JP7154080B2 - 機械部品 - Google Patents

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本発明は、機械部品に関する。より具体的には、本発明は、チタン合金製の機械部品に関する。
非特許文献1(M. A. Imam外1名、Fatigue and Microstructural Properties of Quenched Ti-6Al-4V、Metallurgical Transactions A、Volume 14A、1983年、第233頁)、非特許文献2(萩原益夫外3名、素粉末混合Ti-6Al-4V合金の疲労特性に及ぼす微視組織の影響、鉄と鋼、第76巻第12号、1990年、第2182頁)、非特許文献3(高橋等外3名、窒化した純チタンの疲労強度に及ぼす結晶粒径の影響、日本機械学会論文集(A編)、第59巻第567号、1993年、第2481頁)及び非特許文献4(ASM International、Material Properties Handbook: Titanium Alloy、1994年、第533頁)に記載されているように、チタン合金の疲労強度を改善するためには、チタン合金に含まれる結晶粒を微細化することが有効である。また、溶体化処理によりマルテンサイト相(α’相)をチタン合金中に生成することにより、チタン合金を高強度化することができる。このように、チタン合金に対して溶体化処理を行うことにより結晶粒を微細化するとともに、α’相を生成すれば、チタン合金の疲労強度を改善することが可能である。
しかしながら、α’相の生成を促進するために溶体化処理時の温度をチタン合金のβ単相変態点近傍にした場合、溶体化処理時に形成されるβ結晶粒が粗大化しやすい。その結果、冷却時にβ結晶粒から生成されるα’相、マッシブ相(αm相)、α相等の結晶粒が粗大化してしまう。そして、非特許文献1、非特許文献5(浜井升平外1名、β域溶体化後に過時効処理を施したTi-6Al-4V合金の機械的性質-溶体化処理温度、時間および焼入遅延時間の影響-、熱処理、第32巻第3号、1992年、第157頁)及び非特許文献6(浜井升平外1名、Ti-6Al-4V合金の機械的性質におよぼすβ域溶体化条件の影響、鉄と鋼、第78巻第2号、1992年、第319頁)に記載されているように、旧β結晶粒界にα相が生成され、チタン合金の機械的特性が低下する。
例えば、非特許文献1に記載されているように、1065℃の保持温度で10分間保持した後に水冷を行った場合、保持温度を900℃以上930℃以下とした場合と比較し、引張伸びが数パーセント程度になり、疲労強度も著しく減少する。
M. A. Imam外1名、Fatigue and Microstructural Properties of Quenched Ti-6Al-4V、Metallurgical Transactions A、Volume 14A、1983年、第233頁 萩原益夫外3名、素粉末混合Ti-6Al-4V合金の疲労特性に及ぼす微視組織の影響、鉄と鋼、第76巻第12号、1990年、第2182頁 高橋等外3名、窒化した純チタンの疲労強度に及ぼす結晶粒径の影響、日本機械学会論文集(A編)、第59巻第567号、1993年、第2481頁 ASM International、Material Properties Handbook: Titanium Alloy、1994年、第533頁 浜井升平外1名、β域溶体化後に過時効処理を施したTi-6Al-4V合金の機械的性質-溶体化処理温度、時間および焼入遅延時間の影響-、熱処理、第32巻第3号、1992年、第157頁 浜井升平外1名、Ti-6Al-4V合金の機械的性質におよぼすβ域溶体化条件の影響、鉄と鋼、第78巻第2号、1992年、第319頁
上記のように、チタン合金の機械的特性を改善するためには、チタン合金に含まれる結晶粒径及びそのような結晶粒径を実現するための溶体化処理の条件が重要となる。しかしながら、現在のところ、それらの知見は明らかになっていない。
本発明は、上記のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものである。より具体的には、本発明は、機械的特性が改善されたチタン合金製の機械部品及びその製造方法を提供するものである。
本発明の一態様に係る機械部品は、チタン合金製である。チタン合金は、α’結晶粒を含む複数の結晶粒を有している。結晶粒は、第1群と、第2群とに区分されている。第1群に属する結晶粒の結晶粒径の最小値は、第2群に属する結晶粒の結晶粒径の最大値よりも大きい。第1群に属する結晶粒の総面積を結晶粒の総面積で除した値は、0.7以上である。第1群に属する結晶粒径が最も小さい結晶粒を除いた第1群に属する結晶粒の総面積を結晶粒の総面積で除した値は、0.7未満である。第1群に属する結晶粒の平均粒径は6μm以下である。
上記の機械部品において、チタン合金は、64チタン合金であってもよい。上記の機械部品において、硬さは、350Hv以上であってもよい。上記の機械部品において、引張降伏強度が950MPa以上であり、かつ、引張伸びが10パーセントを超えていてもよい。上記の機械部品において、引張伸びが15パーセント以上であってもよい。上記の機械部品において、疲労強度は、650MPa以上であってもよい。
本発明の一態様に係る機械部品によると、チタン合金製の機械部品の機械的特性を改善することができる。
実施形態に係る機械部品の製造方法を示す工程図である。 溶体化処理工程S2が行われる前における試験片のEBSD画像である。 第1条件にしたがって溶体化処理工程S2が行われた後における試験片のEBSD画像である。 第2条件にしたがって溶体化処理工程S2が行われた後における試験片のEBSD画像である。 第3条件にしたがって溶体化処理工程S2が行われた後における試験片のEBSD画像である。 試験片を構成するチタン合金中の第1群に属する結晶粒の平均粒径と試験片の硬さとの関係を示すグラフである。 加熱保持工程S21における保持温度と試験片の硬さとの関係を示すグラフである。 加熱保持工程S21における保持温度と試験片を構成するチタン合金中の第1群に属する結晶粒の平均粒径との関係を示すグラフである。 加熱保持工程S21における保持温度と試験片を構成するチタン合金中における第1群に属する結晶粒の平均アスペクト比との関係を示すグラフである。 試験片に対して行われた引張試験における応力ひずみ曲線である。
本発明の実施形態の詳細を、図面を参照しながら説明する。なお、以下においては、同一又は重複する部分に同一の参照符号を付し、重複する説明は繰り返さない。
(実施形態に係る機械部品の構成)
以下に、実施形態に係る機械部品の構成を説明する。
実施形態に係る機械部品は、チタン合金製である。実施形態に係る機械部品を構成するチタン合金は、α型合金及びα+β型チタン合金のいずれかである。
α型のチタン合金とは、常温においてα相単相組織を呈するチタン合金である。α+β型のチタン合金とは、常温においてα相及びβ相で構成される2相組織を呈するチタン合金である。なお、α相とは、hcp(hexagonal closed pack)構造のチタンの低温相であり、β相とは、fcc(face centered cubic)構造のチタンの高温相である。
実施形態に係る機械部品を構成するチタン合金は、好ましくは、ASTM規格(B348-13 GR.5)に定められたTi-6Al-4V合金(以下においては、「64チタン合金」という)である。表1には、64チタン合金の組成が示されている。表1に示されるように、64チタン合金は、5.50重量パーセント以上6.75重量パーセント以下のアルミニウム、3.50重量パーセント以上4.50重量パーセント以下のバナジウム、0.40重量パーセント以下の鉄、0.08重量パーセント以下の炭素、0.05重量パーセント以下の窒素、0.015重量パーセント以下の水素及び0.20重量パーセント以下の酸素を含有している。なお、64チタン合金の残部は、チタンである。64チタン合金は、α+β型合金の一種である。
Figure 0007154080000001
実施形態に係る機械部品を構成するチタン合金は、複数の結晶粒を含んでいる。これらの結晶粒は、α’相の結晶粒(α’結晶粒)、α相の結晶粒(α結晶粒)及びβ相の結晶粒(β結晶粒)のいずれかである。なお、α’相とは、後述する冷却工程S22においてβ相から生成される非平衡相である。
各々の結晶粒は、結晶方位により識別される。より具体的には、ある結晶粒の結晶方位と当該結晶粒に隣接する別の結晶粒の結晶方位とのずれが15°未満である場合には、それらの結晶粒は、1つの結晶粒と見做される。他方で、ある結晶粒の結晶方位と当該結晶粒に隣接する別の結晶粒の結晶方位とのずれが15°以上である場合には、それらの結晶粒は、別々の結晶粒と見做される。なお、結晶方位の測定(各々の結晶粒界の特定)は、例えば、EBSD(Electron Back Scatter Diffraction)法を用いて行われる。
実施形態に係る機械部品を構成するチタン合金に含まれる結晶粒は、第1群と、第2群とに区分されている。第1群に属する結晶粒の結晶粒径の最小値は、第2群に属する結晶粒の最大値よりも大きい。また、第1群に属する結晶粒の総面積を結晶粒の総面積で除した値は、0.7以上である。第1群に属する最も結晶粒径が小さい結晶粒を除いた第1群に属する結晶粒の総面積を結晶粒の総面積で除した値は、0.7未満である。
このことを別の観点からいうと、実施形態に係る機械部品を構成するチタン合金に含まれる結晶粒は、降順に(つまり、結晶粒径が大きいものから順番に)第1群に割り当てられる。そして、それまでに第1群に割り当てられた結晶粒の総面積が結晶粒の総面積の0.7倍をはじめて超えた段階で、第1群への割り当てを停止し、残余の結晶粒が第2群に割り当てられる。
第1群に属する結晶粒の平均粒径は、6μm以下である。第1群に属する結晶粒の平均粒径は、5μm以下であることが好ましい。第1群に属する結晶粒の平均粒径は、4.5μm以下であることがさらに好ましい。第1群に属する結晶粒の平均アスペクト比は、2.9以上であることが好ましい。
結晶粒の結晶粒径及びアスペクト比は、EBSD(Electron Back Scattered Diffraction)法を用いて測定される。より具体的には、以下のとおりである。第1に、EBSD法に基づいて、実施形態に係る機械部品を構成するチタン合金の断面画像が撮影される(以下においては、「EBSD画像」という)。EBSD画像は、十分な数(例えば、20個以上)の結晶粒が含まれるように撮影される。EBSD画像に基づいて、隣接する結晶粒の境界が特定される。
第2に、特定された結晶粒の境界に基づいて、EBSD画像に表示されている各々の結晶粒の面積及び形状が算出される。より具体的には、EBSD画像に表示されている各々の結晶粒の面積をπ/4で除した値の平方根を計算することにより、EBSD画像に表示されている各々の結晶粒の円相当径が算出される。
上記のように算出された各々の結晶粒の円相当径に基づき、EBSD画像に表示されている結晶粒のうち、第1群に属する結晶粒が決定される。第1群に分類されたEBSD画像に表示されている結晶粒の円相当径の合計を第1群に分類されたEBSD画像に表示されている結晶粒の個数で除した値が、第1群に属する結晶粒の平均粒径とされる。
EBSD画像に表示されている各々の結晶粒の形状から、EBSD画像に表示されている各々の結晶粒の形状が楕円近似される。この楕円形状において、長軸の寸法を短軸の寸法で除することにより、EBSD画像に表示されている各々の結晶粒のアスペクト比が算出される。EBSD画像に表示されている第1群に分類された結晶粒のアスペクト比の合計をEBSD画像に表示されている第1群に分類された結晶粒の個数で除した値が、第1群に属する結晶粒の平均アスペクト比とされる。
実施形態に係る機械部品の硬さ(つまり、実施形態に係る機械部品を構成するチタン合金の硬さ)は、350Hv以上であることが好ましい。なお、実施形態に係る機械部品の硬さは、JIS規格(JJS Z 2244:2009)に規定された方法にしたがって測定される。
実施形態に係る機械部品の引張降伏強度は、950MPa以上であることが好ましい。実施形態に係る機械部品の引張降伏強度は、JIS規格(JIS Z 2241:2011)に規定された方法にしたがって測定される。実施形態に係る機械部品の引張伸びは、10パーセント以上であることが好ましい。実施形態に係る機械部品の引張伸びは、15パーセント以上であることがさらに好ましい。実施形態に係る機械部品の引張伸びは、伸び計により測定される。実施形態に係る機械部品の疲労強度は、650MPa以上であることが好ましい。実施形態に係る機械部品の疲労強度は、JIS規格(JIS Z 2274:1978)に規定された方法にしたがって測定される。
(実施形態に係る機械部品の製造方法)
以下に、実施形態に係る機械部品の製造方法を説明する。
図1は、実施形態に係る機械部品の製造方法を示す工程図である。図1に示されるように、実施形態に係る機械部品の製造方法は、準備工程S1と、溶体化処理工程S2とを有している。
準備工程S1においては、溶体化処理工程S2を経ることにより実施形態に係る機械部品となる加工対象部材が準備される。加工対象部材は、チタン合金製である。加工対象部材を構成するチタン合金は、α型合金及びα+β型合金のいずれかである。好ましくは、加工対象部材を構成するチタン合金は、64チタン合金である。
溶体化処理工程S2においては、加工対象部材に対する溶体化処理が行われる。溶体化処理工程S2は、加熱保持工程S21と、冷却工程S22とを含んでいる。冷却工程S22は、加熱保持工程S21の後に行われる。
加熱保持工程S21は、加工対象部材を、所定の温度(保持温度)において所定の時間(保持時間)保持することにより行われる。これにより、加工対象部材を構成するチタン合金に含まれるα結晶粒の少なくとも一部が、β結晶粒となる。
冷却工程S22においては、加熱保持工程S21を経た加工対象部材に対する冷却が行われる。これにより、加熱保持工程S21において形成されたβ結晶粒から、α’結晶粒が生成される。
(実施形態に係る機械部品の効果)
以下に、実施形態に係る機械部品の効果を説明する。
実施形態に係る機械部品を構成するチタン合金中においては、第1群に属する結晶粒の平均粒径が6μm以下となっている。すなわち、実施形態に係る機械部品を構成するチタン合金は、相対的に微細な結晶粒径のα’結晶粒、α結晶粒を含有している。そのため、実施形態に係る機械部品は、引張降伏応力、引張伸び、硬さ、疲労強度といった機械的特性が改善されている。
(実施例)
以下に、本発明の実施例を説明する。
<試験片>
試験片として、チタン合金製の板状部材が準備された。この板状部材を構成するチタン合金は、64チタン合金である。この板状部材は、長さ10mm、幅1.5mm、厚さ1mmの寸法を有している。
<熱処理条件>
表2に示されるように、加熱保持工程S21における保持温度は、850℃から1020℃の範囲で変化させた。加熱保持工程S21における保持時間は20分とされた。冷却工程S22における冷却速度は、5℃/秒から216℃/秒の範囲で変化させた。
Figure 0007154080000002
<組織観察結果>
図2は、溶体化処理工程S2が行われる前における試験片のEBSD画像である。図2に示されるように、溶体化処理工程S2が行われる前においては、試験片を構成するチタン合金は、主として楕円形状のα結晶粒で構成されていた。
保持温度が940℃であり、かつ、冷却速度が155℃/秒である場合を、第1条件という。保持温度が980℃であり、かつ、冷却速度が184℃/秒である場合を、第2条件という。保持温度が1020℃であり、かつ、冷却速度が156℃/秒である場合を、第3条件という。図3は、第1条件にしたがって溶体化処理工程S2が行われた後における試験片のEBSD画像である。図4は、第2条件にしたがって溶体化処理工程S2が行われた後における試験片のEBSD画像である。図5は、第3条件にしたがって溶体化処理工程S2が行われた後における試験片のEBSD画像である。
図3~図5に示されるように、保持温度が上昇するにしたがい、試験片を構成するチタン合金中において、楕円形状のα結晶粒が減少しており、針状形状のα’結晶粒が増加していた。
<硬さ試験結果>
図6は、試験片を構成するチタン合金中の第1群に属する結晶粒の平均粒径と試験片の硬さとの関係を示すグラフである。図6中において、横軸は第1群に属する結晶粒の平均粒径の逆数の平方根(単位:μm-1/2)であり、縦軸は硬さ(単位:Hv)である。図6に示されるように、試験片の硬さは、第1群に属する結晶粒の平均粒径が小さくなるほど、上昇していた。試験片の硬さは、第1群に属する結晶粒の平均粒径が6μm以下の範囲内において(第1群に属する結晶粒の平均粒径の逆数の平方根が0.40μm-1/2以下の範囲内において)、350Hv以上となっていた。
図7は、加熱保持工程S21における保持温度と試験片の硬さとの関係を示すグラフである。図7中において、横軸は加熱保持工程S21における保持温度の逆数(単位:10/K)であり、縦軸は試験片の硬さ(単位:Hv)である。図7に示されるように、試験片の硬さは、冷却速度が高いほど上昇していた。これは、冷却速度が高いほど、生成されるα’結晶粒が微細化されるとともに、生成されるα’結晶粒の生成量が増加するためであると考えられる。
<平均粒径測定結果>
図8は、加熱保持工程S21における保持温度と試験片を構成するチタン合金中の第1群に属する結晶粒の平均粒径との関係を示すグラフである。なお、図8中において、横軸は加熱保持工程S21における保持温度の逆数(単位:10/K)であり、縦軸は試験片を構成するチタン合金中における第1群に属する結晶粒の平均粒径(自然対数表示)である。
図8に示されるように、加熱温度が940℃までの範囲では、加熱温度を上昇させることにより、第1群に属する結晶粒の平均粒径が減少していた。他方で、加熱温度が940℃以上の範囲では、加熱温度を上昇させることにより、第1群に属する結晶粒の平均粒径が増加していた。同一の加熱温度で比較した場合、冷却速度が増加するほど、第1群に属する結晶粒の平均粒径が減少していた。これは、冷却速度が高いほど、生成されるα’結晶粒が微細化されるとともに、生成されるα’結晶粒の生成量が増加するためであると考えられる。
より具体的には、加熱保持工程S21における保持温度が940℃以上1020℃以下の範囲内においては、冷却工程S22における冷却速度が50℃/以上であれば、第1群に属する結晶粒の平均粒径が6μm以下となっていた。
<平均アスペクト比測定結果>
図9は、加熱保持工程S21における保持温度と試験片を構成するチタン合金中における第1群に属する結晶粒の平均アスペクト比との関係を示すグラフである。なお、図9中において、横軸は加熱保持工程S21における保持温度の逆数(単位:10/K)であり、縦軸は試験片を構成するチタン合金中における第1群に属する結晶粒の平均アスペクト比(自然対数表示)である。図9に示されるように、加熱保持工程S21における保持温度が上昇するほど、第1群に属する結晶粒の平均アスペクト比が大きくなっていた。
<引張試験結果>
図10は、試験片に対して行われた引張試験における応力ひずみ曲線である。図10中において、横軸はひずみであり、縦軸は応力(単位:MPa)である。引張試験に供された試験片に対する熱処理では、保持温度が980℃とされた。なお、引張試験に供された試験片を構成するチタン合金中において、第1群に属する結晶粒の平均粒径は4.1μmであった。図10に示されるように、上記の引張試験において、試験片は、約1000MPaの引張降伏応力、約18パーセントの引張伸びを示した。
以上のように、加熱保持工程S21における保持温度を940℃以上980℃以下とするとともに、冷却工程S22における冷却速度を50℃/秒以上とすることにより、実施形態に係る機械部品を構成するチタン合金中において、第1群に属するα’結晶粒を含む結晶粒の平均粒径を6μm以下とすることができることが実験的に明らかにされた。さらに、その場合には、実施形態に係る機械部品の硬さが350Hv以上にできること、実施形態に係る機械部品の引張降伏応力を950MPa以上にできること及び実施形態に係る機械部品の引張伸びを10パーセントを超えるようにできることも、同様に実験的に明らかにされた。
以上のように本発明の実施形態について説明を行ったが、上述の実施形態を様々に変形することも可能である。また、本発明の範囲は、上述の実施形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むことが意図される。
上記の実施形態は、チタン合金製の機械部品及びチタン合金製の機械部品の製造方法に特に有利に適用される。
S1 準備工程、S2 溶体化処理工程、S21 加熱保持工程、S22 冷却工程。

Claims (5)

  1. チタン合金製の機械部品であって、
    前記チタン合金は、α’結晶粒を含む複数の結晶粒を有しており、
    前記結晶粒は、第1群と、第2群とに区分されており、
    前記第1群に属する前記結晶粒の結晶粒径の最小値は前記第2群に属する前記結晶粒の結晶粒径の最大値よりも大きく、
    前記第1群に属する前記結晶粒の総面積を前記結晶粒の総面積で除した値は、0.7以上であり、
    前記第1群に属する結晶粒径が最も小さい前記結晶粒を除いた前記第1群に属する前記結晶粒の総面積を前記結晶粒の総面積で除した値は、0.7未満であり、
    前記第1群に属する前記結晶粒の平均粒径は6μm以下であ
    前記チタン合金は、64チタン合金であり、
    前記第1群に属する前記結晶粒の平均アスペクト比は、2.9以上である、機械部品。
  2. 硬さが350Hv以上である、請求項に記載の機械部品。
  3. 引張降伏強度が950MPa以上であり、かつ、引張伸びが10パーセントを超える、請求項1又は請求項に記載の機械部品。
  4. 引張伸びが15パーセント以上である、請求項に記載の機械部品。
  5. 疲労強度が650MPa以上である、請求項1~請求項のいずれか1項に記載の機械部品。
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