JP7130550B2 - 重金属含有排ガスの処理方法 - Google Patents
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Description
重金属含有原料を燃焼することにより生じる重金属含有排ガスであって窒素酸化物を含有し且つ前記重金属含有排ガス中の銅の濃度が0.07g/m3以上である重金属含有排ガスに対し、還元剤により脱硝処理を行う重金属含有排ガスの処理方法であって、
前記重金属含有原料を燃焼させる燃焼工程と、
300~700℃の前記重金属含有排ガスに対し、前記還元剤としてアルコールを添加する脱硝工程と、
を有する、重金属含有排ガスの処理方法である。
700~1000℃の前記重金属含有排ガスに対し、前記還元剤として液体アンモニア、アンモニア水および尿素水の少なくともいずれかを添加する第1脱硝工程と、
前記第1脱硝工程後、300~700℃の前記重金属含有排ガスに対し、前記アルコールを添加する第2脱硝工程と、
を有する。
前記重金属含有排ガスの処理方法は、前記重金属含有原料を燃焼するための炉と、前記炉と連通する煙道とを備えた装置により行い、
前記煙道は、前記炉と連通して上方に向けて延在する第1煙道部と、前記第1煙道部と連通して下方に向けて延在する第2煙道部とを備え、
前記第1脱硝工程は前記第1煙道部内にて行い、前記第2脱硝工程は前記第2煙道部内にて行う。
前記重金属含有排ガス中の銅の濃度が3.0g/m3以上である。
前記重金属含有原料は廃電子機器を含み、
前記燃焼工程は金属製錬炉にて行われる。
・前記重金属含有原料を燃焼させる燃焼工程
・300~700℃(好ましくは400~600℃)の前記重金属含有排ガスに対し、前記還元剤としてアルコールを添加する脱硝工程
例えば、炉2と連通して水平方向(例えば図1の右方)に向けて延在する第1ボイラー部と、逆の水平方向(例えば図1の左方)に向けて延在する第2ボイラー部を備えてもよい。
また、ボイラーを、炉2と連通して下方に向けて延在した後に上方に向けて延在させてもよい。
しかも、第1ボイラー部31を通過した重金属含有排ガスは、炉2から離れるため、第2ボイラー部32にて幾ばくか冷却され、前記第2還元剤であるアルコールによる脱硝にとって最適な温度すなわち300~700℃(好ましくは400~600℃)となりやすい。
以上の通り、本実施形態のボイラー3を採用することにより、各還元剤における最適な温度の重金属含有排ガスに対し、2段階にわたり脱硝処理を行うことが可能となる。
もちろん、第1還元剤噴霧機構4のノズル44を第2ボイラー部32に取り付けたり、逆に、第2還元剤噴霧機構5のノズル54を第1ボイラー部31に取り付けたり、両噴霧機構を一方のボイラー部にまとめて取り付けることも可能ではあるが、前記理由により、図1にて図示する本実施形態の態様が好ましい。また、前記第2還元剤噴霧機構5のみすなわち前記第2脱硝工程のみを設けても構わないが、2段階にわたり脱硝処理を行う方が脱硝率向上という点では好ましい。
各実施例および各比較例は、実際の炉2ではなく、炉2内およびボイラー3内を模した装置にて試験を行った。
図2は、各実施例および各比較例の試験装置の概略図である。
図2に示すように、まず、石英管内に、実際の重金属含有排ガスに含有される固形物(ダスト)を配置した。該ダストの組成を以下に示す。以下の結果は、ICP発光分光分析装置(型番SPS5100、SIIナノテクノロジー株式会社社製、以降同様)による測定を行った結果であり、単位は重量%である。
その一方、各比較例においては、本実施形態で言うところの第1還元剤である尿素水を使用し、試験用ガスの温度を300~700℃から外れた範囲とした。
そして、各種アルコールおよび尿素水の添加量は、試験用ガス内のNOxの1.0倍モル以上とした。
脱硝率の算出に関しては、反応管からの流出ガスに対し、赤外線式ガス分析計(ホダカ株式会社製HT-2300)を用いてNOx濃度を連続測定し、還元剤添加前と添加後の窒素酸化物の濃度差から脱硝率を算出した。NOxの測定方式には非分散型赤外吸収法を採用した。また、酸素についても連続測定し、その測定方式には磁気風式を採用した。なお、本来ならば、NOx濃度は酸素濃度への依存性があるため、NOx濃度を酸素濃度にて除したうえでNOx濃度の減少度合いを百分率にて示すべきところであるが、今回の試験はラボスケールであることから前記ガス分析計の値をそのまま採用した。
実施例2では、試験用ガスの一酸化窒素濃度を837ppm、酸素濃度を4.7%、試験用ガス温度を503℃、還元剤として2-プロパノールを水で5倍希釈したものを使用し、還元剤の供給量は9ml/hとした。脱硝率は25.4%だった。
実施例3では、試験用ガスの一酸化窒素濃度を831ppm、酸素濃度を4.9%、試験用ガス温度を599℃、還元剤として2-プロパノールを水で5倍希釈したものを使用し、還元剤の供給量は9ml/hとした。脱硝率は12.9%だった。
実施例4では、試験用ガスの一酸化窒素濃度を912ppm、酸素濃度を4.7%、試験用ガス温度を500℃、還元剤として2-プロパノールを水で10倍希釈したものを使用し、還元剤の供給量は9ml/hとした。脱硝率は10.5%だった。
実施例5では、試験用ガスの一酸化窒素濃度を922ppm、酸素濃度を4.6%、試験用ガス温度を488℃、還元剤として2-プロパノールを水で10倍希釈したものを使用し、還元剤の供給量は18ml/hとした。脱硝率は25.0%だった。
実施例6では、試験用ガスの一酸化窒素濃度を952ppm、酸素濃度を4.4%、試験用ガス温度を500℃、還元剤として2-プロパノールを水で20倍希釈したものを使用し、還元剤の供給量は36ml/hとした。脱硝率は18.7%だった。
実施例7では、試験用ガスの一酸化窒素濃度を918ppm、酸素濃度を5.0%、試験用ガス温度を500℃、還元剤としてエタノールを20倍希釈したものを使用し、還元剤の供給量は5ml/hとした。脱硝率は31.5%だった。
比較例2では、試験用ガスの一酸化窒素濃度を911ppm、酸素濃度を4.1%、試験用ガス温度を900℃、還元剤として尿素水(濃度304g/l)を使用し、還元剤の供給量は35ml/hとした。脱硝率は-75.1%だった。
各実施例では、Cu品位が高いにもかかわらず、各比較例に比べ、良好な脱硝率を実現できた。
各比較例では、良好な脱硝率を実現できないどころか、尿素水のアンモニアがリークしてしまい脱硝率がマイナスとなった。つまり、比較例1~2では、尿素水を噴霧しても窒素酸化物が除去されず、逆に上昇した。この理由は、尿素中のアンモニアが酸化されて窒素酸化物が生成されたためである。
2…炉
21…原料投入口
22…ガス等添加口
3…ボイラー
31…第1ボイラー部
32…第2ボイラー部
33…テーパー
4…第1還元剤噴霧機構
41…第1還元剤貯留部
42…第1ポンプ
43…第1エアー取込部
44…第1ノズル
5…第2還元剤噴霧機構
51…第2還元剤貯留部
52…第2ポンプ
53…第2エアー取込部
54…第2ノズル
Claims (6)
- 重金属含有原料を燃焼することにより生じる重金属含有排ガスであって窒素酸化物を含有し且つ前記重金属含有排ガス中の銅の重量が0.07g/m3以上である重金属含有排ガスに対し、還元剤により脱硝処理を行う重金属含有排ガスの処理方法であって、
前記重金属含有原料を燃焼させる燃焼工程と、
300~700℃の前記重金属含有排ガスに対し、前記還元剤としてアルコールを添加する脱硝工程と、
を有する、重金属含有排ガスの処理方法。 - 700~1000℃の前記重金属含有排ガスに対し、前記還元剤として液体アンモニア、アンモニア水および尿素水の少なくともいずれかを添加する第1脱硝工程と、
前記第1脱硝工程後、300~700℃の前記重金属含有排ガスに対し、前記アルコールを添加する第2脱硝工程と、
を有する、請求項1に記載の重金属含有排ガスの処理方法。 - 前記重金属含有排ガスの処理方法は、前記重金属含有原料を燃焼するための炉と、前記炉と連通する煙道とを備えた装置により行い、
前記煙道は、前記炉と連通して上方に向けて延在する第1煙道部と、前記第1煙道部と連通して下方に向けて延在する第2煙道部とを備え、
前記第1脱硝工程は前記第1煙道部内にて行い、前記第2脱硝工程は前記第2煙道部内にて行う、請求項2に記載の重金属含有排ガスの処理方法。 - 前記アルコールは、メタノール、エタノール、プロパノール、またはそれらの誘導体であるアルデヒドもしくはカルボン酸の少なくともいずれかである、請求項1~3のいずれかに記載の重金属含有排ガスの処理方法。
- 前記重金属含有排ガス中の銅の濃度が3.0g/m3以上である、請求項1~4のいずれかに記載の重金属含有排ガスの処理方法。
- 前記重金属含有原料は廃電子機器を含み、
前記燃焼工程は金属製錬炉にて行われる、請求項1~5のいずれかに記載の重金属含有排ガスの処理方法。
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