以下、実施形態を図に基づいて説明する。
(第1実施形態)
<動力伝達システム>
先ず、図1に基づいて車両用動力装置300の適用される車載システム100を説明する。車載システム100はハイブリッドシステムを構成している。
車載システム100は車両用動力装置300の他にバッテリ200を有する。また車載システム100は図示しないエンジンと動力分配機構を有する。車両用動力装置300は電力変換装置400、モータ500、および、動力伝達機構600を有する。モータ500は第1MG501と第2MG502を有する。MGはmotor generatorの略である。
さらに車載システム100は図示しない複数のECUを有する。これら複数のECUはバス配線を介して相互に信号を送受信している。複数のECUは協調してハイブリッド自動車を制御している。複数のECUの協調制御により、バッテリ200のSOCに応じたモータ500の力行と発電(回生)、および、エンジンの出力などが制御される。SOCはstate of chargeの略である。ECUはelectronic control unitの略である。
なお、ECUは、少なくとも1つの演算処理装置(CPU)と、プログラムおよびデータを記憶する記憶媒体としての少なくとも1つのメモリ装置(MMR)と、を有する。ECUはコンピュータによって読み取り可能な記憶媒体を備えるマイクロコンピュータによって提供される。記憶媒体はコンピュータによって読み取り可能なプログラムを非一時的に格納する非遷移的実体的記憶媒体である。記憶媒体は半導体メモリまたは磁気ディスクなどによって提供され得る。以下、車載システム100の構成要素を個別に概説する。
バッテリ200は複数の二次電池を有する。これら複数の二次電池は直列接続された電池スタックを構成している。二次電池としてはリチウムイオン二次電池、ニッケル水素二次電池、および、有機ラジカル電池などを採用することができる。
二次電池は化学反応によって起電圧を生成する。二次電池は充電量が多すぎたり少なすぎたりすると劣化が促進する性質を有する。換言すれば、二次電池はSOCが過充電だったり過放電だったりすると劣化が促進する性質を有する。
バッテリ200のSOCは、上記の電池スタックのSOCに相当する。電池スタックのSOCは複数の二次電池のSOCの総和である。電池スタックのSOCの過充電や過放電は上記の協調制御により回避される。これに対して複数の二次電池それぞれのSOCの過充電や過放電は、複数の二次電池それぞれのSOCを均等化する均等化処理によって回避される。
均等化処理は複数の二次電池を個別に充放電することで成される。バッテリ200には、複数の二次電池を個別に充放電するためのスイッチを備える監視部が設けられている。またバッテリ200には、複数の二次電池それぞれのSOCを検出するための電圧センサ、電流センサ、および、温度センサなどが設けられている。ECUはこれらセンサの出力などに基づいてスイッチを開閉制御する。これにより複数の二次電池それぞれのSOCが均等化される。
第1MG501、第2MG502、および、エンジンそれぞれは動力分配機構に連結されている。第1MG501はエンジンから供給される回転エネルギーによって発電する。この発電によって発生した交流電力は、電力変換装置400によって直流電力に変換されるとともに降圧される。この直流電力がバッテリ200に供給される。また直流電力はハイブリッド自動車に搭載された各種電気負荷にも供給される。
第2MG502は動力伝達機構600に連結されている。第2MG502の回転エネルギーは動力伝達機構600を介して走行輪に伝達される。逆に、走行輪の回転エネルギーは動力伝達機構600を介して第2MG502に伝達される。
第2MG502は電力変換装置400から供給される交流電力によって力行する。この力行によって発生した回転エネルギーは、動力分配機構によってエンジンや動力伝達機構600に分配される。これによりクランクシャフトのクランキングや走行輪への推進力の付与が成される。また第2MG502は動力伝達機構600を介して走行輪から伝達される回転エネルギーによって回生する。この回生によって発生した交流電力は、電力変換装置400によって直流電力に変換されるとともに降圧される。この直流電力がバッテリ200や各種電気負荷に供給される。
エンジンは燃料を燃焼駆動することで回転エネルギーを生成する。この回転エネルギーが動力分配機構を介して第1MG501や第2MG502(動力伝達機構600)に分配される。これにより第1MG501の発電や走行輪への推進力の付与が成される。
動力分配機構は遊星歯車機構を有する。動力分配機構はサンギヤ、プラネタリーギヤ、プラネタリーキャリア、および、リングギヤを有する。
サンギヤとプラネタリーギヤそれぞれは円盤形状を成す。サンギヤとプラネタリーギヤそれぞれの円周面に複数の歯が周方向に並んで形成されている。
プラネタリーキャリアは環状を成す。プラネタリーキャリアとプラネタリーギヤそれぞれの平坦面が互いに対向する態様で、プラネタリーキャリアの平坦面に複数のプラネタリーギヤが連結されている。
複数のプラネタリーギヤはプラネタリーキャリアの回転中心を中心とする円周上に位置している。これら複数のプラネタリーギヤの隣接間隔は相等しくなっている。本実施形態では3つのプラネタリーギヤが120°間隔で並んでいる。
リングギヤは環状を成す。リングギヤの外周面と内周面それぞれに複数の歯が周方向に並んで形成されている。
サンギヤはリングギヤの中心に設けられている。サンギヤの外周面とリングギヤの内周面とが互いに対向している。両者の間に3つのプラネタリーギヤが設けられている。3つのプラネタリーギヤそれぞれの歯がサンギヤとリングギヤそれぞれの歯とかみ合わさっている。これにより、サンギヤ、プラネタリーギヤ、プラネタリーキャリア、および、リングギヤそれぞれの回転が相互に伝達可能になっている。
サンギヤに第1MG501のモータシャフト503が連結されている。プラネタリーキャリアにエンジンのクランクシャフトが連結されている。リングギヤに第2MG502のモータシャフト503が連結されている。これにより第1MG501、エンジン、および、第2MG502の回転数が共線図において直線の関係になっている。
上記したECUは車両に搭載された各種センサ信号の検出結果などに基づいて電力変換装置400の駆動を制御する。これにより電力変換装置400から第1MG501と第2MG502に交流電力が供給される。リングギヤとサンギヤにトルクが発生される。ECUはエンジンを燃焼駆動させる。これによりプラネタリーキャリアにトルクが発生される。こうすることで第1MG501の発電、第2MG502の力行と回生、および、走行輪への推進力の付与が行われる。以下、車両用動力装置300の構成要素を個別に説明する。
<電力変換装置の回路構成>
図1に示すように電力変換装置400はコンバータ410とインバータ420を備えている。コンバータ410は直流電力の電圧レベルを昇降圧する機能を果たす。インバータ420は直流電力を交流電力に変換する機能を果たす。インバータ420は交流電力を直流電力に変換する機能を果たす。
コンバータ410はバッテリ200の直流電力を第1MG501と第2MG502のトルク生成に適した電圧レベルに昇圧する。インバータ420はこの直流電力を交流電力に変換する。この交流電力が第1MG501と第2MG502に供給される。またインバータ420は第1MG501と第2MG502で生成された交流電力を直流電力に変換する。コンバータ410はこの直流電力をバッテリ200の充電に適した電圧レベルに降圧する。
図1に示すように電力変換装置400はコンバータ410とインバータ420それぞれとバッテリ200とを電気的に接続するための第1電力ライン401~第3電力ライン403を有する。コンバータ410はこれら3つの電力ラインそれぞれに接続されている。インバータ420は第2電力ライン402と第3電力ライン403に接続されている。
<コンバータ>
コンバータ410は、フィルタコンデンサ411、A相レグ412、B相レグ413、A相リアクトル414、および、B相リアクトル415を有する。
図1に示すようにフィルタコンデンサ411の有する2つの電極のうちの一方が第1電力ライン401に接続されている。フィルタコンデンサ411の有する2つの電極のうちの他方が第2電力ライン402に接続されている。
A相レグ412とB相レグ413それぞれは第3電力ライン403と第2電力ライン402との間で直列接続された2つのスイッチ素子を有する。これら2つのスイッチ素子それぞれにダイオードが逆並列接続されている。そして2つのスイッチ素子の間の中点に第1電力ライン401が接続されている。
図1に示すように第1電力ライン401の一端側がバッテリ200の正極との接続端子に連結されている。第1電力ライン401の他端側はA相バスバ405とB相バスバ406に分けられている。また第2電力ライン402の一端側はバッテリ200の負極との接続端子に連結されている。
A相レグ412の有する2つのスイッチ素子の間の中点に第1電力ライン401のA相バスバ405が接続されている。B相レグ413の有する2つのスイッチ素子の間の中点に第1電力ライン401のB相バスバ406が接続されている。そしてA相バスバ405にA相リアクトル414が接続されている。B相バスバ406にB相リアクトル415が接続されている。
<インバータ>
インバータ420は第1インバータ421と第2インバータ422を有する。第1インバータ421と第2インバータ422それぞれは平滑コンデンサ423と放電抵抗424を共有している。第1インバータ421はU相レグ425~W相レグ427を有する。第2インバータ422はX相レグ428~Z相レグ430を有する。
図1に示すように平滑コンデンサ423の有する2つの電極のうちの一方が第3電力ライン403に接続されている。平滑コンデンサ423の有する2つの電極のうちの他方が第2電力ライン402に接続されている。
放電抵抗424は第3電力ライン403と第2電力ライン402との間に接続されている。放電抵抗424は第3電力ライン403と第2電力ライン402との間で平滑コンデンサ423と並列接続されている。
U相レグ425~W相レグ427とX相レグ428~Z相レグ430それぞれは第3電力ライン403と第2電力ライン402との間で直列接続された2つのスイッチ素子を有する。これら2つのスイッチ素子それぞれにダイオードが逆並列接続されている。
U相レグ425の有する2つのスイッチ素子の間の中点にU相バスバ431の一端が接続されている。このU相バスバ431の他端が第1MG501のU相ステータコイルに接続されている。
以下同様にして、V相レグ426の有する2つのスイッチ素子の間の中点にV相バスバ432の一端が接続されている。このV相バスバ432の他端が第1MG501のV相ステータコイルに接続されている。
W相レグ427の有する2つのスイッチ素子の間の中点にW相バスバ433の一端が接続されている。このW相バスバ433の他端が第1MG501のW相ステータコイルに接続されている。
X相レグ428の有する2つのスイッチ素子の間の中点にX相バスバ434の一端が接続されている。このX相バスバ434の他端が第2MG502のU相ステータコイルに接続されている。
Y相レグ429の有する2つのスイッチ素子の間の中点にY相バスバ435の一端が接続されている。このY相バスバ435の他端が第2MG502のV相ステータコイルに接続されている。
Z相レグ430の有する2つのスイッチ素子の間の中点にZ相バスバ436の一端が接続されている。このZ相バスバ436の他端が第2MG502のW相ステータコイルに接続されている。
以上に示したコンバータ410とインバータ420に含まれる計8個の相レグそれぞれの備えるスイッチ素子としてはIGBTやパワーMOSFETなどを採用することができる。本実施形態ではこれらスイッチ素子としてnチャネル型のIGBTを採用している。各相レグの備える2つのスイッチ素子のうちの一方のエミッタ電極と他方のコレクタ電極とが接続されている。
これら各相レグのスイッチ素子は上記したECUと図示しないゲートドライバとによってPWM制御される。ECUは制御信号を生成し、それをゲートドライバに出力する。ゲートドライバは制御信号を増幅してスイッチ素子のゲート電極に出力する。これにより電力変換装置400は入力電力を昇降圧するとともに、直流から交流に、若しくは、交流から直流に変換する。
なおMOSFETにはボディダイオードが形成される。そのために各相レグの備えるスイッチ素子としてMOSFETを採用する場合、各相レグは上記のスイッチ素子とは別個にダイオードを有さなくともよい。
各相レグそれぞれの備えるスイッチ素子やダイオードなどの半導体素子の形成材料は特に限定されない。例えばこれら半導体素子は、Siなどの半導体、および、SiCなどのワイドギャップ半導体によって製造することができる。
<電力変換装置の機械的構成>
次に、電力変換装置400の機械的構成を説明する。それに当たって、以下においては互いに直交の関係にある3方向をx方向、y方向、および、z方向とする。x方向が所定方向に相当する。z方向が対向方向に相当する。
電力変換装置400はこれまでに説明した回路構成要素の他に、冷却器460、端子台470、および、第1ハウジング480を有する。冷却器460はコンバータ410とインバータ420に含まれる相レグを冷却する機能を果たす。端子台470は相バスバを第1ハウジング480に固定する機能を果たす。第1ハウジング480は図1に示す電力変換装置400の構成要素のうちのリアクトルを除く構成要素、および、冷却器460と端子台470を収納する機能を果たす。
<スイッチモジュール>
コンバータ410とインバータ420に含まれる計8個の相レグそれぞれの備える半導体素子は図2に示す封止樹脂440によって封止されている。これにより相レグはスイッチモジュールを構成している。
封止樹脂440はx方向の厚さの薄い扁平形状を成している。封止樹脂440はx方向に面する2つの主面を有する。これら2つの主面は他の面よりも面積が広くなっている。
封止樹脂440はz方向に面する2つの端面を有する。これら2つの端面それぞれから相レグの備える半導体素子の電極に一端側の連結された端子の他端側が露出されている。図2ではこれら複数の端子の代表として、コレクタ端子441、エミッタ端子442、および、中点端子443を示している。
コレクタ端子441は各相レグの備える2つのスイッチ素子のうちの一方のコレクタ電極に接続されている。このコレクタ端子441に第3電力ライン403が接続される。
エミッタ端子442は各相レグの備える2つのスイッチ素子のうちの他方のエミッタ電極に接続されている。このエミッタ端子442に第2電力ライン402が接続される。
中点端子443は各相レグの備える2つのスイッチ素子の間の中点に接続されている。この中点端子443に相バスバが接続される。
<冷却器>
図2に示すように冷却器460は供給管461、排出管462、および、複数の中継管463を有する。供給管461と排出管462は複数の中継管463を介して連結されている。供給管461に冷媒が供給される。この冷媒は複数の中継管463を介して供給管461から排出管462へと流れる。
供給管461と排出管462はx方向に延びている。供給管461と排出管462はy方向で離間している。複数の中継管463それぞれは供給管461から排出管462へと向かってy方向に沿って延びている。供給管461における外部から冷媒の供給される供給口と、排出管462における中継管463から供給された冷媒を外部に排出する排出口とはy方向で離間して並んでいる。
複数の中継管463はx方向で離間して並んでいる。隣り合う2つの中継管463の間に空隙が構成されている。冷却器460には計8個の空隙が構成されている。これら計8個の空隙それぞれにスイッチモジュールを構成するA相レグ412とB相レグ413、および、U相レグ425~Z相レグ430が個別に設けられている。本実施形態では、U相レグ425~W相レグ427、A相レグ412とB相レグ413、X相レグ428~Z相レグ430の順にx方向に並んでいる。x方向においてZ相レグ430が供給口側(排出口側)に位置している。
計8個の相レグそれぞれが上記の空隙に設けられた状態で、相レグそれぞれの封止樹脂440の主面が中継管463に接触している。これにより計8個の相レグそれぞれで発生した熱が中継管463を介して冷媒に放熱可能になっている。
<端子台>
図2に細分化して示すようにA相バスバ405とB相バスバ406、および、U相バスバ431~Z相バスバ436それぞれはインナーバスバ437とアウターバスバ438を有する。これらインナーバスバ437とアウターバスバ438が端子台470に固定されるとともに、端子台470で互いに電気的に接続されている。
端子台470は絶縁性の樹脂材料からなる。図2に示すように端子台470はx方向に延びた形状を成している。インナーバスバ437とアウターバスバ438は端子台470から互いに遠ざかるように延びている。
端子台470にインナーバスバ437の一部がインサート成形されている。これにより端子台470にインナーバスバ437が固定されている。また端子台470にアウターバスバ438がインナーバスバ437とともにボルト439によって固定されている。このボルト止めによってインナーバスバ437とアウターバスバ438とが端子台470で電気的に接続されている。なおインナーバスバ437は端子台470にインサート成形されていなくともよい。インナーバスバ437は例えば上記のボルト止めのみによって端子台470に固定されてもよい。
<相バスバ>
上記したように冷却器460においてU相レグ425~W相レグ427、A相レグ412とB相レグ413、X相レグ428~Z相レグ430がx方向に順に並んでいる。これら8個の相レグの並び順に応じて、8個の相バスバも端子台470においてx方向に順に並んでいる。すなわちU相バスバ431~W相バスバ433、A相バスバ405とB相バスバ406、X相バスバ434~Z相バスバ436が端子台470でx方向に順に並んでいる。
U相バスバ431~W相バスバ433のインナーバスバ437の一端側はU相レグ425~W相レグ427の中点端子443に接続されている。そしてこれら3個のインナーバスバ437の他端側が端子台470に固定されている。
U相バスバ431~W相バスバ433のアウターバスバ438の一端側は、これら3個の相バスバのインナーバスバ437の他端側と端子台470でボルト止めされている。そしてこれら3個のアウターバスバ438の他端側が、第1MG501の3相のステータコイルに接続されている。
A相バスバ405とB相バスバ406それぞれのインナーバスバ437は、第1インナーバスバ437aと第2インナーバスバ437bを有する。A相バスバ405とB相バスバ406それぞれの第1インナーバスバ437aの一端側はバッテリ200の正極との接続端子に電気的に接続されている。
そしてA相バスバ405の備える第2インナーバスバ437bの一端側はA相レグ412の中点端子443に接続されている。B相バスバ406の備える第2インナーバスバ437bの一端側はB相レグ413の中点端子443に接続されている。A相バスバ405とB相バスバ406の備える計4つのインナーバスバそれぞれの他端側が端子台470に固定されている。
A相バスバ405とB相バスバ406それぞれのアウターバスバ438は、第1アウターバスバ438aと第2アウターバスバ438bを有する。第1アウターバスバ438aの一端側は第1インナーバスバ437aの他端側と端子台470でボルト止めされている。第2アウターバスバ438bの一端側は第2インナーバスバ437bの他端側と端子台470でボルト止めされている。
そしてA相バスバ405の備える第1アウターバスバ438aと第2アウターバスバ438bそれぞれの他端側がA相リアクトル414に接続されている。B相バスバ406の備える第1アウターバスバ438aと第2アウターバスバ438bそれぞれの他端側がB相リアクトル415に接続されている。
X相バスバ434~Z相バスバ436のインナーバスバ437の一端側はX相レグ428~Z相レグ430の中点端子443に接続されている。これら3個のインナーバスバ437の他端側が端子台470に固定されている。
X相バスバ434~Z相バスバ436のアウターバスバ438の一端側は、これら3個の相バスバのインナーバスバ437の他端側と端子台470でボルト止めされている。そしてこれら3個のアウターバスバ438の他端側が、第2MG502の3相のステータコイルに接続されている。
<第1ハウジング>
第1ハウジング480は電力変換装置400の回路構成要素のうちのリアクトルを除く構成要素、および、冷却器460と端子台470それぞれを収納する収納空間を有する。それとともに第1ハウジング480はこの収納空間の外に端子台470の一部を露出するためのスリット480aを有する。端子台470における計8個の相バスバそれぞれの備えるインナーバスバ437の他端側の設けられる載置面470aがこのスリット480aから露出されている。
インナーバスバ437の他端側にはボルト439の軸部を通すための通し孔が形成されている。端子台470には、インナーバスバ437の他端側の載置面470aに開口するボルト孔470bが形成されている。このボルト孔470bにネジ溝が形成されている。このボルト孔470bとインナーバスバ437の通し孔とが連通する態様で、インナーバスバ437の他端側が端子台470に固定されている。
同様にしてアウターバスバ438の一端側にはボルト439の軸部を通すための通し孔が形成されている。この通し孔が、端子台470のボルト孔470bとインナーバスバ437の通し孔それぞれに連通するようにアウターバスバ438の一端側が端子台470に載置される。この載置状態で、これら2つのバスバの通し孔とボルト孔470bとにボルト439の軸部が通されるとともに、ボルト孔470bにボルト439が締結される。これによりインナーバスバ437の他端側とアウターバスバ438の一端側とが互いに接触して、両者が電気的に接続される。
<リアクトル>
A相リアクトル414とB相リアクトル415それぞれは第1ハウジング480の収納空間の外に配置される。これら2つのリアクトルそれぞれは、鉄芯と、導線がエナメル被膜などの絶縁材料で覆われた絶縁電線と、を有する。この絶縁電線が鉄芯に巻き回されている。
A相リアクトル414とB相リアクトル415は電力変換装置400に含まれるフィルタコンデンサ411や平滑コンデンサ423それぞれよりも耐熱性能が高くなっている。ただしA相リアクトル414とB相リアクトル415の耐熱温度は上記した絶縁電線の構成要素の一部であるエナメル被膜によって決定されている。
A相レグ412とB相レグ413、U相レグ425~Z相レグ430、放電抵抗424、フィルタコンデンサ411、および、平滑コンデンサ423が第1電気部品に相当する。A相リアクトル414とB相リアクトル415が第2電気部品に相当する。
<モータ>
次にモータ500を説明する。上記したようにモータ500は第1MG501と第2MG502を有する。第1MG501と第2MG502それぞれはモータシャフト503とモータハウジング504を有する。また第1MG501と第2MG502それぞれはロータとステータを有する。モータ500が駆動部に相当する。第1MG501と第2MG502が電動機に相当する。
モータハウジング504は中空を有している。このモータハウジング504の中空に、モータシャフト503、ロータ、および、ステータそれぞれが収納されている。
モータハウジング504は円筒形状を成している。モータハウジング504の軸方向はy方向になっている。そのためにモータハウジング504はy方向に面する平面において円形を成す円筒面504aを有する。モータハウジング504はy方向に面する2つの底面504bを有する。
モータハウジング504の底面504bにはy方向に延びるモータシャフト503の先端をモータハウジング504の中空の外に設けるための貫通孔が形成されている。この貫通孔から露出したモータシャフト503の先端が動力分配機構に連結されている。
第1MG501のモータシャフト503の一端がサンギヤに連結されている。第2MG502のモータシャフト503の一端がリングギヤに連結されている。そして第2MG502のモータシャフト503の他端が動力伝達機構600に連結されている。
ロータは、永久磁石と、永久磁石をモータシャフト503に固定する固定部と、を有する。固定部は円筒形状を成している。固定部の中空にモータシャフト503が挿入固定されている。これにより永久磁石はモータシャフト503の軸周りに設けられている。
ステータは、ステータコアと、ステータコアに設けられるステータコイルと、を有する。ステータコアは円筒形状を成している。ステータコアの中空に、モータシャフト503とともにロータが設けられている。これによりロータとステータとが、モータシャフト503の延長方向に対して直交する放射方向で対向している。
ステータコイルは3相のステータコイルを有する。これら3相のステータコイルそれぞれは導線がエナメル被膜などの絶縁材料で覆われた絶縁電線を有する。これら3相の絶縁電線がステータコアに巻き回されている。これによりステータコイルがステータコアに設けられている。
このようにステータコイルは、A相リアクトル414およびB相リアクトル415と同様にして、エナメル被膜などの絶縁材料で覆われた絶縁電線を有する。そのためにステータコイルの耐熱温度は、A相リアクトル414とB相リアクトル415と同様にして、絶縁電線の構成要素の一部であるエナメル被膜によって決定されている。第1MG501および第2MG502の耐熱温度とA相リアクトル414およびB相リアクトル415の耐熱温度とは同等になっている。
第1MG501のステータコイルはU相バスバ431~W相バスバ433を介して第1インバータ421と電気的に接続されている。第2MG502のステータコイルはX相バスバ434~Z相バスバ436を介して第2インバータ422と電気的に接続されている。これらステータコイルにインバータ420から三相交流が供給される。これによりステータコイルから三相回転磁界が発生する。
上記したようにロータは永久磁石を有する。永久磁石から磁界が発生している。そしてステータコイルからは三相回転磁界が発生される。これら2つの磁界の相互作用によって、ロータに回転トルクが発生する。回転トルクの発生方向は、回転磁界の位相変化に応じて、モータシャフト503の延長方向まわりの周方向で順次経時的に変化する。これによりロータの設けられたモータシャフト503が回転する。
<動力伝達機構>
次に動力伝達機構600を簡単に説明する。動力伝達機構600はy方向に延びる複数のシャフトを有する。また動力伝達機構600はこれら複数のシャフトに連結されるギヤを有する。これら複数のギヤに形成された歯が互いに噛み合うことで、各シャフトが相互に回転可能になっている。
動力伝達機構600の有する複数のシャフトのうちの1つが第2MG502のモータシャフト503の他端に連結されている。また残りの複数のシャフトのうちの1つがディファレンシャルギヤを介してドライブシャフトに連結されている。これにより第2MG502の回転、若しくは、走行輪の回転によって、動力伝達機構600の有する複数のシャフトとギヤが回転可能になっている。
図面ではこれら複数のシャフトの内の1つ、および、複数のギヤの内の1つを代表として図示している。以下においてはこの代表として示したシャフトとギヤをトランスミッションシャフト601、トランスミッションギヤ602と示す。トランスミッションシャフト601はy方向に延びている。トランスミッションギヤ602はトランスミッションシャフト601の軸方向まわりの周方向に並ぶ複数の歯を有する。
<第2ハウジング>
モータ500は第1MG501と第2MG502の他に、これら2つのMGと動力伝達機構600それぞれを収納する第2ハウジング700を有する。細分化して説明すると第2ハウジング700は図3および図4に示す底壁710、側壁720、および、斜壁730を有する。
底壁710の外底面710bはハイブリッド自動車のエンジンルームに載置される。側壁720は底壁710における外底面710bの裏側の内底面710aの縁部から環状に起立している。側壁720における内底面710aからの起立高さは場所によって差がある。斜壁730はこの側壁720における内底面710aからの起立高さに差のある先端間を連結している。これにより斜壁730は底壁710に対して傾斜している。第2ハウジング700の収納空間は、底壁710の内底面710a、側壁720における内底面710a側の内側面720a、および、斜壁730における内底面710a側の内斜面730aによって区画されている。
この第2ハウジング700の収納空間に第1MG501と第2MG502、および、動力伝達機構600が収納されている。第1MG501は動力伝達機構600と第2MG502それぞれよりも内底面710aから離間している。
第1MG501と第2MG502は内斜面730a側に位置している。図3および図4に示すように内斜面730aはx方向に沿うとともに、z方向に直交している。第1MG501と第2MG502はx方向で離間して並んでいる。
このように第1MG501と第2MG502の並び方向は、これら2つのMGそれぞれの備えるモータシャフト503の延長方向に直交している。また、第1MG501と第2MG502の並び方向は、動力伝達機構600の備えるトランスミッションシャフト601の延長方向とも直交している。第1MG501と第2MG502のそれぞれのモータハウジング504の円筒面504aがx方向で対向している。
第2ハウジング700の収納空間にはオートマオイル701が貯留されている。このオートマオイル701の温度はECUによってMGの耐熱温度よりも低くなるように制御されている。これにより第2ハウジング700内の昇温が抑制されている。オートマオイル701が冷媒に相当する。
第2ハウジング700がエンジンルームに載置された状態で、オートマオイル701の液面は内底面710a側に位置している。この載置状態で動力伝達機構600と第2MG502それぞれの少なくとも一部がオートマオイル701の液面よりも内底面710a側に位置している。第1MG501はオートマオイル701の液面よりも内底面710aから離間している。そのために動力伝達機構600と第2MG502の少なくとも一部がオートマオイル701に浸かっている。第1MG501はオートマオイル701に浸かっていない。
ただし、上記したように動力伝達機構600のトランスミッションギヤ602は複数の歯を有する。トランスミッションギヤ602の有する複数の歯は第2ハウジング700の内面と離間しつつ対向している。
したがって例えば図5に示すようにトランスミッションギヤ602が回転すると、その歯に付着したオートマオイル701が第2ハウジング700内に飛散される。オートマオイル701が、第2ハウジング700内に貯留されたオートマオイル701の液面よりも内底面710aから離間する態様で飛散される。このトランスミッションギヤ602によって飛散されたオートマオイル701が第1MG501に浴びせられる。これにより第1MG501の昇温が抑制されている。
なお側壁720の内側面720aには、上記したトランスミッションギヤ602によって飛散されるオートマオイル701の第1MG501側への流動を促進するためのガイド壁702が形成されている。このガイド壁702と側壁720とによってオートマオイル701を流動させるための流路が構成されている。図3~図5ではガイド壁702を一点鎖線で示している。図5では飛散したオートマオイル701の主たる流動経路を破線矢印で示している。
また内側面720aには第1MG501に浴びせられたオートマオイル701に含まれる不純物を捉えるためのフィルタ703が設けられている。このフィルタ703は第1MG501とオートマオイル701の液面との間に位置している。
<斜壁>
図3~図5に示すように斜壁730におけるz方向で第1MG501と対向する部位には、U相バスバ431~W相バスバ433のアウターバスバ438が固定されている。同様にして斜壁730におけるz方向で第2MG502と対向する部位には、X相バスバ434~Z相バスバ436のアウターバスバ438が固定されている。
この斜壁730に対するこれら6つのアウターバスバ438の固定としては例えば以下の構成を採用することができる。斜壁730に内斜面730aとその裏側の外斜面730bとに開口するスリットを形成しておく。このスリットにアウターバスバ438を挿入する。スリットの開口とアウターバスバ438との間の隙間をシール材で埋める。これによってアウターバスバ438を斜壁730に固定してもよい。
これら6つのアウターバスバ438の一端側は第2ハウジング700の収納空間の外に位置している。これら6つのアウターバスバ438の他端側は第2ハウジング700の収納空間に位置している。
また斜壁730には、内斜面730aと外斜面730bとに開口する貫通孔730cが形成されている。この貫通孔730cは、x方向において、U相バスバ431~W相バスバ433のアウターバスバ438の固定部位と、X相バスバ434~Z相バスバ436のアウターバスバ438の固定部位との間に位置している。x方向における貫通孔730cの位置は第1MG501と第2MG502との間になっている。
<連結>
図3~図5に示すように、斜壁730の外斜面730bに第1ハウジング480が設けられる。第1ハウジング480は図示しないボルトなどによって第2ハウジング700に固定される。なお図3~図5においては電力変換装置400のスイッチモジュールを構成する各相レグを破線で囲って示している。
第1ハウジング480が斜壁730に固定された状態において、第1インバータ421に含まれるU相レグ425~W相レグ427は、z方向において第1MG501と並んでいる。これらU相レグ425~W相レグ427と第1MG501との間に、両者を接続するU相バスバ431~W相バスバ433が位置している。
コンバータ410に含まれるA相レグ412およびB相レグ413は、z方向においてA相リアクトル414およびB相リアクトル415と並んでいる。A相レグ412とA相リアクトル414との間に、両者を接続するA相バスバ405が位置している。B相レグ413とB相リアクトル415との間に、両者を接続するB相バスバ406が位置している。
第2インバータ422に含まれるX相レグ428~Z相レグ430は、z方向において第2MG502と並んでいる。これらX相レグ428~Z相レグ430と第2MG502との間に、両者を接続するX相バスバ434~Z相バスバ436が位置している。
上記したように斜壁730には貫通孔730cが形成されている。この貫通孔730cを介して第2ハウジング700の収納空間にA相リアクトル414とB相リアクトル415が挿入される。この後、貫通孔730cの開口は図4に示すシール材730dによって閉塞される。
また第1ハウジング480が外斜面730bに固定されると、第1ハウジング480のスリット480aにU相バスバ431~Z相バスバ436それぞれのアウターバスバ438の一端側が位置する。この際に、アウターバスバ438の一端側の通し孔が、端子台470のボルト孔470bとインナーバスバ437の通し孔それぞれと連通する。この連通する複数の孔にボルト439が締結される。このボルト439の締結後、図示しないカバーによってスリット480aの開口が閉塞される。
なお、アウターバスバ438における、第2ハウジング700の収納空間の外に位置する部位の延長方向の長さは、第2ハウジング700の収納空間に位置する部位の延長方向の長さよりも短くなっている。
<デッドスペース>
次に、第1MG501と第2MG502との間の隙間(デッドスペース)について説明する。図3~図5に示すように第1MG501と第2MG502はそれぞれの円筒面504aが対向する態様でx方向に並んでいる。円筒面504aはy方向に直交する平面において円弧形状を成している。
したがって、例えば図1に強調して示すように、第2ハウジング700の体格の増大を抑制するべく、第1MG501と第2MG502とを極力近づけたとしても、これら2つのMGの間にはハッチングで示すデッドスペースが生じる。このモータハウジング504の円筒面504aが円弧形状であるために生じるデッドスペースに、電力変換装置400の構成要素のA相リアクトル414とB相リアクトル415が設けられる。
<作用効果>
上記したようにモータハウジング504の円筒面504aが円弧形状であるために、第1MG501と第2MG502との間にデッドスペースが生じる。このデッドスペースに、電力変換装置400の構成要素のA相リアクトル414とB相リアクトル415が設けられている。そのために車両用動力装置300の体格の増大が抑制される。
エンジンルームに載置される底壁710に対して斜壁730が傾斜している。この斜壁730に第1ハウジング480が設けられている。そして上記したように第1MG501と第2MG502との間のデッドスペースにA相リアクトル414とB相リアクトル415が設けられている。これにより第1ハウジング480の体格の増大が抑制されている。車両用動力装置300の高さの伸長が抑制されている。
これによりエンジンルームに載置された車両用動力装置300と、エンジンルームの開口を閉塞するボンネットとの間の離間距離が長くなる。この結果、ボンネットが外力によって凹みやすくなる。衝突安全性能が高められやすくなる。
リアクトルを除く電力変換装置400の構成要素の収納された第1ハウジング480が、第1MG501と第2MG502の収納された第2ハウジング700に連結されている。
これにより第1インバータ421と第1MG501とを接続するU相バスバ431~W相バスバ433の延長が抑制される。第2インバータ422と第2MG502とを接続するX相バスバ434~Z相バスバ436の延長が抑制される。
また第2ハウジング700に設けられるA相リアクトル414と、第1ハウジング480に設けられるA相レグ412とを接続するA相バスバ405の延長が抑制される。同様にしてB相リアクトル415とB相レグ413とを接続するB相バスバ406の延長が抑制される。
特に本実施形態では、第1インバータ421に含まれるU相レグ425~W相レグ427はz方向において第1MG501と並んでいる。コンバータ410に含まれるA相レグ412およびB相レグ413は、z方向においてA相リアクトル414およびB相リアクトル415と並んでいる。第2インバータ422に含まれるX相レグ428~Z相レグ430はz方向において第2MG502と並んでいる。
そのためにA相バスバ405とB相バスバ406、および、U相バスバ431~Z相バスバ436それぞれの延長が効果的に抑制される。
A相リアクトル414とB相リアクトル415が第1ハウジング480の収納空間の外に位置している。これによればA相リアクトル414とB相リアクトル415で生じた熱によって、第1ハウジング480に収納されたフィルタコンデンサ411や平滑コンデンサ423などの電気部品の昇温が抑制される。A相リアクトル414とB相リアクトル415よりも耐熱性能の低いフィルタコンデンサ411や平滑コンデンサ423などの電気部品の昇温が抑制される。
A相リアクトル414とB相リアクトル415の収納される第2ハウジング700にオートマオイル701が貯留されている。これによりA相リアクトル414とB相リアクトル415の昇温が抑制される。
トランスミッションギヤ602が回転することでオートマオイル701が第2ハウジング700内に飛散される。トランスミッションギヤ602によって飛散されたオートマオイル701が第1MG501と第2MG502との間に位置するA相リアクトル414とB相リアクトル415に浴びせられる。これによりA相リアクトル414とB相リアクトル415の昇温が効果的に抑制される。
以上に示したように、電力変換装置400を構成する各種電気部品の昇温が抑制される。そのために電力変換装置400に流れる電流を増大したとしても、電力変換装置400を構成する各種電気部品の耐熱温度を上回ることが抑制される。
(第1の変形例)
なお本実施形態では第2ハウジング700の斜壁730にA相リアクトル414とB相リアクトル415を挿入するための貫通孔730cの形成される例を示した。しかしながら例えば図6および図7に示すように、斜壁730に貫通孔730cが形成されていなくともよい。
本変形例ではA相リアクトル414とB相リアクトル415が第2ハウジング700の収納空間に収納されている。そしてこれら2つのリアクトルに接続される計4つのアウターバスバそれぞれの一端側が、斜壁730に形成されたスリットを介して第2ハウジング700の収納空間の外に位置している。
係る構成の場合、例えば図4に示すシール材730dを省略することができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態を図8~図10に基づいて説明する。以下に示す各実施形態と各変形例に係る車両用動力装置は上記した実施形態によるものと共通点が多い。そのため以下においては共通部分の説明を省略し、異なる部分を重点的に説明する。また以下においては上記した実施形態で示した要素と同一の要素には同一の符号を付与する。
第1実施形態では、A相リアクトル414とB相リアクトル415それぞれが第1ハウジング480の外に設けられる例を示した。これに対して本実施形態では、A相リアクトル414とB相リアクトル415それぞれが第1ハウジング480の収納空間に収納されている。
ただし、例えば図9に明示するように、斜壁730における第1MG501と第2MG502との間の部位は、第1MG501と第2MG502との間のデッドスペースに向かって局所的に凹んでいる。
これに応じて、第1ハウジング480におけるA相リアクトル414とB相リアクトル415の収納部位は、第2ハウジング700に向かって局所的に突起している。この突起部位は図10に示すように斜壁730における局所的に凹んだ部位に位置している。これにより第1MG501と第2MG502との間のデッドスペースは、斜壁730における局所的に凹んだ部位、第1ハウジング480における局所的に突起した部位、および、A相リアクトル414とB相リアクトル415によって占有されている。
このようにA相リアクトル414とB相リアクトル415は、第1実施形態と同様にして、第1MG501と第2MG502との間のデッドスペースに設けられている。そのために本実施形態の車両用動力装置300は第1実施形態に記載の車両用動力装置300と同様にして体格の増大が抑制される。
またA相リアクトル414とB相リアクトル415だけではなく、これらに接続されるA相バスバ405とB相バスバ406も第1ハウジング480の収納空間に収納されている。したがってこれらリアクトルと相バスバとに接続不良の生じることが抑制される。
また、第2ハウジング700における局所的に凹んだ部位に第1ハウジング480における局所的に突起した部位が設けられる。そのために第2ハウジング700に第1ハウジング480を設置しやすくなる。また、第1ハウジング480と第2ハウジング700の相対位置ずれが抑制される。
なお本実施形態に係る車両用動力装置300には、第1実施形態に記載の車両用動力装置300と同等の構成要素が含まれている。そのために同等の作用効果を奏することは言うまでもない。
以上、本開示の好ましい実施形態について説明したが、本開示は上記した実施形態になんら制限されることなく、本開示の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。
(第3の変形例)
各実施形態では、例えば図1および図4に示すように、A相レグ412およびB相レグ413がA相リアクトル414およびB相リアクトル415と斜壁730に対して直交する方向で並ぶ例を示した。しかしながら例えば図11に示すようにA相レグ412とA相リアクトル414は斜壁730に対して直交する方向で並んでいなくともよい。同様にしてB相レグ413とB相リアクトル415も斜壁730に対して直交する方向で並んでいなくともよい。
(第4の変形例)
各実施形態では第1ハウジング480が第2ハウジング700に固定される例を示した。しかしながら第1ハウジング480はハイブリッド自動車のボディシャーシに固定されてもよい。ただしこの固定形態においても、A相リアクトル414とB相リアクトル415は第1MG501と第2MG502との間のデッドスペースに設けられる。
(第5の変形例)
各実施形態ではコンバータ410がA相リアクトル414とB相リアクトル415を有する例を示した。しかしながらコンバータ410の有するリアクトルの数としては上記例に限定されない。コンバータ410は1つのリアクトル、若しくは、3つ以上のリアクトルを有してもよい。
(第6の変形例)
各実施形態では第2ハウジング700に第1MG501および第2MG502とともに動力伝達機構600が収納される例を示した。しかしながら第2ハウジング700に動力伝達機構600が収納されていなくともよい。
(第7の変形例)
各実施形態ではモータ500が第1MG501と第2MG502を備える例を示した。しかしながらモータ500の備えるMGの数としては3つ以上でもよい。
(その他の変形例)
各実施形態では車両用動力装置300がハイブリッドシステムを構成する車載システム100に適用される例を示した。しかしながら車両用動力装置300の適用としては特に上記例に限定されない。例えば電気自動車の車載システムに車両用動力装置300が適用された構成を採用することもできる。
なお、本明細書に記載のECUまたは制御システムは、(a)if-then-else形式と呼ばれる複数の論理、または、(b)機械学習でチューニングされた学習済みモデルによって提供することができる。機械学習でチューニングされた学習済みモデルは、例えばニューラルネットワークとしてのアルゴリズムによって提供される。
ECUは、少なくとも1つのコンピュータを含む制御システムによって提供される。制御システムは、データ通信装置によってリンクされた複数のコンピュータを含む場合がある。コンピュータは、ハードウェアである少なくとも1つプロセッサ(ハードウェアプロセッサ)を含む。ハードウェアプロセッサは、下記(i)、(ii)、または、(iii)により提供することができる。
(i)ハードウェアプロセッサは、少なくとも1つのメモリに格納されたプログラムを実行する少なくとも1つのプロセッサコアである場合がある。この場合、コンピュータは、少なくとも1つのメモリと、少なくとも1つのプロセッサコアとによって提供される。プロセッサコアはCPU、GPU、RISC-CPUなどと呼ばれる。CPUはCentral Processing Unitの略である。GPUはGraphics Processing Unitの略である。メモリは記憶媒体とも呼ばれる。メモリはプロセッサによって読み取り可能な「プログラムおよびデータのうちの少なくとも一方」を非一時的に格納する非遷移的かつ実体的な記憶媒体である。記憶媒体は、半導体メモリ、磁気ディスク、または、光学ディスクなどによって提供される。プログラムは、それ単体で、またはプログラムが格納された記憶媒体として流通する場合がある。
(ii)ハードウェアプロセッサは、ハードウェア論理回路である場合がある。この場合、コンピュータは、プログラムされた多数の論理ユニット(ゲート回路)を含むデジタル回路によって提供される。デジタル回路は、ロジック回路アレイ、例えば、ASIC、FPGA、PGA、CPLDなどとも呼ばれる。ASICはApplication-Specific Integrated Circuitの略である。FPGAはField Programmable Gate Arrayの略である。PGAはProgrammable Gate Arrayの略である。CPLDはComplex Programmable Logic Deviceの略である。デジタル回路は、プログラムおよびデータのうちの少なくとも一方を格納したメモリを備える場合がある。コンピュータは、アナログ回路によって提供される場合がある。コンピュータは、デジタル回路とアナログ回路との組み合わせによって提供される場合がある。
(iii)ハードウェアプロセッサは、上記(i)と上記(ii)との組み合わせである場合がある。(i)と(ii)とは、異なるチップの上、または共通のチップの上に配置される。これらの場合、(ii)の部分は、アクセラレータとも呼ばれる。
ECUと信号源と制御対象物とは、多様な要素を提供する。それらの要素の少なくとも一部は、ブロック、モジュール、またはセクションと呼ぶことができる。さらに、制御システムに含まれる要素は、意図的な場合にのみ、機能的な手段と呼ばれる。
この開示に記載のECUおよびその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された1つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。代替的に、この開示に記載のECUおよびその手法は、1つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。代替的に、この開示に記載のECUおよびその手法は、1つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサおよびメモリと1つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された1つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。