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Description
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
繊維状セルロースにおける第1解離酸量をA1とし、繊維状セルロースにおける総解離酸量をA2とした場合、A1/A2の値が0.51以上であり、
23℃、相対湿度50%の条件下に24時間静置した後の含水率が10.0%以下である、シート。
[2] A1/A2の値が0.60以上である、[1]に記載のシート。
[3] 繊維幅が1000nm以下であり、亜リン酸基又は亜リン酸基に由来する置換基を有する繊維状セルロースを含むシートであって、
23℃、相対湿度50%の条件下に24時間静置した後の含水率が10.0%以下である、シート。
[4] ヘーズが20%以下である、[1]~[3]のいずれかに記載のシート。
[5] 30℃から100℃の昇温測定における熱収縮率が1.1%以下である、[1]~[4]のいずれかに記載のシート。
[6] 繊維状セルロースの含有量は、シートの全質量に対して50質量%以上である、[1]~[5]のいずれかに記載のシート。
本発明は、繊維幅が1000nm以下であり、リンオキソ酸基又はリンオキソ酸基に由来する置換基を有する繊維状セルロースを含むシートに関する。本発明の第1の態様では、繊維状セルロースにおける第1解離酸量をA1とし、繊維状セルロースにおける総解離酸量をA2とした場合、A1/A2の値が0.51以上であり、23℃、相対湿度50%の条件下に24時間静置した後の含水率は10.0%以下である。本発明の第2の態様では、繊維状セルロースは亜リン酸基又は亜リン酸基に由来する置換基を有し、23℃、相対湿度50%の条件下に24時間静置した後の含水率は10.0%以下である。
なお、本明細書において、繊維幅が1000nm以下の繊維状セルロースを微細繊維状セルロースもしくはCNFと呼ぶこともある。また、本明細書においては、微細繊維状セルロース含有シートを単にシートと呼ぶこともある。
含水率(%)=(W-D)/W×100
なお、上記含水率は、微細繊維状セルロースにおける第1解離酸量(A1)と総解離酸量(A2)を適切にコントロールしたり、微細繊維状セルロースに亜リン酸基又は亜リン酸基に由来する置換基を導入することで達成される。
熱収縮率(%)=(L0-L1)/L0×100
上記測定方法で算出される熱収縮率(すなわち、30℃から100℃の昇温測定における熱収縮率)は、1.1%以下であることが好ましく、1.0%以下であることがより好ましく、0.9%以下であることがさらに好ましく、0.8%以下であることが一層好ましく、0.7%以下であることが特に好ましい。
なお、C2-C0の値は、高湿条件から通常湿度条件(相対湿度50%)に戻した際のシートの耐カール性を評価する指標である。C2-C0の値が上記範囲内であることは、湿度変化に伴うカールの増大が抑制されていることを意味する。これは、繊維状セルロースが亜リン酸基又は亜リン酸基に由来する置換基を有することで高湿条件における平衡水分率を低い状態とすることができ、これにより、再度通常湿度条件(相対湿度50%)に戻った場合であっても、セルロース繊維間から水分子が抜けることによるシートの変形を抑制できることに起因すると考えられる。
本発明のシートは、繊維幅が1000nm以下であり、リンオキソ酸基又はリンオキソ酸基に由来する置換基を有する繊維状セルロースを含む。
(1)観察画像内の任意箇所に一本の直線Xを引き、該直線Xに対し、20本以上の繊維が交差する。
(2)同じ画像内で該直線と垂直に交差する直線Yを引き、該直線Yに対し、20本以上の繊維が交差する。
上記条件を満足する観察画像に対し、直線X、直線Yと交差する繊維の幅を目視で読み取る。このようにして、少なくとも互いに重なっていない表面部分の観察画像を3組以上得る。次いで、各画像に対して、直線X、直線Yと交差する繊維の幅を読み取る。これにより、少なくとも20本×2×3=120本の繊維幅を読み取る。そして、読み取った繊維幅の平均値を、繊維状セルロースの平均繊維幅とする。
まず、繊維状セルロースを含有するスラリーを強酸性イオン交換樹脂で処理する。なお、必要に応じて、強酸性イオン交換樹脂による処理の前に、後述の解繊処理工程と同様の解繊処理を測定対象に対して実施してもよい。
次いで、水酸化ナトリウム水溶液を加えながらpHの変化を観察し、図2の上側部に示すような滴定曲線を得る。図2の上側部に示した滴定曲線では、アルカリを加えた量に対して測定したpHをプロットしており、図2の下側部に示した滴定曲線では、アルカリを加えた量に対するpHの増分(微分値)(1/mmol)をプロットしている。この中和滴定では、アルカリを加えた量に対して測定したpHをプロットした曲線において、増分(pHのアルカリ滴下量に対する微分値)が極大となる点が二つ確認される。これらのうち、アルカリを加えはじめて先に得られる増分の極大点を第1終点と呼び、次に得られる増分の極大点を第2終点と呼ぶ。滴定開始から第1終点までに必要としたアルカリ量が、滴定に使用したスラリー中に含まれる繊維状セルロースの第1解離酸量と等しくなり、第1終点から第2終点までに必要としたアルカリ量が滴定に使用したスラリー中に含まれる繊維状セルロースの第2解離酸量と等しくなり、滴定開始から第2終点までに必要としたアルカリ量が滴定に使用したスラリー中の総解離酸量と等しくなる。そして、滴定開始から第1終点までに必要としたアルカリ量を滴定対象スラリー中の固形分(g)で除して得られる値が、リンオキソ酸基導入量(mmol/g)となる。なお、単にリンオキソ酸基導入量(またはリンオキソ酸基量)と言った場合は、第1解離酸量のことを表す。
なお、図2において、滴定開始から第1終点までの領域を第1領域と呼び、第1終点から第2終点までの領域を第2領域と呼ぶ。例えば、リンオキソ酸基がリン酸基の場合であって、このリン酸基が縮合を起こす場合、見かけ上、リンオキソ酸基における弱酸性基量(本明細書では第2解離酸量ともいう)が低下し、第1領域に必要としたアルカリ量と比較して第2領域に必要としたアルカリ量が少なくなる。一方、リンオキソ酸基における強酸性基量(本明細書では第1解離酸量ともいう)は、縮合の有無に関わらずリン原子の量と一致する。また、リンオキソ酸基が亜リン酸基の場合は、リンオキソ酸基に弱酸性基が存在しなくなるため、第2領域に必要としたアルカリ量が少なくなるか、第2領域に必要としたアルカリ量はゼロとなる場合もある。この場合、滴定曲線において、pHの増分が極大となる点は一つとなる。
すなわち、下記計算式によって算出する。
リンオキソ酸基量(C型)=リンオキソ酸基量(酸型)/{1+(W-1)×A/1000}
A[mmol/g]:繊維状セルロースが有するリンオキソ酸基由来の総アニオン量(リンオキソ酸基の総解離酸量)
W:陽イオンCの1価あたりの式量(たとえば、Naは23、Alは9)
<繊維原料>
微細繊維状セルロースは、セルロースを含む繊維原料(セルロース原料)から製造される。セルロースを含む繊維原料としては、特に限定されないが、入手しやすく安価である点からパルプを用いることが好ましい。パルプとしては、たとえば木材パルプ、非木材パルプ、および脱墨パルプが挙げられる。木材パルプとしては、特に限定されないが、たとえば広葉樹クラフトパルプ(LBKP)、針葉樹クラフトパルプ(NBKP)、サルファイトパルプ(SP)、溶解パルプ(DP)、ソーダパルプ(AP)、未晒しクラフトパルプ(UKP)および酸素漂白クラフトパルプ(OKP)等の化学パルプ、セミケミカルパルプ(SCP)およびケミグラウンドウッドパルプ(CGP)等の半化学パルプ、砕木パルプ(GP)およびサーモメカニカルパルプ(TMP、BCTMP)等の機械パルプ等が挙げられる。非木材パルプとしては、特に限定されないが、たとえばコットンリンターおよびコットンリント等の綿系パルプ、麻、麦わらおよびバガス等の非木材系パルプが挙げられる。脱墨パルプとしては、特に限定されないが、たとえば古紙を原料とする脱墨パルプが挙げられる。本実施形態のパルプは上記の1種を単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。上記パルプの中でも、入手のしやすさという観点からは、たとえば木材パルプおよび脱墨パルプが好ましい。また、木材パルプの中でも、セルロース比率が大きく解繊処理時の微細繊維状セルロースの収率が高い観点や、パルプ中のセルロースの分解が小さく軸比の大きい長繊維の微細繊維状セルロースが得られる観点から、たとえば化学パルプがより好ましく、クラフトパルプ、サルファイトパルプがさらに好ましい。
微細繊維状セルロースの製造工程は、リンオキソ酸基導入工程を含む。リンオキソ酸基導入工程は、セルロースを含む繊維原料が有する水酸基と反応することで、リンオキソ酸基を導入できる化合物から選択される少なくとも1種の化合物(以下、「化合物A」ともいう)を、セルロースを含む繊維原料に作用させる工程である。この工程により、リンオキソ酸基導入繊維が得られることとなる。
本実施形態における微細繊維状セルロースの製造方法においては、必要に応じてリンオキソ酸基導入繊維に対して洗浄工程を行うことができる。洗浄工程は、たとえば水や有機溶媒によりリンオキソ酸基導入繊維を洗浄することにより行われる。また、洗浄工程は後述する各工程の後に行われてもよく、各洗浄工程において実施される洗浄回数は、特に限定されない。
微細繊維状セルロースを製造する場合、リンオキソ酸基導入工程と、後述する解繊処理工程との間に、リンオキソ酸基導入繊維に対してアルカリ処理を行ってもよい。アルカリ処理の方法としては、特に限定されないが、例えばアルカリ溶液中に、リンオキソ酸基導入繊維を浸漬する方法が挙げられる。
微細繊維状セルロースを製造する場合、リンオキソ酸基を導入する工程と、後述する解繊処理工程の間に、リンオキソ酸基導入繊維に対して酸処理を行ってもよい。例えば、リンオキソ酸基導入工程、酸処理、アルカリ処理及び解繊処理をこの順で行ってもよい。
解繊処理工程は、リンオキソ酸化セルロース原料(リンオキソ酸基導入繊維)に微細化処理を施す工程である。解繊処理工程においては、たとえば解繊処理装置を用いることができる。解繊処理装置は、特に限定されないが、たとえば高速解繊機、グラインダー(石臼型粉砕機)、高圧ホモジナイザーや超高圧ホモジナイザー、高圧衝突型粉砕機、ボールミル、ビーズミル、ディスク型リファイナー、コニカルリファイナー、二軸混練機、振動ミル、高速回転下でのホモミキサー、超音波分散機、またはビーターなどを使用することができる。上記解繊処理装置の中でも、粉砕メディアの影響が少なく、コンタミネーションのおそれが少ない高速解繊機、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザーを用いるのがより好ましい。
本発明の微細繊維状セルロース含有シートは、さらに任意成分を含んでいてもよい。任意成分としては、例えば、消泡剤、潤滑剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、安定剤、界面活性剤、防腐剤等を挙げることができる。また、微細繊維状セルロース含有シートは、任意成分として、親水性高分子、親水性低分子、有機イオン等を含有していてもよい。
微細繊維状セルロース含有シートの製造方法は、後述するように、微細繊維状セルロース分散液を基材上に塗工する塗工工程、または当該スラリーを抄紙する抄紙工程を含むことが好ましい。
塗工工程では、たとえば繊維状セルロース分散液(以下、単にスラリーともいう)を基材上に塗工し、これを乾燥して形成されたシートを基材から剥離することによりシートを得ることができる。また、塗工装置と長尺の基材を用いることで、シートを連続的に生産することができる。
抄紙工程は、抄紙機によりスラリーを抄紙することにより行われる。抄紙工程で用いられる抄紙機としては、特に限定されないが、たとえば長網式、円網式、傾斜式等の連続抄紙機、またはこれらを組み合わせた多層抄き合わせ抄紙機等が挙げられる。抄紙工程では、手抄き等の公知の抄紙方法を採用してもよい。
本発明のシートの少なくとも一方の面側には他の層が積層され、積層体が形成されてもよい。他の層としては、例えば、樹脂層や無機層を挙げることができる。また、本発明のシートと他の層の間には、必要に応じて接着層が設けられてもよい。
樹脂層は、天然樹脂や合成樹脂を主成分とする層である。ここで、主成分とは、樹脂層の全質量に対して、50質量%以上含まれている成分を指す。樹脂の含有量は、樹脂層の全質量に対して、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。なお、樹脂の含有量は、100質量%とすることもでき、95質量%以下であってもよい。
密着助剤としては、例えば、イソシアネート基、カルボジイミド基、エポキシ基、オキサゾリン基、アミノ基及びシラノール基から選択される少なくとも1種を含む化合物や、有機ケイ素化合物が挙げられる。中でも、密着助剤はイソシアネート基を含む化合物(イソシアネート化合物)及び有機ケイ素化合物から選択される少なくとも1種であることが好ましい。有機ケイ素化合物としては、例えば、シランカップリング剤縮合物や、シランカップリング剤を挙げることができる。
なお、親水化処理以外の表面処理の方法としては、コロナ処理、プラズマ放電処理、UV照射処理、電子線照射処理、火炎処理等を挙げることができる。
無機層を構成する物質としては、特に限定されないが、例えばアルミニウム、ケイ素、マグネシウム、亜鉛、錫、ニッケル、チタン;これらの酸化物、炭化物、窒化物、酸化炭化物、酸化窒化物、もしくは酸化炭化窒化物;又はこれらの混合物が挙げられる。高い防湿性が安定に維持できるとの観点からは、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸化炭化ケイ素、酸化窒化ケイ素、酸化炭化窒化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化炭化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、又はこれらの混合物が好ましい。
本発明のシートの用途は特に限定されない。例えば、シートは、光学フィルム、各種のディスプレイ装置、各種の太陽電池等の光透過性基板の用途に適している。また、電子機器の基板、家電の部材、各種の乗り物や建物の窓材、内装材、外装材、包装用資材等の用途にも適している。さらに、糸、フィルタ、織物、緩衝材、スポンジ、研磨材などの他、シートそのものを補強材として使う用途にも適している。
[微細繊維状セルロース分散液Aの製造]
原料パルプとして、王子製紙製の針葉樹クラフトパルプ(固形分93質量%、坪量245g/m2シート状、離解してJIS P 8121に準じて測定されるカナダ標準濾水度(CSF)が700ml)を使用した。
得られた亜リン酸化パルプにイオン交換水を添加し、固形分濃度が2質量%のスラリーを調製した。このスラリーを湿式微粒化装置(スギノマシン社製、スターバースト)で200MPaの圧力にて2回処理し、微細繊維状セルロース分散液Aを得た。
[微細繊維状セルロース分散液Bの製造]
亜リン酸(ホスホン酸)の代わりにリン酸二水素アンモニウム33質量部を用いた以外は、製造例1と同様に操作を行い、リン酸化パルプ及び微細繊維状セルロース分散液Bを得た。
[微細繊維状セルロース分散液Cの製造]
針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)にイオン交換水を加え、濃度が2質量%となるように希釈した後、リファイナー処理に供してCSFが50mL以下になるまで叩解(プレ解繊)した。プレ解繊後のパルプ分散液にイオン交換水をさらに加え、濃度が0.5質量%になるように希釈した後、スギノマシン社製高圧ホモジナイザー「スターバースト」により処理圧力200MPaで2回処理を行い、微細繊維状セルロース含有分散液Cを得た。この分散液Cに含まれる微細繊維状セルロースの数平均繊維幅は1000nm以下であった。
イオン交換水に、ポリエチレンオキサイド(住友精化社製、PEO-18P)を1質量%になるように加え、1時間撹拌して溶解した。上記の手順でポリエチレンオキサイド水溶液を得た。
微細繊維状セルロース分散液A、および上記ポリエチレンオキサイド水溶液をそれぞれ固形分濃度が0.5質量%となるようにイオン交換水で希釈した。次いで、希釈後の微細繊維状セルロース分散液100質量部に対して、希釈後のポリエチレンオキサイド水溶液を20質量部添加し、塗工液を得た。
製造例1で得た微細繊維状セルロース分散液Aと、製造例2で得た微細繊維状セルロース分散液Bとを、微細繊維状セルロースの質量が7:3となるよう混合し、実施例2の微細繊維状セルロース分散液とした。この微細繊維状セルロース分散液について、後述する方法によりセルロースに導入された第1解離酸量、総解離酸量を測定した。この微細繊維状セルロース分散液を用いた以外は、実施例1と同様にしてシートを得た。
製造例1で得た微細繊維状セルロース分散液Aと、製造例2で得た微細繊維状セルロース分散液Bとを、微細繊維状セルロースの質量が3:7となるよう混合し、実施例3の微細繊維状セルロース分散液とした。この微細繊維状セルロース分散液について、後述する方法によりセルロースに導入された第1解離酸量、総解離酸量を測定した。この微細繊維状セルロース分散液を用いた以外は、実施例1と同様にしてシートを得た。
製造例2で得た微細繊維状セルロース分散液Bについて、後述する方法によりセルロースに導入された第1解離酸量、総解離酸量を測定した。この微細繊維状セルロース分散液を用いた以外は、実施例1と同様にしてシートを得た。
乾燥時間を24時間とした以外は、比較例1と同様にしてシートを得た。
製造例3で得た微細繊維状セルロース分散液C用いた以外は、実施例1と同様にしてシートを得た。
[第1解離酸量と総解離酸量の測定(リンオキソ酸基)]
第1解離酸量および総解離酸量は、中和滴定法により測定した。具体的には、微細繊維状セルロースを含む微細繊維状セルロース分散液をイオン交換水で含有量が0.2質量%となるように希釈して作製した繊維状セルロース含有スラリーに対し、イオン交換樹脂による処理を行った後、アルカリを用いた滴定を行うことにより測定した。
イオン交換樹脂による処理は、上記繊維状セルロース含有スラリーに体積で1/10の強酸性イオン交換樹脂(アンバージェット1024;オルガノ株式会社、コンディショング済)を加え、1時間振とう処理を行った後、目開き90μmのメッシュ上に注いで樹脂とスラリーを分離することにより行った。
また、アルカリを用いた滴定は、イオン交換樹脂による処理後の繊維状セルロース含有スラリーに、0.1Nの水酸化ナトリウム水溶液を5秒に10μLずつ加えながら、スラリーが示すpHの値の変化を計測することにより行った。なお、滴定開始の15分前から窒素ガスをスラリーに吹き込みながら滴定を行った。この中和滴定では、アルカリを加えた量に対して測定したpHをプロットした曲線において、増分(pHのアルカリ滴下量に対する微分値)が極大となる点が二つ観測される。これらのうち、アルカリを加えはじめて先に得られる増分の極大点を第1終点と呼び、次に得られる増分の極大点を第2終点と呼ぶ。滴定開始から第1終点までに必要としたアルカリ量が、滴定に使用したスラリー中の第1解離酸量と等しくなる。また、滴定開始から第2終点までに必要としたアルカリ量が滴定に使用したスラリー中の総解離酸量と等しくなる。なお、滴定開始から第1終点までに必要としたアルカリ量(mmol)を、滴定対象スラリー中の固形分(g)で除した値を第1解離酸量(mmol/g)とした。また、滴定開始から第2終点までに必要としたアルカリ量(mmol)を、滴定対象スラリー中の固形分(g)で除した値を総解離酸量(mmol/g)とした。
実施例及び比較例で得た微細繊維状セルロース含有シートを5cm角の試験片となるように切り出した。試験片を温度23℃、相対湿度50%の環境下にて24時間調湿した後、105℃の乾燥機で絶乾状態になるまで乾燥させた。調湿後の試験片の重量をW、乾燥後の試験片の重量をDとし、(W-D)/W×100をシートの含水率(%)とした。
実施例及び比較例で得た微細繊維状セルロース含有シートを幅15mm×長さ75mmの試験片となるように切り出した。図1に示すように、試験片50の一方の短辺を含む端部に幅30mm×長さ30mm×高さ25mmのカール試験用治具55を挾着し(治具から長さ45mmの試験片が露出する)、温度23℃、相対湿度50%の環境下にて、水平な台の上に試験片の幅方向が台に対して垂直になるよう(試験片の長手方向が台に対して平行になるよう)に静置した。そして、カール試験用治具の試験片挟持側の側端から25mmの位置のカール幅を測定し、湿度変化前のカール幅C0とした。具体的には、図1におけるCの距離を測定し、カール幅C0とした。次いで、試験環境の相対湿度を90%に上昇させて1時間保持し、その後に測定したカール幅(図1におけるCの距離)をC1とし、C1-C0を相対湿度90%におけるカール量とした。さらに、その後、カール試験用治具に挟持された試験片を相対湿度50%の環境下に戻し1時間静置した後に測定したカール幅(図1におけるCの距離)をカール幅C2とし、C2-C0を相対湿度50%の環境下に戻した際のカール量とした。
シートをレーザーカッターにより、幅4mm×長さ30mmとなるように切り出した。これを、熱機械分析装置(日立ハイテク社製、TMA7100)にセットして、引張モードでチャック間20mm、荷重10g、窒素雰囲気下で30℃から180℃まで5℃/分で昇温した。昇温前のサンプル長をL0、100℃のときのサンプル長をL1とし、下記式のとおり熱収縮率を算出した。
熱収縮率(%)=(L0-L1)/L0×100
JIS K 7136に準拠し、ヘーズメータ(村上色彩技術研究所社製、HM-150)を用いてシートのヘーズを測定した。
55 カール試験用治具
Claims (4)
- 繊維幅が1000nm以下であり、亜リン酸基又は亜リン酸基に由来する置換基を有する繊維状セルロースを含むシートであって、
前記繊維状セルロースの全質量に対して、亜リン酸基又は亜リン酸基に由来する置換基を有する繊維状セルロースを30質量%以上含み、前記繊維状セルロースの全質量に対する残部がある場合、残部はリン酸基又はリン酸基に由来する置換基を有する繊維状セルロースであり、
23℃、相対湿度50%の条件下に24時間静置した後の含水率が9.0%以下であり、
ポリエチレンオキサイド又はポリビニルアルコールを含む、シート。 - ヘーズが20%以下である、請求項1に記載のシート。
- 30℃から100℃の昇温測定における熱収縮率が1.1%以下である、請求項1又は2に記載のシート。
- 前記繊維状セルロースの含有量は、前記シートの全質量に対して50質量%以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載のシート。
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