JP7131222B2 - 画像形成装置、検査対象物照合装置、検査対象物照合システム、検査対象物照合方法 - Google Patents

画像形成装置、検査対象物照合装置、検査対象物照合システム、検査対象物照合方法 Download PDF

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Description

本発明は、画像形成装置、検査対象物照合装置、検査対象物照合システム、及び検査対象物照合方法に関する。
特許文献1には、対象物の画像の照合において、対象物の固定方向にかかわらずに照合可能とするようにした画像処理装置が記載されている。画像処理装置の回転手段は、対象物を固定する固定手段と、固定手段によって固定されている対象物に対して照明を施す照明手段と、固定手段によって固定されている対象物の画像を読み取る画像読取手段のうちいずれか1つ以上を回転させ、照合値算出手段は、画像読取手段によって読み取られた画像、すなわち紙繊維が不定形に絡み合って形成されるランダムパターンの画像と既に読み取った対象物の画像を記憶している画像記憶手段内の画像とを照合するための照合値を算出し、制御手段は、照合値算出手段によって算出された照合値に基づいて、回転手段による回転を制御する。
特開2013-140503号公報
ところで、検査対象印刷物を構成する紙繊維が不定形に絡み合って形成されるランダムパターンの画像等の表面情報を取得し、これを予め登録された画像等の表面情報と照合することで検査対象物を識別する場合、検査対象物の表面情報の読取領域と光の照射方向が登録時と照合時とで互いに異なると、両者の正確な照合が困難となる。表面情報、特に表面の凹凸が形成する陰影情報は、読取領域と光の照射方向により変化し得るからである。
本発明は、検査対象物の表面情報を取得し、これを予め登録された表面情報と照合する場合に、検査対象物の表面情報を取得する際の読取領域と光の照射方向を決定できる技術を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、検査対象物の表面情報を取得するための読取領域を示す第1マーク、及び前記表面情報を取得するための光の照射方向を示す第2マークを前記検査対象物に印刷する印刷手段を備える画像形成装置である。
請求項2に記載の発明は、前記第1マークと前記第2マークの少なくともいずれかは、さらに前記表面情報を取得するための読取方向を示す請求項1に記載の画像形成装置である。
請求項3に記載の発明は、前記第1マークは、前記読取領域を示す閉領域を備える請求項1に記載の画像形成装置である。
請求項4に記載の発明は、前記閉領域の中心領域が前記読取領域を示す請求項3に記載の画像形成装置である。
請求項5に記載の発明は、前記閉領域は、単色または混合色のベタ塗りで構成される請求項3に記載の画像形成装置である。
請求項6に記載の発明は、前記第2マークは、前記第1マークの一部に形成される請求項1に記載の画像形成装置である。
請求項7に記載の発明は、前記第2マークは、前記第1マークの一部から凸形成される請求項6に記載の画像形成装置である。
請求項8に記載の発明は、前記第2マークは、前記第1マークの一部から凹形成される請求項6に記載の画像形成装置である。
請求項9に記載の発明は、前記第2マークは、前記第1マークから離間して形成される請求項1に記載の画像形成装置である。
請求項10に記載の発明は、前記第2マークは、前記第1マークと形状、色、大きさの少なくともいずれかが異なる請求項9に記載の画像形成装置である。
請求項11に記載の発明は、前記第1マークに対する前記第2マークの相対的位置により前記光の照射方向を示す請求項6,9のいずれかに記載の画像形成装置である。
請求項12に記載の発明は、前記検査対象物は、複数種類の画像を含み、前記表面情報は、前記複数種類の画像の画像情報であり、前記複数種類の画像には種類毎に識別情報が予め関連付けられる請求項1に記載の画像形成装置である。
請求項13に記載の発明は、前記印刷手段は、前記複数種類の画像を印刷する際に、前記第1マーク及び前記第2マークを印刷する請求項12に記載の画像形成装置である。
請求項14に記載の発明は、前記検査対象物は、1つの用紙に複数の画像が面付けされて構成され、前記印刷手段は、前記複数の画像のそれぞれに前記第1マーク及び前記第2マークを印刷する請求項13に記載の画像形成装置である。
請求項15に記載の発明は、前記第1マーク及び前記第2マークを用いて前記表面情報を取得する基準読取装置をさらに備え、前記印刷手段は、前記基準読取装置と前記面付けされた複数の画像のそれぞれとの相対的位置関係で前記第2マークを印刷する請求項14に記載の画像形成装置である。
請求項16に記載の発明は、前記表面情報は、前記第1マークが示す前記読取領域における表面凹凸の陰影画像である請求項1~15のいずれかに記載の画像形成装置である。
請求項17に記載の発明は、前記印刷手段は、前記第1マーク及び前記第2マークを不可視トナーで印刷する請求項1~16のいずれかに記載の画像形成装置である。
請求項18に記載の発明は、画像、第1マーク及び第2マークが印刷形成された検査対象物に対し、前記第2マークに示す方向から光を照射し、前記第1マークが示す読取領域を読み取って表面情報を取得する照合用読取手段と、前記照合用読取手段で得られた前記表面情報を、予め登録された基準表面情報と照合して照合結果を出力する照合手段とを備える検査対象物照合装置である。
請求項19に記載の発明は、画像、第1マーク及び第2マークを検査対象物に印刷する印刷装置と、前記第2マークに示す方向から光を照射し、前記第1マークが示す読取領域を読み取って基準表面情報を取得する基準読取装置と、前記基準表面情報を前記画像の識別情報と関連付けて記憶する記憶装置と、任意タイミングにおいて前記第2マークに示す方向から光を照射し、前記第1マークが示す読取領域を読み取って照合用表面情報を取得する照合用読取装置と、前記照合用読取装置で得られた前記照合用表面情報を、前記記憶装置に記憶された基準表面情報と照合して前記識別情報を出力する照合装置とを備える検査対象物照合システムである。
請求項20に記載の発明は、検査対象物の表面情報を取得するための読取領域を示す第1マークを読取領域とし、前記表面情報を取得するための光の照射方向を示す第2マークを光の照射方向として光を照射することで前記表面情報を取得する表面情報取得ステップと、取得した前記表面情報と予め登録された基準表面情報とを照合して照合結果を出力する照合ステップとを備える検査対象物照合方法である。
請求項21に記載の発明は、前記検査対象物は、複数種類の画像を含み、前記照合ステップでは、取得した前記表面情報と前記基準表面情報を照合することで前記複数種類の画像の識別情報を出力する請求項20に記載の検査対象物照合方法である。
請求項1,18,19,20に記載の発明によれば、検査対象物の表面情報を取得し、これを予め登録された表面情報と照合する場合に、検査対象物の表面情報を取得する際の読取領域と光の照射方向を決定できる。
請求項2に記載の発明によれば、さらに、表面情報を取得するための読取方向を決定できる。
請求項3,4に記載の発明によれば、さらに、閉領域により読取領域を明確に決定できる。
請求項5に記載の発明によれば、さらに、スクリーンやドットに比べ、コントラスト差が明瞭な表面情報が得られる。
請求項6,7,8に記載の発明によれば、さらに、第1マークと第2マークが一体的に印刷形成される。
請求項9,10に記載の発明によれば、さらに、第1マークと第2マークが区別され得る。
請求項11に記載の発明によれば、さらに、第2マークの相対的位置で光の照射方向が決定できる。
請求項12,21に記載の発明によれば、さらに、複数種類の画像を識別できる。
請求項13に記載の発明によれば、さらに、複数種類の画像を印刷する際に、第1マーク及び第2マークを効率的に印刷できる。
請求項14,15に記載の発明によれば、さらに、複数の画像のそれぞれで読取領域及び光の照射方向を決定できる。
請求項16に記載の発明によれば、さらに、読取領域における表面凹凸の陰影画像を用いて照合できる。
請求項17に記載の発明によれば、さらに、第1マーク及び第2マークを不可視とすることができる。
実施形態の機能ブロック図である。 実施形態の構成ブロック図である。 実施形態の指示書と見本の模式図である。 実施形態の印刷物の模式図である。 実施形態の画像の拡大説明図である。 実施形態の基準画像の登録説明図である。 実施形態の第1マーク及び第2マークの説明図である。 実施形態の第1マーク及び第2マークの機能説明図である。 実施形態の第1マーク及び第2マークの他の機能説明図である 実施形態の他の第1マーク及び第2マークの説明図である。 実施形態のさらに他の第1マーク及び第2マークの説明図である。 実施形態のさらに他の第1マーク及び第2マークの説明図である。 実施形態の面付け印刷における第1マーク及び固定第2マークの説明図である。 実施形態の面付け印刷における第1マーク及び可変第2マークの説明図である。 実施形態の処理説明図である。 実施形態の処理フローチャート(その1)である。 実施形態の処理フローチャート(その2)である。 実施形態の画像形成装置の機能ブロック図である。 変形例の第1マーク及び第2マークの説明図である。 他の変形例の第1マーク及び第2マークの説明図である。 さらに他の変形例の第1マーク及び第2マークの説明図(その1)である。 さらに他の変形例の第1マーク及び第2マークの説明図(その2)である。 さらに他の変形例の第1マーク及び第2マークの説明図(その3)である。
以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態における検査対象物照合装置の基本構成図を示す。検査対象物照合装置は、画像入力部10、照合部12、及び記憶部14を備える。
画像入力部10は、検査対象物の表面情報として画像情報を入力する。画像情報は、例えば検査対象物の表面をカメラで撮影して得られる。カメラは、所定位置に設置された固定式カメラでもよく、あるいは検査者が把持するスマートフォン等のカメラ付き携帯端末であってもよい。画像入力部10は、検査対象物の画像情報を入力し、入力した画像情報を照合部12に出力する。
照合部12は、入力された照合用画像と、記憶部14に予め記憶された基準表面情報としての基準画像を照合する。基準画像は、検査対象物に対して予め取得された基準となる画像であり、検査対象物に対して基準読取装置で読み取られた画像情報が記憶部14に記憶されたものである。検査対象物の画像には、予め画像の種類毎に識別情報(ID)が付与されており、基準読取装置で読み取られた画像情報とIDは関連付けられる。基準画像とIDとの関連付けは、IDと基準画像の対応テーブル16として記憶部14に記憶される。
より具体的には、複数種類の画像を検査対象物に印刷する場合に、画像の種類毎にIDが予め割り当てられる。例えば、ある種類の画像についてはID=「001」、別の種類の画像についてはID=「002」、さらに別の種類の画像についてはID=「003」等である。特定種類の画像は1個でもよく、あるいは複数個であってもよい。画像の種類毎に検査対象物にまとめて印刷する場合においては、画像の種類毎のIDを検査対象物の余白部分に印刷して画像の種類毎にまとめて管理し得る。複数種類の画像が印刷装置により検査対象物に印刷された後、当該画像を基準読取装置で読み取って画像情報を取得し、この画像とIDを関連付けて対応テーブル16に登録する。IDが検査対象物の余白部分に存在する場合には、検査対象物の裁断前に当該余白部分のIDを基準読取装置あるいはその他の読取装置で読み取って取得してもよい。
基準読取装置は、検査対象物に画像を印刷する印刷装置に組み込まれていてもよく、印刷装置とは別個に配置されていてもよい。基準読取装置は、カメラやスキャナ等で構成され得る。また、印刷装置がインライン画像センサ(ILS)を備える場合、当該インライン画像センサを基準読取装置に援用し得る。印刷装置内に組み込まれたインライン画像センサは、例えば定着装置・冷却装置と排出装置との間に配置され、印刷後の画像の画像情報を読み取って、階調再現特性、面内の色ムラ、表裏アライメント等を制御する。
インライン画像センサからの画像情報を入力して処理する画像処理ユニットが印刷装置内に組み込まれている場合、IDと基準画像との関連付けは、画像処理ユニットで実行してもよく、管理者等が管理装置を操作して手動で行ってもよい。作成された対応テーブル16は、画像処理ユニットあるいは管理装置から記憶部14に供給されて記憶される。
照合部12は、入力された照合用画像と、記憶部14に記憶された基準画像とを照合する。ここで、照合とは、照合用画像と基準画像とが一致するか否かを判定する処理をいう。また、一致には、完全な一致の他、一定の許容範囲内での一致も含まれる。照合部12は、照合用画像と基準画像が一致する場合には、当該基準画像に対応するIDを対応テーブル16に基づき出力する。また、照合用画像と基準画像が一致しない場合には、対応するIDが存在しないので出力しない。なお、照合部12は、一致しない場合には一致しない旨を出力してもよい。
記憶部14は、検査対象物照合装置内に組み込まれていてもよく、通信ネットワークを介して検査対象物照合装置と接続されていてもよい。後者の場合、通信ネットワークを介して接続された1又は複数のサーバコンピュータが記憶部14として機能し得る。
図2は、記憶部14をサーバコンピュータで構成した場合の本実施形態のシステム構成を示す。システムは、検査対象物照合装置20とサーバコンピュータ36を備え、検査対象物照合装置20とサーバコンピュータ36は、通信ネットワーク38でデータ送受信可能に接続される。
検査対象物照合装置20は、入出力インターフェイス(I/F)22、ROM24、RAM26、1又は複数のプロセッサ28、通信I/F30、及び記憶装置32を備える。
入出力I/F22は、キーボードやマウス等の入力装置やディスプレイ等の出力装置に接続される他、照合用カメラ34で撮影されて取得された検査対象物の画像情報を入力する。照合用カメラ34は、例えば検査者が把持するスマートフォン等である。画像情報は、有線あるいは無線で入出力I/F22に供給される。
通信I/F30は、通信ネットワーク38を介してサーバコンピュータ36に接続される。
記憶装置32は、SDD(ソリッドステートドライブ)やHDD(ハードディスクドライブ)等で構成され、通信I/F30を介してサーバコンピュータ36から取得したIDと基準画像の対応テーブル16を格納する。
1又は複数のプロセッサ28は、ROM24あるいは記憶装置32に記憶された処理プログラムを読み出して実行することで照合処理を実行する。すなわち、プロセッサ28は、図1における照合部12として機能する。プロセッサ28は、処理プログラムを実行することで、入出力I/F22から入力した照合用画像と、対応テーブル16内の複数の基準画像とを照合し、照合用画像に一致する基準画像を特定する。照合用画像に一致する基準画像が特定されると、プロセッサ28は、当該基準画像に対応するIDを対応テーブル16から特定し、ディスプレイ等の出力装置に特定したIDを出力する。
プロセッサ28は、入力した照合用画像を通信ネットワーク38を介してサーバコンピュータ36に送信し、サーバコンピュータ36で受信した照合用画像と基準画像を照合し、照合結果を通信ネットワーク38を介してプロセッサ28に送信し、プロセッサ28で照合結果を受信して出力装置に出力してもよい。この場合、サーバコンピュータ36が照合部12として機能する。
図1における画像入力部10、照合部12、及び記憶部14は、単一の装置内で実現される必要はなく、通信ネットワークで接続された複数の装置から構成されるシステムに分散されていてもよい。すなわち、システムは、画像入力部10として機能する画像読取装置、記憶部14として機能する記憶装置、照合部12として機能する照合装置から構成され得る。例えば、スマートフォンで検査対象物の画像を撮影して得られた画像情報を通信ネットワーク38を介してサーバコンピュータ36に送信し、サーバコンピュータ36で照合し、照合結果を通信ネットワーク38を介してスマートフォンに送信してスマートフォンの画面に出力してもよい。この場合、スマートフォンは画像読取装置として機能し、サーバコンピュータ36は記憶装置、及び照合装置として機能する。また、スマートフォンで検査対象物の画像を撮影して得られた画像情報をPC(パーソナルコンピュータ)に送信し、PCから通信ネットワーク38を介してサーバコンピュータ36に送信し、サーバコンピュータ36で照合し、照合結果を通信ネットワーク38を介してPCに送信してPCの画面に出力してもよい。
次に、画像の種類毎に割り当てられるIDについて説明する。
図3Aは、画像形成装置としての印刷装置で画像を検査対象物に印刷するに際し、予め与えられる指示書40と見本42の一例を示す。
指示書40には、印刷すべき画像の種類やその詳細、画像の種類毎のIDが記載されている。また、見本42には、印刷されるべき画像の完成見本が記載されている。指示書40や見本42は、例えばインターネット経由で供給され得る(Web入稿)。
図3Bは、指示書40及び見本42に基づき印刷装置で印刷された印刷物の一例を示す。面付け印刷の場合であり、複数の画像がまとめて検査対象物、この例では印刷用紙に印刷される。図では、6枚の画像がまとめて印刷されており、印刷用紙の余白部分にはその画像の種類に対応したID(ID=「00123」)が印刷される。印刷される画像が同一種類であれば同一のIDが余白部分に印刷され、印刷される画像が異なる種類であれば異なるIDが余白部分に印刷される。
なお、画像が同一種類とは、画像の全部分が同一であることを意味し、画像が異なる種類とは、画像のいずれかの部分が互いに異なることを意味する。例えば、画像に文字と人物の顔写真が含まれ、文字部分は同一でも人物の顔写真が異なる場合には異なる種類である。データに基づいて印刷する内容を変えて印刷を行うバリアブル印刷は、複数種類の画像を印刷する場合に含まれる。
図4は、複数種類の画像の一例を模式的に示す。画像は、文字44及び人物(子供)の顔写真46を含む。図4(a)の画像と図4(b)の画像において、文字44は同一であるが、顔写真46は互いに異なる。従って、図4(a)の画像と図4(b)の画像は互いに異なる種類の画像であり、互いに異なるIDが割り当てられる。図4(a)の画像には、例えばID=「00123」が割り当てられ、図4(b)の画像には、例えばID=「00124」が割り当てられる。
図5は、検査対象物の画像から基準画像を生成する処理を模式的に示す。印刷用紙に面付け印刷された画像を、印刷装置に組み込まれたインライン画像センサ等の基準読取装置50で読み取り、取得した画像情報をサーバコンピュータ36に供給する。他方で、当該画像の印刷用紙の余白部分に印刷されたIDを読み取り、当該画像のIDとしてサーバコンピュータ36に供給する。サーバコンピュータ36は、IDと基準画像を関連付けて対応テーブル16に登録する。
基準読取装置50で画像を読み取る際に、余白部分に印刷されたIDも読み取り、基準画像を生成するとともに当該画像のIDを取得して、両者を関連付けた上でサーバコンピュータ36に供給してもよい。
基準読取装置50で取得した検査対象物の基準画像と、照合用カメラ34で取得した検査対象物の照合用画像は、その読取領域と光の照射方向が互いに一致していなければならない。
すなわち、工業製品等の物体表面のわずかなエリアをスマートフォンやデジタルカメラ、スキャナなどで取り込み、その画像情報を事前にサーバに登録しておき、照合したい物体の同じ箇所を撮影して、あらかじめ登録した画像情報と照合してその物体を一意識別し真贋判定等を行う技術が公知であり、かかる技術では、画像の特徴点を抽出して照合するのではなく、製造工程で生成された意図的に再現することが難しい、物体固有のランダムパターンをもった画像全体を照合するため、登録時と照合時とで検査対象物の画像の読取領域と光の照射方向は一致している必要がある。読取領域と光の照射方向の少なくともいずれかが異なると、ランダムパターンも変化してしまい、正確な照合が不能となるからである。
具体的に説明すると、以下の通りである。検査対象物の特定領域に特定方向から光を照射すると、検査対象物のその領域における表面凹凸に応じた影がその照射方向の反対側に形成される。この陰影画像を検査対象物固有の基準画像として登録する。検査対象物の表面凹凸は、検査対象物の表面位置に応じて変化するから、読取領域が登録時と照合時とで異なる場合には、陰影画像が異なるため正確な照合ができない。例えば、読取領域サイズを数mmとすると、その領域がミリ単位でずれると表面凹凸が変化し、正確な照合ができない。
また、同じ検査対象物に対して登録時と異なる照射方向から光を照射すると、同じ表面凹凸であってもその影の形状が変化するため、陰影画像としては異なるものとなり正確な照合ができない。例えば、登録時から10度以上照射角度がずれると影の形状が大きく変化し、正確な照合ができない。
そこで、本実施形態では、印刷装置で検査対象物に画像を印刷する際に、読取領域を示す第1マーク、及び光の照射方向を示す第2マークを検査対象物に印刷形成する。登録時及び照合時には、これら第1マーク及び第2マークを基準として陰影画像を取得する。
図6は、読取領域を示す第1マーク60、及び光の照射方向を示す第2マーク62の一例を示す。第1マーク60及び第2マーク62は、検査対象物55に対して予め設定された位置に印刷される。第1マーク60及び第2マーク62は、検査対象物55に印刷される本来の画像部分(バリアブル画像部分)とは異なるマークであるため、検査対象物のデザイン性を毀損しないような位置、例えば目立たない隅部分等に印刷するのが望ましい。但し、第1マーク60及び第2マーク62は、照合時において比較的容易に認識し得る位置に印刷されていることが望ましいので、デザイン性維持と視認性維持を両立し得る位置とするのが望ましい。
第1マーク60は、外形形状が矩形形状、特に正方形の閉領域として印刷される。第2マーク62は、第1マーク60に対して予め設定された方向で外形形状が円形の閉領域として印刷される。図では、第1マーク60及び第2マーク62は破線で拡大表示されているが、読取サイズを数mmとすると、例えば第1マーク60のサイズを2mm×2mmとし、第2マーク62のサイズを直径0.5mm~1mm等とし得る。但し、サイズについては限定されない。
第1マーク60は、単色または混合色のベタ塗りで構成される。図では黒のベタ塗りで構成されているが、黒に限定されない。通常、紙繊維構造に対し、スクリーンやドットを重畳すると、紙繊維構造で得られる陰影画像のコントラスト差よりも、下地と画像との間で形成されるコントラスト差の方が大きくなり、表面情報の読取が困難となる。従って、第1マーク60をドットハーフスクリーン等は避け、ベタ画像で構成するのが望ましい。また、第1マーク60内を白抜きとすると、デザイン上の制約はないものの、紙表面に対するコーティングやニス加工の影響を受け易くなるため、紙繊維構造で得られる陰影画像のコントラスト差が得られ難くなる。従って、十分な陰影画像が得られるのであれば、第1マーク60を輪郭のみの白抜きで構成してもよい。
第2マーク62は、第1マーク60と同様に単色または混合色のベタ塗りで構成されていてもよく、あるいはスクリーンやドット、白抜き等で構成されていてもよい。第2マーク62は、読取領域を示す第1マーク60に対して相対的な位置を示すものであればよい。
図7は、第1マーク60及び第2マーク62の機能を示す。第1マーク60は、外形形状が正方形であり、その輪郭で囲まれた閉領域内の少なくとも一部が読取領域を示す。例えば、正方形の中心位置(図中×印で示す)を中心とする一定半径の円領域(図中破線で示す)を読取領域とする。図では、円の直径は正方形の1辺よりも小さく示されているが、円の直径を正方形の1辺と同じ長さの内接円とし、内接円領域を読取領域としてもよい。
第2マーク62は、第1マーク60の中心を基準として相対的に一定方向に印刷される。従って、第2マーク62から第1マーク60の中心に向かう方向は一義的に決定され、この方向を光の照射方向とする(図における矢印方向)。
登録時及び照合時のいずれにおいても、第1マーク60を用いて読取領域を設定し、第2マーク62を用いて光の照射方向を設定することで、登録時と照合時とで読取領域及び光の照射方向が一致する。
すなわち、登録時には、基準読取装置50で基準画像を取得するが、検査対象物55に印刷された第1マーク60及び第2マーク62を用いて読取領域及び光の照射方向を設定して基準画像を取得する。例えば、印刷装置に組み込まれたインライン画像センサで第2マーク62の方向から光を照射し、第1マーク60内の領域を読み取って基準画像を取得する。照合時には、検査者が検査対象物55に印刷された第1マーク60及び第2マーク62を視認し、第2マーク62の方向から光を照射し、第1マーク60内の領域を読み取って画像を取得する。画像の撮影方向については、例えば登録時及び照合時ともに検査対象物55の表面に対して略垂直方向とすればよい(図6では紙面に対して略垂直方向)。
なお、光の照射方向としては、方位角に加えて仰角があるが、第2マーク62はこのうち方位角を示すものといえる。仰角については、例えば45度程度とし得る。仰角が多少ずれても、表面凹凸の影は相似的に変化するので照合は可能である。
図7では、読取領域を第1マーク60内の一定半径の円領域としているが、他の形状であってもよい。
図8は、読取領域を第1マーク60内の矩形領域とする場合を示す。第1マーク60の外形形状は正方形であるが、読取領域も同様に正方形として設定される。第1マーク60のサイズを2mm×2mmとすると、読取領域は例えば1.5mm×1.5mmとし得る。第1マーク60の全領域、すなわち2mm×2mmを読取領域としてもよい。
図9は、第1マーク60及び第2マーク62の外形形状を円形とする場合を示す。読取領域は第1マーク60の中心から一定半径の円領域として設定される。
図7~図9では、第1マーク60と第2マーク62を互いに離間して印刷形成しているが、第1マーク60と第2マーク62を一体的に形成してもよく、第1マーク60の一部に第2マーク62を印刷形成してもよい。
図10は、第1マーク60の一部に第2マーク62を印刷形成する一例を示す。第1マーク60の外形形状を円形とし、第1マーク60の一部に凹部あるいは切り欠きを設け、この凹部あるいは切り欠きを第2マーク62とする。第2マーク62としての凹部あるいは切り欠きは、第1マーク60の中心に対して一定の方向に形成され、これにより光の照射方向が設定される。
図11は、第1マーク60の一部に第2マーク62を印刷形成する他の例を示す。第1マーク60の外形形状を円形とし、第1マーク60の一部に凸部あるいは付加部を設け、この凸部あるいは付加部を第2マーク62とする。第2マーク62としての凸部あるいは付加部は、第1マーク60の中心に対して一定の方向に形成され、これにより光の照射方向が設定される。
以上のように、第2マーク62は、第1マーク60に対する方向が一義的に決定されるのであればその形状や位置は任意に設定され得るが、検査対象物が複数面付け印刷される場合には、面付けの制約上、常に同じ状態で第1マーク60の読取ができるとは限らない。
図12は、検査対象物55に印刷形成された第1マーク60及び第2マーク62に従って、インライン画像センサ等の基準読取装置50で画像を読み取る場合の構成を示す。
検査対象物55として2つの検査対象物55a,55bが面付け印刷されており、面付けの制約上、検査対象物55a,55bは向かい合わせ、すなわち180度回転対称に印刷されている。
検査対象物55の右下隅部に第1マーク60及び第2マーク62を印刷形成し、第1マーク60を正方形及びベタ塗りとし、第2マーク62を円形及びベタ塗りとして第1マーク60に対して固定的に一定方向に印刷形成するものとする。
このとき、検査対象物55aについては、第1マーク60a及び第2マーク62aが印刷形成され、第2マーク62aは第1マーク60aに対して相対的に下方向に印刷形成される。
他方で、検査対象物55bについては、第1マーク60b及び第2マーク62bが印刷形成され、第2マーク62bは第1マーク60bに対して相対的に上方向に印刷形成される。すなわち、第1マーク60a及び第2マーク62aと、第1マーク60a及び第2マーク62bも向かい合わせ、すなわち180度回転対称に印刷される。
インライン画像センサ等の基準読取装置50は印刷装置に組み込まれており、この基準読取装置50で検査対象物55aを読み取る際には、第2マーク62aで示される方向から光を照射して第1マーク60aを読み取ることとなる。照合時には、第2マーク62aの方向から光を照射して第1マーク60aを読み取るから、登録時と照合時とで光の照射方向が一致する。
しかし、基準読取装置50で検査対象物55bを読み取る際には、第2マーク62bで示される方向とは180度異なる方向から光を照射して第1マーク60bを読み取ることになる。照合時には、第2マーク62bの方向から光を照射して第1マーク60bを読み取るから、登録時と照合時とで光の照射方向が異なることになり、照合が不能となる。
従って、検査対象物55を面付け印刷する場合において第1マーク60及び第2マーク62を印刷形成するときには、面付けの制約を考慮し、個々の検査対象物55毎に基準読取装置50の位置に応じて第1マーク60に対する第2マーク62の形成位置を変化させる、すなわち第2マーク62をバリアブル印刷する。
図13は、面付けの制約を考慮し、個々の検査対象物55毎に第2マーク62をバリアブル印刷する場合を示す。図12と同様に検査対象物55a,55bは向かい合わせ、すなわち180度回転対称に印刷形成される。また、第1マーク60及び第2マーク62は、検査対象物55の右下隅部に印刷形成される。
このとき、検査対象物55aについては、第1マーク60a及び第2マーク62aが印刷形成され、第2マーク62aは第1マーク60aに対して相対的に下方向に印刷形成される。
他方で、検査対象物55bについては、第1マーク60b及び第2マーク62bが印刷形成され、第2マーク62bは第1マーク60bに対して相対的に下方向にバリアブル印刷形成される。
基準読取装置50で検査対象物55aを読み取る際には、第2マーク62aで示される方向から光を照射して第1マーク60aを読み取ることとなる。照合時には、第2マーク62aの方向から光を照射して第1マーク60aを読み取るから、登録時と照合時とで光の照射方向が一致する。
また、基準読取装置50で検査対象物55bを読み取る際には、第2マーク62bで示される方向から光を照射して第1マーク60bを読み取ることになる。そして、照合時にも、第2マーク62bの方向から光を照射して第1マーク60bを読み取るから、登録時と照合時とで光の照射方向が一致し、照合が可能となる。
以上のように、第2マーク62については面付け印刷時の印刷方向と基準読取装置50との位置関係に応じてバリアブル印刷形成することで基準画像を取得し、記憶部14の対応テーブル16に登録する。
次に、照合時の処理について説明する。
図14は、照合時の処理を模式的に示す。面付け印刷された検査対象物55を裁断し、裁断後の任意タイミング、例えば検査対象物55を顧客に納品する際において、検査対象物55を照合用カメラ34で撮影する。このとき、第2マーク62で示される方向から光を照射し、第1マーク60で示される読取領域を読み取って画像70を取得する。画像70は、検査対象物55の微小な表面凹凸により生成される陰影画像である。
照合用カメラ34で得られた画像70は、予め記憶部14の対応テーブル16に登録された基準画像と照合される。対応テーブル16には、図14に示すようにIDと種類毎の基準画像が対応付けて記憶されている。例えば、
ID=「00123」:基準画像1
ID=「00124」:基準画像2
ID=「00125」:基準画像3
・・・
等である。照合の結果、画像70と基準画像2が一致すれば、照合結果として基準画像2に対応するID=「00124」が照合結果、すなわち検査対象物の画像の種類として出力される。
図15及び図16は、実施形態の処理フローチャートを示す。図15は基準画像の登録処理であり、図16は照合用画像と基準画像の照合処理である。なお、図15及び図16では、第1マーク60を検査対象物の画像(図4を参照)に対するそのサイズに着目して「小マーク」、第2マーク62を第1マーク60に付随する点に着目して「サブマーク」と称する。
図15において、画像形成装置としての印刷装置は、検査対象物に対し、照合用小マークの印刷情報を付加する(S101)。小マークの印刷情報は、印刷位置、印刷形状、印刷色等である。印刷位置は、例えば検査対象物の右下隅部、印刷形状は例えば正方形、印刷色はベタ黒塗り等である。
次に、印刷装置は、小マークの面付け情報を取得する(S102)。面付け情報は、例えば図13に示されるような一対の検査対象物が向かい合う状態等である。
次に、印刷装置は、S101で付加された小マークの印刷情報と、S102で取得した面付け情報を用いて、照合用小マークと、面付け情報により設定される検査対象物の姿勢に応じたサブマークを印刷する(S103)。すなわち、サブマークの印刷位置をS102で取得した情報を用いて決定し、予め設定された印刷形状(円形等)及び印刷色(ベタ黒塗り等)で印刷する。これにより、例えば図13に示されるように、検査対象物55a、55bの面付けに応じて小マーク(第1マーク60)及びサブマーク(第2マーク62)がバリアブル印刷される。
検査対象物に小マーク及びサブマークが印刷された後、当該印刷装置に組み込まれたインライン画像センサ等の基準読取装置50で小マークを読み取る(S104)。基準読取装置50で読み取られた小マーク画像は、画像処理プロセッサに送信される(S105)。
次に、画像処理プロセッサは、小マーク画像から高解像度画像を生成する(S106)。画像処理プロセッサは、インライン画像センサに組み込まれた画像処理ユニット内のプロセッサでもよく、あるいは画像処理ユニットとは別のコンピュータ内のプロセッサでもよい。高解像度画像の生成処理は、具体的には、解像度変換処理やノイズ除去処理、小マーク画像から読取領域を切り出す処理であり、図7や図8に示される第1マーク60の領域内に設定された破線の読取領域を切り出す処理である。
生成された高解像度画像はサーバコンピュータ36に送信される(S107)。サーバコンピュータ36は、高解像度画像を基準画像としてIDと関連付けて対応テーブル16に登録する(S108)。
図16において、検査対象物に印刷されている照合用小マーク及びサブマークを確認する(S201)。
次に、サブマークで示される方向から光を照射し(S202)、小マークを照合用カメラ34で読み取る(S203)。照合用カメラ34と光源が近接配置されている場合には、サブマークで示される方向から光を照射することは、同時にサブマークで示される方向から小マークを読み取ることを意味する。すなわち、サブマークは、光の照射方向と読取方向(撮影方向)を同時に示すことになる。勿論、これに限定されるものではなく、照合用カメラの位置を小マークの真上に設定する等でもよい。
次に、照合用小マーク画像から照合用高解像度画像を生成し(S204)、サーバコンピュータ36に送信する(S205)。照合用高解像度画像の生成処理には、基準画像と同程度の解像度変換、ノイズ除去処理及び基準画像と同程度のサイズ切り出し処理が含まれる。
サーバコンピュータ36では、対応テーブル16に登録されている基準画像と、S205で送信された照合用高解像度画像とを比較し(S206)、合致する画像及び関連情報を返信する(S207)。合致する画像は、照合用高解像度画像に一致する基準画像であり、関連情報は当該基準画像に対応するIDである。
S206での比較処理は、例えば、照合値として相関値の最大値を算出することにより実行される。この算出処理は、照合用高解像度画像と基準画像との相関値を正規化相関法により演算することを、照合用高解像度画像の位置をX方向及びY方向に1ドット(画素)ずつずらしながら繰り返す。
Figure 0007131222000001
ここで、Fは基準画像、fは基準画像の個々の画素の明度値、Nは基準画像及び照合用高解像度画像の総画素数、Gは照合用高解像度画像、gは照合用高解像度画像の個々の画素の明度値、fAVEは基準画像の個々の画素の明度値の平均値、gAVEは照合用高解像度画像の個々の画素の明度値の平均値である。照合用高解像度画像に対して(1)式の演算を行うことで、基準画像のドット数をm×n、照合用高解像度画像のドット数をM×Nとすると、単一の照合画像当たり(M―m+1)×(N-n+1)個の相関値が得られる。この相関値のうちの最大値が相関値の最大値である。
そして、算出された相関値の最大値と予め設定された閾値とを大小比較し、算出された相関値の最大値が予め設定された閾値以上であれば基準画像と照合用高解像度画像は一致すると判定する。
図16の処理では、サーバコンピュータ36で照合処理を実行しているが、図2に示されるように、検査対象物照合装置20においてサーバコンピュータ36から対応テーブル16を取得して照合処理を実行してもよい。
図17は、検査対象物に画像を印刷するとともに、第1マーク(小マーク)60及び第2マーク(サブマーク)62を印刷する画像形成装置の構成ブロック図を示す。
画像形成装置は、印刷ジョブにしたがって印刷出力を行うデジタル印刷機であって、印刷データ受付モジュール80、印刷モジュール82、読取モジュール84を備える。
印刷データ受付モジュール80は、印刷ジョブとともに印刷する画像データを受け付け、その画像データを印刷モジュール82が印刷可能な画像データに変換し、変換後の画像データを印刷モジュール82に出力する。受け付ける画像データとしては、例えば、PostScriptで記述されたデータやPDFフォーマットのデータ等がある。印刷データ受付モジュール80が行う処理として、例えば、受け付けた画像データのPostScript、PDF等を解釈し、ラスタライズ処理を行ってビットマップデータ(印刷ジョブに係る画像データの一例)を生成する。印刷対象である画像データは、面付けとしてまとめられ得る。また、印刷データには、第1マーク(小マーク)60及び第2マーク(サブマーク)62のデータが含まれる。
印刷モジュール82は、印刷手段として機能し、印刷データ受付モジュール80から画像データを受け付け、その画像データの印刷物を出力する。具体的には、受け付けたビットマップイメージを、搬送する用紙上にトナーで像を形成して印刷する。印刷モジュール82により、検査対象物の画像が印刷形成されるとともに、第1マーク(小マーク)60及び第2マーク(サブマーク)62が印刷形成される。印刷モジュール82は、カット紙を使用するタイプ(枚葉機)であってもよいし、ロール紙を使用するタイプ(連帳機)であってもよい。
読取モジュール84は、印刷モジュール82に接続されており、印刷モジュール82が出力した印刷物を読み取る。読取モジュール84は、読み取った画像データを図示しない印刷リカバリ処理モジュールに出力する。また、読取モジュール84は、第1マーク60を読み取り、図15におけるS106、S107の処理を実行してサーバコンピュータ36に送信する。読取モジュール84は、具体的には、印刷モジュール82に内蔵されているインライン画像センサで構成され得る。なお、印刷リカバリ処理モジュールは、印刷不良を検出してリカバリのための処理を決定するモジュールである。
画像形成装置で印刷された第1マーク60は、任意のタイミングにおいて図14に示されるように第2マーク62で示される方向から光を照射しつつ照合用カメラ34で読み取られ、画像70が生成される。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変形が可能である。以下、変形例について説明する。
<変形例1>
実施形態では、第1マーク60が読取領域を示し、第2マーク62が光の照射方向を示すものとしているが、第1マーク60と第2マーク62の少なくともいずれかが、さらに基準読取装置50及び照合用カメラ34における読取方向(撮影方向)を示すものであってもよい。
例えば、既述したように、光源と基準読取装置50、及び光源と照合用カメラ34が近接して配置されている場合には、光の照射方向と読取方向(撮影方向)はほぼ一致するので、光の照射方向を示す第2マーク62は、さらに読取方向(撮影方向)も示すマークとなる。
また、図18に示すように、第1マーク60の外形形状を正方形とし、そのうちの1辺を延在させて延在部63とし、この延在部63により読取方向(撮影方向)を示すように構成してもよい。この場合、第1マーク60の輪郭あるいは外形が読取方向(撮影方向)を示すものとなる。
<変形例2>
実施形態において、第1マーク60をベタ黒塗りで印刷しているが、これに代えて、第1マーク60を不可視トナーで印刷してもよい。不可視トナーで印刷形成することで、検査対象物のデザイン性を毀損することなく、読取領域を示すことができる。不可視トナーとしては、分子の極大吸収波長が810nm付近にあり、可視領域の吸収がほとんどない特徴を有するペリミジン系スクアリリウム色素の基本骨格にアルキル置換基を導入したトナーを用いることができるが、これに限定されない。第2マーク62についても同様に不可視トナーで印刷し得る。照合時には、近赤外領域の光を照射して第1マーク60及び第2マーク62を認識し得る。
<変形例3>
実施形態では、1つの第1マーク60に対して1つの第2マーク62を印刷形成しているが、これに限らず、1つの第1マーク60に対して複数の第2マーク62を印刷形成してもよい。
図19は、この場合の第1マーク60及び第2マーク62の一例を示す。第2マーク62は、第1マーク60の一部に形成されているが、第1マーク60の異なる位置に2個、すなわち第2マーク62cと第2マーク62dが形成される。第2マーク62cは、第1マーク60の一部に凹形成されており、光の照射方向を示す。他方で、第2マーク62dは、第1マーク60の他の部分に凸形成されており、照合用カメラ34で読み取る際の読取方向を示す。第2マーク62c,62dの形成位置は、基準読取装置50における光源及び読取部と検査対象物との相対的位置関係に応じて適応的に決定される。
<変形例4>
実施形態において、第1マーク60と第2マークの少なくともいずれかに、光の照射方向(方位角)に加え、光を照射する際の仰角を示す機能を付加してもよい。
図20A~図20Cは、第2マーク62が光照射の方位角を示すとともに、仰角を示す一例を示す。第2マーク62は、仰角に応じて円形から楕円形に変化する。例えば、仰角をφとすると、
(1)0<φ<30度
(2)30度≦φ≦60度
(3)60度<φ≦90度
の3つの角度範囲に分ける。そして、(3)の角度範囲の場合には第2マーク62の形状を円形とし、(2)の角度範囲の場合には第2マーク62を楕円形とし、(1)の角度範囲の場合には第2マーク62をさらに扁平率の大きな楕円形とする。第2マーク62の扁平率をfとすると、fは仰角φに応じて変化するといえる。
10 画像入力部、12 照合部、14 記憶部、16 対応テーブル、20 検査対象物照合装置、34 照合用カメラ、36 サーバコンピュータ、38 通信ネットワーク、50 基準読取装置、55 検査対象物、60 第1マーク、62 第2マーク。

Claims (21)

  1. 検査対象物の表面情報を取得するための読取領域を示す第1マーク、及び前記表面情報を取得するための光の照射方向を示す第2マークを前記検査対象物に印刷する印刷手段を備える画像形成装置。
  2. 前記第1マークと前記第2マークの少なくともいずれかは、さらに前記表面情報を取得するための読取方向を示す
    請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記第1マークは、前記読取領域を示す閉領域を備える
    請求項1に記載の画像形成装置。
  4. 前記閉領域の中心領域が前記読取領域を示す
    請求項3に記載の画像形成装置。
  5. 前記閉領域は、単色または混合色のベタ塗りで構成される
    請求項3に記載の画像形成装置。
  6. 前記第2マークは、前記第1マークの一部に形成される
    請求項1に記載の画像形成装置。
  7. 前記第2マークは、前記第1マークの一部から凸形成される
    請求項6に記載の画像形成装置。
  8. 前記第2マークは、前記第1マークの一部から凹形成される
    請求項6に記載の画像形成装置。
  9. 前記第2マークは、前記第1マークから離間して形成される
    請求項1に記載の画像形成装置。
  10. 前記第2マークは、前記第1マークと形状、色、大きさの少なくともいずれかが異なる
    請求項9に記載の画像形成装置。
  11. 前記第1マークに対する前記第2マークの相対的位置により前記光の照射方向を示す
    請求項6,9のいずれかに記載の画像形成装置。
  12. 前記検査対象物は、複数種類の画像を含み、
    前記表面情報は、前記複数種類の画像の画像情報であり、前記複数種類の画像には種類毎に識別情報が予め関連付けられる
    請求項1に記載の画像形成装置。
  13. 前記印刷手段は、前記複数種類の画像を印刷する際に、前記第1マーク及び前記第2マークを印刷する
    請求項12に記載の画像形成装置。
  14. 前記検査対象物は、1つの用紙に複数の画像が面付けされて構成され、
    前記印刷手段は、前記複数の画像のそれぞれに前記第1マーク及び前記第2マークを印刷する
    請求項13に記載の画像形成装置。
  15. 前記第1マーク及び前記第2マークを用いて前記表面情報を取得する基準読取装置をさらに備え、
    前記印刷手段は、前記基準読取装置と前記面付けされた複数の画像のそれぞれとの相対的位置関係で前記第2マークを印刷する
    請求項14に記載の画像形成装置。
  16. 前記表面情報は、前記第1マークが示す前記読取領域における表面凹凸の陰影画像である
    請求項1~15のいずれかに記載の画像形成装置。
  17. 前記印刷手段は、前記第1マーク及び前記第2マークを不可視トナーで印刷する
    請求項1~16のいずれかに記載の画像形成装置。
  18. 画像、第1マーク及び第2マークが印刷形成された検査対象物に対し、前記第2マークに示す方向から光を照射し、前記第1マークが示す読取領域を読み取って表面情報を取得する照合用読取手段と、
    前記照合用読取手段で得られた前記表面情報を、予め登録された基準表面情報と照合して照合結果を出力する照合手段と、
    を備える検査対象物照合装置。
  19. 画像、第1マーク及び第2マークを検査対象物に印刷する印刷装置と、
    前記第2マークに示す方向から光を照射し、前記第1マークが示す読取領域を読み取って基準表面情報を取得する基準読取装置と、
    前記基準表面情報を前記画像の識別情報と関連付けて記憶する記憶装置と、
    任意タイミングにおいて前記第2マークに示す方向から光を照射し、前記第1マークが示す読取領域を読み取って照合用表面情報を取得する照合用読取装置と、
    前記照合用読取装置で得られた前記照合用表面情報を、前記記憶装置に記憶された基準表面情報と照合して前記識別情報を出力する照合装置と、
    を備える検査対象物照合システム。
  20. 検査対象物の表面情報を取得するための読取領域を示す第1マークを読取領域とし、前記表面情報を取得するための光の照射方向を示す第2マークを光の照射方向として光を照射することで前記表面情報を取得する表面情報取得ステップと、
    取得した前記表面情報と予め登録された基準表面情報とを照合して照合結果を出力する照合ステップと、
    を備える検査対象物照合方法。
  21. 前記検査対象物は、複数種類の画像を含み、
    前記照合ステップでは、取得した前記表面情報と前記基準表面情報を照合することで前記複数種類の画像の識別情報を出力する
    請求項20に記載の検査対象物照合方法。
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