JP7138632B2 - 炭化水素燃料を分解するためのプロセスおよび装置 - Google Patents

炭化水素燃料を分解するためのプロセスおよび装置 Download PDF

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Description

本発明は、水素ガスおよび場合によっては炭素質生成物を形成する、炭化水素燃料を分解するためのプロセスに関する。本発明はさらに、本発明のプロセスを行うことができる装置に関する。
天然ガスおよびその誘導体のいくつかは、熱および電気へ転換されることによって、最も一般的にエネルギー用途に使用されている。ほとんど例外なく、この転換は燃焼プロセスで開始され、燃焼プロセスでは、燃料ガス中の水素および炭素を水蒸気およびCO2に転換することによって、燃料ガスのいわゆる発熱量(heating value)が放出される。この反応を行うのに必要な酸素は、典型的には、大気に由来する。天然ガスは通常、80%を超えるメタンを含有しており、従って、燃焼は以下の全反応式によって表され得る。
CH4+2O2→CO2+2H2
この燃焼では、メタンから50,000kJ/kgの発熱量を得る。しかしながら、この燃焼の主な欠点は、環境に有害なCO2の生成である。
水素は、軽量であり、質量に対してエネルギーリターン(120,000kJ/kg)が高く、無害な燃焼生成物(水蒸気)を生成するので、魅力的な燃料源である。しかしながら、水素は大気中に大量に存在しないため、生成しなければならない。
世界の現在の水素ニーズの大部分は、炭化水素の水蒸気改質によって満たされている。このプロセスは、以下の反応(メタンの場合)によって表すことができる。
CH4+2H2O→4H2+CO2 (I)
メタンおよび水素の発熱量は、それぞれ、およそ50,000kJ/kgおよび120,000kJ/kgである。従って、プロセス(I)では、10,000kJ/kg・CH4の発熱量を得、別の観点では、5.56kWh/kg・生成H2の発熱量を得る。しかしながら、生成されるH21kgあたり、5.5kgのCO2が放出される。
水素は、水の電気分解によっても生成でき、それは以下の反応によって表すことができる。
2H2O→2H2+O2 (II)
水素の発熱量は、およそ120,000kJ/gである。従って、プロセス(II)では、13,200kJ/kg・H2Oの発熱量を得、別の観点では、3.67kWh/kg・H2Oの発熱量を得、別の観点では、33.33kWh/kg・生成H2の発熱量を得る。
水素は炭化水素の熱分解によっても生成でき、それは以下の反応(メタンの場合)によって表すことができる。
CH4→C+2H2 (III)
メタン、炭素、および水素の発熱量はそれぞれ、およそ、50,000kJ/kg、33,000kJ/kg、および120,000kJ/kgである。従って、プロセス(III)では、4,750kJ/kg・CH4の発熱量を得、別の観点では、5.28kWh/kg・生成H2の発熱量を得る(生成された炭素が燃焼される場合)。これは、プロセス(I)に対する値と同様の値である。プロセス(III)ではさらに、生成水素1Kgあたり3kgの産業上有用なカーボンブラックが生成され、CO2生成は、炭素生成物を燃焼しないことによって回避され得る。
プロセス(III)では、無毒な燃料として使用できる水素が得られ、さらに、産業における用途が多数あるカーボンブラック(炭素質生成物)が得られるので、魅力的である。カーボンブラックの主な用途は、自動車タイヤ中の顔料および補強剤としてのものである。さらに、コーティングおよびプラスチック中の添加剤や、インク中の顔料にも適用される。
プロセス(III)は、当該技術分野において公知の方法において使用されてきた。WO99/58614は、低レベルの酸素の存在下で燃料ガスを熱によって分解し、主な生成物として水素ガスおよびカーボンブラックを生成するプロセスを記載している。これは、炎(典型的には、酸素を用いた炭化水素炎)を導入することにより、反応器中において約1000~2000℃の温度に炭化水素燃料を加熱することによって達成される。高熱のこれらの局所的なエリアは、炭化水素燃料の分解反応を起こす。このプロセスには酸素がいくらか存在するので、炭化水素燃料の、酸化生成物(CO、CO2およびH2O)へのある程度の転換は避けられない。
WO00/21878は、見かけ上無酸素のプロセスを記載しており、そのプロセスでは、炭化水素ガスが、微細に分割された炭素触媒を含有する反応チャンバにおいて300~2000℃の温度で熱分解される。反応チャンバは、外部の加熱コイルまたは他の高温プロセスからの熱によって加熱でき、温度勾配で運転される。炭素触媒を包含することは、分解反応によって形成された炭素質生成物の均一性を改善するのに役立つことが分かる。
WO93/20152は、炭化水素ガスが反応チャンバにおいて熱分解される、見かけ上無酸素のプロセスを記載する。記載されたプロセスでは、1000~2000℃の間の温度にある反応器に炭化水素ガスを供給するための供給チャネルを反応器の壁に組み込むことによって、生成される生成物の制御が改善される、と述べられている。反応器内のプラズマトーチは、反応器中のどこか別の箇所に形成される分解生成物の核として働く分解生成物を生成する。これにより、作られる炭素質生成物の性質および生成を制御することが可能になる。
しかしながら、これらの先行技術の方法では、水素生成は最適とならない。本発明は、連続プロセスで生成されるH2を最大化し、反応器内の反応時間を低減してスループットを増加させ、さらに、粒径の均一性の点で高品質のカーボンブラックを製造する方法を提供する。
ここで、驚いたことに、炭化水素燃料の水素ガスおよび炭素質生成物への分解が、優れた転換レベルで、且つ単純化された反応器の構成を使用して達成できることが分かった。分解は、約1600℃で生じる。しかしながら、本発明のプロセスは、ガスを均一に加熱する放射熱によって、2000℃を越える特に高い平均温度に炭化水素燃料を加熱することを含む。2000℃を上回る温度へのバルクの炭化水素ガスの加熱は、以前には開示されていない(発明者らが知る限り)。より高い温度に加熱することは、ガスの動粘性率を増加させ、その結果、層流をもたらすことが分かった。これは、燃料が非乱流様式で流れることを確実にし、ガスのすべてがその所望の反応生成物へ効率的に分解されるように、放射熱がガスのすべてを効率的に高温に加熱することを可能にする。
そのようなプロセスは、2000℃を下回る温度を利用する従来の分解プロセスと比較してより高いエネルギーを必要とするが、発明者らは、これらのエネルギー所要量を相殺するよりも大きい、より高い転換率を実証した。
図1は、本発明の装置(反応器)中の反応チャンバおよび加熱領域を図示する。加熱領域の横断面図も図示される。反応器壁は、外部熱源によって加熱され、流れている炭化水素ガスへ熱を放射する。 図2は、加熱領域に入る前に、上流の炭化水素燃料ガスが予熱される配置を図示する。 図3は、本発明の反応器中の加熱領域の一部を図示する。電気素子または燃料の燃焼によって反応器壁が加熱される。反応器を絶縁することによって、熱損失を最小限にでき、反応チャンバ壁のみを介した伝導による熱の流れを確保できる。
(発明の概要)
1つの態様において、本発明は、炭化水素燃料から水素ガスおよび場合によっては炭素質生成物を製造する方法を提供し、その方法は、
反応器の反応チャンバであって、少なくとも1つの壁と熱源によって加熱される加熱領域とを有する反応チャンバへ前記燃料の流れを導入すること、および
前記炭化水素燃料の熱分解を生じさせ、前記水素ガスおよび場合によっては前記炭素質生成物を生成するために、前記加熱領域中の前記燃料を加熱すること、を含み、
前記反応チャンバ中のC:O(mol/mol)の比は20:1よりも大きい、方法であって、
前記熱源は、前記加熱領域中の前記炭化水素燃料を、放射熱によって(放射熱伝達によって)2000℃よりも高い平均温度に加熱することを特徴とする。他の態様として、本発明は、上記の方法ステップを含む、炭化水素燃料の熱分解の方法を提供する。
別の態様において、本発明は装置を提供し、その装置は、
少なくとも1つの壁と熱源によって加熱できる加熱領域とを有する反応チャンバ、
炭化水素燃料の流れが前記反応チャンバへ入ることを可能にする1つ以上の入口、
固体生成物とガス状生成物とを分離するための捕集チャンバ、および、
ガス状生成物が反応チャンバから出るための1つ以上の出口、を含む、装置であって、
前記熱源は、使用時において、前記加熱領域中の炭化水素燃料を、放射熱によって(放射熱伝達によって)2000℃よりも高い平均温度に加熱できること、および、
前記少なくとも1つの反応チャンバ壁の融点が、2000℃よりも高いこと、を特徴とする。
ここで、発明者らは、酸素がない状態で、既存のプロセスによって達成されるよりも転換が良好で、かつ炭素質生成物および水素の収率が一定である炭化水素燃料の分解を達成できることを実証した。これは、先行技術の方法によって一般的に意図される温度よりも高い平均温度に炭化水素ガスを加熱し、反応器内の酸素含有量を低いか無視できるレベルに維持し、熱源からの放射熱を与えることにより炭化水素ガスの均一な加熱を確保することによって、達成される。本プロセスはさらに、反応器の設計を単純化することを可能にする。
[反応器および一般的な定義]
本発明の熱分解(分解)反応は、反応チャンバを含む反応器(ここでは、装置とも称される)の中で行われる。反応チャンバは、典型的には、炭化水素燃料を受け入れるための少なくとも1つの入口を有する。反応チャンバ自体は、好ましくは、1つ以上の反応チャンバ壁によって画定された細長い空洞である。反応チャンバ壁(reaction chamber wall)は通常、反応器壁(reactor wall)と同じであり、且つ同一の広がりを占める。単一の反応チャンバ壁を有する円筒状のチャンバが好ましい。
加熱領域は、反応チャンバ中にある。加熱領域は典型的には、燃料の入口から始まるかまたはそのすぐ後から始まり、反応チャンバの少なくとも一部にまで延びており、好ましくは反応チャンバ壁に接している。当該一部は、反応チャンバの内部エリアの50%よりも大きい(例えば60、70、80または90%よりも大きい)ものであってもよい。従って、例えば、加熱領域は、反応チャンバの2つの平行な断面(parallel cross-sections)間のエリアによって表されてもよく、その場合、反応チャンバ壁は、好ましくは、断面間の加熱領域の境界を与える。断面は、上記のような一部を与えるように選択される。円筒状のチャンバが与えられる場合、加熱領域は、円筒の空間的に分離した2つの円形断面と反応チャンバ壁とによって表されてもよい。
加熱領域の目的は、炭化水素燃料(ガス)が水素ガスおよびカーボンブラックに分解する均一な温度まで、ガスを加熱することを可能にすることである。熱は、以下でより詳細に説明される熱源によって加熱された加熱物体(heated object)から、放射熱伝達によって加熱領域にもたらされる。加熱される反応チャンバの部分は、加熱領域と同じであってもよいし、それより大きくてもよい。加熱領域内のガスの温度は、その領域の全体にわたって実質的に同じ(加熱下にあるとき)であるか、または、平均温度に対してここで示された変動を有する。従って、反応チャンバのいくつかのエリアは、熱源からの放射熱にさらされるかもしれないが、反応チャンバの他のところ(例えば、入口および出口の周囲、または、熱源の末端)で達成される加熱と同じレベルには到達しない。これらのエリアは、加熱領域の一部を形成しない。
放射熱伝達(radiative heat transfer)は、表面からの熱放射(thermal radiation)または放射熱(radiated heat)によって達成され、加熱物体の表面から放射される放射熱エネルギー(電磁放射の形式で)による加熱のことを指す。物体は、好ましくは、反応チャンバ壁または加熱素子のような固体である。発せられた放射熱エネルギーは、シュテファン・ボルツマンの法則によって表される。
ここで使用されるように、反応チャンバの加熱領域に入っていない炭化水素燃料ストリームは「上流」と称され、反応チャンバの加熱領域を出る熱いガスは「下流」と称される。下流ガスは「反応生成物」とも称され、下流には、炭化水素燃料、水素およびカーボンブラックの混合物(恐らく水素およびカーボンブラックのみ)が存在することが理解されるであろう。
反応器はさらに、典型的には、他の生成物から炭素質生成物を分離するための下流の捕集チャンバと、反応器から水素(および場合によっては他のガス状生成物または未反応燃料)を除去することができる1つ以上の出口とを含む。捕集チャンバは、典型的には、水素ガスから炭素質物質を分離するためのフィルタを含む。反応器はさらに、ガスの温度を制御するための手段(例えば、熱源へのフィードバックを備えるガスの温度を決定するための手段、例えば、所定の温度レベル内にガスを維持する加熱素子)を含んでもよい。
入口および出口はそれぞれ、反応チャンバ内の加熱領域の上流および下流に設けられる。1つの実施形態では、反応チャンバは、円筒の2つの開放端がそれぞれ入口および出口を与える、端部が開放された円筒である(チャンバの直径に比べて先細りになっている場合もあればそうでない場合もある)。この実施形態では、加熱領域は、入口と出口との間の円筒の一部(例えば、長さまたは体積の50、60、70、80または90%よりも大きい)である。
本プロセスは、単一の反応チャンバ内で行われてもよいし、単一の反応器または複数の反応器の中に並列または直列に配置された2つ以上の反応チャンバ(上記の特徴を有する2つ以上の反応チャンバ)内で行われてもよい。反応チャンバはそれぞれ、それ自体の入口および出口を有する。本プロセスは、バッチ的に行われてもよいし、または連続的に行われてもよいが、好ましくは連続的に運転される。
[炭化水素燃料]
炭化水素燃料は、市販のまたは容易に入手可能な任意の炭化水素であって、20℃の温度および1バール(bar)の圧力でガス状、液状、または固体であるが、1000℃の温度でガス状であり、熱分解されやすい炭化水素のことを指す。ガス状および液状の炭化水素(特にガス状炭化水素)が、固体炭化水素は質量比で水素の割合が低い傾向があるため、固体炭化水素よりも好ましい。ここで述べる熱分解(pyrolytic decomposition)(または分解)とは、燃焼および酸素の関与がない、有機物質の熱分解(thermal decomposition)である。メタンの熱分解は、上記の式(III)に記した通りである。
反応チャンバへ投入される炭化水素燃料中の酸素レベルが、低いレベルまたは好ましくは無視できるレベルに維持されることが重要である。この理由は2つある。第1に、反応チャンバ内に存在するいかなる酸素は、生成された炭素および水素と反応する傾向があり、そのため、望ましい生成物である水素ガスおよびカーボンブラックの収率を減らす。第2に、本発明のプロセスで使用される特に高い温度において、酸素は、反応チャンバ壁と反応する傾向がある。タングステンを含む反応チャンバ壁の場合(後のセクションで記載される特に好ましい選択肢)には、炭化水素燃料に酸素が含まれているときに、反応チャンバ壁上に多量のタングステン酸化物が形成されることに、本発明者らは気付いた。
本発明のプロセスにおいて使用される炭化水素燃料のC:Oの比(mol/mol)は、20:1よりも大きい(すなわち、Cは少なくとも20倍モル過剰である)。C:Oの比は好ましくは、50:1よりも大きく、特に100:1よりも大きい。この比は、いくつかの実施形態において、200:1よりも大きくてもよく、500:1よりも大きくてもよく、または1000:1よりも大きくてもよい。炭化水素燃料の由来に応じて、燃料は、その酸素含有量を適切に低レベルとするために、前処理を必要としてもよい。これは、当該技術分野において周知の手段(例えば酸素スクラバー)によって達成できる。
本発明で使用される炭化水素燃料の性質は、酸素のレベルが低レベルに維持される限り、特に限定されない。従って、炭化水素燃料は、ガス田から直接来てもよいし、または、本発明のプロセスで使用される前に精製されてもよい。1つの実施形態において、燃料はバイオガスであってもよい。最も好ましくは、燃料は、メタンを含むか、メタンからなるか、実質的にメタンからなる。好ましい一実施形態において、燃料は天然ガスである。
炭化水素燃料は、反応チャンバに、大気圧で供給されてもよいし、大気圧を下回る圧力で供給されてもよいし、大気圧を上回る圧力で供給されてもよい。典型的には、燃料は、大気圧または大気圧を上回る圧力で供給され、反応チャンバ内においてその圧力で維持される。反応チャンバに与えられ、かつ/または存在する燃料についての圧力の適切な範囲は、0.1~20バールの間(例えば0.5~15バールの間または1~10バールの間)にある。大気圧またはそれよりわずかに高い炭化水素圧力が、本発明における使用に特に適している。すなわち、炭化水素燃料は、1~5バールまたは1~2バールの間の圧力(1.5バール±0.5バールの圧力が特に適している)で、反応チャンバ内において、供給および/または加熱されてもよい。
炭化水素燃料は、1つ以上の入口を介して、流れとして反応チャンバへ導入される。ここで述べる流れ(flowing stream)とは、ある期間にわたって多くのガスを導入することを指す。好ましくは、流速は一定であり、連続的な流れがチャンバへ与えられる。しかしながら、流速は、必要に応じて変えてもよく、かつ/または、ガスの不連続なストリームが与えられてもよい。便宜上、反応チャンバ体積の合計(反応チャンバ体積の合計は、複数の反応チャンバが使用される場合に、個々の反応チャンバそれぞれを合わせた合計体積である)が1リットルである反応器に対して、炭化水素燃料は、25~200リットル燃料/分/反応チャンバ1リットル(好ましくは、50~100リットル燃料/分/反応チャンバ1リットル)の流速で反応チャンバに供給される。これらの流速は、所定の体積の反応チャンバに対して線形に外挿(extrapolated linearly)でき、例えば1m3の合計反応チャンバ体積を有する反応器に対して、合計炭化水素流速は、25~200m3燃料/分(好ましくは50~100のm3燃料/分)であってもよい。これらの高い流速は、反応チャンバを通る燃料の通過が迅速であることを確実にする。この迅速な流れにもかかわらず、本発明の方法における短い反応時間のおかげで、熱分解が達成される。
ガスは、好ましくは、反応チャンバに入る前に予熱される。好ましくは、ガスは、その熱分解温度を下回る温度に加熱される。従って、反応チャンバに入る炭化水素燃料は、好ましくは1000℃以下(好ましくは900℃以下)の温度に加熱される。500~900℃または600~800℃の範囲にある温度が特に適している。
1つの態様では炭化水素燃料は反応器中において熱源のみによって加熱されるが、特に好ましい一実施形態において、入力燃料は、反応チャンバの加熱領域の下流の熱いガスとの熱交換によって部分的にまたは完全に加熱される。そのような配置は、反応器の運転経費を最小限にし、燃料生成効率を改善する。従って、本発明の方法の好ましい一態様において、熱い下流ガスからの熱伝達が、反応チャンバの上流の炭化水素燃料を予熱するために使用される。当業者であれば、この熱回収を達成するのに適した構成を知っているであろう。例えば、燃料の入口は、加熱領域の下流、例えば加熱素子の下流(次のセクションで記載されるように)の、反応器の一部と接することができる。1つの実施形態では、炭化水素燃料の予熱は、熱い反応副生成物を急冷(冷却)することによって付随的に達成される。本発明の反応器(および方法)はさらに、加熱素子が、使用時に、後の分が反応チャンバに入る前に炭化水素燃料を予熱するように適合していてもよい。
[加熱条件]
本発明において、加熱領域中の燃料(ガス)は、2000℃よりも高い(好ましくは2200℃よりも高く、例えば2400℃よりも高い)平均温度に加熱される。平均温度の上限は、実質的に、反応チャンバ壁(および反応チャンバの中にあってもよい他の構成要素、例えば加熱素子)の温度耐性のみによって制限されるが、3500℃まで(例えば3300℃まで)であってもよい。好ましい一態様では、加熱領域中の炭化水素燃料の平均温度は、2000~4500℃の範囲(好ましくは2500~4000℃の範囲)にある。範囲は、それから平均温度(例えば2500℃)が選ばれてもよい範囲のことを指す。
上記の温度は平均温度である。ここで述べる平均温度とは、任意の特定の時点における加熱領域中のガスすべての平均温度のことを指す。従って、ガスストリーム内の異なる場所における温度は、任意の特定の時点において異なっていてもよく、すなわち、径方向の温度分布におけるある程度の変動は避けられないことが認識されるべきである。しかしながら、その変動は、できるだけ小さいことが好ましい。従って、好ましい一態様において、加熱領域中の炭化水素燃料の温度は、異なる場所において異なっており、それぞれの温度は、平均温度から、250℃を超えない範囲で離れており、好ましくは100℃を超えない範囲で離れている。
加熱領域内の温度は、当該技術分野において公知の手段によって(例えば高温計の使用、または希釈法によって)、測定できる。2500℃を越える温度を測定できる高温計は、市販で入手可能である。あるいは、希釈法では、既知の体積のガスを加熱領域の一部から取り出し、既知の初期温度にある既知の体積の不活性ガスで希釈することができる。得られた混合物の温度は、加熱領域から取得されたガスの初期温度を計算するために使用できる。
本発明のプロセスにおいて、ガスの加熱は、実質的に、加熱物体(熱源によって直接的または間接的に加熱された)(例えば、加熱物体は反応チャンバ壁であってもよい)から加熱領域内の流れている炭化水素ガスへの放射熱伝達のみによって達成される(他の熱伝達メカニズムが、与えられた燃料の加熱のいくらかに対する原因であるかもしれないが、加熱の主要なメカニズムは放射熱伝達である)。加熱物体(例えば反応チャンバ壁)と流れているガスとの間の、対流または伝導による熱伝達の経路は、本発明の方法で使用される高温においては無視できる。反応チャンバの外部の熱源が使用される場合、熱源からの熱は、加熱物体(例えば、反応チャンバ壁)、および加熱物体(例えば反応チャンバ壁)からの放射熱伝達によって加熱されたガスに、伝導によって伝達されてもよい。
特に好ましい一態様では、反応チャンバの少なくとも加熱領域内のガスは、好ましくは、加熱領域において径方向(および好ましくは縦方向)に等温であり、例えば、反応チャンバの加熱領域において、少なくとも1つの断面、例えば横断面(径方向とも称される)(好ましくはさらに縦方向(例えば径方向断面または接線断面))、において等温である。本発明の意図として、等温とは、反応チャンバの加熱領域の与えられた断面に対して(好ましくは、加熱領域または反応チャンバの全体にわたって)、最低と最高のガス温度の差が250℃以下(好ましくは、例えば100℃以下(例えば100℃未満)、好ましくは50℃未満)であることを意味すると考えられる。
反応チャンバの一部(例えば加熱領域を規定する反応チャンバの部分)だけが熱源によって加熱される必要があるが、加熱された炭化水素燃料の分解が、加熱領域を越えた下流で(例えば反応チャンバの加熱されていない部分において)続いてもよい。下流ガス(温度急冷まで)の平均温度も、好ましくは2000℃よりも高い。
WO00/21878およびWO93/20152に記載された分解プロセスとは異なり、反応チャンバ内のガスの加熱は、炭化水素燃料へ放射熱を与える熱源のみによって(例えば以下に記載されるように、反応チャンバ壁の外部に位置する加熱素子のみによって)達成されることが好ましい。非放射熱を与える他の熱源(例えば、酸素を含有する炭化水素炎)が反応チャンバに設けられないことが重要である。これは、反応器の設計の単純さ、および反応チャンバ内の均一なガス温度の達成に寄与する。従って、反応チャンバは、炭化水素炎のための入口を含むべきではなく、さらに、非放射熱(例えばプラズマトーチ)を生じる加熱素子を反応チャンバ内に含むべきでない。加熱領域内に加熱素子がないことが特に好ましい。
反応チャンバの少なくとも加熱領域内のガスは、実質的に加熱領域に入ってすぐに、2000℃よりも高い平均温度に昇温され、加熱領域の全体にわたって均一な温度に維持される。どのように加熱が達成されるかにかかわらず(例えば、以下に記載するように、反応チャンバ壁の内部、中、または外部の加熱素子、反応チャンバ壁自体に電流を流すことによってもたらされる加熱、または、反応チャンバ壁を囲む熱いガスによってもたらされる加熱)、炭化水素ガスは最初に2000℃よりも高い温度に加熱されるので、温度上昇において避けられない初期の遅れがあるであろう。この遅れは、炭化水素燃料の予熱によって最小化できる。しかしながら、重要なことは、加熱領域中で加えられた熱が、領域全体にわたって実質的に均一であり、温度勾配で操作されないことである。
上記のように、これらの特に高い温度において、炭化水素ガス(天然ガス(CH4)など)が特に高いガス動粘性率(動粘性率=粘性率/密度)を有することは、発明者らの驚くべき発見である。熱源(例えば反応チャンバを囲む加熱素子)によってもたらされる均一な加熱と組み合わされたそのような高温における炭化水素燃料の高い動粘性率によって、加熱領域および反応チャンバの下流部分を通るガス流が乱流ではなく層流(laminar)であることが確実となる。これは、乱流ではなく層流においてより低くなるレイノルズ数の評価によって判断されてもよい。好ましくは、レイノルズ数は<2300である。これらの係数は、以下のことを保証する。すなわち、反応チャンバへ導かれて通過したガスが、本発明のプロセスにおいて、(i)非常に均一な温度履歴にさらされ、従って、(II)反応チャンバ内の均一な高温をガスが回避できないので、既存のプロセスと比べて、水素およびカーボンブラックへのガスの転換が改善される。
[反応チャンバ]
1つの実施形態では、反応チャンバは、いかなる乱流誘発手段も含有しない。これは、乱流を誘発することは均一な温度を達成するのに有利であると一般に考えられている既知の分解プロセスに対するさらに別の差異である。本発明は、乱流誘発手段を採用することなく、全く異なる方法で(加熱の注意深い制御およびそのような高温における高いガス動粘性率の利用によって)、反応チャンバにおいて高度に均一な温度を達成する。加熱領域内に乱流誘発手段がないことは、特に好ましい。
本発明のプロセスにおいて、反応チャンバは、好ましくは、加熱領域で生じる分解反応から形成される炭素質生成物の他にいかなる粒状物質も含まない。固体物質の存在は、炭化水素燃料が等温の条件(先に記載したように)(例えば反応チャンバの横方向(径方向)または縦方向において)を達成することを妨げることが予想される。
加熱領域および下流において、炭化水素燃料は、水素リッチなガス(ここでは単に「水素ガス」とも称される)およびカーボンブラックに分解する。反応チャンバは、ガスが急冷される前に炭化水素燃料の大部分(好ましくはすべて)(例えば少なくとも90または95%)が分解することを可能にするのに充分な長さである。円形断面を有する反応チャンバの一部(例えばチャンバの筒状部)によって加熱領域がもたらされる実施形態において、加熱領域の内径(ID)と加熱領域の長さとの比は、好ましくは1:5~1:80、好ましくは1:5~1:60、例えば1:10~1:40、特に1:10~1:20である。例えば、その比は、1:5~1:30であってもよい。
特に適している反応チャンバは、IDが5~100mm、好ましくは10~50mm、特に15~35mmのであり、約2cmの内径が特に適している。加熱領域の長さは、好ましくは5~100cm、例えば10~80cm、特に20~60cm、または20~40cmである。特に好ましい反応チャンバは、内径が2cm、長さが30cmの加熱領域を含む。IDが異なる反応チャンバが使用される場合、このセクションにおける値および比は、反応チャンバの長さ全体にわたるIDの加重平均を指す。複数の個別の反応チャンバを含む装置の反応チャンバ体積の合計は、個々の反応チャンバのそれぞれの体積の総計である。例えば、それぞれの内径が2cm、長さが30cmの10個の個別の反応チャンバ(約94cm3の反応チャンバ体積)を含む装置は、全反応チャンバ体積が940cm3となるであろう。
[反応チャンバ壁および加熱素子の材料]
本発明の方法は、加熱領域中の燃料を2000℃よりも高い平均温度へ加熱することを必要とする。そのような高温に耐性を有する材料はほとんどなく、そのため、>2000℃の温度で運転することは、反応器の材料に対する特別の考慮を必要とする。
本発明のプロセスにおいて使用される特に高い温度は、2000℃を上回る温度に耐えることができる反応チャンバ壁(および好ましくは反応器)材料の使用を必要とする。外部熱源/加熱素子が使用される場合、反応チャンバへの効率的な熱伝達を可能にするために、反応チャンバ壁の材料はさらに、高い熱伝導率を有するべきである。好ましくは、反応チャンバ壁は、298Kにおいて、1Wcm-1-1よりも高い(好ましくは1.5Wcm-1-1よりも高い、好ましくは1.7Wcm-1-1よりも高い)熱伝導率を有する。反応チャンバ壁の材料はさらに、反応チャンバからの小さなH2分子の漏れ(leakage)を防ぐことができる必要がある。
従って、少なくとも1つの反応チャンバ壁は、融点が>2000℃(好ましくは2500℃よりも高い、好ましくは3000℃よりも高い)の材料を含むかそれからなる。これは、超高温セラミック、または最も好ましくはタングステン金属(W)によって達成できる。あるいは、Wと超高温セラミックとの多層構造が使用されてもよい。この実施形態において、反応チャンバの加熱領域内の熱いガスに面するかまたは接している層は、好ましくはWである。
さらに、ガスを含有する反応器壁、特に2000℃を越える温度にさらされる壁(例えば反応チャンバ壁)は、そのような温度においてガス(特にH2)に対して透過性ではない。
最も好ましくは、少なくとも、加熱素子に囲まれた反応器の部分は、高融点を有する材料(最も好ましくはW)からなる。いくつかの実施形態では、反応チャンバ全体(すなわち、加熱領域、およびチャンバまたは反応器の任意の下流部分)は、Wを含むものであってもよいし、Wからなるものであってもよく、または実質的にWからなるものであってもよい。
[熱源/加熱素子]
炭化水素ガスは、反応チャンバの、加熱領域と称される少なくとも一部において、特に高い温度に加熱される。加熱領域において高い均一な温度を達成するのに適した方法が、以下に記載される。
ここで述べられる熱源は、加熱領域中の炭化水素燃料に直接的または間接的に放射熱を与える熱の源である。熱源は、反応チャンバの外側または中に位置してもよく、反応チャンバの一部分であってもよい。熱を間接的に与える場合、熱源は、それから熱が放射される第2の物質(加熱物体)を加熱する。これは例えば、反応チャンバ壁であってもよい。熱源は、本発明の方法で必要とされる温度を達成するのに適した任意の源であってもよい(例えば、燃料燃焼または電気的な加熱から得られる熱)。均一な加熱を達成するために、加熱領域への熱分配さえも可能にする熱源が必要とされる。これは、例えば電気素子(例えばメッシュ)を使用して達成されてもよい。
従って、好ましい一態様では、熱源は電気熱源(好ましくはタングステンメッシュ)である。別の実施形態では、熱源は非電気的である。例えば、熱は、炎のような、反応によって生成された熱いガス、または、例えばプラズマアークによって加熱された平均温度が>2000℃(好ましくは>2500℃、好ましくは>3000℃)である過熱ガス(superheated gas)によってもたらされてもよい。そのような熱は、加熱物体(例えば反応チャンバ壁)を直接的または間接的に加熱するために使用されてもよく、例えば反応チャンバ壁の外側または中(例えば内側)(それらの内部が詰まっていない場合)に位置してもよい。加熱された反応チャンバ壁は、その後、加熱領域中の流れているガスへ熱放射を放射する。この実施形態において、本発明のプロセスで生成された水素ガスのうちのいくらかは、加熱領域を含有する反応チャンバの一部に向けられ、反応チャンバ壁を介して反応領域へ熱を与える水素炎をもたらすために、酸素源と混合されてもよい。
放射熱を直接生成しない加熱源は、反応チャンバ内での使用に適しておらず、すなわち、加熱領域中のガスに接して使用してはいけない。特に、酸素源(例えば炭化水素/酸素炎)を用いて温度を>2000℃とする場合、これは、いかなるステージにおいても反応器に入らないが、少なくとも反応器壁/反応チャンバ壁によって、反応器から分離される。
熱源は、加熱素子によってもたらされてもよい。別個の加熱素子が存在する場合、加熱素子は、特に融点が高い(2000℃よりも高い、好ましくは2500℃よりも高い、好ましくは3000℃よりも高い)材料を含むかそれからなる。熱は、例えば材料を流れる電流によって、前記素子の中で生成されてもよい。好ましくは、上記材料は、Wを含むかそれからなる。特に適した加熱素子は、Wコイルまたは好ましくはWメッシュを含む。市販のWメッシュ(Oxy-Gon Industries Inc.から入手可能なものなど)は、本発明のプロセスでの使用に特に適している。
熱源または加熱素子は、反応器内の様々な場所に設けられてもよい。第1の実施形態では、熱源(場合によっては加熱素子)は、加熱領域を囲む反応チャンバ壁の外部に位置してもよい。この場合、熱源/加熱素子は、伝導によって反応チャンバ壁(加熱物体)を加熱し、それは次に、反応チャンバの炭化水素燃料が均一に加熱されるように、反応チャンバの加熱領域を流れるガスを放射熱伝達によって加熱する。当業者であれば、そのような設計を容易に思いつくことができるであろう。反応チャンバ壁(少なくとも熱源によって加熱される部分において)(例えば加熱素子に囲まれた壁)は、断面が実質的に球状であり、加熱素子で囲まれていることが、特に好ましい。
この実施形態では、熱源または加熱素子は、好ましくは反応チャンバ壁に直接接触するが、直接接触している必要はない。直接接触していない場合、熱源または加熱素子を囲むエリアは、真空下であるべきであるか、または、不活性ガス(例えば、窒素、または、ヘリウム、ネオン、アルゴンなどの18族元素)を含むべきである。熱源または加熱素子は好ましくは、熱損失を防ぐために、装置の他の部分から絶縁される。この絶縁は、例えば、効率的な熱的絶縁、および、そのままでは失われる熱を収集して上流のガスに再利用することを可能にする周囲の熱回収コイルの利用、によって達成されてもよい。
第2の実施形態では、反応チャンバ壁および加熱素子材料は、第1の実施形態に対して先に規定されたものと同様であるが、熱源(場合によっては加熱素子)は、反応チャンバ壁の内側に位置し、これは、反応チャンバ壁と直接接触してもよく、それから熱が放射される加熱物体として(場合によっては反応チャンバ壁とともに)働く。この実施形態における好ましい一態様では、加熱素子は、反応チャンバ壁と直接接触しない。この実施形態では、加熱領域中のガスを放射熱によって加熱するように、および、流れているガスに乱流を生じさせないように、加熱素子を反応器中に適切に配置することが重要である。例えば、この実施形態では、反応チャンバは、反応チャンバ壁によって規定される円形断面を有してもよく、反応チャンバ内の実質的に中央に配置され縦方向に延びる(少なくとも1つの)加熱素子を有してもよく、反応チャンバ壁および内部の加熱素子によって規定される空洞内をガスが流れる。加熱下において、反応チャンバ中のガスは、反応チャンバ内に配置された加熱素子(場合によっては反応チャンバ壁とともに)からの放射熱によって加熱される。上記したように、加熱されるガスと接触してもよい非放射熱なしで放射熱を生成する熱源または加熱素子だけが、この配置において使用されてもよい。
第3の実施形態では、熱源(場合によっては加熱素子(先に規定されたように))は、反応チャンバ壁中に配置され、好ましくは、加熱物体として働く反応チャンバ壁と直接接触する。この実施形態では、熱源または加熱素子は、例えば、壁の層の中に位置してもよいし、壁の中に埋込まれてもよい(そして場合によっては加熱領域と直接接触する)。
第4の実施形態では、反応チャンバ壁はそれ自体が、反応チャンバ壁の内部または外部に存在する別個の熱源または加熱素子なしで、熱源/加熱素子/加熱物体として働く。従って、この実施形態では、例えば、別個の加熱素子にではなく、加熱領域の近傍の反応チャンバ壁に電流が直接加えられる。この実施形態では、加熱領域に接する壁は、反応チャンバの加熱領域内の均一な温度分布をもたらす経路に電気を伝導するパターンを設けるために、好ましくは機械加工される。
[急冷(Quenching)]
急冷は、当業者に公知の手段によって達成でき、冷媒との熱交換による熱いガスの冷却を含む。加熱領域の上流の炭化水素燃料への熱伝達によって、少なくとも部分的に急冷が達成されることは、特に好ましい。分解反応の吸熱性の性質のために、自動的な急冷が、反応後にある程度生じる。急冷は、下流の急な圧力解放によって達成されてもよく、それは、ガスの、ポリトロープ冷却(polytropic cooling)または等エントロピー冷却(isentropic cooling)をもたらす。
生成物のストリームの急冷の後に、典型的には、フィルタ、ふるいまたは他の手段によって(例えば、サイクロンシステムまたはスクラバーシステムを使用して)、ガスストリームからカーボンブラックが回収されて、ストリームをH2ガスリッチとする。固体生成物とガス状生成物との分離が、反応器の捕集チャンバの中で行われてもよい。従って、本発明の好ましい一態様は、加熱領域の下流の反応生成物を固体の炭素質生成物と水素ガスとに分離するさらなるステップ(好ましくはフィルタが使用される)を提供する。
カーボンブラックの収集後に、冷却されてもよい。好都合なことに、それはさらに、粒子/凝集粒子のサイズに従って、粉砕および/または分離によって処理されて、より均一な生成物をもたらしてもよい。H2ガスは、例えば、GC分析、精製(粒状体からの)、空気希釈(安全のため)、および/または、貯蔵タンクでの貯蔵のための圧縮もしくは冷却などの処理に直接送られてもよい。従って、好ましい一態様において、本方法は、前記水素ガスおよび/または前記炭素質生成物を収集し、且つ、場合によっては、前記ガスを冷却して液体を形成すること、または圧縮して圧縮ガスとすることを含む。上記のような追加のステップがさらに行われてもよい。生成物の収集は、本プロセス中に、絶えずまたは断続的に行われてもよい。本発明の方法は、典型的には、連続的に水素を収集することを含むが、反応器の作動開始の間、反応器のシャットダウンの前、または安全のために水素排出が必要となる場合、任意の過剰な水素を、当該技術分野において公知の「コールドフレア(cold flare)」法を使用して安全に処分してもよい。
典型的には、本発明のプロセスは、少なくとも60%(好ましくは少なくとも70%、特に少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95、96、97、98または99%以上)の水素への転換(すなわち、出発の炭化水素燃料に存在する水素がH2ガスに転換された%)を達成する。転換のパーセンテージは、当該技術分野において周知の方法(例えばガスクロマトグラフィー)によって測定できる。
[生成物およびそれらの利用]
反応の生成物は、水素リッチなガスおよびカーボンブラックである。ここで述べるカーボンブラック(炭素質生成物とも称される)は、微量の他の元素を含有してもよい粒状の炭素物質である。本発明の方法によって生成されるカーボンブラックは、本発明のさらなる一態様を形成する。有利なことに、本発明の方法は、炭素質生成物をもたらす、均一なサイズの炭素粒子を生成する。本発明の方法で得られる炭素粒子の平均粒子サイズは、好ましくは、5~40nmの範囲(例えば10~30nm)にある。カーボンブラックの物理的性質は、反応器の運転条件の変更によって(例えば、炭化水素燃料の圧力、流速などの調節によって)、変えられてもよい。カーボンブラックは、様々な工業的用途で用いられ、他の物質と混合することで、その物質の物理的性質を変更してもよい。
ここで述べる水素ガスまたは水素リッチなガスは、水素ガス、および場合によっては微量の他のガスまたは元素を含有するが、好ましくは少なくとも90、95、98または99%純粋なH2である。本発明の方法によって生成される水素ガスは、本発明の別の一態様を形成する。
本発明によって生成される水素リッチなガスは、エネルギーを必要とする任意の従来のプロセス用の燃焼プロセスにおいて使用されてもよい。従って、例えば、関連する機械類との接続のために反応器圧力を適切に変更することによって、水素リッチなガスの燃焼を、ガスタービン燃焼器、ボイラー、または他の機械類と組み合わせてもよい。反応器および反応器の内部は、好ましくは、エネルギーシステムにおける水素リッチなガスの利用が容易に促進され且つそれが使用される前にガスの圧縮を必要としないような圧力で、設計され且つ運転される。
本発明の反応器が、加熱領域中の反応チャンバ壁を介した熱伝達および熱いガスによって加熱される場合、生成された水素リッチなガスの少なくとも一部は、熱(例えば、本発明の方法において使用される熱源を与えるための炎)を発生させるための燃料を供給するために使用されてもよい。
このように、本発明は、本発明によって生成された水素リッチなガスが燃焼される燃焼の方法をさらに提供する。この燃焼は、次に利用されるかまたは化学的プロセス、冶金プロセス、または類似のプロセスの一部分を形成するかまたは形成してもよいエネルギーを生成するために水素リッチなガスに加えられる適切な酸化剤(例えば空気または酸素)で行われてもよい。望ましくない燃焼生成物の生成を低減するために、および従って大気への有害な放出物を低減するために、酸素リッチな酸化剤(好ましくは、純粋、または実質的に純粋な酸素)が好ましい。
水素リッチなガスを燃焼以外の化学プロセスにおいて使用して、水素を含有する化学物質を生成してもよい。
あるいは、本発明の方法および装置は、例えば、固体の炭素をペレットもしくはブロックにする、またはバルク材とするシステムで使用するための固体の炭素を調製することをそれらの主な目的としてもよい。あるいは、システムは、フラーレン(fullerences)(ペレット)、ダイヤモンドまたは均一なサイズの単分散球体、を形成するように設計されてもよい。有利には、上記の方法は、実質的に無視できる量のCO2を生成し、従来のプロセスに対する、環境にやさしい代替案を提示する。
[装置]
本発明の装置は、好ましくは、上記のような本発明の方法の実行に適合しており、好ましくは、方法について述べたときに上記したような好ましい特徴を含む。従って、本装置は、好ましくは、上記のような、少なくとも1つの反応チャンバ壁、加熱領域、熱源または加熱素子を有する。本装置が、内部の加熱素子(すなわち加熱領域の中)を含有する場合、好ましい一態様では、この加熱素子は、加熱領域内の実質的に中央に位置し、且つ、縦方向に延びる。本発明の好ましい態様では、本装置は、使用時において、反応チャンバに入る前に炭化水素燃料を予熱するために、前記加熱領域の下流の熱いガスから熱を回収するようにさらに適合している。本装置は、固体生成物とガス状生成物とを分離するために捕集チャンバ中のフィルタをさらに含んでもよい。本発明の装置は、並列または直列に配置された複数の反応チャンバ(例えば2~10個、例えば少なくとも2、5、10または20個、例えば30、40、50または100個以下、それぞれはそれ自体の入口および出口を有する)を含んでもよい。特に好ましい実施形態では、中央の反応チャンバは、好ましくは対称的な配置(例えば6個のチャンバの場合には六角形の配置)で、複数の他の反応チャンバ(例えば4、6または8個)に囲まれてもよい。
[実施例]
図1は、本発明の装置(反応器)の反応チャンバおよび加熱領域を図示する。この例では、メタンは、反応チャンバと同一の広がりを有する(with co-extensive)入口を介して導入される。反応チャンバの中において、一部(加熱領域)が外部の熱源によって加熱される。加熱された反応チャンバ壁は、流れている炭化水素ガスへ熱を放射する。放射熱伝達はガスを均一に加熱し、分解をもたらす。生成物は、反応チャンバと同一の広がりを有する出口において反応チャンバから出る。
挿入図は、断面における放射熱伝達の原理を図示する。
図2は、上流の炭化水素燃料ガスが加熱領域に入る前に予熱される配置を図示する。この実施形態では、炭化水素燃料は、入口(反応器の一番上に示される)を介して反応器に供給される。分解は反応器の反応チャンバで起こり、熱いガスおよび固体生成物は出口(そこでは、それらは捕集チャンバにおいてフィルタによって分離される)を介して出る。これらの生成物の熱は、反応器の出口の隣に向流熱交換器を置くことによって、入口への経路上の炭化水素燃料を予熱するために使用される。
図3は、本発明の反応器の加熱領域の一部を図示する。電気素子または燃料の燃焼によって反応器壁が加熱される。反応チャンバ壁を介した伝導のみによって熱の流れが起るように、反応器を絶縁できる。
[実施例]
[反応器]
反応器は、並列に配置された複数の個別の反応チャンバを含み、中央の反応チャンバは6つの同一の反応チャンバに囲まれ、それぞれの反応チャンバは、IDが2cm、長さが30cm(個別の体積は~94cm3、全反応器体積は658cm3)、厚さが5mmのタングステンチューブによって形成される。それぞれの反応チャンバは、Wメッシュ(例えば、Oxy-Gon Industries Inc.製)に囲まれ(すなわち加熱領域の長さは30cmであり)、2000℃を越える温度が加熱領域内で得られることを可能にする。反応器は、フィルタを備える捕集チャンバを含む。
[運転]
メタンは、1.5バールの圧力で100L/分の流速で入口を介して反応器に供給され、1つの反応器当たり~14L/分の流速で入口を介してそれぞれの反応チャンバへ移動する。反応チャンバのガスは、Wメッシュに電流を流すことによって、>2000℃に加熱される。ナノカーボン粒子は、捕集チャンバ中の下流のフィルタで収集される。下流ガス(反応チャンバをそれらの出口を介して、および出口を介して反応器を出るガス)のH2含有率は、GCによって測定され、80%を上回る高い転換率が達成される。

Claims (24)

  1. 炭化水素燃料から水素ガスを製造する方法であって、
    1以上の燃料の入口を介して反応器の反応チャンバへ前記燃料の流れを導入すること、
    ここで、前記反応チャンバは少なくとも1つの壁を有し、熱源によって加熱される加熱領域が前記反応チャンバ内に存在し、
    前記加熱領域は、燃料の入口から始まるかまたはそのすぐ後から始まり、前記反応チャンバの少なくとも一部にまで延びており、かつ前記反応チャンバの壁に囲まれており、および
    前記炭化水素燃料の熱分解を生じさせ、前記水素ガスを生成するために、前記加熱領域中の前記燃料を加熱すること、を含み、
    前記反応チャンバ中のC:O(mol/mol)の比は20:1よりも大きく、
    前記熱源は、前記加熱領域中の前記炭化水素燃料を、放射熱によって2000℃よりも高い平均温度に加熱し、前記加熱領域の全体にわたって、燃料ガスの最低温度と最高温度との差が250℃以下であり、前記加熱領域を通る燃料ガスの流れが層流であることを特徴とする、方法。
  2. 前記方法は、前記炭化水素燃料の熱分解により炭素質生成物をさらに生成する、請求項1に記載の方法。
  3. a)前記反応チャンバ中のC:Oの比は50:1より大きく、および/または、
    b)前記炭化水素燃料は天然ガスである、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記反応チャンバ中のC:Oの比は100:1より大きい、請求項3に記載の方法。
  5. 前記加熱領域中の前記炭化水素燃料の前記平均温度は、2000~4500℃の範囲にある、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記加熱領域中の前記炭化水素燃料の前記平均温度は、2500~4000℃の範囲にある、請求項5に記載の方法。
  7. 前記加熱領域中の前記炭化水素燃料の温度は、異なる場所において異なっており、それぞれの温度は、前記平均温度から、250℃を超えない範囲で離れている、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記それぞれの温度は、前記平均温度から100℃を超えない範囲で離れている、請求項7に記載の方法。
  9. a)前記少なくとも1つの反応チャンバ壁は、融点が2000℃よりも高い材料を含むかそれからなり、および/または
    b)前記少なくとも1つの反応チャンバ壁は、タングステンの1またはそれ以上の層、および、融点が2000℃よりも高い高温セラミックの1またはそれ以上の層を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記加熱領域は前記反応チャンバの筒状部によってもたらされ、前記加熱領域の内径と長さとの比は、1:5~1:30の範囲にある、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記加熱領域の内径と長さとの比は、1:10~1:20の範囲にある、請求項10に記載の方法。
  12. 前記熱源は、前記反応チャンバ壁の外部に位置し、且つ、前記反応チャンバ壁であってそれからの放射熱が前記加熱領域中の前記燃料に伝達される反応チャンバ壁を加熱する、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 前記熱源は、
    a)前記反応チャンバ壁中に位置し、且つ、前記反応チャンバ壁であってそれからの放射熱が前記加熱領域中の前記燃料に伝達される反応チャンバ壁を加熱するか、または
    b)前記反応チャンバ壁の内部に位置し、且つ、放射熱が、前記熱源から前記加熱領域中の前記燃料に伝達される、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
  14. 前記熱源は、加熱素子である、請求項12または13に記載の方法。
  15. 前記加熱素子は、融点が2000℃より高い材料を含むかそれからなる、請求項14に記載の方法。
  16. 前記材料は、タングステンまたは融点が2000℃よりも高い超高温セラミックを含むかそれからなる、請求項9または15に記載の方法。
  17. 前記熱源は電気熱源である、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
  18. 前記電気熱源は、タングステンメッシュである、請求項17に記載の方法。
  19. a)前記炭化水素燃料は、前記熱源のみによって前記反応器中で加熱される、または
    b)熱い下流ガスからの熱伝達を用いて、前記反応チャンバの上流の炭化水素燃料を予熱する、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
  20. a)前記水素ガスおよび/または前記炭化水素燃料の熱分解により生成される炭素質生成物が回収される、または
    b)前記加熱領域の下流反応生成物を固体の炭素質生成物と水素ガスとに分離するステップをさらに含む、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
  21. a)前記水素ガスを冷却して液体を形成するか、または、圧縮して圧縮ガスとする、および/または
    b)フィルタが前記分離工程で使用される、請求項20に記載の方法。
  22. 熱源、
    少なくとも1つの壁と前記熱源によって加熱できる加熱領域とを有する反応チャンバ、
    炭化水素燃料の流れが前記反応チャンバへ入ることを可能にする1またはそれ以上の入口、
    ここで、前記反応チャンバにおいて加熱領域は、燃料の入口から始まるかまたはそのすぐ後から始まり、前記反応チャンバの少なくとも一部にまで延びており、かつ前記反応チャンバ壁に囲まれており、
    固体生成物とガス状生成物とを分離するための捕集チャンバ、および、
    1またはそれ以上の出口であって、これを通ってガス状生成物が反応チャンバから放出されうる、1またはそれ以上の出口、を含む装置であって、
    前記熱源は、使用時において、前記加熱領域中の炭化水素燃料を、放射熱によって2000℃よりも高い平均温度に加熱できること、
    前記少なくとも1つの反応器壁の融点が、2000℃よりも高いこと、および
    前記反応チャンバは、乱流誘発手段を有さず、前記装置は、請求項1~21のいずれか1項に記載の方法の実行に適合していること、を特徴とする装置。
  23. a)前記少なくとも1つの反応チャンバ壁は、請求項9で規定されたものであり、
    b)前記加熱領域は請求項10または11で規定されたものであり、
    c)前記熱源は加熱素子によってもたらされ、
    d)前記装置は、使用時において、前記反応チャンバに入る前に炭化水素燃料を予熱するために、前記加熱領域の下流の熱いガスから熱を回収するようにさらに適合しており、
    e)前記固体生成物とガス状生成物とを分離するために、前記捕集チャンバ中にフィルタをさらに含み、および/または
    f)前記装置は、並列または直列に配置された複数の反応チャンバを含む、請求項22に記載の装置。
  24. 前記加熱素子は、請求項15または16で規定されたものであり、または
    前記熱源は、請求項17または18に規定されたものである、請求項23に記載の装置。
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