JP7130516B2 - 積層造形方法及び積層造形装置 - Google Patents

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Description

本開示は、積層造形方法及び積層造形装置に関する。
三次元形状物を積層造形する積層造形方法では、層状に敷設された粉末に光ビームや電子ビーム等のエネルギービームを照射することによって、溶融固化を繰り返し積層することにより三次元形状物を形成するため、三次元形状物の大きさが大きくなるほど、その完成までには、長い作業時間を要する。
例えば、パウダーベッド法による積層造形方法では、エネルギービームの照射前に原料粉末を粉末ベッド上に均一に敷設する。そこで、原料粉末を粉末ベッド上に均一に敷設する際の原料粉末の積層厚さを厚くすることで、原料粉末の積層回数を減らし、作業時間を短縮することが考えられる。
しかし、原料粉末の積層厚さを厚くすると、造形物における表面粗さが粗くなる等、造形物における特性が主として劣る方向に変化するおそれがある。
そこで、表面粗さを密にする必要がある部分の造形時には、原料粉末の積層厚さを薄くし、表面粗さを密にする必要性に乏しい部分の造形時には、原料粉末の積層厚さを厚くすることで造形物の製造時間を短縮できる積層造形方法が開示されている(特許文献1参照)。
特開2017-20422号公報
しかし、特許文献1に記載の方法では、原料粉末を分級装置で分級し、表面粗さを密にする必要がある部分の造形時には、分級によって粒度が小さくなった原料粉末を用い、表面粗さを密にする必要性に乏しい部分の造形時には、分級によって粒度が大きくなった原料粉末を用いている。そのため、特許文献1に記載の方法では、原料粉末の分級装置が必要であり、積層造形装置が複雑化し、コスト増を招いてしまう。
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、コストを抑制しつつ造形物の製造時間を短縮できる積層造形方法及び積層造形装置を提供することを目的とする。
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る積層造形方法は、
原料粉末の貯蔵部から分級装置を介することなく前記原料粉末を粉末ベッドに供給して前記原料粉末を第1積層厚さで積層するステップと、
前記第1積層厚さで積層されている該原料粉末にエネルギービームを照射して溶融固化させることで造形物の第1領域を造形するステップと、
前記貯蔵部から前記分級装置を介することなく前記原料粉末を前記粉末ベッドに供給して前記原料粉末を前記第1積層厚さよりも大きな第2積層厚さで積層するステップと、
前記第2積層厚さで積層されている該原料粉末に前記エネルギービームを照射して溶融固化させることで前記造形物の第2領域を造形するステップと、
を備える。
上記(1)の方法によれば、原料粉末を第1積層厚さで積層するステップ及び原料粉末を第2積層厚さで積層するステップのそれぞれで、貯蔵部から分級装置を介することなく原料粉末を粉末ベッドに供給するので、分級装置を設ける必要がない。
また、上記(1)の方法によれば、造形物で要求される特性から原料粉末の積層厚さを第1積層厚さで積層させる必要がある部分では、原料粉末を第1積層厚さで積層させ、造形物で要求される特性から原料粉末の積層厚さを第2積層厚さで積層させてもよい部分では、原料粉末を第2積層厚さで積層させることができる。
したがって、上記(1)の方法によれば、コストを抑制しつつ造形物の製造時間を短縮できる。
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の方法において、前記粉末ベッドに供給された後に前記第1領域の造形及び前記第2領域の造形に用いられなかった前記原料粉末を回収して、前記貯蔵部に戻すステップをさらに備える。
仮に原料粉末を分級装置で分級して、第1領域の造形と第2領域の造形とで異なる粒度分布を有する原料粉末を用いるようにしていた場合、粉末ベッドに供給された後に造形に用いられなかった原料粉末を回収すると、回収後の原料粉末の粒度分布は、分級前(造形前)の原料粉末の粒度分布と異なることが多い。すなわち、第1領域の造形によって消費された原料粉末の量と、第2領域の造形によって消費された原料粉末の量とが異なり、例えば粒径の小さな原料粉末が粒径の大きな原料粉末よりも多く消費された場合、造形前の原料粉末の粒度分布と比べると、回収後の原料粉末の粒度分布は粒度が大きくなる方に移動する。
一般的に、分級装置における分級後の粉末の粒度分布は、分級前の粉末の粒度分布に依存する。したがって、原料粉末を分級装置で分級して、第1領域の造形と第2領域の造形とで異なる粒度分布を有する原料粉末を用いるようにしていた場合、造形に用いられなかった原料粉末を回収して再利用することを繰り返していると、原料粉末の粒度分布が徐々に変化し、分級後の原料粉末の粒度分布も徐々に変化する。そのため、造形物の表面粗さ等の特性も徐々に変化することとなってしまう。
その点、上記(2)の方法によれば、上記(1)の方法のように、貯蔵部から分級装置を介することなく原料粉末を粉末ベッドに供給するので、造形に用いられなかった原料粉末を回収して再利用することを繰り返しても原料粉末の粒度分布が変化することを抑制できるので、造形物の品質の変動を抑制できる。
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)又は(2)の方法において、
前記第1領域を造形するステップでは、前記第1積層厚さで積層されている該原料粉末に前記エネルギービームを第1スキャン速度でスキャンしながら照射して溶融固化させ、
前記第2領域を造形するステップでは、前記第2積層厚さで積層されている該原料粉末に前記エネルギービームを前記第1スキャン速度よりも小さな第2スキャン速度でスキャンしながら照射して溶融固化させる。
上記(3)の方法によれば、第1積層厚さよりも大きな第2積層厚さで積層されている原料粉末にエネルギービームを第1スキャン速度よりも小さな第2スキャン速度でスキャンしながら照射して溶融固化させるので、第1積層厚さよりも大きな第2積層厚さで積層されている原料粉末に与えるエネルギーが不足することを抑制できる。これにより、溶融が不十分になることで造形物に欠陥が生じることを抑制できる。
(4)幾つかの実施形態では、上記(3)の方法において、前記第2領域を造形するステップでは、前記第2積層厚さで積層されている該原料粉末に対して、前記第1積層厚さと前記第1スキャン速度との積よりも前記第2積層厚さと前記第2スキャン速度との積の方が大きくなるように設定された前記第2スキャン速度で前記エネルギービームをスキャンしながら照射して溶融固化させる。
積層造形における原料粉末の1層当たりの積層厚さを厚くすれば造形物の製造時間を短縮できる。一方、エネルギービームのスキャン速度を落とすと、造形物の製造時間が長くなる。しかし、原料粉末の1層当たりの積層厚さを厚くすることによる製造時間の短縮時間がエネルギービームのスキャン速度を落とすことによる造形物の製造時間の増加時間よりも大きければ、造形物の製造時間を短縮できる。
すなわち、第1積層厚さと第1スキャン速度との積よりも第2積層厚さと第2スキャン速度との積の方が大きければ、第1積層厚さで積層させることと、エネルギービームを第1スキャン速度でスキャンしながら照射して溶融固化させることを繰り返して造形物の全体を製造した場合と比べて、製造時間を短縮できる。
したがって、上記(4)の方法によれば、造形物の製造時間を短縮できる。
(5)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(4)の何れかの方法において、
前記第1領域を造形するステップでは、前記第1積層厚さを20マイクロメートル以上55マイクロメートル以下とし、
前記第2領域を造形するステップでは、前記第2積層厚さを55マイクロメートルを超え85マイクロメートル以下とする。
上記(5)の方法によれば、造形物の内部の欠陥や表面粗さ等の造形物に要求される性能を確保しつつ、造形物の製造時間を短縮できる。
(6)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(4)の何れかの方法において、前記第2領域を造形するステップでは、前記第2積層厚さを前記第1積層厚さの1.0倍を超え2.0倍未満とする。
上記(6)の方法によれば、造形物の内部の欠陥や表面粗さ等の造形物に要求される性能を確保しつつ、造形物の製造時間を短縮できる。
(7)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(6)の何れかの方法において、前記原料粉末を前記第2積層厚さで積層するステップにおける前記原料粉末の平均粒径は、前記原料粉末を前記第1積層厚さで積層するステップにおける前記原料粉末の平均粒径の70%以上130%以下の平均粒径である。
上記(7)の方法によれば、第1領域の造形に用いた原料粉末の平均粒径の70%以上130%以下の平均粒径となる原料粉末を用いて第2領域を造形できる。
(8)本発明の少なくとも一実施形態に係る積層造形装置は、
原料粉末の貯蔵部と、
前記貯蔵部から分級装置を介することなく供給された前記原料粉末による粉末ベッドが形成されるベースプレート、を有する粉末ベッド形成部と、
前記粉末ベッドに対してエネルギービームを照射可能なエネルギービーム照射ユニットと、
前記ベースプレート、及び、前記エネルギービーム照射ユニットを制御可能な制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、造形物を造形するための情報に基づいて、
前記造形物の第1領域の造形時に前記粉末ベッド上に前記原料粉末を第1積層厚さで積層させるために前記第1積層厚さに対応する第1下降量で前記ベースプレートが下降するように前記ベースプレートを制御し、
前記造形物の第2領域の造形時に前記粉末ベッド上に前記原料粉末を前記第1積層厚さよりも大きな第2積層厚さで積層させるために前記第2積層厚さに対応する第2下降量で前記ベースプレートが下降するように前記ベースプレートを制御する。
上記(8)の構成によれば、第1領域の造形時及び第2領域の造形時のそれぞれで、貯蔵部から分級装置を介することなく原料粉末が粉末ベッドに供給されるので、分級装置を設ける必要がない。
また、上記(8)の構成によれば、造形物で要求される特性から原料粉末の積層厚さを第1積層厚さで積層させる必要がある部分では、原料粉末を第1積層厚さで積層させ、造形物で要求される特性から原料粉末の積層厚さを第2積層厚さで積層させてもよい部分では、原料粉末を第2積層厚さで積層させることができる。
したがって、上記(8)の構成によれば、コストを抑制しつつ造形物の製造時間を短縮できる。
本発明の少なくとも一実施形態によれば、コストを抑制しつつ造形物の製造時間を短縮できる積層造形方法及び積層造形装置を提供できる。
三次元積層造形装置の全体構成を示す模式図である。 幾つかの実施形態に係る積層造形方法の処理手順を示すフローチャートである。 幾つかの実施形態に係る製造ステップにおける処理手順の一例を示したフローチャートである。 積層厚さTを50マイクロメートル、70マイクロメートル及び90マイクロメートルとしたときの造形品の密度を測定した結果を示すグラフの一例である。 積層厚さTを50マイクロメートル及び70マイクロメートルとしたときの、造形品の寸法精度について説明するためのグラフである。 図5における造形品の表面粗さの測定結果を表すグラフである。 造形品の静的強度に関する試験結果を表すグラフである。
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
(三次元積層造形装置1について)
図1は、本発明の少なくとも一実施形態に係る積層造形方法を適用可能な装置である、三次元積層造形装置1の全体構成を示す模式図である。
三次元積層造形装置1は、層状に敷設された原料粉末にエネルギービームを照射して積層造形を行うことにより三次元形状の造形物15を製造するための装置である。幾つかの実施形態に係る三次元積層造形装置1は、例えば、ガスタービンや蒸気タービン等のタービンの動翼や静翼、あるいは燃焼器の内筒や尾筒やノズル等の部品を形成することができる。
幾つかの実施形態に係る三次元積層造形装置1は、原料粉末30の貯蔵部31を備える。幾つかの実施形態に係る三次元積層造形装置1は、貯蔵部31から分級装置を介することなく供給された原料粉末30による粉末ベッド8が形成されるベースプレート2、を有する粉末ベッド形成部5を備える。幾つかの実施形態に係る三次元積層造形装置1は、粉末ベッド8に対して光ビーム9aを照射可能な光ビーム照射ユニット9を備える。幾つかの実施形態に係る三次元積層造形装置1は、後述する粉末敷設ユニット10、ベースプレート2の駆動シリンダ2a、及び、光ビーム照射ユニット9を制御可能な制御装置20を備える。
ベースプレート2は、造形物15が造形される土台となる。ベースプレート2は、鉛直方向に沿った中心軸を有する略筒形状のシリンダ4の内側に、駆動シリンダ2aによって昇降可能に配置されている。ベースプレート2上に形成される粉末ベッド8は、造形作業の間、各サイクルにてベースプレート2が下降する毎に、上層側に粉末が敷設されることにより新たに形成される。
尚、本実施形態の三次元積層造形装置1ではエネルギービームとして光ビームを照射する場合を示すが、電子ビーム等の他の形態のエネルギービームを使用する場合にも、本発明の思想は同様に適用可能である。
三次元積層造形装置1は、ベースプレート2上に原料粉末30を敷設して粉末ベッド8を形成するための粉末敷設ユニット10を備える。粉末敷設ユニット10は、貯蔵部31から分級装置を介することなくベースプレート2の上面側に原料粉末30を供給し、その表面を平坦化することによって、ベースプレート2の上面全体に亘って略均一な厚さを有する層状の粉末ベッド8を形成する。各サイクルで形成された粉末ベッド8には、光ビーム照射ユニット9から光ビーム9aが照射されることによって選択的に固化され、次サイクルにて、粉末敷設ユニット10によって再び上層側に原料粉末30が敷設されることで、新たな粉末ベッド8が形成されることによって、層状に積み重ねられていく。
ベースプレート2の上面側に供給された原料粉末30の表面を粉末敷設ユニット10が平坦化すると、余剰の原料粉末30は、原料粉末回収タンク32に回収される。
なお、原料粉末回収タンク32に回収された原料粉末30は、粉末ベッド8において造形物15の造形に用いられなかった原料粉末30とともに、スパッタ等の異物を取り除くためにふるい掛けされた後、貯蔵部31に戻される。
このように、幾つかの実施形態に係る三次元積層造形装置1では、粉末敷設ユニット10からベースプレート2上に供給されたものの造形物15の造形に用いられなかった原料粉末30を回収して貯蔵部31に戻すようにしている。造形物15の造形に用いられなかった原料粉末30は、上述したようにスパッタ等の異物を取り除くためのふるい掛けは行われるが、粒度分布の調整のための分級処理は行われない。
尚、粉末敷設ユニット10から供給される原料粉末30は、造形物15の原料となる粉末状物質であり、例えば鉄、銅、アルミニウム又はチタン等の金属材料や、セラミック等の非金属材料を広く採用可能である。
制御装置20は、三次元積層造形装置1のコントロールユニットであり、例えばコンピュータのような電子演算装置によって構成される。
幾つかの実施形態に係る制御装置20には、造形物15の造形に必要な、造形物15の形状、すなわち各部の寸法に関する情報が入力される。また、幾つかの実施形態に係る制御装置20には、造形物15についての第1領域15a及び第2領域15bが造形物15のどの領域に該当するのかを表す情報が入力される。造形物15を造形するためのこれらの情報は、例えば外部の装置から入力されて、例えば制御装置20の不図示の記憶部に記憶される。
幾つかの実施形態では、第1領域15aと第2領域15bとでは、寸法精度や表面粗さ、強度等、要求される特性の少なくとも1つが異なっている。幾つかの実施形態では、第1領域15aに要求される特性の少なくとも1つは、第2領域15bに要求される特性よりも優れているものとする。すなわち、幾つかの実施形態では、第1領域15aに要求される品質は第2領域15bに要求される品質よりも高い。
積層造形方法では、粉末の溶融固化を繰り返し積層することにより三次元形状物を形成するため、三次元形状物の大きさが大きくなるほど、その完成までには、長い作業時間を要する。
例えば、上記三次元積層造形装置1を用いたパウダーベッド法による積層造形方法では、光ビーム9aの照射前に原料粉末30を粉末ベッド8上に均一に敷設する。そこで、原料粉末30を粉末ベッド8上に均一に敷設する際の原料粉末30の積層厚さTを厚くすることで、原料粉末30の積層回数を減らし、作業時間を短縮することが考えられる。
しかし、原料粉末30の積層厚さTを厚くすると、造形物15における表面粗さが粗くなる等、造形物における特性が主として劣る方向に変化するおそれがある。
そこで、幾つかの実施形態に係る三次元積層造形装置1では、造形物15において第2領域よりも高い品質が要求される第1領域15aでは、原料粉末30の積層厚さTを第2領域における積層厚さTよりも薄くすることで要求される品質を確保するようにしている。また、幾つかの実施形態に係る三次元積層造形装置1では、第1領域15aほど高い品質が要求されない第2領域15bでは、原料粉末30の積層厚さTを第1領域15aよりも厚くすることで原料粉末30の積層回数を減らし、作業時間を短縮するようにしている。
具体的には、幾つかの実施形態に係る三次元積層造形装置1では、制御装置20は、造形物を造形するための情報に基づいて、造形物15の第1領域15aの造形時に粉末ベッド8上に原料粉末30を第1積層厚さT1で積層させるために第1積層厚さT1に対応する第1下降量L1でベースプレート2が下降するようにベースプレート2の駆動シリンダ2aを制御する。なお、第1下降量L1は、第1積層厚さT1と等しい。
同様に、幾つかの実施形態に係る三次元積層造形装置1では、制御装置20は、造形物を造形するための情報に基づいて、造形物15の第2領域15bの造形時に粉末ベッド8上に原料粉末30を第1積層厚さT1よりも大きな第2積層厚さT2で積層させるために第2積層厚さT2に対応する第2下降量L2でベースプレート2が下降するようにベースプレート2の駆動シリンダ2aを制御する。なお、第2下降量L2は、第2積層厚さT2と等しい。
すなわち、幾つかの実施形態に係る三次元積層造形装置1では、制御装置20は、粉末敷設ユニット10によってベースプレート2の上面側に原料粉末30を供給する前に、次に造形する部分が第1領域15aに対応するのか、第2領域15bに対応するのかを判断することで、ベースプレート2が下降量が第1下降量L1であるのか第2下降量L2であるのかを判断する。
そして、幾つかの実施形態に係る制御装置20は、上述の判断によって決定した下降量でベースプレート2が下降するようにベースプレート2の駆動シリンダ2aを制御する。
次いで、幾つかの実施形態に係る制御装置20は、ベースプレート2の上面側に原料粉末30を供給するように粉末敷設ユニット10を制御する。
そして、幾つかの実施形態に係る制御装置20は、粉末ベッド8に光ビーム9aを照射するように光ビーム照射ユニット9を制御する。
以降、幾つかの実施形態に係る制御装置20は、造形物15の造形が終了するまで、上記の制御動作を繰り返し実行する。
以上の説明が、幾つかの実施形態に係る三次元積層造形装置1によって造形物15を造形する際の積層造形方法の一実施形態の概要である。幾つかの実施形態に係る積層造形方法については、後でさらに説明する。
このように、幾つかの実施形態に係る三次元積層造形装置1では、造形物15で要求される特性から原料粉末30の積層厚さTを第1積層厚さT1で積層させる必要がある部分(第1領域15a)では、原料粉末30を第1積層厚さT1で積層させ、造形物15で要求される特性から原料粉末30の積層厚さTを第2積層厚さT2で積層させてもよい部分(第2領域15b)では、原料粉末30を第2積層厚さT2で積層させることができる。
したがって、幾つかの実施形態に係る三次元積層造形装置1によれば、コストを抑制しつつ造形物15の製造時間を短縮できる。
(積層造形方法について)
以下、幾つかの実施形態に係る積層造形方法についてさらに説明する。
図2は、幾つかの実施形態に係る積層造形方法の処理手順を示すフローチャートである。幾つかの実施形態に係る積層造形方法は、製造ステップS1と、原料粉末回収ステップS2とを備える。
製造ステップS1は、例えば上述した幾つかの実施形態に係る三次元積層造形装置1を用いて造形物15を製造するステップである。製造ステップS1の詳細については、後で説明する。
原料粉末回収ステップS2は、粉末ベッド8に供給された後に第1領域15aの造形及び第2領域15bの造形に用いられなかった原料粉末30を回収して、貯蔵部31に戻すステップである。
具体的には、幾つかの実施形態に係る積層造形方法では、原料粉末回収ステップS2において、上述したように、原料粉末回収タンク32に回収された原料粉末30、及び、粉末ベッド8において造形物15の造形に用いられなかった原料粉末30を、スパッタ等の異物を取り除くためにふるい掛けする。そして、スパッタ等の異物を取り除いた後の原料粉末30を、貯蔵部31に戻す。
仮に原料粉末30を分級装置で分級して、第1領域15aの造形と第2領域15bの造形とで異なる粒度分布を有する原料粉末30を用いるようにしていた場合、粉末ベッド8に供給された後に造形に用いられなかった原料粉末30を回収すると、回収後の原料粉末30の粒度分布は、分級前(造形前)の原料粉末30の粒度分布と異なることが多い。すなわち、第1領域15aの造形によって消費された原料粉末30の量と、第2領域15bの造形によって消費された原料粉末30の量とが異なり、例えば粒径の小さな原料粉末30が粒径の大きな原料粉末30よりも多く消費された場合、造形前の原料粉末30の粒度分布と比べると、回収後の原料粉末30の粒度分布は粒度が大きくなる方に移動する。
一般的に、分級装置における分級後の粉末の粒度分布は、分級前の粉末の粒度分布に依存する。したがって、原料粉末30を分級装置で分級して、第1領域15aの造形と第2領域15bの造形とで異なる粒度分布を有する原料粉末30を用いるようにしていた場合、造形に用いられなかった原料粉末30を回収して再利用することを繰り返していると、原料粉末30の粒度分布が徐々に変化し、分級後の原料粉末30の粒度分布も徐々に変化する。そのため、造形物15の表面粗さ等の特性も徐々に変化することとなってしまう。
その点、幾つかの実施形態に係る積層造形方法では、貯蔵部31から分級装置を介することなく原料粉末30を粉末ベッド8に供給するので、造形に用いられなかった原料粉末30を回収して再利用することを繰り返しても原料粉末30の粒度分布が変化することを抑制できるので、造形物15の品質の変動を抑制できる。
図3は、幾つかの実施形態に係る製造ステップS1における処理手順の一例を示したフローチャートである。例えば上述した幾つかの実施形態に係る三次元積層造形装置1を用いて造形物15の製造を開始すると、制御装置20の不図示のCPUは、図3のフローチャートにおける処理を行うプログラムの実行を開始する。
幾つかの実施形態に係る製造ステップS1には、積層厚さ判定ステップS101と、第1領域積層ステップS105と、第1領域造形ステップS107と、第2領域積層ステップS115と、第2領域造形ステップS117とが含まれる。以下、図3に示したフローチャートにおける処理順序に沿って説明する。
(積層厚さ判定ステップS101)
積層厚さ判定ステップS101は、第1領域積層ステップS105又は第2領域積層ステップS115の実施に先立って、原料粉末30の積層厚さT、すなわち、ベースプレート2の下降量を判定するステップである。
具体的には、幾つかの実施形態に係る制御装置20は、次に造形する部分が第1領域15aに対応するのか、第2領域15bに対応するのかを、造形物15を造形するための情報に基づいて判断する。そして、幾つかの実施形態に係る制御装置20は、次に造形する部分が第1領域15aに対応する領域であると判断すると、積層厚さTを第1積層厚さT1に設定する。また、幾つかの実施形態に係る制御装置20は、次に造形する部分が第2領域15bに対応する領域であると判断すると、積層厚さTを第2積層厚さT2に設定する。
(第1領域積層ステップS105)
積層厚さ判定ステップS101で積層厚さTが第1積層厚さT1に設定された場合、第1領域積層ステップS105に進み、幾つかの実施形態に係る制御装置20は、原料粉末30を第1積層厚さT1でベースプレート2に積層させる。
すなわち、第1領域積層ステップS105は、貯蔵部31から分級装置を介することなく原料粉末30を粉末ベッド8に供給して原料粉末30を第1積層厚さT1で積層するステップである。
具体的には、幾つかの実施形態に係る制御装置20は、第1積層厚さT1と等しい第1下降量L1でベースプレート2が下降するように駆動シリンダ2aを制御する。
次いで、幾つかの実施形態に係る制御装置20は、ベースプレート2の上面側に原料粉末30を供給するように粉末敷設ユニット10を制御する。
第1領域積層ステップS105が実行されることで、粉末ベッド8の上部には、第1積層厚さT1で積層された原料粉末30の層が形成される。
なお、第1積層厚さT1の具体的な値等については、後で説明する。
(第1領域造形ステップS107)
第1領域積層ステップS105が実行されると第1領域造形ステップS107に進み、幾つかの実施形態に係る制御装置20は、粉末ベッド8に光ビーム9aを照射するように光ビーム照射ユニット9を制御する。
すなわち、第1領域造形ステップS107は、第1積層厚さT1で積層されている粉末ベッド8上の原料粉末30に光ビーム9aを照射して溶融固化させることで造形物15の第1領域15aを造形するステップである。
具体的には、幾つかの実施形態に係る制御装置20は、第1領域15aを造形するために予め定められた光ビーム9aの第1出力W1、及び、第1領域15aを造形するために予め定められた光ビーム9aの第1スキャン速度V1で光ビーム9aを照射するように、光ビーム照射ユニット9を制御する。
第1領域造形ステップS107が実施されることで、粉末ベッド8の上部に第1積層厚さT1の分だけ第1領域15aが新たに形成される。
第1領域造形ステップS107が実行されるとステップS109へ進み、幾つかの実施形態に係る制御装置20は、造形物15の造形が終了したか否かを判断する。
造形物15の造形が終了していると判断されると(ステップS109肯定判断)、幾つかの実施形態に係る制御装置20は、本プログラムの処理を終了する。
造形物15の造形が終了していないと判断されると(ステップS109否定判断)、幾つかの実施形態に係る制御装置20は、積層厚さ判定ステップS101に戻って、本プログラムの処理を継続する。
(第2領域積層ステップS115)
積層厚さ判定ステップS101で積層厚さTが第2積層厚さT2に設定された場合、第2領域積層ステップS115に進み、幾つかの実施形態に係る制御装置20は、原料粉末30を第2積層厚さT2でベースプレート2に積層させる。
すなわち、第2領域積層ステップS115は、貯蔵部31から分級装置を介することなく原料粉末30を粉末ベッド8に供給して原料粉末30を第1積層厚さT1よりも大きな第2積層厚さT2で積層するステップである。
具体的には、幾つかの実施形態に係る制御装置20は、第2積層厚さT2と等しい第2下降量L2でベースプレート2が下降するように駆動シリンダ2aを制御する。
次いで、幾つかの実施形態に係る制御装置20は、ベースプレート2の上面側に原料粉末30を供給するように粉末敷設ユニット10を制御する。
第2領域積層ステップS115が実行されることで、粉末ベッド8の上部には、第2積層厚さT2で積層された原料粉末30の層が形成される。
なお、第2積層厚さT2の具体的な値等については、後で説明する。
(第2領域造形ステップS117)
第2領域積層ステップS115が実行されると第2領域造形ステップS117に進み、幾つかの実施形態に係る制御装置20は、粉末ベッド8に光ビーム9aを照射するように光ビーム照射ユニット9を制御する。
すなわち、第2領域造形ステップS117は、第2積層厚さT2で積層されている粉末ベッド8上の原料粉末30に光ビーム9aを照射して溶融固化させることで造形物15の第2領域15bを造形するステップである。
具体的には、幾つかの実施形態に係る制御装置20は、第2領域15bを造形するために予め定められた光ビーム9aの第2出力W2、及び、第2領域15bを造形するために予め定められた光ビーム9aの第2スキャン速度V2で光ビーム9aを照射するように、光ビーム照射ユニット9を制御する。
第2領域造形ステップS117が実施されることで、粉末ベッド8の上部に第2積層厚さT2の分だけ第2領域15bが新たに形成される。
第2領域造形ステップS117が実行されるとステップS109へ進み、幾つかの実施形態に係る制御装置20は、造形物15の造形が終了したか否かを判断する。
造形物15の造形が終了していると判断されると(ステップS109肯定判断)、幾つかの実施形態に係る制御装置20は、本プログラムの処理を終了する。
造形物15の造形が終了していないと判断されると(ステップS109否定判断)、幾つかの実施形態に係る制御装置20は、積層厚さ判定ステップS101に戻って、本プログラムの処理を継続する。
このように、幾つかの実施形態に係る積層造形方法によれば、第1領域積層ステップS105及び第2領域積層ステップS115のそれぞれで、貯蔵部31から分級装置を介することなく原料粉末30を粉末ベッド8に供給するので、分級装置を設ける必要がない。
また、幾つかの実施形態に係る積層造形方法によれば、造形物15で要求される特性から原料粉末30の積層厚さTを第1積層厚さT1で積層させる必要がある部分(第1領域15a)では、原料粉末30を第1積層厚さT1で積層させ、造形物15で要求される特性から原料粉末30の積層厚さTを第2積層厚さT2で積層させてもよい部分(第2領域15b)では、原料粉末30を第2積層厚さT2で積層させることができる。
したがって、幾つかの実施形態に係る積層造形方法によれば、コストを抑制しつつ造形物の製造時間を短縮できる。
(第1積層厚さT1及び第2積層厚さT2について)
幾つかの実施形態では、第1積層厚さT1は、20マイクロメートル以上55マイクロメートル以下とするとよい。
また、幾つかの実施形態では、第2積層厚さT2は、55マイクロメートルを超え85マイクロメートル以下とするとよい。
図4は、積層厚さTを50マイクロメートル、70マイクロメートル及び90マイクロメートルとしたときの造形品の密度を測定した結果を示すグラフの一例である。図4における横軸は、積層された原料粉末30に対する光ビーム9aの入熱に関するパラメータであり、光ビーム9aの出力Wを光ビーム9aのスキャン速度Vで除した値である。
なお、図4に示した測定結果、及び、後述する各試験結果は、原料粉末30として、例えばニッケル基超合金の粉末を用いた場合のものである。
図4に示すように、積層厚さTを50マイクロメートル及び70マイクロメートルとした場合、積層された原料粉末30に対する光ビーム9aの入熱に対する相関が認められ、造形品の密度のピークの値も高い。なお、この原料粉末30を用いて量産品を製造することを考えた場合、造形品の密度の下限値は、例えば99.80%である。
しかし、積層厚さTを90マイクロメートルとした場合、積層された原料粉末30に対する光ビーム9aの入熱に対する相関が認められず、造形品の密度のばらつきが積層厚さTを50マイクロメートル及び70マイクロメートルとした場合と比べて大きい。
したがって、幾つかの実施形態では、上述したように第1積層厚さT1は、45マイクロメートル以上55マイクロメートル以下とするとよい。
また、幾つかの実施形態では、上述したように第2積層厚さT2は、55マイクロメートルを超え85マイクロメートル以下とするとよい。
なお、1層当たりの積層厚さが薄くなってしまうが、第1積層厚さT1の下限値は、20マイクロメートルであってもよい。すなわち、第1積層厚さT1は、上述したように、20マイクロメートル以上55マイクロメートル以下とするとよい。
なお、第1積層厚さT1及び第2積層厚さT2を厚さの比で表した場合、第2積層厚さT2を第1積層厚さT1の1.0倍を超え2.0倍未満とするとよい。
ここで、第2積層厚さT2を第1積層厚さT1の1.0倍を超えるとよいとしたのは、第2積層厚さT2が第1積層厚さT1と等しいと、上述した、造形物15の製造時間の短縮効果が得られないからである。
また、第2積層厚さT2を第1積層厚さT1の2.0倍未満とするとよいとしたのは、仮に、第1積層厚さT1を45マイクロメートルとすると、第1積層厚さT1の2.0倍が90マイクロメートルとなるからである。上述したように、積層厚さTを90マイクロメートルとした場合、積層された原料粉末30に対する光ビーム9aの入熱に対する相関が認められず、造形品の密度のばらつきが積層厚さTを50マイクロメートル及び70マイクロメートルとした場合と比べて大きい。したがって、幾つかの実施形態では、第2積層厚さT2を第1積層厚さT1の2.0倍未満とするとよい。
第1積層厚さT1及び第2積層厚さT2を上述した厚さに設定することにより、造形物の内部の欠陥や表面粗さ等の造形物に要求される性能を確保しつつ、造形物の製造時間を短縮できる。
(スキャン速度Vについて)
第1積層厚さT1と第2積層厚さT2とを異なる値に設定した場合、スキャン速度Vに関し、第1領域15aの造形に適した値と、第2領域15bの造形に適した値とが異なることが考えられる。
発明者らが鋭意検討した結果、第2領域15bの造形に適した光ビーム9aのスキャン速度V(上述した第2スキャン速度V2)は、第1領域15aの造形に適した光ビーム9aのスキャン速度V(上述した第1スキャン速度V1)よりも小さい値であるとよいことを見出した。
そこで、幾つかの実施形態に係る積層造形方法では、第2スキャン速度V2を第1スキャン速度V1よりも小さい値に設定する。
すなわち、幾つかの実施形態に係る積層造形方法では、第1領域造形ステップS107において、第1積層厚さT1で積層されている原料粉末30に光ビーム9aを第1スキャン速度V1でスキャンしながら照射して溶融固化させ、第2領域造形ステップS117において、第2積層厚さT2で積層されている原料粉末30に光ビーム9aを第1スキャン速度V1よりも小さな第2スキャン速度V2でスキャンしながら照射して溶融固化させる。
これにより、第1積層厚さT1よりも大きな第2積層厚さT2で積層されている原料粉末30に光ビーム9aを第1スキャン速度V1よりも小さな第2スキャン速度V2でスキャンしながら照射して溶融固化させるので、第1積層厚さT1よりも大きな第2積層厚さT2で積層されている原料粉末30に与えるエネルギーが不足することを抑制できる。これにより、溶融が不十分になることで造形物15に欠陥が生じることを抑制できる。
幾つかの実施形態に係る積層造形方法では、第2領域造形ステップS117において、第2積層厚さT2で積層されている原料粉末30に対して、第1積層厚さT1と第1スキャン速度V1との積(T1×V1)よりも第2積層厚さT2と第2スキャン速度V2との積(T2×V2)の方が大きくなるように設定された第2スキャン速度V2で光ビーム9aをスキャンしながら照射して溶融固化させる。
積層造形における原料粉末30の1層当たりの積層厚さTを厚くすれば造形物15の製造時間を短縮できる。一方、光ビーム9aのスキャン速度Vを落とすと、造形物15の製造時間が長くなる。しかし、原料粉末30の1層当たりの積層厚さTを厚くすることによる製造時間の短縮時間が光ビーム9aのスキャン速度Vを落とすことによる造形物15の製造時間の増加時間よりも大きければ、造形物15の製造時間を短縮できる。
すなわち、第1積層厚さT1と第1スキャン速度V1との積(T1×V1)よりも第2積層厚さT2と第2スキャン速度V2との積(T2×V2)の方が大きければ、第1積層厚さT1で積層させることと、光ビーム9aを第1スキャン速度V1でスキャンしながら照射して溶融固化させることを繰り返して造形物15の全体を製造した場合と比べて、製造時間を短縮できる。
したがって、幾つかの実施形態に係る積層造形方法によれば、第1積層厚さT1と第1スキャン速度V1との積(T1×V1)よりも第2積層厚さT2と第2スキャン速度V2との積(T2×V2)を大きくすることで造形物15の製造時間を短縮できる。
なお、第1積層厚さT1と第1スキャン速度V1との積(T1×V1)と、第2積層厚さT2と第2スキャン速度V2との積(T2×V2)とが等しい場合であっても、積層回数の減少分に相当する製造時間を短縮できる。
図5は、積層厚さTを50マイクロメートル及び70マイクロメートルとしたときの、造形品の寸法精度について説明するためのグラフである。図5では、オーバーハング角度θが異なる複数の造形品について、CADデータ、すなわち造形品の設計データと成形品の板厚との差を表したものである。
なお、図5において、T50μmとは、積層厚さTを50マイクロメートルとしたときの造形品のことを表し、T70μmとは、積層厚さTを70マイクロメートルとしたときの造形品のことを表すものとする。図6以降の後述する各図においても同様である。
図5に示すように、寸法精度に関しては、積層厚さTを50マイクロメートルとした造形品よりも、積層厚さTを70マイクロメートルとした造形品の方が僅かに悪化するが、オーバーハング角度θ及び要求される寸法精度によっては、差し支えのない範囲であると判断できる。
図6は、図5における造形品の表面粗さの測定結果を表すグラフである。図6に示すように、表面粗さに関しては、積層厚さTを50マイクロメートルとした造形品よりも、積層厚さTを70マイクロメートルとした造形品の方が僅かに悪化する。
図7は、造形品の静的強度に関する試験結果を表すグラフである。
図7に示すように、造形品の静的強度に関しては、積層厚さTが50マイクロメートルの造形品と、積層厚さTが70マイクロメートルの造形品とで顕著な差は生じていない。
本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
例えば、上述した幾つかの実施形態では、第1領域積層ステップS105及び第2領域積層ステップS115のそれぞれで、貯蔵部31から分級装置を介することなく原料粉末30を粉末ベッド8に供給するようにしている。そのため、第1領域積層ステップS105と第2領域積層ステップS115とで、粉末ベッド8に供給される原料粉末30の粒度(例えば平均粒度)には、差がないものと考えられる。
しかし、例えば貯蔵部31において原料粉末30が粒度偏析を起こす等、何らかの原因によって、第1領域積層ステップS105と第2領域積層ステップS115とで、粉末ベッド8に供給される原料粉末30の粒度に差が生じたとしても、その差が僅かであれば、造形物15の品質に与える影響は無視し得るものと考えられる。
そこで、第2領域積層ステップS115における原料粉末30の平均粒径が、例えば、第1領域積層ステップS105における原料粉末30の平均粒径の70%以上130%以下の平均粒径であっても差し支えないと考えられる。
1 三次元積層造形装置
2 ベースプレート
8 粉末ベッド
9 光ビーム照射ユニット
10 粉末敷設ユニット
15 造形物
15a 第1領域
15b 第2領域
20 制御装置
30 原料粉末
31 貯蔵部
32 原料粉末回収タンク

Claims (7)

  1. 原料粉末の貯蔵部から分級装置を介することなく前記原料粉末を粉末ベッドに供給して前記原料粉末を第1積層厚さで積層するステップと、
    前記第1積層厚さで積層されている該原料粉末にエネルギービームを照射して溶融固化させることで造形物の第1領域を造形するステップと、
    前記貯蔵部から前記分級装置を介することなく前記原料粉末を前記粉末ベッドに供給して前記原料粉末を前記第1積層厚さよりも大きな第2積層厚さで積層するステップと、
    前記第2積層厚さで積層されている該原料粉末に前記エネルギービームを照射して溶融固化させることで前記造形物の第2領域を造形するステップと、
    を備え
    前記第1領域を造形するステップでは、前記第1積層厚さで積層されている該原料粉末に前記エネルギービームを第1スキャン速度でスキャンしながら照射して溶融固化させ、
    前記第2領域を造形するステップでは、前記第2積層厚さで積層されている該原料粉末に前記エネルギービームを前記第1スキャン速度よりも小さな第2スキャン速度でスキャンしながら照射して溶融固化させる
    積層造形方法。
  2. 前記第2領域を造形するステップでは、前記第2積層厚さで積層されている該原料粉末に対して、前記第1積層厚さと前記第1スキャン速度との積よりも前記第2積層厚さと前記第2スキャン速度との積の方が大きくなるように設定された前記第2スキャン速度で前記エネルギービームをスキャンしながら照射して溶融固化させる
    請求項に記載の積層造形方法。
  3. 前記粉末ベッドに供給された後に前記第1領域の造形及び前記第2領域の造形に用いられなかった前記原料粉末を回収して、前記貯蔵部に戻すステップ
    をさらに備える請求項1又は2に記載の積層造形方法。
  4. 前記第1領域を造形するステップでは、前記第1積層厚さを20マイクロメートル以上55マイクロメートル以下とし、
    前記第2領域を造形するステップでは、前記第2積層厚さを55マイクロメートルを超え85マイクロメートル以下とする
    請求項1乃至の何れか一項に記載の積層造形方法。
  5. 前記第2領域を造形するステップでは、前記第2積層厚さを前記第1積層厚さの1.0倍を超え2.0倍未満とする
    請求項1乃至の何れか一項に記載の積層造形方法。
  6. 前記原料粉末を前記第2積層厚さで積層するステップにおける前記原料粉末の平均粒径は、前記原料粉末を前記第1積層厚さで積層するステップにおける前記原料粉末の平均粒径の70%以上130%以下の平均粒径である
    請求項1乃至の何れか一項に記載の積層造形方法。
  7. 原料粉末の貯蔵部と、
    前記貯蔵部から分級装置を介することなく供給された前記原料粉末による粉末ベッドが形成されるベースプレート、を有する粉末ベッド形成部と、
    前記粉末ベッドに対してエネルギービームを照射可能なエネルギービーム照射ユニットと、
    前記ベースプレート、及び、前記エネルギービーム照射ユニットを制御可能な制御装置と、
    を備え、
    前記制御装置は、造形物を造形するための情報に基づいて、
    前記造形物の第1領域の造形時に前記粉末ベッド上に前記原料粉末を第1積層厚さで積層させるために前記第1積層厚さに対応する第1下降量で前記ベースプレートが下降するように前記ベースプレートを制御し、
    前記造形物の第2領域の造形時に前記粉末ベッド上に前記原料粉末を前記第1積層厚さよりも大きな第2積層厚さで積層させるために前記第2積層厚さに対応する第2下降量で前記ベースプレートが下降するように前記ベースプレートを制御し、
    前記第1領域の造形時に前記第1積層厚さで積層されている該原料粉末に前記エネルギービームを第1スキャン速度でスキャンしながら照射するように前記エネルギービーム照射ユニットを制御し、
    前記第2領域の造形時に前記第2積層厚さで積層されている該原料粉末に前記エネルギービームを前記第1スキャン速度よりも小さな第2スキャン速度でスキャンしながら照射するように前記エネルギービーム照射ユニットを制御する
    積層造形装置。
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