以下、本発明に係る建設機械の実施の形態について、後方小旋回型の油圧ショベルを例に挙げ、図1ないし図9を参照しつつ詳細に説明する。なお、実施の形態では、油圧ショベルの走行方向を前,後方向とし、油圧ショベルの走行方向と直交する方向を左,右方向として説明する。
図1ないし図8は第1の実施の形態を示している。図において、建設機械の代表例である油圧ショベル1は、前,後方向に自走可能なクローラ式の下部走行体2と、下部走行体2上に旋回装置3を介して旋回可能に搭載された上部旋回体4とを備えている。上部旋回体4の前側には、土砂の掘削作業等を行うスイング式の作業装置5が設けられている。
ここで、下部走行体2は、ベースとなるトラックフレーム2Aを備え、トラックフレーム2Aは、左,右方向で対をなして前,後方向に延びる左,右のサイドフレーム2B(左側のみ図示)を有している。左,右のサイドフレーム2Bの前,後方向の一側には遊動輪2Cが設けられ、前,後方向の他側には駆動輪2Dが設けられている。遊動輪2Cと駆動輪2Dには履帯2Eが巻装され、駆動輪2Dによって履帯2Eを駆動することにより下部走行体2が走行する。また、下部走行体2のトラックフレーム2Aには、後述する排土装置18が設けられている。
上部旋回体4は、下部走行体2のトラックフレーム2Aに旋回装置3を介して旋回可能に搭載され、後述する旋回モータ41により下部走行体2上で旋回動作を行う。上部旋回体4は、後述の旋回フレーム6、カウンタウエイト7、エンジン8、運転席9、フロア部材12、手摺り14、キャノピ16、外装カバー17等を含んで構成されている。
作業装置5は、後述する旋回フレーム6の前端に左,右方向に揺動可能に取付けられたスイングポスト5Aと、スイングポスト5Aに俯仰動可能に取付けられたブーム5Bと、ブーム5Bの先端に回動可能に取付けられたアーム5Cと、アーム5Cの先端に回動可能に取付けられたバケット5Dと、ブームシリンダ5E、アームシリンダ5F、バケットシリンダ5Gを備えて構成されている。また、旋回フレーム6とスイングポスト5Aとの間には、スイングポスト5Aを左,右方向に揺動させるスイングシリンダ5Hが設けられている(図2参照)。
旋回フレーム6は、上部旋回体4のベースとなるもので、旋回装置3を介してトラックフレーム2A上に取付けられている。旋回フレーム6の前部側には、前方に突出する支持ブラケット6Aが設けられ、この支持ブラケット6Aには、作業装置5のスイングポスト5Aが左,右方向に揺動可能に支持されている。旋回フレーム6の後部側にはカウンタウエイト7が設けられ、このカウンタウエイト7によって作業装置5との重量バランスが保たれている。
ここで、カウンタウエイト7の後面7Aは、上部旋回体4が旋回したときに下部走行体2の左,右の車幅寸法(左,右の履帯2Eの間隔)A内に収まり、上部旋回体4の旋回時における周囲の障害物との干渉を回避できるようになっている。これにより、油圧ショベル1は、上部旋回体4の後方小旋回を実現している。なお、後方小旋回の定義としては、作業上で問題にならない範囲で、カウンタウエイト7の一部が下部走行体2の車幅寸法Aから若干はみ出す程度も含む。
原動機としてのエンジン8は、カウンタウエイト7の前側に位置して旋回フレーム6に搭載されている。エンジン8は、後述する油圧ポンプ40を駆動し、油圧ポンプ40は、油圧ショベル1に搭載された各種の油圧アクチュエータに圧油を供給する。なお、原動機としては、電動モータ、あるいはエンジンと電動モータとを組合せたハイブリッド式の原動機を用いることができる。
運転席9は、カウンタウエイト7の前側で、かつエンジン8の上側に位置して旋回フレーム6上に設けられている。運転席9は、油圧ショベル1を操縦するオペレータが座るものである。運転席9の左,右両側には、旋回装置3および作業装置5等を操作するための左,右の操作レバー装置10が配置されている。右側の操作レバー装置10の右側には、排土装置18を操作するためのブレード操作レバー(図示せず)が配置されている。さらに、右側の操作レバー装置10の前側には、例えば油圧ショベル1の運転状態、設定、警告等の情報をオペレータに対して表示するマルチモニタ装置11が設けられている。
上部旋回体4のフロア部を構成するフロア部材12は、運転席9の前側に設けられている。フロア部材12は平坦な板体からなり、運転席9に着席したオペレータの足場を形成している。フロア部材12には、左,右一対の走行レバーペダル装置13が設けられている。これら左,右の走行レバーペダル装置13を手動操作または足踏み操作することにより、下部走行体2の走行動作が制御される。
手摺り14は、フロア部材12の前側に設けられ、フロア部材12から上方に立上がっている。手摺り14は、運転席9よりも前側に位置して左,右方向に延在し、例えばオペレータが地面とフロア部材12との間を乗降するとき、あるいはフロア部材12上に立上がったオペレータが掘削した穴を覗込むときに把持される。図3に示すように、手摺り14は、例えばパイプ材等の1本の棒材に折曲加工を施すことにより、上,下方向に延びる左縦棒14Aおよび右縦棒14Bと、これら左縦棒14Aと右縦棒14Bの上端部間を連結する上横棒14Cとを有する逆U字型の枠状に形成されている。また、左縦棒14Aと右縦棒14Bの上,下方向の中間部位は、上横棒14Cの下側に位置して左,右方向に延びる補強梁14Dによって連結されている。
手摺り14の左,右方向の中間部で、かつ補強梁14Dの下側には、夜間作業時に油圧ショベル1の前方を照らす前照灯15が設けられている。また、手摺り14を構成する左縦棒14Aと前照灯15との間には、後述するコネクタ取付具30を介して中継コネクタ26および他の中継コネクタ29が配置されている。
キャノピ16はカウンタウエイト7の上面に取付けられ、運転席9を上側から覆っている。キャノピ16は、例えば左,右方向に間隔をもってカウンタウエイト7の上面に立設された左,右の支柱16Aと、左,右の支柱16Aの上端側に設けられたルーフ16Bとを備えた2柱式のキャノピとして構成されている。なお、本実施の形態ではキャノピ16を備えたキャノピ仕様の油圧ショベル1を例示しているが、キャノピ16に代えてキャブを備える構成としてもよい。
外装カバー17は、旋回フレーム6に搭載された熱交換器、コントロールバルブ、作動油タンク、燃料タンク等の搭載機器(図示せず)を覆った状態で旋回フレーム6に設けられている。外装カバー17は、エンジン8の右側に配置された熱交換器等を覆う右後カバー17Aと、右後カバー17Aの前側に開閉可能に設けられ、作動油タンクおよび燃料タンク等を覆う右前カバー17Bと、カウンタウエイト7の左前側から旋回フレーム6の支持ブラケット6Aに亘って配置され、旋回フレーム6の底板とフロア部材12との間を覆うスカートカバー17Cとを備えている。ここで、右後カバー17Aの上側には後述するコントローラ22が配置され、右前カバー17Bの後側には後述するモニタ装置23が配置されている。
次に、下部走行体2に設けられた排土装置18について説明する。
排土装置18は、下部走行体2のトラックフレーム2Aに設けられている。図2に示すように、排土装置18は、基端側がトラックフレーム2Aに上,下方向に揺動可能に取付けられたV字状の昇降アーム18Aと、左,右方向に延びる長方形の板状体からなり、後面側の中央部が昇降アーム18Aの先端側に自在ピン18Bを介して取付けられたブレード18Cと、後述する昇降シリンダ18D、アングルシリンダ18E、チルトシリンダ18Fとにより構成されている。
昇降シリンダ18Dは、昇降アーム18Aとトラックフレーム2Aとの間に設けられている。アングルシリンダ18Eは、昇降アーム18Aの左側部位とブレード18Cとの間に前,後方向に延びた状態で設けられている。チルトシリンダ18Fは、ブレード18Cの後面18Gに沿って左,右方向に延びた状態で、昇降アーム18Aとブレード18Cとの間に設けられている。
昇降シリンダ18Dは、昇降アーム18Aを介してブレード18Cを上,下方向に揺動させる。従って、油圧ショベル1の走行時にブレード18Cを下降させることにより、土砂を走行方向に押出して地面を整地することができる。アングルシリンダ18Eは、ブレード18Cの長さ方向の両端を自在ピン18Bの位置を中心にして前,後方向に揺動させる。これにより、ブレード18Cによって押出される土砂を、下部走行体2の左側方または右側方にまとめて排出することができる。チルトシリンダ18Fは、ブレード18Cの長さ方向の両端を自在ピン18Bの位置を中心にして上,下方向に揺動させる。これにより、ブレード18Cによって整地される地面に勾配を形成することができる。
これら昇降シリンダ18D、アングルシリンダ18E、チルトシリンダ18Fは、コントロールバルブ(図示せず)によって圧油の給排が制御されることにより、ブレード18Cの高さ位置および姿勢を制御する。また、ブレード18Cの左,右方向(長さ方向)の一側である左側の端部18Hの後面18Gには、後述するマスト19を取付けるための支持台座18Jが、溶接等の手段を用いて固定されている。
マスト19は、ブレード18Cの支持台座18J上に取付けられることにより、ブレード18Cの左側の端部18Hに立設されている。マスト19は、例えば円筒状のパイプ材を用いて形成され、支持台座18Jから鉛直上向きに延びている。マスト19の下端19Aは、ボルト等(図示せず)を用いて支持台座18J上に固定され、マスト19の上端19Bには、後述するプリズム21が取付けられている。
位置姿勢検出装置は、傾斜センサ20とプリズム21とで構成されている。傾斜センサ20は、ブレード18Cの長さ方向の中間部に位置してブレード18Cの後面18G側に設けられている。傾斜センサ20は、排土装置18を用いた整地作業時におけるブレード18Cのチルト角度、即ち、ブレード18Cの両端の上,下方向への揺動角度を検出し、このチルト角度をコントローラ22に出力する。従って、傾斜センサ20とコントローラ22との間は、後述するブレード側ケーブル24、旋回体側ケーブル25、中継コネクタ26を介して電気的に接続されている。
プリズム21は、マスト19の上端19Bに設けられることにより、マスト19を介してブレード18Cの左側の端部18Hに取付けられている。プリズム21は、排土装置18を用いた整地作業時に自動追尾式のトータルステーション(図示せず)によって追尾される対象物(ターゲット)である。トータルステーションは、プリズム21を追尾することによりブレード18Cの位置と高さとを連続的に計測し、この計測結果をブレード18Cの位置情報として、無線によりコントローラ22に出力する。
整地作業用のコントローラ22は、外装カバー17を構成する右後カバー17Aの上側に位置して上部旋回体4上に搭載されている。コントローラ22は、例えば直方体の箱状をなし、ブラケット等を用いて旋回フレーム6に取付けられている。コントローラ22は、トータルステーション(図示せず)および傾斜センサ20からの出力(ブレード18Cの位置および姿勢)に基づいて、ブレード18C用のコントロールバルブ(図示せず)を制御する。これにより、排土装置18を用いて整地作業を行うときに、排土装置18(昇降シリンダ18D、チルトシリンダ18F)の動作が、施工すべき地面の3次元データに従って制御される構成となっている。
モニタ装置23は、外装カバー17を構成する右前カバー17Bの後側に位置して上部旋回体4上に搭載されている。モニタ装置23は、ブラケット等を用いて旋回フレーム6に取付けられ、運転席9の右側方に配置されている。モニタ装置23は、排土装置18を用いた整地作業が行われるときに、施工すべき地面の3次元データ、計測されたブレード18Cの位置情報等を表示する。
ここで、自動追尾式のトータルステーションを用いた整地作業を行う場合、油圧ショベル1に対して特定のトータルステーションがセット(一組)となって稼働する。このため、油圧ショベル1のコントローラ22が、特定のトータルステーションからの位置情報のみを確実に受信できるように、プリズム21とコントローラ22との間で認証用の信号を送受信する必要がある。従って、プリズム21とコントローラ22との間は、後述する他のブレード側ケーブル27、他の旋回体側ケーブル28、他の中継コネクタ29を介して電気的に接続されている。
ブレード側ケーブル24は、その一端24Aが傾斜センサ20に着脱可能に接続されている。ブレード側ケーブル24の他端24Bには、例えば内周面に雌ねじが形成された筒状のソケット24Cが設けられている。
旋回体側ケーブル25は、その一端25Aがコントローラ22に接続されている。旋回体側ケーブル25の他端25Bには、中継部材としての中継コネクタ26が一体的に固定されている。ここで、中継コネクタ26は、例えば外周面に雄ねじが形成されたプラグ26Aを有し、後述するコネクタ取付具30を介して手摺り14に固定されている。そして、ブレード側ケーブル24のソケット24Cは、旋回体側ケーブル25の他端25Bに固定された中継コネクタ26のプラグ26Aに着脱可能に接続される。これにより、傾斜センサ20とコントローラ22との間は、ブレード側ケーブル24、旋回体側ケーブル25、中継コネクタ26を介して電気的に接続されている。
他のブレード側ケーブル27は、その一端27Aがプリズム21に接続されている。他のブレード側ケーブル27の他端27Bには、例えば内周面に雌ねじが形成された筒状のソケット27Cが設けられている。
他の旋回体側ケーブル28は、その一端28Aがコントローラ22に接続されている。他の旋回体側ケーブル28の他端28Bには、他の中継コネクタ29が一体的に固定されている。ここで、他の中継コネクタ29は、例えば外周面に雄ねじが形成されたプラグ29Aを有し、コネクタ取付具30を介して手摺り14に固定されている。そして、他のブレード側ケーブル27のソケット27Cは、他の旋回体側ケーブル28の他端28Bに固定された他の中継コネクタ29のプラグ29Aに着脱可能に接続される。これにより、プリズム21とコントローラ22との間は、他のブレード側ケーブル27、他の旋回体側ケーブル28、他の中継コネクタ29を介して電気的に接続されている。
次に、コネクタ取付具30を用いた中継コネクタ26および他の中継コネクタ29の取付構造について説明する。
図3ないし図6に示すように、コネクタ取付具30は、手摺り14を利用して運転席9の前側に設けられている。即ち、コネクタ取付具30は、手摺り14の左,右方向の一側(左側)に配置された左縦棒14Aに取付けられた支持基板31と、支持基板31に対して中継コネクタ26を固定する後述の下ブロック33と、支持基板31に対して他の中継コネクタ29を固定する後述の上ブロック34とにより構成されている。
支持基板31は、手摺り14の左縦棒14Aに取付けられ、左縦棒14Aから前照灯15に向けて左,右方向に延在している。支持基板31は、例えば平板状の板体に折曲げ加工を施すことにより形成され、その上端側は後方に屈曲して手摺り14の補強梁14Dに係合している。支持基板31は、左縦棒14Aに取付けられる取付板部31Aを有し、運転席9とは反対側となる前面31Bには、下ブロック33と上ブロック34とが配置されている。支持基板31は、左縦棒14Aを跨いで配置された2本のUボルト32のねじ部32Aが取付板部31Aに挿通され、各Uボルト32のねじ部32Aにナット32Bが螺着されることにより、左縦棒14Aに固定されている。これにより、支持基板31は、手摺り14の補強梁14Dとフロア部材12との間の空間を塞いだ状態で、手摺り14の左縦棒14Aと前照灯15との間に配置されている。
下ブロック33は、支持基板31の前面31Bから前方に突出して設けられ、支持基板31に対して中継コネクタ26を固定している。下ブロック33は、中継コネクタ26を前,後方向から挟持する2個の分割体33A,33Bと、これら各分割体33A,33Bを支持基板31に締結する2本のボルト33Cとにより構成されている。そして、下ブロック33の各分割体33A,33Bによって中継コネクタ26を挟持し、各ボルト33Cを用いて下ブロック33を支持基板31に締結することにより、中継コネクタ26は、支持基板31の前面31B側に固定される。このとき、中継コネクタ26のプラグ26Aは、下ブロック33から左側(左縦棒14A側)に突出し、このプラグ26Aに対し、ブレード側ケーブル24の他端24Bに設けられたソケット24Cを容易に取付け、取外しすることができる構成となっている。
上ブロック34は、下ブロック33と同様に、支持基板31の前面31Bから前方に突出して設けられ、支持基板31に対して他の中継コネクタ29を固定している。上ブロック34は、他の中継コネクタ29を前,後方向から挟持する2個の分割体34A,34Bと、これら各分割体34A,34Bを支持基板31に締結する2本のボルト34Cとにより構成されている。そして、上ブロック34の各分割体34A,34Bによって他の中継コネクタ29を挟持し、各ボルト34Cを用いて上ブロック34を支持基板31に締結することにより、他の中継コネクタ29は、支持基板31の前面31B側に固定される。このとき、他の中継コネクタ29のプラグ29Aは、上ブロック34から左側に突出し、このプラグ29Aに対し、他のブレード側ケーブル27の他端27Bに設けられたソケット27Cを容易に取付け、取外しすることができる構成となっている。
このように、旋回体側ケーブル25の一端25Aはコントローラ22に接続され、旋回体側ケーブル25の他端25Bに固定された中継コネクタ26は、コネクタ取付具30を介して手摺り14に固定されている。この場合、図2に示すように、旋回体側ケーブル25の配索経路は、運転席9と外装カバー17との間を通ってフロア部材12に向けて前方へと延び、フロア部材12の前端側から左側に屈曲して手摺り14に取付られたコネクタ取付具30に達している。一方、他の旋回体側ケーブル28の一端28Aはコントローラ22に接続され、他の旋回体側ケーブル28の他端28Bに固定された他の中継コネクタ29は、コネクタ取付具30を介して手摺り14に固定されている。この場合、他の旋回体側ケーブル28の配索経路は、旋回体側ケーブル25と同様に、当運転席9と外装カバー17との間を通ってフロア部材12に向けて前方へと延び、フロア部材12の前端側から左側に屈曲して手摺り14に取付られたコネクタ取付具30に達している。このように、旋回体側ケーブル25および他の旋回体側ケーブル28の配索経路は、運転席9および運転席9の周囲でオペレータが作業を行うときの邪魔にならないように設定されている。
また、手摺り14に取付けられたコネクタ取付具30の支持基板31は、手摺り14の補強梁14Dとフロア部材12との間を閉塞し、中継コネクタ26と他の中継コネクタ29とは、支持基板31の前面31B側に固定されている。従って、中継コネクタ26を介して接続されたブレード側ケーブル24と旋回体側ケーブル25、他の中継コネクタ29を介して接続された他のブレード側ケーブル27と他の旋回体側ケーブル28を、支持基板31を挟んで運転席9とは反対側に配置することができる。これにより、運転席9に着席したオペレータの足が、ブレード側ケーブル24と旋回体側ケーブル25との接続部位、他のブレード側ケーブル27と他の旋回体側ケーブル28との接続部位に接触するのを抑え、これら各ケーブルの意図しない断線等を抑えることができる構成となっている。
次に、ブレード側ケーブル24と旋回体側ケーブル25との接続状態、および他のブレード側ケーブル27と他の旋回体側ケーブル28との接続状態を検出するケーブル接続検出装置としての近接センサについて、図4ないし図6を参照して説明する。
下近接センサ35および上近接センサ36は、コネクタ取付具30に設けられ、ケーブル接続検出装置を構成している。下近接センサ35は、コネクタ取付具30の下ブロック33にボルト等を用いて取付けられた非接触式のセンサからなり、下ブロック33に固定された中継コネクタ26のプラグ26Aの外周面と適度な間隔をもって対面している。上近接センサ36は、コネクタ取付具30の上ブロック34にボルト等を用いて取付けられた非接触式のセンサからなり、上ブロック34に固定された他の中継コネクタ29のプラグ29Aの外周面と適度な間隔をもって対面している。これら下近接センサ35と上近接センサ36とは、それぞれコントローラ22の入力側に接続されている(図7参照)。
下近接センサ35は、ブレード側ケーブル24の他端24Bに設けられたソケット24Cが中継コネクタ26のプラグ26Aに接続されたときに、ソケット24Cの外周面を検知する。これにより、下近接センサ35は、中継コネクタ26を介してブレード側ケーブル24の他端24Bと旋回体側ケーブル25の他端25Bとが接続されたことを検知し、両者が接続されたことを示す信号をコントローラ22に出力する。一方、上近接センサ36は、他のブレード側ケーブル27の他端27Bに設けられたソケット27Cが他の中継コネクタ29のプラグ29Aに接続されたときに、ソケット27Cの外周面を検知する。これにより、上近接センサ36は、他の中継コネクタ29を介して他のブレード側ケーブル27の他端27Bと他の旋回体側ケーブル28の他端28Bとが接続されたことを検知し、両者が接続されたことを示す信号をコントローラ22に出力する。
次に、油圧ショベル1の整地作業時に上部旋回体4の旋回動作を制御する旋回制御装置について、図7を参照して説明する。
旋回制御装置37は、上部旋回体4に設けられ、油圧ショベル1の整地作業時における上部旋回体4の旋回動作を制御する。旋回制御装置37は、後述する方向制御弁38、左旋回制限弁45、右旋回制限弁47を含んで構成されている。
方向制御弁38は、タンク39および油圧ポンプ40と旋回モータ41との間を接続する主管路42に設けられている。方向制御弁38は、左,右の油圧パイロット部38A,38Bに対するパイロット圧の供給に応じて、旋回モータ41を左旋回と右旋回とに切換える。左旋回用の油圧パイロット部38Aにパイロット圧が供給されたときには、旋回モータ41は左旋回方向に回転し、右旋回用の油圧パイロット部38Bにパイロット圧が供給されたときには、旋回モータ41は右旋回方向に回転する。
パイロット油圧源43は、パイロットポンプ44とタンク39とにより構成されている。パイロットポンプ44からのパイロット圧は、操作レバー装置10に設けられた操作レバー10Aの操作方向および操作量に応じて、方向制御弁38の油圧パイロット部38A,38Bに供給される。操作レバー装置10の操作レバー10Aが中立位置にあるときには、方向制御弁38の油圧パイロット部38A,38Bに供給されたパイロット圧がタンク39に戻され、方向制御弁38は中立位置に戻る。
左旋回制限弁45は、方向制御弁38の油圧パイロット部38Aと操作レバー装置10との間を接続する左旋回用のパイロット管路46に設けられている。右旋回制限弁47は、方向制御弁38の油圧パイロット部38Bと操作レバー装置10との間を接続する右旋回用のパイロット管路48に設けられている。これら左,右の旋回制限弁45,47は、電磁パイロット部45A,47Aを有する3ポート2位置の電磁弁により構成され、電磁パイロット部45A,47Aは、コントローラ22の出力側に接続されている。
左旋回制限弁45は、電磁パイロット部45Aにコントローラ22からの制御信号が供給されないときには、連通位置(a)を保持してパイロット管路46を連通させ、コントローラ22から制御信号が供給されたときには遮断位置(b)に切換り、パイロット管路46を遮断する。一方、右旋回制限弁47は、電磁パイロット部47Aにコントローラ22からの制御信号が供給されないときには、連通位置(a)を保持してパイロット管路48を連通させ、コントローラ22から制御信号が供給されたときには遮断位置(b)に切換り、パイロット管路48を遮断する。
角度センサ49は、例えば旋回装置3に設けられ、下部走行体2に対する上部旋回体4の旋回角度を検出する。角度センサ49は、コントローラ22の入力側に接続され、上部旋回体4の旋回角度に応じた検出信号をコントローラ22に出力する。コントローラ22は、角度センサ49からの検出信号に基づいて、下部走行体2に対する上部旋回体4の旋回角度が予め定められた旋回可能範囲を超えたか否かを判定する。
そして、コントローラ22は、下近接センサ35によって検出されるブレード側ケーブル24の他端24Bと旋回体側ケーブル25の他端25Bとの接続を示す信号と、上近接センサ36によって検出される他のブレード側ケーブル27の他端27Bと他の旋回体側ケーブル28の他端28Bとの接続を示す信号の少なくとも一方の信号が入力された状態で、上部旋回体4の旋回角度が旋回可能範囲を超えたときには、左,右の旋回制限弁45,47の電磁パイロット部45A,47Aに対して制御信号を供給する。これにより、方向制御弁38の油圧パイロット部38A,38Bに対するパイロット圧の供給が遮断され、旋回モータ41の旋回動作が停止される構成となっている。
ここで、排土装置18を用いて整地作業を行う場合には、運転席9に着席したオペレータがブレード18Cの左,右方向の両端部を確実に目視することができるように、下部走行体2に対して上部旋回体4がプリズム21から離れる方向に角度θ(例えば45度)だけ右旋回した姿勢(図2の姿勢)を保って作業を行うことがある。この姿勢は、ブーム5Bによってブレード18Cの左,右方向の両端部への視界が遮られるのを抑えるための姿勢である。また、整地作業中にブレード18Cの前に土砂の溜りが生じた場合には、オペレータは、例えば上部旋回体4を左,右方向に旋回させる。これにより、作業装置5をブレード18Cの前で左,右方向に動かすことができ、ブレード18Cの前の土砂を作業装置5により散らす(均す)ことができる。
このため、ブレード側ケーブル24と他のブレード側ケーブル27は、運転席9が正面を向いた姿勢(図3の姿勢)を基準として、上部旋回体4が左,右方向に所定の角度θ(例えば、45度)ずつ旋回できるだけの長さを有している。即ち、図2に示すように、整地作業時における上部旋回体4の旋回可能範囲αは、例えば運転席9が正面を向いた姿勢を基準として、左方向(プリズム21に近づく方向)に角度θだけ左旋回ができ、右方向(プリズム21から離れる方向)に角度θだけ右旋回ができる範囲(例えば、90度)に設定されている。
本実施の形態による油圧ショベル1は上述の如き構成を有するもので、以下、油圧ショベル1の排土装置18を用いて整地作業を行う場合について説明する。
まず、オペレータは、上部旋回体4の運転席9に座り、操作レバー装置10を操作することにより、下部走行体2に対して上部旋回体4を旋回させる。ここで、排土装置18を用いた整地作業時には、運転席9に座ったオペレータがブレード18Cの左,右方向の両端部を確実に目視することができるように、上部旋回体4は、例えば運転席9が正面を向いた状態(図3の状態)から図2に示す位置まで角度θだけ右旋回した姿勢を保持する。
そして、オペレータがブレード操作レバー(図示せず)を操作し、ブレード18Cの下端を地面に接地させた状態で、走行レバーペダル装置13によって油圧ショベル1を走行させることにより、地面の整地作業を行うことができる。このとき、トータルステーション(図示せず)は、ブレード18Cに取付けられたプリズム21を追尾することによりブレード18Cの位置と高さとを連続的に計測し、この計測結果をブレード18Cの位置情報として、無線によりコントローラ22に出力する。一方、傾斜センサ20は、ブレード18Cのチルト角度を検出し、このチルト角度をコントローラ22に出力する。
コントローラ22は、トータルステーションおよび傾斜センサ20からの出力に基づいて、ブレード18C用のコントロールバルブ(図示せず)を制御する。これにより、排土装置18(昇降シリンダ18D、チルトシリンダ18F)の動作が、施工すべき地面の3次元データに従って制御される。この結果、施工すべき地面の3次元データに従ってブレード18Cの姿勢(高さ、チルト角等)が変化し、施工すべき地面に適合した整地作業を行うことができる。
上述したように、排土装置18を用いた整地作業時には、上部旋回体4は、例えば運転席9が正面を向いた状態(図3の状態)から図2に示す位置まで角度θだけ右旋回した姿勢を保持している。また、整地作業中にブレード18Cの前に土砂の溜りが生じた場合には、例えば上部旋回体4を図2の姿勢から左旋回させて作業装置5をブレード18Cの前で左,右方向に動かすことにより、ブレード18Cの前の土砂を作業装置5により散らす(均す)作業を行う。
この場合、整地作業時に上部旋回体4が旋回しても、ブレード側ケーブル24、旋回体側ケーブル25、他のブレード側ケーブル27、および他の旋回体側ケーブル28が断線することがない上部旋回体4の旋回可能範囲αは、運転席9が正面を向いた姿勢(図3の姿勢)を基準として、所定の角度θずつ左旋回および右旋回ができる範囲に設定されている。
従って、ブレード側ケーブル24と旋回体側ケーブル25との接続と、他のブレード側ケーブル27と他の旋回体側ケーブル28との接続との少なくとも一方の接続が検出されている状態で、下部走行体2に対する上部旋回体4の旋回角度が、旋回可能範囲α内にある場合には、上部旋回体4は、操作レバー装置10に対する操作に応じて旋回動作を行うことができる。
即ち、コントローラ22は、下近接センサ35によって検出されるブレード側ケーブル24と旋回体側ケーブル25との接続を示す信号と、上近接センサ36によって検出される他のブレード側ケーブル27と他の旋回体側ケーブル28との接続を示す信号の少なくとも一方の信号が入力されている状態で、角度センサ49からの検出信号が示す上部旋回体4の旋回角度が、旋回可能範囲α内にある場合には、左,右の旋回制限弁45,47の電磁パイロット部45A,47Aへの制御信号の供給を停止する。従って、左,右の旋回制限弁45,47は連通位置(a)を保持し、パイロット管路46,48が連通する。これにより、上部旋回体4は、操作レバー装置10の操作に応じて旋回可能範囲α内で旋回動作を行うことができる。
一方、ブレード側ケーブル24と旋回体側ケーブル25との接続と、他のブレード側ケーブル27と他の旋回体側ケーブル28との接続との少なくとも一方の接続が検出されている状態で、下部走行体2に対する上部旋回体4の旋回角度が、旋回可能範囲αを超えている場合には、ブレード側ケーブル24、旋回体側ケーブル25、他のブレード側ケーブル27、および他の旋回体側ケーブル28のうちいずれかのケーブルが断線する可能性がある。この場合には、コントローラ22は、操作レバー装置10に対する操作に関わらず、上部旋回体4の旋回動作を禁止する。
即ち、コントローラ22は、下近接センサ35によって検出されるブレード側ケーブル24と旋回体側ケーブル25との接続を示す信号と、上近接センサ36によって検出される他のブレード側ケーブル27と他の旋回体側ケーブル28との接続を示す信号の少なくとも一方の信号が入力されている状態で、角度センサ49からの検出信号が示す上部旋回体4の旋回角度が、旋回可能範囲αを超えている場合には、左,右の旋回制限弁45,47の電磁パイロット部45A,47Aに制御信号を供給する。従って、左,右の旋回制限弁45,47が遮断位置(b)に切換られ、パイロット管路46,48が遮断されることにより、操作レバー装置10が操作されたとしても、上部旋回体4の旋回動作を禁止することができる。
このように、ブレード側ケーブル24と旋回体側ケーブル25との間の接続と、他のブレード側ケーブル27と他の旋回体側ケーブル28との間の接続との少なくとも一方の接続が検出されている状態で、オペレータが、不用意に操作レバー装置10を操作したとしても、上部旋回体4は、旋回可能範囲αを超えて旋回動作を行うことがない。この結果、上部旋回体4の旋回動作時にブレード側ケーブル24、旋回体側ケーブル25、他のブレード側ケーブル27、および他の旋回体側ケーブル28のうちいずれかのケーブルが断線するのを確実に防止することができる。しかも、オペレータは、ブレード側ケーブル24等を断線させない範囲で上部旋回体4を旋回させることに注意を払う必要がない。従って、例えば整地作業中にブレード18Cの前に溜まった土砂を、上部旋回体4を旋回させつつ作業装置5により散らす(均す)地均し作業を行うときの作業性を高めることができる。
次に、排土装置18を用いた整地作業時に、コントローラ22が上部旋回体4の旋回動作を制限するときの制御処理について、図8を参照しつつ説明する。
この制御処理は、例えば整地作業時にコントローラ22が起動されるとスタートし、ステップ1で、ブレード側ケーブル24(他端24B)が中継コネクタ26(プラグ26A)に接続されたか否か、および他のブレード側ケーブル27(他端27B)が他の中継コネクタ29(プラグ29A)に接続されたか否かを判定する。この判定は、下近接センサ35、および上近接センサ36からの検出信号に基づいて行われ、ステップ1で、「NO」と判定した場合、即ち、ブレード側ケーブル24および他のブレード側ケーブル27の両方が、中継コネクタ26および他の中継コネクタ29に接続されていない場合には、ステップ1に戻る。
ステップ1で「YES」と判定した場合、即ち、ブレード側ケーブル24と中継コネクタ26との接続と、他のブレード側ケーブル27と中継コネクタ29との接続との少なくとも一方の接続が検出されている場合には、ステップ2に進む。ステップ2では、角度センサ49からの検出信号を読込む。続くステップ3では、上部旋回体4の旋回角度が、旋回可能範囲αを超えたか否かを判定する。ステップ3で「NO」と判定した場合、即ち、上部旋回体4の旋回角度が、旋回可能範囲α内にある場合には、ステップ4に進む。ステップ4では、コントローラ22は、上部旋回体4の旋回動作を許可するため、左,右の旋回制限弁45,47の電磁パイロット部45A,47Aへの制御信号の供給を停止する。これにより、上部旋回体4は、操作レバー装置10に対する操作に応じて旋回動作を行うことができる。
一方、ステップ3で「YES」と判定した場合、即ち、上部旋回体4の旋回角度が、旋回可能範囲αを超えた場合には、ステップ5に進む。ステップ5では、コントローラ22は、上部旋回体4の旋回動作を禁止するため、左,右の旋回制限弁45,47の電磁パイロット部45A,47Aに制御信号を供給する。これにより、操作レバー装置10に対する操作に関わらず、上部旋回体4の旋回動作を禁止することができ、ブレード側ケーブル24、旋回体側ケーブル25、他のブレード側ケーブル27、および他の旋回体側ケーブル28が断線するのを防止することができる。
次に、油圧ショベル1の作業装置5を用いて土砂等の掘削作業を行う場合には、上部旋回体4が下部走行体2上で自由に旋回できるように、ブレード18C側の傾斜センサ20に接続されたブレード側ケーブル24と、上部旋回体4側のコントローラ22に接続された旋回体側ケーブル25との間を切離す。また、ブレード18C側のプリズム21に接続された他のブレード側ケーブル27と、上部旋回体4側のコントローラ22に接続された他の旋回体側ケーブル28との間を切離す。
このように、傾斜センサ20に接続されたブレード側ケーブル24の他端24Bを中継コネクタ26から取外すと共に、プリズム21に接続された他のブレード側ケーブル27の他端27Bを他の中継コネクタ29から取外すことにより、上部旋回体4の旋回動作が、ブレード側ケーブル24および他のブレード側ケーブル27によって制限されるのを抑えることができる。この結果、下部走行体2に対して上部旋回体4を360度の範囲で旋回(全旋回)させつつ、作業装置5を用いて土砂の掘削作業を行うことができる。
かくして、実施の形態によれば、油圧ショベル1は、自走可能な下部走行体2と、下部走行体2上に旋回可能に搭載された運転席9を備えた上部旋回体4と、基端側が下部走行体2に上,下方向に回動可能に取付けられ、先端側にブレード18Cが設けられた排土装置18と、排土装置18に取付けられ、ブレード18Cの位置および姿勢を示す傾斜センサ20、プリズム21と、上部旋回体4に設けられ傾斜センサ20およびプリズム21が示すブレード18Cの位置および姿勢に基づいて排土装置18の動作を制御するコントローラ22とを含んでいる。
そして、傾斜センサ20に接続されたブレード側ケーブル24と、コントローラ22に接続されると共にブレード側ケーブル24に接続された旋回体側ケーブル25と、プリズム21に接続された他のブレード側ケーブル27と、コントローラ22に接続されると共に他のブレード側ケーブル27に接続された他の旋回体側ケーブル28と、旋回体側ケーブル25とブレード側ケーブル24とが接続されたか否か、および他の旋回体側ケーブル28と他のブレード側ケーブル27とが接続されたか否かを検出するケーブル接続検出装置とを備えている。コントローラ22は、ケーブル接続検出装置により、旋回体側ケーブル25とブレード側ケーブル24との接続と、他の旋回体側ケーブル28と他のブレード側ケーブル27との接続との少なくとも一方の接続が検出されたときに、上部旋回体4の旋回動作を制限する。
この構成によれば、旋回体側ケーブル25とブレード側ケーブル24との接続と、他の旋回体側ケーブル28と他のブレード側ケーブル27との接続との少なくとも一方の接続が検出されているときには、上部旋回体4の旋回動作を制限することができる。これにより、上部旋回体4の旋回動作によって、ブレード側ケーブル24、旋回体側ケーブル25、他のブレード側ケーブル27、および他の旋回体側ケーブル28のうちいずれかのケーブルが断線するのを防止することができる。しかも、オペレータは、ブレード側ケーブル24等を断線させない範囲で上部旋回体4を旋回させることに注意を払う必要がない。この結果、例えば整地作業中にブレード18Cの前に溜まった土砂を、上部旋回体4を旋回させつつ作業装置5により散らす地均し作業を行うときの作業性を高めることができる。
実施の形態では、下部走行体2に対する上部旋回体4の旋回角度を検出する角度センサ49が設けられ、コントローラ22は、ケーブル接続検出装置により、旋回体側ケーブル25とブレード側ケーブル24との接続と、他の旋回体側ケーブル28と他のブレード側ケーブル27との接続との少なくとも一方の接続が検出された状態で、角度センサ49によって検出された上部旋回体4の旋回角度が予め定められた旋回可能範囲αを超えたときに、上部旋回体4の旋回動作を停止させる。この構成によれば、上部旋回体4の旋回角度が旋回可能範囲αを超えたときには、コントローラ22が上部旋回体の旋回動作を禁止することにより、旋回体側ケーブル25、ブレード側ケーブル24、他の旋回体側ケーブル28、および他のブレード側ケーブル27のうちいずれかのケーブルが断線するのを抑えることができる。
実施の形態では、上部旋回体4の旋回方向を左旋回または右旋回として指示する操作レバー装置10と、操作レバー装置10からのパイロット信号に応じて上部旋回体4の旋回方向を制御すると共に操作レバー装置10からのパイロット信号が遮断されることにより上部旋回体の旋回動作を停止させる旋回制御装置37とが設けられ、コントローラ22は、ケーブル接続検出装置により、旋回体側ケーブル25とブレード側ケーブル24との接続と、他の旋回体側ケーブル28と他のブレード側ケーブル27との接続との少なくとも一方の接続が検出されたときに、旋回制御装置37により、上部旋回体4の旋回動作を制限する。この構成によれば、旋回体側ケーブル25とブレード側ケーブル24との接続、および他の旋回体側ケーブル28と他のブレード側ケーブル27との接続のうち少なくとも一方の接続が検出されたときには、操作レバー装置10からのパイロット信号を遮断することにより、上部旋回体の旋回動作を制限することができる。
実施の形態では、上部旋回体4には、運転席9の前側に設けられたコネクタ取付具30と、コネクタ取付具30に取付られた中継コネクタ26および他の中継コネクタ29とが設けられ、ケーブル接続検出装置は、コネクタ取付具30に取付けられ中継コネクタ26に接続されるブレード側ケーブル24の他端24Bを検出する下近接センサ35、および、他の中継コネクタ29に接続される他のブレード側ケーブル27の他端27Bを検出する上近接センサ36により構成されている。この構成によれば、中継コネクタ26を介してブレード側ケーブル24と旋回体側ケーブル25とが接続されるときに、ブレード側ケーブル24の他端24Bを下近接センサ35によって検出することができる。また、他の中継コネクタ29を介して他のブレード側ケーブル27と他の旋回体側ケーブル28とが接続されるときに、他のブレード側ケーブル27の他端27Bを上近接センサ36によって検出することができる。
次に、図9は第2の実施の形態を示している。第2の実施の形態の特徴は、コントローラ内に設けられたケーブル接続判定部によって、ケーブル接続検出装置を構成したことにある。なお、第2の実施の形態では、第1の実施の形態と同一の構成要素に同一符号を付し、その説明を省略するものとする。
図9において、コントローラ22の入力側には角度センサ49が接続されている。しかし、第2の実施の形態は、第1の実施の形態による下近接センサ35および上近接センサ36に換えて、コントローラ22の内部に後述のケーブル接続判定部51が設けられている点で、第1の実施の形態とは異なっている。
ケーブル接続判定部51は、コントローラ22の内部に設けられ、ケーブル接続検出装置を構成している。整地作業時にコントローラ22が起動されると、コントローラ22は、整地作業に必要な各種機器類が正常に作動できる状態にあるか否かを確認する自己診断モードを実行し、例えば診断結果をモニタ装置23に表示する。このとき、傾斜センサ20とコントローラ22とが、ブレード側ケーブル24、中継コネクタ26、旋回体側ケーブル25を介して適正に接続されているか否か、および、プリズム21とコントローラ22とが、他のブレード側ケーブル27、他の中継コネクタ29、他の旋回体側ケーブル28を介して適正に接続されているか否かが、ケーブル接続判定部51によって判定される構成となっている。
従って、ケーブル接続判定部51により、傾斜センサ20とコントローラ22とが接続されていると判定された場合には、ブレード側ケーブル24と旋回体側ケーブル25とが中継コネクタ26を介して接続されている。また、ケーブル接続判定部51により、プリズム21とコントローラ22とが接続されていると判定された場合には、他のブレード側ケーブル27と他の旋回体側ケーブル28とが他の中継コネクタ29を介して接続されている。このため、コントローラ22は、ケーブル接続判定部51が、傾斜センサ20とコントローラ22との接続と、プリズム21とコントローラ22との接続との少なくとも一方の接続が適正と判定している状態において、角度センサ49によって検出された上部旋回体4の旋回角度が、旋回可能範囲αを超えたか否かに応じて、上部旋回体4の旋回動作を制限する。
即ち、コントローラ22は、ケーブル接続判定部51により、ブレード側ケーブル24と旋回体側ケーブル25との接続と、他のブレード側ケーブル27と他の旋回体側ケーブル28との接続との少なくとも一方の接続が適正と判定された状態で、角度センサ49からの検出信号が示す上部旋回体4の旋回角度が、旋回可能範囲αを超えている場合には、左,右の旋回制限弁45,47の電磁パイロット部45A,47Aに制御信号を供給する。これにより、左,右の旋回制限弁45,47が遮断位置(b)に切換られ、パイロット管路46,48が遮断される。この結果、操作レバー装置10が操作されたとしても、上部旋回体4の旋回動作を禁止することができる。
第2の実施の形態による油圧ショベルは、上述の如き構成を有するもので、その基本的作用については、第1の実施の形態と格別差異はない。然るに、第2の実施の形態によれば、コントローラ22内に設けられたケーブル接続判定部51の判定結果に基づき、ブレード側ケーブル24と旋回体側ケーブル25との接続状態、および他のブレード側ケーブル27と他の旋回体側ケーブル28との接続状態を検出することができる。この結果、第1の実施の形態による下近接センサ35、上近接センサ36を不要にすることができ、製造コストの低減を図ることができる。
なお、第1の実施の形態では、ブレード側ケーブル24の他端24Bと旋回体側ケーブル25の他端25Bとが接続されたことを検知する下近接センサ35と、他のブレード側ケーブル27の他端27Bと他の旋回体側ケーブル28の他端28Bとが接続されたことを検知する上近接センサ36とを、非接触式のセンサによって構成した場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えば接触式のセンサを用いてもよい。
さらに、実施の形態では、履帯2Eを備えたクローラ式の油圧ショベル1に適用した場合を例示している。しかし、本発明はこれに限らず、例えばホイール式の油圧ショベルにも適用することができる。