JP7128478B2 - 化成処理装置、及び化成処理鋼板の製造方法 - Google Patents

化成処理装置、及び化成処理鋼板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、鋼板表面にスプレー法で化成処理液を付着して化成処理鋼板を製造する技術に関する。
溶融亜鉛めっきを行った鋼板の美観を更に高めるために、亜鉛めっき鋼板にリン酸亜鉛処理液で化成処理を施す場合がある。このような化成処理方法の一つとして、化成処理液を鋼板へ噴霧するスプレー法がある。
鋼板搬送中に、鋼板表面に対しノズルから化成処理液を噴霧して化成皮膜を形成する従来技術としては、例えば特許文献1に記載の方法がある。
特許文献1には、鋼板の幅方向に延在するノズルヘッダに設けた複数のノズルから化成処理液を噴霧することが記載されている。更に、特許文献1では、通板速度の変化に対応させるために、処理槽を通板方向に複数のゾーンに分割し、各分割ゾーン毎にノズルヘッダを設ける構成を採用して、通板速度に応じて使用する分割ゾーンの数を変更する。これによって、特許文献1では、通板速度が速くなっても、鋼板表面に形成する化成皮膜の膜厚の適正化を図っている。
ここで、通常、各ノズルから鋼板表面への噴霧領域(鋼板表面への化成処理液が噴霧される領域)は、鋼板幅方向で隣り合うノズルの噴霧領域が重なるように設定することで、鋼板幅方向全面に化成処理液が付着させる。
特開平6-81164号公報
特許文献1の構成では、通板速度の変化に対応させるために、通板方向に沿って複数の分割ゾーンを形成する必要がある。このため、化成処理装置のライン長(処理槽全体の長さ)を長く設計する必要があり、設備構成が複雑・大型化する。また、通板速度が変化するたびに、使用する分割ゾーンを切り替えて使用するために、各分割ゾーンのノズルヘッダの遮断・連通等の制御を行う必要がある。
ここで、通常、各ノズルから鋼板表面への噴霧領域(鋼板表面への化成処理液が噴霧される領域)は、鋼板幅方向で隣り合うノズル同士の噴霧領域が重なるように板幅方向に細長くなるように設計する。これによって鋼板幅方向全面に対し化成処理液が付着するようにする。このために、従来にあっては、上記の噴霧領域は、鋼板幅方向に延びたような形状、例えば扇状の噴射形態(以下、扇形状とも記載する)となるように設定している。
ここで、発明者は、亜鉛めっき鋼板の連続製造ラインにて、鋼板表面にリン酸亜鉛皮膜を形成する化成処理を施す化成処理装置で、扇形状(板幅方向に延びた形状)の噴射形態のノズルを用い且つ化成処理液のスプレー量を一定の条件で操業した。そして、発明者は、通板速度が遅い条件では、鋼板表面に処理ムラが生じてしまうという知見を得た。特に、鋼板下面で上記処理ムラが顕著であった。
ここでいう処理ムラとは、鋼板の通板方向にスジ状に発生する化成皮膜の処理ムラのことであり、そのスジの細さは1~10mm程度である。化成処理液の当たり方によりムラが発生するため、板幅方向では全幅で発生することが多い。
ここで、特許文献1の方法では、通板速度が低い条件での処理ムラについて何ら検討されていない。また、特許文献1の方法では、通板速度が速くなることによる処理ムラを抑制するために、ノズルからの噴霧流量を通板速度で変化させているが、上述のような通板速度が遅い条件では、鋼板表面に上述のような処理ムラが生じてしまうおそれがあると推定される。
本発明は、上記のような点に着目したもので、化成処理の設備構成を複雑化することなく、通板速度が遅い場合であっても、化成処理による処理ムラ発生を抑制可能とすることを目的としている。
発明者が、通板速度が遅い条件での処理ムラ発生について検討したところ、次の理由であることを突き止めた。
従来、特許文献1のように、通板方向に沿って複数のノズルヘッダが配列し、各ノズルヘッダのノズルから噴霧される化成処理液は、同一のノズルヘッダ内では、隣り合う噴霧領域に重なりが設定されているが、通板方向で隣り合うノズル同士の噴霧領域を重ねる必要性が認識されていなかった。
しかし、通板速度が変化すると鋼板に対する化成処理液の反応時間が変わる。このため、通板速度が遅くなるほど、ノズルヘッダのノズルから噴霧された化成処理液が、鋼板進行方向隣のノズルヘッダから噴霧される化成処理液に接するまでの間に、鋼板表面に付着させた化成処理液が所定以上乾燥してしまい、この結果、上記の処理ムラが生じるという知見を発明者は得た。更に、発明者は、鋼板下面で処理ムラが生じやすいのは、鋼板の下面に向けてノズルから噴霧された化成処理液の一部が、鋼板に乗らずすぐに下へ落下したり、鋼板表面で化成処理液がはじかれたりすることで、化成処理液の乾燥が進むとの知見を得た。
なお、特許文献1のように、通板速度に応じて使用する分割ゾーンを変更したとしても、通板速度が遅い場合には、ノズルヘッダのノズルから噴霧された化成処理液が、鋼板進行方向隣のノズルヘッダから噴霧される化成処理液に接するまでの間に、鋼板表面に付着させた化成処理液が所定以上乾燥し、更に鋼板表面で化成処理液がはじかることで処理ムラが発生する。仮に、特許文献1の構成で、噴霧した化成処理液の乾燥を抑制しようとして、各ノズルからの噴霧量を増やす対策がした場合、鋼板下面に噴霧した化成処理液の一部落下を促進する原因になったり、スプレー圧力が高くなることによって、鋼板表面での化成処理液のはじきが促進されて、処理ムラの原因となる。
そして、発明者は、鋼板幅方向での噴霧領域の重なりだけでなく、鋼板通板方向で隣り合うノズルの噴霧領域に重なるように噴霧領域を広げることで、ノズルヘッダ間での乾燥による処理ムラの発生を抑制できるとの知見を得た。
すなわち、課題を解決するために、本発明の一態様は、搬送中の鋼板表面に化成処理液をノズルから噴霧して鋼板表面に化成皮膜を形成する化成処理装置であって、上記ノズルとして、少なくとも鋼板の下面に向けて化成処理液を噴霧可能な複数の下側ノズルを備え、上記複数の下側ノズルは、少なくとも上記鋼板の搬送方向に沿って複数配置され、上記複数の下側ノズルのうち、少なくとも一つのノズルによる上記鋼板表面への上記化成処理液が噴霧される領域と、そのノズルと上記搬送方向で隣り合う第2のノズルによる上記鋼板表面への上記化成処理液が噴霧される領域とに重なりを有することを要旨とする。
また、本発明の他の態様である化成処理鋼板の製造方法は、搬送中の鋼板表面に化成処理液を噴霧する化成処理工程を備え、上記化成処理工程は、少なくとも上記鋼板の搬送方向に沿って配置した複数の下側ノズルから搬送中の鋼板下面に化成処理液を噴霧し、上記複数の下側ノズルのうち、少なくとも一つのノズルによる上記鋼板表面への上記化成処理液が噴霧される領域と、そのノズルと上記搬送方向で隣り合う第2のノズルによる上記鋼板表面への上記化成処理液が噴霧される領域とが重なりを有することを要旨とする。
本発明の態様によれば、設備のラインを長くする必要もなく、簡便な設備構成で、通板速度が遅い場合であっても、化成処理による処理ムラ発生を抑制することが可能となる。
本発明に基づく実施形態に係る化成処理装置を説明する概念図である。 板幅方向のノズルの配置例を示す図である。 通板方向のノズルの配置例を示す図である。 噴射領域が円形(円錐状のスプレー噴射)の場合を示す図である。 噴射領域が四角形(四角錐状のスプレー噴射)の場合を示す図である。 従来の噴射領域(扇形のスプレー噴射)の場合を示す図である。
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
本実施形態では、亜鉛めっき鋼板を化成処理する鋼板とし、化成処理液としてリン酸亜鉛処理液を用いて化成処理を施して鋼板表面に化成皮膜を形成する場合を例に説明する。但し、本発明は、これに限定されない。スプレー法で化成処理液を鋼板表面に噴霧して鋼板表面に化成処理膜を形成する設備や製造方法であれば、本発明を適用可能である。
本実施形態の化成処理装置は、図1に示すように、スプレー法で化成処理を行う設備である化成皮膜形成設備1を有する。
化成処理装置は、化成皮膜形成設備1の前段に表面調整設備を有してしても良い。表面調整設備は、例えば化成処理液の種類等によって調整が必要な場合に設置される。この場合、公知の手法で冷延鋼板上に亜鉛めっきを施した後、表面調整設備において表面調整液を鋼板表面に吹き掛けて化成処理皮膜中結晶(リン酸亜鉛結晶等)の核となる物質を鋼板表面に散布する。
実施形態の化成皮膜形成設備1は、図1に示すような構成となっている。すなわち、処理槽10内を鋼板2が通板可能に構成され、処理槽10内には、鋼板2のパスラインを挟んで上下にそれぞれ、ノズルヘッダ11、12が配置されている。各ノズルヘッダ11、12は、化成処理液を噴霧可能な複数のノズル11a、12aを有する。ここで、鋼板2のパスラインの位置を基準に、当該パスラインの上方に配置されたノズルヘッダを上側ノズルヘッダ11と記載し、当該パスラインの下方に配置されたノズルヘッダを下側ノズルヘッダ12と記載する。処理槽10内の下流には、余剰の化成処理液を絞り取るリンガーロール13が配置される。そのリンガーロール13の下流には、不図示の乾燥工程が配置されている。
本実施形態の上側ノズルヘッダ11及び下側ノズルヘッダ12は、通板方向(鋼板の搬送方向)に沿って複数配置されている。
ここで、上側ノズルヘッダ11及び下側ノズルヘッダ12は、通板方向に沿って複数配置されていれば良く、通板方向で隣り合うノズルヘッダが互いに平行に配置されていなくても良い。また、各ノズルヘッダに設ける複数のノズルのピッチ等は、各ノズルヘッダによって異なっていても良い。複数のノズルが搬送方向に沿って配置されるとは、例えば、複数のノズルが搬送方向に沿って千鳥状に配置されたような状態も含む。また、一のノズルヘッダに設ける各ノズルの噴霧方向も同一方向に揃っていなくても良い。
各ノズルヘッダ11、12は、鋼板2の板幅方向に沿って延在している。そして、不図示のポンプによって、設定圧力にて、化成処理液が各ノズルヘッダ11、12に圧送可能となっている。
本実施形態の下側ノズルヘッダ12に設けられた複数のノズル12aは、図2示すように、任意のノズルによる鋼板2表面への化成処理液が噴霧される領域と、そのノズルと通板方向に交差する方向(ノズルヘッダの延在方向、以下単に板幅方向と記載する)、例えば板の幅方向で隣り合う第2のノズルによる鋼板2表面への上記化成処理液が噴霧される領域とに重なりLp2を有するように設定されている。
更に、本実施形態の下側ノズルヘッダ12においては、図3に示すように、任意のノズルによる鋼板2表面への化成処理液が噴霧される領域と、そのノズルと上記搬送方向で隣り合う第2のノズルによる上記鋼板2表面への化成処理液が噴霧される領域とに重なりLp1を有するように設定されている。任意のノズルと、それに搬送方向で隣り合う第2のノズルは、側方から見て隣り合っていれば良く、例えば、板幅方向の位置が互いにずれていても、搬送方向で噴霧される領域が重なっていれば良い。
そして、例えば、ノズル12aの噴射口が円形に設定される。この場合、各ノズル12aから円錐状に化成処理液が噴射されて、各ノズル12aによる鋼板2表面への化成処理液が噴霧される領域(以下、単に、噴射領域ARAとも記載する)が円形形状となる。このとき、図4に示すように、一のノズルのよる噴射領域ARAは、鋼板2幅方向及び通板方向で隣あう噴射領域ARAと重なりLAPを有するように噴角α、βが設定される。なお、噴射形態が円錐形であるため、噴角α=噴角βである。
ここで、噴射領域ARAの外周輪郭形状が円形とは、真円に限定されず、アスペクト比(長径/短径)が2未満の真円に近い楕円形状など、歪んだ円形状も含まれる。
なお、ノズル11a、12aの噴射口が多角形に設定され、各ノズル12aから多角錐状の化成処理液が噴射される。各ノズル11a、12aによる鋼板2表面への噴射領域ARAが四角形形状の場合の例を図4に示す。
ここで、噴射領域ARAの外周輪郭形状は円形や四角形に限定されず、一のノズルのよる噴射領域ARAは、鋼板2幅方向及び通板方向で隣あう噴射領域ARAと重なりLAPを有すれば、どのような形状でも構わない。例えば、ノズルの噴射口が鋼板幅方向に延びたスリット状である扇形状ノズルにより、噴射領域ARAを真円より極端に細い楕円形状(例えば、アスペクト比が2超え)としてもよい。しかし、扇型状のノズルでは鋼板2通板方向でLAPを有するためにはノズル数を増やす必要がある。したがって、ノズル数を抑える観点では、噴射領域ARAの外周輪郭形状は円形や多角形とすることが好ましい。
ここで、搬送方向(通板方向)に並ぶ噴射領域ARAの全てが、搬送方向における、後ろ側の噴射領域ARAと前側の噴射領域ARAの両方で重なっていなくてもよいが、全ての噴射領域ARAが搬送方向の、後ろ側の噴射領域ARAと前側の噴射領域ARAの両方で重なっていることが好ましい(搬送方向における、最先端の噴射領域及び最後尾の噴射領域を除く)。
また、搬送方向での噴射領域ARAの重なりLAPの領域と、板幅方向での噴射領域ARAの重なりLAPの領域とが重なっていない方が好ましい。この点からは、噴射領域ARAは四角形状よりも円形形状の方が使用しやすい。図5では、噴射領域ARAが四角形状の場合を例示しているが、菱形形状として、搬送方向での噴射領域ARAの重なりLAPの領域と、板幅方向での噴射領域ARAの重なりLAPの領域とが重なりを有しないようにしても良い。
また、上側ノズルヘッダ11のノズル11aについても下側ノズルヘッダ12と同様な構成を採用することが好ましい。
搬送方向で隣り合う2つの噴射領域ARAの重なり量Lp1は10mm以上であることが好ましい。
また、各ノズル11a、12aからの板幅方向の噴角αは、60度以上70度以下が、通板方向への噴角βは、80度以上85度以下が好ましい。
また、各ノズル11a、12aからの液の噴射流量は、15L/min以上17L/min以下が好ましい。
上記のような装置では、化成皮膜形成設備1で、その上にリン酸亜鉛皮膜(化成処理皮膜)が施されて、化成処理鋼板2が製造される。
このとき、通板速度が例えば40mpm以下と遅い場合であっても、本実施形態では、鋼板2の搬送方向(長手方向)において化成処理液と鋼板2とが接する面積を増やすことができる。この結果、搬送方向に沿ったノズル12a間での化成処理液の乾燥が抑制されて、鋼板2下面側での化成処理ムラを改善できる。
同様な構成を鋼板2上面側に適用することで、鋼板2上面側でも化成処理ムラを改善できる。
また、本実施形態では、従来よりも1つのノズル12aからの噴射面積(噴射領域ARA)を広くして、各ノズル12aからの単位面積当たりの化成処理液の付着量を抑えることで、鋼板2の下面からの化成処理液の落下が抑制されて、このことからも鋼板2下面側での化成処理ムラを改善できる。更に、この構成によれば、化成処理液のスプレー量を一定の条件で操業しても、通板速度の可変に対応可能となる。
以上のことから、化成処理後の化成処理鋼板2の外観改善が可能となる。
ここで、化成処理装置が、ノズルからの化成処理液の噴射形態として、円錐状若しくは多角錐状の第1の噴射形態と、板幅方向に延びた扇形状の第2の噴射形態とを有するように構成し、鋼板の通板速度が所定速度未満の場合には、第1の噴射形態を選択し、鋼板の通板速度が所定速度以上の場合には、第2の噴射形態を選択するように調整しても良い。所定速度は、例えば40mpmに設定する。
この場合、第1の噴射形態のノズルと第2の噴射形態のノズルとを設け、ライン速度及び対象製品の少なくとも一方の条件に応じて、オペレータが使用するノズルを切り替えることで上記の調整を実施すればよい。例えば、化成皮膜形成設備に各噴射形態のノズルがいずれも取り付けられており、一方の噴射形態のノズルからのみ化成処理液が噴射されるよう使用ノズルを切り替えてよい。この場合、ノズル切り替えを自動制御によって実施するようにしても良い。また、噴射形態を選択する際にノズル自体を人の手で取り換えてもよい。第1の噴射形態のノズルの配置関係については、上述の実施形態の配置構成とすることが好ましい。以上、通板速度に応じた噴射形態の選択によって、鋼板搬送方向の重なりLAPの有無を切り替えることができる。
次に、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
本実施例では、鋼板として純亜鉛電気亜鉛めっき鋼板を採用し、化成処理液として、日本パーカライジング株式会社製パルボンド3312(PB-3312)を使用した。
そして、搬送中の鋼板にスプレー法にて上記化成処理壁を噴霧して化成処理を施した。
表1に、各例の条件と、その評価を示す。なお、いずれの例(No.1~3)も、鋼板までの距離を300(mm)、スプレー圧力を0.1(Mpa)、1ノズルあたりの流量を15.7(L/min)の条件で実施した。
Figure 0007128478000001
表1において、No.1は、比較例であり、図6のように、各ノズル11a、12aからの噴射形態が板幅方向に延びたような扇形に噴射された場合の例で、板幅方向では噴射領域に重なりがあるが、通板方向に重なりが無い場合の例である。
No.2も、比較例であり、No.3と同様に、噴射領域を円形形状(円錐状の噴射形態)に設定したものである。但しmNo.2では、搬送方向で噴霧領域に重なりが無いように、噴角を小さく設定したものである。
No.3は、発明例であり、噴射領域を円形形状(円錐状の噴射形態)に設定し、通板方向に重なりがあるように設定したものである。
そして、通板速度を100mpm、50mpm、40mpm、20mpmの4種類についてそれぞれ実施して、処理ムラについて評価した。表1では、外観は、「上面外観/下面外観」の形で表記した。
評価基準は、次の通りである、
×:処理ムラ(鋼板2の通板方向にスジ状に発生するムラのことであり、そのスジの細さは1~10mm程度)が板幅方向幅で発生。
△:処理ムラは、上記×で発生した処理ムラと比較し、3/4以下程度のスジ数であるが、ムラは残っている状態。
○:処理ムラ混入なし
表1から分かるように、No.3のように、搬送方向での重なり量を10mmとした場合、通板速度40mpm以下としても、また通板速度を40mpmよりも速くしても、ノズルからの流量を変更しなくても、いずれの通板速度でもあって、処理ムラの発生が抑制できることが分かった。
ここで、搬送方向で隣り合う噴霧領域で重なりがない状態でも、搬送方向での隣り合う噴霧領域間の距離が近いほど処理ムラが発生しにくいと考えられるが、ノズル間での鋼2の乾燥を防ぐには、搬送方向での隣り合う噴霧領域での搬送方向での重なり量が10mm以上とすることが望ましいと考えられる。
1 化成皮膜形成設備
2 鋼板
10 処理槽
11 上側ノズルヘッダ
11a ノズル
12 下側ノズルヘッダ
12a ノズル
ARA 噴射領域
Lp1 搬送方向での重なり量
α、β 噴角

Claims (12)

  1. 搬送中の鋼板表面に化成処理液をノズルから噴霧して鋼板表面に化成皮膜を形成する化成処理装置であって、
    上記ノズルとして、少なくとも鋼板の下面に向けて化成処理液を噴霧可能な複数の下側ノズルを備え、
    上記複数の下側ノズルは、少なくとも上記鋼板の搬送方向に沿って複数配置され、
    上記複数の下側ノズルのうち、少なくとも一つのノズルによる上記鋼板表面への上記化成処理液が噴霧される領域と、そのノズルと上記搬送方向で隣り合う第2のノズルによる上記鋼板表面への上記化成処理液が噴霧される領域とに重なりを有することを特徴とする化成処理装置。
  2. 上記ノズルとして、鋼板の上面に向けて化成処理液を噴霧可能な複数の上側ノズルを備え、
    上記複数の上側ノズルは、少なくとも上記鋼板の搬送方向に沿って複数配置され、
    上記搬送方向に沿って配置された複数の上側ノズルのうち、少なくとも一つのノズルによる上記鋼板表面への上記化成処理液が噴霧される領域と、そのノズルと上記搬送方向で隣り合う第2のノズルによる上記鋼板表面への上記化成処理液が噴霧される領域とに重なりを有することを特徴とする請求項1に記載した化成処理装置。
  3. 上記化成処理液が噴霧される鋼板は亜鉛めっき鋼板であり、上記化成処理液はリン酸亜鉛処理液であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載した化成処理装置。
  4. 上記化成処理液が噴霧される領域の外周輪郭形状が円形若しくは多角形であることを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか1項に記載した化成処理装置。
  5. 上記搬送方向で隣り合う2つのノズルによる上記化成処理液が噴霧される領域の重なりは、上記鋼板の搬送方向に10mm以上有することを特徴とする請求項1~請求項4のいずれか1項に記載した化成処理装置。
  6. 請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の化成処理装置を備えた化成処理鋼板の製造設備。
  7. 搬送中の鋼板表面に化成処理液を噴霧する化成処理工程を備え、
    上記化成処理工程は、少なくとも上記鋼板の搬送方向に沿って配置した複数の下側ノズルから搬送中の鋼板下面に化成処理液を噴霧し、
    上記複数の下側ノズルのうち、少なくとも一つのノズルによる上記鋼板表面への上記化成処理液が噴霧される領域と、そのノズルと上記搬送方向で隣り合う第2のノズルによる上記鋼板表面への上記化成処理液が噴霧される領域とが重なりを有することを特徴とする化成処理鋼板の製造方法。
  8. 上記化成処理工程は、少なくとも上記鋼板の搬送方向に沿って配置した複数の上側ノズルから搬送中の鋼板上面に化成処理液を噴霧し、
    上記複数の上側ノズルのうち、少なくとも一つのノズルによる上記鋼板表面への上記化成処理液が噴霧される領域と、そのノズルと上記搬送方向で隣り合う第2のノズルによる上記鋼板表面への上記化成処理液が噴霧される領域とが重なりを有することを特徴とする請求項7に記載した化成処理鋼板の製造方法。
  9. 上記化成処理液が噴霧される鋼板が亜鉛めっき鋼板であり、上記化成処理液はリン酸亜鉛処理液である請求項7又は請求項8に記載した化成処理鋼板の製造方法。
  10. 上記搬送方向で隣り合う2つのノズルによる上記化成処理液が噴霧される領域の重なりは、上記搬送方向に10mm以上有することを特徴とする請求項7~請求項9のいずれか1項に記載した化成処理鋼板の製造方法。
  11. 記通板速度が40mpm未満であることを特徴とする請求項7~請求項10のいずれか1項に記載した化成処理鋼板の製造方法。
  12. 上記化成処理液が噴霧される領域の外周輪郭形状が円形若しくは多角形であることを特徴とする請求項7~請求項11のいずれか1項に記載した化成処理鋼板の製造方法。
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