JP7136449B2 - プルトニウム消滅型の熔融塩原子炉、それを用いた発電システム、及び、プルトニウム消滅型の熔融塩原子炉の運転方法 - Google Patents

プルトニウム消滅型の熔融塩原子炉、それを用いた発電システム、及び、プルトニウム消滅型の熔融塩原子炉の運転方法 Download PDF

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Description

本発明は、プルトニウム消滅型の熔融塩原子炉、それを用いた発電システム、及び、プルトニウム消滅型の熔融塩原子炉の運転方法に関する。
プルトニウム消滅を目的とした熔融塩炉(熔融塩原子炉)としては、従来、下記特許文献1に示される、プルトニウム及びトリウムを含む液体核燃料(熔融塩燃料)を用いた、プルトニウム消滅核反応炉(トリウム熔融塩炉)が存在する。
トリウム熔融塩炉は、リチウムとベリリウムの混合弗化物(LiF-BeF)に、親物質(中性子を吸収して核分裂性物質となる物質)としてトリウムを混合し、さらに核分裂性物質としてウラン(ウラン233又はウラン235)又はプルトニウムを混合し、液体燃料として用いる。
トリウム熔融塩炉は、プルトニウムの消滅を図ると共に、トリウムから生成したウラン233を回収装置により分離し精製することで、核燃料として再利用することが可能な原子炉である。
一般に熔融塩炉は炉心内に減速材を備え、液体燃料(熔融塩燃料)が減速材の中を流れる際に、核反応を起こし、エネルギーを発生させる。減速材のない、熱交換器等の冷却系統では、核反応は起こらず、臨界状態に達することはない。
一般に熔融塩炉は、燃料が液体であるため、固形燃料と比較して、燃料破損が起きない点や、水素爆発が起こらないことなど、安全な原子炉として、近年注目されている。
特許第3326759号
現在、世界中の原子力発電所の大部分を占める軽水炉は、核燃料として低濃縮ウランをペレット状に固めた固形燃料を使用しており、その使用済み燃料にはプルトニウムが含まれる。プルトニウムは放射性物質で、その半減期が2万年以上で、かつ核兵器原料であるため、その処分が問題となっている。
また、低濃縮ウランの使用済み燃料には、プルトニウムの約1/10程度の量の超ウラン元素(ネプチニウム、アメリシウム、キューリウム)が含まれ。これらも半減期が長く、例えば、ネプチニウム237の半減期は200万年であり、これらの処分も問題となっている。プルトニウムや超ウラン元素は原子であるため、化学反応では分解できず、消滅させるには中性子を当てて核分裂させるなどの核反応以外に方法はない。
日本では2018年時点において、約17,000トンの使用済み燃料が取り出されており、一部は既に国内外で再処理されてプルトニウムが取り出されているが、大部分は使用済み燃料に残ったままである。これらの残った使用済み燃料も再処理することを想定すると、合計で約150トンのプルトニウムを処分する必要がある。
そのため、効率の良いプルトニウムの消滅方法が必要である。プルトニウムの消滅速度を最大限に上げるためには、炉心内の核反応において、できるだけ多くの中性子をプルトニウムに吸収させる必要がある。特許文献1では減速材を配置した炉心内の中性子の一部がトリウムに吸収されている。従って、プルトニウム消滅速度を最大限に上げるには、トリウムに吸収される中性子もプルトニウムに吸収させることが有効である。
そこで、本発明は、プルトニウム消滅を適切に行うことができるプルトニウム消滅型の熔融塩原子炉、それを用いた発電システム、及び、プルトニウム消滅型の熔融塩原子炉の運転方法を提供することを課題とする。
前記課題を解決した本発明のプルトニウム消滅型の熔融塩原子炉は、炉心を備え、プルトニウムを含む熔融塩が、燃料かつ冷却媒体として前記炉心に循環供給され、前記熔融塩には、トリウム、及び/又は、ウラン238が含まれ、その含有量が、0モル%~5モル%であることを特徴とする。
なお、後記する本発明の実施形態1で用いる液体燃料は、プルトニウムを含みトリウムを含まないものである(トリウム0モル%)。
従来、軽水炉等では、固形燃料が使われていたため、原子炉内での事故時反応度を抑制するために、トリウムを削除することはできなかった。しかし、今回の熔融塩燃料のような液体燃料において、トリウムを削除したとしても、液体燃料の膨張のみで、十分な事故時反応度抑制効果が得られたため、トリウムを削除した熔融塩原子炉を可能とした。また、そのことにより、従来と比較して、プルトニウムの消滅速度を向上させることに成功した。
なお、「及び/又は」の意味は、JIS Z8301(規格票の様式及び作成方法)に定義されているとおりである。ちなみに、トリウムもウラン238も含有量が0モル%である場合も本発明の範囲に含まれる。また、トリウムの含有量が0モル%でウラン238の含有量が5モル%の場合も、逆にトリウムの含有量が5モル%でウラン238の含有量が0モル%の場合も本発明の範囲に含まれる。ちなみに、トリウムとウラン238の双方を含有する場合は、合計した含有量が5モル%以下となる。
また、トリウム削除により事故時反応度抑制効果が十分でない場合において、実施形態2として、トリウムを1%以上5%以下の量で含ませることで、事故時反応度抑制効果を高く保ち、かつ、プルトニウムの核反応速度の向上も可能であることを特徴とする。
また、熔融塩燃料に、超ウラン元素を含ませることにより、高い効率でプルトニウムを消滅させ、かつ、超ウラン元素も同時に消滅させることが可能である。
プルトニウムを消滅させるトリウム熔融塩原子炉(プルトニウム消滅型の熔融塩原子炉)の特徴として、燃料とするプルトニウムが存在しなくなった際に、その原子炉の稼動継続をどうするかといった問題があった。しかし本発明では、プルトニウムの代わりに、低濃縮ウラン及びトリウムを含む液体の熔融塩燃料を用いることで、発電システムとして、原子炉を稼働し続けることを可能とした。
その他の解決手段については、後記する実施形態で詳細に説明する。
本発明によれば、プルトニウム消滅を適切に行うことができるプルトニウム消滅型の熔融塩原子炉、それを用いた発電システム、及び、プルトニウム消滅型の熔融塩原子炉の運転方法を提供することが可能となった。
本発明におけるプルトニウム消滅型の熔融塩原子炉、及び、それを用いた発電システムの概念図である。 トリウムの事故時反応度抑制効果を示す図である。
本発明、即ち、プルトニウム消滅型の熔融塩原子炉、それを用いた発電システム、及び、プルトニウム消滅型の熔融塩原子炉の運転方法の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。説明において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
本発明の実施形態で用いる液体燃料(熔融塩燃料)は、ベース(母材)としてリチウムとベリリウムの混合弗化物(LiF-BeF2)が最適と考えられる。そのため、本実施形態では、LiF-BeF2を例に挙げて説明するが、本実施形態はこれに限定されず、例えばLiF-BeF2の代わりに、リチウムのみの弗化物(LiF)、あるいは、LiF- NaF-KFのような3種類の混合塩も使用可能である。また、ナトリウム塩化物(NaCL)なども使用可能である。
図1は、本発明の実施形態における、プルトニウム消滅型の熔融塩原子炉、及び、それを用いた発電システム100の概略図である。
図1に示すように、発電システム100は、プルトニウム消滅型の熔融塩原子炉(以下適宜「熔融塩炉」という)10、一次系循環ポンプ20、熱交換器30、燃料注入装置40、二次系循環ポンプ50、蒸気発生器60、蒸気タービン70、発電機80、ドレイン回収装置90等を備える。
このうち、一次系1は、燃料塩が循環する設備の全てで、具体的には、一次系循環ポンプ20、熱交換器30などを含んで構成されている。なお、この一次系1には、燃料注入装置40が接続されている。また、二次系2は、二次系循環ポンプ50、熱交換器30、蒸気発生器60を含んで構成されている。また、発電系3は、蒸気発生器60、蒸気タービン70、発電機80で構成されている。ちなみに、一次系循環ポンプ20は、ポンプ本体20aと電動機20bを含んで構成されている。また、二次系循環ポンプ50も、ポンプ本体50aと電動機50bを含んで構成されている。ちなみに、電動機20bと電動機50bは、蒸気駆動のタービンとすることができる。
まず、発電システム100の中核をなす熔融塩炉10は、炉心10aと、制御棒11と、空隙部12と、黒鉛13と、を備えている。制御棒11は熔融塩炉10の上部に取り付けられており、中性子を吸収する素材でできている。制御棒が差し込まれると、炉心内の中性子を吸収して、臨界状態(核分裂による連鎖反応が継続する状態)を防ぎ、原子炉を停止することができる。
減速材として黒鉛13を採用し、リチウムとベリリウムの混合弗化物(LiF-BeF)を母材とした熔融塩燃料Fが空隙部12を流れている。
黒鉛13は減速材であり、炭素原子でできた柱状のブロックの貫通孔(空隙部)を熔融塩燃料Fが流れている。黒鉛13は、熔融塩燃料Fと反応せず、また、中性子吸収がほとんどないことから、本実施形態では、適用が好ましい黒鉛13を減速材とした。減速材は、核分裂により放出される中性子(高速中性子)の速度を落とすために配置され、中性子の速度を落とすことにより、プルトニウムに吸収されやすくなり、プルトニウムの消滅速度を高めている。
核燃料中のプルトニウムは主に核分裂により消滅していく。一方、この核分裂により熱エネルギーが発生する。熔融塩燃料Fは、炉心10aの下部に位置する、流入部15から流入し、燃料として、また、冷却材として、黒鉛13の空隙部12を流れ、炉心10a上部の流出部14から外部へ流出して、一次系循環ポンプ20によって一次系1を循環する。
この核分裂により発生した熱エネルギーは、後記するように、熱交換器30によって一次系1から二次系2に伝熱され、また、二次系2から発電系3へと伝熱され、発電用の熱エネルギーとして利用される。
即ち、流出部14から炉心10a(熔融塩炉10)の外部へ流出した熔融塩燃料Fは、流入口k1から熱交換器30の一次系1側に入り、熱交換器30を通過する。熔融塩燃料Fは、その際に二次系2へと伝熱されて冷却され、熱エネルギーとなる熱を、二次系2の二次塩31に伝熱した後、流出口k2を通って、熱交換器30の外部へ出る。
プルトニウムの消滅に伴い、炉心10aでの核反応が低下し、熔融塩炉10の出力も低下していくため、新たなプルトニウムを適宜、熔融塩炉10に補給して、一定の出力を維持するように運転する。本発明に係る実施形態の発電システム100では、上記の燃料補給の際に、軽水炉のような原子炉とは異なり、熔融塩炉10(発電システム100)を停止する必要がなく、運転中に、適宜、燃料注入装置40から燃料を補給することが可能である。
流出口k2から熱交換器30の一次系1側を通過した熔融塩燃料Fは、燃料として、また、冷却材として、再び炉心10aの下部に位置する、流入部15から炉心10aへ戻る。なお、その途中に備えられた、燃料注入装置40によって炉心10a内の核分裂反応で消滅したプルトニウムの補給を行っている。
一次系1を循環する熔融塩燃料Fは、炉心10a内で核反応によって高温となり、前記のように熱交換器30を通過する。高温の熔融塩燃料Fが熱交換器30を通過することによって、二次系2を流れる二次塩31へと熱が伝わる。伝熱した二次塩31は熱交換器30の二次系の流出口h1から発電系3へと移動する。
発電系3は、前記のように、蒸気発生器60と、蒸気タービン70と発電機80とを備える。
蒸気発生器60において、二次系2から流れてくる二次塩31の熱によって、蒸気(高温の水蒸気)を発生させる。蒸気発生器60によって発生した蒸気が蒸気タービン70を回転させることにより、この蒸気タービン70と回転軸を介して接続された発電機80を回転させ、発電する。なお、蒸気タービン70を回転させた後の蒸気は、図示しない復水器によって冷却され、液体の水に復水される。
なお、二次塩31は蒸気を発生した後、二次系循環ポンプ50によって二次系2を循環され、再びh2から熱交換器30(その二次系2側)に入る。
本発明の実施形態の熔融塩炉10は小型炉から100万KWeの大型炉まで、ほぼ同一の設計で建設可能であるが、短い建設期間や低い初期投資額の点から、25万KWeクラスの小型炉であることが好ましい。
ドレイン回収装置90は、ドレインタンク90aとフリーズ弁90bを備え、ドレインタンク90aは、フリーズ弁90bを介して熔融塩炉10の下部に繋がれている。
不測の事態が発生した際に、炉心10a内の熔融塩燃料Fを重力によってドレインタンク90aに自動排出し、安全装置として機能する。冷却機能等が機能せず、炉心10a内の熔融塩燃料Fが過熱した際に、フリーズ弁90bが溶け電気系統を必要とせずに、自動で排出される仕組みである。なお、ドレインタンク90aの内部に黒鉛13のような減速材が存在しないので、核反応は起こらない。なお、ドレインタンク90aには、熔融塩燃料F(一次塩)が通常運転時は存在せず、異常時のみ存在するが、図1では、一次塩が存在する可能性のある部分を全て「一次系1」としている。
<実施形態1>
実施形態1において、熔融塩燃料Fは、LiF-BeFの濃度は99.7モル%(熔融塩中の分子数の割合を%で示す指標)、プルトニウムの濃度は0.3モル%程度である。このプルトニウム濃度は原子炉を臨界にするのに最低限に必要な値であって、原子炉の大きさなどによって若干の変動はありえる。但し、本原子炉の例では、これ以上低い値、例えば0.2モル%とすると、原子炉を臨界にできず、運転できなくなる。一方、これ以上の高い値、例えば2倍の0.6モル%とすることは設計上では可能であるが、それによってプルトニウムの消滅速度が2倍になる訳ではない。それは、トリウムのない本原子炉、即ちトリウムの含有量が0モル%の熔融塩燃料では、他に中性子を吸収する物質がほとんどないため、プルトニウムの消滅速度は、原子炉内での総核分裂量、ひいては総発電量で決まるからである。従って、プルトニウム濃度は最低限必要な値とするのが最適である。
本来、トリウムは、原子炉出力が増加した場合に核分裂反応が抑制されるという特徴(事故時などにおける反応度抑制効果)を有しているが、トリウムを削除すると、即ちトリウムの含有量を0モル%にすると、この効果が無くなり、プルトニウムのみの反応度係数では不十分であった。しかし、熔融塩炉10のような液体燃料炉では、炉心10aの出力が増加しても、液体状の熔融塩燃料Fが膨張し、トリウムが無くても、核分裂反応を抑制するという特徴を発見し、安全上の問題がない事が判明した。そのため、本実施形態ではトリウムを削除した(即ちトリウムを含まない)熔融塩燃料Fを用いることが可能であり、プルトニウムの消滅効率を高めることができる。
本実施形態1によれば、熔融塩燃料Fからトリウムを削除したことにより、プルトニウム消滅速度を30%程度向上させるプルトニウム消滅型の熔融塩原子炉を提供することができる。25万KWeの小型原子炉の場合、年間約0.28トンのプルトニウムを消滅処理可能であり、40年間では約11トンを処理できる。従って、約14基の25万KWeの本実施形態の熔融塩炉10を建設すれば、40年間で150トンのプルトニウムを処理できる。ちなみに、熔融塩燃料Fからトリウムを削除とは、熔融塩燃料Fにトリウムを含まないことであるが、本明細書では、不可避的にトリウムが熔融塩燃料Fに含まれる場合も、トリウムを含まないに該当するものとする。
<実施形態2>
前記した実施形態1では、プルトニウムを含みトリウムを含まない熔融塩燃料F(LiF-BeFの濃度は99.7モル%、プルトニウムの濃度は0.3モル%)を使用した。また、前記した実施形態1では、トリウムを含まないため、トリウムによる、事故時反応度抑制効果を得ることができない。
そこで、熔融塩炉10における液体膨張のみでは不十分な場合に備えて、実施形態2では、少量のトリウムを熔融塩燃料Fに含ませることができる例を示す。図2に示すように、トリウムは比較的少量でも有効な事故時反応度抑制効果がある。そのため、トリウムの含有量は1モル%から5モル%が好ましく、さらに好ましくは、1モル%から2モル%である。また、この場合トリウムから発生するウラン233は極めて少量であり、プルトニウム消滅に与える影響は小さい。
なお、トリウムの代わりに、ウラン238を使用することも可能である。ウラン238は、トリウムと同程度の事故時反応度抑制効果を有しており、使用形態としては、ウラン238を99.3%含有する天然ウランが安価である。ただし、ウラン238が中性子を吸収すると新たなプルトニウムが生成し、プルトニウム消滅速度が若干損なわれるので、使用量は1モル%から5モル%が好ましく、さらに好ましくは1モル%から2モル%である。
あるいは、トリウムとウラン238を併用し、合計量で1モル%から5モル%の含有量が好ましく、さらに好ましくは1モル%から2モル%として、ウラン238やトリウムの使用量(含有量)を更に低減することができる。
本実施形態2の熔融塩燃料Fの濃度は、例えば、LiF-BeFの濃度が98.7モル%、プルトニウムの濃度は0.3モル%で、トリウムの含有量が1.0モル%である。
<実施形態3>
前記した実施形態1では、プルトニウムを含みトリウムを含まない熔融塩燃料F(LiF-BeFの濃度は99.7モル%、プルトニウムの濃度は0.3モル%)を使用した。それに対し、実施形態3では、プルトニウム及び超ウラン元素(ネプチニウム、アメリシウム、キューリウム)を少量含み、トリウムを含まないか、又はトリウム又はウラン238又はトリウムとウラン238の合計量で1モル%以上で5モル%以下である液体の熔融塩燃料Fを炉心10aに供給し、プルトニウム及び超ウラン元素を同時に消滅することを特徴とする。
即ち、実施形態3として、トリウムもウラン238も含まない状態で、超ウラン元素を少量含むものである。又は、実施形態3として、トリウムの含有量が1モル%~5モル%の状態で、超ウラン元素を少量含むものである。又は、実施形態3として、ウラン238の含有量が1モル%~5モル%の状態で、超ウラン元素を少量含むものである。又は実施形態3としては、トリウム及びウラン238の含有量が合計1モル%~5モル%の状態で、超ウラン元素を少量含むものである。
熔融塩燃料Fの濃度は、例えば、トリウムを含まない場合(1) LiF-BeFの濃度が99.67モル%、プルトニウムの濃度は0.30モル%で、超ウラン元素量が0.03モル%が好ましく、トリウムを含む場合、(2)LiF-BeFの濃度が98.67モル%、プルトニウムの濃度は0.30モル%で、超ウラン元素量が0.03モル%、トリウムの含有量が1モル%であることが好ましい。なお、前記のようにトリウムに代わりウラン238を使用すること、あるいはトリウムとウラン238の併用も可能である。
実施形態3では、中性子の一部がプルトニウム消滅ではなく、超ウラン元素消滅に使われる。そのため、40年間で処理されるプルトニウムの量は10トンとなる。しかし、プルトニウムの1/10程度の量で存在する、処理すべき超ウラン元素を同時に処理することが可能であり、40年間で1トンの超ウラン元素を処理することが可能である。そのため、実施形態3では、40年間でプルトニウム10トン、超ウラン元素1トンを同時に処理することが可能である。
<実施形態4>
次に、実施形態4は、実施形態1、実施形態2、及び、実施形態3において、熔融塩燃料Fとして使用されているプルトニウムがなくなった際に、熔融塩炉10の運転を停止することなく、稼働し続けるための方法を示す。
即ち、実施形態4は、使用可能なプルトニウムが全て消滅した際に、低濃縮ウランとトリウムを核燃料として使用する方法(プルトニウム消滅型の熔融塩原子炉の運転方法)である。例としては、LiF-BeFの濃度は90モル%で、核燃料の濃度10モル%の内、低濃縮ウランは2.5モル%で、トリウムは7.5モル%である。低濃縮ウラン2.5%の内訳は、ウラン235が0.5%でウラン238が2.0%というのが一般的な値である。
濃縮ウランとは核分裂が行われるウラン235の濃度を人工的に高めたものである。そのうち濃縮度20%未満のものを低濃縮ウランと呼び、軽水炉の核燃料として一般的に使用されている。
実施形態4では、使用可能なプルトニウムがなくなったとしても、原子炉を廃炉とすることなく発電システムとして利用し続けることが可能である。
また、実施形態4では、核燃料として、低濃縮ウランを使用するため、少量のプルトニウムが発生する。発生したプルトニウムは必要に応じて回収し、原子炉に戻して、核燃料として利用し、消滅させることができる。
100 発電システム(プルトニウム消滅型の熔融塩炉を備える発電システム)
1 一次系
2 二次系
3 発電系
10 熔融塩炉(プルトニウム消滅型の熔融塩原子炉)
10a 炉心
11 制御棒
12 空隙部
13 黒鉛
20 一次系循環ポンプ
20a ポンプ本体
20b 電動機
30 熱交換器
31 二次塩
40 燃料注入装置
50 二次系循環ポンプ
50a ポンプ本体
50b 電動機
60 蒸気発生器
70 蒸気タービン
80 発電機
F 熔融塩燃料(熔融塩)

Claims (6)

  1. 炉心を備え、プルトニウムを含む熔融塩が、燃料かつ冷却媒体として前記炉心に循環供給され、前記熔融塩には、トリウム、及び/又は、ウラン238が含まれ、その含有量が、0モル%~5モル%であることを特徴とするプルトニウム消滅型の熔融塩原子炉。
  2. 前記含有量が、1モル%~2モル%であることを特徴とする請求項1記載のプルトニウム消滅型の熔融塩原子炉。
  3. 熔融塩燃料である前記熔融塩は、さらに、超ウラン元素を含み、前記プルトニウム、及び、前記超ウラン元素を消滅させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のプルトニウム消滅型の熔融塩原子炉。
  4. 前記熔融塩から、燃料として使用可能なプルトニムが全て消失した後に、低濃縮ウラン及びトリウムを、前記熔融塩に加えることにより、運転の継続を可能としたことを特徴とする請求項1記載のプルトニウム消滅型の熔融塩原子炉。
  5. プルトニウムを含む熔融塩が、燃料かつ冷却媒体として炉心に循環供給され、前記熔融塩には、トリウム、及び/又は、ウラン238が含まれ、その含有量が、0モル%~5モル%であるプルトニウム消滅型の熔融塩原子炉と、前記プルトニウムを含む熔融塩を、燃料かつ冷却媒体として前記炉心に循環供給する一次系と、前記一次系により前記炉心を循環する熔融塩に、前記燃料としての前記プルトニウムを供給する燃料供給装置と、発電機と、を備える発電システム。
  6. 請求項1から請求項3のいずれか1項記載のプルトニウム消滅型の熔融塩原子炉において、
    前記熔融塩から、燃料として使用可能なプルトニムが全て消失した後に、低濃縮ウラン及びトリウムを、前記熔融塩に加えることにより、運転の継続を可能としたことを特徴とするプルトニウム消滅型の熔融塩原子炉の運転方法。
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