JP7136540B2 - 粉末の攪拌方法及び粉末コーティング装置 - Google Patents

粉末の攪拌方法及び粉末コーティング装置 Download PDF

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Description

本開示は、粉末の攪拌方法及び粉末コーティング装置に関する。
粉末に機能を与えるために、粒子の表面に薄膜をコーティングする場合がある。乾式法でコーティングする技術としてスパッタリング法があり、スパッタリング法を用いた粉末へのコーティング装置が各種提案されている(例えば、特許文献1~4を参照。)。
特許文献1では、内部が真空に保持された回転バレルと、前記回転バレル内に配置したターゲットユニットと、前記ターゲットユニットに接続されプラズマを発生可能な直流式のスパッタリング電源と、を備えたスパッタリング装置を用いて、カーボン粉末に白金をスパッタリングする技術が開示されている。ここで、回転バレルを回転させながらターゲットをスパッタリングしてコーティングを行う。そして、攪拌翼がバレル内に配置されており、回転バレルの回転軸を中心に±αの角度の範囲内を揺動し、カーボン粉末の凝集を防止する。
特許文献2では、回転バレルを有するスパッタリング装置を用いて、磁性を有する粉末の表面に各種金属をコーティングする技術が開示されている。本文献においても、攪拌翼がバレル内に配置されており、回転バレルの回転軸を中心に±αの角度の範囲内を揺動し、磁性粉末の凝集を防止する。
特許文献3では、回転ドラムに装入された原料粉末を攪拌すると共にドラム内壁に付着した原料粉末を掻き落としながら、粉末粒子表面に均一なコーティング層を形成する粉末コーティング装置が開示されている。ここで、攪拌板によって、流動層を形成する上層部及び下層部の粉末粒子が互いに混ざり合い、個々の粉末粒子が等しくスパッタリングにさらされる。また、スクレーバは、ドラム内面に付着しドラム本体を共回りしようとする粉末をそぎ落とし、粉末粒子を流動層に戻す。さらにワイパーはケーシングの上面に落下・堆積した粉末粒子を流動層に戻す。
特許文献4では、真空容器自体を回転させると構造が複雑になることから、真空容器の中に回転する筒状の容器を配置した粉末コーティング装置が開示されている。ここで、ドラムとの間にクリアランスを設けて配置した攪拌バーを、独立した駆動ユニットにより回転または揺動させる。また、攪拌バーと連動して動き、かつ、ドラムと当たる攪拌部材を設けている。
また、本出願人は、多元スパッタリング装置を提案している(例えば、特許文献5を参照。)。
特開2012-182067号公報 特許第4183098号公報 特開平5‐271922号公報 特開2014-159623号公報 国際公開第2017/014304号
スパッタリング装置を用いて基板に成膜するとき、ターゲットに対して基板は平行に配置される。これに準ずれば、粉末コーティング装置では、粉末の表面、すなわち微粒子の集合体を形成する表面が、円筒形のドラムの内壁面に沿って平らになっていることが理想的である。
しかし、特許文献1~4に記載された粉末コーティング装置ではいずれも粉末が回転するドラム内に入れられる。したがって、粉末の表面、すなわち微粒子の集合体を形成する表面が、成膜途中で山形状を形成するとともに絶えず変形する。これらの装置の粉末攪拌機構は、粉末の表面を均すように整える働きはしない。
粉末の流動性が悪いとき、粉末の表面を均すことが難しく、山形状が形成されやすく、形成された山が崩れにくい。成膜時に粉末の表面に山形状があると、例えば、斜めから粉末に向かってくるスパッタ粒子が山に遮られて当たらない部分が生じ、或いは、特定の部分だけ当たりやすい状況が生まれ、スパッタ粒子を粉末全体に均一に当てることが難しい問題があった。
本開示の目的は、流動性の悪い粉末であっても、成膜するときに粉末の表面を均して、スパッタ粒子を粉末全体に均一に当てやすくすることができる粉末の攪拌方法及び粉末コーティング装置を提供することである。
本発明に係る粉末の攪拌方法は、バレルと、該バレル内を真空引きする排気手段と、前記バレル内に設置されるスパッタリング装置と、を有し、前記バレルは、主軸が水平方向を向いており、かつ、該主軸を中心に回転し、前記スパッタリング装置は、前記バレルに入れられた粉末の表面にコーティング膜を形成する粉末コーティング装置における前記粉末の攪拌方法であって、該粉末コーティング装置は、さらに、前記バレルの内側側壁のうち、前記バレルの回転によって上方向に移動する部分の側壁に接した状態で配置され、前記粉末が迫り上がる上限位置を定める粉末上昇抑制部品と、該粉末上昇抑制部品よりも下方の位置で、前記バレルの内側側壁に間隔をあけて配置され、前記バレルの内周方向に揺動運動をする前記粉末の均し部品と、を有し、前記粉末は、前記バレルの回転を停止させた状態で、前記揺動運動の前記粉末上昇抑制部品側の折り返し地点と前記粉末上昇抑制部品側とは反対側の折り返し地点との間で前記均し部品を1回以上往復させたとき、前記均し部品によって2つの山に掻き分けられる流動性を有する粉末であり、前記均し部品を前記粉末上昇抑制部品側の折り返し地点から前記バレルの回転方向とは反対方向に移動させながら、前記均し部品によって前記粉末の一部を前記バレルの回転方向とは反対方向に移動させて前記粉末を山の形状に寄せる工程1と、前記均し部品を前記粉末上昇抑制部品側とは反対側の折り返し地点で停止させる工程2と、前記均し部品を停止させた状態のまま前記バレルの回転を継続させることによって、前記粉末の一部を前記均し部品の少なくとも上方又は下方を通過させて前記粉末の山の形状を崩しながら前記バレルの回転方向に移動させる工程3と、前記均し部品を前記バレルの回転方向に移動させる工程4と、を有し、前記工程1は、前記均し部品の進行方向の前方に前記粉末の第1の山を形成する工程であって、前記均し部品によって前記粉末の一部が移動して前記粉末が前記第1の山と前記均し部品の進行方向の後方に残された第2の山とに分けられる工程であることを特徴とする。
本発明に係る粉末攪拌方法では、前記工程1は、前記均し部品を、前記揺動運動の前記粉末上昇抑制部品側の折り返し地点と前記粉末上昇抑制部品側とは反対側の折り返し地点との間で1回以上往復させる工程1Aを含み、該工程1Aにおいて、前記均し部品によって前記粉末の半分以上が前記バレルの回転方向とは反対方向に移動した時点で前記工程2に移行することが好ましい。均し部品の停止とバレルの回転とによって粉末の山を崩しつつ成膜範囲に戻すことができ、スパッタ粒子を粉末全体に均一に当てやすくすることができる。
本発明に係る粉末の攪拌方法では、前記均し部品は、棒又は板であることが好ましい。棒又は板は、山形状となった粉末を容易に均一にならすことができる。
本発明に係る粉末の攪拌方法では、前記前記粉末上昇抑制部品側とは反対側の折り返し地点は、前記バレルの内側側壁のうち、最も低い位置又は該位置を越えた位置であることが好ましい。均し部品の停止とバレルの回転とによって粉末の山を崩しつつ成膜範囲に戻すことができ、スパッタ粒子を粉末全体に均一に当てやすくすることができる。
本発明に係る粉末コーティング装置は、本発明に係る粉末の攪拌方法を設定する制御部を有することを特徴とする。
本開示によれば、流動性の悪い粉末であっても、成膜するときに粉末の表面を均して、スパッタ粒子を粉末全体に均一に当てやすくすることができる粉末の攪拌方法及び粉末コーティング装置を提供することができる。
本実施形態に係る粉末コーティング装置の全体構成図である。 ターゲットユニット、バレル、粉末上昇抑制部品及び均し部品についてのA-A断面の概略図である。 ターゲットユニットとバレルについての斜視概略図である。 ターゲットの向きと粉末の位置との関係を説明するための概略図である。 ターゲットユニットの第1角度調整機構による動きを説明するための概略図である。 粉末の流動性が良いとき、均し部品が、粉末を攪拌し、均す動きを説明する概略図である。 粉末の流動性が悪いとき、均し部品が、粉末を攪拌し、均す動きを説明する概略図である。
以降、本発明について実施形態を示して詳細に説明するが本発明はこれらの記載に限定して解釈されない。本発明の効果を奏する限り、実施形態は種々の変形をしてもよい。
粉末の攪拌方法を説明するに先立って成膜機構を先に説明する。
まず、図1~図3を参照する。図1は、本実施形態に係る粉末コーティング装置の全体構成図である。図2は、ターゲットユニット、バレル、粉末上昇抑制部品及び均し部品についてのA-A断面の概略図である。図3は、ターゲットユニットとバレルについての斜視概略図である。図1に示すように、本実施形態に係る粉末コーティング装置100は、バレル3と、バレル3内を真空引きする排気手段4と、バレル3内に設置されるスパッタリング装置2と、を有し、バレル3は、主軸Cが水平方向を向いており、かつ、主軸Cを中心に回転し、スパッタリング装置2は、バレル3に入れられた粉末7の表面にコーティング膜を形成する。
本実施形態に係る粉末コーティング装置は、粉末の粒子表面全体に被膜を施すことができる回転バレル式スパッタリング装置である。ここでは、粉末コーティング装置100が複数のターゲットを備える多元スパッタリング装置である形態を例示しながら説明をするが、本発明はこれに限定されず、粉末コーティング装置100は1つのターゲットを備える単元スパッタリング装置であってもよい。
本実施形態に係る粉末コーティング装置100は、例えば、粉末の粒子表面全体に被膜を施すことができる回転バレル式多元スパッタリング装置である。この装置は、2つ以上のターゲットを同時にスパッタでき、各ターゲットは個別に電源1と接続されている。ターゲット1つにつき、1つの電源に接続されることが好ましい。例えば、2種類以上のターゲットを装着すれば、複数の物質を同時にスパッタすることが可能である。また、各ターゲットは出力を個別に調整できるので、任意の割合でスパッタすることが可能である。
バレル3は、駆動ロール5a及び従動ロール5bで支持されている。駆動ロール5aは、駆動モーター5からの動力を受けて、バレル3の主軸Cを水平軸として回転させることができる。バレル3には、円筒上端が開口したバレル本体3d及びそれをふさぐ蓋体3eが設けられており、O‐リング(不図示)でシールされている。バレル本体3dの開口部からバレル3内に粉末7を投入する。また、バレル3はバレル本体3d及び蓋体3eを有する代わりに縦割り又は横割りの分割構造を有していてもよく、この場合は分割時に粉末7を投入する。
バレル3は真空容器を兼ねている。真空引きする排気手段4は、バレル3の内部空間のガスを排気する。排気手段4は、真空シール型軸受け4aによって気密保持されている。
バレル3を不図示の真空室に入れてもよい。この場合、バレル3にはシールを施す必要がなくなるため、バレルの構造を簡易にすることができる。
バレル3の中に設置されたスパッタリング装置2は、バレル3の外に設置されたスパッタリング電源1に接続されている。スパッタリング電源1は、直流電源又は高周波電源のいずれでもよい。スパッタリング装置2は、真空シール型軸受け1aで気密保持されたアーム1bによってバレル3の中に装入されている。この気密保持されたアーム1bの中には、ターゲット冷却水通路入口1c、ターゲット冷却水通路出口1d及びアルゴンガス入口1eが内蔵されている。
スパッタリング装置2は、バレル3の中に2つ以上設置されており(図2においては、3つのスパッタリング装置2a,2b,2cが設置されている)、これによって、バレル3の中には2つ以上のターゲット6が設置できる(図2においては、3つのターゲット6a,6b,6cが設置されている。)。スパッタリング装置2は、ターゲット一つに付き固定部10(10a,10b,10c)を1つ有している。すなわち、図2では、3つのスパッタリング装置2a,2b,2cがそれぞれ固定部10a,10b,10cを有している。また、スパッタリング装置2a,2b,2cには、それぞれ別々にスパッタリング電源1が接続され、別々に出力が制御される。これによって、スパッタリング装置2は、多元スパッタリング装置となる。
固定部10は、ターゲット6を保持するバッキングプレートである。バッキングプレートの表側には、取付け金具によってターゲット6が取り付けられている。バッキングプレートの表側には、プラズマを発生させるときの対極になるシールドカバーがバッキングプレートと所定の距離を保って取り付けられている。一方、バッキングプレートの裏側には、マグネットを収容する複数の凹部が形成されている。また、バッキングプレートの裏側には、ターゲット冷却水通路入口1c及びターゲット冷却水通路出口1dとつながっている冷却水通路が配置されている。
固定部10にターゲット6を取り付けたときに、図3に示すように、各ターゲット6a,6b,6cは、主軸Cの方向に対して同一水準位置に互いに並列に配置されている。例えば、ターゲット6a,6b,6cの主軸Cの方向における重心位置が互いに揃っていることが好ましい。また、ターゲット6a,6b,6cの主軸Cの方向における大きさが同じ場合には、主軸Cの方向における各ターゲットの両端の位置が互いに揃っていることが好ましい。バレル3は、主軸Cを中心に回転するため、各ターゲット6a,6b,6cを、主軸Cの方向に対して同一水準位置に互いに並列に配置すれば、各ターゲット6a,6b,6cから飛び出したスパッタ粒子は、回転するバレル3に入れられた粉末に、万遍なく当たるため、組成ムラが生じにくい。また、各ターゲット6a,6b,6cの主軸Cの方向の長さは、干渉を避けるため、バレル3の軸方向長さより若干短いことが好ましい。
図3に示したターゲットの配置とせずに、各ターゲットを主軸Cの方向に沿って順に配置すると、粉末が主軸Cの方向に混ざりにくいため、1つのターゲットから飛び出したスパッタ粒子しか当たらず、膜に組成ムラが生じてしまう。すなわち、複数のターゲットから飛び出した複数種類のスパッタ粒子が同時に粉末粒子の表面に到達しないため、均一な合金膜、複酸化物膜、複窒化物膜、又は、複炭化物膜を作ることができない。仮に各ターゲットを主軸Cの方向に沿って順に配置し、各ターゲットから飛び出したターゲット粒子が所定の領域に集まるようにターゲット面の向きを調整すれば、上記問題は解決するが、その領域は主軸C方向においてバレル側壁の一部分に限られてしまう。そうすると、バレルの容積当たり処理可能な粉末量が少量となってしまうため、生産性が劣る。同じ種類のターゲットを用いたとしても同様に生産性が劣る。
次に図4を参照する。図4は、ターゲットの向きと粉末の位置との関係を説明するための概略図である。本実施形態に係る粉末コーティング装置100では、図4に示すように、各ターゲット6a,6b,6cは、ターゲット面の法線ha,hb,hcと平行にターゲット面をバレル3の内側側壁3aに向かって投影したときに、内側側壁3aに到達する手前で投影図が重なり合う向きに向けられていることが好ましい。各ターゲット6a,6b,6cから飛び出した元素(スパッタ粒子)が、バレル3に入れられた粉末7に対してより混ざり合った状態で到達するため、各ターゲットから万遍なくそれぞれの元素を取り込んだ薄膜を粉末の粒子の表面に成膜することができる。内側側壁3aに到達する手前とは、具体的には、粉末7の表面であることが好ましく、例えばバレル3の半径(主軸Cと内側側壁3aとの距離)をrとすると、内側側壁3aから主軸Cに向かって0.05r~0.15rの範囲である。また、各ターゲット6a,6b,6cは、ターゲット面の重心を通る法線が内側側壁3a上又は粉末7の粒子の表面上で重なり合う向きに向けられていることがより好ましい。図3では、ターゲット面の重心を通る法線(ha,hb,hc)が粉末の粒子の表面上で重なり合う向きに向けられている形態を図示した。各ターゲット6a,6b,6cの大きさが揃っていない場合であっても、各ターゲット6a,6b,6cから飛び出した元素がより混ざり合って粉末に到達することが可能となる。さらに内側側壁3a上又は粉末の粒子の表面上で投影図が完全に重なり合うように、ターゲットの大きさ又はシールドカバーの開口部、及び、ターゲットの向きを設定することが好ましく、この場合、膜の組成ムラが一層抑制される。
本実施形態に係る粉末コーティング装置100では、各ターゲット6a,6b,6cは、組成が互いに異なることが好ましい。合金膜、複酸化物膜、複窒化物膜、又は、複炭化物膜などを成膜する際に組成ムラを少なくすることができる。合金膜としては、白金ターゲットと金ターゲットを用いてPt‐Au合金膜をガラスビーズの表面に成膜する例がある。なお、各ターゲット6a,6b,6cの組成を同じとすれば、所定時間内での成膜量を増やしたことと同じ効果が得られる。すなわち、成膜速度を上げることができる。各ターゲット6a,6b,6cの組成の組み合わせは、適宜選択することができるが、例えばSiO,TiOなど酸化物ターゲットを用いる場合、成膜速度が遅いため,2枚又は3枚同時スパッタすることによって、成膜速度を上げることが出来る。例えば、ターゲットが3枚のとき、各ターゲット(6a,6b,6c)を(SiO,SiO,SiO)、(TiO,TiO,TiO)などにする。また,成膜速度の速いターゲット(例えば金属)と成膜速度の遅いターゲット(例えば酸化物)を用いて複合膜を形成したい場合、成膜速度の遅いターゲットの速度を相対的に上げるため、成膜速度の遅いターゲットの枚数を成膜速度の速いターゲットの枚数よりも多くセットする。例えば、ターゲットが3枚のとき、成膜速度の遅いターゲットを2枚セットし、成膜速度の速いターゲットを1枚セットする。一例をあげれば、各ターゲット(6a,6b,6c)を(Pt,SiO,SiO)にする。
次に図5を参照する。図5は、ターゲットユニットの第1角度調整機構による動きを説明するための概略図である。本実施形態に係る粉末コーティング装置100では、図5に示すように、各固定部10a,10b,10cは、取り付けられた各ターゲットの相対的な向き関係を固定化するために、ターゲットユニット2Uに組み込まれており、ターゲットユニット2Uは、主軸Cを中心に回転可能に取り付けられており、ターゲットユニット2Uの第1角度調整機構8がさらに設けられていることが好ましい。バレル3を回転させると粉末7が迫上がるが、この迫上がりの程度に対応して、ターゲットユニット2Uの角度を調整することができる。ターゲットユニット2Uは、例えば、1つの筐体に各スパッタリング装置2a,2b,2cを固定することによって各固定部10a,10b,10cを固定する形態、又は、図5のように各スパッタリング装置2a,2b,2cをアーム12で固定することによって各固定部10a,10b,10cを固定する形態がある。第1角度調整機構8は、各固定部10a,10b,10cに取り付けられた各ターゲット6a,6b,6cについて、それぞれ主軸Cとの距離を一定に保ちながら、角度の調整を行う。第1角度調整機構8によって、粉末7がバレル3の回転に伴って迫上がったとしても、各ターゲット6a,6b,6cと粉末7との相対的位置関係を一定に保つことができる。
次に粉末の表面を均す機構を、図1及び図6を参照しながら説明する。図6は、粉末の流動性が良いとき、均し部品が、粉末を攪拌し、均す動きを説明する概略図である。粉末の流動性が良いとき、均し部品は、時系列順に(a)(b)(c)(d)(e)の順に動き、再び(a)に戻って繰り返される。
本実施形態に係る粉末コーティング装置100では、図1及び図6に示すように、バレル3の内側側壁3aのうち、バレル3の回転によって上方向に移動する部分の側壁に接した状態で配置され、粉末7が迫り上がる上限位置を定める粉末上昇抑制部品13と、粉末上昇抑制部品13よりも下方の位置で、バレル3の内側側壁3aに間隔をあけて配置され、バレル3の内周方向に揺動運動をする粉末7の均し部品9と、を有する。バレル3の内側側壁3aのうち、バレル3の回転によって上方向に移動する部分の側壁とは、図6(a)で説明すると、バレル3の側壁が作る円の右半分の部分である。
粉末上昇抑制部品13は、ブラシ又はヘラであることが好ましい。ブラシ又はヘラは、粉末7をバレル3から効率よく掻き落とすことができる。粉末上昇抑制部品13は、例えば、図1のスパッタリング装置2を支持している部分に固定されている。このような構造とすることで粉末上昇抑制部品の取り付け構造を単純にすることができる。スパッタリング装置とモジュール化された部品(スパッタリング装置に固定されて一体化させられた部品)が、スパッタリング装置2を支持している部分になりえる。なお、スパッタリング装置2を支持している部分はアース対策が行われている箇所であることが好ましい。スパッタリング装置とモジュール化された部品は、例えば、図5に示したターゲットユニット2Uのアーム12である。1つの筐体に各スパッタリング装置2a,2b,2cを固定する場合には、スパッタリング装置とモジュール化された部品はその筐体である。また、粉末上昇抑制部品13は、スパッタリング装置2を支持している部分に固定される代わりに、スパッタリング装置のうちターゲット自体及びターゲットと電気的に導通している部分のどちらにも該当しない箇所、例えば、スパッタリング装置本体の筐体などアース対策が行われている箇所に連結されることによって固定されてもよい。図2において、粉末上昇抑制部品13はスパッタリング装置2c、特にターゲット自体及びターゲットと導通している部分のどちらにも該当しない箇所に連結されることによって固定されてもよい。このような構造とすることで粉末上昇抑制部品の取り付け構造を単純にすることができる。なお、粉末上昇抑制部品13は、支持棒を含んでいてもよい。支持棒を設けるときは、支持棒の一端が粉末上昇抑制部品13の本体部に接続され、支持棒の他端がスパッタリング装置のうちターゲット自体及びターゲットと導通している部分のどちらにも該当しない箇所、又は、スパッタリング装置とモジュール化された部品に連結される。このとき、支持棒はターゲット面とバレルの内壁面との間の空間を通らないように、長さと形状が決められていることが好ましい。粉末上昇抑制部品13は、バレル3が回転してもそれと一緒に動かない部分に固定されることで、粉末上昇抑制部品13は、バレル3の回転によって粉末7がバレル3と同様に回転してしまうことを阻止できる。また、少なくとも成膜中は、粉末上昇抑制部品13の位置は固定されているため、その位置が粉末7の迫上がりの上限位置となる。粉末上昇抑制部品13の位置と、スパッタ粒子の照射領域の境界位置と一致させることで、スパッタ粒子をより効率的に粉末7に照射できる。すなわち、粉末7の迫上がりを粉末上昇抑制部品13によって滞留させた状態でスパッタ粒子を当てることができるため、スパッタ粒子の照射効率を高めることができる。
均し部品9は、主軸Cを回転中心として揺動運動をする。均し部品9は、棒又は板であることが好ましい。均し部品9が棒であるとき、断面の形状が円形、半円形、楕円形、半楕円形、又は、三角形・四角形などの多角形である形態がある。また、均し部品9が板であるとき、断面の形状が長辺と短辺をもつ矩形である形態がある。図6では、一例として、均し部品9が断面円形の丸棒型である場合を示した。棒又は板は、粉末7の山7bを容易に均一にならすことができる。均し部品9は、図1に示した真空シール型軸受け9aによって気密保持された攪拌モーター9bの回転軸に固定されており、この回転軸を中心に図6(b)に示す角度θ=(α+α)の範囲内を揺動する。この回転軸は、バレル3の回転軸である主軸Cと同軸関係にある。また、本実施形態では、角度θの範囲は、バレル回転時における粉末7の存在範囲を包含していることが好ましい。揺動角度および揺動速度は、粉末7の凝集状態に応じて適宜調節可能であるが、揺動速度が速すぎて粉末が舞ってしまうことが無い様な速度に設定する必要がある。例えば、粉末の流動性が良いとき、揺動速度は、2往復/分間に設定するが、1~10往復/分間であればよい。均し部品9を間欠的に揺動させてもよい。
粉末の流動性と均し部品9の揺動運動による粉末の動きとの関係について説明する。粉末の流動性の良し悪しは、粉末の粒子径、粒子の形状又は吸湿性などの複数の因子によって左右される。一般的に、粒子の粒子径が小さいほど粉末の流動性が悪い傾向にあり、粉末の形状が球状から遠ざかるほど粉末の流動性が悪い傾向にあり、粉末の吸湿性が良いほど粉末の流動性が悪い傾向にある。粉末の流動性の良し悪しは、均し部品9の揺動運動による粉末の動きに影響する。ここで、流動性の良い粉末は、例えば、バレル3の回転を停止させた状態で、揺動運動の粉末上昇抑制部品13側の折り返し地点と粉末上昇抑制部品13側とは反対側の折り返し地点との間で均し部品9を1回以上往復させたとき、均し部品9によって粉末が掻き分けられず、粉末7の表面が平坦化される流動性を有する粉末である。なお、粉末7の表面が平坦化されるとは、当該表面がバレルの側壁の内面の形状に沿って均されることを意味する。また、流動性の悪い粉末は、例えば、バレル3の回転を停止させた状態で、揺動運動の粉末上昇抑制部品13側の折り返し地点と粉末上昇抑制部品13側とは反対側の折り返し地点との間で均し部品9を1回以上往復させたとき、均し部品9によって1つ又は2つの山に掻き分けられる流動性を有する粉末である。
粉末の流動性が良いとき、図6(a)~(e)に示すように、均し部品9を動かすと粉末7(7X)の小さな山7a,7bが形成されるものの、その山7a,7bは形成されては崩れるため、均し部品9によって粉末7(7X)が掻き分けられることがない。このため、均し部品9を揺動運動させることで粉末の攪拌を十分に行うことができる。一方、粉末の流動性が悪いとき、例えば図7(b)に示すように、均し部品9を動かすと粉末7(7Y)の山7cが形成され、その山7cは崩れにくいため、均し部品9によって粉末7(7Y)が掻き分けられてしまう。このため、均し部品9を揺動運動させただけでは粉末の攪拌が十分に行われない場合がある。そこで、本発明者らは、流動性の悪い粉末であっても、均し部品9を粉末上昇抑制部品13とは反対側の折り返し地点で所定時間停止させることで、粉末を攪拌することができることを見出した。
次に、図7を参照して、本実施形態に係る粉末の攪拌方法、すなわち、粉末7(7Y)が流動性の悪い粉末であるときの粉末の攪拌方法について説明する。
本実施形態に係る粉末の攪拌方法は、均し部品9を粉末上昇抑制部品13側の折り返し地点からバレル3の回転方向Rとは反対方向に移動させながら、均し部品9によって粉末7(7Y)の全部又は一部をバレル3の回転方向Rとは反対方向に移動させて粉末7(7Y)を山の形状に寄せる工程1(例えば図7(a)を参照。)と、均し部品9を粉末上昇抑制部品13側とは反対側の折り返し地点で停止させる工程2(例えば図7(b)を参照。)と、均し部品9を停止させた状態のままバレル3の回転を継続させることによって、粉末7(7Y)の全部又は一部を均し部品9の少なくとも上方又は下方を通過させて粉末7(7Y)の山の形状を崩しながらバレル3の回転方向Rに移動させる工程3(例えば図7(c)~図7(d)を参照。)と、均し部品9をバレル3の回転方向Rに移動させる工程4(例えば図7(e)を参照。)と、を有する。
工程1では、均し部品9を粉末上昇抑制部品13側の折り返し地点からバレル3の回転方向Rとは反対方向に移動させる。図7(a)は、均し部品9が粉末上昇抑制部品13側の折り返し地点を出発後、バレル3の回転方向Rとは反対方向に移動している最中の状態を示す。粉末上昇抑制部品13側の折り返し地点は、粉末上昇抑制部品13の下方の位置であることが好ましい。
工程1において、例えば図7(a)に示すように均し部品9をバレル3の回転方向Rとは反対方向に移動させると、粉末7(7Y)は流動性が悪いため、均し部品9に接触して押される粉末とともにその周囲の粉末もバレル3の回転方向Rとは反対方向に移動する。そして、例えば図7(b)に示すように、均し部品9の進行方向の前方に粉末7(7Y)の山7cが形成される。このとき、均し部品9によって粉末7(7Y)の一部が移動して、二つの山7c,7dが形成されるか(例えば図7(b)に図示)、又は均し部品9によって粉末7(7Y)の全部が移動して、一つの山7cだけが形成されてもよい(不図示)。
工程1において均し部品9の移動によって粉末7(7Y)の山7cが形成されたら、工程2に移行することが好ましい。工程1では、均し部品9を粉末上昇抑制部品13側の折り返し地点からバレル3の回転方向Rとは反対方向に1回だけ移動させただけでは、均し部品9の進行方向の前方に粉末7(7Y)の山7cが形成されない場合がある。このような場合では、工程1は、均し部品9を、揺動運動の粉末上昇抑制部品13側の折り返し地点と粉末上昇抑制部品13側とは反対側の折り返し地点との間で1回以上往復させる工程1Aを含むことが好ましい。そして、工程1Aにおいて、均し部品9によって粉末7(7Y)の半分以上がバレル3の回転方向Rとは反対方向に移動した時点で工程2に移行することが好ましい。均し部品9の停止とバレル3の回転とによって粉末7(7Y)の山7cを崩しつつ成膜範囲に戻すことができ、スパッタ粒子を粉末7(7Y)全体に均一に当てやすくすることができる。工程1Aは、バレル3の回転を継続させながら行うことが好ましい。
工程2では、例えば図7(b)に示すように均し部品9を粉末上昇抑制部品13側とは反対側の折り返し地点で停止させる。粉末上昇抑制部品13側とは反対側の折り返し地点は、バレル3の内側側壁3aのうち、最も低い位置3b又は該位置3bを越えた位置3cであることが好ましい。均し部品9の停止とバレル3の回転とによって粉末7(7Y)の山7cを崩しつつ成膜範囲に戻すことができ、スパッタ粒子を粉末7(7Y)全体に均一に当てやすくすることができる。最も低い位置3bは、主軸Cから下ろした鉛直線上の位置である。最も低い位置3bを越えた位置3cは、最も低い位置3bよりも回転方向Rとは反対方向にある位置であればよく、特に限定されないが、例えば、鉛直方向を0°として、回転方向Rとは反対方向に1~45°の位置であることが好ましい。
工程3では、工程2に引き続き均し部品9を停止させた状態のままバレル3の回転を継続させる。そうすると、山7cを形成していた粉末7(7Y)がバレル3の回転によって均し部品9に向かって押し寄せてくる。均し部品9に押し寄せる粉末7(7Y)の量が増えてくると、例えば図7(c)に示すように、山7cが雪崩れて、粉末7(7Y)が均し部品9の少なくとも上方を越えて又は下方を通って山の形状を崩しながらバレル3の回転方向Rに移動する。工程3では、粉末7(7Y)はバレル3の上方に加えて下方を通ってバレル3の回転方向Rに移動する場合がある。
工程3では、均し部品9に当たった粉末7(7Y)が、均し部品9の上方、下方、又は上方及び下方を通って移動することで、粉末7(7Y)の流れが形成されるため、粉末7(7Y)の攪拌が行われる。
工程3において、例えば図7(d)に示すように、粉末7(7Y)の半分以上が均し部品9よりもバレル3の回転方向に移動した時点で工程4に移行することが好ましい。
工程4では、例えば図7(e)に示すように、均し部品9を粉末上昇抑制部品13側とは反対側の折り返し地点からバレル3の回転方向Rに移動させる。このとき、粉末7(7Y)は、均し部品9によって押されたり、バレル3の回転によって内側側壁3aとともに移動したりして、バレル3の回転方向R側に迫り上げられる。そして、粉末7(7Y)が、バレル3の内側側壁3aの高い位置に到達すると、重力によって又は粉末上昇抑制部品13に掻き落とされることによって、バレル3の回転方向Rとは反対側に雪崩れる。このように、工程4では、粉末7(7Y)が雪崩れることによって、粉末7(7Y)の攪拌が行われる。また、工程4では、均し部品9が粉末7(7Y)の山7eの中に入り込んで移動する場合もある。この場合、粉末7(7Y)は内部も含めて攪拌される。
工程4において、均し部品9が粉末上昇抑制部品13側の折り返し地点に到達したら、工程1に移行する。工程4から工程1への移行は、均し部品9が粉末上昇抑制部品13側の折り返し地点に到達したら直ちに工程1に移行するか、又は均し部品9が粉末上昇抑制部品13側の折り返し地点に到達したら、均し部品9を粉末上昇抑制部品13側の折り返し地点で所定時間停止させ、その後工程1に移行してもよい。
均し部品9の揺動運動の速度は、バレル3の回転方向Rに沿って動かすときと、その反対方向に動かすときとで、同じであることが好ましい。また、均し部品9の揺動運動の速度を、回転方向Rに沿って動かすときと、その反対方向に動かすときとで、異なることとしてもよい。
本実施形態に係る粉末コーティング装置100は、本実施形態に係る粉末の攪拌方法、すなわち、粉末の流動性が悪いときの粉末7(7Y)の攪拌方法を設定する制御部を有する。本実施形態に係る粉末コーティング装置100では、制御部が、粉末の流動性が悪いときの粉末7(7Y)の攪拌方法、又は粉末の流動性が良いときの粉末7(7X)の攪拌方法の切替えが可能であることが好ましい。制御部による攪拌方法の切換えは、自動で設定されるか、又は手動で設定されてもよい。
次に、図6を参照して、粉末が流動性の良い粉末であるときの粉末の攪拌方法について説明する。
まず、粉末7(7X)は、バレル3の回転によって、回転方向Rに迫上がる動きをする。このとき、粉末7(7X)は、山7aを作りながら迫上がる。ここで均し部品9は、バレル3の回転方向Rに沿って揺動運動をするときに(例えば図6(a)~図6(c)を参照。)、粉末7(7X)の山7aの中に入り込み(図6(b)を参照。)、さらに粉末上昇抑制部品13の手前まで動くときに、山7aを抜ける(図6(c)を参照。)。この結果、粉末7(7X)は、内部も含めて攪拌される。次に均し部品9が反転し、バレル3の回転方向Rとは反対方向に揺動運動をするときに(例えば図6(d)~図6(e)を参照。)、粉末7(7X)の山7bを均しながら移動する(図6(d)を参照。)。均し部品9の折り返し地点に到達すると(図6(e)を参照。)、粉末7(7X)の表面は平坦に均されている。この結果、スパッタ粒子が粉末7(7X)の全体に均一に当たりやすくなり、特に多元スパッタリングの場合には膜の組成ムラを抑制できる。なお、粉末7(7X)の表面が平坦化されるとは、当該表面がバレルの側壁の内面の形状に沿って均されることを意味する。ここで、バレル3に入れる粉末量は、均し部品9が、バレル3の回転方向Rに揺動運動をするときに粉末7(7X)の山7aの内部を通過し、かつ、バレルの回転方向Rとは反対方向に揺動運動をするときに粉末の山7bをならす量とする。
均し部品9は、バレル3の回転方向Rに沿って揺動運動をするときに(例えば図6(a)~図6(c)を参照。)、粉末上昇抑制部品13の下方で折り返すことが好ましい。粉末7(7X)の山7aの山頂と粉末上昇抑制部品13との間の箇所を折り返し地点とすることが好ましい。均し部品9が、バレル3の回転方向Rとは反対方向に揺動運動をするときに、粉末7(7X)の全体を均一に均すことができる。また、均し部品9は、粉末上昇抑制部品13が単にバレルの内壁に付着した粉末を掻き落とす場合よりも、攪拌効率は高くなる。
均し部品9は、バレル3の回転方向Rとは反対方向に揺動運動をするときに(例えば図6(d)~図6(e)を参照。)、バレル3の内側側壁3aのうち、最も低い位置3bを越えた位置3cで折り返すことが好ましい(例えば図6(e)~図6(a)を参照。)。均し部品9が、バレル3の回転方向に揺動運動をするときに、粉末7(7X)の全体を攪拌することができる。最も低い位置3bを越えた位置3cは、粉末7(7X)が存在する境界部分を越えた位置であることが好ましい。例えば、鉛直方向を0°として、回転方向Rとは反対方向に1~45°の位置を折り返し地点とする場合がある。
本実施形態に係る粉末コーティング装置100は、粉末7の流動性に応じて均し部品9の動きを変えることによって、流動性の良い粉末及び流動性の悪い粉末のいずれについても攪拌することができ、スパッタ粒子を粉末全体に均一に当てやすくすることができる。
1 スパッタリング電源
1a 真空シール型軸受け
1b アーム
1c ターゲット冷却水通路入口
1d ターゲット冷却水通路出口
1e アルゴンガス入口
2 スパッタリング装置
3 バレル
3a バレルの内側側壁
3b バレル3の最も低い位置
3c バレル3の最も低い位置を越えた位置
3d バレル本体
3e 蓋体
4 排気手段
4a 真空シール型軸受け
5a 駆動ロール
5b 従動ロール
6(6a,6b,6c) ターゲット
7 粉末
7a,7b,7c,7d 粉末の山
7X 流動性の良い粉末
7Y 流動性の悪い粉末
8 第1角度調整機構
9 均し部品
9a 真空シール型軸受け
9b 攪拌モーター
10(10a,10b,10c) 固定部
12 アーム
13 粉末上昇抑制部品
100 粉末コーティング装置
ha,hb,hc ターゲット面の法線
C 主軸
2U ターゲットユニット
R バレルの回転方向

Claims (5)

  1. バレルと、該バレル内を真空引きする排気手段と、前記バレル内に設置されるスパッタリング装置と、を有し、前記バレルは、主軸が水平方向を向いており、かつ、該主軸を中心に回転し、前記スパッタリング装置は、前記バレルに入れられた粉末の表面にコーティング膜を形成する粉末コーティング装置における前記粉末の攪拌方法であって、
    該粉末コーティング装置は、さらに、
    前記バレルの内側側壁のうち、前記バレルの回転によって上方向に移動する部分の側壁に接した状態で配置され、前記粉末が迫り上がる上限位置を定める粉末上昇抑制部品と、
    該粉末上昇抑制部品よりも下方の位置で、前記バレルの内側側壁に間隔をあけて配置され、前記バレルの内周方向に揺動運動をする前記粉末の均し部品と、
    を有し、
    前記粉末は、前記バレルの回転を停止させた状態で、前記揺動運動の前記粉末上昇抑制部品側の折り返し地点と前記粉末上昇抑制部品側とは反対側の折り返し地点との間で前記均し部品を1回以上往復させたとき、前記均し部品によって2つの山に掻き分けられる流動性を有する粉末であり、
    前記均し部品を前記粉末上昇抑制部品側の折り返し地点から前記バレルの回転方向とは反対方向に移動させながら、前記均し部品によって前記粉末の一部を前記バレルの回転方向とは反対方向に移動させて前記粉末を山の形状に寄せる工程1と、
    前記均し部品を前記粉末上昇抑制部品側とは反対側の折り返し地点で停止させる工程2と、
    前記均し部品を停止させた状態のまま前記バレルの回転を継続させることによって、前記粉末の一部を前記均し部品の少なくとも上方又は下方を通過させて前記粉末の山の形状を崩しながら前記バレルの回転方向に移動させる工程3と、
    前記均し部品を前記バレルの回転方向に移動させる工程4と、を有し、
    前記工程1は、前記均し部品の進行方向の前方に前記粉末の第1の山を形成する工程であって、前記均し部品によって前記粉末の一部が移動して前記粉末が前記第1の山と前記均し部品の進行方向の後方に残された第2の山とに分けられる工程であることを特徴とする粉末の攪拌方法。
  2. 前記工程1は、前記均し部品を、前記揺動運動の前記粉末上昇抑制部品側の折り返し地点と前記粉末上昇抑制部品側とは反対側の折り返し地点との間で1回以上往復させる工程1Aを含み、
    該工程1Aにおいて、前記均し部品によって前記粉末の半分以上が前記バレルの回転方向とは反対方向に移動した時点で前記工程2に移行することを特徴とする請求項1に記載の粉末の攪拌方法。
  3. 前記均し部品は、棒又は板であることを特徴とする請求項1又は2に記載の粉末の攪拌方法。
  4. 前記粉末上昇抑制部品側とは反対側の折り返し地点は、前記バレルの内側側壁のうち、最も低い位置又は該位置を越えた位置であることを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の粉末の攪拌方法。
  5. 請求項1~4のいずれか一つに記載の粉末の攪拌方法を設定する制御部を有することを特徴とする粉末コーティング装置。
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