JP7121149B2 - コーティング剤、薄膜、薄膜付き基材、および薄膜の製造方法 - Google Patents

コーティング剤、薄膜、薄膜付き基材、および薄膜の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、コーティング剤、薄膜、薄膜付き基材、および薄膜の製造方法に関する。
現在、難燃剤市場は、環境負荷が高いハロゲン系難燃には規制があり、環境負荷が低い新たな材料が求められている。現在、主流のポリリン酸系の難燃剤(特許文献1)は、水溶液にすると、水にポリリン酸系成分が溶出し、難燃性効果が発揮できず、ポリリン酸系成分が結晶化すると、通常、ポリリン酸系成分の結晶のサイズが約30μm前後と大きくなるが、ポリリン酸系成分の結晶のサイズを10μm以下にすると難燃性効果がなくなるため、ポリリン酸系成分の結晶が大きい状態でしか使用できず、燃えやすい細い繊維には使用することができない(例えば、特許文献2の第0002段落)。また、ポリリン酸系成分の結晶を繊維にしようするときには、ポリリン酸系成分を、ポリリン酸系成分と繊維との合計100%に対して、25~30%程度を使用しないと効果がない(例えば、特許文献3の第0013段落)等による、単価負担も大きい。また、ポリリン酸系の練りこみで使用される難燃剤は、基材の物性に影響を与えてしまうため、難燃剤を付与しても、基材の物性を変えない、風合いを変えない難燃剤が求められている。特に、木造建築や世界遺産等、風合いは変えたくないが、劣化防止しつつ難燃化したい、という需要が多い。世界遺産等では、特に、観光客が多く、万が一の火事等事故への対策として、観光客が逃げる時間の確保は、重要が高い。
一方、近年、グローバル化に伴い、重症急性呼吸器症候群(SARS)、中東呼吸器症候群(MERS)、エボラ出血熱等、海外由来のウイルス感染症が、国をまたいで被害を増やした過去がある。
これらのウイルス感染症への水際対策として、各国の玄関口である空港(人が多く、2次感染が発生しやすい)の抗菌、消臭ニーズが、先進国、後進国問わず高くなっている。単体で抗菌作用があるものとしては、銀等があるが、人から人への空気感染に対しては、効果が発揮されない。そこで、空間中での抗菌および消臭効果のある光触媒技術への関心が高いが、光触媒は、基本的に紫外線に反応するものであり、可視光に対応しているものであっても、室内の実環境照度において、十分な消臭、抗菌効果を発揮できていない(例えば、特許医文献4の第0002、0003段落)。そして、光触媒は、能力が上がれば上がるほど、下地である基材の有機物も分解してしまうため、その対応策も必要となる。また、光触媒は、環境温度によって触媒能力が変化し、特に10℃以下になると、性能が低下してしまう。加えて、可視光に対応した光触媒は、可視光波長域に吸収波長域を持たせるため、粒径が大きく、着色度が高い物ほど性能が高い傾向があり、基材の風合いを変えたくないものに関しては、使用が難しい。加えて、分解機能を上げすぎると、下地である基材の有機物を分解してしまう等の問題点がある。
特開昭56-20058号公報 特開2006-63464号公報 特開平7-187626号公報 特開2005―169216号公報
本発明が解決しようとする課題は、下地である基材の風合いを変化させず、かつ基材を傷めずに、難燃性を付与するコーティング剤を提供することである。
本発明は、以下の構成を有することによって上記問題を解決したコーティング剤、薄膜、薄膜付き基材、および薄膜の製造方法に関する。
〔1〕酸化タングステン、シリカ、酸化錫、モリブデン、セレン、およびプラチナの平均粒子径5nm以下の粉末と、グラフェンの平均厚さが5nm以下の粉末と、溶媒を含むことを特徴とする、コーティング剤。
〔2〕さらに、リン化合物を含む、上記〔1〕記載のコーティング剤。
〔3〕さらに、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリジウム、酸化マンガン、酸化鉄、酸化銅、銀、金、酸化ニオブ、酸化アンチモン、酸化タンタル、酸化ガリウム、および硫黄からなる群から選択される少なくとも1種の平均粒子径5nm以下の粉末を含む、上記〔1〕または〔2〕記載のコーティング剤。
〔4〕上記〔1〕~〔3〕のいずれか記載のコーティング剤に含まれる粉末およびグラフェンを有する、薄膜。
〔5〕厚さが、5~200nmである、上記〔4〕記載の薄膜
〔5〕上記〔4〕または〔5〕記載の薄膜を含む、薄膜付き基材。
〔6〕上記〔1〕~〔3〕のいずれか記載のコーティング剤を塗布した後、乾燥する工程を含む、薄膜の製造方法。
本発明〔1〕によれば、下地である基材の風合いを変化させず、かつ基材を傷めずに、基材に難燃性を付与するコーティング剤を提供することができる。
本発明〔4〕によれば、下地である基材の風合いを変化させず、かつ基材を傷めずに、基材に難燃性を有する薄膜を提供することができる。本発明〔5〕によれば、下地である基材の風合いを変化させず、かつ基材を傷めずに、基材に難燃性を有する基材を提供することができる。本発明〔6〕によれば、下地である基材の風合いを変化させず、かつ基材を傷めずに、基材に難燃性を有する基材を、容易に製造することができる。
シリカナノ粉末分散液の平均粒子径を測定したときの結果である。 標準コーティング剤で形成した薄膜の断面の透過型電子顕微鏡写真である。
〔コーティング剤〕
本発明のコーティング剤(以下、コーティング剤ともいう)は、酸化タングステン、シリカ、酸化錫、モリブデン、セレン、およびプラチナの平均粒子径5nm以下の粉末と、グラフェンの平均厚さが5nm以下の粉末と、溶媒を含むことを特徴とする。コーティング剤に、上記ナノ粒子を含有させることにより、下地である基材の風合いを変化させず、かつ基材を傷めずに、基材に難燃性を付与するコーティング剤を提供することができる。コーティング剤に含まれる粒子が、5nmより大きくなると、コーティング剤から形成される薄膜中の孔が大きくなり、難燃性が低下してしまう。なお、平均粒子径5nm以下の粉末は、粒子径が小さい方が好ましく、平均粒子径5nm未満が好ましい。
バインダーを、5ナノ以下のシリカナノ粒子で構成することにより、表面積を増大し、シリカ以外の材料もすべて5ナノ以下(グラフェンのみ厚さが5nm以下)にすることで、凝集、沈降等の好ましくない機能の相殺効果を低減しつつ、難燃性に加えて、導電性、抗菌性、消臭性等の好ましい機能の相乗効果を発揮することが可能になる。コーティング剤に含まれる上記材料は、すべて高温での1酸化炭素を2酸化炭素にする触媒効果があることが、試験により判明しており、その触媒効果をより低温下で発揮させるためには、材料自身の粒子を小さくし、表面積を稼ぐことが重要となる。粒子サイズを5nm未満とし、小さくなればなるほど、その接触触媒効率は高くなる。さらに、追加触媒機能として、可視光光触媒効果のある5nm以下の酸化タングステン粉末が入ることにより、500lx(500ルクス)以下の低照度でも可視光による光触媒機能を発生させることが可能となる。継続分解性のために、導電材料としても機能する酸化スズ、グラフェン等の無機ナノ粒子を入れることにより、触媒機能との相乗併用効果も可能となる。
酸化タングステン(WO)の平均粒子径5nm以下の粉末(以下、酸化タングステンナノ粉末ともいう)は、コーティング剤から形成される薄膜に、難燃性、可視光光触媒性を付与する。酸化タングステンの平均粒子径は、難燃性、均一な厚さの成膜の観点から、1~3nmであると、好ましい。ここで、平均粒子径は、マルバーン・パナリティカル(Malvern Panalytical)社製ゼータサイザーナノ(Zetasize-nano)を用い、動的光散乱法で測定した個数基準に基づく値とする。
シリカ(SiO)の平均粒子径5nm以下の粉末(以下、シリカナノ粉末ともいう)は、コーティング剤から形成される薄膜に、難燃性を付与する。シリカの平均粒子径は、難燃性、難燃性、均一な厚さの成膜の観点から、1~3nmであると、好ましく、1~2nmであると、より好ましい。
酸化錫(SnO)の平均粒子径5nm以下の粉末(以下、酸化錫ナノ粉末ともいう)は、コーティング剤から形成される薄膜に、難燃性、帯電防止性を付与する。酸化錫の平均粒子径は、難燃性、均一な厚さの成膜の観点から、1~3nmであると、好ましい。
モリブデンの平均粒子径5nm以下の粉末(以下、モリブデンナノ粉末ともいう)は、コーティング剤から形成される薄膜に、難燃性、可視光光触媒性、抗菌性、耐摩耗性を付与する。モリブデンの平均粒子径は、難燃性、均一な厚さの成膜の観点から、1~3nmであると、好ましい。
セレンの平均粒子径5nm以下の粉末(以下、セレンナノ粉末ともいう)は、コーティング剤から形成される薄膜に、難燃性、抗菌性を付与する。セレンの平均粒子径は、難燃性、均一な厚さの成膜の観点から、1~3nmであると、好ましい。
プラチナの平均粒子径5nm以下の粉末(以下、プラチナナノ粉末ともいう)は、コーティング剤から形成される薄膜に、難燃性を付与する。プラチナの平均粒子径は、難燃性、均一な厚さの成膜の観点から、1~3nmであると、好ましい。
グラフェンの平均厚さが5nm以下の粉末(以下、グラフェンナノ粉末ともいう)は、コーティング剤から形成される薄膜に、難燃性、可視光光触媒性、帯電防止性、耐摩耗性を付与する。グラフェンの長さの一例は、5nm~3μmである。グラフェンの平均厚さは、難燃性、均一な厚さの成膜の観点から、1~5nmであると、好ましい。ここで、グラフェンの平均厚さと長さは、透過型電子顕微鏡写真(倍率10万倍)を観察して求めた質量平均粒子径である(n=50)。
酸化タングステンナノ粉末は、コーティング剤100質量部に対して、1~3質量部であると好ましく、1.5~2.5質量部であると、より好ましい。
シリカナノ粉末は、コーティング剤100質量部に対して、1.0~1.5質量部であると好ましい。
酸化錫ナノ粉末は、コーティング剤100質量部に対して、0.5~1.2質量部であると好ましく、0.8~1.0質量部であると、より好ましい。
モリブデンナノ粉末は、コーティング剤100質量部に対して、0.02~0.05質量部(200~500ppm)であると、好ましい。
セレンナノ粉末は、コーティング剤100質量部に対して、0.02~0.05質量部(200~500ppm)であると、好ましい。
プラチナナノ粉末は、コーティング剤100質量部に対して、0.005~0.01質量部(50~100ppm)であると、好ましい。
グラフェンナノ粉末は、コーティング剤100質量部に対して、0.005~0.01質量部(50~100ppm)であると、好ましい。
コーティング剤は、さらに、リン化合物を含むと、コーティング剤から形成される薄膜の難燃性の観点から、好ましい。リン化合物としては、オルトリン酸、リン酸カルシウム、リン酸ナトリウム、ポリリン酸アンモニウム等が、挙げられる。
リン化合物は、85体積%オルトリン酸水溶液の場合、コーティング剤から形成される薄膜の難燃性の観点から、コーティング剤100質量部に対して、0.5~5質量部であると、好ましい。リン化合物は、単独でも2種以上を併用してもよい。
コーティング剤は、さらに、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリジウム、酸化マンガン、酸化鉄、酸化銅、銀、金、酸化ニオブ、酸化アンチモン、酸化タンタル、酸化ガリウム、および硫黄からなる群から選択される少なくとも1種の平均粒子径5nm以下の粉末を含むと、好ましい。
ルテニウムは、コーティング剤から形成される薄膜の可視光光触媒性の観点から、コーティング剤100質量部に対して、0.001~0.01質量部であると、好ましい。
ロジウムは、コーティング剤から形成される薄膜の可視光光触媒性の観点から、コーティング剤100質量部に対して、0.001~0.01質量部であると、好ましい。
パラジウムは、コーティング剤から形成される薄膜の可視光光触媒性の観点から、コーティング剤100質量部に対して、0.001~0.01質量部であると、好ましい。
イリジウムは、コーティング剤から形成される薄膜の可視光光触媒性の観点から、コーティング剤100質量部に対して、0.001~0.01質量部であると、好ましい。
酸化マンガン(MnO)は、コーティング剤から形成される薄膜の可視光光触媒性の観点から、コーティング剤100質量部に対して、0.001~0.01質量部であると、好ましい。
酸化鉄(Fe)は、コーティング剤から形成される薄膜の可視光光触媒性の観点から、コーティング剤100質量部に対して、0.01~0.1質量部であると、好ましい。
酸化銅(CuO)は、コーティング剤から形成される薄膜の可視光光触媒性及び抗菌性の観点から、コーティング剤100質量部に対して、0.01~0.1質量部であると、好ましい。
銀は、コーティング剤から形成される薄膜の抗菌性の観点から、コーティング剤100質量部に対して、0.005~0.01質量部であると、好ましい。
金は、コーティング剤から形成される薄膜の抗菌性及び可視光光触媒性の観点から、コーティング剤100質量部に対して、0.001~0.01質量部であると、好ましい。
酸化ニオブ(Nb)は、コーティング剤から形成される薄膜の耐摩耗性及び可視光光触媒性の観点から、コーティング剤100質量部に対して、0.01~0.1質量部であると、好ましい。
酸化アンチモン(Sb)は、コーティング剤から形成される薄膜の難燃性及び帯電防止性の観点から、コーティング剤100質量部に対して、0.01~0.1質量部であると、好ましい。
酸化タンタル(Ta)は、コーティング剤から形成される薄膜の耐摩耗性の観点から、コーティング剤100質量部に対して、0.01~0.1質量部であると、好ましい。
酸化ガリウム(Ga)は、コーティング剤から形成される薄膜の可視光光触媒性の観点から、コーティング剤100質量部に対して、0.01~0.1質量部であると、好ましい。
硫黄は、コーティング剤から形成される薄膜の可視光光触媒性の観点から、コーティング剤100質量部に対して、0.001~0.01質量部であると、好ましい。
コーティング剤は、例えば、各種ナノ粉末、溶媒、およびその他添加剤等を、同時にまたは別々に、必要により加熱処理を加えながら、撹拌、溶融、混合、分散させることにより得ることができる。これらの混合、撹拌、分散等の装置としては、特に限定されるものではないが、ライカイ機、ボールミル、プラネタリーミキサー、ビーズミル等を使用することができる。また、これら装置を適宜組み合わせて使用してもよい。
コーティング剤には、本発明の目的を損なわない範囲で、更に必要に応じ、添加剤等を配合することができる。
〔薄膜および薄膜付き基材〕
本発明の薄膜は、上述のコーティング剤に含まれる粉末およびグラフェンを有する薄膜であり、上述のコーティング剤から溶媒が除去されたものである。本発明の薄膜は、厚さが、5~200nmであると、好ましい。薄膜の厚さが、200nmより厚くなると、薄膜が割れやすくなるため、難燃性が低下しやすくなる、色味が悪くなりやすい、風合いが変わりやすい、等になる。5nmより薄いと、難燃性が低下しやすくなるが、他の可視光などの効果は維持されうる。なお、薄膜の厚さが、100nm以上になると、導電性が良好になる。
この薄膜は、通常、基材の上に形成される。
この薄膜は、下地である基材の風合いを変化させず、かつ基材を傷めずに、基材に難燃性を付与することができる。
加えて、この薄膜は、常温での可視光光触媒性能、帯電防止性能、抗菌性能も有する。
常温での可視光光触媒性能は、薄膜に、難燃性に加えて、消臭性、超親水性、抗菌性・防カビ性・防藻性・防苔性等を、もたらし得る。
本発明の薄膜は、500lx(500ルクス)以下の可視光照度で、光触媒として作用し、10ppmメチレンブルー、ローダミンB等色素を分解することが確認されている。50lx(50ルクス)の可視光でも、光触媒効果が確認されているが、照度を上げれば上げるほど、分解能力が向上する。また、紫外線では、光触媒として作用しないため、基材などの有機素材の下地を分解しない可視光光触媒コートを形成することができる。光触媒反応は、ナノ粉末で形成された薄膜表面で起こるため、下地に対して光触媒分解反応が起こらないからである。なお、基材(布など)に先に色素を染み込ませた後に、コーティング剤を塗布しても色素を分解することはできないが、予め基材にコーティング剤を塗布して皮膜化した後に、色素を滴下するときには、色素を分解する。このことから、分解反応はあくまでコート剤被膜表面でのみ発生していることが、確認されている。
また、本発明の薄膜は、可視光光触媒性により、100℃前後の低温度から1酸化炭素を2酸化炭素に分解することができる。万が一に火事が起こった際も、高温による接触触媒による有害性ガス分解を発揮し、1酸化炭素を瞬時に2酸化炭素に分解することで、燃焼物の表面上の酸素を遮断することによる難燃性を発揮し、逃げるために安全な時間を確保しやすくなるという効果も期待される。
本発明の薄膜は、可視光光触媒性により、消臭効果も有する。ここで、瞬間的な消臭効果は、接触触媒効果により発揮され、持続的な分解効果は、可視光光触媒効果により発揮される。また、本発明の薄膜は、表面積が高く、非常に緻密であるため、難燃性が非常に優れており、抗菌防カビ防苔にも非常に高い抗菌性を有する。このことから、空港に限らず、2次感染の可能性が高い場所である、病院、鉄道、バス、駅、市役所等人の集まる場所全般に簡便に消臭抗菌することが可能となる。なお、光がない場所であっても、可視光光触媒性は発揮されないものの、無機ナノ粉末の中の抗菌剤を有する成分による抗菌効果は有する。
本発明の薄膜は、膜厚10nm前後で塗布することが可能で、表面抵抗率10の9乗台(単位:Ω/sq)の帯電防止機能も発揮することができる。本発明の薄膜は、可視光光触媒性により、水との接触角を5°未満にすることができる。
〔薄膜の製造方法〕
本発明の薄膜の製造方法は、上述のコーティング剤を塗布した後、乾燥する工程を含む。より具体的には、上述のコーティング剤を基材の上に塗布した後、乾燥する工程により、薄膜付き基材を製造することができる。
塗布する方法としては、刷毛塗り、ディッピング、スプレーコート等が挙げられるが、特に限定されない。
上述のコーティング剤は、常温乾燥で成膜することができる。乾燥する方法も、特に限定されない。乾燥条件の一例は、0~40℃で、5~60分間である。
本発明について、実施例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の実施例において、部、%はことわりのない限り、質量部、質量%を示す。
酸化タングステンナノ粉末分散液には、平均粒径3nmの酸化タングステンナノ粉末4質量部と、水96質量部を混合したものを用いた。
シリカナノ粉末分散液には、ジャパンナノコート製シリカバインダー(平均粒径1.3nmシリカ粒子3%、水97%)を用いた。
酸化錫ナノ粉末分散液には、平均粒径2nmの酸化錫ナノ粉末1質量部と、水99質量部を混合したものを用いた。
モリブデンナノ粉末分散液には、平均粒径2nmのモリブデンナノ粉末0.3質量部と、水99.7質量部を混合したものを用いた。
セレンナノ粉末分散液には、平均粒径2nmのセレンナノ粉末0.9質量部と、水99.1質量部を混合したものを用いた。
プラチナナノ粉末分散液には、平均粒径2nmのプラチナナノ粉末0.05質量部と、水99.95質量部を混合したものを用いた。
グラフェン分散液ナノ粉末には、平均厚さ2nmで、平均長さ5μmのグラフェン0.1質量部と、水99.9質量部を混合したものを用いた。
ルテニウムナノ粉末分散液には、平均粒径2nmのルテニウムナノ粉末0.05質量部と、水99.95質量部を混合したものを用いた。
パラジウムナノ粉末分散液には、平均粒径2nmのパラジウムナノ粉末0.05質量部と、水99.95質量部を混合したものを用いた。
酸化鉄(Fe)ナノ粉末分散液には、平均粒径3nmの酸化鉄ナノ粉末3質量部と、水97質量部を混合したものを用いた。
酸化銅(CuO)ナノ粉末分散液には、平均粒径3nmの酸化銅ナノ粉末3質量部と、水97質量部を混合したものを用いた。
銀ナノ粉末分散液には、平均粒径2nmの銀ナノ粉末0.5質量部と、水99.5質量部を混合したものを用いた。
酸化ニオブ(Nb)ナノ粉末分散液には、平均粒径4nmの酸化ニオブナノ粉末3質量部と、水97質量部を混合したものを用いた。
リン酸カルシウム(Ca(PO)粉末分散液には、平均粒径3nmのリン酸カルシウム粉末0.3質量部と、水99.7質量部を混合したものを用いた。
図1に、シリカナノ粉末分散液を、マルバーン・パナリティカル(Malvern Panalytical)社製ゼータサイザーナノ(Zetasize-nano)を用い、動的光散乱法で、平均粒子径を測定したときの結果を示す。他のナノ粉末粒子(グラフェンナノ粉末を除く)も同様にして、平均粒子径を測定した。
〔実施例1〕
酸化タングステンナノ粒子水溶液:2質量部、シリカナノ粒子水溶液:1質量部、酸化錫ナノ粒子水溶液:0.8質量部、モリブデンナノ粒子水溶液:0.075質量部、セレンナノ粒子水溶液:0.025質量部、プラチナナノ粒子水溶液:0.0025質量部、グラフェン水溶液:0.0025質量部、残部:水を混合し、標準組成のコーティング剤(以下、標準コーティング剤という)を作製した。
標準コーティング剤を、ガラス板上に塗布し、乾燥した後、透過型電子顕微鏡で観察した。透過型電子顕微鏡写真から、均一に分散していることがわかった。
標準コーティング剤を、ガラス基板上に塗布し、自然乾燥して、薄膜を形成した。
図2に、形成した薄膜の断面の透過型電子顕微鏡写真を示す。図2からわかるように、約9nmの均一な厚さの膜であった。
《難燃性試験》
綿100%のカナキン3号(JIS L 0803準拠)を、標準コーティング剤10質量部純水90質量部の液を作製し、ディッピングした。作製したコーティング剤の質量が、カナキン3号の質量の2倍になるまで、脱水し、テスト用試料を作製した。
一般財団法人カケンテストセンターで、テスト用試料を、JIS L 1901(E-2号)に準拠し、限界酸素指数(L.O.I.)を測定した。2回測定を行い、限界酸素指数は、26.6と、高い値であった。一般に、限界酸素指数が、26以上であれば、防炎性(自己消火性)を有している、とされる。
《光触媒性能テスト》
<アンモニア、ホルムアルデヒドの分解テスト>
幅:10cm×長さ:10cm×厚さ:3mmのガラス板に標準コーティング剤10質量部純水90質量部の液を塗布し、乾燥し、厚さ:約0.1μmの評価用膜を作製した。
内容積:10dmの評価用ボックス内に、評価膜を載置した。湿度21%の評価用ボックス内に、試験ガスを導入し、空気の対流が無い静的試験で、200lx(200ルクス)の可視光を照射して、ガス濃度の変化を、ガステック社検知管を用いて、測定した。評価ガスには、アンモニア:60ppm、またはホルムアルデヒド:50ppmを用いた。
評価ガスにアンモニアを使用したとき、初期に60ppmであったアンモニア濃度が、25分後に35ppmまで、140分後に22ppmまで低下した。なお、水で10倍に希釈した標準コーティング剤からグラフェンナノ粉末分散液のみを除き、評価ガスにアンモニア:50ppmを用いたこと以外は、同様にして試験を行った。このときは、初期に50ppmであったアンモニア濃度が、80分後に30ppm、120分後に25ppmまで低下し、可視光で十分な光触媒性能を示した。グラフェンナノ粉末分散液のみを除いた場合は、標準コーティング剤の場合より、アンモニア濃度の低下速度は遅いが、可視光で光触媒性能を示した。
評価ガスにホルムアルデヒドを使用したとき、初期に50ppmであったホルムアルデヒド濃度が、60分後に45ppmまで、120分後に30ppmまで低下し、可視光で十分な光触媒性能を示した。
<一酸化炭素分解テスト>
幅:26mm×長さ:76mm×厚さ:3mmのスライドガラス状に、標準コーティング剤:3gを塗布し、乾燥し、評価用膜を作製した。
内容積:の93cm評価用ガラス試験管容器内に、評価用膜を載置し、試験ガスを封入した。この評価用ガラス容器は、評価用ガラス容器内の一酸化炭素(CO)ガス濃度を測定するため、ガスクロマトグラフ/熱伝導度検出器(GC/TCD)に、ノズルを介して接続されている。
この評価用ガラス容器を、ホットプレート上に載置し、均熱のため、アルミ箔で覆った。次に、一酸化炭素(CO)ガス濃度の変化を、測定した。一酸化炭素の初期濃度は、400ppm(COガス500ppmを含むHeガス80vol%+大気20vol%)であった。まず、常温(25℃)で、可視光を照射した。1分後に、COガスが398ppmに減少し、常温での可視光光触媒性を確認した。次に、一酸化炭素の初期濃度に戻し、ホットプレートを加熱した。ホットプレートは、5分後に400℃まで昇温した。400℃になった後、1分後のCOガス濃度は、0ppmまで減少し、非常に良好な接触触媒性能であった。
<紫外線での湿式分解による光触媒性能評価>
JIS1703-2に基づき10μmol/dmのメチレンブルー水溶液35cmを、標準コーティングの液を100mm×100mm×厚み3mmのガラスに0.2g塗布し、乾燥した後、上記メチレンブルー水溶液を内径40mm×高さ3cmの試験セルに入れた後(紫外線放射照度1.00mW/cm、波長351nm)を照射した。このときのメチレンブルー濃度を、島津製作所製分光光度計UV-3100PCで測定した。メチレンブルー濃度(単位:μmol/dm)を縦軸に、紫外線照射時間(単位:分)を横軸に、プロットしたときの傾きである分解活性指数が3検体平均により0.3以下〔(nmol/dm)/分〕であり、紫外線では、光触媒性能を示さないことがわかった。
《抗菌性テスト》
綿100%のカナキン3号(JIS L 0803準拠)を、標準コーティング剤10質量部純水90質量部の液を作製し、ディッピングした。作製したコーティング剤の質量が、カナキン3号の質量の2倍になるまで、繰り返し脱水し、テスト用試料を作製した。
一般財団法人カケンテストセンターで、テスト用試料を、JIS L 1902で規定されている「菌液吸収法」に準拠し、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus NBRC 12732)を用いて、測定した。生菌数の常用対数値(カッコ内は、最大最小差)は、接種直後で4.61(0.1)、18時間培養後で、7.09(0.1)であり、増殖値Fは、2.6と、良好な抗菌性であった。
同様に、玄関マット:シェニールに対して、スプレーガンにて標準コーティング剤10質量部純水90質量部90の液を10cm/m塗布したものを用い、抗菌性テストを行った。シェニール原品の生菌数の常用対数値(カッコ内は、最大最小差)は、接種直後で、3.86(0.1)、18時間培養後で、1.90(0.0)であり、抗菌活性値は、5.8であった。洗濯5回後のシェニールの生菌数の常用対数値(カッコ内は、最大最小差)は、接種直後で、4.38(0.1)、18時間培養後で、1.30(0.0)であり、抗菌活性値は、5.8であった。一般に、抗菌活性値は、2.0以上であると、抗菌性が良好である、とされる。ここで、洗濯方法は、繊維評価技術協議会のSKEマーク繊維製品の洗濯方法(標準洗濯用)により行った。
<カビ抵抗性試験>
1)培地の作製
株式会社エム・アイ・シーで、パシフィックビーム・モールド法(PacificBeam MOLD test method)によるカビ抵抗性試験を行った。培地には、無機塩寒天培地を用いた。培地組成成分名および内容量を以下に示す。
KHPO:0.7g
HPO:0.7g
MgSO・7HO:0.7g
NHNO:1.0g
NaCl:0.005g
FeSO・7HO:0.002g
ZnSO・7HO:0.002g
MnSO・7HO:0.001g
寒天:15g
純水:1000cm
上記の培養成分を混合して作製した培地を、121℃で20分加熱処理し、殺菌した。0.01%のNaOHを添加して、溶液のpHを6.0~6.5に調整した。
2)試験菌液の作製
(1)混合胞子液の作製
培地から寒天をろ過した水溶液と、10±200,000個/cmの胞子量に調整した液と、等量混和させる。試験菌については、後述する。
(2)湿潤液の作製
ラウリル硫酸ナトリウム0.05g/dmの水溶液を作製した。
(3)試験菌液の調合
湿潤液に、混合胞子液に加え、十分に分散させた。
3)培養
(1)培容器と培養条件
温度・湿度サーモスタット付きサーキュレーターを使用して、温度:28~30℃、湿度:85%R・H以上の条件で培養した。
(2)培養期間は、28日間で行った。
4)試験菌
試験菌(真菌 71菌)は、6±4℃で30日以内保存したストックカルチャー純培養菌使用を、使用した。使用した試験菌(真菌 71菌)は、以下である。
1.アルタルナリア アルタナータ(Alternaria alternata)、2.アスペルギルス ニガー(Aspergillus niger)、3.アスペルギルス オリザエ (Aspergillus oryzae)、4.アスペルギルス フラバス(Aspergillus flavus)、5.アスペルギルス バーシカラ(Aspergillus versicolor)、6.アスペルギルス フミガータス(Aspergillus humigatus)、7.アスペルギルス テレーズ(Aspergillus terreus)、8.アスペルギルス レストリクタス(Aspergillus restrictus)、9.アスペルギルス オクロシアス(Aspergillus ochraceus)、10.アスペルギルス カンジダス(Aspergillus candidus)、11.アルタルナリア テヌイス(Alternaria tenuis)、12.アルカリゲネス フェカリス(Alcaligenes faecalis)、13.アルタルナリア ブラシコラ(Alternaria brassicicola)、14.オーレオバシディウム プルランス(Aureobasidium pullulans)、15.カンジダ アルビカンス(Candide albicans)、16.ケトミウム グラボサム(Chaetomium globosum)、17.クラドスポリウム クラドスポリオイダス(Cladosporium cladosporioides)、18.クラドスポリウム サファエロスペルマム(Cladosporium sphaerospermum)、19.クラドスポリウム ハーボラム(Cladosporium herbarum)、20.クラドスポリューム レジナエ(Cladosporium resinae)、21.カルバラリア ルナータ(Curvularia lunata)、22.ドレッシラ オストラライン(Drechslera australiensis)、23.エピコッカム パーパラセン(Epicoccum purpurascens)、24.ユーロチウム タネフィラム(Eurotium tonophilum)、25.ユーロチウム ルブラム(Eurotium rubrum)、26.ユーロチウム シバリエリ(Eurotium chevalieri)、27.ユーロチウム アムステロダミ(Eurotium amstelodami)、28.フザリウム セミテクタム(Fusarium semitectum)、29.フザリウム オキシスポラム(Fusarium oxysporum)、30.フザリウム ソラニ(Fusarium solani)、31. フザリウム ロゼアム(Fusarium roseum)、31.フザリウム モニリフォルメ(Fusarium moniliforme)、33.フザリウム プラリフェラタム(Fusarium proliferatum)、34.ゲオトリカム カンディダム(Geotricham candidum)、35.ゲオトリカム ラクタス(Geotricham lactus)、36.グリオクラディウム ビレン(Gliocladium virens)、37.モニリア フルクティガネ(Monilia fructigena)、38.モニリア ニグラ(Monilia nigral)、39.ムコール ラセマウセス(Mucor racemosus)、40.ミロテシウム バルカリア(Myrothecium verrucaria)、41.ムコール スピネッセンス(Mucor spinescens)、42.ニグロスポラ オリザエ(Nigrospora oryzae)、43.ニグロスポラ スフェリカ(Nigrospora sphaerica)、44.ニューロスポラ ストフィラ(Neurospora sitophila)、45.ペニシリウム フリークェンタス(Penicillium frequentance)、46.ペニシリウム イスランディカム(Penicillium islandicum)、47.ペニシリウム シトリナム(Penicillium citrinum)、48.プルラリア プルランス(Pullularia pullulans)、49.ペニシリウム イクパンザム(Penicillium expansum)、50.ペニシリウム シクロピアム(Penicillium cyclopium)、51.ペニシリウム シトレオビリデ(Penicillium citreo-viride)、52.ペニシリウム ファニキュロザム(Penicillium funiculosum)、53.ペニシリウム ニグリカンス(Penicillium nigricans)、54.ペニシリウム リラシナム(Penicillium lilacinum)、55.ペスタロティア アダスタ(Pestalotia adusta)、56.ペスタロティア ネグレクタ(Pestalotia neglecta)、57.フォーマ シトリカルパ(Phoma citricarpa)、58.フォーマ テレスチアス(Phoma terrestius)、59.フォーマ グロミタラ(Phoma glomerata)、60.リゾプス ニグリカンス(Rhizopus nigricans)、61.リゾプス オリザエ(Rhizopus oryzae)、62.リゾプス ストロニファー(Rhizopus storonifer)、63.リゾプス ソラニ(Rhizopus solani)、64.セドスポリウム アビオスペルマム(Scedosporium apiospermum)、65.トリコフィートン ミンタグルフィテス(Trichophyton mentagrophytes)、66.トリコデルマ ビリデ(Trichoderma viride)、67.トリコデルマ コニンギー(Trichoderma koningii)、68.トリコデルマT-1(T-1 Trichoderma)、69.トリコデルマ ハルジアナム(Trichoderma harzianum)、70.ウロクラディウム アトラム(Ulocladium atrum)、71.ワレミア セビ(Wallemia sebi)
3)評価方法
菌の発育状態を、以下の基準で評価した。
0:全く菌が発育しない
1:10%以下の発育
2:10~30%以下の発育
3:30~60%以下の発育
4:60%以上の完全発育
4)試験
標準コーティング剤10質量部純水90質量部の液を作製し、スプレーガンにて10cm/mで塗布した検体をパシフィックビーム・モールド法による71菌を使用した28日間のカビ抵抗性試験を行った。その結果、28日後において、PBMを添加した検体においてカビの発育が認めらなかったことから、カビ抵抗性がある、と考えられる。ここで、試験検体には、ポリエチレン袋に、上記液剤を塗布したものを使用した。ブランクには、ポリエチレン袋そのままを使用した。
5)試験結果
試験検体は、28日経過後も評価が「0」と、良好であった。これに対して、ブランクは、14日経過後で、評価が「1」になり、24日経過後で、評価が「2」と菌の繁殖が認められた。
〔実施例2〕
標準コーティング剤95質量部に、ルテニウムナノ粉末分散液5質量部を添加した。可視光光触媒機能が、向上した。*500ルクス(lx)下で、標準コーティング液よりも色素分解速度が向上した。
〔実施例3〕
標準コーティング剤95質量部に、パラジウムナノ粉末分散液5質量部を添加した。可視光光触媒機能が、向上した。*500ルクス(lx)下で、標準コーティング液よりも色素分解速度が向上した。
〔実施例4〕
標準コーティング剤98質量部に、酸化鉄ナノ粉末分散液2質量部を添加した。可視光光触媒機能が、向上した。*500ルクス(lx)下で、標準コーティング液よりも色素分解速度が向上した。
〔実施例5〕
標準コーティング剤98質量部に、酸化銅ナノ粉末分散液2質量部を添加した。可視光光触媒機能が、向上した。*500ルクス(lx)下で標準コーティング液よりも色素分解速度が向上した。
〔実施例6〕
標準コーティング剤99質量部に、銀ナノ粉末分散液1質量部を添加した。可視光光触媒機能が、向上した。*500ルクス(lx)下で標準コーティング液よりも色素分解速度が向上した。
〔実施例7〕
標準コーティング剤99質量部に、酸化ニオブナノ粉末分散液1質量部を添加した。可視光光触媒機能が、向上した。*500ルクス(lx)下で標準コーティング液よりも色素分解速度が向上した。
〔実施例8〕
標準コーティング剤20質量部純水76質量部の液を作製し、オルトリン酸(85体積%)をリン酸として3.8質量部、および追加でリン酸3カルシウムを、リン酸3カルシウムとして0.2質量部を加えた液を用意した。金巾3号に、標準コーティング剤と同様に形成された膜の表面抵抗値を計測した結果、標準コーティング液の場合が10の8乗台であるのに対し、10の6乗台(単位:Ω/sq)に向上しつつ、難燃性能としては、標準コーティング液の場合が酸素指数26.6であるのに対し、酸素指数29.8とさらに向上し、かつ風合いもよくなった。ここで、表面抵抗値は、太洋電機産業製表面抵抗計(型番:WA-400、2点間抵抗法)で測定した。
〔比較例1〕
標準コーティング剤に、酸化タングステンナノ粉末分散液を含まないコーティング液を作製した。可視光光触媒機能が発揮されなかった。
〔比較例2〕
標準コーティング剤に、シリカナノ粉末分散液を含まないコーティング液を作製した。密着性、難燃性が、低下した。
〔比較例3〕
標準コーティング剤に、酸化錫粉末分散液を含まないコーティング液を作製した。帯電防止性能が、低下した。
〔比較例4〕
標準コーティング剤に、モリブデンナノ粉末分散液を含まないコーティング液を作製した。可視光光触媒性能が、低下した。
〔比較例5〕
標準コーティング剤に、セレンナノ粉末分散液を含まないコーティング液を作製した。抗菌性が、低下した。
〔比較例6〕
標準コーティング剤に、プラチナナノ粉末分散液を含まないコーティング液を作製した。可視光光触媒性、難燃性が、低下した。
〔比較例7〕
標準コーティング剤に、グラフェンナノ粉末分散液を含まないコーティング液を作製した。可視光光触媒性、導電性が、低下した。
本発明のコーティング剤は、下地である基材の風合いを変化させず、かつ基材を傷めずに、基材に難燃性を付与するコーティング剤を提供することができるので、非常に有用である。

Claims (7)

  1. 酸化タングステン、シリカ、酸化錫、モリブデン、セレン、およびプラチナの平均粒子径5nm以下の粉末と、グラフェンの平均厚さが5nm以下の粉末と、溶媒を含み、
    酸化タングステンの平均粒子径が、1~3nmであり、
    グラフェン粉末を、コーティング剤100質量部に対して、0,005~0.01質量部含むことを特徴とする、コーティング剤。
  2. さらに、リン化合物を含む、請求項1記載のコーティング剤。
  3. さらに、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、イリジウム、酸化マンガン、酸化鉄、酸化銅、銀、金、酸化ニオブ、酸化アンチモン、酸化タンタル、酸化ガリウム、および硫黄からなる群から選択される少なくとも1種の平均粒子径5nm以下の粉末を含む、請求項1または2記載のコーティング剤。
  4. 請求項1~3のいずれか1項記載のコーティング剤に含まれる粉末およびグラフェンを有する、薄膜。
  5. 厚さが、5~200nmである、請求項4記載の薄膜。
  6. 請求項4または5記載の薄膜を含む、薄膜付き基材。
  7. 請求項1~3のいずれか1項記載のコーティング剤を塗布した後、乾燥する工程を含む、薄膜の製造方法。
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