JP7142529B2 - アレイアンテナ制御装置及びアレイアンテナ制御方法 - Google Patents
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Description
ここでいう簡単な構造とは、一般的なフェーズドアレーアンテナと異なり、各素子の位相器の構造を簡略化していることを意味する。すなわち、各アンテナ素子に対して細かい位相調整を行うという従来のフェーズドアレーの仕組みを簡略化し、複数の素子をまとめて、粗い位相調整を行うだけの簡単な仕組みでアンテナを作りこむことにより、一般的なフェーズドアレーアンテナに比べると若干性能は劣化するが大幅な劣化を防げるので、価格を抑えた大量生産に向いた故障もしにくい平易な構造で従来に比べてあまり見劣りしない性能を得ることができるというものである。
詳細は以下に述べるが、ボアサイトへのビームの向きを数点に止めることにより価格を抑え、かつ、そのためにビームを向けられない方向ができてしまう欠点を回避するという手法を用いているのが特徴である。
以下、図を参照して本実施形態のアレイアンテナ制御システム1の概要について説明する。
図1は、本実施形態のアレイアンテナ制御システム1の機能構成の一例を示す図である。
アレイアンテナAは、アレイ状に配置された複数のアンテナ素子Eを備えており、到来波ARWを受信する。アンテナ素子Eの配置の一例について、図2を参照して説明する。
領域AR1は、左半波長領域とも称する。領域AR1には、8行×4列の32個のアンテナ素子E(アンテナ素子E11~アンテナ素子E48)が配置される。
領域AR2は、右半波長領域とも称する。領域AR2には、8行×4列の32個のアンテナ素子E(アンテナ素子E51~アンテナ素子E88)が配置される。
領域AR3は、上半波長領域とも称する。領域AR3には、4行×8列の32個のアンテナ素子E(アンテナ素子E11~アンテナ素子E84)が配置される。
領域AR4は、下半波長領域とも称する。領域AR4には、4行×8列の32個のアンテナ素子E(アンテナ素子E15~アンテナ素子E88)が配置される。
なお、アレイアンテナAによって受信された到来波ARWの検波や復号については説明を省略する。
検出部110は、アンテナ素子Eの受信信号RSの受信電力の大きさを検出し、検出した結果を受信電力検出結果DAとして給電制御部120に出力する。すなわち、検出部110は、複数のアンテナ素子Eを備えるアレイアンテナAの信号受信電力の大きさを検出する。
給電制御部120は、生成した給電制御信号FCを指向特性制御部130及びアレイアンテナAの給電部Fに対してそれぞれ出力する。
アレイアンテナAの給電部Fは、給電制御信号FCに基づいてアンテナ素子Eの給電状態を変更する。
指向特性制御部130は、アレイアンテナAの給電部Fに対して、指向特性制御信号BFを出力する。
アレイアンテナAの給電部Fは、指向特性制御信号BFに基づいて、アレイアンテナAのビーム指向特性DCを変更する。
次に、図3を参照して本実施形態のアレイアンテナ制御システム1の動作の一例について説明する。
図3は、本実施形態のアレイアンテナ制御システム1の動作の流れの一例を示す図である。
給電制御部120は、受信電力検出結果DAが基準受信電力STよりも大きいと判定した場合(ステップS20;YES)、処理をステップS40に進める。また、給電制御部120は、受信電力検出結果DAが基準受信電力ST以下であると判定した場合(ステップS20;NO)、処理をステップS30に進める。ここで図4を参照して、給電制御部120による判定の具体例について説明する。
一例として、給電制御部120は、予め定められた給電パターンPに基づいて給電制御を行う。ここで給電パターンPとは、アレイアンテナAの受信面に配列された複数のアンテナ素子Eのうち、給電を行うアンテナ素子Eの位置と給電しないアンテナ素子Eの位置との配置の種類を示す情報である。
給電パターンP1において、給電制御部120は、図2に示すアンテナ素子Eのうち、すべてのアンテナ素子Eに対して給電する。この給電パターンP1は、ステップS20において、受信電力検出結果DAが基準受信電力STよりも大きいと判定された場合など用いられる。
[給電パターンP2(左半波長給電)]
給電パターンP2において、給電制御部120は、図2に示すアンテナ素子Eのうち、左半波長分の領域AR(同図の領域AR1)に配置されたアンテナ素子Eに対して給電し、右半波長分の領域AR(同図の領域AR2)に配置されたアンテナ素子Eに対して給電しない。すなわち、給電パターンP2において、給電制御部120は、領域AR2に配置されたアンテナ素子Eに対する給電を停止する。
[給電パターンP3(右半波長給電)]
給電パターンP3において、給電制御部120は、図2に示すアンテナ素子Eのうち、右半波長分の領域AR(同図の領域AR2)に配置されたアンテナ素子Eに対して給電し、左半波長分の領域AR(同図の領域AR1)に配置されたアンテナ素子Eに対して給電しない。すなわち、給電パターンP3において、給電制御部120は、領域AR1に配置されたアンテナ素子Eに対する給電を停止する。
[給電パターンP4(上半波長給電)]
給電パターンP4において、給電制御部120は、図2に示すアンテナ素子Eのうち、上半波長分の領域AR(同図の領域AR3)に配置されたアンテナ素子Eに対して給電し、下半波長分の領域AR(同図の領域AR4)に配置されたアンテナ素子Eに対して給電しない。すなわち、給電パターンP4において、給電制御部120は、領域AR4に配置されたアンテナ素子Eに対する給電を停止する。
[給電パターンP5(上半波長給電)]
給電パターンP5において、給電制御部120は、図2に示すアンテナ素子Eのうち、下半波長分の領域AR(同図の領域AR4)に配置されたアンテナ素子Eに対して給電し、上半波長分の領域AR(同図の領域AR3)に配置されたアンテナ素子Eに対して給電しない。すなわち、給電パターンP5において、給電制御部120は、領域AR3に配置されたアンテナ素子Eに対する給電を停止する。
具体的には、給電制御部120は、ステップS30の処理を実施するごとに、上述した給電パターンP1~給電パターンP5を順次選択することにより(例えば、ラウンドロビン方式によって)、給電パターンPを変更する。
以上説明したように、本実施形態のアレイアンテナ制御装置10は、給電制御部120を備えている。この給電制御部120は、信号受信電力の大きさに基づいて、複数のアンテナ素子Eのうちの一部のアンテナ素子Eへの給電を停止する制御を行う。
ここで、アレイアンテナAによって電磁波を受信する場合、アレイアンテナAの位置の変化によって、信号受信電力が大きく(例えば、20dB程度まで)落ち込んでしまう場合がある。
従来、信号受信電力が落ち込んだ場合には、ビームの向きを変更することにより落ち込みの回復を試みる場合があった。しかしながら、この従来の手法によると、ビームの向きを変更しても信号受信電力の落ち込みを回復させることができない場合が生じていた。
本実施形態のアレイアンテナ制御システム1によれば、アレイアンテナ制御装置10の給電制御部120が、信号受信電力の大きさに基づいて、複数のアンテナ素子Eのうちの一部のアンテナ素子Eへの給電を停止する制御を行う。この制御により、給電されているアンテナ素子Eの数が減少するため、給電停止前に比べてビーム幅が広がりゲインが低下する一方で、アレイアンテナAの位相中心PCを変化させることができる。アレイアンテナAの位相中心PCが変化すると、信号受信電力が大きく回復することがある。このアレイアンテナAの位相中心PCの変化による信号受信電力の回復幅(例えば、20dBの増加。)が、アンテナ素子Eの数の減少によるゲイン低下幅(例えば、3dBの減少。)よりも大きい場合がある。この場合、アンテナ素子Eへの給電停止によって、信号受信電力が大きく回復(例えば、20dB-3dB=17dBの増加。)する。つまり、本実施形態のアレイアンテナ制御装置10によれば、信号受信電力が低下した場合に、位相中心PCの変更により信号受信電力を回復させることができる。
一般的に、信号受信電力の大きさが小さい場合には、給電するアンテナ素子の数(つまり、ゲイン)を増加させることにより、信号受信電力の大きさを回復させる制御が行われる。しかしながら、このような従来の制御によると、給電するアンテナ素子の数が増加することにより消費電力が増加するという問題が生じる。また、このような従来の制御によると、信号受信電力の落ち込みを想定して、給電しないアンテナ素子を予備アンテナ素子として待機させておくことになり、アレイアンテナの面積が大きくなってしまうという問題が生じる。
本実施形態のアレイアンテナ制御装置10によれば、信号受信電力の大きさを回復させる場合にアンテナ素子Eへの給電を停止する構成であるため、消費電力の増加や面積の増大といった問題が生じない。つまり、アレイアンテナ制御装置10によれば、低消費電力かつ省面積のアレイアンテナAを実現することができる。
さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
Claims (6)
- 複数のアンテナ素子を備えるアレイアンテナの信号受信電力の大きさを検出する検出部と、
前記検出部が検出する信号受信電力の大きさが基準受信電力よりも小さい場合に、複数の前記アンテナ素子のうちの一部の前記アンテナ素子への給電を停止することにより、前記アレイアンテナのゲインを低下させるとともに、前記アレイアンテナの位相中心を変化させる制御を行う給電制御部と、
前記給電制御部による制御によって給電が停止されていない前記アンテナ素子についての受信振幅及び位相を、所望のビーム指向特性に基づいて制御する指向特性制御部と、
を備えるアレイアンテナ制御装置。 - 前記アレイアンテナは、ミリ波帯の電磁波を受信する
請求項1に記載のアレイアンテナ制御装置。 - 前記給電制御部は、
前記アレイアンテナの受信面に配列された複数の前記アンテナ素子のうち、受信波の波長に基づく領域に配列された前記アンテナ素子への給電を停止する
請求項1又は請求項2に記載のアレイアンテナ制御装置。 - 前記給電制御部は、
前記検出部が検出する信号受信電力の大きさが基準受信電力よりも小さい場合に、前記アンテナ素子への給電を停止する場合において、前記アレイアンテナの受信面のうち前記アンテナ素子への給電が停止される領域を示す複数の給電パターンを順次変更することにより、前記アレイアンテナの位相中心を変化させる
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のアレイアンテナ制御装置。 - 前記給電制御部は、
順次変更された前記複数の給電パターンのうち、信号受信電力がより大きい給電パターンを選択する
請求項4に記載のアレイアンテナ制御装置。 - 複数のアンテナ素子を備えるアレイアンテナの信号受信電力の大きさを検出する検出手順と、
前記検出手順において検出される信号受信電力の大きさが基準受信電力よりも小さい場合に、複数の前記アンテナ素子のうちの一部の前記アンテナ素子への給電を停止することにより、前記アレイアンテナのゲインを低下させるとともに、前記アレイアンテナの位相中心を変化させる制御を行う給電制御手順と、
前記給電制御手順における制御によって給電が停止されていない前記アンテナ素子についての受信振幅及び位相を、所望のビーム指向特性に基づいて制御する指向特性制御手順と、
を有するアレイアンテナ制御方法。
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