JP7120107B2 - 燃料電池用のセパレータ - Google Patents

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Description

本発明は、燃料電池用のセパレータに関する。
燃料電池は、複数の単セルが積層されて構成される。各単セルでのセパレータには、反応ガスや冷媒をシールするビードが設けられている。例えば特許文献1では、蛇行したビードが記載されている。蛇行したビードは、直線状のビードよりも剛性が確保されている。
特表2017-537433号公報
しかしながら、ビードが蛇行しているため、ビードのシール長が長くなり、長いシール長の全域に亘ってシール性を保証することが困難となり、シール性が低下する恐れがある。
本発明は、シール性が向上した燃料電池用のセパレータを提供することを目的とする。
上記目的は、平坦な基部と、前記基部から一方側に突出して第1方向に延びたビードと、を備え、前記ビードは、前記基部よりも前記一方側に位置した頂部、前記基部から傾斜して前記頂部に連続し互いに対向した第1及び第2側部、を含み、前記第1側部は、前記第1方向に蛇行しながら延びており、前記頂部は、前記第1方向に直線状に延びており、前記第2側部は、前記第1方向に蛇行しながら延びており、前記第1及び第2側部は、位相が略一致して延びている、燃料電池用のセパレータによって達成できる。
また、上記目的は、平坦な基部と、前記基部から一方側に突出して第1方向に延びたビードと、を備え、前記ビードは、前記基部よりも前記一方側に位置した頂部、前記基部から傾斜して前記頂部に連続し互いに対向した第1及び第2側部、を含み、前記第1側部は、前記第1方向に蛇行しながら延びており、前記頂部は、前記第1方向に直線状に延びており、前記第2側部は、前記第1方向に直線状に延びている、燃料電池用のセパレータによっても達成できる。
前記第1側部は、前記基部の外縁に対向していてもよい。
前記第1方向に交差する第2方向での前記頂部の幅は、前記第1方向で一定であってもよい。
前記第1側部は、波状又はジグザク状に延びていてもよい。
本発明によれば、シール性が向上した燃料電池用のセパレータを提供できる。
図1は、燃料電池の斜視図である。 図2は、単セルのアノードセパレータの平面図である。 図3は、図2のA-A間に相当する箇所でのセル積層体の一部を示す断面図である。 図4は、外周ビード周辺を示したセパレータの部分拡大斜視図である。 図5は、+Z方向側から見た外周ビード周辺を示したセパレータの部分拡大平面図である。 図6Aは、図5のA-A断面図であり、図6Bは、図5のB-B断面図であり、図6Cは、図5のC-C断面図である。 図7は、第1比較例のセパレータの説明図である。 図8は、第2比較例のセパレータの説明図である。 図9は、第1変形例であるセパレータの部分拡大平面図である。 図10は、第2変形例であるセパレータの部分拡大平面図である。 図11は、第3変形例であるセパレータの部分拡大平面図である。
[燃料電池の概略構成]
図1は、燃料電池100の斜視図である。図1には、互いに直交するX方向、Y方向、及びZ方向を示している。燃料電池100は、例えば電気自動車の電力源として利用できる。図1のように、燃料電池100は、セル積層体11、ターミナルプレート12a及び12b、絶縁プレート13a及び13b、及びエンドプレート14a及び14bを含む。セル積層体11は、複数の単セル10がZ方向に積層されている。単セル10は、反応ガスとして燃料ガス(例えば水素)と酸化剤ガス(例えば空気)との供給を受けて発電する固体高分子形燃料電池である。
ターミナルプレート12a及び12bは、セル積層体11の積層方向の両端部に配置されている。絶縁プレート13a及び13bは、セル積層体11の積層方向でターミナルプレート12a及び12bよりも外側に配置されている。エンドプレート14a及び14bは、セル積層体11の積層方向で絶縁プレート13a及び13bよりも外側に配置されている。ターミナルプレート12a及び12bは、緻密性カーボン又は銅などの導電性部材で形成され、単セル10の発電電力を取り出すために用いられる。絶縁プレート13a及び13bは、ゴム又は樹脂などの絶縁性部材で形成され、ターミナルプレート12a及び12bとエンドプレート14a及び14bとの間を絶縁する。エンドプレート14a及び14bは、セル積層体11とターミナルプレート12a及び12bと絶縁プレート13a及び13bとを締結する。
単セル10とターミナルプレート12aと絶縁プレート13aとエンドプレート14aとは、それぞれ複数のマニホールド孔を有していて、それぞれの複数のマニホールド孔が連通して複数のマニホールド20~25が形成されている。マニホールド20はセル積層体11に燃料ガスを供給するために用いられ、マニホールド21はセル積層体11から燃料ガスを排出するために用いられる。マニホールド22はセル積層体11に酸化剤ガスを供給するために用いられ、マニホールド23はセル積層体11から酸化剤ガスを排出するために用いられる。マニホールド24はセル積層体11に冷媒(例えば冷却水)を供給するために用いられ、マニホールド25はセル積層体11から冷媒を排出するために用いられる。
図2は、単セル10のアノードセパレータ37の平面図である。図3は、図2のA-A間に相当する箇所でのセル積層体11の一部を示す断面図である。図2に示すように、アノードセパレータ(以下、単にセパレータと称する)37は、X方向及びY方向をそれぞれ短手方向及び長手方向とする略矩形状であり、外周縁を画定する縁372~375を有している。縁372及び373は、Y方向に略平行でありX方向に離れている。縁374及び375は、X方向に略平行でありY方向に離れている。また、セパレータ37には、マニホールド20~25のそれぞれを画定するためのマニホールド孔50~55が形成されている。マニホールド孔52、54、及び51は、縁374に沿って設けられている。マニホールド孔50、55、及び53は、縁375に沿って設けられている。マニホールド孔50、55、及び53と、マニホールド孔52、54、及び51との間には、Y方向に延びX方向に所定の間隔を空けて並んだ複数の流路リブ42が形成されている。また、セパレータ37には、冷媒や反応ガスの漏れを防ぐためにマニホールドビード44a~44fや外周ビード44gが設けられている。マニホールドビード44a~44fは、それぞれマニホールド孔50~55を包囲する。外周ビード44gは、マニホールド孔54及び55が外側に位置するようにガスマニホールド孔50~53と複数の流路リブ42を包囲し、縁372~375に沿って蛇行しながら延びている。外周ビード44gの形状については、詳しくは後述する。
図3に示すように、単セル10は、膜電極ガス拡散層接合体(以下、MEGA(Membrane Electrode Gas diffusion layer Assembly)と称する)36と、MEGA36を囲む枠状の絶縁フレーム39と、MEGA36及び絶縁フレーム39に対向したセパレータ37と、MEGA36及び絶縁フレーム39とは反対側でセパレータ37に対向したカソードセパレータ(以下、単にセパレータと称する)38と、を備える。セパレータ37及び38は、ガス遮断性及び電子伝導性を有する部材で形成され、例えばプレス成型したステンレス鋼などの金属部材で形成されている。絶縁フレーム39は、例えばゴム又はエラストマー樹脂などの弾性を有する樹脂部材で形成されているが、弾性を有さない絶縁部材で形成されていてもよい。
図3に示すように、セパレータ37は、XY平面に略平行であって平坦な基部371と、基部371から+Z方向に突出した複数の流路リブ42と外周ビード44gとを含む。図1に示したマニホールド20を流れる燃料ガスは、マニホールド孔50から隣接する流路リブ42とこれに対向するMEGA36との間を流れて、マニホールド孔51を介してマニホールド21から排出される。
セパレータ38は、XY平面に略平行であって平坦な基部381と、基部381から-Z方向に突出した複数の流路リブ43と外周ビード45gとを含む。セパレータ38の基部381は、セパレータ38に対向するセパレータ37の基部371に当接している。セパレータ38の複数の流路リブ43は、Y方向に延びてX方向に所定の間隔を空けて並んでおり、セパレータ38に対向するセパレータ37の複数の流路リブ42とZ方向で対向している。図1に示したマニホールド22を流れる酸化剤ガスは、マニホールド孔52から隣接する流路リブ43とこれに対向するMEGA36との間を流れて、マニホールド孔53を介してマニホールド23から排出される。図1に示したマニホールド24を流れる冷媒は、マニホールド孔54から対向する流路リブ42及び43の間を流れて、マニホールド孔55を介してマニホールド25から排出される。
図3に示すように、セパレータ37の外周ビード44gは、Z方向の圧縮荷重に対して反力が確保できるように、基部371から+Z方向に突出している。同様に、セパレータ38の外周ビード45gは、Z方向の圧縮荷重に対して反力が確保できるように、基部381から-Z方向に突出している。セパレータ37の外周ビード44gは、このセパレータ37と対向するセパレータ38の外周ビード45gとZ方向で対向している。セパレータ38の外周ビード45gは、セパレータ37の外周ビード44gと同様に蛇行しながらセパレータ38の外周縁に沿うように伸びている。
セパレータ37の外周ビード44gは、このセパレータ37に対向する絶縁フレーム39に、弾性部材であるゴム製のガスケット70を介して押圧される。外周ビード45gについても同様である。尚、図2に示したマニホールドビード44a~44fも、不図示のガスケットを介して絶縁フレーム39に押圧されている。
尚、セパレータ38及び絶縁フレーム39には、セパレータ37のマニホールド孔50~55と同様に、複数のマニホールド孔が設けられている。また、セパレータ38には、セパレータ37のマニホールドビード44a~44fや外周ビード44gと同様に複数のシール部が設けられている。セパレータ37及び38は、マニホールドビード44a、44b、44c、及び44dの周りや外周ビード44gの周りで接合されている。セパレータ37及び38の接合は、例えばレーザ溶接によって行われるが、アーク溶接又は熱圧着接合などの他の方法で接合されてもよい。
MEGA36は、膜電極接合体(以下、MEA(Membrane Electrode Assembly)と称する)35と、アノードガス拡散層(以下、単に拡散層と称する)33、及びカソードガス拡散層(以下、単に拡散層と称する)34と、を備える。MEA35は、電解質膜30と、電解質膜30の一方の面の全面に設けられたアノード触媒層(以下、単に触媒層と称する)31と、他方の面に電解質膜30の外周縁部30aを露出させて設けられたカソード触媒層(以下、単に触媒層と称する)32と、を備える。絶縁フレーム39は、例えば接着剤などによって電解質膜30の外周縁部30aに接合されている。
電解質膜30は、スルホン酸基を有するフッ素系樹脂材料又は炭素系樹脂材料で形成された固体高分子膜であり、湿潤状態において良好なプロトン伝導性を有する。触媒層31及び32は、電気化学反応を進行させる触媒(白金又は白金-コバルト合金など)を担持したカーボン粒子(カーボンブラックなど)と、スルホン酸基を有する固体高分子であり、湿潤状態において良好なプロトン伝導性を有するアイオノマーと、を含む。拡散層33及び34は、ガス透過性及び電子伝導性を有する部材で形成され、例えばカーボンクロス又はカーボンペーパなどの多孔質カーボン部材で形成されている。
[外周ビード44gの詳細構成]
図4は、外周ビード44g周辺を示したセパレータ37の部分拡大斜視図である。図5は、+Z方向側から見た外周ビード44g周辺を示したセパレータ37の部分拡大平面図である。図5は、外周ビード44gが突出した側からであって基部371の面に垂直な方向から見た平面図に相当する。図4及び図5では、縁372に沿って延びた外周ビード44gの一部分を示している。図6Aは、図5のA-A断面図である。図6Bは、図5のB-B断面図である。図6Cは、図5のC-C断面図である。
外周ビード44gは、側部441及び442と、頂部443とを含む。側部441及び442は、基部371に対して傾斜するように+Z方向側に突出している。頂部443は、基部371と略平行であり、基部371よりも+Z方向側に位置している。側部441は、側部442よりも縁372の近くに位置している。
図5には、側部441と基部371との境界線である稜線L1、側部442と基部371との境界線である稜線L2、側部441と頂部443との境界線である稜線L3、側部442と頂部443との境界線である稜線L4を示している。側部441及び442は、+Y方向に蛇行しながら延びている。詳細には、側部441及び442は、振幅と波長とが略同じであり且つ位相が略一致した波状に延びている。従って、図5に示すように平面視で、稜線L1及びL2は、振幅と波長とが略同じであり且つ位相が略一致した波状である。「波状」とは、正弦波のような滑らかに湾曲した形状を意味する。頂部443は、X方向の幅がY方向の位置によらずに一定で+Y方向に直線状に延びている。従って、図5に示すように平面視で、稜線L3及びL4はY方向に平行である。尚、図5には、シール長T、及びベクトルP1~P4を示しているが詳しくは後述する
図6A~図6Cには、側部441及び442のそれぞれの基部371に対する傾斜角度α1及びα2と、断面視での側部441及び442のそれぞれの長さβ1及びβ2とを示している。図6Aでは、傾斜角度α1及びα2は同じ角度であり、長さβ1及びβ2とは同じ長さである。図6Bでは、傾斜角度α1は傾斜角度α2よりも大きく、長さβ1は長さβ2よりも短い。図6Cでは、傾斜角度α1は傾斜角度α2よりも小さく、長さβ1は長さβ2よりも長い。このように、傾斜角度α1及びα2は、Y方向の位置に応じて所定の範囲で増減を繰り返し、具体的には傾斜角度α1が増大すると傾斜角度α2は減少し、傾斜角度α1が減少すると傾斜角度α2は増大する。同様に、長さβ1及びβ2も、Y方向の位置に応じて所定の範囲で増減を繰り返し、具体的には長さβ1が増大すると長さβ2は減少し、長さβ1が減少すると長さβ2は増大する。換言すれば、Y方向での任意の位置での傾斜角度α1及びα2の合計値は略一定であり、Y方向での任意の位置での長さβ1及びβ2の合計値も略一定である。
傾斜角度α1及びα2のそれぞれは、0°より大きく90°以下の範囲内に含まれる角度範囲で増減を繰り返せばよいが、傾斜角度α1及びα2の各角度範囲は、30°以上であり85°以下の範囲であることが好ましい。傾斜角度の最小値が小さすぎると、ビード全体の幅が大きくなりすぎるからである。また、傾斜角度が90°に近いほど、プレスによりビードを成形する際に、金型を取り外すことが困難となる恐れがあるからである。
[第1比較例]
次に複数の比較例について説明する。尚、比較例について、本実施例と同一の構成については同一の符号を付することにより、重複する説明を省略する。図7は、第1比較例のセパレータ37xの説明図である。セパレータ37xの外周ビード44gxは、側部441x及び442xと頂部443とを含む。外周ビード44gxの側部441x及び442xは、頂部443と同様に直線状に延びている。即ち、基部371に対する側部441x及び442xの各傾斜角度はY方向の位置によらずに常に一定であり、断面視での側部441x及び442xの各長さもY方向の位置によらずに常に一定である。
燃料電池は、セパレータ37xや絶縁フレーム39、MEGA36等が積層されて、Z方向に圧縮荷重が作用するようにこれらの部材が締結される。セパレータ37xの外周ビード44gxにZ方向での圧縮荷重が作用すると、側部441x上には、側部441x上の任意の点での側部441xの外側に向けた法線方向に力が作用し、同様に側部442x上には、側部442x上の任意の点での側部442xの外側に向けた法線方向に力が作用する。
図7には、外周ビード44gxに圧縮荷重が作用した際に側部441x及び442xに作用する力のベクトルP1~P4を示している。側部441xには-X方向のベクトルP1及びP2が作用し、側部442xには+X方向のベクトルP3及びP4が作用する。ベクトルP1及びP2は、それぞれ、側部441xの外側面上の互いにY方向に離れた位置での法線方向に作用する力を示す。同様に、ベクトルP3及びP4は、それぞれ、側部442xの外側面上の互いにY方向に離れた位置での法線方向に作用する力を示す。ここで、側部441xは+Y方向に直線状に延びているため、側部441xの外側面上の法線方向は、Y方向の位置によらずに同一方向であり、具体的には平面視で-X方向である。側部442xについても同様であり、側部442xの外側面上の法線方向は、Y方向の位置によらずに+X方向である。このようにベクトルP1及びP2が側部441xに対して-X方向に作用し、ベクトルP3及びP4は側部442xに対して+X方向に作用する。このため、側部441x及び442xが広がるように変形して、上述したガスケット70を介しての外周ビード44gと絶縁フレーム39との間のシール性が低下する可能性がある。
[本実施例と第1比較例の差異]
本実施例の外周ビード44gを示した図5には、側部441に作用するベクトルP1及びP2と、側部442に作用するベクトルP3及びP4とを示している。ここで、ベクトルP1及びP2は、側部441の外側面の法線方向に作用する。図5に示したベクトルP1~P4の始点の位置は、図7に示したベクトルP1~P4の始点の位置と同じである。側部441は蛇行しているため、側部441の外側面上の法線方向はY方向の位置によって変化し、側部442についても同様である。図5に示した例では、ベクトルP1は-X方向と+Y方向の間の方向に作用し、ベクトルP2は、-X方向と-Y方向の間の方向に作用し、ベクトルP3は+X方向と+Y方向の間の方向に作用し、ベクトルP4は+X方向と-Y方向の間の方向に作用する。
ここで、ベクトルP1のY方向成分P1yは+Y方向に作用しているのに対し、ベクトルP2のY方向成分P2yは-Y方向に作用する。このため、Y方向成分P1y及びP2yは互いに相殺される。同様に、ベクトルP3のY方向成分P3yは+Y方向に作用しているのに対し、ベクトルP4のY方向成分P4yは-Y方向に作用し、Y方向成分P3y及びP4yは互いに相殺される。このため、側部441には、実質的にはX方向成分P1x及びP2xのみが作用し、側部442には、X方向成分P3x及びP4xが作用する。
このため第1比較例の外周ビード44gxと比較すると、本実施例の外周ビード44gでは、X方向に作用する力が低減されている。従って、本実施例の外周ビード44gは圧縮荷重に対する反力が確保されており、シール性が向上している。
[第2比較例]
図8は、第2比較例のセパレータ37yの説明図である。セパレータ37yの外周ビード44gyは、側部441y及び442yと、頂部443yとを含む。頂部443yは、側部441y及び442yと共に、+Y方向に蛇行しならが延びている。即ち、外周ビード44gyは、全体で+Y方向に蛇行しながら延びている。従って、稜線L1y、L2y、L3y、及びL4yは、平面視で振幅と波長とが略一定であり且つ位相が同一の波状に延びている。比較例の稜線L1y等は、本実施例の稜線L1等と振幅と波長とが同じである。基部371に対する側部441y及び442yの各傾斜角度はY方向の位置によらずに常に一定であり、断面視での側部441y及び442yの各長さもY方向の位置によらずに常に一定である。第2比較例の外周ビード44gyの側部441y及び442yは蛇行しているため、本実施例と同様に圧縮荷重に対する反力が確保されている。
図8には、頂部443yのシール長Tyを示している。頂部443yのシール長Tyは、Y方向の所定範囲での頂部443yの経路長さである。頂部443yはY方向に蛇行して延びているため、シール長Tyの長さが確保されている。
[本実施例の第2比較例の差異]
本実施例の外周ビード44gを示した図5には、頂部443のシール長Tを示している。シール長Tは、頂部443yのシール長Tyと同様に、Y方向での同じ所定範囲内における頂部443の長さである。頂部443は、Y方向に平行に直線状に延びているため、シール長TはY方向での所定の範囲内で最短であり、シール長Tyよりも短い。比較例ではシール長Tyが長いため、長いシール長Tyの範囲内でシール性が低下した箇所が発生する可能性がある。これに対して、本実施例でのシール長Tは短いため、シール性が低下した箇所が生じることを抑制でき、シール性が向上している。
以上のように本実施例の外周ビード44gは、側部441及び442が蛇行していることと、シール長Tが短いこととの双方により、シール性が向上している。
また、外周ビード44gの頂部443は直線状に形成されており、この頂部443と絶縁フレーム39を介して対向するセパレータ38の外周ビード45gの頂部も直線状に形成される。このため、これらが直線状に形成されている頂部同士の位置合わせは、蛇行している頂部同士の位置合わせよりも容易である。このため、頂部同士を適切な位置でセパレータ37等が積層されることにより、所望のシール性を確保することができる。尚、セパレータ38の外周ビード45gも、セパレータ37の外周ビード44gと同様に、両側部は蛇行しており頂部は直線状であるが、これに限定されず、両側部及び頂部が直線状に延びていてもよい。
[その他]
外周ビード44gの側部441及び442は、振幅及び波長が略同じであり位相が略一致した波状であるがこれに限定されない。例えば、振幅及び波長の少なくとも一方が異なっていてもよいし、振幅及び波長が略同じであって位相がずれていてもよい。但し、外周ビード44gに作用した圧縮荷重に対する側部441及び442のそれぞれの反力のバランスを考慮すると、本実施例のように振幅及び波長が略同じであり位相が略一致していることが好ましい。
[第1変形例]
次に複数の変形例に係るセパレータについて説明する。図9は、第1変形例であるセパレータ37aの部分拡大平面図である。図9は、図5に対応している。セパレータ37aの外周ビード44gaの側部441a及び442aは、それぞれジグザグ状に蛇行して+Y方向に延びている。具体的には、外周ビード44gaを+Z方向側から見た場合に、稜線L1aは、直線状に延びて+Y方向に対して頂部443側に傾斜した部位と、直線状に延びて+Y方向に対して頂部443とは反対側に傾斜した部位とを交互に繰り返すように、形成されている。頂部443側に傾斜した部位と、この部位よりも+Y方向に隣接して頂部443とは反対側に傾斜した部位との間の、頂部443とは反対側の角度間隔は、90度以上に設定されているがこれに限定されない。稜線L2aについても同様に、直線状に延びて+Y方向に対して頂部443側に傾斜した部位と、直線状に延びて+Y方向に対して頂部443とは反対側に傾斜した部位とを交互に繰り返すように、形成されている。また、稜線L1a及びL2aは振幅と波長が略同じであり、位相も略同じである。第1変形例においても、頂部443は直線状であり側部441a及び442aは蛇行しているため、シール性が向上している。
ここで、平板状の母材に金型を用いてプレス加工をすることにより、外周ビード44gaや流路リブ42が成形されたセパレータ37aを製造する。ここで、外周ビード44gaの側部441a及び442aがジグザグ状であるため、外周ビード44gaの成形のため用いる金型の設計が容易となる。このため、製造コストの増大を抑制できる。
第1変形例において、側部441aの代わりに上述した本実施例の波状の側部441を採用してもよいし、側部442aの代わりに本実施例の波状の側部442を採用してもよい。
[第2変形例]
図10は、第2変形例であるセパレータ37bの部分拡大平面図である。図10は、図5に対応している。セパレータ37bの外周ビード44gbは、側部441及び442bと頂部443とを有し、側部441は蛇行しているが、側部442bは蛇行しておらず直線状に延びている。ここで、蛇行した側部441は、縁372に沿って+Y方向に延びており、換言すれば基部371の縁372に対向している。ここで側部441が縁372に対向するとは、側部441と縁372との間にリブ等の凹凸状の部位は形成されていないことを意味する。外周ビード44gbに圧縮荷重が作用した際には、蛇行した側部441の反力を確保することができる。また、側部442bは直線状であるため、製造が容易であり、製造コストの増大も抑制されている。
ここで、図3に示すように、セパレータ37bの中央部にも複数の流路リブ42が形成されており、外周ビード44gbの側部442bは、複数の流路リブ42側に設けられている。この複数の流路リブ42により、セパレータ37bの中央部は、縁372側よりも剛性が確保されている。ここで、セパレータ37bの外周ビード44gbにZ方向の圧縮荷重が作用する際には、実際には外周ビード44gbのみならず、複数の流路リブ42にもZ方向の圧縮荷重が作用する。このため、剛性が確保された複数の流路リブ42に対向した側部442bに作用する圧縮荷重は、縁372に対向した側部441に作用する圧縮荷重よりも小さいと考えられる。このため、側部442bが直線状であっても、シール性を確保できる。
例えば、圧縮荷重の大きさが比較的大きい場合には、上述した本実施例又は第1変形例のセパレータ37又は37aを採用し、圧縮荷重の大きさが比較的大きくない場合には、製造コストが抑制されている第2変形例のセパレータ37bを採用してもよい。
図10に示すように、+Z方向側から見た場合、側部441のX方向の幅の最大値は、側部442bのX方向の幅よりも大きく、側部441のX方向の幅の最小値は、側部442bのX方向の幅よりも小さいが、これに限定されない。また、第2変形例において、側部441の代わりに第1変形例に示したジグザグ状の側部441aを採用してもよい。第2変形例では側部441が蛇行しており側部442bが直線状であるが、逆の構成を除外する趣旨ではない。
[第3変形例]
図11は、第3変形例であるセパレータ37cの部分拡大平面図である。図10は、図5に対応している。セパレータ37cの外周ビード44gcは、側部441c及び側部442cと頂部443cとを有している。頂部443cは、側部441c及び442cと共に蛇行しており、頂部443cと側部441c及び442cとは波長が略同じであるが、頂部443cの振幅は側部441c及び442cのそれぞれよりも小さい。図11に示すように、稜線L3c及びL4cのそれぞれは、稜線L1及びL2のそれぞれよりも振幅が小さい。このため、シール長Tcは、図5に示した本実施例のシール長Tよりも長いが、図8に示した第2比較例のシール長Tyよりも短い。このような構成によっても、圧縮荷重に対する反力を確保しつつシール長を短くでき、シール性が向上している。
図11に示すように、頂部443cは側部441c及び442cのそれぞれと波長が略同じであって位相が略一致しているが、これに限定されない。例えば、頂部443cと側部441c及び442cとの波長が異なっていてもよいし、波長が同じであるが位相がずれていてもよい。また、第3変形例においても、側部441c及び442cをジグザク状に形成してもよい。この場合、頂部443cについてもジグザク状に形成してもよい。頂部443cのX方向の幅は、Y方向の位置によらずに一定であることが好ましいが、これに限定されない。
上述した本実施例及び変形例では、外周ビード44g~44gcを例に説明したが、マニホールド孔50~55をそれぞれ包囲するマニホールドビード44a~44fの少なくとも一つを、外周ビード44g~44gcの何れかのような形状にしてもよい。
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明はかかる特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
100 燃料電池
37、37a、37b、37c アノードセパレータ(燃料電池用のセパレータ)
371 基部
372 縁
44g、44ga、44gb、44gc 外周ビード(ビード)
441、441a、441b、441c 側部(第1側部)
442、442a、442b、442c 側部(第2側部)
443、443c頂部
T、Tc シール長

Claims (5)

  1. 平坦な基部と、
    前記基部から一方側に突出して第1方向に延びたビードと、を備え、
    前記ビードは、前記基部よりも前記一方側に位置した頂部、前記基部から傾斜して前記頂部に連続し互いに対向した第1及び第2側部、を含み、
    前記第1側部は、前記第1方向に蛇行しながら延びており、
    前記頂部は、前記第1方向に直線状に延びており、
    前記第2側部は、前記第1方向に蛇行しながら延びており、
    前記第1及び第2側部は、位相が略一致して延びている、燃料電池用のセパレータ。
  2. 平坦な基部と、
    前記基部から一方側に突出して第1方向に延びたビードと、を備え、
    前記ビードは、前記基部よりも前記一方側に位置した頂部、前記基部から傾斜して前記頂部に連続し互いに対向した第1及び第2側部、を含み、
    前記第1側部は、前記第1方向に蛇行しながら延びており、
    前記頂部は、前記第1方向に直線状に延びており、
    前記第2側部は、前記第1方向に直線状に延びている、燃料電池用のセパレータ。
  3. 前記第1側部は、前記基部の外縁に対向している、請求項1又は2の燃料電池用のセパレータ。
  4. 前記第1方向に交差する第2方向での前記頂部の幅は、前記第1方向で一定である、請求項1乃至の何れかの燃料電池用のセパレータ。
  5. 前記第1側部は、波状又はジグザク状に延びている、請求項1乃至の何れかの燃料電池用のセパレータ。
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