JP7144411B2 - ペリリルアルコール-3-ブロモピルベート複合体及びがんの治療方法 - Google Patents

ペリリルアルコール-3-ブロモピルベート複合体及びがんの治療方法 Download PDF

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Description

本発明は、ペリリルアルコールの3-ブロモピルベートとの新規な複合体、並びにがんの治療での当該化合物の使用に関するものである。
ペリリルアルコール(「POH」)は、モノテルペンであり、キャラウェー、ラベンダー及びライラックオイル、チェリー類、クランベリー類、セージ、スペアミント、セロリ種子、及びある種の他の植物の天然構成成分である[1]。このモノテルペンが、細胞培養での腫瘍細胞の増殖を阻害し、各種動物腫瘍モデルにおいて、がん予防及び治療活性を発揮し得たことを示す研究所見によって([2]における詳細な参考文献を参照する)、この化合物に医学的関心が寄せられるようになった。それの作用機序には、Ras腫瘍性タンパク質機能の阻害が関与すると考えられたが[3]、より最近の研究により、それの生物学的効果に介在する可能性がある別の細胞内標的、例えばテロメラーゼ[4]、ラパマイシンの哺乳動物標的(mTOR)[5,6]、及びナトリウム/カリウムアデノシントリホスファターゼ(Na/K-ATPase)[7]が明らかになってきた。本発明者ら自身の前臨床試験で、本発明者らは、POH誘発腫瘍細胞死の重要な要素としての小胞体(ER)ストレスを確認した[8]。
当初、がん患者でのPOHの活性を調べる臨床試験はほとんど奏功せず、それは主として、全身活性に必要な極めて高い経口用量(グラム量)から生じる消化管毒性によるものである[9-13]。他方、POHは、鼻腔内吸入送達によって比較的低用量を与えた場合に有効かつ非常に良好に耐容された。即ち、再発性悪性神経膠腫患者でのI/II相試験において、この別途経路によってPOHを投与した場合に活性が高くなり、腫瘍サイズの退行があった[14-16]。これらの後者の試験で、4年以上にわたって治療を受けた患者であってもPOH治療の副作用はほとんど存在せず[16]、それは、鼻腔内送達が、(i)経口POHの用量制限性制約を回避し、(ii)かなり低い全体用量で活性を発揮することを示していた。本発明者ら自身の前臨床試験において、本発明者らは、鼻腔内投与POHが、薬剤耐性神経膠芽腫の頭蓋内マウスモデルでかなりの治療活性を発揮することを示した[8]。
3-ブロモピルベート(3-bromopyruvate)(3-BP、3-ブロモピルビン酸)は、3-ブロモピルビン酸のアルカリ型である。
Figure 0007144411000001
それは、ピルベート(ピルビン酸)の合成ハロゲン化誘導体を代表するものであり、いくつかの細胞内代謝経路における主要な中間体である。3-BPは、高反応性求電子アルキル化剤[17]として作用し、システイン含有タンパク質におけるチオール基などの受容性標的のピルビン酸化を生じる[18,19]。例えば、解糖経路でのヘキソキナーゼII(HK-II)[20]及びグリセルアルデヒド-3-ホスフェートデヒドロゲナーゼ(GAPDH)[21,22]、及びトリカルボン酸回路及びミトコンドリア呼吸でのコハク酸デヒドロゲナーゼ(SDH)[21]など、多くの酵素が、3-BPの標的として認識されている。3-BPによるこれらの酵素の阻害によって、細胞エネルギーの生産及びATPプールの欠乏を生じて、細胞死に至る[23]。
3-BPは、複数の前臨床モデルで抗がん活性を示している。それの抗がん作用機序は、エネルギー停止、反応性酸素ラジカルの産生、及び細胞内シグナル伝達の阻害の組み合わせからなると考えられる[17,24-27]。この化合物の腫瘍特異性は、解糖経路におけるHK-II及びGAPDHの腫瘍特異的上昇及びそれへの依存性によるものである(ワールブルク効果)[20]。従って、これらの標的の阻害は、優先的に、腫瘍細胞に影響する。他の説明には、正常細胞と比較して腫瘍細胞でより高度に発現されると考えられるモノカルボン酸輸送体1(MCT-1)[28]などのピルベート-乳酸輸送体を介した3-BPの腫瘍特異的取り込みなどがある[29-31]。
異種移植動物腫瘍モデルにおいて、3-BPは、ウサギ[32]、ラット[33]及びマウス[34]での肝細胞癌に対する治療効力を示した。調べた他のイン・ビボ腫瘍モデルは、ラットでの乳癌[35]及びマウスでの自然発生膵臓癌[36]、結腸癌[37]、中皮腫[38]及びリンパ腫[39]であった。エアロゾル化した3-BPにより、発癌物質ベンゾ(a)ピレンに曝露されたマウスの肺における腫瘍多様性及び腫瘍負荷が低下し[40]、マイクロカプセル化3-BPによって、同所性膵臓がんマウスモデルでの腫瘍進行が予防され[41]、ウェハにより、ラット脳での神経膠腫療法のための3-BPの局所頭蓋内送達が可能となった[42]。さらに、3-BPは、イン・ビトロ及びイン・ビボで、ある種の化学療法剤と併用した場合に、化学増感効果を示している([23]での参考文献参照)。
臨床使用に基づくと、3-BP治療を受けた患者の2症例の報告がある[25,43]。一つの研究では、線維層板型肝細胞癌の若い成人がん患者に、3-BPによる反復治療を行い、それは、経カテーテル動脈化学塞栓(TACE)法によって送達したものであり、良好に耐容された。その患者は最終的に死亡したが、予想よりかなり長く生存した[43]。他方の患者は、ステージIV転移性メラノーマを呈する28歳男性であり、3-BPの静脈注入を受けた。この治療は、毒性が非常に低いように見えたが、それの抗がん効力は低く、患者は最終的に死亡した[25]。
本発明の1態様では、
a.下記のものであるペリリルアルコール及び3-ブロモピルベートの複合体:
Figure 0007144411000002
[3-ブロモ-2-オキソ-プロピオン酸4-イソプロペニル-シクロヘキサ-1-エンイルメチルエステル]、又は
b.それの薬学的に許容される塩
が提供される。
第2の実施形態集合において、本発明は、3-ブロモ-2-オキソ-プロピオン酸4-イソプロペニル-シクロヘキサ-1-エンイルメチルエステルを含む医薬組成物に関するものである。これらの実施形態の一部において、その医薬組成物はさらに、薬学的に許容される賦形剤を含む。
第3の実施形態集合において、本発明は、処置を必要とする患者でのがんの治療方法であって、当該患者に対して、治療上有効量の3-ブロモ-2-オキソ-プロピオン酸4-イソプロペニル-シクロヘキサ-1-エンイルメチルエステルを投与することを含む方法に関するものである。これらの実施形態の一部において、前記がんは、肺がん、耳、鼻及び咽頭のがん、白血病、結腸がん、メラノーマ、膵臓がん、乳がん、前立腺がん、乳がん、造血系がん、子宮がん、基底細胞がん、胆道がん;膀胱がん;骨肉腫;乳がん;子宮頸がん;絨毛癌;結腸及び直腸がん;結合組織がん;消化系のがん;子宮内膜がん;食道がん;眼がん;頭頸部がん;胃がん;上皮内新生物;腎臓がん;喉頭がん;急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病などの白血病;肝臓がん;ホジキン及び非ホジキンリンパ腫などのリンパ腫;骨髄腫;線維腫、神経芽細胞腫;口腔がん(例えば、口唇、下、口及び咽頭);子宮がん;膵臓がん;前立腺がん;網膜芽細胞腫;横紋筋肉腫;直腸がん;腎臓がん;呼吸器系のがん;肉腫;皮膚がん;胃がん;睾丸がん;甲状腺がん;子宮がん及び泌尿器系のがんからなる群から選択される。
第4の実施形態集合において、本発明は、3-ブロモ-2-オキソ-プロピオン酸4-イソプロペニル-シクロヘキサ-1-エンイルメチルエステルの合成方法であって、
1,1-ジクロロジメチルエーテルをブロモピルビン酸と反応させて、3-ブロモピルビン酸クロライドを形成すること;及び
3-ブロモピルビン酸クロライドをペリリルアルコールと反応させて、3-ブロモ-2-オキソ-プロピオン酸4-イソプロペニル-シクロヘキサ-1-エンイルメチルエステルを形成すること
を含む方法に関するものである。
これらの実施形態の一部において、1,1-ジクロロジメチルエーテルをブロモピルビン酸と反応させる前記段階は、約0~約20℃の温度で行う。一部の実施形態において、3-ブロモピルビン酸クロライドをペリリルアルコールと反応させる前記段階は、約-10~約10℃の温度で行う。一部の実施形態において、3-ブロモピルビン酸クロライドをペリリルアルコールと反応させる前記段階は、重炭酸ナトリウム及びn-ヘプタンの存在下に行う。
第5の実施形態集合において、本発明は、前記第4の実施形態集合内の方法のいずれかによる方法の生成物に関するものである。
図1は、NEO218、ペリリルアルコール(POH)及び3-ブロモ-ピルベート(3-BP)の化学構造を示す図である。NEO218は、POHを3-BPに共有結合的に結合させることで得られる。 図2は、NEO218及び3-BPについての6種類の異なる細胞系のそれぞれにおけるMTTアッセイから得られる細胞生存率-薬剤濃度のプロットを示す図である。 図3は、3-BP、NEO218及び3-BP+POHについての4種類の異なる細胞系のそれぞれにおけるMTTアッセイから得られる細胞生存率-薬剤濃度のプロットを示す図である。 図4パネル(a)~(d)は、3種類の細胞系のそれぞれにおける3-BP、NEO218及び3-BP+POHのそれぞれについてのLDH放出/毒性-薬剤濃度のプロットを示し、パネル(e)は固定濃度の3-BP及びNEO218についてのLDH放出/毒性-時間のプロットを示す図である。 図5は、コロニー形成アッセイ(CFA)から得られた二つの細胞系のそれぞれにおける、3-BP、NEO218及び3-BP+POHのそれぞれについてのコロニーパーセント-薬剤濃度のプロットを示す図である。 図6は、スタウロスポリン及びNEO218による治療の効果を比較する、3-BP及びNEO218で処理した3種類の細胞系におけるアポトーシスマーカーの存在についてのウェスタンブロット分析を示す図であり、左側パネルは濃度基準であり、右側パネルは時間基準である。 図7は、zVADを含む場合及び含まない場合のNEO218及び3-BPの両方についての細胞生存率-薬剤濃度のプロットを示す図である。 図8は、未処理細胞、並びに3-BP、NEO218及びスタウロスポリンで処理した細胞のアネキシンV及びPIについてのFACS分析の結果の時系列分析を示す図である。 図9左側パネルは、処理3時間後の結腸がん細胞における%ATP含有率のヒストグラムであり;右側パネルは、NEO218及び3-BPについての%ATP-薬剤濃度のプロットである。 図10は、NAC及びGSHを含む場合及び含まない場合のNEO218及び3-BPについての細胞生存率-薬剤濃度のプロットを示す図である。 図11は、ピルベートを含む場合及び含まない場合のNEO218及び3-BPについての細胞生存率-薬剤濃度のプロットを示す図である。 図12の上側パネルは、NEO218及び3-BPについてのGAPDH活性-薬剤濃度のプロットを示す図であり;下側パネルは、NACを含む、GSHを含む、そしていずれも含まないNEO218及び3-BPについてのGAPDH活性のヒストグラムを示す図である。 図13は、GAPDHタンパク質のアミノ配列(一文字コードで)を示す図であり、マークを施してシステイン残基の存在を示している。 図14は、ウェスタンブロットで示されたMCT1の相当する発現レベルにわたって並べた、いくつかの細胞系でのNEO218及び3-BPのそれぞれについての細胞傷害性IC50を示す図である。 図15は、異種移植マウスモデルでのNEO218及び3-BPのそれぞれについての腫瘍サイズ-時間のプロットを示す図である。 図16A~16C。MCT-1発現は、3-BP化学感受性と相関している。次の確立されたヒト細胞系を用いた:(A)HCT116結腸癌;(B)LN229、T98G、及びU251神経膠芽腫;(C)MCF7、MDA-MB-231、MDA-MB-468、BTM-12、及びT47D乳癌;及びME16C正常乳腺上皮細胞(テロメラーゼで不死化)。棒グラフは、24時間MTTアッセイによって求めた、3-BP(明灰色)又はNEO218(暗灰色)による薬剤処理の24時間後の各細胞系についての細胞傷害性IC50を示す図である。エラーバー付きのバーは、3以上の測定値を表し、エラーバーのないグラフは二つの独立の測定値の平均を示す。中央のパネルは、負荷対照としてアクチンを用いるウェスタンブロットによって求めた、各細胞系についてのMCT-1タンパク質レベルを示す図である。 図17A~17C。3-BP及びNEO218は、異なる細胞傷害性効果を発揮する。HCT116(MCT-1陽性)及びMDA-MB-231(MCT-1陰性)細胞を、3-BP(菱形)又はNEO218(円形)の濃度を上昇させながら処理した。(A)MTTアッセイを24時間後に行った。未処理細胞の生存率を100%に設定した(n=3)。(B)LDHアッセイを、16時間後に行った。未処理細胞によるLDH放出を1に設定した。相対的増加倍率を示している(n=3)。(C)48時間の薬剤処理、それに続く無薬剤でさらに10~14日後に形成された相対コロニー数を示している。未処理対照細胞からのコロニー数を100%に設定した(二つの独立の実験からの平均を示している)。全ての場合で、細胞には対照としてビヒクルのみの投与も行った。しかしながら、いずれのアッセイも、未処理若しくはビヒクル処理細胞間に差は見せなかった。 図18A~18C:3-BP+POHの混合は、複合体化NEO218の高効力を模倣することができない。MDA-MB-231細胞を、3-BP(菱形)、NEO218(円形)、POH(正方形)、又は3-BPのPOHとの等モル比混合(三角形)で、その濃度を上昇させながら処理した。(A)MTTアッセイを24時間後に行った。未処理細胞の生存率を100%に設定した(データ点は、二つの実験の平均である。)。(B)LDHアッセイを24時間後に行った。未処理細胞によるLDH放出を1に設定した。相対的増加倍率を示している(二つの実験からの平均)。(C)代表的な写真は、最初の48時間の薬剤処理後の代表的コロニー形成を示している。POHと混合した3-BP(3-BP+POH)による組み合わせ処理の全ての場合で、示した濃度は各個々の薬剤を指す。即ち、100μM 3-BP+POHは、100μM 3-BPを100μM POHと組み合わせたことを意味する。 図19A~19C:MCT-1ノックダウンは、3-BPに対する細胞感受性に影響するが、NEO218については影響しない。HCT116細胞を、MCT-1で標的化されるsiRNA(円形)、又はスクランブル対照(菱形)でトランスフェクションした。(A)3-BP及びNEO218に対する細胞感受性をMTTアッセイによって求めた。点線及び矢印は、IC50におけるシフトを示す。留意すべき点として、3-BP処理細胞では右側に顕著なシフトがあり(左側パネル)、それに対して、NEO218処理細胞では左側へのわずかなシフトがあった(右側パネル)。(B)MCT-1タンパク質レベルのノックダウンを、負荷対照としてアクチンを用いるウェスタンブロット分析によって確認した。(C)MCT-1ノックダウンも、免疫細胞化学によって、個々の細胞レベルで確認した。この二つの写真は同様に露出過剰として、MCT-1レベルにおける顕著な差を強調したものである。 図20A~20C:3-BP処理は、耐性細胞について、どれがNEO218に対して感受性のままであるかを選択するものである。(A)薬剤処理なしで(親細胞;左パネル)、及び40μM 3-BPによる高毒性48時間処理からの2週間回復後(3-BP生存細胞;右パネル)のHCT116細胞の免疫染色。矢印は、他の点ではMCT-1陽性親群中の少数の見かけ上MCT-1陰性細胞を示している。MCT-1の既知の膜貫通部位と一致する、陽性細胞における細胞膜の優先的染色を述べる;3-BP生存細胞において、そのような染色は全く検出できなかった。(B)3-BP濃度を上昇させながらの細胞の48時間処理2週間後のMCT-1発現レベルのウェスタンブロット分析。上記で示したIHC染色と一致して、40μM 3-BPによって、MCT-1タンパク質が喪失した。GAPDHを負荷対照として用いた。(C)MTTアッセイで、3-BP生存細胞の化学感受性を、親細胞と比較した。両方の群を、3-BP又はNEO218で、その濃度を上昇させながら処理した。未処理細胞の生存率を100%に設定した(n≧3±SE)。 図21A~21C:3-BP及びNEO218は壊死を引き起こす。(A)ビヒクル、30μM 3-BP、30μM NEO218、又は1μMスタウロスポリン(STS)による2、4又は8時間処理後のHCT116細胞のFACS分析。Y軸はヨウ化プロピジウム(PI)標識を示し、x軸はアネキシンV標識を示す。各正方形の上二つの象限は壊死細胞を示し、下側右の象限はアポトーシス細胞を示す。(B)アポトーシスマーカーのウェスタンブロット分析。上側部分では、MDA-MB-231細胞を、各種時間点で、30μM NEO218又は1μM STSで処理した。下側部分では、HCT116細胞を、示した濃度の3-BP、NEO218、又はSTSで16時間処理した。全ての場合で、細胞溶解物を調製し、確立されたアポトーシスマーカーである開裂PARP、開裂(即ち、活性化)カスパーゼ7(cl.C-7)、及びリン酸化(即ち、活性)H2AXに関して分析した。アクチンを、負荷対照として用いた。(C)HCT116細胞を、50μM Z-VAD-FMKで1時間前処理してから、3-BP又はNEO218で、それの濃度を上昇させながら加えた。24時間後に、MTTアッセイによって、細胞生存率を求めた。データ点は、n=3からの平均である。 図22:3-BP及びNEO218は、細胞ATPプールを枯渇させる。HCT116細胞を、40μM 3-BP又はNEO218で処理した。基準点として、細胞を、グルコース非含有培地で100nMにも曝露した。3時間後及び6時間後に、ATPレベルを求めた。未処理細胞におけるATPレベルを100%に設定した(26.6nmol/10細胞に相当)。 図23A~23C:追加の抗酸化剤は薬剤効果を遮断するが、加えたピルベートは異なる結果を生じる。(A)HCT116細胞を、1mM NAC、1mM GSH、又は50mMメチル-ピルベート(又はピルビン酸ナトリウム、これは同様の結果を生じた)の存在下又は非存在下に40μM 3-BP又はNEO218で処理した。細胞生存率を、24時間後にMTTアッセイによって求めた。(B)HCT116細胞を、30又は100μM 3-BP又はNEO218で処理した。30分後、細胞溶解物を調製し、GAPDH活性について分析した。(C)非薬剤処理MDA-MB-231細胞からの溶解物を、Aで挙げた濃度でNAC又はGSHの存在下又は非存在下に3-BP又はNEO218と混合した。1時間のインキュベーション後、GAPDH活性を求めた。薬剤処理なしでのGAPDH活性を100%に設定した(0.06単位/分×10細胞に相当)。 図24A~24C:NEO218は、GAPDH、GSH及びNACと直接相互作用する。NEO218の異なる標的との直接相互作用を、LC/MS分析によって分析した。(A)精製ウサギGAPDHタンパク質を、3-BP又はNEO218とともに15分間インキュベートし、次にLC/MS分析を行った。GAPDHタンパク質は、指定の位置で4個のシステイン(Cys)を含み、4個全てが3-BPの場合はピルベート部分で、そしてNEO218の場合はピルベート-ペリリルアルコール部分(pyrによって示される)で修飾されていることが確認された。(B)質量/電荷(m/z)値を528~529に制限したNEO218及びGSHの反応生成物の抽出イオンクロマトグラム(XIC)。そのクロマトグラム(挿入パネル)は、NEO218及びGSHの求核置換反応に相当する528.201(名目質量ピーク)の精密イオン質量を有する一価反応生成物の存在を示している。529.204のピークの位置及び相対的な大きさは、反応生成物の13C同位体ピークに相当する。(C)NACのNEO218との反応によって、イオンマップ(上側パネル)に示したいくつかの生成物が生じた。m/z539及び541の共溶出ツイン同位体が等しく分布しており(上側パネルにおける挿入図)、それを選択して、下側パネル中の二つのクロマトグラムに示したように、さらに分析した。
二つの異なる分子、3-ブロモピルベート(3-BP)及びペリリルアルコール(POH)を共有結合的に連結させることで、新規な化学物質を合成した。この化合物は、本明細書において、NEO218と称される場合がある。図1は、NEO218の化学構造を示している。
本明細書では、下記の略称を用いる。
c.3-BP:3-ブロモピルベート;
d.C7:カスパーゼ7;
e.Dox:ドキソルビシン;
f.FACS:蛍光活性化細胞分類;
g.GAPDH:グリセルアルデヒド-3-ホスフェートデヒドロゲナーゼ;
h.GSH:グルタチオン;
i.IC50:阻害濃度
j.50%;LDH:乳酸デヒドロゲナーゼ;
k.MCT1:モノカルボン酸輸送体1;
l.MTT:3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド;
m.NAC:N-アセチル-システイン;
n.NEO218:3-ブロモ-2-オキソ-プロピオン酸4-イソプロペニル-シクロヘキサ-1-エンイルメチルエステル;
o.PARP:ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ;
p.PI:ヨウ化プロピジウム;
q.POH:ペリリルアルコール;
r.STS:スタウロスポリン;及び
s.TMZ:テモゾロマイド。
実施例1:POH-ブロモピルベート(3-ブロモ-2-オキソ-プロピオン酸4-イソプロペニル-シクロヘキサ-1-エンイルメチルエステル)の製造
Figure 0007144411000003
1,1-ジクロロジメチルエーテル(2.5g、21.74mmol)を、温度を20℃以下に維持しながら、固体ブロモピルビン酸(1)にゆっくり加えた。得られたスラリーをゆっくり加熱して50℃とし、2.5時間攪拌した。得られた透明溶液を冷却し、過剰のジクロロジメチルエーテルを減圧下に濃縮して、95%より高い収率で3-ブロモピルビン酸クロライド(2)を得た。
3-ブロモピルビン酸クロライド(2.0g、10.78mmol)を、温度を10℃以下に維持しながら、ペリリルアルコール(3)(1.5g、9.85mmol)、重炭酸ナトリウム(11.90mmol)、及びn-ヘプタン(180mL)の冷混合物に加えた。混合物を10℃で20分間攪拌し、昇温させて室温とした。反応混合物を18時間攪拌し、水で反応停止した(75mL)。有機層を分離し、ブライン(75mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水した。濾過した有機層を減圧下に濃縮し、カラムクロマトグラフィー[ThomsonシングルStEP 40gカラム、カラム寸法:直径1.5cm、長さ:30cmを使用]によって精製し、ヘキサンで溶離した。類似の分画を合わせ、減圧下に濃縮して、3-ブロモ-2-オキソ-プロピオン酸4-イソプロペニル-シクロヘキサ-1-エンイルメチルエステル(4)を淡黄色油状物として得た。重量:0.7(24%)。%。H-NMR(400MHz、CDCl):δ1.47(m、1H)、1.74(s、3H)、1.85(m、3H)、2.02(m、2H)、2.16(m、4H)、3.85(s、2H)、4.56(s、2H)、4.74(d、2H)、5.81(brs、1H)。
前臨床試験
一連の前臨床イン・ビトロ及びイン・ビボ実験を行って、NEO218の強力な抗がん活性を特徴付けし、確立した。代表的な結果を下記で提供する。
イン・ビトロ腫瘍細胞評価
NEO218の腫瘍細胞殺滅力を、イン・ビトロ短期MTTアッセイ(代謝活性を求めることで細胞の生存率を測定する)、LDHアッセイ(細胞死滅を示す漏出細胞膜の指標としての乳酸デヒドロゲナーゼの放出を測定)、及びコロニー形成アッセイ(CFA、薬剤処理細胞の長期生存率及びそれらが子孫のコロニーを産む能力を求めるもの)によって特徴付けた。乳房のがん由来のいくつかの確立された細胞系を標的細胞として用い(MDA-MB-231;MDA-MB-468;T47D;MCF7;MCF7/Dox;BTB12)、脳(T98G;U251)、卵巣(A2780)、及び結腸(HCT116)の細胞系も用いた。いずれの場合も、培養細胞を、24時間又は48時間にわたり、薬剤濃度を上昇させながら、それに曝露した。
異なるがん種からの細胞系を、3-ブロモピルベート(3-BP)又はNEO218の濃度を上昇させながら、それによって処理した。48時間後、MTTアッセイによって、細胞生存率を測定した。MDA-MB-231及びT47Dは乳がん細胞であり;T98G及びU251は脳腫瘍(神経膠芽腫)細胞であり;HCT116は結腸がん細胞であり;A2780は子宮がん細胞である。図2は、MTTアッセイからの6種類の細胞系のそれぞれにおけるNEO218及び3-BPについての細胞生存率-薬剤濃度プロットを示す。
図示のように、NEO218は、全ての細胞系で、3-BPより強力ながん細胞殺滅効果を発揮し、それのIC50は15~40μMの範囲であった。これらの細胞系のうちの4種類において、NEO218と3-BPの細胞傷害性の間に非常に大きい差異があったが、他の2種類では、小さな差しかなかった。図2は、NEO218が3-BPより大きい抗がん効果を有することを示している。
異なる腫瘍細胞系を、POHと混合した3-BPで処理し、その効果を、NEO218の効果、並びに3-BP単独の効果と比較した。細胞を24時間処理してから、MTTアッセイを行って、細胞生存率を測定した。
図3は、3-BP、NEO218及び3-BP+POHについての、4種類の異なる細胞系のそれぞれにおけるMTTアッセイで得られた細胞生存率-薬剤濃度のプロットを示している。全ての場合で、その二つの構成成分の混合は、NEO218のかなり高い細胞傷害力を達成しなかった。むしろ、POHを3-BPに加えても、3-BP単独の場合と比べて傷害性の上昇はなかった。図3の下側パネルは、POH単独では強力な細胞傷害力は発揮されず、IC50を達するには500μM以上の濃度が必要であったことを示している。明らかに、NEO218は、他のいずれの処理よりもかなり強力であった。これらの結果は、NEO218の抗がん効果が、それの個々の成分を混合することで模倣され得ないという驚くべき所見に対するさらなる証拠を提供するものである。
3-BP、POH及び3-BP+POHと比較してNEO218が急速に細胞を殺滅する能力を、LDH放出を細胞死の代替指標として用いるLDHアッセイによって評価した。図4パネル(a~d)は、3種類の細胞系のそれぞれにおける、3-BP、NEO218及び3-BP+POHのそれぞれについてのLDH放出/毒性-薬剤濃度のプロットを示すものであり、パネル(e)は、固定濃度の3-BP及びNEO218についてのLDH放出/毒性-時間のプロットを示すものである。
図4において、パネル(a)及び(b)は、NEO218、3-BP、又はPOHと混合した3-BPの濃度を上昇させながらの、それによる乳がん細胞系の処理の結果を示している。パネル(c)は、結腸がん細胞のNEO218又は3-BPによる処理の結果を示している。パネル(d)は、POHの濃度を上昇させながらの、それによる二つの乳がん細胞系の処理の結果を示している。全ての場合a~dにおいて、LDHの放出(細胞死のマーカーとして)を24時間後に測定した。パネル(e)は、NEO218及び3-BP(個々に)による処理に応答したMDA-MB-231乳がん細胞におけるLDH放出の時間経過を示している。
パネル(a~b)に示されたように、3-BPのPOHとの混合は、NEO218のかなり高い毒性力に到達しない。HCT116細胞では、パネル(c)に示されたように、NEO218及び3-BPは同様の効力を発揮する。パネル(d)に示されたように、POH自体は、細胞殺滅(即ち、LDH放出)を達成するのにかなり高い濃度を必要とする。NEO218の細胞傷害効果は、パネル(e)に示されたように、薬剤処理開始後1時間という早い時点で検出することができ、細胞死の最大半量範囲には、8時間の前に到達する。
3-BP、POH及び3-BP+POHと比較した腫瘍細胞生存率及びコロニー形成に対するNEO218の効果を、コロニー形成アッセイ(CFA)によって評価した。細胞600個/培養ウェルを接種し、NEO218、3-BP、3-BP+POHの混合、又はPOH単独の濃度を上昇させながら、それに曝露させた。24時間後、全ての薬剤を細胞から除去し、新鮮な培地を加えた。10~15日後、生存細胞が子孫のコロニーを形成しており、それを染色及びカウントした。全ての数字を、薬剤処理を全く受けなかった設定で形成されたコロニーの数(100%に設定)と比較した。
図5は、CFAから得られた二つの細胞系のそれぞれにおける、3-BP、NEO218及び3-BP+POHのそれぞれについてコロニーパーセント-薬剤濃度のプロットを示している。データは、NEO218が細胞生存及びコロニー形成を強く防止し、IC50が<10μMであったことを示している。3-BPはかなり効力が低く、3-BPのPOHとの混合によって、3-BP単独による処理の場合より阻害効果が高くなるわけではない。POH自体はかなり効果がなく、図5の下右パネルに示したように、1000μMまでの濃度でIC50に達しなかった。
結果を図2~5によって表した全ての実験設定で、NEO218による細胞の処理により、3-BPによる処理より高い毒性が生じた。NEO218のIC50(細胞生存を50%だけ低下させる薬剤の能力)は、全ての細胞型で5~30μMの範囲であり、3-BPのIC50は10~200μMの範囲であった。注目すべき点として、細胞の一つの群が二つの薬剤に対する感受性において小さい差しか見せず、細胞の他方の群が非常に大きい差を示したという点で、明瞭な細胞型特異的な差があった。例えば、図2~5に示されたように、NEO218及び3-BPのIC50は、HCT116細胞と非常に類似していたが、全ての乳がん細胞はNEO218に対して感受性であったが、3-BPに対して抵抗性であった。
個別には、3-BP及びPOHはそれぞれ、細胞傷害能力を有する。しかしながら、驚くべきことに、NEO218の細胞傷害能力が、図3~5によって示したように、3-BP及びPOHの細胞傷害力の合計より大きいことが認められており、これが当てはまらないことを示している。POH単独では、細胞傷害力は非常に低く、IC50は全ての細胞で数百μMである。POHを3-BPに加えること、即ち、細胞を3-BP+POHの混合に曝露しても、NEO218のかなり高い効力に似せることはできず、これはNEO218の細胞傷害力がそれの構成部分の合計より大きいことを示している。
腫瘍細胞のパネルには、従来の化学療法剤に対して抵抗性であることが知られている二つの細胞系を含めた。例えば、T98G神経膠芽腫細胞は、悪性神経膠腫患者に関しての化学療法ケアの現在の標準であるテモゾロマイド(TMZ)に対して抵抗性である[44]。MCF7/Dox乳がん細胞は、ドキソルビシン及びいくつかの他の薬剤に対して抵抗性であり;実際、それらは多剤耐性(mdr)表現型を示す[45]。薬剤耐性表現型であったとしても、両細胞型ともNEO218によって効果的に殺滅され、それは、T98G細胞については図2に示され、MCF7/Dox細胞に関しては図3及び5に示されている。従って、NEO218が、非常に薬剤耐性であるがん細胞を効果的に死滅させることが明らかになった。
概して、細胞死の主たる機序は、アポトーシス及び壊死である。アポトーシス細胞死の確立されたマーカーは、カスパーゼ類の活性化であり、それはプロカスパーゼのそれの開裂(即ち、活性化)断片への変換によって明らかになり得る[46]。さらなるマーカーは、PARP(ポリ-(ADP-リボース)ポリメラーゼ)のタンパク質分解開裂[47]及び□-H2AXタンパク質の出現[48]である。これら全てのアポトーシス指標は、ウェスタンブロット分析によって検出することができる。
NEO218がアポトーシスを誘発する能力を、一連の実験で評価した。3種類の異なる細胞系を、3-BP及びNEO218で処理した。薬剤処理細胞を回収し、細胞溶解物を、下記の3種類の確立されたアポトーシスマーカーの存在に関して、ウェスタンブロットによって分析した。
開裂カスパーゼ7(cl.C7);
開裂(cl.)-全長(f.l.)PARP;及び
γ-H2AXの誘発(DNA開裂を示す)。
cl.C7及びcl.PARPの出現は、進行中のアポトーシスプロセスを示すものである。全ての場合で、溶解物について、対照としてのアクチンの存在も調べた。
2種類の乳がん細胞系(MCF7及びMDA-MB-231)及び1種類の結腸がん細胞系(HCT116)を、NEO218又は3-BPの濃度を上昇させながら、それによって処理した。対照として、それらを、既知の強力なアポトーシス誘発剤であるスタウロスポリン(STS)でも処理した[49]。アポトーシスマーカーの存在についてのウェスタンブロット分析を、図6の左側パネルに示している。STSによる処理によって、アポトーシスマーカーの顕著な出現が生じるが、NEO218又は3-BPによる処理ではそれはない。
スタウロスポリン及びNEO218による細胞処理の時間経過の結果を、図6の右側パネルに示している。細胞のスタウロスポリンによる処理が、3種類全てのアポトーシスマーカーの顕著な誘発を引き起こすことが示されている(アポトーシスを引き起こす薬剤から予想されるように)。それと比較して、NEO218は、これらの同じマーカーにほとんど影響せず、それは、NEO218処理細胞における生物学的に関連するアポトーシスがないことをさらに裏付けるものである。従って、NEO218が実質的にアポトーシスを回避することが明らかになっている。
NEO218がアポトーシスを誘発する能力を、MTTアッセイを用いる一連の実験でさらに評価した。汎カスパーゼ阻害剤として作用する薬剤であるアポトーシス遮断剤zVAD(z-VAD-FMK)を用いた。HCT116結腸がん細胞を、50μM zVADで又はそれを用いずに1時間処理し、次に、NEO218又は3-BPの濃度を上昇させながら、それによって処理した。それから24時間後、細胞生存率を、MTTアッセイによって求めた。
図7は、zVAD存在下及び非存在下で、NEO218(左側パネル)及び3-BP(右側パネル)の両方についての細胞生存率-薬剤濃度のプロットとしてのMTTアッセイの結果を示している。細胞のzVADによる前処理によって、NEO218又は3-BPによる細胞死誘発を防止せず、それは、これら2薬剤によって誘発される細胞死がカスパーゼ活性化などの代表的なアポトーシス機序に関与しなかったことを示しており、従って、NEO218が実質的にアポトーシスを回避するという所見を裏付けるものである。
アポトーシス機序がNEO218によって誘発される細胞死において重要な役割を果たしたことを示す指標がない場合は、壊死を、可能な主要機序として調べた。非薬剤処理細胞(対照として)と比較して、薬剤処理細胞のアネキシンV染色(アポトーシスのマーカー)及びPI(ヨウ化プロピジウム)染色(壊死のマーカー)を測定することで、アポトーシスと壊死細胞死の間の区別を行った。2、4若しくは8時間の処理後のFACS分析によって、アネキシンV及びPIの測定を行った。細胞をNEO218、3-BP、及びスタウロスポリン(個別に)によって処理し、ヨウ化プロピジウム(PI、壊死細胞死のマーカー)又はアネキシンV(アポトーシスのマーカー)の取り込みを蛍光活性化細胞分類によって求めた。
結果を、次のように図8に整理した:処理なし(最上列)、3-BP(第2列)、NEO218(第3列)、及びスタウロスポリン(最下列)。各個々の四角形(4象限からなる)は、生存細胞(左下象限)、アポトーシス細胞(右下象限)、及び壊死細胞(左上及び右上象限)のパーセントを示している。
NEO218(及び3-BP)は、PIの活発な取り込みを生じたが、アネキシンVの取り込みはほとんどなかった。逆に、スタウロスポリン処理によってアネキシンVの取り込みが生じたが、PIの取り込みはごくわずかであった。未処理細胞は、約90%生存率を示している。NEO218処理細胞及び3-BP処理細胞において、細胞の上側象限への大きさシフトがあり、それは、壊死が細胞死の主要なタイプであることを示している。対照的に、スタウロスポリン(既知のアポトーシス誘発剤)は細胞を右下に優先的にシフトさせ、それは、顕著なアポトーシスが主たるタイプの薬剤誘発細胞死であることを示している。従って、NEO218は、実質的に壊死によって細胞死を引き起こす。
総合すると、これらの結果は、アポトーシスではなく壊死が、NEO218による処理によって誘発される細胞死の主たる機序であることを示している。この結論は、細胞死の時間経過を観察することによってさらに裏付けられる。図8において、並びに図4(下側パネル)におけるLDH放出の時間経過において、NEO218は、細胞死をかなり急速に、即ち1~2時間以内に開始させる。急速な細胞死は、アポトーシス(通常、かなり遅い非常に組織化されたプロセスである)ではなく、壊死の徴候である。
NEO218が壊死細胞死を引き起こすことが確認されたので、この結果の原因となり得る異なる主要事象を調べた。細胞内ATPプールの約30%以下のレベル低下により、壊死細胞死が生じることが知られている[53,54]。これらの低ATPレベルでは、細胞は、必須の機能を維持することはできない。同様に、アポトーシスは、エネルギーを必要とする高度に組織化された「プログラムされた」プロセスであることから、これらの低ATPレベルもアポトーシスを防止し、代わりに、細胞は強制的に壊死することになる。従って、細胞エネルギーレベル、特にはATP(アデノシン三リン酸、細胞内エネルギー移動の主要単位)の量に対するNEO218の効果を調べた。
HCT116結腸がん細胞を、NEO218、3-BP;ロテノン(呼吸鎖を遮断するミトコンドリア毒);グルコースを含まない培地(「no gluc」;解糖を遮断するため);及び、無グルコースと組み合わせたロテノン(全ての細胞内ATP産生を停止するため)で処理した。処理3時間後、市販のATP検出アッセイキットを用いて、存在するATPの相対レベルを求めた。
結果を図9に示している。左側パネルは、未処理細胞の場合と比較した各処理経過から生じる%ATP含有率のヒストグラムを示している。
右側パネルは、NEO218及び3-BPについての%ATP-薬剤濃度のプロットである。
図9は、NEO218又は3-BPによる処理が細胞ATPプールのレベルを激減させ得ることを示している。このエネルギー消耗は、グルコース不在下でのロテノンによる細胞の処理によって達成される消耗と同様に有効であった。ロテノンはミトコンドリア呼吸の阻害剤であり;グルコースがないことで解糖流動が防止され;結果的に、細胞の増殖培地からのグルコース除去とロテノンの組み合わせによって、二つの中心的な細胞エネルギー産生経路である解糖及び呼吸の遮断に至るであろう。図9に示したように、NEO218処理に応答したATPレベルの低下は、呼吸阻害と組み合わせた解糖の遮断によって引き起こされる効果と同様であり、それは、NEO218によって引き起こされる強力なエネルギー消耗のベンチマークを提供するものである。この文脈で、NEO218が、細胞エネルギーの効率的消耗を介して、壊死細胞死を誘発すると結論付けることができる。
細胞ストレス条件、特には酸化的ストレスは、既知の腫瘍細胞死の要因である。この側面を調べるため、二つの強力な抗酸化剤であるNAC(N-アセチル-システイン)及びGSH(グルタチオン)を用いて、それらがNEO218誘発細胞死を低下させ得るか否かを求めた。NACは、アミノ酸であるシステインのN-アセチル誘導体であり;それは、アセトアミノフェン過量摂取を治療するのに用いられる医薬である[50]。GSHは、全ての細胞によって産生さえるトリペプチドである[51]。両方の化合物ともフリーラジカルを隔離することで、重要な細胞成分に対する損傷を防止する[52]。
腫瘍細胞を、NEO218又は3-BPと組み合わせて、NAC又はGSHで処理した。HCT116細胞を、5mM NAC又は1mM GSHの存在下又は非存在下に、NEO218及び3-BP(個別に)の濃度を上昇させながら、それによって処理した。24時間後、細胞生存率をMTTアッセイによって求めた。
図10は、NAC及びGSH存在下又は非存在下での、NEO218及び3-BPについての細胞生存率-薬剤濃度のプロットを示している。そのデータは、両方の抗酸化剤とも、NEO218又は3-BPによって誘発される細胞死を強力に防止したことを示している。実際、これら二つのラジカル捕捉剤のどちらの存在下でも、薬剤誘発細胞死は完全に防止された。これらの結果は、NEO218(及び3-BP)がフリーラジカルの発生による細胞死を引き起こすという仮説と一致するものである。
3-BPは、GAPDH(グリセルアルデヒド-3-ホスフェートデヒドロゲナーゼ)の酵素活性を阻害することが知られており、それによって、解糖流動の阻害が生じる。ピルベート(ピルビン酸)は、いくつかの代謝経路における重要な中間体であり、解糖経路の最終産生物を代表するものである。結果的に、ピルベートの添加が、この効果をレスキューし、3-BPの存在下での細胞生存度を保証するものと仮定された。
この仮説を調べるため、HCT116細胞を、10mMピルベートの存在下又は非存在下で、NEO218及び3-BP(個別に)の濃度を上昇させながら、それによって処理した。細胞の生存率を、MTT細胞生存率アッセイによって24時間後に求めた。
図11は、ピルベート存在下及び非存在下での、NEO218及び3-BPについての細胞生存率-薬剤濃度のプロットを示している。3-BPの場合、予想通り、過剰のピルベートが細胞死を完全に防止することができた。しかしながら、NEO218の場合、ピルベートは、生存率に対して全く効果がなかった。即ち、この代謝産物は、NEO218処理細胞をレスキューできなかった。このデータは、NEO218が実質的にGAPDH機能を阻害することを示している。
無細胞系でのGAPDHの酵素機能を阻害するNEO218の能力を調べた。細胞溶解物をNEO218及び3-BP(個別に)と1時間インキュベートし、GAPDH(グリセルアルデヒド-3-ホスフェートデヒドロゲナーゼ)の酵素活性を求めた。NEO218及び3-BPの濃度上昇を行った。別個に、50μM NEO218及び3-BPをそれぞれ、1mM NAC又はGSHとともに施した。GAPDHの酵素活性を、市販のGAPDH活性アッセイキットを用いて求めた。
図12の上側パネルは、NEO218及び3-BPについてのGAPDH活性-薬剤濃度のプロットを示しており;下側パネルは、NAC存在下、GSH存在下、及びそのいずれも非存在下でのNEO218及び3-BPについてのGAPDH活性のヒストグラムを示している。NEO218及び3-BPの両者とも、GAPDH酵素活性の強力な阻害を引き起こしたが(上側パネル)、抗酸化剤NAC又はGSHの添加によって、GAPDH活性の薬剤誘発阻害が効果的に防止された(下側パネル)。NAC及びGSHの保護効果は、極めて有意なものであった(星印:p値<0.01)。そのデータは、NEO218がGAPDH酵素活性を実質的に阻害することを示している。NEO218(及び3-BP)は、細胞死誘発で有効であるIC50と同様であるIC50でGAPDHを阻害した。NAC又はGSHを加えることで、NEO218又は3-BPによるGAPDH阻害が効果的に防止され、それは、これらの測定に用いられた無細胞系がフリーラジカルを発生させることができなかったはずであることから興味深いものであった。従って、NAC及びGSHが、損傷を与えるラジカルを抑制する以外の機序によって保護効果を発揮したことは事実であろう。
次に、そのタンパク質について、質量分析を行った。読み出し値の分析により、ピルビン酸化によって修飾された二つのシステイン残基(位置245及び282;楕円によって示されている)が明らかになった。他の二つのシステイン残基(位置150及び154;長方形によって示されている)は修飾されなかった。
精製GAPDHタンパク質30μgを、60μM 3-BPとともに37℃で15分間、イン・ビトロでインキュベートした。次に、質量分析を用いて、3-BPが酵素のアミノ酸配列に直接結合できたか否かを決定した。
図13には、GAPDHタンパク質のアミノ配列(一文字コードで)を示しており、システイン残基の存在を示すマークが施してある。GAPDHに含まれる4種類のシステインのうちの二つが、修飾されていることが認められた。アミノ酸位置245及び282のシステインがピルビン酸化されていることが分かった。NEO218が同じ結果を達成し得る可能性があり、従って、GAPDHがNEO218によるアルキル化の主要な標的を代表するものであり、NEO218が細胞エネルギー産生を遮断する機序の少なくとも一部を代表すると結論付けられる。
NEO218の効果の一部は3-BPの効果と同様であったが、これら二つの薬剤間で認められた主要な差は、それらの細胞死誘発能力であった。NEO218は低濃度で(IC50:5~30μM)全ての腫瘍細胞種を死滅させたが、3-BPは、それが一部の細胞種で同様に強力であったが、他の細胞種ではかなり高い濃度(>200μM)を必要としたという点で、明瞭な差異を示した。
3-BPは、モノカルボン酸膜貫通輸送体(MCT類)の一つを介して細胞に進入することが知られている[31,55]。異なる腫瘍細胞系におけるMCT1の発現レベルをウェスタンブロット分析によって求め、MTTアッセイによって得られた、同じ細胞のNEO218又は3-BPによる処理に応答した細胞傷害性IC50値と相関させた。
図14は、いくつかの細胞系でのNEO218及び3-BPのそれぞれにおける細胞傷害性IC50を示しており、ウェスタンブロットで示したように、MCT1の相当する発現レベルにわたって整列させている。
異なる腫瘍細胞は、かなり多様なMCT1発現レベルを示した。興味深いことに、低MCT1レベルを有する細胞(MCF7、231、T47D、BTB-12)は3-BPに対して抵抗性の細胞であり(即ち、IC50>300μM)、高MCT1レベルの細胞(ME16C、468、HCT116)は3-BP(IC50<100μM)による殺滅に感受性の細胞であった。それと比較して、MCT1発現レベルとは無関係に、全ての細胞が、NEO218に対して非常に感受性であった(IC50<35μM)。
MCT1発現レベルのNEO218及び3-BPに対する細胞の感受性とのこの位置合わせに基づくと、(3-BPとは異なって)NEO218が、細胞に進入し、細胞傷害力を発揮するのにMCT1による活発な取り込みを必要としないことが認められる。結果的に、NEO218は、MCT1発現に対して陽性であるものだけではく、全ての腫瘍型でそれの抗がん活性を示すと予想される。
次に、イン・ビボのNEO218の抗がん活性を調べた。MDA-MB-231トリプル陰性乳がん細胞を、ヌードマウス12匹に皮下的に埋め込んだ。2週間後、ビヒクル(無薬剤)又はNEO218(5mg/kg)のいずれかによる処理のため、動物を2群に分けた。次に、NEO218(又はビヒクル)を、第1日、第5日及び第9日に投与した(合計3用量、4日間隔)。腫瘍増殖を、第1日(=処理開始)から第13日(実験終了)まで3日ごとにキャリパーで測定した。
図15は、NEO218及び3-BPのそれぞれについての腫瘍サイズ-時間のプロットを示している。それらのパネルは、各個々の動物における経時的な腫瘍増殖を示している。左側パネルはビヒクル投与を受けたマウス6匹での腫瘍増殖を示しており;右側パネルはNEO218によって処理された動物6匹での腫瘍増殖を示している。
図15に示したように、NEO218処理動物は、ビヒクル処理動物のほとんどが示した顕著な腫瘍増殖増加を示さなかった。NEO218処理マウスにおいて、全ての動物における腫瘍体積は、実験終了(第13日)後に200mm以下に留まった。比較として、ビヒクル処理動物6匹のうちの4匹が、200mmよりかなり大きい腫瘍サイズを有していた。NEO218処理によって、この化合物を投与されなかった動物の群と比較して、腫瘍増殖が遅くなった。腫瘍増殖は完全に防止されなかったが、NEO218は明らかな阻害効果を発揮しており、NEO218により長期処理を行うと、さらに強い腫瘍阻害となるであろうと考えられる。NEO218で処理されたマウスは、この化合物を非常に良好に耐容し、臓器毒性その他の副作用は、これらの動物において検出されなかった。
NEO218は、イン・ビトロで、強力に薬剤耐性の変種を含むいくつかの異なる腫瘍細胞系で顕著な抗がん活性を示した。同様に、それは、皮下マウス腫瘍モデルで抗がん活性を示した。
3-BPとは対照的に、NEO218の抗がん活性は、膜横断輸送体MCT1の存在に依存せず、見かけ上は、輸送機序なく細胞に進入することができる。従って、NEO218は、MCT1の有無とは無関係に、全ての腫瘍細胞種に対して活性である。
3-BPに関してのMCT1への依存性(しかし、NEO218に関しては無い)により、上記で提供の実験結果のいくつかが説明される。例えば、加えられたピルベートが3-BPの細胞傷害効果から細胞をレスキューする能力(NEO218の効果については無い)は、簡単な競争効果によって説明することができる。ピルベートは、MCT1の基質である。従って、過剰のピルベートの存在下に、MCT1は優先的にピルベートを取り込み、3-BPを排除し;結果的に、3-BPは細胞に進入せず、その細胞は生存する。対照的に、NEO218はMCT1を必要とせず;従って、過剰のピルベートが存在しているにも拘わらず、それはなお、細胞に進入し、細胞傷害効果を発揮することができる。
NEO218によって引き起こされる壊死細胞死は、GAPDHなどの代謝酵素の阻害に続発する細胞ATPプールの消耗によるものである。NEO218(及び3-BP)のアルキル化特性に基づくと、GAPDH以外の重要な代謝酵素がピルビン酸化されることで、同様に阻害される可能性が非常に高い。3-BPの場合、多くの他の酵素が特異的標的として認識されており、例えばヘキソキナーゼII(HK-II)[20]及びコハク酸デヒドロゲナーゼ(SDH)[21]である。従って、NEO218が、これらの同じ酵素にも、並びに別の確認されていない酵素にも影響することが考えられる。結果的な解糖の遮断により、ミトコンドリア呼吸阻害と組み合わせて、細胞APTを効果的に消耗させ、細胞は壊死に至る。
二つの抗酸化剤NAC及びGSHが、NEO218による処理時に細胞死から細胞を遮蔽することが示されたが、NEO218によって誘発される細胞死に、重要な形でフリーラジカル産生が関与又は必要とされる可能性は低い。むしろ、求電子及び求核相互作用に基づくと、NAC及びGSHがNEO218及び3-BPに直接結合して、完全に不活性であるNAC-NEO218及びGSH-NEO218複合体となる可能性がより高い。本質的に、NAC(又はGSH)及びNEO218(又は3-BP)は互いに直接中和する。このモデルは、NAC又はGSHが、無細胞系を用いた場合にGAPDHのNEO218による不活性化も防止し得るという所見によって裏付けられ、それは、NAC及びGSHによる保護が、あまり多くの量のフリーラジカルを生じさせることができない環境でも提供されることを示している。さらに、GSHが3-BPと複合体を形成する能力が、最近、実験的に実証されている[56]。
NEO218の抗がん機能の機序を、下記のようにまとめることができる。NEO218は腫瘍細胞に直接進入し、特異的な取り込み機序は必要としない。求核特性に基づき、それは多くの細胞内タンパク質における重要なシステイン残基をピルビン酸化することで、主要な代謝酵素の失活及び細胞エネルギー産生の遮断を生じる。結果的に生じるATPプールの枯渇により、細胞は壊死細胞死に至る。総合すると、解糖(ワールブルク効果)及び全体的エネルギー需要への依存性がより大きいために、これらの機序が、がん細胞で優先的に機能することで、NEO218による治療の治療ウィンドウが提供される。
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純度
NEO218の純度は、ガスクロマトグラフィー(GC)又は高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)によって分析することができる。NEO218の純度を分析し、不純物の存在を確認する他の技術には、核磁気共鳴(NMR)分光法、質量分析(MS)、GC-MS、赤外分光法(IR)、及び薄層クロマトグラフィー(TLC)などがあるが、これらに限定されるものではない。キラル純度はキラルGC又は旋光度の測定によって評価することができる。
NEO218は、結晶化などの方法により、又はそれの固有の物理化学特性(例えば、溶解度又は極性)に従っての不純物からの分離により精製することができる。従って、NEO218は、分取クロマトグラフィー、(分別)蒸留、又は(分別)結晶化などの当技術分野で公知の好適な分離技術によって分離することができる。
治療方法
本発明は、NEO218を用いて、疾患、例えばがん若しくは他の神経系障害を治療する方法も提供する。NEO218は単独で投与することができるか、放射線、外科処置又は化学療法剤と組み合わせて投与することができる。NEO218はまた、抗ウィルス剤、抗炎症剤又は抗生物質と同時投与することもできる。それらの薬剤は、同時に又は順次に投与することができる。NEO218は、他の活性剤の投与の前、途中又は後に投与することができる。
NEO218は、放射線療法と併用することができる。1実施形態において、本発明は、腫瘍細胞、例えば悪性神経膠腫細胞を放射線によって処置する方法であって、当該細胞を有効量のNEO218で処理してから、放射線に曝露する方法を提供する。NEO218処理は、放射線の前、途中及び/又は後に行うことができる。例えば、NEO218は、放射線療法開始の1週間前に開始して連続的に投与することができ、放射線療法完了後2週間にわたって続けることができる。米国特許第5,587,402号及び同5,602,184号。
1実施形態において、本発明は、腫瘍細胞、例えば悪性神経膠腫細胞を化学療法によって処置する方法であって、当該細胞を有効量のNEO218で処理してから、化学療法に曝露する方法を提供する。NEO218処置は、化学療法の前、途中及び/又は後に行うことができる。
NEO218は、神経系がん、例えば悪性神経膠腫(例えば、星細胞腫、未分化星細胞腫、多形性神経膠芽腫)、網膜芽細胞腫、毛様細胞性星細胞腫(グレードI)、髄膜腫、転移性脳腫瘍、神経芽細胞腫、下垂体腺腫、頭蓋底髄膜腫、及び頭蓋底がんの治療に用いることができる。本明細書で使用される場合、「神経系腫瘍」という用語は、対象者が神経系細胞の悪性増殖を有する状態を指す。
NEO218によって治療可能ながんには、肺がん、耳、鼻及び咽喉のがん、白血病、結腸がん、メラノーマ、膵臓がん、乳がん、前立腺がん、乳がん、造血系がん、子宮がん、基底細胞がん、胆道がん;膀胱がん;骨肉腫;乳がん;子宮頸がん;絨毛癌;結腸及び直腸がん;結合組織がん;消化系のがん;子宮内膜がん;食道がん;眼がん;頭頸部がん;胃がん;上皮内新生物;腎臓がん;喉頭がん;白血病、例えば急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病;肝臓がん;リンパ腫、例えばホジキン及び非ホジキンリンパ腫;骨髄腫;線維腫、神経芽細胞腫;口腔がん(例えば、口唇、下、口及び咽頭);子宮がん;膵臓がん;前立腺がん;網膜芽細胞腫;横紋筋肉腫;直腸がん;腎臓がん;呼吸器系のがん;肉腫;皮膚がん;胃がん;睾丸がん;甲状腺がん;子宮がん;泌尿器系のがん、並びに他の癌及び肉腫などがあるが、これらに限定されるものではない。米国特許第7,601,355号。
本発明は、CNS障害、例えばアルツハイマー病、パーキンソン病、精神障害、精神病及び抑鬱などの一次性神経変性疾患(それらに限定されるものではない)の治療方法も提供する。治療は、NEO218単独又はパーキンソン病、アルツハイマー病若しくは精神障害の治療に使用される現行の医薬と組み合わせての使用からなるものであることができる。
本発明は、免疫調節治療の前若しくは途中に有効量のNEO218に細胞を曝露する段階を含む、免疫調節療法応答を改善する方法も提供する。好ましい免疫調節剤は、サイトカイン類、そのようなインターロイキン類、リンホカイン類、モノカイン類、インターフェロン類及びケモカイン類である。
本発明の組成物は、吸入、鼻腔内、経口、経皮、眼内、腹腔内、静脈、ICV、嚢内注射もしくは注入、皮下注射、インプラント、膣、舌下、尿道(例えば、尿道坐剤)、皮下、筋肉内、静脈内、直腸、舌下、粘膜、眼、脊髄、髄腔内、関節内、動脈、くも膜下、気管支及びリンパ投与など(これらに限定されるものではない)の当技術分野で公知の任意の方法によって投与することができる。吸入製剤は、ネブライザー又は類似の装置を用いて送達し得る;局所製剤は、ゲル、軟膏、クリーム、エアロゾルなどの形態であり;経皮製剤は、経皮貼付剤又はイオン導入法を介して投与され;鼻腔内製剤は、噴霧剤として又は滴剤で送達し得る。組成物は、錠剤、丸薬、カプセル、半固体、粉剤、持続放出製剤、液剤、懸濁液、エリキシル剤、エアロゾル、又は任意の他の適切な組成物の形態を取ることもできる。
そのような医薬組成物を調製するのに、NEO218を、従来の医薬配合技術に従って、薬学的に許容される担体、補助剤及び/又は賦形剤と混合する。本発明の組成物に用い得る薬学的に許容される担体は、リン酸緩衝生理食塩水、水、並びに油/水又は水/油乳濁液などの乳濁液、及び種々の種類の湿潤剤などの任意の標準的な医薬担体を包含する。前記組成物はさらに、デンプン、セルロース、タルク、グルコース、乳糖、ショ糖、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルクなどの固体医薬賦形剤を含有し得る。液体及び半固体賦形剤は、グリセロール、プロピレングリコール、水、エタノール、及び石油、動物、植物又は合成起源のもの、例えば、ピーナッツ油、大豆油、鉱油、ゴマ油などの賦形剤を含む種々の油から選択される。液体担体、特に注射用溶液は、水、食塩水、デキストロース水溶液、及びグリコールを含む。担体、安定剤及び補助剤の例については、Remington′s Pharmaceutical Sciences, E. W. Martin編(Mack Publishing Company, 18th ed.,1990)を参照。前記組成物はまた、安定剤及び保存剤を含み得る。
本明細書で使用される場合、「治療上有効量」という用語は、特定の障害若しくは疾患を治療するか、又は障害若しくは疾患を治療する薬理学的応答を得るのに十分な量である。投与の最も有効な手段及び投与量を決定する方法は、治療用に使用される組成、前記治療の目的、治療中の標的細胞、及び、治療中の対象者に応じて変動し得る。治療投与量は、安全及び有効性を最適化するように加減することができる。一回投与又は複数回投与は、治療担当医師によって選択される用量レベル及び様式で行うことができる。好適な製剤及び薬剤の投与方法は、当業者によって容易に決定し得る。例えば、前記組成物は、約0.01mg/kg~約200mg/kg、約0.1mg/kg~約100mg/kg、又は、約0.5mg/kg~約50mg/kgで投与される。本明細書に記載の化合物が別の薬剤又は治療と共に同時投与される場合、前記有効量は、薬剤が単独で使用される場合よりも少なくなることがある。
経皮製剤は、セルロース系媒体、例えば、メチルセルロース又はヒドロキシエチルセルロースのようチキソトロピー又はゲル状の担体中に活性薬剤を組み込むことによって調製することができ、得られた製剤を次いで着用者の肌で皮膚に接触して固定されるように作られた経皮装置に充填される。前記組成物がゲルの形態である場合、該組成物は、患者の膜、例えば、肩若しくは上腕と、又は上部胴体の皮膚、好ましくは、無傷の透明な、乾燥肌にすり込まれ、患者の血清中にNEO218の送達に十分な時間、その上に維持される。ゲル形態の本発明の組成物は、チューブ、小袋、又は計量ポンプ内に含まれる。そのようなチューブ又は小袋は、組成物の一単位用量、又は複数単位用量を含む。計量ポンプは、計量された組成物の一回投与分を分配することができる。
本発明はまた、鼻腔内投与のため、上記のような組成物を提供する。そのようなものとして、前記組成物はさらに透過促進剤を含み得る。Southall et al., Developments in Nasal Drug Delivery, 2000)。NEO218は、溶液、乳濁液、懸濁液、滴剤などの液体の形態で、又は、粉末、ゲル、又は軟膏のような固体形態で鼻腔内に投与され得る。鼻腔内薬剤を送達するための装置は、当該分野で公知である。鼻内薬剤送達には、鼻腔内吸入器、鼻内噴霧装置、噴霧器、鼻噴霧ボトル、単位用量容器、ポンプ、点滴器、絞り出し瓶、噴霧器、定量吸入器(MDI)、加圧用量吸入器、インサフレーター(Insufflator)、及び双方向装置など(これらに限定されるものではない)の装置を用いて行い得る。前記経鼻送達装置は、鼻腔に正確な有効投与量を投与するよう計量し得る。経鼻送達装置は、単一単位量送達又は複数単位量送達用であり得る。特定の例では、Kurve Technology(Bethell, Wash.)製のViaNase Electronic Atomizerを、本発明で使用することができる(http://www.kurvetech.com)。NEO218はまた、管、カテーテル、注射器、パックテール(packtail)、綿球、鼻タンポンを介して、又は粘膜下注入によって送達することができる。米国特許公開第20090326275号、同20090291894号、同20090281522号、及び同20090317377号。
NEO218は、標準的な手順を用いてエアロゾルとして製剤することができる。NEO218は、溶媒を用いて又は無溶媒で製剤することができ、担体を用いて又は無担体で製剤することができる。その製剤は液剤であることができるか、1以上の界面活性剤を含む水系乳濁液であることができる。例えば、エアロゾル噴霧剤は、加圧容器から、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、炭化水素、圧縮空気、窒素、二酸化炭素、又は他の好適な気体などの適切な噴射剤を用いて発生させることができる。前記投与量単位は、計量された量を送達するバルブを提供することによって決定することができる。ポンプ噴霧ディスペンサーは、定量又は特定の粒子又は液滴サイズを有する用量を分配することができる。本明細書で用いる場合、「エアロゾル」という用語は、気体中の微粒子固体粒子又は液体の液滴の懸濁液を指す。具体的には、エアロゾルには、例えば、MDI、ネブライザー若しくはミスト噴霧器のような任意の適切な装置で生成させることができるNEO218の液滴のガス媒介懸濁液などがある。エアロゾルには、空気その他のキャリアガス中に懸濁させた本発明の組成物の乾燥粉末組成物などもある。Gonda(1990) Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems 6:273-313。Raeburn et al., (1992) Pharmacol. Toxicol. Methods 27:143-159。
NEO218は、インサフレーターによって送達される微粒子などの形態の粉末として鼻腔に送達させることができる。NEO218は、固体表面、例えば、担体に吸収さることができる。前記粉末又は微粒子は、乾燥空気分配型で投与することができる。前記粉末又は微粒子はインサフレーターの容器に保存することができる。別の形態として、粉末又は微粒子を、ゼラチンカプセル等のカプセル、又は経鼻投与に適した他の単一用量単位に充填することができる。
前記医薬組成物は、例えばゲル、軟膏、鼻用乳濁液、ローション、クリーム、鼻用タンポン、点滴器、又は生体接着性ストリップの形態で、鼻腔内に前記組成物を直接配置することによって、鼻腔に送達させることができる。ある種の実施形態では、例えば、吸収を促進するために、鼻腔内医薬組成物の滞留時間を延長することが望ましいことがあり得る。従って、当該医薬組成物は、任意に、生体接着性ポリマー、ガム(例えば、キサンタンガム)、キトサン(例えば、高精製カチオン性多糖体)、ペクチン(又は鼻粘膜に付与される場合、ゲルのように増粘又は乳化する炭水化物)、微粒子(例えば、デンプン、アルブミン、デキストラン、シクロデキストリン)、ゼラチン、リポソーム、カルバマー(carbamer)、ポリビニルアルコール、アルギン酸塩、アカシア、キトサン及び/又はセルロース(例えば、メチル又はプロピル;ヒドロキシル又はカルボキシ、カルボキシメチル又はヒドロキシプロピル)を用いて製剤することができる。
NEO218を含有する組成物は、気道、すなわち、肺への経口吸入によって投与し得る。
吸入剤用の通常の送達系には、ネブライザー吸入器、乾燥粉末吸入器(dry powder inhaler)(DPI)、及び定量吸入器(metered-dose inhaler)(MDI)などがある。
ネブライザー装置は、液体形態の治療剤を霧として噴霧させる高速空気流を生成する。前記治療剤は、溶液又は適切な粒径の粒子の懸濁液などの液体形態で製剤される。1実施形態では、前記粒子は微粉化される。「微粉化」という用語は、約10μm未満の直径を有する粒子を約90%以上有するものとして定義される。適切なネブライザー装置は、例えば、PARI GmbH社(Starnberg, Germany)によって市販されている。他のネブライザー装置には、Respimat (Boehringer Ingelheim)及び、例えば、米国特許第7568480号及び6123068並びにWO97/12687に開示のものなどがある。NEO218は、水溶液又は液体懸濁液として、ネブライザー装置で使用するように製剤することができる。
DPI装置は、代表的には、吸気中に患者の気流に分散させ得る自由流動性粉末の形態で治療薬を投与するものである。外部エネルギー源を使用するDPI装置を、本発明で使用することもできる。自由流動性粉末を得るために、治療剤は、好適な賦形剤(例えば、ラクトース)を用いて製剤することができる。乾燥粉末製剤は、例えば、約1μm~100μmの粒径を有する乾燥ラクトースと、NEO218の微粒化粒子とを乾式混合して、組み合わせることによって作ることができる。或いは、NEO218は、賦形剤なしで製剤することができる。当該製剤は、乾燥粉末送達装置で使用するための乾燥粉末ディスペンサー内に、又は、吸入カートリッジ若しくはカプセル内に装填される。市販のDPI装置の例には、Diskhaler(GlaxoSmithKline, Research Triangle Park., N.C.)(例えば,米国特許第5035237号を参照する);Diskus(GlaxoSmithKline)(例えば,米国特許第6,378,519号を参照する);Turbuhaler(Wilmington.AstraZeneca, Del.),(参照、例えば,米国特許第4,524,769号);及びRotahaler(GlaxoSmithKline)(例えば,米国特許第4353365号を参照する)。好適なDPIのさらなる例は、米国特許第5415162号、同5239993号、及び同5715810号及びこれらの中の参考文献に記載されている。
MDI装置は、代表的には、圧縮噴射ガスを使用して、計量された量の治療剤を吐出する。MDI投与用製剤は、液化噴射剤中の有効成分の溶液又は懸濁液を含む。噴射剤の例には、1,1,1,2-テトラフルオロエタン(HFA 134a)及び1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロ-n-プロパン(HFA 227)等のヒドロフルオロアルカン(HFA)、及びCClFなどのクロロフルオロカーボンなどがある。MDI投与用HFA製剤のさらなる成分は、エタノール、ペンタン、水などの共溶媒類;及びトリオレイン酸ソルビタン、オレイン酸、レシチン、及びグリセリンなどの界面活性剤などがある(例えば、米国特許第5225183号、EP第0717987号、及びWO92/22286号を参照)。当該製剤は、MDI装置の一部を形成するエアロゾル・キャニスターに装填される。HFA噴射剤と共に使用するように特別に開発されたMDI装置の例は、米国特許第6006745号及び同6143227号で提供されている。吸入投与に適した好適な製剤及び装置を製造する方法の例については、米国特許第6268533号、同5983956号、同5874063号及び同6221398号、並びにWO99/53901、WO00/61108、WO99/55319及びWO00/30614を参照する。
NEO218は、吸入による送達のためにリポソーム又はマイクロカプセルに封入される。リポソームは脂質二重膜と水性の内部から構成される小胞である。当該脂質膜は、リン脂質から成り、その例には、レシチン及びリゾレシチン等のホスファチジルコリン;ホスファチジルセリン及びホスファチジルグリセロール等の酸性リン脂質;そしてホスファチジルエタノールアミン及びスフィンゴミエリンなどのスフィンゴリン脂質を含む。或いは、コレステロールを添加する。マイクロカプセルは、コーティング材料でコーティングされた粒子である。例えば、コーティング材料は、フィルム形成ポリマー、疎水性可塑剤、表面活性化剤及び/又は潤滑剤の窒素含有ポリマーとの混合物から成る。米国特許第6313176号及び同7563768号。
NEO218はまた、乳癌又は黒色腫のような局在癌の治療のための局所適用を介して、単独又は他の化学療法剤と組み合わせて使用することができる。NEO218はまた、鎮痛薬の経皮送達用に麻薬又は鎮痛剤と組み合わせて使用することができる。
本発明はまた眼内投与用に上述した組成物を提供する。従って、前記組成物はさらに透過促進剤を含むことができる。眼内投与のためには、本明細書に記載される組成物は、液剤、乳濁液、懸濁液などとして製剤することができる。眼球に化合物を投与するのに適した各種媒体が当技術分野で知られている。具体的な非限定的例には、米国特許第6261547号;同6197934号;同6056950号;同5800807号;同5776445号;同5698219号;同5521222号;同5403841号;同5077033号;同4882150号;及び同4738851号に記載されている。
NEO218は、上記疾患の治療のために単独で又は他の薬剤と組み合わせて短期間又は長期間投与することができる。本発明の組成物は、哺乳動物、好ましくはヒトに投与することができる。哺乳動物には、マウス、ラット、ウサギ、サル、ウシ、ヒツジ、ブタ、イヌ、ネコ、家畜、スポーツ動物、ペット、ウマ、及び霊長類などがあるが、これらに限定されるものではない。
本発明はまた、がん細胞などの細胞を、有効量の本明細書に記載のNEO218と接触させる、イン・ビトロ、エクス・ビボ、又はイン・ビボでの細胞の増殖を阻害する方法も提供する。
過剰増殖性細胞又は組織などの病的細胞又は組織は、有効量の本発明の組成物を前記細胞又は組織と接触させることによって治療することができる。がん細胞などの細胞は、原発性がん細胞、又は、例えばAmerican Type Culture Collection (ATCC)のような組織バンクから入手可能な培養細胞であることができる。その病的細胞は、全身がん、神経膠腫、髄膜腫、下垂体腺腫、又は全身がん、肺がん、前立腺がん、乳がん、造血がん又は卵巣がんからのCNS転移の細胞であることができる。前記細胞は、脊椎動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒト由来であることができる。米国特許公開第2004/0087651号。Balassiano et al. (2002) Intern. J. Mol. Med. 10:785-788。Thorne et al., (2004) Neuroscience 127:481~496。Fernandes et al., (2005) Oncology Reports 13:943-947。Da Fonseca et al., (2008) Surgical Neurology 70:259267。Da Fonseca et al., (2008) Arch. Immunol. Ther. Exp. 56:267-276。Hashizume et al., (2008) Neuroncology 10:112-120。
本発明の組成物のイン・ビトロ有効性は、当技術分野で公知の方法を用いて求めることができる。例えば、NEO218及び/又は治療剤の細胞傷害性を、MTT[3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド]細胞傷害性アッセイによって調べることができる。MTTアッセイは、代謝活性細胞によるテトラゾリウム塩であるMTTの取り込みの原理に基づいたものであり、MTTは、代謝されて青色ホルマゾン産生物となり、それを分光的に読み取ることができる。J. of Immunological Methods 65:55-63, 1983。NEO218及び/又は治療剤の細胞傷害性は、コロニー形成アッセイによって調べることができる。VEGF分泌及びIL-8分泌の阻害についての機能アッセイを、ELISAを介して行うことができる。NEO218及び/又は治療剤による細胞周期の遮断は、標準的なヨウ化プロピジウム(PI)染色及びフローサイトメトリーによって調べることができる。浸潤阻害はBoydenチャンバーによって調べることができる。このアッセイにおいて、再生した基底膜である、Matrigelゲルの層を、走化性フィルター上にコーティングし、前記Boydenチャンバー中の細胞の移動に対する障壁として作用させる。浸潤能を持つ細胞のみが、Matrigel障壁を通過することができる。他のアッセイには、細胞生存率アッセイ、アポトーシスアッセイ、及び形態学アッセイなどがあるが、これらに限定されるものではない。
実施例2:モノカルボン酸輸送体1への細胞取り込み依存性がなく、3-BP抵抗性腫瘍細胞での活性を有する3-ブロモピルベートのペリリルアルコール-複合体化類縁体
略称:3-BP:3-ブロモピルベート;CFA:コロニー形成アッセイ;GAPDH:グリセルアルデヒド3-ホスフェートデヒドロゲナーゼ;GSH:グルタチオン;MCT-1:モノカルボン酸輸送体1;NAC:N-アセチルシステイン;NEO218:3-ブロモピルベートに複合体化したペリリルアルコール;POH:ペリリルアルコール;ROS:反応性酸素種;SDH:コハク酸デヒドロゲナーゼ複合体。
要約
抗がん剤3-ブロモピルベート(3-BP)は、エネルギー枯渇によって解糖系がん細胞を優先的に殺す解糖阻害剤と見なされている。しかしながら、それの細胞傷害活性は、膜横断モノカルボン酸輸送体1(MCT-1)を介した細胞薬剤移入に依存しており、それは抗がん能力をMCT-1陽性腫瘍細胞に制限するものである。本発明者らは、NEO218と称される3-BPのMCT-1非依存性類縁体を作り、特性決定した。NEO218は、3-BPを、天然モノテルペンであるペリリルアルコール(POH)に共有結合的に結合させることで合成した。いずれかの化合物による処理に対する各種腫瘍細胞系の応答を、補充のピルベート又は抗酸化剤N-アセチル-システイン(NAC)及びグルタチオン(GSH)の存在下又は非存在下で特性決定した。グリセルアルデヒド3-ホスフェートデヒドロゲナーゼ(GAPDH)酵素活性に対する薬剤効果を、質量分析によって調べた。3-BP抵抗性の発生を、イン・ビトロのMCT-1陽性HCT116結腸癌細胞で調べた。本発明者らの結果は、NEO218が、(i)それのシステイン残基の4個全てでGAPDHピルビン酸化して、酵素活性を遮断し;(ii)細胞ATP含有量を生命維持レベル以下に大きく低下させ、及び(iii)急速壊死を誘発したことを示している。興味深いことに、補充の抗酸化剤が、NEO218並びに3-BPの細胞傷害性活性を効果的に防止したが、補充のピルベートは細胞を3-BPからのみ強力に保護したが、NEO218からは保護しなかった。3-BPとは異なり、NEO218は、細胞MCT-1状況とは無関係に、それの強力な細胞傷害活性を発揮した。MCT-1陰性細胞の出現に基づくと、HCT116細胞の3-BPによる処理により、急速に抵抗性が発生した。これは、NEO218には当てはまらず、非常に3-BP抵抗性の細胞がNEO218に対して強く感受性のままであった。従って、本発明者らはの試験は、腫瘍細胞が急速に3-BPに対する抵抗性を発生させ、NEO218をこの細胞防御を受けない優れた薬剤として提供する機序を確認するものである。さらに、本発明者らの結果は、補充の抗酸化剤の役割に関する既に発表されているモデルの別の解釈を提供するものである。反応性酸素種(ROS)を失活させるのではなく、補充のNAC又はGSHが3-BPと直接相互作用することで、薬剤がROS産生を誘発し得る前にその薬剤の細胞傷害能力を中和する。総合すると、本発明者らの試験は、3-BPの細胞傷害性機序の新たな側面を導入するものであり、NEO218を、この薬剤に対する主要な細胞防御機構を克服することができる類縁体と特徴付けるものである。
1.緒言
3-ブロモピルベート(3-BP;3-ブロモピルビン酸)は、細胞傷害活性を有するピルベートの合成ハロゲン化誘導体である。それは、ある種のタンパク質のアルキル化剤として機能し、それに続くタンパク質ピルビン酸化により、酵素活性の阻害が生じる。最も良く説明されている3-BPの標的タンパク質は、解糖経路におけるグリセルアルデヒド-3-ホスフェートデヒドロゲナーゼ(GAPDH)であり[1,2]、それは、3-BPの解糖阻害剤としての評価に寄与した[3-6]。腫瘍細胞は、正常細胞よりかなり大きく解糖に依存しており(ワールブルク効果)、3-BPによって誘発される細胞死は、細胞エネルギープールの枯渇によるものであると考えられている[3,4,7]。この観点は、補充のピルベートが、細胞培養における3-BPの細胞傷害効果に対して細胞を保護できることを示す実験によってさらに裏付けられた[8,9]。
3-BPの細胞取り込みには、モノカルボン酸輸送体1(MCT-1)の存在が必要であり[10]、それはカルボキシレート膜横断輸送体の比較的大きいファミリーの1構成員である[11]。MCT-1はプロトン連動輸送タンパク質であり、ほとんどの組織で発現され、短鎖モノカルボン酸に対する広い特異性を示す。解糖腫瘍細胞において、MCT-1は、乳酸輸送を介して高解糖流動を支援し、プロトンの共輸送を介して細胞内pHを維持する[12]。研究により、多様な種類の腫瘍でのMCT-1の高度発現が示されており、それは、3-BPの腫瘍特異的取り込みを患者において行える可能性があることを示すものであると解釈された。しかしながら、MCT-1レベル低下のある腫瘍の例もある。MCT-1が多くの健常組織で広く発現されるという一般的所見と併せて考えると、3-BPの腫瘍選択性が容易に達成可能であるか否かについては若干議論の余地が残っている[12]。
3-BPのいくつかの他の表現型の結果が、イン・ビトロで報告されている。GAPDHに加えて、細菌から真菌からヒトまでの多くの他の酵素が、3-BPによって阻害されることが明らかになっており、それにはコハク酸デヒドロゲナーゼ(SDH;複合体II)及びヘキソキナーゼIIなどがあるが[13-21]、後者に対する影響が、一貫して認められたわけではなかった[1,22]。3-BPは、細胞内グルタチオンの枯渇及びそれのミトコンドリア上の影響を介した酸化ストレスを引き起こして、反応性酸素種(ROS)のレベルを上昇させることも報告されている[22-24]。さらに最近では、自食作用の刺激[25]、小胞体ストレスの誘発[26]、及び二つの主要な細胞内シグナル伝達経路であるAkt/mTOR及びMAPキナーゼ経路の調節不全などの3-BPのさらなる多面発現効果が報告されている[27]。イン・ビボで、3-BPが多くの動物腫瘍モデルで治療能力を示しているが[6-28-30]、肝臓毒性が認められている[31]。同様に、3-BPを患者に投与する二つの事例研究が行われており[32,33]、そのうちの一方[33]で、肝細胞癌患者において好ましい応答が報告されている。注目すべき点として、2016年夏に、ドイツの診療所で、数名の患者が、3-BP投与を受けてから数日以内に死亡しており、この極めて不幸な結果において、3-BPが、もしあれば、何らかの役割を果たしているか否かについて現在調査が行われている[34]。
ペリリルアルコール(POH)は、モノテルペンであり、キャラウェー、ラベンダー及びライラックオイル、チェリー類、クランベリー類、セージ、スペアミント、セロリ種子、及びある種の他の植物の天然構成成分である[35]。この化合物はいくつかの前臨床がんモデルで有望な活性を示したが、臨床試験で用量制限腸毒性が明らかになったことが主たる理由で、臨床で使われることはなかった[36]。しかしながら、最近のブラジルでのI/II相臨床試験で、POHの簡単な経鼻吸入が、再発性神経膠芽腫に対して有効であり、検出可能な毒性事象がないことが明らかになった[37]。POHの治療可能性に基づき、本発明者らは、POHを3-BPに共有結合的に結合させることで、恐らく3-BP抵抗性がん細胞に適用可能であろう本質的に高い抗がん活性を有する新規な治療性化合物が得られる可能性があると仮定した。ここで本発明者らは、本発明者らの研究からの結果を提供して、3-BPと比較した、NEO218と称されるこの新規な3-BP類縁体のイン・ビトロ抗がん活性の分子的および細胞的特性決定について詳細に説明する。
2.材料及び方法
2.1.薬剤
3-BPはSigma-Aldrich(St. Louis, MO)から入手し、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)に溶かして、200mMストック液を調製した。NEO218は、Norac Pharma(Azusa CA)が製造したものであり、NeOnc Technologies, Inc.(NTI, Los Angeles, CA)によって提供され;それをDMSO(Santa Cruz Biotechnology, Inc., Santa Cruz, CA)に200mMで溶解させた。小分け試料を、凍結/解凍を行わずに1ヶ月まで-20℃で保存した。カスパーゼプロテアーゼの触媒部位に不可逆的に結合する細胞浸透性汎カスパーゼ阻害剤であるZ-VAD-FMK(カルボベンゾキシ-バリル-アラニル-アスパルチル-[O-メチル]-フルオロメチルケトン)は、Sigma-Aldrichから入手し、DMSOで調製した20mMストック液から用いた。ピルビン酸ナトリウム及びピルビン酸メチルも同様に、Sigma-Aldrichから入手した。ピルビン酸メチルの方がより効果的にミトコンドリアに進入すると考えられているが、本発明者らの実験では、両方の形のピルベートが同様に効果的であった。
2.2.細胞系および培養
次のヒト腫瘍細胞系:HCT116結腸癌;LN229、T98G、及びU251神経膠芽腫;MCF7、MDA-MB-231、MDA-MB-468、BTM-12、及びT47D乳癌を用いた。ME16Cは、テロメラーゼで不死化した正常乳腺上皮細胞である。37℃及び7%CO雰囲気の加湿インキュベータ中、全ての細胞を、10%ウシ胎仔血清(FBS)、100U/mLペニシリン及び0.1mg/mLストレプトマイシンを補充したDMEM中で増殖させた。全ての細胞培養試薬が、USC/Norris Comprehensive Cancer CenterのCell Culture Core Labによって提供され、Cellgro/MediaTech (Manassas, VA)からの原料を用いて製造されたものであり;FBSはOmega Scientific(Tarzana, CA)から入手した。
2.3.MTTアッセイ
メチルチアゾールテトラゾリウム(MTT)アッセイは、既報の方法に従って行った[38]。即ち、細胞を、2.0~8.0×10細胞/ウェルで96ウェルプレートに接種し、24時間又は48時間にわたり薬剤処理(又は溶媒単独)に曝露した。個々の実験において、各処理条件は三連で設定し、各実験は独立に数回繰り返した。
2.4.コロニー形成アッセイ
細胞系(及びプレーティング効率)に応じて、250~800個の細胞を、6ウェルプレートの各ウェルに接種し、既報で詳細に説明された方法に従って処理した[39]。12~16日後、コロニー(>50細胞の群と定義される)を、1%メチレンブルー(メタノール中溶液)で4時間染色することで肉眼観察できるようにし、カウントした。実験は少なくとも1回繰り返したが、通常は異なる条件下でさらに高頻度で繰り返した。
2.5.LDHアッセイ
細胞系に応じて、2000~4000細胞/ウェルを、96ウェルプレートに体積50μLで接種した。翌日、更なる培地50μL中の薬剤を加えた。異なる時間点で(通常は、24時間のインキュベーション後)、培地50μLを取り、製造者の取扱説明書に従ってLDH Cytotoxicity Assay Kit(Thermo Fisher Scientific, Waltham, MA)で処理した。このキットは、赤色ホルマザン生成物を生じる酵素反応を用いて培地中の細胞外LDHを測定するものであり、それは分光測定的に測定することができる。吸光度を490nm及び680nmで測定した。全てのLDHレベルを未処理対照に正規化し、対照の倍率変化として提供した。
2.6.フローサイトメトリー
Alexa Fluor(登録商標)488 Annexin V/Dead Cell Apoptosisキット(Thermo Fisher Scientific)を用いるフローサイトメトリーによって、細胞死の特性決定を行った。このキットは、アポトーシス細胞と反応する組換え緑色フルオロフォア複合化アネキシンV、及び生存及びアポトーシス細胞は非透過性であるが、死亡細胞を染色するDNA結合赤色蛍光ヨウ化プロピジウム(PI)を含む。異なる細胞群を、488nmレーザー励起によるフローサイトメトリー時の緑色蛍光(アポトーシス細胞)、赤色蛍光(壊死/死亡細胞)、及び無蛍光(生存細胞)によって識別することができる。対照又は薬剤処理細胞は、製造者の取扱説明書に従って処理し、次にUSC Flow Cytometry Core FacilityでLSR II(BD Biosciences, San Jose, CA)を用いて10000個細胞/点のフローサイトメトリーを行った。
2.7.ATPアッセイ
細胞のATP含有量を、グリセロールのリン酸化を利用して、570nmでの比色分析によって定量される生成物を発生させるATP Colorimetric/Fluorometric Assayキット(Biovision Inc., Milpitas, CA)によって測定した。約1×10細胞を、10cm組織培養プレートで培養し、各種機関にわたって薬剤処理に曝露し、そして製造者の取扱説明書に従って処理した。全てのATPレベルを未処理対照に正規化し、対照のパーセントとして示した。
2.8.GAPDH活性アッセイ
GAPDHイン・ビトロの酵素活性を、Colorimetric GAPDH Assayキット(ScienCell Research Laboratories, Carlsbad, CA)によって測定した。このアッセイは、3-ホスホグリセリン酸、ATP及びGAPDHの存在下のβ-NADHのβ-NADへの酸化に基づくものである。GAPDH活性は、340nmでの吸光度における経時的な低下(ΔA340nm/分)に比例するNADH酸化の速度を分析することで求められる。細胞10万個を細胞溶解緩衝液100μL中で溶解させ、上記成分とともにインキュベートした。10分間にわたる吸光度変化を計算し、未処理対照に対して正規化した。データは、対照のパーセントとして示される。二種類の薬剤処理を行い、一方のアプローチでは、薬剤を増殖細胞に加え、通常の細胞培養条件下で30分間経過させ;他方のアプローチでは、薬剤を細胞溶解物に加えて4℃で1時間経過させた。
2.9.MCT1ノックダウン
全てのsiRNA類は、Qiagen, Valencia, CAから購入した。MCT1発現をノックダウンするため、本発明者らは、siRNA Hs_SLC16A1_6(標的配列:5′-CAGCAGTATCCTGGTGAATAA-3′)を用いた。非サイレンシング対照として、本発明者らは、いずれの既知哺乳動物遺伝子とも相同性を持たないAllStars陰性対照siRNAを用いた。6ウェルプレートの細胞10万個/ウェルを、jetPRIMEトランスフェクション試薬及び緩衝液(Polyplus Transfection, New York, NY)を用いて50nM siRNAでトランスフェクションした。24時間後に培地を変え、トランスフェクションから72時間後に細胞の実験を行った。
2.10.免疫ブロット
合計細胞溶解物を、既報の方法に従ってウェスタンブロット分析によって分析した[40]。開裂カスパーゼ7及びPARPに対する一次抗体を、Cell Signaling Technology(Danvers, MA)から入手し、アクチン(C-11)及びMCT1(H-1)に対する抗体を、Santa Cruz Biotechnology(Santa Cruz, CA)から入手した。いずれの抗体も製造者推奨の方法に従って用いたが、例外として、MCT1検出の場合に、ポリアクリルアミドゲル上にサンプルを負荷する前に煮沸段階を省略した。全ての免疫ブロットは少なくとも1回繰り返して、結果の確認を行った。
2.11.免疫細胞化学
HCT116細胞を、24ウェルプレート中のカバーガラス上に1~2×10細胞/ウェルで接種した。翌日、細胞をアセトン中で10分間固定し、次にSEAブロッキング緩衝液(Thermo Fisher Scientific)で30分間ブロッキングし、MCT1抗体(1:50;H1、Santa Cruz)と室温で終夜インキュベートした。二次抗体は、ビオチン化ウマ抗マウスIgG(1:200;Vector Laboratories, Burlingame, CA)であった。細胞を、ヘマトキシリンで20秒間対比染色し、次にVectaMount AQ封入剤(Vector Laboratories)中でマウント(mount)した。
2.12.液体クロマトグラフィー-質量分析
LC/MS実験は、Easy-nLC 1000システムに連結されたQ Exactive(商標名)Hybrid Quadrupole-Orbitrap質量分析装置で行った。分析カラムは、C18カートリッジトラップカラム(5mm×300μm(内径)、5μm粒子(孔経100Å)を充填)と直列連結されたC18 EASY-Sprayカラム(25cm×75μm(内径)、2μm粒子(孔経100Å)を充填)であった。反応生成物を、流量300nL/分及び150分勾配で分割した。溶媒Aは、0.1%ギ酸含有100%水であった。溶媒B含有率(0.1%ギ酸含有100%アセトニトリル)を、140分以内で2~44%に上昇させた。次に、分割反応生成物を、375~1700m/zのサーベイスキャン、200m/zで70000の分解能、及び1e6のAGCターゲット(最大注入時間は60msに設定した。)でのデータ依存性獲得モード下に分析した。サーベイスキャン後、200m/zで17,500の分解能、及び5e4のAGCターゲット(最大注入時間は64msに設定した。)で正規化衝突エネルギー(NCE)27下に、トップ10の生成物イオンをフラグメンテーションのために選択した。生質量分析データのデータ分析を、Xcalibur(商標名)及びThermo Scientificが開発したProteome Discovererソフトウェアを用いて行った。
GAPDHとの相互作用:ウサギ筋肉からの精製GAPDHタンパク質(30μg、1μg/μL)(ScienCell Research Laboratories)を、60μM 3-BP又はNEO218の50mM重炭酸アンモニウム中溶液とともに室温で15分間インキュベートし、次にさらなる処理まで-20℃で保存した。10,000gの力で3K遠心フィルターを用いて、試薬を除去した。次に、フィルターに50mM重炭酸アンモニウム緩衝液100μLを加え、10mM 2-ヨードアセトアミドで1時間処理して、GAPDH上で遊離システインをアルキル化した。消化を、合計比1/50(トリプシン/GAPDH)で2段階で行った。最初、トリプシンの半量を加え、フィルターを30分ごとに渦攪拌しながら、混合物を37℃で2時間インキュベートした。第2に、残りの量のトリプシンを加え、混合物を終夜インキュベートした。16時間の消化後、1体積%ギ酸を加えることで、反応を停止した。反応混合物5μLを、分析用のトラップカラムに負荷した。標的反応を動的修飾と定義することで、GAPDHトリプシンペプチド上の修飾システイン残基を確認した。
GSH及びNACとの相互作用:等モル濃度(体積50μLで10mM)のNEO218及びGSH又はNACを、37℃又は50℃で1時間反応させた。反応混合物の小分けサンプルをトラップカラムに負荷してLC/MS分析を行った。同位体分布及び強度(13C同位体ピーク)と組み合わせた名目m/z値ピークによって、反応生成物を同定した。
2.13.統計解析
全てのパラメータデータを、スチュデントのt検定を用いて解析して、有意値を計算した。確率値(p)<0.05を、統計的に有意と見なした。
3.結果
3.1.細胞傷害力:新規な3-BP類縁体、NEO218
イン・ビトロの3-BPの細胞傷害効果がMCT-1の存在に依存することが報告されていることから、本発明者らは、試験で使用される各種腫瘍細胞系での3-BPの細胞傷害性とともにMCT-1発現レベルを特性決定することで試験を開始した。本発明者らは、1種類の結腸癌細胞系(HCT116)、3種類の神経膠芽腫細胞系(LN229、T98G、U251)、4種類の乳がん細胞系(MCF7、T47D、MDA-MB-231、MDA-MB-468)、原発性乳がん細胞の一つの培養物(BTM-12)、及び正常乳房上皮細胞の確立された株(ME16C)を含めた。10種類全ての細胞系について、本発明者らは、ウェスタンブロット分析によるMCT-1タンパク質レベルとともにMTTアッセイによってIC50(細胞群の50%を殺す薬剤の濃度)を確立した。図16A~16Cにまとめたように、MCT-1レベルは異なる細胞で大きく変わり、IC50値もそうであった。しかしながら、二つの間には明瞭な相関があり:高MCT-1レベルを有する細胞(HCT116、U251、ME16C、MDA-MB-468)は、それより低いMCT-1レベルを有する細胞(IC50:150~300μM)よりかなり低いIC50(15~60μM)を示した。これらの結果は、細胞の3-BPに対する感受性には高MCT-1発現レベルが必要であるという以前のデータと一致するものである。
3-BPの抗がん効果をさらに調べるため、本発明者らは、モノテルペンPOHが3-BPに共有結合的に複合体化した類縁体を作った。二つの永久的に縮合した抗がん化合物からなるこの新規なキメラをNEO218と称した(図1)。次に、本発明者らは、10種類全ての細胞系についてMTTアッセイを行って、NEO212の細胞傷害活性を3-BPと対照比較した。興味深いことに、NEO218は、各及び全ての細胞系で同様に強力であり、MCT-1発現レベルとは無関係に、IC50は15~25μMの狭い範囲内であった(図16A~16C)。
二つの薬剤間のこの明瞭な差を確認するため、本発明者らは、2種類のみの細胞系でさらなる細胞毒性アッセイを行い、3-BPに対する高MCT-1発現及び高感受性を代表するHCT116細胞を、3-BPに対して非常に低いMCT-1発現及び非常に低い感受性を代表するMDA-MB-231細胞と比較した。これらの細胞を、3-BP又はNEO218の濃度を上昇させながら、それによって処理し、薬剤効果をMTT短期毒性アッセイ、乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)放出アッセイ、及び長期コロニー形成アッセイ(CFA)によって定量した。結果を図17A~17Cに詳細に示しており、次のようにまとめることができる。すなわち、3-BPは、HCT116細胞では強い効力を発揮したが、MDA-MB-231細胞ではごく小さな効力しか発揮せず、それは、3種類全てのアッセイで一貫して認められた。それと比較して、NEO218は、3種類全てのアッセイで両細胞系で非常に強力であった。HCT116細胞において、3-BP及びNEO218は、非常に類似の濃度で活性であり、半最大効果はMTT、LDH、及びCFAアッセイでそれぞれ、約18μM、8μM、及び3μMであった。MDA-MB-231細胞において、NEO218は同じ高効力を維持したが、3-BPの有効濃度は非常に高くなり、3種類のアッセイにおいてそれぞれ約220μM、350μM、及び130μMとなった(図17A~17C)。従って、実験評価手順とは無関係に、3-BP及びNEO218は、MCT-1陽性細胞で同様に活性であり;しかしながら、MCT-1陰性細胞では、3-BPは顕著に活性が低かったが、NEO218はそれの全細胞傷害力を発揮し続けた。
NEO218は、それぞれ抗がん能力を有することが知られている二つの個々の化合物の結合によって形成されたものであることから、本発明者らは次に、3-BPとPOHとの単なる混合がNEO218を模倣可能であるか否かを調べた。MDA-MB-231細胞を、NEO218、3-BP、POH、又は3-BP+POHの混合で処理し、MTT、LDH、及びCFAアッセイによって分析した。前記のように、NEO218は、これら全てのアッセイで非常に強力であったが、3-BPはかなり活性が低かった(図18A~18C)。POH単独では、非常にごく弱い細胞傷害効果しか発揮せず、IC50はミリモル濃度範囲に近いものであり、それは、この化合物の抗がん効果を分析した多くの他の試験と一致するものである。注目すべき点として、3-BP+POHの混合は、3-BP単独の場合を超える活性を持たなかった;即ち、POHを3-BPに加えても、細胞傷害性結果が3-BP単独の効果に勝るものまで高まることはなく(図18A~18C)、それは、3-BP類縁体の新規な生理化学特性を示すものであった。
3.2.薬剤効果におけるMCT-1の役割
上記の結果は、NEO218の細胞傷害効果がMCT-1の存在を必要としないことを示していた。この結論をさらにバリデーションするため、本発明者らは、siRNAトランスフェクションを用いて、HCT116細胞でMCT-1発現をノックダウンした。予想通り、MCT-1発現のそのような低下により、3-BPに対する顕著な抵抗性が生じ、IC50は、20μMから67μMに3倍強上昇した(図19A)。それと比較して、NEO218に対するIC50は上昇せず、19μMから15μMまでわずかに低下した。対照として、本発明者らは、ウェスタンブロット(図19B)及び免疫組織化学(図19C)によって、MCT-1のsiRNA介在低下を確認した。
HCT116細胞を用いる本発明者らの毒性アッセイの一部で、本発明者らは、NEO218による処理後ではなく3-BPによる処理後に、用量-応答曲線の勾配は平らになったように思われることに気づき(例えば、図17A)、それは、他のものより3-BPに対して抵抗性が高い細胞の小下位群の存在を示唆している。免疫組織化学によって個々の細胞をより厳密に調べて、本発明者らは、他のほとんどMCT-1陽性群の中で、少数の見かけ上MCT-1陰性である細胞を検出した(図20A)。MTTアッセイで見かけの生存率を75%低下させ(図17A)、CFAでコロニー形成を99%遮断する濃度を代表する40μMでHCT116細胞を処理することで、この側面をさらに調べた。終夜3-BP処理後、HCT116細胞を回収し、約2週間後に、細胞群は完全に回復した。本発明者らが3-BP生存細胞と呼ぶこれらの細胞をさらに分析した。興味深いことに、免疫組織化学(図20A)によっても、ウェスタンブロット(図20B)によっても、これらの細胞でMCT-1発現は全く検出できなかった。3-BPに対するそれらの感受性を分析した際に、本発明者らは、それらがこの化合物に対して顕著に抵抗性となったことを認め、IC50は100μMより十分高く、図16A~16Cに示したMCT-1陰性細胞について実証されたIC50の範囲内であった。総合すると、これらの結果は、3-BP処理がMCT-1陰性細胞を効果的に選択し、それがその後に3-BP抵抗的に細胞群を急速に回復させることを示した。興味深いことに、NEO218はそのような効果は全く持たなかった。一方において、HCT116細胞を40μM NEO218で処理すると生存細胞は全く残らず;他方、非常に3-BP抵抗性の3-BP生存細胞はNEO218に対する高い感受性を保持した(図20C)。
3.3.支配的タイプの細胞死としての壊死の確立
本発明者らは次に、薬剤誘発細胞死の特性決定を行い、特には、3-BP又はNEO218による細胞の処理に応答したアポトーシスと壊死との間を区別することを試みた。本発明者らは最初に、薬剤処理細胞のFACS分析を行って、アネキシンV陽性性(アポトーシスのマーカー)対ヨウ化プロピジウム(PI)取り込み(壊死細胞のマーカー)を調べた。本発明者らは、アポトーシス細胞死の確立された陽性対照としてスタウロスポリン(STS)を用いた。図21Aで見られるように、STSは予想通りに機能した:この薬剤で処理したHCT116細胞は、左下象限(=完全生存細胞)から右下象限(=アネキシンV陽性細胞)に移動してから、右上象限にゆっくり蓄積した(=PI陽性、死亡細胞)。それと著しい対照をなすものとして、3-BP及びNEO218の両方の処理により、細胞は左下象限から右上象限に真っ直ぐ移動した。この効果は非常に急速であり、処理開始から2時間後という早い段階で検出可能であり;8時間の時点で、大半の細胞がPI陽性であり(図21A)、それは、アポトーシスではなく壊死が優勢であることを示している。
第2に、本発明者らは、アポトーシスの代表的なマーカー、具体的にはPARP(ポリ-ADP-リボースポリメラーゼ)のタンパク質分解開裂、カスパーゼ7(C-7)の活性化、及びリン酸化HA2Xタンパク質の出現(□-HA2X、DNAの損傷及び分解を示す)を分析した。HCT116及びMDA-MB-231細胞を、3-BP又はNEO218により、それらの個々の細胞傷害濃度で処理し、又はアポトーシス誘発の陽性対照としてのSTSによって処理した。図21Bは、STSが、予想通り、PARPの明白な開裂、C-7の活性化、及び□-HA2Xの出現を誘発したことを示している。しかしながら、それと比較して、3種類全てのアポトーシスマーカーが、3-BP又はNEO218に対しては、あったとしてもごくわずかにしか応答しなかった。本発明者らは、強力な汎カスパーゼ阻害剤であるZ-VAD-FMKを含めることで、3-BP又はNEO218の細胞傷害効果に影響があり得るか否かも確認した。しかしながら、図21Cに示したように、それは当てはまらなかった。即ち、カスパーゼ活性化の阻害は、その2薬剤の細胞傷害性IC50に影響せず、それは、代表的なアポトーシス事象がなかったことを示している。
アポトーシスは細胞エネルギーを必要とする活性プロセスであることが知られていることから、本発明者らは次に、薬剤処理後の細胞ATPレベルを確認した。評価基準として、本発明者らは、ロテノン(ミトコンドリア呼吸複合体I阻害剤)の存在下に、約25%動作閾値以下へのATPレベル降下により壊死細胞死を引き起こすことが知られている培養条件であるグルコース欠乏培地(解糖を最小とするため)での細胞の培養も行った。HCT116細胞を用いた図22に示したように、そのような厳しい培養条件によって、実際に、急速なATP枯渇、最初の3時間処理内での25%閾値突破、及び6時間後の正常値の約10%までのさらなる低下が生じた。顕著な類似点として、3-BP又はNEO218による細胞の処理により、ほぼ同一の結果となった(図22)。総合すると、これらの結果は、重度の細胞エネルギーレベル欠乏に続発する、両化合物についての細胞死の支配的機序として壊死を提供するものである。
3.4.薬剤誘発細胞傷害性の機序
3-BP及びNEO218の両方が細胞エネルギー産生の急速に致死的な終了を引き起こしたことが確認されて、本発明者らは次に、この効果の原因を確認する作業を開始した。過剰のピルベートの添加、又は抗酸化剤の補充によって、イン・ビトロで3-BPの細胞傷害効果から細胞が保護できたことが、他の研究者によって報告されていた。従って、本発明者らは、これらの手掛かりを追求し、それらがNEO218にも同様に当てはまるか否かを調べた。HCT116細胞を、ピルベート若しくは酸化防止剤(N-アセチルシステイン、NAC、及びグルタチオン、GSH)の存在下又は非存在下にNEO218又は3-BPで処理し、細胞生存率を24時間後に求めた。予想通り、3種類の細胞外添加された化合物のそれぞれが、3-BP毒性に対する強い保護を発揮することができた。しかしながら、NEO218の場合、顕著な差があった。抗酸化剤処理によって、同様にNEO218に対して細胞が保護されたが、ピルベートを加えた場合は、保護は全くなかった(図23A)。(この効果の解釈に関しては「考察」を参照する。)。
3-BPがグリセルアルデヒド3-ホスフェートデヒドロゲナーゼ(GAPDH)の阻害剤として報告されていたことから、本発明者らは次に、GAPDH酵素活性を調べた。最初に、HCT116細胞を3-BP又はNEO218で処理し、30分後、細胞を溶解させて、GAPDH活性の測定に供した。図23Bに示したように、GAPDH活性はいずれの化合物によっても大きく阻害され、IC50は30μMよりやや低かった。第2に、GAPDH活性に対する薬剤効果を、無細胞抽出物で確認し、その場合、薬剤は生存細胞に加えず、細胞溶解物に加えた。図23Cに示したように、両方の化合物は同様に、これらの条件下で酵素GAPDH活性を強力に低下させた。しかしながら、驚くべきことに、これらは無傷ミトコンドリアその他の細胞プロセスによるフリーラジカル生成の可能性がない無細胞反応条件であったが、酸化防止剤(NAC又はGSH)の存在下に、この阻害効果は完全に防止された。この結果は、NAC又はGSHの保護効果が、従来のフリーラジカル種失活によるものではなかった可能性を示唆した。(NAC及びGSHによる細胞保護を説明する別のモデルに関しては「考察」を参照する。)
3-BPの既知のアルキル化性に基づき、本発明者らは次に、3-BP及びNEO218がGAPDHタンパク質を共有結合的にピルビン酸化できるか否かの疑問を扱った。GAPDHのアミノ酸配列は、4個のシステイン(ウサギでは、位置150、154、245、282)を含み、それらのチオール官能基は、求核付加の候補を代表するものである。本発明者らは、3-BP又はNEO218のいずれかとともに精製ウサギGAPDHタンパク質をインキュベートし、得られた生成物を質量分析によって分析した。この分析によって、共有結合的に修飾されたシステインが明瞭に同定された。3-BPとのインキュベーションの場合、4個のシステイン全てがピルベートの付加によって変わった;NEO218とのインキュベーションの場合、同じ4個の残基が、ピルベート-ペリリルアルコール部分の結合を示した(図24A)。総合すると、上記の結果は、3-BP及びNEO218が、特に、酵素機能に最も必須であることが知られている[41]活性部位Cys-150(ヒトGAPDHにおけるCys-152と等価)において、それのシステイン残基のアルキル化により、GAPDH酵素活性の阻害を引き起こしたことを示した。
本発明者らはまた、NEO218(及び3-BP)が多くの他の標的を有する可能性があると考え、従って、GSH及びNACとの直接相互作用の可能性も調べた。精製GSH又はNACをイン・ビトロでNEO218と混合し、次に質量分析を行った。両方の抗酸化剤が、3-BP類縁体と容易に相互作用した。GSH+NEO218の場合、その反応によって一つの支配的縮合生成物が生じ(図24B)、それは不活性複合体を生じると考えられる求核置換反応と一致する。NAC+NEO218の場合、多くの異なる反応生成物が得られ、主要生成物の一つをさらなる分析用に選択した。この生成物のクロマトグラムは、求核付加反応を示しており、NEO218のブロミド残基が最終反応生成物構造から離れなかった可能性があるが(図24C)、そうではあっても、NACのNEO218との相互作用を明瞭に示している。他の反応生成物の特性決定は行わなかった。総合すると、これらの結果は、NEO218とGSH又はNACとの間の直接相互作用を示している。この結果に基づくと、補充されたGSH又はNACが、主としてアルキル化性化合物の求電子性を消すことで、細胞をNEO218から(又は3-BPから)保護するものと考えられる。
4.考察
3-BPは、肝臓がんについての抗がん剤として開発中であるが、それの詳細な作用機序は完全に明らかになっているわけではない。例えば、3-BPによる細胞エネルギーレベルの低下は実証されているが、それがどのようにして生じるかについは完全にわかっているわけではない。ただし、3-BPの実証されているGAPDH(又は恐らくはヘキソキナーゼ)阻害を介した解糖の遮断によるものであることが挙げられる場合が多い。多くの報告が、3-BP誘発細胞死の主要要素として酸化ストレスを挙げており、そして自食作用及び各種シグナル伝達経路も示唆されている。本発明者らは、3-BPのPOH連結類縁体であるNEO218を作ったが、それはこれらの機序の一部の役割をさらに明らかにする上で非常に有用であることが分かった。さらに、この類縁体は、がん療法の文脈で関連のある新たな特徴を示した。
3-BP及びNEO218の本発明者らによる比較イン・ビトロ分析により、重要な共通点、並びに興味深い相違が明らかになり、その相違は、3-BPの細胞傷害機序についての理解を深める上での重要な手掛かりを提供するものであった。他の研究者らによる関連のある最近公開された研究からの結果と併せて、本発明者らの新たなデータに基づき、本発明者らは、3-BP作用の最新モデル(下記で詳細に説明する)を提案し、さらなる研究のための新たな材料として、それの類縁体であるNEO218を紹介しようと考える。
3-BPとNEO218の間の主要な相違は、それらの細胞への進入に関するものである。3-BPが膜横断MCT-1による能動輸送を介して細胞に進入することが実証されており[10]、本発明者らは、このモデルを次のように確認した。(i)調べた10種類全ての細胞系において、3-BPの細胞傷害性IC50を、それらの個々のMCT-1タンパク質レベルと近接して並べた;即ち、高MCT-1タンパク質レベルを有する細胞は、一貫して、低MCT-1レベルを有する細胞よりかなり低いIC50を示した(図16A~16C)。(ii)MCT-1のノックダウンにより、3-BPによる殺滅に対する高い抵抗性が生じた(図19A~19C)。(iii)MCT-1発現の欠如に関して選択したHCT-116細胞は3-PBに対して非常に抵抗性であったが、MCT-1陽性親細胞は非常に感受性であった(図20A~20C)。これらの結果を、次のようにNEO218と比較した。(iv)NEO218は、MCT-1発現レベルとは無関係に、同じ10種類の細胞系で低濃度(15~20μM)で同様に強力であった。(v)NEO218のIC50はMCT-1のノックダウン後には上昇しなかった(図19A~19C)。(vi)MCT-1発現の欠如に関して選択したHCT-116細胞は、それらの親対応物と同等にNEO218に対して感受性であった(図20A~20C)。さらに、モル大過剰の補充ピルベート(既知のMCT-1基質)を加えることで、細胞は3-BPから強力に保護されたが、NEO218からは保護されなかった(図23A)。総合すると、これらのデータは、NEO218がMCT-1非依存的に効果的に細胞に進入するという本発明者らのモデルを完全に裏付けるものである。拡散によるか別の能動輸送機序によるかとは無関係に、それの細胞取り込みの正確な形態についてはまだ解明されていない。ペリリルアルコールが脂質二重層との動的相互作用を発揮するという以前の所見[42]を考慮すると、このモノテルペンの3-BPへの共有結合的結合がキメラ化合物に親油性を与えることで、受容体非依存性膜相互作用が生じて、細胞進入が達成されると考えられるであろう。
細胞取り込みは3-BPとNEO218の間で非常に異なるが、これら二つの化合物が細胞死を引き起こす機序は同一であるように見える。即ち、一旦細胞内に入ると、いずれの化合物も、最初の主要段階としてタンパク質アルキル化により、同じ一連の事象を誘発するように見える。3-BPのGAPDHへの結合及びそれの活性の阻害についてはすでに報告されている[1,2,43]。本発明者らは3-BP及びNEO218の両方によるGAPDH酵素活性の阻害を確認したが(図23B、23C)、本発明者らはさらに、GAPDHの一次アミノ酸配列内の4個全てのシステイン残基がアルキル化の標的であることを確認した(図24A)。ウサギタンパク質中のCys-150(ヒト配列中のCys-152に相当)は酵素機能に必須であることが知られていることから[41]、ピルビン酸化が、3-BP及びNEO218がGAPDHの阻害を達成する主要機序を代表すると結論付けることが妥当である。
基本的に、システインはタンパク質中で最も本質的に求核性のアミノ酸であり、機能性システイン中のチオール側鎖がマイケル受容体型化学剤と容易に相互作用する(「マイケル反応」)ことが立証されている[44]。従って、GAPDHシステインが3-BP及びNEO218の直接の標的であると確認されたことはさほど驚くべきことではなかった。しかしながら、当然の結果として、多くの他の細胞タンパク質の活性が、この種類の相互作用によって影響され得ることも示される。3-BP以外のチオール反応性求電子剤を用いる他の研究者による研究[45,46]により、そのような修飾に応答するシステインを有する>500種類(ほとんど同定されていない)のタンパク質が明らかになった。これらのタンパク質の全てが、あらゆる求電子剤によって一貫して修飾されたわけではないが、ある種のタンパク質ファミリーが他のものより感受性であり、特定のコア基が、調べた全ての求電子剤によって修飾されると思われた。3-BP及びNEO218の文脈で、GAPDH以外の多くの他のタンパク質が標的となり、これらの薬剤の細胞傷害効果をもたらし得ると推定できると考えられる。実際、細菌から真菌からヒトまでの多くの他の酵素が、3-BPによって阻害されることが示され[13-21]、その酵素には、トリカルボン酸回路を電子伝達鎖と連結する主要酵素であるコハク酸デヒドロゲナーゼ(SDH)などがある[2,19,47]。
非常に多数の可能な3-BP及びNEO218標的には、どれが薬剤誘発細胞死に関与するかという点に関しての疑問が生じる。他の研究者によって示され[22,24,48]、さらにNEO218について本発明者らによって確認されたように(図22)、3-BPは細胞ATPプールの重度の枯渇を引き起こし、それは、細胞生存性を維持することができず、壊死に至るのが不可避であることが知られている条件である[49-51]。従って、3-BP及びNEO218の非常に多くの可能な標的の中で、これら二つの酵素の高活性がなければ、細胞は生存に十分なエネルギーを産生することができない可能性が高いことから、GAPDH及びSDHの同時阻害が顕著になる。補充のピルベートがNEO218誘発細胞死を超える上で完全に無効であるという本発明者らの所見は、GAPDHとともに、SDHの推定の重要性をさらに強調するものである(図23A)。これは、他の研究者による所見[8,9]、及び本発明者による所見(図23A)と著しい対照をなすものであり、補充のピルベートによって提供される3-BPに対する強力な保護を示すものである。以前の解釈は、ピルベートが、欠落した解糖最終生成物を提供することで3-BP毒性を超える(即ち、GAPDH阻害の結果を中和)ことを示唆したが、それに対して、本発明者らのNEO218との対照比較によると、(モル大過剰の)ピルベート添加によって、MCT-1による細胞取り込みについての効果的競争により、3-BPから細胞が保護されると推定される。さらに、増殖培地からのグルコースの完全な除去は、本発明者の試験で使用した腫瘍細胞の短期生存にほとんど影響せず、3-BP誘発細胞死を明瞭に模倣するわけではない(不図示)。他方、解糖及びミトコンドリア呼吸の同時阻害(グルコースの除去及びロテノンの同時添加による)は、3-BP及びNEO218によって引き起こされるATP枯渇の急速な動力学に非常に類似している(図22)。総合すると、本発明者らのモデル(他の研究者による所見と一致[47,52,53])は、3-BP及びNEO218によって誘発される細胞死の主要な初期トリガーとしてのGAPDH及びSDHの強力な同時阻害を支持するものであるが、ただし、他の可能な標的の寄与があり得るし、まだ解明されていない。
3-BP及びNEO218による細胞処理に応答したGAPDHの阻害が、ROSによってさらに増悪する可能性がある。3-BPは、細胞GSHレベルを低下させて、ROSレベルが高くなることが明らかになっている[22,23]。解糖GAPDH活性は高ROSレベルによって阻害可能であることから[54]、ピルビン酸化+ROSによって開始される二面攻撃によってGAPDHが停止される可能性が非常に高い。ピルビン酸化に加えて、ATPプールを生命維持レベル以下に枯渇させるために、ROSによるこの追加の抑制が必要か否かはまだ明らかになっていない。いくつかの既報の研究[8,24,25,55]が、補充の抗酸化剤を使用し、3-BP誘発細胞死でのROSの役割を調べるための手段として、主としてGSH及びNACを加えており、3-BP及びNEO218の両方を用いて本発明者らが図23A~23Cで示しているものと同様の、3-BPからの細胞の保護においていずれか一つが顕著に強力であることを認めている。この結果はROSの発生が実際に、3-BPによる細胞死に介在する上で必須であることを示すものと解釈されていたが、本発明者らの結果はそれとは異なるものを示している。
例えば、3-BP及びNEO218は、無細胞系でもGAPDH活性を阻害し、ROSは何らかの役割を果たすとは考えられず、GSH又はNACの添加が、これらの条件でも保護的であることが証明された(図23C)。さらに、GAPDHのシステインチオール基とのNEO218の強力な相互作用と同様に、LC/MS分析によって明らかなように(図24A~24C)、NEO218は求核性GSH及びNACとも直接相互作用した。本発明者らは、この質量分析に3-BPを含めなかったが、他の研究者による最近の報告で、細胞の非存在下で、並びに赤血球及びMCF7細胞中で細胞内的に、GSHが3-BPと直接相互作用することが示された[56]。総合すると、これらの所見は、モル過剰の補充のGSH及びNACが3-BP/NEO218に効果的に結合し、それを中和することで作用することで、最初にROS産生を防止(上昇したROSレベルを二次的に失活させることによるのではなく)するというモデルを支持している。総合すると、3-BPが、細胞内GSHプールの枯渇を介してROSレベルを上昇させることが明らかであるが[22,23,43](恐らくはミトコンドリア呼吸に対する効果による[57])、これらのROSが実際に薬剤誘発細胞死に必要であるか否か、又は主要な代謝酵素のピルビン酸介在の失活で十分である可能性があるか否かについては、まだ解明されていない。
3-BP誘発細胞死の機序は、アポトーシス、ネクロトーシス又は壊死であると多様に報告されている(例えば、参考文献[22,24,26,58,59])。化学療法の文脈では、この区別は重要である。最近の総覧で指摘されているように[60]、一部の一般に持たれている考えとは逆に、アポトーシスではなく壊死が、最も効果的な化学療法の好ましい細胞死形態であるに違いない。本発明者らは、アポトーシス事象についての陽性対照としてスタウロスポリンを含めて、異なる観点からこの問題に焦点を当てるのにかなり注意を払った。本発明者らはまた、MCT-1陽性及び陰性細胞を用い、それによって、高3-BP濃度での事象が低濃度での事象と異なる可能性を調べることができた。
本発明者らの全てのデータが高度に一貫しており、本発明者らの細胞系で3-BP及びNEO218の両方による圧倒的に支配的な機序として壊死を示しており、次の所見によってそれは裏付けられる。(i)汎カスパーゼ阻害剤は、3-BP又はNEO218の細胞傷害性IC50に対して全く影響しなかった(図21C)。(ii)いくつかの確立されたアポトーシスのタンパク質マーカーは、あってもごく小さい薬剤処理への応答を示す(図21B)。(iii)細胞膜の構造的完全性の喪失が、壊死の特徴であり[61,62]、膜非透過性色素(例えば、ヨウ化プロピジウム、PI)の細胞取り込み、又は細胞質内酵素(例えば、乳酸デヒドロゲナーゼ、LDH)の細胞漏出によって実証することができる。本発明者らのFACS分析によって、PI陽性細胞のかなりの蓄積(図21A)及びLDHの広範囲漏出(図17A-17C)が示された。細胞膜完全性の喪失は、本発明者らによって観察され(図22)、他の研究者によって報告されている[22,24,48]重度のATP枯渇によって誘発される細胞死と一致しており、それは、細胞質膜横断電気化学勾配の維持が非常にエネルギー依存性であり、それの喪失によって、必然的に細胞膨張及び膜破裂に至る(即ち、壊死)からである[62]。(iv)急速な細胞死が、壊死細胞死の別の特徴である[63]。本発明者らは、薬剤曝露の最初の2時間以内にPI陽性性及びLDH放出を検出した(PIに関しては図21Aを参照する;時間経過は、LDHに関しては示していない。)。(v)あらゆる種類のプログラム事象が妨げられるはずであることを、ATPの重度の枯渇は既に示唆しているが、本発明者らは、ネクロトーシスとも称されるプログラムされた壊死[64]を、薬剤誘発細胞死の可能な機序として調べた。細胞を、一般に使用されるネクロトーシス阻害剤であるネクロスタチン-1(Nec-1)の存在下に3-BP又はNEO218で処理した[63]。しかしながら、薬剤誘発細胞傷害結果に対するNec-1の効果は全く認めることができなかった(不図示)。
本発明者らの試験において、本発明者らは、アポトーシス誘発の基準剤としてスタウロスポリンを含めており、それは、3-BP及びNEO218によって誘発される壊死事象とアポトーシス事象の間の詳細な区別に関して非常に有用であることが証明されている。例えば、アポトーシスの従来のマーカーを分析する本発明者らのウェスタンブロットにおいて(図21B)、本発明者らは、薬剤処理後にかすかな陽性シグナルの出現を検出している。これらのブロットのより長い曝露によって、これらのシグナルがさらに大きく促進されたであろう(そして、広範囲のアポトーシスが示された可能性があった)と考えられるが、本発明者らのスタウロスポリン処理細胞との比較によって、これらのシグナルが正しい角度で見直され、アポトーシスプロセスの関与が、あるとしてもごくわずかであることが確認された。さらに、膜完全性の喪失(壊死の特徴)がアネキシンV取り込みを可能とするであろうことから、PI陽性でもあるアネキシンV陽性細胞がアポトーシス性ではなく、壊死性であることは、記憶しておくべき重要な点である。これは、本発明者らのFACS分析によって見事に例示されており(図21A)、スタウロスポリン処理細胞は最初に右下象限(アネキシンV陽性;PI陰性)に移動し、それから、右上象限(アネキシンV陽性;PI陽性)に移動する。それに比べ、3-BP又はNEO218で処理した細胞の大多数が右下象限には見られず、むしろ、左下から右上に直接移動する。総合すると、本発明者らの詳細な分析からのデータは、壊死が、本発明者らの試験で用いた腫瘍細胞系での3-BP及びそれの類縁体NEO218によって誘発される細胞死の明らかに支配的な形態であることを実証している。しかしながら、留意すべき点として、3-BPに応答した細胞型特異的細胞死プロセスが報告されていることから[26]、他の細胞型が異なった形で応答する可能性があり得る。
がん療法において、治療抵抗性の発生は、通常は罹患患者の予後が悪いことを意味する深刻な問題である。この文脈において、興味深いことに、高度に感受性のHCT116細胞の3-BP単独処理によって、3-BP抵抗性細胞の蓄積を生じ、その原因は明らかに、薬剤処理によってMCT-1陽性細胞が全滅したが処理開始前に既に細胞群中に存在していた少数のMCT-1陰性細胞は生存及び逃避できたためであることが認められた(図20A~20C)。患者におけるMCT-1陽性腫瘍組織がMCT-1陰性細胞のサブセットを有しているか否かは不明であるが、本発明者らの例は、MCT-1発現の低下(図19A~19C)、又はMCT-1陰性腫瘍細胞下位集団の存在(図20A~20C)によって、臨床で治療抵抗性が生じる可能性があるという警告を提供するものである。しかしながら、興味深いことに、NEO218に対する抵抗性上昇は観察されず、実際のところ、3-BP処理から生じた抵抗性細胞は、なおもNEO218に対して高度に応答性であり(図20A~20C)、それは、この類縁体のMCT-1非依存性機能をさらに強調するものである。
5.結論
本発明者らの結果全体が、3-BP及びNEO218が細胞殺滅を行う分子活性が同じであるという結論と一致するものである。唯一認められた相違は、3-BPが、細胞に進入するのにMCT-1による輸送を必要とするが、NEO218はそれを必要としないという点である。しかしながら、一旦細胞内に入ると、3-BP及びNEO218は、次のように、同様の効力で、同じ一連の細胞傷害事象を誘発する。即ち、両剤とも、いくつかの主要な代謝酵素(GAPDH、SDH、及び恐らくは他の酵素)を急速にピルビン酸化することで、それらの活性を阻害する。即座の結果として、解糖及びミトコンドリア呼吸の両方が停止し、それによって、ATPレベルが生命維持レベル以下に急速に低下する。十分なATPが存在しないと、エネルギー依存性細胞機能は正常に機能しなくなることは実証されていることから[49~51,65~67]、細胞には、壊死以外の選択肢がなくなる。しかしながら、細胞がMCT-1をごくわずかしか発現しないか、全く発現しない場合、その細胞は、イン・ビトロで、低ないし中程度の濃度の3-BPの細胞傷害効果から保護される。3-BPによる将来的ながん療法を予測すれば、そのような細胞は、治療抵抗性を発生させ、患者における予後を不良なものとすると予想されるであろう。興味深いことに、このイン・ビトロ効果はNEO218では観察されず、それは、その薬剤の抗がん剤としての特徴の根拠を提供するものである。
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本発明は、本明細書に記載の具体的な実施形態によって範囲を限定されるものではない。実際、本明細書に記載のものに加えて本発明の各種改変が、前記の説明及び添付の図面から、当業者には明らかになろう。そのような改変は、添付の特許請求の範囲に包含されるものである。
前記の明細書は、当業者が本発明の実施できるようにするのに十分なものであると考えられる。本明細書で示され、説明されたものに加えて、本発明の各種改変が、前記の説明から当業者には明らかになるであろうし、添付の特許請求の範囲に包含される。補正証明書、特許出願文書、科学論文、政府報告書、ウェブサイト及び本明細書で引用の他の参考文献を含む各特許文書開示全体が、参照により、あらゆる点に関して全体が本明細書に組み込まれる。

Claims (9)

  1. 下記のもの:
    Figure 0007144411000004
    (3-ブロモ-2-オキソ-プロピオン酸4-イソプロペニル-シクロヘキサ-1-エンイルメチルエステル)であるペリリルアルコール及び3-ブロモピルベートの複合体又は該複合体の薬学的に許容される塩。
  2. 3-ブロモ-2-オキソ-プロピオン酸4-イソプロペニル-シクロヘキサ-1-エンイルメチルエステルを含む医薬組成物。
  3. 薬学的に許容される賦形剤をさらに含む、請求項2に記載の医薬組成物。
  4. 処置を必要とする患者でのがんの治療のための、請求項2又は3に記載の医薬組成物であって、治療上有効量の3-ブロモ-2-オキソ-プロピオン酸4-イソプロペニル-シクロヘキサ-1-エンイルメチルエステルを含む医薬組成物。
  5. 前記がんが、肺がん、耳、鼻及び咽頭のがん、白血病、結腸がん、メラノーマ、膵臓がん、乳がん、前立腺がん、造血系がん、卵巣がん、基底細胞がん、胆道がん;膀胱がん;骨肉腫;子宮頸がん;絨毛癌;直腸がん;結合組織がん;子宮内膜がん;食道がん;眼がん;頭頸部がん;胃がん;上皮内新生物;腎臓がん;喉頭がん;肝臓がん;リンパ腫、骨髄腫;線維腫、神経芽細胞腫;口腔がん;網膜芽細胞腫;横紋筋肉腫;肉腫;皮膚がん;睾丸がん;甲状腺がん;及び子宮がんからなる群から選択される、請求項4に記載の医薬組成物。
  6. 3-ブロモ-2-オキソ-プロピオン酸4-イソプロペニル-シクロヘキサ-1-エンイルメチルエステルの合成方法であって、
    a)1,1-ジクロロジメチルエーテルをブロモピルビン酸と反応させて、3-ブロモピルビン酸クロライドを生成すること;及び
    b)3-ブロモピルビン酸クロライドをペリリルアルコールと反応させて、3-ブロモ-2-オキソ-プロピオン酸4-イソプロペニル-シクロヘキサ-1-エンイルメチルエステルを生成すること
    を含む方法。
  7. 前記a)における1,1-ジクロロジメチルエーテルをブロモピルビン酸と反応させることを、約0~約20℃の温度で行う、請求項6に記載の方法。
  8. 前記b)における3-ブロモピルビン酸クロライドをペリリルアルコールと反応させることを、約-10~約10℃の温度で行う、請求項6に記載の方法。
  9. 前記b)における3-ブロモピルビン酸クロライドをペリリルアルコールと反応させることを、重炭酸ナトリウム及びn-ヘプタンの存在下に行う、請求項6に記載の方法。
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