以下に、本発明に係る端子付き電線の製造方法及び端子付き電線の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
[実施形態]
本発明に係る端子付き電線の製造方法及び端子付き電線の実施形態の1つを図1から図5に基づいて説明する。
図1の符号1は、本実施形態の端子付き電線を示す。この端子付き電線1は、後述する製造方法を用いて作り出される。
端子付き電線1は、互いに物理的且つ電気的に接続された電線10と端子金具20とを備える(図1)。
電線10は、その端末において、被覆11が剥ぎ取られて、芯線12が剥き出しになっている(図1)。その芯線12は、導電性の金属の線材から成る素線が円柱状に複数本束ねられたものであってもよく、円柱状に成形された1本の棒状導体であってもよい。ここで示す芯線12は、複数本の素線12aから成る。この電線10においては、その芯線12の端末における被覆11が剥ぎ取られた部分を「芯線露出部13」と称する。
端子金具20は、金属板等の金属材料で成形される。この端子金具20は、相手方端子金具の端子接続体(図示略)に対して物理的且つ電気的に接続される端子接続体30と、電線10の端末の芯線露出部13に対して物理的且つ電気的に接続される芯線接続体40と、電線10の端末の被覆11に対して物理的に接続される被覆接続体50と、を有する(図1及び図2)。
例えば、端子金具20の端子接続体30と相手方端子金具の端子接続体は、その内の一方が雌端子形状に形成され、かつ、その内の他方が雄端子形状に形成されて、互いに挿入嵌合させられる。この例示では、端子金具20の端子接続体30が雌端子形状に形成され、相手方端子金具の端子接続体が雄端子形状に形成されている。
芯線接続体40は、底部41と、この底部41の両端から突出させた一対の片部42,42と、によって構成される(図1及び図2)。芯線露出部13は、その底部41と一対の片部42,42とで囲まれた空間内に収容される。ここで示す芯線接続体40は、芯線露出部13に対する接続前の形状(芯線露出部13に対して物理的且つ電気的に接続される前の形状)が、底部41と一対の片部42,42とにより成るU字の板状に形成されている。以下において特に言及が無ければ、芯線接続体40は、芯線露出部13に接続される前の形状を表している。
この芯線接続体40においては、例えば、それぞれの片部42,42における自由端42a,42aの間の開口から芯線露出部13が内壁面42b,42bの間に挿入され、その芯線露出部13が底部41の内壁面(底面)41aに載せ置かれる(図2から図4)。芯線露出部13は、底部41の内壁面41a側及びそれぞれの片部42,42の内壁面42b,42b側で芯線接続体40に対して物理的且つ電気的に接続される。
それぞれの片部42,42は、底部41の両端から各々同じ方向に突出させ、互いの内壁面42b,42bの間に間隔S1を空けて対向配置させる(図3及び図4)。ここで示す芯線接続体40は、その底部41と一対の片部42,42が各々矩形の平板状で且つ同じ板厚のものとして形成されている。
被覆接続体50は、バレル底部51と、このバレル底部51の両端から突出させた一対のバレル片部52,52と、によって構成される(図1及び図2)。この被覆接続体50は、電線10の端末の被覆11に対する接続前の形状(電線10の端末の被覆11に対して物理的に接続される前の形状)が、バレル底部51と一対のバレル片部52,52とにより成るU字の板状に形成されている。この被覆接続体50においては、例えば、それぞれのバレル片部52,52における自由端52a,52aの間の開口から電線10の端末の被覆11部分が内方に挿入され、その被覆11部分がバレル底部51の内壁面(底面)51aに載せ置かれる。電線10の端末の被覆11は、バレル底部51の内壁面51a側及びそれぞれのバレル片部52,52の内壁面52b,52b側で被覆接続体50に対して物理的に接続される。
それぞれのバレル片部52,52は、バレル底部51の両端から各々同じ方向に突出させ、互いの内壁面52b,52bの間に間隔を空けて対向配置させる。ここで示す被覆接続体50は、そのバレル底部51と一対のバレル片部52,52が各々矩形の平板状で且つ同じ板厚のものとして形成されている。
この端子金具20は、それぞれの片部42,42における底部41の最下面41a1からの突出高さHよりも芯線露出部13の芯線径D1が小さい電線10を接続対象とする(図3及び図4)。底部41の最下面41a1とは、底部41の内壁面41aにおいて、それぞれの片部42,42の突出方向とは逆方向で、それぞれの片部42,42側から最も離れている部分のことである。ここで示す底部41においては、内壁面41aそのものが最下面41a1になる。芯線接続体40は、芯線露出部13の芯線径D1よりも底部41の最下面41a1からのそれぞれの片部42,42の突出高さHが高くなる形状のものとして形成される。また、この端子金具20は、その突出高さHに関する要件に加えて、芯線径D1がそれぞれの片部42,42の内壁面42b,42bの間隔S1以下となる電線10を接続対象とする。よって、芯線接続体40は、それぞれの片部42,42の内壁面42b,42bの間隔S1が芯線露出部13の芯線径D1以上の広さとなる形状のものとして形成される。
この端子付き電線1においては、電線10の端末を芯線接続体40と被覆接続体50に設置した後で、芯線露出部13と芯線接続体40とを溶着させ、電線10の端末の被覆11と被覆接続体50とを圧着させる。よって、この端子付き電線1の製造方法は、電線10の端末を芯線接続体40と被覆接続体50に設置させる電線設置工程を有している。更に、この端子付き電線1の製造方法は、芯線露出部13と芯線接続体40とを溶着させる溶融工程と固着工程とを有し、かつ、電線10の端末の被覆11と被覆接続体50とを圧着させる圧着工程を有している。
電線設置工程では、芯線接続体40におけるそれぞれの片部42,42の内壁面42b,42bの間に芯線露出部13を挿入し、その芯線露出部13を芯線接続体40における底部41の内壁面41aに載せ置く(図3)。この電線設置工程は、治具等の設置台(図示略)に載せ置かれた又は収容箱等の合成樹脂製のハウジング(図示略)に収容された端子金具20に対して、電線10を持った作業者が実施するものであってもよく、アーム等で電線10を掴んだ装置に実施させるものであってもよい。
この例示の電線設置工程では、複数本の素線12aから成る芯線12の芯線露出部13をそれぞれの片部42,42の内壁面42b,42bの間に挿入し且つ底部41の内壁面41aに載せ置く。よって、この例示の電線設置工程においては、素線12aを解れさせないように、芯線露出部13を芯線接続体40の内方に挿入させる。
また、この例示の電線設置工程では、芯線露出部13をそれぞれの片部42,42の内壁面42b,42bの間に挿入し且つ底部41の内壁面41aに載せ置く際に、電線10の端末の被覆11をそれぞれのバレル片部52,52の内壁面52b,52bの間に挿入し且つバレル底部51の内壁面51aに載せ置く。
尚、ここで示す端子金具20においては、芯線接続体40の底部41の内壁面41aと被覆接続体50のバレル底部51の内壁面51aとが同一平面上に存在している。このため、この例示の電線設置工程では、芯線露出部13の長さや重さにも依るが、少なくとも被覆11の肉厚の分だけ芯線露出部13が底部41の内壁面41aから浮く可能性もある。図3及び図4では、説明の便宜上、芯線露出部13を底部41の内壁面41aから浮かせている。しかしながら、電線設置工程では、そのような浮きが発生する場合、電線10の端末を傾けて芯線露出部13を底部41の内壁面41aに押し付けるなどして、芯線露出部13が底部41の内壁面41aに載せ置かれるようにする。また、ここでは、底部41の内壁面41aに被覆11の肉厚と同等の高さの膨出部(図示しゃく)を設けておいてもよい。この場合の電線設置工程では、その膨出部に芯線露出部13を載せ置くことによって、芯線露出部13が浮いた状態とならないようにすればよい。
この製造方法においては、溶融工程及び固着工程と圧着工程のどちらを先に実施してもよい。例えば、圧着工程においては、後述するが如く電線10の端末の被覆11に対して被覆接続体50を加締め圧着させる際に、その電線10の端末の被覆11部分が軸線方向に伸びる。このため、この製造方法では、その電線10の伸びの発生を考慮して、圧着工程を先に実施した後で、溶融工程及び固着工程を実施してもよい。また、この端子付き電線1においては、被覆接続体50から電線10が軸線方向に沿って外方に引き出される。このため、圧着工程においては、その電線10の引出方向に端末の被覆11部分を伸ばすことができる。よって、この製造方法では、溶融工程及び固着工程を先に実施した後で、圧着工程を実施してもよい。
溶融工程では、レーザ照射装置(図示略)を制御して、このレーザ照射装置からレーザ光LBを出射させる(図4)。この溶融工程では、芯線露出部13と芯線接続体40に対してそれぞれの片部42,42の自由端42a,42a側からレーザ光LBを照射して、その芯線露出部13と芯線接続体40を溶融させる。芯線露出部13と芯線接続体40は、レーザ光LBが照射されている部分から溶融していく。
そのレーザ光LBは、芯線露出部13の軸線方向(それぞれの片部42,42における突出方向と対向配置方向とに対する直交方向)にて、例えば、それぞれの片部42,42の全体に照射させる。一方、このレーザ光LBは、それぞれの片部42,42の対向配置方向にて、それぞれの片部42,42の自由端42a,42aにおける内壁面42b,42bの間隔S1よりも広く且つそれぞれの片部42,42の自由端42a,42aにおける外壁面42c,42cの間隔S2よりも狭い幅で照射させる(図4)。そのような狭い幅でレーザ光LBを照射させた場合には、無駄な場所へのレーザ光LBの照射を防ぐことができ、また、先に示したようにハウジングに端子金具20が収容されているときに、レーザ光LBのハウジングへの照射を防ぐことができる。但し、これらのような不都合が無いのであれば、レーザ光LBは、それぞれの片部42,42の対向配置方向にて、それぞれの片部42,42の全体に照射させてもよい。
ここで、先に示したように、端子金具20は、それぞれの片部42,42における底部41の最下面41a1からの突出高さHよりも芯線径D1が小さい電線10を接続対象にしている。このため、芯線接続体40の内方においては、芯線露出部13よりもレーザ光LBの出射部側にそれぞれの片部42,42の自由端42a,42aが存在している。よって、この溶融工程においては、先に示した照射範囲のレーザ光LBによって、そのレーザ光LBが先ずそれぞれの片部42,42の自由端42a,42a側に照射され、これに続いて芯線露出部13におけるレーザ光LBの出射部側に照射される。この溶融工程では、それぞれの片部42,42の自由端42a,42a側が溶融すると、その溶融したそれぞれの片部42,42の自由端42a,42a側の全部又は一部が、溶融し始めた芯線露出部13の上に載せられる。この溶融工程では、芯線露出部13に載ったそれぞれの片部42,42の自由端42a,42a側の溶融部にレーザ光LBを照射し、その片部42,42の溶融部と共に芯線露出部13を溶融させていく。溶融工程においては、これらの芯線露出部13と芯線接続体40における各溶融部のそれぞれの境界が混じり合うまでレーザ光LBを照射させる(図5)。例えば、この溶融工程では、芯線露出部13を底部41側まで溶融させるものとして、レーザ光LBの強度を調整してもよい。
尚、芯線接続体40の内方においては、芯線径D1がそれぞれの片部42,42の内壁面42b,42bの間隔S1よりも小さい場合、それぞれの片部42,42の内壁面42b,42bと芯線露出部13の間に隙間が存在することになる。よって、この溶融工程においては、その隙間の大きさ及びこの隙間の位置とそれぞれの片部42,42の自由端42a,42aとの間の距離如何で、それぞれの片部42,42の内壁面42b,42bと芯線露出部13の間にレーザ光LBを侵入させることができる。この場合、溶融工程では、それぞれの片部42,42の内壁面42b,42bにおける芯線露出部13に対向配置方向されている部分や、芯線露出部13におけるそれぞれの片部42,42に対向配置方向されている部分にまでレーザ光LBを照射でき、そのレーザ光LBがそれぞれの片部42,42の内壁面42b,42bと芯線露出部13の間の隙間を介して底部41にまで届く可能性もある。但し、このような場合でも、レーザ光LBは、指向性が高いので、底部41におけるそれぞれの片部42,42側の端部に照射される。この溶融工程においては、溶融したそれぞれの片部42,42の自由端42a,42a側の全部又は一部が芯線露出部13を覆うまでの間、底部41におけるそれぞれの片部42,42側の端部を溶融させることができる。
この製造方法においては、この溶融工程を終えた後で固着工程に移る。その固着工程では、レーザ照射装置を制御して、このレーザ照射装置からのレーザ光LBの出射を停止させる。つまり、この固着工程では、レーザ光LBの照射を停止させ、レーザ光LBで溶融した芯線露出部13と芯線接続体40を固着させる。これにより、この固着工程においては、芯線露出部13と芯線接続体40とを物理的且つ電気的に接続させることができる。
この例示の固着工程においては、溶融工程で芯線露出部13と芯線接続体40における各溶融部のそれぞれの境界が混じり合ったときに、レーザ光LBの照射を停止させ、その各溶融部を固着させる(図5)。つまり、その芯線露出部13と芯線接続体40は、溶融工程と固着工程を経ることによって、それぞれが溶融後に固着された溶融固着部1Aを成している。その溶融固着部1Aにおいては、芯線露出部13における溶融後の第1固着領域1aと、芯線接続体40における溶融後の第2固着領域1bと、に概ね区分けされている。ここで示す溶融固着部1Aは、その第1固着領域1aと第2固着領域1bとを互いの境界領域で固着させている。尚、その境界領域は、溶融状態如何で視認し得ない又は視認し難い場合もあり、これ故、図示の便宜上、符号1cを付して二点鎖線で表している。
圧着工程は、この技術分野で周知の構成の圧着機(図示略)を用いる。この圧着工程では、電線10の端末の被覆11が内方に収容された被覆接続体50を圧着機の上型と下型で挟み込んで加圧しながら、それぞれのバレル片部52,52を例えば上型の形状に合わせて電線10の端末の被覆11に巻き付けていく。
以上示したように、本実施形態の端子付き電線の製造方法及び端子付き電線1においては、レーザ光LBが先ずそれぞれの片部42,42の自由端42a,42a側に照射され、これに続いて芯線露出部13におけるレーザ光LBの出射部側に照射されるので、溶融したそれぞれの片部42,42の自由端42a,42a側の全部又は一部が、溶融し始めた芯線露出部13の上に載せられる。そして、この端子付き電線の製造方法及び端子付き電線1においては、芯線露出部13に載ったそれぞれの片部42,42の溶融部と共に芯線露出部13がレーザ光LBで溶融され、その各溶融部のそれぞれの境界が混じりあって固着される。従って、この端子付き電線の製造方法及び端子付き電線1においては、芯線露出部13と芯線接続体40を固着工程で強固に固着させることができる。よって、本実施形態の端子付き電線の製造方法及び端子付き電線1においては、その芯線露出部13と芯線接続体40の接続状態が良好で且つ安定的なものとなり、電線10と端子金具20の間の通電品質を向上させることができる。
また、本実施形態の端子付き電線の製造方法及び端子付き電線1においては、溶融工程で、溶融し始めた芯線露出部13に載せられたそれぞれの片部42,42の自由端42a,42a側の溶融部にレーザ光LBが照射され、そのレーザ光LBでそれぞれの片部42,42の自由端42a,42a側の溶融部と芯線露出部13を溶融させていく。つまり、この端子付き電線の製造方法及び端子付き電線1においては、溶融工程で、それぞれの片部42,42の自由端42a,42a側の溶融部が芯線露出部13を覆うことになるので、芯線露出部13に対してレーザ光LBが直接照射され続けることを抑制できる。例えば、芯線露出部13においては、レーザ光LBが直接照射され続けることによって、素線12aの解れが生じたり、素線12aが溶断したりしてしまう可能性がある。本実施形態の端子付き電線の製造方法及び端子付き電線1は、それぞれの片部42,42の自由端42a,42a側の溶融部が溶融工程で芯線露出部13を覆うので、そのような素線12aの解れの発生や素線12aの溶断の発生を抑えることができる。この端子付き電線の製造方法及び端子付き電線1においては、この点からも、芯線露出部13と芯線接続体40の接続状態が良好で且つ安定的なものとなり、電線10と端子金具20の間の通電品質を向上させることができる。
更に、本実施形態の端子付き電線の製造方法及び端子付き電線1においては、電線10の端末を芯線接続体40と被覆接続体50のそれぞれの底部41,51に載せ置き、芯線露出部13と芯線接続体40にレーザ光LBを照射して、これらを溶着させる。つまり、この端子付き電線の製造方法及び端子付き電線1においては、電線設置工程の前に従来のような電線10に対する加工工程を実施する必要がなく、また、電線設置工程の後で芯線露出部13と芯線接続体40との間の仮止め工程を実施する必要もない。このため、この端子付き電線の製造方法及び端子付き電線1においては、生産性を向上させることができる。
また更に、本実施形態の端子付き電線の製造方法及び端子付き電線1においては、芯線接続体40における底部41とそれぞれの片部42,42として、芯線露出部13への加締め圧着に用いるバレル底部とそれぞれのバレル片部を用いることができる。つまり、この端子付き電線の製造方法及び端子付き電線1においては、加締め圧着用の端子金具を本件の端子金具20として用いることができるので、例えば、既存の加締め圧着用の端子金具を本件の端子金具20に流用することができる。このため、この端子付き電線の製造方法及び端子付き電線1においては、原価の低減を図ることができ、また、先のハウジングも既存のものを流用できるので、この点でも原価の低減を図ることができる。
[変形例1]
本変形例の端子付き電線の製造方法は、下記の端子金具120を電線10の端末に取り付けた端子付き電線2を作り出すためのものである(図6から図8)。
本変形例の端子金具120は、例えば、前述した実施形態の端子金具20において、少なくとも芯線接続体40を下記の芯線接続体140に置き換えたが如きものに相当する(図6及び図7)。その芯線接続体140は、弧状の底部141と、この底部141の両端から突出させた一対の片部142,142と、によって構成される。この芯線接続体140は、芯線露出部13に対する接続前の形状(芯線露出部13に対して物理的且つ電気的に接続される前の形状)が、底部141と一対の片部142,142とにより成るU字の板状に形成されている。以下において特に言及が無ければ、芯線接続体140は、芯線露出部13に接続される前の形状を表している。
この芯線接続体140においては、実施形態の芯線接続体40と同じように、それぞれの片部142,142における自由端142a,142aの間の開口から芯線露出部13が内壁面142b,142bの間に挿入され、その芯線露出部13が底部141の弧状の内壁面(底面)141aに載せ置かれる(図6)。芯線露出部13は、底部141の内壁面141a側及びそれぞれの片部142,142の内壁面142b,142b側で芯線接続体140に対して物理的且つ電気的に接続される。
この芯線接続体140は、芯線露出部13の芯線径D1よりも底部141の最下面141a1からのそれぞれの片部142,142の突出高さHが高くなる形状のものとして形成される。底部141の最下面141a1とは、実施形態と同じように定義されるものであり、底部141の内壁面141aにおいて、それぞれの片部142,142の後述する突出方向とは逆方向で、それぞれの片部142,142側から最も離れている部分のことである。また、この芯線接続体140は、それぞれの片部142,142の内壁面142b,142bの間隔S1が芯線露出部13の芯線径D1以上の広さとなる形状のものとして形成される。
底部141は、その弧状の内壁面141aが芯線露出部13の芯線径D1と同径の円弧状を成すものとして形成されてもよく、芯線露出部13が弧状の内壁面141aに載せ置かれた際に、この芯線露出部13の軸線に対する直交断面がその内壁面141aに対する内接円となる形状のものとして形成されてもよい。その芯線露出部13の直交断面が内接円となる場合、芯線接続体140の内方においては、それぞれの片部142,142の内壁面142b,142bの間隔S1よりも芯線露出部13の芯線径D1が小さくなっており、それぞれの片部142,142の内壁面142b,142bと芯線露出部13の間に隙間を作り出すことができる。
それぞれの片部142,142は、底部141の両端から各々同じ方向に突出させ、互いの内壁面142b,142bの間に間隔S1を空けて対向配置させる(図6及び図7)。ここで示す芯線接続体140は、底部141が弧状で且つ板状のものとして形成され、それぞれの片部142,142が各々矩形の平板状のものとして形成されており、それぞれが同じ板厚になっている。
本変形例の電線設置工程では、実施形態の電線設置工程と同じようにして、そのような内接円となる芯線露出部13を底部141における弧状の内壁面141aに載せ置く(図6)。
本変形例の溶融工程は、実施形態の溶融工程と同じように実施される。よって、本変形例の溶融工程において、レーザ光LBは、それぞれの片部142,142の対向配置方向にて、それぞれの片部142,142の自由端142a,142aにおける内壁面142b,142bの間隔S1よりも広く且つそれぞれの片部142,142の自由端142a,142aにおける外壁面142c,142cの間隔S2よりも狭い幅で照射させる(図7)。
本変形例においても、芯線接続体140の内方においては、芯線露出部13よりもレーザ光LBの出射部側にそれぞれの片部142,142の自由端142a,142aが存在している。よって、本変形例においても、溶融工程においては、そのレーザ光LBが先ずそれぞれの片部142,142の自由端142a,142a側に照射され、これに続いて芯線露出部13におけるレーザ光LBの出射部側に照射されるので、それぞれの片部142,142の自由端142a,142a側が溶融すると、その溶融したそれぞれの片部142,142の自由端142a,142a側の全部又は一部が、溶融し始めた芯線露出部13の上に載せられる。本変形例においても、この溶融工程では、芯線露出部13に載ったそれぞれの片部142,142の自由端142a,142a側の溶融部にレーザ光LBを照射し、その片部142,142の溶融部と共に芯線露出部13を溶融させていく。溶融工程においては、これらの芯線露出部13と芯線接続体140における各溶融部のそれぞれの境界が混じり合うまでレーザ光LBを照射させる(図8)。例えば、この溶融工程では、芯線露出部13を底部41側まで溶融させるものとして、レーザ光LBの強度を調整してもよい。
尚、本変形例においても、芯線接続体140の内方においては、芯線径D1がそれぞれの片部142,142の内壁面142b,142bの間隔S1よりも小さい場合、それぞれの片部142,142の内壁面142b,142bと芯線露出部13の間に隙間が存在することになる。よって、本変形例においても、溶融工程においては、その隙間の大きさ及びこの隙間の位置とそれぞれの片部142,142の自由端142a,142aとの間の距離如何で、それぞれの片部142,142の内壁面142b,142bと芯線露出部13の間にレーザ光LBを侵入させ、そのレーザ光LBがその間の隙間を介して底部141にまで届く可能性もある。従って、本変形例においても、溶融工程においては、溶融したそれぞれの片部142,142の自由端142a,142a側の全部又は一部が芯線露出部13を覆うまでの間、底部141におけるそれぞれの片部142,142側の端部を溶融させることができる。
ここで、それぞれの片部142,142は、互いの内壁面142b,142bの間の間隔S1が自由端142a,142a側に向かうほど広くなるように底部141の両端から各々突出させたものであってもよい。この場合でも、レーザ光LBは、それぞれの片部142,142の対向配置方向にて、それぞれの片部142,142の自由端142a,142aにおける内壁面142b,142bの間隔S1よりも広く且つそれぞれの片部142,142の自由端142a,142aにおける外壁面142c,142cの間隔S2よりも狭い幅で照射させる。但し、この場合のそれぞれの片部142,142においては、レーザ光LBの照射で自由端142a,142a側の溶融部が芯線露出部13を覆うことができるように、各位置の間隔S1を設定する必要がある。
本変形例においても、固着工程では、溶融工程で芯線露出部13と芯線接続体140における各溶融部のそれぞれの境界が混じり合ったときに、レーザ光LBの照射を停止させ、その各溶融部を固着させる(図8)。よって、芯線露出部13と芯線接続体140は、溶融工程と固着工程を経ることによって、それぞれが溶融後に固着された溶融固着部2Aを成している。その溶融固着部2Aにおいては、芯線露出部13における溶融後の第1固着領域2aと、芯線接続体140における溶融後の第2固着領域2bと、に概ね区分けされている。ここで示す溶融固着部2Aは、その第1固着領域2aと第2固着領域2bとを互いの境界領域で固着させている。尚、その境界領域は、溶融状態如何で視認し得ない又は視認し難い場合もあり、これ故、図示の便宜上、符号2cを付して二点鎖線で表している。
本変形例においても、端子付き電線の製造方法及び端子付き電線2は、実施形態の端子付き電線の製造方法及び端子付き電線1と同様の効果を得ることができる。
[変形例2]
本変形例の端子付き電線の製造方法は、下記の端子金具220を電線10の端末に取り付けた端子付き電線3を作り出すためのものである(図9から図11)。
本変形例の端子金具220は、例えば、前述した実施形態の端子金具20において、少なくとも芯線接続体40を下記の芯線接続体240に置き換えたが如きものに相当する(図9及び図10)。その芯線接続体240は、弧状の底部241と、この底部241の両端から突出させた一対の片部242,242と、によって構成される。この芯線接続体240は、芯線露出部13に対する接続前の形状(芯線露出部13に対して物理的且つ電気的に接続される前の形状)が、底部241と一対の片部242,242とにより成るU字の板状に形成されている。以下において特に言及が無ければ、芯線接続体240は、芯線露出部13に接続される前の形状を表している。
この芯線接続体240においては、実施形態の芯線接続体40と同じように、それぞれの片部242,242における自由端242a,242aの間の開口から芯線露出部13が内壁面242b,242bの間に挿入され、その芯線露出部13が底部241の弧状の内壁面(底面)241aに載せ置かれる。芯線露出部13は、底部241の内壁面241a側及びそれぞれの片部242,242の内壁面242b,242b側で芯線接続体240に対して物理的且つ電気的に接続される。
但し、本変形例の芯線接続体240は、外壁面(底部241及び一対の片部142におけるそれぞれの外壁面241b,242c,242c)側の外壁層240Aと、この外壁層240Aよりも低融点の金属材料から成る内壁面(底部241及び一対の片部142におけるそれぞれの内壁面241a,242b,242b)側の内壁層240Bと、を備える(図9及び図10)。よって、本変形例の芯線接続体240においては、それぞれの片部242,242における自由端242a,242aの間の開口から芯線露出部13が内壁層240Bにおける内壁面242b,242bの間に挿入され、その芯線露出部13が底部241の内壁層240Bにおける弧状の内壁面241aに載せ置かれる。この芯線接続体240においては、内壁層240Bと芯線露出部13を溶着させる。外壁層240Aは、端子金具220の主体(端子接続体等を有するもの)となる部分に設ける。
例えば、本変形例の端子金具220は、母材となる金属板に、2種類の金属材料から成るクラッド部を有するものを用いる。そのクラッド部は、母材となる金属板において、少なくとも芯線接続体240として形成される部分に設ける。この芯線接続体240においては、例えば、外壁層240Aが銅又は銅合金で形成され、内壁層240Bがアルミニウム又はアルミニウム合金で形成される。
また、本変形例の芯線接続体240においては、内壁層240Bをメッキで形成してもよい。この場合、その内壁層240Bは、芯線露出部13との間での溶着に必要な体積分の膜厚のメッキ層として形成される。例えば、内壁層240Bは、膜厚が0.1mm以上の錫メッキ層として形成される。
また、本変形例の芯線接続体240においては、内壁層240Bを半田で形成してもよい。例えば、内壁層240Bは、外壁層240Aの内壁面に塗布されたペースト状の半田で形成される。
この芯線接続体240は、芯線露出部13の芯線径D1よりも底部241の内壁層240Bにおける最下面241a1からのそれぞれの片部242,242の突出高さHが高くなる形状のものとして形成される。底部241の最下面241a1とは、実施形態と同じように定義されるものであり、底部241の内壁面241aにおいて、それぞれの片部242,242の後述する突出方向とは逆方向で、それぞれの片部242,242側から最も離れている部分のことである。また、この芯線接続体240は、それぞれの片部242,242の内壁層240Bにおける内壁面242b,242bの間隔S1が芯線露出部13の芯線径D1以上の広さとなる形状のものとして形成される。
底部241は、その内壁層240Bにおける弧状の内壁面241aが芯線露出部13の芯線径D1と同径の円弧状を成すものとして形成されてもよく、芯線露出部13が内壁層240Bにおける弧状の内壁面241aに載せ置かれた際に、この芯線露出部13の軸線に対する直交断面がその内壁面241aに対する内接円となる形状のものとして形成されてもよい。その芯線露出部13の直交断面が内接円となる場合、芯線接続体240の内方においては、それぞれの片部242,242の内壁層240Bにおける内壁面242b,242bの間隔S1よりも芯線露出部13の芯線径D1が小さくなっており、それぞれの片部242,242の内壁層240Bにおける内壁面242b,242bと芯線露出部13の間に隙間を作り出すことができる。
それぞれの片部242,242は、底部241の両端から各々同じ方向に突出させ、互いの内壁面242b,242bの間に間隔S1を空けて対向配置させる(図9及び図10)。ここで示す芯線接続体240は、底部241が弧状で且つ板状のものとして形成され、それぞれの片部242,242が各々矩形の平板状のものとして形成されており、それぞれが同じ板厚になっている。尚、それぞれの片部242,242は、互いの内壁面242b,242bの間の間隔S1が自由端242a,242a側に向かうほど広くなるように底部241の両端から各々突出させたものであってもよい。
本変形例の電線設置工程では、実施形態の電線設置工程と同じようにして、そのような内接円となる芯線露出部13を底部241の内壁層240Bにおける弧状の内壁面241aに載せ置く(図9)。
本変形例の溶融工程では、芯線接続体240にて、少なくとも内壁層240Bを溶融させる。このため、但し、本変形例の溶融工程は、外壁層240Aの溶融を否定するものではない。ここで示す溶融工程では、芯線接続体240にて、内壁層240Bだけを溶融させる。このため、レーザ光LBは、内壁層240Bだけを溶融させる強度に調整されている。例えば、このレーザ光LBは、実施形態の溶融工程と同じように、それぞれの片部242,242の対向配置方向にて、それぞれの片部242,242の自由端242a,242aにおける内壁層240Bの内壁面242b,242bの間隔S1よりも広く且つそれぞれの片部242,242の自由端242a,242aにおける外壁層240Aの外壁面242c,242cの間隔S2よりも狭い幅で照射させる(図10)。これにより、この溶融工程では、芯線接続体240にて、内壁層240Bだけが溶融される。また、レーザ光LBは、一方の片部242の内壁層240Bにおける自由端と他方の片部242の内壁層240Bにおける自由端との間を照射範囲とするものであってもよい。つまり、レーザ光LBは、内壁層240Bと芯線露出部13だけに照射されるものであってもよい。この場合でも、溶融工程では、芯線接続体240にて、内壁層240Bだけが溶融される。
本変形例においても、芯線接続体240の内方においては、芯線露出部13よりもレーザ光LBの出射部側にそれぞれの片部242,242の自由端242a,242a(内壁層240Bにおける自由端242a,242a)が存在している。よって、本変形例においても、溶融工程においては、そのレーザ光LBが先ずそれぞれの片部242,242の自由端242a,242a側に照射され、これに続いて芯線露出部13におけるレーザ光LBの出射部側に照射されるので、それぞれの片部242,242の自由端242a,242a側が溶融すると、その溶融したそれぞれの片部242,242の自由端242a,242a側の全部又は一部が、溶融し始めた芯線露出部13の上に載せられる。具体的に、本変形例の溶融工程では、それぞれの片部242,242の内壁層240Bにおける自由端242a,242a側が溶融すると、その溶融したそれぞれの内壁層240Bの自由端242a,242a側の全部又は一部が、溶融し始めた芯線露出部13の上に載せられる。本変形例の溶融工程では、芯線露出部13に載ったそれぞれの内壁層240Bの自由端242a,242a側の溶融部にレーザ光LBを照射し、その内壁層240Bの溶融部と共に芯線露出部13を溶融させていく。本変形例の溶融工程では、これらの芯線露出部13と芯線接続体240の内壁層240Bにおける各溶融部のそれぞれの境界が混じり合うまでレーザ光LBを照射させる(図11)。例えば、この溶融工程では、芯線露出部13を底部141側まで溶融させるものとして、レーザ光LBの強度を調整してもよい。
尚、本変形例においても、芯線接続体240の内方においては、芯線径D1がそれぞれの片部242,242の内壁層240Bにおける内壁面242b,242bの間隔S1よりも小さい場合、それぞれの内壁層240Bにおける内壁面242b,242bと芯線露出部13の間に隙間が存在することになる。よって、本変形例においても、溶融工程においては、その隙間の大きさ及びこの隙間の位置とそれぞれの片部242,242の内壁層240Bにおける自由端242a,242aとの間の距離如何で、それぞれの内壁層240Bにおける内壁面242b,242bと芯線露出部13の間にレーザ光LBを侵入させ、そのレーザ光LBがその間の隙間を介して底部241にまで届く可能性もある。従って、本変形例においても、溶融工程においては、溶融したそれぞれの内壁層240Bの自由端242a,242a側の全部又は一部が芯線露出部13を覆うまでの間、底部241におけるそれぞれの片部242,242側の端部を溶融させることができる。
本変形例の固着工程では、溶融工程で芯線露出部13と芯線接続体240の内壁層240Bにおける各溶融部のそれぞれの境界が混じり合ったときに、レーザ光LBの照射を停止させ、その各溶融部を固着させる(図11)。よって、芯線露出部13と芯線接続体240の内壁層240Bは、溶融工程と固着工程を経ることによって、それぞれが溶融後に固着された溶融固着部3Aを成している。その溶融固着部3Aにおいては、芯線露出部13における溶融後の固着領域3aと、芯線接続体240の内壁層240Bにおける溶融後の固着領域3bと、に概ね区分けされている。ここで示す溶融固着部3Aは、その第1固着領域3aと第2固着領域3bとを互いの境界領域で固着させている。尚、その境界領域は、溶融状態如何で視認し得ない又は視認し難い場合もあり、これ故、図示の便宜上、符号3cを付して二点鎖線で表している。
本変形例においても、端子付き電線の製造方法及び端子付き電線3は、実施形態の端子付き電線の製造方法及び端子付き電線1と同様の効果を得ることができる。更に、本変形例の端子付き電線の製造方法及び端子付き電線3は、前述した実施形態や変形例1のものと比較して、レーザ光LBの強度を低く抑えることができるので、溶融工程において、レーザ光LBによる周囲への熱影響(例えば、先のハウジングへの熱影響)を抑制することができる。また、本変形例の端子付き電線の製造方法及び端子付き電線3は、低強度のレーザ光LBによって、前述した実施形態や変形例1のものよりも原価を低減させることができる。
[変形例3]
前述した実施形態並びに変形例1及び2の端子付き電線の製造方法においては、電線設置工程を実施する前に、芯線接続体40,140,240が端子保持治具に設置される。つまり、これらの端子付き電線の製造方法においては、電線設置工程を実施する前に芯線接続体40,140,240を端子保持治具に設置する端子設置工程が設けられている。そこで、本変形例では、その端子設置工程について端子保持治具の一例と共に示し、かつ、その端子保持治具を用いた場合の溶融工程について例示する。ここでは、変形例1の端子金具120を例に挙げて説明する。
端子設置工程で用いる端子保持治具500は、芯線接続体140の底部141を載せ置く載置部511と、この載置部511の両端から突出させ、かつ、芯線接続体140のそれぞれの片部142,142を挟み込む一対の側壁部512,512と、を有する(図12から図16)。その一対の側壁部512,512については、それぞれの片部142,142を全体的に覆うことができるように、それぞれの片部142,142の自由端142a,142aよりも突出させた自由端512a,512aを有している。
端子保持治具500は、例えば、芯線接続体140のみを設置させるものとして用意されてもよい。この場合には、図示しないが、芯線接続体140用の端子保持治具500の他に、端子金具120の端子接続体のみを設置させる端子保持治具(図示略)と、端子金具120の被覆接続体のみを設置させる端子保持治具(図示略)と、を用意してもよい。また、端子保持治具500は、例えば、芯線接続体140用の載置部511と一対の側壁部512,512の他に、端子金具120の端子接続体の底部を載せ置く載置部と、端子金具120の被覆接続体の底部を載せ置く載置部と、被覆接続体用の載置部の両端から突出させ、かつ、被覆接続体のそれぞれのバレル片部を挟み込む一対の側壁部と、を有するものとして構成されていてもよい。
この端子保持治具500において、少なくとも一対の側壁部512,512については、芯線露出部13及び芯線接続体140のそれぞれの融点よりも高融点のレーザ光透過材料で成形されたものを用いる。そのレーザ光透過材料とは、そのような融点特性を有すると共に、レーザ光の透過率がレーザ光の吸収率と反射率の和よりも大きい材料のことである。
例えば、ここでは、芯線露出部13の素線12aがアルミニウム又はアルミニウム合金で成形され、かつ、芯線接続体140が銅又は銅合金で成形されているので、これらよりも融点の高いレーザ光透過材料で成形された側壁部512を用いる。具体的に、レーザ光透過材料としては、赤外レーザを用いる場合、そのような融点特性を有すると共に、赤外領域を略透過させる(例えば、透過率90%以上)材料を用いる。また、レーザ光透過材料としては、紫外レーザを用いる場合、先の融点特性を有すると共に、紫外領域を略透過させる(例えば、透過率90%以上)材料を用いる。より具体的に示すならば、ここでは、これらの全ての要件を満たすものとして、石英ガラス又は非石英系のガラスとしてのフッ化物ガラスから成るレーザ光透過材料を用いればよい。また、赤外レーザを用いる場合には、カルコゲナイトガラスから成るレーザ光透過材料を用いればよい。
ここで示す端子保持治具500については、載置部511と一対の側壁部512,512の双方がレーザ光透過材料で成形されている。
この端子保持治具500を用いた端子設置工程では、載置部511の内壁面511aに芯線接続体140の底部141を載せ置くと共に、一対の側壁部512,512で芯線接続体140のそれぞれの片部142,142を挟み込む(図13)。ここでは、一対の側壁部512,512の内壁面512b,512bによって、それぞれの片部142,142を外壁面142c,142c側から挟持させる。
本変形例の製造方法においては、その後、前述した変形例1の電線設置工程に移り、溶融工程に進む。
本変形例の溶融工程では、例えば、前述した変形例1の溶融工程と同じようにレーザ光LBを照射させる。つまり、本変形例の溶融工程において、レーザ光LBは、それぞれの片部142,142の対向配置方向にて、それぞれの片部142,142の自由端142a,142aにおける内壁面142b,142bの間隔S1よりも広く且つそれぞれの片部142,142の自由端142a,142aにおける外壁面142c,142cの間隔S2よりも狭い幅で照射させる(図14)。本変形例の製造方法においては、このような溶融工程を経ることで、前述した変形例1と同様の端子付き電線2を作り出すことができる。
一方、本変形例の溶融工程では、先に示した高融点の端子保持治具500を用いているので、先の実施形態並びに変形例1及び2のレーザ光LBと同等の強度のレーザ光LBが端子保持治具500に照射されたとしても、その端子保持治具500の溶融を避けることができる。そこで、ここで示す溶融工程において、レーザ光LBは、それぞれの片部142,142の対向配置方向にて、それぞれの片部142,142の自由端142a,142aにおける内壁面142b,142bの間隔S1よりも広く且つそれぞれの側壁部512,512の自由端512a,512aにおける外壁面512c,512cの間隔S3よりも狭い幅で照射させている(図15)。つまり、この溶融工程においては、それぞれの片部142,142の自由端142a,142aの全体に当たるようにレーザ光LBが照射される。これにより、この溶融工程においては、それぞれの片部142,142と芯線露出部13とを同時に溶融させ易くなっており、その芯線露出部13における素線12aの解れの発生や素線12aの溶断の発生の抑制効果を高めることができる。従って、本変形例の端子付き電線の製造方法及び端子付き電線2においては、変形例1で示した効果が得られるだけでなく、その変形例1よりも芯線露出部13と芯線接続体140の接続状態がより良好で且つより安定的なものとなるので、電線10と端子金具120の間の通電品質を更に向上させることができる。
図16には、固着工程に入る前の芯線露出部13と芯線接続体140の溶融状態の一例を表している。本図において、符号M1は、底部141側で芯線露出部13のみが溶融している芯線単独領域を示している。一方、符号M2は、溶融した芯線露出部13と芯線接続体140のそれぞれの片部142,142とが混ざり合っている混合領域を示している。
尚、本変形例の端子保持治具500と溶融工程(図15)を前述した実施形態の製造方法に適用した場合、その端子付き電線の製造方法及び端子付き電線1においては、実施形態で示した効果が得られるだけでなく、その実施形態よりも芯線露出部13と芯線接続体40の接続状態がより良好で且つより安定的なものとなるので、電線10と端子金具20の間の通電品質を更に向上させることができる。また、本変形例の端子保持治具500と溶融工程(図15)を前述した変形例2の製造方法に適用した場合、その変形例2よりも芯線露出部13と芯線接続体240の接続状態がより良好で且つより安定的なものとなるので、電線10と端子金具220の間の通電品質を更に向上させることができる。