以下、本発明に係るブレーキペダル装置について、具体化した各実施形態に基づき、図面を参照しつつ説明する。以下の説明に用いる各図面では、基本的構成の一部が省略されて描かれており、描かれた各部の寸法比等は必ずしも正確ではない。また、各図における上下方向、前後方向、及び左右方向は、各図に記載された通りである。
各実施形態では、本発明に係るブレーキペダル装置のブレーキペダルが、コントロールユニットを介して、ブレーキアクチュエーターと電線で接続されている。コントロールユニットは、ブレーキペダルに対する踏込操作に応じた電気信号に基づいて、ブレーキアクチュエーターを制御し、ブレーキキャリパーを作動させる。つまり、本発明に係るブレーキペダル装置は、バイワイヤシステムを採用した車両に搭載されるものである。尚、このような技術を実施するための構成については、公知技術であることから、詳細な説明を省略する。
また、各実施形態では、本発明に係るブレーキペダル装置は、オルガン式のものであるが、吊り下げ式のものであってもよい。
(1)第1実施形態
先ず、本発明を具体化した第1実施形態について説明する。図1乃至図3に表されたように、第1実施形態のブレーキペダル装置10は、ベース部材20、ブレーキペダル40、及び反力機構50等を備えている。
ベース部材20は、溶融樹脂を射出成形して製造された樹脂成形品であって、前側ベース部材22、後側ベース部材24、左側ベース部材26、及び右側ベース部材28等から構成されている。前側ベース部材22及び後側ベース部材24は、前後方向で互いに向かい合っている。これに対して、左側ベース部材26及び右側ベース部材28は、左右方向で互いに向かい合っている。
更に、左側ベース部材26及び右側ベース部材28には、それらの前後の両端において、前側ベース部材22及び後側ベース部材24が連なっている。これにより、ベース部材20の中央には、前側ベース部材22、後側ベース部材24、左側ベース部材26、及び右側ベース部材28に囲まれた、開口部30が形成されている。そのため、ベース部材20は、平面視で枠状をなしている。
後側ベース部材24には、その左右の両端部において、一対の取付穴25,25が形成されている。左側ベース部材26には、その前側ベース部材22寄りにおいて、取付穴27が形成されている。右側ベース部材28には、その前側ベース部材22寄りにおいて、取付穴29が形成されている。各取付穴25,25,27,29には、インサート成形によって、金属製のカラーが嵌め込まれている。各取付穴25,25,27,29のカラーには、ベース部材20が車両フロア11に当接された状態において、固定ボルト(不図示)が挿入される。これにより、ベース部材20は、車両フロア11に固定される。
前側ベース部材22には、上方へ突出する一対の対向ブラケット部32,32が設けられている。一対の対向ブラケット部32,32は、ベース部材20の左右方向の中心を示す中心線を挟んで、互いに向き合っている。尚、左側ベース部材26及び右側ベース部材28においては、その後側ベース部材24寄りが、上方へ張り出している。
ブレーキペダル40は、ベース部材20と同様な樹脂成形品であって、溶融樹脂を射出成形して製造されるものである。 ブレーキペダル40の上端側には、踏部42が設けられている。ブレーキペダル40の前端側には、ブレーキペダル40の下端寄りにおいて、後方へ窪んだ凹部44が形成されている。
ブレーキペダル40は、その下端側が、左側、右側ベース部材26,28の間において、後側ベース部材24寄りに介在した状態にあり、回動ボルトB及びナットNによって回動可能に支持されている。そのため、ブレーキペダル40の下端側と、左側、右側ベース部材26,28の後側ベース部材24寄りには、回動ボルトBを通すための金属製のカラー(不図示)が、インサート成形によって設けられている。左側ベース部材26では、回動ボルトBの頭部が当接されている。これに対して、右側ベース部材28では、回動ボルトBの先端部が右方へ突き出しており、その突き出し部分にナットNがねじ込まれている。
反力機構50は、前側ベース部材22とブレーキペダル40との間に取り付けられることによって、ベース部材20の開口部30上に配設されている。反力機構50は、前側ホルダー52、後側ホルダー54、外側圧縮コイルバネ56、及び内側圧縮コイルバネ58等を備えている。
外側圧縮コイルバネ56及び内側圧縮コイルバネ58は、円筒形の金属製品である。外側圧縮コイルバネ56は、前側ホルダー52と後側ホルダー54とに挟まれた状態で支持されている。内側圧縮コイルバネ58は、前側ホルダー52と後側ホルダー54との間において、外側圧縮コイルバネ56の内部に配設されている。そのため、内側圧縮コイルバネ58の外径は、外側圧縮コイルバネ56の内径よりも小さい。また、内側圧縮コイルバネ58の自由長は、外側圧縮コイルバネ56の自由長よりも短い(後述の図6参照)。尚、外側、内側圧縮コイルバネ56,58の支持構造の詳細については、後述する。
前側ホルダー52には、その前方側において、差込ブラケット部53が突設されている。前側ホルダー52は、その差込ブラケット部53を挟み込んだ前側ベース部材22の一対の対向ブラケット部32,32において、回動ピンP1及び抜止ワッシャーW1で回動可能に支持されている。これに対して、後側ホルダー54は、その後方側において、差込ブラケット部55が突設されている。後側ホルダー54は、その差込ブラケット部55を入れ込んだ凹部44が形成されたブレーキペダル40の下端寄りにおいて、回動ピンP2及び抜止ワッシャーW2(後述の図6参照)で回動可能に支持されている。回動ピンP2は、回動ピンP1よりも高い位置に設けられている。そのため、反力機構50は、前方へ向かうに連れて下方へ向かう傾斜姿勢である。尚、前側、後側ホルダー52,54の支持構造の詳細については、後述する。
前側ホルダー52は、ベース部材20と同様な樹脂成形品であって、溶融樹脂を射出成形して製造されるものである。図4に表されたように、前側ホルダー52は、円板状の円形壁部60を備えている。円形壁部60には、外周壁部62、内周壁部64、及び円柱部66等が設けられている。外周壁部62は、円形壁部60の周縁から後方へ延び出ており、円筒状の壁面を形成している。外周壁部62の内径は、上記外側圧縮コイルバネ56の外径と略同一である。
内周壁部64は、外周壁部62に囲まれた円形壁部60の内面から後方へ延び出た、円筒状のリブであって、外周壁部62とは一定間隔を置いて対向している。これにより、内周壁部64と外周壁部62との間には、円環状の溝部72が形成されている。内周壁部64の外径は、上記外側圧縮コイルバネ56の内径よりも、僅かに小さい。従って、溝部72には、上記外側圧縮コイルバネ56の前端部を内挿させることが可能である(後述の図6参照)。尚、内周壁部64の延出長さは、外周壁部62の延出長さよりも短い。
円柱部66は、外周壁部62に囲まれた円形壁部60の内面中央において、後方へ突出している。更に、円柱部66は、その軸が、円形壁部60の中心を通る前側ホルダー52の軸61と一致するように設けられている。円柱部66の側面には、その長手方向に沿って、4個の縦リブ68が立設されている。各縦リブ68は、円柱部66の周方向において、90度の等角度ピッチで配設されている。各縦リブ68の立設高さ、つまり円柱部66の径方向における各縦リブ68の長さは、一定である。但し、各縦リブ68の後端側は、後方へ向かうに連れて円柱部66の側面に近づく傾斜面になっている。
これに対して、各縦リブ68の前端側には、横リブ69が連設されている。各横リブ69は、円形壁部60の径方向に沿って延び、各縦リブ68と内周壁部64とに連なっている。各横リブ69の間には、補間リブ70が設けられている。各補間リブ70は、円形壁部60の径方向に沿って延び、円柱部66の側面と内周壁部64とに連なっている。このようして、各横リブ69と各補間リブ70は、円柱部66の周方向において、45度の等角度ピッチで交互に配設されている。各横リブ69の端面、各補間リブ70の端面、及び内周壁部64の端面は、面一に連なり、前側ホルダー52の軸61と直交関係にある。
内側圧縮コイルバネ58の内径は、前側ホルダー52がその軸61を中心に回転することによって円柱部66の各縦リブ68の外縁で描かれる円の直径と略同一である。そのため、円柱部66は、内側圧縮コイルバネ58の前端側に内挿されると、各縦リブ68を介して、内側圧縮コイルバネ58の前端側内周と滑る状態で接する(後述の図6参照)。
円柱部66には、軸穴部74が形成されている。軸穴部74は、開穴76及び内周壁78等で構成されている。開穴76は、円状であって、円柱部66の先端面に設けられている。内周壁78は、開穴76の中心が、前側ホルダー52の軸61上を円柱部66の先端から基端側へ変位するに伴って移動する開穴76の外縁を連ねて形成される曲面である。
前側ホルダー52では、円柱部66とは逆側にある円形壁部60の外面中央において、差込ブラケット部53が突設されている。差込ブラケット部53には、インサート成形によって、金属製のカラーCが嵌め込まれている。
後側ホルダー54は、ベース部材20と同様な樹脂成形品であって、溶融樹脂を射出成形して製造されるものである。図4及び図5に表されたように、後側ホルダー54は、円板状の円形壁部80を備えている。円形壁部80には、外周壁部82及び突片部83等が設けられている。外周壁部82は、円形壁部80の周縁から後方へ延び出ており、円筒状の壁面を形成している。外周壁部82の内径は、上記外側圧縮コイルバネ56の外径と略同一である。
突片部83は、外周壁部82に囲まれた円形壁部80の内面中央において、前方へ突出している。更に、突片部83は、その軸が、円形壁部80の中心を通る後側ホルダー54の軸81と一致するように設けられている。突片部83は、円柱台84及び柱状部88等を有している。
円柱台84は、円形壁部80の内面から突出し、突片部83の基端側を構成している。円柱台84の側面には、その長手方向に沿って、4個の縦リブ86が立設されている。各縦リブ86は、円柱台84の周方向において、90度の等角度ピッチで配設されている。各縦リブ86の立設高さ、つまり円柱台84の径方向における各縦リブ86の長さは、一定である。但し、各縦リブ86の前端側は、前方へ向かうに連れて円柱台84の側面に近づく傾斜面になっている。
後側ホルダー54がその軸81を中心に回転することによって円柱台84の各縦リブ86の外縁で描かれる円の直径は、内側圧縮コイルバネ58の内径と略同一である。そのため、円柱台84は、内側圧縮コイルバネ58の後端側に内挿されると、各縦リブ86を介して、内側圧縮コイルバネ58の後端側内周と滑る状態で接する(後述の図6参照)。
柱状部88は、円柱台84の先端面から突出する十字リブであって、突片部83の先端側を構成している。後側ホルダー54がその軸81を中心に回転することによって柱状部88の外縁で描かれる円の直径は、前側ホルダー52の軸穴部74(つまり、開穴76及び内周壁78)の直径と略同一である。そのため、柱状部88は、前側ホルダー52の軸穴部74にその開穴76から挿入されると、軸穴部74の内周壁78と滑る状態で接する(後述の図6参照)。尚、柱状部88の先端側は、前方へ向かうに連れて後側ホルダー54の軸81に近づく傾斜面になっている。
後側ホルダー54では、突片部83とは逆側にある円形壁部80の外面中央において、差込ブラケット部55が突設されている。差込ブラケット部55には、インサート成形によって、金属製のカラーCが嵌め込まれている。
図6に表されたように、反力機構50では、前側ホルダー52の円柱部66に対して、内側圧縮コイルバネ58の前端側が挿入される。これにより、円柱部66は、各縦リブ68を介して、内側圧縮コイルバネ58の前端側内周に摺接した状態にある。前側ホルダー52の溝部72には、円柱部66及び内側圧縮コイルバネ58を内挿した状態の外側圧縮コイルバネ56が挿入される。これにより、溝部72を形成する外周壁部62は、外側圧縮コイルバネ56の前端側外周に内接した状態にある。
これに対して、後側ホルダー54の突片部83の柱状部88は、内側圧縮コイルバネ58にその後端から内挿され、更に、前側ホルダー52の円柱部66の軸穴部74にその開穴76から挿入される。これにより、前側ホルダー52の円柱部66の軸穴部74では、後側ホルダー54の突片部83の柱状部88が嵌挿した状態にある。
その際、内側圧縮コイルバネ58の後端側内周は、後側ホルダー54の突片部83の円柱台84に各縦リブ86を介して摺接した状態にある。更に、後側ホルダー54の外周壁部82内には、外側圧縮コイルバネ56の後端側が挿入される。これにより、後側ホルダー54の外周壁部82は、外側圧縮コイルバネ56の後端側外周に内接した状態にある。
また、外側圧縮コイルバネ56の前端は、前側ホルダー52の円形壁部60の内面に当接した状態にあり、外側圧縮コイルバネ56の後端は、後側ホルダー54の円形壁部80の内面に当接した状態にある。反力機構50は、上述したように、前方へ向かうに連れて下方へ向かう傾斜姿勢にある。そのため、内側圧縮コイルバネ58の前端は、前側ホルダー52の各横リブ69等に当接した状態にある。これに対して、内側圧縮コイルバネ58の後端は、間隔12を空けて、後側ホルダー54の円形壁部80に対向した状態にある。
このようにして、反力機構50が組み付けられると、前側ホルダー52の軸61と後側ホルダー54の軸81は、一致し、各回動ピンP1,P2の中心を通った反力機構50の軸51を形成する。そのため、外側、内側圧縮コイルバネ56,58は、反力機構50の軸51を中心にして、同心配置が保持された状態になる。更に、後側ホルダー54の突片部83の柱状部88が、前側ホルダー52の軸穴部74の内周壁78で摺動案内されると、前側、後側ホルダー52,54は、反力機構50の軸51に沿って近接又は隔離する。
ベース部材20の一対の対向ブラケット部32,32には、インサート成形によって、金属製のカラーCが嵌め込まれている。ベース部材20の一対の対向ブラケット部32,32の各カラーC間には、前側ホルダー52の差込ブラケット部53のカラーCが介在し、各カラーCの内部空間が左右方向で連通した状態にある。そのような状態において、回動ピンP1が、左側の対向ブラケット部32のカラーCから、差込ブラケット部53のカラーCを介して、右側の対向ブラケット部32のカラーCまで通されている。左側の対向ブラケット部32では、回動ピンP1の頭部が左方へ突き出ている。これに対して、右側の対向ブラケット部32では、回動ピンP1の先端部が右方へ突き出しており、その突き出し部分に抜止ワッシャーW1が取り付けられている。これにより、前側ホルダー52は、ベース部材20に回動可能に支持されている。
ブレーキペダル40の凹部44の左右側には、インサート成形によって、金属製の一対のカラーC,Cが嵌め込まれている。ブレーキペダル40の凹部44の左右側の各カラーC間には、後側ホルダー54の差込ブラケット部55のカラーCが介在し、各カラーCの内部空間が左右方向で連通した状態にある。そのような状態において、回動ピンP2が、ブレーキペダル40の凹部44の左側のカラーCから、差込ブラケット部55のカラーCを介して、ブレーキペダル40の凹部44の右側のカラーCまで通されている。ブレーキペダル40の左面では、回動ピンP2の頭部が左方へ突き出ている。これに対して、ブレーキペダル40の右面では、回動ピンP2の先端部が右方へ突き出しており、その突き出し部分に抜止ワッシャーW2が取り付けられている。これにより、後側ホルダー54は、ブレーキペダル40に回動可能に支持されている。
このようにして、ブレーキペダル装置10では、反力機構50が、その前側、後側ホルダー52,54の差込ブラケット部53,55を介して、ベース部材20とブレーキペダル40とに回動可能に支持されている。
図7に表されたように、ブレーキペダル装置10では、踏込操作によってブレーキペダル40の踏部42が踏み込まれると、ブレーキペダル40が踏込方向X1へ回動ボルトBを中心に回転する。これにより、回動ピンP2には、反力機構50の後側ホルダー54を前側ホルダー52側へ向かわせる力が、反力機構50の軸51に沿って作用する。そのため、後側ホルダー54は、その柱状部88が前側ホルダー52の軸穴部74の内周壁78で摺動案内されながら、前側ホルダー52側へ移動する。
その際、後側ホルダー54の円形壁部80が内側圧縮コイルバネ58の後端に当接するまで、つまり、後側ホルダー54の円形壁部80と内側圧縮コイルバネ58の後端との間隔12がなくなるまでは、外側圧縮コイルバネ56のみが撓む。これにより、回動ピンP2には、外側圧縮コイルバネ56の復元力が、反力機構50の軸51に沿って作用する。そのため、ブレーキペダル40は、外側圧縮コイルバネ56の撓み量に応じて、踏込方向X1とは逆の反踏込方向X2へ付勢される。つまり、踏込操作には、外側圧縮コイルバネ56の撓み量に応じた踏力Fが必要である。
その後、図8に表されたように、ペダルストロークSが大きくなり、後側ホルダー54の円形壁部80が内側圧縮コイルバネ58の後端に当接すると、つまり、後側ホルダー54の円形壁部80と内側圧縮コイルバネ58の後端との間隔12が無くなると、外側圧縮コイルバネ56に加えて、内側圧縮コイルバネ58が撓む。これにより、回動ピンP2には、外側、内側圧縮コイルバネ56,58の各復元力が、反力機構50の軸51に沿って作用する。そのため、ブレーキペダル40は、外側、内側圧縮コイルバネ56,58の各撓み量に応じて、踏込方向X1とは逆の反踏込方向X2へ付勢される。つまり、踏込操作には、外側、内側圧縮コイルバネ56,58の各撓み量に応じた踏力Fが必要である。
従って、踏力FとペダルストロークSの関係は、図9に表された線図となる。上記間隔12が無くなる、折点14までのペダルストロークSでは、外側圧縮コイルバネ56の圧縮エネルギー16のみに応じた踏力Fが必要であるが、折点14を超えるペダルストロークSでは、外側圧縮コイルバネ56の圧縮エネルギー16と内側圧縮コイルバネ58の圧縮エネルギー18との和に応じた踏力Fが必要である。このような踏力FとペダルストロークSの関係は、操作フィーリングに優れ、更に、外側、内側圧縮コイルバネ56,58の各バネ定数の設定によって、油圧式ブレーキの操作フィーリングに近づけることが可能である。
以上詳細に説明した通り、第1実施形態のブレーキペダル装置10では、踏込操作された際のブレーキペダル40を、自由長が異なる外側、内側圧縮コイルバネ56,58の各撓み量に応じて、反踏込方向X2へ付勢する反力機構50において、外側圧縮コイルバネ56の両端側外周を前側、後側ホルダー52,54に当接させ、内側圧縮コイルバネ58の両端側内周を前側、後側ホルダー52,54に当接させている。更に、反力機構50は、そのようにして外側、内側圧縮コイルバネ56,58が備え付けられた前側、後側ホルダー52,54を、反力機構50の軸51に沿って近接又は隔離させている。これにより、第1実施形態のブレーキペダル装置10は、外側、内側圧縮コイルバネ56,58の径方向への変形を抑制している。
従って、第1実施形態のブレーキペダル装置10は、反力機構50に必要なバネ特性を、外側、内側圧縮コイルバネ56,58で確実に実現できる。
ちなみに、車両フロア11は、「車体」の一例である。前側、後側ホルダー52,54は、「一対のホルダー」の一例である。前側ホルダー52は、「一方側ホルダー」の一例である。前側ホルダーの軸61は、「一方側ホルダーの軸」の一例である。外周壁部62は、「周壁部」の一例である。円柱部66は、「一方側突出部」の一例である。後側ホルダー54は、「他方側ホルダー」の一例である。後側ホルダーの軸81は、「他方側ホルダーの軸」の一例である。突片部83は、「他方側突出部」の一例である。円柱台84は、「基端部」の一例である。柱状部88は、「先端部」の一例である。
外側圧縮コイルバネ56は、「長尺圧縮コイルバネ」の一例である。外側圧縮コイルバネ56の前端は、「長尺圧縮コイルバネの一端」の一例である。外側圧縮コイルバネ56の後端は、「長尺圧縮コイルバネの他端」の一例である。内側圧縮コイルバネ58は、「短尺圧縮コイルバネ」の一例である。内側圧縮コイルバネ58の前端は、「短尺圧縮コイルバネの一端」の一例である。内側圧縮コイルバネ58の後端は、「短尺圧縮コイルバネの他端」の一例である。
尚、本発明は第1実施形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、前側ホルダー52の円柱部66は、各縦リブ68を介さずに、内側圧縮コイルバネ58の前端側内周と滑る状態で接するようにしてもよい。同様にして、後側ホルダー54の円柱台84は、各縦リブ86を介さずに、内側圧縮コイルバネ58の後端側内周と滑る状態で接するようにしてもよい。
また、前側ホルダー52と後側ホルダー54とを入れ替えてもよい。また、内側圧縮コイルバネ58の自由長と、外側圧縮コイルバネ56の自由長とを入れ替えてもよい。
また、外側、内側圧縮コイルバネ56,58は、単純な円筒形に限定されるものでなく、例えば、円錐コイルバネ、樽形コイルバネ、鼓形コイルバネ、又は不等ピッチのコイルバネ等であってもよい。
(2)第2実施形態
次に、本発明を具体化した第2実施形態について説明する。尚、以下の説明では、上記第1実施形態と実質的に共通する部分には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
図10に表されたように、第2実施形態では、クッション部材100が、後側ホルダー54に備え付けられる。クッション部材100には、復元性を有するものであって、内側圧縮コイルバネ58と比べてクッション性もしくは応力緩和する、ゴム、スポンジ、エラストマー、又は不織布等の弾性体が使用される。尚、ゴム又はウレタン等を基材に発泡させた気泡発泡体が、クッション部材100として使用されてもよい。
クッション部材100は、環状をなし、内側圧縮コイルバネ58よりも先に、後側ホルダー54の突片部83に挿入される。クッション部材100の内径及び外径は、内側圧縮コイルバネ58の内径及び外径と略同一である。クッション部材100の側面高さ101は、上記間隔12と略同一である。
そのため、図11に表されたように、第2実施形態のブレーキペダル装置10では、クッション部材100が、後側ホルダー54の円形壁部80、突片部83の各縦リブ86、及び内側圧縮コイルバネ58の後端に当接した状態で、後側ホルダー54の円形壁部80と内側圧縮コイルバネ58の後端との間に介在する。
従って、踏込操作が行われて、後側ホルダー54が前側ホルダー52側へ移動すると、クッション部材100が、後側ホルダー54の円形壁部80によって内側圧縮コイルバネ58の後端に押し付けられて潰される。そして、図12に表されたように、クッション部材100が最大限潰されると、内側圧縮コイルバネ58の復元力が、後側ホルダー54の円形壁部80に作用する。よって、第2実施形態では、クッション部材100の潰れ代が上記間隔12と略同一であれば、第1実施形態と同様なバネ特性が実現される。
以上詳細に説明した通り、第2実施形態のブレーキペダル装置10では、クッション部材100が、内側圧縮コイルバネ58の後端と後側ホルダー54の円形壁部80とに当接しているので、内側圧縮コイルバネ58の位置が固定される。更に、踏込操作が行われると、クッション部材100が、内側圧縮コイルバネ58の後端と後側ホルダー54の円形壁部80とによって押し潰されるので、内側圧縮コイルバネ58の後端と後側ホルダー54の円形壁部80との衝突音が防止される。
尚、本発明は第2実施形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、クッション部材100は、前側ホルダー52において、内側圧縮コイルバネ58よりも先に、円柱部66に挿入されてもよい。
また、クッション部材100は、外側圧縮コイルバネ56の前端又は後端と、前側ホルダー52の円形壁部60又は後側ホルダー54の円形壁部80との間に介在させてもよい。
(3)第3実施形態
次に、本発明を具体化した第3実施形態について説明する。尚、以下の説明では、上記第1実施形態と上記第2実施形態と実質的に共通する部分には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
図13に表されたように、第3実施形態では、後側ホルダー54において、内周壁部90が形成されている。内周壁部90は、外周壁部82に囲まれた円形壁部80の内面から前方へ延び出た、円筒状のリブであって、突片部83の各縦リブ86とは一定間隔を置いて対向している。これにより、内周壁部90と突片部83の各縦リブ86との間には、溝部92が形成されている。内周壁部90の内径は、クッション部材100の外径と略同一である。従って、各溝部92には、クッション部材100を嵌め入れることが可能である(後述の図14参照)。尚、内周壁部90の延出長さは、外周壁部82の延出長さよりも短い。
更に、後側ホルダー54には、受け部材110が、クッション部材100と内側圧縮コイルバネ58との間において、後側ホルダー54の突片部83に挿入される。受け部材110は、内側圧縮コイルバネ58の復元力に耐え得る剛性を有する樹脂成形品であって、ベース部材20と同様にして、溶融樹脂を射出成形して製造されるものである。
受け部材110は、開口部111を有する環状の本体112を備えている。開口部111の径、つまり本体112の内周縁の径は、後側ホルダー54がその軸81を中心に回転することによって円柱台84の各縦リブ86の外縁で描かれる円の直径と略同一である。これにより、受け部材110は、その開口部111から後側ホルダー54の突片部83に挿入された状態になると、突片部83の各縦リブ86を介して、円柱台84と滑る状態で接する(後述の図14参照)。
本体112には、内周壁部114と外周壁部116とが設けられている。内周壁部114は、本体112の内周縁から前方及び後方へ延び出ており、円筒状の壁面を形成している。内周壁部114の外径は、内側圧縮コイルバネ58又はクッション部材100の内径と略同一である。外周壁部116は、本体112の外周縁から前方及び後方へ延び出ており、円筒状の壁面を形成している。外周壁部116の内径は、内側圧縮コイルバネ58又はクッション部材100の外径と略同一である。このようにして、本体112の前面側には、前面側溝部118が形成される。これに対して、図14に表されたように、受け部材110の本体112の後面側には、後面側溝部120が形成される。従って、本体112の断面は、H字状である。
受け部材110の前面側溝部118には、内側圧縮コイルバネ58の後端側が嵌められた状態で取り付けられている。受け部材110の後面側溝部120には、クッション部材100の前端側が嵌められた状態で取り付けられている。これにより、受け部材110は、内側圧縮コイルバネ58の後端とクッション部材100とに挟まれた状態にある。また、クッション部材100の後端側は、後側ホルダー54の各溝部92に嵌められた状態で取り付けられている。
尚、クッション部材100の潰し状態を安定させるため、クッション部材100の内径は、上記第2実施形態の内径に対して、受け部材110の内周壁部114の径方向厚さの2倍に相当する長さを加算した値と略同一にしている。また、後側ホルダー54の円柱台84の各縦リブ86の基端側には、受け部材110の内周壁部114の径方向厚さに相当する高さの補助リブ94が、内周壁部90と対向するようにして立設されている。
従って、踏込操作が行われて、後側ホルダー54が前側ホルダー52側へ移動すると、クッション部材100は、その後端側が後側ホルダー54の円形壁部80の各溝部92に嵌められた状態で、受け部材110に押し付けられて潰される。そして、図15に表されたように、後側ホルダー54の各溝部92を形成する内周壁部90の端面と、補助リブ94の端面が、受け部材110に突き当たると、クッション部材100が、最大限潰された状態になって、後側ホルダー54の各溝部92及び受け部材110の後面側溝部120に充填されると共に、内側圧縮コイルバネ58の復元力が、後側ホルダー54の円形壁部80に作用する。よって、第3実施形態でも、クッション部材100の潰れ代が上記間隔12と略同一であれば、第1実施形態と同様なバネ特性が実現される。
以上詳細に説明した通り、第3実施形態のブレーキペダル装置10では、クッション部材100の後端側が、後側ホルダー54の円形壁部80の各溝部92に嵌められた状態で取り付けられているので、クッション部材100が後側ホルダー54に対して固定される。更に、クッション部材100の潰し量は、第2実施形態と比べ、少なくとも、後側ホルダー54の各溝部92の深さに相当する分を少なくできる。よって、クッション部材100は、その全体が潰されないため、踏込操作の繰り返しによる経たり等の劣化が抑制される。
また、第3実施形態のブレーキペダル装置10では、受け部材110が、内側圧縮コイルバネ58の後端とクッション部材100とに挟まれた状態で取り付けられ、内側圧縮コイルバネ58の復元力に耐え得る剛性を有するものであることから、クッション部材100が偏りなく潰される。
また、第3実施形態のブレーキペダル装置10では、内側圧縮コイルバネ58の後端側が、受け部材110の前面側溝部118に嵌められた状態で取り付けられ、クッション部材100の前端側が、受け部材110の後面側溝部120に嵌められた状態で取り付けられていることから、受け部材110によって、内側圧縮コイルバネ58の後端側とクッション部材100の前端側との相対的位置関係が安定する。
また、第3実施形態のブレーキペダル装置10では、クッション部材100の前端側が、受け部材110の後面側溝部120に嵌められた状態で取り付けられているので、クッション部材100が受け部材110に対して固定される。更に、クッション部材100の潰し量は、第2実施形態と比べ、少なくとも、受け部材110の後面側溝部120の深さに相当する分を少なくできる。よって、クッション部材100は、その全体が潰されないため、踏込操作の繰り返しによる経たり等の劣化が抑制される。
また、第3実施形態のブレーキペダル装置10では、開口部111を有する受け部材110の内周縁が、後側ホルダー54の突片部83の各縦リブ86を介して、円柱台84と滑る状態で接する。そのため、受け部材110は、後側ホルダー54の突片部83の各縦リブ86上を安定した状態で摺動することができる。
ちなみに、第3実施形態において、前面側溝部118は、「一面側溝部」の一例である。後面側溝部120は、「他面側溝部」の一例である。後側ホルダー54がその軸81を中心に回転することによって円柱台84の各縦リブ86の外縁で描かれる円は、「他方側突出部の基端部の外周」の一例である。クッション部材100の前端側は、「クッション部材の一端側」の一例である。クッション部材100の後端側は、「クッション部材の他端側」の一例である。
尚、本発明は第3実施形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、クッション部材100が嵌め入れられる各溝部92は、前側ホルダー52の円形壁部60に形成されてもよい。そのような場合、受け部材110は、前側ホルダー52の円柱部66に差し入れられる。
また、受け部材110は、内周壁部114又は外周壁部116の一方が省かれたものであってもよいし、内周壁部114及び外周壁部116の双方が省かれたものであってもよい。更に、受け部材110は、複数に分割されたものであってもよい。
(4)第4実施形態
次に、本発明を具体化した第4実施形態について説明する。尚、以下の説明では、上記第1実施形態と上記第2実施形態と実質的に共通する部分には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
図16に表されたように、後側ホルダー54では、突片部83の各縦リブ86の基端において、第1放射状リブ96が、円形壁部80の径方向に沿って延び、内周壁部90を貫いた形態で、外周壁部82に連なっている。更に、各第1放射状リブ96の間においても、第2放射状リブ98が、突片部83の円柱台84から円形壁部80の径方向に沿って延び、内周壁部90を貫いた形態で、外周壁部82に連なっている。このようして、各第1放射状リブ96と各第2放射状リブ98が、円柱台84の周方向において、45度の等角度ピッチで交互に配設されることによって、各溝部99が形成されている。
各第1放射状リブ96の端面と各第2放射状リブ98の端面は、後側ホルダー54の軸61と直交関係にある。円形壁部80から各第1放射状リブ96の端面までの長さと、円形壁部80から各第2放射状リブ98の端面までの長さは、同一であるが、内周壁部90の延出長さよりも短い。
クッション部材100は、その周方向で45度の等角度ピッチで分割され、8個のクッション片102で構成されている。後側ホルダー54の各溝部99には、各クッション片102の後端側が嵌め入れられる。これにより、図17に表されたように、後側ホルダー54では、外周壁部82と内周壁部90との間において、各クッション片102が等角度ピッチで取り付けられている。
図18に表されたように、前側ホルダー52では、外周壁部62と内周壁部64との間において、8個の第3放射状リブ79が設けられている。各第3放射状リブ79は、円形壁部60の径方向に沿って延び、外周壁部62と内周壁部64とに連なっている。このようして、各第3放射状リブ79は、円形壁部60の周方向において、45度の等角度ピッチで配設されている。各第3放射状リブ79の端面は、内周壁部64の端面と面一に連なり、前側ホルダー52の軸61と直交関係にある。
図19に表されたように、第4実施形態のブレーキペダル装置10では、前側ホルダー52の各第3放射状リブ79に外側圧縮コイルバネ56の前端が当接し、後側ホルダー54の各溝部99に嵌め入られたクッション片102の後端に外側圧縮コイルバネ56の後端が当接した状態にある。このような状態で、外側圧縮コイルバネ56は、反力機構50に取り付けられている。
また、前側ホルダー52の円形壁部60に内側圧縮コイルバネ58の前端が当接し、後側ホルダー54の第1放射状リブ96に内側圧縮コイルバネ58の後端が当接した状態にある。このような状態で、内側圧縮コイルバネ58は、反力機構50に取り付けられている。内側圧縮コイルバネ58の後端が当接する第1放射状リブ96は、突片部83の各縦リブ86と内周壁部90との間に配設されたものである。図示されていないが、内側圧縮コイルバネ58の後端は、円柱台84と内周壁部90との間に配設された第2放射状リブ98に対しても当接した状態にある。尚、上記各実形態とは異なり、内側圧縮コイルバネ58の自由長は、外側圧縮コイルバネ56の自由長よりも長い。
踏込操作が行われて、後側ホルダー54が前側ホルダー52側へ移動すると、各クッション片102が、後側ホルダー54の円形壁部80によって外側圧縮コイルバネ56の後端に押し付けられて潰される。そして、図20に表されたように、後側ホルダー54の第1放射状リブ96が後側ホルダー54の後端に突き当たると、各クッション片102が、最大限潰された状態になって、各クッション片102が各溝部99に充填されると共に、外側圧縮コイルバネ56の復元力が、後側ホルダー54の円形壁部80に作用する。よって、第4実施形態では、各クッション片102の潰れ代が上記間隔12と略同一であれば、第1実施形態と同様なバネ特性が実現される。尚、図示されていないが、後側ホルダー54の第1放射状リブ96が後側ホルダー54の後端に突き当たる際は、後側ホルダー54の第2放射状リブ98が後側ホルダー54の後端に突き当たる。
以上詳細に説明した通り、第4実施形態のブレーキペダル装置10では、各クッション片102の後端側が、後側ホルダー54の各溝部99に嵌められた状態で取り付けられているので、各クッション片102が後側ホルダー54に対して固定される。更に、各クッション片102の潰し量は、第2実施形態と比べ、後側ホルダー54の各溝部99の深さに相当する分を少なくできる。よって、各クッション片102は、その全体が潰されないため、踏込操作の繰り返しによる経たり等の劣化が抑制される。
ちなみに、本実施形態において、外側圧縮コイルバネ56は、「短尺圧縮コイルバネ」の一例である。内側圧縮コイルバネ58は、「長尺圧縮コイルバネ」の一例である。第1放射状リブ96と第2放射状リブ98は、「リブ」の一例である。
尚、本発明は第4実施形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
例えば、各第1放射状リブ96、各第2放射状リブ98、及び各溝部99は、前側ホルダー52に設けられてもよい。そのような場合、各第3放射状リブ79は、後側ホルダー54に設けられる。