[第1実施形態]
本発明の第1実施形態による無線通信システム、無線通信装置、無線通信端末及び無線通信方法について図1乃至図7を用いて説明する。
まず、本実施形態による無線通信システムについて図1乃至図4を用いて説明する。図1は、本実施形態による無線通信システムの全体構成を示す概略図である。図2は、本実施形態によるゲートウェイ及び無線通信端末の構成を示すブロック図である。図3は、本実施形態によるゲートウェイ及び無線通信端末における無線通信部の例を示すブロック図である。図4は、無線通信に使用される周波数帯域の例を示す概略図である。
図1に示すように、本実施形態による無線通信システム1は、無線通信装置であるゲートウェイ10と、無線通信端末12、14と、ゲートウェイ管理装置16と、生産管理サーバ18、位置管理サーバ20と、画像監視サーバ22とを含んでいる。ゲートウェイ10、ゲートウェイ管理装置16、生産管理サーバ18、位置管理サーバ20及び画像監視サーバ22は、例えばLANであるネットワーク24に接続されている。また、無線通信端末12、14は、ゲートウェイ10との無線通信によりネットワーク24に接続し、ネットワーク24を介して外部との情報の送受信が可能になっている。
無線通信装置であるゲートウェイ10は、無線通信端末12、14が使用される施設である工場26の屋内に設置されている。工場26の屋内には、複数のゲートウェイ10が設置されている。なお、ゲートウェイ10は、アクセスポイントであってもよい。
無線通信端末12、14は、複数のゲートウェイ10が設置された工場26の屋内で使用される。例えば、無線通信端末12は、工場26の屋内の特定の場所に据え置かれて使用されるノート型、デスクトップ型等のコンピュータである。また、例えば、無線通信端末14は、工場26の屋内で作業する作業者Wに携行されて使用されるスマートフォン、タブレット等の携帯情報端末である。
ゲートウェイ管理装置16は、CPU(Central Processing Unit)161と、メモリ162と、記憶装置163とを有し、複数のゲートウェイ10を集中管理する管理装置として機能する。例えば、ゲートウェイ管理装置16は、複数のゲートウェイ10に対して、無線通信で使用されるチャネル、電波強度等のパラメータを制御する。なお、ゲートウェイ管理装置16は、オンプレミス型であってもクラウド型であってもよい。
工場26の屋内には、工場26の業務時間に稼働する機器28が設置されている。機器28は、例えば、製品の生産等に用いられる加工装置、処理装置、搬送装置等である。機器28は、稼動時に2.4GHz帯のノイズを発生し、2.4GHz帯での無線通信に対するノイズ源となりうる。機器28は、工場26の休憩時間及び業務時間外の時間には停止して非稼働となる。
また、工場26の屋内には、工場26の業務時間において、無線通信機能を有する無線通信端末14を携行する作業者Wが立ち入って業務に従事することになっている。
生産管理サーバ18は、CPU181と、メモリ182と、記憶装置183とを有し、工場26における生産を管理する生産管理システムの管理サーバとして機能する。生産管理サーバ18は、機器28が稼働する業務時間、並びに機器28が停止する休憩時間に関する時間情報を記憶装置183に格納している。また、機器28その他の工場26の屋内に設置された機器は、ネットワーク24に接続されており、ネットワーク24を介してその稼働状況に関する稼働情報を生産管理サーバ18に送信するようになっている。生産管理サーバ18は、工場26の屋内における機器28その他の機器から送信される稼働状況に関する稼働情報を記憶装置183に格納している。なお、生産管理サーバ18は、オンプレミス型であってもクラウド型であってもよい。
位置管理サーバ20は、CPU201と、メモリ202と、記憶装置203とを有し、工場26における屋内測位システムの管理サーバとして機能する。工場26の屋内には、例えば、超広帯域無線(Ultra Wide Band、UWB)等の無線信号を用いた屋内測位システムが構築されている。工場26の屋内には、資材等を搬送する搬送車30、作業者Wに携行された無線通信端末14等の工場26の屋内を移動する移動物が、位置を管理すべき対象として存在している。なお、工場26の屋内には、資材ラック32等の工場26の屋内の特定の場所に固定された固定物も存在している。搬送車30には、位置検出用の無線信号を発する無線タグ34が取り付けられている。また、無線通信端末14又はこれを携行する作業者Wにも、位置検出用の無線タグ36が取り付けられている。一方、工場26の屋内の天井等には、無線タグ34、36から発せられる位置検出用の無線信号を受信する複数の受信器38が設けられている。各受信器38は、ネットワーク24に接続されており、ネットワーク24を介して、受信した無線信号に関するデータを位置管理サーバ20に送信する。位置管理サーバ20において、CPU201は、位置計算部として機能し、複数の受信器38から送信されたデータに基づき、無線信号の到着時間差、電波強度差等から搬送車30、無線通信端末14の位置を計算して特定する。位置管理サーバ20は、こうして特定された搬送車30、無線通信端末14の位置に関する位置情報を記憶装置203に格納する。なお、屋内測位システムは、UWBを利用したものに限定されるものではない。屋内測位システムとしては、そのほか、例えば、無線LAN、iBeacon、IMES(Indoor Messaging System)、RFID(Radio Frequency Identification)タグ等を利用したものを用いることができる。なお、位置管理サーバ20は、オンプレミス型であってもクラウド型であってもよい。
画像監視サーバ22は、CPU221と、メモリ222と、記憶装置223とを有し、工場26における画像監視システムの管理サーバとして機能する。工場26の屋内には、工場26の屋内を撮影する監視カメラ40が設置されている。監視カメラ40は、ネットワーク24に接続されており、ネットワーク24を介して、撮影した画像に関する画像情報を画像監視サーバ22に送信する。画像監視サーバ22は、監視カメラ40から送信される画像情報を記憶装置223に格納する。なお、画像監視サーバ22は、オンプレミス型であってもクラウド型であってもよい。
こうして、本実施形態による無線通信システム1が構成されている。以下、本実施形態による無線通信システム1において無線通信を行うゲートウェイ10及び無線通信端末12、14について説明する。
ゲートウェイ10は、無線通信端末12、14と無線通信を行って無線通信端末12、14をネットワーク24に接続するものである。ゲートウェイ10は、互いに異なる複数の周波数帯域で無線通信端末12、14と無線通信が可能である。また、ゲートウェイ10は、無線通信端末12と無線通信端末14とで互いに異なる周波数帯域で無線通信を行うことも可能である。例えば、ゲートウェイ10は、無線通信端末12とは920MHz帯で、無線通信端末14とは5GHz帯で無線通信を行うことが可能である。ゲートウェイ10は、予測される工場26の屋内の無線環境に応じて、複数の周波数帯域のうちで無線通信に使用する周波数帯域を択一的に切り替えることが可能になっている。具体的には、ゲートウェイ10は、無線通信に使用する周波数帯域として、互いに異なる周波数帯域である2.4GHz帯と、5GHz帯と、920MHz帯とを切り替えることが可能になっている。
例えば、ゲートウェイ10と無線通信端末12、14との間の2.4GHz帯の無線通信は、IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.)により策定された無線LAN規格であるIEEE802.11gに則ったものである。また、ゲートウェイ10と無線通信端末12、14との間の5GHz帯の無線通信は、IEEEにより策定された無線LAN規格であるIEEE802.11acに則ったものである。また、ゲートウェイ10と無線通信端末12、14との間の920MHz帯の無線通信は、IEEEにより策定された無線PAN(Personal Area Network)規格であるIEEE802.15.4gに則ったものである。なお、無線LAN及び無線PANの規格は、これらに限定されるものではなく、種々の規格を採ることができる。
ゲートウェイ10は、図2に示すように、CPU101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、記憶装置104とを有している。また、ゲートウェイ10は、無線通信部105と、有線通信部106とを有している。無線通信部は、2.4GHz帯通信部105aと、5GHz帯通信部105bと、920MHz帯通信部105cとを有している。
CPU101は、ROM102、記憶装置104等に記憶されたプログラムに従って動作し、ゲートウェイ10全体の動作を制御する制御部として機能する。RAM103は、CPU101の動作に必要なメモリ領域を提供する。特に、CPU101は、以下の各部としての処理を実行する。
まず、CPU101は、時間情報又は周辺物体の状況を示す周辺情報に基づき、工場26の屋内の無線環境を予測する予測部として機能する。時間情報は、例えば、工場26の業務時間等の工場26の予定時間に関する情報等である。また、周辺物体の状況を示す周辺情報は、例えば、機器28の稼働状況に関する稼働情報、搬送車30等の移動体の位置情報、工場26の屋内を撮影した画像情報等である。
また、CPU101は、無線環境の予測に用いる上記情報をネットワーク24を介して取得する情報取得部として機能する。より具体的には、CPU101は、工場26の業務時間等の工場26の予定時間に関する情報、機器28の稼働状況に関する稼働情報を、ネットワーク24を介して生産管理サーバ18から取得する。また、CPU101は、搬送車30等の移動体の位置情報を、ネットワーク24を介して位置管理サーバ20から取得する。また、CPU101は、工場26の屋内を撮影した画像情報を、ネットワーク24を介して画像監視サーバ22から取得する。CPU101は、こうして取得した各種情報を記憶装置104に格納して、無線環境の予測に用いる。
記憶装置104には、上記無線環境の予測に用いる情報と、予測される無線環境との関係が記録されたデータベースが格納されている。このデータベースは、実際の工場26の運用から経験的に取得されたルールに基づき作成されたものであってもよいし、スペクトラムアナライザ等を用いた環境調査に基づき作成されたものであってもよい。予測部としてのCPU101は、このようなデータベースに基づき無線環境を予測することができる。CPU101は、例えば、無線環境の予測として、無線通信可能な複数の周波数帯域のうち、いずれの周波数帯域に好適な無線環境であるか、すなわち、いずれの周波数帯域の無線通信が最も高い信頼性及び安定性を得ることができるかを予測することができる。
さらに、CPU101は、上記無線環境の予測結果に基づき、無線通信端末12、14との間で行う無線通信の周波数帯域の切り替えを制御する通信制御部として機能する。CPU101は、無線通信端末12、14と無線通信を行う無線通信部を、2.4GHz帯通信部105aと、5GHz帯通信部105bと、920MHz帯通信部105cとの間で切り替える。これにより、CPU101は、無線通信端末12、14との間で行う無線通信の周波数帯域を切り替えることができる。
無線通信部105は、CPU101による制御に従って、無線通信端末12、14と無線通信を行う。2.4GHz帯通信部105a、5GHz帯通信部105b、920MHz帯通信部105cは、それぞれ2.4GHz帯、5GHz帯、920MHz帯の周波数帯域で無線通信端末12、14と無線通信を行うことができる。
有線通信部106は、ネットワーク24に有線で接続され、CPU101による制御に従って、ネットワーク24を介した情報の送受信を行う。
こうして、無線通信端末12、14と無線通信が可能な無線通信装置であるゲートウェイ10が構成されている。
一方、無線通信端末12は、ゲートウェイ10と無線通信を行って、ゲートウェイ10を介してネットワーク24に接続するものである。無線通信端末12は、ネットワーク24を介して外部との情報の送受信が可能になっている。無線通信端末12は、ゲートウェイ10が無線通信に使用する複数の周波数帯域に対応して、複数の周波数帯域でゲートウェイ10と無線通信が可能である。無線通信端末12は、ゲートウェイ10による無線通信の周波数帯域の切り替えに応じて、無線通信に使用する周波数帯域を択一的に切り替えるようになっている。具体的には、無線通信端末12は、無線通信に使用する周波数帯域として、ゲートウェイ10の2.4GHz帯と、5GHz帯と、920MHz帯との切り替えに応じて、2.4GHz帯と5GHz帯と920MHz帯とを切り替えるようになっている。
無線通信端末12は、図2に示すように、CPU121と、ROM122と、RAM123と、記憶装置124と、無線通信部125と、入力装置126と、表示装置127とを有している。無線通信部125は、2.4GHz帯通信部125aと、5GHz帯通信部125bと、920MHz帯通信部125cとを有している。
CPU121は、ROM122、記憶装置124等に記憶されたプログラムに従って動作し、無線通信端末12全体の動作を制御する制御部として機能する。RAM123は、CPU121の動作に必要なメモリ領域を提供する。特に、CPU121は、以下の通信制御部としての処理を実行する。
CPU121は、ゲートウェイ10による無線通信の周波数帯域の切り替えに応じて、ゲートウェイ10との間で行う無線通信の周波数帯域の切り替えを制御する通信制御部として機能する。CPU121は、ゲートウェイ10と無線通信を行う無線通信部を、2.4GHz帯通信部125aと、5GHz帯通信部125bと、920MHz帯通信部125cとの間で切り替える。これにより、CPU121は、ゲートウェイ10との間で行う無線通信の周波数帯域を切り替えることができる。
無線通信部125は、CPU121による制御に従って、ゲートウェイ10と無線通信を行う。2.4GHz帯通信部125a、5GHz帯通信部125b、920MHz帯通信部125cは、それぞれ2.4GHz帯、5GHz帯、920MHz帯の周波数帯域でゲートウェイ10と無線通信を行うことができる。
入力装置126は、無線通信端末12に情報、指示等を入力するためのものである。入力装置126は、特に限定されるものではないが、キーボード、ポインティングデバイス等である。また、入力装置126は、表示装置127に組み込まれたタッチパネルであってもよい。
表示装置127は、無線通信端末12からの出力を表示するためのものである。表示装置127は、特に限定されるものではないが、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(Electroluminescence)ディスプレイ等である。
こうして、ゲートウェイ10と無線通信が可能な無線通信端末12が構成されている。
無線通信端末14は、上記無線通信端末12と同様の構成を有している。無線通信端末14は、図2に示すように、CPU141と、ROM142と、RAM143と、記憶装置144と、無線通信部145と、入力装置146と、表示装置147とを有している。無線通信部145は、2.4GHz帯通信部145aと、5GHz帯通信部145bと、920MHz帯通信部145cとを有している。無線通信端末14のCPU141、ROM142、RAM143及び記憶装置144は、それぞれ無線通信端末12のCPU121、ROM122、RAM123及び記憶装置124に対応している。無線通信端末14の無線通信部145、入力装置146及び表示装置147は、それぞれ無線通信端末12の無線通信部125、入力装置126及び表示装置127に対応している。無線通信端末14の2.4GHz帯通信部145a、5GHz帯通信部145b及び920MHz帯通信部145cは、それぞれ無線通信端末12の2.4GHz帯通信部125a、5GHz帯通信部125b及び920MHz帯通信部125cに対応している。
図3は、ゲートウェイ10における無線通信部105のより具体的な構成の例を示している。なお、無線通信端末12、14の無線通信部125、145も同様の構成を有しうる。また、無線通信部105、125、145の構成は、特に限定されるものではなく、種々の構成を採ることができる。例えば、無線通信部105、125、145は、複数の周波数帯域毎に、独立した通信モジュールで構成されていてもよい。
図3に示すように、無線通信部105は、送信処理を行う送信部105Tとして、送信処理部1051Tと、トリプレクサ1052Tと、広帯域パワーアンプ1053Tと、フィルタ1054Tと、スイッチ回路1055と、アンテナ1056とを有している。送信処理部1051Tは、各周波数帯域での送信処理を行う2.4GHz帯送信処理部1051Ta、5GHz帯送信処理部1051Tb及び920MHz帯送信処理部1051Tcを有している。
また、無線通信部105は、受信処理を行う受信部105Rとして、アンテナ1056と、スイッチ回路1055と、フィルタ1054Rと、広帯域ローノイズアンプ1053Rと、トリプレクサ1052Rと、受信処理部1051Rとを有している。受信処理部1051Rは、各周波数帯域での受信処理を行う2.4GHz帯受信処理部1051Ra、5GHz帯受信処理部1051Rb及び920MHz帯受信処理部1051Rcを有している。
送信処理時には、スイッチ回路1055は、フィルタ1054Tとアンテナ1056とを接続している。送信処理時において、送信処理部1051Tは、送信データを、2.4GHz帯送信処理部1051Ta、5GHz帯送信処理部1051Tb及び920MHz帯送信処理部1051Tcのいずれかで、それぞれに応じた周波数帯の送信信号を生成する。トリプレクサ1052Tは、送信処理部1051Tで生成された送信信号を広帯域パワーアンプ1053Tに供給する。広帯域パワーアンプ1053Tは、供給された送信信号を増幅する。広帯域パワーアンプ1053Tにより増幅された送信信号は、フィルタ1054Tを経た後、アンテナ1056を介して外部に送信される。
受信処理時には、スイッチ回路1055は、フィルタ1054Rとアンテナ1056とを接続している。受信処理時において、アンテナ1056は、外部からの信号を受信すると、その受信信号をフィルタ1054Rを介して広帯域ローノイズアンプ1053Rに供給する。広帯域ローノイズアンプ1053Rは、供給された受信信号を増幅してトリプレクサ1052Rに供給する。トリプレクサ1052Rは、供給された受信信号の周波数帯に応じて、受信処理部1051Rの2.4GHz帯受信処理部1051Ra、5GHz帯受信処理部1051Rb及び920MHz帯受信処理部1051Rcのいずれかに供給する。受信処理部1051Rは、2.4GHz帯受信処理部1051Ra、5GHz帯受信処理部1051Rb及び920MHz帯受信処理部1051Rcのいずれかで、受信信号から受信データを生成する。
図4は、無線通信に使用される周波数帯域の例を示す概略図であり、横軸を周波数として、920MHz帯、2.4GHz帯及び5GHz帯を示している。920MHz帯、2.4GHz帯及び5GHz帯の各周波数帯域には、その周波数帯に応じた数の複数のチャネルが確保されており、いずれかのチャネルが無線通信に使用される。
本実施形態による無線通信システム1は、複数のゲートウェイ10のうちの一のゲートウェイ10が、生産管理サーバ18から取得した工場26の業務時間に関する時間情報に基づき、無線通信端末12との間の無線通信の周波数帯域の切り替えを制御する。これにより、本実施形態による無線通信システム1は、ゲートウェイ10と無線通信端末12で、無線通信に対する干渉を抑制して信頼性及び安定性の高い無線通信を実現することができる。
以下、本実施形態による無線通信システム1を用いた無線通信方法についてさらに図5乃至図7を用いて説明する。図5は、本実施形態による無線通信方法を示すシーケンス図である。図6A及び図6Bは、無線環境の予測に使用される時間情報の例を示す概略図である。図7は、本実施形態による無線通信方法における無線環境の予測処理を示すフローチャートである。なお、本実施形態では、複数のゲートウェイ10のうちの一のゲートウェイ10と無線通信端末12との間の無線通信について、その周波数帯域を2.4GHz帯と920MHz帯との間で切り替える制御を行う場合について説明する。
まず、図5に示すように、ゲートウェイ10において、CPU101は、ネットワーク24を介して、工場26の業務時間に関する時間情報を生産管理サーバ18に要求する(ステップS102)。生産管理サーバ18は、ゲートウェイ10からの時間情報の要求を受けて、工場26の業務時間に関する時間情報をゲートウェイ10に送信する(ステップS104)。ゲートウェイ10において、CPU101は、生産管理サーバ18から送信された業務時間に関する時間情報を受信して記憶装置104に格納する。
こうして、ゲートウェイ10において、CPU101は、情報取得部として機能し、生産管理サーバ18からネットワーク24を介して工場26の業務時間に関する時間情報を予め取得する。なお、CPU101は、定期に又は不定期に業務時間に関する時間情報を取得して業務時間に関する時間情報を更新することができる。
図6Aは、ゲートウェイ10のCPU101が生産管理サーバ18から取得する工場26の業務時間に関する時間情報の例を示している。生産管理サーバ18は、図6Aに示すように、工場26の業務時間が、例えば、「9時から12時」及び「13時から17時」の時間であり、それらの間の「12時から13時」の時間が休憩時間であることを示す時間情報を有している。ゲートウェイ10は、このような業務時間に関する時間情報をネットワーク24を介して生産管理サーバ18から取得する。
なお、生産管理サーバ18は、工場26に設置された機器毎に、稼働する予定時間を示す時間情報を有しうる。図6Bは、工場26の屋内に設置された機器毎の稼働予定時間を日付毎に示す時間情報の例を示している。生産管理サーバ18は、図6Bに示すように、例えば、工場26の屋内に設置された複数の機器N1、機器N2、機器N3、…のそれぞれについて、日付毎の稼働予定時間を示す時間情報を有しうる。ゲートウェイ10は、このような工場26の屋内に設置された機器の稼働予定時間に関する時間情報をネットワーク24を介して生産管理サーバ18から取得することもできる。
無線通信端末12は、無線通信の規格に従い、2.4GHz帯及び920MHz帯のうちのいずれかの周波数帯域で、ゲートウェイ10との間で無線通信を確立して無線通信を行う(ステップS106)。無線通信端末12において、CPU121は、通信制御部として機能し、2.4GHz帯通信部125a及び920MHz帯通信部125cのうちのいずれかを制御する。これにより、CPU121は、制御する通信部に応じた周波数帯域でゲートウェイ10と無線通信を行う。一方、ゲートウェイ10において、CPU101は、通信制御部として機能し、2.4GHz帯通信部105a及び920MHz帯通信部105cのうちのいずれかを制御する。これにより、CPU101は、無線通信端末12の要求に応じた周波数帯域で無線通信端末12と無線通信を行う。
無線通信端末12と無線通信を確立しているゲートウェイ10において、CPU101は、予測部として機能し、図6Aに示す工場26の業務時間に関する時間情報に基づき、工場26の屋内の無線環境を予測する(ステップS108)。
無線環境の予測処理において、CPU101は、図7に示すように、生産管理サーバ18から取得した業務時間に関する時刻情報を参照して、現在時刻が、工場26の業務時間内であるか否かを判定する(ステップS1081)。なお、CPU101は、現在時刻を取得する時刻取得部として機能し、例えば、ゲートウェイ10に設定されている現在時刻に関する情報を取得してステップS1081での判定に使用することができる。また、時刻取得部として機能するCPU101は、例えば、生産管理サーバ18、NTP(Network Time Protocol)サーバ等の外部サーバから現在時刻に関する時間情報を取得してステップS1081での判定に使用することもできる。
業務時間内の工場26の屋内では、2.4GHz帯のノイズを発生する機器28が稼働している。このような機器28は、2.4GHz帯での無線通信に対するノイズ源となりうる。また、業務時間内の工場26の屋内では、無線通信端末14を携行する作業者Wが立ち入って作業を行っている。無線通信端末14は、2.4GHz帯での無線通信を行いうるため、他の2.4GHz帯での無線通信に対するノイズ源となりうる。
したがって、業務時間内の工場26の屋内の無線環境は、2.4GHz帯に不適な無線環境であることが予測される。これに対して、業務時間内の工場26の屋内において、920MHz帯での無線通信に対するノイズ源は、2.4GHz帯と比較して少ない。このため、業務時間内における工場26の屋内の無線環境は、920MHz帯に好適な無線環境であることが予測される。
一方、工場26の休憩時間内及び業務時間外においては、機器28が停止し、また、無線通信端末14を携行する作業者Wが工場26の屋内から立ち去っているため、2.4GHz帯での無線通信に対するノイズ源が、業務時間内と比較して減少している。このため、休憩時間内及び業務時間外の工場26の無線環境は、2.4GHz帯に好適な無線環境であることが予測される。
このように、図6Aに示すような工場26の業務時間に関する時間情報と、この時間情報から予測される無線環境との間には、一定の関係が存在している。ゲートウェイ10の記憶装置104には、このような時間情報と予測される無線環境との関係が記録されたデータベースが格納されている。ゲートウェイ10において、予測部として機能するCPU101は、記憶装置104に格納されたデータベースを参照して、工場26の屋内の無線環境を予測する。なお、無線環境の予測に用いられるデータベースは、必ずしもゲートウェイ10の記憶装置104に格納されている必要はなく、ゲートウェイ管理装置16、生産管理サーバ18等の外部装置に格納されていてもよい。
現在時刻が業務時間内である場合(ステップS1081、YES)、ゲートウェイ10のCPU101は、工場26の屋内の無線環境について、2.4GHz帯に不適な無線環境であると予測する(ステップS1082)。
一方、現在時刻が業務時間内でない場合(ステップS1081、NO)、ゲートウェイ10のCPU101は、工場26の屋内の無線環境について、2.4GHz帯に好適な無線環境であると予測する(ステップS1083)。
なお、図6Bに示すような工場26の屋内に設置された機器毎の稼働予定時間に関する時間情報と、この時間情報から予測される無線環境との間にも、一定の関係が存在しうる。すなわち、特定の機器の稼働予定時間であるか否かによって、予測される無線環境が2.4GHz帯に好適であるか否かが変化しうる。したがって、上記業務時間に関する時間情報とともに機器毎の稼働予定時間に関する時間情報に基づき、又は上記業務時間に関する時間情報に代えて機器毎の稼働予定時間に関する時間情報に基づき、工場26の屋内の無線環境を予測することもできる。
次いで、ゲートウェイ10において、CPU101は、通信制御部として機能し、上記ステップS108での無線環境の予測結果に基づき、無線通信端末12との無線通信の周波数帯域を切り替えるか否かを判定する(ステップS110)。
まず、2.4GHz帯に不適な無線環境であると予測した場合(ステップS1082)で、現時点の無線通信端末12との無線通信の周波数帯域が2.4GHz帯であるとき、CPU101は、周波数帯域を切り替えると判定する(ステップS110、YES)。すなわち、CPU101は、無線通信端末12との無線通信の周波数帯域を2.4GHz帯から920MHz帯に切り替えると判定する。
一方、2.4GHz帯に不適な無線環境であると予測した場合(ステップS1082)で、現時点の無線通信端末12との無線通信の周波数帯域が920MHz帯であるとき、CPU101は、周波数帯域を切り替えないと判定する(ステップS110、NO)。この場合、CPU101は、ステップS108に移行して、ステップS108の無線環境の予測を定期に又は不定期に実行する。
また、2.4GHz帯に好適な無線環境であると予測した場合(ステップS1083)で、現時点の無線通信端末12との無線通信の周波数帯域が920MHz帯であるとき、CPU101は、周波数帯域を切り替えると判定する(ステップS110、YES)。すなわち、CPU101は、無線通信端末12との無線通信の周波数帯域を920MHz帯から2.4GHz帯に切り替えると判定する。
一方、2.4GHz帯に好適な無線環境であると予測した場合(ステップS1083)で、現時点の無線通信端末12との無線通信の周波数帯域が2.4GHz帯であるとき、CPU101は、周波数帯域を切り替えないと判定する(ステップS110、NO)。この場合、CPU101は、ステップS108に移行して、ステップS108の無線環境の予測を定期又は不定期に実行する。
上述のように無線通信の周波数帯域を切り替えると判定すると(ステップS110、YES)、ゲートウェイ10のCPU101は、現在確立されている無線通信で、切り替え後の新しい周波数帯域を無線通信端末12に通知する(ステップS112)。
次いで、ゲートウェイ10において、CPU101は、通信制御部として機能して無線通信部105を制御する。これにより、CPU101は、無線通信端末12との無線通信に使用する周波数帯域を新しい周波数帯域に切り替える(ステップS114)。
また、無線通信端末12において、CPU121は、通信制御部として機能して無線通信部125を制御する。これにより、CPU121は、ゲートウェイ10との無線通信に使用する周波数帯域を、ゲートウェイ10から通知された新しい周波数帯域に切り替える(ステップS116)。
次いで、ゲートウェイ10と無線通信端末12とは、無線通信の規格に従い、切り替え後の新しい周波数帯域で、互いの間で無線通信を確立して無線通信を行う(ステップS118)。ここで、ゲートウェイ10のCPU101は、通信制御部として機能する。すなわち、CPU101は、2.4GHz帯通信部105a及び920MHz帯通信部105cのうち、切り替え後の新しい周波数帯域に対応した通信部を制御して無線通信端末12と無線通信を行う。また、無線通信端末12のCPU121は、通信制御部として機能する。すなわち、CPU121は、2.4GHz帯通信部125a及び920MHz帯通信部125cのうち、切り替え後の新しい周波数帯域に対応した通信部を制御してゲートウェイ10と無線通信を行う。
上述のように、本実施形態による無線通信システム1では、工場26の業務時間に関する時間情報に基づき、ゲートウェイ10と無線通信端末12との間の無線通信で使用される周波数帯域が2.4GHz帯と920MHz帯との間で切り替えられる。すなわち、工場26の業務時間内には920MHz帯が使用され、工場26の休憩時間内及び業務時間外には2.4GHz帯が使用される。こうして、本実施形態では、工場26における時間帯に応じた周波数帯域でゲートウェイ10と無線通信端末12との間の無線通信が行われるため、その無線通信に対する干渉を抑制して信頼性及び安定性の高い無線通信を実現することができる。
例えば、工場26の業務時間内には、2.4GHz帯と比較して工場26の屋内にノイズ源が少ない920MHz帯で、制御コマンド等の低速な無線通信でも支障のない信号の送受信を行うことができる。一方、工場26の休憩時間内及び業務時間外には、920MHz帯よりも高速な無線通信が可能な2.4GHz帯で、無線通信端末12に蓄積されたログデータ等の大容量の信号の送受信を行うことができる。このように、無線通信に使用する周波数帯域毎に、優先的に送受信を行う信号の種別を設定しておくこともできる。無線通信に使用する周波数帯域に応じて無線通信で送受信する信号の種別を変更することより、より高い効率で信号を送受信することができる。
このように、本実施形態によれば、業務時間に関する時間情報に基づき、ゲートウェイ10と無線通信端末12との間の無線通信に使用する周波数帯域の切り替えを制御するので、無線通信に対する干渉を抑制することができる。したがって、本実施形態によれば、工場26の屋内のような不安定な無線環境であっても、信頼性及び安定性の高い無線通信を実現することができる。
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態による無線通信システム、無線通信装置、無線通信端末及び無線通信方法について図1、図2、図8乃至図10を用いて説明する。図8は、本実施形態による無線通信方法を示すシーケンス図である。図9は、無線環境の予測に使用される稼働情報の例を示す概略図である。図10は、本実施形態による無線通信方法における無線環境の予測処理を示すフローチャートである。なお、上記第1実施形態による無線通信システム、無線通信装置、無線通信端末及び無線通信方法と同様の構成要素については同一の符号を付し説明を省略し又は簡略にする。
本実施形態では、図1に示す無線通信システム1において、工場26の屋内に設置された機器の稼働状況に関する稼働情報に基づき、ゲートウェイ10と無線通信端末12との間の無線通信で使用される周波数帯域の切り替えを制御する場合について説明する。なお、本実施形態でも、複数のゲートウェイ10のうちの一のゲートウェイ10と無線通信端末12との間の無線通信について、その周波数帯域を2.4GHz帯と920MHz帯との間で切り替える制御を行う場合について説明する。
図8に示すように、無線通信端末12は、第1実施形態と同様に、無線通信の規格に従い、2.4GHz帯及び920MHz帯のうちのいずれかの周波数帯域で、ゲートウェイ10との間で無線通信を確立して無線通信を行う(ステップS202)。
無線通信端末12と無線通信を確立しているゲートウェイ10において、CPU101は、ネットワーク24を介して、工場26の屋内に設置された機器の稼働状況に関する稼働情報を生産管理サーバ18に要求する(ステップS204)。機器の稼働状況に関する稼働情報は、ゲートウェイ10及び無線通信端末12、14の周辺に位置する周辺物体である機器の状況を示す周辺情報である。
例えば、工場26の屋内に設置された機器28は、ネットワーク24に接続されており、ネットワーク24を介して、稼働中であるか停止中であるかの稼働状況に関する稼働情報を生産管理サーバ18に送信するようになっている。生産管理サーバ18は、このように機器28その他の工場26の屋内に設置された機器から送信される稼働情報を記憶装置183に格納して有している。
図9は、生産管理サーバ18が有する稼働情報の例を示している。生産管理サーバ18は、工場26の屋内に設置された複数の機器N1、機器N2、機器N3、…のそれぞれについて、稼働中であるか停止中であるかの稼働状況に関する稼働情報を有している。
なお、工場26の屋内に設置された機器の稼働状況に関する稼働情報は、上記のように機器から送信されるものに限定されるものではない。そのほか、機器の稼働状況に関連する画像情報に基づき、稼働情報を取得することもできる。この場合、例えば、工場26の屋内に、機器が稼働中であるか停止中かであるかを緑、赤等の互いに異なる色で示す表示灯を設置する。このような表示灯を監視カメラ40で撮影し、撮影された表示灯の画像情報に基づき、その機器の稼働状況に関する稼働情報を取得することができる。
生産管理サーバ18は、ゲートウェイ10からの稼働情報の要求を受けて、工場26の屋内に設置された機器の稼働状況に関する稼働情報をゲートウェイ10に送信する(ステップS206)。ゲートウェイ10において、CPU101は、生産管理サーバ18から送信された機器の稼働状況に関する稼働情報を受信して記憶装置104に格納する。
こうして、ゲートウェイ10において、CPU101は、情報取得部として機能し、生産管理サーバ18からネットワーク24を介して工場26の屋内に設置された機器の稼働状況に関する稼働情報を取得する。なお、CPU101は、定期に若しくは不定期に又はリアルタイムに機器の稼働状況に関する稼働情報を取得して稼働状況に関する稼働情報を更新することができる。
次いで、ゲートウェイ10において、CPU101は、予測部として機能し、工場26の屋内に設置された機器の稼働状況に関する稼働情報に基づき、工場26の屋内の無線環境を予測する(ステップS208)。
無線環境の予測処理において、CPU101は、図10に示すように、生産管理サーバ18から取得した機器の稼働状況に関する稼働情報を参照して、2.4GHz帯のノイズを発生する機器が稼働中であるか否かを判定する(ステップS2081)。
2.4GHz帯のノイズを発生する機器は、稼働していれば2.4GHz帯での無線通信に対するノイズ源となりうる。このため、2.4GHz帯のノイズを発生する機器が稼働している場合、工場26の屋内の無線環境は、2.4GHz帯に不適な無線環境であることが予測される。一方、2.4GHz帯のノイズを発生する機器が停止している場合、工場26の屋内の無線環境は、2.4GHz帯に好適な無線環境であることが予測される。
このように、工場26の屋内に設置された機器の稼働状況に関する稼働情報と、この稼働情報から予測される無線環境との間には、一定の関係が存在している。ゲートウェイ10の記憶装置104には、このような稼働情報と予測される無線環境との関係が記録されたデータベースが格納されている。ゲートウェイ10において、予測部として機能するCPU101は、そのデータベースを参照して、工場26の屋内の無線環境を予測する。なお、無線環境の予測に用いられるデータベースは、必ずしもゲートウェイ10の記憶装置104に格納されている必要はなく、ゲートウェイ管理装置16、生産管理サーバ18等の外部装置に格納されていてもよい。
2.4GHz帯のノイズを発生する機器が稼働している場合(ステップS2081、YES)、ゲートウェイ10のCPU101は、工場26の屋内の無線環境について、2.4GHz帯に不適な無線環境であると予測する(ステップS2082)。
一方、2.4GHz帯のノイズを発生する機器が稼働していない場合(ステップS2081、NO)、ゲートウェイ10のCPU101は、工場26の屋内の無線環境について、2.4GHz帯に好適な無線環境であると予測する(ステップS2083)。
なお、無線環境の予測に際して、CPU101は、2.4GHz帯のノイズを発生する機器の稼働の有無のみならず、そのような機器の稼働台数等をも考慮することができる。例えば、CPU101は、2.4GHz帯のノイズを発生する機器が一定台数以上稼働している場合にはじめて、工場26の屋内の無線環境について、2.4GHz帯に不適な無線環境であると予測することもできる。
次いで、ゲートウェイ10において、CPU101は、通信制御部として機能し、上記ステップS208での無線環境の予測結果に基づき、無線通信端末12との無線通信の周波数帯域を切り替えるか否かを判定する(ステップS210)。
ステップS210は、第1実施形態のステップS110と同様である。なお、無線通信端末12との無線通信の周波数帯域を切り替えないと判定した場合(ステップS210、NO)、CPU101は、ステップS204に移行する。そして、CPU101は、ステップS204の稼働情報の要求及びステップS208の無線環境の予測を定期又は不定期に実行する。
ステップS210の後、新しい周波数帯域を通知するステップS212、周波数帯域を切り替えるステップS214、S216及び無線通信を確立して無線通信を行うステップS218が実行される。これらステップS212、S214、S216、S218は、それぞれ第1実施形態のステップS112、S114、S116、S118と同様である。このため、ステップS210、S212、S214、S216、S218については説明を省略する。
このように、本実施形態によれば、機器の稼働状況に関する稼働情報に基づき、ゲートウェイ10と無線通信端末12との間の無線通信に使用する周波数帯域の切り替えを制御するので、無線通信に対する干渉を抑制することができる。したがって、本実施形態によれば、工場の26の屋内のような不安定な無線環境であっても、信頼性及び安定性の高い無線通信を実現することができる。
なお、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、さらに業務時間に関する時間情報に基づき無線環境を予測して、無線通信の周波数帯域の切り替えを制御するようにゲートウェイ10を構成することもできる。
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態による無線通信システム、無線通信装置、無線通信端末及び無線通信方法について図1、図2、図11及び図12を用いて説明する。図11は、本実施形態による無線通信方法を示すシーケンス図である。図12は、本実施形態による無線通信方法における無線環境の予測処理を示すフローチャートである。なお、上記第1及び第2実施形態による無線通信システム、無線通信装置、無線通信端末及び無線通信方法と同様の構成要素については同一の符号を付し説明を省略し又は簡略にする。
本実施形態では、上記図1に示す無線通信システム1において、搬送車30等の移動物の位置情報及び工場26の屋内を撮影した画像情報に基づき、無線通信で使用される周波数帯域の切り替えを制御する場合について説明する。なお、本実施形態では、ゲートウェイ10と無線通信を行う機器として、工場26の屋内に据え置かれた無線通信端末12ではなく、作業者Wに携行された無線通信端末14について説明する。また、本実施形態でも、複数のゲートウェイ10のうちの一のゲートウェイ10と無線通信端末14との間の無線通信について、その周波数帯域を2.4GHz帯と920MHz帯との間で切り替える制御を行う場合について説明する。
図1に示すように、工場26の屋内では、資材等を搬送する搬送車30等の移動物が適宜移動してその位置を変えている。また、作業者Wも、その作業内容等に応じて適宜移動してその位置を変えている。作業者Wが移動するに伴って、その作業者Wに携行された無線通信端末14も移動してその位置を変えている。
図11に示すように、作業者Wに携行された無線通信端末14は、無線通信の規格に従い、2.4GHz帯及び920MHz帯のうちのいずれかの周波数帯域で、ゲートウェイ10との間で無線通信を確立して無線通信を行う(ステップS302)。無線通信端末14において、CPU141は、通信制御部として機能し、2.4GHz帯通信部145a及び920MHz帯通信部145cのうちのいずれかを制御する。これにより、CPU141は、制御する通信部に応じた周波数帯域でゲートウェイ10と無線通信を行う。一方、ゲートウェイ10において、CPU101は、通信制御部として機能し、2.4GHz帯通信部105a及び920MHz帯通信部105cのうちのいずれかを制御する。これにより、CPU101は、無線通信端末14の要求に応じた周波数帯域で無線通信端末14と無線通信を行う。
無線通信端末14と無線通信を確立しているゲートウェイ10において、CPU101は、ネットワーク24を介して、搬送車30、無線通信端末14等の移動物の位置情報を位置管理サーバ20に要求する(ステップS304)。搬送車30等の移動物の位置情報は、工場26の屋内における物体である移動物に関する情報であって、ゲートウェイ10及び無線通信端末12、14の周辺に位置する周辺物体である移動物の状況を示す周辺情報である。
位置管理サーバ20は、上述のように、UWB等の無線信号を用いた屋内測位システムによる搬送車30、無線通信端末14等の移動物の位置情報を記憶装置203に格納して有している。位置管理サーバ20は、ゲートウェイ10からの位置情報の要求を受けて、工場26の屋内の搬送車30、無線通信端末14等の移動物の位置情報をゲートウェイ10に送信する(ステップS306)。ゲートウェイ10において、CPU101は、位置管理サーバ20から送信された移動物の位置情報を受信して記憶装置104に格納する。
また、無線通信端末14の通信を確立しているゲートウェイ10において、CPU101は、ネットワーク24を介して、工場26の屋内を撮影した画像情報を画像監視サーバ22に要求する(ステップS308)。工場26の屋内を撮影した画像情報は、ゲートウェイ10及び無線通信端末12、14の周辺に位置する搬送車30、資材ラック32等の周辺物体の状況を示す周辺情報である。工場26の屋内を撮影した画像情報は、搬送車30、資材ラック32等の周辺物体を撮影した画像情報を含む。
画像監視サーバ22は、上述のように、工場26の屋内に設置された監視カメラ40が撮影した工場26の屋内の画像情報を記憶装置223に格納して有している。画像監視サーバ22は、ゲートウェイ10からの画像情報の要求を受けて、工場26の屋内を撮影した画像情報をゲートウェイ10に送信する(ステップS310)。ゲートウェイ10において、CPU101は、画像監視サーバ22から送信された工場26の屋内を撮影した画像情報を受信して記憶装置104に格納する。
こうして、ゲートウェイ10において、CPU101は、情報取得部として機能し、位置管理サーバ20からネットワーク24を介して搬送車30、無線通信端末14等の位置情報を取得する。また、CPU101は、画像監視サーバ22からネットワーク24を介して工場26の屋内を撮影した画像情報を取得する。なお、CPU101は、定期に若しくは不定期に又はリアルタイムに移動物の位置情報及び工場26の屋内を撮影した画像情報を取得してこれら位置情報及び画像情報を更新することができる。
次いで、ゲートウェイ10において、CPU101は、予測部として機能し、搬送車30、無線通信端末14等の移動物の位置情報及び工場26の屋内を撮影した画像情報に基づき、工場26の屋内の無線環境を予測する(ステップS312)。なお、無線環境の予測は、移動物の位置情報及び工場26の屋内を撮影した画像情報のうちのいずれか一方に基づき行うこともできる。
無線環境の予測処理において、CPU101は、図12に示すように、搬送車30等の移動物の位置情報に基づき、無線通信を行うゲートウェイ10と無線通信端末14との間に遮蔽物が存在するか否かを判定する(ステップS3121)。ゲートウェイ10の設置位置に関する位置情報は、例えばゲートウェイ10の記憶装置104に格納されている。また、搬送車30等の移動物の位置情報は、上述のように位置管理サーバ20から取得されて記憶装置104に格納されている。また、ゲートウェイ10と無線通信を行っている無線通信端末14自体の位置情報も、上述のように位置管理サーバ20から取得されて記憶装置104に格納されている。CPU101は、これらの位置情報を用いて、無線通信を行っているゲートウェイ10と無線通信端末14との間に遮蔽物が存在しているか否かを判定することができる。
工場26の屋内においては、搬送車30等の移動物が移動している。このような移動物は、無線通信を行っているゲートウェイ10と無線通信端末14との間に位置して、無線通信に対する遮蔽物になりうる。
2.4GHz帯の電波と920MHz帯の電波とを比較すると、920MHz帯の電波は、2.4GHz帯の電波よりも回折性が良好で回り込み特性に優れている。このため、ゲートウェイ10と無線通信端末14との間に遮蔽物が存在している場合、工場26の屋内の無線環境は、2.4GHz帯に不適な無線環境であることが予測される。一方、遮蔽物が存在していない場合、工場26の屋内の無線環境は、2.4GHz帯に好適な無線環境であると予測される。
このように、遮蔽物の有無、すなわち搬送車30、無線通信端末14等の移動物の位置情報と、これらの位置情報から予測される無線環境との間には、一定の関係が存在している。ゲートウェイ10の記憶装置104には、このような移動物の位置情報と予測される無線環境との関係が記録されたデータベースが格納されている。ゲートウェイ10において、予測部として機能するCPU101は、そのデータベースを参照して、工場26の屋内の無線環境を予測する。なお、無線環境の予測に用いられるデータベースは、必ずしもゲートウェイ10の記憶装置104に格納されている必要はなく、ゲートウェイ管理装置16、生産管理サーバ18等の外部装置に格納されていてもよい。
遮蔽物が存在している場合(ステップS3122、YES)、ゲートウェイ10のCPU101は、工場26の屋内の無線環境について、2.4GHz帯に不適な無線環境であると予測する(ステップS3123)。
一方、遮蔽物が存在していない場合(ステップS3122、NO)、ゲートウェイ10のCPU101は、さらに、画像情報に基づき遮蔽物の存否を判定する(ステップS3124)。すなわち、CPU101は、工場26の屋内を撮影した画像情報に基づき、無線通信を行うゲートウェイ10と無線通信端末14との間に遮蔽物が存在するか否かを判定する。
無線通信端末14を携行する作業者Wが工場26の屋内を移動すると、無線通信を行っているゲートウェイ10と無線通信端末14との間が、資材ラック32等の固定物で遮られることがありうる。このように、工場26の屋内における固定物が、無線通信を行うゲートウェイ10と無線通信端末14との間に位置して、無線通信に対する遮蔽物になりうる。
ゲートウェイ10のCPU101は、工場26の屋内を撮影した画像情報に対して画像認識処理を実行することで、無線通信を行うゲートウェイ10と無線通信端末14との間に遮蔽物が存在するか否かを判定する。なお、工場26の屋内を撮影した画像情報に対する画像認識処理は、ゲートウェイ10で必ずしも行われる必要はなく、画像監視サーバ22等の外部装置で実行されてもよい。この場合、ゲートウェイ10のCPU101は、例えば、ネットワーク24を介して外部装置による画像認識処理の結果を外部装置から受信する。
遮蔽物が存在している場合(ステップS3125、YES)、ゲートウェイ10のCPU101は、工場26の屋内の無線環境について、2.4GHz帯に不適な無線環境であると予測する(ステップS3123)。
一方、遮蔽物が存在していない場合(ステップS3125、NO)、ゲートウェイ10のCPU101は、工場26の屋内の無線環境について、2.4GHz帯に好適な無線環境であると予測する(ステップS3126)。
次いで、ゲートウェイ10において、CPU101は、通信制御部として機能し、上記ステップS312での無線環境の予測結果に基づき、無線通信端末14との無線通信の周波数帯域を切り替えるか否かを判定する(ステップS314)。
まず、2.4GHz帯に不適な無線環境であると予測した場合(ステップS3123)で、現時点の無線通信端末14との無線通信の周波数帯域が2.4GHz帯であるとき、CPU101は、周波数帯域を切り替えると判定する(ステップS314、YES)。すなわち、CPU101は、無線通信端末14との無線通信の周波数帯域を2.4GHz帯から920MHz帯に切り替えると判定する。
一方、2.4GHz帯に不適な無線環境であると予測した場合(ステップS3123)で、現時点の無線通信端末14との無線通信の周波数帯域が920MHz帯であるとき、CPU101は、周波数帯域を切り替えないと判定する(ステップS314、NO)。この場合、CPU101は、ステップS304に移行して、ステップS304の移動物の位置情報の要求、ステップS308の画像情報の要求及びステップS312の無線環境の予測を定期に又は不定期に実行する。
また、2.4GHz帯に好適な無線環境であると予測した場合(ステップS3126)で、現時点の無線通信端末14との無線通信の周波数帯域が920MHz帯であるとき、CPU101は、周波数帯域を切り替えると判定する(ステップS314、YES)。すなわち、CPU101は、無線通信端末14との無線通信の周波数帯域を920MHz帯から2.4GHz帯に切り替えると判定する。
一方、2.4GHz帯に好適な無線環境であると予測した場合(ステップS3126)で、現時点の無線通信端末14との無線通信の周波数帯域が2.4GHz帯であるとき、CPU101は、周波数帯域を切り替えないと判定する(ステップS314、NO)。この場合、CPU101は、ステップS304に移行して、ステップS304の移動物の位置情報の要求、ステップS308の画像情報の要求及びステップS312の無線環境の予測を定期に又は不定期に実行する。
上述のように無線通信の周波数帯域を切り替えると判定すると(ステップS314、YES)、ゲートウェイ10のCPU101は、現在確立されている無線通信で、切り替え後の新しい周波数帯域を無線通信端末14に通知する(ステップS316)。
次いで、ゲートウェイ10において、CPU101は、通信制御部として機能して無線通信部105を制御する。これにより、CPU101は、無線通信端末14との無線通信に使用する周波数帯域を新しい周波数帯域に切り替える(ステップS318)。
また、無線通信端末14において、CPU141は、通信制御部として機能して無線通信部145を制御する。これにより、CPU141は、ゲートウェイ10との無線通信に使用する周波数帯域を、ゲートウェイ10から通知された新しい周波数帯域に切り替える(ステップS320)。
次いで、ゲートウェイ10と無線通信端末14とは、無線通信の規格に従い、切り替え後の新しい周波数帯域で、互いの間で無線通信を確立して無線通信を行う(ステップS322)。ここで、ゲートウェイ10のCPU101は、通信制御部として機能する。すなわち、CPU101は、2.4GHz帯通信部105a及び920MHz帯通信部105cのうち、切り替え後の新しい周波数帯域に対応した通信部を制御して無線通信端末14と無線通信を行う。また、無線通信端末14のCPU141は、通信制御部として機能する。すなわち、CPU141は、2.4GHz帯通信部145a及び920MHz帯通信部145cのうち、切り替え後の新しい周波数帯域に対応した通信部を制御してゲートウェイ10と無線通信を行う。
このように、本実施形態によれば、移動物の位置情報及び工場26の屋内を撮影した画像情報に基づき、ゲートウェイ10と無線通信端末14との間の無線通信に使用する周波数帯域の切り替えを制御するので、無線通信に対する遮蔽を抑制することができる。したがって、本実施形態によれば、工場の26の屋内のような不安定な無線環境であっても、信頼性及び安定性の高い無線通信を実現することができる。
なお、上記では、移動物の位置情報及び工場26の屋内を撮影した画像情報の両情報に基づき周波数帯域の切り替えを制御する場合について説明したが、これに限定されるものではない。これら位置情報及び画像情報のうちのいずれか一方に基づき、周波数帯域の切り替えを制御することもできる。
また、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、さらに業務時間に関する時間情報に基づき無線環境を予測して、無線通信の周波数帯域の切り替えを制御するようにゲートウェイ10を構成することもできる。
また、本実施形態においても、第2実施形態と同様に、さらに機器の稼働情報に基づき無線環境を予測して、無線通信の周波数帯域の切り替えを制御するようにゲートウェイ10を構成することもできる。
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態による無線通信システム、無線通信装置、無線通信端末及び無線通信方法について図1、図2、図13及び図14を用いて説明する。図13は、本実施形態による無線通信方法を示すシーケンス図である。図14は、本実施形態による無線通信方法における無線環境の予測処理を示すフローチャートである。なお、上記第1乃至第3実施形態による無線通信システム、無線通信装置、無線通信端末及び無線通信方法と同様の構成要素については同一の符号を付し説明を省略し又は簡略にする。
本実施形態では、上記図1に示す無線通信システム1において、ゲートウェイ10と無線通信を行う無線通信端末14の位置情報に基づき、無線通信で使用される周波数帯域の切り替えを制御する場合について説明する。本実施形態では、ゲートウェイ10と無線通信を行う機器として、工場26の屋内に据え置かれた無線通信端末12ではなく、作業者Wに携行された無線通信端末14について説明する。また、本実施形態では、複数のゲートウェイ10のうちの一のゲートウェイ10と無線通信端末14との間の無線通信について、その周波数帯域を2.4GHz帯と、5GHz帯と、920MHz帯との間で切り替える制御を行う場合について説明する。
図1に示すように、工場26の屋内では、作業者Wは、その作業内容等に応じて適宜移動してその位置を変えている。作業者Wが移動するに伴って、その作業者Wに携行された無線通信端末14も移動してその位置を変えている。
図13に示すように、作業者Wに携行された無線通信端末14は、無線通信の規格に従い、2.4GHz帯、5GHz帯及び920MHz帯のうちのいずれかの周波数帯域で、ゲートウェイ10との間で無線通信を確立して無線通信を行う(ステップS402)。無線通信端末14において、CPU141は、通信制御部として機能し、2.4GHz帯通信部145a、5GHz帯通信部145b及び920MHz帯通信部145cのうちのいずれかを制御する。これにより、CPU141は、制御する通信部に応じた周波数帯域でゲートウェイ10と無線通信を行う。一方、ゲートウェイ10において、CPU101は、通信制御部として機能し、2.4GHz帯通信部105a、5GHz帯通信部105b及び920MHz帯通信部105cのうちのいずれかを制御する。これにより、CPU101は、無線通信端末14の要求に応じた周波数帯域で無線通信端末14と無線通信を行う。
無線通信端末14と無線通信を確立しているゲートウェイ10において、CPU101は、ネットワーク24を介して、無線通信端末14の位置情報を位置管理サーバ20に要求する(ステップS404)。
位置管理サーバ20は、上述のように、UWB等の無線信号を用いた屋内測位システムによる無線通信端末14の位置情報を記憶装置203に格納して有している。位置管理サーバ20は、ゲートウェイ10からの位置情報の要求を受けて、工場26の屋内の搬送車30、無線通信端末14等の移動物の位置情報をゲートウェイ10に送信する(ステップS406)。ゲートウェイ10において、CPU101は、位置管理サーバ20から送信された移動物の位置情報を受信して記憶装置104に格納する。
こうして、ゲートウェイ10において、CPU101は、情報取得部として機能し、位置管理サーバ20からネットワーク24を介して無線通信端末14の位置情報を取得する。なお、CPU101は、定期に若しくは不定期に又はリアルタイムに無線通信端末14の位置情報を取得してその位置情報を更新することができる。また、CPU101は、無線通信端末14の位置情報を経時的に蓄積して、無線通信端末14の位置情報の時系列データを取得することもできる。
次いで、ゲートウェイ10において、CPU101は、予測部として機能し、無線通信端末14の位置情報に基づき、工場26の屋内の無線環境を予測する(ステップS408)。
無線環境の予測処理において、CPU101は、図14に示すように、無線通信端末14の位置情報に基づき、無線通信端末14が工場26のどの領域内に位置するかを判定する(ステップS4081)。工場26の屋内は、例えば、無線通信を行うゲートウェイ10に最も近いA領域、当該ゲートウェイ10からA領域よりも遠いB領域、及び当該ゲートウェイ10からB領域よりも遠いC領域に分類されている。CPU101は、無線通信端末14の位置情報に基づき、無線通信端末14が、これらA領域、B領域及びC領域のうちのいずれの領域内に位置するかを判定する。
2.4GHz帯、5GHz帯及び920MHz帯の電波は、耐干渉性、透過性、到達距離、回折性等の特性が互いに異なる。このため、無線通信端末14が上記A領域、B領域及びC領域のいずれの領域内に位置するかによって、無線環境が、2.4GHz帯、5GHz帯及び920MHz帯のうちのいずれの周波数帯域に好適であることが予測されるかが異なりうる。
例えば、無線通信端末14がA領域内に位置する場合、無線環境は、2.4GHz帯、5GHz帯及び920MHz帯のうち、2.4GHz帯と比較して耐干渉性に優れ、920MHz帯と比較して高速通信が可能な5GHz帯に好適であることが予測される。また、無線通信端末14がB領域内に位置する場合、無線環境は、2.4GHz帯、5GHz帯及び920MHz帯のうち、5GHz帯と比較して透過性に優れ、920MHz帯と比較して高速通信が可能な2.4GHz帯に好適であることが予測される。また、無線通信端末14がC領域内に位置する場合、無線環境は、2.4GHz帯、5GHz帯及び920MHz帯のうち、2.4GHz帯及び5GHz帯と比較して距離到達性及び回折性に優れる920MHz帯に好適であることが予測される。
このように、無線通信端末14が位置する領域、すなわち無線通信端末14の位置情報と、この位置情報から予測される無線環境との間には、一定の関係が存在している。ゲートウェイ10の記憶装置104には、このような無線通信端末14の位置情報と予測される無線環境との関係が記録されたデータベースが格納されている。ゲートウェイ10において、予測部として機能するCPU101は、そのデータベースを参照して、工場26の屋内の無線環境を予測する。なお、無線環境の予測に用いられるデータベースは、必ずしもゲートウェイ10の記憶装置104に格納されている必要はなく、ゲートウェイ管理装置16、生産管理サーバ18等の外部装置に格納されていてもよい。
また、無線通信端末14の単純な位置情報のみならず、無線通信端末14の位置情報の時系列データを用いて、工場26の屋内における無線通信端末14が移動した動線を分析し、その動線分析の結果に基づき、無線環境を予測することもできる。動線分析は、ゲートウェイ10においてCPU101が実行することができる。なお、動線分析は、ゲートウェイ10で必ずしも行われる必要はなく、位置管理サーバ20等の外部装置で実行されてもよい。この場合、ゲートウェイ10のCPU101は、例えば、ネットワーク24を介して外部装置による動線分析の結果を外部装置から受信する。
無線通信端末14がA領域内に位置する場合(ステップS4081、「A領域」)、ゲートウェイ10のCPU101は、工場26の屋内の無線環境について、5GHz帯に好適な無線環境であると予測する(ステップS4082)。
また、無線通信端末14がB領域内に位置する場合(ステップS4081、「B領域」)、ゲートウェイ10のCPU101は、工場26の屋内の無線環境について、2.4GHz帯に好適な無線環境であると予測する(ステップS4083)。
また、無線通信端末14がC領域内に位置する場合(ステップS4081、「C領域」)、ゲートウェイ10のCPU101は、工場26の屋内の無線環境について、920MHz帯に好適な無線環境であると予測する(ステップS4084)。
次いで、ゲートウェイ10において、CPU101は、通信制御部として機能し、上記ステップS408での無線環境の予測結果に基づき、無線通信端末14との無線通信の周波数帯域を切り替えるか否かを判定する(ステップS410)。
まず、5GHz帯に好適な無線環境であると予測した場合(ステップS4082)で、現時点の無線通信端末14との無線通信の周波数帯域が5GHz帯以外であるとき、CPU101は、周波数帯域を切り替えると判定する(ステップS410、YES)。すなわち、CPU101は、無線通信端末14との無線通信の周波数帯域を2.4GHz帯又は920MHz帯から5GHz帯に切り替えると判定する。
一方、5GHz帯に好適な無線環境であると予測した場合(ステップS4082)で、現時点の無線通信端末14との無線通信の周波数帯域が5GHz帯であるとき、CPU101は、周波数帯域を切り替えないと判定する(ステップS410、NO)。この場合、CPU101は、ステップS404に移行して、ステップS404の無線通信端末14の位置情報の要求及びステップS408の無線環境の予測を定期に又は不定期に実行する。
また、2.4GHz帯に好適な無線環境であると予測した場合(ステップS4083)で、現時点の無線通信端末14との無線通信の周波数帯域が2.4GHz帯以外であるとき、CPU101は、周波数帯域を切り替えると判定する(ステップS410、YES)。すなわち、CPU101は、無線通信端末14との無線通信の周波数帯域を5GHz帯又は920MHz帯から2.4GHz帯に切り替えると判定する。
一方、2.4GHz帯に好適な無線環境であると予測した場合(ステップS4083)で、現時点の無線通信端末14との無線通信の周波数帯域が2.4GHz帯であるとき、CPU101は、周波数帯域を切り替えないと判定する(ステップS410、NO)。この場合、CPU101は、ステップS404に移行して、ステップS404の無線通信端末14の位置情報の要求及びステップS408の無線環境の予測を定期に又は不定期に実行する。
また、920MHz帯に好適な無線環境であると予測した場合(ステップS4084)で、現時点の無線通信端末14との無線通信の周波数帯域が920MHz帯以外であるとき、CPU101は、周波数帯域を切り替えると判定する(ステップS410、YES)。すなわち、CPU101は、無線通信端末14との無線通信の周波数帯域を2.4GHz帯又は5GHz帯から又は920MHz帯に切り替えると判定する。
一方、920MHz帯に好適な無線環境であると予測した場合(ステップS4084)で、現時点の無線通信端末14との無線通信の周波数帯域が920MHz帯であるとき、CPU101は、周波数帯域を切り替えないと判定する(ステップS410、NO)。この場合、CPU101は、ステップS404に移行して、ステップS404の無線通信端末14の位置情報の要求及びステップS408の無線環境の予測を定期に又は不定期に実行する。
上述のように無線通信の周波数帯域を切り替えると判定すると(ステップS410、YES)、ゲートウェイ10のCPU101は、現在確立されている無線通信で、切り替え後の新しい周波数帯域を無線通信端末14に通知する(ステップS412)。
次いで、ゲートウェイ10において、CPU101は、通信制御部として機能して無線通信部105を制御する。これにより、CPU101は、無線通信端末14との無線通信に使用する周波数帯域を新しい周波数帯域に切り替える(ステップS414)。
また、無線通信端末14において、CPU141は、通信制御部として機能して無線通信部145を制御する。これにより、CPU141は、ゲートウェイ10との無線通信に使用する周波数帯域を、ゲートウェイ10から通知された新しい周波数帯域に切り替える(ステップS416)。
次いで、ゲートウェイ10と無線通信端末14とは、無線通信の規格に従い、切り替え後の新しい周波数帯域で、互いの間で無線通信を確立して無線通信を行う(ステップS418)。ここで、ゲートウェイ10のCPU101は、通信制御部として機能する。すなわち、CPU101は、2.4GHz帯通信部105a、5GHz帯通信部105b及び920MHz帯通信部105cのうち、切り替え後の新しい周波数帯域に対応した通信部を制御して無線通信端末14と無線通信を行う。また、無線通信端末14のCPU141は、通信制御部として機能する。すなわち、2.4GHz帯通信部145a、5GHz帯通信部145b及び920MHz帯通信部145cのうち、切り替え後の新しい周波数帯域に対応した通信部を制御してゲートウェイ10と無線通信を行う。
このように、本実施形態によれば、無線通信端末14の位置情報に基づき、ゲートウェイ10と無線通信端末14との間の無線通信に使用する周波数帯域の切り替えを制御するので、無線通信の途絶を抑制することができる。したがって、本実施形態によれば、工場の26の屋内のような不安定な無線環境であっても、信頼性及び安定性の高い無線通信を実現することができる。
なお、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、さらに業務時間に関する時間情報に基づき無線環境を予測して、無線通信の周波数帯域の切り替えを制御するようにゲートウェイ10を構成することもできる。
また、本実施形態においても、第2実施形態と同様に、さらに機器の稼働情報に基づき無線環境を予測して、無線通信の周波数帯域の切り替えを制御するようにゲートウェイ10を構成することもできる。
また、本実施形態においても、第3実施形態と同様に、さらに移動物の位置情報及び画像情報に基づき無線環境を予測して、無線通信の周波数帯域の切り替えを制御するようにゲートウェイ10を構成することもできる。
[第5実施形態]
本発明の第5実施形態による無線通信システム、無線通信装置、無線通信端末及び無線通信方法について図1、図2及び図15を用いて説明する。図15は、本実施形態による無線通信方法を示すシーケンス図である。なお、上記第1乃至第4実施形態による無線通信システム、無線通信装置、無線通信端末及び無線通信方法と同様の構成要素については同一の符号を付し説明を省略し又は簡略にする。
上記第1乃至第4実施形態においては、ゲートウェイ10において、無線環境の予測に使用される情報の要求(ステップS102、S204、S304、S308、S404)が実行されていた。また、ゲートウェイ10において、無線環境の予測(ステップS108、S208、S312、S408)が実行されていた。また、ゲートウェイ10において、周波数帯域を切り替えるか否かの判定(ステップS110、S210、S314、S410)が実行されていた。さらに、ゲートウェイ10において、切り替え後の新しい周波数帯域の通知(S112、S212、S316、S412)が実行されていた。しかし、無線環境の予測に使用される情報の要求、無線環境の予測、周波数帯域を切り替えるか否かの判定及び切り替え後の新しい周波数帯域の通知等は、必ずしもゲートウェイ10で実行される必要はない。これらの処理は、無線通信の相手方である無線通信端末12又は無線通信端末14で実行されてもよい。
本実施形態では、第1実施形態と対応する場合に、無線通信端末12において、無線環境の予測に使用される情報の要求、無線環境の予測、周波数帯域を切り替えるか否かの判定及び切り替え後の新しい周波数帯域の通知等が実行される態様について説明する。
まず、図15に示すように、無線通信端末12において、CPU121は、ネットワーク24を介して、工場26の業務時間に関する時間情報を生産管理サーバ18に要求する(ステップS502)。生産管理サーバ18は、無線通信端末12からの時間情報の要求を受けて、工場26の業務時間に関する時間情報を無線通信端末12に送信する(ステップS504)。無線通信端末12において、CPU121は、生産管理サーバ18から送信された業務時間に関する時間情報を受信して記憶装置124に格納する。
こうして、無線通信端末12において、CPU121は、情報取得部として機能し、生産管理サーバ18からネットワーク24を介して工場26の業務時間に関する時間情報を予め取得する。なお、CPU121は、定期に又は不定期に業務時間に関する時間情報を取得して業務時間に関する時間情報を更新することができる。
無線通信端末12は、第1実施形態と同様に、無線通信の規格に従い、2.4GHz帯及び920MHz帯のうちのいずれかの周波数帯域で、ゲートウェイ10との間で無線通信を確立して無線通信を行う(ステップS506)。
ゲートウェイ10と無線通信を確立している無線通信端末12において、CPU121は、予測部として機能し、工場26の業務時間に関する時間情報に基づき、工場26の屋内の無線環境を予測する(ステップS508)。
無線環境の予測処理において、CPU121は、生産管理サーバ18から取得した業務時間に関する時刻情報を参照して、現在時刻が、工場26の業務時間内であるか否かを判定する。なお、CPU121は、現在時刻に関する情報として、無線通信端末12に設定されている現在時刻に関する情報を使用することができる。また、CPU121は、現在時刻に関する情報として、生産管理サーバ18、NTPサーバ等の外部サーバから取得した現在時刻に関する時間情報を使用することもできる。
無線通信端末12の記憶装置124には、時間情報と予測される無線環境との関係が記録されたデータベースが格納されている。無線通信端末12において、予測部として機能するCPU121は、記憶装置124に格納されたデータベースを参照して、工場26の屋内の無線環境を予測する。なお、無線環境の予測に用いられるデータベースは、必ずしも無線通信端末12の記憶装置124に格納されている必要はなく、ゲートウェイ管理装置16、生産管理サーバ18等の外部装置に格納されていてもよい。
無線通信端末12のCPU121は、第1実施形態におけるゲートウェイ10のCPU101と同様にして無線環境を予測する処理を実行することができる。
次いで、無線通信端末12において、CPU121は、通信制御部として機能し、上記ステップS508での無線環境の予測結果に基づき、ゲートウェイ10との無線通信の周波数帯域を切り替えるか否かを判定する(ステップS510)。
無線通信端末12のCPU121は、第1実施形態におけるゲートウェイ10のCPU101と同様にして無線通信の周波数帯域を切り替えるか否かを判定することができる。
無線通信の周波数を切り替えないと判定すると(ステップS510、NO)、無線通信端末12のCPU121は、ステップS508に移行して、ステップS508の無線環境の予測を定期又は不定期に実行する。
一方、無線通信の周波数帯域を切り替えると判定すると(ステップS510、YES)、無線通信端末12のCPU121は、現在確立されている無線通信で、切り替え後の新しい周波数帯域をゲートウェイ10に通知する(ステップS512)。
次いで、無線通信端末12において、CPU121は、通信制御部として機能して無線通信部125を制御する。これにより、CPU121は、ゲートウェイ10との無線通信に使用する周波数帯域を新しい周波数帯域に切り替える(ステップS514)。
また、ゲートウェイ10において、CPU101は、通信制御部として機能して無線通信部105を制御する。これにより、CPU101は、無線通信端末12との無線通信に使用する周波数帯域を、無線通信端末12から通知された新しい周波数帯域に切り替える(ステップS516)。
次いで、ゲートウェイ10と無線通信端末12とは、第1実施形態と同様に、無線通信の規格に従い、切り替え後の新しい周波数帯域で、互いの間で無線通信を確立して無線通信を行う(ステップS518)。
本実施形態のように、第1実施形態と対応する場合において、無線通信端末12において、無線環境の予測に使用される情報の要求、無線環境の予測、周波数帯域を切り替えるか否かの判定及び切り替え後の新しい周波数帯域の通知等が実行されてもよい。
なお、第2実施形態と対応する場合においても、本実施形態と同様に、無線通信端末12において、無線環境の予測に使用される情報の要求、無線環境の予測、周波数帯域を切り替えるか否かの判定及び切り替え後の新しい周波数帯域の通知等が実行されてもよい。第3及び第4実施形態と対応する場合においても、本実施形態と同様に、無線通信端末14において、無線環境の予測に使用される情報の要求、無線環境の予測、周波数帯域を切り替えるか否かの判定及び切り替え後の新しい周波数帯域の通知等が実行されてもよい。
[第6実施形態]
本発明の第6実施形態による無線通信システム、無線通信装置、無線通信端末及び無線通信方法について図1、図2及び図16を用いて説明する。図16は、本実施形態による無線通信方法を示すシーケンス図である。なお、上記第1乃至第5実施形態による無線通信システム、無線通信装置、無線通信端末及び無線通信方法と同様の構成要素については同一の符号を付し説明を省略し又は簡略にする。
上記第1乃至第5実施形態においては、無線環境の予測結果に基づき、無線通信に使用する周波数帯域の切り替えを制御する場合について説明したが、これに限定されるものではない。無線通信に使用する周波数帯域の切り替えを制御することに代えて、無線通信端末12、14が無線通信を行うゲートウェイ10の切り替えを制御してもよい。つまり、ゲートウェイ10からみて、無線通信の相手方となる無線通信端末の切り替えを制御してもよい。また、無線通信端末12、14からみて、無線通信の相手方となるゲートウェイ10の切り替えを制御してもよい。
本実施形態では、第1実施形態と対応する場合に、無線通信に使用する周波数帯域の切り替えを制御することに代えて、無線通信端末12が無線通信を行うゲートウェイ10の切り替えを制御する態様について説明する。なお、以下では、複数のゲートウェイ10のうち、切り替え前のゲートウェイを第1のゲートウェイ10A、切り替え後のゲートウェイを第2のゲートウェイ10Bと表記することにする。
まず、図16に示すように、第1実施形態のゲートウェイ10と同様に、第1のゲートウェイ10Aにおいて、CPU101は、ネットワーク24を介して、工場26の業務時間に関する時間情報を生産管理サーバ18に要求する(ステップS602)。生産管理サーバ18は、第1のゲートウェイ10Aからの時間情報の要求を受けて、工場26の業務時間に関する時間情報を第1のゲートウェイ10Aに送信する(ステップS604)。第1のゲートウェイ10Aにおいて、CPU101は、生産管理サーバ18から送信された業務時間に関する時間情報を受信して記憶装置104に格納する。
こうして、第1のゲートウェイ10Aにおいて、CPU101は、情報取得部として機能し、生産管理サーバ18からネットワーク24を介して工場26の業務時間に関する時間情報を予め取得する。
無線通信端末12は、第1実施形態と同様に、無線通信の規格に従い、2.4GHz帯及び920MHz帯のうちのいずれかの周波数帯域で、第1のゲートウェイ10Aとの間で無線通信を確立して無線通信を行う(ステップS606)。
無線通信端末12と無線通信を確立している第1のゲートウェイ10Aにおいて、CPU101は、予測部として機能し、工場26の業務時間に関する時間情報に基づき、工場26の屋内の無線環境を予測する(ステップS608)。
第1のゲートウェイ10AのCPU101は、第1実施形態におけるゲートウェイ10のCPU101と同様にして無線環境を予測する処理を実行することができる。
次いで、第1のゲートウェイ10Aにおいて、CPU101は、通信制御部として機能し、上記ステップS608での無線環境の予測結果に基づき、無線通信を行うゲートウェイ10を切り替えるか否かを判定する(ステップS610)。
各ゲートウェイ10の記憶装置104には、予測される工場26の屋内の無線環境と、予測される無線環境に好適なゲートウェイ10との関係が記録されたデータベースが格納されている。予測される無線環境に好適なゲートウェイ10は、ゲートウェイ10の位置、電波強度、対応周波数帯域等から決定されている。なお、このデータベースは、必ずしもゲートウェイ10の記憶装置104に格納されている必要はなく、ゲートウェイ管理装置16、生産管理サーバ18等の外部装置に格納されていてもよい。
第1のゲートウェイ10Aにおいて、CPU101は、上記のデータベースを参照して、無線通信を行うゲートウェイ10を切り替えるか否かを判定する。
まず、予測される無線環境に第1のゲートウェイ10Aが他のゲートウェイ10より好適である場合、第1のゲートウェイ10Aにおいて、CPU101は、ゲートウェイ10を切り替えないと判定する(ステップS610、NO)。この場合、第1のゲートウェイ10AのCPU101は、ステップS608に移行して、ステップS608の無線環境の予測を定期又は不定期に実行する。
一方、予測される無線環境に第2のゲートウェイ10Bが他のゲートウェイ10よりも好適である場合、第1のゲートウェイ10Aにおいて、CPU101は、ゲートウェイ10を切り替えると判定する(ステップS610、YES)。すなわち、第1のゲートウェイ10AのCPU101は、第1のゲートウェイ10Aから第2のゲートウェイ10Bに切り替えると判定する。
ゲートウェイ10を切り替えると判定すると(ステップS610、YES)、第1のゲートウェイ10Aにおいて、CPU101は、ゲートウェイ10の切り替え要求をゲートウェイ管理装置16に送信する(ステップS612)。ゲートウェイ10の切り替え要求は、無線通信端末12との無線通信を行うゲートウェイ10を、第1のゲートウェイ10Aから第2のゲートウェイ10Bに切り替えることを要求するものである。
ゲートウェイ10の切り替え要求を受信すると、ゲートウェイ管理装置16は、無線通信端末12に対して、第2のゲートウェイ10Bとの接続指示を送信する(ステップS614)。
無線通信端末12において、CPU121は、無線通信を行うゲートウェイ10を、第1のゲートウェイ10Aから第2のゲートウェイ10Bに切り替える(ステップS616)。こうして、無線通信端末12は、第2のゲートウェイ10Bとの間で無線通信を確立して無線通信を行う(ステップS618)。
本実施形態のように、第1実施形態と対応する場合において、無線通信に使用する周波数帯域の切り替えを制御することに代えて、無線通信端末12が無線通信を行うゲートウェイ10の切り替えを制御してもよい。
なお、第2乃至第5実施形態と対応する場合においても、本実施形態と同様に、無線通信に使用する周波数帯域の切り替えを制御することに代えて、無線通信端末12、14が無線通信を行うゲートウェイ10の切り替えを制御してもよい。
[他の実施形態]
上記各実施形態において説明した無線通信装置、無線通信端末及び無線通信システムは、他の実施形態によれば、図17乃至図19に示すように構成することもできる。
図17は、他の実施形態による無線通信装置の機能構成を示すブロック図である。図17に示すように、他の実施形態による無線通信装置1000は、無線通信端末と無線通信が可能な無線通信部1002を有している。また、無線通信装置1000は、時間情報又は周辺物体の状況を示す周辺情報に基づき、無線通信の周波数帯域の切り替え又は無線通信端末の切り替えを制御する通信制御部1004を有している。
図18は、他の実施形態による無線通信端末の機能構成を示すブロック図である。図18に示すように、他の実施形態による無線通信端末2000は、無線通信装置と無線通信が可能な無線通信部2002を有している。また、無線通信端末2000は、時間情報又は周辺物体の状況を示す周辺情報に基づき、無線通信の周波数帯域の切り替え又は無線通信装置の切り替えを制御する通信制御部2004を有している。
図19は、他の実施形態による無線通信システムの機能構成を示すブロック図である。図19に示すように、他の実施形態による無線通信システム3000は、無線通信端末3002と、無線通信端末3002と無線通信が可能な無線通信装置3004とを有している。また、無線通信システム3000は、時間情報又は周辺物体の状況を示す周辺情報に基づき、無線通信の周波数帯域の切り替え又は無線通信端末3002が無線通信を行う無線通信装置3004の切り替えを制御する通信制御部3006を有している。
他の実施形態によれば、時間情報又は周辺物体の状況を示す周辺情報に基づき、無線通信の周波数帯域の切り替え又は無線通信端末若しくは無線通信装置の切り替えを制御するので、無線通信に対する干渉を抑制することができる。したがって、他の実施形態によれば、不安定な無線環境であっても、信頼性及び安定性の高い無線通信を実現することができる。
上記の各実施形態において説明した無線通信装置、無線通信端末及び無線通信システムは、さらに他の実施形態によれば、図20乃至図22に示すように構成することもできる。
図20は、さらに他の実施形態による無線通信装置の機能構成を示すブロック図である。図20に示すように、さらに他の実施形態による無線通信装置4000は、無線通信端末と無線通信が可能な無線通信部4002を有している。また、無線通信装置4000は、無線通信端末の位置情報に基づき、無線通信の周波数帯域の切り替えを制御する通信制御部4004を有している。
図21は、さらに他の実施形態による無線通信端末の機能構成を示すブロック図である。図21に示すように、さらに他の実施形態による無線通信端末5000は、無線通信装置と無線通信が可能な無線通信部5002を有している。また、無線通信端末5000は、無線通信端末5000の位置情報に基づき、無線通信の周波数帯域の切り替えを制御する通信制御部5004を有している。
図22は、さらに他の実施形態による無線通信システムの機能構成を示すブロック図である。図22に示すように、さらに他の実施形態による無線通信システム6000は、無線通信端末6002と、無線通信端末6002と無線通信が可能な無線通信装置6004とを有している。また、無線通信システム6000は、無線通信端末の位置情報に基づき、無線通信の周波数帯域の切り替えを制御する通信制御部6006を有している。
さらに他の実施形態によれば、無線通信端末の位置情報に基づき、無線通信の周波数帯域の切り替えを制御するので、無線通信の途絶を抑制することができる。したがって、さらに他の実施形態によれば、不安定な無線環境であっても、信頼性及び安定性の高い無線通信を実現することができる。
[変形実施形態]
本発明は、上記実施形態に限らず、種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、ゲートウェイ10が設置された施設が工場26である場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。ゲートウェイ10は、工場のほか、駅、空港等の公共公益施設その他の施設に設置することもできる。
また、上記実施形態では、ゲートウェイ10が屋内に設置された場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。ゲートウェイ10は、施設の屋外に設置することもできる。
また、上記実施形態では、ゲートウェイ10と無線通信端末12、14とが2.4GHz帯、5GHz帯又は920MHz帯のいずれかで無線通信を行う場合を例に説明したがこれに限定されるものではない。ゲートウェイ10と無線通信端末12、14とは、互いに異なる複数の周波数帯域で無線通信を行うことができるものであればよい。
また、上記実施形態では、無線通信の周波数帯域を2.4GHz帯と920MHz帯との間、又は2.4GHz帯と、5GHz帯と、920MHz帯との間で切り替える制御を行う場合について説明したが、これに限定されるものではない。機器が発生するノイズの周波数帯域、遮蔽物による遮蔽の状況、ゲートウェイ10と無線通信を行う無線通信端末14の移動範囲等に応じて、切り替える複数の周波数帯域を選択することができる。
また、上記実施形態では、UWB、無線LAN等を利用した屋内測位システムにより無線通信端末14の位置情報を取得する場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。例えば、無線通信端末14を携行する作業者Wに対する生体認証が行われたゲート等の認証場所の位置情報に基づき、無線通信端末14の位置を推定してその位置情報を取得してもよい。
また、上記の各実施形態の機能を実現するように該実施形態の構成を動作させるプログラムを記録媒体に記録させ、該記録媒体に記録されたプログラムをコードとして読み出し、コンピュータにおいて実行する処理方法も各実施形態の範疇に含まれる。すなわち、コンピュータ読取可能な記録媒体も各実施形態の範囲に含まれる。また、上述のコンピュータプログラムが記録された記録媒体はもちろん、そのコンピュータプログラム自体も各実施形態に含まれる。
該記録媒体としては、例えばフロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory)、磁気テープ、不揮発性メモリカード、ROMを用いることができる。また、該記録媒体に記録されたプログラム単体で処理を実行しているものに限らず、他のソフトウェア、拡張ボードの機能と共同して、OS(Operating System)上で動作して処理を実行するものも各実施形態の範疇に含まれる。
上記の各実施形態の機能により実現されるサービスは、SaaS(Software as a Service)の形態でユーザに対して提供することもできる。
上記実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
無線通信端末と無線通信が可能な無線通信部と、
時間情報又は周辺物体の状況を示す周辺情報に基づき、前記無線通信の周波数帯域の切り替え又は前記無線通信端末の切り替えを制御する通信制御部と
を有することを特徴とする無線通信装置。
(付記2)
前記通信制御部は、前記時間情報又は前記周辺情報に基づき予測される無線環境に応じて、前記無線通信の前記周波数帯域の切り替え又は前記無線通信端末の切り替えを制御することを特徴とする付記1記載の無線通信装置。
(付記3)
前記無線通信端末が使用される施設に設置され、
前記時間情報は、前記施設の予定時間に関する情報であることを特徴とする付記1又は2に記載の無線通信装置。
(付記4)
前記周辺情報は、前記周辺物体の位置情報であることを特徴とする付記1乃至3のいずれかに記載の無線通信装置。
(付記5)
前記無線通信端末が使用される施設の屋内に設置され、
前記周辺物体は、前記施設の屋内における物体であり、
前記位置情報は、屋内測位システムにより取得されたものであることを特徴とする付記4記載の無線通信装置。
(付記6)
前記周辺情報は、前記周辺物体を撮影した画像情報であることを特徴とする付記1乃至5のいずれかに記載の無線通信装置。
(付記7)
無線通信装置と無線通信が可能な無線通信部と、
時間情報又は周辺物体の状況を示す周辺情報に基づき、前記無線通信の周波数帯域の切り替え又は前記無線通信装置の切り替えを制御する通信制御部と
を有することを特徴とする無線通信端末。
(付記8)
前記通信制御部は、前記時間情報又は前記周辺情報に基づき予測される無線環境に応じて、前記無線通信の前記周波数帯域の切り替え又は前記無線通信装置の切り替えを制御することを特徴とする付記7記載の無線通信端末。
(付記9)
前記無線通信装置が設置された施設で使用され、
前記時間情報は、前記施設の予定時間に関する情報であることを特徴とする付記7又は8に記載の無線通信端末。
(付記10)
前記周辺情報は、前記周辺物体の位置情報であることを特徴とする付記7乃至9のいずれかに記載の無線通信端末。
(付記11)
前記無線通信装置が設置された施設の屋内で使用され、
前記周辺物体は、前記施設の屋内における物体であり、
前記位置情報は、屋内測位システムにより取得されたものであることを特徴とする付記10記載の無線通信端末。
(付記12)
前記周辺情報は、前記周辺物体を撮影した画像情報であることを特徴とする付記7乃至11のいずれかに記載の無線通信端末。
(付記13)
無線通信端末と、
前記無線通信端末と無線通信が可能な無線通信装置と、
時間情報又は周辺物体の状況を示す周辺情報に基づき、前記無線通信の周波数帯域の切り替え又は前記無線通信端末が前記無線通信を行う前記無線通信装置の切り替えを制御する通信制御部と
を含む無線通信システム。
(付記14)
無線通信端末と無線通信を行い、
時間情報又は周辺物体の状況を示す周辺情報に基づき、前記無線通信の周波数帯域の切り替え又は前記無線通信端末の切り替えを制御する
ことを特徴とする無線通信方法。
(付記15)
コンピュータに、
無線通信端末と無線通信を行い、
時間情報又は周辺物体の状況を示す周辺情報に基づき、前記無線通信の周波数帯域の切り替え又は前記無線通信端末の切り替えを制御する
ことを実行させることを特徴とするプログラムが記録された記録媒体。
(付記16)
無線通信装置と無線通信を行い、
時間情報又は周辺物体の状況を示す周辺情報に基づき、前記無線通信の周波数帯域の切り替え又は前記無線通信装置の切り替えを制御する
ことを特徴とする無線通信方法。
(付記17)
コンピュータに、
無線通信装置と無線通信を行い、
時間情報又は周辺物体の状況を示す周辺情報に基づき、前記無線通信の周波数帯域の切り替え又は前記無線通信装置の切り替えを制御する
ことを実行させることを特徴とするプログラムが記録された記録媒体。
(付記18)
無線通信端末と無線通信が可能な無線通信部と、
前記無線通信端末の位置情報に基づき、前記無線通信の周波数帯域の切り替えを制御する通信制御部と
を有することを特徴とする無線通信装置。
(付記19)
前記通信制御部は、前記位置情報に基づき予測される無線環境に応じて、前記無線通信の前記周波数帯域の切り替えを制御することを特徴とする付記18記載の無線通信装置。
(付記20)
前記無線通信端末が使用される施設の屋内に設置され、
前記位置情報は、屋内測位システムにより取得されたものであることを特徴とする付記18又は19に記載の無線通信装置。
(付記21)
無線通信端末であって、
無線通信装置と無線通信が可能な無線通信部と、
前記無線通信端末の位置情報に基づき、前記無線通信の周波数帯域の切り替えを制御する通信制御部と
を有することを特徴とする無線通信端末。
(付記22)
前記通信制御部は、前記位置情報に基づき予測される無線環境に応じて、前記無線通信の前記周波数帯域の切り替えを制御することを特徴とする付記21記載の無線通信端末。
(付記23)
前記無線通信端末が設置された施設の屋内で使用され、
前記位置情報は、屋内測位システムにより取得されたものであることを特徴とする付記21又は22に記載の無線通信端末。
(付記24)
無線通信端末と、
前記無線通信端末と無線通信が可能な無線通信装置と、
前記無線通信端末の位置情報に基づき、前記無線通信の周波数帯域の切り替えを制御する通信制御部と
を含む無線通信システム。
(付記25)
無線通信端末と無線通信を行い、
前記無線通信端末の位置情報に基づき、前記無線通信の周波数帯域の切り替えを制御する
ことを特徴とする無線通信方法。
(付記26)
コンピュータに、
無線通信端末と無線通信を行い、
前記無線通信端末の位置情報に基づき、前記無線通信の周波数帯域の切り替えを制御する
ことを実行させることを特徴とするプログラムが記録された記録媒体。
(付記27)
無線通信端末による無線通信方法であって、
無線通信装置と無線通信を行い、
前記無線通信端末の位置情報に基づき、前記無線通信の周波数帯域の切り替えを制御する
ことを特徴とする無線通信方法。
(付記28)
無線通信端末を構成するコンピュータに、
無線通信装置と無線通信を行い、
前記無線通信端末の位置情報に基づき、前記無線通信の周波数帯域の切り替えを制御する
ことを実行させることを特徴とするプログラムが記録された記録媒体。
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
この出願は、2017年1月26日に出願された日本出願特願2017-012174を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。