本明細書において、組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
積層チューブは、(a)層、(b)層、及び(c)層を含む。
1.(a)層
積層チューブの(a)層は、脂肪族ポリアミド組成物(A)を含む。
[脂肪族ポリアミド組成物(A)]
脂肪族ポリアミド組成物(A)は、脂肪族ポリアミド(A1)及びエラストマー重合体(A2)を含み、脂肪族ポリアミド(A1)は、脂肪族ポリアミド組成物(A)中に、75質量%以上95質量%以下含まれ、エラストマー重合体(A2)は、カルボキシル基及び/又は酸無水物基を有する不飽和化合物から誘導される構成単位を含有し、脂肪族ポリアミド組成物(A)中に、5質量%以上25質量%以下含まれる(以下、脂肪族ポリアミド組成物(A)と称する場合がある。)。
[脂肪族ポリアミド(A1)]
脂肪族ポリアミド(A1)は、主鎖中にアミド結合(-CONH-)を有し、脂肪族ポリアミド構造単位であるラクタム、アミノカルボン酸、又は脂肪族ジアミンと脂肪族ジカルボン酸を原料として、重合又は共重合することにより得られる(以下、脂肪族ポリアミド(A1)と称する場合がある。)。
ラクタムとしては、エナントラクタム、ウンデカンラクタム、ドデカンラクタム、α-ピロリドン、α-ピペリドン等が挙げられる。アミノカルボン酸としては、7-アミノヘプタン酸、9-アミノノナン酸、11-アミノウンデカン酸、12-アミノドデカン酸等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
脂肪族ジアミンとしては、1,2-エタンジアミン、1,3-プロパンジアミン、1,4-ブタンジアミン、1,5-ペンタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、1,7-ヘプタンジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、1,13-トリデカンジアミン、1,14-テトラデカンジアミン、1,15-ペンタデカンジアミン、1,16-ヘキサデカンジアミン、1,17-ヘプタデカンジアミン、1,18-オクタデカンジアミン、1,19-ノナデカンジアミン、1,20-エイコサンジアミン、2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、3-メチル-1,5-ペンタンジアミン、2-メチル-1,8-オクタンジアミン、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジアミン、2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジアミン、5-メチル-1,9-ノナンジアミン等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
脂肪族ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸、エイコサン二酸等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
脂肪族ポリアミド(A1)としては、ポリウンデカンアミド(ポリアミド11)、ポリドデカンアミド(ポリアミド12)、ポリエチレンアジパミド(ポリアミド26)、ポリテトラメチレンスクシナミド(ポリアミド44)、ポリテトラメチレングルタミド(ポリアミド45)、ポリテトラメチレンアジパミド(ポリアミド46)、ポリテトラメチレンスベラミド(ポリアミド48)、ポリテトラメチレンアゼラミド(ポリアミド49)、ポリテトラメチレンセバカミド(ポリアミド410)、ポリテトラメチレンドデカミド(ポリアミド412)、ポリペンタメチレンスクシナミド(ポリアミド54)、ポリペンタメチレングルタミド(ポリアミド55)、ポリペンタメチレンアジパミド(ポリアミド56)、ポリペンタメチレンスベラミド(ポリアミド58)、ポリペンタメチレンアゼラミド(ポリアミド59)、ポリペンタメチレンセバカミド(ポリアミド510)、ポリペンタメチレンドデカミド(ポリアミド512)、ポリヘキサメチレンスクシナミド(ポリアミド64)、ポリヘキサメチレングルタミド(ポリアミド65)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ポリアミド66)、ポリヘキサメチレンスベラミド(ポリアミド68)、ポリヘキサメチレンアゼラミド(ポリアミド69)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、ポリヘキサメチレンテトラデカミド(ポリアミド614)、ポリヘキサメチレンヘキサデカミド(ポリアミド616)、ポリヘキサメチレンオクタデカミド(ポリアミド618)、ポリノナメチレンアジパミド(ポリアミド96)、ポリノナメチレンスベラミド(ポリアミド98)、ポリノナメチレンアゼラミド(ポリアミド99)、ポリノナメチレンセバカミド(ポリアミド910)、ポリノナメチレンドデカミド(ポリアミド912)、ポリデカメチレンアジパミド(ポリアミド106)、ポリデカメチレンスベラミド(ポリアミド108)、ポリデカメチレンアゼラミド(ポリアミド109)、ポリデカメチレンセバカミド(ポリアミド1010)、ポリデカメチレンドデカミド(ポリアミド1012)、ポリドデカメチレンアジパミド(ポリアミド126)、ポリドデカメチレンスベラミド(ポリアミド128)、ポリドデカメチレンアゼラミド(ポリアミド129)、ポリドデカメチレンセバカミド(ポリアミド1210)、ポリドデカメチレンドデカミド(ポリアミド1212)等の単独重合体、及び/又はこれらを形成する原料単量体を数種用いた共重合体等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
これらの中でも、得られる積層チューブの機械的特性、耐熱性等の諸物性を十分に確保し、経済性及び入手の容易さの観点から、ポリヘキサメチレンデカミド(ポリアミド610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、ポリデカメチレンデカミド(ポリアミド1010)、ポリデカメチレンドデカミド(ポリアミド1012)、ポリドデカメチレンドデカミド(ポリアミド1212)、ポリウンデカンアミド(ポリアミド11)、及びポリドデカンアミド(ポリアミド12)からなる群より選ばれる少なくとも1種の単独重合体、並びに/又はこれらを形成する原料単量体を数種用いた少なくとも1種の共重合体が好ましい。また、モノマー、オリゴマーの耐溶出性の観点から、ポリヘキサメチレンデカミド(ポリアミド610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、及びポリデカメチレンデカミド(ポリアミド1010)からなる群より選ばれる少なくとも1種の単独重合体、並びに/又はこれらを形成する原料単量体を数種用いた少なくとも1種の共重合体が好ましい。
脂肪族ポリアミド(A1)の製造装置としては、バッチ式反応釜、一槽式ないし多槽式の連続反応装置、管状連続反応装置、一軸型混練押出機、二軸型混練押出機等の混練反応押出機等、公知のポリアミド製造装置が挙げられる。重合方法としては、溶融重合、溶液重合、固相重合等の公知の方法を用い、常圧、減圧、加圧操作を繰り返して重合することができる。これらの重合方法は、単独で、あるいは適宜、組合せて用いることができる。
また、JIS K-6920に準拠して、96%硫酸、ポリマー濃度1%、25℃の条件下にて測定した脂肪族ポリアミド(A1)の相対粘度は、得られる積層チューブの機械的性質を確保することと、溶融時の粘度を適正範囲にして積層チューブの望ましい成形性を確保する観点から、1.5以上5.0以下であることが好ましく、2.0以上4.5以下であることがより好ましい。
脂肪族ポリアミド(A1)1gあたりの末端アミノ基濃度を[A](μeq/g)、末端カルボキシル基濃度を[B](μeq/g)とした時、得られる積層チューブの層間接着性及びその耐久性を十分に確保する観点から、[A]>[B]+5であることが好ましく、[A]>[B]+10であることがより好ましく、[A]>[B]+15であることが更に好ましい。更に、ポリアミドの溶融安定性及びゲル状物発生抑制の観点から、[A]>20であることが好ましく、30<[A]<120であることがより好ましい。
尚、末端アミノ基濃度[A](μeq/g)は、該ポリアミドをフェノール/メタノール混合溶液に溶解し、0.05Nの塩酸で滴定して測定することができる。末端カルボキシル基濃度[B](μeq/g)は、該ポリアミドをベンジルアルコールに溶解し、0.05Nの水酸化ナトリウム溶液で滴定して測定することができる。
脂肪族ポリアミド(A1)は、前記ポリアミド原料を、アミン類の存在下に、溶融重合、溶液重合、固相重合等の公知の方法で、重合又は共重合することにより製造される。あるいは、重合後、アミン類の存在下に、溶融混練することにより製造される。このように、アミン類は、重合時の任意の段階、あるいは、重合後、溶融混練時の任意の段階において添加できるが、得られる積層チューブの層間接着性を考慮した場合、重合時の段階で添加することが好ましい。
前記アミン類としては、モノアミン、ジアミン、トリアミン、テトラアミン、及びポリアミンが挙げられる。また、アミン類の他に、前記の末端基濃度条件の範囲を外れない限り、必要に応じて、モノカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸等のカルボン酸類を添加してもよい。これら、アミン類、カルボン酸類は、同時に添加しても、別々に添加してもよい。後記例示のアミン類、カルボン酸類は、1種又は2種以上を用いることができる。
添加するモノアミンの具体例としては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、2-エチルヘキシルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、オクタデシレンアミン、エイコシルアミン、ドコシルアミン等の脂肪族モノアミン;シクロヘキシルアミン、メチルシクロヘキシルアミン等の脂環式モノアミン;ベンジルアミン、β-フエニルメチルアミン等の芳香族モノアミン;N,N-ジメチルアミン、N,N-ジエチルアミン、N,N-ジプロピルアミン、N,N-ジブチルアミン、N,N-ジヘキシルアミン、N,N-ジオクチルアミン等の対称第二アミン;N-メチル-N-エチルアミン、N-メチル-N-ブチルアミン、N-メチル-N-ドデシルアミン、N-メチル-N-オクタデシルアミン、N-エチル-N-ヘキサデシルアミン、N-エチル-N-オクタデシルアミン、N-プロピル-N-ヘキサデシルアミン、N-プロピル-N-ベンジルアミン等の混成第二アミンが挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
添加するジアミンの具体例としては、1,2-エタンジアミン、1,3-プロパンジアミン、1,4-ブタンジアミン、1,5-ペンタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、1,7-ヘプタンジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、1,13-トリデカンジアミン、1,14-テトラデカンジアミン、1,15-ペンタデカンジアミン、1,16-ヘキサデカンジアミン、1,17-ヘプタデカンジアミン、1,18-オクタデカンジアミン、2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、3-メチル-1,5-ペンタンジアミン、2-メチル-1,8-オクタンジアミン、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジアミン、2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジアミン、5-メチル-1,9-ノナンジアミン等の脂肪族ジアミン;1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、2,2-ビス(4-アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタン、2,2-ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)プロパン、5-アミノ-2,2,4-トリメチル-1-シクロペンタンメチルアミン、5-アミノ-1,3,3-トリメチルシクロヘキサンメチルアミン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、ビス(アミノエチル)ピペラジン、2,5-ビス(アミノメチル)ノルボルナン、2,6-ビス(アミノメチル)ノルボルナン、3,8-ビス(アミノメチル)トリシクロデカン、4,9-ビス(アミノメチル)トリシクロデカン等の脂環式ジアミン;m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミン等の芳香族ジアミンが挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
添加するトリアミン及びテトラアミンの具体例としては、1,2,3-トリアミノプロパン、1,2,3-トリアミノ-2-メチルプロパン、1,2,4-トリアミノブタン、1,2,3,4-テトラミノブタン、1,3,5-トリアミノシクロヘキサン、1,2,4-トリアミノシクロヘキサン、1,2,3-トリアミノシクロヘキサン、1,2,4,5-テトラミノシクロヘキサン、1,3,5-トリアミノベンゼン、1,2,4-トリアミノベンゼン、1,2,3-トリアミノベンゼン、1,2,4,5-テトラミノベンゼン、1,2,4-トリアミノナフタレン、2,5,7-トリアミノナフタレン、2,4,6-トリアミノピリジン、1,2,7,8-テトラミノナフタレン等、1,4,5,8-テトラミノナフタレンが挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
添加するポリアミンは、一級アミノ基(-NH2)及び/又は二級アミノ基(-NH-)を複数有する化合物であればよく、例えば、ポリアルキレンイミン、ポリアルキレンポリアミン、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。活性水素を備えたアミノ基は、ポリアミンの反応点である。
ポリアルキレンイミンは、エチレンイミン、プロピレンイミン等のアルキレンイミンをイオン重合させる方法、或いは、アルキルオキサゾリンを重合させた後、該重合体を部分加水分解又は完全加水分解させる方法等で製造される。ポリアルキレンポリアミンとしては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ペンタエチレンヘキサミン、或いは、エチレンジアミンと多官能化合物との反応物等が挙げられる。ポリビニルアミンは、例えば、N-ビニルホルムアミドを重合させてポリ(N-ビニルホルムアミド)とした後、該重合体を塩酸等の酸で部分加水分解又は完全加水分解することにより得られる。ポリアリルアミンは、一般に、アリルアミンモノマーの塩酸塩を重合させた後、塩酸を除去することにより得られる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、ポリアルキレンイミンが好ましい。
ポリアルキレンイミンとしては、エチレンイミン、プロピレンイミン、1,2-ブチレンイミン、2,3-ブチレンイミン、1,1-ジメチルエチレンイミン等の炭素原子数2以上8以下のアルキレンイミンの1種又は2種以上を常法により重合して得られる単独重合体及び/又は共重合体が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、ポリエチレンイミンがより好ましい。ポリアルキレンイミンは、アルキレンイミンを原料として、これを開環重合させて得られる1級アミン、2級アミン、及び3級アミンを含む分岐型ポリアルキレンイミン、あるいはアルキルオキサゾリンを原料とし、これを重合させて得られる1級アミンと2級アミンのみを含む直鎖型ポリアルキレンイミン、三次元状に架橋された構造のいずれであってもよい。更に、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジプロピレントリアミン、トリプロピレンテトラミン、ジヘキサメチレントリアミン、アミノプロピルエチレンジアミン、ビスアミノプロピルエチレンジアミン等を含むものであってもよい。ポリアルキレンイミンは、通常、含まれる窒素原子上の活性水素原子の反応性に由来して、第3級アミノ基の他、活性水素原子をもつ第1級アミノ基及び/又は第2級アミノ基(イミノ基)を有する。
ポリアルキレンイミン中の窒素原子数は、特に制限はないが、4以上3,000であることが好ましく、8以上1,500以下であることがより好ましく、11以上500以下であることが更に好ましい。また、ポリアルキレンイミンの数平均分子量は、100以上20,000以下であることが好ましく、200以上10,000以下であることがより好ましく、500以上8,000以下であることが更に好ましい。
一方、添加するカルボン酸類としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、カプリン酸、ペラルゴン酸、ウンデカン酸、ラウリル酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ミリストレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキン酸、ベヘン酸、エルカ酸等の脂肪族モノカルボン酸;シクロヘキサンカルボン酸、メチルシクロヘキサンカルボン酸等の脂環式モノカルボン酸;安息香酸、トルイン酸、エチル安息香酸、フェニル酢酸等の芳香族モノカルボン酸;マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ヘキサデカン二酸、ヘキサデセン二酸、オクタデカン二酸、オクタデセン二酸、エイコサン二酸、エイコセン二酸、ドコサン二酸、ジグリコール酸、2,2,4-トリメチルアジピン酸、2,4,4-トリメチルアジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸;1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、m-キシリレンジカルボン酸、p-キシリレンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;1,2,4-ブタントリカルボン酸、1,3,5-ペンタントリカルボン酸、1,2,6-ヘキサントリカルボン酸、1,3,6-ヘキサントリカルボン酸、1,3,5-シクロヘキサントリカルボン酸、トリメシン酸等のトリカルボン酸が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
添加されるアミン類の使用量は、製造しようとする脂肪族ポリアミド(A1)の末端アミノ基濃度、末端カルボキシル基濃度、及び相対粘度を考慮して、公知の方法により適宜決められる。通常、ポリアミド原料1モルに対して(繰り返し単位を構成する単量体又は単量体ユニット1モル)、アミン類の添加量は、十分な反応性を得ることと、所望の粘度を有するポリアミドの製造を容易とする観点から、0.5meq/モル以上20meq/モル以下であることが好ましく、1meq/モル以上10meq/モル以下であることがより好ましい(アミノ基の当量(eq)は、カルボキシル基と1:1(モル比)で反応してアミド基を形成するアミノ基の量を1当量とする。)。
脂肪族ポリアミド(A1)においては、前記例示のアミン類のうち、末端基濃度の条件を満たすために、ジアミン及び/又はポリアミンを重合時に添加することが好ましく、ゲル発生抑制という観点から、脂肪族ジアミン、脂環式ジアミン、及びポリアルキレンイミンからなる群より選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。
また、脂肪族ポリアミド(A1)は、前記末端基濃度を満たす限りにおいては、末端基濃度の異なる2種類以上のポリアミドの混合物でも構わない。この場合、ポリアミド混合物の末端アミノ基濃度、末端カルボキシル基濃度は、混合物を構成するポリアミドの末端アミノ基濃度、末端カルボキシル基濃度、及びその配合割合により決まる。
[エラストマー重合体(A2)]
脂肪族ポリアミド組成物(A)は、カルボキシル基及び/又は酸無水物基を有する不飽和化合物から誘導される構成単位を含有するエラストマー重合体(A2)を含有する(以下、エラストマー重合体(A2)と称する場合がある。)。
エラストマー重合体(A2)としては、(エチレン及び/又はプロピレン)/α-オレフィン系共重合体、(エチレン及び/又はプロピレン)/(α,β-不飽和カルボン酸エステル)系共重合体、芳香族ビニル化合物/共役ジエン化合物系ブロック共重合体が挙げられ、これらは1種又は2種以上を用いることができる。
前記(エチレン及び/又はプロピレン)/α-オレフィン系共重合体は、エチレン及び/又はプロピレンと炭素原子数3以上のα-オレフィンを共重合した重合体であり、炭素原子数3以上のα-オレフィンとしては、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-トリデセン、1-テトラデセン、1-ペンタデセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセン、1-オクタデセン、1-ノナデセン、1-エイコセン、3-メチル-1-ブテン、3-メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-エチル-1-ヘキセン、3-エチル-1-ヘキセン、9-メチル-1-デセン、11-メチル-1-ドデセン、12-エチル-1-テトラデセン等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。また、1,4-ペンタジエン、1,4-ヘキサジエン、1,5-ヘキサジエン、1,4-オクタジエン、1,5-オクタジエン、1,6-オクタジエン、1,7-オクタジエン、2-メチル-1,5-ヘキサジエン、6-メチル-1,5-ヘプタジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、4-エチリデン-8-メチル-1,7-ノナジエン、4,8-ジメチル-1,4,8-デカトリエン(DMDT)、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、5-ビニルノルボルネン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-メチレン-2-ノルボルネン、5-イソプロピリデン-2-ノルボルネン、6-クロロメチル-5-イソプロペニル-2-ノルボルネン、2,3-ジイソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-エチリデン-3-イソプロピリデン-5-ノルボルネン、2-プロペニル-2,5-ノルボルナジエン等の非共役ジエンのポリエンを共重合してもよい。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
前記(エチレン及び/又はプロピレン)/(α,β-不飽和カルボン酸エステル)系共重合体は、エチレン及び/又はプロピレンとα,β-不飽和カルボン酸エステル単量体を共重合した重合体であり、α,β-不飽和カルボン酸エステル単量体としては、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸ペンチル、メタクリル酸ペンチル、アクリル酸ヘキシル、メタクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、メタクリル酸ヘプチル、アクリル酸オクチル、メタクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、メタクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、メタクリル酸デシル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、マレイン酸モノメチル、イタコン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、イタコン酸ジメチル等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
また、前記芳香族ビニル化合物/共役ジエン化合物系ブロック共重合体は、芳香族ビニル化合物系重合体ブロックと共役ジエン化合物系重合体ブロックからなるブロック共重合体であり、芳香族ビニル化合物系重合体ブロックを少なくとも1個と、共役ジエン化合物系重合体ブロックを少なくとも1個有するブロック共重合体が用いられる。前記ブロック共重合体では、共役ジエン化合物系重合体ブロックにおける不飽和結合が水素添加されていてもよい。
芳香族ビニル化合物系重合体ブロックは、芳香族ビニル化合物に由来する単位から主としてなる重合体ブロックである。その場合の芳香族ビニル化合物としては、スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、1,5-ジメチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、4-プロピルスチレン、4-シクロヘキシルスチレン、4-ドデシルスチレン、2-エチル-4-ベンジルスチレン、4-(フェニルブチル)スチレン等が挙げられ、これらは1種又は2種以上を用いることができる。また、芳香族ビニル化合物系重合体ブロックは、場合により少量の他の不飽和単量体からなる単位を有していてもよい。
共役ジエン化合物系重合体ブロックは、1,3-ブタジエン、クロロプレン、イソプレン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、4-メチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン等の共役ジエン系化合物の1種又は2種以上から形成された重合体ブロックであり、水素添加した芳香族ビニル化合物/共役ジエン化合物系ブロック共重合体では、その共役ジエン化合物系重合体ブロックにおける不飽和結合部分の一部又は全部が水素添加により飽和結合になっている。
芳香族ビニル化合物/共役ジエン化合物系ブロック共重合体及びその水素添加物の分子構造は、直鎖状、分岐状、放射状、又はそれら任意の組み合わせのいずれであってもよい。これらの中でも、芳香族ビニル化合物/共役ジエン化合物系ブロック共重合体及び/又はその水素添加物として、1個の芳香族ビニル化合物重合体ブロックと1個の共役ジエン化合物系重合体ブロックが直鎖状に結合したジブロック共重合体、芳香族ビニル化合物系重合体ブロック-共役ジエン化合物系重合体ブロック-芳香族ビニル化合物系重合体ブロックの順に3つの重合体ブロックが直鎖状に結合しているトリブロック共重合体、及びそれらの水素添加物の1種又は2種以上が好ましく用いられ、未水添又は水添スチレン/ブタジエンブロック共重合体、未水添又は水添スチレン/イソプレンブロック共重合体、未水添又は水添スチレン/ブタジエン/スチレンブロック共重合体、未水添又は水添スチレン/イソプレン/スチレンブロック共重合体、未水添又は水添スチレン/(エチレン/ブタジエン)/スチレンブロック共重合体、未水添又は水添スチレン/(イソプレン/ブタジエン)/スチレンブロック共重合体等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
エラストマー重合体(A2)の構成単位を形成するカルボキシル基を有する不飽和化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、メサコン酸、シトラコン酸、グルタコン酸、シス-4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸、エンドビシクロ-[2.2.1]-5-ヘプテン-2,3-ジカルボン酸、及びこれらカルボン酸の金属塩等のα,β-不飽和カルボン酸が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。エラストマー重合体(A2)の構成単位を形成する酸無水物基を有する不飽和化合物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、エンドビシクロ-[2.2.1]-5-ヘプテン-2,3-ジカルボン酸無水物等のα,β-不飽和結合を有するジカルボン酸無水物が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、α,β-不飽和結合を有するジカルボン酸無水物が好ましく、無水マレイン酸、無水イタコン酸がより好ましい。
エラストマー重合体(A2)におけるカルボキシル基及び/又は酸無水物基濃度は、低温耐衝撃性の改良効果、得られる積層チューブの層間接着性及びその耐久性を十分に得るとともに、得られる脂肪族ポリアミド組成物(A)の流動性の観点から、25μeq/g以上200μeq/g以下であることが好ましく、50μeq/g以上150μeq/g以下であることがより好ましい。
尚、エラストマー重合体(A2)におけるカルボキシル基及び/又は酸無水物基濃度は、該エラストマー重合体をトルエン溶液に溶解し、更に、エタノールを加えて調製した試料溶液を用いて、フェノールフタレインを指示薬とし、0.1NのKOHエタノール溶液で滴定して測定することができる。
脂肪族ポリアミド組成物(A)中の脂肪族ポリアミド(A1)の含有量は、脂肪族ポリアミド組成物(A)100質量%に対して、75質量%以上95質量%以下であり、77質量%以上93質量%以下であることが好ましく、80質量%以上90質量%以下であることがより好ましい。脂肪族ポリアミド(A1)の含有量が前記の値未満であると、得られる積層チューブの機械的特性が劣り、一方、前記の値を超えると、得られる積層チューブの低温耐衝撃性、層間接着性、及びその耐久性が劣る。
脂肪族ポリアミド組成物(A)中のエラストマー重合体(A2)の含有量は、脂肪族ポリアミド組成物(A)100質量%に対して、5質量%以上25質量%以下であり、7質量%以上23質量%以下であることが好ましく、10質量%以上20質量%以下であることがより好ましい。エラストマー重合体(A2)の含有量が前記の値未満であると、得られる積層チューブの低温耐衝撃性、層間接着性、及びその耐久性が劣り、一方、前記の値を超えると、得られる積層チューブの機械的特性及び得られる脂肪族ポリアミド組成物(A)の流動性が劣る。
脂肪族ポリアミド(A1)とエラストマー重合体(A2)を混合する方法は、特に制限されず、必要に応じて各種添加剤を配合し、従来から知られている各種の方法を採用することができる。例えば、両者をタンブラー及び/又はミキサーを用いて、脂肪族ポリアミド(A1)及びエラストマー重合体(A2)のペレット同士を前記の混合割合になるように均一にドライブレンドする方法、両者を必要に応じて添加される他の成分と共に、成形時に使用する濃度で予めドライブレンドし、溶融混練する方法等により製造することができる。溶融混練は、単軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等の混練機を使用して行うことができる。
また、脂肪族ポリアミド組成物(A)は、長時間燃料に接触・浸漬した後及び/又は短時間の熱処理後における層間接着性の耐久性の観点から可塑剤を含有しないほうが好ましい。
脂肪族ポリアミド組成物(A)は、他のポリアミド系樹脂又はその他の熱可塑性樹脂との混合物であってもよい。混合物である脂肪族ポリアミド組成物(A)中のポリアミド(A1)及びエラストマー重合体(A2)の合計含有量は、60質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましい。
他のポリアミド系樹脂としては、ポリメタキシリレンテレフタラミド(ポリアミドMXDT)、ポリメタキシリレンイソフタラミド(ポリアミドMXDI)、ポリメタキシリレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミドMXDT(H))、ポリメタキシリレンナフタラミド(ポリアミドMXDN)、ポリパラキシリレンテレフタラミド(ポリアミドPXDT)、ポリパラキシリレンイソフタラミド(ポリアミドPXDI)、ポリパラキシリレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミドPXDT(H))、ポリパラキシリレンナフタラミド(ポリアミドPXDN)、ポリパラフェニレンテレフタラミド(PPTA)、ポリパラフェニレンイソフタラミド(PPIA)、ポリメタフェニレンテレフタラミド(PMTA)、ポリメタフェニレンイソフタラミド(PMIA)、ポリ(2,6-ナフタレンジメチレンテレフタラミド)(ポリアミド2,6-BANT)、ポリ(2,6-ナフタレンジメチレンイソフタラミド)(ポリアミド2,6-BANI)、ポリ(2,6-ナフタレンジメチレンヘキサヒドロテレフタラミド)(ポリアミド2,6-BANT(H))、ポリ(2,6-ナフタレンジメチレンナフタラミド)(ポリアミド2,6-BANN)、ポリ(1,3-シクロヘキサンジメチレンアジパミド)(ポリアミド1,3-BAC6)、ポリ(1,3-シクロヘキサンジメチレンスベラミド(ポリアミド1,3-BAC8)、ポリ(1,3-シクロヘキサンジメチレンアゼラミド)(ポリアミド1,3-BAC9)、ポリ(1,3-シクロヘキサンジメチレンセバカミド)(ポリアミド1,3-BAC10)、ポリ(1,3-シクロヘキサンジメチレンドデカミド)(ポリアミド1,3-BAC12)、ポリ(1,3-シクロヘキサンジメチレンテレフタラミド)(ポリアミド1,3-BACT)、ポリ(1,3-シクロヘキサンジメチレンイソフタラミド)(ポリアミド1,3-BACI)、ポリ(1,3-シクロヘキサンジメチレンヘキサヒドロテレフタラミド)(ポリアミド1,3-BACT(H))、ポリ(1,3-シクロヘキサンジメチレンナフタラミド)(ポリアミド1,3-BACN)、ポリ(1,4-シクロヘキサンジメチレンアジパミド)(ポリアミド1,4-BAC6)、ポリ(1,4-シクロヘキサンジメチレンスベラミド)(ポリアミド1,4-BAC8)、ポリ(1,4-シクロヘキサンジメチレンアゼラミド)(ポリアミド1,4-BAC9)、ポリ(1,4-シクロヘキサンジメチレンセバカミド)(ポリアミド1,4-BAC10)、ポリ(1,4-シクロヘキサンジメチレンドデカミド)(ポリアミド1,4-BAC12)、ポリ(1,4-シクロヘキサンジメチレンテレフタラミド)(ポリアミド1,4-BACT)、ポリ(1,4-シクロヘキサンジメチレンイソフタラミド)(ポリアミド1,4-BACI)、ポリ(1,4-シクロヘキサンジメチレンヘキサヒドロテレフタラミド)(ポリアミド1,4-BACT(H))、ポリ(1,4-シクロヘキサンジメチレンナフタラミド)(ポリアミド1,4-BACN)、ポリ(4,4’-メチレンビスシクロヘキシレンアジパミド)(ポリアミドPACM6)、ポリ(4,4’-メチレンビスシクロヘキシレンスベラミド)(ポリアミドPACM8)、ポリ(4,4’-メチレンビスシクロヘキシレンアゼラミド)(ポリアミドPACM9)、ポリ(4,4’-メチレンビスシクロヘキシレンセバカミド)(ポリアミドPACM10)、ポリ(4,4’-メチレンビスシクロヘキシレンドデカミド)(ポリアミドPACM12)、ポリ(4,4’-メチレンビスシクロヘキシレンテトラデカミド)(ポリアミドPACM14)、ポリ(4,4’-メチレンビスシクロヘキシレンヘキサデカミド)(ポリアミドPACM16)、ポリ(4,4’-メチレンビスシクロヘキシレンオクタデカミド)(ポリアミドPACM18)、ポリ(4,4’-メチレンビスシクロヘキシレンテレフタラミド)(ポリアミドPACMT)、ポリ(4,4’-メチレンビスシクロヘキシレンイソフタラミド)(ポリアミドPACMI)、ポリ(4,4’-メチレンビスシクロヘキシレンヘキサヒドロテレフタラミド)(ポリアミドPACMT(H))、ポリ(4,4’-メチレンビスシクロヘキシレンナフタラミド)(ポリアミドPACMN)、ポリ(4,4’-メチレンビス(2-メチル-シクロヘキシレン)アジパミド)(ポリアミドMACM6)、ポリ(4,4’-メチレンビス(2-メチル-シクロヘキシレン)スベラミド)(ポリアミドMACM8)、ポリ(4,4’-メチレンビス(2-メチル-シクロヘキシレン)アゼラミド)(ポリアミドMACM9)、ポリ(4,4’-メチレンビス(2-メチル-シクロヘキシレン)セバカミド)(ポリアミドMACM10)、ポリ(4,4’-メチレンビス(2-メチル-シクロヘキシレン)ドデカミド)(ポリアミドMACM12)、ポリ(4,4’-メチレンビス(2-メチル-シクロヘキシレン)テトラデカミド)(ポリアミドMACM14)、ポリ(4,4’-メチレンビス(2-メチル-シクロヘキシレン)ヘキサデカミド)(ポリアミドMACM16)、ポリ(4,4’-メチレンビス(2-メチル-シクロヘキシレン)オクタデカミド)(ポリアミドMACM18)、ポリ(4,4’-メチレンビス(2-メチル-シクロヘキシレン)テレフタラミド)(ポリアミドMACMT)、ポリ(4,4’-メチレンビス(2-メチル-シクロヘキシレン)イソフタラミド)(ポリアミドMACMI)、ポリ(4,4’-メチレンビス(2-メチル-シクロヘキシレン)ヘキサヒドロテレフタラミド)(ポリアミドMACMT(H))、ポリ(4,4’-メチレンビス(2-メチル-シクロヘキシレン)ナフタラミド)(ポリアミドMACMN)、ポリ(4,4’-プロピレンビスシクロヘキシレンアジパミド)(ポリアミドPACP6)、ポリ(4,4’-プロピレンビスシクロヘキシレンスベラミド)(ポリアミドPACP8)、ポリ(4,4’-プロピレンビスシクロヘキシレンアゼラミド)(ポリアミドPACP9)、ポリ(4,4’-プロピレンビスシクロヘキシレンセバカミド)(ポリアミドPACP10)、ポリ(4,4’-プロピレンビスシクロヘキシレンドデカミド)(ポリアミドPACP12)、ポリ(4,4’-プロピレンビスシクロヘキシレンテトラデカミド)(ポリアミドPACP14)、ポリ(4,4’-プロピレンビスシクロヘキシレンヘキサデカミド)(ポリアミドPACP16)、ポリ(4,4’-プロピレンビスシクロヘキシレンオクタデカミド)(ポリアミドPACP18)、ポリ(4,4’-プロピレンビスシクロヘキシレンテレフタラミド)(ポリアミドPACPT)、ポリ(4,4’-プロピレンビスシクロヘキシレンイソフタラミド)(ポリアミドPACPI)、ポリ(4,4’-プロピレンビスシクロヘキシレンヘキサヒドロテレフタラミド)(ポリアミドPACPT(H))、ポリ(4,4’-プロピレンビスシクロヘキシレンナフタラミド)(ポリアミドPACPN)、ポリイソホロンアジパミド(ポリアミドIPD6)、ポリイソホロンスベラミド(ポリアミドIPD8)、ポリイソホロンアゼラミド(ポリアミドIPD9)、ポリイソホロンセバカミド(ポリアミドIPD10)、ポリイソホロンドデカミド(ポリアミドIPD12)、ポリイソホロンテレフタラミド(ポリアミドIPDT)、ポリイソホロンイソフタラミド(ポリアミドIPDI)、ポリイソホロンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミドIPDT(H))、ポリイソホロンナフタラミド(ポリアミドIPDN)、ポリテトラメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド4T(H))、ポリペンタメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド5T(H))、ポリヘキサメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド6T(H))、ポリ(2-メチルペンタメチレンヘキサヒドロテレフタラミド)(ポリアミドM5T(H))、ポリノナメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド9T(H))、ポリ(2-メチルオクタメチレンヘキサヒドロテレフタラミド)(ポリアミドM8T(H))、ポリトリメチルヘキサメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミドTMHT(H))、ポリデカメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド10T(H))、ポリウンデカメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド11T(H))、ポリドデカメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド12T(H))、及びこれらポリアミドの原料単量体、並びに/又はこれらポリアミドの原料単量体を数種用いた共重合体、及び/若しくは前記脂肪族ポリアミド(A1)の原料単量体を数種用いた共重合体等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
また、混合するその他の熱可塑性樹脂としては、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブテン(PB)、ポリメチルペンテン(TPX)、エチレン/酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン(PS)、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)、メタクリル酸メチル/スチレン共重合体(MS)、メタクリル酸メチル/スチレン/ブタジエン共重合体(MBS)等のポリスチレン系樹脂;カルボキシル基及びその塩、酸無水物基、エポキシ基等の官能基が含有された前記ポリオレフィン系樹脂及びポリスチレン系樹脂;ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンイソフタレート(PEI)、ポリ(エチレンテレフタレート/エチレンイソフタレート)共重合体(PET/PEI)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート(PCT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリアリレート(PAR)、液晶ポリエステル(LCP)、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)等のポリエステル系樹脂;ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンエーテル(PPO)等のポリエーテル系樹脂;ポリサルホン(PSU)、ポリエーテルスルホン(PESU)、ポリフェニルサルホン(PPSU)等のポリサルホン系樹脂;ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリチオエーテルサルホン(PTES)等のポリチオエーテル系樹脂;ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリエーテルエーテルエーテルケトン(PEEEK)、ポリエーテルエーテルケトンケトン(PEEKK)、ポリエーテルケトンケトンケトン(PEKKK)、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン(PEKEKK)等のポリケトン系樹脂;ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメタクリロニトリル、アクリロニトリル/スチレン共重合体(AS)、メタクリロニトリル/スチレン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS)、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体(NBR)等のポリニトリル系樹脂;ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリメタクリル酸エチル(PEMA)等のポリメタクリレート系樹脂;ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、塩化ビニル/塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニリデン/アクリル酸メチル共重合体等のポリビニル系樹脂;酢酸セルロース、酪酸セルロース等のセルロース系樹脂;ポリカーボネート(PC)等のポリカーボネート系樹脂;熱可塑性ポリイミド(TPI)、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエステルアミドイミド等のポリイミド系樹脂;熱可塑性ポリウレタン系樹脂;ポリアミドエラストマー、ポリウレタンエラストマー、ポリエステルエラストマー等が挙げられ、場合により、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロルフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体(ETFE)、エチレン/クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/ビニリデンフルオライド共重合体(THV)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/フッ化ビニリデン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、クロロトリフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)/テトラフルオロエチレン共重合体(CPT)等のフッ素系樹脂が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
更に、脂肪族ポリアミド(A)には、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、滑剤、無機充填剤、帯電防止剤、難燃剤、結晶化促進剤、着色剤等を添加してもよい。
2.(b)層
積層チューブの(b)層は、接着用ポリエステルエラストマー組成物(B)を含む。
[接着用ポリエステルエラストマー組成物(B)]
接着用ポリエステルエラストマー組成物(B)は、カルボジイミド基と反応する官能基を有するポリエステルエラストマー(B1)と、カルボジイミド基含有化合物(B2)とを反応させることにより得られ、カルボジイミド基を有する化合物から誘導される構成単位を含有する(以下、接着用ポリエステルエラストマー組成物(B)と称する場合がある。)。カルボジイミド基と反応する官能基を有するポリエステルエラストマー(B1)とカルボジイミド基含有化合物(B2)は、共に固体であることが好ましい。
[カルボジイミド基と反応する官能基を有するポリエステルエラストマー(B1)]
カルボジイミド基と反応する官能基を有するポリエステルエラストマー(B1)は、ポリエステルエラストマー(b1)に、カルボジイミド基と反応する官能基を有する化合物(b2)(以下、化合物(b2)と称する場合がある。)を導入することにより得られる(以下、カルボジイミド基と反応する官能基を有するポリエステルエラストマー(B1)と称する場合がある。)。
[ポリエステルエラストマー(b1)]
ポリエステルエラストマー(b1)は、飽和ポリエステルエラストマーであることが好ましく、ポリアルキレンエーテルグリコールからなるソフトセグメントを含有する飽和ポリエステルエラストマーであることがより好ましい。例えば、ハードセグメントとして、芳香族ポリエステル、ソフトセグメントとして、ポリアルキレンエーテルグリコール及び/又は脂肪族ポリエステルからなるものが好ましい。ソフトセグメントとして、ポリアルキレンエーテルグリコールを使用したポリエステルポリエーテルブロック共重合体がより好ましい。
ポリエステルポリエーテルブロック共重合体としては、炭素原子数2以上12以下の脂肪族及び/又は脂環式ジオールと、芳香族ジカルボン酸及び/又は脂環式ジカルボン酸又はそれらのエステル形成性誘導体、並びにポリアルキレンエーテルグリコールとを原料とし、エステル化反応又はエステル交換反応により得られたオリゴマーを重縮合させたものが好ましい。
炭素原子数2以上12以下の脂肪族及び/又は脂環式ジオールとしては、ポリエステルの原料、特に、ポリエステル系熱可塑性エラストマーの原料として通常用いられるものが使用でき、例えば、1,2-エタンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、1,10-デカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,3-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール等が挙げられ、これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、1,2-エタンジオール、1,4-ブタンジオールが好ましく、1,4-ブタンジオールがより好ましい。
芳香族ジカルボン酸及び/又は脂環式ジカルボン酸としては、ポリエステルの原料、特に、ポリエステル系熱可塑性エラストマーの原料として一般的に用いられているものが使用でき、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、テレフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸が好ましく、テレフタル酸がより好ましい。芳香族ジカルボン酸及び/又は脂環式ジカルボン酸のエステル形成性誘導体としては、前記ジカルボン酸のジメチルエステル、ジエチルエステル等のアルキルエステルが挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、テレフタル酸ジメチル、2,6-ナフタレン酸ジメチルが好ましい。
また、前記成分以外に3官能性のトリオール、トリカルボン酸、又はそれらのエステル形成性誘導体を少量共重合させてもよく、更に、アジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸又はそのジアルキルエステルも共重合することもできる。
前記ポリアルキレンエーテルグリコールとしては、その数平均分子量は、400以上6,000以下であることが好ましく、500以上4,000以下であることがより好ましく、600以上3,000以下であることが更に好ましい。ポリアルキレンエーテルグリコールの数平均分子量が前記の値未満であると、共重合体のブロック性が不足することがあり、一方、前記の値を超えると、系内での相分離が起き易くポリマーの物性が低下する傾向がある。尚、ここで、数平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定されたものを言う。GPCのキャリブレーションには、英国POLYMERLABORATORIES社のPOLYTETRAHYDROFURANキャリブレーションキットを使用すればよい。
ポリアルキレンエーテルグリコールの具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリ(プロピレンエーテル)グリコール、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンエーテル)グリコール等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコールが好ましい。
ポリエステルエラストマー(b1)として、ポリエステル及びポリアルキレンエーテルグリコールとからなるポリエステルポリエーテルブロック共重合体を用いる場合、ポリアルキレンエーテルグリコール成分の含有量は、生成するブロック共重合体100質量%に対して、5質量%以上90質量%以下であることが好ましく、30質量%以上85質量%以下であることがより好ましく、50質量%以上80質量%以下であることが更に好ましい。ポリアルキレンエーテルグリコール成分の含有量が前記範囲内にあることにより、柔軟性、耐衝撃性、硬度、及び機械的強度に優れるものとなり、後記カルボジイミド基と反応する官能基を有する化合物(b2)の導入が容易となる。
ポリアルキレンエーテルグリコール成分の含有量は、1H-NMRを使用し、その水素原子の化学シフトとその含有量に基づいて算出することができる。
[カルボジイミド基と反応する官能基を有する化合物(b2)]
カルボジイミド基と反応する官能基を有する化合物(b2)としては、例えば、カルボジイミド基との反応性を有する活性水素を持つ官能基を有する化合物が挙げられる(以下、化合物(b2)と称する場合がある。)。具体的には、カルボン酸、アミン、アルコール、チオール等に由来する官能基を有する化合物等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、カルボン酸に由来する官能基を有する化合物が好ましく、不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体がより好ましい。また、活性水素を持つ官能基を有する化合物以外でも、水等により容易に活性水素を持つ官能基に変換される官能基を有する化合物も好ましい。具体的には、エポキシ基、グリシジル基を有する化合物等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体は、カルボン酸基を1つ以上有する不飽和化合物及びその誘導体であり、不飽和基としては、例えば、ビニル基、ビニレン基、不飽和環状炭化水素基が挙げられる。
不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、メサコン酸、シトラコン酸、グルタコン酸、テトラヒドロフタル酸、エンドビシクロ-[2.2.1]-5-ヘプテン-2,3-ジカルボン酸等の不飽和カルボン酸;2-オクテン-1-イルコハク酸無水物、2-ドデセン-1-イルコハク酸無水物、2-オクタデセン-1-イルコハク酸無水物、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、1-ブテン-3,4-ジカルボン酸無水物、1-シクロペンテン-1,2-ジカルボン酸無水物、テトラヒドロ無水フタル酸、3,6-エポキシ-1,2,3,6-テトラヒドロ無水フタル酸、エンドビシクロ-[2.2.1]-5-ヘプテン-2,3-ジカルボン酸無水物、エンドビシクロ-[2.2.1]-5-オクテン-2,3-ジカルボン酸無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸無水物等の不飽和カルボン酸無水物;塩化マレニル、マレニルイミド、マレイン酸ジメチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジメチル、シトラコン酸ジエチル、テトラヒドロフタル酸ジメチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン-5,6-ジカルボン酸ジメチル、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アミノエチルアクリレート、アミノエチルメタクリレート、アミノプロピルアクリレート、アミノプロピルメタクリレート等の不飽和カルボン酸エステルが挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
これらの中でも、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、エンドビシクロ-[2.2.1]-5-ヘプテン-2,3-ジカルボン酸無水物、アクリル酸、メタクリル酸、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、アミノプロピルメタクリレートが好ましく、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、エンドビシクロ-[2.2.1]-5-ヘプテン-2,3-ジカルボン酸無水物のジカルボン酸無水物がより好ましい。
不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体は有機溶剤等に溶解して使用することもできる。
化合物(b2)をポリエステルエラストマー(b1)に導入する方法としては、公知の方法を採用することが可能であるが、例えば、ポリエステルエラストマー(b1)に化合物(b2)を反応させることによって行われる。そして、この反応は、活性水素化合物の存在下に行うことにより、高分子量化反応と同時に行うこともできる。この反応に際しては、ラジカル発生剤を使用するのが好ましい。この反応においては、ポリエステルエラストマー(b1)に化合物(b2)が付加するグラフト反応が主として起こるが、分解反応も起こる。その結果、カルボジイミド基と反応する官能基を有するポリエステルエラストマー(B1)の分子量が低下し、溶融粘度が低くなる。また、前記の変性反応においては、通常、他の反応として、エステル交換反応等も起こるものと考えられ、得られる反応物は、一般的には、未反応原料等を含む組成物であるが、カルボジイミド基と反応する官能基を有するポリエステルエラストマー(B1)単独であってもよい。反応物が組成物の場合、カルボジイミド基と反応する官能基を有するポリエステルエラストマー(B1)の含有率は、10質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましい。
ラジカル発生剤としては、t-ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、2,5-ジメチルへキサン-2,5-ジハイドロパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ビス(ターシャリーブチルオキシ)ヘキサン、3,5,5-トリメチルへキサノイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシベンゾエート、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、1,3-ビス(t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジブチルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、過酸化カリウム、過酸化水素等の有機及び無機の過酸化物;2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(イソブチルアミド)ジハライド、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、アゾジ-t-ブタン等のアゾ化合物;ジクミル等の炭素ラジカル発生剤等が挙げられる。前記ラジカル発生剤は、変性反応に使用するポリエステルエラストマーの種類、カルボキシル基及び/又は酸無水物基を有する不飽和化合物の種類、及び変性条件に応じて適宜選択することができ、1種又は2種以上を用いることができる。
ラジカル発生剤は有機溶剤等に溶解して使用することもできる。
カルボジイミド基と反応する官能基を有するポリエステルエラストマー(B1)を得るために、溶融混練反応法、溶液反応法、懸濁分散反応等の公知の反応方法を使用することができるが、通常は、溶融混練反応法が好ましい。
溶融混練反応法による場合は、前記の各成分と、必要に応じてその他添加剤を所定の配合割合にて、均一に混合した後に、溶融混練すればよい。混合には、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、V型ブレンダー等を用いて均一に混合した後、溶融混練には、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール、一軸又は二軸等の多軸混練押出機等が使用される。また、後記活性水素化合物とその他の任意成分を、途中から供給して溶融混練してもよい。溶融混練温度は、樹脂が熱劣化しないように、100℃以上300℃以下であることが好ましく、120℃以上280℃以下であることがより好ましく、150℃以上250℃以下であることが更に好ましい。
化合物(b2)の配合量は、ポリエステルエラストマー(b1)100質量部に対して、0.01質量部以上30質量部以下であることが好ましく、0.05質量部以上5質量部以下であることがより好ましく、0.1質量部以上1質量部以下であることが更に好ましい。化合物(b2)の配合量が前記の値未満であると、変性が不十分で、後記カルボジイミド基含有化合物(B2)との反応性が発現しない場合がある。一方、前記の値を超えると、生成するカルボジイミド基と反応する官能基を有するポリエステルエラストマー(B1)の溶融時の粘度が低下して、成形困難となる場合がある。
ラジカル発生剤の配合量は、ポリエステルエラストマー(b1)100質量部に対して、0.001質量部以上3質量部以下であることが好ましく、0.005質量部以上0.5質量部以下であることがより好ましく、0.01質量部以上0.2質量部以下であることが更に好ましく、0.01質量部以上0.1質量部以下であることが特に好ましい。ラジカル発生剤の配合量が前記の値未満であると、反応が不十分で、所望のカルボジイミド基と反応する官能基を有するポリエステルエラストマー(B1)が得られない場合がある。一方、前記の値を超えると、ポリエステルエラストマー(b1)と化合物(b2)の反応時に低分子量化(粘度低下)が大きく、カルボジイミド基と反応する官能基を有するポリエステルエラストマー(B1)の材料強度が著しく低下する場合がある。
また、カルボジイミド基と反応する官能基を有するポリエステルエラストマー(B1)の変性率(グラフト量)は、1H-NMR測定により得られるスペクトルから、下記の式に従って求めることができる。
グラフト量(質量%)=100×(C÷3×98)/{(A×148÷4)+(B×72÷4)+(C÷3×98)}
(但し、式中のAは7.8~8.4ppmの積分値、Bは1.2~2.2ppmの積分値、Cは2.4~2.9ppmの積分値である。)
前記のようにして求めたカルボジイミド基と反応する官能基を有するポリエステルエラストマー(B1)の変性率(グラフト量)は、0.01質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.03質量%以上7質量%以下であることがより好ましく、0.05質量%以上5質量%以下であることが更に好ましい。変性率(グラフト量)が前記の値未満であると、官能基が少なすぎるため、後記カルボジイミド基含有化合物(B2)との反応性の発現が期待できない場合があり、一方、前記の値を超えると、変性の過程における分子劣化のため、カルボジイミド基と反応する官能基を有するポリエステルエラストマー(B1)の材料強度が低下してしまう場合がある。
[カルボジイミド基含有化合物(B2)]
カルボジイミド基含有化合物(B2)は、カルボジイミド基(R1-N=C=N-)で示される繰り返し単位を有するポリカルボジイミドである。ここで、R1は、炭素原子数2以上40以下の2価の有機基を表す。
カルボジイミド基含有化合物(B2)としては、ポリ(1,6-ヘキサメチレンカルボジイミド)、ポリ(4,4’-メチレンビスシクロヘキシルカルボジイミド)、ポリ(1,3-シクロヘキシレンカルボジイミド)、ポリ(1,4-シクロヘキシレンカルボジイミド)、ポリ(4,4’-ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(3,3’-ジメチル-4,4’-ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(ナフチレンカルボジイミド)、ポリ(p-フェニレンカルボジイミド)、ポリ(m-フェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリルカルボジイミド)、ポリ(ジイソプロピルカルボジイミド)、ポリ(メチル-ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリエチルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(トリイソプロピルフェニレンカルボジイミド)等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、入手の容易さの観点から、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)カルボジイミド、ポリ(4,4’-ジシクロヘキシルメタンカルボジイミド)、ポリ(1,3,5-トリイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(1,3,5-トリイソプロピルフェニレン及び/又は1,5-ジイソプロピルフェニレン)カルボジイミドが好ましく、市販品として、日清紡製カルボジライト、ラインケミー製スタバクゾール等が挙げられる。
カルボジイミド基含有化合物(B2)は、種々の方法で製造したものを使用することができるが、基本的には、従来のポリカルボジイミドの製造方法(米国特許第2941956号明細書、特公昭47-33279号公報、J.Org.Chem.28、2069-2075(1963)、Chemcal Review 1981,Vo1.81 No.4 p.619-621)により製造したものを用いることができる。一般的には、有機ジイソシアネートの脱カルボキシル基を伴う縮合反応により、イソシアネート末端を有するカルボジイミドが製造される。イソシアネート基含有率は、0.1%以上5%以下であることが好ましく、1%以上3%以下であることがより好ましい。
尚、カルボジイミド基含有化合物(B2)を製造する際に合成原料として使用可能なジイソシアネートとしては、例えば、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、芳香族ジイソシアネート等が挙げられ、具体的には、1,6-へキサンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、2,6-ナフタレンジイソシアネート、2,7-ナフタレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,6-ジイソプロピルフェニルイソシアネート、1,3,5-トリイソプロピルベンゼン-2,4-ジイソシアネート等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
尚、前記ジイソシアネートの内、芳香族イソシアネートを用いたカルボジイミド化合物は、一般的に熱硬化性樹脂であるため、溶融混練を行うと、自己架橋が起こり、樹脂内部にカルボジイミド化合物の固まりが残存し、混練が不十分となって好ましくない。従って、押出し時等における溶融混練性の面から、カルボジイミド基含有化合物(B2)は、脂肪族及び/又は脂環式イソシアネート由来のカルボジイミド化合物が好ましい。
また、カルボジイミド基含有化合物(B2)の製造方法においては、脱炭酸縮合反応の際に、カルボジイミドの末端イソシアネートと反応して封止する化合物、例えば、モノイソシアネート等を用いることにより、ポリカルボジイミドの重合度を適切に制御することができる。モノイソシアネートの具体例としては、フェニルイソシアネート、トリルイソシアネート、ジメチルフェニルイソシアネート、ナフチルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、ブチルイソシアネート等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
尚、ポリカルボジイミドの末端を封止してその重合度を制御するための末端封止剤としては、前記モノイソシアネートに限定されることはなく、イソシアネート基と反応し得る活性水素を有する活性水素化合物を使用することができる。このような活性水素化合物としては、活性水素を有する脂肪族、芳香族、脂環式の広範囲の化合物を使用でき、具体的には、メタノール、エタノール、フェノール、シクロヘキサノール、N-メチルエタノールアミン、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピレングリコールモノメチルエーテル等の水酸基を有する化合物;ジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等の2級アミン;ブチルアミン、シクロヘキシルアミン等の1級アミン;コハク酸、安息香酸、シクロヘキサンカルボン酸等のカルボン酸;エチルメルカプタン、アリルメルカプタン、チオフェノール等のチオール類;エポキシ基を有する化合物等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
カルボジイミド基含有化合物(B2)をジイソシアネート化合物の脱炭酸縮合反応により製造する際に使用するカルボジイミド化触媒としては、例えば、1-フェニル-2-ホスホレン-1-オキシド、3-メチル-1-フェニル-2-ホスホレン-1-オキシド、1-エチル-2-ホスホレン-1-オキシド、3-メチル-2-ホスホレン-1-オキシド、これらの3-ホスホレン異性体等のホスホレンオキシド、チタン酸テトラブチル等の金属触媒等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、反応性の観点から3-メチル-1-フェニル-2-ホスホレン-1-オキシドが好ましい。
カルボジイミド基含有化合物(B2)のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により求めたポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は、400以上500,000以下であることが好ましく、700以上10,000以下であることがより好ましく、1,000以上8,000以下であることが更に好ましく、1,000以上4,000以下であることが特に好ましい。数平均分子量(Mn)が前記の範囲にあることにより、カルボジイミド基と反応する官能基を有するポリエステルエラストマー(B1)との反応性に優れる。これらカルボジイミド基含有化合物(B2)は、ポリカルボジイミド中にモノカルボジイミドを含んでもよい。
また、カルボジイミド基含有化合物(B2)1分子におけるカルボジイミド基数が多くなるほど、カルボジイミド基と反応する官能基を有するポリエステルエラストマー(B1)との反応性を高めることができる。このことから、カルボジイミド基含有化合物(B2)1分子中のカルボジイミド基数は、5個以上30個以下であることが好ましく、10個以上30個以下であることがより好ましい。1分子中のカルボジイミド基数が前記の範囲にあることにより、架橋構造が形成されにくくなり、成形性が良好となる。
カルボジイミド基含有化合物(B2)におけるカルボジイミド基の含有量は、13C-NMR、IR、滴定法等により測定でき、カルボジイミド基当量として把握することが可能である。13C-NMRでは130~142ppm、IRでは2130~2140cm-1にピークを観察することが可能である。
13C-NMR測定は、試料0.35gをヘキサクロロブタジエン2.0mlに加熱溶解させる。この溶液をグラスフィルター(G2)で濾過した後、重水素化ベンゼン0.5mlを加え、内径10mmのNMRチューブに装入する。そして日本電子(株)社製GX-500型NMR測定装置を用い、120℃で13C-NMR測定を行う。積算回数は、10,000回以上とする。
接着用ポリエステルエラストマー組成物(B)は、カルボジイミド基と反応する官能基を有するポリエステルエラストマー(B1)及びカルボジイミド基含有化合物(B2)とを、200℃以上にて反応させることにより得られる。具体的には、溶融変性等のように、溶融混練することにより得ることが可能であるが、この方法に限定されるものではない。
カルボジイミド基と反応する官能基を有するポリエステルエラストマー(B1)とカルボジイミド基含有化合物(B2)を、溶融混練の方法は、特に限定はされないが、例えば、ヘンシェルミキサー、V型ブレンダー、タンブラーブレンダー、リボンブレンダー等に装入して混練した後、単軸押出機、多軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等で溶融混練する方法が挙げられる。これらの中でも、多軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー等の混練性能に優れた装置を使用すると、各成分がより均一に分散・反応された接着用ポリエステルエラストマー組成物(B)を得ることができるため好ましい。
カルボジイミド基と反応する官能基を有するポリエステルエラストマー(B1)とカルボジイミド基含有化合物(B2)は、予め混合した後にホッパーから供給する方法、一部の成分をホッパーから供給し、ホッパー部付近から押出機先端の間の任意の部分に設置した供給口よりその他の成分を供給する方法のいずれの方法を取ることも可能である。
前記各成分を溶融混練する際の温度は、混合する各成分の融点の内、最も高い融点以上で反応させることができるが、200℃以上320℃以下であることが好ましく、220℃以上300℃以下であることがより好ましく、230℃以上280℃以下であることが更に好ましい。
接着用ポリエステルエラストマー組成物(B)中のカルボジイミド基の含有量は、接着用ポリエステルエラストマー組成物(B)100g当たり、0.1mmol以上50mmol以下であることが好ましく、0.2mmol以上40mmol以下であることがより好ましく、0.5mmol以上30mmol以下であることが更に好ましい。カルボジイミド基の含有量が前記の範囲にあることにより、得られる積層チューブの層間接着性及びその耐久性に優れるとともに、カルボジイミド基含有化合物(B2)を介したカルボジイミド基と反応する官能基を有するポリエステルエラストマー(B1)の反応を抑制することができる。
接着用ポリエステルエラストマー組成物(B)中のカルボジイミド基の含有量は、カルボジイミド基含有化合物(B2)の仕込み量から算出することができ、また、13C-NMR、IR、滴定法等により測定することもでき、カルボジイミド基当量として把握することが可能である。13C-NMRでは130~142ppm、IRでは2130~2140cm-1にピークを観察することが可能である。
接着用ポリエステルエラストマー組成物(B)は、前記のように、カルボジイミド基含有化合物(B2)のカルボジイミド基(NCN)が、カルボジイミド基と反応する官能基を有するポリエステルエラストマー(B1)のカルボジイミド基と反応する官能基と反応することで製造されるが、反応の過程である程度のカルボジイミド基が消費され、ポリエステルエラストマーの分子鎖として繋がっているカルボジイミド基の残基が前記脂肪族ポリアミド組成物(A)、後記ポリアルキレンフランジカルボキシレート組成物(C)等との接着性に寄与する。カルボジイミド基の含有量が前記の値を超えると、カルボジイミド基と反応する官能基を有するポリエステルエラストマー(B1)に対して、接着用ポリエステルエラストマー組成物(B)中に過剰の遊離カルボジイミド基が存在することになり、得られる積層チューブの層間接着性及び成形加工性が低下する場合がある。
また、後記の方法により、カルボジイミド基と反応する官能基を有するポリエステルエラストマー(B1)とカルボジイミド基含有化合物(B2)との反応率を評価することができる。
前記カルボジイミド基と反応する官能基を有するポリエステルエラストマー(B1)(リファレンス)と接着用ポリエステルエラストマー組成物(B)とに対し、各々の熱プレスシートを作成した後に、赤外吸収分析装置を用いて赤外線吸収を測定する。得られたチャートから、カルボジイミド基と反応する官能基を有するポリエステルエラストマー(B1)中のカルボジイミド基と反応する官能基に由来する吸光度と、カルボジイミド基と反応する官能基を有するポリエステルエラストマー(B1)中のカルボジイミド基と反応する官能基に由来する吸光度と接着用ポリエステルエラストマー組成物(B)中のカルボジイミド基と反応する官能基に由来する吸光度との差を比較して、下記式(α1)を用いて反応率を計算できる。尚、カルボジイミド基と反応する官能基として無水マレイン酸に由来する官能基を用いた場合は、1790cm-1付近の吸光度を用いることができる。
反応率(%)={X/Y}×100・・・式(α1)
X=カルボジイミド基と反応する官能基を有するポリエステルエラストマー(B1)中のカルボジイミド基と反応する官能基に由来する吸光度と、接着用ポリエステルエラストマー組成物(B)中のカルボジイミド基と反応する官能基に由来する吸光度との差
Y=カルボジイミド基と反応する官能基を有するポリエステルエラストマー(B1)中のカルボジイミド基と反応する官能基に由来する吸光度
接着用ポリエステルエラストマー組成物(B)における前記方法で求めた反応率は、40%以上100%以下であることが好ましく、60%以上100%以下であることがより好ましく、80%以上100%以下であることが更に好ましい。
接着用ポリエステルエラストマー組成物(B)については、JIS K-6253に従い、デュロメータタイプDによる硬度(JIS-D硬度)は、10以上80以下であることが好ましく、15以上70以下であることがより好ましく、20以上60以下であることが更に好ましい。JIS-D硬度が前記の値未満であると、機械的強度が劣る場合があり、一方、前記の値を超えると、接着用ポリエステルエラストマー組成物(B)のゴム弾性及び得られる積層チューブの層間接着性が劣る場合がある。
更に、接着用ポリエステルエラストマー組成物(B)のMFR(230℃、2.16kg荷重)は、1g/10分以上300g/10分以下であることが好ましく、3g/10分以上150g/10分以下であることがより好ましく、5g/10分以上100g/10分以下であることが更に好ましい。MFRが前記の値を超えると、溶融張力が小さ過ぎて、成形時にドローダウン等の問題が発生する場合がある。一方、前記の値未満であると、流動性が不足して成形性が悪化する場合がある。
尚、カルボジイミド基は吸水によってウレア基へ変わるが、ウレア基でも前記脂肪族ポリアミド組成物(A)、後記ポリアルキレンフランジカルボキシレート組成物(C)等との高い反応性を発揮する。従って、接着用ポリエステルエラストマー組成物(B)中には、カルボジイミド基が、例えば、大気中の水等によりウレア基へ変換されているポリエステルエラストマーが含まれていても構わない。
接着用ポリエステルエラストマー組成物(B)は、カルボジイミド基と反応する官能基を有するポリエステルエラストマー(B1)とカルボジイミド基含有化合物(B2)とが反応したポリエステルエラストマーを含むが、本発明の目的を損なわない範囲で、カルボジイミド基と反応する官能基を有するポリエステルエラストマー(B1)及びカルボジイミド基を好ましくは有するポリエステルエラストマーと異なる樹脂を含んでも構わない。このような樹脂としては、例えば、未変性ポリエステルエラストマーの他、カルボジイミド基と反応する官能基を有する変性された樹脂等が挙げられ、例えば、カルボン酸、カルボン酸無水物変性された樹脂、イミン変性された樹脂等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。また、接着用ポリエステルエラストマー組成物(B)は、未反応のポリエステルエラストマー(b1)を含んでもよい。
接着性を更に向上させるために、スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、フェニルスチレン、o-メチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、o-クロロスチレン、o-クロロメチルスチレン等のビニル芳香族単量体等を変性助剤として添加することもできる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。例えば、粘着付与剤の含有量は、接着用ポリエステルエラストマー組成物(B)100質量%に対して、0質量%以上30質量%以下であることが好ましい。
接着用ポリエステルエラストマー組成物(B)には、目的に応じて任意の成分を添加することができる。具体的には、樹脂成分、ゴム成分、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、ガラス繊維等の充填剤、パラフィンオイル等の可塑剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、滑剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、架橋剤、架橋助剤、着色剤、難燃剤、分散剤、帯電防止剤、防菌剤、蛍光増白剤等の各種添加物を添加することができる。
3.(c)層
積層チューブの(c)層は、ポリアルキレンフランジカルボキシレート組成物(C)を含む。
[ポリアルキレンフランジカルボキシレート組成物(C)]
ポリアルキレンフランジカルボキシレート組成物(C)は、ポリアルキレンフランジカルボキシレート(C1)を含み、前記ポリアルキレンフランジカルボキシレート組成物(C)中に、前記ポリアルキレンフランジカルボキシレート(C1)が60質量%以上含まれ、前記ポリアルキレンフランジカルボキシレート(C1)は、前記ポリアルキレンフランジカルボキシレート(C1)の全ジカルボン酸単位に対して、フランジカルボン酸単位を50モル%以上含み、前記ポリアルキレンフランジカルボキシレート(C1)の全ジオール単位に対して、脂肪族ジオール単位を50モル%以上含む(以下、ポリアルキレンフランジカルボキシレート組成物(C)と称する場合がある。)。
[ポリアルキレンフランジカルボキシレート(C1)]
ポリアルキレンフランジカルボキシレート(C1)は、ポリアルキレンフランジカルボキシレート(C1)の全ジカルボン酸単位に対して、フランジカルボン酸単位を50モル%以上含むジカルボン酸単位と、ポリアルキレンフランジカルボキシレート(C1)の全ジオール単位に対して、脂肪族ジオール単位を50モル%以上含むジオール単位を含有する(以下、ポリアルキレンフランジカルボキシレート(C1)と称する場合がある。)。
ポリアルキレンフランジカルボキシレート(C1)中のフランジカルボン酸単位の含有量は、得られる積層チューブの耐熱性、耐薬品性、耐衝撃性、薬液バリア性等の諸物性を十分に確保する観点から、ポリアルキレンフランジカルボキシレート(C1)の全ジカルボン酸単位に対して、50モル%以上であり、55モル%以上であることが好ましく、60モル%以上であることがより好ましい。
フランジカルボン酸単位としては、2,5-フランジカルボン酸、2,4-フランジカルボン酸、2,3-フランジカルボン酸、3,4-フランジカルボン酸等から誘導される単位が挙げられる。また、これらの酸無水物及び/又はエステル形成性誘導体から誘導される単位であってもよい。エステル形成性誘導体としては、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、ヘキシルエステル、オクチルエステル等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、製造性(未反応モノマー残存性)、耐熱性、入手の容易さ等の観点から、2,5-フランジカルボン酸、2,5-フランジカルボン酸ジメチル、2,5-フランジカルボン酸ジエチル、2,5-フランジカルボン酸ジプロピルが好ましい。
ポリアルキレンフランジカルボキシレート(C1)中のジカルボン酸単位は、得られる積層チューブの優れた諸特性を損なわない範囲内であれば、フランジカルボン酸単位以外の他のジカルボン酸単位を含んでいてもよい。他のジカルボン酸単位としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、1,6-ナフタレンジカルボン酸、2,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、4,4’-ジフェニルエーテルジカルボン酸、3,4’-ジフェニルメタンジカルボン酸、4,4’-ジフェニルメタンジカルボン酸、4,4’-ジフェニルエタンジカルボン酸、4,4’-ジフェニルプロパンジカルボン酸、4,4’-ジフェニルオクタンジカルボン酸、4,4’-ジフェニルケトンジカルボン酸、4,4’-ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4’-ジフェニルスルフィドジカルボン酸、4,4’-ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルエーテル-4,4’-ジカルボン酸、ジフェニルチオエーテル-4,4’-ジカルボン酸、テトラリンジカルボン酸、6,6’-(アルキレンジオキシ)ジ-2-ナフトエ酸、3-スルホイソフタル酸ナトリウム、3-スルホイソフタル酸カリウム等の3-スルホイソフタル酸アルカリ金属塩、5-スルホイソフタル酸ナトリウム、5-スルホイソフタル酸カリウム等の5-スルホイソフタル酸アルカリ金属塩等の芳香族ジカルボン酸から誘導される単位;シュウ酸、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、2-メチルアジピン酸、ピメリン酸、2,2-ジメチルグルタル酸、2,2-ジエチルコハク酸、スベリン酸、アゼライン酸、2,2,4-トリメチルアジピン酸、2,4,4-トリメチルアジピン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸等の脂肪族ジカルボン酸から誘導される単位;シクロブタンジカルボン酸、1,2-シクロペンタンジカルボン酸、1,3-シクロペンタンジカルボン酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、ジシクロヘキシル-4,4’-ジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸、トリシクロデカンジカルボン酸、アダマンタンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸から誘導される単位が挙げられる。また、これらジカルボン酸単位は、前記エステル形成性誘導体から誘導される単位であってもよい。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これら他のジカルボン酸単位の含有量は、ポリアルキレンフランジカルボキシレート(C1)の全ジカルボン酸単位に対して、50モル%未満であり、45モル%以下であることが好ましく、40モル%以下であることがより好ましい。
また、ポリアルキレンフランジカルボキシレート(C1)中の脂肪族ジオール単位の含有量は、得られる積層チューブの耐熱性、耐衝撃性、耐薬品性、薬液バリア性等の諸物性を十分に確保する観点から、ポリアルキレンフランジカルボキシレート(C1)の全ジオール単位に対して、50モル%以上であり、55モル%以上であることが好ましく、60モル%以上であることがより好ましい。
脂肪族ジオール単位としては、炭素原子数2以上12以下の脂肪族ジオールから誘導される単位が好ましい。炭素原子数2以上12以下の脂肪族ジオール単位としては、例えば、1,2-エタンジオール(エチレングリコール)、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、1,6-ヘキサンジオール、2-エチル-2-メチル-1,3-プロパンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,7-ヘプタンジオール、2-メチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、オクタエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等が挙げられる。また、これらジオール単位は、前記エステル形成性誘導体から誘導される単位であってもよい。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、1,2-エタンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオールが好ましい。
また、ポリアルキレンフランジカルボキシレート(C1)中のジオール単位は、得られる積層チューブの優れた諸特性を損なわない範囲内であれば、脂肪族ジオール単位以外の他のジオール単位を含んでいてもよい。他のジオール単位としては、シクロブタンジオール、1,2-シクロヘキサンジオール、1,3-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジオール、2-メチル-1,4-シクロヘキサンジオール、シクロオクタンジオール、シクロデカンジオール、シクロドデカンジオール、1,5-デカリンジオール、2,3-デカリンジオール、2,6-デカリンジオール、2,3-ノルボルナンジオール、2,5-ノルボルナンジオール、ビス(ヒドロキシ)トリシクロ[5.2.1.02.6]デカン、ビス(ヒドロキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02.6]デカン、ビス(ヒドロキシ)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7 .09,13]ペンタデカン、ビス(ヒドロキシメチル)ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7 .09,13]ペンタデカン、1,3-アダマンタンジオール、イソソルビド、イソマンニド、イソイデット、2,5-ビス(ヒドロキシメチル)フラン、1,4-アンヒドロエリスリトール、3,9-ビス(1,1-ジメチル-2-ヒドロキシエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン(スピログリコール)、3,9-ビス(1,1-ジエチル-2-ヒドロキシエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、3,9-ビス(1,1-ジプロピル-2-ヒドロキシエチル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、2-(1,1-ジメチル-2-ヒドロキシエチル)-5-エチル-5-ヒドロキシメチル-1,3-ジオキサン、2-(1,1-ジメチル-2-ヒドロキシエチル)-5,5-ジメチル-1,3-ジオキサン-4-オール、1,2-インダンジオール、1,3-インダンジオール、6,6’-ジヒドロキシ-3,3,3’,3’,7,7’-ヘキサメチル-1,1’-スピロビインダン、6,6’-ジヒドロキシ-3,3,3’,3’-テトラメチル-7,7’-ジエチル-1,1’-スピロビインダン、6,6’-ジヒドロキシ-3,3,3’,3’-テトラメチル-7,7’-ジプロピル-1,1’-スピロビインダン、6,6’-ジヒドロキシ-3,3,3’,3’-テトラメチル-7,7’-ジイソプロピル-1,1’-スピロビインダン、6,6’-ジヒドロキシ-3,3,3’,3’-テトラメチル-7,7’-ジブチル-1,1’-スピロビインダン、6,6’-ジヒドロキシ-3,3,3’,3’-テトラメチル-7,7’-ジ-t-ブチル-1,1’-スピロビインダン、6,6’-ジヒドロキシ-3,3,3’,3’-テトラメチル-7,7’-ジフェニル-1,1’-スピロビインダン、6,6’-ジヒドロキシ-3,3,3’,3’-テトラメチル-7,7’-ジシクロヘキシル-1,1’-スピロビインダン等の脂環族ジオールから誘導される単位;レゾルシン、3-メチルレゾルシン、3-エチルレゾルシン、3-プロピルレゾルシン、3-ブチルレゾルシン、3-t-ブチルレゾルシン、3-フェニルレゾルシン、3-クミルレゾルシン、カテコール、ハイドロキノン、3-メチルハイドロキノン、3-エチルハイドロキノン、3-プロピルハイドロキノン、3-ブチルハイドロキノン、3-t-ブチルハイドロキノン、3-フェニルハイドロキノン、3-クミルハイドロキノン、2,3,5,6-テトラメチルハイドロキノン、2,3,4,6-テトラ-t-ブチルハイドロキノン、o-キシリレングリコール、m-キシリレングリコール、p-キシリレングリコール、1,4-ジヒドロキシナフタレン、1,5-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、2,7-ジヒドロキシナフタレン、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン(ビスフェノールF)、ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メタン(ビスフェノールC)、ビス(4-ヒドロキシ-3-エチルフェニル)メタン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)メタン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルフェニル)メタン、ビス-(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルフェニル)メタン、ビス-(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)メタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシ-2-t-ブチルフェニル)フェニルメタン、ビス-(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルフェニル)フェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシ-2-メチル-5-t-ブチルフェニル)フェニルメタン、ビス(4-ヒドロキシ-2-t-ブチル-5-メチルフェニル)フェニルメタン、ビビス(4-ヒドロキシフェニル)ナフチルメタン、ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)ナフチルメタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン(ビスフェノールBP)、ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)ジフェニルメタン、ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]ジフェニルメタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン(ビスフェノールE)、1,1-(2-ヒドロキシフェニル)(4-ヒドロキシフェニル)エタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)エタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-エチルフェニル)エタン、1,1-ビス-(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)エタン、1,1-ビス-(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルフェニル)エタン、1,1-ビス-(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)エタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン(ビスフェノールAP)、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-1-フェニルエタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-t-ブチルフェニル)-1-フェニルエタン、1,1-ビス-(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルフェニル)-1-フェニルエタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)-1-フェニルエタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-ナフチルエタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-1-ナフチルエタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2-(2-ヒドロキシフェニル)(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1-ビス-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1-(2-ヒドロキシフェニル)(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン(ビスフェノールC)、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-エチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-イソプロピルフェニル)プロパン(ビスフェノールG)、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-t-ブチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-シクロヘキシルフェニル)プロパン(ビスフェノールCH)、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジエチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジシクロヘキシルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-シクロヘキシルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-シクロヘキシル-5-メチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジシクロヘキシルフェニル)プロパン、2,2-ビス-(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)プロパン(ビスフェノールPH)、1,1-ビス(4-ヒドロキシ3-フェニルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチル-5-フェニルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジフェニルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン(ビスフェノールAF)、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン(ビスフェノールB)、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)ブタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ノナン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)デカン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)シクロペンタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスフェノールZ)、1,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-エチルフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス-(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルフェニル)シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3-ジメチルシクロヘキサン、1,8-ビス(4-ヒドロキシフェニル)メンタン、2,8-ビス(4-ヒドロキシフェニル)メンタン、1,8-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メンタン、1,8-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)メンタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-t-ブチル-シクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-フェニルシクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-フェニルシクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン(ビスフェノールTMC)、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘプタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)シクロヘプタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロオクタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)シクロオクタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロノナン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)シクロノナン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロデカン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)シクロデカン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロウンデカン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)シクロウンデカン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロドデカン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)シクロドデカン、2,2’-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ノルボルナン、2,2’-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)ノルボルナン、4,8-ビス(4-ヒドロキシフェニル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、4,8-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)アダマンタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)アダマンタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-エチルフェニル)アダマンタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-t-ブチルフェニル)アダマンタン
、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)アダマンタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)アダマンタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-ベンジルフェニル)アダマンタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-ナフチルフェニル)アダマンタン、1,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)アダマンタン、1,3-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)アダマンタン、11,3-ビス(4-ヒドロキシ-3-エチルフェニル)アダマンタン、1,3-ビス(4-ヒドロキシ-3-t-ブチルフェニル)アダマンタン、1,3-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)アダマンタン、1,3-ビス(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)アダマンタン、1,3-ビス(4-ヒドロキシ-3-ベンジルフェニル)アダマンタン、1,3-ビス(4-ヒドロキシ-3-ナフチルフェニル)アダマンタン、1,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-5,7-ジメチルアダマンタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)アダマンタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)アダマンタン、1,4-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)アダマンタン、1,4-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)アダマンタン、5,5-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサヒドロ-4,7-メタノインダン、5,5-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)ヘキサヒドロ-4,7-メタノインダン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)エーテル、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)エーテル、ビス(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)エーテル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)ケトン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)ケトン、ビス(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)ケトン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)スルフィド、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)スルフィド、ビス(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)スルフィド、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)スルホキシド、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)スルホキシド、ビス(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)スルホキシド、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン(ビスフェノールS)、ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)スルホン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)スルホン、ビス(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)スルホン、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、4,4’-ジヒドロキシ-3、3’-ジメチルビフェニル、4,4’-ジヒドロキシ-3、3’-ジエチルビフェニル、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジ-t-ブチルビフェニル、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’,5,5’-テトラメチルビフェニル、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’,5,5’-テトラ-(t-ブチル)ビフェニル、4,4’-ジヒドロキシ-2,2’,3,3’,5,5’-ヘキサメチルビフェニル、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジシクロヘキシルビフェニル、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジフェニルビフェニル、2,4’-ジヒドロキシビフェニル、2,4’-ジヒドロキシ-3、3’-ジメチルビフェニル、4,4’-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ビフェニル、4,4’’-ジヒドロキシ-p-ターフェニル、4,4’’-ジヒドロキシ-3,3’’-ジメチル-p-ターフェニル、4,4’’-ジヒドロキシ-2,2’’-ジメチル-p-ターフェニル、4,4’’-ジヒドロキシ-3,3’’-ジエチル-p-ターフェニル、4,4’’-ジヒドロキシ-3,3’’-ジ-t-ブチル-p-ターフェニル、4,4’’-ジヒドロキシ-3,3’’,5,5’’-テトラメチル-p-ターフェニル、4,4’’-ジヒドロキシ-3,3’’,5,5’’-テトラ-(t-ブチル)-p-ターフェニル、4,4’’-ジヒドロキシ-2,2’’,3,3’’,5,5’’-ヘキサメチル-p-ターフェニル、4,4’’-ジヒドロキシ-3,3’’-ジシクロヘキシル-p-ターフェニル4,4’’-ジヒドロキシ-3,3’’-ジフェニルビフェニル、4,4’’’-ジヒドロキシ-p-クォーターフェニル、4,4’’’-ジヒドロキシ-3,3’’’-ジメチル-p-クォーターフェニル、4,4’’’-ジヒドロキシ-2,2’’’-ジメチル-p-クォーターフェニル、4,4’’’-ジヒドロキシ-3,3’’’-ジエチル-p-クォーターフェニル、4,4’’’-ジヒドロキシ-3,3’’’-ジ-t-ブチル-p-クォーターフェニル、4,4’’’-ジヒドロキシ-3,3’’’,5,5’’’-テトラメチル-p-クォーターフェニル、4,4’’’-ジヒドロキシ-3,3’’’,5,5’’’-テトラ-(t-ブチル)-p-クォーターフェニル、4,4’’’-ジヒドロキシ-2,2’’’,3,3’’’,5,5’’’-ヘキサメチル-p-クォーターフェニル、4,4’’’-ジヒドロキシ-3,3’’’-ジシクロヘキシル-p-クォーターフェニル、1,3-ビス[(4-ヒドロキシフェニル)メチル]ベンゼン、1,3-ビス[(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル]ベンゼン、1,3-ビス[(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)メチル]ベンゼン、1,3-ビス[(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルフェニル)メチル]ベンゼン、1,4-ビス[(4-ヒドロキシフェニル)メチル]ベンゼン、1,4-ビス[(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル]ベンゼン、1,4-ビス[(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)メチル]ベンゼン、1,4-ビス[(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルフェニル)メチル]ベンゼン、1,3-ビス[1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-エチル]ベンゼン、1,3-ビス[1-(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-1-エチル]ベンゼン、1,3-ビス[1-(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-1-エチル]ベンゼン、1,3-ビス[1-(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルフェニル)-1-エチル]ベンゼン、1,4-ビス[1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-エチル]ベンゼン、1,4-ビス[1-(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-1-エチル]ベンゼン、1,4-ビス[1-(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-1-エチル]ベンゼン、1,4-ビス[1-(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルフェニル)-1-エチル]ベンゼン、1,3-ビス[2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル]ベンゼン(ビスフェノールM)、1,3-ビス[2-(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-2-プロピル]ベンゼン、1,3-ビス[2-(4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)-2-プロピル]ベンゼン、1,3-ビス[2-(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-2-プロピル]ベンゼン(ビスキシレノールM)、1,3-ビス[2-(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルフェニル)-2-プロピル]ベンゼン、1,4-ビス[2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル]ベンゼン(ビスフェノールP)、1,4-ビス[2-(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-2-プロピル]ベンゼン、1,4-ビス[2-(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-2-プロピル]ベンゼン(ビスキシレノールP)、1,4-ビス[2-(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルフェニル)-2-プロピル]ベンゼン、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン(ビスフェノールFL)、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(2-ヒドロキシ-4-メチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-エチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジエチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-プロピルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-イソプロピルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジプロピルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジイソプロピルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-n-ブチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-イソブチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-t-ブチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-n-ブチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジイソブチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-シクロヘキシルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジフェニルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-ベンジルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジベンジルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(6-ヒドロキシ-2-ナフチル)フルオレン、9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-メチルフェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-イソプロピルフェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-t-ブチルフェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-シクロヘキシルフェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-フェニルフェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3,5-ジメチルフェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-3-t-ブチル-6-メチルフェニル]フルオレン、9,9-ビス[4-(3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロポキシ)フェニル]フルオレン等の芳香族ジオールから誘導される単位が挙げられる。また、これらジオール単位は、前記エステル形成性誘導体から誘導される単位であってもよい。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これら他のジオール単位の含有量は、ポリアルキレンフランジカルボキシレート(C1)の全ジオール単位に対して、50モル%未満であり、45モル%以下であることが好ましく、40モル%以下であることがより好ましい。
ポリアルキレンフランジカルボキシレート(C1)には、得られる積層チューブの優れた諸特性を損なわない範囲内であれば、ジカルボン酸単位及びジオール単位以外のその他の単位を含んでいてもよい。その他の単位としては、p-ヒドロキシ安息香酸、m-ヒドロキシ安息香酸、o-ヒドロキシ安息香酸、4-(2-ヒドロキシエトキシ)安息香酸、マンデル酸、サリチル酸、オキシ安息香酸、ヒドロキシナフトエ酸、ヒドロキシジフェニルカルボン酸、2-ヒドロキシフラン-5-カルボン酸、乳酸、β-プロピオラクトン、β-ブチロラクトン、γ-ブチロラクトン、δ-バレロラクトン、ε-カプロラクトン、メチル-ε-カプロラクトン、ジメチル-ε-カプロラクトン、トリメチル-ε-カプロラクトン、L,L-ラクチド、D,D-ラクチド、D,L-ラクチド、グリコール酸、2-ヒドロキシ酪酸、3-ヒドロキシ酪酸、4-ヒドロキシ酪酸、2-ヒドロキシイソ酪酸、2-ヒドロキシ-2-メチル酪酸、2-ヒドロキシ-3-メチル酪酸、2-ヒドロキシ-3,3-ジメチル酪酸、2-ヒドロキシ吉草酸、3-ヒドロキシ吉草酸、4-ヒドロキシ吉草酸、5-ヒドロキシ吉草酸、2-ヒドロキシカプロン酸、6-ヒドロキシカプロン酸、7-ヒドロキシヘプタン酸、8-ヒドロキシオクタン酸、9-ヒドロキシノナン酸、10-ヒドロキシステアリン酸、及びこれらのエステル、酸塩化物、酸無水物等から誘導される単位が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。その他の単位の含有量は、ポリアルキレンフランジカルボキシレート(C1)の全単量体単位に基づいて、45モル%以下であることが好ましく、40モル%以下であることがより好ましく、35モル%以下であることが更に好ましい。
また、ポリアルキレンフランジカルボキシレート(C1)は、実質的に成形性能を失わない範囲で、3官能以上の官能基を有する化合物単位を含んでいてもよい。例えば、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、トリ-(トリメチロールプロパン)、トリメチロールブタン、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4-ブタントリオール、1,3,5-ペンタントリオール、1,2,6-ヘキサントリオール、1,2,3,4-ブタンテトロール、ソルビタン、ソルビトール、グリセロール、アドニトール、アラビトール、キシリトール、マンニトール、キシロース、アラビノース、リボース、ラムノース、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、ソルボース、セロビオース、マルトース、イソマルトース、トレハロース、シュクロース、ラフィノース、ゲンチアノース、メレジトース等の3官能以上の多価アルコールから誘導される単位;トリメシン酸、プロパントリカルボン酸、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、シクロペンタテトラカルボン酸無水物等の3官能以上の多価カルボン酸、及びこれらの酸無水物から誘導される単位;ヒドロキシグルタル酸、ヒドロキシメチルグルタル酸、リンゴ酸、酒石酸、シトラマル酸、クエン酸、イソクエン酸、ロイシン酸、メバロン酸、パントイン酸、リシノール酸、リシネライジン酸、セレブロン酸、キナ酸、シキミ酸、ヒドロキシイソフタル酸、ヒドロキシテレフタル酸、ビスヒドロキシメチルプロピオン酸、ビスヒドロキシメチル酪酸等の3官能以上のヒドロキシカルボン酸から誘導される単位が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
ポリアルキレンフランジカルボキシレート(C1)が、3官能以上の官能基を有する化合物単位を含む場合、その含有量は、ポリアルキレンフランジカルボキシレート(C1)の全単量体単位に基づいて、5モル%以下であることが好ましく、4モル%以下であることがより好ましく、3モル%以下であることが更に好ましい。3官能以上の官能基を有する化合物単位の含有量が前記の値を超えると、ポリマーの架橋が適当に進行し、安定にストランドを抜き出すことが困難となる場合がある。
更に、ポリアルキレンフランジカルボキシレート(C1)には、ポリアルキレンエーテルグリコールから誘導される単位を含有していてもよい。ポリアルキレンエーテルグリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリ(プロピレンエーテル)グリコール、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール、ポリ(ヘキサメチレンエーテル)グリコール等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。該ポリアルキレンエーテルグリコールの数平均分子量は、400以上6,000以下であることが好ましく、600以上4,000以下であることがより好ましい。
ポリアルキレンフランジカルボキシレート(C1)の具体例としては、ポリ(エチレン-2,5-フランジカルボキシレート)、ポリ(エチレン-2,4-フランジカルボキシレート)、ポリ(エチレン-2,3-フランジカルボキシレート)、ポリ(エチレン-3,4-フランジカルボキシレート)等のポリ(エチレンフランジカルボキシレート)(PEF)、ポリ(トリメチレン-2,5-フランジカルボキシレート)、ポリ(トリメチレン-2,4-フランジカルボキシレート)、ポリ(トリメチレン-2,3-フランジカルボキシレート)、ポリ(トリメチレン-3,4-フランジカルボキシレート)等のポリ(トリメチレンフランジカルボキシレート)(PTF)、ポリ(ブチレン-2,5-フランジカルボキシレート)、ポリ(ブチレン-2,4-フランジカルボキシレート)、ポリ(トリメチレンブチレン-2,3-フランジカルボキシレート)、ポリ(ブチレン-3,4-フランジカルボキシレート)等のポリ(ブチレンフランジカルボキシレート)(PBF)、ポリ(エチレン-2,5-フランジカルボキシレート/エチレンテレフタレート)共重合体、ポリ(エチレン-2,5-フランジカルボキシレート/エチレンテレフタレート/エチレンイソフタレート)共重合体、ポリ(エチレン-2,5-フランジカルボキシレート/エチレンナフタレート)共重合体、ポリ(トリメチレン-2,5-フランジカルボキシレート/トリメチレンテレフタレート)共重合体、ポリ(トリメチレン-2,5-フランジカルボキシレート/トリメチレンテレフタレート/トリメチレンイソフタレート)共重合体、ポリ(トリメチレン-2,5-フランジカルボキシレート/トリメチレンナフタレート)共重合体、ポリ(ブチレン-2,5-フランジカルボキシレート/ブチレンテレフタレート)共重合体、ポリ(ブチレン-2,5-フランジカルボキシレート/ブチレンテレフタレート/ブチレンイソフタレート)共重合体、ポリ(ブチレン-2,5-フランジカルボキシレート/ブチレンナフタレート)共重合体、ポリ(トリメチレン-2,5-フランジカルボキシレート/エチレン-2,5-フランジカルボキシレート)共重合体、ポリ(トリメチレン-2,5-フランジカルボキシレート/ブチレン-2,5-フランジカルボキシレート)共重合体、ポリ(エチレン-2,5-フランジカルボキシレート/ブチレン-2,5-フランジカルボキシレート)共重合体、ポリ(エチレン-2,5-フランジカルボキシレート/エチレンサクシネート)共重合体、ポリ(トリメチレン-2,5-フランジカルボキシレート/トリメチレンサクシネート)共重合体、ポリ(ブチレン-2,5-フランジカルボキシレート/ブチレンサクシネート)共重合体、ポリ(エチレン-2,5-フランジカルボキシレート/エチレンアジペート)共重合体、ポリ(トリメチレン-2,5-フランジカルボキシレート/トリメチレンアジペート)共重合体、ポリ(ブチレン-2,5-フランジカルボキシレート/ブチレンアジペート)共重合体、ポリ(エチレン-2,5-フランジカルボキシレート/エチレンセバシエート)共重合体、ポリ(トリメチレン-2,5-フランジカルボキシレート/トリメチレンセバシエート)共重合体、ポリ(ブチレン-2,5-フランジカルボキシレート/ブチレンセバシエート)共重合体、ポリ(エチレン-2,5-フランジカルボキシレート/イソソルビレン-2,5-フランジカルボキシレート)共重合体、ポリ(トリメチレン-2,5-フランジカルボキシレート/イソソルビレン-2,5-フランジカルボキシレート)共重合体、ポリ(ブチレン-2,5-フランジカルボキシレート/イソソルビレン-2,5-フランジカルボキシレート)共重合体、ポリ(エチレン-2,5-フランジカルボキシレート/イソマンニレン-2,5-フランジカルボキシレート)共重合体、ポリ(トリメチレン-2,5-フランジカルボキシレート/イソマンニレン-2,5-フランジカルボキシレート)共重合体、ポリ(ブチレン-2,5-フランジカルボキシレート/イソマンニレン-2,5-フランジカルボキシレート)共重合体等、及びこれらの混合物が挙げられる。
ポリアルキレンフランジカルボキシレート(C1)の製造に際し、ジイソシアネート、ジフェニルカーボネート、ビスオキサゾリン、珪酸エステル等の鎖延長剤を使用しても良く、特に、ジフェニルカーボネート等のカーボネート化合物を使用する場合は、これらのカーボネート化合物の含有量は、ポリアルキレンフランジカルボキシレート(C1)の全単量体単位に基づいて、20モル%以下であることが好ましく、10モル%以下であることがより好ましい。
カーボネート化合物としては、具体的には、ジフェニルカーボネート、ジトリールカーボネート、m-クレジルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネート、エチレンカーボネート、ジアミルカーボネート、ジシクロヘキシルカーボネート等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。その他、フェノール類、アルコール類のようなヒドロキシ化合物から誘導される、同種、又は異種のヒドロキシ化合物からなるカーボネート化合物も使用可能である。
また、ジイソシアネート化合物としては、具体的には、2,4-トリレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネートと2,6-トリレンジイソシアネートとの混合体、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5-ナフチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の公知のジイソシアネート等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
ビスオキサゾリン化合物としては、具体的には、2,2’-ビス(2-オキサゾリン)、2,2’-ビス(4-メチル-2-オキサゾリン)、2,2’-ビス(4-エチル-2-オキサゾリン)、2,2’-ビス(4,4’-ジメチル-2-オキサゾリン)、2,2’-ビス(4,4’-ジエチル-2-オキサゾリン)、2,2’-ビス(4-プロピル-2-オキサゾリン)、2,2’-ビス(4-ブチル-2-オキサゾリン)、2,2’-ビス(4-ヘキシル-2-オキサゾリン)、2,2’-ビス(4-シクロヘキシル-2-オキサゾリン)、2,2’-ビス(4-フェニル-2-オキサゾリン)、2,2’-ビス(4-ベンジル-2-オキサゾリン)、2,2’-o-フェニレンビス(2-オキサゾリン)、2,2’-m-フェニレンビス(2-オキサゾリン)、2,2’-p-フェニレンビス(2-オキサゾリン)、2,2’-o-フェニレンビス(4-メチル-2-オキサゾリン)、2,2’-m-フェニレンビス(4-メチル-2-オキサゾリン)、2,2’-p-フェニレンビス(4-メチル-2-オキサゾリン)、2,2’-o-フェニレンビス(4,4’-ジメチル-2-オキサゾリン)、2,2’-m-フェニレンビス(4,4’-ジメチル-2-オサゾリン)、2,2’-p-フェニレンビス(4,4’-ジメチル-2-オキサゾリン)、2,2’-エチレンビス(2-オキサゾリン)、2,2’-テトラメチレンビス(2-オキサゾリン)、2,2’-ヘキサメチレンビス(2-オキサゾリン)、2,2’-オクタメチレンビス(2-オキサゾリン)、2,2’-デカメチレンビス(2-オキサゾリン)、2,2’-エチレンビス(4-メチル-2-オキサゾリン)、2,2’-テトラメチレンビス(4,4’-ジメチル-2-オキサゾリン)、2,2’-9,9’-ジフェノキシエタンビス(4,4’-ジメチル-2-オキサゾリン)、2,2’-シクロヘキシレンビス(2-オキサゾリン)、2,2’-ジフェニレンビス(2-オキサゾリン)等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
珪酸エステルとしては、具体的には、テトラメトキシシラン、ジメトキシジフェニルシラン、ジメトキシジメチルシラン、ジフェニルジヒドロキシラン等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
また、溶融張力を高めるために、少量のパーオキサイドを添加してもよい。
ポリアルキレンフランジカルボキシレート(C1)のポリエステル末端基をカルボジイミド、エポキシ化合物、単官能性のアルコール、又はカルボン酸で封止してもよい。
末端封止剤のカルボジイミド化合物としては、分子中に1個以上のカルボジイミド基を有する化合物(ポリカルボジイミド化合物を含む)が挙げられ、具体的には、モノカルボジイミド化合物として、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、ジメチルカルボジイミド、ジイソブチルカルボジイミド、ジオクチルカルボジイミド、t-ブチルイソプロピルカルボジイミド、ジフェニルカルボジイミド、ジ-t-ブチルカルボジイミド、ジ-β-ナフチルカルボジイミド、N,N’-ジ-2,6-ジイソプロピルフェニルカルボジイミド等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
ポリアルキレンフランジカルボキシレート(C1)の製造方法としては、ポリエステルの製造に関する公知の方法が採用できる。また、この際の反応条件は、従来から採用されている適切な条件を設定することができ、特に制限されない。
具体的には、前記フランジカルボン酸及び/又はそのエステル形成性誘導体、並びにジオール成分と、必要に応じて用いられる他の共重合成分等を用いて、エステル化反応又はエステル交換反応を行い、引き続いて重縮合反応を行うことにより製造することができる。また、反応に際しては、必要に応じて、前記鎖延長剤及び/又は末端封止剤を用いて触媒の存在下で製造される。
ポリアルキレンフランジカルボキシレート(C1)を製造する際、触媒としては、ポリエステルの製造に用いることのできる任意の触媒を選択することができるが、ゲルマニウム、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、アンチモン、スズ、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、アルミニウム、コバルト、鉛、セシウム、マンガン、リチウム、カリウム、ナトリウム、銅、バリウム、カドミウム等の金属化合物が好ましい。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、ゲルマニウム化合物、チタン化合物、マグネシウム化合物、亜鉛化合物、鉛化合物がより好ましく、チタン化合物、マグネシウム化合物が更に好ましい。
触媒として使用されるチタン化合物としては、特に制限されるものではないが、テトラプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、テトラエチルチタネート、テトラヒドロキシエチルチタネート、テトラフェニルチタネート等のテトラアルコキシチタン等の有機チタン化合物等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、経済性及び入手の容易さの観点から、テトラプロピルチタネート、テトラブチルチタネートが好ましく、テトラブチルチタネートより好ましい。
マグネシウム化合物としては、ギ酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、プロピオン酸マグネシウム、n-酪酸マグネシウム、n-吉草酸マグネシウム、n-カプロン酸マグネシウム、n-カプリン酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、酸化マグネシウム等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、ギ酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、プロオン酸マグネシウムが好ましく、酢酸マグネシウムがより好ましい。
また、本発明の目的を損なわない限り、他の触媒の併用を妨げない。触媒として、テトラアルコシキチタンとマグネシウム化合物の組み合わせは、高活性のため更に好ましく、テトラブチルチタネートと酢酸マグネシウムの組み合わせが特に好ましい。
触媒の使用量は、反応に供する単量体100質量%に対して、触媒中の金属換算量で0.0001質量%以上3質量%以下であることが好ましく、0.001質量%以上1質量%以下であることがより好ましく、0.003質量%以上0.1質量%以下であることが更に好ましい。触媒の使用量が前記未満であると、重合反応の反応速度が遅すぎて製造上好ましくない場合があり、一方、前記を超えると、製造コストが高くなりすぎ、触媒残渣が得られるポリエステルの安定性に悪影響を及ぼす場合がある。
触媒の添加時期は、減圧反応開始以前であれば特に限定されず、原料仕込み時に添加しておいても良く、減圧開始時に添加しても良い。
ポリアルキレンフランジカルボキシレート(C1)を製造する際の重合温度、重合時間、圧力等の条件については、温度は、150℃以上270℃以下であることが好ましく、180℃以上250℃以下であることがより好ましく、重合時間は、1時間以上であることが好ましく、4時間以上15時間以下であることがより好ましい。また、圧力としては、最終的な減圧度は、1.33×103Pa以下であることが好ましく、0.27×103Pa以下であることがより好ましい。
これらの反応条件のうち、特に重合温度が270℃を超えると、熱分解、着色、副反応が起こる場合がある。
ポリアルキレンフランジカルボキシレート(C1)の還元粘度(ηsp/C)は、0.5dL/g以上3.0dL/g以下であることが好ましく、0.6dL/g以上2.7dL/g以下であることがより好ましく、0.7dL/g以上2.5dL/g以下であることが更に好ましく、0.8dL/g以上2.0dL/g以下であることが特に好ましい。還元粘度が前記の値未満であると、機械的強度が低くなる場合がある。一方、前記の値を超えると、重合時の生産性が悪くなる場合がある。
尚、ポリアルキレンフランジカルボキシレート(C1)の還元粘度(ηsp/C)は、フェノール/1,1,2,2-テトラクロロエタン(1:1(質量比))中、濃度0.5g/dLで、30℃にて測定した溶液粘度から求めることができる。
ポリアルキレンフランジカルボキシレート組成物(C)には、ポリアルキレンフランジカルボキシレート(C1)の低温耐衝撃性を改良するために、衝撃改良材を添加することが好ましく、ポリアルキレンフランジカルボキシレート(C1)と相溶性が良好なカルボキシル基、酸無水物基、エポキシ基、及び水酸基からなる群より選択される少なくとも1種の不飽和化合物から誘導される構成単位を含有するエラストマー重合体を添加することがより好ましい。
衝撃改良材の含有量は、得られる積層チューブの機械的強度及び低温耐衝撃性を十分に確保する観点から、主成分のポリアルキレンフランジカルボキシレート(C1)100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下であることが好ましく、3質量部以上25質量部以下であることがより好ましい。
カルボキシル基含有不飽和化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、メサコン酸、シトラコン酸、グルタコン酸、シス-4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸、エンドビシクロ-[2.2.1]-5-ヘプテン-2,3-ジカルボン酸等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。酸無水物基含有不飽和化合物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、エンドビシクロ-[2.2.1]-5-ヘプテン-2,3-ジカルボン酸無水物等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。エポキシ基含有不飽和化合物としては、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、マレイン酸モノグリシジル、マレイン酸ジグリシジル、フマル酸モノグリジル、フマル酸ジグリシジル、クロトン酸グリシジル、イタコン酸モノグリシジル、イタコン酸ジグリシジル、シトラコン酸モノグリシジル、シトラコン酸ジグリシジル、グルタコン酸モノグリシジルエステル、グルタコン酸ジグリシジルエステル、メサコン酸モノグリシジルエステル、メサコン酸ジグリシジルエステル、アリルグリシジルエーテル、2-メチルアリルグリシジルエーテル、スチレン-p-グリシジルエーテル、イソプロペニルグリシジルエーテル、1-ブテニルグリシジルエーテル、2-ブテニルグリシジルエーテル、2-ペンテニルグリシジルエーテル等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
ポリアルキレンフランジカルボキシレート組成物(C)には、ポリアルキレンフランジカルボキシレート(C1)とともに、他の熱可塑性樹脂を含有していてもよい。他の熱可塑性樹脂としては、前記脂肪族ポリアミド組成物(A)の場合と同様の樹脂が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。ポリアルキレンフランジカルボキシレート組成物(C)中のポリアルキレンフランジカルボキシレート(C1)の含有量は、60質量%以上であり、70質量%以上であることが好ましい。
更に、ポリアルキレンフランジカルボキシレート組成物(C)には、必要に応じて、その物性を著しく損なわない範囲で、各種の添加剤、例えば、繊維状、板状、粉粒状等の各形状を有する強化剤、安定剤、着色剤、紫外線吸収剤、離型剤、帯電防止剤、結晶化促進剤、結晶核剤、充填剤、難燃剤、難燃助剤等を添加することができる。
4.(d)層
積層チューブは、更に(d)層を有することが好ましい。
積層チューブの(d)層は、半芳香族ポリアミド組成物(D)を含む。
[半芳香族ポリアミド組成物(D)]
半芳香族ポリアミド組成物(D)は、半芳香族ポリアミド(D1)及び/又は半芳香族ポリアミド(D2)を含み、前記半芳香族ポリアミド組成物(D)中に、前記半芳香族ポリアミド(D1)及び/又は前記半芳香族ポリアミド(D2)が60質量%以上含まれ、半芳香族ポリアミド(D1)は、半芳香族ポリアミド(D1)の全ジアミン単位に対して、炭素原子数4以上12以下の脂肪族ジアミン単位を50モル%以上含み、半芳香族ポリアミド(D1)の全ジカルボン酸単位に対して、テレフタル酸単位、イソフタル酸単位、及びナフタレンジカルボン酸単位からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むジカルボン酸単位を50モル%以上含み、半芳香族ポリアミド(D2)は、半芳香族ポリアミド(D2)の全ジアミン単位に対して、キシリレンジアミン単位及び/又はビス(アミノメチル)ナフタレン単位を50モル%以上含み、半芳香族ポリアミド(D2)の全ジカルボン酸単位に対して、炭素原子数4以上12以下の脂肪族ジカルボン酸単位を50モル%以上含む(以下、半芳香族ポリアミド組成物(D)と称する場合がある。)。
[半芳香族ポリアミド(D1)]
半芳香族ポリアミド組成物(D)は、半芳香族ポリアミド(D1)を含む態様があり(以下、半芳香族ポリアミド(D1)と称する場合がある。)、半芳香族ポリアミド(D1)は、半芳香族ポリアミド(D1)の全ジアミン単位に対して、炭素原子数4以上12以下の脂肪族ジアミン単位を50モル%以上含むジアミン単位と、半芳香族ポリアミド(D1)の全ジカルボン酸単位に対して、テレフタル酸単位、イソフタル酸単位、及びナフタレンジカルボン酸単位からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むジカルボン酸単位を50モル%以上含むジカルボン酸単位を含有する。
半芳香族ポリアミド(D1)中の炭素原子数4以上12以下の脂肪族ジアミン単位の含有量は、得られる積層チューブの耐熱性、耐薬品性、耐衝撃性、薬液バリア性等の諸物性を十分に確保する観点から、半芳香族ポリアミド(D1)の全ジアミン単位に対して、50モル%以上であり、55モル%以上であることが好ましく、60モル%以上であることがより好ましい。
炭素原子数4以上12以下の脂肪族ジアミン単位としては、1,4-ブタンジアミン、1,5-ペンタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、1,7-へプタンジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、1,10-デカンジアミン1,11-ウンデカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン等から誘導される単位が挙げられる。炭素原子数が前記を満たす限り、1-ブチル-1,2-エタンジアミン、1,1-ジメチル-1,4-ブタンジアミン、1-エチル-1,4-ブタンジアミン、1,2-ジメチル-1,4-ブタンジアミン、1,3-ジメチル-1,4-ブタンジアミン、1,4-ジメチル-1,4-ブタンジアミン、2,3-ジメチル-1,4-ブタンジアミン、2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、3-メチル-1,5-ペンタンジアミン、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジアミン、2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジアミン、2,4-ジエチル-1,6-ヘキサンジアミン、2,2-ジメチル-ヘプタンジアミン、2,3-ジメチル-ヘプタンジアミン、2,4-ジメチル-ヘプタンジアミン、2,5-ジメチル-ヘプタンジアミン、2-メチル-1,8-オクタンジアミン、3-メチル-1,8-オクタンジアミン、4-メチル-1,8-オクタンジアミン、1,3-ジメチル-1,8-オクタンジアミン、1,4-ジメチル-1,8-オクタンジアミン、2,2-ジメチル-1,8-オクタンジアミン、2,4-ジメチル-1,8-オクタンジアミン、3,3-ジメチル-1,8-オクタンジアミン、3,4-ジメチル-1,8-オクタンジアミン、4,4-ジメチル-1,8-オクタンジアミン、4,5-ジメチル-1,8-オクタンジアミン、5-メチル-1,9-ノナンジアミン等の分岐鎖状脂肪族ジアミンから誘導される単位を含有していても構わない。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
前記炭素原子数4以上12以下の脂肪族ジアミン単位の中でも、入手の容易さ及び経済性の観点から、1,4-ブタンジアミン、1,5-ペンタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、2-メチル-1,8-オクタンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,12-ドデカンジアミンから誘導される単位が好ましい。更に、1,6-ヘキサンジアミンと2-メチル-1,5-ペンタンジアミンを併用する場合、1,6-ヘキサンジアミン単位と2-メチル-1,5-ペンタンジアミン単位のモル比は、成形性と耐衝撃性のバランスの観点から、30:70~98:2(モル比)であることが好ましく、40:60~95:5(モル比)であることがより好ましく、1,9-ノナンジアミンと2-メチル-1,8-オクタンジアミンを併用する場合、1,9-ノナンジアミン単位と2-メチル-1,8-オクタンジアミン単位のモル比は、成形性と耐衝撃性のバランスの観点から、30:70~98:2(モル比)であることが好ましく、40:60~95:5(モル比)であることがより好ましい。
半芳香族ポリアミド(D1)中のジアミン単位は、得られる積層チューブの優れた諸特性を損なわない範囲内であれば、炭素原子数4以上12以下の脂肪族ジアミン単位以外の他のジアミン単位を含んでいてもよい。他のジアミン単位としては、1,2-エタンジアミン、1,3-プロパンジアミン、1,13-トリデカンジアミン等の脂肪族ジアミンから誘導される単位;1,3-シクロヘキサンジアミン、1,4-シクロヘキサンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、2,2-ビス(4-アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタン、2,2-ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)プロパン、5-アミノ-2,2,4-トリメチル-1-シクロペンタンメチルアミン、5-アミノ-1,3,3-トリメチルシクロヘキサンメチルアミン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、ビス(アミノエチル)ピペラジン、2,5-ビス(アミノメチル)ノルボルナン、2,6-ビス(アミノメチル)ノルボルナン、3,8-ビス(アミノメチル)トリシクロデカン、4,9-ビス(アミノメチル)トリシクロデカン等の脂環式ジアミンから誘導される単位;m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミン、1,4-ビス(アミノメチル)ナフタレン、1,5-ビス(アミノメチル)ナフタレン、2,6-ビス(アミノメチル)ナフタレン、2,7-ビス(アミノメチル)ナフタレン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル等の芳香族ジアミンから誘導される単位が挙げられ、これらは1種又は2種以上を用いることができる。これら他のジアミン単位の含有量は、半芳香族ポリアミド(D1)の全ジアミン単位に対して、50モル%未満であり、45モル%以下であることが好ましく、40モル%以下であることがより好ましい。
また、半芳香族ポリアミド(D1)中のテレフタル酸単位、イソフタル酸単位、及びナフタレンジカルボン酸単位からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むジカルボン酸単位の含有量は、得られる積層チューブの耐熱性、耐薬品性、薬液バリア性等の諸物性を十分に確保する観点から、半芳香族ポリアミド(D1)の全ジカルボン酸単位に対して、50モル%以上であり、55モル%以上であることが好ましく、60モル%以上であることがより好ましい。
ナフタレンジカルボン酸単位としては、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸等から誘導される単位が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。前記ナフタレンジカルボン酸単位の中でも、経済性及び入手の容易さを考慮して、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸から誘導される単位が好ましい。
半芳香族ポリアミド(D1)中のジカルボン酸単位は、得られる積層チューブの優れた諸特性を損なわない範囲内であれば、テレフタル酸単位、イソフタル酸単位、及びナフタレンジカルボン酸単位以外の他のジカルボン酸単位を含んでいてもよい。他のジカルボン酸単位としては、シュウ酸、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、2-メチルアジピン酸、ピメリン酸、2,2-ジメチルグルタル酸、2,2-ジエチルコハク酸、スベリン酸、アゼライン酸、2,2,4-トリメチルアジピン酸、2,4,4-トリメチルアジピン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸、エイコサン二酸等の脂肪族ジカルボン酸から誘導される単位;1,3-シクロペンタンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸から誘導される単位;フタル酸、1,3-フェニレンジオキシジ酢酸、1,4-フェニレンジオキシジ酢酸、4,4’-オキシジ安息香酸、ジフェニルメタン-4,4’-ジカルボン酸、ジフェニルエタン-4,4’-ジカルボン酸、ジフェニルプロパン-4,4’-ジカルボン酸、ジフェニルエーテル-4,4’-ジカルボン酸、ジフェニルスルホン-4,4’-ジカルボン酸、4,4’-ビフェニルジカルボン酸、4,4’-トリフェニルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸から誘導される単位が挙げられ、これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、芳香族ジカルボン酸から誘導される単位が好ましい。これら他のジカルボン酸単位の含有量は、半芳香族ポリアミド(D1)の全ジカルボン酸単位に対して、50モル%未満であり、45モル%以下であることが好ましく、40モル%以下であることがより好ましい。更に、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸等の多価カルボン酸を溶融成形が可能な範囲内で用いることもできる。
半芳香族ポリアミド(D1)には、得られる積層チューブの優れた諸特性を損なわない範囲内であれば、ジカルボン酸単位及びジアミン単位以外のその他の単位を含んでいてもよい。その他の単位としては、カプロラクタム、エナントラクタム、ウンデカンラクタム、ドデカンラクタム、α-ピロリドン、α-ピペリドン等のラクタムから誘導される単位;6-アミノカプロン酸、7-アミノヘプタン酸、9-アミノノナン酸、11-アミノウンデカン酸、12-アミノドデカン酸等の脂肪族アミノカルボン酸;p-アミノメチル安息香酸等の芳香族アミノカルボン酸のアミノカルボン酸から誘導される単位が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。その他の単位の含有量は、半芳香族ポリアミド(D1)の全重合単位に基づいて、45モル%以下であることが好ましく、40モル%以下であることがより好ましく、35モル%以下であることが更に好ましい。
半芳香族ポリアミド(D1)の具体例としては、ポリテトラメチレンテレフタラミド(ポリアミド4T)、ポリテトラメチレンイソフタラミド(ポリアミド4I)、ポリテトラメチレンナフタラミド(ポリアミド4N)、ポリペンタメチレンテレフタラミド(ポリアミド5T)、ポリペンタメチレンイソフタラミド(ポリアミド5I)、ポリペンタメチレンナフタラミド(ポリアミド5N)、ポリヘキサメチレンテレフタラミド(ポリアミド6T)、ポリヘキサメチレンイソフタラミド(ポリアミド6I)、ポリヘキサメチレンナフタラミド(ポリアミド6N)、ポリ(2-メチルペンタメチレンテレフタラミド)(ポリアミドM5T)、ポリ(2-メチルペンタメチレンイソフタラミド)(ポリアミドM5I)、ポリ(2-メチルペンタメチレンナフタラミド(ポリアミドM5N)、ポリノナメチレンテレフタラミド(ポリアミド9T)、ポリノナメチレンイソフタラミド(ポリアミド9I)、ポリノナメチレンナフタラミド(ポリアミド9N)、ポリ(2-メチルオクタメチレンテレフタラミド)(ポリアミドM8T)、ポリ(2-メチルオクタメチレンイソフタラミド)(ポリアミドM8I)、ポリ(2-メチルオクタメチレンナフタラミド)(ポリアミドM8N)、ポリトリメチルヘキサメチレンテレフタラミド(ポリアミドTMHT)、ポリトリメチルヘキサメチレンイソフタラミド(ポリアミドTMHI)、ポリトリメチルヘキサメチレンナフタラミド(ポリアミドTMHN)、ポリデカメチレンテレフタラミド(ポリアミド10T)、ポリデカメチレンイソフタラミド(ポリアミド10I)、ポリデカメチレンナフタラミド(ポリアミド10N)、ポリウンデカメチレンテレフタラミド(ポリアミド11T)、ポリウンデカメチレンイソフタラミド(ポリアミド11I)、ポリウンデカメチレンナフタラミド(ポリアミド11N)、ポリドデカメチレンテレフタラミド(ポリアミド12T)、ポリドデカメチレンイソフタラミド(ポリアミド12I)、ポリドデカメチレンナフタラミド(ポリアミド12N)の単独重合体、及び/又はこれらポリアミドの原料単量体、並びに/若しくは前記脂肪族ポリアミド(A1)の原料単量体を数種用いた共重合体等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
これらの中でも、入手の容易さ、得られる積層チューブの耐熱性、耐薬品性、耐衝撃性、薬液バリア性等の諸物性を十分に確保する観点から、半芳香族ポリアミド(D1)としては、ポリ(ヘキサメチレンテレフタラミド/ヘキサメチレンイソフタラミド)共重合体(ポリアミド6T/6I)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタラミド/2-メチルペンタメチレンテレフタラミド)共重合体(ポリアミド6T/M5T)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタラミド/カプロアミド)共重合体(ポリアミド6T/6)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタラミド/ヘキサメチレンアジパミド)共重合体(ポリアミド6T/66)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタラミド/ヘキサメチレンセバカミド)共重合体(ポリアミド6T/610)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタラミド/ヘキサメチレンドデカミド)共重合体(ポリアミド6T/612)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタラミド/ヘキサメチレンイソフタラミド/ヘキサメチレンアジパミド)共重合体(ポリアミド6T/6I/66)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタラミド/ヘキサメチレンイソフタラミド/ヘキサメチレンセバカミド)共重合体(ポリアミド6T/6I/610)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタラミド/ヘキサメチレンイソフタラミド/ヘキサメチレンドデカミド)共重合体(ポリアミド6T/6I/612)、ポリノナメチレンテレフタラミド(ポリアミド9T)、ポリ(ノナメチレンテレフタラミド/2-メチルオクタメチレンテレフタラミド)共重合体(ポリアミド9T/M8T)、ポリ(ノナメチレンテレフタラミド/2-メチルオクタメチレンテレフタラミド/ウンデカンアミド)共重合体(ポリアミド9T/M8T/11)、ポリ(ノナメチレンテレフタラミド/2-メチルオクタメチレンテレフタラミド/ドデカンアミド)共重合体(ポリアミド9T/M8T/12)、ポリ(ノナメチレンテレフタラミド/2-メチルオクタメチレンテレフタラミド/ノナメチレンイソフタラミド/2-メチルオクタメチレンイソフタラミド)共重合体(ポリアミド9T/M8T/9I/M8I)、ポリノナメチレンナフタラミド(ポリアミド9N)、ポリ(ノナメチレンナフタラミド/2-メチルオクタメチレンナフタラミド)共重合体(ポリアミド9N/M8N)、ポリ(ノナメチレンナフタラミド/2-メチルオクタメチレンナフタラミド/ウンデカンアミド)共重合体(ポリアミド9N/M8N/11)、ポリ(ノナメチレンナフタラミド/2-メチルオクタメチレンナフタラミド/ドデカンアミド)共重合体(ポリアミド9N/M8N/12)、ポリデカメチレンテレフタラミド(ポリアミド10T)、ポリ(デカメチレンテレフタラミド/ウンデカンアミド)共重合体(ポリアミド10T/11)、ポリ(デカメチレンテレフタラミド/ドデカンアミド)共重合体(ポリアミド10T/12)、ポリ(デカメチレンテレフタラミド/デカメチレンセバカミド)共重合体(ポリアミド10T/1010)、ポリ(デカメチレンテレフタラミド/デカメチレンドデカミド)共重合体(ポリアミド10T/1012)、ポリ(デカメチレンテレフタラミド/デカメチレンイソフタラミド/ウンデカンアミド)共重合体(ポリアミド10T/10I/11)、ポリ(デカメチレンテレフタラミド/デカメチレンイソフタラミド/ドデカンアミド)共重合体(ポリアミド10T/10I/12)、ポリ(デカメチレンテレフタラミド/デカメチレンイソフタラミド/デカメチレンセバカミド)共重合体(ポリアミド10T/10I/1010)、ポリ(デカメチレンテレフタラミド/デカメチレンイソフタラミド/デカメチレンドデカミド)共重合体(ポリアミド10T/10I/1012)、ポリデカメチレンナフタラミド(ポリアミド10N)、ポリ(デカメチレンナフタラミド/ウンデカンアミド)共重合体(ポリアミド10N/11)、ポリ(デカメチレンナフタラミド/ドデカンアミド)共重合体(ポリアミド10N/12)、ポリ(デカメチレンナフタラミド/デカメチレンセバカミド)共重合体(ポリアミド10N/1010)、ポリ(デカメチレンナフタラミド/デカメチレンドデカミド)共重合体(ポリアミド10N/1012)、ポリ(デカメチレンテレフタラミド/デカメチレンナフタラミド/ウンデカンアミド)共重合体(ポリアミド10T/10N/11)、ポリ(デカメチレンテレフタラミド/デカメチレンナフタラミド/ドデカンアミド)共重合体(ポリアミド10T/10N/12)、ポリ(デカメチレンテレフタラミド/デカメチレンナフタラミド/デカメチレンセバカミド)共重合体(ポリアミド10T/10N/1010)、ポリ(デカメチレンテレフタラミド/デカメチレンナフタラミド/デカメチレンドデカミド)共重合体(ポリアミド10T/10N/1012)、ポリドデカメチレンテレフタラミド(ポリアミド12T)、ポリ(ドデカメチレンテレフタラミド/ウンデカンアミド)共重合体(ポリアミド12T/11)、ポリ(ドデカメチレンテレフタラミド/ドデカンアミド)共重合体(ポリアミド12T/12)、ポリ(ドデカメチレンテレフタラミド/ドデカメチレンセバカミド)共重合体(ポリアミド12T/1210)、ポリ(ドデカメチレンテレフタラミド/ドデカメチレンドデカミド)共重合体(ポリアミド12T/1212)、ポリ(ドデカメチレンテレフタラミド/ドデカメチレンイソフタラミド/ウンデカンアミド)共重合体(ポリアミド12T/12I/11)、ポリ(ドデカメチレンテレフタラミド/ドデカメチレンイソフタラミド/ドデカンアミド)共重合体(ポリアミド12T/12I/12)、ポリ(ドデカメチレンテレフタラミド/ドデカメチレンイソフタラミド/ドデカメチレンセバカミド)共重合体(ポリアミド12T/12I/1210)、ポリ(ドデカメチレンテレフタラミド/ドデカメチレンイソフタラミド/ドデカメチレンドデカミド)共重合体(ポリアミド12T/12I/1212)、ポリドデカメチレンナフタラミド(ポリアミド12N)、ポリ(ドデカメチレンナフタラミド/ウンデカンアミド)共重合体(ポリアミド12N/11)、ポリ(ドデカメチレンナフタラミド/ドデカンアミド)共重合体(ポリアミド12N/12)、ポリ(ドデカメチレンナフタラミド/ドデカメチレンセバカミド)共重合体(ポリアミド12N/1210)、ポリ(ドデカメチレンナフタラミド/ドデカメチレンドデカミド)共重合体(ポリアミド12N/1212)、ポリ(ドデカメチレンテレフタラミド/ドデカメチレンナフタラミド/ウンデカンアミド)共重合体(ポリアミド12T/12N/11)、ポリ(ドデカメチレンテレフタラミド/ドデカメチレンナフタラミド/ドデカンアミド)共重合体(ポリアミド12T/12N/12)、ポリ(ドデカメチレンテレフタラミド/ドデカメチレンナフタラミド/ドデカメチレンセバカミド)共重合体(ポリアミド12T/12N/1210)、ポリ(ドデカメチレンテレフタラミド/ドデカメチレンナフタラミド/ドデカメチレンドデカミド)共重合体(ポリアミド12T/12N/1212)、及びこれらの混合物が好ましく、
ポリ(ヘキサメチレンテレフタラミド/ヘキサメチレンイソフタラミド)共重合体(ポリアミド6T/6I)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタラミド/2-メチルペンタメチレンテレフタラミド)共重合体(ポリアミド6T/M5T)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタラミド/カプロアミド)共重合体(ポリアミド6T/6)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタラミド/ヘキサメチレンドデカミド)共重合体(ポリアミド6T/610)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタラミド/ヘキサメチレンドデカミド)共重合体(ポリアミド6T/612)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタラミド/ヘキサメチレンセバカミド)共重合体(ポリアミド6T/610)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタラミド/ヘキサメチレンドデカミド)共重合体(ポリアミド6T/612)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタラミド/ヘキサメチレンイソフタラミド/ヘキサメチレンアジパミド)共重合体(ポリアミド6T/6I/66)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタラミド/ヘキサメチレンイソフタラミド/ヘキサメチレンセバカミド)共重合体(ポリアミド6T/6I/610)、ポリ(ヘキサメチレンテレフタラミド/ヘキサメチレンイソフタラミド/ヘキサメチレンドデカミド)共重合体(ポリアミド6T/6I/612)、ポリノナメチレンテレフタラミド(ポリアミド9T)、ポリ(ノナメチレンテレフタラミド/2-メチルオクタメチレンテレフタラミド)共重合体(ポリアミド9T/M8T)、ポリノナメチレンナフタラミド(ポリアミド9N)、ポリ(ノナメチレンナフタラミド/2-メチルオクタメチレンナフタラミド)共重合体(ポリアミド9N/M8N)、ポリデカメチレンテレフタラミド(ポリアミド10T)、ポリ(デカメチレンテレフタラミド/ウンデカンアミド)共重合体(ポリアミド10T/11)、ポリ(デカメチレンテレフタラミド/ドデカンアミド)共重合体(ポリアミド10T/12)、ポリ(デカメチレンテレフタラミド/デカメチレンセバカミド)共重合体(ポリアミド10T/1010)、ポリ(デカメチレンテレフタラミド/デカメチレンドデカミド)共重合体(ポリアミド10T/1012)、ポリ(デカメチレンテレフタラミド/デカメチレンイソフタラミド/ウンデカンアミド)共重合体(ポリアミド10T/10I/11)、ポリ(デカメチレンテレフタラミド/デカメチレンイソフタラミド/ドデカンアミド)共重合体(ポリアミド10T/10I/12)、ポリ(デカメチレンテレフタラミド/デカメチレンイソフタラミド/デカメチレンセバカミド)共重合体(ポリアミド10T/10I/1010)、ポリ(デカメチレンテレフタラミド/デカメチレンイソフタラミド/デカメチレンドデカミド)共重合体(ポリアミド10T/10I/1012)、ポリデカメチレンナフタラミド(ポリアミド10N)、ポリ(デカメチレンナフタラミド/ウンデカンアミド)共重合体(ポリアミド10N/11)、ポリ(デカメチレンナフタラミド/ドデカンアミド)共重合体(ポリアミド10N/12)、ポリ(デカメチレンナフタラミド/デカメチレンセバカミド)共重合体(ポリアミド10N/1010)、ポリ(デカメチレンナフタラミド/デカメチレンドデカミド)共重合体(ポリアミド10N/1012)、ポリ(デカメチレンテレフタラミド/デカメチレンナフタラミド/ウンデカンアミド)共重合体(ポリアミド10T/10N/11)、ポリ(デカメチレンテレフタラミド/デカメチレンナフタラミド/ドデカンアミド)共重合体(ポリアミド10T/10N/12)、ポリ(デカメチレンテレフタラミド/デカメチレンナフタラミド/デカメチレンセバカミド)共重合体(ポリアミド10T/10N/1010)、ポリ(デカメチレンテレフタラミド/デカメチレンナフタラミド/デカメチレンドデカミド)共重合体(ポリアミド10T/10N/1012)、ポリドデカメチレンテレフタラミド(ポリアミド12T)、ポリ(ドデカメチレンテレフタラミド/ウンデカンアミド)共重合体(ポリアミド12T/11)、ポリ(ドデカメチレンテレフタラミド/ドデカンアミド)共重合体(ポリアミド12T/12)、ポリ(ドデカメチレンテレフタラミド/ドデカメチレンドデカミド)共重合体(ポリアミド12T/1212)、ポリドデカメチレンナフタラミド(ポリアミド12N)、ポリ(ドデカメチレンナフタラミド/ウンデカンアミド)共重合体(ポリアミド12N/11)、ポリ(ドデカメチレンナフタラミド/ドデカンアミド)共重合体(ポリアミド12N/12)、ポリ(ドデカメチレンナフタラミド/ドデカメチレンドデカミド)共重合体(ポリアミド12N/1212)、及びこれらの混合物がより好ましい。
更に、半芳香族ポリアミド(D1)の製造装置としては、バッチ式反応釜、一槽式ないし多槽式の連続反応装置、管状連続反応装置、一軸型混練押出機、二軸型混練押出機等の混練反応押出機等、公知のポリアミド製造装置が挙げられる。重合方法としては、溶融重合、溶液重合、固相重合等の公知の方法を用い、常圧、減圧、加圧操作を繰り返して重合することができる。これらの重合方法は、単独で、あるいは適宜、組合せて用いることができる。
半芳香族ポリアミド(D1)を製造する際、触媒として、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、それらの塩又はエステル等を添加することができる。リン酸、亜リン酸、次亜リン酸の塩又はエステルとしては、例えば、リン酸、亜リン酸、又は次亜リン酸とカリウム、ナトリウム、マグネシウム、バナジウム、カルシウム、亜鉛、コバルト、マンガン、錫、タングステン、ゲルマニウム、チタン、アンチモン等の金属塩、リン酸、亜リン酸、又は次亜リン酸のアンモニウム塩、リン酸、亜リン酸、又は次亜リン酸のエチルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、へキシルエステル、イソデシルエステル、デシルエステル、ステアリルエステル、フェニルエステル等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
[半芳香族ポリアミド(D2)]
半芳香族ポリアミド組成物(D)は、半芳香族ポリアミド(D2)を含む態様があり(以下、半芳香族ポリアミド(D2)と称する場合がある。)、半芳香族ポリアミド(D2)は、半芳香族ポリアミド(D2)の全ジアミン単位に対して、キシリレンジアミン単位及び/又はビス(アミノメチル)ナフタレン単位を50モル%以上含むジアミン単位と、半芳香族ポリアミド(D2)の全ジカルボン酸単位に対して、炭素原子数4以上12以下の脂肪族ジカルボン酸単位を50モル%以上含むジカルボン酸単位を含有する。
半芳香族ポリアミド(D2)中のキシリレンジアミン単位及び/又はビス(アミノメチル)ナフタレン単位の含有量は、得られる積層チューブの耐熱性、耐薬品性、耐衝撃性、薬液バリア性等の諸物性を十分に確保する観点から、半芳香族ポリアミド(D2)の全ジアミン単位に対して、50モル%以上であり、55モル%以上であることが好ましく、60モル%以上であることがより好ましい。
キシリレンジアミン単位としては、o-キシリレンジアミン、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミンから誘導される単位が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。前記キシリレンジアミン単位の中でも、経済性及び入手の容易さを考慮して、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミンから誘導される単位が好ましい。
m-キシリレンジアミンとp-キシリレンジアミンを併用する場合、m-キシリレンジアミン単位とp-キシリレンジアミン単位のモル比は、成形性と耐衝撃性のバランスの観点から、10:90~99:1(モル比)であることが好ましく、50:50~99:1(モル比)であることがより好ましく、65:35~99:1(モル比)であることが更に好ましい。
ビス(アミノメチル)ナフタレン単位としては、1,4-ビス(アミノメチル)ナフタレン、1,5-ビス(アミノメチル)ナフタレン、2,6-ビス(アミノメチル)ナフタレン、2,7-ビス(アミノメチル)ナフタレン等から誘導される単位が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。前記ビス(アミノメチル)ナフタレン単位の中でも、経済性及び入手の容易さを考慮して、1,5-ビス(アミノメチル)ナフタレン、2,6-ビス(アミノメチル)ナフタレンから誘導される単位が好ましい。
半芳香族ポリアミド(D2)中のジアミン単位は、得られる積層チューブの優れた諸特性を損なわない範囲内であれば、キシリレンジアミン単位及び/又はビス(アミノメチル)ナフタレン単位以外の他のジアミン単位を含んでいてもよい。他のジアミン単位としては、1,2-エタンジアミン、1,3-プロパンジアミン、1,4-ブタンジアミン、1,5-ペンタンジアミン、1,6-ヘキサンジアミン、1,7-ヘプタンジアミン、1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、1,13-トリデカンジアミン、1,14-テトラデカンジアミン、1,15-ペンタデカンジアミン、1,16-ヘキサデカンジアミン、1,17-ヘプタデカンジアミン、1,18-オクタデカンジアミン、1,19-ノナデカンジアミン、1,20-エイコサンジアミン、2-メチル-1,5-ペンタンジアミン、3-メチル-1,5-ペンタンジアミン、2-メチル-1,8-オクタンジアミン、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジアミン、2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサンジアミン、5-メチル-1,9-ノナンジアミン等の脂肪族ジアミンから誘導される単位;1,3-シクロヘキサンジアミン、1,4-シクロヘキサンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、2,2-ビス(4-アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)メタン、2,2-ビス(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)プロパン、5-アミノ-2,2,4-トリメチル-1-シクロペンタンメチルアミン、5-アミノ-1,3,3-トリメチルシクロヘキサンメチルアミン、ビス(アミノプロピル)ピペラジン、ビス(アミノエチル)ピペラジン、2,5-ビス(アミノメチル)ノルボルナン、2,6-ビス(アミノメチル)ノルボルナン、3,8-ビス(アミノメチル)トリシクロデカン、4,9-ビス(アミノメチル)トリシクロデカン等の脂環式ジアミンから誘導される単位;m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル等の芳香族ジアミンから誘導される単位が挙げられ、これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、芳香族ジアミンから誘導される単位が好ましい。これら他のジアミン単位の含有量は、半芳香族ポリアミド(D2)の全ジアミン単位に対して、50モル%未満であり、45モル%以下であることが好ましく、40モル%以下であることがより好ましい。
炭素原子数4以上12以下の脂肪族ジカルボン酸単位としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸等から誘導される単位が挙げられる。炭素原子数が前記を満たす限り、メチルマロン酸、ジメチルマロン酸、エチルマロン酸、ジメチルマロン酸、メチルコハク酸、メチルエチルマロン酸、2,2-ジメチルコハク酸、2,3-ジメチルコハク酸、2-メチルグルタル酸、3-メチルグルタル酸、2-メチルアジピン酸、2,2-ジメチルグルタル酸、2,2-ジエチルコハク酸、2,2,4-トリメチルアジピン酸、2,4,4-トリメチルアジピン酸、2-ブチルスベリン酸等の分岐鎖状脂肪族ジカルボン酸から誘導される単位を含有していても構わない。これらは1種又は2種以上を用いることができる。前記炭素原子数4以上12以下の脂肪族ジカルボン酸単位の中でも、入手の容易さ及び経済性の観点から、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸から誘導される単位が好ましく、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸から誘導される単位がより好ましく、アジピン酸、セバシン酸から誘導される単位が更に好ましい。
アジピン酸とセバシン酸を併用する場合、アジピン酸単位とセバシン酸単位のモル比は、成形性と耐衝撃性のバランスの観点から、60:40~90:10(モル比)であることが好ましく、65:30~85:15(モル比)であることがより好ましく、70:30~85:15(モル比)であることが更に好ましい。
また、半芳香族ポリアミド(D2)中の炭素原子数4以上12以下の脂肪族ジカルボン酸単位の含有量は、得られる積層チューブの耐熱性、耐薬品性、薬液バリア性等の諸物性を十分に確保する観点から、半芳香族ポリアミド(D2)の全ジカルボン酸単位に対して、50モル%以上であり、55モル%以上であることが好ましく、60モル%以上であることがより好ましい。
半芳香族ポリアミド(D2)中のジカルボン酸単位は、得られる積層チューブの優れた諸特性を損なわない範囲内であれば、素原子数4以上12以下の脂肪族ジカルボン酸単位以外の他のジカルボン酸単位を含んでいてもよい。他のジカルボン酸単位としては、シュウ酸、マロン酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸、エイコサン二酸等の脂肪族ジカルボン酸から誘導される単位;1,3-シクロペンタンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸から誘導される単位;テレフタル酸、イソフタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、1,3-フェニレンジオキシジ酢酸、1,4-フェニレンジオキシジ酢酸、4,4’-オキシジ安息香酸、ジフェニルメタン-4,4’-ジカルボン酸、ジフェニルエタン-4,4’-ジカルボン酸、ジフェニルプロパン-4,4’-ジカルボン酸、ジフェニルエーテル-4,4’-ジカルボン酸、ジフェニルスルホン-4,4’-ジカルボン酸、4,4’-ビフェニルジカルボン酸、4,4’-トリフェニルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸から誘導される単位が挙げられ、これらは1種又は2種以上を用いることができる。これら他のジカルボン酸単位の含有量は、半芳香族ポリアミド(D2)の全ジカルボン酸単位に対して、50モル%未満であり、45モル%以下であることが好ましく、40モル%以下であることがより好ましい。更に、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸等の多価カルボン酸を溶融成形が可能な範囲内で用いることもできる。
半芳香族ポリアミド(D2)には、得られる積層チューブの優れた諸特性を損なわない範囲内であれば、ジカルボン酸単位及びジアミン単位以外のその他の単位を含んでいてもよい。その他の単位としては、半芳香族ポリアミド(D1)の説明で記載したラクタムから誘導される単位及び/又はアミノカルボン酸から誘導される単位が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。その他の単位の含有量は、半芳香族ポリアミド(D2)の全重合単位に基づいて、45モル%以下であることが好ましく、40モル%以下であることがより好ましく、35モル%以下であることが更に好ましい。
半芳香族ポリアミド(D2)の具体例としては、ポリメタキシリレンスクシナミド(ポリアミドMXD4)、ポリメタキシリレングルタミド(ポリアミドMXD5)、ポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)、ポリメタキシリレンスベラミド(ポリアミドMXD8)、ポリメタキシリレンアゼラミド(ポリアミドMXD9)、ポリメタキシリレンセバカミド(ポリアミドMXD10)、ポリメタキシリレンドデカミド(ポリアミドMXD12)、ポリパラキシリレンスクシナミド(ポリアミドPXD4)、ポリパラキシリレングルタミド(ポリアミドPXD5)、ポリパラキシリレンアジパミド(ポリアミドPXD6)、ポリパラキシリレンスベラミド(ポリアミドPXD8)、ポリパラキシリレンアゼラミド(ポリアミドPXD9)、ポリパラキシリレンセバカミド(ポリアミドPXD10)、ポリパラキシリレンドデカミド(ポリアミドPXD12)、ポリ(2,6-ナフタレンジメチレンスクシナミド)(ポリアミド2,6-BAN4)、ポリ(2,6-ナフタレンジメチレングルタミド)(ポリアミド2,6-BAN5)、ポリ(2,6-ナフタレンジメチレンアジパミド)(ポリアミド2,6-BAN6)、ポリ(2,6-ナフタレンジメチレンスベラミド)(ポリアミド2,6-BAN8)、ポリ(2,6-ナフタレンジメチレンアゼラミド)(ポリアミド2,6-BAN9)、ポリ(2,6-ナフタレンジメチレンセバカミド)(ポリアミド2,6-BAN10)、ポリ(2,6-ナフタレンジメチレンドデカミド)(ポリアミド2,6-BAN12)の単独重合体、及び/又はこれらポリアミドの原料単量体を数種用いた共重合体、並びに/若しくはポリメタキシリレンテレフタラミド(ポリアミドMXDT)、ポリメタキシリレンイソフタラミド(ポリアミドMXDI)、ポリメタキシリレンナフタラミド(ポリアミドMXDN)、ポリパラキシリレンテレフタラミド(ポリアミドPXDT)、ポリパラキシリレンイソフタラミド(ポリアミドPXDI)、ポリパラキシリレンナフタラミド(ポリアミドPXDN)、ポリ(2,6-ナフタレンジメチレンテレフタラミド)(ポリアミド2,6-BANT)、ポリ(2,6-ナフタレンジメチレンイソフタラミド)(ポリアミド2,6-BANI)、ポリ(2,6-ナフタレンジメチレンナフタラミド)(ポリアミド2,6-BANN)等を形成する原料単量体を数種用いた共重合体等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
これらの中でも、入手の容易さ、得られる積層チューブの耐熱性、耐薬品性、耐衝撃性、薬液バリア性等の諸物性を十分に確保する観点から、半芳香族ポリアミド(D2)としては、ポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)、ポリパラキシリレンアジパミド(ポリアミドPXD6)、ポリ(メタキシリレンアジパミド/メタキシリレンテレフタラミド)共重合体(ポリアミドMXD6/MXDT)、ポリ(メタキシリレンアジパミド/メタキシリレンイソフタラミド)共重合体(ポリアミドMXD6/MXDI)、ポリ(メタキシリレンアジパミド/メタキシリレンテレフタラミド/メタキシリレンイソフタラミド)共重合体(ポリアミドMXD6/MXDT/MXDI)、ポリ(パラキシリレンアジパミド/パラキシリレンテレフタラミド)共重合体(ポリアミドPXD6/PXDT)、ポリ(パラキシリレンアジパミド/パラキシリレンイソフタラミド)共重合体(ポリアミドPXD6/PXDI)、ポリ(パラキシリレンアジパミド/パラキシリレンテレフタラミド/パラキシリレンイソフタラミド)共重合体(ポリアミドPXD6/PXDT/PXDI)、ポリ(メタキシリレンアジパミド/パラキシリレンアジパミド)共重合体(ポリアミドMXD6/PXD6)、ポリ(メタキシリレンアジパミド/パラキシリレンアジパミド/メタキシリレンテレフタラミド/パラキシリレンテレフタラミド)共重合体(ポリアミドMXD6/PXD6/MXDT/PXDT)、ポリ(メタキシリレンアジパミド/パラキシリレンアジパミド/メタキシリレンイソフタラミド/パラキシリレンイソフタラミド)共重合体(ポリアミドMXD6/PXD6/MXDI/PXDI)、ポリ(メタキシリレンアジパミド/パラキシリレンアジパミド/メタキシリレンテレフタラミド/パラキシリレンテレフタラミド/メタキシリレンイソフタラミド/パラキシリレンイソフタラミド)共重合体(ポリアミドMXD6/PXD6/MXDT/PXDT/MXDI/PXDI)、ポリメタキシリレンセバカミド(ポリアミドMXD10)、ポリパラキシリレンセバカミド(ポリアミドPXD10)、ポリ(メタキシリレンセバカミド/メタキシリレンテレフタラミド)共重合体(ポリアミドMXD10/MXDT)、ポリ(メタキシリレンセバカミド/メタキシリレンイソフタラミド)共重合体(ポリアミドMXD10/MXDI)、ポリ(メタキシリレンセバカミド/メタキシリレンテレフタラミド/メタキシリレンイソフタラミド)共重合体(ポリアミドMXD10/MXDT/MXDI)、ポリ(パラキシリレンセバカミド/パラキシリレンテレフタラミド)共重合体(ポリアミドPXD10/PXDT)、ポリ(パラキシリレンセバカミド/パラキシリレンイソフタラミド)共重合体(ポリアミドPXD10/PXDI)、ポリ(パラキシリレンセバカミド/パラキシリレンテレフタラミド/パラキシリレンイソフタラミド)共重合体(ポリアミドPXD10/PXDT/PXDI)、ポリ(メタキシリレンセバカミド/パラキシリレンセバカミド)共重合体(ポリアミドMXD10/PXD10)、ポリ(メタキシリレンセバカミド/パラキシリレンセバカミド/メタキシリレンテレフタラミド/パラキシリレンテレフタラミド)共重合体(ポリアミドMXD10/PXD10/MXDT/PXDT)、ポリ(メタキシリレンセバカミド/パラキシリレンセバカミド/メタキシリレンイソフタラミド/パラキシリレンイソフタラミド)共重合体(ポリアミドMXD10/PXD10/MXDI/PXDI)、ポリ(メタキシリレンセバカミド/パラキシリレンセバカミド/メタキシリレンテレフタラミド/パラキシリレンテレフタラミド/メタキシリレンイソフタラミド/パラキシリレンイソフタラミド)共重合体(ポリアミドMXD10/PXD10/MXDT/PXDT/MXDI/PXDI)、及びこれらの混合物が好ましく、
ポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)、ポリパラキシリレンアジパミド(ポリアミドPXD6)、ポリ(メタキシリレンアジパミド/メタキシリレンイソフタラミド)共重合体(ポリアミドMXD6/MXDI)、ポリ(パラキシリレンアジパミド/パラキシリレンイソフタラミド)共重合体(ポリアミドPXD6/PXDI)、ポリ(メタキシリレンアジパミド/パラキシリレンアジパミド)共重合体(ポリアミドMXD6/PXD6)、ポリ(メタキシリレンアジパミド/パラキシリレンアジパミド/メタキシリレンイソフタラミド/パラキシリレンイソフタラミド)共重合体(ポリアミドMXD6/PXD6/MXDI/PXDI)、ポリメタキシリレンセバカミド(ポリアミドMXD10)、ポリパラキシリレンセバカミド(ポリアミドPXD10)、ポリ(メタキシリレンセバカミド/メタキシリレンイソフタラミド)共重合体(ポリアミドMXD10/MXDI)、ポリ(パラキシリレンセバカミド/パラキシリレンイソフタラミド)共重合体(ポリアミドPXD10/PXDI)、ポリ(メタキシリレンセバカミド/パラキシリレンセバカミド)共重合体(ポリアミドMXD10/PXD10)、ポリ(メタキシリレンセバカミド/パラキシリレンセバカミド/メタキシリレンイソフタラミド/パラキシリレンイソフタラミド)共重合体(ポリアミドMXD10/PXD10/MXDI/PXDI)、及びこれらの混合物がより好ましく、
ポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)、ポリ(メタキシリレンアジパミド/パラキシリレンアジパミド)共重合体(ポリアミドMXD6/PXD6)、ポリメタキシリレンセバカミド(ポリアミドMXD10)、ポリ(メタキシリレンセバカミド/パラキシリレンセバカミド)共重合体(ポリアミドMXD10/PXD10)、及びこれらの混合物が更に好ましい。
ポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)及び/又はポリ(メタキシリレンアジパミド/パラキシリレンアジパミド)共重合体(ポリアミドMXD6/PXD6)とポリメタキシリレンセバカミド(ポリアミドMXD10)及び/又はポリ(メタキシリレンセバカミド/パラキシリレンセバカミド)共重合体(ポリアミドMXD10/PXD10)の混合物である場合、ポリメタキシリレンアジパミド(ポリアミドMXD6)及び/又はポリ(メタキシリレンアジパミド/パラキシリレンアジパミド)共重合体(ポリアミドMXD6/PXD6)とポリメタキシリレンセバカミド(ポリアミドMXD10)及び/又はポリ(メタキシリレンセバカミド/パラキシリレンセバカミド)共重合体(ポリアミドMXD10/PXD10)の質量比は、55:45~85:15(質量比)であることが好ましく、60:40~80:20(質量比)であることがより好ましく、65:35~75:25(質量比)であることが更に好ましい。
半芳香族ポリアミド(D2)の製造装置としては、バッチ式反応釜、一槽式ないし多槽式の連続反応装置、管状連続反応装置、一軸型混練押出機、二軸型混練押出機等の混練反応押出機等、公知のポリアミド製造装置が挙げられる。半芳香族ポリアミド(D2)の製造方法としては、溶融重合、溶液重合、固相重合等の公知の方法があり、これらの方法を用い、常圧、減圧、加圧操作を繰り返して半芳香族ポリアミド(D2)を製造することができる。これらの製造方法は、単独で、あるいは適宜、組合せて用いることができ、これらの中でも、溶融重合法が好ましい。例えば、キシリレンジアミン及び/又はビス(アミノメチル)ナフタレンと炭素原子数4以上12以下の脂肪族ジカルボン酸からなるナイロン塩を水の存在下で、加圧、昇温し、加えた水及び縮合水を除きながら溶融状態で重合させる方法により製造される。また、キシリレンジアミン及び/又はビス(アミノメチル)ナフタレンを溶融状態の炭素原子数4以上12以下の脂肪族ジカルボン酸に直接加えて、常圧下で重縮合する方法によっても製造される。この場合、反応系を均一な液状状態に保つために、キシリレンジアミン及び/又はビス(アミノメチル)ナフタレンを炭素原子数4以上12以下の脂肪族ジカルボン酸に連続的に加え、その間、反応系の温度が生成するオリゴアミド及びポリアミドの融点以上になるように反応系を昇温しつつ、重合が進められる。半芳香族ポリアミド(D2)は、溶融重合法により製造された後に、固相重合を行ってもよい。
半芳香族ポリアミド(D2)には、触媒として、あるいは溶融成形時の加工安定性を高め、着色を防止するためにリン原子含有化合物を添加することができる。リン原子含有化合物としては、次亜リン酸、亜リン酸、リン酸、ピロリン酸、メタリン酸、亜ホスホン酸、及びこれらの誘導体、即ち、次亜リン酸のアルカリ土類金属塩、亜リン酸のアルカリ金属塩、亜リン酸のアルカリ土類金属塩、リン酸のアルカリ金属塩、リン酸のアルカリ土類金属塩、ピロリン酸のアルカリ金属塩、ピロリン酸のアルカリ土類金属塩、メタリン酸のアルカリ金属塩、メタリン酸のアルカリ土類金属塩、亜ホスホン酸のアルカリ金属塩、亜ホスホン酸のアルカリ土類金属塩、ホスホン酸のアルカリ金属塩、ホスホン酸のアルカリ土類金属塩等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
リン原子含有化合物の具体例としては、ホスフィン酸(次亜リン酸)、次亜リン酸エチル、ジメチルホスフィン酸、フェニルメチルホスフィン酸、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸リチウム、次亜リン酸カルシウム、次亜リン酸マグネシウム、亜リン酸、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸水素ナトリウム、亜リン酸カリウム、亜リン酸水素カリウム、亜リン酸リチウム、亜リン酸水素リチウム、亜リン酸マグネシウム、亜リン酸水素マグネシウム、亜リン酸カルシウム、亜リン酸水素カルシウム、ピロ亜リン酸、リン酸、リン酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸マグネシウム、リン酸水素二マグネシウム、リン酸二水素マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸水素二カルシウム、リン酸二水素カルシウム、リン酸リチウム、リン酸水素二リチウム、リン酸二水素リチウム、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、ピロリン酸マグネシウム、ピロリン酸カルシウム、ピロリン酸リチウム、メタリン酸ナトリウム、メタリン酸カリウム、メタリン酸マグネシウム、メタリン酸カルシウム、メタリン酸リチウム、亜ホスホン酸、亜ホスホン酸ナトリウム、亜ホスホン酸リチウム、亜ホスホン酸カリウム、亜ホスホン酸マグネシウム、亜ホスホン酸カルシウム、フェニル亜ホスホン酸エチル、フェニル亜ホスホン酸ナトリウム、フェニル亜ホスホン酸カリウム、フェニル亜ホスホン酸リチウム、ホスホン酸、ホスホン酸ナトリウム、ホスホン酸カリウム、ホスホン酸リチウム、ホスホン酸カリウム、ホスホン酸マグネシウム、ホスホン酸カルシウム、フェニルホスホン酸、エチルホスホン酸、フェニルホスホン酸ナトリウム、フェニルホスホン酸カリウム、フェニルホスホン酸リチウム、フェニルホスホン酸ジエチル、エチルホスホン酸ナトリウム、エチルホスホン酸カリウム等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸リチウム、次亜リン酸カルシウム、次亜リン酸マグネシウム、亜リン酸カルシウム、亜リン酸水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸水素ナトリウム、亜リン酸カリウム、亜リン酸水素カリウム、亜リン酸リチウム、亜リン酸水素リチウム、亜リン酸マグネシウム、亜リン酸水素マグネシウム、亜リン酸カルシウム、亜リン酸水素カルシウムが好ましく、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸リチウム、次亜リン酸カルシウム、次亜リン酸マグネシウムがより好ましい。尚、これらのリン原子含有化合物は水和物であってもよい。
リン原子含有化合物の含有量は、重合時の触媒効果、着色防止効果の十分な確保、及びゲルの発生を抑制の観点から、半芳香族ポリアミド(D2)100質量部に対して、リン原子濃度換算で0.03質量部以上0.3質量部以下であることが好ましく、0.05質量部以上0.2質量部以下であることがより好ましく、0.07質量部以上0.15質量部以下であることが更に好ましい。
これらのリン原子含有化合物の添加方法は、半芳香族ポリアミド(D2)の原料であるナイロン塩水溶液、ジアミン、又はジカルボン酸に添加する方法、溶融状態にあるジカルボン酸に添加する方法、溶融重合中に添加する方法等が挙げられるが、半芳香族ポリアミド(D2)中に均一に分散させることが可能であれば、いかなる方法でも良く、これらに限定されるものではない。
半芳香族ポリアミド(D2)には、リン原子含有化合物と併用して、アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物を添加することができる。尚、このアルカリ金属塩及び/又はアルカリ土類金属塩は、前記リン酸化合物以外の化合物をいう。重縮合中のポリアミドの着色を防止するため、リン原子含有化合物を十分な量存在させる必要があるが、場合によっては、ポリアミドのゲル化を招く恐れがあるため、アミド化反応速度を調整するためにも、アルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物を共存させることが好ましい。アルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物としては、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属酢酸塩、アルカリ土類金属酢酸塩、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ土類金属アルコキシド等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、アルカリ金属水酸化物及び/又はアルカリ金属酢酸塩がより好ましい。
アルカリ金属化合物及びアルカリ土類金属化合物の具体例としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム等のアルカリ金属/アルカリ土類金属の水酸化物;酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸ルビジウム、酢酸セシウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸ストロンチウム、酢酸バリウムのアルカリ金属/アルカリ土類金属の酢酸塩;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ルビジウム、炭酸セシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム等のアルカリ金属/アルカリ土類金属の炭酸塩;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキド、ナトリウムプロポキシド、ナトリウムブトキシド、カリウムメトキシド、リチウムメトキシド、マグネシウムメトキシド、カルシウムメトキシド等のアルカリ金属/アルカリ土類金属のアルコキシド等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、経済性の観点から、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムが好ましい。
半芳香族ポリアミド(D2)の重縮合系内にアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物を添加する場合、該化合物のモル数を前記リン原子含有化合物のリン原子換算モル数で除した値は、アミド化反応の促進と抑制のバランスの観点から、0.3以上2以下であることが好ましく、0.4以上1.9以下であることがより好ましく、0.5以上1.8以下であることが更に好ましい。
これらのアルカリ金属化合物及び/又はアルカリ土類金属化合物の添加方法は、半芳香族ポリアミド(D2)の原料であるナイロン塩水溶液、ジアミン、又はジカルボン酸に添加する方法、溶融状態にあるジカルボン酸に添加する方法、溶融重合中に添加する方法等が挙げられるが、半芳香族ポリアミド(D2)中に均一に分散させることが可能であればいかなる方法でも良く、これらに限定されるものではない。
JIS K-6920に準拠して、96%硫酸、ポリマー濃度1%、25℃の条件下にて測定した半芳香族ポリアミド(D1)及び半芳香族ポリアミド(D2)の相対粘度は、得られる積層チューブの機械的性質を確保することと、溶融時の粘度を適正範囲にして積層チューブの望ましい成形性を確保する観点から、1.5以上4.0以下であることが好ましく、1.6以上3.5以下であることがより好ましく、1.8以上3.0以下であることが更に好ましい。
尚、半芳香族ポリアミド(D1)及び半芳香族ポリアミド(D2)の末端基の種類、末端基濃度、及び分子量分布に特別の制約は無い。分子量調節及び成形加工時の溶融安定化のため、モノアミン、ジアミン、ポリアミン、モノカルボン酸、ジカルボン酸のうちの1種あるいは2種以上を適宜組合せて添加することができる。例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン等の脂肪族モノアミン;シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン等の脂環式モノアミン;アニリン、トルイジン、ジフェニルアミン、ナフチルアミン等の芳香族モノアミン;1,2-エタンジアミン、1,3-プロパンジアミン、1,13-トリデカンジアミン等の脂肪族ジアミン;シクロヘキサンジアミン、ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、5-アミノ-1,3,3-トリメチルシクロヘキサンメチルアミン等の脂環式ジアミン;m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン等の芳香族ジアミン;ポリアルキレンイミン、ポリアルキレンポリアミン、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン等のポリアミン;酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ピバリン酸、イソ酪酸等の脂肪族モノカルボン酸;シクロヘキサンカルボン酸等の脂環式モノカルボン酸;安息香酸、トルイル酸、α-ナフタレンカルボン酸、β-ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカルボン酸、フェニル酢酸等の芳香族モノカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸、1,3-シクロペンタンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これら分子量調節剤の使用量は、分子量調節剤の反応性及び重合条件により異なるが、最終的に得ようとするポリアミドの相対粘度が前記の範囲になるように適宜決められる。
溶融安定性を考慮すると、半芳香族ポリアミド(D1)及び半芳香族ポリアミド(D2)の分子鎖の末端が末端封止剤により封止されていることが好ましく、末端基の10%以上が封止されていることがより好ましく、末端基の20%以上が封止されていることが更に好ましい。末端封止剤としては、ポリアミド末端のアミノ基又はカルボキシル基と反応性を有する単官能性の化合物であれば特に制限はないが、反応性、封止末端の安定性等の観点から、モノカルボン酸又はモノアミンが好ましく、取扱いの容易さ等の観点から、モノカルボン酸がより好ましい。その他、無水フタル酸等の酸無水物、モノイソシアネート、モノ酸ハロゲン化物、モノエステル類、モノアルコール類等も使用できる。
末端封止剤として使用されるモノカルボン酸としては、アミノ基との反応性を有するものであれば特に制限はないが、前記脂肪族モノカルボン酸、脂環式モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、反応性、封止末端の安定性、価格等の観点から、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、安息香酸が好ましい。末端封止剤として使用されるモノアミンとしては、カルボキシル基との反応性を有するものであれば特に制限はないが、前記脂肪族モノアミン、脂環式モノアミン、芳香族モノアミン等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、反応性、沸点、封止末端の安定性、価格等の観点から、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、シクロヘキシルアミン、アニリンが好ましい。
末端封止剤の使用量は、用いる末端封止剤の反応性、沸点、反応装置、反応条件等を考慮して、適宜選択することができる。重合度の調整の観点から、原料成分であるジカルボン酸とジアミンの総モル数に対して、0.1モル%以上15モル%以下であることが好ましい。
半芳香族ポリアミド組成物(D)には、半芳香族ポリアミド(D1)及び半芳香族ポリアミド(D2)の低温耐衝撃性を改良するために、衝撃改良材を添加することが好ましく、カルボキシル基及び/又は酸無水物基を有する不飽和化合物から誘導される構成単位を含有するエラストマー重合体(D3)を添加することがより好ましい。エラストマー重合体(D3)は、前記脂肪族ポリアミド組成物(A)に含まれるエラストマー重合体(A2)の説明で記載した通りである。エラストマー重合体(D3)としては、エラストマー重合体(A3)と同じものを用いてもよく、異なるものを用いてもよい。これらは1種又は2種以上を用いることができる。前記エラストマー重合体(D3)は、カルボキシル基及び/又は酸無水物基を有する不飽和化合物から誘導される構成単位を含有していないと、衝撃改良効果が不十分となる場合がある。
衝撃改良材の含有量は、得られる積層チューブの機械的強度及び低温耐衝撃性を十分に確保する観点から、主成分の半芳香族ポリアミド(D1)及び/又は半芳香族ポリアミド(D2)100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下であることが好ましく、3質量部以上25質量部以下であることがより好ましい。
半芳香族ポリアミド組成物(D)には、半芳香族ポリアミド(D1)及び/又は半芳香族ポリアミド(D2)とともに、他の熱可塑性樹脂を含有していてもよい。他の熱可塑性樹脂としては、前記脂肪族ポリアミド組成物(A)の場合と同様の樹脂が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。更に、得られる積層チューブの層間接着性、柔軟性、及び溶融加工安定性の観点から、前記脂肪族ポリアミド組成物(A)に含まれる脂肪族ポリアミド(A1)の説明で記載したポリアミドとの混合物であることも好ましい。半芳香族ポリアミド組成物(D)中の半芳香族ポリアミド(D1)及び/又は半芳香族ポリアミド(D2)の含有量は、60質量%以上であり、70質量%以上であることが好ましい。
更に、半芳香族ポリアミド組成物(D)には、必要に応じて、導電性フィラー、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、滑剤、無機充填剤、帯電防止剤、難燃剤、結晶化促進剤、着色剤、潤滑剤等を添加してもよい。
5.(e)層
積層チューブは、更に(e)層を有することが好ましい。
積層チューブの(e)層は、アミノ基又はカルボジイミド基、及び/若しくはその誘導体に対して反応性を有する官能基が分子鎖中に導入された含フッ素系重合体(E)(以下、含フッ素系重合体(E)と称する場合がある。)を含む。
[含フッ素系重合体(E)]
含フッ素系重合体(E)は、アミノ基又はカルボジイミド基、及び/若しくはその誘導体に対して反応性を有する官能基が分子鎖中に導入された含フッ素系重合体である。
含フッ素系重合体(E)は、少なくとも1種の含フッ素単量体から誘導される繰り返し単位を有する重合体(単独重合体又は共重合体)である。熱溶融加工可能な含フッ素系重合体であれば特に限定されるものではない。
ここで、含フッ素単量体としては、テトラフルオロエチレン(TFE)、トリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン(VDF)、フッ化ビニル(VF)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、トリクロロフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、CF2=CFORf1(ここで、Rf1は、炭素原子数1以上10以下のエーテル性酸素原子を含んでもよいパーフルオロアルキル基を表す。)、CF2=CF-OCH2-Rf2(ここで、Rf2は、炭素原子数1以上10以下のエーテル性酸素原子を含んでもよいパーフルオロアルキレン基を表す。)、CF2=CF(CF2)pOCF=CF2(ここで、pは、1又は2である。)、CH2=CX1(CF2)nX2(ここで、X1及びX2は、互いに独立に水素原子又はフッ素原子を表し、nは、2以上10以下の整数である。)等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
前記一般式CF2=CFORf1の具体例としては、CF2=CFOCF2(パーフルオロ(メチルビニルエーテル):PMVE)、CF2=CFOCF2CF3(パーフルオロ(エチルビニルエーテル):PEVE)、CF2=CFOCF2CF2CF3(パーフルオロ(プロピルビニルエーテル):PPVE)、CF2=CFOCF2CF2CF2CF3(パーフルオロ(ブチルビニルエーテル):PBVE)、CF2=CFO(CF2)8F(パーフルオロ(オクチルビニルエーテル):POVE)等のパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(以下、PAVEと称する場合がある。)が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、CF2=CFOCF2、CF2=CFOCF2CF2CF3が好ましい。
また、前記一般式CH2=CX1(CF2)nX2(ここで、X1及びX2は、互いに独立に水素原子又はフッ素原子を表し、nは、2以上10以下の整数である。)で表される化合物中のnは、含フッ素系重合体の改質(例えば、共重合体の成形時及び成形品のクラック発生の抑制)効果に確保し、十分な重合反応性を得る観点から、2以上10以下の整数である。具体的には、CH2=CF(CF2)2F、CH2=CF(CF2)3F、CH2=CF(CF2)4F、CH2=CF(CF2)5F、CH2=CF(CF2)8F、CH2=CF(CF2)2H、CH2=CF(CF2)3H、CH2=CF(CF2)4H、CH2=CF(CF2)5H、CH2=CF(CF2)8H、CH2=CH(CF2)2F、CH2=CH(CF2)3F、CH2=CH(CF2)4F、CH2=CH(CF2)5F、CH2=CH(CF2)8F、CH2=CH(CF2)2H、CH2=CH(CF2)3H、CH2=CH(CF2)4H、CH2=CH(CF2)5H、CH2=CH(CF2)8H等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
これらの中でも、含フッ素系重合体(E)の薬液バリア性と耐環境応力亀裂性のバランスの観点から、CH2=CH(CF2)nF又はCH2=CF(CF2)nHで表される化合物が好ましく、式中のnは、2以上4以下であることがより好ましい。
含フッ素系重合体(E)は、前記含フッ素単量体に加えて、更に、非フッ素含有単量体に基づく重合単位を含有してもよい。非フッ素含有単量体としては、エチレン、プロピレン、イソブテン等の炭素原子数2以上4以下のオレフィン;塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、クロロ酢酸ビニル、乳酸ビニル、酪酸ビニル、ピバル酸ビニル、安息香酸ビニル、クロトン酸ビニル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、クロトン酸メチル等のビニルエステル;メチルビニルエーテル(MVE)、エチルビニルエーテル(EVE)、ブチルビニルエーテル(BVE)、イソブチルビニルエーテル(IBVE)、シクロへキシルビニルエーテル(CHVE)、グリシジルビニルエーテル等のビニルエーテル等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、エチレン、プロピレン、酢酸ビニルが好ましく、エチレンがより好ましい。
含フッ素系重合体(E)の中でも、耐熱性、耐薬品性、及び薬液バリア性の観点から、少なくとも、フッ化ビニリデン単位(VDF単位)からなる重合体(E1)、少なくとも、テトラフルオロエチレン単位(TFE単位)及びエチレン単位(E単位)からなる共重合体(E2)、少なくとも、テトラフルオロエチレン単位(TFE単位)、ヘキサフルオロプロピレン単位(HFP単位)、及び/又は前記一般式CF2=CFORf1(ここで、Rf1は、炭素原子数1以上10以下のエーテル性酸素原子を含んでもよいパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるPAVEに由来するPAVE単位からなる共重合体(E3)、少なくとも、クロロトリフルオロエチレン単位(CTFE単位)からなる共重合体(E4)、少なくとも、クロロトリフルオロエチレン単位(CTFE単位)及びテトラフルオロエチレン単位(TFE単位)からなる共重合体(E5)であることが好ましい。
少なくとも、フッ化ビニリデン単位(VDF単位)からなる重合体(E1)(以下、VDF共重合体(E1)と称する場合がある。)としては、例えば、フッ化ビニリデン単独重合体(ポリフッ化ビニリデン(PVDF))(E1-1)、
VDF単位及びTFE単位とからなる共重合体であって、後記の官能基含有単量体を除く単量体全体に対して、VDF単位の含有量が30モル%以上99モル%以下、及びTFE単位の含有量が1モル%以上70モル%以下である共重合体(E1-2)、
VDF単位、TFE単位、及びトリクロロフルオロエチレン単位からなる共重合体であって、後記の官能基含有単量体を除く単量体全体に対して、VDF単位の含有量が10モル%以上90モル%以下、TFE単位の含有量が0モル%以上90モル%以下、及びトリクロロフルオロエチレン単位の含有量が0モル%以上30モル%以下である共重合体(E1-3)、
VDF単位、TFE単位、及びHFP単位からなる共重合体であって、後記の官能基含有単量体を除く単量体全体に対して、VDF単位の含有量が10モル%以上90モル%以下、TFE単位の含有量が0モル%以上90モル%以下、及びHFP単位の含有量が0モル%以上30モル%以下である共重合体(E1-4)等が挙げられる。
前記共重合体(E1-4)において、後記の官能基含有単量体を除く単量体全体に対して、VDF単位の含有量は、15モル%以上84モル%以下、TFE単位の含有量は、15モル%以上84モル%以下、及びHFP単位の含有量は、0モル%以上30モル%以下であることが好ましい。
少なくとも、テトラフルオロエチレン単位(TFE単位)及びエチレン単位(E単位)からなる共重合体(E2)としては(以下、TFE共重合体(E2)と称する場合がある。)、例えば、後記の官能基含有単量体を除く単量体全体に対して、TFE単位の含有量が20モル%以上である重合体が挙げられ、更には、後記の官能基含有単量体を除く単量体全体に対して、TFE単位の含有量が20モル%以上80モル%以下、E単位の含有量が20モル%以上80モル%以下、及びこれらと共重合可能な単量体に由来する単位の含有量が0モル%以上60モル%以下である共重合体等が挙げられる。
前記共重合可能な単量体としては、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、前記一般式CF2=CFORf1(ここで、Rf1は、炭素原子数1以上10以下のエーテル性酸素原子を含んでもよいパーフルオロアルキル基を表す。)、前記一般式CH2=CX1(CF2)nX2(ここで、X1及びX2は、互いに独立に水素原子又はフッ素原子を表し、nは、2以上10以下の整数である。)等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
TFE共重合体(E2)としては、例えば、
TFE単位、E単位、及び前記一般式CH2=CX1(CF2)nX2(ここで、X1及びX2は、互いに独立に水素原子又はフッ素原子を表し、nは、2以上10以下の整数である。)で表されるフルオロオレフィンに由来するフルオロオレフィン単位からなる共重合体であって、後記の官能基含有単量体を除く単量体全体に対して、TFE単位の含有量が30モル%以上70モル%以下、E単位の含有量が20モル%以上55モル%以下、及び前記一般式CH2=CX3(CF2)nX4(ここで、X3及びX4は、互いに独立に水素原子又はフッ素原子を表し、nは、2以上10以下の整数である。)で表されるフルオロオレフィンに由来するフルオロオレフィン単位の含有量が0モル%以上10モル%以下である共重合体(E2-1)、
TFE単位、E単位、HFP単位、及びこれらと共重合可能な単量体に由来する単位からなる共重合体であって、後記の官能基含有単量体を除く単量体全体に対して、TFE単位の含有量が30モル%以上70モル%以下、E単位の含有量が20モル%以上55モル%以下、HFP単位の含有量が1モル%以上30モル%以下、及びこれらと共重合可能な単量体に由来する単位の含有量が0モル%以上10モル%以下である共重合体(E2-2)、
TFE単位、E単位、及び前記一般式CF2=CFORf1(ここで、Rf1は、炭素原子数1以上10以下のエーテル性酸素原子を含んでもよいパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるPAVEに由来するPAVE単位からなる共重合体であって、後記の官能基含有単量体を除く単量体全体に対して、TFE単位の含有量が30モル%以上70モル%以下、E単位の含有量が20モル%以上55モル%以下、及び前記一般式CF2=CFORf1(ここで、Rf1は、炭素原子数1以上10以下のエーテル性酸素原子を含んでもよいパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるPAVEに由来するPAVE単位の含有量が0モル%以上10モル%以下である共重合体(E2-3)等が挙げられる。
少なくとも、テトラフルオロエチレン単位(TFE単位)、ヘキサフルオロプロピレン単位(HFP単位)、及び/又は前記一般式CF2=CFORf1(ここで、Rf1は、炭素原子数1以上10以下のエーテル性酸素原子を含んでもよいパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるPAVEに由来するPAVE単位からなる共重合体(E3)(以下、TFE共重合体(E3)と称する場合がある。)としては、例えば、
TFE単位及びHFP単位からなる共重合体であって、後記の官能基含有単量体を除く単量体全体に対して、TFE単位の含有量が70モル%以上95モル%以下であり、好ましくは85モル%以上93モル%以下であり、HFP単位の含有量が5モル%以上30モル%以下であり、好ましくは7モル%以上15モル%以下である共重合体(E3-1)、
TFE単位及び前記一般式CF2=CFORf1(ここで、Rf1は、炭素原子数1以上10以下のエーテル性酸素原子を含んでもよいパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるPAVEに由来する1種又は2種以上のPAVE単位からなる共重合体であって、後記の官能基含有単量体を除く単量体全体に対して、TFE単位の含有量が70モル%以上95モル%以下、及び前記一般式CF2=CFORf1(ここで、Rf1は、炭素原子数1以上10以下のエーテル性酸素原子を含んでもよいパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるPAVEに由来する1種又は2種以上のPAVE単位の含有量が5モル%以上30モル%以下である共重合体(E3-2)、
TFE単位、HFP単位、及び前記一般式CF2=CFORf1(ここで、Rf1は、炭素原子数1以上10以下のエーテル性酸素原子を含んでもよいパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるPAVEに由来する1種又は2種以上のPAVE単位からなる共重合体であって、後記の官能基含有単量体を除く単量体全体に対して、TFE単位の含有量が70モル%以上95モル%以下、HFP単位と前記一般式CF2=CFORf1(ここで、Rf1は、炭素原子数1以上10以下のエーテル性酸素原子を含んでもよいパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるPAVEに由来する1種又は2種以上のPAVE単位の合計含有量が5モル%以上30モル%以下である共重合体(E3-3)等が挙げられる。
少なくとも、クロロトリフルオロエチレン単位(CTFE単位)からなる共重合体とは、CTFE単位[-CFCl-CF2-]、更に、エチレン単位(E単位)及び/又は含フッ素単量体単位から構成されるクロロトリフルオロエチレン共重合体(E4)である(以下、CTFE共重合体(E4)と称する場合がある。)。
前記CTFE共重合体(E4)における含フッ素単量体としては、CTFE以外のものであれば特に限定されないが、フッ化ビニリデン(VDF)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、前記一般式CF2=CFORf1(ここで、Rf1は、炭素原子数1以上10以下のエーテル性酸素原子を含んでもよいパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるPAVE、前記一般式CH2=CX1(CF2)nX2(ここで、X1及びX2は、互いに独立に水素原子又はフッ素原子を表し、nは、2以上10以下の整数である。)で表されるフルオロオレフィン等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
CTFE共重合体(E4)としては、特に限定されず、例えば、CTFE/PAVE共重合体、CTFE/VDF共重合体、CTFE/HFP共重合体、CTFE/E共重合体、CTFE/PAVE/E共重合体、CTFE/VDF/E共重合体、CTFE/HFP/E共重合体等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
CTFE共重合体(E4)におけるCTFE単位の含有量は、後記の官能基含有単量体を除く単量体全体に対して、15モル%以上70モル%以下であることが好ましく、18モル%以上65モル%以下であることがより好ましい。一方、E単位及び/又は含フッ素単量体単位の含有量は、30モル%以上85モル%以下であることが好ましく、35モル%以上82モル%以下であることがより好ましい。
少なくとも、クロロトリフルオロエチレン単位(CTFE単位)及びテトラフルオロエチレン単位(TFE単位)からなる共重合体(E5)は、CTFE単位[-CFCl-CF2-]、TFE単位[-CF2-CF2-]、並びにCTFE及びTFEと共重合可能な単量体単位から構成されるクロロトリフルオロエチレン共重合体である(以下、CTFE/TFE共重合体(E5)と称する場合がある。)。
前記CTFE/TFE共重合体(E5)における共重合可能な単量体としては、CTFE及びTFE以外のものであれば特に限定されないが、フッ化ビニリデン(VDF)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、前記一般式CF2=CFORf1(ここで、Rf1は、炭素原子数1以上10以下のエーテル性酸素原子を含んでもよいパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるPAVE、前記一般式CH2=CX1(CF2)nX2(ここで、X1及びX2は、互いに独立に水素原子又はフッ素原子を表し、nは、2以上10以下の整数である。)で表されるフルオロオレフィン等の含フッ素単量体;エチレン、プロピレン、イソブテン等の炭素原子数2以上4以下のオレフィン;酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等のビニルエステル;メチルビニルエーテル(MVE)、エチルビニルエーテル(EVE)、ブチルビニルエーテル(BVE)等のビニルエーテル等の非フッ素含有単量体が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、前記一般式CF2=CFORf1(ここで、Rf1は、炭素原子数1以上10以下のエーテル性酸素原子を含んでもよいパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるPAVEであることが好ましく、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)、パーフルオロ(プロビルビニルエーテル)(PPVE)がより好ましく、耐熱性の観点から、PPVEが更に好ましい。
CTFE/TFE共重合体(E5)としては、特に限定されず、例えば、CTFE/TFE共重合体、CTFE/TFE/HFP共重合体、CTFE/TFE/VDF共重合体、CTFE/TFE/PAVE共重合体、CTFE/TFE/E共重合体、CTFE/TFE/HFP/PAVE共重合体、CTFE/TFE/VDF/PAVE共重合体等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、CTFE/TFE/PAVE共重合体、CTFE/TFE/HFP/PAVE共重合体が好ましい。
CTFE/TFE共重合体(E5)中におけるCTFE単位及びTFE単位の合計含有量は、良好な成形性、耐環境応力亀裂性、薬液バリア性、耐熱性、及び機械的特性を確保する観点から、後記の官能基含有単量体を除く単量体全体に対して、90モル%以上99.9モル%以下であることが好ましく、前記CTFE及びTFEと共重合可能な単量体単位の含有量は、0.1モル%以上10モル%以下であることが好ましい。
CTFE/TFE共重合体(E5)中のおけるCTFE単位の含有量は、良好な成形性、耐環境応力亀裂性、及び薬液バリア性を確保する観点から、前記CTFE単位及びTFE単位の合計量100モル%に対して、15モル%以上80モル%以下であることが好ましく、17モル%以上70モル%以下であることがより好ましく、19モル%以上65モル%以下であることが更に好ましい。
CTFE/TFE共重合体(E5)において、前記CTFE及びTFEと共重合可能な単量体がPAVEである場合、PAVE単位の含有量は、後記の官能基含有単量体を除く単量体全体に対して、0.5モル%以上7モル%以下であることが好ましく、1モル%以上5モル%以下であることがより好ましい。
CTFE/TFE共重合体(E5)において、前記CTFE及びTFEと共重合可能な単量体がHFP及びPAVEである場合、HFP単位及びPAVE単位の合計含有量は、後記の官能基含有単量体を除く単量体全体に対して、0.5モル%以上7モル%以下であることが好ましく、1モル%以上5モル%以下であることがより好ましい。
TFE共重合体(E3)、CTFE共重合体(E4)、及びCTFE/TFE共重合体(E5)は、薬液バリア性、特に含アルコールガソリンに対するバリア性に卓越して優れる。含アルコールガソリン透過係数は、イソオクタン、トルエン、及びエタノールを45:45:10の容積比で混合したイソオクタン/トルエン/エタノール混合溶媒を投入した透過係数測定用カップに測定対象樹脂から得たシートを入れ、60℃において測定した質量変化から算出される値である。TFE共重合体(E3)、CTFE共重合体(E4)、及びCTFE/TFE共重合体(E5)の前記含アルコールガソリン透過係数は、1.5g・mm/(m2・day)以下であることが好ましく、0.01g・mm/(m2・day)以上1g・mm/(m2・day)以下であることがより好ましく、0.02g・mm/(m2・day)以上0.8g・mm/(m2・day)以下であることが更に好ましい。
含フッ素系重合体(E)は、重合体を構成する単量体を使用し、従来からの重合方法で(共)重合することによって得ることができる。その中でも、主としてラジカル重合による方法が用いられる。即ち、重合を開始するには、ラジカル的に進行するものであれば手段は何ら制限されないが、例えば、有機、無機ラジカル重合開始剤、熱、光、電離放射線等によって開始される。
含フッ素系重合体(E)の製造方法は、特に制限はなく、一般に用いられているラジカル重合開始剤を使用する重合方法が用いられる。重合方法としては、塊状重合、フッ化炭化水素、塩化炭化水素、フッ化塩化炭化水素、アルコール、炭化水素等の有機溶媒を使用する溶液重合、水性媒体及び必要に応じて適当な有機溶剤を使用する懸濁重合、水性媒体及び乳化剤を使用する乳化重合等、公知の方法を採用できる。
また、重合は、一槽ないし多槽式の攪拌型重合装置、管型重合装置等を使用して、回分式又は連続式操作として実施することができる。
ラジカル重合開始剤としては、半減期が10時間である分解温度が0℃以上100℃以下であることが好ましく、20℃以上90℃以下であることがより好ましい。具体例としては、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’-アゾビスイソ酪酸ジメチル、2,2’-アゾビス[2-(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル]、4,4’-アゾビス(4-シアノペンテン酸)等のアゾ化合物;過酸化水素、t-ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド;ジ-t-ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド;アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド等の非フッ素系ジアシルパーオキサイド;メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド;ジイソプロピルパーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート;t-ブチルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシアセテート等のパーオキシエステル;(Z(CF2)pCOO)2(ここで、Zは、水素原子、フッ素原子、又は塩素原子であり、pは、1以上10以下の整数である。)で表される化合物等の含フッ素ジアシルパーオキサイド;過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム等の無機過酸化物等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
また、含フッ素系重合体(E)の製造に際しては、分子量調整のために、通常の連鎖移動剤を使用することも好ましい。連鎖移動剤としては、メタノール、エタノール等のアルコール;1,3-ジクロロ-1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパン、1,1-ジクロロ-1-フルオロエタン、1,2-ジクロロ-1,1,2,2-テトラフルオロエタン、1,1-ジクロロ-1-フルオロエタン、1,1,2-トリクロロ-1,2,2-トリフルオロエタン等のクロロフルオロハイドロカーボン;ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン等のハイドロカーボン;四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチレン、塩化メチル等のクロロハイドロカーボンが挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
重合条件については、特に限定されず、重合温度は、0℃以上100℃以下であることが好ましく、20℃以上90℃以下であることがより好ましい。重合体中のエチレン-エチレン連鎖生成による耐熱性の低下を避けるためには、一般に、低温が好ましい。重合圧力は、用いる溶媒の種類、量、蒸気圧、重合温度等の他の重合条件に応じて適宜定められるが、0.1MPa以上10MPa以下であることが好ましく、0.5MPa以上3MPa以下であることがより好ましい。重合時間は、1時間以上30時間以下であることが好ましい。
含フッ素系重合体(E)の分子量は、特に限定されないが、室温で固体の重合体であり、それ自体、熱可塑性樹脂、エラストマー等として使用できるものが好ましい。また、分子量は、重合に用いる単量体の濃度、重合開始剤の濃度、連鎖移動剤の濃度、温度等によって制御される。
含フッ素系重合体(E)を、前記脂肪族ポリアミド組成物(A)、接着用ポリエステルエラストマー組成物(B)、ポリアルキレンフランジカルボキシレート組成物(C)、半芳香族ポリアミド組成物(D)等と共押出する場合、これらの著しい劣化を伴わない混練温度及び成形温度範囲で、充分な溶融流動性を確保するためには、含フッ素系重合体(E)の融点より50℃高い温度及び5kg荷重におけるメルトフローレートは、0.5g/10分以上200g/10分以下であることが好ましく、1g/10分以上100g/10分以下であることがより好ましい。
また、含フッ素系重合体(E)は、含フッ素単量体及びその他の単量体の種類、組成比等を選ぶ事によって、重合体の融点、ガラス転移点等を調節することができる。
含フッ素系重合体(E)の融点は、目的、用途、使用方法等により適宜選択されるが、前記脂肪族ポリアミド組成物(A)、接着用ポリエステルエラストマー組成物(B)、ポリアルキレンフランジカルボキシレート組成物(C)、半芳香族ポリアミド組成物(D)等と共押出する場合、当該樹脂の成形温度に近いことが好ましい。そのため、前記含フッ素単量体、その他の単量体、及び後記の官能基含有単量体の割合を適宜調節し、含フッ素系重合体(E)の融点を最適化することが好ましい。
ここで、融点とは、示差走査熱量測定装置を用いて、試料を予想される融点以上の温度に加熱し、次に、この試料を1分間あたり10℃の速度で降温し、30℃まで冷却、そのまま約1分間放置したのち、1分間あたり10℃の速度で昇温することにより測定される融解曲線のピーク値の温度を融点と定義するものとする。
含フッ素系重合体(E)は、アミノ基又はカルボジイミド基、及び/若しくはその誘導体に対して反応性を有する官能基が分子構造内に導入されており、その官能基は、含フッ素系重合体(E)の分子末端、側鎖又は主鎖のいずれに導入されていても構わない。また、その官能基は、含フッ素系重合体(E)中に単独又は2種類以上のものが併用されていてもよい。その官能基の種類及び含有量は、含フッ素系重合体(E)に積層される相手材の種類、形状、用途、要求される層間接着性、接着方法、官能基導入方法等により適宜決定される。
アミノ基又はカルボジイミド基、及び/若しくはその誘導体に対して反応性を有する官能基としては、カルボキシル基、酸無水物基又はカルボン酸塩、スルホ基又はスルホン酸塩、エポキシ基、シアノ基、カーボネート基、及びハロホルミル基から群より選ばれる少なくとも1種が挙げられる。これらの中でも、カルボキシル基、酸無水物基又はカルボン酸塩、エポキシ基、カーボネート基、及びハロホルミル基からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
含フッ素系重合体(E)に、アミノ基又はカルボジイミド基、及び/若しくはその誘導体に対して反応性を有する官能基を導入する方法としては、(i)含フッ素系重合体(E)の重合時、官能基を有する共重合可能な単量体を共重合する方法、(ii)重合開始剤、連鎖移動剤等により、重合時に含フッ素系重合体(E)の分子末端に官能基を導入する方法、(iii)反応性を有する官能基をグラフト化が可能な官能基とを有する化合物(グラフト化合物)を含フッ素系重合体にグラフトさせる方法等が挙げられる。これらの導入方法は、単独で、あるいは適宜、組合せて用いることができる。得られる積層チューブにおける層間接着性を考慮した場合、前記(i)、(ii)から製造される含フッ素系重合体(E)が好ましい。(iii)については、特開平7-18035号公報、特開平7-25952号公報、特開平7-25954号公報、特開平7-173230号公報、特開平7-173446号公報、特開平7-173447号公報、特表平10-503236号公報による製造法を参照されたい。以下、(i)含フッ素系重合体の重合時、官能基を有する共重合可能な単量体を共重合する方法、(ii)重合開始剤等により含フッ素系重合体の分子末端に官能基を導入する方法について説明する。
(i)含フッ素系重合体(E)の製造時、官能基を有する共重合可能な単量体(以下、官能基含有単量体と略記する場合がある。)を共重合する方法において、カルボキシル基、酸無水物基又はカルボン酸塩、ヒドロキシル基、スルホ基又はスルホン酸塩、エポキシ基、及びシアノ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基含有単量体を重合単量体して用いる。官能基含有単量体としては、官能基含有非フッ素単量体、官能基含有含フッ素単量体等が挙げられる。
官能基含有非フッ素単量体としては、アクリル酸、ハロゲン化アクリル酸(但し、フッ素は除く)、メタクリル酸、ハロゲン化メタクリル酸(但し、フッ素は除く)、マレイン酸、ハロゲン化マレイン酸(但し、フッ素は除く)、フマル酸、ハロゲン化フマル酸(但し、フッ素は除く)、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、エンドビシクロ-[2.2.1]-5-ヘプテン-2,3-ジカルボン酸等の不飽和カルボン酸及びそのエステル等誘導体;無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水コハク酸、無水シトラコン酸、エンドビシクロ-[2.2.1]-5-ヘプテン-2,3-ジカルボン酸無水物等のカルボキシル基含有単量体;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、グリシジルエーテル等のエポキシ基含有単量体等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。官能基含有非フッ素単量体は、使用する含フッ素単量体との共重合反応性を考慮して決定される。適当な官能基含有非フッ素単量体を選択することにより、重合が良好に進行し、官能基含有非フッ素単量体の主鎖中に均一に導入しやすく、結果として未反応モノマーが少なくなり、不純物を減らすことができるという利点がある。
官能基含有含フッ素単量体としては、一般式CX3X4=CX5-(R7)n-Y(ここで、Yは、-COOM(Mは、水素原子又はアルカリ金属を表す。)、カルボキシル基由来基、-SO3M(Mは、水素原子又はアルカリ金属を表す。)、スルホン酸由来基、エポキシ基、及び-CNからなる群より選択される官能基を表し、X3、X4、及びX5は、同一又は異なって、水素原子又はフッ素原子を表し(但し、X3、X4、及びX5が同一に水素原子の場合、n=1であり、R7にフッ素原子を含む。)、R7は、炭素原子数1以上40以下のアルキレン基、炭素原子数1以上40以下の含フッ素オキシアルキレン基、エーテル結合を有する炭素原子数1以上40以下の含フッ素アルキレン基、又は、エーテル結合を有する炭素原子数1以上40以下の含フッ素オキシアルキレン基を表し、nは、0又は1である。)で表される不飽和化合物等が挙げられる。
前記一般式におけるYであるカルボキシル基由来基としては、例えば、一般式-C(=O)Q1(式中、Q1は、-OR8、-NH2、F、Cl、Br、又はIを表し、R8は、炭素原子数1以上20以下のアルキル基又は炭素原子数6以上22以下のアリール基を表す。)で表される官能基等が挙げられる。
前記一般式におけるYであるスルホン酸由来基としては、例えば、一般式-SO2Q2(式中Q2は、-OR9、-NH2、F、Cl、Br、又はIを表し、R9は、炭素原子数1以上20以下のアルキル基又は炭素原子数6以上22以下のアリール基を表す。)で表される官能基等が挙げられる。
前記Yは、-COOH、-SO3H、-SO3Na、-SO2F、又は-CNが好ましい。
官能基含有含フッ素単量体としては、例えば、カルボニル基を有する官能基である場合、パーフルオロアクリル酸フルオライド、1-フルオロアクリル酸フルオライド、アクリル酸フルオライド、1-トリフルオロメタクリル酸フルオライド、パーフルオロブテン酸等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
含フッ素系重合体(E)中の官能基含有単量体の含有量は、十分な層間接着性を確保し、使用環境条件により、層間接着性の低下を招かず、耐熱性を十分に確保し、高温での加工時、接着不良、着色、発泡、高温での使用時、分解による剥離、着色、発泡、溶出等の発生を防止する観点から、含フッ素系重合体(E)の全重合単位に対して、0.01モル%以上5モル%以下であることが好ましく、0.015モル%以上4モル%以下であることがより好ましく、0.02モル%以上3モル%以下であることが更に好ましい。含フッ素系重合体(E)中の官能基含有単量体の含有量が前記の範囲にあると、製造時の重合速度が低下せず、かつ含フッ素系重合体(E)は積層される相手材との接着性に優れたものとなる。官能基含有単量体の添加法は、特に限定されず、重合開始時に一括添加してもよいし、重合中に連続添加してもよい。添加方法は、重合開始剤の分解反応性と重合温度により適宜選択されるが、重合中に、官能基含有単量体が重合で消費されるに従って、消費された量を連続的又は断続的に重合槽内に供給し、当該官能基含有単量体の濃度をこの範囲に維持することが好ましい。
尚、含フッ素系重合体(E)中の官能基含有単量体の含有量としては、含フッ素系重合体(E)の全重合単位に対して、0.01モル%とは、含フッ素系重合体(E)中の官能基残基の含有量が含フッ素系重合体(E)の主鎖炭素原子数1×106個に対して、100個であることに相当する。また、含フッ素系重合体(E)中の全重合単位に対して、5モル%とは、含フッ素系重合体(E)中の官能基残基の含有量が含フッ素系重合体(E)の主鎖炭素原子数1×106個に対して、50,000個であることに相当する。
前記含有量を満たす限りにおいて、官能基が導入された含フッ素系重合体と、官能基が導入されていない含フッ素系重合体の混合物であっても構わない。
(ii)重合開始剤等により含フッ素系重合体の分子末端に官能基を導入する方法において、官能基は、含フッ素系重合体の分子鎖の片末端又は両末端に導入される。末端に導入される官能基としては、カーボネート基及び/又はハロホルミル基が好ましい。
含フッ素系重合体(E)の末端基として導入されるカーボネート基は、一般に、-OC(=O)O-の結合を有する官能基であり、具体的には、-OC(=O)O-R10基[R10は、水素原子、有機基(例えば、炭素原子数1以上20以下アルキル基、エーテル結合を有する炭素原子数2以上20以下アルキル基等)、又はI、II、VII族元素である。]の構造のもので、-OC(=O)OCH3、-OC(=O)OC3H7、-OC(=O)OC8H17、-OC(=O)OCH2CH2OCH2CH3等が挙げられる。ハロホルミル基は、具体的には、-COZ[Zは、ハロゲン元素である。]の構造のもので、-COF、-COCl等が挙げられる。
また、重合体の分子末端にカーボネート基を導入するためには、重合開始剤及び/又は連鎖移動剤を使用した種々の方法を採用できるが、パーオキサイド、特にパーオキシカーボネート及び/又はパーオキシエステルを重合開始剤として用いる方法が、経済性、耐熱性、耐薬品性等の性能の観点から好ましく採用できる。この方法によれば、パーオキサイドに由来するカルボニル基、例えば、パーオキシカーボネートに由来するカーボネート基、パーオキシエステルに由来するエステル基、これらの官能基を変換してなるハロホルミル基等を重合体末端に導入することができる。これらの重合開始剤のうち、パーオキシカーボネートを用いることが、重合温度を低くすることができ、開始反応に副反応を伴わないことからより好ましい。
重合体の分子末端にハロホルミル基を導入するためには、種々の方法を採用できるが、例えば、前記カーボネート基を末端に有する含フッ素系重合体のカーボネート基を加熱させ、熱分解(脱炭酸)させることにより得ることができる。
パーオキシカーボネートとしては、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ-n-プロピルパーオキシカーボネート、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t-ブチルパーオキシメタクリロイロキシエチルカーボネート、ビス(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ-2-エチルヘキシルパーオキシジカーボネート等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
パーオキシカーボネートの使用量は、目的とする重合体の種類(組成等)、分子量、重合条件、使用する開始剤の種類等によって異なるが、重合速度を適正に制御し、十分な重合速度を確保する観点から、重合によって得られる全重合体100質量部に対して、0.05質量部以上20質量部以下であることが好ましく、0.1質量部以上10質量部以下であることがより好ましい。重合体の分子末端のカーボネート基含有量は、重合条件を調整することによって制御できる。重合開始剤の添加法は、特に限定されず、重合開始時に一括添加してもよいし、重合中に連続添加してもよい。添加方法は、重合開始剤の分解反応性と重合温度により、適宜選択される。
含フッ素系重合体(E)中の主鎖炭素原子数106個に対する末端官能基数は、十分な層間接着性を確保し、使用環境条件により、層間接着性の低下を招かず、耐熱性を十分に確保し、高温での加工時、接着不良、着色、発泡、高温での使用時、分解による剥離、着色、発泡、溶出等の発生を防止する観点から、150個以上3,000個以下であることが好ましく、200個以上2,000個以下であることがより好ましく、300個以上1,000個以下であることが更に好ましい。
また、前記官能基数を満たす限りにおいて、官能基が導入された含フッ素系重合体と、官能基が導入されていない含フッ素系重合体の混合物であっても構わない。
以上のように、含フッ素系重合体(E)は、アミノ基又はカルボジイミド基、及び/若しくはその誘導体に対して反応性を有する官能基が分子鎖中に導入された含フッ素系重合体である。前記の通り、官能基が導入された含フッ素系重合体(E)は、それ自体、含フッ素系重合体特有の耐熱性、耐水性、低摩擦性、耐薬品性、耐候性、防汚性、薬液バリア性等の優れた特性を維持することが可能であり、生産性及びコストの面で有利である。
更に、アミノ基又はカルボジイミド基、及び/若しくはその誘導体に対して反応性を有する官能基が分子鎖中に導入されることにより、積層チューブにおいて、層間接着性が不充分又は不可能であった種々の材料に対し、表面処理等特別な処理及び/又は接着性樹脂の被覆等を行なわず、直接、他の基材との優れた層間接着性を付与することができる。
含フッ素系重合体(E)は、目的、用途等に応じてその性能を損なわない範囲で、無機質粉末、ガラス繊維、炭素繊維、金属酸化物、カーボン等の種々の充填剤を添加できる。また、充填剤以外に、顔料、紫外線吸収剤、その他任意の添加剤を混合できる。添加剤以外に、他のフッ素系樹脂、他の熱可塑性樹脂等の樹脂、合成ゴム等を添加することもでき、機械的特性の改善、耐候性の改善、意匠性の付与、静電防止、成形性改善等が可能となる。
[積層チューブ]
積層チューブの第一態様は、(a)層、(b)層、及び(c)層の少なくとも3層を含み、少なくとも1組の(a)層と(b)層及び(b)層と(c)層とが隣接して配置される。
第一態様の積層チューブにおいて、(c)層を含むことは必須であり、積層チューブの薬液バリア性、特にメタノール含有ガソリンに対するバリア性が良好となる。また、(a)層と(b)層及び(b)層と(c)層とが隣接して配置されることにより、層間接着性及びその耐久性に優れた積層チューブを得ることが可能となる。
好ましい実施態様としては、少なくとも1組の前記隣接した(a)層及び(b)層において、(b)層は、少なくとも一方の(a)層に対して内側に配置される。例えば、最外層(a)層、外層(b)、内層(b)、及び最内層(a)層と、外層(b)と内層(b)の間に設けられた中間層(c)層の1層とを含んだ5層構造の場合、隣接した(a)層及び(b)層としては、最外層(a)層と中間層(b)層との組み合わせと、最内層(a)層と中間層(b)層との組み合わせがあるが、2つの組み合わせの中で、少なくとも一方において、(b)層は、(a)層に対して内側に配置されているため、前記要件を満たす。
より好ましい実施態様としては、(a)層は、積層チューブの最外層に配置される。(a)層が最外層に配置されることにより、耐薬品性及び柔軟性に優れた積層チューブを得ることが可能となる。
更に好ましい実施態様としては、(a)層は、積層チューブの最内層に配置される。(a)層が最内層に配置されることにより、耐劣化燃料性に優れる積層チューブが得ることが可能となる。即ち、(a)層が最外層と最内層に配置される積層チューブが更に好ましい。
また、第一態様の積層チューブにおいて、導電性フィラーを含有させた脂肪族ポリアミド組成物(A)を含む導電層が、積層チューブの最内層に配置されると、耐劣化燃料性に優れるとともに、燃料配管チューブとして使用された場合、配管内を循環する燃料の内部摩擦あるいは管壁との摩擦によって発生したスパークが燃料に引火することを防止することが可能となる。その際、導電性を有しない脂肪族ポリアミド組成物(A)を含む層が、前記導電層に対して外側に配置されることにより、低温耐衝撃性と導電性を両立することが可能であり、また、経済的にも有利である。
導電性とは、例えば、ガソリンのような引火性の流体が樹脂のような絶縁体に連続的に接触した場合、静電気が蓄積して引火する可能性があるが、この静電気が蓄積しない程度の電気特性を有することを言う。これにより、燃料等の流体の搬送時に発生する静電気による爆発防止が可能となる。
導電性フィラーは、樹脂に導電性能を付与するために添加されるすべての充填剤が包含され、粒状、フレーク状、繊維状フィラー等が挙げられる。
粒状フィラーとしては、カーボンブラック、グラファイト等が挙げられる。フレーク状フィラーとしては、アルミフレーク、ニッケルフレーク、ニッケルコートマイカ等が挙げられる。また、繊維状フィラーとしては、炭素繊維、炭素被覆セラミック繊維、カーボンウィスカー、カーボンナノチューブ、アルミ繊維、銅繊維、黄銅繊維、ステンレス繊維等の金属繊維等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、カーボンナノチューブ、カーボンブラックが好ましい。
カーボンナノチューブは、中空炭素フィブリルと称されるものであり、該フィブリルは、規則的に配列した炭素原子の本質的に連続的な多数層からなる外側領域と、内部中空領域とを有し、各層と中空領域とが該フィブリルの円柱軸の周囲に実質的に同心に配置されている本質的に円柱状のフィブリルである。更に、前記外側領域の規則的に配列した炭素原子が黒鉛状であり、前記中空領域の直径が2nm以上20nm以下であることが好ましい。カーボンナノチューブの外径は、樹脂中への十分な分散性及び得られる樹脂成形体の良好な導電性を付与する観点から、3.5nm以上70nm以下であることが好ましく、4nm以上60nm以下であることがより好ましい。カーボンナノチューブのアスペクト比(長さ/外径の比)は、5以上であることが好ましく、100以上であることがより好ましく、500以上であることが更に好ましい。該アスペクト比を満たすことにより、導電性ネットワークを形成しやすく、少量添加で優れた導電性を発現することができる。
カーボンブラックは、導電性付与に一般的に使用されているカーボンブラックがすべて包含され、好ましいカーボンブラックとしては、アセチレンガスを不完全燃焼して得られるアセチレンブラック、原油を原料にファーネス式不完全燃焼によって製造されるケッチェンブラック等のファーネスブラック、オイルブラック、ナフタリンブラック、サーマルブラック、ランプブラック、チャンネルブラック、ロールブラック、ディスクブラック等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらは1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、アセチレンブラック、ファーネスブラックがより好ましい。
また、カーボンブラックは、その粒子径、表面積、DBP吸油量、灰分等の特性の異なる種々のカーボン粉末が製造されている。該カーボンブラックの特性に制限は無いが、良好な鎖状構造を有し、凝集密度の大きいものが好ましい。カーボンブラックの多量配合は、耐衝撃性の観点から好ましくなく、より少量で優れた電気伝導度を得る観点から、平均粒径は、500nm以下であることが好ましく、5nm以上100nm以下であることがより好ましく、10nm以上70nm以下であることが更に好ましく、表面積(BET法)は、10m2/g以上であることが好ましく、30m2/g以上であることがより好ましく、50m2/g以上であることが更に好ましく、更に、DBP(ジブチルフタレート)吸油量は、50ml/100g以上であることが好ましく、100ml/100gであることがより好ましく、150ml/100g以上であることが更に好ましい。また、灰分は、0.5質量%以下であることが好ましく、0.3質量%以下であることがより好ましい。ここでいうDBP吸油量は、ASTM D-2414に定められた方法で測定した値である。また、カーボンブラックの揮発分含量は、1質量%未満であることが好ましい。
これら、導電性フィラーはチタネート系、アルミ系、シラン系等の表面処理剤で表面処理を施されていてもよい。更に、溶融混練作業性を向上させるために造粒されたものを用いることも可能である。
導電性フィラーの含有量は、用いる導電性フィラーの種類により異なるため、一概に規定はできないが、導電性、流動性、機械的強度等とのバランスの観点から、脂肪族ポリアミド組成物(A)100質量部に対して、一般に、3質量部以上30質量部以下であることが好ましい。
また、かかる導電性フィラーは、十分な帯電防止性能を得る観点から、溶融押出物の表面固有抵抗値が108Ω/square以下であることが好ましく、106Ω/square以下であることがより好ましい。但し、前記導電性フィラーの添加は、強度、流動性の悪化を招きやすい。そのため、目標とする導電レベルが得られれば、前記導電性フィラーの含有量はできるだけ少ない方が望ましい。
第一態様の積層チューブでは、各層の厚みは、特に制限されず、各層を構成する重合体の種類、積層チューブにおける全体の層数、用途等に応じて調節し得るが、それぞれの層の厚みは、積層チューブの薬液バリア性、低温耐衝撃性、柔軟性等の特性を考慮して決定される。一般には、(a)層、(b)、及び(c)層の厚みは、積層チューブ全体の厚みに対して、それぞれ3%以上90%以下であることが好ましい。低温耐衝撃性と薬液バリア性のバランスを考慮して、(c)層の厚みは、積層チューブ全体の厚みに対して、5%以上30%以下であることがより好ましく、7%以上25%以下であることが更に好ましい。
また、第一態様の積層チューブにおける全体の層数は、(a)層、(b)層、及び(c)層を有する、少なくとも3層である限り、特に限定されない。更に、第一態様の積層チューブは、(a)層、(b)層、及び(c)層の3層以外に、更なる機能を付与、あるいは経済的に有利な積層チューブを得るために、他の熱可塑性樹脂を含む層を1層又は2層以上を有していてもよい。第一態様の積層チューブの層数は3層以上であるが、チューブ製造装置の機構から判断して8層以下であることが好ましく、5層以上7層以下であることがより好ましい。
積層チューブの第二態様は、第一態様に、更に(d)層を有する、少なくとも4層を含み、少なくとも1組の(b)層と(d)層とが隣接して配置される。
第二態様の積層チューブにおいて、(c)層を含むことは必須であり、積層チューブの薬液バリア性、特にメタノール含有ガソリンに対するバリア性が良好となる。また、(d)層を含むことは必須であり、積層チューブの薬液バリア性、特に炭化水素バリア性が良好となる。更に、(a)層と(b)層、(b)層と(c)層、及び(b)層と(d)層とが隣接して配置されることにより、層間接着性及びその耐久性に優れた積層チューブを得ることが可能となる。
好ましい実施態様としては、(d)層は、(b)層に対して内側に配置される。また、(c)層は、(a)層と(d)層との間に配置される。この場合、少なくとも1組の(a)層と(b)層、(b)層と(c)層、及び(b)層と(d)層とが隣接している限り、(c)層は、(a)層及び/又は(d)層と隣接するように配置されていてもよく、(a)層と(c)層及び(c)層と(d)層の間に他の層が配置されていてもよい。
より好ましい実施態様としては、(a)層は、積層チューブの最外層に配置される。(a)層が最外層に配置されることにより、耐薬品性及び柔軟性に優れた積層チューブを得ることが可能となる。
更に好ましい実施態様としては、(d)層は、積層チューブの最内層に配置される。(d)層が最内層に配置されることにより、耐劣化燃料性に優れる積層チューブが得られるとともに、含アルコールガソリンとの接触によるモノマー、オリゴマー等低分子量成分の溶出を抑制することが可能となる。即ち、(a)層が最外層に配置され、(b)層が外層に配置され、(c)層が中間層に配置され、(b)層が内層に配置され、(d)層が最内層に配置される積層チューブが更に好ましい。
また、第二態様の積層チューブにおいて、導電性フィラーを含有させた半芳香族ポリアミド組成物(D)を含む導電層が、積層チューブの最内層に配置されると、薬液バリア性、耐劣化燃料性、及びモノマー、オリゴマーの耐溶出性に優れるとともに、燃料配管チューブとして使用された場合、配管内を循環する燃料の内部摩擦あるいは管壁との摩擦によって発生したスパークが燃料に引火することを防止することが可能となる。その際、導電性を有しない半芳香族ポリアミド組成物(D)を含む層が、前記導電層に対して外側に配置されることにより、低温耐衝撃性と導電性を両立することが可能であり、また、経済的にも有利である。
導電性及び導電性フィラーの詳細は、第一態様の積層チューブと同様である。
導電性フィラーの含有量は、用いる導電性フィラーの種類により異なるため、一概に規定はできないが、導電性、流動性、機械的強度等とのバランスの観点から、半芳香族ポリアミド組成物(D)100質量部に対して、一般に、3質量部以上30質量部以下であることが好ましい。
また、かかる導電性フィラーは、十分な帯電防止性能を得る観点から、溶融押出物の表面固有抵抗値が108Ω/square以下であることが好ましく、106Ω/square以下であることがより好ましい。但し、前記導電性フィラーの添加は、強度、流動性の悪化を招きやすい。そのため、目標とする導電レベルが得られれば、前記導電性フィラーの含有量はできるだけ少ない方が望ましい。
第二態様の積層チューブでは、各層の厚みは、特に制限されず、各層を構成する重合体の種類、積層チューブにおける全体の層数、用途等に応じて調節し得るが、それぞれの層の厚みは、積層チューブの薬液バリア性、低温耐衝撃性、柔軟性等の特性を考慮して決定される。一般には、(a)層、(b)層、(c)層、及び(d)層の厚みは、積層チューブ全体の厚みに対して、それぞれ3%以上90%以下であることが好ましい。低温耐衝撃性と薬液バリア性のバランスを考慮して、(c)層及び(d)層の厚みは、積層チューブ全体の厚みに対して、それぞれ5%以上50%以下であることがより好ましく、7%以上30%以下であることが更に好ましい。
また、第二態様の積層チューブにおける全体の層数は、(a)層、(b)層、(c)層、及び(d)層を有する、少なくとも4層である限り、特に限定されない。更に、第二態様の積層チューブは、(a)層、(b)層、(c)層、及び(d)層の4層以外に、更なる機能を付与、あるいは経済的に有利な積層チューブを得るために、他の熱可塑性樹脂を含む層を1層又は2層以上を有していてもよい。第二態様の積層チューブの層数は4層以上であるが、チューブ製造装置の機構から判断して8層以下であることが好ましく、5層以上7層以下であることがより好ましい。
積層チューブの第三態様は、第一態様に、更に(e)層を有する、少なくとも4層を含み、少なくとも1組の(b)層と(e)層とが隣接して配置される。
第三態様の積層チューブにおいて、(c)層を含むことは必須であり、積層チューブの薬液バリア性、特にメタノール含有ガソリンに対するバリア性が良好となる。また、(e)層を含むことも必須であり、積層チューブの薬液バリア性、特にアルコールバリア性及び高濃度アルコール含有ガソリンに対するバリア性が良好となる。更に、(a)層と(b)層、(b)層と(c)層、及び(b)層と(e)層とが隣接して配置されることにより、層間接着性及びその耐久性に優れた積層チューブを得ることが可能となる。
好ましい実施態様としては、(e)層は、(b)層に対して内側に配置される。また、(c)層は、(a)層と(e)層との間に配置される。この場合、少なくとも1組の(a)層と(b)層、(b)層と(c)層、及び(b)層と(e)層とが隣接している限り、(c)層は、(a)層及び/又は(e)層と隣接するように配置されていてもよく、(a)層と(c)層及び(c)層と(e)層の間に他の層が配置されていてもよい。
より好ましい実施態様としては、(a)層は、積層チューブの最外層に配置される。(a)層が最外層に配置されることにより、耐薬品性及び柔軟性に優れた積層チューブを得ることが可能となる。
更に好ましい実施態様としては、(e)層は、積層チューブの最内層に配置される。(e)層が最内層に配置されることにより、耐劣化燃料性に優れる積層チューブが得られるとともに、含アルコールガソリンとの接触によるモノマー、オリゴマー等低分子量成分の溶出を抑制することが可能となる。即ち、(a)層が最外層に配置され、(b)層が外層に配置され、(c)層が中間層に配置され、(b)層が内層に配置され、(e)層が最内層に配置される積層チューブが更に好ましい。
また、第三態様の積層チューブにおいて、導電性フィラーを含有させた含フッ素系重合体組成物を含む導電層が、積層チューブの最内層に配置されると、薬液バリア性、耐劣化燃料性、及びモノマー、オリゴマーの耐溶出性に優れるとともに、燃料配管チューブとして使用された場合、配管内を循環する燃料の内部摩擦あるいは管壁との摩擦によって発生したスパークが燃料に引火することを防止することが可能となる。その際、導電性を有しない含フッ素系重合体を含む層が、前記導電層に対して外側に配置されることにより、低温耐衝撃性と導電性を両立することが可能であり、また、経済的にも有利である。更に、ここでいう、含フッ素系重合体は、分子鎖中にアミノ基又はカルボジイミド基、及び/若しくはその誘導体に対して反応性を有する官能基が分子鎖中に導入された含フッ素系重合体(E)も包含し、後記アミノ基又はカルボジイミド基、及び/若しくはその誘導体に対して反応性を有する官能基を含有しない含フッ素系重合体も指す。
導電性及び導電性フィラーの詳細は、第一態様の積層チューブと同様である。
導電性フィラーの含有量は、用いる導電性フィラーの種類により異なるため、一概に規定はできないが、導電性、流動性、機械的強度等とのバランスの観点から、含フッ素系重合体100質量部に対して、一般に、3質量部以上30質量部以下であることが好ましい。
また、かかる導電性フィラーは、十分な帯電防止性能を得る観点から、溶融押出物の表面固有抵抗値が108Ω/square以下であることが好ましく、106Ω/square以下であることがより好ましい。但し、前記導電性フィラーの添加は、強度、流動性の悪化を招きやすい。そのため、目標とする導電レベルが得られれば、前記導電性フィラーの含有量はできるだけ少ない方が望ましい。
第三態様の積層チューブでは、各層の厚みは、特に制限されず、各層を構成する重合体の種類、積層チューブにおける全体の層数、用途等に応じて調節し得るが、それぞれの層の厚みは、積層チューブの薬液バリア性、低温耐衝撃性、柔軟性等の特性を考慮して決定される。一般には、(a)層、(b)層、(c)層、及び(e)層の厚みは、積層チューブ全体の厚みに対して、それぞれ3%以上90%以下であることが好ましい。低温耐衝撃性と薬液バリア性のバランスを考慮して、(c)層及び(e)層の厚みは、積層チューブ全体の厚みに対して、それぞれ5%以上50%以下であることがより好ましく、7%以上30%以下であることが更に好ましい。
また、第三態様の積層チューブにおける全体の層数は、(a)層、(b)層、(c)層、及び(e)層を有する、少なくとも4層である限り、特に限定されない。更に、第三態様の積層チューブは、(a)層、(b)層、(c)層、及び(e)層の4層以外に、更なる機能を付与、あるいは経済的に有利な積層チューブを得るために、他の熱可塑性樹脂を含む層を1層又は2層以上を有していてもよい。第三態様の積層チューブの層数は4層以上であるが、チューブ製造装置の機構から判断して8層以下であることが好ましく、5層以上7層以下であることがより好ましい。
積層チューブの第四態様は、第二態様に、更に(e)層を有する、少なくとも5層を含み、少なくとも1組の(d)層と(e)層とが隣接して配置される。
第四態様の積層チューブにおいて、(c)層を含むことは必須であり、積層チューブの薬液バリア性、特にメタノール含有ガソリンに対するバリア性が良好となる。また、(d)層を含むことも必須であり、積層チューブの薬液バリア性、特に炭化水素バリア性が良好となる。(e)層を含むことも必須であり、積層チューブの薬液バリア性、特にアルコールバリア性及び高濃度アルコール含有ガソリンに対するバリア性が良好となる。更に、(a)層と(b)層、(b)層と(c)層、及び(d)層と(e)層とが隣接して配置されることにより、層間接着性及びその耐久性に優れた積層チューブを得ることが可能となる。
好ましい実施態様としては、(e)層は、(d)層に対して内側に配置される。また、(c)層は、(a)層と(e)層との間に配置される。この場合、少なくとも1組の(a)層と(b)層、(b)層と(c)層、及び(d)層と(e)層とが隣接している限り、(c)層は、(a)層及び/又は(e)層と隣接するように配置されていてもよく、(a)層と(c)層及び(c)層と(e)層の間に他の層が配置されていてもよい。
より好ましい実施態様としては、(a)層は、積層チューブの最外層に配置される。(a)層が最外層に配置されることにより、耐薬品性及び柔軟性に優れた積層チューブを得ることが可能となる。
更に好ましい実施態様としては、(e)層は、積層チューブの最内層に配置される。(e)層が最内層に配置されることにより、耐劣化燃料性に優れる積層チューブが得られるとともに、含アルコールガソリンとの接触によるモノマー、オリゴマー等低分子量成分の溶出を抑制することが可能となる。即ち、(a)層が最外層に配置され、(b)層が外層に配置され、(c)層が中間層に配置され、(b)層が内層1に配置され、(d)層が内層2に配置され、(e)層が最内層に配置される積層チューブが更に好ましい。
また、第四態様の積層チューブにおいて、導電性フィラーを含有させた含フッ素系重合体組成物を含む導電層が、積層チューブの最内層に配置されると、薬液バリア性、耐劣化燃料性、及びモノマー、オリゴマーの耐溶出性に優れるとともに、燃料配管チューブとして使用された場合、配管内を循環する燃料の内部摩擦あるいは管壁との摩擦によって発生したスパークが燃料に引火することを防止することが可能となる。その際、導電性を有しない含フッ素系重合体を含む層が、前記導電層に対して外側に配置されることにより、低温耐衝撃性と導電性を両立することが可能であり、また、経済的にも有利である。更に、ここでいう、含フッ素系重合体は、アミノ基又はカルボジイミド基、及び/若しくはその誘導体に対して反応性を有する官能基が分子鎖中に導入された含フッ素系重合体(E)も包含し、後記アミノ基又はカルボジイミド基、及び/若しくはその誘導体に対して反応性を有する官能基を含有しない含フッ素系重合体も指す。
導電性及び導電性フィラーの詳細は、第一態様の積層チューブと同様である。
導電性フィラーの含有量は、用いる導電性フィラーの種類により異なるため、一概に規定はできないが、導電性、流動性、機械的強度等とのバランスの観点から、含フッ素系重合体100質量部に対して、一般に、3質量部以上30質量部以下であることが好ましい。
また、かかる導電性フィラーは、十分な帯電防止性能を得る観点から、溶融押出物の表面固有抵抗値が108Ω/square以下であることが好ましく、106Ω/square以下であることがより好ましい。但し、前記導電性フィラーの添加は、強度、流動性の悪化を招きやすい。そのため、目標とする導電レベルが得られれば、前記導電性フィラーの含有量はできるだけ少ない方が望ましい。
第四態様の積層チューブでは、各層の厚みは、特に制限されず、各層を構成する重合体の種類、積層チューブにおける全体の層数、用途等に応じて調節し得るが、それぞれの層の厚みは、積層チューブの薬液バリア性、低温耐衝撃性、柔軟性等の特性を考慮して決定される。一般には、(a)層、(b)層、(c)層、(d)層、及び(e)層の厚みは、積層チューブ全体の厚みに対して、それぞれ3%以上90%以下であることが好ましい。低温耐衝撃性と薬液バリア性のバランスを考慮して、(c)層、(d)層、及び(e)層の厚みは、積層チューブ全体の厚みに対して、それぞれ5%以上50%以下であることがより好ましく、7%以上40%以下であることが更に好ましい。
また、第四態様の積層チューブにおける全体の層数は、(a)層、(b)層、(c)層、(d)層、及び(e)層を有する、少なくとも5層である限り、特に限定されない。更に、第四態様の積層チューブは、(a)層、(b)層、(c)層、(d)層、及び(e)層の5層以外に、更なる機能を付与、あるいは経済的に有利な積層チューブを得るために、他の熱可塑性樹脂を含む層を1層又は2層以上を有していてもよい。第四態様の積層チューブの層数は5層以上であるが、チューブ製造装置の機構から判断して8層以下であることが好ましく、6層以上7層以下であることがより好ましい。
第一態様、第二態様、第三態様、及び第四態様の積層チューブにおける他の熱可塑性樹脂としては、脂肪族ポリアミド(A1)、半芳香族ポリアミド(D1)、及び半芳香族ポリアミド(D2)以外のポリメタキシリレンテレフタラミド(ポリアミドMXDT)、ポリメタキシリレンイソフタラミド(ポリアミドMXDI)、ポリメタキシリレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミドMXDT(H))、ポリメタキシリレンナフタラミド(ポリアミドMXDN)、ポリパラキシリレンテレフタラミド(ポリアミドPXDT)、ポリパラキシリレンイソフタラミド(ポリアミドPXDI)、ポリパラキシリレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミドPXDT(H))、ポリパラキシリレンナフタラミド(ポリアミドPXDN)、ポリパラフェニレンテレフタラミド(PPTA)、ポリパラフェニレンイソフタラミド(PPIA)、ポリメタフェニレンテレフタラミド(PMTA)、ポリメタフェニレンイソフタラミド(PMIA)、ポリ(2,6-ナフタレンジメチレンテレフタラミド)(ポリアミド2,6-BANT)、ポリ(2,6-ナフタレンジメチレンイソフタラミド)(ポリアミド2,6-BANI)、ポリ(2,6-ナフタレンジメチレンヘキサヒドロテレフタラミド)(ポリアミド2,6-BANT(H))、ポリ(2,6-ナフタレンジメチレンナフタラミド)(ポリアミド2,6-BANN)、ポリ(1,3-シクロヘキサンジメチレンアジパミド)(ポリアミド1,3-BAC6)、ポリ(1,3-シクロヘキサンジメチレンスベラミド(ポリアミド1,3-BAC8)、ポリ(1,3-シクロヘキサンジメチレンアゼラミド)(ポリアミド1,3-BAC9)、ポリ(1,3-シクロヘキサンジメチレンセバカミド)(ポリアミド1,3-BAC10)、ポリ(1,3-シクロヘキサンジメチレンドデカミド)(ポリアミド1,3-BAC12)、ポリ(1,3-シクロヘキサンジメチレンテレフタラミド)(ポリアミド1,3-BACT)、ポリ(1,3-シクロヘキサンジメチレンイソフタラミド)(ポリアミド1,3-BACI)、ポリ(1,3-シクロヘキサンジメチレンヘキサヒドロテレフタラミド)(ポリアミド1,3-BACT(H))、ポリ(1,3-シクロヘキサンジメチレンナフタラミド)(ポリアミド1,3-BACN)、ポリ(1,4-シクロヘキサンジメチレンアジパミド)(ポリアミド1,4-BAC6)、ポリ(1,4-シクロヘキサンジメチレンスベラミド)(ポリアミド1,4-BAC8)、ポリ(1,4-シクロヘキサンジメチレンアゼラミド)(ポリアミド1,4-BAC9)、ポリ(1,4-シクロヘキサンジメチレンセバカミド)(ポリアミド1,4-BAC10)、ポリ(1,4-シクロヘキサンジメチレンドデカミド)(ポリアミド1,4-BAC12)、ポリ(1,4-シクロヘキサンジメチレンテレフタラミド)(ポリアミド1,4-BACT)、ポリ(1,4-シクロヘキサンジメチレンイソフタラミド)(ポリアミド1,4-BACI)、ポリ(1,4-シクロヘキサンジメチレンヘキサヒドロテレフタラミド)(ポリアミド1,4-BACT(H))、ポリ(1,4-シクロヘキサンジメチレンナフタラミド)(ポリアミド1,4-BACN)、ポリ(4,4’-メチレンビスシクロヘキシレンアジパミド)(ポリアミドPACM6)、ポリ(4,4’-メチレンビスシクロヘキシレンスベラミド)(ポリアミドPACM8)、ポリ(4,4’-メチレンビスシクロヘキシレンアゼラミド)(ポリアミドPACM9)、ポリ(4,4’-メチレンビスシクロヘキシレンセバカミド)(ポリアミドPACM10)、ポリ(4,4’-メチレンビスシクロヘキシレンドデカミド)(ポリアミドPACM12)、ポリ(4,4’-メチレンビスシクロヘキシレンテトラデカミド)(ポリアミドPACM14)、ポリ(4,4’-メチレンビスシクロヘキシレンヘキサデカミド)(ポリアミドPACM16)、ポリ(4,4’-メチレンビスシクロヘキシレンオクタデカミド)(ポリアミドPACM18)、ポリ(4,4’-メチレンビスシクロヘキシレンテレフタラミド)(ポリアミドPACMT)、ポリ(4,4’-メチレンビスシクロヘキシレンイソフタラミド)(ポリアミドPACMI)、ポリ(4,4’-メチレンビスシクロヘキシレンヘキサヒドロテレフタラミド)(ポリアミドPACMT(H))、ポリ(4,4’-メチレンビスシクロヘキシレンナフタラミド)(ポリアミドPACMN)、ポリ(4,4’-メチレンビス(2-メチル-シクロヘキシレン)アジパミド)(ポリアミドMACM6)、ポリ(4,4’-メチレンビス(2-メチル-シクロヘキシレン)スベラミド)(ポリアミドMACM8)、ポリ(4,4’-メチレンビス(2-メチル-シクロヘキシレン)アゼラミド)(ポリアミドMACM9)、ポリ(4,4’-メチレンビス(2-メチル-シクロヘキシレン)セバカミド)(ポリアミドMACM10)、ポリ(4,4’-メチレンビス(2-メチル-シクロヘキシレン)ドデカミド)(ポリアミドMACM12)、ポリ(4,4’-メチレンビス(2-メチル-シクロヘキシレン)テトラデカミド)(ポリアミドMACM14)、ポリ(4,4’-メチレンビス(2-メチル-シクロヘキシレン)ヘキサデカミド)(ポリアミドMACM16)、ポリ(4,4’-メチレンビス(2-メチル-シクロヘキシレン)オクタデカミド)(ポリアミドMACM18)、ポリ(4,4’-メチレンビス(2-メチル-シクロヘキシレン)テレフタラミド)(ポリアミドMACMT)、ポリ(4,4’-メチレンビス(2-メチル-シクロヘキシレン)イソフタラミド)(ポリアミドMACMI)、ポリ(4,4’-メチレンビス(2-メチル-シクロヘキシレン)ヘキサヒドロテレフタラミド)(ポリアミドMACMT(H))、ポリ(4,4’-メチレンビス(2-メチル-シクロヘキシレン)ナフタラミド)(ポリアミドMACMN)、ポリ(4,4’-プロピレンビスシクロヘキシレンアジパミド)(ポリアミドPACP6)、ポリ(4,4’-プロピレンビスシクロヘキシレンスベラミド)(ポリアミドPACP8)、ポリ(4,4’-プロピレンビスシクロヘキシレンアゼラミド)(ポリアミドPACP9)、ポリ(4,4’-プロピレンビスシクロヘキシレンセバカミド)(ポリアミドPACP10)、ポリ(4,4’-プロピレンビスシクロヘキシレンドデカミド)(ポリアミドPACP12)、ポリ(4,4’-プロピレンビスシクロヘキシレンテトラデカミド)(ポリアミドPACP14)、ポリ(4,4’-プロピレンビスシクロヘキシレンヘキサデカミド)(ポリアミドPACP16)、ポリ(4,4’-プロピレンビスシクロヘキシレンオクタデカミド)(ポリアミドPACP18)、ポリ(4,4’-プロピレンビスシクロヘキシレンテレフタラミド)(ポリアミドPACPT)、ポリ(4,4’-プロピレンビスシクロヘキシレンイソフタラミド)(ポリアミドPACPI)、ポリ(4,4’-プロピレンビスシクロヘキシレンヘキサヒドロテレフタラミド)(ポリアミドPACPT(H))、ポリ(4,4’-プロピレンビスシクロヘキシレンナフタラミド)(ポリアミドPACPN)、ポリイソホロンアジパミド(ポリアミドIPD6)、ポリイソホロンスベラミド(ポリアミドIPD8)、ポリイソホロンアゼラミド(ポリアミドIPD9)、ポリイソホロンセバカミド(ポリアミドIPD10)、ポリイソホロンドデカミド(ポリアミドIPD12)、ポリイソホロンテレフタラミド(ポリアミドIPDT)、ポリイソホロンイソフタラミド(ポリアミドIPDI)、ポリイソホロンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミドIPDT(H))、ポリイソホロンナフタラミド(ポリアミドIPDN)、ポリテトラメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド4T(H))、ポリペンタメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド5T(H))、ポリヘキサメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド6T(H))、ポリ(2-メチルペンタメチレンヘキサヒドロテレフタラミド)(ポリアミドM5T(H))、ポリノナメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド9T(H))、ポリ(2-メチルオクタメチレンヘキサヒドロテレフタラミド)(ポリアミドM8T(H))、ポリトリメチルヘキサメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミドTMHT(H))、ポリデカメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド10T(H))、ポリウンデカメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド11T(H))、ポリドデカメチレンヘキサヒドロテレフタラミド(ポリアミド12T(H))、及びこれらポリアミドの原料単量体、並びに/又は前記脂肪族ポリアミド(A1)の原料単量体を数種用いた共重合体等のポリアミド系樹脂が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
また、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、エチレン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(EFEP)、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/フッ化ビニリデン共重合体(THV)、フッ化ビニリデン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)/テトラフルオロエチレン共重合体、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/フッ化ビニリデン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、エチレン/クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、クロロトリフルオロエチレン/テトラフルオロエチレン共重合体、フッ化ビニリデン/クロロトリフルオロエチレン共重合体、クロロトリフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、クロロトリフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロトリフルオロエチレン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロトリフルオロエチレン/テトラフルオロエチレン/フッ化ビニリデン共重合体、クロロトリフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)/テトラフルオロエチレン共重合体(CPT)、クロロトリフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロトリフルオロエチレン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、クロロトリフルオロエチレン/テトラフルオロエチレン/フッ化ビニリデン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体、クロロトリフルオロエチレン/テトラフルオロエチレン/フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロトリフルオロエチレン/テトラフルオロエチレン/フッ化ビニリデン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)/ヘキサフルオロプロピレン共重合体等のアミノ基又はカルボジイミド基、及び/若しくはその誘導体に対して反応性を有する官能基を含有しない含フッ素系重合体が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
積層チューブが、(e)層を有する場合、(e)層に対して、アミノ基又はカルボジイミド基、及び/若しくはその誘導体に対して反応性を有する官能基を含有しない含フッ素系重合体を含む層が内側に配置されることにより、低温耐衝撃性、薬液バリア性、及び耐環境応力亀裂性を両立することが可能であり、また、経済的にも有利である。
更に、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、ポリプロピレン(PP)、ポリブテン(PB)、ポリメチルペンテン(TPX)、エチレン/プロピレン共重合体(EPR)、エチレン/ブテン共重合体(EBR)、エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン/アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン/メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン/アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン/メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン/アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン/酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン(PS)、シンジオタクチックポリスチレン(SPS)、メタクリル酸メチル/スチレン共重合体(MS)、メタクリル酸メチル/スチレン/ブタジエン共重合体(MBS)、スチレン/ブタジエン共重合体(SBR)、スチレン/イソプレン共重合体(SIR)、スチレン/イソプレン/ブタジエン共重合体(SIBR)、スチレン/ブタジエン/スチレン共重合体(SBS)、スチレン/イソプレン/スチレン共重合体(SIS)、スチレン/エチレン/ブチレン/スチレン共重合体(SEBS)、スチレン/エチレン/プロピレン/スチレン共重合体(SEPS)等のポリスチレン系樹脂;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、メサコン酸、シトラコン酸、グルタコン酸、シス-4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸、エンドビシクロ-[2.2.1]-5-ヘプテン-2,3-ジカルボン酸等のカルボキシル基、及びその金属塩(Na、Zn、K、Ca、Mg)、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、エンドビシクロ-[2.2.1]-5-ヘプテン-2,3-ジカルボン酸無水物等の酸無水物基;アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、エタクリル酸グリシジル、イタコン酸グリシジル、シトラコン酸グリシジル等のエポキシ基等の官能基が含有された前記ポリオレフィン系樹脂及びポリスチレン系樹脂;ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンイソフタレート(PEI)、ポリ(エチレンテレフタレート/エチレンイソフタレート)共重合体(PET/PEI)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート(PCT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリアリレート(PAR)、液晶ポリエステル(LCP)、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)等のポリエステル系樹脂;ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンエーテル(PPO)等のポリエーテル系樹脂;ポリサルホン(PSU)、ポリエーテルスルホン(PESU)、ポリフェニルサルホン(PPSU)等のポリサルホン系樹脂;ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリチオエーテルサルホン(PTES)等のポリチオエーテル系樹脂;ポリケトン(PK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリエーテルエーテルエーテルケトン(PEEEK)、ポリエーテルエーテルケトンケトン(PEEKK)、ポリエーテルケトンケトンケトン(PEKKK)、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン(PEKEKK)等のポリケトン系樹脂;ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメタクリロニトリル、アクリロニトリル/スチレン共重合体(AS)、メタクリロニトリル/スチレン共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体(ABS)、アクリロニトリル/ブタジエン共重合体(NBR)等のポリニトリル系樹脂;ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリメタクリル酸エチル(PEMA)等のポリメタクリレート系樹脂;ポリ酢酸ビニル(PVAc)等のポリビニルエステル系樹脂;ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、塩化ビニル/塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニリデン/アクリル酸メチル共重合体等のポリ塩化ビニル系樹脂;酢酸セルロース、酪酸セルロース等のセルロース系樹脂;ポリカーボネート(PC)等のポリカーボネート系樹脂;熱可塑性ポリイミド(TPI)、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエステルアミドイミド等のポリイミド系樹脂;熱可塑性ポリウレタン系樹脂;ポリアミドエラストマー、ポリウレタンエラストマー、ポリエステルエラストマー等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
尚、第一態様、第二態様、第三態様、及び第四態様の積層チューブにおいては、溶融安定性及び成形安定性の観点から、前記例示の熱可塑性樹脂のうち、融点が290℃以下のポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリチオエーテル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、及びアミノ基又はカルボジイミド基、並びに/若しくはその誘導体に対して反応性を有する官能基を含有しない含フッ素系重合体を使用することが好ましい。
また、熱可塑性樹脂以外の任意の基材、例えば、紙、金属系材料、無延伸、一軸又は二軸延伸プラスチックフィルム又はシート、織布、不織布、金属綿、木材等を積層することも可能である。金属系材料としては、アルミニウム、鉄、銅、ニッケル、金、銀、チタン、モリブデン、マグネシウム、マンガン、鉛、錫、クロム、ベリリウム、タングステン、コバルト等の金属、金属化合物、及びこれら2種類以上からなるステンレス鋼等の合金鋼、アルミニウム合金、黄銅、青銅等の銅合金、ニッケル合金等の合金類等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
積層チューブ製造法としては、層の数又は材料の数に対応する押出機を用いて、溶融押出し、ダイ内あるいは外において同時に積層する方法(共押出成形法)、あるいは、一旦、単層チューブあるいは、前記の方法により製造された積層チューブを予め製造しておき、外側に順次、必要に応じては接着剤を使用し、樹脂を一体化せしめ積層する方法(コーティング法)が挙げられる。積層チューブは、各種材料を溶融状態で共押出し、両者を熱融着(溶融接着)して、一段階で積層構造のチューブを製造する共押出成形法により製造されることが好ましい。即ち、積層チューブの製造方法は、共押出成形することを含むことが好ましい。
また、得られる積層チューブが複雑な形状である場合や、成形後に加熱曲げ加工を施して、成形品とする場合は、成形品の残留歪みを除去するために、前記の積層チューブを形成した後、前記チューブを構成する樹脂の融点のうち最も低い融点未満の温度で、0.01時間以上10時間以下熱処理して、目的の成形品を得る事も可能である。
積層チューブにおいては、波形領域を有するものであってもよい。波形領域とは、波形形状、蛇腹形状、アコーディオン形状、又はコルゲート形状等に形成した領域である。波形領域は、積層チューブ全長にわたり有するものだけではなく、途中の適宜の領域に部分的に有するものであってもよい。波形領域は、まず直管状のチューブを成形した後に、引き続いてモールド成形し、所定の波形形状等とすることにより容易に形成することができる。かかる波形領域を有することにより、衝撃吸収性を有し、取り付け性が容易となる。更に、例えば、コネクタ等の必要な部品を付加したり、曲げ加工したりすることによりL字、U字の形状等にすることが可能である。
このように成形した積層チューブの外周の全部又は一部には、石ハネ、他部品との摩耗、及び耐炎性を考慮して、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、クロロプレンゴム(CR)、カルボキシル化ブタジエンゴム(XBR)、カルボキシル化クロロプレンゴム(XCR)、エピクロルヒドリンゴム(ECO)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、水素化アクリロニトリルブタジエンゴム(HNBR)、カルボキシル化アクリロニトリルブタジエンゴム(XNBR)、NBRとポリ塩化ビニルの混合物、アクリロニトリルイソプレンゴム(NIR)、塩素化ポリエチレンゴム(CM)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)、エチレンプロピレンゴム(EPR)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、エチレン酢酸ビニルゴム(EVM)、NBRとEPDMの混合物ゴム、アクリルゴム(ACM)、エチレンアクリルゴム(AEM)、アクリレートブタジエンゴム(ABR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシル化スチレンブタジエンゴム(XSBR)、スチレンイソプレンゴム(SIR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、ウレタンゴム、シリコーンゴム(MQ,VMQ)、フッ素ゴム(FKM,FFKM)、フルオロシリコーンゴム(FVMQ)、塩化ビニル系、オレフィン系、エステル系、ウレタン系、アミド系等の熱可塑性エラストマー等から構成するソリッド又はスポンジ状の保護部材(プロテクタ)を配設することができる。保護部材は既知の手法によりスポンジ状の多孔体としてもよい。多孔体とすることにより、軽量で断熱性に優れた保護部を形成できる。また、材料コストも低減できる。あるいは、ガラス繊維等を添加してその強度を改善してもよい。保護部材の形状は、特に限定されないが、通常は、筒状部材又は積層チューブを受け入れる凹部を有するブロック状部材である。筒状部材の場合は、予め作製した筒状部材に積層チューブを後で挿入したり、あるいは積層チューブの上に筒状部材を被覆押出しし、両者を密着して作ることができる。両者を接着させるには、保護部材内面あるいは前記凹面に必要に応じ接着剤を塗布し、これに積層チューブを挿入又は嵌着し、両者を密着することにより、積層チューブと保護部材の一体化された構造体を形成する。また、金属等で補強することも可能である。
積層チューブの外径は、薬液(例えば、含アルコールガソリン等の燃料)等の流量を考慮し、肉厚は薬液の透過性が増大せず、また、通常のチューブの破壊圧力を維持できる厚みで、かつ、チューブの組み付け作業容易性及び使用時の耐振動性が良好な程度の柔軟性を維持することができる厚みに設計されるが、限定されるものではない。外径は4mm以上300mm以下、内径は3mm以上250mm以下、肉厚は0.5mm以上25mm以下であることが好ましい。
本実施形態の積層チューブは、自動車部品、内燃機関用途、電動工具ハウジング類等の機械部品を始め、工業材料、産業資材、電気・電子部品、医療、食品、家庭・事務用品、建材関係部品、家具用部品等各種用途に使用することが可能である。
また、積層チューブは、薬液バリア性に優れるため、薬液搬送チューブとして好適である。薬液としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、アルキルベンゼン類等の芳香族炭化水素溶媒;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、フェノール、クレゾール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアルキレングリコ-ル等のアルコール;フェノール溶媒;ジメチルエーテル、ジプロピルエーテル、メチル-t-ブチルエーテル、エチル-t-ブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ポリオ-ルエステル類、ポリビニルエ-テル類等のエーテル溶媒;HFC-23(トリフルオロメタン)、HFC-32(ジフルオロメタン)、HFC-41(フルオロメタン)、HFC-123(2,2-ジクロロ-1,1,1-トリフルオロエタン)、HFC-125(1,1,1,2,2-ペンタフルオロエタン)、HFC-134(1,1,2,2-テトラフルオロエタン)、HFC-134a(1,1,1,2-テトラフルオロエタン)、HFC-143(1,1,2-トリフルオロエタン)、HFC-143a(1,1,1-トリフルオロエタン)、HFC-152(1,2-ジフルオロエタン)、HFC-152a(1,1-ジフルオロエタン)、HFC-161(フルオロエタン)、HFC-227ea(1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン)、HFC-227ca(1,1,2,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン)、HFC-236fa(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン)、HFC-236ea(1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロパン)、HFC-236cb(1,1,1,2,2,3-ヘキサフルオロプロパン)、HFC-236ca(1,1,2,2,3,3-ヘキサフルオロプロパン)、HFC-245ca(1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパン)、HFC-245ea(1,1,2,3,3-ペンタフルオロプロパン)、HFC-245eb(1,1,1,2,3-ペンタフルオロプロパン)、HFC-245fa(1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン)、HFC-245cb(1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパン)、HFC-254eb(1,1,1,2-テトラフルオロプロパン)、HFC-254cb(1,1,2,2-テトラフルオロプロパン)、HFC-254ca(1,2,2,3-テトラフルオロプロパン)、HFC-263fb(1,1,1-トリフルオロプロパン)、HFC-263ca(1,2,2-トリフルオロプロパン)、HFC-272fb(1,1-ジフルオロプロパン)、HFC-272ea(1,2-ジフルオロプロパン)、HFC-272fa(1,3-ジフルオロプロパン)、HFC-272ca(2,2-ジフルオロプロパン)、HFC-281fa(1-フルオロプロパン)、HFC-281ea(2-フルオロプロパン)、HFC-329p(1,1,1,2,2,3,3,4,4-ノナフルオロブタン)、HFC-329mmz(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-(トリフルオロ)プロパン)、HFC-338mf(1,1,1,3,3,4,4,4-オクタフルオロブタン)、HFC-338mcc(1,1,1,2,2,3,4,4-オクタフルオロブタン)、HFC-338pcc(1,1,2,2,3,3,4,4-オクタフルオロブタン)、HFC-347s(1,1,1,2,2,3,3-ヘプタフルオロブタン)、HFC-365mfc(1,1,1,3,3-ペンタフルオロブタン)、HFC-4310mee(1,1,1,2,3,4,4,5,5,5-デカフルオロペンタン)、HFC-1123(トリフルオロエチレン)、HFC-1132a(1,2-ジフルオロエチレン)、FC-1216(ヘキサフルオロ-1-プロペン)、HFC-1223(3,3,3-トリフルオロ-1-プロペン)、HFC-1225zc(1,1,3,3,3-ペンタフルオロ-1-プロペン)、HFC-1225ye(1,2,3,3,3-ペンタフルオロ-1-プロペン)、HFC-1225yc(1,1,2,3,3-ペンタフルオロ-1-プロペン)、HFC-1232xf(3,3-ジフルオロ-1-プロペン)、HFC-1234ye(1,2,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン)、HFC-1234ze(1,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン)、HFC-1234yf(2,3,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン)、HFC-1234yc(1,1,2,3-テトラフルオロ-1-プロペン)、HFC-1234zc(1,1,3,3-テトラフルオロ-1-プロペン)、HFC-1243yf(2,3,3-トリフルオロ-1-プロペン)、HFC-1243zc(1,1,3-トリフルオロ-1-プロペン)、HFC-1243ye(1,2,3-トリフルオロ-1-プロペン)、HFC-1243ze(1,3,3-トリフルオロ-1-プロペン)、HFC-1243zf(3,3,3-トリフルオロ-1-プロペン)、HFC-1243yc(1,1,2-トリフルオロ-1-プロペン)、HFC-1261yf(2-フルオロプロペン)、FC-1318my(1,1,1,2,3,4,4,4-オクタフルオロ-2-ブテン)、FC-1318cy(1,1,2,3,3,4,4,4-オクタフルオロ-1-ブテン)、HFC-1327my(1,1,1,2,4,4,4-ヘプタフルオロ-2-ブテン)、HFC-1327ye(1,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロ-1-ブテン)、HFC-1327py(1,1,1,2,3,4,4-ヘプタフルオロ-2-ブテン)、HFC-1327et(1,3,3,3-テトラフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-1-プロペン)、HFC-1327cz(1,1,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロ-1-ブテン)、HFC-1327cye(1,1,2,3,4,4,4-ヘプタフルオロ-1-ブテン)、HFC-1327cyc(1,1,2,3,3,4,4-ヘプタフルオロ-1-ブテン)、HFC-1336yf(2,3,3,4,4,4-ヘキサフルオロ-1-ブテン)、HFC-1336ze(1,3,3,4,4,4-ヘキサフルオロ-1-ブテン)、HFC-1336eye(1,2,3,4,4,4-ヘキサフルオロ-1-ブテン)、HFC-1336eyc(1,2,3,3,4,4-ヘキサフルオロ-1-ブテン)、HFC-1336pyy(1,1,2,3,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン)、HFC-1336pz(1,1,1,2,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン)、HFC-1336mzy(1,1,1,3,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン)、HFC-1336mzz(1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-ブテン)、HFC-1336qc(1,1,2,3,3,4-ヘキサフルオロ-1-ブテン)、HFC-1336pe(1,1,2,3,4,4-ヘキサフルオロ-1-ブテン)、HFC-1336ft(3,3,3-トリフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-1-プロペン)、HFC-1345qz(1,1,1,2,4-ペンタフルオロ-2-ブテン)、HFC-1345mzy(1,1,1,3,4-ペンタフルオロ-2-ブテン)、HFC-1345fz(3,3,4,4,4-ペンタフルオロ-1-ブテン)、HFC-1345mzz(1,1,1,4,4-ペンタフルオロ-2-ブテン)、HFC-1345sy(1,1,1,2,3-ペンタフルオロ-2-ブテン)、HFC-1345fyc(2,3,3,4,4-ペンタフルオロ-1-ブテン)、HFC-1345pyz(1,1,2,4,4-ペンタフルオロ-2-ブテン)、HFC-1345cyc(1,1,2,3,3-ペンタフルオロ-1-ブテン)、HFC-1345pyy(1,1,2,3,4-ペンタフルオロ-2-ブテン)、HFC-1345eyc(1,2,3,3,4-ペンタフルオロ-1-ブテン)、HFC-1345ctm(1,1,3,3,3-ペンタフルオロ-2-メチル-1-プロペン)、HFC-1345ftp(2-(ジフルオロメチル)-3,3,3-トリフルオロ-1-プロペン)、HFC1345fye(2,3,4,4,4-ペンタフルオロ-1-ブテン)、HFC-1345eyf(1,2,4,4,4-ペンタフルオロ-1-ブテン)、HFC-1345eze(1,3,4,4,4-ペンタフルオロ-1-ブテン)、HFC-1345ezc(1,3,3,4,4-ペンタフルオロ-1-ブテン)、HFC-1345eye(1,2,3,4,4-ペンタフルオロ-1-ブテン)、HFC-1354fzc(3,3,4,4-テトラフルオロ-1-ブテン)、HFC-1354ctp(1,1,3,3-テトラフルオロ-2-メチル-1-プロペン)、HFC-1354etm(1,3,3,3-テトラフルオロ-2-メチル-1-プロペン)、HFC-1354tfp(2-(ジフルオロメチル)-3,3-ジフルオロ-1-プロペン)、HFC-1354my(1,1,1,2-テトラフルオロ-2-ブテン)、HFC-1354mzy(1,1,1,3-テトラフルオロ-2-ブテン)、FC-141-10myy(1,1,1,2,3,4,4,5,5,5-デカフルオロ-2-ペンテン)、FC-141-10cy(1,1,2,3,3,4,4,5,5,5-デカフルオロ-1-ペンテン)HFC-1429mzt(1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-2-ブテン)、HFC-1429myz(1,1,1,2,4,4,5,5,5-ノナフルオロ-2-ペンテン)、HFC-1429mzy(1,1,1,3,4,4,5,5,5-ノナフルオロ-2-ペンテン)、HFC-1429eyc(1,2,3,3,4,4,5,5,5-ノナフルオロ-1-ペンテン)、HFC-1429czc(1,1,3,3,4,4,5,5,5-ノナフルオロ-1-ペンテン)、HFC-1429cycc(1,1,2,3,3,4,4,5,5-ノナフルオロ-1-ペンテン)、HFC-1429pyy(1,1,2,3,4,4,5,5,5-ノナフルオロ-2-ペンテン)、HFC-1429myyc(1,1,1,2,3,4,4,5,5-ノナフルオロ-2-ペンテン)、HFC-1429myye(1,1,1,2,3,4,5,5,5-ノナフルオロ-2-ペンテン)、HFC-1429eyym(1,2,3,4,4,4-ヘキサフルオロ-3-(トリフルオロメチル)-1-ブテン)、HFC-1429cyzm(1,1,2,4,4,4-ヘキサフルオロ-3-(トリフルオロメチル)-1-ブテン)、HFC-1429mzt(1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-2-ブテン)、HFC-1429czym(1,1,3,4,4,4-ヘキサフルオロ-3-(トリフルオロメチル)-1-ブテン)、HFC-1438fy(2,3,3,4,4,5,5,5-オクタフルオロ-1-ペンテン)、HFC-1438eycc(1,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロ-1-ペンテン)、HFC-1438ftmc(3,3,4,4,4-ペンタフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-1-ブテン)、HFC-1438czzm(1,1,4,4,4-ペンタフルオロ-3-(トリフルオロメチル)-1-ブテン)、HFC-1438ezym(1,3,4,4,4-ペンタフルオロ-3-(トリフルオロメチル)-1-ブテン)、HFC-1438ctmf(1,1,4,4,4-ペンタフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-1-ブテン)、HFC-1447fzy(3,4,4,4-テトラフルオロ-3-(トリフルオロメチル)-1-ブテン)、HFC-1447fz(3,3,4,4,5,5,5-プタフルオロ-1-ペンテン)、HFC-1447fycc(2,3,3,4,4,5,5-ヘプタフルオロ-1-ペンテン)、HFC-1447cz(1,1,3,3,5,5,5-ヘプタフルオロ-1-ペンテン)、HFC-1447mytm(1,1,1,2,4,4,4ヘプタフルオロ-3-メチル-
2-ブテン)、HFC-1447fyz(2,4,4,4-テトラフルオロ-3-(トリフルオロメチル)-1-ブテン)、HFC-1447ezz(1,4,4,4-テトラフルオロ-3-(トリフルオロメチル)-1-ブテン)、HFC-1447qzt(1,4,4,4-テトラフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-2-ブテン)、HFC-1447syt(2,4,4,4-テトラフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-2-ブテン)、HFC-1456szt(3-(トリフルオロメチル)-4,4,4-トリフルオロ-2-ブテン)、HFC-1456szy(3,4,4,5,5,5ヘキサフルオロ-2-ペンテン)、HFC-1456mstz(1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2-メチル-2-ブテン)、HFC-1456fzce(3,3,4,5,5,5-ヘキサフルオロ-1-ペンテン)、HFC-1456ftmf(4,4,4-トリフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-1-ブテン)、FC-151-12c(1,1,2,3,3,4,4,5,5,6,6,6-ドデカ-1-ヘキセン、ペルフルオロ-1-ヘキセン)、FC-151-12mcy(1,1,1,2,2,3,4,5,5,6,6,6-ドデカ-3-ヘキセン、ペルフルオロ-3-ヘキセン)、FC-151-12mmtt(1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-2,3-ビス(トリフルオロメチル)-2-ブテン)、FC-151-12mmzz(1,1,1,2,3,4,5,5,5-ノナフルオロ-4-(トリフルオロメチル)-2-ペンテン)、HFC-152-11mmtz(1,1,1,4,4,5,5,5-オクタフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-2-ペンテン)、HFC-152-11mmyyz(1,1,1,3,4,5,5,5-オクタフルオロ-4-(トリフルオロメチル)-2-ペンテン)、HFC-152-11mmyyz(1,1,1,3,4,5,5,5-オクタフルオロ-4-(トリフルオロメチル)-2-ペンテン)、HFC-1549fz(PFBE)(3,3,4,4,5,5,6,6,6-ノナフルオロ-1-ヘキセン、パ-フルオロブチル)、HFC-1549fztmm(4,4,4-トリフルオロ-3,3-ビス(トリフルオロメチル)-1-ブテン)、HFC-1549mmtts(1,1,1,4,4,4-ヘキサフルオロ-3-メチル-2-(トリフルオロメチル)-2-ブテン)、HFC-1549fycz(2,3,3,5,5,5-ヘキサフルオロ-4-(トリフルオロメチル)-1-ペンテン)、HFC-1549myts(1,1,1,2,4,4,5,5,5-ノナフルオロ-3-メチル-2-ペンテン)、HFC-1549mzzz(1,1,1,5,5,5-ヘキサフルオロ-4-(トリフルオロメチル)-2-ペンテン)、HFC-1558szy(3,4,4,5,5,6,6,6-オクタフルオロ-2-ヘキセン)、HFC-1558fzccc(3,3,4,4,5,5,6,6-オクタフルオロ-2-ヘキセン)、HFC-1558mmtzc(1,1,1,4,4-ペンタフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-2-ペンテン)、HFC-1558ftmf(4,4,5,5,5-ペンタフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-1-ペンテン)、HFC-1567fts(3,3,4,4,5,5,5-ヘプタフルオロ-2-メチル-1-ペンテン)、HFC-1567szz(4,4,5,5,6,6,6-ヘプタフルオロ-2-ヘキセン)、HFC-1567fzfc(4,4,5,5,6,6,6-ヘプタフルオロ-1-ヘキセン)、HFC-1567sfyy(1,1,1,2,2,3,4-ヘプタフルオロ-3-ヘキセン)、HFC-1567fzfy(4,5,5,5-テトラフルオロ-4-(トリフルオロメチル)-1-ペンテン)、HFC-1567myzzm(1,1,1,2,5,5,5-ヘプタフルオロ-4-メチル-2-ペンテン)、HFC-1567mmtyf(1,1,1,3-テトラフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-2-ペンテン)、FC-161-14myy(1,1,1,2,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7-テトラデカフルオロ-2-ヘプテン)、FC-161-14mcyy(1,1,1,2,2,3,4,5,5,6,6,7,7,7-テトラデカフルオロ-2-ヘプテン)、HFC-162-13mzy(1,1,1,3,4,4,5,5,6,6,7,7,7-トリデカフルオロ-2-ヘプテン)、HFC162-13myz(1,1,1,2,4,4,5,5,6,6,7,7,7-トリデカフルオロ-2-ヘプテン)、HFC-162-13mczy(1,1,1,2,2,4,5,5,6,6,7,7,7-トリデカフルオロ-3-ヘプテン)、HFC-162-13mcyz(1,1,1,2,2,3,5,5,6,6,7,7,7-トリデカフルオロ-3-ヘプテン)、CFC-11(フルオロトリクロロメタン)、CFC-12(ジクロロジフルオロメタン)、CFC-114(1,1,2,2-テトラフルオロ-1,2-ジクロロエタン)、CFC-114a(1,1,1,2-テトラフルオロ-2,2-ジクロロエタン)、CFC-115(1,1,1,2,2-ペンタフルオロ-2-ジクロロエタン)、HCFC-21(ジクロロフルオロメタン)、HCFC-22(クロロジフルオロメタン)、HCFC-122(1,1,2-トリクロロ-2,2-ジフルオロエタン)、HCFC-123(1,1,1-トリフルオロ-2,2-ジクロロエタン)、HCFC-124(1,1,1,2-テトラフルオロ-2-クロロエタン)、HCFC-124a(1,1,2,2-テトラフルオロ-2-クロロエタン)、HCFC-132(ジクロロジフルオロエタン)、HCFC-133a(1,1,1-トリフルオロ-2-クロロエタン)、HCFC-141b(1,1-ジクロロ-1-フルオロエタン)、HCFC-142(1,1-ジフルオロ-2-クロロエタン)、HCFC-142b(1,1-ジフルオロ-1-クロロエタン)、HCFC-225ca(3,3-ジクロロ-1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパン)、HCFC-225cb(1,3-ジクロロ-1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパン)、HCFC-240db(1,1,1,2,3-ペンタクロロプロパン)、HCFC-243db(1,1,1-トリフルオロ-2,3-ジクロロプロパン)、HCFC-243ab(1,1,1-トリフルオロ-2,2-ジクロロプロパン)、HCFC-244eb(1,1,1,2-テトラフルオロ-3-クロロプロパン)、HCFC-244bb(1,1,1,2-テトラフルオロ-2-クロロプロパン)、HCFC-244db(1,1,1,3-テトラフルオロ-2-クロロプロパン)、HCFC-1111(1,1,2-トリクロロ-2-フルオロエチレン)、HCFC-1113(1,1,2-トリフルオロ-2-クロロエチレン)、HCFC-1223xd(3,3,3-トリフルオロ-1,2-ジクロロプロペン)、HCFC-1224xe(1,3,3,3-テトラフルオロ-2-クロロプロペン)、HCFC-1232xf(3,3-ジフルオロ-1,3-ジクロロプロペン)、HCFC-1233xf(3,3,3-トリフルオロ-2-クロロプロペン)、HCFC-1233zd(3,3,3-トリフルオロ-1-クロロプロペン)、及びこれらの混合物等のハロオレフィン類;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、アセトフェノン等のケトン溶媒;鉱油類、シリコ-ン油類、天然パラフィン類、ナフテン類、合成パラフィン類、ポリアルファオレフィン類等、ガソリン、灯油、ディーゼルガソリン、菜種油メチルエステル、大豆油メチルエステル、パ-ム油メチルエステル、ココナツ油メチルエステル、ガス液化油(Gas To Liquid:GTL)、石炭液化油(Coal To Liquid:CTL)、バイオマス液化油(Biomass To Liquid: BTL)、含アルコールガソリン、エチル-t-ブチルエーテルブレンド含酸素ガソリン、含アミンガソリン、サワーガソリン、圧縮天然ガス(CNG)、液化石油ガス(LPG)、液化炭化水素ガス(LHG)、液化天然ガス(LNG)、燃料用ジメチルエーテル(DME)、ひまし油ベースブレーキ液、グリコールエーテル系ブレーキ液、ホウ酸エステル系ブレーキ液、極寒地用ブレーキ液、シリコーン油系ブレーキ液、鉱油系ブレーキ液、パワーステアリングオイル、含硫化水素オイル、ウインドウオッシャー液、エンジン冷却液、尿素溶液、医薬剤、インク、塗料等が挙げられる。積層チューブは、前記薬液を搬送するチューブとして好適であり、具体的には、フィードチューブ、リターンチューブ、エバポチューブ、フューエルフィラーチューブ、ORVRチューブ、リザーブチューブ、ベントチューブ等の燃料チューブ、燃料電池用水素搬送チュ-ブ、オイルチューブ、石油掘削チューブ、空圧、油圧チューブ、クラッチチューブ、ブレーキチューブ、ブレーキ負圧チューブ、サスペンションチューブ、エアーチューブ、ターボエアーチューブ、エアーダクトチューブ、ブローバイチューブ、EGRバルブコントロールチューブ、ウインドウオッシャー液用チューブ、エンジン冷却液(LLC)チューブ、リザーバータンクチューブ、尿素溶液搬送チューブ、冷却水、冷媒等用クーラーチューブ、エアコン冷媒用チューブ、ヒーターチューブ、ラジエータチューブ、ロードヒーティングチューブ、床暖房チューブ、インフラ供給用チューブ、消火器及び消火設備用チューブ、医療用冷却機材用チューブ、インク、塗料散布チューブ、その他薬液チューブが挙げられる。特に、燃料チューブとして好適である。即ち、本発明は、前記積層チューブの燃料チューブとしての使用を包含する。
以下に、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は、これに限定されるものではない。尚、実施例及び比較例における分析及び物性の測定方法、及び実施例及び比較例に用いた材料を示す。
ポリアミドの特性は、以下の方法で測定した。
[相対粘度]
JIS K-6920に準じて、96%の硫酸中、ポリアミド濃度1%、温度25℃の条件下で測定した。
[脂肪族ポリアミド(A1)の末端アミノ基濃度]
活栓付三角フラスコに所定量のポリアミド試料を入れ、あらかじめ調整しておいた溶媒フェノール/メタノール(体積比9/1)の40mLを加えた後、マグネットスターラで攪拌溶解し、指示薬にチモールブルーを用いて0.05Nの塩酸で滴定を行い、末端アミノ基濃度を求めた。
[脂肪族ポリアミド(A1)の末端カルボキシル基濃度]
三つ口ナシ型フラスコに所定量のポリアミド試料を入れ、ベンジルアルコール40mLを加えた後、窒素気流下、180℃に設定したオイルバスに浸漬する。上部に取り付けた攪拌モータにより攪拌溶解し、指示薬にフェノールフタレインを用いて0.05Nの水酸化ナトリウム溶液で滴定を行い、末端カルボキシル基濃度を求めた。
[エラストマー重合体(A2)のカルボキシル基及び酸無水物基の合計濃度]
三つ口ナシ型フラスコに所定量のエラストマー重合体試料を入れ、トルエン170mLに溶解し、更に、エタノールを30mL加えて調製した試料溶液を用いて、フェノールフタレインを指示薬とし、0.1NのKOHエタノール溶液で滴定を行い、カルボキシル基及び酸無水物基の合計濃度を求めた。
接着用ポリエステルエラストマー組成物の特性は、以下の方法で測定した。
[無水マレイン酸の変性率(グラフト量)]
1H-NMR装置(日本電子(株)製「GSX-400」)を使用し、溶媒としてHFIP(ヘキサフルオロイソプロパノール)とCDCl3の混合溶媒を使用し、得られたスペクトルから本文に記載した計算式により求めた。
[カルボジイミド基含有量]
カルボジイミド基含有化合物の仕込み量から算出した。
[反応率]
接着用ポリエステルエラストマー組成物(B)及びカルボジイミド基と反応する官能基を有するポリエステルエラストマー(B1)に対して、FT-IRにて測定した無水マレイン酸の変性率(接着用ポリエステルエラストマー組成物(B)中の無水マレイン酸基に由来する吸光度と、カルボジイミド基と反応する官能基を有するポリエステルエラストマー(B1)中の無水マレイン酸基に由来する吸光度)を用いて、前記式(α1)により算出した。
ポリエステルの特性は、以下の方法で測定した。
[還元粘度]
ポリエステル試料を入れ、フェノール/1,1,2,2-テトラクロロエタン(1:1(質量比))中、濃度0.5g/dlとした溶液について30℃で測定した溶液粘度から求めた。
[末端酸価(μeq/g)]
ポリエステル試料0.5gを精秤し、ベンジルアルコール25mLを加え、195℃で9分間攪拌し、完全に溶解させた。溶解後、氷浴中で45秒間冷却した。冷却後、熱可塑性樹脂が溶解したベンジルアルコール溶液にエタノール2mLを加えた。自動滴定装置(三菱化学(株)製、「GT100」)で0.01NのNaOHベンジルアルコール溶液を用いて滴定を行った(滴定量をA(ml)とする。)。次に、ベンジルアルコールのみで同様の測定を行いブランク値(B(ml))とし、末端酸価を下記の式から算出した。
末端酸価(μeq/g)=(A-B)×F×10/W
A(ml):測定滴定量
B(ml):ブランク滴定量
F:0.01N NaOHベンジルアルコール溶液のファクター
W(g):サンプル質量
また、含フッ素系重合体の特性は、以下の方法で測定した。
[含フッ素系重合体の各構成単位含有量]
溶融NMR(核磁気共鳴)分析、フッ素含有量分析により、各構成単位の割合(モル%)を求めた。
[無水イタコン酸(IAH)に基づく構成単位の含有量]
含フッ素系重合体をプレス成形して、200μmのフィルムを得た。赤外吸収スペクトルにおいて、含フッ素系重合体中のIAHに基づく構成単位に由来する吸収ピークは1870cm-1に現れる。該吸収ピークの吸光度を測定し、モデル化合物から求めたIAHのモル吸光係数237L/(mol・cm)を用いて、IAHに基づく構成単位の割合(モル%)を求めた。
[5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物(NAH)に基づく構成単位の含有量]
含フッ素系重合体をプレス成形して、200μmのフィルムを得た。赤外吸収スペクトルにおいて、含フッ素系重合体中のNAHに基づく構成単位に由来する吸収ピークは1778cm-1に現れる。該吸収ピークの吸光度を測定し、モデル化合物から求めたNAHのモル吸光係数20810L/(mol・cm)を用いて、NAHに基づく構成単位の割合(モル%)を求めた。
[含フッ素系重合体中の末端カーボネート基数]
含フッ素系重合体中の末端カーボネート基数は、赤外吸収スペクトル分析により、カーボネート基(-OC(=O)O-)のカルボニル基が帰属するピークが1810~1815cm-1の吸収波長に現われ、吸収ピークの吸光度を測定し、次式によって含フッ素系重合体中の主鎖炭素原子数106個に対するカーボネート基の個数を算出した。
[含フッ素系重合体中の主鎖炭素原子数106個に対するカーボネート基の個数]=500AW/εdf
A:カーボネート基(-OC(=O)O-)のピークの吸光度
ε:カーボネート基(-OC(=O)O-)のモル吸光度係数[cm-1・mol-1]。モデル化合物よりε=170とした。
W:モノマー組成から計算される組成平均分子量
d:フィルムの密度[g/cm3]
f:フィルムの厚み[mm]
また、ポリアミド及び含フッ素系重合体の融点は、以下の方法で測定した。
[融点]
示差走査熱量測定装置を用いて、試料を予想される融点以上の温度に加熱し、次に、この試料を1分間あたり10℃の速度で降温し、30℃まで冷却、そのまま約1分間放置したのち、1分間あたり10℃の速度で昇温することにより測定される融解曲線のピーク値の温度を融点とした。
積層チューブの各物性は、以下の方法で測定した。
[層間接着性(初期剥離強度)]
200mmにカットしたチューブを更に、縦方向に半分にカットし、テストピースを作成した。万能材料試験機(オリエンテック社製、テンシロンUTM III-200)を用い、50mm/minの引張速度にて180°剥離試験を実施した。S-Sカーブの極大点から剥離強度を読み取り、層間接着性を評価した。
[層間接着性の耐久性(熱処理後剥離強度)]
200mmにカットしたチューブを160℃のオーブンに入れ、12分処理した。取り出したチューブの層間接着性を前記の方法に従い評価した。熱処理後の剥離強度が2.0N/mm以上の場合、層間接着性の耐久性に優れていると判断した。
[実施例及び比較例で用いた材料]
脂肪族ポリアミド(A1)
ポリアミド12(A1-1)の製造
内容積70リットルの攪拌機付き耐圧力反応容器に、ドデカンラクタム19.73kg(100.0モル)、5-アミノ-1,3,3-トリメチルシクロヘキサンメチルアミン45.0g(0.264モル)、及び蒸留水0.5Lを仕込み、重合槽内を窒素置換した後、180℃まで加熱し、この温度で反応系内が均一な状態になるように攪拌した。次いで重合槽内温度を270℃まで昇温させ、槽内圧力を3.5MPaに調圧しながら、2時間攪拌下に重合した。その後、約2時間かけて常圧に放圧し、次いで、53kPaまで減圧し、減圧下において5時間重合を行なった。次いで、窒素をオートクレーブ内に導入し、常圧に復圧後、反応容器の下部ノズルからストランドとして抜き出し、カッティングしてペレットを得た。このペレットを減圧乾燥し、相対粘度2.10、末端アミノ基濃度48μeq/g、末端カルボキシル基濃度24μeq/gのポリアミド12を得た(以下、このポリアミド12を(A1-1)という。)。また、ポリアミド12(A1-1)の末端アミノ基濃度[A](μeq/g)、末端カルボキシル基濃度[B](μeq/g)は、[A]>[B]+5を満たす。
ポリアミド1010(A1-2)の製造
内容積70リットルの攪拌機付き耐圧力反応容器に、1,10-デカンジアミン5.43kg(31.5モル)、セバシン酸6.07kg(30.0モル)、次亜リン酸ナトリウム一水和物11.5g(原料に対して、0.1質量%)、及び蒸留水5.0Lを仕込み、重合槽内を窒素置換した後、220℃まで加熱し、この温度で反応系内が均一な状態になるように攪拌した。次いで、重合槽内温度を270℃まで昇温させ、槽内圧力を1.7MPaに調圧しながら、2時間攪拌下に重合した。その後、約2時間かけて常圧に放圧し、次いで、53kPaまで減圧し、減圧下において4時間重合を行なった。次いで、窒素をオートクレーブ内に導入し、常圧に復圧後、反応容器の下部ノズルからストランドとして抜き出し、カッティングしてペレットを得た。このペレットを減圧乾燥し、相対粘度2.22、末端アミノ基濃度45μeq/g、末端カルボキシル基濃度28μeq/gのポリアミド1010を得た(以下、このポリアミド1010を(A1-2)という。)。また、ポリアミド1010(A1-2)の末端アミノ基濃度[A](μeq/g)、末端カルボキシル基濃度[B](μeq/g)は、[A]>[B]+5を満たす。
ポリアミド610(A1-3)の製造
ポリアミド1010(A1-2)の製造において、1,10-デカンジアミン5.43kg(31.5モル)を1,6-ヘキサンジアミン3.66kg(31.5モル)に変更した以外は、ポリアミド1010(A1-2)の製造と同様の方法にて、相対粘度2.58、末端アミノ基濃度53μeq/g、末端カルボキシル基濃度33μeq/gのポリアミド610を得た(以下、このポリアミド610を(A1-3)という。)。また、ポリアミド610(A1-3)の末端アミノ基濃度[A](μeq/g)、末端カルボキシル基濃度[B](μeq/g)は、[A]>[B]+5を満たす。
ポリアミド612(A1-4)の製造
ポリアミド1010(A1-2)の製造において、1,10-デカンジアミン5.43kg(31.5モル)、セバシン酸6.07kg(30.0モル)を1,6-ヘキサンジアミン3.66kg(31.5モル)、ドデカン二酸6.91kg(30.0モル)に変更した以外は、ポリアミド1010(A1-2)の製造と同様の方法にて、相対粘度2.48、末端アミノ基濃度50μeq/g、末端カルボキシル基濃度35μeq/gのポリアミド612を得た(以下、このポリアミド612を(A1-4)という。)。また、ポリアミド612(A1-4)の末端アミノ基濃度[A](μeq/g)、末端カルボキシル基濃度[B](μeq/g)は、[A]>[B]+5を満たす。
エラストマー重合体(A2)
無水マレイン酸変性エチレン/1-ブテン共重合体(A2-1)(三井化学(株)製、タフマーMH5010、酸無水物基濃度:50μeq/g)
脂肪族ポリアミド組成物(A)
ポリアミド12組成物(A-1)の製造
ポリアミド12(A1-1)に、衝撃改良材として無水マレイン酸変性エチレン/1-ブテン共重合体(A2-1)、酸化防止剤としてトリエチレングリコール-ビス[3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート](BASFジャパン社製、IRGANOX245)、及びリン系加工安定剤としてトリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト(BASFジャパン社製、IRGAFOS168)をあらかじめ混合し、二軸溶融混練機((株)日本製鋼所製、型式:TEX44)に供給し、シリンダ温度180℃から260℃で溶融混練し、溶融樹脂をストランド状に押出した後、これを水槽に導入し、冷却、カット、真空乾燥して、ポリアミド12(A1-1)/エラストマー重合体(A2-1)=80.0/20.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなるポリアミド12組成物のペレットを得た(以下、このポリアミド12組成物を(A-1)という。)。
ポリアミド12組成物(A-2)の製造
ポリアミド12組成物(A-1)の製造において、衝撃改良材の添加量を変更した以外は、ポリアミド12組成物(A-1)の製造と同様の方法にて、ポリアミド12(A1-1)/エラストマー重合体(A2-1)=85.0/15.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなるポリアミド12組成物のペレットを得た(以下、このポリアミド12組成物を(A-2)という。)。
ポリアミド1010組成物(A-3)の製造
ポリアミド12組成物(A-1)の製造において、ポリアミド12(A1-1)をポリアミド1010(A1-2)に変更した以外は、ポリアミド12組成物(A-1)の製造と同様の方法にて、ポリアミド1010(A1-2)/エラストマー重合体(A2-1)=85.0/15.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなるポリアミド1010組成物のペレットを得た(以下、このポリアミド1010組成物を(A-3)という。)。
ポリアミド610組成物(A-4)の製造
ポリアミド12組成物(A-1)の製造において、ポリアミド12(A1-1)をポリアミド610(A1-3)に変え、シリンダ温度を260℃から270℃に変更した以外は、ポリアミド12組成物(A-1)の製造と同様の方法にて、ポリアミド610(A1-3)/エラストマー重合体(A2-1)=85.0/15.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなるポリアミド610組成物のペレットを得た(以下、このポリアミド610組成物を(A-4)という。)。
ポリアミド612組成物(A-5)の製造
ポリアミド12組成物(A-1)の製造において、ポリアミド12(A1-1)をポリアミド612(A1-4)に変え、シリンダ温度を260℃から270℃に変更した以外は、ポリアミド12組成物(A-1)の製造と同様の方法にて、ポリアミド612(A1-4)/エラストマー重合体(A2-1)=85.0/15.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなるポリアミド612組成物のペレットを得た(以下、このポリアミド612組成物を(A-5)という。)。
導電性ポリアミド12組成物(A-6)の製造
ポリアミド12組成物(A-1)の製造において、ポリアミド12(A1-1)を(A1-5)(宇部興産(株)製、UBESTA 3020U)に変え、導電性フィラーとしてカーボンブラック(キャボット社製、バルカンXC-72)を用い、シリンダ温度を260℃から280℃に変更した以外は、ポリアミド12組成物(A-1)の製造と同様の方法にて、ポリアミド12(A1-5)/エラストマー重合体(A2-1)/導電性フィラー=70.0/10.0/20.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる導電性ポリアミド12組成物のペレットを得た(以下、この導電性ポリアミド12組成物を(A-6)という。)。
導電性ポリアミド612組成物(A-7)の製造
導電性ポリアミド12組成物(A-6)の製造において、ポリアミド12(A1-5)をポリアミド612(A1-6)(Dupont社製、ZYTEL 158 NC010)に変え、シリンダ温度を280℃から290℃に変更した以外は、導電性ポリアミド12組成物(A-6)の製造と同様の方法にて、ポリアミド612(A1-6)/エラストマー重合体(A2-1)/導電性フィラー=65.0/15.0/20.0(質量%)よりなる導電性ポリアミド612組成物のペレットを得た(以下、この導電性ポリアミド612組成物を(A-7)という。)。
接着用ポリエステルエラストマー組成物(B)
カルボジイミド基と反応する官能基を有するポリエステルエラストマー(B1-1)
ポリブチレンテレフタレートをハードセグメントとし、数平均分子量2,000のポリテトラメチレンエーテルグリコールをソフトセグメントとする、ポリエステルポリエーテルブロック共重合体であって、該共重合体中のポリテトラメチレンエーテルグリコールセグメントの含有量が65質量%のポリエステルエラストマー100質量部と、無水マレイン酸(和光純薬工業(株)製)を1.0質量部、ラジカル発生剤として2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン(日本油脂(株)製、パーヘキサ25B)0.15質量部、及び酸化防止剤として、4,4’,4’’-[(2,4,6-トリメチル-1,3,5-ベンゼントリイル)トリス(メチレン)]トリス[2,6-ビス(1,1-ジメチルエチル)フェノール](BASFジャパン社製、IRGANOX1330)0.5重量部をあらかじめ混合し、二軸溶融混練機((株)日本製鋼所製、型式:TEX44)に供給し、シリンダ温度190から230℃で溶融混練し、溶融樹脂をストランド状に押出した後、これを水槽に導入し、冷却、カット、真空乾燥して、無水マレイン酸変性ポリエステルエラストマーのペレットを得た(以下、この無水マレイン酸変性ポリエステルエラストマーを(B1-1)という。)。該無水マレイン酸変性ポリエステルエラストマーのグラフト量は、0.68質量%であった。
接着用ポリエステルエラストマー組成物(B)
接着用ポリエステルエラストマー組成物(B-1)の製造
前記で製造した無水マレイン酸変性ポリエステルエラストマー(B1-1)を100部と、カルボジイミド基含有化合物(B2-1)(日清紡ケミカル(株)社製、カルボジライトHMV-8CA、カルボジイミド基当量278、数平均分子量2,100、1分子中のカルボジイミド基数が9個)を1.7部とをそれぞれ混合し、二軸混練機((株)日本製鋼所製、型式:TEX44)に供給し、シリンダ温度220から250℃で溶融混練し、接着用ポリエステルエラストマー組成物のペレットを得た(以下、この接着用ポリエステルエラストマー組成物を(B-1)という。)。該接着用ポリエステルエラストマー組成物のカルボジイミド基含有化合物の仕込み量から算出したカルボジイミド基含有量は、6.0mmol/100gであった。尚、FT-IR分析によれば、接着用ポリエステルエラストマー組成物(B-1)からは無水マレイン酸のピーク(1790cm-1)が消失していたことから、カルボジイミド基と反応する官能基を有するポリエステルエラストマー(B1-1)中のカルボジイミド基と反応する官能基に由来する吸光度及び接着用ポリエステルエラストマー組成物(B-1)中のカルボジイミド基と反応する官能基に由来する吸光度の差(X)と、カルボジイミド基と反応する官能基を有するポリエステルエラストマー(B1-1)中のカルボジイミド基と反応する官能基に由来する吸光度(Y)との比が1であるため、反応率は100.0%であった。
未変性ポリエステルエラストマー(B-2)(東レ・デュポン社製、ハイトレル4275)
エチレン/グリシジルメタクリレート(GMA)共重合体(B-3)(ARKEMA社製、Lotader AX8840、MFR=10g/10分、密度=0.940g/cm3)
ポリアルキレンフランジカルボキシレート組成物(C)
ポリブチレンフランジカルボキシレート組成物(C-1)の製造
攪拌装置、窒素導入口、加熱装置、温度計及び減圧口を備えた反応容器に、原料として、ジメチル-2,5-フランジカルボン酸45.33質量部、1,4-ブタンジオール51.5質量部、チタンテトラブチレートを予め3.54質量%溶解させた1,4-ブタンジオール溶液1.23質量部、酢酸マグネシウム4水和物を予め1.37質量%溶解させた1,4-ブタンジオール溶液2.0質量部、及び酸化防止剤として4,4’,4’’-[(2,4,6-トリメチル-1,3,5-ベンゼントリイル)トリス(メチレン)]トリス[2,6-ビス(1,1-ジメチルエチル)フェノール](BASFジャパン社製、IRGANOX1330)0.5重量部を仕込んだ。容器内容物を攪拌下、容器内に窒素ガスを導入し、減圧置換によって系内を窒素雰囲気にした。次に、系内を攪拌しながら1時間で220℃に昇温し、この温度で1時間反応させた。次に、30分かけて240℃まで昇温すると同時に、1時間30分かけて0.05×103Pa以下になるように減圧し、240℃で加熱減圧状態を保持したまま重合を2時間30分継続した後、重合を行なった。次いで、窒素をオートクレーブ内に導入し、常圧に復圧後、反応容器の下部ノズルからストランドとして抜き出し、カッティングしてペレットを得た。このペレットを減圧乾燥した後、加熱窒素パージを備えた回転ドラムを使用して、ペレットを窒素パージしながら、150℃、48時間固相重合し、還元粘度1.07dL/g、末端酸価48μeq/gのポリブチレンフランジカルボキシレート組成物を得た(以下、このポリ(ブチレン-2,5-フランジカルボキシレート)組成物を(C-1)という。)。
ポリエチレンフランジカルボキシレート組成物(C-2)の製造
ポリブチレンフランジカルボキシレート組成物(C-1)の製造において、ジメチル-2,5-フランジカルボン酸45.3質量部、1,4-ブタンジオール51.5質量部をジメチル-2,5-フランジカルボン酸54.6質量部、エチレングリコール42.7質量部に変え、重合温度を240℃から260℃、固相重合温度を150℃から190℃に変更した以外は、ポリブチレンフランジカルボキシレート(C-1)組成物の製造と同様の方法にて、還元粘度1.10dL/g、末端酸価21μeq/gのポリエチレンフランジカルボキシレート組成物を得た(以下、このポリ(エチレン-2,5-フランジカルボキシレート)組成物を(C-2)という。)。
ポリトリメチレンフランジカルボキシレート組成物(C-3)の製造
ポリブチレンフランジカルボキシレート(C-1)組成物の製造において、ジメチル-2,5-フランジカルボン酸45.3質量部、1,4-ブタンジオール51.5質量部をジメチル-2,5-フランジカルボン酸54.6質量部、を1,3-プロパンジオールを56.8質量部に変え、固相重合温度を150℃から160℃に変更した以外は、ポリブチレンフランジカルボキシレート(C-1)組成物の製造と同様の方法にて、還元粘度1.21dL/g、末端酸価12μeq/gのポリトリメチレンフランジカルボキシレート組成物を得た(以下、このポリ(トリメチレン-2,5-フランジカルボキシレート)組成物を(C-3)という。)。
半芳香族ポリアミド(D1)
半芳香族ポリアミド(D1-1)の製造
1,9-ノナンジアミン2.374kg(15.0モル)、2-メチル-1,8-オクタンジアミン2.374kg(15.0モル)、テレフタル酸4.939kg(29.7モル)、安息香酸65.9g(0.54モル)、次亜リン酸ナトリウム一水和物9.8g(原料に対して、0.1質量%)、及び蒸留水6.0Lをオートクレーブに入れ、窒素置換した。100℃で30分間攪拌し、2時間かけて内部温度を190℃に昇温した。この時、オートクレーブは2.0MPaまで昇圧した。そのまま1時間反応を続けた後230℃に昇温し、その後2時間、230℃に温度を保ち、水蒸気を徐々に抜いて圧力を2.0MPaに保ちながら重合させた。次に、30分かけて圧力を1.0MPaまで下げ、更に、1時間反応させて、プレポリマーを得た。これを、100℃、減圧下で12時間乾燥し、2mm以下の大きさまで粉砕し、210℃、0.013kPa下にて、8時間固相重合し、融点265℃、相対粘度2.38の半芳香族ポリアミド(ポリアミド9T/M8T=50.0/50.0モル%)を得た(以下、この半芳香族ポリアミドを(D1-1)という。)。
半芳香族ポリアミド(D1-2)の製造
半芳香族ポリアミド(D1-1)の製造において、1,9-ノナンジアミン2.374kg(15.0モル)と2-メチル-1,8-オクタンジアミン2.374kg(15.0モル)を1,9-ノナンジアミン4.036kg(25.5モル)と2-メチル-1,8-オクタンジアミン0.712kg(4.5モル)に変え、固相重合温度を210℃から240℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド(D1-1)の製造と同様の方法にて、融点305℃、相対粘度2.34の半芳香族ポリアミド(ポリアミド9T/M8T=85.0/15.0モル%)を得た(以下、この半芳香族ポリアミドを(D1-2)という。)。
半芳香族ポリアミド(D1-3)の製造
半芳香族ポリアミド(D1-1)の製造において、テレフタル酸4.939kg(29.7モル)を2,6-ナフタレンジカルボン酸6.427kg(29.7モル)に変更した以外は、半芳香族ポリアミド(D1-1)の製造と同様の方法にて、融点275℃、相対粘度2.37の半芳香族ポリアミド(ポリアミド9N/M8N=50.0/50.0モル%)を得た(以下、この半芳香族ポリアミドを(D1-3)という。)。
半芳香族ポリアミド(D1-4)の製造
半芳香族ポリアミド(D1-1)の製造において、1,9-ノナンジアミン2.374kg(15.0モル)と2-メチル-1,8-オクタンジアミン2.374kg(15.0モル)を1,10-デカンジアミン5.169kg(30.0モル)に変え、重合温度を230℃から270℃、固相重合温度を230℃から260℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド(D1-1)の製造と同様の方法にて、融点315℃、相対粘度2.33の半芳香族ポリアミド(ポリアミド10T=100.0モル%)を得た(以下、この半芳香族ポリアミドを(D1-4)という。)。
半芳香族ポリアミド(D1-5)の製造
半芳香族ポリアミド(D1-4)の製造において、1,10-デカンジアミン5.169kg(30.0モル)とテレフタル酸4.984kg(30.0モル)を1,10-デカンジアミン3.101kg(18.0モル)、テレフタル酸2.990kg(18.0モル)、及び11-アミノウンデカン酸2.416kg(12.0モル)に変え、重合温度を270℃から220℃、固相重合温度を260℃から200℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド(D1-4)の製造と同様の方法にて、融点255℃、相対粘度2.34の半芳香族ポリアミド(ポリアミド10T/11=60.0/40.0モル%)を得た(以下、この半芳香族ポリアミドを(D1-5)という。)。
半芳香族ポリアミド(D1-6)の製造
半芳香族ポリアミド(D1-4)の製造において、テレフタル酸4.984kg(30.0モル)をテレフタル酸3.324kg(20.0モル)とセバシン酸2.020kg(9.99モル)に変え、重合温度を270℃から240℃、固相重合温度を260℃から220℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド(D1-4)の製造と同様の方法にて、融点279℃、相対粘度2.37の半芳香族ポリアミド(ポリアミド10T/1010=67.0/33.0モル%)を得た(以下、この半芳香族ポリアミドを(D1-6)という。)。
半芳香族ポリアミド(D1-7)の製造
半芳香族ポリアミド(D1-1)の製造において、1,9-ノナンジアミン2.374kg(15.0モル)、2-メチル-1,8-オクタンジアミン2.374kg(15.0モル)、及びテレフタル酸4.939kg(29.7モル)を1,6-ヘキサンジアミン3.602kg(31.0モル)、テレフタル酸2.483kg(15.0モル)、イソフタル酸1.738kg(10.5モル)、及びアジピン酸0.655kg(4.5モル)に変更した以外は、半芳香族ポリアミド(D1-1)の製造と同様の方法にて、融点266℃、相対粘度2.28の半芳香族ポリアミド(ポリアミド6T/6I/66=50.0/35.0/15.0モル%)を得た(以下、この半芳香族ポリアミドを(D1-7)という。)。
半芳香族ポリアミド(D1-8)の製造
半芳香族ポリアミド(D1-1)の製造において、1,9-ノナンジアミン2.374kg(15.0モル)、2-メチル-1,8-オクタンジアミン2.374kg(15.0モル)、及びテレフタル酸4.939kg(29.7モル)を1,6-ヘキサンジアミン1.801kg(15.5モル)、2-メチル-1,5-ペンタンジアミン1.801kg(15.5モル)、及びテレフタル酸4.983kg(30.0モル)に変え、重合温度を230℃から260℃、固相重合温度を210℃から240℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド(D1-1)の製造と同様の方法にて、融点301℃、相対粘度2.35の半芳香族ポリアミド(ポリアミド6T/M5T=50.0/50.0モル%)を得た(以下、この半芳香族ポリアミドを(D1-8)という。)。
半芳香族ポリアミド(D1-9)の製造
半芳香族ポリアミド(D1-1)の製造において、1,9-ノナンジアミン2.374kg(15.0モル)、2-メチル-1,8-オクタンジアミン2.374kg(15.0モル)、及びテレフタル酸4.939kg(29.7モル)を1,6-ヘキサンジアミン2.522kg(21.7モル)、テレフタル酸3.489kg(21.0モル)、及びカプロラクタム1.018kg(9.0モル)に変え、重合温度を230℃から260℃、固相重合温度を210℃から240℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド(D1-1)の製造と同様の方法にて、融点295℃、相対粘度2.34の半芳香族ポリアミド(ポリアミド6T/6=70.0/30.0モル%)を得た(以下、この半芳香族ポリアミドを(D1-9)という。)。
半芳香族ポリアミド(D1-10)の製造
半芳香族ポリアミド(D1-1)の製造において、1,9-ノナンジアミン2.374kg(15.0モル)、2-メチル-1,8-オクタンジアミン2.374kg(15.0モル)、及びテレフタル酸4.939kg(29.7モル)を1,6-ヘキサンジアミン2.522kg(21.7モル)、1,10-デカンジアミン1.602kg(9.3モル)、テレフタル酸4.135kg(24.0モル)、及びイソフタル酸1.034kg(6.0モル)に変え、重合温度を230℃から260℃、固相重合温度を210℃から240℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド(D1-1)の製造と同様の方法にて、融点302℃、相対粘度2.32の半芳香族ポリアミド重合体(ポリアミド6T/6I/10T/10I=56.0/24.0/14.0/6.0モル%)を得た(以下、この半芳香族ポリアミド重合体を(D1-10)という。)。
半芳香族ポリアミド(D1-11)の製造
半芳香族ポリアミド(D1-1)の製造において、1,9-ノナンジアミン2.374kg(15.0モル)、2-メチル-1,8-オクタンジアミン2.374kg(15.0モル)、及びテレフタル酸4.939kg(29.7モル)を1,6-ヘキサンジアミン3.66kg(31.5モル)、テレフタル酸2.392kg(14.4モル)、イソフタル酸1.595kg(9.6モル)、及びセバシン酸1.213kg(6.0モル)に変え、重合温度を230℃から260℃、固相重合温度を210℃から240℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド(D1-1)の製造と同様の方法にて、融点289℃、相対粘度2.20の半芳香族ポリアミド(ポリアミド6T/6I/610=48.0/32.0/20.0モル%)を得た(以下、この半芳香族ポリアミドを(D1-11)という。)。
半芳香族ポリアミド(D1-12)の製造
半芳香族ポリアミド(D1-1)の製造において、1,9-ノナンジアミン2.374kg(15.0モル)、2-メチル-1,8-オクタンジアミン2.374kg(15.0モル)、及びテレフタル酸4.939kg(29.7モル)を1,6-ヘキサンジアミン3.66kg(31.5モル)、ドデカン二酸3.45kg(15.0モル)、及びテレフタル酸2.49kg(15.0モル)に変え、重合温度を230℃から250℃、固相重合温度を210℃から230℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド(D1-1)の製造と同様の方法にて、融点292℃、相対粘度2.20の半芳香族ポリアミド(ポリアミド6T/612=55.0/45.0モル%)を得た(以下、この半芳香族ポリアミドを(D1-12)という。)。
半芳香族ポリアミド(D1-13)の製造
半芳香族ポリアミド(D1-1)の製造において、固相重合時間を8時間から4時間に変更した以外は、半芳香族ポリアミド(D1-1)の製造と同様の方法にて、融点265℃、相対粘度2.08の半芳香族ポリアミド(ポリアミド9T/M8T=50.0/50.0モル%)を得た(以下、この半芳香族ポリアミドを(D1-13)という。)。
半芳香族ポリアミド(D1-14)の製造
半芳香族ポリアミド(D1-7)の製造において、固相重合時間を8時間から4時間に変更した以外は、半芳香族ポリアミド(D1-7)の製造と同様の方法にて、融点266℃、相対粘度2.05の半芳香族ポリアミド(ポリアミド6T/6I/66=50.0/35.0/15.0モル%)を得た(以下、この半芳香族ポリアミドを(D1-14)という。)。
半芳香族ポリアミド(D2)
半芳香族ポリアミド(D2-1)の製造
攪拌機、温度計、トルクメータ、圧力計、ダイアフラムポンプを直結した原料投入口、窒素ガス導入口、放圧口、圧力調整装置、及びポリマー放出口を備えた内容積が70リットルの圧力容器に、セバシン酸6.068kg(30.0モル)、次亜リン酸カルシウム8.50g(0.049モル)、及び酢酸ナトリウム2.19g(0.025モル)を仕込み、圧力容器の内部の純度が99.9999%の窒素ガスで0.3MPaに加圧した後、次に常圧まで窒素ガスを放出する操作を5回繰返し、窒素置換を行った後、封圧下、攪拌しながら系内を昇温した。更に、少量の窒素気流下で、190℃まで昇温した後、m-キシリレンジアミン4.086kg(30.0モル)を撹拌下で160分を要して滴下した。この間、反応系内圧は0.5MPaに制御し、内温を連続的に295℃まで昇温させた。また、m-キシリレンジアミンの滴下とともに留出する水は、分縮器及び冷却器を通して系外に除いた。m-キシリレンジアミン滴下終了後、60分間かけて常圧まで降圧し、この間に、容器内の温度を250℃に保持して10分間反応を継続した。その後、反応系内圧を79kPaまで減圧し、40分間溶融重合反応を継続した。その後、攪拌を止めて系内を窒素で0.2MPaに加圧して、重縮合物を圧力容器下部抜出口より紐状に抜き出した。紐状の重縮合物は直ちに冷却し、水冷した紐状の樹脂はペレタイザーによってペレット化し、その後、減圧乾燥を行い融点191℃、相対粘度2.46の半芳香族ポリアミド(ポリアミドMXD10=100.0モル%)を得た(以下、この半芳香族ポリアミドを(D2-1)という。)。
半芳香族ポリアミド(D2-2)の製造
半芳香族ポリアミド(D2-1)の製造において、m-キシリレンジアミン4.086kg(30.0モル)をm-キシリレンジアミンとp-キシリレンジアミンの7:3(モル比)の混合ジアミン4.086kg(30.0モル)に変え、重合温度を250℃から260℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド(D2-1)の製造と同様の方法にて、融点213℃、相対粘度2.40の半芳香族ポリアミド(ポリアミドMXD10/PXD10=70.0/30.0モル%)を得た(以下、この半芳香族ポリアミドを(D2-2)という。)。
半芳香族ポリアミド(D2-3)の製造
半芳香族ポリアミド(D2-1)の製造において、m-キシリレンジアミン4.086kg(30.0モル)をp-キシリレンジアミン4.086kg(30.0モル)に変え、重合温度を250℃から300℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド(D2-1)の製造と同様の方法にて、融点281、291℃(融点を2つ有する)、相対粘度2.42の半芳香族ポリアミド(ポリアミドPXD10=100.0モル%)を得た(以下、この半芳香族ポリアミドを(D2-3)という。)。
半芳香族ポリアミド(D2-4)の製造
半芳香族ポリアミド(D2-1)の製造において、セバシン酸6.068kg(30.0モル)をアジピン酸4.384kg(30.0モル)に変え、重合温度を250℃から275℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド(D2-1)の製造と同様の方法にて、融点243℃、相対粘度2.42の半芳香族ポリアミド(ポリアミドMXD6=100.0モル%)を得た(以下、この半芳香族ポリアミドを(D2-4)という。)。
半芳香族ポリアミド(D2-5)の製造
半芳香族ポリアミド(D2-2)の製造において、セバシン酸6.068kg(30.0モル)をアジピン酸4.384kg(30.0モル)に変え、重合温度を250℃から290℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド(D2-2)の製造と同様の方法にて、融点264℃、相対粘度2.32の半芳香族ポリアミド(ポリアミドMXD6/PXD6=70.0/30.0モル%)を得た(以下、この半芳香族ポリアミドを(D2-5)という。)。
半芳香族ポリアミド(D2-6)の製造
半芳香族ポリアミド(D2-1)の製造において、m-キシリレンジアミン4.086kg(30.0モル)を2,6-ビス(アミノメチル)ナフタレン5.588kg(30.0モル)に変え、重合温度を240℃から300℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド(D2-1)の製造と同様の方法にて、融点286℃、相対粘度2.25の半芳香族ポリアミド(ポリアミド2,6-BAN10=100.0モル%)を得た(以下、この半芳香族ポリアミドを(D2-6)という。)。
半芳香族ポリアミド(D2-7)の製造
半芳香族ポリアミド(D2-1)の製造において、溶融重合時間を40分から20分に変更した以外は、半芳香族ポリアミド(D2-1)の製造と同様の方法にて、融点191℃、相対粘度2.15の半芳香族ポリアミド(ポリアミドMXD10=100.0モル%)を得た(以下、この半芳香族ポリアミドを(D2-7)という。)。
半芳香族ポリアミド(D2-8)の製造
半芳香族ポリアミド(D2-4)の製造において、溶融重合時間を40分から20分に変更した以外は、半芳香族ポリアミド(D2-4)の製造と同様の方法にて、融点243℃、相対粘度2.10の半芳香族ポリアミド(ポリアミドMXD6=100.0モル%)を得た(以下、この半芳香族ポリアミドを(D2-8)という。)。
半芳香族ポリアミド組成物(D)
半芳香族ポリアミド組成物(D-1)の製造
半芳香族ポリアミド(D1-1)に、衝撃改良材として無水マレイン酸変性エチレン/1-ブテン共重合体(A2-1)、酸化防止剤としてトリエチレングリコール-ビス[3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート](BASFジャパン社製、IRGANOX245)、及びリン系加工安定剤としてトリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト(BASFジャパン社製、IRGAFOS168)をあらかじめ混合し、二軸溶融混練機((株)日本製鋼所製、型式:TEX44)に供給し、シリンダ温度220℃から300℃で溶融混練し、溶融樹脂をストランド状に押出した後、これを水槽に導入し、冷却、カット、真空乾燥して、半芳香族ポリアミド(D1-1)/エラストマー重合体(A2-1)=90.0/10.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この半芳香族ポリアミド組成物を(D-1)という。)。
半芳香族ポリアミド組成物(D-2)の製造
半芳香族ポリアミド組成物(D-1)の製造において、半芳香族ポリアミド(D1-1)を(D1-2)に変え、シリンダ温度を300℃から340℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド組成物(D-1)の製造と同様の方法にて、半芳香族ポリアミド(D1-2)/エラストマー重合体(A2-1)=90.0/10.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この半芳香族ポリアミド組成物を(D-2)という。)。
半芳香族ポリアミド組成物(D-3)の製造
半芳香族ポリアミド組成物(D-1)の製造において、半芳香族ポリアミド(D1-1)を(D1-3)に変え、シリンダ温度を300℃から310℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド組成物(D-1)の製造と同様の方法にて、半芳香族ポリアミド(D1-3)/エラストマー重合体(A2-1)=90.0/10.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この半芳香族ポリアミド組成物を(D-3)という。)。
半芳香族ポリアミド組成物(D-4)の製造
半芳香族ポリアミド組成物(D-1)の製造において、半芳香族ポリアミド(D1-1)を(D1-4)に変え、シリンダ温度を300℃から340℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド組成物(D-1)の製造と同様の方法にて、半芳香族ポリアミド(D1-4)/エラストマー重合体(A2-1)=90.0/10.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この半芳香族ポリアミド組成物を(D-4)という。)。
半芳香族ポリアミド組成物(D-5)の製造
半芳香族ポリアミド組成物(D-1)の製造において、半芳香族ポリアミド(D1-1)を(D1-5)に変え、シリンダ温度を300℃から290℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド組成物(D-1)の製造と同様の方法にて、半芳香族ポリアミド(D1-5)/エラストマー重合体(A2-1)=90.0/10.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この半芳香族ポリアミド組成物を(D-5)という。)。
半芳香族ポリアミド組成物(D-6)の製造
半芳香族ポリアミド組成物(D-1)の製造において、半芳香族ポリアミド(D1-1)を(D1-6)に変え、シリンダ温度を300℃から310℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド組成物(D-1)の製造と同様の方法にて、半芳香族ポリアミド(D1-6)/エラストマー重合体(A2-1)=90.0/10.0(質量%)10質量%の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この半芳香族ポリアミド組成物を(D-6)という。)。
半芳香族ポリアミド組成物(D-7)の製造
半芳香族ポリアミド組成物(D-1)の製造において、半芳香族ポリアミド(D1-1)を(D1-7)に変更した以外は、半芳香族ポリアミド組成物(D-1)の製造と同様の方法にて、半芳香族ポリアミド(D1-7)/エラストマー重合体(A2-1)=85.0/15.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この半芳香族ポリアミド組成物を(D-7)という。)。
半芳香族ポリアミド組成物(D-8)の製造
半芳香族ポリアミド組成物(D-1)の製造において、半芳香族ポリアミド(D1-1)を(D1-8)に変え、シリンダ温度を300℃から330℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド組成物(D-1)の製造と同様の方法にて、半芳香族ポリアミド(D1-8)/エラストマー重合体(A2-1)=85.0/15.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この半芳香族ポリアミド組成物を(D-8)という。)。
半芳香族ポリアミド組成物(D-9)の製造
半芳香族ポリアミド組成物(D-1)の製造において、半芳香族ポリアミド(D1-1)を(D1-9)に変え、シリンダ温度を300℃から330℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド組成物(D-1)の製造と同様の方法にて、半芳香族ポリアミド(D1-9)/エラストマー重合体(A2-1)=85.0/15.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この半芳香族ポリアミド組成物を(D-9)という。)。
半芳香族ポリアミド組成物(D-10)の製造
半芳香族ポリアミド組成物(D-1)の製造において、半芳香族ポリアミド(D1-1)を(D1-10)に変え、シリンダ温度を300℃から340℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド組成物(D-1)の製造と同様の方法にて、半芳香族ポリアミド(D1-10)/エラストマー重合体(A2-1)=85.0/15.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この半芳香族ポリアミド組成物を(D-10)という。)。
半芳香族ポリアミド組成物(D-11)の製造
半芳香族ポリアミド組成物(D-1)の製造において、半芳香族ポリアミド(D1-1)を(D1-11)に変え、シリンダ温度を300℃から330℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド組成物(D-1)の製造と同様の方法にて、半芳香族ポリアミド(D1-11)/エラストマー重合体(A2-1)=85.0/15.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この半芳香族ポリアミド組成物を(D-11)という。)。
半芳香族ポリアミド組成物(D-12)の製造
半芳香族ポリアミド組成物(D-1)の製造において、半芳香族ポリアミド(D1-1)を(D1-12)に変え、シリンダ温度を300℃から330℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド組成物(D-1)の製造と同様の方法にて、半芳香族ポリアミド(D1-12)/エラストマー重合体(A2-1)=85.0/15.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この半芳香族ポリアミド組成物を(D-12)という。)。
半芳香族ポリアミド組成物(D-13)の製造
半芳香族ポリアミド組成物(D-1)の製造において、半芳香族ポリアミド(D1-1)と(D1-7)を併用した以外は、半芳香族ポリアミド組成物(D-1)の製造と同様の方法にて、半芳香族ポリアミド(D1-7)/半芳香族ポリアミド(D1-1)/エラストマー重合体(A2-1)=59.5/25.5/15.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この半芳香族ポリアミド組成物を(D-13)という。)。
半芳香族ポリアミド組成物(D-14)の製造
半芳香族ポリアミド組成物(D-13)の製造において、半芳香族ポリアミド(D1-1)を(D1-5)に変更した以外は、半芳香族ポリアミド組成物(D-13)の製造と同様の方法にて、半芳香族ポリアミド(D1-7)/半芳香族ポリアミド(D1-5)/エラストマー重合体(A2-1)=59.5/25.5/15.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この半芳香族ポリアミド組成物を(D-14)という。)。
半芳香族ポリアミド組成物(D-15)の製造
半芳香族ポリアミド組成物(D-1)の製造において、半芳香族ポリアミド(D1-1)を(D2-1)に変え、シリンダ温度を300℃から240℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド組成物(D-1)の製造と同様の方法にて、半芳香族ポリアミド(D2-1)/エラストマー重合体(A2-1)=90.0/10.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この半芳香族ポリアミド組成物を(D-15)という。)。
半芳香族ポリアミド組成物(D-16)の製造
半芳香族ポリアミド組成物(D-15)の製造において、半芳香族ポリアミド(D2-1)を(D2-2)に変え、シリンダ温度を240℃から250℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド組成物(D-15)の製造と同様の方法にて、半芳香族ポリアミド(D2-2)/エラストマー重合体(A2-1)=90.0/10.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この半芳香族ポリアミド組成物を(D-16)という。)。
半芳香族ポリアミド組成物(D-17)の製造
半芳香族ポリアミド組成物(D-15)の製造において、半芳香族ポリアミド(D2-1)を(D2-3)に変え、シリンダ温度を240℃から320℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド組成物(D-15)の製造と同様の方法にて、半芳香族ポリアミド(D2-3)/エラストマー重合体(A2-1)=90.0/10.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この半芳香族ポリアミド組成物を(D-17)という。)。
半芳香族ポリアミド組成物(D-18)の製造
半芳香族ポリアミド組成物(D-15)の製造において、半芳香族ポリアミド(D2-1)を(D2-4)に変え、シリンダ温度を240℃から280℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド組成物(D-15)の製造と同様の方法にて、半芳香族ポリアミド(D2-4)/エラストマー重合体(A2-1)=85.0/15.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この半芳香族ポリアミド組成物を(D-18)という。)。
半芳香族ポリアミド組成物(D-19)の製造
半芳香族ポリアミド組成物(D-15)の製造において、半芳香族ポリアミド(D2-1)を(D2-5)に変え、シリンダ温度を240℃から300℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド組成物(D-15)の製造と同様の方法にて、半芳香族ポリアミド(D2-5)/エラストマー重合体(A2-1)=85.0/15.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この半芳香族ポリアミド組成物を(D-19)という。)。
半芳香族ポリアミド組成物(D-20)の製造
半芳香族ポリアミド組成物(D-15)の製造において、半芳香族ポリアミド(D2-1)を(D2-6)に変え、シリンダ温度を240℃から320℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド組成物(D-15)の製造と同様の方法にて、半芳香族ポリアミド(D2-6)/エラストマー重合体(A2-1)=85.0/15.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この半芳香族ポリアミド組成物を(D-20)という。)。
半芳香族ポリアミド組成物(D-21)の製造
半芳香族ポリアミド組成物(D-15)の製造において、半芳香族ポリアミド(D2-1)と(D2-4)を併用し、シリンダ温度を240℃から280℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド組成物(D-15)の製造と同様の方法にて、半芳香族ポリアミド(D2-4)/半芳香族ポリアミド(D2-1)/エラストマー重合体(A2-1)=57.5/27.5/15.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この半芳香族ポリアミド組成物を(D-21)という。)。
半芳香族ポリアミド組成物(D-22)の製造
半芳香族ポリアミド組成物(D-21)の製造において、半芳香族ポリアミド(D2-1)を(D2-2)に変更した以外は、半芳香族ポリアミド組成物(D-21)の製造と同様の方法にて、半芳香族ポリアミド(D2-4)/半芳香族ポリアミド(D2-2)/エラストマー重合体(A2-1)=59.5/25.5/15.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この半芳香族ポリアミド組成物を(D-22)という。)。
半芳香族ポリアミド組成物(D-23)の製造
半芳香族ポリアミド組成物(D-21)の製造において、半芳香族ポリアミド(D2-1)を(D2-3)に変え、シリンダ温度を280℃から320℃に変更した以外は、半芳香族ポリアミド組成物(D-21)の製造と同様の方法にて、半芳香族ポリアミド(D2-4)/半芳香族ポリアミド(D2-3)/エラストマー重合体(A2-1)=59.5/25.5/15.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この半芳香族ポリアミド組成物を(D-23)という。)。
導電性半芳香族ポリアミド組成物(D-24)の製造
半芳香族ポリアミド(D1-13)に、衝撃改良材として無水マレイン酸変性エチレン/1-ブテン共重合体(A2-1)とエチレン/1-ブテン共重合体(三井化学(株)製、タフマーA-0550)、導電性フィラーとしてカーボンナノチューブ(ナノシル社製、NC7000)、酸化防止剤としてトリエチレングリコール-ビス[3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート](BASFジャパン社製、IRGANOX245)、及びリン系加工安定剤としてトリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト(BASFジャパン社製、IRGAFOS168)をあらかじめ混合し、二軸溶融混練機((株)日本製鋼所製、型式:TEX44)に供給し、シリンダ温度240℃から320℃で溶融混練し、溶融樹脂をストランド状に押出した後、これを水槽に導入し、冷却、カット、真空乾燥して、半芳香族ポリアミド(D1-13)/エラストマー重合体(A2-1)/導電性フィラー=80.0/15.0/5.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる導電性半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この導電性半芳香族ポリアミド組成物を(D-24)という。)。
導電性半芳香族ポリアミド組成物(D-25)の製造
導電性半芳香族ポリアミド組成物(D-24)の製造において、半芳香族ポリアミド(D1-13)と(D1-14)を併用した以外は、導電性半芳香族ポリアミド組成物(D-24)の製造と同様の方法にて、半芳香族ポリアミド(D1-14)/半芳香族ポリアミド(D1-13)/エラストマー重合体(A2-1)/導電性フィラー=52.5/22.5/20.0/5.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる導電性半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この導電性半芳香族ポリアミド組成物を(D-25)という。)。
導電性半芳香族ポリアミド組成物(D-26)の製造
導電性半芳香族ポリアミド組成物(D-24)の製造において、半芳香族ポリアミド(D1-13)を(D2-7)に変え、シリンダ温度を320℃から270℃に変更した以外は、導電性半芳香族ポリアミド組成物(D-24)の製造と同様の方法にて、半芳香族ポリアミド(D2-7)/エラストマー重合体(A2-1)/導電性フィラー=80.0/15.0/5.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる導電性半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この導電性半芳香族ポリアミド組成物を(D-26)という。)。
導電性半芳香族ポリアミド組成物(D-27)の製造
導電性半芳香族ポリアミド組成物(D-24)の製造において、半芳香族ポリアミド(D1-13)を(D2-7)と(D2-8)に変え、シリンダ温度を320℃から300℃に変更した以外は、導電性半芳香族ポリアミド組成物(D-24)の製造と同様の方法にて、半芳香族ポリアミド(D2-8)/半芳香族ポリアミド(D2-7)/エラストマー重合体(A2-1)/導電性フィラー=54.0/26.0/15.0/5.0(質量%)の合計100質量部に対して、酸化防止剤0.8質量部、リン系加工安定剤0.2質量部よりなる導電性半芳香族ポリアミド組成物のペレットを得た(以下、この導電性半芳香族ポリアミド組成物を(D-27)という。)。
含フッ素系重合体(E)
含フッ素系重合体(E-1)の製造
内容積が100Lの撹拌機付き重合槽を脱気し、1-ヒドロトリデカフルオロヘキサンの92.1kg、1,3-ジクロロ-1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパン16.3kg、(パーフルオロエチル)エチレンCH2=CH(CF2)2F73g、無水イタコン酸(IAH)10.1gを仕込み、テトラフルオロエチレン(TFE)9.6kg、エチレン(E)0.7kgを圧入し、重合槽内を66℃に昇温し、重合開始剤としてt-ブチルペルオキシピバレート1質量%1,3-ジクロロ-1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパン溶液の433cm3を仕込み、重合を開始させた。重合中圧力が一定になるようにTFE/E:60/40(モル比)のモノマー混合ガスを連続的に仕込んだ。また、重合中に仕込むTFEとEの合計モル数に対して、2.0モル%に相当する量の(パーフルオロエチル)エチレンと0.5モル%に相当する量のIAHを連続的に仕込んだ。重合開始5.5時間後、モノマー混合ガス8.0kg、IAHの63gを仕込んだ時点で、重合槽内温を室温まで降温し、パージして圧力を常圧とした。得られたスラリ状の含フッ素系重合体を、水75.0kgを仕込んだ200Lの造粒槽に投入し、次いで撹拌しながら105℃まで昇温し溶媒を留出除去しながら造粒した。得られた造粒物を150℃で5時間乾燥することにより、8.3kgの含フッ素系重合体が得られた。
当該含フッ素系重合体の組成は、TFEに基づく重合単位/Eに基づく重合単位/CH2=CH(CF2)2Fに基づく重合単位/IAHに基づく重合単位=58.5/39.0/2.0/0.5(モル%)であり、融点は240℃であった。この造粒物を、押出機を用いて、280℃、滞留時間2分で溶融し、含フッ素系重合体のペレットを得た(以下、この含フッ素系重合体を(E-1)という。)。
導電性含フッ素系重合体組成物(E-2)の製造
含フッ素系重合体(E-1)100質量部及びカーボンブラック(電気化学(株)製)13質量部をあらかじめ混合し、二軸溶融混練機(東芝機械(株)製、型式:TEM-48S)に供給し、シリンダ温度240℃から300℃で溶融混練し、溶融樹脂をストランド状に押出した後、これを水槽に導入し、吐出したストランドを水冷し、ペレタイザーでストランドを切断し、水分除去のために120℃の乾燥機で10時間乾燥し、導電性含フッ素系重合体組成物のペレットを得た(以下、この導電性含フッ素系重合体組成物を(E-2)という。)。
含フッ素系重合体(E-3)の製造
含フッ素系重合体(E-1)の製造において、無水イタコン酸(IAH)を仕込まない以外は、含フッ素系重合体(E-1)の製造と同様の方法にて、7.6kgの含フッ素系重合体を得た。
当該含フッ素系重合体の組成は、TFEに基づく重合単位/Eに基づく重合単位/CH2=CH(CF2)2Fに基づく重合単位=58.8/39.2/2.0(モル%)であり、融点は242℃であった。この造粒物を、押出機を用いて、280℃、滞留時間2分で溶融し、含フッ素系重合体のペレットを得た(以下、この含フッ素系重合体を(E-3)という。)。
導電性含フッ素系重合体組成物(E-4)の製造
導電性含フッ素系重合体組成物(E-2)の製造において、含フッ素系重合体(E-1)を(E-3)に変更した以外は、導電性含フッ素系重合体組成物(E-2)の製造と同様の方法にて、導電性含フッ素系重合体組成物のペレットを得た(以下、この導電性含フッ素系重合体組成物を(E-4)という。)。
含フッ素系重合体(E-5)の製造
内容積が100Lの撹拌機付き重合槽を脱気し、1,3-ジクロロ-1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパン42.5kg、CF2=CFOCF2CF2CF3(パーフルオロ(プロピルビニルエーテル):PPVE)、1,1,2,4,4,5,5,6,6,6-デカフルオロ-3-オキサヘックス-1-エン)2.13kg、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)51.0kgを仕込んだ。ついで重合槽内を50℃に昇温し、テトラフルオロエチレン(TFE)の4.25kgを仕込んで圧力を1.0MPa/Gまで昇圧した。重合開始剤溶液として(ペルフルオロブチリル)ペルオキシド0.3質量%1,3-ジクロロ-1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパン溶液の340cm3を仕込み、重合を開始させ、以後10分毎に当該重合開始剤溶液の340cm3を仕込んだ。重合中、圧力が1.0MPa/Gを保持するようにTFEを連続的に仕込んだ。また、重合中に仕込むTFEのモル数に対して、0.1モル%に相当する量の5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物(NAH)0.3質量%1,3-ジクロロ-1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパン溶液を連続的に仕込んだ。重合開始5時間後、TFE8.5kgを仕込んだ時点で、重合槽内温を室温まで降温するとともに常圧までパージした。得られたスラリ状の含フッ素系重合体を、水75.0kgを仕込んだ200Lの造粒槽に投入し、次いで撹拌しながら105℃まで昇温し溶媒を留出除去しながら造粒した。得られた造粒物を150℃で5時間乾燥することにより、7.5kgの含フッ素系重合体の造粒物が得られた。
当該含フッ素系重合体の組成は、TFEに基づく重合単位/PPVEに基づく重合単位/HFPに基づく重合単位/NAHに基づく重合単位=91.2/1.5/7.2/0.1(モル%)であり、融点は262℃であった。この造粒物を、押出機を用いて、300℃、滞留時間2分で溶融し、含フッ素系重合体のペレットを得た(以下、この含フッ素系重合体を(E-5)という。)。
含フッ素系重合体(E-6)の製造
含フッ素系重合体(E-5)の製造において、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物(NAH)0.3質量%1,3-ジクロロ-1,1,2,2,3-ペンタフルオロプロパン溶液を仕込まない以外は、含フッ素系重合体(E-5)の製造と同様の方法にて、7.6kgの含フッ素系重合体を得た。
当該含フッ素系重合体の組成は、TFEに基づく重合単位/PPVEに基づく重合単位/HFPに基づく重合単位=91.5/1.5/7.0(モル%)であり、融点は257℃であった。この造粒物を、押出機を用いて、300℃、滞留時間2分で溶融し、含フッ素系重合体のペレットを得た(以下、この含フッ素系重合体を(E-6)という。)。
導電性含フッ素系重合体組成物(E-7)の製造
導電性含フッ素系重合体組成物(E-2)の製造において、含フッ素系重合体(E-1)を(E-6)、カーボンブラック13質量部を11質量部に変え、シリンダ温度を300℃から320℃に変更した以外は、導電性含フッ素系重合体組成物(E-2)の製造と同様の方法にて、導電性含フッ素系重合体組成物のペレットを得た(以下、この導電性含フッ素系重合体組成物を(E-7)という。)。
含フッ素系重合体(E-8)の製造
水174kgを収容できるジャケット付攪拌式重合槽に、脱ミネラルした純水 51.5kgを仕込み、内部空間を純窒素ガスで充分置換した後、窒素ガスを真空で排除した。次いでオクタフルオロシクロブタン40.6kg、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)1.6kg、テトラフルオロエチレン(TFE)4.5kg、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)2.8kgを圧入した。連鎖移動剤としてn-プロピルアルコール0.09kgを添加して、温度を35℃に調節し、攪拌を開始した。ここへ重合開始剤としてジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート50質量%メタノール溶液を0.44kg添加して重合を開始した。重合中には、所望の共重合体組成と同組成に調製した混合モノマーを、槽内圧力が0.66MPaを維持するように追加仕込みしながら重合した後、槽内の残存ガスを排気して生成したポリマーを取り出し、脱ミネラルした純水で洗浄し、乾燥させて30.5kgの粒状粉末の含フッ素系重合体を得た。
当該含フッ素系重合体の組成は、CTFEに基づく重合単位/TFEに基づく重合単位/PPVEに基づく重合単位のモル比で24.4/73.1/2.5であり、含フッ素系重合体中の主鎖炭素原子数1×106個に対するカーボネート末端基の数は170個であった。また、融点は241℃であった。この造粒物を、押出機を用いて、290℃、滞留時間2分で溶融し、含フッ素系重合体のペレットを得た(以下、この含フッ素系重合体を(E-8)という。)。
含フッ素系重合体(E-9)の製造
含フッ素系重合体(E-8)の製造において、ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート50質量%メタノール溶液を仕込まない以外は、含フッ素系重合体(E-8)の製造と同様の方法にて、29.8kgの含フッ素系重合体を得た。
当該含フッ素系重合体の組成は、CTFEに基づく重合単位/TFEに基づく重合単位/PPVEに基づく重合単位のモル比で24.4/73.1/2.5であり、融点は241℃であった。この造粒物を、押出機を用いて、290℃、滞留時間2分で溶融し、含フッ素系重合体のペレットを得た(以下、この含フッ素系重合体を(E-9)という。)。
導電性含フッ素系重合体組成物(E-10)の製造
導電性含フッ素系重合体組成物(E-7)の製造において、含フッ素系重合体(E-6)を(E-9)に変え、シリンダ温度を320℃から300℃に変更した以外は、導電性含フッ素系重合体組成物(E-7)の製造と同様の方法にて、導電性含フッ素系重合体組成物のペレットを得た(以下、この導電性含フッ素系重合体組成物を(E-10)という。)。
実施例1
前記に示すポリアミド12組成物(A-1)、接着用ポリエステルエラストマー組成物(B-1)、ポリブチレンフランジカルボキシレート組成物(C-1)を使用して、Plabor(プラスチック工学研究所(株)製)5層チューブ成形機にて、(A-1)を押出温度270℃、(B-1)を押出温度220℃、(C-1)を押出温度230℃にて別々に溶融させ、吐出された溶融樹脂をアダプタによって合流させ、積層管状体に成形した。引き続き、寸法制御するサイジングダイにより冷却し、引き取りを行い、(A-1)からなる(a)層(最外層、最内層)、(B-1)からなる(b)層(外層、内層)、(C-1)からなる(c)層(中間層)としたとき、層構成が(a)/(b)/(c)/(b)/(a)=0.30/0.10/0.20/0.10/0.30mmで内径6.0mm、外径8.0mmの積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
実施例2
実施例1において、ポリアミド12組成物(A-1)を(A-2)に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
実施例3
実施例1において、ポリアミド12組成物(A-1)をポリアミド1010組成物(A-3)に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
実施例4
実施例1において、最内層に使用したポリアミド12組成物(A-1)をポリアミド610組成物(A-4)に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
実施例5
実施例1において、最内層に使用したポリアミド12組成物(A-1)をポリアミド612組成物(A-5)に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
実施例6
実施例1において、ポリアミド12組成物(A-1)をポリアミド612組成物(A-5)に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
実施例7
実施例1において、最内層に使用したポリアミド12組成物(A-1)を導電性ポリアミド12組成物(A-6)に変え、(A-6)の押出温度を280℃に変更し、各層厚みを(a)/(b)/(c)/(b)/(a)=0.45/0.10/0.20/0.10/0.15mmに変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。また、当該積層チューブの導電性をSAE J-2260に準拠して測定したところ、106Ω/square以下であり、静電気除去性能に優れていることを確認した。
実施例8
実施例7において、導電性ポリアミド12組成物(A-6)を導電性ポリアミド612組成物(A-7)に変え、(A-7)の押出温度を290℃に変更し、実施例7と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。また、当該積層チューブの導電性をSAE J-2260に準拠して測定したところ、106Ω/square以下であり、静電気除去性能に優れていることを確認した。
実施例9
実施例5において、ポリブチレンフランジカルボキシレート組成物(C-1)をポリエチレンフランジカルボキシレート組成物(C-2)に変え、(C-2)の押出温度を260℃に変更した以外は、実施例5と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
実施例10
実施例5において、ポリブチレンフランジカルボキシレート組成物(C-1)をポリトリメチレンフランジカルボキシレート組成物(C-3)に変更した以外は、実施例5と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
実施例11
実施例7において、導電性ポリアミド12組成物(A-6)を半芳香族ポリアミド組成物(D-1)に変え、(D-1)の押出温度を300℃に変更した以外は、実施例7と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
実施例12
実施例11において、半芳香族ポリアミド組成物(D-1)を(D-2)に変え、(D-2)の押出温度を340℃に変更した以外は、実施例11と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
実施例13
実施例11において、半芳香族ポリアミド組成物(D-1)を(D-3)に変え、(D-3)の押出温度を310℃に変更した以外は、実施例11と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
実施例14
実施例11において、半芳香族ポリアミド組成物(D-1)を(D-4)に変え、(D-4)の押出温度を340℃に変更した以外は、実施例11と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
実施例15
実施例11において、半芳香族ポリアミド組成物(D-1)を(D-5)に変え、(D-5)の押出温度を290℃に変更した以外は、実施例11と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
実施例16
実施例11において、半芳香族ポリアミド組成物(D-1)を(D-6)に変え、(D-6)の押出温度を310℃に変更した以外は、実施例11と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
実施例17
実施例11において、半芳香族ポリアミド組成物(D-1)を(D-7)に変更した以外は、実施例11と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
実施例18
実施例11において、半芳香族ポリアミド組成物(D-1)を(D-8)に変え、(D-8)の押出温度を330℃に変更した以外は、実施例11と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
実施例19
実施例11において、半芳香族ポリアミド組成物(D-1)を(D-9)に変え、(D-9)の押出温度を330℃に変更した以外は、実施例11と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
実施例20
実施例11において、半芳香族ポリアミド組成物(D-1)を(D-10)に変え、(D-10)の押出温度を340℃に変更した以外は、実施例11と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
実施例21
実施例11において、半芳香族ポリアミド組成物(D-1)を(D-11)に変え、(D-11)の押出温度を330℃に変更した以外は、実施例11と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
実施例22
実施例11において、半芳香族ポリアミド組成物(D-1)を(D-12)に変え、(D-12)の押出温度を330℃に変更した以外は、実施例11と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
実施例23
実施例11において、半芳香族ポリアミド組成物(D-1)を(D-13)に変更した以外は、実施例11と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
実施例24
実施例11において、半芳香族ポリアミド組成物(D-1)を(D-14)に変更した以外は、実施例11と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
実施例25
実施例11において、半芳香族ポリアミド組成物(D-1)を(D-15)に変え、(D-15)の押出温度を240℃に変更した以外は、実施例11と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
実施例26
実施例11において、半芳香族ポリアミド組成物(D-1)を(D-16)に変え、(D-16)の押出温度を250℃に変更した以外は、実施例11と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
実施例27
実施例11において、半芳香族ポリアミド組成物(D-1)を(D-17)に変え、(D-17)の押出温度を320℃に変更した以外は、実施例11と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
実施例28
実施例11において、半芳香族ポリアミド組成物(D-1)を(D-18)に変え、(D-18)の押出温度を280℃に変更した以外は、実施例11と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
実施例29
実施例11において、半芳香族ポリアミド組成物(D-1)を(D-19)に変更した以外は、実施例11と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
実施例30
実施例11において、半芳香族ポリアミド組成物(D-1)を(D-20)に変え、(D-20)の押出温度を320℃に変更した以外は、実施例11と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
実施例31
実施例11において、半芳香族ポリアミド組成物(D-1)を(D-21)に変え、(D-21)の押出温度を280℃に変更した以外は、実施例11と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
実施例32
実施例11において、半芳香族ポリアミド組成物(D-1)を(D-22)に変え、(D-22)の押出温度を280℃に変更した以外は、実施例11と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
実施例33
実施例11において、半芳香族ポリアミド組成物(D-1)を(D-23)に変え、(D-23)の押出温度を320℃に変更した以外は、実施例11と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
実施例34
実施例7において、導電性ポリアミド12組成物(A-6)を含フッ素系重合体(E-1)に変え、(E-1)の押出温度を290℃に変更した以外は、実施例7と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
実施例35
実施例34において、含フッ素系重合体(E-1)を導電性含フッ素系重合体(E-2)に変え、(E-2)の押出温度を310℃に変更した以外は、実施例34と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。また、当該積層チューブの導電性をSAE J-2260に準拠して測定したところ、106Ω/square以下であり、静電気除去性能に優れていることを確認した。
実施例36
実施例34において、含フッ素系重合体(E-1)を(E-5)に変え、(E-5)の押出温度を310℃に変更した以外は、実施例34と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。
実施例37
実施例34において、含フッ素系重合体(E-1)を(E-8)に変え、(E-8)の押出温度を300℃に変更した以外は、実施例34と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。
実施例38
前記に示すポリアミド12組成物(A-1)、接着用ポリエステルエラストマー組成物(B-1)、ポリブチレンフランジカルボキシレート組成物(C-1)、半芳香族ポリアミド組成物(D-1)、導電性半芳香族ポリアミド組成物(D-24)を使用して、Plabor(プラスチック工学研究所(株)製)6層チューブ成形機にて、(A-1)を押出温度270℃、(B-1)を押出温度220℃、(C-1)を押出温度240℃、(D-1)を押出温度300℃、(D-24)を押出温度320℃にて別々に溶融させにて、吐出された溶融樹脂をアダプタによって合流させ、積層管状体に成形した。引き続き、寸法制御するサイジングダイにより冷却し、引き取りを行い、(A-1)からなる(a)層(最外層)、(B-1)からなる(b)層(外層、内層1)、(C-1)からなる(c)層(中間層)、(D-1)からなる(d)層(内層2)、(D-24)からなる(d’)層(最内層)としたとき、層構成が(a)/(b)/(c)/(b)/(d)/(d’)=0.40/0.10/0.20/0.10/0.10/0.10mmで内径6.0mm、外径8.0mmの積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。また、当該積層チューブの導電性をSAE J-2260に準拠して測定したところ、106Ω/square以下であり、静電気除去性能に優れていることを確認した。
実施例39
実施例38において、半芳香族ポリアミド組成物(D-1)を(D-7)、導電性半芳香族ポリアミド組成物(D-24)を(D-25)に変更した以外は、実施例38と同様の方法にて、表2に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。また、当該積層チューブの導電性をSAE J-2260に準拠して測定したところ、106Ω/square以下であり、静電気除去性能に優れていることを確認した。
実施例40
実施例38において、半芳香族ポリアミド組成物(D-1)を(D-15)、導電性半芳香族ポリアミド組成物(D-24)を(D-26)に変え、(D-15)の押出温度を240℃、(D-26)の押出温度を270℃に変更した以外は、実施例38と同様の方法にて、表2に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。また、当該積層チューブの導電性をSAE J-2260に準拠して測定したところ、106Ω/square以下であり、静電気除去性能に優れていることを確認した。
実施例41
実施例38において、半芳香族ポリアミド組成物(D-1)を(D-18)、導電性半芳香族ポリアミド組成物(D-24)を(D-27)に変え、(D-18)の押出温度を280℃、(D-27)の押出温度を300℃に変更した以外は、実施例38と同様の方法にて、表2に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。また、当該積層チューブの導電性をSAE J-2260に準拠して測定したところ、106Ω/square以下であり、静電気除去性能に優れていることを確認した。
実施例42
実施例38において、半芳香族ポリアミド組成物(D-1)を含フッ素系重合体(E-1)、導電性半芳香族ポリアミド組成物(D-24)を導電性含フッ素系重合体(E-2)に変え、(E-1)の押出温度を290℃、(E-2)の押出温度を310℃に変更した以外は、実施例38と同様の方法にて、表2に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。また、当該積層チューブの導電性をSAE J-2260に準拠して測定したところ、106Ω/square以下であり、静電気除去性能に優れていることを確認した。
実施例43
実施例42において、導電性含フッ素系重合体(E-2)を含フッ素系重合体(E-3)に変え、(E-3)の押出温度を290℃に変更した以外は、実施例42と同様の方法にて、表2に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。
実施例44
実施例42において、導電性含フッ素系重合体(E-2)を(E-4)に変更した以外は、実施例42と同様の方法にて、表2に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。また、当該積層チューブの導電性をSAE J-2260に準拠して測定したところ、106Ω/square以下であり、静電気除去性能に優れていることを確認した。
実施例45
実施例42において、含フッ素系重合体(E-1)を(E-5)、導電性含フッ素系重合体(E-2)を含フッ素系重合体(E-6)に変え、(E-5)の押出温度を310℃に変更した以外は、実施例42と同様の方法にて、表2に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。
実施例46
実施例42において、含フッ素系重合体(E-1)を(E-5)、導電性含フッ素系重合体(E-2)を(E-7)に変え、(E-5)の押出温度を310℃、(E-7)の押出温度を330℃に変更した以外は、実施例42と同様の方法にて、表2に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。また、当該積層チューブの導電性をSAE J-2260に準拠して測定したところ、106Ω/square以下であり、静電気除去性能に優れていることを確認した。
実施例47
実施例42において、含フッ素系重合体(E-1)を(E-8)、導電性含フッ素系重合体(E-2)を含フッ素系重合体(E-9)に変更した以外は、実施例42と同様の方法にて、表2に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。
実施例48
実施例42において、含フッ素系重合体(E-1)を(E-8)、導電性含フッ素系重合体(E-2)を(E-10)に変更した以外は、実施例42と同様の方法にて、表2に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。また、当該積層チューブの導電性をSAE J-2260に準拠して測定したところ、106Ω/square以下であり、静電気除去性能に優れていることを確認した。
実施例49
実施例38において、半芳香族ポリアミド組成物(D-1)をポリアミド12組成物(A-1)、導電性半芳香族ポリアミド組成物(D-24)を含フッ素系重合体(E-1)に変え、(A-1)の押出温度を270℃、(E-1)の押出温度を290℃に変更した以外は、実施例38と同様の方法にて、表2に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。
実施例50
実施例49において、含フッ素系重合体(E-1)を導電性含フッ素系重合体(E-2)に変え、(E-2)の押出温度を310℃に変更した以外は、実施例49と同様の方法にて、表2に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。また、当該積層チューブの導電性をSAE J-2260に準拠して測定したところ、106Ω/square以下であり、静電気除去性能に優れていることを確認した。
実施例51
実施例49において、含フッ素系重合体(E-1)を(E-5)に変え、(E-5)の押出温度を310℃に変更した以外は、実施例49と同様の方法にて、表2に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。
実施例52
実施例49において、含フッ素系重合体(E-1)を(E-8)に変え、(E-8)の押出温度を300℃に変更した以外は、実施例49と同様の方法にて、表2に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。
実施例53
実施例38において、導電性半芳香族ポリアミド組成物(D-24)を含フッ素系重合体(E-1)に変え、(E-1)の押出温度を290℃に変更した以外は、実施例38と同様の方法にて、表2に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。
実施例54
実施例53において、含フッ素系重合体(E-1)を導電性含フッ素系重合体(E-2)に変え、(E-2)の押出温度を310℃に変更した以外は、実施例53と同様の方法にて、表2に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。また、当該積層チューブの導電性をSAE J-2260に準拠して測定したところ、106Ω/square以下であり、静電気除去性能に優れていることを確認した。
実施例55
実施例53において、含フッ素系重合体(E-1)を(E-5)に変え、(E-5)の押出温度を310℃に変更した以外は、実施例53と同様の方法にて、表2に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。
実施例56
実施例53において、含フッ素系重合体(E-1)を(E-8)に変え、(E-8)の押出温度を300℃に変更した以外は、実施例53と同様の方法にて、表2に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。
比較例1
実施例1において、接着用ポリエステルエラストマー組成物(B-1)を無水マレイン酸変性ポリエステルエラストマー(B1-1)に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
比較例2
実施例1において、接着用ポリエステルエラストマー組成物(B-1)を未変性ポリエステルエラストマー(B-2)に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
比較例3
実施例1において、接着用ポリエステルエラストマー組成物(B-1)をエチレン/グリシジルメタクリレート(GMA)共重合体(B-3)に変え、(B-3)の押出温度を180℃に変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
比較例4
実施例11において、接着用ポリエステルエラストマー組成物(B-1)を無水マレイン酸変性ポリエステルエラストマー(B1-1)に変更した以外は、実施例11と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
比較例5
実施例11において、接着用ポリエステルエラストマー組成物(B-1)を未変性ポリエステルエラストマー(B-2)に変更した以外は、実施例11と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
比較例6
実施例11において、接着用ポリエステルエラストマー組成物(B-1)をエチレン/グリシジルメタクリレート(GMA)共重合体(B-3)に変え、(B-3)の押出温度を180℃に変更した以外は、実施例11と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
比較例7
実施例34において、接着用ポリエステルエラストマー組成物(B-1)を無水マレイン酸変性ポリエステルエラストマー(B1-1)に変更した以外は、実施例34と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
比較例8
実施例34において、接着用ポリエステルエラストマー組成物(B-1)を未変性ポリエステルエラストマー(B-2)に変更した以外は、実施例34と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
比較例9
実施例34において、接着用ポリエステルエラストマー組成物(B-1)をエチレン/グリシジルメタクリレート(GMA)共重合体(B-3)に変え、(B-3)の押出温度を180℃に変更した以外は、実施例34と同様の方法にて、表1に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表1に示す。
比較例10
実施例38において、接着用ポリエステルエラストマー組成物(B-1)を無水マレイン酸変性ポリエステルエラストマー(B1-1)に変更した以外は、実施例38と同様の方法にて、表2に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。
比較例11
実施例38において、接着用ポリエステルエラストマー組成物(B-1)を未変性ポリエステルエラストマー(B-2)に変更した以外は、実施例38と同様の方法にて、表2に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。
比較例12
実施例38において、接着用ポリエステルエラストマー組成物(B-1)をエチレン/グリシジルメタクリレート(GMA)共重合体(B-3)に変え、(B-3)の押出温度を180℃に変更した以外は、実施例38と同様の方法にて、表2に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。
比較例13
実施例42において、接着用ポリエステルエラストマー組成物(B-1)を無水マレイン酸変性ポリエステルエラストマー(B1-1)に変更した以外は、実施例42と同様の方法にて、表2に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。
比較例14
実施例42において、接着用ポリエステルエラストマー組成物(B-1)を未変性ポリエステルエラストマー(B-2)に変更した以外は、実施例42と同様の方法にて、表2に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。
比較例15
実施例42において、接着用ポリエステルエラストマー組成物(B-1)をエチレン/グリシジルメタクリレート(GMA)共重合体(B-3)に変え、(B-3)の押出温度を180℃に変更した以外は、実施例42と同様の方法にて、表2に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。
比較例16
実施例49において、接着用ポリエステルエラストマー組成物(B-1)を無水マレイン酸変性ポリエステルエラストマー(B1-1)に変更した以外は、実施例49と同様の方法にて、表2に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。
比較例17
実施例49において、接着用ポリエステルエラストマー組成物(B-1)を未変性ポリエステルエラストマー(B-2)に変更した以外は、実施例49と同様の方法にて、表2に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。
比較例18
実施例49において、接着用ポリエステルエラストマー組成物(B-1)をエチレン/グリシジルメタクリレート(GMA)共重合体(B-3)に変え、(B-3)の押出温度を180℃に変更した以外は、実施例49と同様の方法にて、表2に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。
比較例19
実施例53において、接着用ポリエステルエラストマー組成物(B-1)を無水マレイン酸変性ポリエステルエラストマー(B1-1)に変更した以外は、実施例53と同様の方法にて、表2に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。
比較例20
実施例53において、接着用ポリエステルエラストマー組成物(B-1)を未変性ポリエステルエラストマー(B-2)に変更した以外は、実施例53と同様の方法にて、表2に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。
比較例21
実施例53において、接着用ポリエステルエラストマー組成物(B-1)をエチレン/グリシジルメタクリレート(GMA)共重合体(B-3)に変え、(B-3)の押出温度を180℃に変更した以外は、実施例53と同様の方法にて、表2に示す層構成の積層チューブを得た。当該積層チューブの物性測定結果を表2に示す。
表1及び2から明らかなように、本発明に規定されている接着用ポリエステルエラストマー組成物(B)以外の接着用ポリエステルエラストマー組成物を含む層を有する比較例1から21の積層チューブは、層間接着性の耐久性に劣っていた。
一方、本発明に規定されている条件を満たす実施例1から56の積層チューブは、層間接着性及びその耐久性等の諸特性が良好であることは明らかである.