JP7154757B2 - マット材 - Google Patents

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Description

本発明は、マット材に関する。
従来、自動車等のエンジンの周囲に配置されるエンジンカバーや、エキゾーストマニホールドカバー、消音器等には、これらの部材から発せられる熱や音等を遮蔽、吸収するために防音断熱材が配設されている。
特許文献1には、防音断熱材として、耐熱性無機繊維を主成分とする基材層の表面に、耐熱性に優れたバーミキュライトからなる鱗片状鉱物の水性ディスパージョンを塗布し、乾燥することにより被覆層を形成した防音断熱材が開示されている。
また、特許文献2には、平均粒径1.0μm以上2.0μm以下の大径鱗片状シリカと平均粒径0.1μm以上1.0μm未満の小径鱗片状シリカとの混合物を含有するコーティング液が基材に塗布され、被膜が形成された断熱材が開示されている。
特開2003-266572号公報 特開2005-281400号公報
しかしながら、特許文献1に係る防音断熱材では、使用されたバーミキュライトは結晶水を含むため、前処理工程として、例えば、800℃で1時間程度焼成する工程が必要となり、コスト増大の要因となるという問題があった。
また、バーミキュライトを焼成することにより表面の水酸基が消失してしまうため、シリカ粒子同士の結合力が低下し、機械的強度を向上させるには、別に被覆層が必要となるという問題があった。
また、特許文献2に係る断熱材は、得られる被覆層において鱗片状粒子同士の隙間が存在しないため、固体伝導が増加し、断熱性が低下するという問題があった。また、被覆層の内部に隙間がなくなり、鱗片状シリカ同士の結合が強固になることで、被覆層の柔軟性が低下し、断熱材を曲げようとすると被覆層が割れてしまうという問題があった。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、基材マットとの密着強度が高く、断熱性に優れるとともに、柔軟性を有するマット材を提供することを目的とする。
本発明のマット材は、無機繊維からなる基材マットと、
上記基材マットの表面に設けられ、鱗片状シリカと球状、不定形、針状又は長球状の無機粒子とを含む被覆層とからなることを特徴とする。
本発明のマット材においては、上記基材マットを被覆する被覆層が断熱性に優れる鱗片状シリカと球状、不定形、針状又は長球状の無機粒子とを含んでおり、上記鱗片状シリカが基材マットの表面にほぼ平行に配向して伝熱を遮断するとともに、上記球状、不定形、針状又は長球状の無機粒子が鱗片状シリカにより遮蔽された空間内に入り込んで該空間を小さく仕切るので、さらに断熱性が向上し、断熱性に優れたマット材となる。また、原料の前処理を行う必要がないので、コストの増大を防止することができる。
すなわち、上記被覆層中の一の鱗片状シリカと、上記一の鱗片状シリカと隣り合う他の鱗片状シリカとの間に球状、不定形、針状又は長球状の無機粒子が入り込んで空間を小さく仕切るので、さらに断熱性が向上する。
なお、本明細書において、鱗片状シリカとは、面の最も短い部分の長さ/厚さが10以上のシリカ粒子であり、2次粒子を構成する厚さが10~500nmのものをいう。
また、鱗片状シリカの形状は厚みの薄い扁平形状であるともいえる。
また、球状無機粒子とは、そのアスペクト比(粒子の最も長い部分の長さ/粒子の最も短い部分の長さ)が1以上3未満の無機粒子をいう。
不定形の無機粒子とは、粒子形状が不揃いの無機粒子をいう。
針状の無機粒子とは、針のように細く一方向に伸びた形状であり、アスペクト比が3以上の無機粒子をいう。
長球状の無機粒子とは、回転楕円体(ラグビーボール形状)であり、アスペクト比が3以上の無機粒子をいう。
なお、本発明においては、鱗片状シリカ以外の無機粒子で、上記した形状以外のものも、鱗片状シリカ同士の間に入り込むことができるものがあれば、上記球状、不定形、針状又は長球状の無機粒子の代わりに使用できる。
また、上記マット材においては、基材マットの表面に鱗片状シリカと球状、不定形、針状又は長球状の無機粒子とを含む被覆層が設けられており、鱗片状シリカ表面には、豊富にシラノール基が存在するため、シラノール基を介して基材マットに被覆層が密着する。そして、鱗片状シリカに球状、不定形、針状又は長球状の無機粒子も密着するため、球状、不定形、針状又は長球状の無機粒子が基材マットから剥がれ落ちるのを防止することができるとともに、被覆層自体の強度も向上し、機械的強度に優れたマット材となる。
さらに、上記マット材では、鱗片状シリカ同士の間に球状、不定形、針状又は長球状の無機粒子による適度な空間が形成されるため被覆層に柔軟性を付与することができ、マット材を対象となる部材に巻きつける等しても、被覆層に割れが発生しにくくなる。
本発明のマット材では、上記球状又は不定形の無機粒子の平均粒子径が0.5~100μmであることが望ましく、上記針状の無機粒子の平均短径は、0.5~10μm、平均長径は、1.5~100μmであることが望ましく、上記長球状の無機粒子の平均短径は、0.5~10μm、平均長径は、1.5~100μmであることが望ましい。
本発明のマット材において、上記球状又は不定形の無機粒子の平均粒子径が0.5~100μmであると、鱗片状シリカ同士の間に球状又は不定形の無機粒子による適度な空間を形成することができ、被覆層が柔軟性を有するとともに、基材マットとの密着性、断熱性に優れたマット材となる。
また、上記針状の無機粒子の平均短径が0.5~10μm、平均長径が1.5~100μmであると、上記の場合と同様に、鱗片状シリカ同士の間に針状の無機粒子による適度な空間を形成することができる。
さらに、上記長球状の無機粒子の平均短径が0.5~10μm、平均長径が、1.5~100μmであると、上記の場合と同様に、鱗片状シリカ同士の間に長球状の無機粒子による適度な空間を形成することができる。
上記球状又は不定形の無機粒子の平均粒子径が0.5μm未満であるか、上記針状の無機粒子の平均短径が0.5μm未満であるか、上記長球状の無機粒子の平均短径が0.5μm未満であると、鱗片状シリカ同士の間の空間が狭すぎることとなり、鱗片状シリカ同士の結合が強固になりすぎることで、被覆層の柔軟性が低下することがある。一方、球状又は不定形の無機粒子の平均粒子径が100μmを超えるか、針状の無機粒子の平均長径が100μmを超えるか、長球状の無機粒子の平均長径が100μmを超えると、鱗片状シリカ同士の間の空間が広すぎることとなり、鱗片状シリカ同士の結合が弱くなり、密着性が低下することがある。
本発明のマット材において、上記鱗片状シリカと上記球状、不定形、針状及び長球状の無機粒子との合計重量に対する上記球状、不定形、針状及び長球状の無機粒子の合計重量割合が30~75重量%であると、上記鱗片状シリカに対する上記球状、不定形、針状及び長球状の無機粒子の割合が適切であるので、鱗片状シリカ同士の結合が強くなり過ぎず、適度な空間を形成することができ、被覆層が柔軟性を有するとともに、基材マットとの密着性、断熱性に優れたマット材となる。
上記鱗片状シリカと球状、不定形、針状及び長球状の無機粒子との合計重量に対する球状、不定形、針状及び長球状の無機粒子の合計重量割合が30重量%未満であると、鱗片状シリカ同士の間に存在する球状、不定形、針状及び長球状の無機粒子の含有割合が少なすぎるため、鱗片状シリカ同士の結合が強くなりすぎ、被覆層の柔軟性が低下することがある。一方、上記鱗片状シリカと球状、不定形、針状及び長球状の無機粒子との合計重量に対する球状、不定形、針状及び長球状の無機粒子の合計重量割合が75重量%を超えると、鱗片状シリカ同士の間に存在する上記無機粒子の含有割合が多くなりすぎるため、鱗片状シリカ同士の結合が弱くなり、密着性が低下し、球状、不定形、針状又は長球状の無機粒子が脱落し易くなるとともに、断熱性も低下することがある。
本発明のマット材では、上記球状、不定形、針状又は長球状の無機粒子は、多孔質シリカ及びチタニアからなる群から選択された少なくとも1種であることが望ましい。
本発明のマット材において、球状、不定形、針状又は長球状の無機粒子が多孔質シリカ及びチタニアからなる群から選択された少なくとも1種であると、多孔質シリカは気体分子の衝突による伝熱や対流による伝熱を抑制することにより低温領域での断熱性の向上に寄与し、チタニアは輻射による伝熱を抑制することにより高温領域での断熱性の向上に寄与する。そのため、広い温度領域で断熱性に優れたマット材とすることができる。
本発明のマット材では、上記マット材を厚さ方向に貫通する貫通孔又は有底孔を備えることが望ましい。
本発明のマット材は、被覆層の基材マットへの密着性に優れているので、被覆層を破損することなく穴あけ加工を行うことができる。そのため、吸音材においてときに必要とされる貫通孔又は有底孔を備える構造とすることができる。
本発明のマット材では、上記鱗片状シリカと上記球状、不定形、針状及び長球状の無機粒子との合計重量に対する上記鱗片状シリカの重量割合が25~70重量%であることが望ましい。
本発明のマット材において、上記鱗片状シリカと球状、不定形、針状及び長球状の無機粒子との合計重量に対する上記鱗片状シリカの重量割合が25~70重量%であると、鱗片状シリカの配合量が適切であるので、柔軟性、断熱性、基材マットとの密着性に優れたマット材となる。
本発明のマット材において、上記鱗片状シリカと上記球状、不定形、針状及び長球状の無機粒子との合計重量に対する上記鱗片状シリカの重量割合が25重量%未満であると、鱗片状シリカの割合が少なすぎるので、密着性が低下してしまうことがある。一方、上記鱗片状シリカと上記球状、不定形、針状及び長球状の無機粒子との合計重量に対する上記鱗片状シリカの重量割合が70重量%を超えると、鱗片状シリカの量が多すぎるので、被覆層の柔軟性が低下するとともに、断熱性も低下することがある。
本発明のマット材においては、上記被覆層中の一の鱗片状シリカと、上記一の鱗片状シリカと隣り合う他の鱗片状シリカとの間に球状、不定形、針状又は長球状の無機粒子が入り込んでいることが望ましい。
図1は、本発明のマット材の一例を模式的に示す断面図である。 図2は、本発明のマット材を構成する被覆層の基材マットへの密着性を評価するための密着性評価装置を模式的に示す装置図である。 図3は、本発明のマット材の断熱性を評価するための断熱性評価装置を模式的に示す装置図である。 図4は、実施例1に係るマット材の柔軟性試験後のマット材の外観を示す写真である。 図5は、実施例1に係るマット材において、基材マットを構成する無機繊維と被覆層との界面近傍を撮影した走査電子顕微鏡(SEM)写真である。 図6は、実施例1に係るマット材において、被覆層の断面を撮影したSEM写真である。 図7は、貫通孔が形成された実施例1に係るマット材を撮影した写真である。 図8は、比較例1に係るマット材の柔軟性試験後のマット材の外観を示す写真である。 図9は、比較例2に係るマット材において、基材マットを構成する無機繊維と被覆層との界面近傍を撮影したSEM写真である。 図10は、ニードルパンチング処理が施された基材マットを用いたマット材を模式的に示す断面図である。
(発明の詳細な説明)
以下、本発明のマット材について具体的に説明する。しかしながら、本発明は、以下の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
本発明のマット材は、無機繊維からなる基材マットと、上記基材マットの表面に設けられ、鱗片状シリカと球状、不定形、針状又は長球状の無機粒子とを含む被覆層とからなることを特徴とする。
図1は、本発明のマット材の一例を模式的に示す断面図である。
図1に示す本発明のマット材11は、無機繊維からなる平板形状の基材マット1と、基材マット1の表面に設けられた、鱗片状シリカと球状、不定形、針状又は長球状の無機粒子とを含む所定の厚さの被覆層2とからなる。
本発明のマット材の形状は、特に限定されるものではなく、その厚さが場所により異なるものであってもよいが、断熱材や防音材として使用される場合には、その特性を均一に保つため、その厚さが均一なものが望ましい。
従って、マット材を構成する基材マット及び被覆層の厚さも均一であることが望ましい。
次に、本発明のマット材を構成する基材マットについて説明する。
上記基材マットは、無機繊維からなる。
上記基材マットを構成する無機繊維は、特に限定されないが、アルミナ繊維、シリカ繊維、アルミナシリカ繊維、ムライト繊維、生体溶解性繊維及びガラス繊維からなる群から選択される少なくとも1種から構成されていることが望ましい。
上記無機繊維が、アルミナ繊維、シリカ繊維、アルミナシリカ繊維及びムライト繊維からなる群から選択される少なくとも1種である場合には、耐熱性に優れているので、基材マットが高温に晒された場合であっても、変質等が発生することはなく、基材マットとしての機能を充分に維持することができる。
アルミナ繊維には、アルミナ以外に、例えば、カルシア、マグネシア、ジルコニア等の添加剤が含まれていてもよい。
アルミナシリカ繊維の組成比としては、重量比で、Al:SiO=60:40~99:1であることが望ましく、Al:SiO=70:30~74:26であることがより望ましい。
ガラス繊維は、シリカとアルミナとを主成分とし、アルカリ金属の他に、必要によりカルシア、チタニア、酸化亜鉛等を含むガラス状の繊維である。
無機繊維の平均繊維長は、5~150mmであることが好ましく、10~80mmであることがより望ましい。
無機繊維の平均繊維長が5mm未満であると、無機繊維の繊維長が短すぎるため、無機繊維同士の交絡が不充分となり、曲面を有する部材に装着する際、マット材が割れやすくなる。また、無機繊維の平均繊維長が150mmを超えると、無機繊維の繊維長が長すぎるため、基材マットを構成する繊維本数が減少し、マットの緻密性が低下する。その結果、基材マットのせん断強度が低くなる。
上記基材マットを構成する無機繊維には、必要に応じて有機バインダを付着させてもよい。
有機バインダは、有機バインダ含有エマルジョン中の有機バインダを基材マットに付着させ、乾燥させることによって、基材マットを構成する無機繊維に付着させることができる。
使用する有機バインダとしては特に限定されず、例えば、アクリル系樹脂エマルジョン、アクリレート系ラテックス、ゴム系ラテックス等に含まれる樹脂成分又はゴム成分が挙げられる。
上記基材マットを構成する無機繊維には、必要に応じて、シリカゾル、アルミナゾル等の無機バインダ成分を付着させてもよい。
上記基材マットは、ニードルパンチング処理が施されていることが望ましい。ニードルパンチング処理とは、先端部分にバーブを有するニードルを基材マットに挿通させる処理を言う。先端部分にバーブを有さないニードルを使用してもよい。
ニードルパンチング処理を施すと、無機繊維を交絡させることができ、無機繊維同士の絡み合いを強固にし、基材マットの引張強度を大きくし、基材マットの形状を維持しやすくなる。
また、ニードルパンチング処理が施された基材マットに被覆層を形成すると、被覆層が基材マットに密着し易くなる。その理由については、後述する。
上記基材マットの形状は、特に限定されるものではないが、平板状が望ましく、その厚さは、2~30mmであることが望ましい。
基材マットの厚さが2mm未満であると、その厚さが薄すぎるため、断熱性能や防音性能が低下してしまう。一方、基材マットの厚さが30mmを超えると、柔軟性が低下し、装着対象となる部材への装着性が低下する。
上記基材マットのかさ密度は、特に限定されるものではないが、0.05~0.30g/cmであることが望ましい。基材マットのかさ密度が0.05g/cm未満であると、無機繊維のからみ合いが弱く、無機繊維が剥離しやすいため、基材マットの形状を所定の形状に保ちにくくなる。一方、基材マットのかさ密度が0.30g/cmを超えると、基材マットが硬くなり、装着対象となる部材への装着性が低下し、基材マットが割れやすくなる。
本発明のマット材では、基材マットの表面に鱗片状シリカと球状、不定形、針状又は長球状の無機粒子とを含む被覆層が形成されている。
上述したように、本発明において、被覆層を構成する鱗片状シリカとは、2次粒子を構成する面の最も長い部分の長さが0.5~5μmで、その厚さが10~500nmの扁平形状のものを言い、表面や層間に高活性のSi-OH基(シラノール基)を高密度に有している。
従って、鱗片状シリカは、シラノール基を介して基材マットの表面の無機繊維や球状、不定形、針状又は長球状の無機粒子に密着し易く、鱗片状シリカ自体が基材マットから脱落しにくく、球状、不定形、針状又は長球状の無機粒子も基材マットから脱落しにくくなる。
従って、鱗片状シリカを含む被覆層は、基材マットに密着するとともに、被覆層を構成する粒子が被覆層から脱落しにくい被覆層となる。
本発明において、被覆層を構成する球状無機粒子とは、そのアスペクト比(粒子の最も長い部分の長さ/粒子の最も短い部分の長さ)が1以上3未満の無機粒子をいう。
また、上記球状無機粒子又は不定形無機粒子の平均粒子径は、0.5~100μmであることが望ましい。
上記球状無機粒子又は不定形無機粒子の平均粒子径が0.5~100μmであると、鱗片状シリカ同士の間の空間を適正な範囲に保つことができ、鱗片状シリカ同士の間に形成された空間を球状無機粒子又は不定形無機粒子でさらに細かく区切ることができるので、断熱特性に優れたマット材となる。
上記針状の無機粒子の平均短径が0.5~10μm、平均長径が1.5~100μmである場合、及び、上記長球状の無機粒子の平均短径が0.5~10μm、平均長径が1.5~100μmである場合も、鱗片状シリカ同士の間の空間を適正な範囲に保つことができ、鱗片状シリカ同士の間に形成された空間を針状無機粒子又は長球状無機粒子でさらに細かく区切ることができるので、断熱特性に優れたマット材となる。
本発明のマット材において、上記球状、不定形、針状又は長球状の無機粒子としては、例えば、多孔質シリカ、チタニア、アルミナ、酸化亜鉛等が挙げられる。これらのなかでは、多孔質シリカ及びチタニアからなる群から選択された少なくとも1種であることが望ましい。
多孔質シリカは気体分子の衝突による伝熱や対流による伝熱を抑制することにより低温領域での断熱性の向上に寄与し、チタニアは輻射による伝熱を抑制することにより高温領域での断熱性の向上に寄与する。その結果、本発明のマット材は、広い温度領域で断熱性に優れたマット材となる。
多孔質シリカとは、シリカ粒子中に多数の開孔を有するシリカをいう。多孔質シリカを使用すると、複数の鱗片状シリカの間に配置された多孔質シリカにより、空間が細かく仕切られるとともに、多孔質シリカ自身の内部にも、気孔が存在するため、100~300℃の範囲の低温度領域において、伝導伝熱を抑制し、鱗片状シリカ及び多孔質シリカが含まれたマット材は、断熱性に優れたマット材となる。
チタニアは、赤外線を遮蔽する効果が大きいため、特に300℃以上の高温領域で輻射による伝熱を抑制することができるため、鱗片状シリカ及びチタニアが含まれたマット材は、断熱性に優れたマット材となる。
このため、特に鱗片状シリカ、多孔質シリカ及びチタニアを含む被覆層が形成されたマット材は、低温度領域から高温度領域を含む広い温度範囲で断熱性に優れる。
本発明のマット材において、鱗片状シリカと球状、不定形、針状及び長球状の無機粒子との合計重量に対する球状、不定形、針状及び長球状の無機粒子の合計重量割合は、30~75重量%が望ましい。
鱗片状シリカと球状、不定形、針状及び長球状の無機粒子との合計重量に対する球状、不定形、針状及び長球状の無機粒子の合計重量割合が30~75重量%であると、上記鱗片状シリカに対する上記球状、不定形、針状及び長球状の無機粒子の割合が適切であるので、鱗片状シリカ同士の結合が強くなり過ぎず、鱗片状シリカ同士の間に球状、不定形、針状又は長球状の無機粒子による適度な空間を形成することができ、被覆層が柔軟性を有するとともに、被覆層と基材マットとの密着性が高く、かつ、断熱性に優れたマット材となる。
また、鱗片状シリカと球状、不定形、針状及び長球状の無機粒子との合計重量に対する鱗片状シリカの重量割合は、25~70重量%であることが望ましい。
鱗片状シリカと球状、不定形、針状及び長球状の無機粒子との合計重量に対する鱗片状シリカの重量割合が25~70重量%であると、鱗片状シリカの配合量が適切であるので、柔軟性、断熱性、基材マットとの密着性に優れたマット材となる。
本発明のマット材では、上述したように、ニードルパンチング処理が施された基材マットを用いることが望ましい。
ニードルパンチング処理を施すと、無機繊維を交絡させることができ、無機繊維同士の絡み合いを強固にし、基材マットの引張強度を大きくし、基材マットの形状を維持しやすくなる。ニードルパンチング処理は、基材マットに被覆層を形成した後に行ってもよい。
また、ニードルパンチング処理をほどこすことにより、鱗片状シリカは、ニードルパンチング処理により形成されたニードル痕に沿って配向し、互いに絡み合った状態でクサビ状にニードル痕に入り込む。
図10は、ニードルパンチング処理が施された基材マットを用いたマット材を模式的に示す断面図である。
この断面図は、被覆層2内の鱗片状シリカ2aに注目して描いたものである。図10に示すように、被覆層2内の鱗片状シリカ2aは、基材マット1の表面にほぼ平行になるように配向しているが、ニードルパンチング処理が施されていると、鱗片状シリカ2aは、ニードルパンチング処理により形成された細い貫通孔であるニードル痕1aに沿って配向し、互いに絡み合った状態でクサビ状にニードル痕1aに入り込み、被覆層2内の鱗片状シリカ2aと基材マット1との密着性をより強固にすることができる。
本発明のマット材を防音材として使用する場合には、マット材に複数の貫通孔又は有底孔を形成してもよい。
複数の貫通孔又は有底孔を備えたマット材では、エンジン等に起因する騒音がマット材に形成された複数の貫通孔又は有底孔に入射し、貫通孔又は有底孔での共鳴効果により音のエネルギーが減衰するため、吸音機能を改善することができる。
また、被覆層は、マット内部に取り込まれた音を逃がさない役割を果たし、被覆層が振動することにより音の減衰効果が生じ、吸音機能を改善することができる膜振動による音の減衰効果によって吸音機能を改善することができる。
本発明のマット材は、被覆層を構成する各成分が互いに密着し、飛散しにくい構造が形成されているので、被覆層を形成した後に貫通孔又は有底孔を形成したとしても、被覆層において貫通孔又は有底孔の形が崩れることがなく、基材マット内部と同様の境界がはっきりと把握できる形状の貫通孔又は有底孔が形成される。
次に、本発明のマット材の製造方法について説明する。
本発明のマット材の製造方法においては、まず、無機繊維を含む基材マットを準備する。
基材マットは、種々の方法により得ることができるが、例えば、下記の方法等により製造することができる。
その方法としては、例えば、アルミナ、シリカ等の無機物となる原料を含む紡糸用混合物を紡糸して無機繊維前駆体を作製し、続いて、上記無機繊維前駆体を圧縮して所定の大きさの連続したシート状物を作製し、ニードルパンチング処理を施した後、焼成処理を施すことにより基材マットを得ることができる。
次に、鱗片状シリカと球状、不定形、針状又は長球状の無機粒子とを混合した後、固形分濃度が10~50重量%となるように、水等の分散媒を加え、充分に攪拌して均一な濃度の塗布液を調製する。
使用する球状、不定形、針状又は長球状の無機粒子は、1種類であってもよく、2種類以上であってもよいが、多孔質シリカとチタニアの2種類を使用することが望ましい。
分散媒としては、特に限定されるものではないが、水、ベンゼン等の有機溶媒、メタノール等のアルコール等が挙げられ、2種以上併用してもよい。これらのなかでは、水が望ましい。
次に、刷毛等の塗布手段を用いることにより、この塗布液を基材マットの表面に塗布し、塗布液を塗布した基材マットを乾燥させることにより、被覆層とする。
乾燥条件としては、乾燥温度70~200℃、乾燥時間10~180分が望ましい。
被覆層を形成すると、鱗片状シリカは、ニードル痕に沿って配向し、互いに絡み合った状態でニードル痕に入り込み、被覆層と基材マットとの密着性がより強固になる。
その後、必要に応じて、マット材を所定の形状に切断する切断工程を行えばよい。
本発明のマット材は、車両の各部材や設備装置等の断熱材や防音材、防音を兼ねた断熱材、ディーゼルエンジン車の排ガス浄化フィルタを保持する保持シール材、排ガス浄化触媒コンバータを保持する保持シール材等として使用することができる。
本発明のマット材を防音材として使用する場合には、貫通孔や有底孔を形成する必要が生じる場合があるが、本発明のマット材は、被覆層が基材マットに密着しているため、貫通孔や有底孔を形成しても、被覆層の形状が崩れたり、被覆層を構成する材料が周囲に飛散したりすることがなく、防音材としても、好適に使用することができる。
以下に、本発明のマット材の作用効果について説明する。
(1)本発明のマット材では、基材マットを被覆する被覆層が断熱性に優れる鱗片状シリカと球状、不定形、針状又は長球状の無機粒子とを含んでおり、鱗片状シリカが基材マットの表面にほぼ平行に配向して伝熱を遮断するとともに、球状、不定形、針状又は長球状の無機粒子が鱗片状シリカにより遮蔽された空間内に入り込んで該空間を小さく仕切るので、さらに断熱性が向上し、断熱性に優れたマット材となる。また、原料の前処理を行う必要がないので、コストの増大を防止することができる。
(2)また、本発明のマット材においては、基材マットの表面に鱗片状シリカと球状、不定形、針状又は長球状の無機粒子とを含む被覆層が設けられており、鱗片状シリカ表面には、豊富にシラノール基が存在するため、シラノール基を介して基材マットに被覆層が密着し、鱗片状シリカに球状、不定形、針状又は長球状の無機粒子も密着するため、球状、不定形、針状又は長球状の無機粒子が基材マットから剥がれ落ちるのを防止することができるとともに、被覆層自体の強度も向上し、機械的強度に優れたマット材となる。
(3)さらに、本発明のマット材では、鱗片状シリカ同士の間に球状、不定形、針状又は長球状の無機粒子による適度な空間が形成されるため被覆層に柔軟性を付与することができ、マット材を対象となる部材に巻きつける等しても、被覆層に割れが発生しにくくなる。
(4)本発明のマット材において、球状又は不定形の無機粒子の平均粒子径が0.5~100μmであり、上記針状の無機粒子の平均短径が0.5~10μm、平均長径が1.5~100μmであり、上記長球状の無機粒子の平均短径が0.5~10μm、平均長径が1.5~100μmであると、鱗片状シリカ同士の間に球状、不定形、針状又は長球状の無機粒子による適度な空間を形成することができ、被覆層が柔軟性を有するとともに、基材マットとの密着性、断熱性に優れたマット材となる。
(5)本発明のマット材において、鱗片状シリカと球状、不定形、針状及び長球状の無機粒子との合計重量に対する球状、不定形、針状及び長球状の無機粒子の合計重量割合が30~75重量%であると、上記鱗片状シリカに対する上記球状、不定形、針状及び長球状の無機粒子の割合が適切であるので、鱗片状シリカ同士の結合が強くなり過ぎず、鱗片状シリカ同士の間に球状、不定形、針状又は長球状の無機粒子による適度な空間を形成することができ、被覆層が柔軟性を有するとともに、基材マットとの密着性、断熱性に優れたマット材となる。
(6)本発明のマット材において、球状、不定形、針状又は長球状の無機粒子は、多孔質シリカ及びチタニアからなる群から選択された少なくとも1種であると、多孔質シリカは気体分子の衝突による伝熱や対流による伝熱を抑制することにより低温領域での断熱性の向上に寄与し、チタニアは輻射による伝熱を抑制することにより高温領域での断熱性の向上に寄与する。そのため、広い温度領域で断熱性に優れたマット材とすることができる。
(7)本発明のマット材は、被覆層の基材マットへの密着性に優れているので、被覆層を破損することなく穴あけ加工を行うことができる。そのため、吸音材において必要とされる複数の貫通孔又は有底孔を備える構造とすることができる。
さらに、複数の貫通孔又は有底孔を備えたマット材では、エンジン等に起因する騒音がマット材に形成された複数の貫通孔又は有底孔に入射し、貫通孔又は有底孔での共鳴効果により音のエネルギーが減衰するため、吸音機能を改善することができる。
また、被覆層は、マット内部に取り込まれた音を逃がさない役割を果たし、被覆層が振動することにより音の減衰効果が生じ、吸音機能を改善することができる。
(実施例)
以下、本発明をより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
まず、平均繊維径6μmのアルミナ繊維からなり、縦100mm、横100mm、厚さ7mm、かさ密度0.15g/cmの基材マットを準備した。なお、この基材マットには、ニードルパンチング処理が施されている。
次に、平均粒子径1.5μmの鱗片状シリカ(AGCエスアイテック社製、商品名 サンラブリーLFS HN-150)25重量%、多孔質シリカ(エボニック社製、商品名 CARPLEX#80)50重量%、及び、チタニア(キンセイマテック社製、商品名 ルチルフラワーS)25重量%からなる混合物に、固形分濃度が15重量%になるように水を加え、充分に攪拌し、被覆層形成用の塗布液を調製した。なお、上記多孔質シリカは、アスペクト比が1.5で、平均粒子径が15μmであり、チタニアは、アスペクト比が1.3で、平均粒子径が8μmであった。
次に、刷毛を用いて塗布液を基材マットに乾燥後の重量が200g/mとなるように塗布し、塗布層を形成した。
その後、塗布液を塗布した基材マットを105℃で2時間加熱することで乾燥して被覆層を形成し、実施例1に係るマット材の製造を完了した。
(実施例2)
鱗片状シリカ50重量%、多孔質シリカ33重量%、及び、チタニア17重量%からなる混合物に、固形分濃度が15重量%になるように水を加え、充分に攪拌し、被覆層形成用の塗布液を調製したほかは、実施例1と同様にしてマット材を製造した。なお、鱗片状シリカ、多孔質シリカ及びチタニアは、実施例1と同様のものを使用した。
(実施例3)
鱗片状シリカ70重量%、多孔質シリカ20重量%、及び、チタニア10重量%からなる混合物に、固形分濃度が15重量%になるように水を加え、充分に攪拌し、被覆層形成用の塗布液を調製したほかは、実施例1と同様にしてマット材を製造した。なお、鱗片状シリカ、多孔質シリカ及びチタニアは、実施例1と同様のものを使用した。
(実施例4)
鱗片状シリカ25重量%、アルミナ(住友化学社製、商品名 アドバンストアルミナAA-3)50重量%、及び、チタニア25重量%からなる混合物に、固形分濃度が15重量%になるように水を加え、充分に攪拌し、被覆層形成用の塗布液を調製したほかは、実施例1と同様にしてマット材を製造した。なお、鱗片状シリカ及びチタニアは、実施例1と同様のものを使用し、アルミナは、アスペクト比が1.1で、平均粒子径が3μmであった。
(実施例5)
鱗片状シリカ25重量%、多孔質シリカ50重量%、及び、酸化亜鉛(堺化学工業社製 商品名 LPZINC)25重量%からなる混合物に、固形分濃度が15重量%になるように水を加え、充分に攪拌し、被覆層形成用の塗布液を調製したほかは、実施例1と同様にしてマット材を製造した。なお、鱗片状シリカ及び多孔質シリカは、実施例1と同様のものを使用し、酸化亜鉛は、アスペクト比が1.1で、平均粒子径が5μmであった。
(実施例6)
鱗片状シリカ25重量%、及び、チタニア75重量%からなる混合物に、固形分濃度が15重量%になるように水を加え、充分に攪拌し、被覆層形成用の塗布液を調製したほかは、実施例1と同様にしてマット材を製造した。なお、鱗片状シリカ及びチタニアは、実施例1と同様のものを使用した。
(比較例1)
平均粒子径1.5μmの鱗片状シリカを含むスラリー(AGCエスアイテック社製 サンラブリーLFS NH-150 固形分濃度15重量%)を、刷毛を用いて基材マットに乾燥後の重量が200g/mとなるように塗布し、塗布層を形成したほかは、実施例1と同様にしてマット材を製造した。
(比較例2)
多孔質シリカ67重量%、及び、チタニア33重量%からなる混合物に、固形分濃度が15重量%になるように水を加え、充分に攪拌し、被覆層形成用の塗布液を調製したほかは、実施例1と同様にしてマット材を製造した。なお、多孔質シリカ及びチタニアは、実施例1と同様のものを使用した。
(特性の評価)
(1)柔軟性
各実施例及び各比較例に係るマット材を直径30mmの管に巻き付け、被覆層に割れが発生しているか否かを目視及び写真により判断した。その結果を表1に示す。割れが発生していると判断したものは×、割れは発生していないと判断したものは○とした。
(2)密着性
図2は、本発明のマット材を構成する被覆層の基材マットへの密着性を評価するための密着性評価装置を模式的に示す装置図である。
この密着性評価装置10は、略四角形状の土台部14と土台部14上に2本の補助支柱15を介して立設された2本の支柱13の最上部に水平になるように設けられた平板状のマット材載置部12とを備えており、マット材載置部12上にマット材11がクリップ(図示せず)により固定されて載置されている。マット材載置部12は、蝶番17を介して支柱13に結合されており、マット材載置部12と支柱13との間に設けられた支持金具16により水平な状態を維持している。そして、支持金具16を外すと、マット材載置部12が矢印方向に回転するようになっている。
2本の支柱13の間には、回転したマット材載置部12が衝突可能な位置に垂直壁部材(図示せず)が固定されている。
マット材載置部12にマット材11を固定して載置した状態で支持金具16を外すと、マット材載置部12が矢印の方向に回転して垂直壁部材に衝突する。この衝突により、マット材11を構成する被覆層の一部が飛散する。衝突前後のマット材の重量を計測し、衝突前のマット材の重量をM1、衝突後のマット材の重量をM2とし、下記の式(1)で表される重量減少率が0.1%以下のものを○、重量減少率が0.1%を超えたものを×として表1に示した。なお、マット材11は基材マットからの繊維の飛散を防止するために被覆層が形成された面以外は粘着テープによりマスキングした。
{(M1-M2)/M1}×100(%)・・・(1)
(3)断熱性
図3は、本発明のマット材の断熱性を評価するための断熱性評価装置を模式的に示す装置図である。
この断熱性評価装置20において、上部が開放された箱状の断熱ブロック27の底部には、スペーサ28が設置され、中央より少し上部に水平方向に複数の抵抗発熱体(ヒータ)26が配置され、その上に少しのスペースを介して各実施例及び各比較例に係るマット材11が配置されている。マット材11は被覆層2を抵抗発熱体26の側にして配置される。
マット材11の上には、断熱ブロック27の蓋となる形状のSUS鋼板24が配置されており、マット材11の下面に接するようにヒータ温度(t1)測定用サーモカップル22が配置されるとともに、SUS鋼板24の上面に接するように鋼板温度(t2)測定用サーモカップル23が配置されている。なお、抵抗発熱体26の近くには、ヒータ温度制御用サーモカップル25が配設されている。
まず、マット材11の厚みをスペーサ28により5.6mmに調整した。その後、抵抗発熱体26に通電し、昇温速度40℃/分でヒータ温度t1が600℃になるまで昇温した後、40分間保持し、ヒータ温度t1が600℃を保持していることを確認した。その後、鋼板温度t2を測定することにより断熱性の測定を行った。
そして、被覆層を形成していない基材マットをマット材の代わりに配置した際の鋼板温度t2をt2aとし、各実施例及び各比較例に係るマット材を配置した際の鋼板温度t2をt2bとした際、t2a-t2bが10℃以上のものを○、10℃未満のものを×として表1に示した。
Figure 0007154757000001
表1の実施例の評価結果に示されているように、実施例1~6に係るマット材は、柔軟性、密着性、断熱性に優れていた。
図4は、実施例1に係るマット材の柔軟性試験後のマット材の外観を示す写真である。
図4より明らかなように、実施例1に係るマット材を管に巻き付けてもマット材に割れ等は発生していない。
図5は、実施例1に係るマット材において、基材マットを構成する無機繊維と被覆層との界面近傍を撮影した走査電子顕微鏡(SEM)写真である。図5より明らかなように、被覆層が基材マットを構成する無機繊維に密着しており、密着性に優れる被覆層が形成されていることが分かる。
図6は、実施例1に係るマット材において、被覆層の断面を撮影したSEM写真である。
図6より明らかなように、複数の鱗片状シリカの間に多孔質シリカとチタニアが入り混んで、球状無機粒子が鱗片状シリカの間に良好に分散した構造を形成しており、柔軟性に優れる被覆層が形成されていることが分かる。
実施例1と同様の条件で、マット材を複数製造し、そのうちの1枚に貫通孔を形成した。図7は、貫通孔が形成された実施例1に係るマット材を撮影した写真である。
図7より明らかなように、被覆層において貫通孔の形が崩れることがなく、基材マット内部と同様の境界がはっきりと把握できる形状の貫通孔が被覆層にも形成されており、被覆層を構成する各成分の飛散や脱落が発生しにくい構造が形成されていることが分かる。
一方、比較例1のマット材は、被覆層が鱗片状シリカのみからなり、密着性には優れているが、多孔質シリカ等を含んでいないため、柔軟性に欠けるとともに、断熱性も不充分であった。
図8は、比較例1に係るマット材の柔軟性試験後のマット材の外観を示す写真である。
図8より明らかなように、比較例1に係るマット材を管に巻き付けることによりマット材に割れが発生している。
比較例2に係るマット材は、多孔質シリカとチタニアのみからなり、柔軟性及び断熱性はまずまずであったが、鱗片状シリカを含んでいないため、密着性が不充分であった。
図9は、比較例2に係るマット材において、基材マットを構成する無機繊維と被覆層との界面近傍を撮影したSEM写真である。図9より明らかなように、鱗片状シリカを含まない被覆層は、基材マットを構成する無機繊維に全く密着していない。
1 基材マット
1a ニードル痕
2 被覆層
2a 鱗片状シリカ
10 密着性評価装置
11 マット材
12 マット材載置部
13 支柱
14 土台部
15 補助支柱
16 支持金具
17 蝶番
20 断熱性評価装置
22 ヒータ温度測定用サーモカップル
23 鋼板温度測定用サーモカップル
24 SUS鋼板
25 ヒータ温度制御用サーモカップル
26 抵抗発熱体(ヒータ)
27 断熱ブロック
28 スペーサ

Claims (5)

  1. 無機繊維からなる基材マットと、
    前記基材マットの表面に設けられ、鱗片状シリカと、鱗片状シリカ以外の球状、不定形、針状又は長球状の無機粒子とを含む被覆層とからなり、
    前記球状の無機粒子のアスペクト比は、1以上3未満であり、
    前記球状の無機粒子の平均粒子径は、0.5~100μmであり、
    前記不定形の無機粒子の平均粒子径は、0.5~100μmであり、
    前記針状の無機粒子のアスペクト比は、3以上であり、
    前記針状の無機粒子の平均短径は、0.5~10μm、平均長径は、1.5~100μmであり、
    前記長球状の無機粒子のアスペクト比は、3以上であり、
    前記長球状の無機粒子の平均短径は、0.5~10μm、平均長径は、1.5~100μmであり、
    前記球状、不定形、針状又は長球状の無機粒子は、多孔質シリカの無機粒子及びチタニアの無機粒子を含むことを特徴とするマット材。
  2. 前記鱗片状シリカと前記球状、不定形、針状及び長球状の無機粒子との合計重量に対する前記球状、不定形、針状及び長球状の無機粒子の合計重量割合が30~75重量%である請求項1に記載のマット材。
  3. 前記マット材を厚さ方向に貫通する貫通孔又は有底孔を備える請求項1又は2に記載のマット材。
  4. 前記鱗片状シリカと前記球状、不定形、針状及び長球状の無機粒子との合計重量に対する前記鱗片状シリカの重量割合が25~70重量%である請求項1~3のいずれか1項に記載のマット材。
  5. 前記被覆層中の一の鱗片状シリカと、前記一の鱗片状シリカと隣り合う他の鱗片状シリカとの間に球状、不定形、針状又は長球状の無機粒子が入り込んでいる請求項1~4のいずれか1項に記載のマット材。
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