本開示の実施形態を説明する前に、本発明者の知見を説明する。
上述の特許文献1は、画素アレイにおける列毎に、フィードバックアンプと、リセットトランジスタに対する入力レベル(ゲート電圧)を制御する制御回路とを設けた回路構成を開示している。この回路構成においては、フィードバックアンプを介して出力がフィードバックされた状態でリセットが実行される。出力に現れるノイズは、入力にフィードバックされることによりキャンセルされる。
特許文献1は、さらに、このような回路構成においてリセットの終了時にリセットトランジスタのゲート電圧を直線状に減少させることを提案している。特許文献1には、リセットトランジスタのゲート電圧を直線状に減少させることにより、フィードバックループにおける帯域を制限して高いノイズ低減効果が得られると記載されている。
しかしながら、リセットトランジスタに対する入力(ここでは直線状に減少するゲート電圧)自体にノイズが含まれていると、ノイズの影響が画素に及び、画質が低下するおそれがある。したがって、フィードバックループにおける帯域を制限するトランジスタへの入力が低ノイズであると有益である。
本発明者は、上記の点に着目し、本開示の撮像装置を想到した。
以下、本開示の一態様の概要を説明する。なお、本明細書では、時間の経過に伴って概ね増加または概ね減少する波形を有する電圧を「傾斜電圧(ramp voltage)」と呼ぶことがある。本明細書における「傾斜電圧」は、直線状に増加または減少する電圧に限定されず、階段状の波形を有する電圧、振動を伴いながら増加または減少するような波形を有する電圧などを広く含む。また、本明細書における「波形」は、周期的または準周期的な変化を示す形状に限定されない。
[項目1]
入射光を光電変換する光電変換部と、光電変換部によって生成された信号を検出する信号検出回路とを含む単位画素セルと、単位画素セルに傾斜電圧を供給する電圧供給回路とを備え、電圧供給回路は、傾斜電圧発生回路と、第1の増幅器と、傾斜電圧発生回路および第1の増幅器の間に接続された容量素子と、第1の増幅器の出力を負帰還させる第1フィードバック回路とを含み、第1フィードバック回路は、フィードバックループを選択的に形成するスイッチを含む、撮像装置。
項目1の構成によれば、第1の増幅器におけるしきい値電圧のバラつきなどに起因する入出力オフセットの影響が除去された傾斜電圧を単位画素セルに供給することが可能である。したがって、第1の増幅器におけるしきい値電圧のバラつきに起因したノイズの影響を低減し得る。
[項目2]
光電変換部の信号を初期化するリセット回路をさらに備える、項目1に記載の撮像装置。
項目2の構成によれば、光電変換部の信号を初期化できる。
[項目3]
信号検出回路の出力を負帰還させる第2フィードバック回路をさらに備え、リセット回路は、第2フィードバック回路のフィードバックループの一部を構成する、項目2に記載の撮像装置。
項目3の構成によれば、熱ノイズを抑制し得る。
[項目4]
リセット回路は、そのソースまたはドレインが光電変換部に接続された第1トランジスタを含み、第1トランジスタのゲートに傾斜電圧が印加される、項目3に記載の撮像装置。
項目4の構成によれば、単位画素セル内のトランジスタにおけるノイズを傾斜電圧を用いて抑制し得る。また、単位画素セル内のトランジスタ数を低減し得る。
[項目5]
信号検出回路の出力を負帰還させる第2フィードバック回路をさらに備え、第2フィードバック回路は、第2フィードバック回路のフィードバックループの一部を構成する第1トランジスタであって、そのゲートに傾斜電圧が印加される第1トランジスタを含み、リセット回路は、そのソースまたはドレインが光電変換部に接続された第2トランジスタを含む、項目2に記載の撮像装置。
項目5の構成によれば、単位画素セル内のトランジスタにおけるノイズを傾斜電圧を用いて抑制し得る。また、リセットにおける基準電圧として任意の電圧を電荷蓄積ノードに印加することも可能である。
[項目6]
第1トランジスタのしきい値電圧の変動を検出してしきい値電圧に応じた基準電圧を第2の増幅器の非反転入力端子に印加する制御回路をさらに備える、項目4または5に記載の撮像装置。
項目6の構成によれば、傾斜電圧の印加開始時の初期電圧を、第1トランジスタのしきい値電圧の変動に応じて柔軟に変更し得る。したがって、ノイズ低減に要する時間を短縮することが可能である。
[項目7]
第1の増幅器は、ソースフォロアを有し、容量素子を介して傾斜電圧発生回路の出力電圧がソースフォロアに入力される、項目1から6のいずれかに記載の撮像装置。
項目7の構成によれば、第1フィードバック回路内のスイッチのオフ時、電圧供給回路の出力電圧を所定の電圧と等しくするような電位を容量素子に保持することが可能である。
[項目8]
第1フィードバック回路は、反転増幅器である第2の増幅器を含み、第2の増幅器の反転入力端子に第1の増幅器の出力が入力される、項目1から7のいずれかに記載の撮像装置。
項目8の構成によれば、傾斜電圧の印加開始時の初期電圧を任意の電圧に設定することができる。
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態を詳細に説明する。なお、以下で説明する実施形態は、いずれも包括的または具体的な例を示す。以下の実施形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。本明細書において説明される種々の態様は、矛盾が生じない限り互いに組み合わせることが可能である。また、以下の実施形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。以下の説明において、実質的に同じ機能を有する構成要素は共通の参照符号で示し、説明を省略することがある。
(第1の実施形態)
図1は、本開示の第1の実施形態に係る撮像装置の例示的な構成の概略を示す。図1に
示す撮像装置100は、画素アレイPAと周辺回路とを有する。画素アレイPAは、複数の単位画素セル10Aを含む。後述するように、単位画素セル10Aの各々は、入射光を光電変換する光電変換部および光電変換部によって生成された信号を検出する信号検出回路を有する。図示する例では、単位画素セル10Aは、行方向および列方向に配列されている。単位画素セル10Aが2次元的な配列を有することにより、感光領域(画素領域)が形成される。本明細書において、行方向および列方向とは、行および列がそれぞれ延びる方向を意味し、垂直方向が列方向であり、水平方向が行方向である。複数の単位画素セル10Aは、1次元に配列されていてもよい。言い換えれば、撮像装置100は、ラインセンサであってもよい。
撮像装置100は、電圧供給回路50Aと、電圧供給回路50Aに接続された垂直走査回路(「行走査回路」とも呼ばれる)16とを有している。図1において模式的に示すように、垂直走査回路16は、フィードバック制御線28を介して単位画素セル10Aの各々と接続されている。電圧供給回路50Aおよび垂直走査回路16は、周辺回路の一部を構成する。
電圧供給回路50Aは、単位画素セル10Aの各々に供給するための傾斜電圧を生成する。後述するように、ここでは、単位画素セル10Aに対する傾斜電圧の供給は、垂直走査回路16を介して選択的に実行される。電圧供給回路50Aの構造および動作の詳細は後述する。
図1に例示する構成において、電圧供給回路50Aは、傾斜電圧発生回路52と、容量素子56と、増幅器54とを含んでいる。容量素子56は、傾斜電圧発生回路52と、増幅器54との間に接続されている。なお、本明細書において、「容量素子(capacitor)」は、電極の間に絶縁膜などの誘電体が挟まれた構造を意味する。本明細書における「電極」は、金属から形成された電極に限定されず、ポリシリコン層などを広く含むように解釈される。本明細書における「電極」は、半導体基板の一部分であり得る。
傾斜電圧発生回路52は、例えば入力電圧を傾斜電圧に変換して出力する。なお、傾斜電圧発生回路52の構成は、傾斜電圧を出力可能であれば、特定の回路構成に限定されない。傾斜電圧発生回路52の構成の具体例は後述する。傾斜電圧発生回路52の出力電圧(傾斜電圧)Vgenは、容量素子56を介して増幅器54に入力される。増幅器54は、傾斜電圧発生回路52と画素アレイPAとの間に配置されており、傾斜電圧発生回路52の出力電圧Vgenをバッファリングする。増幅器54は、典型的には、ソースフォロワを含む。
個々の単位画素セル10Aに低ノイズの傾斜電圧を印加する観点から、バッファとしての増幅器54が低ノイズであると有益である。バッファの低ノイズ化には、ノイズ源となるトランジスタ数を減らすこと、および、トランジスタのサイズを大きくすることが有効である。ある一定面積にバッファを配置する場合、バッファの構成に必要なトランジスタ数が少なければ、バッファにおけるトランジスタのサイズを拡大できる。ソースフォロワは、比較的少数のトランジスタで構成可能であり、ソースフォロワを有する回路をバッファとして採用すると低ノイズ化の面で有利である。
ただし、ソースフォロワの出力電圧は、ソースフォロワのトランジスタのしきい値電圧分だけ入力電圧に対してシフトする。一般に、トランジスタの特性は、製造時のバラつきに起因して一定ではない。また、ソースフォロワのトランジスタのしきい値電圧は、温度の影響を受けて変動する。トランジスタ毎のしきい値電圧のバラつき、および、しきい値電圧の変動の影響を低減できると、所望の電圧(傾斜電圧)を単位画素セル10Aに印加し得るので有益である。
図1に示すように、本開示の実施形態における電圧供給回路50Aは、増幅器54の出力を負帰還させるフィードバック回路58を含んでいる。フィードバック回路58を用いて増幅器54の出力を負帰還させることにより、ソースフォロワのトランジスタ毎のしきい値電圧のバラつき、および、しきい値電圧の変動の影響を低減することが可能である。なお、図1に例示する構成では、フィードバック回路58は、スイッチ60を含んでいる。スイッチ60のオン/オフを切り替えることにより、フィードバックループを選択的に形成することができる。本明細書における「スイッチ」の典型例は、電界効果トランジスタ(FET)などのスイッチング素子である。
図示する例では、フィードバック回路58は、反転増幅器62を含んでいる。反転増幅器62の反転入力端子には、増幅器54の出力が印加される。一方、反転増幅器62の非反転入力端子には、所定の基準電圧Vsrtが印加される。この基準電圧Vsrtは固定された単一の電圧である必要はない。なお、ここでは、前述のスイッチ60は、反転増幅器62の出力端子と増幅器54の入力端子との間に接続されている。スイッチ60は、反転増幅器62の出力Vampを増幅器54に入力するか否かを切り替える。反転増幅器62の動作は後述する。
図2は、単位画素セル10Aの例示的な回路構成を示す。図2に示すように、単位画素セル10Aは、光電変換部15と、増幅トランジスタ34を含む信号検出回路SCとを有する。
光電変換部15は、典型的には、単位画素セル10Aが形成される半導体基板に積層された光電変換膜15bと、第1電極15aと、第2電極(画素電極)15cとを有する。光電変換膜15bは、有機材料またはアモルファスシリコンなどの無機材料から形成される。なお、本明細書における「半導体基板」は、その全体が半導体である基板に限定されず、感光領域が形成される側の表面に半導体層が設けられた絶縁基板などであってもよい。
図2に模式的に示すように、光電変換膜15bは、第1電極15aおよび第2電極(画素電極)15cの間に挟まれている。第1電極15aは、光電変換膜15bの受光面側に設けられる。第1電極15aは、ITOなどの透明な導電性材料から形成される。第2電極15cは、光電変換膜15bを介して第1電極15aに対向する側に設けられる。第2電極15cは、光電変換膜15bにおいて光電変換によって発生した電荷を収集する。第2電極15cは、アルミニウム、銅などの金属、または、不純物がドープされることにより導電性が付与されたポリシリコンなどから形成される。
第1電極15aは、蓄積制御線17に接続されており、第2電極15cは、電荷蓄積ノード(「フローティングディフュージョンノード」とも呼ばれる)44に接続されている。蓄積制御線17を介して第1電極15aの電位を制御することにより、光電変換によって生じた正孔-電子対のうち、正孔および電子のいずれか一方を第2電極15cによって収集することができる。信号電荷として正孔を利用する場合、第2電極15cよりも第1電極15aの電位を高くすればよい。以下では、信号電荷として正孔を利用する場合を例示する。例えば10V程度の電圧が、蓄積制御線17を介して第1電極15aに印加される。これにより、信号電荷が電荷蓄積ノード44に蓄積される。もちろん、信号電荷として電子を利用してもよい。
光電変換部15によって生成された信号は、増幅トランジスタ34によって増幅される。信号検出回路SCの増幅トランジスタ34のゲートは、電荷蓄積ノード44に接続されている。言い換えれば、増幅トランジスタ34のゲートは、第2電極15cとの電気的な
接続を有する。増幅トランジスタ34のソースおよびドレインの一方(NチャンネルMOSであればドレイン)は、電源配線22を介して電圧切り替え回路7に接続される。電圧切り替え回路7は、第1のスイッチSW1および第2のスイッチSW2、ならびに、第1の電圧源VS1および第2の電圧源VS2を含んでいる。増幅トランジスタ34のソースおよびドレインの一方と第1の電圧源VS1とは、第1のスイッチSW1を介して直列に接続されている。また、増幅トランジスタ34のソースおよびドレインの一方と第2の電圧源VS2とは、第2のスイッチSW2を介して直列に接続されている。第1のスイッチSW1および第2のスイッチSW2のそれぞれにおけるオン/オフを制御することにより、増幅トランジスタ34のソースおよびドレインの一方に、第1の電圧V1または第2の電圧V2のいずれを印加するかを切り替えることができる。第1の電圧V1は、例えば0V(接地)であり、第2の電圧V2は、例えばVDD(電源電圧)である。電圧切り替え回路7は、複数の画素間で共有されてもよいし、画素毎に設けられてもよい。
増幅トランジスタ34のソースおよびドレインの他方(NチャンネルMOSであればソース)は、アドレストランジスタ40を介して信号読み出し線18および定電流源6に接続されている。信号読み出し線18は、2以上の画素の間で共有されていてもよい。アドレストランジスタ40のゲートにはアドレス信号線30が接続されている。アドレス信号線30の電位により、アドレストランジスタ40の状態が決定される。アドレス信号線30の電位がハイレベルの場合、アドレストランジスタ40がオンし、アドレストランジスタ40、増幅トランジスタ34および定電流源6によってソースフォロアが形成される。これにより、電荷蓄積ノード44に蓄積された電荷に応じた信号が信号読み出し線18に出力される。アドレス信号線30の電位がローレベルの場合、アドレストランジスタ40はオフとなり、増幅トランジスタ34と信号読み出し線18とが電気的に分離される。
図2に例示する構成では、増幅トランジスタ34および電圧切り替え回路7は、増幅器2を構成している。また、アドレストランジスタ40は、出力選択部5Sを構成している。単位画素セル10Aの各々における光電変換部15の信号は、増幅器2によって増幅され、出力選択部5Sおよび信号読み出し線18を介して選択的に読み出される。なお、定電流源6は、複数の画素間で共有されてもよいし、画素毎に設けられていてもよい。
図2に例示する構成において、単位画素セル10Aは、信号検出回路SCの出力を負帰還させるフィードバック回路48を有している。増幅器2によって増幅された信号の一部は、帯域制御部3SAに入力される。図2に示すフィードバック回路48は、フィードバックトランジスタ38ならびに容量素子41および42を有する帯域制御回路3を含んでいる。帯域制御回路3は、増幅器2の出力信号に帯域制限をかけて電荷蓄積ノード44に出力する。すなわち、図2に例示する構成では、電荷蓄積ノード44から読み出された信号は、増幅器2によって増幅され、帯域制御回路3によって帯域制限をかけられた後に電荷蓄積ノード44に帰還される。
図示する例では、フィードバックトランジスタ38のソースおよびドレインの一方は、容量素子41を介して光電変換部15に接続されている。フィードバックトランジスタ38のソースおよびドレインの他方は、増幅トランジスタ34のソースおよびドレインのうち、電圧切り替え回路7に接続されていない側と、アドレストランジスタ40のソースおよびドレインのうち、信号読み出し線18に接続されていない側とに接続されている。
フィードバックトランジスタ38のゲートは、フィードバック制御線28に接続されている。このフィードバック制御線28は、スイッチSWiを介して電圧供給回路50Aに
接続されている。スイッチSWiは、典型的には、単位画素セル10Aの各行に対応して
設けられる。ここで、下付きのiは、画素アレイPAにおける単位画素セル10Aの行をそれぞれ指定するインデックスであり、i行目に属する複数の単位画素セル10Aに接続
されたフィードバック制御線28と電圧供給回路50Aとの間に配置されたスイッチをスイッチSWiと表記する。スイッチSWiは、例えば垂直走査回路16内に設けられたスイッチング素子である。スイッチSWiをオンとすると、i行目の単位画素セル10Aと電
圧供給回路50Aとの間の電気的接続が確立される。スイッチSWiをオンすることによ
り、電圧供給回路50Aの出力電圧Voutがフィードバック制御線28に印加される。すなわち、スイッチSWiのオン/オフを切り替えることにより、所望の行内の単位画素
セル10Aのフィードバックトランジスタ38のゲートに傾斜電圧を帯域制御信号Tprとして選択的に印加することができる。
フィードバックトランジスタ38の状態は、フィードバック制御線28の電位によって決定される。ここでは、スイッチSWiがオンのとき、i行目の単位画素セル10Aにお
けるフィードバック制御線28と、電圧供給回路50Aとが電気的に接続される。そのため、電圧供給回路50Aの出力電圧を用いてフィードバックトランジスタ38の状態を制御することが可能である。電圧供給回路50Aの出力電圧がハイレベルの場合、フィードバックトランジスタ38がオンする。これにより、電荷蓄積ノード44、増幅トランジスタ34、フィードバックトランジスタ38および容量素子41をその経路に含むフィードバックループが形成される。電圧供給回路50Aの出力電圧が低下すると、フィードバックトランジスタ38の抵抗が増加する。フィードバックトランジスタ38の抵抗が増加すると、フィードバックトランジスタ38の帯域が狭くなり、帰還する信号の周波数領域が狭くなる。フィードバックループが形成されている時(フィードバックトランジスタ38がオフではない時といってもよい)、フィードバックトランジスタ38が出力する信号は、容量素子41と電荷蓄積ノード44の寄生容量とによって形成される減衰回路で減衰される。容量素子41の容量値をC1、電荷蓄積ノード44の寄生容量の容量値をCfdとすると、減衰率Bは、B=C1/(C1+Cfd)と表される。電圧供給回路50Aの出力電圧が低下し、ローレベルに達すると、フィードバックトランジスタ38はオフする。つまり、フィードバックループは形成されない。
なお、図2に例示する構成では、フィードバックトランジスタ38のソースおよびドレインの一方は、容量素子41を介して電荷蓄積ノード44に接続されている。フィードバックトランジスタ38と光電変換部15の第2電極15cとの間に配置された容量素子41は、比較的小さな容量値を有する。以下では、フィードバックトランジスタ38と容量素子41との接続点を含むノードをリセットドレインノード46と呼ぶことがある。また、ここでは、容量素子41よりも大きな容量値を有する容量素子42がリセットドレインノード46に接続されている。容量素子42の電極のうち、リセットドレインノード46に接続されていない方の電極は、感度調整線32に接続されており、基準電圧VR1(例えば0V)が供給される。容量素子42とフィードバックトランジスタ38とからRCフィルタ回路が形成される。なお、感度調整線32の電位は、撮像装置100の動作時において固定されている必要はない。例えばパルス電圧が感度調整線32に供給されてもよい。感度調整線32は、電荷蓄積ノード44の電位の制御に利用可能である。
また、図2に例示する構成では、帯域制御部3SAは、光電変換部15の信号を初期化するリセット回路4Aを含んでいる。リセット回路4Aは、ソースおよびドレインの一方が電荷蓄積ノード44に接続されたリセットトランジスタ36を含んでいる。リセットトランジスタ36のソースおよびドレインの他方は、リセット電圧線25に接続されており、リセット電圧線25を介して所定の電圧VR2が印加される。電圧VR2は、図2に例示する構成における、リセット時の基準電圧である。図2に示すように、リセットトランジスタ36のゲートは、リセット制御線26に接続されている。リセット制御線26の電位により、リセットトランジスタ36の状態が決定される。リセット制御線26の電位がハイレベルの場合、リセットトランジスタ36がオンし、電荷蓄積ノード44がリセットされる。
リセット回路4Aは、単位画素セル10Aの各々に設けられてもよいし、2以上の単位画素セル10Aの間で共有されてもよい。本明細書における「リセット回路」は、電荷蓄積ノード44に対する、リセットにおける基準電圧の印加/非印加を切り替えるスイッチング素子を含み、かつ、その出力が電荷蓄積ノード44に接続された部分を意味する。「リセット回路」は、単位画素セル外の回路をその一部に含んでいてもよい。
なお、増幅トランジスタ34、リセットトランジスタ36、フィードバックトランジスタ38およびアドレストランジスタ40の各々は、NチャンネルMOSであってもよいし、PチャンネルMOSであってもよい。これらの全てがNチャンネルMOSまたはPチャンネルMOSのいずれかに統一されている必要もない。以下では、特に断りがなければ、トランジスタがNチャンネルMOSであるとして説明する。
図3は、単位画素セル10Aおよび周辺回路の接続関係の典型例を示す。図3では、4つの単位画素セル10Aが示されている。しかしながら、これはあくまでも例であり、画素アレイPAに含まれる単位画素セルの数は4つに限定されない。
単位画素セル10Aの各々は、電源配線22およびリセット電圧線25に接続されている。単位画素セル10Aには、電源配線22を介して所定の電源電圧(ここでは第1の電圧V1または第2の電圧V2)が供給される。また、リセット電圧線25を介してリセットにおける基準電圧VR2が供給される。リセット電圧線25を介して垂直走査回路16からリセットにおける基準電圧VR2が単位画素セル10Aに供給されてもよい。また、単位画素セル10Aの各々は、光電変換部15の第1電極15a(図2参照)に一定電圧を印加する蓄積制御線17に接続されている。図示する例では、単位画素セル10Aの各々に対して共通の電圧が印加される。しかしながら、単位画素セル10Aの全てに対して共通の電圧が印加される必要はない。例えば、いくつかの単位画素セル10Aからなる画素ブロック毎に、異なる電圧を供給しても構わない。画素ブロック毎に、異なる電圧を供給することにより、各画素の感度を可変とすることができる。
図3に例示する構成において、単位画素セル10Aの各々は、リセット制御線26、フィードバック制御線28およびアドレス信号線30に接続されている。リセット制御線26、フィードバック制御線28およびアドレス信号線30は、垂直走査回路16に接続されている。すなわち、図示する例では、リセット動作制御用のリセット信号、帯域制御信号(傾斜電圧)およびアドレス信号は、垂直走査回路16から単位画素セル10Aに供給される。例えば、垂直走査回路16は、アドレス信号線30に所定の電圧を印加することにより、単位画素セル10Aを行単位で選択する。これにより、選択された単位画素セル10Aの信号電圧の読み出しと、リセットとを実行することができる。なお、図3に例示する構成では、垂直走査回路16に対して1つの電圧供給回路50Aが接続されている。しかしながら、これはあくまでも例であり、2以上の電圧供給回路が垂直走査回路16に接続されていてもよい。
単位画素セル10Aは、各列毎に、信号読み出し線18に接続されている。各列に対応した信号読み出し線18には、定電流源19およびカラム信号処理回路(「行信号蓄積回路」とも呼ばれる)20が接続されている。カラム信号処理回路20は、相関二重サンプリングに代表される雑音抑圧信号処理およびアナログ-デジタル変換(A/D変換)などを行う。単位画素セル10Aの列に対応して設けられたカラム信号処理回路20には、水平信号読み出し回路(「列走査回路」とも呼ばれる)21が接続されている。水平信号読み出し回路21は、カラム信号処理回路20から水平共通信号線23に信号を順次読み出す。
(電圧供給回路における動作)
次に、図1、図2、図4および図5を参照しながら、電圧供給回路50Aにおける動作の一例を説明する。本開示の実施形態では、単位画素セル10Aのフィードバックトランジスタ38のゲートに対して傾斜電圧を印加する。電圧供給回路50Aは、フィードバックトランジスタ38のゲートに印加する傾斜電圧を供給する。ここでは、増幅器54がソースフォロワを含んでいる場合を例にとって説明する。
図4は、電圧供給回路50Aにおける動作を説明するための例示的なタイミングチャートを示す。図4中のグラフは、上から順に、スイッチ60のオンまたはオフの状態、電圧供給回路50Aの出力電圧Vout、および、傾斜電圧発生回路52の出力電圧Vgenをそれぞれ示している。各グラフの横軸は、時間Tを示す。図4に示すように、この例では、傾斜電圧発生回路52は、時刻t0から時刻t3までの期間において一定の電圧を生成している。また、傾斜電圧発生回路52は、時刻t3から時刻t4の間において単調に低下するような電圧を生成している。
まず、時刻t1において、スイッチ60をオンする。これにより、増幅器54の出力を負帰還させるフィードバックループ(フィードバック回路58)が形成される。
既に説明したように、ソースフォロワの出力電圧は、ソースフォロワのトランジスタのしきい値電圧分だけ入力電圧に対してシフトする。したがって、電圧供給回路50Aにおいてスイッチ60がオフの状態では、ソースフォロワの出力電圧VOUTは、ソースフォロワの入力電圧およびソースフォロワのトランジスタのしきい値電圧をそれぞれVINおよびVTsとすれば、VOUT=VIN-VTsと表される。しきい値電圧VTsは、製造時のバラつきおよび温度の影響を受けるので、個々のトランジスタ間で一定ではなく、かつ、同一のトランジスタにおいても変動する。そのため、一般には、ソースフォロワの出力も一意には決まらない。
しかしながら、本開示の実施形態では、スイッチ60をオンすることにより、増幅器54の出力を負帰還させるフィードバックループ(フィードバック回路58)を形成している。増幅器54の出力が負帰還されるので、本開示の実施形態によれば、増幅器54(ここではソースフォロワ)のトランジスタのしきい値電圧のバラつき、および、しきい値電圧の変動をキャンセルすることが可能である。
さらに、図1に例示する構成では、フィードバック回路58は、フィードバックループ内に反転増幅器62を含んでいる。図示する例において、反転増幅器62の反転入力端子には、増幅器54の出力が接続されている。なお、スイッチSWi(図2参照)の出力を
反転増幅器62の反転入力端子に入力するような接続形態でも構わない。
一方、反転増幅器62の非反転入力端子には、不図示の電圧源が接続されており、反転増幅器62の非反転入力端子に電圧Vsrtが印加されている。この電圧Vsrtは、任意に設定可能である。反転増幅器62が反転入力端子の電圧と非反転入力端子の電圧とが等しくなるよう動作することにより、時刻t1から暫く経過すると、電圧供給回路50Aの出力電圧Voutは、増幅器54(ここではソースフォロワ)のトランジスタのしきい値電圧の大きさに依らず、電圧Vsrtと等しくなる(時刻t2)。出力電圧Voutが電圧Vsrtに十分に近づいた時刻t2で、スイッチ60をオフする。
その後、時刻t3において、傾斜電圧発生回路52は、出力電圧Vgenの低下を開始する。このとき、増幅器54の入力電圧は、容量素子56を介して変化する。電圧Vgenが低下するにつれて増幅器54の入力電圧Vin(図1参照)も低下する。増幅器54の入力電圧Vinの低下に伴い、電圧供給回路50Aの出力電圧Voutが低下する。
ここで注目すべきは、図1に例示する構成において、傾斜電圧発生回路52と増幅器54との間に容量素子56が接続されている点である。スイッチ60のオフ時、容量素子56は、電圧供給回路50Aの出力電圧Voutを、任意に設定した電圧Vsrtと等しくするような電位を保持している。したがって、電圧供給回路50Aの出力電圧Voutは、図4に示すように、電圧Vsrtを起点として変化する。このように、本開示の実施形態によれば、電圧供給回路50Aの出力電圧Voutを低下(または増加)させる変化の開始時における電圧(以下、「初期電圧」と呼ぶことがある)を、任意の電圧Vsrtに設定することができる。別の言い方をすれば、電圧Vsrtを用いて、傾斜電圧の印加開始時の初期電圧を決定することができる。
後に詳しく説明するように、本開示の実施形態では、フィードバックトランジスタ38のしきい値電圧を跨ぐように、フィードバック制御線28の電位を変化させる。すなわち、フィードバックトランジスタ38のしきい値電圧および傾斜電圧における電圧変化の終了時の電圧をそれぞれVTfおよびVendとすれば、しきい値電圧VTfが電圧Vsrtと電圧Vendとの間の電圧となるように電圧Vsrtを設定する。なお、フィードバック制御線28の電位の変化は、ハイレベルからローレベルに向けての変化であってもよいし、ローレベルからハイレベルに向けての変化であってもよい。
フィードバックトランジスタ38のしきい値電圧は、増幅器54(ここではソースフォロワ)のトランジスタのしきい値電圧と同様に、製造時のバラつきの影響を受ける。したがって、適切な初期電圧の値は、個々の単位画素セル10A毎に異なり得る。本開示の実施形態によれば、反転増幅器62の非反転入力端子に入力する電圧Vsrtを適切に設定することにより、傾斜電圧発生回路52に特別な機能を付加することなく、傾斜電圧の初期電圧を、各単位画素セル10Aのフィードバックトランジスタ38のしきい値電圧に応じた電圧とすることが可能である。
このように、本開示の実施形態によれば、ソースフォロワのトランジスタのしきい値におけるバラつきの影響をキャンセルすることができる。したがって、低ノイズの傾斜電圧を単位画素セル10Aに供給することが可能である。また、しきい値のバラつきをキャンセルすると同時に、電圧供給回路50Aの出力電圧Voutを任意の電圧範囲にシフトさせることも容易である。したがって、個々の単位画素セル10Aに適した初期電圧を起点とする傾斜電圧を供給することが可能である。傾斜電圧における電圧変動の範囲を、単位画素セル10A内のフィードバックトランジスタ38のしきい値電圧のバラつきに応じた適切な範囲とすることにより、図4に示す時刻t3から時刻t4に要する時間を短縮可能である。したがって、高速なノイズ抑制を実現し得る。
なお、傾斜電圧の波形は、電圧が低下するような波形に限定されない。用途に応じて、図5に示すような、電圧が増大するような傾斜電圧を単位画素セル10Aに供給してもよい。
次に、信号の読み出し時における撮像装置100の例示的な動作を説明する。
(撮像装置における動作)
図6は、信号の読み出し時における撮像装置100の動作を説明するための例示的なタイミングチャートを示す。図6中、各グラフの横軸は、時間Tを示す。図6に示すグラフの縦軸は、上から順に、リセット制御線26の電圧レベルVr、フィードバック制御線28の電圧レベルVf、アドレス信号線30の電圧レベルVa、および、増幅トランジスタ34のドレインおよびソースのうち、電圧切り替え回路7に接続されている側(典型的にはドレイン)の電圧レベルVsをそれぞれ示す。グラフ中に示す電圧VTfは、フィード
バックトランジスタ38のしきい値電圧である。
(リセット)
まず、時刻t11において、アドレス信号線30の電位をローレベルにする。これにより、アドレストランジスタ40がオフし、増幅トランジスタ34と信号読み出し線18とが電気的に分離される。また、フィードバック制御線28の電位をハイレベルにし、フィードバックトランジスタ38をオンにする。これにより、単位画素セル10A内にフィードバックループが形成される(図2参照)。このときの増幅率は、増幅器2の増幅率を(-A)とすれば、(-A×B)と表される(「×」は乗算を表す)。設計者は、回路システムに最適な値となるように増幅率を設計することができる。通常、Aは1よりも大きく、数10から数100程度の数値に設定され得る。また、このとき、電圧切り替え回路7の第1のスイッチSW1および第2のスイッチSW2をそれぞれオンおよびオフとし、増幅トランジスタ34のドレイン(またはソース)に第1の電圧V1(典型的にはGND)を印加する。また、リセット制御線26の電位をハイレベルにし、リセットトランジスタ36をオンする。リセットトランジスタ36をオンすることにより、電荷蓄積ノード44がリセットされる。言い換えれば、電荷蓄積ノード44の電位は、リセットにおける基準電位VR2となる。
(第1のノイズ抑制期間)
次に、時刻t12において、リセット制御線26の電位をローレベルにし、リセットトランジスタ36をオフする。リセットトランジスタ36をオフすることに伴ってkTCノイズが生じる。しかしながら、リセットトランジスタ36のオフ時、単位画素セル10A内には、増幅率が(-A×B)のフィードバックループが形成されている。そのため、時刻t12から時刻t13の期間において、リセットトランジスタ36のオフ時に生じた電荷蓄積ノード44のkTCノイズが1/(1+A×B)倍に抑制される。このとき、フィードバックトランジスタ38の動作帯域が、広帯域である第1の帯域となるようにフィードバック制御線28の電位が設定されていると、ノイズを高速に抑制することが可能である。第1の帯域は、ハイレベルのゲート電位に対応した帯域を意味する。ここでは、フィードバック制御線28の電位がハイレベルに設定されているので、ノイズの抑制が高速である。
(第2のノイズ抑制期間)
次に、時刻t13から時刻t14の期間において、フィードバックトランジスタ38がオン状態からオフ状態に徐々に変化するようにフィードバック制御線28の電位を変化させる。すなわち、フィードバックトランジスタ38のしきい値電圧VTfを跨ぐように、フィードバック制御線28の電位をハイレベルからローレベルに向けて徐々に低下させる。このとき、フィードバックトランジスタ38の動作帯域が、第1の帯域よりも狭い第2の帯域となるようにフィードバック制御線28の電位を制御する。第2の帯域は、中間レベルのゲート電位に対応した帯域を意味する。
ここでは、時刻t13においてフィードバック制御線28の電位をハイレベルとローレベルの間の電位V3に低下させている。さらに、時刻t13から時刻t14までの間においてフィードバック制御線28の電位を電位V4まで連続的に低下させている。また、ここでは、フィードバック制御線28の電位を電位V4まで低下させた後、時刻t15においてフィードバック制御線28の電位をローレベルに変化させている。電位V4は、電位V3よりも低く、かつ、ローレベルよりも高い電位である。もちろん、ハイレベルからローレベルまで連続的にフィードバック制御線28の電位を変化させてもよい。
フィードバック制御線28に印加される電圧(図4に示す電圧レベルVf)の全部を電圧供給回路50Aによって生成する必要はない。例えば、矩形状の波形を有する電圧(例
えば図6に示す時刻t11~t13における電圧および時刻t14~t15における電圧)を垂直走査回路16で生成し、傾斜電圧部分(図6に示す時刻t13~t14における電圧)を電圧供給回路50Aで生成してもよい(図1参照)。
なお、十分にノイズを抑制するための時間(時刻t13から時刻t14までの時間)は長くなるが、第2の帯域を増幅トランジスタ34の動作帯域よりも十分に低い帯域とすることにより、ノイズ抑制効果を向上させることができる。ただし、第2の帯域が増幅トランジスタ34の動作帯域より高くてもノイズ抑制効果は得られるので、設計者は、時刻t13から時刻t14までの期間として許容できる時間に応じて第2の帯域を任意に設計すればよい。以下では、第2の帯域は、増幅トランジスタ34の動作帯域よりも十分に低い帯域であるとして説明する。
第2の帯域が増幅トランジスタ34の動作帯域よりも低い状態においては、フィードバックトランジスタ38で発生する熱ノイズは、フィードバック回路48により、1/(1+A×B)1/2倍に抑制される。第2の帯域が増幅トランジスタ34の動作帯域よりも低
い状態で、時刻t15においてフィードバック制御線28の電位をローレベルにし、フィードバックトランジスタ38をオフする。フィードバックトランジスタ38のオフ時、電荷蓄積ノード44に残存するkTCノイズは、リセットトランジスタ36に起因したkTCノイズと、フィードバックトランジスタ38に起因したkTCノイズとの二乗和の平方根で表される。
また、容量素子42の容量値をC2とすると、帰還による抑制がない状態において発生するフィードバックトランジスタ38のkTCノイズは、帰還による抑制がない状態で発生するリセットトランジスタ36のkTCノイズの(Cfd/C2)1/2倍である。この
点を考慮すれば、帰還がある場合のkTCノイズは、帰還がない場合と比較して(1+(1+A×B)×(Cfd/(C2×B2)))1/2/(1+A×B)倍に抑制される。
(露光/読み出し期間)
次に、時刻t16においてアドレス信号線30の電位をハイレベルにして、アドレストランジスタ40をオンにする。また、電圧切り替え回路7の第1のスイッチSW1および第2のスイッチSW2をそれぞれオフおよびオンとし、増幅トランジスタ34のドレイン(またはソース)に第2の電圧V2(典型的にはVDD)を印加する。この状態においては、増幅トランジスタ34と定電流源6とがソースフォロア回路を形成する。信号読み出し線18の電位は、電荷蓄積ノード44に蓄積された信号電荷に応じた電位となる。このソースフォロア回路の増幅率は、例えば1程度に設定される。
時刻t16における電荷蓄積ノード44の電圧は、時刻t15から時刻t16までの期間に光電変換部15よって生成された電気信号に応じた分だけ、リセットにおける基準の電圧(電圧VR2)から変化している。電荷蓄積ノード44の電圧は、増幅器2により増幅されて(この例では増幅率は1程度)、信号読み出し線18に出力される(時刻t17)。
ランダムノイズは、光電変換部15で光電変換によって生成される電気信号が0である時の出力の揺らぎ、すなわち、kTCノイズを意味する。本開示の実施形態では、kTCノイズは、ノイズ抑制期間に(1+(1+A×B)×(Cfd/(C2×B2)))1/2/(1+A×B)倍に抑制されている。さらに、露光/読み出し期間における増幅率は、1程度である。したがって、ランダムノイズが抑制された信号を信号読み出し線18から読み出すことが可能である。その結果、ランダムノイズが抑制された良好な画像データを取得することができる。
なお、単位画素セルの回路構成は、図2に示す構成に限定されない。例えば、図7に示すような回路構成も適用可能である。図7に示す単位画素セル10Bでは、帯域制御部3SB中のリセット回路4Bおけるリセットトランジスタ36のソースおよびドレインのうち、電荷蓄積ノード44に接続されていない側が、フィードバックトランジスタ38のソースおよびドレインのうち、リセットドレインノード46に接続されていない側に接続されている。
図7に例示する構成では、増幅トランジスタ34の出力がリセットにおける基準電圧として利用される。したがって、図7に示す単位画素セル10Bでは、リセット電圧線25は省略されている。このような構成によると、リセットトランジスタ36をオフする前後における、電荷蓄積ノード44の電圧の変化を縮小し得る。したがって、より高速なノイズ抑制が可能となる。図7に例示する構成における、各トランジスタの動作タイミングは、単位画素セル10Aの場合と同様であり得る。
(第2の実施形態)
図8は、本開示の第2の実施形態に係る撮像装置の例示的な構成の概略を示す。上述の撮像装置100と、図8に示す撮像装置200との相違点は、撮像装置200が、単位画素セル10Aのフィードバックトランジスタ38(図2参照)のしきい値電圧の変動を検出する制御回路64を有することである。
制御回路64は、しきい値電圧の変動の検出対象であるトランジスタとの電気的接続を有する。しきい値電圧の変動の検出対象であるトランジスタは、典型的には、画素アレイPAが形成された基板に設けられたダミー画素のトランジスタである。同一の基板におけるトランジスタ間のバラつきが小さいと考えられる場合には、ダミーのトランジスタのしきい値電圧を、画素アレイPAに含まれる単位画素セル10Aのフィードバックトランジスタ38のしきい値電圧とみなすことができる。
制御回路64は、フィードバックトランジスタ38のしきい値電圧の変動を検出し、フィードバックトランジスタ38のしきい値電圧の変動に応じた電圧Vsrtを生成する。図8に示すように、制御回路64は、反転増幅器64の非反転入力端子と接続されている。制御回路64は、フィードバックトランジスタ38のしきい値電圧の変動に応じた基準電圧を反転増幅器64の非反転入力端子に印加する。
図9は、制御回路64として適用可能な回路構成の一例を示す。図9に示す回路では、検出対象のトランジスタ68を用いてソースフォロワを形成している。トランジスタ68のドレインには定電流源66が接続されており、ソースの電位は固定されている。図9に例示する構成では、トランジスタ68のソースにはフィードバックアンプ65が接続されている。このソースフォロワの出力は、バッファ67を介して取り出される。
制御回路64の具体的な構成は、図9に示す構成に限定されない。公知の種々の回路を制御回路64として適用することができる。トランジスタのしきい値電圧をモニタリングして、検出結果に応じた電圧を生成する回路構成はよく知られている。例えば特開2010-152995号公報および特開2011-55459号公報にこのような回路が開示されている。参考のために、特開2010-152995号公報および特開2011-55459号公報の開示内容の全てを本明細書に援用する。
図4等を参照して既に説明したように、図1に例示する回路構成によれば、電圧供給回路50Aから出力される傾斜電圧における初期電圧を、反転増幅器64の非反転入力端子に印加する電圧によって決定することができる。つまり、フィードバックトランジスタ38のしきい値電圧の変動に応じた電圧Vsrtを反転増幅器64の非反転入力端子に印加
することにより、傾斜電圧における初期電圧を電圧Vsrtにシフトさせることができる。図8に例示する構成では、反転増幅器64の非反転入力端子に印加する電圧として、フィードバックトランジスタ38のしきい値電圧の変動を検出するように構成された制御回路64によって生成された電圧Vsrtを用いている。そのため、傾斜電圧における電圧の変動を、フィードバックトランジスタ38のしきい値電圧の変動に応じて適切な範囲にシフトさせることができる。
この例では、傾斜電圧が、フィードバックトランジスタ38のしきい値電圧の変動を反映した初期電圧を起点とする波形を有している。結果として、より確実に、フィードバックトランジスタ38のしきい値電圧を跨ぐような傾斜電圧を単位画素セル10Aに供給し得る。また、電圧掃引時間を短縮し得る。このように、本開示の実施形態によれば、バッファとしての増幅器54自体のしきい値電圧のバラつきをキャンセルすると共に、フィードバックトランジスタ38のしきい値電圧に合わせて傾斜電圧をシフトさせることが可能である。
(第3の実施形態)
図10は、本開示の第3の実施形態に係る単位画素セル10Cの例示的な回路構成を示す。図10に示すフィードバック回路49は、図2を参照して説明したフィードバック回路48と同様に、信号検出回路SCの出力を負帰還させる。フィードバック回路49は、フィードバックトランジスタ38を有する帯域制御回路3Cを含んでいる。帯域制御回路3Cは、増幅器2の出力信号に帯域制限をかけて電荷蓄積ノード44に出力する。図10に例示する構成では、帯域制御部3SCにおけるリセット回路4Cは、フィードバック回路49のフィードバックループ内に設けられている。リセット回路4Cは、フィードバックトランジスタ38を含む。フィードバックトランジスタ38は、増幅トランジスタ34の出力と電荷蓄積ノード44との間に接続されている。この例では、フィードバックトランジスタ38のソースおよびドレインの一方は、容量素子を介することなく光電変換部15に接続されている。フィードバックトランジスタ38は、フィードバックループの一部を形成している。
図10に例示する構成において、フィードバックトランジスタ38は、光電変換部15の信号を初期化するリセット回路4Cの一部を形成しており、電荷蓄積ノード44に対する、リセットにおける基準電圧の印加/非印加を切り替えるスイッチング素子として機能する。つまり、図10に例示する構成では、フィードバックトランジスタ38は、図2に示す単位画素セル10Aおよび図7に示す単位画素セル10Bにおけるリセットトランジスタ36の機能も有している。図10に例示するような回路構成によれば、図2に示す単位画素セル10Aおよび図7に示す単位画素セル10Bと比較して、単位画素セル内のトランジスタ数を低減できる。
図11は、単位画素セル10Cを用いた信号の読み出し動作を説明するための例示的なタイミングチャートである。図11中、各グラフの横軸は、時間Tを示す。図11に示すグラフの縦軸は、上から順に、フィードバック制御線28の電圧レベルVf、アドレス信号線30の電圧レベルVa、および、増幅トランジスタ34のドレインおよびソースのうち、電圧切り替え回路7に接続されている側(典型的にはドレイン)の電圧レベルVsをそれぞれ示す。グラフ中に示す電圧VTfは、フィードバックトランジスタ38のしきい値電圧である。以下、図11を参照しながら、信号の読み出し動作の概略を説明する。
(リセット)
まず、時刻t11において、アドレス信号線30の電位をローレベルにし、アドレストランジスタ40をオフする。また、フィードバック制御線28の電位をハイレベルにし、フィードバックトランジスタ38をオンにする。このとき、電圧切り替え回路20の第1
のスイッチSW1および第2のスイッチSW2をそれぞれオンおよびオフとし、増幅トランジスタ34のドレイン(またはソース)に第1の電圧V1(典型的にはGND)を印加する。これらの動作により、電荷蓄積ノード44がリセットされる。リセットにおける基準電圧は、増幅トランジスタ34の出力である。このときのフィードバックトランジスタ38の動作帯域は、第1の帯域である。
(ノイズ抑制期間)
次に、時刻t13から時刻t14の期間において、フィードバックトランジスタ38がオン状態からオフ状態に徐々に変化するようにフィードバック制御線28の電位を変化させる。すなわち、フィードバックトランジスタ38のしきい値電圧VTfを跨ぐように、フィードバック制御線28の電位をハイレベルからローレベルに向けて変化させる。このとき、フィードバックトランジスタ38の動作帯域が、第1の帯域よりも狭い第2の帯域となるようにフィードバック制御線28の電位を制御する。ここでは、時刻t13においてフィードバック制御線28の電位をハイレベルとローレベルの間の電位V3に低下させている。さらに、時刻t13から時刻t14までの間においてフィードバック制御線28の電位を電位V4まで連続的に低下させている。また、ここでは、フィードバック制御線28の電位を電位V4まで低下させた後、時刻t15においてフィードバック制御線28の電位をローレベルに変化させている。電位V4は、電位V3よりも低く、かつ、ローレベルよりも高い電位である。もちろん、ハイレベルからローレベルまで連続的にフィードバック制御線28の電位を変化させてもよい。
第2の帯域が増幅トランジスタ34の動作帯域よりも低い状態においては、フィードバックトランジスタ38で発生する熱ノイズは、フィードバック回路49により、1/(1+A)1/2倍に抑制される。第2の帯域が増幅トランジスタ34の動作帯域よりも低い状
態で、時刻t15においてフィードバック制御線28の電位をローレベルにし、フィードバックトランジスタ38をオフすると、電荷蓄積ノード44に残存するkTCノイズも、帰還がない場合と比較して、1/(1+A)1/2倍に抑制される。
(露光/読み出し期間)
次に、時刻t16においてアドレス信号線30の電位をハイレベルにして、アドレストランジスタ40をオンにする。また、電圧切り替え回路7の第1のスイッチSW1および第2のスイッチSW2をそれぞれオフおよびオンとし、増幅トランジスタ34のドレイン(またはソース)に第2の電圧V2(典型的にはVDD)を印加する。この状態においては、増幅トランジスタ34と定電流源6とがソースフォロア回路を形成する。信号読み出し線18の電位は、電荷蓄積ノード44に蓄積された信号電荷に応じた電位となる。このソースフォロア回路の増幅率は、例えば1程度に設定される。電荷蓄積ノード44の電圧は、増幅器2により増幅されて(この例では増幅率は1程度)、信号読み出し線18に出力される(時刻t17)。
(その他の改変例)
以下、図面を参照しながら、その他の改変例を説明する。
図12は、本開示の実施形態に係る電圧供給回路の他の例示的な回路構成を示す。図12に示す電圧供給回路50Bは、容量素子56と増幅器54の入力との接続点を含むノードに接続された容量素子70を有している。容量素子70の電極のうち、増幅器54の入力に接続されていない側の電極の電位は、固定されている。
このような回路構成においては、容量素子56と増幅器54の入力との接続点を含むノードの電位(Vin)は、容量素子56および容量素子70の容量値をそれぞれC3およびC4とすれば、傾斜電圧発生回路52の出力における電位の(C3/(C3+C4))
倍である。C3/(C3+C4)<1であるので、傾斜電圧発生回路52の出力に含まれるノイズを(C3/(C3+C4))の比率で縮小することができる。このように、一端の電位が固定された容量素子70を容量素子56と増幅器54の入力との接続点を含むノードに接続することにより、傾斜電圧発生回路52の出力に含まれるノイズを低減することが可能である。
図13は、本開示の実施形態に係る電圧供給回路のさらに他の例示的な回路構成を示す。図13に示す電圧供給回路50Cは、いわゆるスーパーソースフォロワとして構成された増幅器54Sを有している。
図13に示す増幅器54Sは、入力トランジスタ55と、PチャンネルMOSトランジスタを含むPMOS電流源57Pと、NチャンネルMOSトランジスタを含むNMOS電流源57Nと、帰還トランジスタ59とを含んでいる。増幅器54Sの入力電圧は、入力トランジスタ55のゲートに印加される。PMOS電流源57Pのソース(またはドレイン)は、電源に接続され、PMOS電流源57Pのドレイン(またはソース)は、入力トランジスタのドレイン(またはソース)に接続されている。入力トランジスタのソース(またはドレイン)は、NMOS電流源57Nのドレイン(またはソース)に接続され、NMOS電流源57Nのソース(またはドレイン)は、接地されている。帰還トランジスタ59のソース(またはドレイン)は、電源に接続され、帰還トランジスタ59のドレイン(またはソース)は、入力トランジスタ55およびNMOS電流源57Nの接続点に接続されている。帰還トランジスタ59のゲートは、PMOS電流源57Pおよび入力トランジスタ55の接続点に接続されている。
このような構成においては、帰還トランジスタ59によって形成されるループが、出力の振れを抑えるように作用する。そのため、出力電圧に応じて出力電流量が制御される。また、増幅器54Sの出力インピーダンス低減効果も得られる。
図14は、本開示の実施形態に係る電圧供給回路のさらに他の例示的な回路構成を示す。図14に示す電圧供給回路50Dにおけるフィードバック回路58Dは、増幅器54の出力と反転増幅器62の反転入力との間に接続されたスイッチ61を有している。また、フィードバック回路58Dは、一端の電位が固定された容量素子71および72を有している。容量素子71の2つの電極のうち、接地されていない電極は、増幅器54の出力と反転増幅器62の反転入力との間において接続されている。容量素子72の2つの電極のうち、接地されていない電極は、反転増幅器62の出力と増幅器54の入力との間において接続されている。
図4等を参照して説明した動作からわかるように、本開示の実施形態では、単位画素セルに傾斜電圧が順次に供給される。つまり、傾斜電圧を供給する対象の単位画素セルを切り替えるごとに、スイッチ60がオン/オフし、フィードバックループの形成/解除が繰り返される。図4における、出力電圧Voutのグラフからわかるように、ある単位画素セルに傾斜電圧を供給した後の出力電圧は電圧Vendである。次に他のある単位画素セルに傾斜電圧を供給する時、フィードバックループが形成されることにより、出力電圧は電圧Vendから電圧Vsrtまで再び上昇する。つまり、スイッチ60がオフからオンに戻る際、フィードバックループを再度構築する過程で出力電圧Voutは大きく変動する。
図14に例示する構成では、容量素子71は、スイッチ61がオフされる前における反転増幅器62の反転入力端子の電圧を保持する。また、容量素子72は、スイッチ61がオフされる前における反転増幅器62の出力端子の電圧を保持する。この動作により、フィードバックループが形成されていない時も、フィードバックループが形成されている状
態における、反転増幅器62の入力側および出力側の電位の情報を保持することができる。したがって、フィードバックループを形成した際の電圧の変化の起点を、電圧Vsrtに近い電圧とすることができる。結果として、フィードバックループの解除後に再びフィードバックループを形成した時の出力電圧の大きな変動を抑制することが可能になる。また、高速な収束を実現することができる。
図15は、本開示の実施形態に係る電圧供給回路のさらに他の例示的な回路構成を示す。図15に示す電圧供給回路50Eにおけるフィードバック回路58Eは、反転増幅器62の出力と増幅器54の入力との間に接続された増幅器80を有している。増幅器80は、反転増幅器62およびスイッチ60の間に接続されている。
図16は、図15に示す電圧供給回路50Eにおける反転増幅器62および増幅器80の回路構成の一例を示す。図16に例示する構成では、反転増幅器62は、トランジスタ73、入力トランジスタ74および75、トランジスタ76および77、ならびに、電流源トランジスタ78および79を含んでいる。入力トランジスタ74のゲートは、反転入力端子62nに接続されている。入力トランジスタ74のドレインには、トランジスタ76が接続されており、トランジスタ76には、電流源トランジスタ78がカスコード接続されている。入力トランジスタ75のゲートは、非反転入力端子62pに接続されている。入力トランジスタ75のドレインには、トランジスタ77が接続されており、トランジスタ77には、電流源トランジスタ79がカスコード接続されている。トランジスタ73は、いわゆるテール電流源を形成し、トランジスタ74~79の動作に用いられる電流を供給する。なお、反転増幅器62の正側の電源端子と負側の電源端子の間には、ミラー一次トランジスタ82、電流源トランジスタ83およびダイオード接続トランジスタ84が接続されている。
図16に例示する構成では、トランジスタ76および電流源トランジスタ78がカスコード接続され、トランジスタ77および電流源トランジスタ79がカスコード接続されている。そのため、このようなカスケード接続を設けない場合と比較して、入力トランジスタ74およびトランジスタ76の接続点の電位と、入力トランジスタ75およびトランジスタ77の接続点との間の電位差が大きい場合でも、反転入力側と非反転入力側とに振り分けられる電流がアンバランスにならないように保たれる。すなわち、反転増幅器62におけるシステマティックオフセットの発生を抑制し得る。
ただし、このような回路構成においては、トランジスタ76および電流源トランジスタ78がカスコード接続され、また、トランジスタ77および電流源トランジスタ79がカスコード接続されているので、反転増幅器62の出力(Vamp1)における電圧範囲を大きくすることが困難である。
図15および図16に例示する構成では、反転増幅器62の出力側に増幅器80を接続している。図16に示す増幅器80は、アンプ入力トランジスタ85および電流源トランジスタ86を有している。反転増幅器62の出力Vamp1は、接続線89を介してアンプ入力トランジスタ85のゲートに印加される。このアンプ入力トランジスタ85には、電流源トランジスタ86が接続されている。なお、この例では、反転増幅器62と増幅器80との間に、抵抗器87および容量素子88(図15において不図示)が直列に接続されている。
このように、ゲインを有する増幅器80を反転増幅器62の出力側に設けることにより、反転増幅器62の出力が小振幅でも、増幅器80の出力Vamp2における振幅を拡大することができる。図15および図16に示すような構成によれば、反転増幅器62における入力オフセットを抑制して増幅器54の入力を高精度に設定するとともに、増幅器5
4の入力における電圧範囲を広げることができる。
図17は、本開示の実施形態に係る撮像装置の他の例示的な構成の概略を示す。図17に示す撮像装置300は、2つの電圧供給回路50Faおよび50Fbを有する。電圧供給回路50Faは、傾斜電圧発生回路52a、容量素子56a、スイッチ60a、反転増幅回路62a、増幅器54aおよび容量素子90aを含んでいる。電圧供給回路50Fbは、電圧供給回路50Faと同様の構成を有する。電圧供給回路50Fbは、傾斜電圧発生回路52b、容量素子56b、スイッチ60b、反転増幅回路62b、増幅器54bおよび容量素子90bを含んでいる。電圧供給回路50Faおよび50Fbは、容量素子90aおよび90bを介して互いに電気的に接続されている。
図17に例示するように、2以上の電圧供給回路を撮像装置内に設けてもよい。図2および図3を参照して説明したように、電圧供給回路によって生成された傾斜電圧は、垂直走査回路16内のスイッチSWiを介して、選択された単位画素セルのフィードバックト
ランジスタ38のゲートに印加される。画素アレイPAに含まれる単位画素セルの行数は、数千行に及ぶことがある。このような場合、配線の長さの違いに起因して、電圧供給回路に近い単位画素セルと比較して、電圧供給回路から遠い単位画素セルに印加される電圧に遅延が発生することがある。
図17に例示する構成では、電圧供給回路50Faの出力電圧Vouta(ここでは傾斜電圧)および電圧供給回路50Fbの出力電圧Voutb(ここでは傾斜電圧)は、ともに共通信号線24に印加される。共通信号線24に印加された電圧は、垂直走査回路16内のスイッチSWiを介して、各スイッチに対応する行に属する単位画素セル10Aに
供給される。これにより、電圧供給回路と単位画素セルとの間の配線の長さの違いに起因した電圧低下の影響を抑制し得る。
ただし、単純に複数の電圧供給回路を設けただけでは、傾斜電圧発生回路間の特性の違いに起因するバラつきが傾斜電圧の間で生じてしまう。図示する例では、容量素子90aの電極の一方を、電圧供給回路50Faの容量素子56aと増幅器54aとが接続されたノードに接続し、他方を、電圧供給回路50Fbの傾斜電圧発生回路52bと容量素子56bとが接続されたノードに接続している。また、容量素子90bの電極の一方を、電圧供給回路50Fbの容量素子56bと増幅器54bとが接続されたノードに接続しており、他方を、電圧供給回路50Faの傾斜電圧発生回路52aと容量素子56aとが接続されたノードに接続している。したがって、傾斜電圧発生回路52aによって生成された傾斜電圧(Vgena)と、傾斜電圧発生回路52bによって生成された傾斜電圧(Vgenb)との間のバラつきを平均化することができる。さらに、傾斜電圧発生回路52aによって生成された傾斜電圧に含まれるノイズおよび傾斜電圧発生回路52bによって生成された傾斜電圧に含まれるノイズも容量比に応じて平均化される。
図17に例示するような構成により、複数の傾斜電圧発生回路間における傾斜電圧のバラつきを抑制しながら、低ノイズの傾斜電圧を各単位画素セルに供給することが可能である。
次に、図18~図22を参照しながら、本開示の電圧供給回路に適用可能な傾斜電圧発生回路の構成の詳細を説明する。
図4および図5を参照して説明したように、本開示の実施形態では、傾斜電圧発生回路52(例えば図1参照)によって、単調に減少(または増加)するような波形を有する電圧を生成する(図4および図5に示す出力電圧Vgenのグラフを参照)。単調に減少(または増加)するような波形を有する電圧を生成する場合、階段状の波形を有する電圧を
生成した後にフィルタリングを行うことが一般的である。階段状の波形を有する電圧の生成においては、デジタル/アナログ変換回路におけるビット数が多いと有益である。しかしながら、基板(半導体基板)の面積の制約から、ビット数を増やすことが困難なことがある。ビット数の少ないデジタル/アナログ変換回路を用いると、スイッチングを行ったポイントの付近に高周波ノイズ(以下、「スパイクノイズ」と呼ぶ)が生じることがある。スパイクノイズをフィルタリングによって除去することは困難である。
以下に説明する例では、傾斜電圧発生回路に複数のサンプル/ホールド回路を設け、これらのサンプル/ホールド回路を用いてスパイクノイズを除去する。スパイクノイズの除去された出力を平滑化回路に入力することによってビット精度を向上させる。
図18は、本開示の電圧供給回路に適用可能な傾斜電圧発生回路の例示的な構成の概略を示す。図18に例示する構成において、傾斜電圧発生回路52は、デジタル/アナログ変換回路92(D/A変換回路92)と、サンプル/ホールド回路94aおよび94b(第1のS/H回路94aおよび第2のS/H回路94b)と、平滑化回路96とを有する。図18に例示する構成では、D/A変換回路92の出力Doutを2つのS/H回路94aおよび94bのそれぞれに入力する。2つのS/H回路94aおよび94bの出力SHoutは、平滑化回路96に入力され、平滑化回路96の出力が、傾斜電圧発生回路52の外部に出力される。平滑化回路96の出力(傾斜電圧発生回路52によって生成された電圧)は、容量素子56を介して、フィードバック回路58中の増幅器54に入力され、単位画素セル10Aに出力される(図1参照)。以下では、傾斜電圧発生回路52と垂直走査回路16との間に設けられた回路ブロックを傾斜電圧出力部と呼ぶことがある。
図19は、傾斜電圧発生回路52の回路構成の一例を示す。図19に例示する構成において、傾斜電圧発生回路52は、極性切り替え回路91と、D/A変換回路92と、第1のS/H回路94aおよび第2のS/H回路94bと、平滑化回路96と、傾斜電圧出力部98とを有する。図示する例では、傾斜電圧出力部98は、容量素子56と、増幅器54、反転増幅器62およびスイッチ60を含むフィードバック回路と、一端の電位が固定された容量素子70とを有する。つまり、ここでは、図12に示す電圧供給回路50Bを例にとって説明する。
図19に例示する構成において、D/A変換回路92は、双一次のスイッチトキャパシタ積分器である。ただし、これはあくまでも例にすぎず、D/A変換回路92は、双一次のスイッチトキャパシタ積分器に限定されない。D/A変換回路92は、スイッチSW8~SW17と、容量素子C7~C10と、積分増幅器99とを含む。第1ノードN1に、トップ電圧VTOPおよびボトム電圧VBTMの一方が印加され、第2ノードN2に、トップ電圧VTOPおよびボトム電圧VBTMの他方が印加される。トップ電圧VTOPおよびボトム電圧VBTMは、いわゆるクロール型のスイッチトキャパシタ動作によって容量素子C7と容量素子C8とにサンプリングされ、積分容量素子C10に転送される。
容量素子C7へのサンプリング動作には、スイッチSW8およびSW9が用いられる。容量素子C8へのサンプリングには、スイッチSW12およびSW13が用いられる。容量素子C7から積分容量素子C10への転送、および、リセット動作には、スイッチSW10およびSW11が用いられる。容量素子C8から積分容量素子C10への転送、および、リセット動作には、スイッチSW14およびSW15が用いられる。なお、図19中の「Φ1」および「Φ2」は、スイッチSW8~SW15の制御信号を示している。積分容量素子C10の初期化は、スイッチSW17に制御信号Φini1を印加することによって行う。積分増幅器99の動作点は、スイッチSW16を介してコモン電圧VCMを容量素子C9にサンプリングすることによって設定する。傾斜電圧の生成時において、スイッチSW16をオフすることにより、コモン電圧VCMに重畳されたノイズの伝播を遮断
することができる。
図19に例示する構成では、トップ電圧VTOPの入力端子およびボトム電圧VBTMの入力端子と、D/A変換回路92との間に極性切り替え回路91が設けられている。極性切り替え回路91は、4つのスイッチSW4~SW7を有する。スイッチSW4およびSW5は、同時にオンすることはなく、一方がオン時、他方はオフである。同様に、スイッチSW6およびSW7は、同時にオンすることはなく、一方がオン時、他方はオフである。したがって、トップ電圧VTOPを第1ノードおよび第2ノードN2の一方に印加し、かつ、ボトム電圧VBTMを第1ノードN1および第2ノードN2の他方に印加することができる。第1ノードN1にトップ電圧VTOPおよびボトム電圧VBTMの両方が同時に印加されることはなく、第2ノードN2にトップ電圧VTOPおよびボトム電圧VBTMの両方が同時に印加されることはない。
スイッチSW4~SW7のそれぞれにおけるオンおよびオフを切り替えることにより、トップ電圧VTOPおよびボトム電圧VBTMのそれぞれを、第1ノードN1および第2ノードN2のいずれに印加するかを切り替えることができる。極性切り替え回路91を設けることにより、図4に示すような下降形の電圧Vgenの生成と、図5に示すような上昇形の電圧Vgenの生成とを簡易な構成により実現できる。
図19に例示する構成において、第1のS/H回路94aは、スイッチSW18およびSW19と、抵抗器R2~R4と、ホールド容量素子C11とを含む。第2のS/H回路94bは、スイッチSW20およびSW21と、抵抗器R5~R7と、ホールド容量素子C12とを含む。第1のS/H回路94aおよび第2のS/H回路94bの間で特性がほぼ同じとなるようにレイアウトを行うことが有益である。図示する例では、平滑化回路96に関して対称に第1のS/H回路94aおよび第2のS/H回路94bを配置している。D/A変換回路92の出力側に接続するS/H回路の数は、3以上であってもよい。
図19中の「Φ1d」および「Φ2d」は、スイッチSW18~SW21の制御信号を示す。第1のS/H回路94aに着目してサンプル/ホールドの動作を説明する。制御信号Φ1dを用いてスイッチSW18を制御することにより、スパイクノイズを避けるようなタイミングで、ホールド容量素子C11との接続を有するノードSHAに、D/A変換回路92の出力を抵抗器R2を介してサンプリングする。その後、制御信号Φ2dを用い、スイッチSW19および抵抗器R4を介して平滑化回路96の中点ノードVMIDに出力を転送する。
図示する例において、平滑化回路96は、容量素子C13およびC14と、抵抗器R8およびR9を含む。平滑化回路96の中点ノードVMIDは、あらかじめ基準電位Viniに初期化しておく。中点ノードVMIDの初期化は、スイッチSW22に制御信号Φini2を印加することによって行う。基準電位Viniは、スイッチSW22を介して容量素子C13に保持される。容量素子C13に保持された電荷と、第1のS/H回路94aの出力と、第2のS/H回路94bの出力とにより中点ノードVMIDにおける電位は変化する。傾斜電圧発生回路52からは、抵抗器R8およびR9と容量素子C14によって平滑化された電圧が出力される。図19に示すような構成によれば、サンプリング期間において平滑化も実行することができるので、出力の遅延を緩和し得る。
図20は、入力クロックCKおよびCKDと各制御信号との関係の一例を示すタイミングチャートである。図20中、各グラフの横軸は、時間Tを示す。図20中、上から順に、入力クロックCK、入力クロックCKD、制御信号Φ1、制御信号Φ2、D/A変換回路92の出力Dout、制御信号Φ1d、制御信号Φ2d、第1のS/H回路94aのノードSHAの電位および第2のS/H回路94bのノードSHBの電位(図19参照)、
ならびに、傾斜電圧発生回路52の出力電圧Vgenを示している。なお、図20中、ノードSHAの電位は、実線LAで示し、ノードSHBの電位は、破線LBで示している。
入力クロックCKDは、入力クロックCKに対して例えば数ナノ秒シフトした信号である。制御信号Φ1、Φ2、Φ1dおよびΦ2dは、入力クロックCKおよび入力クロックCKDを用いて生成される。
図21は、図20に示す制御信号Φ1、Φ2、Φ1dおよびΦ2dを生成するクロック生成回路の一例を示す。図21に示すクロック生成回路160は、複数の論理ゲート135~152を含んでいる。
D/A変換回路92は、入力クロックCKおよびCKDから生成された制御信号Φ1およびΦ2に基づいて動作し、階段状の波形を出力する(図20中の出力Dout)。出力Doutは、ステップの近傍にスパイクノイズを含んでいる。出力Doutは、制御信号Φ1dおよびΦ2dを用いることによってスパイクノイズを避けてサンプリングされる。第1のS/H回路94aおよび第2のS/H回路94bは、それぞれ、図20に示すような波形LAおよびLBを出力する。この2つの波形は、平滑化回路96内の中点ノードVMIDで重畳および平滑化される。このようにして、第1のS/H回路94a、第2のS/H回路94b、および、平滑化回路96により、階段状であった出力Doutからほぼなめらかな傾斜を有する傾斜電圧が生成され、傾斜電圧発生回路52から出力される。図19に例示するような構成によれば、傾斜電圧発生回路52の低ノイズ化と、D/A変換回路92の持つビット精度以上の精度とを実現し得る。
図22は、傾斜電圧発生回路の回路構成の他の一例を示す。図22に示す傾斜電圧発生回路52Bと、図19に示す傾斜電圧発生回路52との相違点は、傾斜電圧発生回路52Bが、抵抗器R3、R4、R6およびR7に代えて、トランジスタ154~157を有することである。図19に例示する構成において、トランジスタ154~157のゲートには、制御回路153が接続されている。制御回路153は、トランジスタ154~157に供給するゲート電圧を生成する。
図22に例示する構成では、トランジスタ154~157としてPチャンネルMOSトランジスタを用いている。この例では、PチャンネルMOSトランジスタを抵抗が可変な抵抗器として利用する。すなわち、この例では、MOSトランジスタのリニア領域における、ソース-ドレイン間電圧依存性を利用する。図22に例示する構成によれば、制御回路153から供給されるゲート電圧を調整することにより、トランジスタ154~157における抵抗を変更することが可能である。制御回路153から供給されるゲート電圧を変化させることにより、第1のS/H回路94a内の時定数と、第2のS/H回路94b内の時定数をアクティブに変更することが可能である。
図20に示すように、ノードSHAの電位を示すグラフおよびノードSHBの電位を示すグラフは、一般に、電圧の立ち上がりおよび立ち下りにおいて曲線状の変化を示す。これは、第1のS/H回路94aのスイッチSW19を流れる電流および第2のS/H回路94bのスイッチSW21を流れる電流が、平均化の過渡状態において抵抗器両端の電位差に依存して変化することに起因する。
この例では、平均化の過渡状態においてもスイッチSW19を流れる電流およびスイッチSW21を流れる電流が一定になるように、傾斜電圧の傾きに応じて時定数を調整するような電圧をゲート電圧としてトランジスタ154~157に印加する。これにより、傾斜電圧における傾きに応じて適切な時定数を得ることが可能である。
なお、PチャンネルMOSトランジスタの代わりに、NチャンネルMOSトランジスタを用いてもよい。また、図示する例では、トランジスタ154~157のゲートに印加される電圧は、互いに異なっていてもよいし、トランジスタ154~157のうちのいくつかに対して、選択的に共通の電圧を印加してもよい。ゲート電圧として、傾斜電圧発生回路の出力などを用いて生成された傾斜電圧を印加してもよい。
(第4の実施形態)
図23は、本開示の第4の実施形態に係る撮像装置における、単位画素セルおよび周辺回路の例示的な接続関係を示す。図23に示す撮像装置400は、電圧供給回路50Aと、垂直走査回路16を介して電圧供給回路50Aと接続された画素アレイPAとを有している。図23に例示する構成では、画素アレイPAは、4つの単位画素セル10Dを含んでいる。もちろん、画素アレイPAに含まれる単位画素セル10Dの数は4つに限定されない。なお、電圧供給回路50Aに代えて、上述した電圧供給回路50B~50Eのいずれか、または、電圧供給回路50Faおよび50Fbの組を用いてもよい。
撮像装置400は、周辺回路として、垂直走査回路16と、負荷回路27と、カラム信号処理回路20と、水平信号読み出し回路21と、反転増幅器29とを有している。カラム信号処理回路20、負荷回路27および反転増幅器29は、2次元に配列された単位画素セル10Dの列毎に配置されている。反転増幅器29の負側の入力端子は、対応する信号読み出し線18に接続されている。反転増幅器29の正側の入力端子には、所定の電圧(例えば1Vまたは1V近傍の正電圧)Vrefが供給される。この電圧Vrefは、リセットにおける基準電圧として利用される。反転増幅器29の出力端子は、各列に対応して設けられたフィードバック線31を介して、その反転増幅器29の負側の入力端子との接続を有する複数の単位画素セル10Dに接続されている。
図23に例示する構成において、フィードバック制御線28は、垂直走査回路16に接続されている。後述するように、垂直走査回路16がフィードバック制御線28に所定の電圧を印加することにより、単位画素セル10Dの出力を負帰還させるフィードバックループが形成される。反転増幅器29は、単位画素セル10Dからの出力を負帰還させるフィードバック回路の一部を構成する。反転増幅器29をフィードバックアンプと呼んでもよい。反転増幅器29は、反転増幅利得を変化させるためのゲイン調整端子29aを有していてもよい。反転増幅器29のゲインは、ゲイン調整端子29aの電位に応じて変化する。反転増幅器29においてゲインGと帯域Bの積は一定であるので、例えば、ゲインGを低下させると帯域Bは広く(カットオフ周波数が高く)なる。
図24は、単位画素セル10Dの例示的な回路構成を示す。図24においては、電圧供給回路50A、および、垂直走査回路16内のスイッチSWiの図示は省略されている。
図24に例示する構成において、増幅トランジスタ34のゲートは、電荷蓄積ノード44に接続されている。増幅トランジスタ34のソースおよびドレインの一方(NチャンネルMOSであればドレイン)は、電源配線(ソースフォロア電源)22に接続されている。増幅トランジスタ34は、光電変換部15によって生成された信号を増幅する。図24に例示する構成では、図2を参照して説明した電圧切り替え回路7は不要である。
フィードバック制御線28に所定の電圧を印加することにより、信号検出回路SCの出力を負帰還させるフィードバック回路47を形成することができる。フィードバック回路47は、増幅トランジスタ34、反転増幅器29およびフィードバックトランジスタ38を含む負帰還増幅回路である。フィードバック回路47の利得をAとすれば、フィードバック回路47の形成により、kTCノイズは1/(1+A)の大きさまでキャンセルされる。
この例においては、フィードバック回路47の形成は、フィードバック線31を共有する複数の単位画素セル10Dのうちの1つに対して実行される。このように、画素アレイPAの列毎にフィードバック回路の形成を実行してもよい。
フィードバック制御線28に印加する電圧は、傾斜電圧であり得る。傾斜電圧をゲート電圧として用いることにより、トランジスタの急激なオン/オフを回避し得る。これにより、トランジスタのオン/オフに伴って発生するノイズを縮小することが可能である。傾斜電圧を反転増幅器29のゲイン調整端子29aに印加してもよい。
図25は、第4の実施形態における単位画素セルの変形例を示す。図25に示す単位画素セル10Eにおいては、リセットトランジスタ36のソースおよびドレインの一方が電荷蓄積ノード44に接続されており、他方がリセットドレインノード46に接続されている。すなわち、この例では、リセットトランジスタ36は、容量素子41と並列接続されている。このような回路構成も適用可能である。図25に示す回路構成においても、図24に示す回路構成と同様に、フィードバック回路47の形成は、フィードバック線31を共有する複数の単位画素セル10Eのうちの1つに対して実行される。
(第5の実施形態)
図26は、本開示の第5の実施形態に係るカメラシステムの構成例を模式的に示す。図26に示すカメラシステム600は、レンズ光学系601と、撮像装置100と、システムコントローラ603と、カメラ信号処理部604とを有する。
レンズ光学系601は、例えばオートフォーカス用レンズ、ズーム用レンズおよび絞りを含んでいる。レンズ光学系601は、撮像装置100の撮像面に光を集光する。
システムコントローラ603は、カメラシステム600全体を制御する。システムコントローラ603は、例えばマイクロコンピュータによって実現され得る。
カメラ信号処理部604は、撮像装置100からの出力信号を処理する信号処理回路として機能する。カメラ信号処理部604は、例えばガンマ補正、色補間処理、空間補間処理、およびオートホワイトバランスなどの処理を行う。カメラ信号処理部604は、例えばDSP(Digital Signal Processor)などによって実現され得る。
本開示の実施形態によるカメラシステムにおける撮像装置100は、ノイズの影響が低減されている。その結果、電荷を正確に読み出すことができ、良好な画像を取得できる。また、増幅器54内のトランジスタのしきい値電圧のバラつきをキャンセルし得るので、低ノイズの傾斜電圧を単位画素セル10Aの帯域トランジスタ38に供給することが可能である。さらに、傾斜電圧の初期電圧を任意に設定可能であるので、帯域トランジスタ38のしきい値電圧のバラつきに応じた適切な初期電圧を用いることができ、効率的なノイズ抑制を実行し得る。撮像装置100に代えて、図8を参照して説明した撮像装置200、図17を参照して説明した撮像装置300、および、図23を参照して説明した撮像装置400のいずれを用いてもよい。