図1は、本発明に係る着脱可能なジャケットの第1実施例を備える環境試験装置の一例の構成を概略的に示す。
図1において、環境試験装置は、例えば、被試験体としての車両に実際に搭載される予定のステアリングギアハウジングおよびステアリングコラム等を含む耐久試験装置を含んで構成されている。そのような耐久試験装置は、所定の試験ステーションに配され複数のT溝を有する定盤SP上に配置されている。定盤SP上にT溝が利用され固定される基台30の移動可能なテーブル30TAに、後述するアッパジャケット10Uおよびロアジャケット10Lからなるステアリングギア用ジャケット10で覆われたステアリングギアハウジング56が試験台32を介して支持されている。試験台32は、ロアジャケット10Lの下面部10LBに所定の間隔で形成される矩形の孔10Lc、10Lb,10La(図6参照)を貫通する連結部30a、30b、30cを介してテーブル30TAの上面に固定されている。試験台32は、ステアリングギアハウジング56を下方から受け止め着脱可能に支持している。
ラックシャフトおよびピニオン(不図示)を内蔵するステアリングギアハウジング56には、図示が省略されるが、電動パワーステアリング、トルクセンサー、回転角センサー等が付設されている。ステアリングギアハウジング56およびステアリングギア用ジャケット10の長手方向の両端部に、それぞれ、後述するタイロッドを図1に示されるX座標軸に沿って往復動させるアクチュエータ34および36が、向き合って配置されている。なお、図1に示される直交座標におけるX座標軸は、定盤SPの表面に平行なステアリングギアハウジング56のラックシャフトの軸線に対し平行にとられ、Y座標軸は、紙面に垂直となるようにX座標軸に直交し、Z座標軸は、Y座標軸およびX座標軸に対し直交するようにとられている。
アクチュエータ34の作動ロッド34A、および、アクチュエータ36の作動ロッド36Aは、それぞれ、ステアリングギアハウジング56の両端からそれぞれ突出するラックシャフト58および60に連結されるタイロッドを介して連結されている。図示が省略される制御部により、アクチュエータ34の作動ロッド34A、および、アクチュエータ36の作動ロッド36Aは、図1に示されるX座標軸に沿って矢印の示す方向に往復動可能に駆動制御される。これにより、ステアリングギア用ジャケット10内のラックシャフト58および60が往復動せしめられることにより、ピニオンを介して後述するインターミディエイトシャフト52等が回転せしめられる。
ステアリングギアハウジング56内のピニオンは、図示が省略されるギヤ比可変ステアリング(VGRS)、および、ユニバーサルジョイント54を介してインターミディエイトシャフト52の下端に連結されている。インターミディエイトシャフト52の上端は、ユニバーサルジョイント50を介してステアリングコラム46のアウトプットシャフト48に連結されている。ステアリングコラム46のメインシャフト44の一端は、ステアリング用モータ42Mの出力軸に連結されている。ステアリングコラム46は、インターミディエイトシャフト52およびアウトプットシャフト48に対し直交する方向に延びるリインホースメント38Rに支持されている。ステアリング用モータ42Mは、後述するステアリングコラム用ジャケット12から突出しモータ用支持台42に支持され、リインホースメント38Rの一端は、それぞれ、リインホースメント用支持台38および40に支持されている。
ステアリングギア用ジャケット10は、図3および図4に示されるように、上述のテーブル30TAに載置されるロアジャケット10Lと、ファスナー10Z1によりロアジャケット10Lに分離可能に結合されるアッパジャケット10Uとから構成されている。
なお、分離可能な結合手段としては、ファスナー10Z1に限られることなく、例えば、ファスナーに代えて、ジッパー、チャック、マジックテープであってもよい。
ロアジャケット10Lは、テーブル30TAに載置される下面部10LB(図6参照)と、略長方形の下面部10LBの周縁を形成する背面部10LRと、背面部10LRに向き合う前面部10LF(図4参照)と、背面部10LRと前面部10LFとを連結する互いに向き合う一対の側面部10LS(図4参照)とから構成されている。
ロアジャケット10Lとアッパジャケット10Uとを分離可能に結合するファスナー10Z1は、前面部10LFおよび背面部10LRにおいて、ステアリングギアハウジング56、ラックシャフト58および60に沿って延びるとともに、一対の側面部10LSに連なって設けられている。前面部10LFには、所定の間隔をもって排水口DLが2箇所に設けられている。なお、排水口DLから外部に排出した排水を受け溜める防水シート(不図示)がさらにロアジャケット10L周辺に設けられても良い。
ロアジャケット10Lの生地2は、例えば、図8(A)に部分的に拡大されて示されるように、耐熱性シートとしてのアラミド繊維からなる基布にシリコーンゴムトッピングが付着された耐熱性ゴムシート(例えば、製品番号SI-450:アキレス株式会社製)で形成された外層2Aおよび内層2Bと、外層2Aおよび内層2B相互間に介在される断熱部材としてのグラスウールで形成された断熱層4とから構成されている。外層2Aおよび内層2Bは、縫い目8に沿って延びる封止シートとしてのシリコーンシート6を介して縫合されている。また、ペースト状封止材としてのシリコーンペースト2SAおよび2SBが、それぞれ、外層2Aおよび内層2Bにおける縫い目8に沿った凹部に塗布されている。これにより、断熱層4が、外層2Aおよび内層2B相互間において縫い目8により区画された小部屋ごとに偏りなく保持されるとともに、外層2Aおよび内層2Bに付着した雰囲気中の露が、縫い目8に沿った凹部に溜まることが回避されることとなる。なお、断熱層4は、斯かる例に限られることなく、例えば、ロックウール等の他の断熱材料で形成されてもよい。
アッパジャケット10Uは、図4に示されるように、ロアジャケット10Lの前面部10LFおよび背面部10LRに、それぞれ、ファスナー10Z1により結合される前面部10UF、および、背面部10URと、ロアジャケット10Lの下面部10LBに向き合う上面部10UUと、上面部10UUの端と背面部10URの端とを斜めに連結する斜面部10UCと、前面部10UF、背面部10UR、斜面部10UC、および、上面部10UUを互いに結合する一対の側面部10USと、ファスナー10Z2により、図3および図5に示されるように、斜面部10UCおよび上面部10UUにおいて開閉可能に設けられる窓部10Wと、を主な要素として含んで構成されている。
アッパジャケット10Uの生地2は、図8(A)に示される上述のロアジャケット10Lの生地2と同一の構造を有している。
一対の側面部10USには、それぞれ、ラックシャフト58および60が通過するスリーブ部材が設けられている。スリーブ部材は、互いに同一の構造を有しているのでラックシャフト58が通過するスリーブ部材について説明し、ラックシャフト60が通過するスリーブ部材についての説明を省略する。
ラックシャフト58が通過するスリーブ部材は、一端が側面部10USに取り付けられた四角筒状の基部10ELと、基部10ELにファスナー10Z4により分離可能に結合される四角錐台状部10BLとから構成されている。四角錐台状部10BLの一端は、開口し、四角錐台状部10BLの他端は、ファスナー10Z4により基部10ELに結合されている。基部10ELの内側に連通する四角錐台状部10BLの内部断面は、先細状に形成されている。四角錐台状部10BLの一端の外周部には、図5に示されるように、耐熱性のある材質で作られた所定の長さの紐STが取り付けられている。これにより、四角錐台状部10BLの開口端周縁がタイロッドの外周面に密着するように紐STが四角錐台状部10BLの外周部に巻き付けられることによって、四角錐台状部10BLの内部が、外部と遮断される。また、四角錐台状部10BLの開口端周縁がタイロッドの摺動により磨耗した場合、四角錐台状部10BLは、ファスナー10Z4により分離可能なので新品の四角錐台状部と容易に交換可能となる。ラックシャフト60が通過するスリーブ部材においても、同様に、四角錐台状部10BRの周縁が磨耗した場合、四角錐台状部10BRが、ファスナー10Z3により基部10ERから分離可能なので新品の四角錐台状部と容易に交換可能となる。
なお、スリーブ部材の形状は、上述の四角錐台状部10BLに限られることなく、例えば、円筒、または、円錐台状であってもよい。
窓部10Wは、背面部10UR、斜面部10UCおよび上面部10UUにおいてファスナー10Z2を介して結合されている。ファスナー10Z2は、図3および図5に示されるように、背面部10URにおいてファスナー10Z1に対し略平行に延びるとともに、両側面部10USに到達する手前で斜面部10UCおよび上面部10UUに向けて両側面部10USに対し略平行に所定の長さだけ延びている。
図3において実線で示されるように、窓部10Wにおける斜面部10UCの中央から右側部分には、上述のインターミディエイトシャフト52に対応した位置に開口した開口部が形成されている。その開口部の周縁には、図4に示されるように、インターミディエイトシャフト52が通過するスリーブ部材が、左上方斜めに傾くように設けられている。スリーブ部材は、一端が窓部10Wに取り付けられた四角筒状の基部10ETと、基部10ETにファスナー10Z5により分離可能に結合される四角錐台状部10Tとから構成されている。
四角錐台状部10Tの一端は、開口端10tを有し、四角錐台状部10Tの他端は、ファスナー10Z5により基部10ETに結合されている。基部10ETの内側に連通する四角錐台状部10Tの内部断面は、先細状に形成されている。四角錐台状部10Tの一端の外周部には、図5に示されるように、耐熱性のある材質で作られた所定の長さの紐STが取り付けられている。これにより、四角錐台状部10Tの開口端10tの周縁がインターミディエイトシャフト52の外周面に密着するように紐STが四角錐台状部10Tの外周部に巻き付けられることによって、四角錐台状部10Tの内部が、外部と遮断される。また、四角錐台状部10Tの開口端10tの周縁がインターミディエイトシャフト52の回動により磨耗した場合、四角錐台状部10Tは、ファスナー10Z5により分離可能なので新品の四角錐台状部と容易に交換可能となる。
なお、図3において鎖線で示されるように、窓部10Wにおける斜面部10UCの中央から左側部分には、左ハンドル車用ステアリングギアの場合、インターミディエイトシャフトが通過する開口部を塞ぐ遮蔽板BPが、ファスナー10Z6を介して開口部周縁の基部に着脱可能に結合されている。これにより、左ハンドル車用ステアリングギアの場合、遮蔽板BPが取り外され、上述の四角錐台状部10Tがファスナー10Z6を介して基部に結合されるとともに、遮蔽板BPが、ファスナー10Z5を介して開口部を塞ぐように基部10ETに結合される。
図8(B)に拡大されて示されるように、上述の生地2におけるファスナー10Z1の周辺には、ステアリングギア用ジャケット10の内側の空気が外部に極力漏れ出さないように、ファスナー10Z1全体を覆うインナーフラップ2CIと、インナーフラップ2CIをさらに外側から覆うアウターフラップ2COとが設けられている。インナーフラップ2CIの基端は、生地2の外周面に縫い目8に沿って縫い付けられている。インナーフラップ2CIは、ファスナー10Z1に沿って延びている。アウターフラップ2COの基端は、ファスナー10Z1を挟んでインナーフラップ2CIの基端に向き合って縫い目8に沿って縫い付けられている。アウターフラップ2COの先端の内面には、マジックテープ2MTが接着されている。また、生地2におけるアウターフラップ2COのマジックテープ2MTに向き合った位置には、マジックテープ2MTが縫い目8に隣接して設けられている。これにより、生地2における外周面におけるファスナー10Z1およびファスナー10Z1の周辺は、ファスナー10Z1およびファスナー10Z1を覆うインナーフラップ2CIと、外側からインナーフラップ2CIに重なるアウターフラップ2COとからなる二重構造によって覆われるのでステアリングギア用ジャケット10の内側の空気が外部に極力漏れ出さない。なお、図示が省略されるが、上述のファスナー10Z2、10Z3、10Z4、10Z5、および、10Z6の周辺においても、上述のインナーフラップ2CIおよびアウターフラップ2COと同様なインナーフラップおよびアウターフラップが設けられている。
窓部10Wにおける上面部10UUには、図3および図5に示されるように、円筒状の入力側接続部10D1および排出側接続部10D2が所定の間隔をもって離隔して形成されている。入力側接続部10D1および排出側接続部10D2には、それぞれ、後述する円筒状の供給用ダクト14D1の接続端部、および、円筒状のリターン用ダクト14D2の接続端部が挿入される。供給用ダクト14D1は、温度/湿度調整用空気供給源20(図2参照)からの温度及び/又は湿度が調整された空気をステアリングギア用ジャケット10内に供給するものとされる。リターン用ダクト14D2は、ステアリングギア用ジャケット10内から排出された空気を温度調整用空気供給源20に戻すものとされる。その際、入力側接続部10D1および排出側接続部10D2には、それぞれ、中心軸線に沿って所定の長さだけ延びるスリット10DSを所定の1箇所に有している。入力側接続部10D1および排出側接続部10D2の一端の外周部には、図3に示されるように、耐熱性のある材質で作られた所定の長さの紐STが取り付けられている。これにより、入力側接続部10D1および排出側接続部10D2の開口端10dの周縁が、それぞれ、円筒状の供給用ダクト14D1およびリターン用ダクト14D2の円筒状の接続端部DU(図14(C)参照)の外周面に密着するように紐STが入力側接続部10D1および排出側接続部10D2の外周部に巻き付けられることによって、入力側接続部10D1および排出側接続部10D2の内部が、外部と遮断される。円筒状の接続端部DUは、例えば、所定の長さを有する金属製のパイプにより形成されている。
これにより、円筒状の供給用ダクト14D1およびリターン用ダクト14D2の接続端部DUによって入力側接続部10D1および排出側接続部10D2の開口端10dが潰れることが回避される。従って、入力側接続部10D1および排出側接続部10D2の形状が維持される。
なお、入力側接続部10D1および排出側接続部10D2には、加えて、襟巻きのような保温材が巻きつけられてもよい。また、断熱素材が、円筒状の供給用ダクト14D1およびリターン用ダクト14D2の接続端部DUの内周部に貼り合わされても良い。あるいは、図14(C)に示されるように、円筒状の保温材11が、供給用ダクト14D1およびリターン用ダクト14D2の接続端部DUの外周部と入力側接続部10D1および排出側接続部10D2における内周部との間に設けられても良い。
ステアリングギア用ジャケット10の内側には、図7(A)および(B)に示されるように、アッパジャケット10Uの窓部10Wがステアリングギアハウジング56に向けて内方に垂れ下がらないように、窓部10Wを内側から受け止め支持する支持部材(支持金具)30S1、30S2、および、30S3がテーブル30TAにステアリングギアハウジング56の長手方向に沿って所定の間隔をもって3箇所に設けられている。支持部材(支持金具)30S1、30S2、および、30S3は、互いに同一の構造を有するので支持部材(支持金具)30S1について説明し、支持部材(支持金具)30S2、および、30S3の説明を省略する。支持部材(支持金具)30S1は、例えば、帯状のステンレス鋼板で多角形に折り曲げられ形成されている。支持部材(支持金具)30S1は、アッパジャケット10Uの斜面部10UC、上面部10UU、前面部10UFにそれぞれ向き合う辺と、斜面部10UCおよび前面部10UFに向き合う辺に連なる一対の固定端部とを有している。一対の固定端部は、所定の間隔をもってテーブル30TAに固定されている。
ステアリングコラム用ジャケット12は、図9および図10に示されるように、アウトプットシャフト48およびインターミディエイトシャフト52の一部を覆うスリーブ部材を有するロアジャケット12Lと、ファスナー12Z1によりロアジャケット12Lに分離可能に結合され、ステアリングコラム46のメインシャフト44を覆うスリーブ部材を有するアッパジャケット12Uとから構成されている。ステアリングコラム用ジャケット12におけるメインシャフト44に略直交する方向は、リインホースメント38Rにより支持されている。ステアリングコラム用ジャケット12は、上述のステアリングギア用ジャケット10の生地2と同一の生地で作られている。
ロアジャケット12Lは、アウトプットシャフト48およびインターミディエイトシャフト52の一部を覆うスリーブ部材が設けられる下面部12LB(図9参照)と、略矩形の下面部12LBに直交する背面部12LRと、背面部12LRに向き合う前面部12LFと、背面部12LRと前面部12LFとを連結し互いに向き合う一対の側面部12LSとから構成されている。
ロアジャケット12Lとアッパジャケット12Uとを部分的に分離可能に結合するファスナー12Z1は、図11および図12に示されるように、前面部12LFにおいてX座標軸に沿って延びるリインホースメント38Rの軸線に沿って直線的に一対の側面部12LSの端まで延び、さらにY座標軸に沿って広がる一対の側面部12LSに沿って各スリーブ部材に向って屈曲した後、ファスナー12Z1の端は、ロアジャケット12Lおよびアッパジャケット12Uを伴ってZ座標軸の方向にスリーブ部材の一部を分離するように、各スリーブ部材に至る。なお、図12に示される直交座標におけるX座標軸は、定盤SPの表面に平行なリインホースメント38Rの軸線に平行にとられ、Y座標軸は、紙面に垂直となるようにX座標軸に直交し、Z座標軸は、X座標軸およびY座標軸に対し直交するようにとられている。
ロアジャケット12Lの下面部12LBに設けられるスリーブ部材は、図10に示されるように、Z座標軸に沿って延び、一端が下面部12LBに取り付けられた四角筒状の基部12ELと、基部12ELにファスナー12Z3により分離可能に結合される四角錐台状部12VTとから構成されている。四角錐台状部12VTの一端は、開口端12CTを有し、四角錐台状部12VTの他端は、ファスナー12Z3により基部12ELに結合されている。基部12ELの内側に連通する四角錐台状部12VTの内部断面は、先細状に形成されている。四角錐台状部12VTの一端の外周部には、図10に示されるように、耐熱性のある材質で作られた所定の長さの紐STが取り付けられている。これにより、四角錐台状部12VTの開口端12CTの周縁がインターミディエイトシャフト52の外周面に摺接するように紐STが四角錐台状部12VTの外周部に巻き付けられることによって、四角錐台状部12VTの内部が、外部と遮断される。また、四角錐台状部12VTの開口端12CTの周縁がインターミディエイトシャフト52の回動により磨耗した場合、四角錐台状部12VTは、ファスナー12Z3により分離可能なので新品の四角錐台状部と容易に交換可能となる。
図11に示されるように、アッパジャケット12Uは、スリーブ部材が設けられる上面部12UT(図13参照)と、略矩形の上面部12UTに対し直交しロアジャケット12Lの背面部12LRと共通の平面を形成する背面部12URと、背面部12URに向き合う前面部12UFと、背面部12URと前面部12UFとを連結する互いに向き合う一対の側面部12USとから構成されている。アッパジャケット12Uの背面部12URは、ロアジャケット12Lの背面部12LRと一体に形成されているのでアッパジャケット12Uは、部分的にロアジャケット12Lと連結されることとなる。
アッパジャケット12Uの上面部12UTに設けられるスリーブ部材は、図12に示されるZ座標軸に沿って延び、一端が上面部12UTに取り付けられた四角筒状の基部12EUと、基部12EUにファスナー12Z2により分離可能に結合される四角錐台状部12VSとから構成されている。四角錐台状部12VSの一端は、開口端12CS(図13参照)を有し、四角錐台状部12VSの他端は、ファスナー12Z2により基部12EUに結合されている。基部12EUの内側に連通する四角錐台状部12VSの内部断面は、先細状に形成されている。四角錐台状部12VSの一端の外周部には、図12に示されるように、耐熱性のある材質で作られた所定の長さの紐STが取り付けられている。これにより、四角錐台状部12VSの開口端12CSの周縁がメインシャフト44の外周面に摺接するように紐STが四角錐台状部12VSの外周部に巻き付けられることによって、四角錐台状部12VSの内部が、外部と遮断される。また、四角錐台状部12VSの開口端12CSの周縁がメインシャフト44の回動により磨耗した場合、四角錐台状部12VSは、ファスナー12Z2により分離可能なので新品の四角錐台状部と容易に交換可能となる。
図11および図12に示されるように、アッパジャケット12Uおよびロアジャケット12Lにおける各側面部12USと各側面部12LSとに跨るように、それぞれ、設けられるスリーブ部材12BRおよび12BLは、X座標軸に沿って延び、共通の直線上に配されている。その際、スリーブ部材12BRおよび12BLの中心位置は、四角錐台状部12VTおよび四角錐台状部12VSの共通の軸線に対し所定距離、背面部12URおよび12LRに向って偏倚した位置とされる。四角錐台状部に形成されているスリーブ部材12BRおよび12BLの一端は、それぞれ、開口している。スリーブ部材12BRおよび12BLの内部断面は、先細状に形成されている。スリーブ部材12BRおよび12BLの一端の外周部には、図12に示されるように、耐熱性のある材質で作られた所定の長さの紐STが取り付けられている。これにより、スリーブ部材12BRおよび12BLの開口端12bの周縁がリインホースメント38Rの外周面に密着するように紐STがスリーブ部材12BRおよび12BLの外周部に巻き付けられることによって、スリーブ部材12BRおよび12BLの内部が、外部と遮断される。
スリーブ部材12BRおよび12BLの開口端12bを閉じる手段としては、紐STに限られることなく、例えば、ゴムバンド、マジックテープ等であってもよい。
背面部12LRおよび12URには、図9および図10に示されるように、Y座標軸に沿って延びる円筒状の入力側接続部12D1および排出側接続部12D2が、それぞれ、所定の間隔をもって離隔して形成されている。入力側接続部12D1および排出側接続部12D2には、それぞれ、円筒状の供給用ダクト16D1の接続端部、および、円筒状のリターン用ダクト16D2の接続端部DU(図14(C)参照)が挿入される。供給用ダクト16D1は、後述する温度調整用空気供給源18(図2参照)からの温度調整された空気を供給するものとされる。リターン用ダクト16D2は、ステアリングコラム用ジャケット12内から排出された空気を温度調整用空気供給源18に戻すものとされる。その際、入力側接続部12D1および排出側接続部12D2は、それぞれ、中心軸線に沿って所定の長さだけ延びるスリット12DSを所定の一箇所に有している。入力側接続部12D1および排出側接続部12D2の一端の外周部には、図9および図13に示されるように、耐熱性のある材質で作られた所定の長さの紐STが取り付けられている。これにより、入力側接続部12D1および排出側接続部12D2の開口端12dの周縁が、それぞれ、円筒状の供給用ダクト16D1およびリターン用ダクト16D2の接続端部DUの外周面に密着するように紐STが入力側接続部12D1および排出側接続部12D2の外周部に巻き付けられることによって、入力側接続部12D1および排出側接続部12D2の内部が、外部と遮断される。
ステアリングコラム用ジャケット12の内側には、図14(A)および(B)に示されるように、アッパジャケット12Uおよびロアジャケット12Lの背面部12URおよび12LRがステアリングコラム46に向けて内方に垂れ下がらないように、背面部12URおよび12LRを内側から受け止め支持する支持部材(支持金具)42S1、および、42S2がリインホースメント38Rの軸線に沿って所定の間隔をもってリインホースメント38Rに設けられている。支持部材(支持金具)42S1、および、42S2は、互いに同一の構造を有するので支持部材(支持金具)42S1について説明し、支持部材(支持金具)42S2についての説明を省略する。支持部材(支持金具)42S1は、例えば、帯状のステンレス鋼板で四角形に折り曲げられ形成されている。支持部材(支持金具)42S1は、ステアリングコラム用ジャケット12の背面部12LRおよび12UR、上面部12UT、下面部12LB、前面部12UFおよび12LFにそれぞれ向き合う辺を有している。支持部材(支持金具)42S1における前面部12UFおよび12LFに向き合う辺は、リインホースメント38Rの外周部の一部に係合される略半円状の凹部を有している。これにより、支持部材(支持金具)42S1における前面部12UFおよび12LFに向き合う辺が、略半円状の取付金具により、リインホースメント38Rの外周部に支持される。
本発明に係る環境試験装置の一例においては、加えて、図2に示されるように、温度調整用空気供給源18および20が備えられている。温度/湿度調整用空気供給源18および20は、互いに同一の構造を有しているので温度/湿度調整用空気供給源18について説明し、温度/湿度調整用空気供給源20についての説明を省略する。
温度/湿度調整用空気供給源18は、例えば、二元冷凍システム(不図示)と、ヒーターを含んでなる加熱装置と、二元冷凍システムの蒸発器および加熱装置に接続される温度調整用チャンバーと、温度調整用チャンバーの送出用出口に設けられるファン(送風機)と、を主な要素として含んで構成されている。上述のファンの送風口には、上述の供給用ダクト16D1の一端が接続されている。また、温度調整用チャンバーの送出用出口に隣接して設けられる戻り口には、上述のリターン用ダクト16D2の一端が接続されている。上述の温度調整用チャンバーには、チャンバー内の空気の温度を検出する温度センサーおよび湿度を検出する湿度センサーが設けられている。ファンは、一定流量の空気を送出するものとされる。これにより、図示が省略される二元冷凍システムおよび加熱装置を制御するコントローラによって温度センサーの検出出力信号に基づいてチャンバー内の空気の温度が所望の温度範囲、例えば、約-50℃以上140℃以下の範囲の所定温度に制御される。また、湿度センサーの検出出力信号に基づいてチャンバー内の空気の湿度が所望の湿度範囲に制御される。なお、空気供給源は、斯かる例に限られることなく、例えば、温度および湿度のうちの少なくとも温度だけが調整されるように構成されてもよい。
斯かる構成により、上述の温度調整用チャンバー内の所定の温度に維持される空気が、ファン、および、供給用ダクト16D1を介してステアリングコラム用ジャケット12内に供給されることとなる。
上述のステアリングコラム用ジャケット12、および、ステアリングギア用ジャケット10をそれぞれ、ステアリングギアハウジング56、および、試験台32、ステアリングコラム46、リインホースメント38Rに取り付けるにあたっては、先ず、ステアリングギア用ジャケット10におけるアッパジャケット10Uとは分離されたロアジャケット10Lの孔10Lc、10Lb,10Laにテーブル30TAの連結部30a、30b、30cを貫通させた後、ロアジャケット10Lだけがテーブル30TAに載置される。その際、ステアリングギアハウジング56を支持する試験台32は、連結部30a、30b、30cに連結される。次に、窓部10Wが開状態とされたアッパジャケット10Uがロアジャケット10Lに重ねられながら、タイロッドがアッパジャケット10Uの四角錐台状部10BRおよび四角錐台状部10BL内にそれぞれ、挿入された後、ユニバーサルジョイント50により接続されていないインターミディエイトシャフト52の一端が窓部10Wにおける四角錐台状部10T内に挿入される。アッパジャケット10Uの上面部10UUは、支持部材(支持金具)30S1~30S3を覆うように位置合わせされる。
続いて、ファスナー10Z1により、ロアジャケット10Lおよびアッパジャケット10Uが結合され一体とされる。また、ファスナー10Z2により、窓部10Wが閉じられアッパジャケット10Uに結合される。
その際、紐STが四角錐台状部10BRおよび10BL、四角錐台状部10Tの外周部に巻き付けられることによって、四角錐台状部10BRおよび10BL、四角錐台状部10Tの内部が、外部と遮断される。また、入力側接続部10D1および排出側接続部10D2に接続された円筒状の供給用ダクト14D1およびリターン用ダクト14D2の接続端部DUの外周面に密着するように紐STが入力側接続部10D1および排出側接続部10D2の外周部に巻き付けられることによって、入力側接続部10D1および排出側接続部10D2の内部が、外部と遮断される。
続いて、ステアリングコラム用ジャケット12は、ロアジャケット12Lとアッパジャケット12Uとを部分的に分離した状態で、インターミディエイトシャフト52の他端およびメインシャフト44が、それぞれ、四角錐台状部12VTおよび四角錐台状部12VSに挿入されるとともに、支持部材(支持金具)42S1および42S2に、ロアジャケット12Lおよびアッパジャケット12Uの背面部12URおよび12LRの内周部を位置合わせした後、ロアジャケット12Lおよびアッパジャケット12Uが、ステアリングコラム46、リインホースメント38Rに被せられる。その際、ユニバーサルジョイント50がインターミディエイトシャフト52の他端に連結されるとともに、メインシャフト44の一端が、ステアリング用モータ42Mの出力軸に連結される。ファスナー12Z1により、ロアジャケット12Lとアッパジャケット12Uとが結合される。
また、紐STが四角錐台状部12BRおよび12BL、四角錐台状部12VTおよび12VSの外周部に巻き付けられることによって、ロアジャケット12Lとアッパジャケット12Uの内部が、外部と遮断される。さらに、入力側接続部12D1および排出側接続部12D2に接続された円筒状の供給用ダクト16D1およびリターン用ダクト16D2の接続端部DUの外周面に密着するように紐STが入力側接続部12D1および排出側接続部12D2の外周部に巻き付けられることによって、入力側接続部12D1および排出側接続部12D2の内部が、外部と遮断される。そして、上述のアクチュエータ34の作動ロッド34A、および、アクチュエータ36の作動ロッド36Aが、それぞれ、タイロッドに接続される。これにより、環境試験装置の試験準備が完了する。その後、温度調整用空気供給源18および20が作動状態とされる場合、ステアリングギア用ジャケット10およびステアリングコラム用ジャケット12の内部温度が所定の温度に維持されるもとで、所定のプログラムに従う耐久試験が、上述のトルクセンサー、回転角センサー等の検出出力信号に基づいて実行されることとなる。
一方、ステアリングギア用ジャケット10およびステアリングコラム用ジャケット12をステアリングギアハウジング56、および、試験台32、ステアリングコラム46、リインホースメント38Rから取り外すにあたっては、上述の取付けの手順とは逆の手順により容易に取り外すことが可能となる。
従って、ステアリングギア用ジャケット10およびステアリングコラム用ジャケット12によって、それぞれ、温度調整可能な複数個の恒温室を、異なる部位に、例えば、ステアリングギアハウジング56およびステアリングコラム46の周囲に形成でき、しかも、比較的軽量なステアリングギア用ジャケット10およびステアリングコラム用ジャケット12を環境試験装置の所望の各部位に容易に着脱することができる。
図15(A)は、本発明に係る着脱可能なジャケットの第2実施例を備える環境試験装置の他の一例の構成を概略的に示す。
図15(A)に示される環境試験装置は、例えば、車両用のサスペンションに用いられるショックアブソーバ72についての耐久試験装置とされる。ショックアブソーバ72は、例えば、アッパーサポート部と、コイルスプリングと、シリンダとを主な要素として含んで構成されている。ショックアブソーバは、図示が省略されるが、例えば、フリーピストンにより仕切られた二つの小部屋に、それぞれ、封入されたオイル、および、高圧ガスを有している。そのオイルが封入された小部屋には、一端がアッパーサポート部に支持され、異径積層バルブを他端に有するロッドと、ロッドに巻装されるコイルスプリングとが設けられている。
シリンダにおける高圧ガスが封入された小部屋の端部は、試験台86の下定盤(不図示)に支持された加振機80の可動部の連結部78に連結されている。加振機80の可動部は、図示が省略される制御部により、所定のストロークで矢印の示す方向に往復動可能に制御される。
アッパーサポート部は、上定盤82におけるアッパーサポート固定部76に着脱可能に固定されている。上定盤82は、試験台86の下定盤に対し垂直に支持された複数本の支柱84により下定盤に対し平行に支持されている。加振機80の可動部の連結部78とアッパーサポート固定部76との間に支持されたショックアブソーバ72は、所定の温度に調整可能な恒温室70Aを形成するショックアブソーバ用ジャケット70(以下、ジャケット70ともいう)内に配置されている。
ジャケット70は、例えば、上述のロッドの軸線に沿って形成されるファスナー(不図示)により、ショックアブソーバ72の軸線の回りに二つに分離可能な第1のジャケット部および第2のジャケット部から構成されている。第1のジャケット部および第2のジャケット部は、それぞれ、例えば、上述した生地2と同一の生地により半円筒状に作られている。第1のジャケット部および第2のジャケット部の上端部に形成される孔70bの周縁は、アッパーサポート固定部76の回りを封止している。また、第1のジャケット部および第2のジャケット部の下端部の孔70aの周縁は、加振機80の可動部の回りを封止している。第1のジャケット部および第2のジャケット部の連結部における入力側接続部70D1および排出側接続部70D2には、それぞれ、温度調整用空気供給源(不図示)の供給用ダクト74D1およびリターン用ダクト74D2の接続端部が接続されている。温度調整用空気供給源の説明は、この温度調整用空気供給源の構造が上述の温度調整用空気供給源18および20と同一の構造なので省略する。
これにより、例えば、約-50℃以上140℃以下の範囲内の所定の温度に維持される温度調整用空気供給源の温度調整用チャンバー内の空気が、ファン、および、供給用ダクト74D1を介してジャケット70内に供給されることとなる。従って、ジャケット70によって、ショックアブソーバ72のための温度調整可能な恒温室70Aを形成でき、しかも、比較的軽量なジャケット70をショックアブソーバ72の周囲の試験台86に容易に着脱することができる。
従って、ジャケット70は、槽形状がシンプル、スリムとなるので軽量化およびコストの低減、省スペース化が図られ、しかも、ジャケット70が、可撓性がある生地で分割可能に作られるので取付け作業工数が小となる。
図15(B)は、上述の図15(A)に示される本発明に係る着脱可能なジャケットの第2実施例の変形例を備える環境試験装置の他の一例の構成を概略的に示す。なお、図15(B)において、図15(A)に示される例における構成要素と同一の構成要素について同一の符号を付して示し、その重複説明を省略する。
加振機80の可動部の連結部78とアッパーサポート固定部76との間に支持されたショックアブソーバ72は、所定の温度に調整可能な恒温室70´Aを形成するショックアブソーバ用ジャケット70´(以下、ジャケット70´ともいう)内に配置されている。
ジャケット70´は、例えば、上述のロッドの軸線に沿って形成されるファスナー(不図示)により、ショックアブソーバ72の軸線の回りに二つに分離可能な第1のジャケット部および第2のジャケット部から構成されている。第1のジャケット部および第2のジャケット部は、それぞれ、例えば、上述した生地2と同一の生地により半円筒状に作られている。第1のジャケット部および第2のジャケット部の上端部に形成される孔70´bの周縁は、アッパーサポート固定部76の回りを封止している。また、第1のジャケット部および第2のジャケット部の下端部の孔70´aの周縁は、加振機80の可動部の回りを封止している。第1のジャケット部および第2のジャケット部の連結部における入力側接続部70´D1および排出側接続部70´D2には、それぞれ、温度調整用空気供給源(不図示)の供給用ダクト74D1およびリターン用ダクト74D2の接続端部が接続されている。温度調整用空気供給源の説明は、この温度調整用空気供給源の構造が上述の温度調整用空気供給源18および20と同一の構造なので省略する。さらに、柔軟で伸縮可能な蛇腹で形成される伸縮部70´BE1および70´BE2が、第1のジャケット部および第2のジャケット部における入力側接続部70´D1および排出側接続部70´D2相互間の胴の円周方向に沿って形成されている。これにより、第1のジャケット部および第2のジャケット部の着脱が容易となるとともに、加振機80の可動部からジャケット70´に伝達される振動が伸縮部70´BE1および70´BE2により減衰される。
斯かる例においても、例えば、約-50℃以上140℃以下の範囲内の所定の温度に維持される温度調整用空気供給源の温度調整用チャンバー内の空気が、ファン、および、供給用ダクト74D1を介してジャケット70´内に供給されることとなる。従って、ジャケット70´によって、ショックアブソーバ72のための温度調整可能な恒温室70´Aを形成でき、しかも、比較的軽量なジャケット70´をショックアブソーバ72の周囲の試験台86に容易に着脱することができる。
なお、ジャケットの形状を工夫することで、上述のステアリングギア、ステアリングコラム、および、ショックアブソーバだけでなく、ジャケットの多種多様な供試体へ対応が可能である。
図16は、本発明に係る着脱可能なジャケットの第3実施例を備える環境試験装置の一例の構成の要部を概略的に示す。
図16は、本発明に係る着脱可能なジャケットの第3実施例において、ステアリングギア用ジャケット90および後述するステアリングコラム用ジャケット100(図20参照)のうちのステアリングギア用ジャケット90を示す。ステアリングギア用ジャケット90およびステアリングコラム用ジャケット100は、図1に示される耐久試験装置を着脱可能に覆うものとされる。なお、図16乃至図23において、図1に示される例における構成要素と同一の構成要素について同一の符号を付して示し、その重複説明を省略する。
ステアリングギア用ジャケット90で覆われた耐久試験装置のステアリングギアハウジング(不図示)は、定盤SP上にT溝が利用され固定される基台30の移動可能なテーブル(不図示)に、試験台を介して支持されている。
ステアリングギア用ジャケット90は、例えば、全体として略半月形の断面形状を有し、上述のテーブルに載置されるロアジャケットと、ファスナー(不図示)によりロアジャケットに分離可能に結合されるアッパジャケットとから構成されている。ロアジャケットおよびアッパジャケットの生地は、例えば、図3に示される例と同様なアラミド繊維からなる基布にシリコーンゴムトッピングが付着された耐熱性ゴムシート(例えば、製品番号SI-450:アキレス株式会社製)で形成された外層および内層と、外層および内層相互間に介在されるグラスウールで形成された断熱層とから構成されている。
アッパジャケットは、図18に示されるように、前面部、および、後述する着脱可能なスリーブ部材が取り付けられる背面部と、前面部と背面部とを連結する頂面部と、前面部、背面部、および、頂面部を互いに結合する一対の側面部90RS、90LSと、背面部において窓部90TWの周縁に図示が省略されるマジックテープにより、着脱可能に設けられるスリーブ部材90Tと、を主な要素として含んで構成されている。
一対の側面部90RSおよび90LSには、図17に示されるように、それぞれ、ラックシャフト58および60が通過するスリーブ部材90BR、90BRが設けられている。スリーブ部材90BR、90BRは、互いに同一の構造を有しているのでラックシャフト60が通過するスリーブ部材90BLについて説明し、ラックシャフト58が通過するスリーブ部材90BRについての説明を省略する。
ラックシャフト60が通過するスリーブ部材90BLは、図18に示されるように、穴位置調整用シート91を、側面部90LSに取り付けられる一端に有している。穴位置調整用シート91は、アッパジャケットの生地と同一に生地で作られ、図示が省略されるマジックテープにより、側面部90LSの開口部90LWの周縁に着脱可能に取り付けられる。穴位置調整用シート91は、ラックシャフト60が通過する長穴91aを有している。長穴91aの寸法および長穴91aの開口部90LWに対する相対位置は、ラックシャフト60の位置および直径に応じて適宜設定されてもよく、図示が省略されるが、例えば、長穴91aの寸法および長穴91aの開口部90LWに対する相対位置が互いに異なる穴位置調整用シート91が複数種類、用意されてもよい。
背面部における窓部90TWは、上述のインターミディエイトシャフト52に対応した位置に比較的大きく広がって形成されている。その窓部90TWの周縁には、インターミディエイトシャフト52が通過するスリーブ部材90Tが、図16に示されるように、右上方斜めに傾くように設けられている。スリーブ部材90Tは、穴位置調整用シート92を、背面部に取り付けられる一端に有している。穴位置調整用シート92は、アッパジャケットの生地と同一に生地で作られ、図示が省略されるマジックテープにより、背面部の窓部90TWの周縁に着脱可能に取り付けられる。穴位置調整用シート92は、インターミディエイトシャフト52が通過する長穴92aを所定の位置、例えば、図18において窓部90TWの右端近傍に有している。なお、穴位置調整用シート92は、斯かる例に限られることなく、例えば、図19(A)および(B)に示されるように、インターミディエイトシャフト52が通過する長穴96a、94aの位置が異なる穴位置調整用シート96、94が用意されてもよい。穴位置調整用シート96の長穴96aの位置は、窓部90TWの左端近傍であり、穴位置調整用シート94の長穴94aの位置は、窓部90TWの略中央である。
前面部には、図17に示されるように、円筒状の入力側接続部90D1および排出側接続部90D2が所定の間隔をもって離隔して形成されている。入力側接続部90D1および排出側接続部10D2には、それぞれ、円筒状の供給用ダクト14D1の接続端部、および、円筒状のリターン用ダクト14D2の接続端部が挿入される。入力側接続部90D1および排出側接続部90D2は、例えば、図16に示されるように、アッパジャケットの前面部に対向して定盤SPに設けられた入力側接続部および排出側接続部の支持部材98に支持されてもよい。また、入力側接続部90D1および排出側接続部90D2が、支持部材98の代わりに、例えば、上方側から吊られた構成を有するものであってもよい。なお、入力側接続部90D1および排出側接続部90D2相互間には、さらに、使用しないとき塞がれている予備の配線および配管用穴90D3があってもよい。
ステアリングコラム用ジャケット100は、図20に示されるように、全体に略筒状に作られ、アウトプットシャフト48およびインターミディエイトシャフト52の一部を覆うスリーブ部材100VTを有するロアジャケット100Lと、ファスナー100Z1によりロアジャケット100Lに分離可能に結合され、ステアリングコラム46のメインシャフト44を覆うスリーブ部材100VSを有するアッパジャケット100Uとから構成されている。ステアリングコラム用ジャケット100におけるメインシャフト44に略直交する方向は、リインホースメント38R、および、後述するサブサポートロッド102により支持されている。ステアリングコラム用ジャケット100は、上述のステアリングギア用ジャケット90の生地と同一の生地で作られている。
ロアジャケット100Lは、図20および図21に示されるように、略半月断面形状を有し、上述のスリーブ部材100VTが結合される下部半円筒部100LCと、スリーブ部材100BR1および100BR2を有し下部半円筒部の一方の端部の側面を形成する側面部100LSRと、スリーブ部材100BL1および100BL2を有し下部半円筒部の他方の端部の側面を形成する側面部100LSLと、から構成されている。
アウトプットシャフト48およびインターミディエイトシャフト52の一部を覆うスリーブ部材100VTは、図21に示されるように、ファスナー100Z1に隣接して下部半円筒部100LCに右斜め下方に向けて延びるように設けられている。スリーブ部材100VTは、一端に開口端100CTを有するとともに、ファスナー100Z4により分離可能とされる。
スリーブ部材100BR1および100BL1は、それぞれ、ファスナー100Z3,100Z2により分離可能とされる。
アッパジャケット100Uは、図20および図21に示されるように、略半月断面形状を有し、上述のスリーブ部材100VSが結合される上部半円筒部100UCと、スリーブ部材100BR1を有し下部半円筒部の一方の端部の側面を形成する側面部100USRと、スリーブ部材100BL1を有し下部半円筒部の他方の端部の側面を形成する側面部100USLと、から構成されている。
ステアリングコラム46のメインシャフト44を覆うスリーブ部材100VSは、図21に示されるように、ファスナー100Z1に隣接して上部半円筒部100UCに左斜め上方に向けて延びるように設けられている。スリーブ部材100VSは、一端に開口端100CSを有するとともに、ファスナー100Z5により分離可能とされる。図20に示されるように、側面部100USRに隣接したスリーブ部材100VSに対し左側に所定距離、離隔した位置には、使用時、配線および配管等が貫通する穴が、ブラインドプレートBS2により塞がれている。さらに、ブラインドプレートBS2に対しさらに左側に所定距離、離隔した位置には、スリーブ部材100VSが取り付けられ得る穴がブラインドプレートBS1により塞がれている。
アッパジャケット100UにおけるブラインドプレートBS1、ブラインドプレートBS2、スリーブ部材100VSから円周方向に所定の角度だけ離隔した位置には、円筒状の入力側接続部100D1および排出側接続部100D2が、それぞれ、所定の間隔をもって離隔して形成されている。
入力側接続部100D1および排出側接続部100D2には、それぞれ、上述の供給用ダクト16D1の接続端部、および、リターン用ダクト16D2の接続端部DU(図14(C)参照)が挿入される。
リインホースメント38Rの軸線に対し平行に設けられるサブサポートロッド102は、図22に示されるように、連結支持部材104により、リインホースメント38Rに支持されている。サブサポートロッド102の両端は、それぞれ、上述のスリーブ部材100BR2,100BL2を貫通して突出している。なお、スリーブ部材100BR2,100BL2には、配管および配線等が一緒に挿入されてもよい。これにより、ロアジャケット100Lが、その自重および配管および配線等の重さにより垂れ下がる事態がサブサポートロッド102により回避される。
図23は、上述の本発明に係る着脱可能なジャケットの第3実施例に用いられるステアリングコラム用ジャケットの他の一例を示す。
上述の図20乃至図22に示される円筒型のステアリングコラム用ジャケットは、入力側接続部100D1および排出側接続部100D2が、所定の距離、X座標軸(図21参照)方向に離隔して上部半円筒部100UCに互いに平行に配置されているが、一方、図23に示される例においては、ステアリングコラム用ジャケットのコンパクト化が図られるように、ステアリングコラム用ジャケット110におけるリインホースメント38R、および、サブサポートロッド102の軸線に沿った長さが、例えば、図22に示されるステアリングコラム用ジャケットのX座標軸に沿った長さに比して小さく設定されることにより、円筒型のステアリングコラム用ジャケット110が、図22に示されるステアリングコラム用ジャケットに比べて小型化されている。なお、図23において、図20乃至22に示される例における構成要素と同一の構成要素について同一の符号を付して示し、その重複説明を省略する。
ステアリングコラム用ジャケット110は、上述のアウトプットシャフト48およびインターミディエイトシャフト52の一部を覆うスリーブ部材(不図示)を有するロアジャケットと、ファスナー(不図示)によりロアジャケットに分離可能に結合され、ステアリングコラム46のメインシャフト44を覆うスリーブ部材110VSを有するアッパジャケットとから構成されている。ステアリングコラム用ジャケット110におけるメインシャフト44に略直交する方向は、リインホースメント38R、および、後述するサブサポートロッド102により支持されている。ステアリングコラム用ジャケット110は、上述のステアリングギア用ジャケット90の生地と同一の生地で作られている。
上述のロアジャケットは、スリーブ部材110BR1および110BR2を有する側面部と、スリーブ部材110BL1および110BL2を有する側面部を備えている。
アッパジャケットは、上述のスリーブ部材100VSが結合される上部と、スリーブ部材110BR1を有する側面部と、スリーブ部材110BL1を有する側面部とを備えている。
ステアリングコラム46のメインシャフト44を覆うスリーブ部材110VSは、上部に左斜め上方に向けて延びるように設けられている。スリーブ部材110VSは、一端に開口端110CSを有している。アッパジャケットにおけるスリーブ部材110VSから円周方向に所定の角度だけ離隔した位置には、円筒状の入力側接続部110D1が、形成され、ロアジャケットにおける入力側接続部110D1に対向する位置には、排出側接続部110D2が形成されている。入力側接続部110D1および排出側接続部110D2には、それぞれ、上述の供給用ダクト16D1の接続端部、および、リターン用ダクト16D2の接続端部DU(図14(C)参照)が挿入される。
なお、スリーブ部材110BR2,110BL2には、配管および配線等が一緒に挿入されてもよい。これにより、ロアジャケットが、その自重および配管および配線等の重さにより図21におけるZ座標軸に沿って垂れ下がる事態がサブサポートロッド102により回避される。