JP7141250B2

JP7141250B2 - 回転電機

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Publication number: JP7141250B2
Application number: JP2018105415A
Authority: JP
Inventors: 斉士桂; 太一北村; 公貴植村
Original assignee: Exedy Corp
Current assignee: Exedy Corp
Priority date: 2018-05-31
Filing date: 2018-05-31
Publication date: 2022-09-22
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Description

本発明は、回転部材の外周に配置されるブラシレス巻線界磁型の回転電機に関する。

従来例（特許文献１参照）を示す図８の（ｂ）に示すように、回転子１０１に対して静止した界磁コイル１０２から磁束を供給する回転電機が提案されている。固定子１０３は回転子１０１の径方向の外側に配置されている。このような構造により、回転子１０１を磁化するために必要であった電力供給装置、所謂ブラシを用いたスリップリングを、廃止することができる。これが、ブラシレス巻線界磁型の回転電機１１０である。なお、固定子１０３と回転子１０１との間には第１エアギャップ１１１があり、界磁コイル１０２と回転子１０１との間には第２エアギャップ１１２があり、両方とも回転軸１０７の軸方向沿いに延在している。

また、特許文献２のように、発進装置の外周に回転電機を配置する構造が提案されている。このような構造とし、エンジンと回転電機とを連結することでエンジン始動を可能とし、かつ走行中はジェネレータとして機能することで、従来の自動車で必要であったスタータ及びオルタネータを廃止することができる。

特許３４４５４９２号特表２０１０－５１６５５８号公報

これら２つの特許文献を組み合わせて、すなわち、図８の（ｂ）に示すように、発進装置１０４の外周にブラシレス巻線界磁型の回転電機１１０を配置しようとした場合、２つの特許文献の構造同士の組み合わせでは、固定ケース１０５の内周側で且つ発進装置１０４の外周側という狭小なる空間に、固定ケース１０５に固定される固定子１０３と、回転子１０１と、界磁コイル１０２との、３つの部材を、回転軸１０７の同軸異径上に配置するので、回転電機１１０の占める体積に厳しい制約があり、設計自由度が限られてしまい、回転電機１１０の出力性能が限定されてしまうという課題がある。

従って、本発明の目的は、前記問題を解決することにあって、設計自由度を大きくすることができて、出力性能を向上させることができる、回転電機を提供することにある。

本発明は、回転部材と固定ケースとの間に位置する、ブラシレス巻線界磁型の回転電機であって、
前記固定ケースに保持され、交流電流により回転磁界を発生する交流コイルを内部に備えた、固定子と、
前記固定ケースに保持され、直流電流により励磁する界磁コイルを内部に備えた、界磁コアと、
前記回転部材の外周に配置され、前記固定子及び前記界磁コイルに対して回転自在に保持された、回転子と、
前記固定子と前記回転子との間に形成され、前記固定子と前記回転子との間で磁束を受け渡す、第１エアギャップと、
前記界磁コアと前記回転子との間に形成され、前記界磁コアと前記回転子との間で磁束を受け渡す、第２エアギャップと、を備えており、
前記界磁コアの前記界磁コイルは、前記回転子に対して、前記第２エアギャップを介して前記回転部材の回転軸の軸方向に並列して配置されており、
前記第２エアギャップは、前記界磁コアと、前記回転子の前記界磁コア側の部分であって少なくとも径方向外側の部分と、の間において、前記回転子の前記径方向外側の部分が前記界磁コアよりも径方向外側に位置するように、前記回転軸の前記軸方向に対して傾斜した、傾斜部を、有している、
ことを特徴としている。

本発明によれば、次のような効果を発揮できる。
（ａ）固定ケースの内周側且つ回転部材の外周側という狭小なる空間に、回転子以外に、固定子又は界磁コイルのいずれか一方のみを配置させるので、２つの部材を回転軸の同軸異径上に配置するだけでよく、その結果、設計自由度が大きくなり、回転電機の出力性能を向上させることができる。
（ｂ）第２エアギャップが傾斜部を有しているので、回転電機の効率向上とアキシャル力の低減とを図ることができる。
（ｃ）第２エアギャップの傾斜部によって、回転子の界磁コア側の径方向外側の部分が界磁コアよりも径方向外側に位置しているので、回転子の界磁コア側の部分が遠心力によって拡径して界磁コアに干渉するのを、防止できる。

本発明の第１実施形態にかかる回転電機の縦断面と、回転電機とエンジン及び変速機との配置関係と、を示す図である。図１の回転電機の縦断面拡大部分図である。図１の回転電機の縦断面斜視部分図である。第１実施形態にかかる回転電機の変速機側から見たときの正面図である。第１実施形態にかかる回転電機の斜視図である。第１実施形態にかかる回転電機の回転子の斜視図である。第１実施形態にかかる回転電機の回転子の分解斜視図である。第１実施形態の部材配置構成と従来例の部材配置構成とを比較して示す図である。本発明の第２実施形態にかかる回転電機の縦断面と、回転電機とエンジン及び変速機との配置関係と、を示す図である。第２実施形態にかかる回転電機の部分正面図である。第２実施形態にかかる回転電機の縦断面斜視部分図である。なお、磁極保持部材の図示は省略している。

以下、図面を参照して本発明における実施形態を詳細に説明する。

（第１実施形態）
本実施形態にかかる回転電機は、図１～図３に示すように、回転軸７沿いのエンジン８と変速機９との間に配置され、発進装置４を内包する固定ケース５と発進装置４との間に位置するブラシレス巻線界磁型の回転電機１０である。この回転電機１０は、少なくとも、固定子３と、界磁コイル２と、回転子１とを、備えている。

固定子３は、固定ケース５に回転不可に固定保持され、交流コイル１４を巻回するための複数のスロットを具備する円筒状の部材で構成され、交流コイル１４を内部に備えて、交流コイル１４に流れる交流電流により回転磁界を発生する。

界磁コイル２は、固定子３及び回転子１よりも回転軸７沿いにずらせて配置されて、固定子３の変速機９側で固定ケース５に固定保持され、直流電流により励磁する。界磁コア６は、界磁コイル２を内部に備えている。なお、界磁コイル２は、固定子３及び回転子１よりも回転軸７沿いに、固定子３の変速機９側ではなく、図１の一点鎖線の領域８９に示すように、第２エアギャップ１２を介して固定子３のエンジン８側にずらせて配置してもよい。

回転子１は、発進装置４の外周に固定配置され、回転子１の外周面が固定子３の内周面に対向し、且つ、回転子１の変速機９側の端面が界磁コイル２のエンジン８側の端面に対向して、回転軸７の周りで固定子３及び界磁コイル２に対して回転自在に保持されている。

固定子３と回転子１との間には、第１エアギャップ１１が形成されて、固定子３と回転子１との間で磁束を受け渡している。第１エアギャップ１１は、固定子３の内周面と回転子１の外周面との間で回転軸７の軸方向沿いに延在する隙間である。

界磁コア６と回転子１との間には、第２エアギャップ１２が形成されて、界磁コイル２と回転子１との間で磁束を受け渡している。第２エアギャップ１２は、具体的には、界磁コア６と回転子１の第２磁極２２との間に形成されたエアギャップ１２Ａと、界磁コア６と回転子１の第１磁極２１との間に形成されたエアギャップ１２Ｂと、を有している。すなわち、エアギャップ１２Ａは、界磁コア６と、回転子１の界磁コア６側の部分であって径方向内側の部分と、の間に、形成されており、エアギャップ１２Ｂは、界磁コア６と、回転子１の界磁コア６側の部分であって径方向外側の部分２１０と、の間に、形成されている。エアギャップ１２Ａは、回転軸７の軸方向に対して垂直に形成されている。エアギャップ１２Ｂは、回転軸７の軸方向に対して傾斜して形成されている。エアギャップ１２Ｂは、具体的には、回転軸７の軸方向に対して垂直な第１垂直部１２１と、回転軸７の軸方向に対して傾斜角度αで傾斜した傾斜部１２２と、回転軸７の軸方向に対して垂直な第２垂直部１２３とで、構成されている。第１垂直部１２１と傾斜部１２２と第２垂直部１２３とは、連続している。そして、傾斜部１２２は、径方向の内側から外側に向かうに従い、徐々にエンジン８側から変速機９側に向かうように、傾斜している。これにより、回転子１の界磁コア６側の径方向外側の部分２１０は、界磁コア６よりも径方向外側に位置している。傾斜角度αは、１０～２５度の範囲が好ましい。なお、第１垂直部１２１、傾斜部１２２、及び第２垂直部１２３の、それぞれの隙間幅は略同じである。

界磁コア６と回転子１との間に上述のような第２エアギャップ１２が形成されたことによって、回転子１の界磁コア６側の部分は、径方向外側の部分が界磁コア６側に突き出た縦断面くちばし形状を、呈しており、界磁コア６の回転子１側の部分は、回転子１のくちばし内に潜り込むような凸形状を、呈している。

一方、図４～図７に示すように、回転子１は、第１磁極２１と、第２磁極２２と、磁極保持部材２３とが、組み合わされて、構成されている。なお、図４のＡ－Ａ線断面図が図１の中央の回転電機１０と発進装置４などの断面図である。

第１磁極２１は、例えば鉄などの軟磁性体で構成され、第１円環部２１ａから回転軸７の軸方向に突き出た複数の例えば矩形薄板状の爪部２１ｂを有している。爪部２１ｂは、周方向に一定間隔、例えば等間隔に配置され、回転軸７の軸方向の長さは全て同じである。各爪部２１ｂの外周面は第１円環部２１ａの外周面沿いに配置されている。爪部２１ｂは、第１磁極２１と第２磁極２２とが組み合わされても、第２磁極２２とは非接触であり、径方向には径方向隙間１６が形成されている。

第２磁極２２は、例えば鉄などの軟磁性体で構成され、第１円環部２１ａの内側に径方向隙間１６（図１）をあけて配置され、第１円環部２１ａと部分的に重なるように配置された第２円環部２２ａの外周面に径方向に突出し且つ周方向には周方向隙間１７を有して配置された複数の例えば矩形板状の凸部２２ｂを有している。凸部２２ｂも、周方向に一定間隔、例えば等間隔に配置され、径方向の高さは全て同じである。凸部２２ｂの回転軸７の軸方向の長さは全て同じであり、爪部２１ｂよりも短くなっている。各凸部２２ｂの外周面は回転子１の回転軸心と同一中心の１つの円上に配置されている。各凸部２２ｂは、第２円環部２２ａのエンジン８側の端縁まで延びて第１先端係止部２２ｃを形成する一方、第２円環部２２ａの変速機９側には端縁まで延びずに、凸部２２ｂが無く細幅の円環状のはめ込み部２２ｄを形成している。第１磁極２１を第２磁極２２に対して軸方向に移動させて、第１磁極２１の各爪部２１ｂを隣接する凸部２２ｂ間の周方向隙間１７の中間部に挿入して、爪部２１ｂと凸部２２ｂとが周方向に交互に配置されように組み付ける。このとき、はめ込み部２２ｄの外側に、径方向隙間１６を挟んで第１磁極２１の第１円環部２１ａを配置できるようにしている。組み付けた状態では、図６に示すように、凸部２２ｂと第１円環部２１ａとの間に軸方向隙間１９があり、爪部２１ｂと第２磁極２２の凸部２２ｂとの間には、周方向に周方向隙間１７があり、且つ、径方向にも径方向隙間１６がある。よって、第１磁極２１と第２磁極２２とは、非接触に維持されている。この状態で固定するため、磁極保持部材２３を更に備えている。

磁極保持部材２３は、例えばアルミニウム又はオーステナイト系ステンレス鋼などの非磁性体で構成され、円環状の部材であって、第１磁極２１の爪部２１ｂの第１先端係止部２１ｃを嵌合固定するとともに第２磁極２２の凸部２２ｂの第２先端係止部２２ｃを嵌合固定する嵌合部２３ａを、例えば外周側に有している。第１先端係止部２１ｃと第２先端係止部２２ｃとが嵌合部２３ａに嵌合され、ボルト止め、焼嵌め、又はロウ付けなどで固定されて、第１磁極２１と第２磁極２２とは、非接触に磁極保持部材２３で固定保持されている。

第１磁極２１の爪部２１ｂの第１先端係止部２１ｃと第２磁極２２の凸部２２ｂの第２先端係止部２２ｃとは、具体的な例としては、段部で形成されて、当該段部が嵌合部２３ａの係合凹部にそれぞれ嵌合されて、径方向に対して固定的に保持されている。第２先端係止部２２ｃは、一例として凸部２２ｂの先端に配置しているが、第２円環部２２ａの先端に配置してもよい。このように構成すれば、界磁コイル２から磁束を流して第１磁極２１と第２磁極２２とを磁化するとき、磁極保持部材２３を非磁性体として磁束ショートを無くし、効率的に磁化することができるとともに、磁極保持部材２３で第１磁極２１と第２磁極２２とを機械的に保持することができる。また、第１磁極２１の爪部２１ｂの第１先端係止部２１ｃを磁極保持部材２３の嵌合部２３ａで嵌合固定保持するので、回転遠心力による爪部２１ｂの広がりを抑制し、回転強度を向上することができる。

以上のように構成された回転電機１０においては、界磁コイル２が通電されると、界磁コイル磁束１５が発生する。界磁コイル磁束１５は、界磁コア６から、第２エアギャップ１２（エアギャップ１２Ｂ）と回転子１の第１磁極２１と第１エアギャップ１１と固定子３と第１エアギャップ１１と回転子１の第２磁極２２と第２エアギャップ１２（エアギャップ１２Ａ）とを介して、界磁コア６に戻ることにより、構成されている。このとき、例えば、直流電流が界磁コイル２に通電されれば、界磁コイル磁束１５を発生させ、第１磁極２１と第２磁極２２とは、それぞれ、例えばＮ極とＳ極とにそれぞれ磁化されている。

このような回転電機１０において、まず、回転電機１０をスタータとして始動機能を発揮させる場合について説明する。エンジン８の始動指令に基づき、図示しないインバータを駆動して固定子３に三相交流電流を流して固定子３を磁化するとともに、界磁コイル２に電流を流す。界磁コイル２に電流を流して、回転子１の第１磁極２１と第２磁極２２とを励磁する。この結果、回転子１が固定子３に対して回転を開始するとともに、固定子３において誘起電圧を有する起電力が発生する。

その後、誘起電圧は回転子１の回転速度に応じて増加し、回転速度がエンジン８のアイドリングに対応するアイドリング回転速度より低い初爆の回転速度に到達し、エンジン8の始動を完了したとき、インバータの駆動を停止し、以後、所定の誘起電圧（要求電圧）を保持するように、自動的に発電モード、すなわち、回転電機１０を発電機として発電機能を発揮させる場合に移行する。

この発電モードでは、界磁コイル２を励磁し続けるときは、誘起電圧が所定の誘起電圧で一定になるように、励磁電流を調整する。励磁電流は、回転速度の上昇にあわせて回転子の磁化力が減じるように調整し、誘起電圧が一定となるようにする。また、界磁コイル２を励磁しないときは、誘起電圧が所定の誘起電圧で一定になるようにインバータで三相交流電流の進角を調整する。さらに、上記２つの方法を組み合わせて調整してもよい。このように制御することで、回転子１が回転すると、回転電機１０は発電機として機能することになる。

この結果、エンジン８と回転電機１０とを連結することで、エンジン始動を可能とし且つ走行中はジェネレータ（発電機）として機能することができる。

次に、本実施形態による作用効果について、説明する。
（１）本実施形態では、図８の（ａ）に示すように、固定子３及び回転子１に対して界磁コイル２を回転軸７の軸方向にずらせて並列配置しているので、次のような効果を発揮できる。

まず、従来例では、図８の（ｂ）に示すように、発進装置１０４の径方向外側に回転電機１１０を配置して、固定ケース１０５と発進装置１０４との間のスペースで径方向の外から内向きに、固定子１０３と、回転子１０１と、界磁コイル１０２との３つの部材を配置している。この場合では、界磁コイル１０２の磁束を大きくしようとしてコイルの巻数を多くすると、径方向の厚みが大きくなり、当該スペースには入らず、磁束を大きくすることができなかった。

これに対して、本実施形態では、図８の（ａ）に示すように、固定子３及び回転子１に対して界磁コイル２を回転軸７の軸方向にずらせて並列配置している。このように構成すれば、発進装置４の径方向外側には、固定子３及び回転子１の２つの部材だけとなり、発進装置４の径方向外側に界磁コイル２の配置スペースは不要となる。このため、少なくとも界磁コイル２の配置スペース分だけ、発進装置４の外側の径方向寸法が小さくなる、又は、配置スペース分だけ固定子３又は回転子１の厚みを増加できるなど、有効に活用することができる。また、界磁コイル２を固定子３及び回転子１とは軸方向にずれた位置に配置するため、固定子３及び回転子１のスペースを考慮することなく、界磁コイル２の径方向の厚みを大きくして、界磁コイル２の磁束を大きくすることができる。よって、設計の自由度を大きくすることができる。

また、従来例を示す図８の（ｂ）のような径方向の配置では、回転側の回転子１０１と固定側の界磁コイル１０２との同心性（同心位置の位置調整）が厳しかったが、本実施形態を示す図８の（ａ）のような軸方向にずらした配置では、回転側の回転子１と固定側の界磁コイル２との同心性を、図８の（ｂ）の構成ほど厳しく調整する必要がない。

また、本実施形態を示す図８の（ａ）の構成では、界磁コイル２を回転子１の軸方向のエンジン８側又は変速機９側のいずれかのスペースに配置可能とできるので、当該スペースを有効活用することができる。

また、本実施形態では、回転電機１０の回転子１をエンジン８の出力軸（回転軸）７と同期回転する同期回転部材である発進装置４に連結するとともに、エンジン８の出力軸の中心軸を回転子１の回転軸となるように回転電機１０を配置しているので、冷間時でも、回転電機１０の回転駆動力をエンジン８に確実に伝達でき、冷間時にエンジン８を確実に始動させることができる。

従って、本実施形態によれば、固定ケース５の内周側且つ発進装置４の外周側という狭小なる空間に、回転子１以外に、固定子３又は界磁コイル２のいずれか一方のみを配置させるので、２つの部材を回転軸７の同軸異径上に配置するだけでよく、それ故、設計自由度が大きくなり、回転電機１０の出力性能を向上させることができる。

（２）本実施形態では、第２エアギャップ１２が傾斜部１２２を有しているので、次のような効果を発揮できる。

まず、従来例のように回転子１と界磁コイル２との間の第２エアギャップ１２が回転軸７の軸方向に対して垂直に形成されている場合には、次のような不具合がある。
（ａ）エアギャップ断面積が少なく、それ故に、磁気抵抗が高くなり、ロータ界磁に必要な界磁電流が高くなってしまう可能性がある。
（ｂ）軸方向に電磁吸引力が発生し、発進装置４を保持する軸受（図示せず）に大きなアキシャル力が作用する可能性がある。
（ｃ）断面において、第２エアギャップ１２の有効磁路幅は、界磁コア６の厚み及び磁極厚みと同等である。また、界磁コア６を励磁した際、界磁コア６と回転子１との間には電磁吸引力が作用するが、電磁吸引力は全てアキシャル力として作用する。

これに対して、本実施形態では、第２エアギャップ１２が傾斜部１２２を有しているので、従来例に比して、第２エアギャップ１２の有効磁路幅を拡大することができるとともに、電磁吸引力をアキシャル力だけでなくラジアル力にも分散することによって、アキシャル力を減少させることができる。すなわち、軸方向の電磁吸引力を減らして、軸受にかかるアキシャル力を低減することができる。その結果、ドラッグトルクを低減し、車両燃費を向上することができる。

また、本実施形態では、第２エアギャップ１２が傾斜部１２２を有しているので、第２エアギャップ１２の断面積を拡大することができ、それ故に、磁気抵抗を下げ、界磁電流を低減することができる。その結果、回転電機１０の効率が向上し、車両燃費をさらに向上することができる。

（３）本実施形態では、第２エアギャップ１２のエアギャップ１２Ｂが傾斜部１２２を有しているので、回転子１の界磁コア６側の部分は、径方向外側の部分２１０が界磁コア６側に突き出た縦断面くちばし形状を、呈しており、界磁コア６の回転子１側の部分は、回転子１のくちばし内に潜り込むような縦断面凸形状を、呈している。これにより、回転子１の界磁コア６側の径方向外側の部分２１０は、回転による遠心力によって径方向外側に向けて膨らんだとしても、界磁コア６に接触することは無い。すなわち、回転子１の界磁コア６側の部分が遠心力によって拡径して界磁コア６に干渉するのを、防止できる。

（第２実施形態）
図９～図１１に示すように、本実施形態では、第１実施形態の構成において、回転子１の内部に永久磁石２７を配置している。

より具体的には、第１磁極２１の各爪部２１ｂと周方向の同一位置で、且つ、第１磁極２１の各爪部２１ｂの内径側且つ第２磁極２２の第２円環部２２ａの外径側に、各爪部２１ｂの内周面と第２円環部２２ａの外周面との間で例えば矩形板状の永久磁石２７を挟持するように備える。この配置により、図１０に示すように、永久磁石２７の磁石磁束２８が第１磁極２１の各爪部２１ｂと第２磁極２２の凸部２２ｂとの間に形成されるようにしている。

永久磁石２７は、ネオジムを主原料とした磁石又はフェライトを主原料とした磁石である。具体的には、永久磁石２７としては、例えば、ＳｍＣｏ磁石、ＡｌＮｉＣｏ磁石、又は、ネオジムボンド磁石など、多様な種類の永久磁石を使用することができる。永久磁石２７は、各爪部２１ｂの内側全面又はその一部に配置している。

このように構成することで、界磁コイル２により回転子１に発生する磁束に加えて永久磁石２７の磁石磁束２８を利用することができ、出力性能を向上させることができる。また、永久磁石２７を爪部２１ｂで抑えて保持することにより、永久磁石２７の遠心力に対する強度を補強することができ、遠心力による永久磁石２７の変形を防止でき、高回転時の遠心強度を向上することができる。

（変形例）
（ａ）エアギャップ１２Ｂは、傾斜部１２２を有していればよく、第１垂直部１２１及び第２垂直部１２３の一方又は両方を有していなくてもよい。
（ｂ）エアギャップ１２Ａは、回転軸７の軸方向に対して傾斜して形成されてもよい。その傾斜方向は、径方向の内側から外側に向かうに従い、エンジン８側から変速機９側に向かう方向であるのが、好ましい。これによれば、回転子１の径方向内側の部分が、回転による遠心力によって径方向外側に向けて膨らんだとしても、界磁コア６に接触することは無い。なお、傾斜方向は、径方向の内側から外側に向かうに従い、変速機９側からエンジン８側に向かう方向でもよい。
（ｃ）回転電機１０は、発進装置４以外の他の回転部材の外周に配置してもよい。他の回転部材としては、例えば、駆動系のフライホイールやドライブプレートなどを挙げることができる。

なお、前記様々な実施形態又は変形例のうちの任意の実施形態又は変形例を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。また、実施形態同士の組み合わせ又は実施例同士の組み合わせ又は実施形態と実施例との組み合わせが可能であると共に、異なる実施形態又は実施例の中の特徴同士の組み合わせも可能である。

本発明は、車両に限らず、広く一般に駆動・発電装置に使用される回転電機として有用であり、よって、産業上の利用価値が大である。

１回転子
２界磁コイル
３固定子
４発進装置（回転部材）
５固定ケース
６界磁コア
７回転軸
８エンジン
９変速機
１０回転電機
１１第１エアギャップ
１２第２エアギャップ
１２２傾斜部
１４交流コイル
２１第１磁極
２１ａ第１円環部
２１ｂ爪部
２１ｃ第１先端係止部
２１０（径方向外側の）部分
２２第２磁極
２２ａ第２円環部
２２ｂ凸部
２２ｃ第２先端係止部
２２ｄはめ込み部
２３磁極保持部材
２３ａ嵌合部
２７永久磁石

Claims

回転軸沿いのエンジンと変速機との間に配置され、発進装置を内包する固定ケースの内周側で且つ前記発進装置の外周側という空間に位置する、ブラシレス巻線界磁型の回転電機であって、
前記固定ケースに保持され、交流電流により回転磁界を発生する交流コイルを内部に備えた、固定子と、
前記固定ケースに保持され、直流電流により励磁する界磁コイルを内部に備えた、界磁コアと、
前記発進装置の外周に配置され、前記固定子及び前記界磁コイルに対して回転自在に保持された、回転子と、
前記固定子と前記回転子との間に形成され、前記固定子と前記回転子との間で磁束を受け渡す、第１エアギャップと、
前記界磁コアと前記回転子との間に形成され、前記界磁コアと前記回転子との間で磁束を受け渡す、第２エアギャップと、を備えており、
前記界磁コアの前記界磁コイルは、前記回転子に対して、前記第２エアギャップを介して前記発進装置の回転軸の軸方向に並列して配置されており、
前記第２エアギャップは、前記界磁コアと、前記回転子の前記界磁コア側の部分であって少なくとも径方向外側の部分と、の間において、前記回転子の前記径方向外側の部分が前記界磁コアよりも径方向外側に位置するように、前記回転軸の前記軸方向に対して傾斜した、傾斜部を、有している、
ことを特徴とする回転電機。
前記回転子の前記界磁コア側の部分は、前記径方向外側の部分が前記界磁コア側に突き出た縦断面くちばし形状を、呈しており、
前記界磁コアの前記回転子側の部分は、前記回転子の前記くちばし内に潜り込むような縦断面凸形状を、呈している、
請求項１記載の回転電機。
前記第２エアギャップは、前記傾斜部と、前記傾斜部に続いて形成され且つ前記回転軸に対して垂直な垂直部と、を備えている、
請求項１又は２に記載の回転電機。
前記第２エアギャップの前記傾斜部の傾斜角度は、前記回転軸の前記軸方向に対して１０～２５度の範囲である、
請求項１～３のいずれか一つに記載の回転電機。
前記回転子は、
第１円環部から前記回転軸の前記軸方向に突き出た複数の爪部を持つ、第１磁極と、
前記第１円環部の内側に径方向隙間をあけて配置され、前記第１円環部と部分的に重なるように配置された第２円環部の外周面に径方向に突出し且つ周方向には周方向隙間を有して配置された複数の凸部を持つ、第２磁極と、
前記第１磁極の前記爪部と前記第２磁極の前記凸部とが嵌合固定される嵌合部を有する、円環状の磁極保持部材とで、構成されており、
前記第１磁極と前記第２磁極とは、前記第１磁極の前記爪部が前記第２磁極の前記凸部と前記凸部との間の前記隙間内に挿入され、前記第１磁極の前記爪部と前記第２磁極の前記凸部とが周方向に交互に配置されて、お互いに接触することなく、前記磁極保持部材に嵌合固定されている、
請求項１～４のいずれか一つに記載の回転電機。
前記第１磁極の前記爪部の第１先端係止部は、前記磁極保持部材の外周側に配置された前記嵌合部に嵌合されて、径方向に対して固定的に保持されているとともに、前記第２磁極の第２先端係止部は、前記磁極保持部材の前記嵌合部に嵌合されて、径方向に対して固定的に保持されている、
請求項５に記載の回転電機。
前記磁極保持部材は、非磁性体である、
請求項５又は６に記載の回転電機。
前記第１磁極と前記第２磁極とは、それぞれ、軟磁性体である、
請求項５～７のいずれか一つに記載の回転電機。
前記第１磁極の前記爪部と周方向の同一位置であって、前記第１磁極の内径側且つ前記第２磁極の前記第２円環部の外径側に、永久磁石を更に備えている、
請求項５～８のいずれか一つに記載の回転電機。
前記永久磁石は、ネオジムを主原料とした磁石である、
請求項９に記載の回転電機。
前記永久磁石は、フェライトを主原料とした磁石である、
請求項９に記載の回転電機。