JP7140621B2 - 原子炉施設および原子炉施設の監視方法 - Google Patents

原子炉施設および原子炉施設の監視方法 Download PDF

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Description

本発明の実施形態は、原子炉施設および原子炉施設の監視方法に関する。
従来、ナトリウムなどの液体金属を冷却材として用いる高速炉では、冷却材が不透明であるため、燃料交換または定期点検が行われる際に、炉内構造物の状況または核燃料の装荷状況を画像撮影により把握することが困難である。そこで、超音波を用いて構造物の形状を把握する技術が知られている。
また、宇宙線のミュオンが有する高い透過力を利用して構造物の内部を透視する技術が知られている。この技術では、例えば、貨物の輸送に用いられるコンテナに隠された核物質を見つけ出すことが可能となっている。
特許第6058565号公報
K. Swaminathan et al., "The development and deployment of an ultrasonic under-sodium viewing system in the fast breeder test reactor", IEEE Transactions on Nuclear Science 37, 5, 1571-1577(1990) K. N. Borozdin et al., Nature 422, 277 (2003)
超音波を用いた技術では、不透明な液体金属の冷却材を用いる原子炉において、炉内構造物の状況または核燃料の装荷状況を把握する場合に、炉内に超音波装置を導入する必要がある。そのため、この技術では、炉内の全体の状況を把握することが困難である。また、原子炉の運転中に用いることもできない。つまり、従来の技術では、液体金属が収容される原子炉容器の内部を常時監視することができないという課題がある。
本発明の実施形態は、このような事情を考慮してなされたもので、液体金属が収容される原子炉容器の内部を監視することができる原子炉施設の監視技術を提供することを目的とする。
本発明の実施形態に係る原子炉施設は、核燃料を冷却する冷却材としての液体金属が収容される原子炉容器に入射されるミュオンの入射状態を特定する入射特定部と、前記入射特定部により前記入射状態が特定され、かつ前記原子炉容器から出射される前記ミュオンの出射状態を特定する出射特定部と、前記入射状態と前記出射状態とに基づいて前記原子炉容器の内部を監視する監視装置に少なくとも前記出射特定部により特定された情報を送る情報送信部と、を備え、少なくとも前記出射特定部は、前記ミュオンが通過する軌跡を測定可能なミュオン測定装置から成り、前記入射特定部は、前記ミュオンを前記原子炉容器に向けて発射するミュオン発射装置から成り、複数の前記ミュオン発射装置が設けられ、それぞれの前記ミュオン発射装置から発射される前記ミュオンの軌跡が前記原子炉容器の内部で交差する
本発明の実施形態により、液体金属が収容される原子炉容器の内部を監視することができる原子炉施設の監視技術が提供される。
第1実施形態の原子炉施設を示す断面図。 第1実施形態のミュオン測定装置を示す側面図。 第1実施形態の原子炉施設を示す概念図。 第1実施形態の原子炉施設の監視装置を示すブロック図。 第1実施形態の原子炉施設の監視方法を示すフローチャート。 第2実施形態の原子炉施設の監視方法を示すフローチャート。 第3実施形態の原子炉施設の監視装置を示すブロック図。 第3実施形態の原子炉施設の監視方法を示すフローチャート。 第4実施形態の原子炉施設を示す概念図。 第4実施形態の原子炉施設の監視装置を示すブロック図。 第5実施形態の原子炉施設を示す概念図。 第6実施形態の原子炉施設を示す概念図。
(第1実施形態)
以下、本実施形態を添付図面に基づいて説明する。まず、第1実施形態の原子炉施設について図1から図5を用いて説明する。図1の符号1は、原子炉施設である。
図1に示すように、本実施形態では、原子炉施設1として高速炉を例示する。高速炉とは、高速中性子による核分裂連鎖反応を用いた原子炉のことをいう。以下の説明では、冷却材として液体金属ナトリウムを使うナトリウム冷却高速炉を例示する。
原子炉施設1は、原子炉が設けられる原子炉建屋2と、タービン発電機が設けられるタービン建屋3とを備える。なお、原子炉建屋2およびタービン建屋3以外の他の建屋が原子炉施設1に含まれても良い。この他の建屋は、原子炉建屋2の遠隔地に設けられ、所定の通信回線で接続されたものであっても良い。
原子炉建屋2は、鉄骨鉄筋コンクリートで構成された外壁4を備える。この外壁4の内部には、原子炉としての炉心5を収容する原子炉容器6と、この原子炉容器6を格納する格納容器7とが設けられる。炉心5は、核燃料が配置される部分である。そして、原子炉容器6は、核燃料を冷却する冷却材としての液体金属ナトリウムを収容している。この原子炉容器6には、原子炉の出力を制御する制御棒8が配置される。
格納容器7の内部には、1次冷却系の冷却材と2次冷却系の冷却材との間で熱交換を行う中間熱交換器9が設けられる。1次冷却系の冷却材は、1次循環ポンプ10の駆動により原子炉容器6と中間熱交換器9との間で循環される。なお、1次冷却系および2次冷却系は、それぞれ液体金属ナトリウムの冷却材を用いている。
中間熱交換器9は、2次冷却系を介して蒸気発生器11と接続されている。蒸気発生器11は、タービン建屋3の内部に設けられる。2次冷却系の冷却材は、2次循環ポンプ12の駆動により中間熱交換器9と蒸気発生器11との間で循環される。
蒸気発生器11は、タービン建屋3に設けられる。タービン建屋3には、蒸気発生器11で発生させた蒸気で回転するタービン13と、タービン13の回転により発電を行う発電機14と、タービン13の回転に用いられた蒸気を水に戻す復水器15と、復水器15にて蒸気の冷却に用いる冷却水を循環させる水冷却部17とが設けられている。そして、この復水器15と蒸気発生器11とは配管によって接続されている。
復水器15で蒸気から戻された水は、給水ポンプ16の駆動により再び蒸気発生器11に供給される。そして、この水が再び加熱され、蒸気となってタービン13を回転させる。また、水冷却部17は、原子炉施設1の近傍の海から冷却水としての海水が供給される。冷却に用いられた海水は再び海に戻される。水循環ポンプ18の駆動により、水冷却部17と海との間で海水が循環される。
タービン建屋3には、原子炉施設1を制御する中央制御室19が設けられる。この中央制御室19には、原子炉容器6の内部を監視する監視装置20が設けられる。なお、中央制御室19は、タービン建屋3以外の他の建屋に設けられていても良い。
格納容器7の内部には、鉄骨鉄筋コンクリート製の躯体21が設けられる。原子炉容器6および中間熱交換器9は、躯体21により支持されている。また、原子炉容器6の外周には、躯体21の一部を構成する生体遮蔽部22が設けられている。この生体遮蔽部22は、原子炉容器6から放射される放射線を遮蔽する。つまり、生体遮蔽部22は、その外側にいる作業者が過剰な放射線を浴びないようにするために設けられている。
格納容器7の内側であり、かつ生体遮蔽部22の外側には、ミュオンμが通過する軌跡を測定可能なミュオン測定装置23が設けられている。本実施形態では、複数のミュオン測定装置23が原子炉容器6の近傍に配置されている。これらのミュオン測定装置23は、格納容器7の内部において、線量が1mSv/h以下の位置に設けられる。
本実施形態では、荷電粒子であるミュオンμを用いて原子炉容器6の内部を監視する。ミュオンμは、主に宇宙線として存在する。ミュオンμは、宇宙から地球に入射する一次宇宙線が地球の大気と反応することにより生じる二次宇宙線の一種である。ミュオンμは、正または負の電荷を持ち、平均3~4GeVの高いエネルギーを持つため、高い透過力を有する。また、ミュオンμは、加速器を用いて人工的に発生させることもできる。
このミュオンμの透過力を利用して構造物内を透視する技術がある。ミュオンμを用いて構造物の内部をイメージング(画像化)する方法として、ミュオンμの粒子束の減衰を測定する透過法、ミュオンμのクーロン多重散乱角を測定する散乱法が知られている。また、散乱法においては、クーロン多重散乱によるミュオンμの軌跡の変位を測定する変位法も知られている。
ミュオン散乱法では、ミュオンの衝突した原子の原子番号によってミュオンの散乱角が異なることを利用する。具体的には、測定対象となる物をミュオン測定装置23で挟み、ミュオンの軌跡を評価することで散乱位置の物質の原子番号を測定する。ミュオン散乱法では、物質の放射長を測定する事で原子番号Zを判別する。放射長とは、粒子が物質中を通過する際に、エネルギーが1/eに減少するまでに通過する平均距離であり、物質ごとに固有の値である。そして、放射長は、以下の数式1に示すように、原子番号Zの関数となる。ここで、Xは放射長[m]、dは密度[g・cm-3]、Aは質量数、Zは原子番号である。
Figure 0007140621000001
ミュオン散乱法は、ミュオンμの軌跡に基づいて、ミュオンμの散乱角を測定することで、原子番号に関する情報が得られる。そのため、ミュオンμが散乱する原因となった対象物が、ウランまたはプルトニウムなどの核燃料物質かそれ以外の物質かを判別することができる。この特性を利用して、炉心5の内部に予定した核燃料が装荷されているか否かの確認を行うことができる。また、使用しないはずのブランケット領域に核燃料が装荷されている場合、または原子炉容器6内に隠された核燃料が配置されている場合に、その検出を行うことができる。さらに、ステンレス鋼などの非核物質で構成される原子炉容器6の炉内構造物に関しても、その配置に異常がないか、または大きな破損が無いかなどの状況を確認することができる。
ミュオン散乱法を用いることで、液体金属ナトリウムのような不透明な冷却材で原子炉容器6が満たされている場合であっても、原子炉容器6の内部の3次元的な構造データを得ることができる。また、原子炉容器6の内部の3次元的な画像を得ることができる。本実施形態では、原子炉容器6の内部に監視用の装置を入れる必要がなく、かつ、原子炉の停止中または運転中を問わずに、原子炉容器6の内部を監視することができる。
図1に示すように、複数のミュオン測定装置23は、原子炉容器6の上部、側部、下部に設けられている。つまり、複数のミュオン測定装置23が原子炉容器6の周囲を囲むように配置される。模式的には、複数のミュオン測定装置23が原子炉容器6を挟むように配置されている。なお、複数のミュオン測定装置23が、原子炉容器6とその周囲の生体遮蔽部22を挟むように配置されている。つまり、原子炉容器6をコンクリート壁越しに挟むようにしても良い。
ミュオン散乱法では、原子炉容器6に対するミュオンμの入射角度と出射角度を特定する必要がある。なお、宇宙線であるミュオンμは、主に上空から飛来する。本実施形態では、原子炉容器6の上部に設けられたミュオン測定装置23を通過したミュオンμが、原子炉容器6を通過した後、側部または下部のミュオン測定装置23を通過するようになる。
なお、原子炉容器6の内部の物質に当たったミュオンμは、その進行角度を変化させる。この進行角度の変化を散乱と称し、変化前と変化後の進行方向の角度の変化を散乱角と称する。この散乱角は、ミュオンμが当たった物質により異なる。そのため、原子炉容器6に入射されるミュオンμの入射角度と、原子炉容器6から出射されるミュオンμの出射角度とを比較して、原子炉容器6の内部の3次元的な情報を得ることができる。
ミュオン測定装置23は、平板状または直方体の箱状を成す装置である。図1では、原子炉容器6の上部および側部に設けられるミュオン測定装置23が縦置きとされ、原子炉容器6の下部に設けられるミュオン測定装置23が横置きとされているが、その他の配置でも良い。例えば、原子炉容器6の上部に設けられるミュオン測定装置23を横置きにしても良い。
図2に示すように、ミュオン測定装置23は、複数本のドリフトチューブ24を備える。ドリフトチューブ24は、アルミニウムの筒で構成される検出器である。このドリフトチューブ24の内部が所定のガスで満たされる。そして、このガス中をミュオンμが通過するときに、ガスが電離され、そのとき生じる電子を芯線で電気信号として検出する。
複数本のドリフトチューブ24が同方向に並んで1層のチューブユニット25が形成される。1層のチューブユニット25には、ドリフトチューブ24が2列に並んで配置される。そして、このチューブユニット25が12層重なることで、1つのミュオン測定装置23が形成される。
隣接するチューブユニット25において、それぞれのドリフトチューブ24が延びる方向が互いに直角になるように配置される。つまり、平面視において、横方向に延びるドリフトチューブ24を備えるチューブユニット25の上に、縦方向に延びるドリフトチューブ24を備えるチューブユニット25が重なる。そして、横方向に延びるドリフトチューブ24を備えるチューブユニット25と、縦方向に延びるドリフトチューブ24を備えるチューブユニット25とが交互に重なってミュオン測定装置23が形成される。
ミュオン測定装置23をミュオンμが通過すると、通過したドリフトチューブ24で電気信号が検出される。複数のドリフトチューブ24で検出された電気信号に基づいて、ミュオンμの軌跡(通過角度)を特定することができる。
図3は、第1実施形態の原子炉施設1を模式化した図である。格納容器7の内部には、原子炉容器6が配置される。原子炉容器6は、炉心5を収容する円筒形状を成す容器である。炉心5は、液体金属ナトリウムから成る冷却材の液面26以下の部分に配置される。この炉心5には、核燃料を収容する燃料集合体27が配置される。また、特に図示はしないが、原子炉容器6の内部には、燃料集合体27を支持する支持部材、各種計測装置を支持する計装管などの様々な炉内構造物が設けられている。
原子炉容器6の上部、側部、下部に配置された4つのミュオン測定装置23が設けられる。第1実施形態では、原子炉容器6を挟むように設けられる少なくとも2つで1組のミュオン測定装置23があれば良い。なお、1組のミュオン測定装置23が原子炉容器6を挟む方向は、原子炉容器6の上下方向でも良いし、径方向でも良い。また、ミュオン測定装置23が原子炉容器6の周囲を取り囲んでも良い。
原子炉容器6に対してミュオンμが入射され、反対の箇所から出射されたときに、一方のミュオン測定装置23によりミュオンμの入射角度が測定され、他方のミュオン測定装置23によりミュオンμの出射角度が測定される。
なお、複数のミュオン測定装置23は、それぞれ同一構成を成す。第1実施形態では、ミュオンμの入射角度を測定したミュオン測定装置23が入射特定部となり、ミュオンμの出射角度を測定したミュオン測定装置23が出射特定部となる。ミュオンμが飛来する方向によって、所定のミュオン測定装置23が入射特定部となる場合もあるし、出射特定部となる場合もある。
宇宙線であるミュオンμは、主に上空から飛来するので、以下の説明では、原子炉容器6の上部に設けられたミュオン測定装置23を入射特定部とし、これ以外のミュオン測定装置23を出射特定部として説明する。
なお、ミュオン測定装置23は、必ずしも原子炉容器6の内部の全体を把握するために設ける必要はない。例えば、監視対象となる領域である炉心5を通過するミュオンμの軌跡を測定可能な位置のみにミュオン測定装置23を配置しても良い。つまり、監視対象となる目標を通過するミュオンμを測定可能な範囲にミュオン測定装置23を配置しても良い。本実施形態では、冷却材の液面26以下に配置される炉心5を監視対象領域として予め設定する。
また、原子炉容器6の内部の監視を行う前、または原子炉施設1の実際の運転を開始する前に、正常な状態の原子炉容器6を通過するミュオンμの軌跡を測定する。そして、正常な状態の原子炉容器6の内部の3次元的な構造データを予め取得する。そして、原子炉施設1の実際の運転を開始し、その監視を行うときに、予め取得した原子炉容器6の内部の状況と、監視時に取得した原子炉容器6の内部の状況とを比較して、原子炉容器6の内部の異常の有無を解析するようにしている。つまり、冷却材が不透明な場合でも冷却材の液面26以下に配置される炉心5の状況を把握することができる。
次に、原子炉施設1のシステム構成を図4に示すブロック図を参照して説明する。原子炉施設1のシステムは、複数のミュオン測定装置23と、それぞれのミュオン測定装置23により特定されるミュオンμの軌跡を示す情報を送る情報送信部28と、これら情報送信部28から送信された情報に基づいて原子炉容器6の内部を監視する監視装置20とを備える。
監視装置20は、情報送信部28から情報を受信する情報受信部29と、この受信した情報に含まれるミュオンμの測定信号を読み取る測定回路部30と、ミュオンμの測定時刻を同期させる時刻同期部31と、測定信号からミュオンμの軌跡を解析する軌跡解析部32と、解析された軌跡からミュオン散乱角を解析する散乱解析部33と、ミュオン散乱角から測定対象となる原子炉容器6の内部の構造情報を解析する構造解析部34とを備える。
さらに、監視装置20は、正常時の原子炉容器6の内部の状況を事前に評価する事前評価部35と、事前に評価された情報を登録する設定登録部36と、原子炉容器6の内部の監視対象となる領域を特定する領域特定部37と、この監視対象となる領域で測定されるミュオン散乱値を集計する散乱値集計部38と、予め評価された領域のミュオン散乱値と測定されたミュオン散乱値を比較し、監視時に測定されたミュオン散乱値が変化したか否かを判定する散乱値判定部39と、測定されたミュオン散乱値の変化が判定された場合に所定の報知情報を出力する報知出力部40と、監視装置20の各部を統括して制御する主制御部41を備える。監視装置20の各部は、メモリまたはHDDに記憶されたプログラムがCPUによって実行されることで実現される。
本実施形態の監視装置20は、CPU、ROM、RAM、HDDなどのハードウェア資源を有し、CPUが各種プログラムを実行することで、ソフトウェアによる情報処理がハードウェア資源を用いて実現されるコンピュータで構成される。さらに、本実施形態の原子炉施設の監視方法は、プログラムをコンピュータに実行させることで実現される。
報知出力部40は、通知情報を表示するディスプレイで構成される。また、報知出力部40は、音声で通知情報を報知するスピーカでも良いし、遠隔地に通知情報を送信する送信装置でも良いし、通知情報を記憶媒体に記憶する記憶装置でも良い。
次に、原子炉施設1が実行する監視方法について図5のフローチャートを用いて説明する。なお、図4に示すブロック図を適宜参照する。また、監視装置20が他のメイン処理を実行中に、この処理を割り込ませて実行しても良い。
まず、ステップS11において、監視装置20の主制御部41は、正常時の原子炉容器6の内部の状況を事前に評価する事前評価を開始する。
次のステップS12において、入射特定部としてのミュオン測定装置23が、原子炉容器6が正常である時に、この原子炉容器6に入射したミュオンμの入射状態を特定する。なお、ミュオンμの入射状態とは、ミュオンμの入射方向、入射角度、入射量、または入射回数などの状態を示す。
次のステップS13において、出射特定部としてのミュオン測定装置23が、原子炉容器6が正常である時に、この原子炉容器6から出射したミュオンμの出射状態を特定する。なお、ミュオンμの出射状態とは、ミュオンμの出射方向、出射角度、出射量、または出射回数などの状態を示す。
ここで、それぞれのミュオン測定装置23は、情報送信部28を用いてミュオンμの状態を特定する情報を監視装置20に送信する。そして、監視装置20の測定回路部30は、情報受信部29により受信した情報に含まれるミュオンμの測定信号を読み取る。なお、ミュオンμの測定信号の読取時刻は、時刻同期部31により同期される。つまり、一定の時間間隔でミュオンμの軌跡が測定される。
また、軌跡解析部32は、ミュオンμの軌跡を解析し、ミュオンμの入射状態および出射状態を取得する。さらに、散乱解析部33によりミュオン散乱角が解析され、構造解析部34により原子炉容器6の内部の構造情報が解析される。
次のステップS14において、事前評価部35は、原子炉容器6が正常である時に、取得した正常な状態の原子炉容器6の内部の3次元的な構造データに基づいて、監視対象領域である炉心5の事前評価を行う。
次のステップS15において、事前評価部35は、炉心5にて散乱したミュオンμの散乱値に基づいて、炉心5の領域の放射長Mを評価する。そして、この評価された正常時の炉心5に基づく放射長Mを含む情報を設定登録部36に登録する。
なお、監視装置20は、正常時の炉心5に基づく放射長Mと監視時の炉心5に基づく放射長M’との放射長変化割合M’/Mが、一定の範囲内にあるときに正常であると判定する。つまり、設定登録部36には、放射長変化割合M’/Mの判定に用いる下限閾値Aと上限閾値Bとが設定される。
次のステップS16において、監視装置20の主制御部41は、原子炉容器6の内部の状況の監視を開始する。
次のステップS17において、入射特定部としてのミュオン測定装置23が、監視時の原子炉容器6に入射したミュオンμの入射状態を特定する。
次のステップS18において、出射特定部としてのミュオン測定装置23が、監視時の原子炉容器6から出射したミュオンμの出射状態を特定する。
次のステップS19において、それぞれのミュオン測定装置23は、情報送信部28を用いてミュオンμの状態を特定する情報を監視装置20に送信する。
次のステップS20において、監視装置20の測定回路部30は、情報受信部29により受信した情報に含まれるミュオンμの測定信号を読み取る。そして、軌跡解析部32は、ミュオンμの軌跡を解析し、ミュオンμの入射状態および出射状態を取得する。さらに、散乱解析部33によりミュオン散乱角が解析され、構造解析部34により原子炉容器6の内部の構造情報が解析される。
ここで、監視時に取得した原子炉容器6の内部の3次元的な構造データに基づいて、監視対象領域である炉心5の評価を行う。領域特定部37は、原子炉容器6の内部の監視対象となる炉心5の領域を特定する。そして、散乱値集計部38は、監視対象となる領域で測定されるミュオン散乱値を集計し、炉心5にて散乱したミュオンμの散乱値に基づいて、炉心5の領域の放射長M’を取得する。
次のステップS21において、散乱値判定部39は、正常時の炉心5に基づく放射長Mと監視時の炉心5に基づく放射長M’との放射長変化割合M’/Mが、一定の範囲内にあるか否かを判定する。つまり、放射長変化割合M’/Mが、下限閾値A未満か否か、または上限閾値Bを超えている否かを判定する。
ここで、放射長変化割合M’/Mが、一定の範囲内にない場合(ステップS21がNO)は、前述のステップS17に戻る。一方、放射長変化割合M’/Mが、一定の範囲内にある場合(ステップS21がYES)は、ステップS22に進む。
次のステップS22において、報知出力部40は、所定の報知情報を出力する。そして、処理を終了する。なお、処理を終了せずに、前述のステップS17に戻るようにしても良い。
図3に示すように、本実施形態では、意図しない位置に燃料集合体27Aが装荷されていないかを監視することができる。つまり、設計情報または装荷計画に無い燃料集合体27の有無を監視することができる。また、不正に燃料集合体27Bの抜き取りが行われていないかを監視することができる。また、原子炉容器6の内部に異物42が混入していないかを監視することができる。また、原子炉容器6に設置された炉内構造物に大きな破損はないかを監視することができる。このような計画外の燃料集合体27の移動または取り出しを短時間(数分から数十分程度)で検出することができる。
また、本実施形態では、原子炉容器6の内部の状況を三次元的または俯瞰的に把握することができる。また、原子炉容器6の内部の全体像を三次元的または俯瞰的に把握し、その後の点検時または燃料交換時に、超音波装置を原子炉容器6の内部に導入して、狭い範囲の詳細な画像を取得するようにしても良い。
また、入射特定部および出射特定部が、ミュオンμが通過する軌跡を測定可能なミュオン測定装置23から成ることで、自然界に存在する宇宙線のミュオンμの入射状態および出射状態により特定することができる。また、加速器または大電力を消費する装置を用いずに、簡素な装置構成により、原子炉容器6の内部を監視することができる。
また、少なくとも出射特定部としてのミュオン測定装置23が、原子炉建屋2の内部の線量が1mSv/h以下の位置に設けられることで、放射線によるノイズの影響を除去し、高い精度で原子炉容器6の内部を監視することができる。
また、監視対象領域である炉心5の予め評価されたミュオン散乱値と、監視時に測定されたミュオン散乱値とを比較し、監視時のミュオン散乱値が変化したか否かを判定する散乱値判定部39を備えることで、ミュオン散乱法を用いて高い精度で原子炉容器6の内部の状況を把握することができる。
また、原子炉建屋2の内部の状況を常時監視できるので、核物質の拡散防止、または原子炉の安全確保に資することができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態の原子炉施設1について図6を用いて説明する。なお、前述した実施形態に示される構成部分と同一構成部分については同一符号を付して重複する説明を省略する。
前述の第1実施形態では、正常時の原子炉容器6の内部の状況を事前に評価する際に、正常時の原子炉容器6を通過したミュオンμの軌跡を解析するようにしているが、第2実施形態では、事前評価の際にミュオンμの軌跡の解析を行わない。その替りに、原子炉容器6のCADデータなどの設計情報に基づいて、原子炉容器6を通過したミュオンμの軌跡のシミュレーションを行うようにしている。
図6は、第2実施形態の原子炉施設の監視方法を示すフローチャートである。なお、図4に示すブロック図を適宜参照する。また、監視装置20が他のメイン処理を実行中に、この処理を割り込ませて実行しても良い。この原子炉施設の監視方法では、ステップS11、およびステップS16からステップS22が、第1実施形態の原子炉施設の監視方法(図5参照)と同様のステップであり、それ以外のステップが第1実施形態と異なる。
図6に示すように、ステップS11の次に進むステップS12Aにおいて、監視装置20の事前評価部35に原子炉容器6のCADデータなどの設計情報を読み込ませる。
次のステップS13Aにおいて、事前評価部35は、設計情報に基づいて、正常な状態の原子炉容器6の内部の3次元的な構造モデルを生成する。そして、この構造モデルにおける炉心5を監視対象領域として設定する。
次のステップS14Aにおいて、事前評価部35は、正常な状態の原子炉容器6を通過したミュオンμの軌跡のシミュレーションを行う。特に、監視対象領域としての炉心5を通過するミュオンμの軌跡のシミュレーションを行う。
次のステップS15Aにおいて、正常な状態の原子炉容器6を通過したミュオンμの予測される散乱値に基づいて、炉心5の領域の透過率Nを評価する。そして、この評価された正常時の炉心5に基づく透過率Nを含む情報を設定登録部36に登録する。その後、ステップS16に進む。
第2実施形態では、原子炉容器6のCADデータなどの設計情報に基づいて、正常な状態の原子炉容器6の事前評価を行うことができるので、ミュオン測定装置23を設置する前に予め設定登録部36に各種情報を登録することができる。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態の原子炉施設1Aについて図7から図8を用いて説明する。なお、前述した実施形態に示される構成部分と同一構成部分については同一符号を付して重複する説明を省略する。
前述の第1実施形態では、ミュオンμの散乱角に基づく放射長を用いて原子炉容器6の内部の状況を評価しているいが、第3実施形態では、ミュオンμの透過率を用いて原子炉容器6の内部の状況を評価する。
図7に示すように、第3実施形態の監視装置20には、第1実施形態の散乱解析部33(図4参照)の替りに透過解析部33Aが設けられる。また、第1実施形態の散乱値集計部38(図4参照)の替りに透過率集計部38Aが設けられる。また、第1実施形態の散乱値判定部39(図4参照)の替りに透過率判定部39Aが設けられる。
透過解析部33Aは、軌跡解析部32により解析された軌跡からミュオン透過率を解析する。透過率集計部38Aは、監視対象となる領域で測定されるミュオン透過率を集計する。透過率判定部39Aは、予め評価された領域のミュオン透過率と測定されたミュオン透過率を比較し、監視時に測定されたミュオン透過率が変化したか否かを判定する。
図8は、第3実施形態の原子炉施設の監視方法を示すフローチャートである。なお、図7に示すブロック図を適宜参照する。また、監視装置20が他のメイン処理を実行中に、この処理を割り込ませて実行しても良い。この原子炉施設の監視方法では、ステップS11からステップS14、ステップS16からステップS19、およびステップS22が、第1実施形態の原子炉施設の監視方法(図5参照)と同様のステップであり、それ以外のステップが第1実施形態と異なる。
図8に示すように、ステップS14の次に進むステップS15Bにおいて、正常な状態の原子炉容器6を通過したミュオンμの予測される透過率に基づいて、炉心5の領域の透過率Nを評価する。そして、この評価された正常時の炉心5に基づく透過率Nを含む情報を設定登録部36に登録する。
なお、監視装置20は、正常時の炉心5に基づく透過率Nと監視時の炉心5に基づく透過率N’との透過率変化割合N’/Nが、一定の範囲内にあるときに正常であると判定する。つまり、設定登録部36には、透過率変化割合N’/Nの判定に用いる下限閾値Cと上限閾値Dとが設定される。その後、ステップS16に進む。
また、ステップS20Bにおいて、監視装置20の測定回路部30は、情報受信部29により受信した情報に含まれるミュオンμの測定信号を読み取る。そして、軌跡解析部32は、ミュオンμの軌跡を解析し、ミュオンμの入射状態および出射状態を取得する。さらに、透過解析部33Aによりミュオン透過率が解析され、構造解析部34により原子炉容器6の内部の構造情報が解析される。
ここで、監視時に取得した原子炉容器6の内部の3次元的な構造データに基づいて、監視対象領域である炉心5の評価を行う。領域特定部37は、原子炉容器6の内部の監視対象となる炉心5の領域を特定する。そして、透過率集計部38Aは、監視対象となる領域で測定されるミュオン透過率を集計し、炉心5にて透過したミュオンμの透過率に基づいて、炉心5の領域の透過率N’を取得する。
次のステップS21Bにおいて、透過率判定部39Aは、正常時の炉心5に基づく透過率Nと監視時の炉心5に基づく透過率N’との透過率変化割合N’/Nが、一定の範囲内にあるか否かを判定する。つまり、透過率変化割合N’/Nが、下限閾値C未満か否か、または上限閾値Dを超えている否かを判定する。
ここで、透過率変化割合N’/Nが、一定の範囲内にない場合(ステップS21BがNO)は、前述のステップS17に戻る。一方、透過率変化割合N’/Nが、一定の範囲内にある場合(ステップS21BがYES)は、ステップS22に進む。
第3実施形態では、ミュオン透過法を用いて高い精度で原子炉容器6の内部の状況を把握することができる。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態の原子炉施設1Bについて図9から図10を用いて説明する。なお、前述した実施形態に示される構成部分と同一構成部分については同一符号を付して重複する説明を省略する。
前述の第1実施形態では、主に宇宙線として存在するミュオンμを用いて原子炉容器6の内部を監視しているが、第4実施形態では、加速器としてのミュオン発射装置43を用いてミュオンμを原子炉容器6に向けて発射し、このミュオンμを用いて原子炉容器6の内部を監視する。
図9に示すように、ミュオン発射装置43は、ミュオン発生源44と、このミュオン発生源44から格納容器7の上部まで延びる真空ダクト45と、ミュオンμを真空ダクト45に沿って輸送するための輸送電磁石46と、ミュオンμの発射方向を制御するスキャニング電磁石47とを備える。なお、スキャニング電磁石47は、監視対象となる領域である炉心5をミュオンμが通過するように発射方向を制御する。
第4実施形態では、ミュオン発射装置43が、格納容器7の上部から原子炉容器6に向けてミュオンμを発射する。そして、このミュオン発射装置43が入射特定部を構成する。そのため、第4実施形態では、原子炉容器6の上部、つまり、ミュオンμの入射側においてミュオン測定装置23の配置が省略されている。
第4実施形態では、ミュオン発射装置43が入射特定部を構成しているので、入射特定部により特定される情報、つまり、ミュオンμの入射状態が、ミュオンμが原子炉容器6に入射される前に決定されたものとなっている。
図10に示すように、監視装置20は、ミュオン発射装置43を制御する発射制御部48を備える。また、時刻同期部31は、ミュオン発射装置43によるミュオンμの発射時刻とミュオン測定装置23によるミュオンμの測定時刻とを同期させる。また、発射制御部48からミュオンμの発射状態、つまり、ミュオンμの入射状態が軌跡解析部32に入力される。この軌跡解析部32は、ミュオンμの発射状態に関する発射信号と、ミュオン測定装置23から送られる測定信号とに基づいて、ミュオンμの軌跡を解析する。
第4実施形態では、入射特定部がミュオン発射装置43から成ることで、単位時間単位面積あたりに飛翔するミュオンμの量を人工的に増やすことができる。そのため、宇宙線のミュオンμを用いるよりも多くのミュオンμを用いることができるので、高い精度で原子炉容器6の内部を監視することができる。また、ミュオンμの入射状態を特定する処理を容易に行うことができる。
また、格納容器7の上部側の空間は、躯体21のような構造物の配置が少なくなっている。そのため、ミュオン発射装置43を用いて格納容器7の上部から原子炉容器6に向けてミュオンμを発射することで、構造物の影響を低減させて、より多くのミュオンμを原子炉容器6に入射させることができる。
なお、第4実施形態では、ミュオンμの入射側においてミュオン測定装置23の配置が省略されているが、ミュオンμの入射側にもミュオン測定装置23を設けるようにしても良い。そして、入射側のミュオン測定装置23を用いてミュオンμの入射状態を特定するようにしても良い。
なお、第4実施形態の原子炉施設の監視方法は、図5のフローチャートにおいて、ステップS12およびステップS17の処理が異なり、他のステップは同様の処理である。
第4実施形態の原子炉施設の監視方法では、図5のフローチャートのステップS12およびステップS17において、入射特定部としてのミュオン発射装置43が、原子炉容器6に入射されるミュオンμの入射状態を特定するようになっている。
(第5実施形態)
次に、第5実施形態の原子炉施設1Cについて図11を用いて説明する。なお、前述した実施形態に示される構成部分と同一構成部分については同一符号を付して重複する説明を省略する。
図11に示すように、第5実施形態では、ミュオン発射装置43を用いて格納容器7の側部からミュオンμを入射させる。このようにすれば、主に上空から飛来する宇宙線であるミュオンμの入射状態と、ミュオン発射装置43から発射されるミュオンμの入射状態とを区別することができる。そのため、ミュオン発射装置43から発射されるミュオンμによる精度の高い監視を行うことができる。
(第6実施形態)
次に、第6実施形態の原子炉施設1Dについて図12を用いて説明する。なお、前述した実施形態に示される構成部分と同一構成部分については同一符号を付して重複する説明を省略する。
図12に示すように、第6実施形態では、複数のミュオン発射装置43が設けられている。そして、それぞれのミュオン発射装置43から発射されるミュオンμの軌跡が原子炉容器6の内部、特に炉心5の部分で交差するようになっている。
第6実施形態では、それぞれのミュオン発射装置43から入射されるミュオンμの軌跡が交差することで、より分解能を高めて精度の良い測定を行うことができる。
本実施形態に係る原子炉施設を第1実施形態から第6実施形態に基づいて説明したが、いずれか1の実施形態において適用された構成を他の実施形態に適用しても良いし、各実施形態において適用された構成を組み合わせても良い。
なお、本実施形態において、基準値(閾値)を用いた任意の値(変化割合)の判定は、「任意の値が基準値以上か否か」の判定でも良いし、「任意の値が基準値を超えているか否か」の判定でも良い。或いは、「任意の値が基準値以下か否か」の判定でも良いし、「任意の値が基準値未満か否か」の判定でも良い。また、基準値が固定されるものでなく、変化するものであっても良い。従って、基準値の代わりに所定範囲の値を用い、任意の値が所定範囲に収まるか否かの判定を行っても良い。また、予め装置に生じる誤差を解析し、基準値を中心として誤差範囲を含めた所定範囲を判定に用いても良い。
なお、本実施形態のフローチャートにおいて、各ステップが直列に実行される形態を例示しているが、必ずしも各ステップの前後関係が固定されるものでなく、一部のステップの前後関係が入れ替わっても良い。また、一部のステップが他のステップと並列に実行されても良い。
本実施形態の監視装置20は、専用のチップ、FPGA(Field Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)、またはCPU(Central Processing Unit)などのプロセッサを高集積化させた制御装置と、ROM(Read Only Memory)またはRAM(Random Access Memory)などの記憶装置と、HDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)などの外部記憶装置と、ディスプレイなどの表示装置と、マウスまたはキーボードなどの入力装置と、通信インターフェースとを備える。この監視装置20は、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成で実現できる。
なお、本実施形態の監視装置20で実行されるプログラムは、ROMなどに予め組み込んで提供される。もしくは、このプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、メモリカード、DVD、フレキシブルディスク(FD)などのコンピュータで読み取り可能な非一過性の記憶媒体に記憶されて提供するようにしても良い。
また、この監視装置20で実行されるプログラムは、インターネットなどのネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせて提供するようにしても良い。また、この監視装置20は、構成要素の各機能を独立して発揮する別々のモジュールを、ネットワークまたは専用線で相互に接続し、組み合わせて構成することもできる。
なお、本実施形態では、監視装置20が原子炉建屋2に近接するタービン建屋3の内部の中央制御室19に設けられているが、その他の形態であっても良い。例えば、原子炉施設1が、原子炉建屋2と、遠隔地に設けられる所定の建屋とを備えても良い。そして、この所定の建屋に監視装置が設けられても良い。
なお、本実施形態では、冷却材として液体金属を用いる原子炉施設1を例示しているが、その他の原子力施設でも良い。例えば、冷却材として水を用いる沸騰水型原子炉または加圧水型原子炉を備える原子力施設に本実施形態を適用しても良い。これらの原子力施設にミュオンを用いた監視装置20を用いることで、原子炉が運転中であっても炉心の状況を把握することができる。
なお、本実施形態では、液体金属としてナトリウムを例示しているが、その他の液体金属でも良い。例えば、液体金属が鉛ビスマスでも良い。
なお、本実施形態では、ミュオン測定装置23が格納容器7の内部に設けられているが、原子炉建屋の内部の線量が1mSv/h以下になる位置であれば、格納容器7の外部にミュオン測定装置23が設けられても良い。
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、原子炉容器から出射されるミュオンの出射状態を特定する出射特定部を備えることにより、液体金属が収容される原子炉容器の内部を監視することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1(1A~1D)…原子炉施設、2…原子炉建屋、3…タービン建屋、4…外壁、5…炉心、6…原子炉容器、7…格納容器、8…制御棒、9…中間熱交換器、10…1次循環ポンプ、11…蒸気発生器、12…2次循環ポンプ、13…タービン、14…発電機、15…復水器、16…給水ポンプ、17…水冷却部、18…水循環ポンプ、19…中央制御室、20…監視装置、21…躯体、22…生体遮蔽部、23…ミュオン測定装置、24…ドリフトチューブ、25…チューブユニット、26…液面、27(27A,27B)…燃料集合体、28…情報送信部、29…情報受信部、30…測定回路部、31…時刻同期部、32…軌跡解析部、33…散乱解析部、33A…透過解析部、34…構造解析部、35…事前評価部、36…設定登録部、37…領域特定部、38…散乱値集計部、38A…透過率集計部、39…散乱値判定部、39A…透過率判定部、40…報知出力部、41…主制御部、42…異物、43…ミュオン発射装置、44…ミュオン発生源、45…真空ダクト、46…輸送電磁石、47…スキャニング電磁石、48…発射制御部、μ…ミュオン。

Claims (9)

  1. 核燃料を冷却する冷却材としての液体金属が収容される原子炉容器に入射されるミュオンの入射状態を特定する入射特定部と、
    前記入射特定部により前記入射状態が特定され、かつ前記原子炉容器から出射される前記ミュオンの出射状態を特定する出射特定部と、
    前記入射状態と前記出射状態とに基づいて前記原子炉容器の内部を監視する監視装置に少なくとも前記出射特定部により特定された情報を送る情報送信部と、
    を備え
    少なくとも前記出射特定部は、前記ミュオンが通過する軌跡を測定可能なミュオン測定装置から成り、
    前記入射特定部は、前記ミュオンを前記原子炉容器に向けて発射するミュオン発射装置から成り、
    複数の前記ミュオン発射装置が設けられ、それぞれの前記ミュオン発射装置から発射される前記ミュオンの軌跡が前記原子炉容器の内部で交差する、
    原子炉施設。
  2. 核燃料を冷却する冷却材としての液体金属が収容される原子炉容器に入射されるミュオンの入射状態を特定する入射特定部と、
    前記入射特定部により前記入射状態が特定され、かつ前記原子炉容器から出射される前記ミュオンの出射状態を特定する出射特定部と、
    前記入射状態と前記出射状態とに基づいて前記原子炉容器の内部を監視する監視装置に少なくとも前記出射特定部により特定された情報を送る情報送信部と、
    を備え、
    前記監視装置は、
    前記情報送信部から送られた情報に基づいて、監視対象となる領域で測定されるミュオン散乱値を集計する散乱値集計部と、
    予め評価された前記領域のミュオン散乱値と前記測定されたミュオン散乱値を比較し、前記測定されたミュオン散乱値が変化したか否かを判定する散乱値判定部と、
    前記測定されたミュオン散乱値の変化が判定された場合に通知を出力する出力部と、
    を備える、
    原子炉施設。
  3. 核燃料を冷却する冷却材としての液体金属が収容される原子炉容器に入射されるミュオンの入射状態を特定する入射特定部と、
    前記入射特定部により前記入射状態が特定され、かつ前記原子炉容器から出射される前記ミュオンの出射状態を特定する出射特定部と、
    前記入射状態と前記出射状態とに基づいて前記原子炉容器の内部を監視する監視装置に少なくとも前記出射特定部により特定された情報を送る情報送信部と、
    を備え、
    前記監視装置は、
    前記情報送信部から送られた情報に基づいて、監視対象となる領域で測定されるミュオン透過率を集計する透過率集計部と、
    予め評価された前記領域のミュオン透過率と前記測定されたミュオン透過率を比較し、前記測定されたミュオン透過率が変化したか否かを判定する透過率判定部と、
    前記測定されたミュオン透過率の変化が判定された場合に通知を出力する出力部と、
    を備える、
    原子炉施設。
  4. 少なくとも前記出射特定部は、前記ミュオンが通過する軌跡を測定可能なミュオン測定装置から成る請求項2または請求項3に記載の原子炉施設。
  5. 前記入射特定部は、前記ミュオンが通過する軌跡を測定可能なミュオン測定装置から成る請求項に記載の原子炉施設。
  6. 前記入射特定部は、前記ミュオンを前記原子炉容器に向けて発射するミュオン発射装置から成る請求項に記載の原子炉施設。
  7. 複数の前記ミュオン発射装置が設けられ、それぞれの前記ミュオン発射装置から発射される前記ミュオンの軌跡が前記原子炉容器の内部で交差する請求項に記載の原子炉施設。
  8. 少なくとも前記出射特定部は、前記原子炉容器が設けられる原子炉建屋の内部の線量が1mSv/h以下の位置に設けられる請求項1から請求項のいずれか1項に記載の原子炉施設。
  9. 核燃料を冷却する冷却材としての液体金属が収容される原子炉容器に入射されるミュオンの入射状態を入射特定部により特定するステップと、
    前記入射特定部により前記入射状態が特定され、かつ前記原子炉容器から出射される前記ミュオンの出射状態を出射特定部により特定するステップと、
    前記入射状態と前記出射状態とに基づいて前記原子炉容器の内部を監視する監視装置に少なくとも前記出射特定部により特定された情報を送るステップと、
    を含み、
    前記監視装置は、
    前記送られた情報に基づいて、監視対象となる領域で測定されるミュオン散乱値を集計し、
    予め評価された前記領域のミュオン散乱値と前記測定されたミュオン散乱値を比較し、前記測定されたミュオン散乱値が変化したか否かを判定し、
    前記測定されたミュオン散乱値の変化が判定された場合に通知を出力する、
    原子炉施設の監視方法。
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