向の中央部分が切り欠けられている。図18及び図19に示す電池106は、電池100の変形例であって、正極集電タブ7aの幅方向中央の正極絶縁補強保持部24aと対向する部分が切り欠けられている。つまり、正極集電タブ7aは、正極絶縁補強保持部24aと対向しない。ここで言う対向の方向は、正極外部端子17から負極外部端子32に向かう方向である。同様に、正極バックアップリード11及び電極群側正極リード12もそれぞれ正極絶縁補強保持部24aと対向しない。つまり、正極集電タブ7aが存在しない部分には、バックアップ正極リード11及び電極群側正極リード12が設けられておらず、バックアップ正極リード11及び電極群側正極リード12は、2部に分かれている。負極側も同様に、負極集電タブ8aは、負極絶縁補強保持部37aと対向しない。そして、バックアップ負極リード13及び電極群側負極リード14もそれぞれ負極絶縁補強保持部37aと対向しない。かかる構成とすることで、電池強度を高めつつ、より容量の多い電池106を得ることが出来る。
次に、第1の実施形態の電池の製造方法を以下に説明する。図21(a)から図21(b)及び図22(a)から図22(d)には、電池の製造する工程図を示す。
図4に例示されるような、電極群2を作製する。また、図20に例示されるような、正極端子部3及び負極端子部4が固定された第1の外装部5を作製する。なお、第1の外装部5及び第2の外装部6それぞれに、位置決め用の案内穴を少なくとも1つ開口する。その一例を図21(a)及び図21(b)に示す。図21(a)には、第2の外装部6の四隅に位置決め用の案内穴39が開口された例が示されている。図21(b)には、第1の外装部5の四隅に位置決め用の案内穴39が開口された例が示されている。
電極群2を第1の外装部5内に収納し、電極群側正極リード12を正極端子リード23に溶接等して接合し、また、電極群側負極リード14を負極端子リード36に溶接等して接合する。接合には、例えばレーザ溶接、TIG溶接、摩擦撹拌接合を用いることができる。実施形態では、いずれによる接合も溶接として取り扱う。
次いで、第2の正極絶縁補強部材25及び第2の負極絶縁補強部材38を、電極群2の正極集電タブ7a及び負極集電タブ8aに被せる。ひきつづき、第2の外装部6を第1の外装部5上に配置する。第1の外装部5及び第2の外装部6それぞれの四隅に案内穴39が開口されているため、第1の外装部5に対する第2の外装部6の位置を定めることが容易である。
次いで、図22(a)に示すように、第1の外装部5及び第2の外装部6の三辺(例えば、長辺と短辺二辺)を溶接する。溶接には、例えば、抵抗シーム溶接が用いられる。溶接箇所を符号40で示す。溶接箇所40は、第1の外装部5及び第2の外装部6の外縁よりも内側に位置することが望ましい。
未溶接の一辺の開口から電解液を注液した後、図22(b)に示すように、この一辺を例えば抵抗シーム溶接で溶接する。溶接箇所41は、第1の外装部5及び第2の外装部6の外縁部にすることが望ましい。
次いで、エージング、初回充放電を施した後、図22(c)に示すように、溶接箇所41の一部を切り取ることで切り取り部分42を作り、外装部材1内のガスを放出させる。その後、図22(d)に示すように、溶接箇所41よりもさらに内側の溶接箇所(第2の外装部6の長辺)43を抵抗シーム溶接等で溶接する。この溶接は、減圧雰囲気で行うことが望ましい。
その後、必要に応じ、第1の外装部5及び第2の外装部6の外縁付近を裁断することにより、案内穴39を取り除くことができる。なお、案内穴39を残したままでも良い。
以上説明した方法により、第1の実施形態の電池を高い生産性で製造することが可能である。
第1の実施形態の電池は、1つの外装部材1内に複数の電極群2を備えることができる。この場合、第2の外装部6として、第1の外装部5と同様に、開口部にフランジ部を有するものを用いることが望ましい。電池100の強度を考慮すると、1つの外装部材1内に1個だけの電極群2を備えることが好ましい。
1つの外装部材1内に1つの電極群2を収納する場合の電池100を製造する正極端子部3側の工程図を図23に示す。電極群2を用意し、バックアップ正極リード11で正極集電タブ7aの中央先端を束ねる。次いで、図23Aの工程図のようにバックアップ正極リード11と電極群側正極リード12を溶接する。溶接後、電極群側正極リード12を曲げて、図23Bのように第1の延出部12とする。なお、あらかじめ折り曲げた電極側正極リードをバックアップ正極リード11と溶接して図23Bのような部材を得てもよい。
そして、正極端子部3をあらかじめ組み込んだ第1の外装材5の開口部側から図23Bの部材を挿入する。挿入後、電極群側正極リード12の第1の延出部12bと正極端子リード23の第1の延出部をレーザ溶接して固定して図23Cのように1個の電極群2が第1の外装部5内に固定される。そして、第2の外装部6で蓋をすることで、電池100を得ることができる。
以上説明した第1の実施形態の電池は、薄型の電池であっても外装部材1内のリードの厚さを厚くすることができ、大電流向きなである。
(第2の実施形態)
第2の実施形態の電池パックは、第1の実施形態の電池を1つ以上含む。第1の実施形態の電池の組電池の例を図24及び図25に示す。
図24に示すように、電池パック200は、単位セルとして第1の実施形態の電池100~106を用いている。電池パック200は、図示しないラミネートにより被覆されている場合がある。第1の単位セル60の負極端子32の頂面と、第2の単位セル61の負極端子32の頂面の間に、三角柱状の導電性連結部材62が配置されている。また、第1の単位セル60の正極端子17の頂面と、第2の単位セル61の正極端子17の頂面の間に、三角柱状の導電性連結部材62が配置されている。二つの頂面と導電性連結部材62は、それぞれ、溶接により電気的に接続されている。溶接には、例えばレーザ溶接、アーク溶接、抵抗溶接が用いられる。これにより、第1の単位セル60と第2の単位セル61が並列接続された組電池のユニット63が得られる。組電池のユニット63同士をバスバー64により直列に接続することにより、電池パック200が得られる。
図25に示す電池パック201は、単位セルとして第1の実施形態の電池100~106を用いている。第1の単位セル60と第2の単位セル61を導電性連結部材62を用いて直列に接続したものを組電池のユニット65とし、組電池のユニット65同士をバスバー64により直列に接続することで電池パックを構成する。第1の単位セル60と第2の単位セル61間を導電性連結部材62を用いて電気的接続する方法は、図20で説明したのと同様である。
図24及び図25に示す組電池では、隣り合う第1の単位セル60と第2の単位セル61が、互いの外装部材1の主面同士が面した状態で積層されている。例えば図20に示す組電池のユニット63では、第1の単位セル60の第1の外装部5の主面と、第2の単位セル61の第1の外装部5の主面とが面している。また、隣り合う組電池のユニット63において、一方の組電池のユニット63の第2の単位セル61の第2の外装部6の主面と、他方の組電池のユニット63の第2の単位セル61の第2の外装部6の主面とが面している。このように外装部材の主面同士を対面させて電池を積層することにより、組電池の体積エネルギー密度を高くすることができる。
また、図24及び図25に図示されているように単位セル60と単位セル61、又は単位セル60、60や単位セル61、61のセル間には絶縁空間があるほうが望ましく、0.03mm以上の隙間を設けるか、絶縁部材(例えば、樹脂であるポリプロピレンやポリフェニレンサルファイドやエポキシ、ファインセラミックスであるアルミナやジルコニアなど)等を間に挟むことが出来る。
正極外部端子17及び負極端子32が角錐台形状の頭部を持つことにより、1つの頭部の二ヶ所(例えば第1、第2の傾斜面)の一方(第1の傾斜面)に単位セルの外部端子を、他方(第2の傾斜面)にバスバーを接続することができる。つまり、1つの頭部で二方向の接続が可能となる。その結果、電池間を電気的に接続する経路を短縮することができるので、電池パックに低抵抗で大電流を流すことが容易となる。
第2の実施形態の電池パックは、第1の実施形態の電池を少なくとも一つ含むため、薄型化及び柔軟性の向上が可能で、電池そのものの強度が高いため信頼性に優れ、製造コストの削減が可能な電池パックを提供することができる。
電池パックは、例えば、電子機器、車両(鉄道車両、自動車、原動機付自転車、軽車両、トロリーバス等)の電源として使用される。
上述の通り、組電池は、複数の電池を直列、並列、あるいは直列及び並列を組み合わせて電気的に接続したものを含み得る。また、電池パックは、組電池に加え、電池制御ユニット(Battery Control Unit, BMU)等の回路を備えることができるが、組電池が搭載されるもの(例えば車両など)が有する回路を電池制御ユニットとして使用することができる。電池制御ユニットは、単電池及び組電池の電圧または電流あるいは両方を監視して過充電及び過放電を防止する機能等を有する。
(第3の実施形態)
第3の実施形態は蓄電装置に関する。第2の実施形態の電池パック200、201を蓄電装置300に搭載することができる。図26の概念図に示す蓄電装置300は、電池パック200、201と、インバーター302と、コンバーター301とを備える。外部交流電源303をコンバーター301で直流変換し、電池パック200、201を充電し、電池パック200、201からの直流電源のインバーター302で交流変換し、蓄電装置300に接続した負荷304に電気を供給する構成となっている。実施形態の電池パック200、201を有する本構成の蓄電装置300とすることで、電池特性に優れた蓄電装置が提供される。なお、電池パック200、201の代わりに、電池100~106を使用することもできる。電池パック200,201の信頼性向上によって、蓄電池300の信頼性も向上する。
(第4の実施形態)
第4の実施形態は車両に関する。第4の実施形態の車両は、第2の実施形態の電池パック200、201を用いている。本実施形態にかかる車両の構成を、図27の車両400の模式図を用いて簡単に説明する。車両400は、電池パック200、201、車体401、モーター402、車輪403と、制御ユニット404を有する。電池パック200、201、モーター402、車輪403と、制御ユニット404は、車体401に配置されている。制御ユニット404は、電池パック200、201から出力した電力を変換したり、出力調整したりする。モーター402は電池パック200、201から出力された電力を用いて、車輪403を回転させる。なお、車両400は、電車などの電動車両やエンジンなどの他の駆動源を有するハイブリッド車も含まれる。モーター402からの回生エネルギーによって、電池パック200、201を充電してもよい。電池パック200、201からの電気エネルギーによって駆動されるものはモーターに限られず、車両400に含まれる電気機器を動作させるための動力源に用いても良い。また車両400の減速時に回生エネルギーを得て、得られた回生エネルギーを用いて電池パック200、201を充電することが好ましい。実施形態の電池パック200、201を有する本構成の車両400とすることで、電池特性に優れた車両が提供される。なお、電池パック200、201の代わりに、電池100~106を使用することもできる。電池パック200,201の信頼性向上によって、車両400の信頼性も向上する。
(第5の実施形態)
第5の実施形態は飛翔体(例えば、マルチコプター)に関する。第5の実施形態の飛翔体は、第2の実施形態の電池パック200、201を用いている。本実施形態にかかる飛翔体の構成を、図28の飛翔体(クアッドコプター)500の模式図を用いて簡単に説明する。飛翔体500は、電池パック200、201、機体骨格501、モーター502、回転翼503と制御ユニット504を有する。電池パック200、201、モーター502、回転翼503と制御ユニット504は、機体骨格501に配置している。制御ユニット504は、電池パック200、201から出力した電力を変換したり、出力調整したりする。モーター502は電池パック200、201から出力された電力を用いて、回転翼503を回転させる。実施形態の電池パック200、201を有する本構成の飛翔体500とすることで、信頼性が向上した飛翔体が提供される。なお、電池パック200、201の代わりに、電池100~106を使用することもできる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。