JP7127983B2 - 空調装置 - Google Patents

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本願は、電動式の冷却ファンを有する情報通信技術用装置(以下、ICT装置ともいう。)を備えるサーバ室に適用される空調装置に関する。
ICT装置は、CPU等の発熱体を冷却するための冷却ファンを備える。ICT装置の消費電力は、概ねCPU等の消費電力と冷却ファンの消費電力との和である。冷却ファンは、当該冷却ファンに吸い込まれる空気の温度(以下、吸込温度という。)が上がると、冷却ファンの回転数が増加して消費電力が増加する。
冷却ファンの回転数が増加すると、ICT装置を冷却して温度が上昇した空気が空調機を迂回して冷却ファンに吸引されてしまう風量が増大するため、吸込温度が更に上昇してしまう。
このため、例えば、特許文献1に記載の空調装置では、吸込温度が予め決められた上限温度を超えている場合には設定温度を下げる制御を行っている。設定温度は、空調装置がサーバ室に供給する空調風の温度である。
特開2014-214944号公報
本願は、特許文献1に記載の空調装置に比べて、更に消費電力を低減することが可能な空調装置の一例を開示する。
本願に係る空調装置の一例では、サーバ室内に冷風を供給する空調機と、冷却ファンによる送風量の変化量が予め決められた変化量を超えて変化したか否かを検出するための変化検出部と、空調機で生成する冷風の温度、及びサーバ室に供給する冷風の送風量を制御するための制御部とを備える。
制御部は、変化検出部の検出結果を利用して冷却ファンによる送風量が変化したか否かを判断する判断機能、空調機で生成する冷風の温度を現時の温度より低下させる設定温度低下機能、及びサーバ室に供給する冷風の送風量を現時の送風量より増大させる風量増大機能を発揮可能である。さらに、制御部は、冷却ファンによる送風量が増加変化したと判断したときに、設定温度低下機能及び風量増大機能を実行可能である。
これにより、当該空調装置では、冷却ファンの回転数変化に即応して空調装置を作動させることが可能となるので、当該空調装置では、冷却ファンの消費電力が増大することが抑制され得る。
実施形態に係る空調装置を示す図である。 実施形態に係る空調装置を示す図である。 実施形態に係る空調機を示す図である。 実施形態に係る制御部の作動を示すフローチャートである。 再循環量等の特性を示すグラフである。
以下の「発明の実施形態」は、本願発明の技術的範囲に属する実施形態の一例を示すものである。つまり、特許請求の範囲に記載された発明特定事項等は、下記の実施形態に示された具体的構成や構造等に限定されるものではない。
少なくとも符号を付して説明した部材又は部位は、「1つの」等の断りがある場合を除き、少なくとも1つ設けられている。つまり、「1つの」等の断りがない場合には、当該部材は2以上設けられていてもよい。
(第1実施形態)
1.空調装置の構成
本実施形態は、通信機器室やサーバ室等(以下、サーバ室という。)の空調を行う空調装置に適用したものである。図1に示されるように、サーバ室内には、少なくとも1台(本実施形態では、複数)の情報通信技術用機器(以下、ICT装置という。)1が、少なくとも1つ(本実施形態では、複数)のラック2に搭載された状態で設置されている。
各ラック2は棚状の部材である。各ラック2は、図2に示されるように、隣り合うラック2の長手方向が互いに平行となるように設置されている。各ラック2の両側には、ラック2の長手方向と平行な方向に延びる空気通路2A、2Bが設けられている。
サーバ室には、少なくとも1台の空調機3等が設置されている。空調機3は、サーバ室から空気を吸引するとともに、当該サーバ室に空調された空気を供給する。つまりサーバ室内の空気を冷却することにより、当該空気を介して各ICT装置1を冷却する。
空調機3は、図3に示されるように、蒸発器等の冷却用熱交換器4及び電動式の送風機5等を少なくとも有して構成されている。送風機5は、電動モータ(図示せず。)及び当該電動モータにより回転駆動される羽根車(ファン)等を有して構成されている。
空調機3は、空気通路2Aに冷風を供給し、ICT装置1から熱を回収して温度が上昇した温風を空気通路2Bから吸引している。つまり、冷風は空気通路2A(以下、冷風通路2Aという。)から各ICT装置1に分配供給される。各ICT装置1から排出される温風は、空気通路2B(以下、温風通路2Bという。)に集合した後、空調機3に吸引される。
空調機3の制御部10(図3参照)は、供給する冷風の温度、又は吸引する温風温度が予め決められた温度範囲となるように、冷却用熱交換器4で発生する冷凍能力及び送風機5の送風量等を制御する。
各ICT装置1は、情報処理演算ユニット(以下、CPUという。)及び電動式の冷却ファン1A(図2参照)等を有する。CPUは情報処理を実行する。冷却ファン1Aは、CPU等の発熱体に冷却用の室内空気(以下、冷却風という。)を供給する。
つまり、冷却ファン1Aは、冷風通路2A内の空気を冷却風としてCPU等の発熱体に供給する。発熱体に供給された冷却風は、当該発熱体から熱を奪って温風通路2Bに排出される。冷却ファン1Aは、発熱体の温度上昇等に応じて冷却風の送風量を増加させる。
なお、図2に示された冷却ファン1Aは、軸流ファンで記載されている。しかし、図2
に示された冷却ファン1Aは、現実の構造を示す図ではない。したがって、冷却ファン1Aの羽根車は、軸流ファンは勿論のこと、その他形式の羽根車であってもよい。
2.空調機用制御部の制御作動
2.1 制御作動の概要
制御部10は、図3に示されるように、CPU、ROM及びRAM等のマイクロコンピュータにて構成されている。下記の制御作動を実行するためのプログラム(ソフトウェア)は、ROM等の不揮発性記憶部に予め記憶されている。当該プログラムは、制御部10のCPUにて実行される。
制御部10には、冷却ファン1Aの回転数、つまり冷却ファン1Aにより送風される送風量を示す情報(以下、冷却ファン情報Ifという。)が入力される変化検出部10A等が設けられている。制御部10は、冷却ファン情報Ifを利用して冷却ファン1Aによる送風量が変化したか否かを判断する。
そして、制御部10は、冷却ファン1Aによる送風量が増加変化したと判断したときに、設定温度低下機能及び風量増大機能のうち少なくとも一方の機能(本実施形態では、両機能)を実行する。
設定温度低下機能とは、空調機3で生成する冷風の温度を現時の温度より低下させる機能である。風量増大機能とは、空調機3からサーバ室に供給する冷風の送風量を現時の送風量より増大させる機能である。
制御部10は、設定温度低下機能の実行開始後、冷却ファン1Aによる送風量の減少変化が停止したと判断したときに、当該設定温度低下機能を停止させる。制御部は、風量増大機能の実行開始後、冷却ファン1Aによる送風量の減少変化が停止したと判断したときに、当該風量増大機能を停止させる。
本実施形態に係る制御部10は、風量増大機能を停止させた後に、風量減少機能を実行する。風量減少機能とは、空調機3からサーバ室に供給する冷風の送風量を現時の送風量より減少させる機能である。
さらに、本実施形態に係る制御部10は、空調機3からサーバ室に供給する冷風の送風量を、常に風量制御機能にて制御する。風量制御機能とは、冷却ファン情報Ifにより検出された風量に予め決められた係数を乗じた風量となるよう送風機5の作動を制御する機能である。
2.1 制御作動の詳細(図4参照)
図4は、上記制御作動を示すフローチャートの一例である。当該フローチャートを実行するためのプログラムは、不揮発性記憶部に記憶されている。制御部10は、当該プログラムを読み込んで上記制御作動を実行する。
制御部10は、冷却ファン1Aによる送風量が増加変化したか否かを判断する(S1)。制御部10は、冷却ファン1Aによる送風量が増加変化したと判断したと判断した場合(S1:YES)、風量増大機能を実行した後(S5)、設定温度低下機能を実行する(S10)。
次に、制御部10は、設定温度低下機能及び風量増大機能の実行開始後、冷却ファン1Aによる送風量の減少変化が停止したか否かを判断する(S15)。制御部10は、冷却ファン1Aによる送風量の減少変化が停止したと判断した場合には(S15:YES)、
設定温度低下機能を停止させた後(S25)、風量増大機能を停止させて風量減少機能を実行する(S25)。
そして、制御部10は、再び、冷却ファン1Aによる送風量が増加変化したか否かを判断する(S1)。制御部10は、冷却ファン1Aによる送風量が増加変化していないと判断した場合には(S1:NO)、本制御を終了させる。なお、本制御は、空調機3の稼働している際に、所定時間毎に実行される。
制御部10は、冷却ファン1Aによる送風量の減少変化が停止していないと判断した場合(S15:NO)、設定温度低下機能を実行する(S10)。なお、制御部10は、送風機5による送風量が、常に、冷却ファン情報Ifにより検出された風量に予め決められた係数を乗じた風量となるように当該送風機5の作動を制御する。
3.本実施形態に係る空調装置の特徴
制御部10は、冷却ファン1Aによる送風量(以下、ICT送風量という。)が増加変化したと判断したときに、設定温度低下機能及び風量増大機能を実行可能である。
これにより、当該空調装置では、冷却ファン1Aの回転数変化に即応して空調装置を作動させることが可能となるので、当該空調装置では、冷却ファン1Aの消費電力が増大することが抑制され得る。
制御部10は、ICT送風量が増加変化したと判断したと判断した場合(S1:YES)、送風機5による送風量(以下、空調送風量という。)を増大させた後(S5)、設定温度低下機能を実行する(S10)。
これにより、サーバ室で発生する空気の再循環量を低減することが可能となり得るので、効果的にICT装置1の冷却を行うことが可能となり得る。空気の再循環とは、ICT装置1内を流通して温風通路2Bに排出された空気が空調機3を迂回して冷風通路2Aに流入することをいう(図1参照)。
なお、図5に示されるように、ICT送風量に対する空調送風量が特定値A1より小さい領域では、ICT送風量に対する空調送風量が大きくなるほど、ICT送風量に対する再循環量が低下する。
しかし、ICT送風量に対する空調送風量が特定値A1より大きい領域では、ICT送風量に対する空調送風量が大きくなっても、ICT送風量に対する再循環量が殆ど低下しない。したがって、制御部10は、ICT送風量に対する空調送風量が特定値A1となるような空調送風量に送風機5を制御する。
ところで、冷却ファン1Aの送風量が増大すると、ICT送風量に対する再循環量が増大するので(図5参照)、再循環量が増大する。つまり、冷却ファン1Aの送風量が増大すると、ICT装置1に温熱が還流してしまう。
冷却ファン1Aの送風量を低下させるには、設定温度低下機能を実行し、吸込温度を低下させることが効果的である。しかし、設定温度が現実に低下して現実に冷却ファン1Aの風量が低下する時(以下、低下開始時という。)までに時間を要するので、当該低下開始時までの間は、ICT装置1に温熱が還流してしまう。
これに対して、本実施形態に係る制御部10は、風量増大機能を実行することにより、ICT送風量に対する空調送風量が特定値A1となるような空調送風量に送風機5を制御
するので、ICT装置1に温熱が還流してしまうことが抑制される。
さらに、風量増大機能により冷却ファン1Aの送風量が増大することが抑制されても一度は設定温度低下機能が実行されるので、風量増大機能が繰り返して実行されてしまうこと(ハンチング現象)が抑制され得る。延いては、送風機4(空調装置)の消費電力が増大してしまうことが抑制される。
(その他の実施形態)
上述の実施形態に係る制御部10は、風量増大機能を実行した後(S5)、設定温度低下機能を実行した。しかし、本願明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。すなわち、制御部10は、設定温度低下機能を実行した後、風量増大機能を実行する構成であってもよい。
上述の実施形態に係る制御部10は、風量増大機能及び風量減少機能の実行時には、風量制御機能を実行した。しかし、本願明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。すなわち、例えば、制御部10が風量制御機能を備えていない構成であってもよい。
上述の実施形態では、冷風通路2Aと温風通路2Bとを区画する区画部材、及びラック2間の隙間を閉塞する閉塞パネル等が設けられていなかった。しかし、本願明細書に開示された発明はこれに限定されるものではない。すなわち、例えば、区画部材及び閉塞パネル等の少なくとも1が設けられたサーバ室に上記空調装置が適用される構成であってもよい。
さらに、本発明は、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されるものではない。したがって、上述した複数の実施形態のうち少なくとも2つの実施形態を組み合わせてもよい。
1… ICT装置
1A… 冷却ファン
2A… 冷風通路
2B… 温風通路
2B… 冷却温風通路
3… 空調機
4… 冷却用熱交換器
4… 送風機
10… 制御部

Claims (5)

  1. 電動式の冷却ファンを有する情報通信技術用装置が設置されたサーバ室内の空調を行う空調装置において、
    前記サーバ室内に冷風を供給する空調機と、
    前記冷却ファンによる送風量の変化量が予め決められた変化量を超えて変化したか否かを検出するための変化検出部と、
    前記空調機で生成する冷風の温度、及び前記サーバ室に供給する冷風の送風量を制御するための制御部とを備え、
    前記制御部は
    記空調機で生成する冷風の温度を現時の温度より低下させる設定温度低下機能
    前記サーバ室に供給する冷風の送風量を現時の送風量より増大させる風量増大機能、及び
    「前記サーバ室に供給する冷風の送風量」が「前記冷却ファンによる送風量」に予め決められた係数を乗じた風量となるように前記空調機を制御する風量制御機能を発揮可能であり、
    さらに、前記制御部は、
    前記変化検出部の検出結果を利用して前記冷却ファンによる送風量が予め決められた変化量を超えて増加変化したと判断したときに、前記設定温度低下機能及び前記風量増大機能を実行し、
    その後、前記制御部は、前記冷却ファンによる送風量の減少変化が停止している否かを判断し、前記冷却ファンによる送風量の減少変化が停止していないときには、当該制御部は、上記の風量増大機能よる送風量を維持したまま、再度の前記風量増大機能を実行することなく、前記設定温度低下機能を再び実行する空調装置。
  2. 前記制御部は、前記設定温度低下機能の実行開始後、前記冷却ファンによる送風量の減少変化が停止したと判断したときに、当該設定温度低下機能を停止させる請求項1に記載の空調装置。
  3. 前記制御部は、前記冷却ファンによる送風量の減少変化が停止したと判断したときに、前記サーバ室に供給する冷風の送風量を現時の送風量より減少させる風量減少機能を実行する請求項に記載の空調装置。
  4. 前記冷却ファンによる送風量を示す情報値を取得する情報取得部を備え、
    前記制御部は、
    前記情報取得部の検出結果を利用して前記冷却ファンによる送風量を検出する風量検出機能を発揮可能であり、
    さらに、前記風量制御機能は、前記風量検出機能により検出された風量に予め決められた係数を乗じた風量となるよう前記空調機を制御する機であることを発揮可能である請求項1ないしのいずれか1項に記載の空調装置。
  5. 電動式の冷却ファンを有する情報通信技術用装置が設置されたサーバ室内に冷風を供給する空調機、前記冷却ファンによる送風量の変化量が予め決められた変化量を超えて変化したか否かを検出するための変化検出部、並びに前記空調機で生成する冷風の温度、及び前記サーバ室に供給する冷風の送風量を制御するための制御部を備える空調装置に適用され、当該制御部に組み込まれる空調制御プログラムにおいて、
    前記制御部を
    記空調機で生成する冷風の温度を現時の温度より低下させる設定温度低下機能、
    前記サーバ室に供給する冷風の送風量を現時の送風量より増大させる風量増大機能、
    「前記サーバ室に供給する冷風の送風量」が「前記冷却ファンによる送風量」に予め決められた係数を乗じた風量となるように前記空調機を制御する風量制御機能、及び
    前記変化検出部の検出結果を利用して前記冷却ファンによる送風量が予め決められた変化量を超えて増加変化したと判断したときに、前記設定温度低下機能及び前記風量増大機能を実行し、
    その後、前記制御部は、前記冷却ファンによる送風量の減少変化が停止している否かを判断し、前記冷却ファンによる送風量の減少変化が停止していないときには、当該制御部は、上記の風量増大機能よる送風量を維持したまま、再度の前記風量増大機能を実行することなく、前記設定温度低下機能を再び実行する機能を実現するための空調制御プログラム。
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