以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
図1~図8を参照して、第1実施形態による電力変換装置100の構成について説明する。なお、電力変換装置100は、特許請求の範囲の「鉄道車両用電力変換装置」の一例である。
(高速鉄道車両の構成)
まず、図1を参照して、電力変換装置100が設置される高速鉄道車両10の構成について説明する。
高速鉄道車両10は、複数の車両が編成された状態で、たとえば、180km/h以上で走行する高速鉄道車両である。高速鉄道車両10は、図1に示すように、交流電源としての架線1から供給される電力により走行するように構成されている。なお、第1実施形態では、高速鉄道車両10が、進行方向(X方向)のうちX1方向に走行する場合について説明する。また、進行方向のうち高速鉄道車両10が進行するX1方向を進行方向の前方とし、前方とは反対のX2方向を進行方向の後方とする。また、高速鉄道車両10は、特許請求の範囲の「鉄道車両」の一例である。また、X方向は、特許請求の範囲の「第1の方向」および「進行方向」の一例である。
高速鉄道車両10は、車体11と、パンタグラフ12と、電力変換装置100と、誘導電動機13a(図3参照)および空調機器(図示せず)などの電気機器13とを備えている。高速鉄道車両10は、レール2上を走行している。
パンタグラフ12は、架線1から電力を受け取る役割を有する。電力変換装置100は、変圧器(図示せず)により変圧されたパンタグラフ12からの交流電圧を、後述する電力変換ユニット31(図2参照)のコンバータ部310(図2参照)およびインバータ部311(図2参照)を介して、所望の3相交流電圧および周波数に変換する。そして、3相交流電圧および周波数は、誘導電動機13a(図3参照)に出力される。
また、図1に示すように、車体11の底部11aには、電力変換装置100が吊り下げられた状態で取り付けられている。つまり、電力変換装置100は、高速鉄道車両10の車体11の底部11aの下方(Z2方向)に取り付けられている。なお、Z方向は、特許請求の範囲の「配置面に対して垂直な方向」の一例である。
(電力変換装置の構成)
図2に示すように、電力変換装置100は、金属製の筐体20と、筐体20の内部に配置される電力変換装置本体部30とを備えている。
筐体20は、3つの機器室20a、20bおよび20cに区分けされている。機器室20aは、筐体20の枕木方向(Y方向)の中央に位置している。機器室20bは、筐体20の枕木方向の一方側(Y2方向側)に位置している。機器室20cは、筐体20の枕木方向の他方側(Y1方向側)に位置している。なお、Y方向(枕木方向)は、X方向(進行方向)と直交する。また、Y方向および枕木方向は、それぞれ、特許請求の範囲の「第2の方向」の一例である。
電力変換装置本体部30は、機器室20aに配置される電力変換ユニット31と、機器室20bに配置される制御部32と、機器室20cに配置される電気機器群33とを含んでいる。
電力変換ユニット31は、パンタグラフ12(図1参照)からの交流電圧を、所望の3相交流電圧および周波数に変換する機能を有する。電力変換ユニット31は、5つの半導体素子群31a~31eを有している。半導体素子群31a~31eは、枕木方向(Y方向)に沿って並んで配置されている。具体的には、Y1方向側からY2方向側に向かって、半導体素子群31a、半導体素子群31b、半導体素子群31c、半導体素子群31d、半導体素子群31eの順に並んでいる。
また、電力変換ユニット31の下方(Z2方向)には、半導体素子群31a~31eの熱を放出する冷却部34が設けられている。冷却部34は、板状形状を有する受熱部35と、複数の板状の放熱フィン36とを含んでいる。
半導体素子群31a~31eは、受熱部35のZ1方向側の表面35aに載置されている。また、放熱フィン36は、受熱部35のZ2方向側の表面35bからZ2方向側に突出している。また、受熱部35は、半導体素子群31a~31e毎に分割されているように図示されているが、一体的に形成されていてもよい。なお、表面35aは、特許請求の範囲の「配置面」の一例である。
なお、半導体素子群31a~31eは基本的には同様の構成であるので、以下では1つの半導体素子群(たとえば半導体素子群31c)について代表的に説明する。
(半導体素子群の構成)
図3に示すように、電力変換装置100(3レベルの電力変換装置)は、半導体モジュール40、半導体モジュール41、半導体モジュール42、および、半導体モジュール43を備える。正側から順に、半導体モジュール40、半導体モジュール41、半導体モジュール42、半導体モジュール43の順に直列に接続されている。また、半導体モジュール40~43は、それぞれ、3つ(図5参照)のバイポーラ素子40a~43aを含む。なお、誘導電動機13aは、バイポーラ素子41aとバイポーラ素子42aとの間に接続されている。図3では、簡略化のため、1つずつのバイポーラ素子40a~43aのみ図示している。なお、半導体モジュール40および半導体モジュール43は、それぞれ、特許請求の範囲の「第1半導体素子部」および「第2半導体素子部」の一例である。また、半導体モジュール40~43は、それぞれ、特許請求の範囲の「半導体素子部」の一例である。
バイポーラ素子40aのコレクタ端子40bは、後述する正極端子72aと電気的に接続されている。また、バイポーラ素子40aのエミッタ端子40cは、バイポーラ素子41aのコレクタ端子41bに接続されている。また、バイポーラ素子41aのエミッタ端子41cは、バイポーラ素子42aのコレクタ端子42bに接続されている。
また、バイポーラ素子42aのエミッタ端子42cは、バイポーラ素子43aのコレクタ端子43bに接続されている。バイポーラ素子43aのエミッタ端子43cは、後述する負極端子82aに電気的に接続されている。なお、コレクタ端子40b~43b、および、エミッタ端子40c~43cは、それぞれ、特許請求の範囲の「端子」の一例である。
また、電力変換装置100は、ダイオードモジュール50を備える。ダイオードモジュール50は、2つ(図5参照)のダイオード素子50aを含む。ダイオード素子50aのカソード端子50bは、バイポーラ素子40aとバイポーラ素子41aとの間に接続されている。なお、ダイオードモジュール50は、特許請求の範囲の「第1ダイオード素子部」の一例である。
また、電力変換装置100は、ダイオードモジュール51を備える。ダイオードモジュール51は、2つ(図5参照)のダイオード素子51aを含む。ダイオード素子51aのカソード端子51bは、ダイオード素子50aのアノード端子50cに接続されている。また、ダイオード素子51aのアノード端子51cは、バイポーラ素子42aとバイポーラ素子43aとの間に接続されている。なお、カソード端子50bとカソード端子51b、および、アノード端子50cとアノード端子51cは、それぞれ、特許請求の範囲の「端子」の一例である。また、なお、ダイオードモジュール51は、特許請求の範囲の「第2ダイオード素子部」の一例である。
なお、半導体モジュール40、半導体モジュール41、半導体モジュール42、半導体モジュール43、ダイオードモジュール50、および、ダイオードモジュール51の各々は、受熱部35の表面35aに載置されている。
また、電力変換装置100には、コンデンサ60が設けられている。コンデンサ60の正極側端子60aは、後述する正極端子72a、および、バイポーラ素子40aのコレクタ端子40bに接続されている。また、コンデンサ60の負極側端子60bは、後述する中間端子92aを介して、ダイオード素子50aのアノード端子50cに接続されている。
また、電力変換装置100には、コンデンサ61が設けられている。コンデンサ61の正極側端子61aは、後述する中間端子91aを介して、ダイオード素子51aのカソード端子51bに接続されている。また、コンデンサ61の負極側端子61bは、後述する負極端子82a、および、バイポーラ素子43aのエミッタ端子43cに接続されている。
なお、図4に示すように、コンデンサ60およびコンデンサ61は、半導体モジュール40~43およびダイオードモジュール50および51の上方側(Z1方向側)に配置されている。また、コンデンサ60は、コンデンサ61に対してX2方向側に配置されている。なお、図4では、後述するバスバーの開口部は、簡略化のため、図示を省略している。
図5に示すように、半導体モジュール40、半導体モジュール41、および、ダイオードモジュール50は、X方向に沿って配列されている。具体的には、X1方向側から、半導体モジュール41、ダイオードモジュール50、半導体モジュール40の順に配置されている。半導体モジュール40、半導体モジュール41、および、ダイオードモジュール50は、線分αに対してY1方向側の領域101に配置されている。なお、領域101は、特許請求の範囲の「第1の領域」の一例である。
また、半導体モジュール40、半導体モジュール41、および、ダイオードモジュール50は、互いの間に隙間(101a、101b)が設けられるように配置されている。具体的には、領域101は、半導体モジュール40とダイオードモジュール50との間に設けられる隙間101aを含む。また、領域101は、半導体モジュール41とダイオードモジュール50との間に設けられる隙間101bを含む。
また、半導体モジュール42、半導体モジュール43、および、ダイオードモジュール51は、X方向に沿って配列されている。具体的には、X1方向側から、半導体モジュール42、ダイオードモジュール51、半導体モジュール43の順に配置されている。半導体モジュール42、半導体モジュール43、および、ダイオードモジュール51は、線分αに対してY2方向側の領域102に配置されている。なお、領域102は、特許請求の範囲の「第2の領域」の一例である。
また、半導体モジュール42、半導体モジュール43、および、ダイオードモジュール51は、互いの間に隙間(102a、102b)が設けられるように配置されている。具体的には、領域102は、半導体モジュール42とダイオードモジュール51との間に設けられる隙間102aを含む。また、領域102は、半導体モジュール43とダイオードモジュール51との間に設けられる隙間102bを含む。
なお、半導体モジュール40、半導体モジュール41、および、ダイオードモジュール50の列と、半導体モジュール42、半導体モジュール43、および、ダイオードモジュール51の列とは、Y方向において隣接するように設けられている。
また、半導体モジュール40の3つのバイポーラ素子40aは、X方向に沿って配列されるように設けられている。また、3つのバイポーラ素子40aの各々において、コレクタ端子40bとエミッタ端子40cとは、Y方向に沿って並んで配置されるように設けられている。すなわち、3つのコレクタ端子40b同士、および、3つのエミッタ端子40c同士は、それぞれ、X方向に沿って配列されるように設けられている。
同様に、半導体モジュール41(42、43)においても、3つのコレクタ端子41b(42b、43b)同士、および、3つのエミッタ端子41c(42c、43c)同士は、それぞれ、X方向に沿って配列されるように設けられている。なお、コレクタ端子(40b~43b)の列は、エミッタ端子(40c~43c)の列に対して、Y1方向側に設けられている。
また、ダイオードモジュール50の2つのダイオード素子50aは、X方向に沿って配列されるように設けられている。また、2つのダイオード素子50aの各々において、カソード端子50bとアノード端子50cとは、Y方向に沿って並んで配置されるように設けられている。すなわち、2つのカソード端子50b、および、2つのアノード端子50cは、それぞれ、X方向に沿って配列されるように設けられている。
同様に、ダイオードモジュール51においても、2つのカソード端子51b同士、および、2つのアノード端子51c同士は、それぞれ、X方向に沿って配列されるように設けられている。なお、カソード端子(50b、51b)の列は、アノード端子(50c、51c)の列に対して、Y1方向側に設けられている。
また、電力変換装置100は、後述する正極端子72aを含む正側バスバー70を備える。正側バスバー70は、表面35aの上方(Z1方向側)に設けられている。なお、正側バスバー70は、特許請求の範囲の「正側導体部」の一例である。
正側バスバー70は、正側導体端子部71と、正側導体端子部71と一体的に形成されている正側導体電極部72とを含む。正側導体電極部72には、正極端子72aが設けられている。正側バスバー70は、たとえば銅製である。正極端子72aは、Y方向に延びる形状を有している。
また、電力変換装置100は、後述する負極端子82aを含む負側バスバー80を備える。負側バスバー80は、表面35aの上方(Z1方向側)に設けられている。また、負側バスバー80は、正側バスバー70の下部に配置されている。すなわち、正側バスバー70は、負側バスバー80の上部に、図示しない絶縁層を介して積層(ラミネート)されている。負側バスバー80は、略矩形形状を有している。なお、負側バスバー80は、特許請求の範囲の「負側導体部」の一例である。
負側バスバー80は、負側導体端子部81と、負側導体端子部81と一体的に形成されている負側導体電極部82とを含む。負側導体電極部82には、負極端子82aが設けられている。負側バスバー80は、たとえば銅製である。負極端子82aは、Y方向に延びる形状を有している。なお、正側バスバー70および負側バスバー80の各々は、コンデンサ60(図4参照)およびコンデンサ61(図4参照)の下方(Z2方向側)に配置されている。具体的には、正側バスバー70は、コンデンサ60の下方に配置され、負側バスバー80は、コンデンサ60およびコンデンサ61の両方の下方に配置されている。
ここで、第1実施形態では、正側導体電極部72は、正側導体端子部71に対して、半導体モジュール40が設けられている領域101とは反対側の領域102側に設けられている。また、負側導体電極部82は、負側導体端子部81に対して、半導体モジュール43が設けられている領域102とは反対側の領域101側に設けられている。具体的には、正側導体電極部72および負側導体端子部81の各々は、Z1方向側から見て、領域102にオーバーラップするように設けられている。また、正側導体端子部71および負側導体電極部82の各々は、Z1方向側から見て、領域101にオーバーラップするように設けられている。
また、正側導体電極部72は、3つの開口部72bを有する。3つの開口部72bは、正極端子72aのX2方向側において、X方向に沿って並んで配置されている。3つの開口部72bの各々は、Z1方向側から見て、半導体モジュール43のバイポーラ素子43a(コレクタ端子43bおよびエミッタ端子43c)を取り囲む(端子を露出させる)ように設けられている。
正側導体端子部71には、正極端子72aと導通する3つの正側接続端子71aが設けられている。正側接続端子71aは、半導体モジュール40の3つのコレクタ端子40bの各々と表面35aに対して略垂直な方向(Z方向)に接続されている。具体的には、3つの正側接続端子71aの各々は、Z1方向側から見て、コレクタ端子40bとオーバーラップするように設けられており、対応するコレクタ端子40bと接続(締結)される。
また、正極端子72aは、半導体モジュール40の3つのコレクタ端子40bと導通する。具体的には、正極端子72aは、コレクタ端子40bに接続される3つの正側接続端子71aと導通している。言い換えると、正極端子72aは、正側接続端子71aを介して、コレクタ端子40bと導通している。
正側導体端子部71は、3つの開口部71bを有する。開口部71bは、3つの正側接続端子71aの各々に対して、Y2方向側に隣接して設けられている。また、3つの開口部71bの各々は、Z1方向側から見て、半導体モジュール40のエミッタ端子40cを取り囲む(端子を露出させる)ように設けられている。
また、負側導体電極部82は、8つの開口部82bを有する。8つの開口部82bは、負極端子82aのX1方向側およびX2方向側において、X方向に沿って並んで配置されている。8つの開口部82bの各々は、Z1方向側から見て、半導体モジュール40のバイポーラ素子40a(コレクタ端子40bおよびエミッタ端子40c)、半導体モジュール41(コレクタ端子41bおよびエミッタ端子41c)、および、ダイオードモジュール50のダイオード素子50a(カソード端子50bおよびアノード端子50c)を取り囲む(端子を露出させる)ように設けられている。
負側導体端子部81には、負極端子82aと導通する3つの負側接続端子81aが設けられている。負側接続端子81aは、半導体モジュール43の3つのエミッタ端子43cの各々と表面35aに対して略垂直な方向(Z方向)に接続されている。具体的には、3つの負側接続端子81aの各々は、Z1方向側から見て、エミッタ端子43cとオーバーラップするように設けられており、対応するエミッタ端子43cと接続(締結)される。
また、負極端子82aは、半導体モジュール43の3つのエミッタ端子43cと導通する。具体的には、負極端子82aは、エミッタ端子43cに接続される3つの負側接続端子81aと導通している。言い換えると、負極端子82aは、負側接続端子81aを介して、エミッタ端子43cと導通している。
また、負側導体端子部81は、3つの開口部81bを有する。開口部81bは、3つの負側接続端子81aの各々に対して、Y1方向側に隣接して設けられている。また、3つの開口部81bの各々は、Z1方向側から見て、半導体モジュール43のコレクタ端子43bを取り囲む(端子を露出させる)ように設けられている。
また、負側導体端子部81は、5つの開口部81cを有する。5つの開口部81cは、負側接続端子81aおよび開口部81bのX1方向側において、並んで配置されている。開口部81cは、Z1方向側から見て、半導体モジュール42のバイポーラ素子42a(コレクタ端子42bおよびエミッタ端子42c)、および、ダイオードモジュール51のダイオード素子51a(カソード端子51bおよびアノード端子51c)を取り囲む(端子を露出させる)ように設けられている。
ここで、第1実施形態では、正極端子72aは、半導体モジュール40の3つのコレクタ端子40bに対して、半導体モジュール40が設けられている領域101とは反対側の領域102側に設けられている。また、負極端子82aは、半導体モジュール43の3つのエミッタ端子43cに対して、半導体モジュール43が設けられている領域102とは反対側の領域101側に設けられている。
具体的には、正極端子72aは、線分αよりもY2方向側に設けられている。また、正極端子72aは、3つの正側接続端子71aのうちの最もX1方向側に設けられる正側接続端子71aよりもX1方向側に配置されている。すなわち、Z1方向側から見て、正極端子72aは、3つのコレクタ端子40bのうちの最もX1方向側に設けられるコレクタ端子40bよりもX1方向側に配置されている。
また、負極端子82aは、線分αよりもY1方向側に設けられている。負極端子82aは、3つの負側接続端子81aのうちの最もX1方向側に設けられる負側接続端子81aよりもX1方向側に配置されている。すなわち、Z1方向側から見て、負極端子82aは、3つのエミッタ端子43cのうちの最もX1方向側に設けられるエミッタ端子43cよりもX1方向側に配置されている。
ここで、正極端子72aが、たとえば、3つの正側接続端子71aに対して、X方向に沿って並んで配置されている場合(図8(a)の比較例参照)、正極端子72aと3つの正側接続端子71aとの電流の経路長差は、X方向における正側接続端子71a同士の間の長さL1(X方向における両端の正側接続端子71aの場合は長さL1の2倍)程度になる。
これに対して、正極端子72aが、3つの正側接続端子71aに対してY2方向側に配置されている場合(図8(b)参照)、正極端子72aと3つの正側接続端子71aとの電流の経路長差は、比較的小さくなる。具体的には、正極端子72aから、X1方向側の2つの正側接続端子71aへの電流の経路長差は、長さL1よりも小さい長さL2である。長さL2は、最も長い辺の長さが長さL1の3角形のうちの一辺の長さである。また、正極端子72aから、最もX1方向側の正側接続端子71aの電流の経路長と、最もX2方向側の正側接続端子71aの電流の経路長との差は、長さL1の2倍よりも小さい長さL3である。長さL3は、最も長い辺の長さが長さL1の2倍の3角形のうちの一辺の長さである。また、正極端子72aから、X2方向側の2つの正側接続端子71aへの電流の経路長差は、長さL1よりも小さい長さL4である。長さL4は、最も長い辺の長さが長さL1の3角形のうちの一辺の長さである。なお、図示しないが、負極端子82aと負側接続端子81aとの間にも同様の関係が成り立つ。
また、第1実施形態では、正極端子72aは、表面35aに対して垂直な方向(Z1方向側)から見て、半導体モジュール40が設けられている領域101とは反対側の領域102とオーバーラップする(図6参照)ように設けられている。また、負極端子82aは、表面35aに対して垂直な方向(Z1方向側)から見て、半導体モジュール43が設けられている領域102とは反対側の領域101とオーバーラップする(図7参照)ように設けられている。具体的には、正極端子72aは、Z1方向側から見て、全体が領域102内に収容されるように設けられている。また、負極端子82aは、Z1方向側から見て、全体が領域101内に収容されるように設けられている。
詳細には、正極端子72aは、表面35aに対して垂直な方向(Z1方向側)から見て、半導体モジュール40が配置されている領域101とは反対側の領域102の隙間102bとオーバーラップする(図6参照)ように設けられている。また、負極端子82aは、表面35aに対して垂直な方向(Z1方向側)から見て、半導体モジュール43が配置されている領域102とは反対側の領域101の隙間101bとオーバーラップする(図7参照)ように設けられている。具体的には、正極端子72aは、Z1方向側から見て、全体が隙間102bに収容されるように設けられている。また、負極端子82aは、Z1方向側から見て、全体が隙間101bに収容されるように設けられている。
また、電力変換装置100には、中間バスバー90が設けられている。中間バスバー90は、正側バスバー70と同じ高さ位置(Z方向の位置)において、正側バスバー70と隣接するように設けられている。詳細には、後述する中間端子92aは、正側バスバー70の正極端子72aとY方向に沿って並んで配置されている。
電力変換装置100は、ダイオードモジュール51の2つのカソード端子51bと導通する中間端子91aを備える。中間端子91aは、中間バスバー90に設けられている。
また、中間バスバー90には、中間端子91aと導通する2つの中間接続端子91bが設けられている。中間接続端子91bは、ダイオードモジュール51の2つのカソード端子51bの各々と表面35aに対して略垂直な方向(Z方向)に接続されている。具体的には、2つの中間接続端子91bの各々は、Z1方向側から見て、カソード端子51bとオーバーラップするように設けられており、対応するカソード端子51bと接続(締結)される。すなわち、中間端子91aは、中間接続端子91bを介して、カソード端子51bと導通している。
電力変換装置100は、ダイオードモジュール50の2つのアノード端子50cと導通する中間端子92aを備える。中間端子92aは、中間バスバー90に設けられている。
また、中間バスバー90には、中間端子92aと導通する2つの中間接続端子92bが設けられている。中間接続端子92bは、ダイオードモジュール50の2つのアノード端子50cの各々と表面35aに対して略垂直な方向(Z方向)に接続されている。具体的には、2つの中間接続端子92bの各々は、Z1方向側から見て、アノード端子50cとオーバーラップするように設けられており、対応するアノード端子50cと接続(締結)される。すなわち、中間端子92aは、中間接続端子92bを介して、アノード端子50cと導通している。
また、中間バスバー90には、Z1方向側から見て、ダイオードモジュール50のカソード端子50bおよびダイオードモジュール51のアノード端子51cを取り囲む(端子を露出させる)ように設けられる複数(第1実施形態では4個)の開口部93が設けられている。
また、電力変換装置100には、Z1方向側から見て、略矩形形状のバスバー110が設けられている。バスバー110は、負側バスバー80と、4つの半導体モジュール(40~43)および2つのダイオードモジュール(50、51)との間に設けられている。
バスバー110は、半導体モジュール41のエミッタ端子41cと、半導体モジュール42のコレクタ端子42bとを導通させるように構成されている。具体的には、バスバー110は、半導体モジュール41の3つのエミッタ端子41cとZ方向に接続される3つの接続端子111を含む。また、バスバー110は、半導体モジュール42のコレクタ端子42bとZ方向に接続される3つの接続端子112を含む。すなわち、半導体モジュール41のエミッタ端子41cと、半導体モジュール42のコレクタ端子42bとは、接続端子111および接続端子112を介して導通している。
なお、バスバー110は、Z1方向側から見て、半導体モジュール41のコレクタ端子41b、および、半導体モジュール42のエミッタ端子42cを取り囲む(端子を露出させる)ように設けられている複数(第1実施形態では6つ)の開口部113が設けられている。また、バスバー110は、Z1方向から見て、半導体モジュール40、半導体モジュール43、ダイオードモジュール50、および、ダイオードモジュール51の各々の端子(一対のコレクタ端子およびエミッタ端子、または、一対のカソード端子およびアノード端子)を取り囲む(端子を露出させる)ように設けられている複数(第1実施形態では10個)の開口部114が設けられている。
また、電力変換装置100には、Z1方向側から見て、略矩形形状のバスバー120と、略矩形形状のバスバー130が設けられている。バスバー120およびバスバー130の各々は、負側バスバー80とバスバー110との間に設けられている。なお、負側バスバー80、バスバー120、バスバー130、および、バスバー110は、図示しない絶縁層を介して積層(ラミネート)されている。また、中間バスバー90、バスバー120、バスバー130、および、バスバー110の各々は、たとえば銅製である。
バスバー120は、半導体モジュール40のエミッタ端子40cと、半導体モジュール41のコレクタ端子41bと、ダイオードモジュール50のカソード端子50bとを導通させるように構成されている。具体的には、バスバー120は、半導体モジュール40の3つのエミッタ端子40cとZ方向に接続される3つの接続端子121を含む。また、バスバー120は、半導体モジュール41の3つのコレクタ端子41bとZ方向に接続される3つの接続端子122を含む。また、バスバー120は、ダイオードモジュール50の2つのカソード端子50bとZ方向に接続される2つの接続端子123を含む。
また、バスバー120は、Z1方向側から見て、半導体モジュール40のコレクタ端子40b、半導体モジュール41のエミッタ端子41c、および、ダイオードモジュール50のアノード端子50cを取り囲む(端子を露出させる)ように設けられている複数(第1実施形態では8つ)の開口部124が設けられている。
バスバー130は、半導体モジュール42のエミッタ端子42cと、半導体モジュール43のコレクタ端子43bと、ダイオードモジュール51のアノード端子51cとを導通させるように構成されている。具体的には、バスバー130は、半導体モジュール42の3つのエミッタ端子42cとZ方向に接続される3つの接続端子131を含む。また、バスバー130は、半導体モジュール43の3つのコレクタ端子43bとZ方向に接続される3つの接続端子132を含む。また、バスバー130は、ダイオードモジュール51の2つのアノード端子51cとZ方向に接続される2つの接続端子133を含む。
また、バスバー130は、Z1方向から見て、半導体モジュール42のコレクタ端子42b、半導体モジュール43のエミッタ端子43c、および、ダイオードモジュール51のカソード端子51bを取り囲む(端子を露出させる)ように設けられている複数(第1実施形態では8つ)の開口部134が設けられている。
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第1実施形態では、上記のように、正極端子72aが、半導体モジュール40の複数のコレクタ端子40bに対して、半導体モジュール40が設けられている領域101とは反対側の領域102側に設けられ、負極端子82aが、半導体モジュール43の複数のエミッタ端子43cに対して、半導体モジュール43が設けられている領域102とは反対側の領域101側に設けられるように、電力変換装置100を構成する。これにより、正極端子72aが、半導体モジュール40の複数のコレクタ端子40bに対して、X方向(進行方向)の一方側に配置されている場合に比べて、正極端子72aと半導体モジュール40の複数のコレクタ端子40bの各々との間の距離の差を比較的小さくすることができる。同様に、負極端子82aと半導体モジュール43の複数のエミッタ端子43cの各々との間の距離の差を比較的小さくすることができる。また、複数のコレクタ端子40b、および、複数のエミッタ端子43cの各々は、X方向に沿って配列されているので、複数のコレクタ端子40b、および、複数のエミッタ端子43cの各々がY方向(枕木方向)に沿って配列されている場合に比べて、複数の半導体モジュール(40~43)を配置するためのスペースのY方向における大きさを比較的小さくすることができる。これにより、Y方向におけるスペースが狭い場合でも、複数の半導体モジュール(40~43)を容易に配置することができる。したがって、これらにより、複数の半導体モジュール(40と42、および、41と43)が配列される列が複数設けられている場合において、半導体モジュール40の複数のコレクタ端子40b同士、および、半導体モジュール43の複数のエミッタ端子43c同士の各々において、流れる電流の大きさを均一化しながら、複数の半導体モジュール(40~43)の配置を容易化することができる。
なお、高速鉄道車両10において、枕木方向におけるスペースは比較的小さいので、複数の半導体モジュール(40~43)を配置するためのスペースのY方向(枕木方向)における大きさを比較的小さくできることは、高速鉄道車両10にとって特に有効である。
また、第1実施形態では、上記のように、正極端子72aは、表面35aに対して垂直な方向から見て、半導体モジュール40が設けられている領域101とは反対側の領域102とオーバーラップするように設けられている。さらに、負極端子82aが、表面35aに対して垂直な方向から見て、半導体モジュール43が設けられている領域102とは反対側の領域101とオーバーラップするように設けられるように、電力変換装置100を構成する。これにより、表面35aに対して垂直な方向から見て、正極端子72aの全体が半導体モジュール40が設けられている領域101からはみ出す場合に比べて、正極端子72a、および、領域102により覆われる領域の面積を比較的小さくすることができる。同様に、表面35aに対して垂直な方向から見て、負極端子82aの全体が半導体モジュール43が設けられている領域102からはみ出す場合に比べて、負極端子82a、および、領域101により覆われる領域の面積を比較的小さくすることができる。したがって、表面35aに対して垂直な方向から見て、複数の半導体モジュール(40~43)、正極端子72a、および、負極端子82aにより覆われる領域の面積が大きくなるのを抑制することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、正極端子72aは、表面35aに対して垂直な方向から見て、半導体モジュール40が配置されている領域101とは反対側の領域102の隙間102bとオーバーラップするように設けられている。さらに、負極端子82aが、表面35aに対して垂直な方向から見て、半導体モジュール43が配置されている領域102とは反対側の領域101の隙間101bとオーバーラップするように、電力変換装置100を構成する。これにより、表面35aに対して垂直な方向から見て、半導体モジュール40が配置されている領域101とは反対側の領域102に設けられる複数の半導体モジュール(41、43)が、正極端子72aにより覆われるのを抑制することができる。その結果、領域102に設けられる複数の半導体モジュール(41、43)の(正極端子72a以外の部分との)接続を容易化することができる。同様に、半導体モジュール43が配置されている領域102とは反対側の領域101に設けられる複数の半導体モジュール(40、42)の(負極端子82a以外の部分との)接続を容易化することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、正側導体電極部72は、正側導体端子部71に対して、半導体モジュール40が設けられている領域101とは反対側の領域102側に設けられている。さらに、負側導体電極部82が、負側導体端子部81に対して、半導体モジュール43が設けられている領域102とは反対側の領域101側に設けられるように、電力変換装置100を構成する。これにより、正側導体電極部72が、正側導体端子部71に対して、X方向の一方側に配置されている場合に比べて、正側導体電極部72に設けられる正極端子72aと、正側導体端子部71に設けられる複数の正側接続端子71aの各々との間の距離を容易に均一化することができる。その結果、表面35aに対して略垂直な方向に複数の正側接続端子71aに接続される半導体モジュール40の複数のコレクタ端子40bの各々と、正極端子72aとの間の距離を容易に均一化することができるととともに、半導体モジュール40の複数のコレクタ端子40bの各々に流れる電流の大きさを容易に均一化することができる。同様に、負側導体電極部82に設けられる負極端子82aと、負側導体端子部81に設けられる複数の負側接続端子81aの各々との間の距離を容易に均一化することができる。その結果、半導体モジュール43の複数のエミッタ端子43cの各々に流れる電流の大きさを容易に均一化することができる。
[第2実施形態]
次に、図9を参照して、第2実施形態による電力変換装置200の構成について説明する。第2実施形態の電力変換装置200は、上記第1実施形態の電力変換装置100と異なり、略L字形状の正側バスバー170および負側バスバー180を備える。なお、上記第1実施形態と同様の構成は、第1実施形態と同じ符号を付して図示するとともに説明を省略する。
(半導体素子群の構成)
図9に示すように、領域101において、X1方向側から、ダイオードモジュール50、半導体モジュール40、半導体モジュール41の順に配置されている。また、領域102において、X1方向側から、ダイオードモジュール51、半導体モジュール43、半導体モジュール42の順に配置されている。
半導体モジュール40、半導体モジュール41、および、ダイオードモジュール50は、互いの間に隙間(101c、101d)が設けられるように配置されている。具体的には、領域101は、半導体モジュール40と半導体モジュール41との間に設けられる隙間101cを含む。また、領域101は、半導体モジュール40とダイオードモジュール50との間に設けられる隙間101dを含む。
半導体モジュール42、半導体モジュール43、および、ダイオードモジュール51は、互いの間に隙間(102c、102d)が設けられるように配置されている。具体的には、領域102は、半導体モジュール42と半導体モジュール43との間に設けられる隙間102cを含む。また、領域102は、半導体モジュール43とダイオードモジュール51との間に設けられる隙間102dを含む。
電力変換装置200は、表面35aに対して略垂直な方向(Z1方向側)から見て、略L字形状を有する正側バスバー170および負側バスバー180を備える。なお、正側バスバー170および負側バスバー180は、それぞれ、特許請求の範囲の「正側導体部」および「負側導体部」の一例である。また、電力変換装置200は、特許請求の範囲の「鉄道車両用電力変換装置」の一例である。
正側バスバー170は、正側導体端子部171と、正側導体端子部171と一体的に形成されている正側導体電極部172とを含む。正側導体電極部172は、正側導体端子部171の角部(Z1方向側から見て右下の角部)から領域102側(Y2方向側)に突出するように設けられている。正側導体電極部172は、正側導体端子部171よりもX2方向側に配置されている。なお、正極端子72aは、Z1方向側から見て、隙間102cとオーバーラップするように設けられている。
負側バスバー180は、負側導体端子部181と、負側導体端子部181と一体的に形成されている負側導体電極部182とを含む。負側導体電極部182は、負側導体端子部181の角部(Z1方向側から見て左上の角部)から領域101側(Y1方向側)に突出するように設けられている。負側導体電極部182は、負側導体端子部181よりもX1方向側に配置されている。なお、負極端子82aは、Z1方向側から見て、隙間101dとオーバーラップするように設けられている。
ここで、第2実施形態では、正側バスバー170および負側バスバー180は、表面35aに対して略垂直な方向(Z1方向側)から見て、正側バスバー170と負側バスバー180とにより覆われる領域が略矩形形状になるように、互いに隣接して設けられている。具体的には、正側導体端子部171は、負側導体端子部181とY方向に隣接するとともに、負側導体電極部182とX方向に隣接するよう設けられている。また、負側導体端子部181は、正側導体電極部172とX方向に隣接するように設けられている。
また、電力変換装置200には、表面35aに対して略垂直な方向(Z1方向側)から見て、略矩形形状を有する中間バスバー190が設けられている。中間バスバー190は、正側バスバー170および負側バスバー180と、4つの半導体モジュール(40~43)および2つのダイオードモジュール(50、51)との間に設けられている。正側バスバー170および負側バスバー180の各々は、中間バスバー190の表面90a上に、図示しない絶縁層を介して積層(ラミネート)されている。
中間バスバー190において、中間端子91aは、Z1方向側から見て、隙間102dとオーバーラップするように設けられている。また、中間バスバー190において、中間端子92aは、Z1方向側から見て、隙間101cとオーバーラップするように設けられている。
また、中間バスバー190には、半導体モジュール40~43の各々のバイポーラ素子(40a~43a)を取り囲む(端子を露出させる)ように設けられている複数(第2実施形態では12個)の開口部94が設けられている。
また、電力変換装置200には、Z1方向側から見て、略矩形形状のバスバー210と、略矩形形状のバスバー220と、略矩形字形状のバスバー230とが設けられている。
なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第2実施形態では、上記のように、表面35aに対して略垂直な方向から見て、正側バスバー170と負側バスバー180とにより覆われる領域が略矩形形状になるように、正側バスバー170および負側バスバー180が互いに隣接して設けられるように、電力変換装置200を構成する。これにより、正側バスバー170および負側バスバー180が組み合わされるように配置されるので、正側バスバー170および負側バスバー180が互いに離間して配置されている場合に比べて、正側バスバー170および負側バスバー180が配置される領域を比較的小さくすることができる。その結果、正側バスバー170および負側バスバー180の周りに、他の部材を容易に配置することができる。
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
たとえば、上記第2実施形態では、正側導体電極部172が正側導体端子部171よりもX2方向側に配置されているとともに、負側導体電極部182が負側導体端子部181よりもX1方向側に配置されている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、正側導体電極部が正側導体端子部とY方向に沿って隣接して配置されているとともに、負側導体電極部が負側導体端子部とY方向に沿って隣接して配置されていてもよい。
具体的には、図10に示すように、電力変換装置300は、正側バスバー270と、負側バスバー280とを備える。正側バスバー270は、正側接続端子71aおよび開口部71bが設けられる正側導体端子部271と、正極端子72aが設けられる正側導体電極部272とを含む。また、負側バスバー280は、負側接続端子81aおよび開口部81bが設けられる負側導体端子部281と、負極端子82aが設けられる負側導体電極部282とを含む。なお、正側バスバー270および負側バスバー280は、それぞれ、特許請求の範囲の「正側導体部」および「負側導体部」の一例である。また、電力変換装置300は、特許請求の範囲の「鉄道車両用電力変換装置」の一例である。
ここで、正側導体電極部272は、正側導体端子部271とY方向に沿って隣接して配置されている。具体的には、正側導体電極部272は、正側導体端子部271の最もX2方向側に設けられる正側接続端子71aおよび開口部71bのY1方向側に配置されている。また、負側導体電極部282は、負側導体端子部281とY方向に沿って隣接して配置されている。具体的には、負側導体電極部282は、負側導体端子部281の最もX1方向側に設けられる負側接続端子81aおよび開口部81bのY2方向側に配置されている。
なお、図10では、領域101において、X1方向側から、ダイオードモジュール50、半導体モジュール43、半導体モジュール42の順に配置されている。また、領域102において、X1方向側から、半導体モジュール41、半導体モジュール40、ダイオードモジュール51の順に配置されている。
また、中間バスバー290は、正側バスバー270および負側バスバー280と、4つの半導体モジュール(40~43)および2つのダイオードモジュール(50、51)との間に設けられている。正側バスバー270および負側バスバー280の各々は、中間バスバー290の表面90a上に、図示しない絶縁層を介して積層(ラミネート)されている。
また、電力変換装置300には、Z1方向側から見て、略矩形形状のバスバー410と、略L字形状のバスバー320と、略L字形状のバスバー330とが設けられている。バスバー320およびバスバー330は、互いに組み合わされることによって略矩形形状になるように並んで配置されている。なお、バスバー320は、バスバー330に対して、X1方向側に配置されている。バスバー410は、バスバー320およびバスバー330のZ2方向側に配置されている。
また、上記第2実施形態では、正側バスバー170(正側導体部)および負側バスバー180(負側導体部)の各々が略L字形状を有する例を示したが、本発明はこれに限られない。正側バスバー(正側導体部)および負側バスバー(負側導体部)の各々は、略矩形形状を有していてもよい。
具体的には、図11に示すように、電力変換装置400は、略矩形形状の正側バスバー370と、略矩形形状の負側バスバー380とを備える。正側バスバー370は、3つの正側接続端子71aおよび3つの開口部71bが設けられる正側導体端子部371と、正極端子72aおよび2つの開口部72bが設けられる正側導体電極部372とを含む。また、負側バスバー380は、3つの負側接続端子81aおよび3つの開口部81bが設けられる負側導体端子部381と、負極端子82aおよび2つの開口部82bが設けられる負側導体電極部382とを含む。なお、正側バスバー370および負側バスバー380は、それぞれ、特許請求の範囲の「正側導体部」および「負側導体部」の一例である。また、電力変換装置400は、特許請求の範囲の「鉄道車両用電力変換装置」の一例である。
図11では、領域101において、X1方向側から、ダイオードモジュール51、半導体モジュール42、半導体モジュール40の順に配置されている。また、領域102において、X1方向側から、半導体モジュール43、半導体モジュール41、ダイオードモジュール50の順に配置されている。なお、この場合、ダイオードモジュール50およびダイオードモジュール51は、それぞれ、特許背球の範囲の「第2ダイオード素子部」および「第1ダイオード素子部」の一例である。
また、正側バスバー370および負側バスバー380と、4つの半導体モジュール(40~43)および2つのダイオードモジュール(50、51)との間には、略矩形形状の中間バスバー390が設けられている。正側バスバー370および負側バスバー380の各々は、中間バスバー390の表面90a上に、図示しない絶縁層を介して積層(ラミネート)されている。
ここで、中間バスバー390の中間端子91aは、ダイオードモジュール51の2つのカソード端子51bに対して、ダイオードモジュール51が設けられている領域101とは反対側の領域102側に設けられている。具体的には、中間端子91aは、線分αに対して、Y2方向側に設けられている。なお、中間端子91aは、特許請求の範囲の「第1中間端子」の一例である。
また、中間端子92aは、ダイオードモジュール50の2つのアノード端子50cに対して、ダイオードモジュール50が設けられている領域102とは反対側の領域101側に設けられている。具体的には、中間端子92aは、線分αに対して、Y1方向側に設けられている。なお、中間端子92aは、特許請求の範囲の「第2中間端子」の一例である。
具体的には、中間端子91aは、表面35aに対して垂直な方向(Z1方向側)から見て、ダイオードモジュール51が設けられている領域101とは反対側の領域102とオーバーラップするように設けられている。詳細には、中間端子91aは、Z1方向側から見て、領域102の、半導体モジュール41と半導体モジュール43との間の隙間とオーバーラップするように設けられている。
また、中間端子92aは、表面35aに対して垂直な方向(Z1方向側)から見て、ダイオードモジュール50が設けられている領域102とは反対側の領域101とオーバーラップするように設けられている設けられている。詳細には、中間端子92aは、Z1方向側から見て、領域101の、半導体モジュール40と半導体モジュール42との間の隙間とオーバーラップするように設けられている。
これにより、中間端子91aとダイオードモジュール51の複数のカソード端子51bの各々との間の距離を均一化することができる。また、中間端子92aとダイオードモジュール50の複数のアノード端子50cの各々との間の距離を均一化することができる。その結果、ダイオードモジュール51の複数のカソード端子51bの各々に流れる電流の大きさを均一化することができる。また、ダイオードモジュール50の複数のアノード端子50cの各々に流れる電流の大きさを均一化することができる。
また、表面35aに対して垂直な方向から見て、中間端子91aの全体が領域102からはみ出す場合に比べて、中間端子91a、および、領域102により覆われる領域の面積を比較的小さくすることができる。また、表面35aに対して垂直な方向から見て、中間端子92aの全体が領域101からはみ出す場合に比べて、中間端子92a、および、領域101により覆われる領域の面積を比較的小さくすることができる。
また、電力変換装置400には、Z1方向側から見て、略矩形形状のバスバー510と、略L字形状のバスバー420と、略L字形状のバスバー430とが設けられている。バスバー420およびバスバー430は、互いに組み合わされることによって略矩形形状になるように並んで配置されている。なお、バスバー420は、バスバー430に対して、X2方向側に配置されている。バスバー510は、バスバー420およびバスバー430のZ2方向側に配置されている。
また、図12に示すように、電力変換装置500では、図11の構成に加えて、正側バスバー470が切り欠き部71cを含むとともに、負側バスバー480が切り欠き部81dを含む。なお、切り欠き部71cおよび切り欠き部81dは、それぞれ、特許請求の範囲の「第1切り欠き部」および「第2切り欠き部」の一例である。
具体的には、正側バスバー470は、3つの正側接続端子71a、2つの開口部71b、および、切り欠き部71cが設けられる正側導体端子部471と、正極端子72aおよび2つの開口部72bが設けられる正側導体電極部472とを含む。また、負側バスバー480は、3つの負側接続端子81a、2つの開口部81b、および、切り欠き部81dが設けられる負側導体端子部481と、負極端子82aおよび2つの開口部82bが設けられる負側導体電極部482とを含む。なお、正側バスバー470および負側バスバー480は、それぞれ、特許請求の範囲の「正側導体部」および「負側導体部」の一例である。また、電力変換装置500は、特許請求の範囲の「鉄道車両用電力変換装置」の一例である。
切り欠き部71cは、複数の正側接続端子71aのうち、正極端子72aに最も近接して配置される正側接続端子71aと正極端子72aとの間に設けられる。切り欠き部81dは、複数の負側接続端子81aのうち、負極端子82aに最も近接して配置される負側接続端子81aと負極端子82aとの間に設けられる。
切り欠き部71cは、略矩形形状の正側バスバー470の、X1方向側の(Y方向に延びる)辺70aに設けられている。また、切り欠き部71cのX2方向側の端部71dは、3つの正側接続端子71aのうち最もX1方向側に配置されている正側接続端子71aよりもX2方向側に位置している。
これにより、正極端子72aから、3つの正側接続端子71aのうち最もX1方向側に配置されている正側接続端子71aへの電流の経路は、切り欠き部71cを迂回するように形成される。なお、正極端子72aから、3つの正側接続端子71aのうちX2方向側に配置されている2つの正側接続端子71aまでの電流の経路は、切り欠き部71cの有無によりほとんど影響を受けない。これにより、電流が、切り欠き部71cを迂回するように流れるので、切り欠き部71cが設けられていない場合に比べて、正極端子72aに最も近接して配置される正側接続端子71aと正極端子72aとの間の電流経路の長さを比較的長くすることができる。その結果、正極端子72aと、複数の正側接続端子71aの各々との間の電流経路の長さを、さらに均一化することができる。
また、切り欠き部81dは、略矩形形状の負側バスバー480の、X2方向側の(Y方向に延びる)辺80aに設けられている。また、切り欠き部81dのX1方向側の端部81eは、3つの負側接続端子81aのうち最もX2方向側に配置されている負側接続端子81aよりもX1方向側に位置している。
これにより、負極端子82aから、3つの負側接続端子81aのうち最もX2方向側に配置されている負側接続端子81aへの電流の経路は、切り欠き部81dを迂回するように形成される。なお、負極端子82aから、3つの負側接続端子81aのうちX1方向側に配置されている2つの負側接続端子81aまでの電流の経路は、切り欠き部81dの有無によりほとんど影響を受けない。これにより、電流が、切り欠き部81dを迂回するように流れるので、切り欠き部81dが設けられていない場合に比べて、負極端子82aに最も近接して配置される負側接続端子81aと負極端子82aとの間の電流経路の長さを比較的長くすることができる。その結果、負極端子82aと、複数の負側接続端子81aの各々との間の電流経路の長さを、さらに均一化することができる。
なお、切り欠き部71cの代わりに、正側バスバー470に第1穴部が設けられ、切り欠き部81dの代わりに、負側バスバー480に第2穴部が設けられていてもよい。
また、本発明では、上記第1および第2実施形態のモジュールの配置に限られない。たとえば、図13(a)に示すように、領域101では、X1方向側から順に、ダイオードモジュール50、半導体モジュール41、半導体モジュール40の順に配置されている。また、領域102では、X1方向側から順に、半導体モジュール43、半導体モジュール42、ダイオードモジュール51の順に配置されている。
また、図13(b)に示すように、領域101では、X1方向側から順に、半導体モジュール41、ダイオードモジュール50、半導体モジュール40の順に配置されている。また、領域102では、X1方向側から順に、半導体モジュール43、ダイオードモジュール51、半導体モジュール42の順に配置されている。
また、図14(a)に示すように、領域101では、X1方向側から順に、半導体モジュール42、ダイオードモジュール50、半導体モジュール40の順に配置されている。また、領域102では、X1方向側から順に、半導体モジュール43、ダイオードモジュール51、半導体モジュール41の順に配置されている。
また、図14(b)に示すように、領域101では、X1方向側から順に、半導体モジュール41、ダイオードモジュール51、半導体モジュール40の順に配置されている。また、領域102では、X1方向側から順に、半導体モジュール43、ダイオードモジュール50、半導体モジュール42の順に配置されている。なお、この場合、ダイオードモジュール50およびダイオードモジュール51は、それぞれ、特許請求の範囲の「第2ダイオード素子部」および「第1ダイオード素子部」の一例である。
また、図15(a)に示すように、領域101では、X1方向側から順に、半導体モジュール41、ダイオードモジュール51、半導体モジュール40の順に配置されている。また、領域102では、X1方向側から順に、半導体モジュール42、ダイオードモジュール50、半導体モジュール43の順に配置されている。なお、この場合、ダイオードモジュール50およびダイオードモジュール51は、それぞれ、特許請求の範囲の「第2ダイオード素子部」および「第1ダイオード素子部」の一例である。
また、図15(b)に示すように、領域101では、X1方向側から順に、半導体モジュール42、ダイオードモジュール51、半導体モジュール40の順に配置されている。また、領域102では、X1方向側から順に、半導体モジュール43、ダイオードモジュール50、半導体モジュール41の順に配置されている。なお、この場合、ダイオードモジュール50およびダイオードモジュール51は、それぞれ、特許請求の範囲の「第2ダイオード素子部」および「第1ダイオード素子部」の一例である。
また、図示しないが、半導体モジュール40(第1半導体素子部)と半導体モジュール43(第2半導体素子部)とがX方向に配列されるとともに、半導体モジュール41と半導体モジュール42とがX方向に配列されていてもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、インバータ部およびコンバータ部において、端子(正極端子および負極端子等)を、導通するモジュールの端子に対して反対側の領域に配置する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、チョッパ部などにおいて、上記のような配置構成をとってもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、電力変換装置100(200)は、3レベルの電力変換装置である例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、3レベル以上の電力変換装置であってもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、電力変換装置100(200)が、高速鉄道車両10(鉄道車両)に設けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、鉄道車両以外の移動体、または、移動体以外に設けられていてもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、正極端子72aの全体が領域102(第2の領域)とオーバーラップするように設けられる例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、正極端子72aが、領域101(第1の領域)および領域102(第2の領域)に跨っていてもよい。同様に、負極端子82aおよび中間端子(91a、92a)の各々が、領域101(第1の領域)および領域102(第2の領域)に跨っていてもよい。
また、上記第2実施形態では、正側バスバー170(正側導体部)および負側バスバー180(負側導体部)の各々が、略L字形状を有する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、正側バスバー170(正側導体部)および負側バスバー180(負側導体部)の各々が、略T字形状を有していてもよい。
また、上記第1(第2)実施形態では、半導体モジュール(40~43)(半導体素子部)の各々は、3つのバイポーラ素子(40a~43a)を含む例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、半導体モジュール(40~43)(半導体素子部)の各々は、2つ、または、4つ以上のバイポーラ素子(40a~43a)を含んでいてもよい。また、ダイオードモジュール(50、51)(第2ダイオード素子部、第1ダイオード素子部)の各々は、3つ以上のダイオード素子(50a、51a)を含んでいてもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、半導体モジュール(40~43)(半導体素子部)の各々には、バイポーラ素子(40a~43a)が含まれている例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、半導体モジュール(40~43)(半導体素子部)の各々には、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)が含まれていてもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、バイポーラ素子およびダイオード素子の各々が、モジュールに収容されている例を示したが、本発明はこれに限られない。バイポーラ素子およびダイオード素子の各々が、モジュールに収容されていなくてもよい。