JP7125034B2 - 光応答性化合物 - Google Patents
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Description
して知られている。
すなわち、本発明は以下に関する。
式(I-1)のキナゾリル及び式(I-2)のインドリルの任意の炭素は、窒素で置換されていてもよく、式(I-1)のキナゾリル及び式(I-2)のインドリルは部分的に水素化されていてもよく、
環Aは、5員又は6員アリールであり、アリールの炭素は窒素、酸素又は硫黄で任意に置
換されていてもよく、
置換基R1は、アミノ又はヒドロキシであり、
置換基R2は、それぞれ独立して、C1-3のアルキル、C1-3のアルコキシ又はハロゲンであり、2以上の場合は同一又は異なっていてよく、
置換基R3は、それぞれ独立して、C1-3のアルキル、C1-3のアルコキシ又はハロゲンであり、2以上の場合は同一又は異なっていてよく、
置換基R4は、反応性官能基又は該反応性官能基を有する基であり、
mは、0~3の整数を示し、
nは、0~4の整数を示す。]
物又はその塩。
物又はその塩。
ル、シクロペンタジエニル、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、フラザニル又はチアジアゾリルである、[1]~[3]のいずれかに記載の化合物又はその塩。
~[4]のいずれかに記載の化合物又はその塩。
[6] 前記反応性官能基は、カルボニル、アルキルカルボニル、エステル、アルキルエステル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、アミド、アルキルアミド、アジ、チオール、イソチオシアネート、スルホニル、アセトアミド、イミド、ハロゲン、オキソ、アルキニル又はアルケニルである、[1]~[5]のいずれかに記載の化合物又はその塩。
[7] 前記反応性官能基を有する基は、反応性官能基を有するC1-20のアルキルであり
、アルキルは反応性官能基以外の置換基を有してもよく、アルキルの炭素は窒素、酸素又は硫黄で任意に置換されていてもよい、[1]~[6]のいずれかに記載の化合物又はその塩。
[8] 前記反応性官能基以外の置換基は、C1-3のアルキル、C1-3のアルコキシ又はC5-10のアリールである、[7]に記載の化合物又はその塩。
[9] 前記反応性官能基を有するC1-20のアルキルは、下記式に示される基である、[
7]又は[8]に記載の化合物又はその塩。
pは、0~2の整数を示し、
qは、0~18の整数を示す。]
前記反応性官能基を介して低分子化合物が結合した、誘導体。
[12] 前記低分子化合物は、薬物、リガンド物質、シグナル伝達物質、アゴニスト、インヒビター又は標識物質である、[11]に記載の誘導体。
[13] [11]又は[12]に記載の誘導体、及び前記低分子化合物に結合し得るタンパク質をさらに含む、複合体。
前記ジヒドロ葉酸還元酵素又はジヒドロ葉酸還元酵素と標的タンパク質との融合タンパク質を、前記低分子化合物又は低分子化合物に結合し得るタンパク質で標識するため、又は、
ジヒドロ葉酸還元酵素又はジヒドロ葉酸還元酵素と標的タンパク質との融合タンパク質と、前記低分子化合物又は低分子化合物に結合し得るタンパク質を相互作用させるための試薬キット。
前記低分子化合物又は低分子化合物に結合し得るタンパク質と、ジヒドロ葉酸還元酵素又はジヒドロ葉酸還元酵素と標的タンパク質との融合タンパク質とを結合又は相互作用させるための方法。
[17] さらに、下記a)及びb)工程から選ばれる少なくとも一工程を含み、誘導体又は複合体と、ジヒドロ葉酸還元酵素又はジヒドロ葉酸還元酵素と標的タンパク質との融合タンパク質との反応を可逆的に行う、[16]に記載の方法。
a)[11]もしくは[12]に記載の誘導体、又は[13]に記載の複合体に、紫外線を照射する工程;及び、
b)[11]もしくは[12]に記載の誘導体、又は[13]に記載の複合体に、可視光線を照射する工程。
[19] [1]~[10]のいずれかに記載の化合物又はその塩を含む、抗リウマチ剤。
[21] さらに、下記a)及びb)工程から選ばれる少なくとも一工程を含み、化合物又はその塩と、ジヒドロ葉酸還元酵素との反応を可逆的に行う、[20]に記載の方法。a)[1]~[10]のいずれかに記載の化合物又はその塩に、紫外線を照射する工程;及び
b)[1]~[10]のいずれかに記載の化合物又はその塩に、可視光線を照射する工程。
本発明の光応答性化合物は、本発明の光応答性化合物と低分子化合物が結合した誘導体として用いることが可能である。同誘導体は、誘導体とジヒドロ葉酸還元酵素に融合された標的タンパク質等との結合を可逆的に光制御可能であり、生体内分子間相互作用を解析するための試薬等として有用である。また、生体内分子の体内動態を解析するための試薬として有用である。
また、本発明の光応答性化合物は、光により薬物活性の程度、反応させる部位、時間等を制御可能な試薬又は医薬として有用である。
MTX: (S)-2-(4-(((2,4-diaminopteridin-6-yl)methyl)methylamino)benzamido)pentanedioic acid, メトトレキセート(Methotrexate)
azoMTX: [(S)-2-(4-(((2,4-diaminoquinazoline-6-yl)methyl)diazo)benzamido)pentanedioic acid]
DHFR:ジヒドロ葉酸還元酵素(dihydrofolate reductase)
本発明の光応答性化合物であるazoMTXは、熱平衡状態の化合物への紫外線照射により、伸長したtrans構造(E異性体)が折れ曲がったcis構造(Z異性体)に変化し、可視光線照射により熱平衡状態のtrans構造に化合物の構造が戻る(図5)。本発明の光応答性化合
物は、cis構造ではジヒドロ葉酸還元酵素と結合し、trans構造では結合しないことが確認された。
本発明の一形態は、下記式(I-1)若しくは(I-2)で示される化合物又はその塩(以下、「本発明の光応答性化合物」ということがある)に関する。式(I-1)若しくは(I-2)で示される化合物又はその塩は、紫外線照射によりtrans構造がcis構造に変化し、可視光線照射によりtrans構造に戻る、可逆的光応答性機能を有する。
式(I-1)のキナゾリル及び式(I-2)のインドリルの任意の炭素は、窒素で置換されていてもよく、式(I-1)のキナゾリル及び式(I-2)のインドリルは部分的に水素化されていてもよく、
環Aは、5員又は6員アリールであり、アリールの炭素は窒素、酸素又は硫黄で任意に置
換されていてもよく、
置換基R1は、アミノ又はヒドロキシであり、
置換基R2は、それぞれ独立して、C1-3のアルキル、C1-3のアルコキシ又はハロゲンであり、2以上の場合は同一又は異なっていてよく、
置換基R3は、それぞれ独立して、C1-3のアルキル、C1-3のアルコキシ又はハロゲンであり、2以上の場合は同一又は異なっていてよく、
置換基R4は、反応性官能基又は該反応性官能基を有する基であり、
mは、0~4の整数を示し、
nは、0~4の整数を示す。]
れないが、例えば、下記式に示される基である。
任意の炭素は、窒素で置換されていてもよい。式(I-2)のインドリルは、限定されないが
、例えば、下記式に示される基である。
素及びヨウ素等)であり、2以上の場合は同一又は異なっていてよい。
ドリルの2又は7位である。
炭素は窒素、酸素又は硫黄で任意に置換されていてもよい。環Aは、限定されないが、例
えば、フェニル、ピラニル、ピリジル、ピリダジル、ピリミジル、ピラジル、シクロペンタジエニル、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、フラザニル又はチアジアゾリルである。環Aは、好ましくは、フェニル、ピリジル、イミダゾリ
ル又はピラゾリルである。
ハロゲンであり、2以上の場合は同一又は異なっていてよい。
置換基R3の具体例については、上記置換基R2の具体例の記載を参照できる。
置換基R3の置換数nは、0、1、2、3又は4であり、好ましくは0、1又は2である。
環Aにおける置換基R3の置換位置は、特に限定されない。
性官能基を有する基であれば、限定されないが、例えば、カルボニル、アルキルカルボニル、エステル、アルキルエステル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、アミド、アルキルアミド、アジ、チオール、イソチオシアネート、スルホニル、アセトアミド、イミド、ハロゲン、オキソ、アルキニル又はアルケニルである。好ましくは、アルキルエステル、カルボキシ、アミノ又はイミドである。
環Aにおける置換基R4の置換位置は、特に限定されないが、環Aが6員環、例えば、フェ
ニルであれば、好ましくは4位、環Aが5員環、例えば、シクロペンタジエニルであれば、
好ましくは3位である。
エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル
、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デカニル、n-イコサニル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル及びシクロヘキシル等)である。
に示される基である。
pは、0~2の整数を示し、
qは、0~18の整数を示す。]
本発明の一形態は、本発明の光応答性化合物に、光応答性化合物の反応性官能基を介して低分子化合物が結合した誘導体(以下、「本発明の誘導体」ということがある)に関する。
本発明の誘導体は、本発明の光応答性化合物とジヒドロ葉酸還元酵素との結合、同結合を介した、本発明の光応答性化合物に結合した低分子化合物とジヒドロ葉酸還元酵素に融合された標的タンパク質との結合等を可逆的に光制御可能であり、生体内分子間相互作用解析や生体内分子の体内動態解析に利用可能である。
本発明の一形態は、本発明の誘導体、及び前記低分子化合物に結合し得るタンパク質をさらに含む、複合体(以下、「本発明の複合体」ということがある)に関する。
低分子化合物と結合するタンパク質としては、リガンド物質やシグナル伝達物質の受容体等が挙げられる。低分子化合物と結合するタンパク質として、例えばHaloTag(登録商
標)タンパク質等を用いることもできる。
低分子化合物と結合するタンパク質は、ジヒドロ葉酸還元酵素に融合された標的タンパク質(第一の標的タンパク質)とは別の、標的タンパク質(第二の標的タンパク質)との融合タンパク質であってもよく、この様な形態で、第一の標的タンパク質と第二の標的タンパク質との相互作用を解析することも可能である。
本発明の一形態は、本発明の誘導体又は複合体、及び、ジヒドロ葉酸還元酵素若しくはジヒドロ葉酸還元酵素と標的タンパク質との融合タンパク質又はそれをコードするDNAを
含む試薬(以下、「本発明の試薬」ということがある)に関する。
使用時に、ジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子を含むベクターに標的タンパク質遺伝子を導入し、融合タンパク質として発現させる形態であってもよい。
本発明の一形態は、本発明の誘導体又は複合体と、ジヒドロ葉酸還元酵素又は該ジヒドロ葉酸還元酵素と標的タンパク質との融合タンパク質とを反応させる工程を含む、低分子化合物又は低分子化合物に結合し得るタンパク質と、ジヒドロ葉酸還元酵素又は該ジヒドロ葉酸還元酵素と標的タンパク質との融合タンパク質とを結合又は相互作用させるための方法(以下、「本発明の方法」ということがある)に関する。上記のとおり、本発明の光応答性化合物は、紫外線照射によりtrans構造がcis構造に変化し、可視光線照射により熱平衡状態のtrans構造に化合物の構造が戻る。このような特性により、本発明の光応答性
化合物は、光照射により標的タンパク質等への結合能を変化させることが可能である。本発明の方法において、誘導体又は複合体は、1種又は2種以上を組み合わせて使用可能である。
好ましい。
本発明の一形態は、本発明の光応答性化合物を含む、医薬(以下、「本発明の医薬」ということがある)に関する。
本発明の光応答性化合物は、メトトレキセートの誘導体であり、ジヒドロ葉酸還元酵素の阻害剤として機能し得る。したがって、抗がん剤、抗リウマチ剤等のジヒドロ葉酸還元酵素阻害を作用機序とする医薬に使用可能である。また、本発明の光応答性化合物は、光照射により可逆的に構造を変化させ、ジヒドロ葉酸還元酵素への結合を制御できるため、光により薬物活性の程度、反応させる部位、時間等を制御可能である。本発明の光応答性化合物は、1種又は2種以上を組み合わせて使用可能である。
もよい。
回でも複数回であってもよく、好ましくは一日に1~4回、より好ましくは一日に1回又は2回投与される。
(NMR分析)
NMRスペクトルは1H NMRは400MHz、13C NMRは100MHzでBruker AVANCE III 400計器で記
録した。化学シフト(δ)はテトラメチルシランから低磁場側のppm(100万分の1)で表し、
残留溶媒シグナルを基準とした:1H δ=7.27(CHCl3)、2.50(DMSO-d5)、3.31(メタノール-d3)、13C δ=77.0(CDCl3)、39.5(DMSO-d6)、49.1(メタノール-d4)。
高解像度質量分光分析はBruker micrOTOF focus II質量分析計で行った。
紫外-可視吸収スペクトル及び時間依存吸収変化は、SHIMADZU UV-2450分光光度計を用いて測定し、スリット幅は1nmに設定した。azoMTXの光異性化分析に対して、光照射はバ
ンドパスフィルタ(330±5、365±5、450±5、488±5、515±5、又は560±5nm)を備えたXe光源(MAX-303;朝日分光株式会社)を用いて行った。
対して10nmに設定した。励起及び発光波長はそれぞれ497nm、520nmに設定した。
光異性化実験を25℃で10×10mmの石英キュベットを用いて行い、100mMのNaCl及び1%DMSO(UV/visに対して)を含有する100mMのHEPES-NaOHバッファ(pH7.4)において、azoMTX濃度を30μMに設定した。時間依存吸収変化を除く実験の前に、様々な波長で9.0mWcm-2でサンプルを照射した。時間依存吸収変化を測定するため、UV/vis分光計サンプルチャ
ンバにおいてサンプルを上から照射した。光化学反応の経時変化の測定時に、光照射の間350nmでの時間依存吸収変化の取得を続けた。
25℃、100mMのNaClを含有する100mMのHEPES-NaOHバッファ(pH7.4)中、MTX-FI(2nM)と結合したE. coli dihydrofolate reductase(eDHFR)(2nM)を用いてeDHFRに対するMTX、暗状態でのazoMTX、及びPSS365でのazoMTXの競合的蛍光偏光アッセイを実施した。IC50値は以下の式を用いて計算した。
azoMTXとのeDHFR活性の光制御を反応速度から評価した。過量のジヒドロ葉酸及びNADPH下での基質のターンオーバーの速度を340nmでのNADPHの吸光度(ε340=13.2mM-1cm-1)
の減少を観察することにより判定した。eDHFR(10nM)を100mMのNaClを含有する100mMのHEPES-NaOHバッファ(pH7.4)中、25℃で60μMのNADPH(及び100nMの阻害剤)でプレインキュベートした。そして、25℃で50μMのジヒドロ葉酸を加え反応を開始した。測定前に365±5nm(6.0mWcm-2、5分)をPSS365のazoMTXに照射した。酵素反応の初速度(v0)は以
下の式を用いて判定した。
azoMTX(100nM)を100mMのNaClを含有する100mMのHEPES-NaOHバッファ(pH7.4)中の60μMのNADPH及び50μMのジヒドロ葉酸と混合し、25℃でプレインキュベートした。そして、5nMのeDHFRを加え酵素反応を開始し、365±5又は515±5nmの波長光を反応サンプルに繰り返し照射した。
azoMTXを7工程(下記式に示すスキーム)で合成し、構造を1H及び13C NMR及びESI-MSで
同定した。
乾燥DMF(70mL)中の化合物1(5.00g、30.6mmol)、塩酸グアニジン(3.50g、36.6mmol)及び炭酸カリウム(10.1g、73.1mmol)の溶液を120℃、窒素雰囲気下で13時間加熱撹
拌した。冷却後、揮発性物質を真空で除去した。残存した固体を水及びアセトンで洗浄し、オレンジ色の固体として化合物2(5.74g、28.0mmol、92%)を得た。
DMF(50mL)中の化合物2(1.00g、4.87mmol)及びパラジウム炭素(Pd/C、101mg、10
%wt)の懸濁液を周囲温度、水素雰囲気下で11時間撹拌した。セライト535を通してパラ
ジウム炭素を除去した後、濾液を真空で濃縮し、薄茶色の固体として化合物3(822mg、4.69mmol、96%)を得た。
Hz, 1H), 6.95 (d, J = 1.9 Hz, 1H), 6.84 (s, 2H, br), 5.46 (s, 2H, br), 4.76 (s,
2H, br)
ジクロロメタン(25mL)中の化合物4(1.00g、6.62mmol)の溶液に水(100mL)中のオキソン(8.11g、13.2mmol)を加え、混合物を周囲温度で1時間撹拌した。有機層と水層
を分離した後、有機物質をジクロロメタンで抽出した(2×50mL)。混合した有機層を1M
の塩酸水溶液(100mL)、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(75mL)、水(75mL)及び塩水
(75mL)で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空で濃縮した。粗物質を酢酸エチルからの再結晶で精製し、黄色の固体として化合物5(931mg、5.64mmol、85%)を得た。
THF(8.0mL)及び酢酸(8.0mL)中の粗物質3(359mg、1.53mmol)、化合物5(470mg、2.85mmol)の溶液を40℃で18時間撹拌した。揮発性物質を真空で除去した後、残存した固
体を水、メタノール及びジクロロメタンで洗浄し、オレンジ色の固体として化合物6(210mg、652μmol、43%)を得た。
8.04 (dd, J = 9.1, 2.2 Hz, 1H), 7.93 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 7.63 (s, 2H, br), 7.26 (d, J = 9.1 Hz, 1H), 6.49 (s, 2H, br), 3.90 (s, 3H)
13C NMR (DMSO-d6, 100 MHz) δ 172.1, 165.7, 163.2, 162.1, 155.8, 154.9, 145.4, 130.5, 126.4, 125.4, 122.4, 122.2, 109.9, 52.3
THF(6.0mL)及び10%の水酸化ナトリウム水溶液(6.0mL)中の化合物6(76.6mg、238
μmol)の懸濁液を60℃で14時間加熱撹拌した。冷却後、0℃で反応混合物を1Mの塩酸水溶液で中和した。真空で濃縮した後、残渣を水及びTHFで洗浄し茶色の固体として粗物質7(54.1mg)を得た。粗物質7はさらなる精製なしで次の反応に用いた。乾燥DMF(17mL)中の粗物質7(54.1mg)、化合物8(50.2mg、170μmol)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド一塩酸塩(EDC・HCl、35.6mg、186μmol)、1-ヒドロキシ-1H-ベンゾトリアゾール水和物(HOBt・H2O、26.0mg、170μmol)及びトリエチル
アミン(52μL、38mg、370μmol)の懸濁液を40℃、窒素雰囲気下で26時間撹拌した。0℃で飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(20mL)を加えた後、有機物質をジクロロメタンで抽出した(4×30mL)。有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液(60mL)及び塩水(100mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空で濃縮した。粗物質をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:5-10%メタノール/ジクロロメタン)で精製し、オレンジ色の固
体として化合物9(59.7mg、109μmol、47%(2段階))を得た。
2H, br), 5.08 (s, 2H, br), 4.72-4.65 (m, 1H), 2.52-2.04 (m, 4H), 1.51 (s, 9H), 1.43 (s, 9H)
13C NMR (DMSO-d6, 100 MHz) δ 171.6, 171.1, 166.1, 163.2, 162.2, 156.0, 153.9, 145.3, 135.1, 128.8, 126.1, 125.6, 122.4, 121.9, 109.9, 80.7, 79.9, 52.7, 31.4, 27.8, 27.7, 25.9
乾燥ジクロロメタン(8.0mL)及びトリフルオロ酢酸(TFA、2.0mL)中の化合物9(59.7
mg、109μmol)の溶液を周囲温度、窒素雰囲気下で15時間撹拌した。揮発性物質を真空で除去した後、残渣をジクロロメタン及びアセトニトリルで洗浄し、オレンジ色の固体としてazoMTX(45.3mg、104μmol、95%)を得た。
8.08 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 8.05 (dd, J = 9.1, 8.9 Hz, 1H), 7.91 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 7.69 (s, 2H, br), 7.28 (d, J = 9.1 Hz, 1H), 6.56 (s, 2H, br), 4.47-4.39 (m,
1H), 2.38 (t, J = 7.4 Hz, 2H), 2.13-1.93 (m, 2H)
13C NMR (DMSO-d6, 100 MHz) δ 174.0, 173.5, 165.9, 163.3, 157.0, 153.5, 147.3, 136.0, 128.9, 125.6, 124.1, 122.2, 120.3, 109.9, 52.2, 30.5, 26.0
azoMTXの光異性化をUV/visスペクトル(図2のA)における変化により調べた。水溶
液中の熱平衡(暗)状態でのazoMTXは全てE異性体であることが1H NMR分析により示され
た(図1)。365nmでのUV光照射はEからZへ、560nmの光はZからEへの異性化を誘発した。365nmでのazoMTXへの光照射は60%のZ異性体を含有する光平衡状態(PSS365)を、560nm
での光照射は94%のE異性体を含有するPSS560を引き起こした。暗状態(E-azoMTX)及びPSS365でのazoMTXのスペクトルからZ-azoMTXのスペクトルを推定した(図2A)。そし
て、azoMTXは365nm及び560nmの波長光で繰り返し異性化されうることが確認された(図2のB)。9.0mWcm-2の光を1cm×1cmのキュベット中のサンプル液に照射すると、PSS365に
達するまで約1分、PSS560に達するまで約15分かかった。
eDHFR及びazoMTX間の親和性を蛍光色素の修飾されたMTX(MTX-Fl)を用いて競合的蛍
光偏光解消アッセイにより調査した。コンペティターの濃度が上昇するにつれ、MTX-Fl
の蛍光偏光が減少した(図3)。判定したIC50値は、MTXが2.6nM、azoMTXが100%E-azoMTXを含有する暗状態では27nM、UV照射下(PSS365)では3.6nMであった。MTXのメチルアミノメチレン基のアゾ基との置換によりE異性体としてのeDHFR配位子の効力がMTXより低い
という結果となった。一方、UV照射はazoMTXとeDHFRの親和性をより高くした。PSS365のazoMTXは60%のZと40%のE異性体を含むため、1.4nM(=3.6nM×0.4)のE-azoMTXがeDHFRとの結合をほとんど示さないことから(図3)、Z-azoMTXのIC50値は約2.2nM(=3.6nM
×0.6)と簡単に推定された。これはZ-azoMTXがMTXとほぼ同じ阻害活性を有することを
意味する。
azoMTXとeDHFRの親和性が光照射に応じて調整可能であることが証明されたため、azoMTXとのeDHFR活性の光学制御を検討した。eDHFRは、補酵素としてNADPHを用いてジヒドロ葉酸をテトラヒドロ葉酸へ変換する。この酵素反応は、NADPHの消費を示す340nmでの吸収の減少により調べることができる。100nMのazoMTX存在下において、暗状況下では酵素反応
のわずかな阻害のみが観測され、その一方で、PSS365では反応はほぼ完全に阻害された(図4のA、B)。そして、阻害活性を様々な波長での光照射下で検討した。非常に興味深いことに、照射された光波長を変えることにより阻害効率が調節された(データ示さず)。E-及びZ-azoMTXの割合は照射波長での各異性体のモル吸光係数により判定されるため、阻害効率は光波長に応じて調整可能である。この特異的性質は薬理活性の量的規制を引き起こしうる。
反応をUV(365nm)と可視(515nm)光の交互照射下で観察した(図4のC)。最初に反応が暗状況で進み、そして、365nmの光照射により反応が遅くなり数分以内でほぼ阻害され
た。この阻害状況において、515nmの光照射により酵素反応がすぐに再開され、阻害と再
開のこのサイクルは繰り返し可能であった。この結果は、照射波長を変えることによりazoMTXがeDHFRと繰り返し結合及び解離でき、azoMTXがeDHFR活性を動的に制御もできることを示している。
Claims (16)
- 下記式(I-1)若しくは(I-2)で示される化合物又はその塩。
[式中、
式(I-1)のキナゾリルは下記式に示される基であり、
及び式(I-2)のインドリルは下記式に示される基であり、
環Aは、5員又は6員アリールであり、アリールの炭素は窒素、酸素又は硫黄で任意に置換されていてもよく、
置換基R1は、アミノ又はヒドロキシであり、
置換基R2は、それぞれ独立して、C1-3のアルキル、C1-3のアルコキシ又はハロゲンであり、2以上の場合は同一又は異なっていてよく、
置換基R3は、それぞれ独立して、C1-3のアルキル、C1-3のアルコキシ又はハロゲンであり、2以上の場合は同一又は異なっていてよく、
置換基R4は、反応性官能基又は該反応性官能基を有する基であり、該反応性官能基はカルボニル、アルキルカルボニル、アルキルエステル、カルボキシ、アルコキシカルボニル、ヒドロキシ、アミノ、アルキルアミノ、アミド、アルキルアミド、アジド、チオール、イソチオシアネート、スルホニル、アセトアミド、イミド、ハロゲン、オキソ、アルキニル及びアルケニルから選択される基であり、
mは、0~3の整数を示し、
nは、0~4の整数を示す。] - 前記環Aは、フェニル、ピラニル、ピリジル、ピリダジル、ピリミジル、ピラジル、シクロペンタジエニル、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、フラザニル又はチアジアゾリルである、請求項1に記載の化合物又はその塩。
- 前記環Aは、フェニル、ピリジル、イミダゾリル又はピラゾリルである、請求項1又は2に記載の化合物又はその塩。
- 前記反応性官能基を有する基は、反応性官能基を有するC1-20のアルキルであり、アルキルは反応性官能基以外の置換基を有してもよく、アルキルの炭素は窒素、酸素又は硫黄で任意に置換されていてもよい、請求項1~3のいずれか一項に記載の化合物又はその塩。
- 前記反応性官能基以外の置換基は、C1-3のアルキル、C1-3のアルコキシ又はC5-10のアリールである、請求項4に記載の化合物又はその塩。
- 請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物又はその塩の誘導体であって、
前記反応性官能基を介して、生体内分子間相互作用解析、生体内分子の体内動態解析の対象となる物質、生体内分子間相互作用解析、生体内分子の体内動態解析に使用し得る物
質又は疾患の治療に用いる低分子化合物が結合した、誘導体。 - 前記低分子化合物は、薬物、リガンド物質、シグナル伝達物質、アゴニスト、インヒビター又は標識物質である、請求項8に記載の誘導体。
- 請求項8又は9に記載の誘導体、及び前記低分子化合物に結合し得るタンパク質をさらに含む、複合体。
- 請求項8もしくは9に記載の誘導体、又は請求項10に記載の複合体、及び、ジヒドロ葉酸還元酵素若しくはジヒドロ葉酸還元酵素と標的タンパク質との融合タンパク質又はそれをコードするDNAを含む試薬。
- 請求項11に記載の試薬を含む、
前記ジヒドロ葉酸還元酵素又はジヒドロ葉酸還元酵素と標的タンパク質との融合タンパク質を、前記低分子化合物又は低分子化合物に結合し得るタンパク質で標識するため、又は、
ジヒドロ葉酸還元酵素又はジヒドロ葉酸還元酵素と標的タンパク質との融合タンパク質と、前記低分子化合物又は低分子化合物に結合し得るタンパク質を相互作用させるための試薬キット。 - 請求項8もしくは9に記載の誘導体、又は請求項10に記載の複合体と、ジヒドロ葉酸還元酵素又はジヒドロ葉酸還元酵素と標的タンパク質との融合タンパク質とを反応させる工程を含む、
前記低分子化合物又は低分子化合物に結合し得るタンパク質と、ジヒドロ葉酸還元酵素又はジヒドロ葉酸還元酵素と標的タンパク質との融合タンパク質とを結合又は相互作用させるための方法。 - さらに、下記a)及びb)工程から選ばれる少なくとも一工程を含み、誘導体又は複合体と、ジヒドロ葉酸還元酵素又はジヒドロ葉酸還元酵素と標的タンパク質との融合タンパク質との反応を可逆的に行う、請求項13に記載の方法。
a)請求項8もしくは9に記載の誘導体、又は請求項10に記載の複合体に、紫外線を照射する工程;及び、
b)請求項8もしくは9に記載の誘導体、又は請求項10に記載の複合体に、可視光線を照射する工程。 - 請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物又はその塩を含む、抗がん剤。
- 請求項1~7のいずれか一項に記載の化合物又はその塩を含む、抗リウマチ剤。
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