JP7121000B2 - 熱処理されたチーズの製造方法 - Google Patents

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Description

発明の分野
本発明はチーズの製造方法に関する。より具体的には、本発明は、望ましい溶融特性を有する、熱処理されたチーズ(すなわち、プロセス様チーズ)などの、チーズを製造するための方法および機能性成分に関する。
発明の背景
長年にわたり、プロセスチーズは基本的な食品であり続けている。それは、マカロニ・アンド・チーズ、ディップ、前菜、およびキャセロール鍋料理など、さまざまな料理のレシピに見出すことができる。プロセスチーズのスライスはサンドイッチの他の構成要素に加えることができ、またはそれらはサンドイッチの主成分となることができる(例えば、グリルドチーズ)。細切りチーズは、ほとんどのピザの主要な構成要素である。しかし、Cheese Market Newsが発表した2014年11月のオンライン記事によると、あらゆる形態および市場でのナチュラルチーズの消費量は過去10年間で増加していたが、プロセスチーズの消費量は減少していた(Zimmerman, E., 2015 Trends and Dairy Solutions, Cheese Market News, http://www.cheesemarketnews.com/guestcolumn /2014/ 21nov14_01.html(非特許文献1))。この減少の理由の1つは、一般の人々が低ナトリウム代替物を望む気持ちにある。
米国食品医薬品局によると、「消費されるナトリウムの大部分は、塩入れではなく、加工食品や調理済み食品によってもたらされる。これは、私達全員がナトリウムの消費量を制御することをより困難にしている。特定の食品中のナトリウムを減らしている会社も一部にはあるが、多くの食品、特に加工食品や調理済み食品は、高いナトリウム摂取の一因となり続けている」(http://www.fda.gov(非特許文献2))。
塩は単なる風味以上の理由でチーズに配合される。チーズ製造において塩は望ましい機能性を提供する。ナチュラルチーズの製造中、塩は、所望のpHに達した後でカードに添加され、スターターカルチャーおよび酵素を調節することによって発酵とタンパク質分解を制御するのに役立っている。塩はまた、チーズの水分活性を低下させ、望ましくない微生物の繁殖を防いでいる。プロセスチーズは、ナチュラルチーズを乳化塩および他の成分とブレンドし、次いで加熱・混合して保存期間が長い均質な製品を形成することによって製造される。乳化塩は、加熱したとき、プロセスチーズを流動させる。乳化塩はまた、溶融したプロセスチーズの均質性を維持しているが、一方で、ナチュラルチーズは溶融温度への加熱時にカゼインマトリックスから油脂を分離して放出する傾向がある。乳化塩は、スイスのWalter GerberとFritz Stettlerがエメンタールチーズにクエン酸ナトリウムを添加した1900年代初頭からチーズ製造の一部となっている。第一次世界大戦の頃、J. L. Kraftは常温保存可能な形態を作るためにチーズを低温殺菌する方法を開発した;それに対して彼は1916年に米国特許第1,186,524号(特許文献1)を取得した。これら2つの進歩は、今日生産されている「低温殺菌プロセスチーズ」につながった。
KapoorとMetzgerは、プロセスチーズの製造中に乳化塩を添加したときに起こるプロセスについて優れた説明を提供している(Kapoor, R. and Metzger, L.E., Process Cheese: Scientific and Technological Aspects-A Review, Comprehensive Reviews in Food Science and Food Safety (2008) 7: 194-214(非特許文献3))。しかし、非常に単純化して言えば、乳のカゼイン間にはカルシウム架橋が存在するが、それらの多くは、レンネット酵素が該タンパク質をカード(凝乳)に固まらせて、カルシウムが凝固のためのイオン架橋を提供するために形成される。カルシウムイオンは該タンパク質をまとめるのに役立っている。プロセスチーズの製造中にクエン酸ナトリウムを添加すると、カルシウムイオンがナトリウムイオンにとって代わる。カゼインは、疎水性がより低くなり、より可溶性になる。破壊されたカゼイン複合体はまた、脂肪粒子の表面を覆う傾向がある。これは、プロセスチーズの製造に使用した元のナチュラルチーズよりも柔軟性のある構造をもたらし、該構造は、それを加熱したとき、脂肪/油の大半の「オイルオフ」を起こすのではなく、脂肪分子とのその会合をなおも維持することが可能である。この組み合わせが生じるように設計されるプロセスチーズの望ましい性質は、加熱時にプロセスチーズが軟化する傾向と、完全に溶けたときにプロセスチーズが広がって流れる傾向である。
乳化塩(ES)は、1価の陽イオンと多価の陰イオンからなるイオン性化合物である。プロセスチーズ中の乳化塩の主な機能は、プロセスチーズ製造中のナチュラルチーズに存在するリン酸カルシウム結合タンパク質ネットワークの破壊およびpH調整である。プロセスチーズの製造に使用することが承認されている13の乳化塩が、米国連邦規則集(United States Code of Federal Regulations(非特許文献4))のリストに載っている:リン酸一、二、および三ナトリウム、リン酸二カリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、酸性ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウム、リン酸アルミニウムナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸カルシウム、酒石酸ナトリウム、ならびに酒石酸カリウムナトリウム。これらの化合物のほとんどがナトリウムを含んでいることに留意されたい。ZehrenとNusbaumによると、クエン酸カルシウムが上記リストに加えられたが、それは、クエン酸カルシウムがナトリウム系ESの製造中にも製造され、1種の乳化剤単独でよりも組み合わせで良好に作用することを認識した産業科学者の要望の結果であった(Zehren, V.L. and D.D. Nusbaum, Process Cheese, (著作権)1992, Schreiber Foods, Green Bay, Wisconsin, p. 66(非特許文献5))。しかしながら、カルシウム系乳化塩の使用は、Galpinら(WO2010/140905(特許文献2))のような当業者の間では現行の推論に反しており、彼らは、熱処理されたチーズを製造するための乳化塩の必要性を低減または排除するための方法を開示したが、その方法は出発原料または製造過程の中間体から相当量のカルシウムを除去する必要があった。彼らの開示の中で、彼らは、「・・・チーズのカルシウム含有量を大幅に低下させない限り、乳化塩なしではプロセスチーズと関連製品を製造することができない」と述べた(4ページ、4~6行目)。
消費者は、低ナトリウム製品、ならびに添加剤がより少ない製品の必要性を認識している。「市場では、添加剤、例えば乳化塩、最近では特にナトリウム、を使わずに製造された食品に対する消費者および当局からの需要が高まっている。」(Hougaard, A.B. et al., Production of Cheese Powder without Emulsifying Salt: Effect of Processing Parameters on Rheology and Stability of Cheese Feed, Annual Transactions of the Nordic Rheology Society (2013) 21:315-16(非特許文献6))。Food Business Newsの2016年10月のオンライン記事によると、2015年に、ユーロモニター(Euromonitor)はクリーンラベル製品の世界的売上高が1,650億ドルで、そのうち620億ドルは北米のみの売上高であると推定した(http://www.foodbusinessnews.net/articles/news_home/Business_News/2016/10/Clean_label__a_$180_billion_gl.aspx?ID ={35B6F389-F481-4BF5-8DD1-9BAB90D5EA8B}&cck=1(非特許文献7))。乳化塩の使用を低減または排除することは、それらのチーズ製品をより「クリーンラベル」(clean label)にする可能性がある。
FDAのウェブサイトは、次のように述べている:米国疾病管理センター(United States Centers for Disease Control:CDC)は、「血圧降下におけるナトリウム削減の利点を支持し続ける、いくつかの重要な研究をまとめた。これらの研究の一部において、研究者らは、今後10年間で米国のナトリウム摂取量を約40パーセント減らすことで、50万人の命が救われ、医療費が1000億ドル近く節約できると推定している。」それはまた、次のように述べている:世界保健機関はナトリウム摂取の世界的削減を勧告しており、ナトリウム摂取を減らすように努力している国が75か国あり、39か国は1つ以上の加工食品の目標ナトリウムレベルをすでに設定している。
プロセスチーズ製品に添加される乳化塩はナトリウム含有量を増加させる。塩の添加は商業上のチーズ加工において必要な工程であるが、これらの乳化塩の代替物を見つけることは、プロセスチーズ製品の塩含有量を減らすための1つのアプローチであると考えられる。例えば、Galpinの方法(WO2010/140905(特許文献2))は、「カルシウム枯渇カゼイン源」の使用を含み、「その少なくとも一部は、その2価イオン(カルシウムイオンを含む)の一部を、ナトリウムまたはカリウムイオンで置き換えたものである」。次いで、プロセスチーズを製造する過程で不溶性カルシウムが添加される。乳化塩は細切りチーズの熱処理中に添加されないが、この方法は相当量のナトリウムおよび/またはカリウムの添加をなおも必要とし、その量は、乳化塩を用いてプロセスチーズを製造する場合に得られる効果と同様の効果を生じるのに十分な量である。さらに、このような方法は、「カルシウム枯渇カゼイン源」を製造または取得する追加の工程を必要とし、製造コストを増大させる。
プロセスチーズにおける乳化塩の使用を低減および/または排除するための新規でより優れた方法および組成物が必要とされている。
米国特許第1,186,524号 WO2010/140905
Zimmerman, E., 2015 Trends and Dairy Solutions, Cheese Market News, http://www.cheesemarketnews.com/guestcolumn /2014/ 21nov14_01.html http://www.fda.gov Kapoor, R. and Metzger, L.E., Process Cheese: Scientific and Technological Aspects-A Review, Comprehensive Reviews in Food Science and Food Safety (2008) 7: 194-214 United States Code of Federal Regulations Zehren, V.L. and D.D. Nusbaum, Process Cheese, 1992, Schreiber Foods, Green Bay, Wisconsin, p. 66 Hougaard, A.B. et al., Production of Cheese Powder without Emulsifying Salt: Effect of Processing Parameters on Rheology and Stability of Cheese Feed, Annual Transactions of the Nordic Rheology Society (2013) 21:315-16 http://www.foodbusinessnews.net/articles/news_home/Business_News/2016/10/Clean_label__a_$180_billion_gl.aspx?ID ={35B6F389-F481-4BF5-8DD1-9BAB90D5EA8B}&cck=1
本発明は熱処理されたチーズの製造方法に関し、該方法は、少なくとも1種の細切りナチュラルチーズを、少なくとも1種の無機カルシウム組成物を含む組成物と混合する工程、ここで、該カルシウム組成物は少なくとも1種の乳化塩の機能的代替物を提供すること、および細切りナチュラルチーズと少なくとも1種の無機カルシウム組成物とを熱処理して、熱処理されたチーズを製造する工程を含む。様々な態様において、本発明はまた、熱処理されたチーズの製造方法を含み、該方法は、少なくとも1種の細切りナチュラルチーズを、カルシウムおよびリン酸塩を含む組成物と混合する工程、ここで、該組成物中のカルシウム対リン酸塩の比は約4:1から約1:1であること、および細切りチーズとカルシウム組成物とを加熱して、熱処理されたチーズを製造する工程を含む。様々な態様では、該組成物は、乳ミネラル、無機カルシウム、無機リン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択されることができる。いくつかの態様では、乳ミネラルは牛乳から分離される。様々な態様では、カルシウム組成物は、チーズが細切りされた後に添加することができ、また、様々な態様では、カルシウム組成物は、チーズが細切りされる前に(例えば、ナチュラルチーズのチーズ製造過程中に)添加することができる。
様々な態様において、本発明は熱処理されたチーズの製造方法に関し、該方法は、少なくとも1種のナチュラルチーズを、生物学的供給源から分離された少なくとも1種のカルシウム含有ミネラル組成物からなる群より選択されるカルシウム組成物と混合する工程を含む。様々な態様では、生物学的供給源は、哺乳動物の乳、植物組織、藻類、細菌、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される。いくつかの態様では、哺乳動物の乳からのカルシウム組成物は、牛乳から分離された乳ミネラル組成物を含む。いくつかの態様では、乳ミネラルは熱処理されたチーズの約0.25%~約3%(w/w)を占める。様々な態様では、乳ミネラルは家畜牛の乳から分離された乳ミネラルであり得る。様々な態様では、乳ミネラルの添加前に少なくとも1種のナチュラルチーズを細切りにし、様々な態様では、ナチュラルチーズを細切りにする前に乳ミネラルを添加する。様々な態様では、無機カルシウムおよびリン酸塩(例えば、リン酸カルシウム)は、熱処理されたチーズの約0.25%~約3%w/wのレベルで使用することができる。
本発明の方法の様々な局面は、熱を加えることによって細切りチーズを溶融して溶融チーズを製造する工程と、溶融チーズを少なくとも1つのチーズ冷却・成形用の装置に移す工程とをさらに含む。様々な態様では、少なくとも1つの装置は、チーズが冷えて、容器の内部寸法の形になるときにチーズを保持するための容器であり得、かつ/またはそのような装置は、プロセスチーズを形成、成形、および切断して、例えば、スライス、塊、細切り、および/または個々に包まれたスライスを形成するための、当業者に公知のクーリングベルト、キャスティングライン、または同様の装置であり得る。様々な態様では、少なくとも1種の含有物、例えば、唐辛子のぶつ切りおよび/またはフレーク、香味料、果実片および他の適合性のある含有物が、細切りナチュラルチーズと混ぜ合わされて、熱処理されたチーズに配合される。
本発明はまた、熱処理されたチーズ中のナトリウムレベルを下げかつカルシウムレベルを上げる方法に関し、該方法は、プロセスチーズ中の成分として約0.25%~約3.0%(w/w)のレベルで含めるための乳化塩または乳化塩の組み合わせの約25%~約100%を、約0.25%~約5.0%(w/w)の乳ミネラルと置き換える工程を含む。様々な態様において、乳ミネラルはウシ(Bovidae)科の動物の乳から分離される。いくつかの態様では、乳ミネラルは家畜乳牛の乳から分離される。様々な態様では、乳ミネラルは、カルシウムを含む少なくとも1種の藻類ミネラル組成物、少なくとも1種の無機カルシウム/リン(例えば、リン酸塩)組成物、または少なくとも1種のそれらの組み合わせと置き換えられるか、または組み合わされる。
熱処理されたチーズ中の乳化塩を置き換えるための方法であって、熱処理されたチーズの製造に使用される少なくとも1種のナチュラルチーズに乳ミネラルを添加することを含み、ここで、機能的に等価な量の乳化塩の代わりとして、熱処理されたチーズの約0.25~約5重量%の量の乳ミネラルが添加される。様々な態様において、乳化塩は、リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸二カリウム、リン酸三ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、酸性ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウム、リン酸アルミニウムナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸カルシウム、酒石酸ナトリウム、酒石酸カリウムナトリウム、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、前記方法。
本発明はまた、機能性チーズの製造方法に関し、該方法は、ナチュラルチーズ製造中の凝固、水切り、加塩、および熟成のいずれかの工程中に、ナチュラルチーズ製品の約0.25%~約5%w/wを占める乳ミネラルを添加することを含み、それによって機能性チーズが製造される。
[本発明1001]
熱処理されたチーズの製造方法であって、
少なくとも1種の細切りナチュラルチーズを、少なくとも1種の無機カルシウム組成物を含む組成物と混合する工程であって、該カルシウム組成物が少なくとも1種の乳化塩の機能的代替物を提供する、工程;ならびに
該細切りナチュラルチーズと少なくとも1種の無機カルシウム組成物とを熱処理して、熱処理されたチーズを製造する工程
を含む、前記方法。
[本発明1002]
前記カルシウム組成物が乳ミネラルを含む、本発明1001の方法。
[本発明1003]
前記乳ミネラルが、前記熱処理されたチーズの約0.25%~約3%(w/w)を占める、本発明1002の方法。
[本発明1004]
前記少なくとも1種のナチュラルチーズが、前記カルシウム組成物の添加前に細切りされる、本発明1001の方法。
[本発明1005]
前記少なくとも1種のナチュラルチーズが、前記カルシウム組成物の添加後に細切りされる、本発明1001の方法。
[本発明1006]
前記ナチュラルチーズが、チーズ乳を処理するために少なくとも1種のホスホリパーゼを添加することによって、またはチーズ乳からチーズを製造するときに少なくとも1種のホスホリパーゼを添加することによって製造されたチーズである、本発明1001の方法。
[本発明1007]
熱処理されたチーズの製造方法であって、
少なくとも1種の細切りナチュラルチーズを、カルシウムおよびリン酸塩を含む組成物と混合する工程であって、該組成物中のカルシウム対リン酸塩の比が約4:1から約1:1である、工程;ならびに
細切りチーズとカルシウム組成物とを加熱して、熱処理されたチーズを製造する工程
を含む、前記方法。
[本発明1008]
前記組成物が、乳ミネラル、無機カルシウム、無機リン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択されることができる、本発明1007の方法。
[本発明1009]
前記乳ミネラルが、牛乳から分離される、本発明1007の方法。
[本発明1010]
前記ナチュラルチーズが、チーズ乳を処理するために少なくとも1種のホスホリパーゼを添加することによって、またはチーズ乳からチーズを製造するときに少なくとも1種のホスホリパーゼを添加することによって製造されたチーズである、本発明1007の方法。
[本発明1011]
熱処理されたチーズの製造方法であって、
少なくとも1種のナチュラルチーズを、乳ミネラル、藻類ミネラル、無機カルシウムとリンとを含む組成物、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される約0.25%~約5%(w/w)の組成物と混合する工程;
熱を加えることによって該チーズを溶融して溶融チーズを製造する工程;ならびに
該溶融チーズを、チーズを成形および冷却するための装置に移す工程
を含む、前記方法。
[本発明1012]
前記乳ミネラルが、前記熱処理されたチーズの約0.25%~約3%(w/w)を占める、本発明1011の方法。
[本発明1013]
前記乳ミネラルが、家畜牛の乳から分離される、本発明1011の方法。
[本発明1014]
前記少なくとも1種のナチュラルチーズが、チェダー、モッツァレラ、コルビー、モンテレージャック、コルビージャック、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、本発明1011の方法。
[本発明1015]
前記ナチュラルチーズが、チーズ乳を処理するために少なくとも1種のホスホリパーゼを添加することによって、またはチーズ乳からチーズを製造するときに少なくとも1種のホスホリパーゼを添加することによって製造されたチーズである、本発明1011の方法。
[本発明1016]
熱処理されたチーズ中のナトリウムレベルを下げかつカルシウムレベルを上げる方法であって、プロセスチーズ中の成分として約0.25%~約3.0%(w/w)のレベルで含めるための、リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、酸性ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウム、リン酸アルミニウムナトリウム、クエン酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、酒石酸カリウムナトリウム、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1種の乳化塩の約25%~約100%を、乳ミネラル、藻類ミネラル、植物ミネラル、無機カルシウムおよびリン、またはそれらの組み合わせを含む約0.25%~約5.0%(w/w)の組成物と置き換える工程を含む、前記方法。
[本発明1017]
前記乳ミネラルが、ウシ(Bovidae)科の動物の乳から分離される、本発明1016の方法。
[本発明1018]
前記藻類ミネラルが、イシモ(Lithothamnion)属の少なくとも1種の藻から分離される、本発明1016の方法。
[本発明1019]
機能性チーズの製造方法であって、ナチュラルチーズ加工中の凝固、水切り、加塩、および熟成のいずれかの工程中にカルシウム組成物を添加することを含み、該カルシウム組成物が、カルシウムを含む少なくとも1種の乳ミネラル組成物、カルシウムを含む少なくとも1種の植物ミネラル組成物、カルシウムを含む少なくとも1種の藻類ミネラル組成物、カルシウムを含む少なくとも1種の細菌ミネラル組成物、カルシウムとリン酸塩とを約4:1から約1:1の比で含む少なくとも1種の無機ミネラル組成物、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、前記方法。
[本発明1020]
前記カルシウム組成物が、ナチュラルチーズを再粉砕し、乳ミネラルを添加し、チーズを再成形することにより、熟成工程中に添加される、本発明1019の方法。
[本発明1021]
前記機能性チーズを熱処理して、熱処理されたチーズを製造する工程をさらに含む、本発明1019の方法。
[本発明1022]
前記ナチュラルチーズが、チーズ乳を処理するために少なくとも1種のホスホリパーゼを添加することによって、またはチーズ乳からチーズを製造するときに少なくとも1種のホスホリパーゼを添加することによって製造されたチーズである、本発明1019の方法。
[本発明1023]
カルシウムを増やした機能性チーズの製造方法であって、凝固、水切り、加塩、熟成、再粉砕、およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるチーズ製造のいずれかの工程において、カルシウムを含む少なくとも1種の乳ミネラル組成物、カルシウムを含む少なくとも1種の植物ミネラル組成物、カルシウムを含む少なくとも1種の藻類ミネラル組成物、カルシウムを含む少なくとも1種の細菌ミネラル組成物、カルシウムとリン酸塩とを約4:1から約1:1の比で含む少なくとも1種の無機ミネラル組成物、およびそれらの組み合わせからなる群より選択されるカルシウム組成物を添加することを含み、それによって、カルシウムを添加しないで製造されたナチュラルチーズよりも高いカルシウムレベルを有する機能性チーズが製造される、前記方法。
[本発明1024]
ピザのトッピングとして使用するための伸びのある熱処理されたチーズの製造方法であって、
少なくとも1種のナチュラルチーズを約0.25%~約5%(w/w)の乳ミネラルと混合する工程であって、乳ミネラルの量が、伸びを高めるのに十分なカゼイン-カゼイン相互作用を維持するのに十分である、工程;
熱を加えることによって該チーズを溶融して溶融チーズを製造する工程;および
該溶融チーズを、チーズを冷却および成形するための装置に移す工程
を含む、前記方法。
[本発明1025]
前記ナチュラルチーズが、チーズ乳を処理するために少なくとも1種のホスホリパーゼを添加することによって、またはチーズ乳からチーズを製造するときに少なくとも1種のホスホリパーゼを添加することによって製造されたチーズである、本発明1024の方法。
[本発明1026]
前記ナチュラルチーズがモッツァレラチーズである、本発明1024の方法。
図1aは、乳化塩を用いて製造したプロセスチーズによって達成された、限られた伸びを示す写真である。図1bは、乳ミネラルを用いて製造した熱処理されたチーズによって達成された、増加した伸びを示す写真である。 図2は、コルビージャックチーズのカードに乳ミネラルを添加し、続いて押出し加工することによって製造した、機能性チーズの包装スライスおよび包装ブロックの写真である。 図3は、熱処理されたチーズの製造時に添加される乳ミネラルの量を変えることによって達成され得る、伸びに対する効果を示す一連の写真である(1%、図3a;1.5%、図3b;2%、図3c)。 図4は、乳ミネラルを用いて製造した熱処理されたチーズをチーズバーガーの一部として使用することを示した写真である。 図5は、バーガーパティ上の様々なチーズの溶融および物理的特性を示す一連の写真である。上左から右へ:ナチュラルチェダー、「若い」(young)プロセスチーズ、本発明の方法で製造した熱処理されたチーズ。下左から右へ:アメリカの低温殺菌調製されたチーズ製品、熟成プロセスチーズ、本発明の方法で製造した熟成された熱処理されたチーズ。 図6は、加熱した低水分・部分脱脂(low-moisture, part skim:LMPS)モッツァレラチーズ(左)と本発明の熱処理されたチーズ(1.5%の乳ミネラル)とのピザ上での伸びの比較を示す写真である。本発明の熱処理されたチーズは、チェダーチーズのミックスから作られているが、天然モッツァレラとの並置比較で示されるように、良好な伸びを有する。 図7は、2種の細切りチェダーチーズのミックス(左)およびそれらと同じ2種のチェダーチーズと1.5%の乳ミネラルを用いて製造した熱処理されたチーズ(右)をピザにのせて425°Fで焼いた後の、両チーズの伸びの比較を示す写真である。 図8は、2種の細切りチェダーチーズのミックス(左)およびそれらと同じ2種のチェダーチーズと2%の乳ミネラルを用いて製造した熱処理されたチーズ(右)をピザにのせて425°Fで焼いた後の、両チーズの伸びの比較を示す写真である。写真に示されるように、2%の乳ミネラルの添加は、良好な溶融特性を有するが伸びが減少したチーズをもたらす。 図9は、遊離油%w/w(より低い数字はより強い乳化を示す)、および溶融性スコア(より高い数字は面積の増加、つまり「広がり」を示す)のグラフである。TC=乳ミネラル、TCP=リン酸三カルシウム、A=AlgaeCal(登録商標)、PL=ホスホリパーゼ、TSP=リン酸三ナトリウム、およびDSP=リン酸二ナトリウム。各対の最初のバーは遊離油を表し、2番目のバーは溶融性を表す。
詳細な説明
本発明者らは、乳化塩を用いて製造した類似の製品よりもナトリウムが少なくてよいが、熱処理されたチーズの所望の安定性と溶融性を維持する加熱処理されたチーズ製品を製造する一方で、熱処理されたチーズの製造における乳化塩の必要性を低減または排除するための方法を開発した。以前に、Galpinら(WO2010/140905)は、熱処理されたチーズを製造するための乳化塩の必要性を低減または排除するための方法を開示したが、その方法は出発原料または製造過程の中間体から相当量のカルシウムを除去する必要があった。彼らの開示の中で、彼らは、「・・・チーズのカルシウム含有量を大幅に低下させない限り、乳化塩なしではプロセスチーズと関連製品を製造することができない」と述べた(4ページ、4~6行目)。Foxらは、「安定剤を使用しないでナチュラルチーズに熱と機械的剪断を加えると、通常、広範囲にオイルオフを起こす不均質なゴム状のプリン様塊が生じる」と述べている。[これ]は、「加工前のチーズブレンドに1~3%(w/w)のレベルでES[乳化塩]を添加することで防ぐことができる」(Fox, P., et al. Fundamentals of Cheese Science, 2017, Springer Publishing, p. 601)。しかしながら、本発明者らは、当業界で「プロセス」チーズまたは「低温殺菌プロセス」チーズと呼ばれるタイプの加熱チーズ製品を、乳化塩を使用せずにかつカルシウム枯渇工程なしで非常にうまく製造できることを見出した。実際、本発明の方法は熱処理されたチーズを製造するためにカルシウム含有組成物を使用する。「プロセスチーズ」という用語には、米国や他の多くの国では法的な定義づけがあるので、本明細書では、混乱を最小限に抑え、かつ乳化塩が添加されている「プロセスチーズ」と区別するために、本発明の方法で製造された製品を「熱処理」チーズと呼ぶことにする。本発明の方法で作られた製品は、ナトリウム含有乳化塩を用いて製造したその対応品よりもかなり少ない量のナトリウムを含有する。本発明の方法で作られた製品はまた、かなり多量のカルシウムを含有し、それは「カルシウムに富んだ食品」としてこれらの製品をさらにいっそう魅力的なものにしている。
本明細書に開示される発明は、2つの主要なカテゴリーのチーズ、すなわち(1)「ナチュラル」チーズ、および(2)「プロセス」チーズに関して説明される。米国では、「低温殺菌プロセスチーズ」は、米国連邦規則集(CFR)のセクション133.169(a)(1)に記載される意味を有し、そこには次のように述べられている:「低温殺菌プロセスチーズは、このセクションの段落(c)で規定された乳化剤を用いて均質な可塑性の塊に製造するために、クリームチーズ、ヌーシャテルチーズ、カッテージチーズ、低脂肪カッテージチーズ、カッテージチーズドライカード、クックチーズ、ハードグレーティングチーズ、セミソフトパートスキムチーズ、パートスキムスパイスチーズ、およびスキムミルクチーズを除く、同種の1種以上のチーズまたは2種以上のチーズを、熱を利用して、粉砕および混合して調製された食品である。このセクションの段落(d)で指定された任意成分の1種以上を使用することができる。」段落(c)で規定された乳化剤は、37 CFR 133.169(c)に記載された次のリストから選択しなければならない:「以下のうちの1種または2種以上の任意の混合物:リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸二カリウム、リン酸三ナトリウム、メタリン酸ナトリウム(ヘキサメタリン酸ナトリウム)、酸性ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウム、リン酸アルミニウムナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸カルシウム、酒石酸ナトリウム、および酒石酸カリウムナトリウム;そのような乳化剤の固形分の重量は、低温殺菌プロセスチーズの重量の3パーセント以下となるような量である。」
「ナチュラルチーズ」は37 CFR 133の下で具体的に定義されていないが、特定のチーズにラベルを付けるための要件はそのセクションに含まれており、当業界では4つの基本的な工程:凝固、水切り、加塩、および熟成を含む製造過程で作られたチーズを含むことが理解される;これに対して、プロセスチーズの製造には、洗浄、配合、および溶融(ならびに乳化剤の添加)などの追加の工程が組み込まれる。ナチュラルチーズには、チェダー、コルビー、モンテレージャック、プロヴォローネ、モッツァレラ、ゴーダ、スイス、ハバルティなどの、よく知られた品種が含まれる。本明細書で使用する「ナチュラルチーズ」は、例えば、カルシウムをナトリウムおよび/またはカリウムで置き換えるように処理されたカルシウム枯渇チーズ乳からそれらを製造するなどによって、実質的にカルシウムが枯渇されているチーズを含まない。
「低温殺菌プロセスチーズ」および「プロセスチーズ」は、多くのプロセスチーズもまた低温殺菌されるので、しばしば交換可能に使用される。本明細書で使用する用語「熱処理されたチーズ」および「プロセスチーズ」は、乳化塩を使用せずに作られる熱処理されたチーズを含む製品(「熱処理されたチーズ」)と、乳化塩を使用して作られる熱処理されたチーズを含む製品(「プロセスチーズ」)を示すために、別々に使用される。チーズの第3のカテゴリー、すなわち「機能性チーズ」もまた本明細書に開示され、これは、例えばチェダー、モッツァレラ、スイス、モンテレージャック、コルビー、コルビージャックなどの、ナチュラルチーズの製造に一般的に使用される製造過程で乳ミネラルを添加することによって製造された製品である。この製造過程での乳ミネラルの添加は、例えば、カゼインと油の分離を少なくするより滑らかな溶融、優れた伸び(モッツァレラのような「ピザチーズ」において特に望ましい利点)といった、機能性が向上した最終製品(「機能性チーズ」)をもたらす。歴史的には、ピザにプロセスチーズを添加することは限られてきたが、それは、客がピザに期待するようになっており、モッツァレラまたはピザチーズに伝統的に見られる「伸び」と「糸引き」がプロセスチーズには欠けているためである。後で熱処理される機能性チーズは、例えば伸びと糸引きのような、望ましい機能性を提供することができ、そしてモッツァレラまたは他の「ピザチーズ」を完全にまたは部分的に置き換えるための別の選択肢である。この方法によって製造された機能性チーズは消費者使用(consumer use)に適しており、かつ/または機能性チーズは、チーズバーガー、ピザなどの用途、および溶融と伸びが需要者承認(consumer acceptance)にとって重要である他の用途向けの、熱処理されたチーズまたはプロセスチーズの製造を容易にするためにプロセスチーズ製造業者に提供され得る。この技術を使用して、機能性の熱処理されたチーズを作り出すことができ、こうしたチーズは、モッツァレラまたはピザチーズと同様の伸びおよび機能性を示すだけでなく、(例えば、いろいろ違った種類のチーズおよび様々な熟成チーズを用いて)望ましい追加の風味を呈するであろう。
低温殺菌プロセスチーズを製造するための一般的な方法は、当業者に知られており、例えば、Patrick Fox et al., Fundamentals of Cheese Science 第2版((著作権)2017年, Springer Publishing)の596-599ページに記載されている。初期工程の1つは、熱処理されたチーズの製造に使用されるナチュラルチーズ製品のサイズを小さくすることである。これは、チーズをより小さな塊に切断する「カードブレーカー」の使用によって、またはチーズを砕くシュレッダーによって達成される。したがって、本明細書で「細切りチーズ」という用語を使用する場合、それは、ナチュラルチーズのブロックの機械的破砕により形成された、ぶつ切り、細切り、または他のより小さい破片を含むチーズの小片を意味するものとする。次の工程で、細切りチーズは、配合者が最終的な加熱されたチーズ製品に混ぜ入れるつもりである他の成分(例えば、必要に応じて、含有物、香味料、および/または乳化塩など)とブレンドされる。次いで、そのブレンドを、「均一な溶融粘稠度」が得られるまで絶えず撹拌しながら加熱する。加熱工程は、例えば、約75~約85℃の温度をもたらす、ケトル型クッカーへの直接的または間接的な蒸気注入によって行うことができる。加熱/撹拌工程は通常約1~約5分続く。この製造過程でのさらなる工程には、得られた熱処理されたチーズの均質化、パッケージング、冷却、および貯蔵が含まれる。
「乳ミネラル」は、「乳製品ミネラル」や「乳清ミネラル」としても知られており、ミネラル画分を含有する乳の透過液流から様々な手段で分離し、濃縮し、乾燥して、粉末形態にしたものである。この用語はまた、乳由来のミネラルを含む液体画分を説明するために、より広く使用されることがある。乳は独特のミネラルプロファイルを有しており、そのために乳ミネラルは、天然の乳製品中に見いだされるのとほぼ同じ比率で特定のミネラル類の組み合わせを含んでいる。したがって、乳ミネラルは、一般に乳製品以外の化学物質または人工成分が添加されていない、乳から分離されたミネラル類を含む組成物であり、チーズ加工に使用する乳化塩(溶融塩)の「クリーンラベル」代替物を提供する。市販の乳ミネラルは、乳ミネラル組成物の利用目的に応じて様々な量のタンパク質を含有する。乳ミネラルはまた、例えば、高乳ミネラルの乳清タンパク質濃縮物、乳清タンパク質分離物、乳タンパク質濃縮物、および乳タンパク質分離物でも利用可能である。乳ミネラル中のミネラル類には、最高から最低の比率の順に、カルシウム、リン、ナトリウム、マグネシウム、およびカリウムが含まれる。「クリーンラベル」製品に興味がある消費者にとって、乳ミネラルを用いて作られた熱処理されたチーズは、魅力的な選択肢を提供するはずである。乳ミネラルは、Glanbia Nutritionals社、Arla Foods社、およびFonterra社を含めて、様々な供給元から市販されている。Glanbia Nutritionals社(Twin Falls, Idaho, 米国)によって製造された2つの市販の乳ミネラル製品のミネラル組成を表1に示す。
(表1)乳ミネラルの組成
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かなりの量のカルシウムを含有するミネラル組成物は、いくつかの植物が重要なカルシウム源であることが知られているので、植物源から分離することもできる。かなりの量のカルシウムを含有するミネラル組成物は藻類からも分離することができ、そうした組成物のいくつかは「AlgaeCal(登録商標)」のような商品名で現在市販されている。当業者は認識しているように、ミネラル組成物は細菌などのいくつかの微生物源から分離することができ、また、リンやマグネシウムなどの他のミネラル類と一緒にカルシウムを含有するこれらの組成物は、無機ミネラル類を適切な割合で混合することによって、当業者が人工的に再現することもできる。前述の全ては、本発明の方法において使用することが企図されている。例えば、乳化塩を添加せずに熱処理されたチーズを製造するために、無機カルシウムおよびリン酸塩(例えば、リン酸カルシウム)を熱処理されたチーズの約0.25%~約3%w/wのレベルで使用することができる。語句「少なくとも1種の乳化塩の機能的代替物」は、カルシウム組成物が、機能的に等価な量の少なくとも1種の乳化塩によってもたらされるのと同じかまたはより良好な安定性および溶融性をもたらすことを意味する。カルシウム組成物は、少なくとも1種の乳化塩と混合することができ、添加されていたであろう乳化塩の一部と置き換わることが可能である。あるいは、カルシウム組成物が熱処理されたチーズにおいて所望の効果を生じさせるために使用されていなかったならば、それらは添加されていたであろう乳化塩にとって代わることが好ましいだろう。
用語「乳化塩」は、本明細書では、リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸二カリウム、リン酸三ナトリウム、メタリン酸ナトリウム(ヘキサメタリン酸ナトリウム)、酸性ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウム、リン酸アルミニウムナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸カルシウム、酒石酸ナトリウム、酒石酸カリウムナトリウム、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される化合物を意味するために使用される。したがって、「乳化塩」は2種以上の組み合わせを意味することがある。「乳化塩」はまた、チーズの溶融を促進するために使用できる、上記の塩を含むがこれらに限定されない塩の種類、特にナトリウムおよび/またはカリウム含有塩、を意味することもできる。
本発明は熱処理されたチーズの製造方法に関し、該方法は、少なくとも1種のナチュラルチーズを約0.25%~約5%(w/w)の乳ミネラルと混合する工程、熱を加えることによってチーズを溶融して溶融チーズを製造する工程、および溶融チーズを容器に移して、チーズが冷却するにつれてそれを形づけるか、または伝統的なプロセスチーズ装置に通してスライス、塊、個別に包まれたスライス、またはその他の形状を作る工程を含む。いくつかの態様では、乳ミネラルはプロセス様チーズの約0.25%~約3%(w/w)を占める。様々な態様では、乳ミネラルを家畜牛の乳から分離する。様々な態様では、少なくとも1種のチーズは、チェダー、コルビージャック、モッツァレラ、ゴーダ、ハバティ、およびプロセスチーズ製造に含まれている他のチーズからなる群より選択される1種以上のチーズを含む。様々な態様では、少なくとも1種のナチュラルチーズを乳ミネラルの添加前に細切りにする。様々な態様では、少なくとも1種の含有物、例えば、唐辛子のぶつ切りおよび/またはフレーク、着色料、香味料、果実片および他の含有物を、ナチュラルチーズおよび乳ミネラルと混合する。典型的には、本発明は、ほとんどの場合に家畜乳牛からの乳を用いてチーズを生産する乳業において最も広く使用されるが、羊、山羊、ラクダなどの他の動物源からのチーズにも適用することができる。
簡単に説明すると、乳ミネラルを、例えばチェダー、モッツァレラ、スイス、モンテレージャック、コルビー、および/またはコルビージャックなどの1種以上のナチュラルチーズに添加することができる。非限定的な例として、この添加は、チーズカードを含む組成物(すなわち、ナチュラルチーズを作るために使用される製造過程中)に乳ミネラルを混合すること、プロセスチーズの製造のために実施される通常の工程で熱処理されたチーズを製造する際に使用するための熟成チーズの細切り片または他の方法での粉砕片を含む組成物に乳ミネラルを混合すること、などによって行うことができる。熟成(aging)はチーズカードがしっかりとまとまって粘着性のあるチーズコンシステンシーを形成する時間を提供し、継続的な熟成はタンパク質加水分解の増加と共に熟成チーズをもたらすことに留意されたい。種々の熟成チーズをこの技術に組み込んで、例えば溶融、伸び、糸引き、油脂分の遊離といった様々な機能的属性の強度を変えることができる。したがって、本発明の方法によって製造される機能性チーズおよび/または熱処理されたチーズの機能性は、使用するチーズの熟成度、使用するチーズの種類、および熱処理されたチーズの製造に用いる乳ミネラルのレベルを考慮することによって、必要に応じて当業者が変えることができる。例えば、本発明者らは、ピザ用の熱処理されたチーズを製造する際に利用される乳ミネラルの量を変えることによって、得られるチーズの糸引き、つまり伸びの量を増加させることができることを実証した。一般に、チェダーまたはコルビージャックを含有する加熱処理されたチーズを用いた実験では、より少ない量(例えば、約2%の乳ミネラルよりもむしろ、約1.5%の乳ミネラル)が多くの伸び/糸引きをもたらした。本発明者らはまた、熟成度があまり進んでいないチーズの使用が同様にこのタイプのチーズの伸び/糸引きを高めたことに気付いた。したがって、本発明は、チーズが使用される特定の製品を対象とする、特定の性質を備えたチーズを製造するための方法を当業者に提供する。例えば、ピザに使用するための熱処理されたチーズは、より伸びやすく、より糸引きしやすい粘稠度を持つことができ、一方、チーズバーガーに使用するためのチーズは、例えば、より少ない伸びを有するが、肉パティの表面および側面にチーズを均一に溶融させるために望ましい溶融特性を有するように配合することができる。
本発明はまた、熱処理されたチーズ中のナトリウムレベルを下げかつカルシウムレベルを上げるための方法に関し、該方法は、プロセスチーズ中の成分として約0.25%~約3.0%(w/w)のレベルで含めるための乳化塩または乳化塩の組み合わせの約25%~約100%を、約0.25%~約5.0%(w/w)の乳ミネラルと置き換える工程を含む。様々な態様では、乳ミネラルをウシ科の動物の乳から分離する。いくつかの態様では、乳ミネラルを家畜乳牛の乳から分離する。本発明者らは、加熱処理されたプロセス様チーズ製品の製造において乳化塩を乳ミネラルと完全に置き換えることが可能であって、そうすることが好ましいことを実証したが、乳化塩成分の一部の使用を維持しながら乳ミネラル添加の利点を利用することを選ぶ当業者がいるかもしれない。したがって、本発明は、乳ミネラル代替物の添加がない場合に、プロセスチーズ製造用の諸成分の中に含められていたであろう乳化塩の全部または一部を取り換えることを含む方法の実施態様を含む。
本発明はまた、プロセスチーズ中の乳化塩を取り換える方法に関し、該方法は、プロセスチーズの製造に使用される少なくとも1種のチーズに乳ミネラルを添加することを含み、ここで、機能的に有意な量の乳化塩の添加がない場合にプロセスチーズの約0.25~約5重量パーセントを占める乳ミネラルが添加される。様々な態様において、本発明はまた、カルシウムを含む少なくとも1種の植物ミネラル組成物、カルシウムを含む少なくとも1種の藻類ミネラル組成物、カルシウムを含む少なくとも1種の細菌ミネラル組成物、またはそれらの組み合わせを用いて、熱処理されたチーズを製造するための方法に関する。本発明者らはまた、カルシウムを、好ましくは哺乳動物の乳、藻類ミネラル、細菌ミネラル、および/または植物ミネラルなどの天然源からのミネラル組成物中に存在し得る別のミネラル、例えばマグネシウム、リンなどと一緒に、供給するために添加される無機ミネラルが、熱処理されたチーズおよび/または機能性チーズを製造するための所望の効果をもたらすことを実証した。
本発明はまた、機能性チーズの製造方法に関し、該方法は、ナチュラルチーズの加工中にナチュラルチーズ製品の約0.25%~約5%w/wのレベルの乳ミネラルを添加することを含み、それによって機能性チーズが製造される。ナチュラルチーズの製造方法の間に、凝固、水切り、加塩、および熟成の工程が用いられる。乳ミネラルは、上記工程のうちの1つ以上の工程中に添加することができるが、凝固工程中および/または加塩工程中に添加することが特に有効であろう。「グリーン」チーズの再粉砕(recrumbling)は、例えば、ブロック形成中にサイズおよび形状の基準を満たさない可能性があるチーズを再成形するなどの、様々な理由で実施されることがある。この再粉砕/再成形プロセス中に同様に乳ミネラルを添加して、機能性チーズを得ることができる。プロセスチーズの製造業者は一般的に、ドライクリーム(粉末)、またはクリームに添加される脱脂粉乳(NFDM)、またはそれらの製品に添加される粉末の着色料を使用する。乳ミネラルをこれらの成分のいずれかまたは全部と一緒に混合することによって、チーズ製造過程でのその添加を容易にすることができる。
ナチュラルチーズには乳化塩が添加されていないので、溶融に十分な熱を加えたときに、油がチーズから分離しがちである。このことは、いくつかの用途でのそれらの使用を制限する傾向がある。本発明は、チーズ製造業者が天然乳から分離された画分を用いてナチュラルチーズの物理的性質を改善しつつ、ナチュラルチーズからチーズを製造する、ことを可能にする。市販の化学物質は必要でないが、この天然乳画分-当業界では別名を「乳ミネラル画分」または単に「乳ミネラル」という-を添加する効果は、乳化塩を添加する効果より優れていないにしても、その効果と同じようである。実際、これにより、チーズ製造業者は、乳化塩を用いてプロセスチーズを製造するのに必要とされるいくつかの追加の工程を行わないで、熱処理されたチーズ製品を最終的に製造することが可能である。
本発明の方法によって製造された製品は、プロセス様チーズの低ナトリウム代替物を提供できるだけでなく、これらの同じ製品はプロセス様(熱処理)チーズとナチュラルチーズ(機能性チーズ)の両方の高カルシウム代替物を提供し、これは、乳に含まれるミネラル類の天然の比率で、カルシウムが食品中に提供される、という追加の利点を伴う。最近、研究者らは、Journal of the American Heart Associationに、サプリメントからのカルシウム摂取と食物からのカルシウム摂取の影響を比較する10年間の長期研究の結果を報告した。彼らは、サプリメントからカルシウムを摂取した個人では冠状動脈石灰化の発生率が増加していることを見出した。そうした影響は、カルシウムに富む食品を食べてカルシウムを摂取した人には見られなかった。また、彼らの報告によれば、彼らは「総カルシウム摂取量と付随的な冠状動脈アテローム性硬化との間の保護的関係」を見出したが、彼らの研究に基づいて、彼らはカルシウムに富む食品が食事における好ましいカルシウム源であると提言した(Anderson, J.J.B. et al., Calcium Intake from Diet and Supplements and the Risk of Coronary Artery Calcification and its Progression among Older Adults: 10-Year Follow-up of the Multi-Ethnic Study of Atherosclerosis (MESA), J Am Heart Assoc. 2016;5:e003815)。また、米国農務省(United States Department of Agriculture)によると、2012年に学校給食制度は約3100万人の学生に食事を毎日提供した。この制度の目標は健康的な食品を提供することであり、本発明の方法によって製造されたチーズは、小児および青年期の栄養における2つの重要な目標、すなわち(1)ナトリウムの消費を抑えること、および(2)骨形成カルシウムの消費を増やすこと、を満たしている。本発明者らは、非乳成分または化学物質を添加することなくこれを行って、子供や青年がよく食べる傾向にありかつほとんどの学校の食堂で少なくとも週に1回は提供される、ピザ、チーズバーガー、マカロニ・アンド・チーズなどの、特定の食品を作るための望ましい特性をもたらすようにチーズの構造を変えることができる、ことを実証した。
本発明の方法によって作られた製品は、例えばソース、ディップ、キャセロール鍋料理、マカロニ・アンド・チーズ、および他の食品を製造するためなどにプロセスチーズが使用されるのと同じ多くの方法で使用することができる。本発明の方法はまた、それらのチーズ製品に、より優れた溶融特性、改善された伸び、糸引き特性などを与えることによって、特定のチーズ製品の用途を拡大することもできる。例えば、我々はチーズが「溶ける」と言うが、実際にはチーズは溶ける過程を経ない。代わりに、それは「ガラス転移」を受ける。そのガラス転移温度以下では、チーズは堅い、「ガラス状」の状態を有する。転移温度より上では、それは流れやすい、より「ラバー状」の固体に変わる。チーズの弾力性、遊離油、および転移温度は、ピザなどの用途ではその色の均一性に影響を与える(Ma, X. et al., Quantification of Pizza Baking Properties of Different Cheeses, and Their Correlation with Cheese Functionality, J. of Food Sci. (Aug. 2014) 79(8): E1528-E1534)。
本発明の方法によって製造された機能性チーズは、加熱されると「自己乳化」することができる。それらが熱処理されたチーズまたはプロセスチーズの製造に使用することを意図したものである場合、それらは、乳化塩の添加を必要とせずに、加熱混合したときに容易にエマルションを形成する。本発明の方法によって製造された加熱処理されたチーズおよび機能性チーズは、例えばハンバーガー(チーズバーガー)およびピザなどの、食品に使用するための様々なチーズに代わる魅力的な代替物を提供する。チーズバーガーは、典型的には、バーガーの上面および側面を覆うように溶けるチーズの少なくとも1枚のスライスを用いて調製され、チーズ上に油性のツルツルした表面が生じないことが好ましい。本発明の方法によって製造された熱処理および/または機能性チーズは、この望ましい結果を達成する。ピザ、揚げたチーズスティック(deep-fried cheese stick)などの他の製品では、消費者はチーズの「伸び」を好む。この伸びは、ピザからピザスライスを引き離しているか、または揚げたチーズスティックを一口食べているときに、チーズを引き伸ばすのに十分であるが、チーズが例えばピザ、ピザスライス、またはチーズスティックの残りの部分から剥がれにくいほど伸びやすくない方がよい。これらの様々な機能性は、本発明の方法を用いて、特に当業者が所望の機能性を有するチーズを製造するために3つの主要なパラメータを利用する場合に、製造することができ、かつ改良することができる;これらのパラメータは使用するチーズの熟成度、使用するチーズの種類、およびチーズに添加される乳ミネラルのレベルである。
チーズの溶融および伸び特性は、カゼイン分子間の相互作用の数に基づいている。その相互作用が少なければ少ないほど、溶けやすくなる。伸びは、完全なままの相互連結したカゼインネットワークを必要とし、カゼイン分子間の相互作用またはカゼイン分子の凝集体が減少するにつれて、伸びが失われる。伸びは、カゼイン-カゼイン相互作用が容易に壊れるだけでなく、カゼインネットワーク内のさまざまな場所で容易に再形成される結果である。理論に拘束されるものではないが、本発明者らによる観察は、低レベルの乳ミネラルを添加することが相互連結カゼインネットワークを維持して、伸びのあるチーズをもたらすことを示している。乳ミネラルの量を増やすと、それによって製造されたチーズの溶融特性が高まる。これは、チーズメーカーに、パスタフィラータ以外の、溶けたときに伸びるチーズを生産する機会を与え、例えば、消費者が期待しかつ評価するチーズの伸びる能力(stretchiness)を失うことなく、ピザに使用できるチーズミックスに他のさまざまなチーズを追加するという選択肢を広げる。例えば、チェダーチーズを混合して、1%w/wの乳ミネラルを加えながら加熱すると、図7(左側にナチュラルチェダーチーズ、右側に熱処理チェダーチーズ)に示すように、伸びのある熱処理されたチーズが得られる。ピザ業界は、クラスト内のチェダーまたはモッツァレラチーズ、バター、ガーリック、ベーコン、クラスト内またはその周縁に添加される他の食品など、ピザの新しい選択肢および風味を常に提案している。本発明は、本発明の方法で熱処理されたチーズを製造するために使用することができる様々な他のチーズを使用する選択肢を提供し、これらの熱処理されたチーズは、それらの原料であるナチュラルチーズの風味を有するだけでなく、ピザ用チーズに望まれる伸びのある、糸引き特性をも備えている。
Food Business Newsの2015年のオンライン記事によると、「チーズと塩との関係は風味以上のものである。チーズは機能性のために塩を必要とするので、それは複雑である。ナチュラルチーズの製造中に、所望のpHが達成されたら、塩をカードに添加する。これはスターターカルチャーおよび酵素を調節することによって発酵とタンパク質分解を制御するのに役立つ。塩はまた、チーズの水分活性をも低下させ、望ましくない微生物の繁殖を防止する。塩を添加しなければ、ナチュラルチーズは、望ましくない微生物の増殖と酵素活性のために、容認できない柔らかい本体および非常に短い保存可能期間を有するであろう。それはまた、苦くて、風味がないものになるであろう。」(Berry, D., Making salty cheese with less sodium, Food Business News, June 16, 2015 (http://www.foodbusinessnews.net/articles/news_home/Supplier-Innovations/2015/06/Making_salty_cheese_with_less.aspx?ID=%7B53F14A3C-185A-4546-9E8C-F5BBB761202D% 7D&cck=1))。代替物が検討されてきたが、これまでのところこれらの代替物は、本発明の方法によって提供される味および機能性の利点をもたらさない。例えば、塩化カリウムは1つの選択肢を提供するが、その塩味は塩化ナトリウムほどに即効的ではなく、それは苦い後味を呈する。その苦い後味を減らすために、金属ブロッカーの使用が提案されている。カリウム系乳化塩は、ナトリウム系乳化塩に代わる機能的代替物を提供するが、それらに付随する苦い後味のために、それらの使用は制限されている。乳清透過物および乳透過物もナトリウム代替物として提案されている。これらは主に乳糖(しばしば約85%)、ミネラル、塩化ナトリウム、塩化カリウム、乳酸、クエン酸、馬尿酸、尿酸、オロト酸、および尿素を含んでいる。Frankowskiらは、透過物によってもたらされる塩味が主にその塩化ナトリウム、塩化カリウム、乳酸、およびオロト酸によるものであることを実証した(Frankowski, K.M. et al. The Role of Sodium in the Salty Taste of Permeate, J. Dairy Sci. (2014) 97 :5356-5370)。その一方で、乳ミネラルは主にカルシウムとリンを含み、さらに少量のマグネシウム、カリウム、ナトリウム、塩化物、および鉄を含んでいる。
プロセスチーズの製造は、「カルシウム隔離」(calcium sequestration)として知られる工程を含む。これは、パラカゼインのカルシウム(Ca2+)を乳化塩のナトリウムイオンに交換することを伴う。負に荷電したカゼインに対する対イオンとしてのナトリウムでカルシウムを置き換えると、タンパク質水和が増加し、チーズのテクスチャー特性が変化する(Kilcast, D. and Angus, F.編, Reducing Salt in Foods: Practical Strategies, Woodhead Publishing Ltd. (英国)/CRC Press LLC (米国), (著作権)2007年, 329ページ(セクション16.4.3))。したがって、プロセスチーズ製造の化学に関する現在の知識に基づくと、カルシウム隔離によって得られる効果と同様の効果を達成するために、主としてカルシウムを含有する製品を使用することは、直感では理解しにくいことであろう。しかしながら、本発明者らは、機能的に有意な量のカルシウムを含むミネラル組成物が、プロセスチーズと同じ多くの望ましい特性のみならず、プロセスチーズとはこれまで関連づけられなかったいくつかの他の望ましい特性(例えば、糸引きおよび伸び)を有する熱処理されたチーズ製品を実際に提供する、ことを実証した。
さらに、本発明者らはまた、例えば無機ミネラル(例:リン酸三カルシウム、リン酸二カルシウム)のような、他の供給源から得られる同様の組成のミネラル(すなわち、カルシウムおよび/またはリン酸塩、このミックスはカルシウムとリン酸塩とを約4:1~約1:1の比で含む)を、乳ミネラルの代わりに、またはそれと組み合わせて用いて、本明細書に記載の製品を製造できることも見出した。そのようなカルシウム源は最大約50%のカルシウム含有量を有することが好ましい。本明細書に開示された情報を考慮すると、当業者は、カルシウム含有組成物を改変してその効果を最適化することができ、特に、それが、熱処理されたチーズおよび/または機能性チーズの製造に使用することができる異なるチーズに関係し得る場合にはそうである。
米国特許第6,551,635号(2003年4月22日)において、Nielsenは、チーズを製造するためのホスホリパーゼの使用を開示しており、そこでは、ホスホリパーゼがチーズ乳を処理するために添加されるか、またはチーズ乳からチーズを製造するときに添加される。ホスホリパーゼは、カード中の脂肪と水分の保持を改善することによってチーズの収量を高めることが当業界で知られている(Karahan, L. E. and M. S. Akin, Phospholipase Applications in Cheese Production, J. Food Sci. Eng. 7 (2017) 312-315)。Nielsenはまた、乳化塩を用いてプロセスチーズを製造するためにこのチーズを使用することができると示唆している。本発明者らは、実験で使用したチーズの一部を製造するのに使用したチーズ乳にホスホリパーゼを添加した。その効果をさらに調べるために、ホスホリパーゼを2つのレベルで、一方は他方よりも高いレベルで、利用した。本発明者らは、細切りされホスホリパーゼ処理されたチーズ乳にカルシウムミネラル組成物を添加すると、その溶融性に大きな影響を与えることなく、最終的な熱処理されたチーズ製品中の遊離油の量が減少することを見出した。したがって、用語「ナチュラルチーズ」はまた、ナチュラルチーズの製造前または製造中に少なくとも1種のホスホリパーゼをチーズ乳に添加することによって製造された少なくとも1種のチーズを包含し得る。
本発明はまた、本発明の方法によって製造された製品を包含する。これらの製品は、例えば乳ミネラルのような、カルシウムミネラル組成物を使用せずに製造されたそれらの対応品と比較して、改善された機能性および増加したカルシウムを有し得る。本発明の方法によって製造された熱処理されたチーズ製品は、ナトリウム含有量が減少するというさらなる利点を提供する。
本発明は、特定の工程および成分を「含む」と記載しており、当業者はそれらの工程および/または成分を「からなる」または「から本質的になる」とすることもできる。したがって、「含む」という用語が使用され、かつ本発明をより狭義に定義することが意図される場合、「からなる」または「から本質的になる」という用語も本発明を記載するために使用することができる。本発明はまた、以下の非限定的な実施例によってさらに説明され得る。
熱処理されたチーズの製造
2ロットの着色チェダーチーズ(#1936206401および105169301、それぞれ約35%の脂肪および約36~37%の水分)を、Globe SP10スタンドミキサー用のシュレッダーアタッチメントを用いて細切りにした。その細切りチーズを3つの部分に分けた。細切りチーズの3分の1を全てのバターと一緒にクッカー(Blentech Cheezetherm Model CC-0010、間接蒸気オプションを使用)に加え、次いで混合した。細切りチーズを再度加え(1/3+1/3)、その後それぞれの添加後2分の混合時間を用いて混合した。水と、リン酸三ナトリウム/リン酸二ナトリウムまたは乳ミネラル(Optisol(登録商標)1200, Glanbia Nutritionals(登録商標)社)のいずれかを添加し、チーズ/バター混合物中に混ぜ合わせた。その後、混合した成分を175°Fに加熱し、次に、裏打ちされたボックスに詰めた。それが冷えたときプロセスチーズが形成された。
異なる日に製造したプロセスチーズの2つの個別のセット(それぞれ5バッチ)について、重量パーセントとして表した成分量を以下の表2および表3に示す。
(表2)プロセスチーズの成分
Figure 0007121000000002
(表3)プロセスチーズの成分
Figure 0007121000000003
バッチを組成について分析し、その結果を下記の表4に示す。カルシウムレベルは、プロセスチーズ(乳化塩を添加した)よりも低温殺菌チーズ(すなわち、乳ミネラルを添加した「プロセス」チーズ)において約75%高かった。ナトリウムレベルは乳化塩を乳ミネラルで置き換えることにより概ね半減した。
図1は、乳化塩を乳ミネラルで置き換えることによって生じた熱処理されたチーズの伸びの比較を示す。乳ミネラルを加えると、伸びの増加した製品ができあがった。
(表4)プロセスチーズ(乳化塩を添加した)vs熱処理されたチーズ(乳ミネラルを添加した)の分析
Figure 0007121000000004
機能性チーズの製造
Glanbia Nutritionals社(Twin Falls, Idaho, 米国)で製造されたコルビージャックチーズカードを2%のOptisol(登録商標)1200と混合し、US20160205962A1(Geslisonら)に記載された押出し技術によって加工した。1ヶ月の熟成期間後、チーズをスライスした。スライスは、例えば熟成チェダーまたは他の熟成ナチュラルチーズから作られたスライスよりも、その段階ではあまりよく成形されなかったが、機能性チーズのスライスは、スライスの溶融が重要である用途には適するだろう。また、この機能性チーズのブロックおよび/またはスライスは、特にカードニット(curd knit)が熟成ナチュラルチーズよりもやや密着性に欠けるため、熱処理されたチーズ製品の製造のためにチーズ製造業者に提供される魅力的な製品である。図2は、本方法によって製造されたチーズのスライスの包装品(左)および包装したブロック(右)の写真である。
ピザ用熱処理されたチーズの製造
Glanbia Nutritionals(登録商標)社(Twin Falls, Idaho, 米国)で製造されたチェダーチーズとGalbani(登録商標)低水分・部分脱脂(LMPS)モッツァレラチーズとを、ハンドシュレッダーを用いて細切りにした。Lincoln 2802731e Air Impingement Ovenを使用してベルト時間17.5分、温度425°Fでピザを調理した。142グラムのBoboli(登録商標)ミニオリジナルピザクラストを50グラムのBoboli(登録商標)ピザソースと共に使用した。各ピザは合計100グラムのチーズを含み、それを2面に分割して、各面上で2つのチーズのそれぞれ50グラムを比較した(例えば、モッツァレラチーズ50g/熱処理されたチーズ50gなど)。試験した熱処理されたチーズの組成を表5に示し、その結果を図6~8の写真に示す。これらの実験では、1.5%の乳ミネラルを添加した熱処理されたチーズを、2%の乳ミネラルを添加した熱処理されたチーズと比較した。伸びは1.5%の乳ミネラルの添加によって改善された。
(表5)パーセント組成-ピザ用チーズ
Figure 0007121000000005
無機ミネラル源を用いた熱処理されたチーズの製造
Urschelチーズシュレッダーを用いて、調理前に3種類全てのチーズを細切りにした。低脂肪チェダーおよびレギュラーチェダーの細切り片をクッカー(Blentech Cheezetherm Model CC-0010)に加え、150rpmで30秒間混合した。次に、リン酸三カルシウム(TCP)、水、ドライクリーム、EMチェダーチーズ3707P、塩、およびA/P-855-OSSをプロセスクッカーに加え、混合物全体を混ぜ合わせて、150rpmで175°Fまで加熱し続けた。最終温度に達したらすぐに、その製品を、ワックスで裏打ちされたファイバーボックスに排出して最終的なローフ形態を得た。諸成分を表7に示す。
TCPを、乳ミネラルが一般的に添加されるのと同じ量(1.75%)で熱処理されたチーズに添加して、乳ミネラルの代わりとして無機ミネラル源の効果を観察した。乳化は、乳ミネラル(Glanbia Nutritionals(登録商標)社)を含有する熱処理されたチーズで生じた乳化と同程度に有効であり、かつ溶融はそれほど制限されなかった。また、TCPの代わりに無水リン酸二カルシウム(DCPA)とリン酸二カルシウム二水和物(DCPD)を1.75%で用いて、熱処理されたチーズを製造した。これらの無機ミネラル源についても同様の結果が観察された。これらの観察に基づいて、熱処理されたチーズの0.25%~3%(w/w)の割合で無機ミネラル源を添加することが可能である。
(表6)Glanbia乳ミネラルと他のカルシウム源を用いた熱処理されたチーズの比較
Figure 0007121000000006
(表7)
Figure 0007121000000007
藻類ミネラル源を用いた熱処理されたチーズの製造
Urschelチーズシュレッダーを用いて、調理前に3種類全てのチーズを細切りにした。低脂肪チェダーおよびレギュラーチェダーの細切り片をクッカー(Blentech Cheezetherm Model CC-0010)に加え、150rpmで30秒間混合した。次に、AlgaeCal(登録商標)、水、ドライクリーム、EMチェダーチーズ3707P、塩、およびA/P-855-OSSをプロセスクッカーに加え、混合物全体を混ぜ合わせて、150rpmで175°Fまで加熱し続けた。最終温度に達したらすぐに、その製品を、ワックスで裏打ちされたファイバーボックスに排出して、最終的なローフ形態を得た。諸成分を表8に示す。
(表8)
Figure 0007121000000008
無機ミネラル源と乳ミネラルを用いた熱処理されたチーズの製造
Urschelチーズシュレッダーを用いて、調理前に両方のチーズを細切りにした。モントレージャックの細切り片をクッカー(Blentech Cheezetherm Model CC-0010)に加え、150rpmで30秒間混合した。次に、Glanbia(登録商標)乳ミネラル、TCP、水、ドライクリーム、EMチェダーチーズ3707P、塩、およびA/P-855-OSSをプロセスクッカーに加え、混合物全体を混ぜ合わせて、150rpmで175°Fまで加熱し続けた。最終温度に達したらすぐに、その製品を、ワックスで裏打ちされたファイバーボックスに排出して、最終的なローフ形態を得た。諸成分を表9に示す。
乳ミネラルと共に無機ミネラル源を含む熱処理されたチーズは優れた乳化をもたらした。乳ミネラルに加えて、TCPを熱処理されたチーズに添加した(0.88%のTCP、0.88%のGlanbia(登録商標)乳ミネラル)。乳ミネラルと非乳ミネラルの比は1:3~3:1の範囲である。非乳ミネラルの使用量は、熱処理されたチーズの0.31%~0.94%(w/w)の範囲であり得る。
(表9)
Figure 0007121000000009
ホスホリパーゼと乳ミネラルを用いて製造された熱処理されたチーズ
熱処理されたチーズを上記の方法に従って製造した。乳ミネラルとホスホリパーゼの組み合わせが最終製品に及ぼす効果を調べるために、乳ミネラル、または乳ミネラルとホスホリパーゼ(YieldMax(登録商標)PL, CHR Hansen(登録商標)社)との組み合わせをチーズに添加した。最終製品に及ぼし得る効果をさらに評価するために、ホスホリパーゼを2つの濃度(以下では「より低い」および「より高い」と示す)で添加した。この試験では、熱処理に先立って、チーズの製造に使用したチーズ乳にホスホリパーゼを配合した。表10に示すように、乳ミネラルとホスホリパーゼの組み合わせを使用することによって熱処理されたチーズ中の遊離油の量は減少したが、プロセスチーズの特徴的な性質である溶融性はあまり影響を受けなかった。
(表10)Glanbia(登録商標)乳ミネラルおよびホスホリパーゼ(YieldMax(登録商標)PL)vs乳ミネラルのみを使用した熱処理されたチーズの比較
Figure 0007121000000010

Claims (17)

  1. 熱処理されたチーズの製造方法であって、
    少なくとも1種の細切りナチュラルチーズを、少なくとも1種の無機カルシウム組成物を含む組成物と混合する工程であって、該カルシウム組成物が少なくとも1種の乳化塩の機能的代替物を提供する、工程;ならびに
    該細切りナチュラルチーズと少なくとも1種の無機カルシウム組成物とを熱処理して、熱処理されたチーズを製造する工程
    を含み、
    前記ナチュラルチーズが、チーズ乳を処理するために少なくとも1種のホスホリパーゼを添加することによって、またはチーズ乳からチーズを製造するときに少なくとも1種のホスホリパーゼを添加することによって製造されたチーズであり、
    チーズ中の成分として約0.25%~約3.0%(w/w)のレベルで含めるための乳化塩または乳化塩の組み合わせの約25%~約100%を、約0.25%~約5.0%(w/w)の該カルシウム組成物と置き換える工程を含む
    前記方法。
  2. 前記カルシウム組成物が乳ミネラルを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記乳ミネラルが、前記熱処理されたチーズの約0.25%~約3%(w/w)を占める、請求項2に記載の方法。
  4. 前記少なくとも1種のナチュラルチーズが、前記カルシウム組成物の添加前に細切りされる、請求項1に記載の方法。
  5. 前記少なくとも1種のナチュラルチーズが、前記カルシウム組成物の添加後に細切りされる、請求項1に記載の方法。
  6. 熱処理されたチーズの製造方法であって、
    少なくとも1種の細切りナチュラルチーズを、カルシウムおよびリン酸塩を含む組成物と混合する工程であって、該組成物中のカルシウム対リン酸塩の比が約4:1から約1:1であり、該組成物が少なくとも1種の乳化塩の機能的代替物を提供する、工程;ならびに
    細切りチーズと組成物とを加熱して、熱処理されたチーズを製造する工程
    を含み、
    前記ナチュラルチーズが、チーズ乳を処理するために少なくとも1種のホスホリパーゼを添加することによって、またはチーズ乳からチーズを製造するときに少なくとも1種のホスホリパーゼを添加することによって製造されたチーズであり、
    チーズ中の成分として約0.25%~約3.0%(w/w)のレベルで含めるための乳化塩または乳化塩の組み合わせの約25%~約100%を、約0.25%~約5.0%(w/w)の該組成物と置き換える工程を含む
    前記方法。
  7. 前記組成物が、乳ミネラル、無機カルシウム、無機リン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択されることができる、請求項6に記載の方法。
  8. 前記乳ミネラルが、牛乳から分離される、請求項6に記載の方法。
  9. 熱処理されたチーズの製造方法であって、
    少なくとも1種のナチュラルチーズを、乳ミネラル、藻類ミネラル、無機カルシウムとリンとを含む組成物、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される約0.25%~約5%(w/w)の組成物と混合する工程であって、該組成物が少なくとも1種の乳化塩の機能的代替物を提供する、工程
    熱を加えることによって該チーズを溶融して溶融チーズを製造する工程;ならびに
    該溶融チーズを、チーズを成形および冷却するための装置に移す工程
    を含み、
    前記ナチュラルチーズが、チーズ乳を処理するために少なくとも1種のホスホリパーゼを添加することによって、またはチーズ乳からチーズを製造するときに少なくとも1種のホスホリパーゼを添加することによって製造されたチーズであり、
    チーズ中の成分として約0.25%~約3.0%(w/w)のレベルで含めるための乳化塩または乳化塩の組み合わせの約25%~約100%を、約0.25%~約5.0%(w/w)の該組成物と置き換える工程を含む
    前記方法。
  10. 前記乳ミネラルが、前記熱処理されたチーズの約0.25%~約3%(w/w)を占める、請求項9に記載の方法。
  11. 前記乳ミネラルが、家畜牛の乳から分離される、請求項9に記載の方法。
  12. 前記少なくとも1種のナチュラルチーズが、チェダー、モッツァレラ、コルビー、モンテレージャック、コルビージャック、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項9に記載の方法。
  13. 機能性チーズの製造方法であって、ナチュラルチーズ加工中の凝固、水切り、加塩、および熟成のいずれかの工程中にカルシウム組成物を添加することを含み、該カルシウム組成物が、カルシウムを含む少なくとも1種の乳ミネラル組成物、カルシウムを含む少なくとも1種の植物ミネラル組成物、カルシウムを含む少なくとも1種の藻類ミネラル組成物、カルシウムを含む少なくとも1種の細菌ミネラル組成物、カルシウムとリン酸塩とを約4:1から約1:1の比で含む少なくとも1種の無機ミネラル組成物、およびそれらの組み合わせからなる群より選択され、
    該カルシウム組成物が少なくとも1種の乳化塩の機能的代替物を提供し、
    前記ナチュラルチーズが、チーズ乳を処理するために少なくとも1種のホスホリパーゼを添加することによって、またはチーズ乳からチーズを製造するときに少なくとも1種のホスホリパーゼを添加することによって製造されたチーズであり、
    チーズ中の成分として約0.25%~約3.0%(w/w)のレベルで含めるための乳化塩または乳化塩の組み合わせの約25%~約100%を、約0.25%~約5.0%(w/w)の該カルシウム組成物と置き換える工程を含む
    前記方法。
  14. 前記カルシウム組成物が、ナチュラルチーズを再粉砕し、乳ミネラルを添加し、チーズを再成形することにより、熟成工程中に添加される、請求項13に記載の方法。
  15. 前記機能性チーズを熱処理して、熱処理されたチーズを製造する工程をさらに含む、請求項13に記載の方法。
  16. ピザのトッピングとして使用するための伸びのある熱処理されたチーズの製造方法であって、
    少なくとも1種のナチュラルチーズを約0.25%~約5%(w/w)の乳ミネラルと混合する工程であって、乳ミネラルの量が、伸びを高めるのに十分なカゼイン-カゼイン相互作用を維持するのに十分であり、乳ミネラルが少なくとも1種の乳化塩の機能的代替物を提供する、工程;
    熱を加えることによって該チーズを溶融して溶融チーズを製造する工程;および
    該溶融チーズを、チーズを冷却および成形するための装置に移す工程
    を含み、
    前記ナチュラルチーズが、チーズ乳を処理するために少なくとも1種のホスホリパーゼを添加することによって、またはチーズ乳からチーズを製造するときに少なくとも1種のホスホリパーゼを添加することによって製造されたチーズであり、
    チーズ中の成分として約0.25%~約3.0%(w/w)のレベルで含めるための乳化塩または乳化塩の組み合わせの約25%~約100%を、約0.25%~約5.0%(w/w)の乳ミネラルと置き換える工程を含む
    前記方法。
  17. 前記ナチュラルチーズがモッツァレラチーズである、請求項16に記載の方法。
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