以下に添付図面を参照して、本発明に係る居眠防止制御装置、居眠防止システム、居眠防止制御方法およびプログラムの実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態により本発明が限定されるものではない。
[第一実施形態]
図1は、第一実施形態に係る居眠防止システムの構成例を示すブロック図である。図2は、第一実施形態に係る居眠防止システムを示す概略図である。居眠防止システム1は、対象者ごとの傾向情報に基づいて、対象者の状況に応じて、適切に覚醒させる。居眠防止システム1は、例えば、ネックバンドN、リストバンド、指輪(スマートリング)、眼鏡(スマートグラス)、腕時計(スマートウォッチ)、または、ハンズフリーマイクなどの対象者の身体に装着されるデバイス(ウェアラブルデバイス)が有する機能として実装されていてもよい。また、居眠防止システム1は、例えば、ウェアラブルデバイスと、制御装置とによって構成されていてもよい。本実施形態では、居眠防止システム1は、ネックバンドNが有する機能として実装される。
傾向情報とは、対象者ごとに、どのような刺激を与えると、覚醒の効果が高いかを判断可能な情報である。傾向情報の詳細は後述する。
対象者の状況とは、対象者が居眠りしている状況である。対象者の状況は、例えば、車両の運転、デスクワーク、会議、講義の受講、または、乗物での移動などである。対象者の状況についての詳細は後述する。さらに、より詳しく周囲の状況を区別してもよい。
居眠防止システム1は、状況検出部10と、生体情報検出部20と、刺激発生部30と、居眠防止制御装置50とを有する。状況検出部10、生体情報検出部20、および、刺激発生部30と、居眠防止制御装置50とは、有線または無線で情報を送受信可能である。
図3を用いて、状況検出部10について説明する。図3は、第一実施形態に係る状況検出部の構成例を示すブロック図である。状況検出部10は、対象者の状況を検出する検出装置である。状況検出部10は、1つ以上の検出装置を含む。本実施形態では、状況検出部10は、周囲用カメラ11と、マイク12と、振動検出センサ13と、照度センサ14とを有する。
周囲用カメラ11は、対象者の周囲の状況を判定可能な映像を撮影する。周囲用カメラ11は、対象者の周囲の映像を撮影するカメラである。周囲用カメラ11は、居眠防止システム1の起動中、常時撮影する。周囲用カメラ11は、撮影した周囲映像データを居眠防止制御装置50の状況判定部52へ出力する。周囲映像データは、例えば毎秒30フレームの画像から構成される動画像である。周囲映像データは、対象者が、例えば、車両の運転中、デスクワーク中、会議中、講義の受講中、または、乗物での移動中などであることを判定可能な情報を含む。周囲用カメラ11は、ウェアラブルデバイスが有する機能として実装されていてもよい。または、周囲用カメラ11は、対象者が携帯する電子機器の機能と共用してもよい。
マイク12は、対象者の周囲の状況を判定可能な音声を集音する。マイク12は、対象者の周囲の音声を集音するマイクである。マイク12は、居眠防止システム1の起動中、音声を常時集音する。マイク12は、集音した音声データを居眠防止制御装置50の状況判定部52へ出力する。音声データは、対象者が、例えば、車両の運転中、デスクワーク中、会議中、講義の受講中、または、乗物での移動中などであることを判定可能な情報を含む。音声データは、対象者の周囲が、賑やかであるか、静かであるかを判定可能な情報を含む。マイク12は、ウェアラブルデバイスが有する機能として実装されていてもよい。または、マイク12は、対象者が携帯する電子機器の機能と共用してもよい。
振動検出センサ13は、対象者の周囲の状況を判定可能な振動を検出する。振動検出センサ13は、対象者に作用する振動を検出するセンサである。振動検出センサ13は、例えば加速度センサである。振動検出センサ13は、居眠防止システム1の起動中、振動を常時検出する。振動検出センサ13は、検出した振動データを居眠防止制御装置50の状況判定部52へ出力する。振動データは、対象者が、例えば、車両を含む乗物に乗車中、着席中、または、歩行中であることを判定可能な情報を含む。振動検出センサ13は、ウェアラブルデバイスが有する機能として実装されていてもよい。または、振動検出センサ13は、対象者が携帯する電子機器の機能と共用してもよい。
照度センサ14は、対象者の周囲の状況を判定可能な照度を検出する。照度センサ14は、対象者の周囲の照度を検出する。照度センサ14は、居眠防止システム1の起動中、照度を常時検出する。照度センサ14は、検出した照度データを居眠防止制御装置50の状況判定部52へ出力する。照度センサ14は、対象者の周囲が、明るいか、暗いかを判定可能な情報を含む。照度センサ14は、ウェアラブルデバイスが有する機能として実装されていてもよい。または、照度センサ14は、対象者が携帯する電子機器の機能と共用してもよい。
図4を用いて、生体情報検出部20について説明する。図4は、第一実施形態に係る生体情報検出部の構成例を示すブロック図である。生体情報検出部20は、対象者の生体情報を検出する検出装置である。生体情報検出部20は、1つ以上の検出装置を含む。本実施形態では、生体情報検出部20は、血圧測定部21と、心拍測定部22と、脈拍測定部23と、体温測定部24と、二酸化炭素濃度測定部25と、酸素飽和度測定部26と、対象者用カメラ27と、座面センサ28と、視線センサ29とを有する。
対象者の生体情報とは、対象者の居眠度および覚醒度を判定可能な情報である。言い換えると、対象者の生体情報は、対象者の居眠度および覚醒度に応じて変化する対象者の身体に関する情報である。対象者の生体情報は、例えば、バイタルデータ、顔部の動きを示す情報、身体の動きを示す情報、および、視線を示す情報の少なくともいずれかである。
バイタルデータは、例えば、血圧データ(血圧情報)、心拍データ(心拍情報)、脈拍データ(脈拍情報)、体温データ(体温情報)、血中の二酸化炭素濃度データ(二酸化炭素濃度情報)、および、血中の酸素飽和度データ(酸素飽和度情報)の少なくともいずれかを含む。
顔部の動きを示す情報は、頭部の動きを示す頭部動き情報と表情を示す表情情報との少なくともどちらかを含む。
身体の動きを示す情報は、例えば、身体の重心の位置の変化を示す情報、または、身体の所定の部分の位置の変化を示す情報である。
視線を示す情報は、例えば、眼の動きを示す視線情報、眼の開度を示す開度情報、または、まばたきの回数を示すまばたき回数情報である。
血圧測定部21は、対象者の血圧を測定する。血圧測定部21は、居眠防止システム1の起動中、血圧を常時測定する。血圧測定部21は、測定した血圧データを居眠防止制御装置50の生体情報取得部53へ出力する。血圧測定部21は、対象者の身体に装着される。血圧測定部21は、ウェアラブルデバイスが有する機能として実装されていてもよい。または、血圧測定部21は、対象者が携帯する電子機器の機能と共用してもよい。
心拍測定部22は、対象者の心拍を測定する。心拍測定部22は、居眠防止システム1の起動中、心拍を常時測定する。心拍測定部22は、測定した心拍データを居眠防止制御装置50の生体情報取得部53へ出力する。心拍測定部22は、ウェアラブルデバイスが有する機能として実装されていてもよい。または、心拍測定部22は、対象者が携帯する電子機器の機能と共用してもよい。
脈拍測定部23は、対象者の脈拍を測定する。脈拍測定部23は、居眠防止システム1の起動中、脈拍を常時測定する。脈拍測定部23は、測定した脈拍データを居眠防止制御装置50の生体情報取得部53へ出力する。脈拍測定部23は、ウェアラブルデバイスが有する機能として実装されていてもよい。または、脈拍測定部23は、対象者が携帯する電子機器の機能と共用してもよい。
体温測定部24は、対象者の体温を測定する。体温測定部24は、体温として、対象者の手指部または脚部の温度を測定してもよい。体温測定部24は、居眠防止システム1の起動中、体温を常時測定する。体温測定部24は、測定した体温データを居眠防止制御装置50の生体情報取得部53へ出力する。体温測定部24は、ウェアラブルデバイスが有する機能として実装されていてもよい。または、体温測定部24は、対象者が携帯する電子機器の機能と共用してもよい。
二酸化炭素濃度測定部25は、対象者の血中の二酸化炭素濃度を測定する。二酸化炭素濃度測定部25は、居眠防止システム1の起動中、血中の二酸化炭素濃度を常時測定する。二酸化炭素濃度測定部25は、測定した二酸化炭素濃度データを居眠防止制御装置50の生体情報取得部53へ出力する。二酸化炭素濃度測定部25は、ウェアラブルデバイスが有する機能として実装されていてもよい。または、二酸化炭素濃度測定部25は、対象者が携帯する電子機器の機能と共用してもよい。
酸素飽和度測定部26は、対象者の血中の酸素飽和度を測定する。酸素飽和度測定部26は、居眠防止システム1の起動中、血中の酸素飽和度を常時測定する。酸素飽和度測定部26は、測定した酸素飽和度データを居眠防止制御装置50の生体情報取得部53へ出力する。酸素飽和度測定部26は、ウェアラブルデバイスが有する機能として実装されていてもよい。または、酸素飽和度測定部26は、対象者が携帯する電子機器の機能と共用してもよい。
対象者用カメラ27は、対象者の顔部の動きを示す情報を取得する。対象者用カメラ27は、対象者の顔部を撮影するカメラである。より詳しくは、対象者用カメラ27は、対象者の頭部の動きを撮影する。または、対象者用カメラ27は、対象者の表情を撮影する。対象者用カメラ27は、居眠防止システム1の起動中、常時撮影する。対象者用カメラ27は、測定した対象者映像データを居眠防止制御装置50の生体情報取得部53へ出力する。または、対象者用カメラ27は、対象者が携帯する電子機器の機能と共用してもよい。
座面センサ28は、対象者の身体の動きを示す情報を取得する。座面センサ28は、対象者が着席している場合、座面に作用する圧力を検出するセンサである。座面センサ28は、対象者の重心の移動を検出可能である。座面センサ28は、居眠防止システム1の起動中、圧力を常時検出する。座面センサ28は、検出した圧力データを居眠防止制御装置50の生体情報取得部53へ出力する。
視線センサ29は、対象者の視線を示す情報を取得する。視線センサ29は、対象者の視線を検出する。視線センサ29は、居眠防止システム1の起動中、対象者の視線を常時検出する。視線センサ29は、対象者と向かい合って配置される。視線センサ29は、例えば、一対の赤外カメラ291と、赤外LED群で構成された赤外光照射部292とを含む。本実施形態では、赤外光照射部292が、対象者の顔方向に赤外光を照射し、一対の赤外カメラ291で撮影する。視線センサ29は、赤外カメラ291で撮影した撮影映像から、対象者の瞳孔と角膜反射の位置とに基づいて、対象者の視線を検出する。視線センサ29は、同様の機能を有する他の構成であってもよい。視線センサ29は、視線検出データを居眠防止制御装置50の生体情報取得部53に視線情報として出力する。なお、視線センサ29は、生体情報取得部53の一部として機能する形態であってもよい。また、視線センサ29は、可視光カメラを使用して、目頭と虹彩とに基づいて視線を検出するものであってもよい。
図5を用いて、刺激発生部30について説明する。図5は、第一実施形態に係る刺激発生部の構成例を示すブロック図である。刺激発生部30は、対象者を覚醒させるために、居眠防止制御装置50の刺激制御部59からの制御信号に基づいて刺激を発生させる。刺激発生部30は、振動部31と、スピーカ32と、嗅覚刺激部33と、味覚刺激部34と、電気刺激部35と、気流発生部36と、温度調節部37と、ミスト発生部38とを有する。
振動部31は、居眠防止制御装置50の刺激制御部59からの制御信号に基づいて振動を発生させる。振動部31は、振動の強さを調節可能である。本実施形態では、振動部31は、振動の強さを強と弱との2段階で調節可能である。振動部31は、対象者の身体に装着される。振動部31は、ウェアラブルデバイスが有する機能として実装されていてもよい。
スピーカ32は、居眠防止制御装置50の刺激制御部59からの制御信号に基づき、音声を出力する。スピーカ32は、音声の種類と大きさとを調節可能である。本実施形態では、スピーカ32は、ブザー音、人間の声、または、音楽のように複数種類を出力可能である。本実施形態では、スピーカ32は、音声の強さを強と弱との2段階で調節可能である。スピーカ32は、一例としては、居眠防止システム1に固有の音声出力装置、または、ナビゲーションシステムを含む他のシステムと共用する音声出力装置などである。スピーカ32は、対象者が携帯する電子機器と共用する音声出力装置であってもよい。スピーカ32は、ウェアラブルデバイスが有する機能として実装されていてもよい。または、スピーカ32は、対象者が携帯する電子機器の機能と共用してもよい。
嗅覚刺激部33は、居眠防止制御装置50の刺激制御部59からの制御信号に基づき、匂い物質を発生させる。嗅覚刺激部33は、匂いの種類と強さとを調節可能である。本実施形態では、嗅覚刺激部33は、花の匂いと焦げた匂いのように複数種類の匂いを発生可能である。本実施形態では、嗅覚刺激部33は、匂いの強さを強と弱との2段階で調節可能である。嗅覚刺激部33は、ウェアラブルデバイスが有する機能として実装されていてもよい。
味覚刺激部34は、居眠防止制御装置50の刺激制御部59からの制御信号に基づき、対象者の舌部に電気的な刺激を与えることで味覚を感じさせる。嗅覚刺激部33は、味覚の種類と強さとを調節可能である。本実施形態では、味覚刺激部34は、塩味、酸味、苦味のように複数種類の味覚を発生可能である。本実施形態では、味覚刺激部34は、味覚の強さを強と弱との2段階で調節可能である。味覚刺激部34は、ウェアラブルデバイスが有する機能として実装されていてもよい。
電気刺激部35は、居眠防止制御装置50の刺激制御部59からの制御信号に基づき、対象者の身体の表面に電気的な刺激を与える。電気刺激部35は、電気刺激の強さを調節可能である。本実施形態では、電気刺激部35は、電気刺激の強さを強と弱との2段階で調節可能である。電気刺激部35は、ウェアラブルデバイスが有する機能として実装されていてもよい。
気流発生部36は、居眠防止制御装置50の刺激制御部59からの制御信号に基づき、対象者に向かって吹き付ける気流を発生させる。気流発生部36は、気流の強さを調節可能である。本実施形態では、気流発生部36は、気流の強さを強と弱との2段階で調節可能である。気流発生部36は、ウェアラブルデバイスが有する機能として実装されていてもよい。または、気流発生部36は、居眠防止システム1に固有の気流発生装置、または、カーエアコンシステムを含む他のシステムと共用する気流発生装置などである。
温度調節部37は、居眠防止制御装置50の刺激制御部59からの制御信号に基づき、対象者の周囲の温度を調節する。温度調節部37は、対象者の周囲に吹き出す空気の温度を調節してもよいし、座面を含む対象者との接触面の温度を調節してもよい。温度調節部37は、温度の変化の大きさを調節可能である。本実施形態では、温度調節部37は、温度の変化の大きさを強と弱との2段階で調節可能である。温度調節部37は、ウェアラブルデバイスが有する機能として実装されていてもよい。または、温度調節部37は、居眠防止システム1に固有の温度調節装置、または、カーエアコンシステムを含む他のシステムと共用する温度調節装置などである。
ミスト発生部38は、居眠防止制御装置50の刺激制御部59からの制御信号に基づき、対象者の顔部の周辺にミストを発生させる。ミスト発生部38は、ミストの強さを調節可能である。本実施形態では、ミスト発生部38は、ミストの強さを強と弱との2段階で調節可能である。ミスト発生部38は、ウェアラブルデバイスが有する機能として実装されていてもよい。または、ミスト発生部38は、居眠防止システム1に固有のミスト発生装置である。
図1に戻って、居眠防止制御装置50は、対象者ごとの傾向情報に基づいて、刺激発生部30を制御して覚醒させる。居眠防止制御装置50は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などで構成された演算処理装置である。居眠防止制御装置50は、図示しない記憶部に記憶されているプログラムをメモリにロードして、プログラムに含まれる命令を実行する。居眠防止制御装置50には図示しない内部メモリが含まれ、内部メモリは居眠防止制御装置50におけるデータの一時記憶などに用いられる。居眠防止制御装置50は、状況情報取得部51と、状況判定部52と、生体情報取得部53と、居眠度判定部54と、覚醒度判定部55と、覚醒時間測定部56と、傾向情報記憶部57と、刺激判定部58と、刺激制御部59とを有する。
図6を用いて、状況情報取得部51について説明する。図6は、第一実施形態に係る状況情報取得部の構成例を示すブロック図である。状況情報取得部51は、対象者の状況を示す状況情報を取得する。状況情報取得部51は、車両を運転している状況、デスクワークをしている状況、会議に参加している状況、講義を受講している状況、または、乗物に乗って移動している状況などを示す状況情報を取得する。状況情報取得部51は、周囲映像データ取得部511と、音声データ取得部512と、振動データ取得部513と、照度データ取得部514とを有する。
周囲映像データ取得部511は、周囲用カメラ11が撮影した周囲映像データを状況情報として取得する。音声データ取得部512は、マイク12が集音した音声データを状況情報として取得する。振動データ取得部513は、振動検出センサ13が検出した振動データを状況情報として取得する。照度データ取得部514は、照度センサ14が検出した照度データを状況情報として取得する。
図1に戻って、状況判定部52は、状況情報取得部51が取得した状況情報に基づいて、対象者の状況を判定する。より詳しくは、状況判定部52は、周囲映像データ取得部511が取得した周囲映像データと、音声データ取得部512が取得した音声データと、振動データ取得部513が取得した振動データと、照度データ取得部514が取得した照度データとの少なくともいずれかに基づいて、対象者の状況を判定する。状況判定部52は、状況情報取得部51が取得したデータの一部または全部から、各状況を示す特徴量(特徴ベクトル)を生成し、生成した特徴量と、事前に定めた各状況を示す特徴量とを比較して最も近い結果を示す状況であると判定することが好ましい。なお、状況情報取得部51が特徴量を生成し、状況判定部52に供給してもよい。本実施形態では、状況判定部52は、状況情報取得部51が取得した状況情報に基づいて、対象者がどのような状況で居眠りしているかを判定する。さらに、状況判定部52は、対象者の状況をより詳しく判定してもよい。
例えば、状況判定部52は、対象者の状況が車両を運転している状況であると判定する場合、さらに、走行している道路が高速道路であるか、交通量が多いか、または、周囲の他の車両が存在するかを判定してもよい。
例えば、状況判定部52は、対象者の状況がデスクワークをしている状況であると判定する場合、会議に参加している状況であると判定する場合、講義を受講している状況であると判定する場合、または、乗物で移動している状況であると判定する場合、さらに、周囲が賑やかであるか静かであるかを判定してもよい。
例えば、状況判定部52は、対象者の状況が車両を運転している状況であると判定する場合、または、乗物で移動している状況であると判定する場合、さらに、対象者に振動が作用しているかを判定してもよい。
図7を用いて、生体情報取得部53について説明する。図7は、第一実施形態に係る生体情報取得部の構成例を示すブロック図である。生体情報取得部53は、対象者の生体情報を取得する。生体情報取得部53は、居眠防止システム1の起動中、対象者の生体情報を取得する。生体情報取得部53は、血圧データ取得部531と、心拍データ取得部532と、脈拍データ取得部533と、体温データ取得部534と、二酸化炭素濃度データ取得部535と、酸素飽和度データ取得部536と、対象者映像データ取得部537と、圧力データ取得部538と、視線情報取得部539とを有する。
血圧データ取得部531は、血圧測定部21から血圧データを取得する。心拍データ取得部532は、心拍測定部22から心拍データを取得する。脈拍データ取得部533は、脈拍測定部23から脈拍データを取得する。体温データ取得部534は、体温測定部24から体温データを取得する。二酸化炭素濃度データ取得部535は、二酸化炭素濃度測定部25から二酸化炭素濃度データを取得する。酸素飽和度データ取得部536は、酸素飽和度測定部26から酸素飽和度データを取得する。対象者映像データ取得部537は、対象者用カメラ27から対象者映像データを取得する。圧力データ取得部538は、座面センサ28から圧力データを取得する。視線情報取得部539は、視線センサ29から視線情報を取得する。
図1に戻って、居眠度判定部54は、居眠防止システム1の起動中、生体情報取得部53が取得した生体情報の少なくともいずれかに基づいて、対象者が居眠り状態であるかを示す居眠度を判定する。居眠度は、例えば、1から5までの5段階で判定する。居眠度「5」は、対象者が完全に居眠りしている状態である。居眠度「1」は、対象者が正常な状態、言い換えると、覚醒している状態である。居眠度「2」「3」「4」は、居眠り状態を示す「5」から覚醒している状態を示す「1」までの間で、適宜定められる。本実施形態では、居眠度「3」以上は、対象者が居眠りしている状態であると判定する。
例えば、居眠度判定部54は、バイタルデータの変化量に基づいて、居眠度を判定する。
または、例えば、居眠度判定部54は、対象者映像データに画像処理を行って、瞼が閉じているほど居眠度が高く、瞼が開いているほど居眠度が低いと判定する。
または、例えば、居眠度判定部54は、身体の動きを示す情報の重心の位置の変化量に基づいて、居眠度を判定する。重心の位置の変化量が大きいほど居眠度が高く、重心の位置の変化量が小さいほど居眠度が低いと判定してもよい。
または、例えば、居眠度判定部54は、検出した視線の移動量が少ないほど居眠度が高く、移動量が多いほど居眠度が低いと判定する。居眠度判定部54における居眠度の判定は、他に次の例が挙げられる。検出した視線の移動範囲が狭いほど居眠度が高く、移動範囲が広いほど居眠度が低いと判定してもよい。検出した視線が、対象者が正常な状態の視線の視点、動き、または、視線の移動量との差異が大きいほど居眠度が高いと判定してもよい。周囲映像データに画像認識処理を行って、周囲に注視すべき物体が表れたときに、対象者の視線が注視すべき物体を捉えていない場合、居眠度「5」と判定してもよい。わき見、または、うつむきによって所定時間以上継続して視線を正しく検出できていない場合、居眠度「5」と判定してもよい。
覚醒度判定部55は、傾向情報記憶部57に記憶する対象者の傾向情報を収集する際に、生体情報取得部53が取得した生体情報の少なくともいずれかに基づいて、対象者が正常に覚醒した状態であるかを示す覚醒度を判定する。覚醒度は、例えば、1から5までの5段階で判定する。覚醒度「5」は、対象者が正常に覚醒した状態である。覚醒度「1」は、対象者が完全に居眠り状態、または、覚醒度が低く動作に支障がある状態である。覚醒度「2」「3」「4」は、正常を示す「5」から完全な居眠り状態を示す「1」までの間で、適宜定められる。本実施形態では、覚醒度「4」以上は、対象者が覚醒している状態であると判定する。
例えば、覚醒度判定部55は、バイタルデータの変化量に基づいて、覚醒度を判定する。
または、例えば、覚醒度判定部55は、対象者映像データに画像処理を行って、瞼が閉じているほど覚醒度が低く、瞼が開いているほど覚醒度が高いと判定する。
または、例えば、覚醒度判定部55は、身体の動きを示す情報の重心の位置の変化量に基づいて、覚醒度を判定する。重心の位置の変化量が大きいほど覚醒度が低く、重心の位置の変化量が小さいほど覚醒度が高いと判定してもよい。
例えば、覚醒度判定部55は、検出した視線の移動量が少ないほど覚醒度が低く、移動量が多いほど覚醒度が高いと判定する。覚醒度判定部55における覚醒度の判定は、他に次の例が挙げられる。検出した視線の移動範囲が狭いほど覚醒度が低く、移動範囲が広いほど覚醒度が高いと判定してもよい。検出した視線が、対象者が正常な状態の視線の視点、動き、または、視線の移動量との差異が大きいほど覚醒度が低いと判定してもよい。周囲映像データに画像認識処理を行って、周囲に注視すべき物体が表れたときに、対象者の視線が注視すべき物体を捉えていない場合、覚醒度「1」と判定してもよい。わき見、または、うつむきによって所定時間以上継続して視線を正しく検出できていない場合、覚醒度「1」と判定してもよい。
覚醒時間測定部56は、傾向情報記憶部57に記憶する対象者の傾向情報を収集する際に、居眠り状態の対象者に、刺激発生部30によって刺激を与えてから覚醒するまでに要した時間を覚醒時間として計測する。より詳しくは、覚醒時間測定部56は、覚醒度が所定値、例えば、「3」以下である対象者に、刺激発生部30によって刺激を与えた時点から、覚醒度が所定値、例えば、「4」以上であると判定されるまでの時間を覚醒時間として計測する。
傾向情報記憶部57は、対象者ごとに、居眠り状態から覚醒させる際の傾向情報を記憶する。傾向情報は、対象者ごとに、あらかじめ就寝時などに、対象者を覚醒させる刺激の種類と強さとを変えて刺激を与えた際に取得した、覚醒度の変化と、覚醒時間との少なくともどちらかを示す情報である。また、傾向情報は、覚醒度の変化と、覚醒時間とに加えて、覚醒の効果を示す情報を記憶してもよい。また、傾向情報は、覚醒度の変化と、覚醒時間とに加えて、生体情報の変化を示す情報を記憶してもよい。
刺激の種類を示す情報は、振動部31によって発生される振動と、スピーカ32によって発生される音と、嗅覚刺激部33によって発生される匂いと、味覚刺激部34によって発生される味覚と、電気刺激部35によって発生される電気刺激と、気流発生部36によって発生される気流と、温度調節部37によって発生される温度変化と、および、ミスト発生部38によって発生されるミストとの少なくともいずれかを示す情報である。対象者に与える刺激の種類は、1種類でもよいし、複数種類を組み合わせてもよい。本実施形態では、1種類の刺激を与えるものとして説明する。
刺激の種類が音声である場合、ブザー音、人間の声、または、音楽などのような音声の種類を変えて対象者に刺激を与えて、覚醒度の変化と覚醒時間と効果とを示す情報を記憶する。
刺激の種類が嗅覚である場合、花の匂いと焦げた匂いのなどのような匂いの種類を変えて対象者に刺激を与えて、覚醒度の変化と覚醒時間と効果とを示す情報を記憶する。
刺激の種類が味覚である場合、塩味、酸味および苦味のなどのような味覚の種類を変えて対象者に刺激を与えて、覚醒度の変化と覚醒時間と効果とを示す情報を記憶する。
刺激の強さは、各刺激発生部によって与える刺激の強さである。本実施形態では、刺激の強さは、強と弱との2段階とする。
覚醒度の変化を示す情報は、刺激を与える前と刺激を与えた後との覚醒度の変化を示す情報である。本実施形態では、刺激を与える前の覚醒度と、刺激を与えた後の覚醒度とを記憶する。
覚醒時間を示す情報は、刺激を与えてから覚醒するまでに要した時間を示す情報である。
覚醒の効果を示す情報は、覚醒度が大きく増加した場合、例えば、覚醒度が「2」以上増加した場合を「大」、覚醒度が大きく増加しなかった場合、例えば、覚醒度が「1」増加、または、増加しなかった場合を「小」とする。または、効果は、覚醒度が所定値未満から所定値以上になった場合、例えば、覚醒度が「3」以下から「4」以上に変化した場合を「大」、その他の場合を「小」としてもよい。または、効果は、覚醒時間が所定値より小さい場合、例えば、覚醒時間が1秒以下である場合を「大」、覚醒時間が1秒より大きい場合を「小」としてもよい。
生体情報の変化を示す情報を記憶する場合、刺激を与える前と刺激を与えた後との生体情報の変化を示す情報を記憶する。例えば、刺激を与える前の各生体情報と、刺激を与えた後の各生体情報とを記憶する。
ここで、図8、図9を用いて、傾向情報について説明する。図8は、第一実施形態に係る傾向情報の一例を示す図である。図9は、第一実施形態に係る傾向情報の他の例を示す図である。図8に示すように、対象者Aについては、例えば、与えた刺激の種類が「音」で強さが「強」のとき、覚醒度の変化は「3→5」であり、覚醒時間は0.8秒であり、効果は「大」であると記憶される。例えば、与えた刺激の種類が「音」で強さが「弱」のとき、覚醒度の変化は「3→3」であって覚醒せず、効果は「小」であると記憶される。例えば、与えた刺激の種類が「振動」で強さが「強」のとき、覚醒度の変化は「3→5」であり、覚醒時間は1.0秒であり、効果は「大」であると記憶される。このように、刺激の種類と強さとを変えて対象者Aに刺激を与えた際の、覚醒度の変化と、覚醒時間と、効果とを示す傾向情報が記憶される。
図9に示すように、対象者Bについては、例えば、与えた刺激の種類が「音」で強さが「強」のとき、覚醒度の変化は「3→4」であり、覚醒時間は1.3秒であり、効果は「小」であると記憶される。例えば、与えた刺激の種類が「音」で強さが「弱」のとき、覚醒度の変化は「3→3」であって覚醒せず、効果は「小」であると記憶される。例えば、与えた刺激の種類が「振動」で強さが「強」のとき、覚醒度の変化は「3→5」であり、覚醒時間は0.8秒であり、効果は「大」であると記憶される。このように、刺激の種類と強さとを変えて対象者Bに刺激を与えた際の、覚醒度の変化と、覚醒時間と、効果とを示す傾向情報が記憶される。
刺激判定部58は、対象者が居眠り状態であると判定される場合、言い換えると、対象者の居眠度が所定値以上であると判定される場合、傾向情報記憶部57に記憶した対象者の傾向情報に基づいて、刺激発生部30によって対象者に与える刺激の種類と刺激の強さとを判定する。刺激判定部58が判定する刺激の種類は、1種類でもよいし、複数種類を組み合わせてもよい。本実施形態では、1種類の刺激を判定するものとして説明する。例えば、刺激判定部58は、対象者の傾向情報に基づいて、覚醒度が「2」以上増加した刺激の種類と刺激の強さとの組み合わせが適切であると判定する。または、例えば、刺激判定部58は、対象者の傾向情報に基づいて、覚醒時間が1秒以下である刺激の種類と刺激の強さとの組み合わせが適切であると判定する。本実施形態では、刺激判定部58は、対象者の傾向情報に基づいて、効果が「大」である刺激の種類と刺激の強さとの組み合わせが適切であると判定する。
刺激判定部58は、対象者が居眠り状態であると判定される場合、対象者の傾向情報に基づいて、状況判定部52が判定した対象者の状況に応じて、刺激発生部30によって対象者に与える刺激の種類と刺激の強さとを判定してもよい。
より詳しくは、刺激判定部58は、対象者の傾向情報に基づいて、状況判定部52が判定した対象者の状況に応じて、効果が「大」であって、即座に覚醒させる、言い換えると、覚醒時間がより短い組み合わせが適切であると判定してもよい。例えば、対象者の状況が運転中である場合のように、早く覚醒させることが好ましい状況である場合、効果が「大」で、覚醒時間がより短い組み合わせが適切であると判定する。さらに、例えば、対象者の状況が運転中であって、詳しい状況が、高速道路を走行している場合、交通量が多い場合、周囲の他の車両が存在する場合に限って、覚醒時間がより短い刺激の種類と強さとの組み合わせが適切であると判定してもよい。
また、刺激判定部58は、対象者の傾向情報に基づいて、状況判定部52が判定した対象者の状況に応じて、効果が「大」であって、生体情報の変化が緩やかな組み合わせが適切であると判定してもよい。例えば、対象者の状況がデスクワーク中、会議中、または、講義中である場合のように、対象者を驚かさないように徐々に覚醒させることが好ましい状況である場合、効果が「大」で、生体情報の変化が緩やかな組み合わせが適切であると判定してもよい。
また、刺激判定部58は、対象者の傾向情報に基づいて、状況判定部52が判定した対象者の状況に応じて、効果が「大」であって、周囲へ及ぼす影響が小さい刺激の種類が適切であると判定してもよい。例えば、周囲が静かである場合、対象者の周囲の第三者に及ぼす影響が小さい、振動、味覚、電気刺激のいずれかで、効果がより高いものが適切であると判定してもよい。
また、刺激判定部58は、早く覚醒させるか、徐々に覚醒させるかを、あらかじめ対象者が設定した設定情報に基づいて判定してもよい。例えば、設定情報は、対象者ごとに、各状況において、早く覚醒させるか、徐々に覚醒させるかを設定した情報である。
図8に示す対象者Aの傾向情報に基づいた刺激判定部58の判定について一例を説明する。刺激判定部58は、例えば、状況判定部52が判定した対象者Aの状況が運転中である場合、効果が「大」であって、覚醒時間がより短い、刺激の種類は「音」、刺激の強さは「強」の組み合わせが適していると判定する。または、刺激判定部58は、例えば、状況判定部52が判定した対象者Aの状況がデスクワーク中で周囲が静かである場合、周囲へ及ぼす影響が小さい、刺激の種類は「振動」、刺激の強さは「強」の組み合わせが適していると判定する。このように、刺激判定部58は、対象者Aについて、状況に応じて、異なる刺激の種類と強さとの組み合わせが適していると判定する。
図9に示す対象者Bの傾向情報に基づいた刺激判定部58の判定について一例を説明する。刺激判定部58は、例えば、状況判定部52が判定した対象者Bの状況が運転中である場合、効果が「大」であって、覚醒時間がより短い、刺激の種類は「匂い(焦げた匂い)」、刺激の強さは「強」の組み合わせが適していると判定する。または、刺激判定部58は、例えば、状況判定部52が判定した対象者Bの状況がデスクワーク中で周囲が静かである場合、周囲へ及ぼす影響が小さい、刺激の種類は「振動」、刺激の強さは「強」の組み合わせが適していると判定する。このように、刺激判定部58は、対象者Bについて、状況に応じて、異なる刺激の種類と強さとの組み合わせが適していると判定する。
このように、刺激判定部58は、対象者Aと対象者Bとでは、同じ状況であっても、異なる刺激の種類と強さとの組み合わせが適していると判定する。
図10を用いて、刺激制御部59について説明する。図10は、第一実施形態に係る刺激制御部の構成例を示すブロック図である。刺激制御部59は、刺激判定部58の判定結果に基づいて、刺激発生部30の動作を制御する。より詳しくは、刺激制御部59は、対象者ごとの傾向情報に基づいて、対象者の状況に応じて、刺激発生部30を適切に動作させる。刺激制御部59は、刺激発生部30の動作の強さを制御する。刺激制御部59は、振動部31、スピーカ32、嗅覚刺激部33、味覚刺激部34、電気刺激部35、気流発生部36、温度調節部37、および、ミスト発生部38の少なくともいずれかを制御する。刺激制御部59は、複数を組み合わせて制御してもよい。
より詳しくは、刺激制御部59は、振動制御部591と、音声出力制御部592と、嗅覚制御部593と、味覚制御部594と、電気刺激制御部595と、気流制御部596と、温度制御部597と、ミスト制御部598とを有する。
振動制御部591は、振動部31の振動の動作と強さとを制御する制御信号を出力する。音声出力制御部592は、スピーカ32から音声を出力する音声の種類と強さとを制御する制御信号を出力する。嗅覚制御部593は、嗅覚刺激部33で発生させる匂いの種類と強さとを制御する制御信号を出力する。味覚制御部594は、味覚刺激部34で生させる味覚の種類と強さとを制御する制御信号を出力する。電気刺激制御部595は、電気刺激部35で発生させる電気刺激の強さを制御する制御信号を出力する。気流制御部596は、気流発生部36で発生させる気流の強さを制御する制御信号を出力する。温度制御部597は、温度調節部37で調節する温度変化の強さを制御する制御信号を出力する。ミスト制御部598は、ミスト発生部38で発生させるミストの強さを制御する制御信号を出力する。
次に、図11を用いて、居眠防止制御装置50における居眠防止処理の流れについて説明する。図11は、第一実施形態に係る居眠防止制御装置における処理の流れを示すフローチャートである。ユーザは、例えば、車両の運転、デスクワーク、会議、講義の受講、または、乗物での移動のように、居眠りを防止したいとき、図1に示すように、居眠防止システム1の機能を有するネックバンドNを首部に装着して、居眠防止システム1を起動する。居眠防止システム1の起動中、状況検出部10は対象者の状況を検出する。居眠防止システム1の起動中、生体情報検出部20は対象者の生体情報を検出する。
居眠防止制御装置50は、対象者の生体情報を取得する(ステップS11)。より詳しくは、居眠防止制御装置50は、生体情報取得部53によって、生体情報検出部20が検出した生体情報を取得する。居眠防止制御装置50は、ステップS12に進む。
居眠防止制御装置50は、対象者の居眠度を判定する(ステップS12)。例えば、居眠防止制御装置50は、居眠度判定部54によって、生体情報取得部53が取得した対象者の生体情報に基づいて、居眠度を判定する。居眠防止制御装置50は、ステップS13に進む。
居眠防止制御装置50は、対象者が居眠り状態であるかを判定する(ステップS13)。より詳しくは、居眠防止制御装置50は、居眠度が「3」以上である場合、対象者が居眠り状態であると判定して(ステップS13でYes)、ステップS14に進む。居眠防止制御装置50は、居眠度が「3」以上ではない場合、対象者が居眠り状態ではないと判定して(ステップS13でNo)、ステップS11の処理を再度実行する。
居眠防止制御装置50は、対象者の状況情報を取得する(ステップS14)。より詳しくは、居眠防止制御装置50は、状況情報取得部51によって、状況検出部10が検出した状況情報を取得する。居眠防止制御装置50は、ステップS15に進む。
居眠防止制御装置50は、対象者の状況を判定する(ステップS15)。より詳しくは、居眠防止制御装置50は、状況判定部52によって、状況情報取得部51が取得した状況情報に基づいて、対象者の状況を判定する。居眠防止制御装置50は、ステップS16に進む。
居眠防止制御装置50は、刺激の種類と強さとを判定する(ステップS16)。より詳しくは、居眠防止制御装置50は、刺激判定部58によって、状況判定部52が判定した対象者の状況と、傾向情報記憶部57に記憶した対象者の傾向情報とに基づいて、対象者に与える刺激の種類と強さとを判定する。居眠防止制御装置50は、ステップS17に進む。
居眠防止制御装置50は、刺激制御部59によって、刺激判定部58の判定結果に基づいて、刺激発生部30を制御する(ステップS17)。
このようにして、傾向情報記憶部57に記憶した対象者の傾向情報に基づいて、対象者の状況に応じて、対象者に与える刺激の種類と刺激の強さとが適切に判定される。これにより、対象者の傾向情報に基づいて、対象者の状況に応じて、対象者に適切な種類と強さの刺激が与えらえれて、対象者を適切に覚醒させる。対象者は、首部に装着したネックバンドNを介して、適切な種類と強さの刺激が与えられて覚醒する。
上述したように、本実施形態は、傾向情報記憶部57に記憶した対象者の傾向情報に基づいて、対象者の状況に応じて、対象者ごとに、与える刺激の種類と刺激の強さとを適切に判定することができる。本実施形態によれば、対象者の傾向情報に基づいて、対象者の状況に応じて、対象者ごとに適切な種類と強さの刺激を与えて、対象者を適切に覚醒させることができる。
本実施形態によれば、同じ状況であっても、対象者ごとに適切な刺激を与えることができる。これにより、本実施形態は、不用意に、対象者に強い刺激を与えて、対象者を驚かせることを抑制することができる。また、対象者に適切な刺激を与えて、より確実に覚醒させることができる。
本実施形態は、対象者の状況によって、例えば、即座に覚醒させることが好ましい場合と、徐々に覚醒させることが好ましい場合とで、与える刺激の種類と強さとを変えることができる。本実施形態は、例えば、対象者の状況が運転中である場合のように、早く覚醒させることが好ましい状況である場合、傾向情報から、覚醒時間がより短い組み合わせが適切であると判定することができる。また、本実施形態は、例えば、対象者の状況がデスクワーク中、会議中、または、講義中である場合のように、対象者を驚かさないように徐々に覚醒させることが好ましい状況である場合、傾向情報から、生体情報の変化が緩やかな組み合わせが適切であると判定することができる。また、本実施形態は、例えば、周囲が静かである場合、対象者の周囲の第三者に及ぼす影響が小さい刺激を与えることができる。本実施形態によれば、対象者を覚醒させる際に、周囲に影響が及ぶことを抑制することができる。
このようにして、本実施形態は、対象者ごとに適切な刺激を与えて、適切に覚醒させることができる。本実施形態は、例えば、車両の運転中、対象者の居眠によって、対象者および周囲の第三者が安全を損なう状況になることを抑制することができる。
[第二実施形態]
図12、図13を参照しながら、本実施形態に係る居眠防止システム1について説明する。図12は、第二実施形態に係る傾向情報の一例を示す図である。図13は、第二実施形態に係る傾向情報の他の例を示す図である。居眠防止システム1は、基本的な構成は第一実施形態の居眠防止システム1と同様である。以下の説明においては、居眠防止システム1と同様の構成要素には、同一の符号または対応する符号を付し、その詳細な説明は省略する。居眠防止システム1は、傾向情報記憶部57と刺激判定部58とが第一実施形態と異なる。
傾向情報記憶部57は、対象者ごとに、対象者の各状況において、刺激の種類と強さとを変えて対象者に刺激を与えた際に取得した、覚醒度の変化と、覚醒時間と、効果とを示す情報を記憶する。
図12に示すように、対象者Aについては、例えば、対象者の状況が運転中である場合、与えた刺激の種類が「音」で強さが「強」のとき、覚醒度の変化は「3→5」であり、覚醒時間は0.8秒であり、効果は「大」であると記憶される。例えば、状況が「運転」である場合、与えた刺激の種類が「音」で強さが「弱」のとき、覚醒度の変化は「3→3」で覚醒せず、効果は「小」であると記憶される。例えば、状況が「運転」である場合、与えた刺激の種類が「振動」で強さが「強」のとき、覚醒度の変化は「3→4」であり、覚醒時間は1.8秒であり、効果は「小」であると記憶される。同様に、各状況において、刺激の種類と強さとを変えて対象者Aに刺激を与えた際の、覚醒度の変化と、覚醒時間と、効果とを示す情報が記憶される。
図13に示すように、対象者Bについては、例えば、対象者の状況が運転中である場合、与えた刺激の種類が「音」で強さが「強」のとき、覚醒度の変化は「3→4」であり、覚醒時間は1.8秒であり、効果は「小」であると記憶される。例えば、状況が「運転」である場合、与えた刺激の種類が「温度」で強さが「弱」のとき、覚醒度の変化は「3→5」であり、覚醒時間は0.9秒であり、効果は「大」であると記憶される。例えば、状況が「デスクワーク(周囲は賑やか)」である場合、与えた刺激の種類が「音」で強さが「強」のとき、覚醒度の変化は「3→3」で覚醒せず、効果は「小」であると記憶される。同様に、各状況において、刺激の種類と強さとを変えて対象者Bに刺激を与えた際の、覚醒度の変化と、覚醒時間と、効果とを示す情報が記憶される。
刺激判定部58は、対象者が居眠り状態であると判定される場合、対象者の傾向情報のうち、状況判定部52が判定した対象者の状況と同じ状況のデータを参照して、刺激発生部30によって対象者に与える刺激の種類と刺激の強さとを判定する。
図12に示す対象者Aの傾向情報に基づいた刺激判定部58の判定について一例を説明する。刺激判定部58は、例えば、状況判定部52が判定した対象者Aの状況が運転中である場合、状況が「運転」であるデータを参照して、刺激の種類は「音」、刺激の強さは「強」の組み合わせが適していると判定する。刺激判定部58は、例えば、状況判定部52が判定した対象者Aの状況がデスクワーク中で周囲が賑やかである場合、状況が「デスクワーク(周囲が賑やか)」であるデータを参照して、刺激の種類は「振動」、刺激の強さは「強」の組み合わせが適していると判定する。
図13に示す対象者Bの傾向情報に基づいた刺激判定部58の判定について一例を説明する。刺激判定部58は、例えば、状況判定部52が判定した対象者Bの状況が運転中である場合、状況が「運転」であるデータを参照して、刺激の種類は「温度」、刺激の強さは「弱」の組み合わせが適していると判定する。刺激判定部58は、例えば、状況判定部52が判定した対象者Bの状況がデスクワーク中で周囲が賑やかである場合、状況が「デスクワーク(周囲が賑やか)」であるデータを参照して、刺激の種類は「気流」、刺激の強さは「強」の組み合わせが適していると判定する。
上述したように、本実施形態は、傾向情報記憶部57に記憶した、対象者の状況ごとの対象者の傾向情報に基づいて、対象者の状況に応じて、対象者ごとに、与える刺激の種類と刺激の強さとを適切に判定することができる。本実施形態によれば、対象者の傾向情報と、対象者の状況に応じて、対象者ごとに適切な種類と強さの刺激を与えて、対象者をより適切に覚醒させることができる。
さて、これまで本発明に係る居眠防止制御装置50について説明したが、上述した実施形態以外にも種々の異なる形態にて実施されてよいものである。
図示した居眠防止制御装置50の各構成要素は、機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていなくてもよい。すなわち、各装置の具体的形態は、図示のものに限られず、各装置の処理負担や使用状況などに応じて、その全部または一部を任意の単位で機能的または物理的に分散または統合してもよい。
居眠防止制御装置50の構成は、例えば、ソフトウェアとして、メモリにロードされたプログラムなどによって実現される。上記実施形態では、これらのハードウェアまたはソフトウェアの連携によって実現される機能ブロックとして説明した。すなわち、これらの機能ブロックについては、ハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、または、それらの組み合わせによって種々の形で実現できる。
上記した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものを含む。さらに、上記した構成は適宜組み合わせが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において構成の種々の省略、置換または変更が可能である。
上記で説明した生体情報は一例であり、これに限定されず、例えば、対象者の脳波を示す脳波情報、呼吸数を示す呼吸数情報のように、対象者の居眠度および覚醒度に応じて変化する対象者の身体に関する情報であればよい。
傾向情報記憶部57は、刺激制御部59によって対象者に刺激を与えた際に、毎回覚醒度の変化と覚醒時間と効果とを取得して、傾向情報に反映させるようにしてもよい。過去の傾向情報を最新の傾向情報で置き換えてもよいし、過去の傾向情報と最新の傾向情報とに基づき、平均値や中央値等の代表値を算出し、置き換えてもよい。これにより、傾向情報記憶部57に記憶した傾向情報を最新の状態にすることができる。対象者の最新の傾向情報と、対象者の状況に応じて、対象者に適切な種類と強さの刺激を判定することができる。
傾向情報記憶部57は、対象者の各状況と刺激を与える前の対象者の居眠度ごとに、刺激の種類と強さとを変えて対象者に刺激を与えて、覚醒度の変化と覚醒時間と効果とを示す情報を記憶してもよい。これにより、刺激判定部58は、対象者の各状況と対象者の居眠度に応じて、より適切な刺激を判定することができる。