JP7119415B2 - 吸着材の耐脆化性評価方法、及びその方法に用いる粉体捕捉器 - Google Patents

吸着材の耐脆化性評価方法、及びその方法に用いる粉体捕捉器 Download PDF

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特許法第30条第2項適用 平成29年度火力原子力発電大会(仙台大会)にて、平成29年10月12日に公開
本発明は、吸着材の耐脆化性評価方法、及びその方法に用いる粉体捕捉器に関するものである。
水処理技術の一つとして吸着材を用いた処理システムが広く用いられている。例えば、従来、吸着材を充填した吸着塔内に汚染水を通過させ、対象物質を吸着塔内に吸着させることにより汚染水を浄化する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような処理システムにおいて用いられる吸着材としては、様々な種類のものが知られているが、吸着材は種類によっては経時的に脆化が進行し、微粒子を発生させる可能性があるが、この脆化に対する耐性(耐脆化性)も吸着材によって大きく異なる。吸着材の脆化による微粒子の発生は、汚染水処理に利用される吸着材の実質量の低減による処理システムの吸着能低下を招くばかりでなく、吸着塔出口に設けられたフィルターの目詰まりや吸着対象物質(を含んだ吸着材の微粒子)が下流へ逸脱することや、ひいては使用後の吸着材を処分する際の移送時の飛散、逸脱の原因となるため、望ましくない。
また、吸着材によってその吸着性能は大きく異なる。
しかしながら、どの吸着材が、実際の水処理において優れた耐脆化性や吸着性能を発揮するかを、吸着材の物性値のみから事前に予測することは難しい。よって、実際に吸着材を処理システムに導入する前に、予め吸着材の吸着性能や耐脆化性を評価する試験を行うことが望ましい。しかし、吸着材の耐脆化性については、従来、その評価手法についての報告はなされていない。吸着性能の評価については、従来、カラム通水して、定期的に吸着量をモニターすることによる吸着性能評価が行われていた。
尚、非特許文献1においては、前述のカラム通水やロータリーミキサー撹拌等によって吸着試験を行い、吸着対象物質の脱離挙動を評価する方法が報告されている。しかし、非特許文献1においては、耐脆化性の評価は行われていない。
特開2014-145687号公報
梅田 陽子著「放射性汚染水吸着材中セシウムの脱離挙動の基礎研究(BASIC RESEARCH ABOUT DESORPTION BEHAVIOR OF CESIUM ON ADSORBENTS FOR THE RADIOACTIVE CONTAMINATED WATER)」火力原子力発電大会論文集、vol.12、2016年6月、p.24-p.30.
耐脆化性評価については、吸着材の脆化に伴い発生する微粒子の量を測定することにより行うことができる。ここで、微粒子の捕捉を汚染水の流路にフィルター状のものを設けることによって行うことが考えられる。しかし、この場合、差圧が生じ従来の通水条件とは異なってしまう懸念があった。また、集水升状のものを使用すると、微粒子のサイズや通水速度によっては、発生する微粒子の全量を捕捉しきれない懸念があった。また、耐脆化性評価と共に吸着性能評価を行うことができれば、吸着材をより総合的に評価できるため望ましい。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、汚染水処理において用いられる吸着材の耐脆化性(及び吸着性能)を、十分な精度で、効率よく且つ迅速に評価する方法を提供することを目的とする。
本発明は以下の態様を有する。
[1]汚染水処理において用いられる吸着材の耐脆化性評価方法であって、
(1)吸着材を収容した容器中において、被処理液を流動させる工程と、
(2)前記工程(1)において流動開始から任意の時間経過後に少なくとも一回、前記被処理液の一部を試料として取得する工程と、
(3)得られた試料中の微粒子の量を評価する工程と、
(4)前記微粒子の量に基づいて、前記吸着材の脆化を評価する工程と、
を含む吸着材の耐脆化性評価方法。
[2]前記工程(1)において、前記吸着材を容器中に保持した状態で、前記被処理液を、容器中を連続的に通水させることにより流動させる、[1]に記載の吸着材の耐脆化性評価方法。
[3]前記工程(1)において、前記被処理液を前記容器中で攪拌することにより流動させる、[1]に記載の吸着材の耐脆化性評価方法。
[4]攪拌子を使用せずに前記被処理液をに攪拌する、[3]に記載の吸着材の耐脆化性評価方法。
[5]前記容器が細長の円筒形状であって、容器の長手方向の中間部を支点として、容器を回転させることにより、前記被処理液を攪拌する、[3]又は[4]に記載の吸着材の耐脆化性評価方法。
[6]前記工程(1)において、前記容器を少なくとも一方向に振とうすることにより、前記被処理液を、前記吸着材と共に攪拌する、[3]又は[4]に記載の吸着材の耐脆化性評価方法。
[7] 前記被処理液として、吸着対象物質を含む被処理液を用い、
前記工程(1)において、前記吸着対象物質を含む被処理液を前記容器内で流動させることにより吸着対象物質を吸着材に吸着させ、
更に以下の工程(2’)、(3’)及び(4’)を行うことにより、吸着材の吸着性能を併せて評価する、[1]~[6]のいずれかに一項に記載の吸着材の耐脆化性評価方法。
(2’)前記工程(1)において流動開始から任意の時間経過後の異なる2以上の時点において、前記被処理液の一部を試料として取得する工程
(3’)各時点において得られた試料中の吸着対象物質濃度をそれぞれ測定し、得られた吸着対象物質濃度の値に基づいて、各時点における吸着対象物質の吸着率を算出する工程(4’)各時点における吸着率を比較することにより、前記吸着材の吸着性能を評価する工程
[8][2]に記載の吸着材の耐脆化性評価方法において前記容器から抜出した被処理液中の粉体を捕捉するための粉体捕捉器であって、開口部を有する容器と、前記容器中に収容された少なくとも1つの邪魔板と、を有する粉体捕捉器。
本発明の吸着材の耐脆化性評価方法によれば、実際に水処理を行う前に、予め吸着材の耐脆化性を、十分な精度で、効率よく且つ迅速に評価することができる。
本発明の耐脆化性評価方法を実施するために用いるシステムの一例の模式図である。 図1のシステムから取得した試料をろ過する方法を示した模式図である。 本発明の方法により耐脆化性評価と吸着性能評価を同時に実施するために用いるシステムの他の一例の模式図である。 図3のシステムに用いる試料容器の他の一例の模式図である。 図3のシステムに用いる試料容器の更に他の一例の模式図である。 図3のシステムに用いる試料容器の更に他の一例の模式図である。 実施例1において後述するカラム通水法を採用した本発明の方法により吸着材の吸着性能を評価した結果を示すグラフである。 (a)は、実施例2において後述する攪拌法を採用した本発明の方法により吸着材の吸着性能を評価した結果を示すグラフであり、(b)は、参考例1において吸着材を添加した汚染水を静置して吸着性能を評価した結果を示すグラフである。 実施例1における評価結果と実施例2の耐脆化性における評価結果との比較を示すグラフである。 実施例3における耐脆化性の評価結果を示すグラフである。
≪吸着材の耐脆化性評価≫
本発明の吸着材の耐脆化性評価方法は、汚染水処理において用いられる吸着材の耐脆化性評価方法であって、以下の工程を有する。
(1)吸着材を収容した容器中において、被処理液を流動させる工程(流動工程)、
(2)上記工程(1)において、流動開始から任意の時間経過後に少なくとも一回、前記容器から抜き出した前記被処理液の一部を試料として取得する工程(試料取得工程)、
(3)得られた試料中の微粒子の量を評価する工程(微粒子量評価工程)、及び
(4)前記微粒子の量に基づいて、前記吸着材の脆化を評価する工程(脆化評価工程)。
以下、本発明の吸着材の耐脆化性評価方法について、図面に参照しながら具体的に説明する。
(1)流動工程
流動工程では、吸着材を収容した容器中で、被処理液を流動させる。
(吸着材)
吸着材については、本発明の方法による評価の対象であるため特に制限されるものではなく、吸着対象物質の種類等に鑑みて耐脆化性を評価したい吸着材を適宜使用すれば良い。吸着材の例としては、放射性汚染水の処理に用いられているゼオライト系吸着材(金属担持ゼオライトを含む)、チタン酸塩系吸着材、フェロシアン化物系吸着材などの吸着材や、一般的な汚染水処理に用いられるイオン交換樹脂やキレート樹脂などの樹脂系吸着材、活性炭系吸着材(金属担持活性炭を含む)、活性アルミナ、シリカゲル、ハイドロタルサイト様化合物または混合系吸着材(ゼオライトとフェロシアン化物の混合物や、活性炭とフェロシアン化物の混合物など)などの吸着材が挙げられる。
前記吸着材の形状や寸法についても、吸着材は評価対象であるため特に制限はない。吸着材の形状については、例えば、粒状、シート状、繊維状、ハニカム状の吸着材を使用することができる。吸着材の寸法については、粒状の吸着材の場合、その粒子径が、0.5~20mmであることが好ましい。粒子径が前記下限値以上であれば、カラム通水試験の場合は、前記容器から流出してしまうことを防止することができる。また、粒子径が前記上限値以下であれば、吸着のために十分な表面積を確保しやすく、かつ、後述のカラムを用いた通水法の場合、実機同様の充填密度を再現可能な内径の容器を実験室内で扱うことができる。
前記吸着材の前記容器への充填量は、容器の容積の80%以下とすることが好ましく、20~60%とすることがより好ましい。
(被処理液)
被処理液についても特に制限はなく、放射性物質で汚染された放射能汚染水のみならず、非放射性の一般的汚染水を処理対象としても良い。また、特に実際の処理における吸着対象物質が水溶性物質である場合のように、吸着対象物質が吸着材の脆化に与える影響が小さいときには吸着対象物質を含まない単なる水を被処理液として本発明の耐脆化性方法を実施しても良い。
吸着対象物質としての放射性物質の例としては、放射性ストロンチウム、放射性セシウム等の放射性元素を挙げることができる。また、汚染水処理システムの実運転時の吸着対象物質が放射性ストロンチウム、放射性セシウム等の放射性元素である場合に、模擬的に非放射性ストロンチウム、非放射性セシウム等の非放射性同位体を用いても良い。
吸着対象物質を含む被処理液を用いる場合、被処理液中における吸着対象物質の濃度についても特に制限はなく、実運用で想定される濃度と同等とするか、あるいは分析の容易さから1ppm~1%(質量基準。以下同様。)程度にすることが好ましい。
また、被処理液は実運用で想定される被処理液を用いるのが理想であるが、模擬液を用いる場合は、実運用で想定される被処理液とpH、イオン濃度を同等にすることが好ましく、このような濃度で試験することにより、吸着工程においても共雑イオンとの量比を合わせてより実運用時に近い吸着状態を模擬することが可能となる。
尚、上記した通り、本発明の耐脆化性評価は、吸着対象物質を含有しない水を用いて実施することもできるが、できるだけ汚水処理システムの実運転時の条件に近い条件下での脆化を評価することが望ましいことと、吸着処理の進行に関連付けて脆化の進行を評価することが便利な場合もあるため、本発明においては、吸着対象物質を含む被処理液を用いることが好ましい。また、吸着対象物質を含む被処理液を用いる場合、単一のシステムを用いて、耐脆化性評価と後述する吸着性能評価の両方を実施できるというメリットもある。
(被処理液を流動させる方法)
被処理液を流動させる方法については、例えば、(a)前記吸着材を容器中に保持した状態で、前記被処理液を、容器中を連続的に通水させることにより流動させる方法(以下、「通水法」と称することもある。)、及び(b)前記被処理液を前記容器中において攪拌することにより流動させる方法(以下、「攪拌法」と称することもある。)が挙げられる。
以下、前記(a)通水法、及び(b)攪拌法について、図面に参照しつつ説明する。
(a)通水法
この通水法は、例えば、図1に示すようなシステムを利用して実施することができる。以下に、図1に示すシステムを利用した通水法の実施について説明する。
貯水槽16に蓄えた被処理液15を、ポンプ17を用いて、吸着材11が充填されたカラム10に連続的に供給する。処理済の被処理液をカラム10下部から連続的に抜出し、粉体捕捉器12に導入する。この粉体捕捉器12には、邪魔板13が設けられており、これにより処理済の被処理液に含有されている微粉末が、粉体捕捉器12から流出しまうことを防止することができる。粉体捕捉器12から抜き出された処理済の被処理液は、通水流路14aを経て排水タンク19に回収される。なお、耐脆化性評価のみを行う場合は、通水流路14aに代えて14bを経て、貯水槽16にリサイクルしてもよい。被処理液15の流速については特に制限はないが、汚染水処理システムの実運転時に近い流速で耐脆化性を評価する場合には、例えば、実運転条件の線速度(LV)または空間速度(SV)に対し、0.5倍~2倍の範囲で実施することができる。また、耐脆化性評価に要する時間を短縮したい場合には、2倍~100倍の範囲で実施することができる(この場合の実施を、以下、「加速試験」と称することもある。)。
また、通水法の場合は、吸着材の充填密度が汚染水処理システムの実運転時と同等となるよう、吸着材の形状や寸法(例えば、粒状の吸着材の場合は粒子径)を考慮してカラム容器径を選定することが好ましい。
更に、粒状の吸着材を用いる場合、吸着材の充填層厚は実際に使用する汚染水処理システムと同等を上限とし、下限は、被処理液が吸着材と十分に接触できるよう、吸着材粒径の5倍以上とすることが好ましく、30倍以上とすることがより好ましい。上記上限を超える充填層厚は実際に使用する汚染水処理システムに対してオーバースペックとなり、吸着材や被処理液量が増え、評価時間が長くなるため、試験コストが高くなる恐れがある。上記下限未満だと、被処理液が吸着材と十分に接触できず性能が低く評価されてしまう恐れがある。
(b)攪拌法
この攪拌法は、評価対象の各吸着材を同じ条件下で攪拌する限り特に制限はないが、攪拌子を使用する方法の場合には、攪拌子により吸着材の摩耗、粉末化が過度に発生し、汚水処理システムの実運転時の脆化と乖離した結果となってしまうおそれがあるため、マグネチックスターラーよりもメカニカルスターラーを用いた方が望ましく、さらには攪拌子を使用せずに行うことが好ましい。攪拌子とは、容器内で回転、旋回等させる棒状、板状、羽状の攪拌子等のことを意味する。
攪拌子を使用しない攪拌は、例えば、図3に示すようなシステムを利用して実施することができる。以下に、図3に示すシステムを利用した攪拌法について説明する。
まず、吸着材31を、細長の円筒形状の試料容器32中の汚染水35(被処理液)に投入して、試料容器32をキャップ33で封止する。この試料容器32としては、特に制限はなく、例えば、試験管、試験用バイアル瓶などの耐圧透明容器のみならず、非耐圧の半透明プラスチック容器を用いることができる。この試料容器32の長手方向の中間部を転倒回転型撹拌器30の回転軸に取り付け、容器を回転させることにより攪拌を行うことができる。この方法により、吸着材の摩耗を低く抑えた状態で汚水処理システムの実運転時に近い吸着状態を再現することが可能となる。ここで、「中間部」とは試料容器32の上端部と下端部との間の部分を意味し、両端部から等距離の位置にあることを要しない。例えば、試料容器32の全長に対して、いずれかの端部から1/4~3/4の位置、好ましくは1/3~2/3の位置にある部分を転倒回転型撹拌器30の回転軸に取り付ければよい。また、試料容器32を複数本設置することができるため、同時に多数の吸着試験を行うことができる。
尚、図3の例においては、試料容器32を鉛直方向に回転(即ち、回転軸を水平方向にして回転)させているが、回転方向については特に制限はなく、例えば、水平方向に旋回(即ち、鉛直方向の回転軸を水平方向に回転)させる攪拌器を用いても良い。しかし、鉛直方向に回転させる方が、水平方向に旋回させるよりも、汚染水35を大きく流動させ易い。従って、鉛直方向に回転させる方が、比較的低回転速度で運転してもより大きな攪拌効果が得られやすいため、好ましい。尚、本明細書において、「鉛直方向」とは、完全な鉛直方向のみならず、完全な鉛直方向から45°内の方向も含むものとする。「水平方向」についても同様である。また、攪拌器の運転中に、1回以上回転方向を変更しても良い。
また、前記容器32の回転速度は、1~100rpmとすることが好ましく、2~50rpmとすることがより好ましく、5~20rpmとすることが更に好ましい。回転速度が上記下限値より低いと、迅速な評価ができなくなるおそれがある。一方、回転速度が上記上限値以上であると、吸着材同士の衝突による摩耗、粉末化が過度に発生し、汚水処理システムの実運転時の脆化と乖離した結果となってしまうおそれがある。
尚、複数の回転盤を有する回転磁場装置(マルチスターラー)は、活性炭などの吸着材の比重が軽いものには適しているが、比重が重いものについては、吸着材が常に懸濁する条件とするためには回転数をある程度上げる必要があり、そうすると回転子により、汚染水処理システムの実運転時と比較して過度に摩耗・粉末化が起き易いという問題がある。この観点から、上記の転倒回転型撹拌器30を使用することの方が好ましい。
以上、攪拌子を使用しない攪拌方法として、試料容器32を回転させる方法について説明したが、前記容器を少なくとも一方向に振とうすることにより攪拌を行う方法を採用しても良い。振とうする方法については、効率的に攪拌できれば特に制限はなく、市販の振とう器等を用いて実施することができる。振とうの条件としては、試料容器の大きさや形状にもよるが、例えば、振とう幅5~50mm、振とう速度25~250往復/分で実施することができる。また、振とう方向についても特に制限はなく、鉛直方向の上下に振とうしてもよく、水平方向の左右に振とうしても良く、シーソー型振とう(横に倒した容器をその長手方向の中心部付近を支点として両端部を交互に上下させる振とう方法)でも良い。また、定期的に振とう方向を変更しても良い。
尚、例えば、図3に示す試料容器32のような細長の円筒形状の容器を使用して振とうする場合、容器中の被処理液がキャップ部分に激しく衝突することによる液漏れが発生しないよう留意することが好ましい。液漏れを防止するための手段としては、振とう条件を調整することの他、液漏れを防止する構造を有する容器を採用することが挙げられる。
図3に示すような簡易法(バッチ条件での撹拌試験)において、吸着材と被処理液の固液比についても特に制限はなく、例えば、固液比2~10000にすることが好ましく、40~5000にすることがより好ましく、100~2500にすることが更に好ましい。固液比が上記下限値以上であることにより、被処理液中の吸着対象物質と十分に接触させることができるため、平衡状態に達するまでの時間を短縮することができる。また、固液比が上記上限値以下であることにより、吸着材と被処理液との接触を均一にすることができ、ムラのない吸着状態を達成することができる。また、吸着材同士の過度の衝突による摩耗、粉末化を防止することでできる。
吸着工程における温度条件は特に限定されないが、室温で行うのが簡便である。
(2)試料取得工程
本工程においては、上記工程(1)において、流動開始から任意の時間経過後に少なくとも一回、前記容器から抜き出した前記被処理液の一部を試料として取得する。試料を取得するタイミングとしては、ある程度、吸着材の脆化が進行するのに十分な時間が経過した後であれば特に制限はない。例えば、流動開始から0.5~168時間、好ましくは0.5~72時間の間に、少なくとも一回、好ましくは2回以上、より好ましくは3回~10回、更に好ましくは3回~6回試料を取得する。尚、(a)通水法の場合、前記の「加速試験」とすることにより、耐脆化性の評価に必要な試料の取得をより早く完了することができ、(b)攪拌法の場合、更に早く完了することができる。
上記工程(1)において吸着対象物質を含む被処理液を用いて、吸着の進行と関連付けて脆化を評価する場合には、吸着対象物質の吸着量が平衡状態に達した後に試料を取得しても良い。平衡状態になったことの確認は、定期的に処理液をサンプリングして分析することにより行う。
また、例えば、評価対象の各吸着材につき、同一の条件下で同一の運転期間経過時の脆化状態に基づいて、耐脆化性を評価したい場合には、各吸着材に関して流動開始から同じ時間(例えば、0.5~168時間の範囲内の任意の時間)経過後に試料を取得すればよい。これに対して、各吸着材に関して吸着量が平衡状態(前記の(b)攪拌法においては、バッチ条件での吸着が飽和した状態)に達した時点での脆化状態に基づいて、耐脆化性を評価したい場合には、各吸着材に関して吸着が飽和に達した時点で試料を取得すればよい。ここで、定期的に試料を複数回取得して後述の評価を行えば、吸着材の経時的な脆化を評価することができる。
(3)微粒子量評価工程
ここで、「微粒子」とは、吸着材の脆化によって発生する微粒子のことであり、どの程度の寸法の粒子を評価対象とするかは、用いる吸着材の形状や寸法に鑑みて適宜決定すればよい。例えば、粒状の吸着材を使用した場合、通常、平均粒径の1/2以下の粒子径を有する粒子を意味する。
微粒子量を評価する方法については特に制限はないが、例えば、試料をろ過し、残渣の質量を測定する方法、及び分光光度計にて試料の光透過率を測定する方法が挙げられる。
具体的には、上記工程(1)を前記の通水法により行い、被処理液の通水開始から比較的長期間経過した後に試料を取得する場合、試料をろ過に付すことにより十分な量の微粒子が残渣としてフィルター上に残るため、残渣を洗浄、乾燥した後、その質量を測定することにより、微粒子量を評価することができる。
ろ過に用いるろ過装置としては、一般的なメンブレンフィルターを備えたろ過装置を使用することができる。使用できるメンブレンフィルターの孔径は通常0.2~5μmの範囲である。ろ過装置の具体例としては、少量サンプルに適していること、ろ過が簡単であることなどの理由から、遠沈管用フィルターユニット装置(例えば、NALGENE製遠沈管用フィルターユニット564-0020)などが好適である。ろ過回数は一回で良く、複数回行っても良い。
具体的なろ過方法としては、例えば、上記の(a)通水法の場合、図1に示すシステムを用いて吸着量が平衡状態(飽和吸着量)に達した時点で、粉体捕捉器12をシステムから取り外し、図2に示すように、処理済みの汚染水を前記試料としてろ過器20の貯水容器21に供給することによって実施することができる。その結果、粉体22が貯水容器21に残渣として残り、フィルター23を介して濾液25が濾液槽24に蓄積される。得られた残渣を、必要に応じて蒸留水で洗浄した後、40~100℃で6~48時間乾燥した後、質量を測定することにより、微粒子量を評価することができる。
また、前記の(b)攪拌法の場合、図3に示す転倒回転型撹拌器30を0.5~168時間程度運転した後に、試料容器32中の上澄みの一部を前記試料として取得し、分光光度計を用いて660nmの波長での光透過率を測定し、吸着材毎の光透過率を比較することにより、微粒子量の相対評価をすることができる。
ここで、上澄みの取得は、攪拌を中止した後、できる限り速やかに行うことが好ましい。
(4)脆化評価工程
本工程においては、前記工程(3)において評価した微粒子の量に基づいて、吸着材の脆化を評価する。例えば、ろ過後の残渣の乾燥質量に基づいて微粒子の量を評価した場合には、この残渣の乾燥質量が大きい程脆化が進行している、即ち、耐脆化性が低いと評価することができる。また、光透過率により微粒子の量を評価した場合には、この光透過率が低い程脆化が進行している、即ち、耐脆化性が低いと評価することができる。
複数の異なる吸着材について、前記工程(1)~(4)を含む方法を実施し、それぞれの吸着材について得られた脆化評価の結果を比較することで、耐脆化性に優れる吸着材を選抜することができる。
本発明の方法においては、前記被処理液として、吸着対象物質を含む被処理液を用い、
前記工程(1)において、前記吸着対象物質を含む被処理液を前記容器内で流動させることにより吸着対象物質を吸着材に吸着させ(以下、「吸着工程(1’)」とも称する。)、
前述した工程(1)~(4)に加えて、更に以下の工程(2’)、(3’)及び(4’)を行うことにより、吸着材の吸着性能を併せて評価することが好ましい(この方法を、以下、「複合評価法」と称することもある)。
(2’)前記工程(1)(即ち、吸着工程(1’))において流動開始から任意の時間経過後の異なる2以上の時点において、前記被処理液の一部を試料として取得する工程(試料取得工程)
(3’)各時点において得られた試料中の吸着対象物質濃度をそれぞれ測定し、得られた吸着対象物質濃度の値に基づいて、各時点における吸着対象物質の吸着率を算出する工程(吸着率測定工程)
(4’)各時点における吸着率を比較することにより、前記吸着材の吸着性能を評価する工程(吸着率比較工程)
以下、本発明の複合評価法における吸着材の吸着性能の評価方法について、図面に参照しながら具体的に説明する。
(1’)吸着工程
本工程における被処理水の流動は、流動工程(1)の説明において述べた方法により実施することができ、例えば(a)通水法や(b)攪拌法等によって行うことができる。但し、吸着性能を評価するために、吸着量が平衡状態((b)攪拌法の場合はバッチ状態において吸着が飽和した状態)になるまで攪拌を継続することが望ましい。尤も、複数種の吸着材の吸着性能を評価するにあたって、それらの吸着材の吸着性能の相対的な評価が可能な程度まで吸着が進行していれば、吸着材の一部又は全部について吸着量が平衡状態に達していなくても支障はない。上記以外の点については、耐脆化性評価方法における流動工程(1)に関して上述したのと同様の手順で、流動を実施すれば良い。
尚、図3においては、単に試料容器32に吸着材31と被処理液35を収容したものを攪拌処理に付しているが、容器32内の構造を図4~6に示すようなものとすることで、吸着材51の脆化を抑制し、微粉末の発生による性能の過大評価を防止しつつ、より、効率よく吸着を進行させることが可能となる。
図4に示す容器52は、特に制限はなく、例えば、試験管、試験用バイアル瓶などの耐圧透明容器のみならず、非耐圧の半透明プラスチック容器なども用いることができる。この容器52内部には、吸着材51を充填した中空円筒状容器56が収容されている。中空円筒状容器56の上下には、蓋56a、パッキン56b及び金属フィルター56cが設けられており、この56a、56bの孔と56cの金属フィルタを介して被処理液55が円筒構造の中空部を通過して吸着材51と接触できる構成となっている。また、円筒構造の壁部に多数の穴を形成し、この穴を介して被処理液55が円筒構造の壁部を通過して吸着材51と接触できる構成としてもよい。
中空円筒状容器の56cの金属フィルタもしくは円筒構造の壁部に設けた穴の寸法については、円筒構造内に吸着材51に保持できれば特に制限はなく、例えば、用いる吸着材51の平均粒子径の100%未満、好ましくは80~10%程度の直径の穴とすれば良い。
図5に示す容器52においては、吸着材51を充填した上述の中空円筒状容器56が、金属フィルター56cと通水性スペーサ57を介して容器53内部の中央部に固定されている。前記通水性スペーサ57としては、金網を筒状にしたものなどを使用することができる。
図6に示す容器52においては、前記中空円筒状容器56を用いずに、吸着材51が金属フィルター56cと通水性スペーサ57により直接容器53内部の中央部に固定されている。
(2’)試料取得工程
本工程においては、前記工程(1’)において流動開始から任意の時間経過後の異なる2以上の時点において、前記被処理液の一部を試料として取得する。
試料の取得は、(a)通水法の場合は、カラム10から抜出された被処理液の一部を試料として取得する。試料取得の適切なタイミングについては、評価の対象となる吸着材の吸着量が平衡状態に達する前の任意の時点において試料を取得することが望ましい。
(b)攪拌法の場合は、耐脆化性の評価のための試料の場合と同様に、試料容器32中の上澄みの一部を試料として取得すればよい。(b)攪拌法によれば、吸着が相当に早く進行するため、試料の取得は、攪拌開始から比較的短い期間内に行えば良い。例えば、攪拌開始直後~24時間以内、好ましくは15分~4時間以内に試料を取得すれば良い。
また、試料取得の回数については、任意の間隔で、試料を2~10回、好ましくは3~7回取得すれば良い。
(3’)吸着対象物質濃度測定工程
本工程においては、得られた試料中の吸着対象物質濃度を測定する。濃度の測定方法については特に制限はないが、例えば、得られた試料をろ過し、濾液をICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合プラズマ)質量分析法:ICP-MSにより分析することで測定することができる。ろ過の方法については、特に方法は限定されないが、得られた試料中から速やかに吸着材由来の微粒子を除去できれば良い。例えば、試料採取をシリンジ(例えば、アズワン製 オールプラスチックディスポシリンジ10mL)で行い、これに孔径0.2~5μmのフィルターを備えたフィルターユニット(例えば、アドバンテック製 ディスミック(登録商標)13HP045AN)を接続してろ過するのが良い。
得られた試料中の吸着対象物質濃度に基づいて、以下の式により吸着率を算出することができる。
{1-(試料中の吸着対象物質濃度)/(攪拌開始前における被処理液中の吸着対象物質濃度)}×100[%]
(4’)吸着率比較工程
本工程においては、試料を取得した各時点における吸着率を比較することにより、前記吸着材の吸着性能を評価する。この吸着率の上昇が早い程、吸着速度が速い、即ち、吸着性能が高いことを意味する。
尚、本発明において、上記(a)通水法を採用した場合は、図1に示すようなシステムを連続的に運転して行うものであるのに対して、(b)攪拌法を採用した場合は、図3に示すようにシステムを用いてバッチ的に行うものである。この(b)攪拌法を採用したバッチ的方法によれば、極めて短時間で耐脆化性のみならず吸着性能をも評価することが可能となる。
更に、上記(a)通水法を採用した吸着性能評価方法においては、システムを連続的に運転する必要上、試験に要する被処理液及び吸着材の量が比較的多いが、(b)攪拌法を採用したバッチ的方法は、少量の被処理液及び吸着材で実施することも可能であるため有利である。例えば、(a)通水法を採用した吸着性能評価方法では使用する吸着材の量は、通常、5~50ml程度であるところ、(b)攪拌法を採用したバッチ的方法では0.1~2ml程度で、十分に精度の高い評価結果を得ることが可能である。
更には、(b)攪拌法により耐脆化性(及び吸着性能)を評価する場合、簡便な装置を使用して、より小さいスペースで実施できるという利点もある。
また、被処理液に含まれる吸着対象物質は、上記した通り、特に制限されるものではないが、放射性物質に対する吸着材の吸着性能を評価しなければならない場合、(b)攪拌法により試験時間を短縮できるということは、安全面及び設備面で非常に有利である。
≪粉体捕捉器≫
本発明の粉体捕捉器は、上述した(a)通水法により耐脆化性評価方法を実施する際に、前記容器から抜出した被処理液中の粉体を捕捉するための粉体捕捉器であって、開口部を有する容器と、前記容器中に収容された少なくとも1つの邪魔板と、と有する。
前記粉体捕捉器の具体例としては、図1に示す粉体捕捉器12が挙げられる。
図1に示す粉体捕捉器12の例では、上方に2つの開口部(被処理液導入口及び被処理液排出口)を有した円筒容器と、円筒容器の内部空間を2分するように設置された邪魔板13を有し、被処理液導入口が2分された一方の空間に連通し、被処理液排出口が他方の空間に連通するような構成となっている。ここで、邪魔板は、導入された被処理液が一方の空間から他方の空間に移動できるよう構成されている必要が有る。このような被処理液の移動を可能にする手段としては、例えば、図1に示すように邪魔板13の下端部に切欠き部を設けて、紛体捕捉器12の底部との間に隙間を形成することや、邪魔板13の縁部を前記円筒容器の内壁に密着させて設置する場合は、邪魔板13の少なくとも一部に貫通孔を設けることが挙げられる。このような切欠き部や貫通孔については、後に具体的に説明する。上記のような構成により、前記被処理液導入口から粉体捕捉器12に導入された被処理液に含まれる粉体を前記邪魔板により粉体捕捉器12内に留め、紛体が被処理液と共に前記被処理液排出口から流出することを防止できる。
前記被処理液導入口及び被処理液排出口の位置については効率的に粉体を粉体捕捉器12中に蓄積できる限り特に制限はない。例えば、前記被処理液導入口については、粉体捕捉器12中の下部に沈降した粉体を巻き上げないように、粉体捕捉器12の比較的高い位置に設けることが好ましく、粉体捕捉器12の高さの50%以上の高さの位置に設けることがより好ましく、図1に示すように粉体捕捉器12の最上部(粉体捕捉器12の天井部又は蓋)に設けることが更に好ましい。被処理液排出口についても、粉体捕捉器12中の下部に沈降した粉体が排出されてしまわないように、粉体捕捉器12の比較的高い位置に設けることが好ましく、粉体捕捉器12の高さの50%以上の高さの位置に設けることがより好ましく、90%以上の高さの位置に設けることが更に好ましい。
前記容器の材質、形状及び寸法については、吸着材の耐脆化性評価の目的に十分な量の液体を保持できれば特に制限はない。材質については、例えば、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、塩ビ等の樹脂やガラス等が挙げられる。形状については、上端に開口部があり、下端が閉鎖されていれば良い。水平方向の断面形状については、円形や楕円形のみならず、三角形、四角形等の多角形であっても良く、上端部から下端部にかけて水平方向の幅が減少するテーパー形状であっても良い。
邪魔板13の材質、形状及び寸法については、被処理液中の粉体を効果的に捕捉することができるものであれば特に制限はない。尚、ここで「捕捉」とは、図1に示すように粉体捕捉器に被処理液を通過させた際に、紛体が粉体捕捉器から排出されずに、粉体捕捉器12内に留まるようにすることを意味する。
邪魔板13の材質としては、被処理液に対して不活性であれば特に限定されるものではなく、ガラス、樹脂、ステンレスなどの金属、セラミック等を用いることが可能であるが、耐久性・耐薬品性・重量等の観点から樹脂製のものが好ましく、特にPTFE(ポリテトラフルオロエチレン:通称テフロン(登録商標))、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)等のフッ素樹脂製のものが好ましい。
邪魔板13の形状としては、多角形状、円形状、楕円形状等が挙げられるが、設置のし易さ等の観点から長方形状のものが好ましい。
邪魔板の数についても特に制限はなく、複数の邪魔板を設けても良いが、通常、好適な形状及び寸法を有する邪魔板を1つ設ければ十分である。
尚、粉体を確実に捕捉しつつ、前記2つの空間の間における被処理液の流通も確保することが必要であるため、例えば、邪魔板13に少なくとも1つの貫通孔を設けたり、邪魔板13の端部に1以上のスリット等の切欠き部を設ける。
邪魔板13の好ましい態様の一例としては、1以上の貫通孔及び/又は1以上の切欠き部を有する板あって、前記粉体捕捉器12の内部空間を二分して、前記貫通孔及び/又は切欠き部以外から被処理液が上記2つの空間の間を移動できない寸法及び形状を有する板を挙げることができる。尚、ここで、前記貫通孔の直径及び前記切欠き部の幅は、特に制限はないが、容器内径の50~5%とすることが好ましく、25~10%とすることがより好ましい。前記貫通孔の直径及び前記切欠き部の幅を前記上限値以下とすることで、紛体が粉体捕捉器12から排出されてしまうことを抑制することができ、前記下限値以上であることにより、被処理液のスムーズな流通を確保でき、それにより被処理液導入口側での水漏れの発生やカラムの通水速度低下を防止することが可能となる。
上述した(a)通水法により耐脆化性評価方法を実施する際に、本発明の粉体捕捉器を用いることにより、処理済の被処理液に含有されている微粉末が粉体捕捉器12から流出しまうことを防止し、耐脆化性評価をより効率的、かつ、正確に実施することが可能となる。
以下に、実施例を示して本発明を説明するが、本発明は実施例によって限定されるものではない。
(実施例1:通水法(カラム通水試験)による吸着材の耐脆化性評価及び吸着性能評価)
以下の5種類の吸着材について、図1に示すシステムを用いて後述する手順にて耐脆化性を評価した。
[吸着材]
4種類の異なるチタン系吸着材A、B、C及びDと1種類の酸化マンガン系吸着材Eを使用した。
[カラム通水試験]
前記5種類の吸着材のそれぞれについて、以下の手順でカラム通水試験を実施した。
5mLの吸着材31を直径2cmのカラム10に充填し、非放射性ストロンチウム2ppmを添加した被処理液15を、貯水槽16からポンプ17を用いて2mL/minの速度で、前記カラム10を通水させた。前記カラム10を経た液は粉体捕捉器12に導入し、その後経路14aを経て排水タンク19に排出させた。一定時間毎にカラム10から排出された被処理液の一部を試料として採取した。
[吸着性能評価]
採取した試料を、ディスポーザブルフィルタ(アドバンテック製 フィルターディスミック13HP045ANフィルターの孔径 0.45μm)を用いてろ過し、得られたろ液を島津製ICPMS2030装置を用いて分析して吸着量を確認し、ストロンチウムが飽和吸着するまで被処理液の通水を継続した。時間毎の吸着量の変化を図7に示す。縦軸はストロンチウム吸着量(ppm)を示し、横軸は被処理液の通水開始からの経過時間を示す。
[耐脆化性評価]
また、飽和吸着に達した後に図1の粉体捕捉器12内の微粉末を含んだ液体を遠沈管用フィルターユニット装置(NALGENE製遠沈管用フィルターユニット564-0020;フィルターの孔径 0.2μm)を用いてろ過し、得られた残渣をRO水(RO(逆浸透膜ろ過)処理に付した水)で洗浄し、80℃で6時間乾燥させた後、その乾燥質量を測定した。結果を表1に示す。
(実施例2:撹拌法による吸着材の耐脆化性評価及び吸着性能評価)
実施例1と同様の5種類の吸着材について、図3に示すシステムを用いて後述する手順にて耐脆化性を評価した。
[撹拌法による試験]
1g(吸着材A~E)の吸着材31を、容積110mLの試料容器32に分取し、そこに非放射性ストロンチウムを2ppm添加した被処理液35を100mL添加して、試料容器32をキャップ33で密封した。密封した試料容器32の長手方向の中間部を転倒回転型撹拌器30(Appropriate Technical Resources, Inc.製のロータ・ミックス RKVSD装置)の回転軸に取り付け、前記容器32を10rpmにて鉛直方向に回転させることにより、被処理液35を撹拌した。
[耐脆化性評価] 攪拌開始から24時間後に、試料容器32中の上澄み水を試料として取得し、その660nmでの光透過率を、光電比色計((株)アペレ製AP1000M)にて測定した。結果を表1に示す。
[吸着性能評価]
攪拌開始後一定時間毎に容器32中の上澄みの一部を試料として取得した。
採取した試料を、ディスポーザブルフィルタ(アドバンテック製 フィルターディスミック13HP045AN;フィルターの孔径 0.45μm)を用いてろ過し、得られたろ液を島津製ICPMS2030を用いて、非放射性ストロンチウムの濃度を測定した。得られた濃度に基づいて、上記した式により吸着率を算出した。結果を図8(a)に示す。縦軸はストロンチウム吸着量(%)を示し、横軸は被処理液の攪拌開始からの経過時間を示す。
Figure 0007119415000001
(実施例3:カラム通水試験の加速試験による吸着材の耐脆化性評価)
前記したチタン酸系吸着材B、チタン酸系吸着材D及び酸化マンガン系吸着材Eについて、非放射性ストロンチウムを含まない以外は被処理液15と同一成分の液(pH12の希釈海水模擬液)を使用したこと、被処理液の流速を2mL/minから55mL/minに変更したこと、前記カラム10を経た液は経路14bを経て貯水槽16にリサイクルしたこと以外は実施例1と同様にして、カラム通水試験を行った。
通水開始後72、96、168、244.5及び336時間時点で、一旦被処理液の通水を停止して、粉体捕捉器12から微粉末を回収、遠沈管用フィルターユニット装置(NALGENE製遠沈管用フィルターユニット564-0020;フィルターの孔径 0.45μm)にてろ過・乾燥後に重量を測定した。結果を表2に示す。また、表2に示した結果をグラフにしたものを図10に示す。
Figure 0007119415000002
(参考例1:静置条件での吸着材の吸着性能評価)
転倒回転型撹拌器30による攪拌を行わなかった以外は、実施例2と同様にして吸着材の吸着性能を評価した。結果を図8(b)に示す。縦軸はストロンチウム吸着量(%)を示し、横軸は吸着材を試料容器に投入してからの経過時間を示す。
[耐脆化性評価の考察]
表1から明らかなように、実施例1における微粒子の乾燥重量は、チタン酸系Dと酸化マンガン系Eで少なく、チタン酸系BとCが中程度で、チタン酸系Aが最も多かった。微粒子量の発生量が少ない方が脆化しにくいことを意味するため、耐脆化性の順位は表1に示したようになる。
また、実施例2における上澄みの光透過率は、チタン酸系Dと酸化マンガン系Eで高く、チタン酸系BとCが中程度で、チタン酸系Aが最も低かった。光透過率が高い程、微粒子量の発生量が少く、脆化しにくいことを意味するため、耐脆化性の順位は表1に示したようになる。
このように、耐脆化性の評価結果は、実施例1と実施例2とで概ね同じ傾向を示しており(図9参照)、通水法及び攪拌法のいずれを用いても妥当な評価結果が得られていることが分かる。
尚、実施例1(通水法)においては、図7から明らかな通り、吸着材の耐脆化性を適切に評価するのに3000時間程度の運転を要していたところ、実施例2(攪拌法)においては、24時間程度の運転で適切な評価が可能であった。即ち、実施例2(攪拌法)においては、実施例1(通水法)と比較して極めて迅速な評価が可能であったことが分かる。
また、表2から明らかなように、実施例3における微粒子の乾燥重量は、チタン酸系Dと酸化マンガン系Eで少なく、これ等と比較するとチタン酸系Bは相当に多かった。この結果は、実施例1及び実施例2の結果とほぼ合致している。このことから、吸着対象物質を含まない以外は被処理液15と同一成分の液を用いてこれを処理システム実運転時のよりもかなり早い流速で通水させても、吸着材の耐脆化性を適切に評価できたことが分かる。
実施例1~3の耐脆化性の評価において、同じ傾向の結果が得られていることから、いずれの方法を用いても吸着材の耐脆化性を適切に評価できることが確認できた。また、適切な評価結果を得るために、実施例1では3000時間程度、実施例3でも168時間程度の試験期間を要しているのに対して、実施例2ではより簡便な装置で24時間程度の試験期間しか必要としないことから、実施例2の方法においては最も迅速に、簡便かつ適切な評価が可能であることが分かった。
[吸着性能評価の考察]
更に、実施例1においては、上記の通り、被処理液の通水開始後約500~3300時間の間に各吸着材は飽和吸着に達し、この結果から、5種吸着材の吸着性能の順位は以下の通りであることが確認できた:チタン酸系A>B>C>>D≒酸化マンガン系E。
これに対して、実施例2においては、図8(a)から分かる通り、攪拌開始後約4時間で、吸着性能の評価に十分な結果が得られている。この結果から、5種吸着材の吸着性能の順位は以下の通りであることが確認できた:チタン酸系A≧B≧C>D>酸化マンガン系E。これは実施例1の通水法の結果とほぼ同様の順であったので、実施例2の撹拌法においても吸着性能評価が可能であることが確認できた。
実施例1の通水法においては吸着性能評価の目処が立つのに約2ヶ月、飽和吸着までに約5ヶ月を要したことと比較すると、実施例2の本発明の方法では約1/360~1/900の時間短縮が可能であった。
尚、参考例1で実施した静置試験においては、吸着速度が遅いだけでなく、吸着率の順位も従来法とは異なった結果となった。
10 カラム
11、31、51 試料(吸着材)
12 粉体捕捉器
13 邪魔板
14a、14b 通水経路
15、35、55 被処理液
16 貯水槽
17 ポンプ
20、40 ろ過器
21、41 貯水容器
22 粉体
23、43 フィルター
24、44 濾液槽
25 濾液
30 転倒回転型撹拌器
32、52、 試料容器
33、53、 キャップ
56 中空円筒状容器
56a 蓋
56b パッキン
56c 金属フィルター
57 通水性スペーサ

Claims (8)

  1. 汚染水処理において用いられる吸着材の耐脆化性評価方法であって、
    (1)吸着材を収容した容器中で、被処理液を流動させる工程と、
    (2)前記工程(1)において流動開始から0.5~168時間の間に3回~10回、前記被処理液の一部を試料として取得する工程と、
    (3)得られた試料中の微粒子の量を評価する工程と、
    (4)前記微粒子の量に基づいて、前記吸着材の経時的な脆化を評価する工程と、
    を含む吸着材の耐脆化性評価方法。
  2. 前記工程(1)において、前記吸着材を容器中に保持した状態で、前記被処理液を、容器中を連続的に通水させることにより流動させる、請求項1に記載の吸着材の耐脆化性評価方法。
  3. 前記工程(1)において、前記被処理液を前記容器中で攪拌することにより流動させる、請求項1に記載の吸着材の耐脆化性評価方法。
  4. 攪拌子を使用せずに、前記被処理液を攪拌する、請求項3に記載の吸着材の耐脆化性評価方法。
  5. 前記容器が細長の円筒形状であって、容器の長手方向の中間部を支点として、容器を回転させることにより、前記被処理液を攪拌する、請求項3又は4に記載の吸着材の耐脆化性評価方法。
  6. 前記工程(1)において、前記容器を少なくとも一方向に振とうすることにより、前記被処理液を攪拌する、請求項3又は4に記載の吸着材の耐脆化性評価方法。
  7. 前記被処理液として、吸着対象物質を含む被処理液を用い、
    前記工程(1)において、前記吸着対象物質を含む被処理液を前記容器内で流動させることにより吸着対象物質を吸着材に吸着させ、
    更に以下の工程(2’)、(3’)及び(4’)を行うことにより、吸着材の吸着性能を併せて評価する、請求項1~6のいずれかに一項に記載の吸着材の耐脆化性評価方法。(2’)前記工程(1)において流動開始から任意の時間経過後の異なる2以上の時点において、前記被処理液の一部を試料として取得する工程
    (3’)各時点において得られた試料中の吸着対象物質濃度をそれぞれ測定し、得られた吸着対象物質濃度の値に基づいて、各時点における吸着対象物質の吸着率を算出する工程(4’)各時点における吸着率を比較することにより、前記吸着材の吸着性能を評価する工程
  8. 請求項2に記載の吸着材の耐脆化性評価方法において前記容器から抜出した被処理液中の粉体を捕捉するための粉体捕捉器であって、前記被処理液を導入するための開口部を有する粉体捕捉用容器と、前記粉体捕捉用容器中に収容された少なくとも1つの邪魔板と、を有する粉体捕捉器。
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