1.実施形態
1.1 概要
図1及び図2は、一実施形態のガラスパネルユニットの仕掛り品110を示す。ガラスパネルユニットの仕掛り品110は、1以上のガラスパネルユニット(本実施形態では、図23に示すガラスパネルユニット10A~10H)を製造するために利用される。
仕掛り品110は、図3及び図4に示す組立て品100からガラスパネルユニット10(10A~10H)を製造する過程で形成される。組立て品100は、互いに対向する一対のガラス基板200,300と、一対のガラス基板200,300間にある枠状の周壁410と、複数の仕切り420と、排気口700と、複数の通気路600と、を備える。複数の仕切り420は、一対のガラス基板200,300及び周壁410で囲まれた内部空間500を排気空間511(511a~511h)と通気空間520とに仕切る。排気口700は、通気空間520と外部空間とをつなぐ。複数の通気路600は、排気口700を介して排気空間511a~511hを排気するために用いられる。複数の通気路600は、複数の特定の通気路610を含む。複数の特定の通気路610は、一対のガラス基板200,300が互いに対向する第1方向と直交する第2方向(図3における上下方向)に沿って並んで内部空間500を第2方向に沿って貫通する通風経路P10(P10a~P10h)を構成する。
組立て品100は、図3に示すように、内部空間500を第2方向(一対のガラス基板200,300の幅方向)に沿って貫通する通風経路P10(P10a~P10h)を有している。そこで、組立て品100を溶融炉内で加熱するにあたって、第2方向に沿って熱風F10を送る(図16参照)。つまり、組立て品100を加熱する際に、熱風F10が通風経路P10内を通過するようにする。これによって、組立て品100の内部空間500にある仕切り420にも熱が十分に伝わるため、組立て品100の加熱(特に仕切り420の加熱)が容易になる。これによって、仕切り420の材料に含まれるバインダ等のガスの発生源となる不要成分を周壁410の加熱時において十分に除去することが可能となる。したがって、このような不要成分から生じるガスに起因する歩留りの低下を低減できる。よって、ガラスパネルユニットの歩留りの向上が図れる。
1.2 構成
以下、ガラスパネルユニット10(10A~10H)、ガラスパネルユニットの組立て品100、及び、ガラスパネルユニットの仕掛り品110について詳細に説明する。組立て品100は、図23に示す複数(ここでは8つ)のガラスパネルユニット10(10A~10H)を製造するために利用される。仕掛り品110は、組立て品100からガラスパネルユニット10(10A~10H)を製造する過程で形成される。なお、以下では、必要に応じて、ガラスパネルユニットの組立て品100を単に「組立て品」といい、ガラスパネルユニットの仕掛り品110を単に「仕掛り品」という。
1.2.1 ガラスパネルユニット
まず、ガラスパネルユニット10(10A~10H)について説明する。ガラスパネルユニット10(10A~10H)は、真空断熱ガラスユニットである。真空断熱ガラスユニットは、少なくとも一対のガラスパネルを備える複層ガラスパネルの一種であって、一対のガラスパネル間に真空空間を有している。各ガラスパネルユニット10A~10Hは、図23に示すように、一対のガラスパネル(第1及び第2ガラスパネル)20,30と、枠体40と、を備える。また、各ガラスパネルユニット10A~10Hは、一対のガラスパネル20,30と枠体40とで囲まれた空間(排気空間)511(511a~511h(図1参照))を有する。更に、各ガラスパネルユニット10A~10Hは、排気空間511内に、ガス吸着体60と、複数のピラー(スペーサ)70と、を備える。なお、ガラスパネルユニット10A~10Hはいずれも平面視において四角形状であり、大きさ及び形状も同一である。
一対のガラスパネル20,30は、同形状である。一対のガラスパネル20,30はいずれも矩形の平板状である。一対のガラスパネル20,30の材料は、例えば、ソーダライムガラス、高歪点ガラス、化学強化ガラス、無アルカリガラス、石英ガラス、ネオセラム、物理強化ガラスである。なお、一対のガラスパネル20,30の表面には、コーティングが設けられていてもよい。コーティングの例としては、透明な赤外線反射膜が挙げられる。なお、コーティングは、赤外線反射膜に限定されず、所望の物理特性を有する膜であってもよい。
枠体40は、一対のガラスパネル20,30間にあり、一対のガラスパネル20,30を互いに気密に接合する。これによって、一対のガラスパネル20,30と枠体40とで囲まれた排気空間511が形成される。そして、一対のガラスパネル20,30と枠体40とで囲まれた排気空間511は真空状態となっている。換言すれば、排気空間511は、内部の圧力が大気圧より低い状態となっている。枠体40は、熱接着剤(封着材)で形成されている。言い換えれば、枠体40は、硬化した熱接着剤である。熱接着剤は、例えば、ガラスフリットである。ガラスフリットの例としては、低融点ガラスフリットが挙げられる。低融点ガラスフリットの例としては、ビスマス系ガラスフリット、鉛系ガラスフリット、バナジウム系ガラスフリットが挙げられる。枠体40は、一対のガラスパネル20,30と同様の多角形(本実施形態では四角形)の枠状である。枠体40は、一対のガラスパネル20,30の外周に沿って形成されている。また、熱接着剤は、ガラスフリットに限定されず、例えば、低融点金属や、ホットメルト接着材などであってもよい。
ガス吸着体60は、排気空間511内に配置される。具体的には、ガス吸着体60は、長尺の平板状であり、ガラスパネル30に配置されている。ガス吸着体60は、不要なガス(残留ガス等)を吸着するために用いられる。不要なガスは、例えば、枠体40を形成する熱接着剤が加熱された際に、熱接着剤から放出されるガスである。ガス吸着体60は、ゲッタを有する。ゲッタは、所定の大きさより小さい分子を吸着する性質を有する材料である。ゲッタは、例えば、蒸発型ゲッタである。蒸発型ゲッタは、所定温度(活性化温度)以上になると、吸着された分子を放出する性質を有している。そのため、蒸発型ゲッタの吸着能力が低下しても、蒸発型ゲッタを活性化温度以上に加熱することで、蒸発型ゲッタの吸着能力を回復させることができる。蒸発型ゲッタは、例えば、ゼオライトまたはイオン交換されたゼオライト(例えば、銅イオン交換されたゼオライト)である。ガス吸着体60は、このゲッタの粉体を備えている。具体的には、ガス吸着体60は、ゲッタの粉体を含む液体(例えばゲッタの粉体を液体に分散して得られた分散液や、ゲッタの粉体を液体に溶解させて得られた溶液)を塗布して固形化することにより形成される。この場合、ガス吸着体60を小さくできる。したがって、排気空間511が狭くてもガス吸着体60を配置できる。
複数のピラー70は、排気空間511内に配置されている。複数のピラー70は、一対のガラスパネル20,30間の間隔を所定間隔に維持するために用いられる。つまり、複数のピラー70は、一対のガラスパネル20,30間の距離を所望の値に維持するために使用される。なお、ピラー70の大きさ、ピラー70の数、ピラー70の間隔、ピラー70の配置パターンは、適宜選択することができる。各ピラー70は、上記所定間隔とほぼ等しい高さを有する円柱状である。例えば、ピラー70は、直径が1mm、高さが100μmである。なお、各ピラー70は、角柱状や球状などの所望の形状であってもよい。
1.2.2 ガラスパネルユニットの組立て品
次に、ガラスパネルユニットの組立て品100について説明する。組立て品100は、図3及び図4に示すように、互いに対向する一対の(第1及び第2)ガラス基板200,300と、周壁410と、第1仕切り421a~421d及び第2仕切り422a~422jと、複数の通気路600と、排気口700と、を備える。また、組立て品100は、複数のガス吸着体60と、複数のピラー(スペーサ)70と、を備える。なお、以下では、第1仕切り421a~421dを特に区別しない場合には、単に、第1仕切り421という。また、第2仕切り422a~422jを特に区別しない場合には、単に第2仕切り422という。更に、第1仕切り421及び第2仕切り422を特に区別しない場合には、単に仕切り420という。
第1ガラス基板200は、第1ガラスパネル20の基礎となる部材であり、第1ガラスパネル20と同じ材料で形成されている。第2ガラス基板300は、第2ガラスパネル30の基礎となる部材であり、第2ガラスパネル30と同じ材料で形成されている。第1及び第2ガラス基板200,300は同形状である。第1及び第2ガラス基板200,300はいずれも多角形(本実施形態では長方形)の板状である。本実施形態では、第1ガラス基板200は、ガラスパネルユニット10A~10Hの第1ガラスパネル20を形成可能な大きさであり、第2ガラス基板300は、ガラスパネルユニット10A~10Hの第2ガラスパネル30を形成可能な大きさである。
周壁410は、封着材(第1封着材)で形成されている。第1封着材は、例えば、熱接着剤を含む。熱接着剤は、例えば、ガラスフリットである。ガラスフリットは、例えば、低融点ガラスフリットである。低融点ガラスフリットの例としては、ビスマス系ガラスフリット、鉛系ガラスフリット、バナジウム系ガラスフリットが挙げられる。また、第1封着材は、芯材を含む。芯材は、枠体40の高さを規定するために用いられる。芯材は、例えば、球状のガラスビーズである。ガラスビーズの径は、枠体40の高さに応じて選択される。このような芯材は、熱接着剤に所定の割合で分散される。一例としては、直径50~300μmのガラスビーズが、熱接着剤に対して0.01~1wt%(体積比で0.03~3%)で含まれている。このような第1封着材は、多孔質であり、溶融されるまでは通気性を有するが、一度溶融された後は通気性を喪失する。
周壁410は、一対のガラス基板200,300間にある。周壁410は、図3に示すように、枠状である。特に、周壁410は、矩形の枠状である。周壁410は、第1及び第2ガラス基板200,300の外周に沿って形成されている。周壁410は、第1~第4辺410a~410dを有する。第1及び第2辺410a,410bは、第1及び第2ガラス基板200,300の幅方向(図3の上下方向)に沿って伸びる。第3及び第4辺410c,410dは、第1及び第2ガラス基板200,300の長さ方向(図3の左右方向)に沿って伸びる。周壁410は、第1ガラス基板200と第2ガラス基板300とを気密に接合するためのものである。これにより、組立て品100では、周壁410と第1ガラス基板200と第2ガラス基板300とで囲まれた内部空間500が形成される。
複数の仕切り420は、いずれも封着材(第2封着材)で形成されている。第2封着材は、例えば、熱接着剤を含む。熱接着剤は、例えば、ガラスフリットである。ガラスフリットは、例えば、低融点ガラスフリットである。低融点ガラスフリットの例としては、ビスマス系ガラスフリット、鉛系ガラスフリット、バナジウム系ガラスフリットが挙げられる。本実施形態では、仕切り420の熱接着剤は、周壁410と同じ熱接着剤である。よって、仕切り420と周壁410とは同じ軟化点を有している。また、第2封着材は、第1封着材と同じ芯材を含む。第2封着材においても、芯材は、熱接着剤に所定の割合で分散される。一例としては、直径50~300μmのガラスビーズが、熱接着剤に対して0.01~1wt%(体積比で0.03~3%)で含まれている。このような第2封着材は、第1封着材と同様に、多孔質であり、溶融されるまでは通気性を有するが、一旦溶融された後は通気性を喪失する。
複数の仕切り420は、一対のガラス基板200,300及び周壁410で囲まれた内部空間500を排気空間511(511a~511h)と、緩衝空間512(512a~512f)と、通気空間520とに仕切る。組立て品100では、排気空間511a~511h及び緩衝空間512a~512fは後に排気される空間(第1空間)である。通気空間520は、第1空間(排気空間511a~511h及び緩衝空間512a~512f)の排気に使用される空間(第2空間)である。特に、排気空間511a~511hは、ガラスパネルユニット10A~10Hを得るために排気される。これに対して、緩衝空間512a~512fは、排気空間511a~511hと同様に排気されるが、これは、ガラスパネルユニット10A~10Hを得るためではなく、ガラスパネルユニット10A~10Hの歩留まりの向上のためである。
図3に示すように、仕切り420は周壁410で囲まれた領域内にある。そして、仕切り420は、いずれも周壁410より低い。そのため、図4に示すように、仕切り420よりも周壁410が先に第1及び第2ガラス基板200,300の両方に接する。図3の例では、仕切り420が第2ガラス基板300に形成されているから、第1ガラス基板200とは離間している。
複数の仕切り420は、長尺状である。各仕切り420は、長さ方向の両端部423(423a,423b)及び幅方向の両側部424(424a,424b)を有する。なお、図3では、単に図面を見やすくするためだけに、第2仕切り422aについてのみ、符号423(423a,423b)を付し、第1仕切り421dについてのみ、符号424(424a,424b)を付している。複数の仕切り420は、第1仕切り421(421a~421d)と、第2仕切り422(422a~422j)とを含む。第1仕切り421(421a~421d)と第2仕切り422(422a~422j)とは、長さ方向が互いに異なる。より詳細には、第1仕切り421(421a~421d)は、一対のガラス基板200,300が互いに対向する第1方向に直交する第2方向に沿って延びる。本実施形態では、第1方向は、一対のガラス基板200,300の厚み方向(図4における上下方向)である。第2方向は、一対のガラス基板200,300の幅方向(図3における上下方向)である。第2仕切り422(422a~422j)は、第1方向に直交し第2方向に交差する第3方向に沿って延びる。本実施形態では、第3方向は、第2方向に直交している。第3方向は、一対のガラス基板200,300の長さ方向(図3における左右方向)である。
より詳細には、第1仕切り421a,421b,421c,421dは、一対のガラス基板200,300の幅方向(図3の上下方向)に沿って延びる長尺状である。第1仕切り421a,421b,421c,421dの各々では、側部424aは、周壁410の第1辺410a側(図3の右側)の側部であり、側部424bは、周壁410の第2辺410b側(図3の左側)の側部である。
第1仕切り421a,421b,421c,421dは、一対のガラス基板200,300の長さ方向(図3の左右方向)に、周壁410の第1辺410aから第2辺410bに向かって、この順に、間隔を空けて並んでいる。また、第1仕切り421a,421b,421c,421dは、いずれも、周壁410の第3及び第4辺410c,410dとは接触していない。
第2仕切り422a~422jは、一対のガラス基板200,300の長さ向に沿って延びる長尺状である。第2仕切り422a~422jでは、端部423aは、周壁410の第1辺410a側(図3の右側)の端部であり、端部423bは、周壁410の第2辺410b側(図3の左側)の端部である。
第2仕切り422a,422bは、周壁410の第2辺410bと第1仕切り421dとの間にある。第2仕切り422a,422bは、一対のガラス基板200,300の幅方向に、周壁410の第3辺410cから第4辺410dに向かって、この順に、間隔を空けて並んでいる。第2仕切り422a,422bは、周壁410の第2辺410bと第1仕切り421dとにそれぞれ接触していない。特に、第2仕切り422a,422bの端部423aは、第1仕切り421dの側部424bに所定間隔を空けて対向している。
第2仕切り422c,422dは、第1仕切り421c,421d間にある。第2仕切り422c,422dは、一対のガラス基板200,300の幅方向に、周壁410の第3辺410cから第4辺410dに向かって、この順に、間隔を空けて並んでいる。第2仕切り422c,422dは、第1仕切り421c,421dにそれぞれ接触していない。特に、第2仕切り422c,422dの端部423aは、第1仕切り421cの側部424bに所定間隔を空けて対向している。また、第2仕切り422c,422dの端部423bは、第1仕切り421dの側部424aに所定間隔を空けて対向している。
第2仕切り422e,422fは、第1仕切り421b,421c間にある。第2仕切り422e,422fは、一対のガラス基板200,300の幅方向に、周壁410の第3辺410cから第4辺410dに向かって、この順に、間隔を空けて並んでいる。第2仕切り422e,422fは、第1仕切り421b,421cにそれぞれ接触していない。特に、第2仕切り422e,422fの端部423aは、第1仕切り421bの側部424bに所定間隔を空けて対向している。また、第2仕切り422e,422fの端部423bは、第1仕切り421cの側部424aに所定間隔を空けて対向している。
第2仕切り422g,422hは、第1仕切り421a,421b間にある。第2仕切り422g,422hは、一対のガラス基板200,300の幅方向に、周壁410の第3辺410cから第4辺410dに向かって、この順に、間隔を空けて並んでいる。第2仕切り422g,422hは、第1仕切り421a,421bにそれぞれ接触していない。特に、第2仕切り422g,422hの端部423aは、第1仕切り421aの側部424bに所定間隔を空けて対向している。また、第2仕切り422g,422hの端部423bは、第1仕切り421bの側部424aに所定間隔を空けて対向している。
第2仕切り422i,422jは、周壁410の第1辺410aと第1仕切り421aとの間にある。第2仕切り422i,422jは、一対のガラス基板200,300の幅方向に、周壁410の第3辺410cから第4辺410dに向かって、この順に、間隔を空けて並んでいる。第2仕切り422i,422jは、周壁410の第1辺410aと第1仕切り421aとにそれぞれ接触していない。特に、第2仕切り422i,422jの端部423bは、第1仕切り421aの側部424aに所定間隔を空けて対向している。
組立て品100では、排気空間511aは、周壁410の第2及び第3辺410b,410cと第1仕切り421dと第2仕切り422aとで囲まれる空間である。排気空間511bは、周壁410の第3辺410cと第1仕切り421c,421dと第2仕切り422cとで囲まれる空間である。排気空間511cは、周壁410の第3辺410cと第1仕切り421b,421cと第2仕切り422eとで囲まれる空間である。排気空間511dは、周壁410の第3辺410cと第1仕切り421a,421bと第2仕切り422gとで囲まれる空間である。排気空間511eは、周壁410の第2辺410bと第1仕切り421dと第2仕切り422a,422bとで囲まれる空間である。排気空間511fは、第1仕切り421c,421dと第2仕切り422c,422dとで囲まれる空間である。排気空間511gは、第1仕切り421b,421cと第2仕切り422e,422fとで囲まれる空間である。排気空間511hは、第1仕切り421a,421bと第2仕切り422g,422hとで囲まれる空間である。緩衝空間512aは、周壁410の第1及び第3辺410a,410cと第1仕切り421aと第2仕切り422iとで囲まれる空間である。緩衝空間512bは、周壁410の第1辺410aと第1仕切り421aと第2仕切り422i,422jとで囲まれる空間である。緩衝空間512cは、周壁410の第2及び第4辺410b,410dと第1仕切り421dと第2仕切り422bとで囲まれる空間である。緩衝空間512dは、周壁410の第4辺410dと第1仕切り421c,421dと第2仕切り422dとで囲まれる空間である。緩衝空間512eは、周壁410の第4辺410dと第1仕切り421b,421cと第2仕切り422fとで囲まれる空間である。緩衝空間512fは、周壁410の第4辺410dと第1仕切り421a,421bと第2仕切り422hとで囲まれる空間である。通気空間520は、周壁410の第1及び第4辺410a,410dと第1仕切り421aと第2仕切り422jとで囲まれる空間である。
ここで、ガス吸着体60は、図3に示すように、排気空間511a~511hの各々にだけ配置されている。つまり、ガス吸着体60は、緩衝空間512a~512f及び通気空間520ではなく排気空間511a~511hに配置されている。一方、複数のピラー70は、図1に示すように、内部空間500の全体(排気空間511a~511h、緩衝空間512a~512f及び通気空間520の各々)に配置されている。つまり、複数のピラー70は、排気空間511a~511hと緩衝空間512a~512fと通気空間520に亘って配置されている。
複数の通気路600は、排気口700を介して第1空間(排気空間511a~511h及び緩衝空間512a~512f)を排気するために用いられる。複数の通気路600を介して、排気空間511a~511h及び緩衝空間512a~512fは、通気空間520に(直接的又は間接的に)つながれる。本実施形態では、周壁410と仕切り420(421a~421h,422a~422d)は、互いに接触しないように配置されている。そして、周壁410と仕切り420間の隙間の各々が、通気路600を構成している。各通気路600は、仕切り420を一旦溶融させて変形させることで閉塞される。これによって、少なくとも排気空間511a~511h同士を互いに(気密に)分離するとともに、排気空間511a~511h及び緩衝空間512a~512fを通気空間520から(気密に)分離する(図1参照)。
本実施形態では、複数の通気路600は、一対のガラス基板200,300が互いに対向する第1方向と直交する第2方向に沿って並ぶ複数の特定の通気路610を有する。複数の特定の通気路610は、内部空間500を第2方向(図3における上下方向)に沿って貫通する通風経路P10(P10a~P10h)を構成する。なお、図3では、単に説明を分かりやすくするためだけに、通風経路P10を網掛けで示している。本実施形態では、通風経路P10aを構成する特定の通気路610は、第2仕切り422a,422bの端部423aと第1仕切り421dの側部424bとの間の空間(隙間)である。通風経路P10bを構成する特定の通気路610は、第2仕切り422c,422dの端部423bと第1仕切り421dの側部424aとの間の空間(隙間)である。通風経路P10cを構成する特定の通気路610は、第2仕切り422c,422dの端部423aと第1仕切り421cの側部424bとの間の空間(隙間)である。通風経路P10dを構成する特定の通気路610は、第2仕切り422e,422fの端部423bと第1仕切り421cの側部424aとの間の空間(隙間)である。通風経路P10eを構成する特定の通気路610は、第2仕切り422e,422fの端部423aと第1仕切り421bの側部424bとの間の空間(隙間)である。通風経路P10fを構成する特定の通気路610は、第2仕切り422g,422hの端部423bと第1仕切り421bの側部424aとの間の空間(隙間)である。通風経路P10gを構成する特定の通気路610は、第2仕切り422g,422hの端部423aと第1仕切り421aの側部424bとの間の空間(隙間)である。通風経路P10hを構成する特定の通気路610は、第2仕切り422i,422jの端部423bと第1仕切り421aの側部424aとの間の空間(隙間)である。
排気口700は、通気空間520と外部空間とをつなぐ。排気口700は、通気空間520及び通気路600を利用して排気空間511a~511h及び緩衝空間512a~512fを排気するために用いられる。したがって、通気路600と通気空間520と排気口700とは、排気空間511a~511h及び緩衝空間512a~512fを排気するための排気路を構成する。排気口700は、通気空間520と外部空間とをつなぐように第2ガラス基板300に形成されている。具体的には、排気口700は、第2ガラス基板300の角部分にある。
1.2.3 ガラスパネルユニットの仕掛り品
次に、ガラスパネルユニットの仕掛り品110について説明する。仕掛り品110は、図1及び図2に示されるように、一対のガラス基板(第1及び第2ガラス基板)200,300と、周壁41と、隔壁42(42a~42m)と、を備える。また、仕掛り品110は、排気空間511a~511hと、緩衝空間512a~512fと、通気空間520とを含む内部空間500を有する。更に、仕掛り品110は、ガス吸着体60と、複数のピラー(スペーサ)70とを、内部空間500内に備える。更に、仕掛り品110は、排気口700を備える。
周壁41は、一対のガラス基板200,300間にあり、一対のガラス基板200,300同士を気密に接合する。周壁41は、組立て品100の周壁410を一旦溶融し再度固化することで形成されている。仕掛り品110の周壁41は、組立て品100の周壁410と同様に、枠状である。特に、周壁41は、第1~第4辺41a~41dを有する。第1及び第2辺41a,41bは、第1及び第2ガラス基板200,300の幅方向(図1における上下方向)に沿って伸びる。第3及び第4辺41c,41dは、第1及び第2ガラス基板200,300の長さ方向(図1における左右方向)に沿って伸びる。
隔壁42a~42mは、一対のガラス基板200,300及び周壁41で囲まれた内部空間500を排気空間511a~511hと緩衝空間512a~512fと通気空間520とに気密に分離する。 隔壁42a~42mは、仕切り420(421a~421d,422a~422j)から形成される。より詳細には、隔壁42aは、一対のガラス基板200,300の幅方向に延びる直線状であり、周壁41の第3及び第4辺41c,41d同士を一体に連結する。隔壁42aは、第1仕切り421aの変形により形成される。隔壁42b~42dは、一対のガラス基板200,300の幅方向に延びる長尺状であり、周壁41の第3辺41cに一体に連結される。隔壁42b~42dは、それぞれ第1仕切り421b~421dの変形により形成される。隔壁42e,42fは、一対のガラス基板200,300の長さ方向に延びる長尺状であり、周壁41の第2辺41bと隔壁42dとを一体に連結する。隔壁42e,42fは、それぞれ第2仕切り422a,422bの変形により形成される。隔壁42g,42hは、一対のガラス基板200,300の長さ方向に延びる長尺状であり、隔壁42c同士を一体に連結する。隔壁42g,42hは、それぞれ第2仕切り422c,422dの変形により形成される。隔壁42i,42jは、一対のガラス基板200,300の長さ方向に延びる長尺状であり、隔壁42b,42c同士を一体に連結する。隔壁42i,42jは、それぞれ第2仕切り422e,422fの変形により形成される。隔壁42k,42lは、一対のガラス基板200,300の長さ方向に延びる長尺状であり、隔壁42a,42b同士を一体に連結する。隔壁42k,42lは、それぞれ第2仕切り422g,422hの変形により形成される。隔壁42mは、一対のガラス基板200,300の長さ方向に延びる長尺状であり、周壁41の第1辺41aと隔壁42aとを一体に連結する。隔壁42mは、第2仕切り422jの変形により形成される。
特に、隔壁42a~42mは、排気空間511a~511h同士を互いに(気密に)分離するとともに、排気空間511a~511h及び緩衝空間512a~512fを通気空間520から(気密に)分離する。なお、本実施形態では、緩衝空間512a,512bは互いに(気密に)分離されておらず、緩衝空間512c~512fも互いに(気密に)分離されていない。ただし、緩衝空間512a,512bは互いに(気密に)分離されていてもよい。同様に、緩衝空間512c~512fも互いに(気密に)分離されていてもよい。つまり、緩衝空間512a~512f同士が互いに(気密に)分離されるかどうかは任意の事項である。
仕掛り品110では、組立て品100とは異なり、排気空間511a~511h及び緩衝空間512a~512fは、通気空間520及び排気口700を介して排気されて、通気空間520より内部の圧力が低い状態とされている。本実施形態では、排気空間511a~511h及び緩衝空間512a~512fは、真空状態とされている。したがって、排気空間511a~511h及び緩衝空間512a~512fは、真空空間であるといえる。なお、真空状態は、真空度が所定値以下の状態をいう。所定値は、例えば、0.1Paである。排気空間511a~511h及び緩衝空間512a~512fは、第1ガラス基板200と第2ガラス基板300と周壁41と隔壁42a~42mとで完全に密閉されているから、通気空間520及び排気口700から分離されている。
仕掛り品110では、排気空間511aは、周壁41の第2及び第3辺41b,41cと隔壁42d,42eとで囲まれる空間である。排気空間511bは、周壁41の第3辺41cと隔壁42c,42d,42gとで囲まれる空間である。排気空間511cは、周壁41の第3辺41cと隔壁42b,42c,42iとで囲まれる空間である。排気空間511dは、周壁41の第3辺41cと隔壁42a,42b,42kとで囲まれる空間である。排気空間511eは、周壁41の第2辺41bと隔壁42d,42e,42fとで囲まれる空間である。排気空間511fは、隔壁42c,42d,42g,42hで囲まれる空間である。排気空間511gは、隔壁42b,42c,42i,42jで囲まれる空間である。排気空間511hは、隔壁42a,42b,42k,42lで囲まれる空間である。緩衝空間512a,512bは、周壁41の第1及び第3辺41a,41cと隔壁42a,42mとで囲まれる空間である。緩衝空間512c~512fは、周壁41の第2及び第4辺41b,41dと隔壁42a,42f,42h,42j,42lとで囲まれる空間である。通気空間520は、周壁41の第1及び第4辺41a,41dと隔壁42a,42mとで囲まれる空間である。
このように、周壁41及び隔壁42a~42mは、排気空間511a~511hをそれぞれ囲う複数の枠体40を一体に含んでいる。つまり、周壁41及び隔壁42a~42mにおいて各排気空間511a~511hを囲う部分が枠体40を構成する。
仕掛り品110では、排気空間511a~511hの内部の圧力が排気口700の含まれる通気空間520(つまり、大気圧)より低い。そのため、ガラスパネルユニット10(10A~10H)に利用される部位(排気空間511a~511h)においては一対のガラス基板200,300間の間隔を狭める力がかかる。一方で、通気空間520の内部の圧力は大気圧に等しくなる。そのため、ガラスパネルユニット10(10A~10H)に利用されない部位である通気空間520では一対のガラス基板200,300間の間隔を狭める力に抵抗する力が発生する。本実施形態では、ガラスパネルユニット10(10A~10H)に利用されない部位に、緩衝空間512a~512fが設けられている。そして、緩衝空間512a~512fは、排気空間511a~511hと同様に、内部の圧力が通気空間520より低い。このような緩衝空間512a~512fを設けることで、仕掛り品110において、内部の圧力が大気圧に等しい部位(つまり、一対のガラス基板200,300間の間隔を狭める力に抵抗する力が発生する部位)を減らすことができる。その結果、一対のガラス基板200,300における排気空間511a~511hに対応する部位とそれ以外の部位との圧力差に起因する影響を低減できる。したがって、このような圧力差に起因して一対のガラス基板200,300や隔壁42a~42mが破損する可能性を低減できる。よって、ガラスパネルユニットの仕掛り品110では、歩留りの向上が図れる。本実施形態では、仕掛り品110において、通気空間520は矩形状の空間である。あくまでも一例であるが、ガラス基板200,300のサイズが長辺2400mm、短辺1500mmであるとする。この場合、通気空間520の短辺は、500mm以下であり、通気空間520の平面視における面積は250,000mm2以下であるとよい。より好ましくは、通気空間520の短辺は350mm以下であり、通気空間520の平面視における面積は90,000mm2以下であるとよい。別の観点から言えば、平面視における、内部空間500の面積に対する通気空間520の面積の割合は、10%以下、好ましくは7%以下、より好ましくは2.5%以下であるとよい。特に、緩衝空間512a,512bは、排気空間511d,511hに隣接し、緩衝空間512c~512fは、排気空間511e~511hに隣接している。そのため、緩衝空間512a~512fに隣接する排気空間511d~511hにおいて特に有利な効果が見込まれ得る。
1.3 製造方法
次に、組立て品100を用いた、ガラスパネルユニット10(10A~10H)の製造方法について図3~図23を参照して説明する。ガラスパネルユニット10の製造方法は、準備工程と、除去工程とを含む。
準備工程は、図1及び図2に示す仕掛り品110を用意する工程である。準備工程は、組立工程と、第1溶融工程と、排気工程と、第2溶融工程とを含む。
組立工程は、組立て品100を用意する工程である。つまり、組立工程は、組立て品100を得るために、第1ガラス基板200、第2ガラス基板300、周壁410、仕切り420、内部空間500、通気路600、排気口700、複数のガス吸着体60、及び複数のピラー70を形成する工程である。組立工程は、第1~第6工程を有する。なお、第2~第5工程の順番は、適宜変更してもよい。
第1工程は、第1ガラス基板200及び第2ガラス基板300を形成する工程(基板形成工程)である。例えば、第1工程では、第1ガラス基板200及び第2ガラス基板300を作製する。また、第1工程では、必要に応じて、第1ガラス基板200及び第2ガラス基板300を洗浄する。
第2工程は、排気口700を形成する工程である。第2工程では、図5に示すように、第2ガラス基板300に、排気口700を形成する。また、第2工程では、必要に応じて、第2ガラス基板300を洗浄する。
第3工程は、周壁410及び仕切り420(第1仕切り421a~421d、第2仕切り422a~422j)を配置する工程(封着材配置工程)である。第3工程は、周壁形成工程及び仕切り形成工程を含む。
周壁形成工程は、周壁410を形成する工程である。より詳細には、周壁形成工程は、図6に示すように、ディスペンサ810により周壁410の材料(第1封着材)M10を一対のガラス基板200,300の一方(ここでは第2ガラス基板300)に塗布して周壁410を形成する工程である。周壁形成工程では、図6に示すように、周壁410の材料M10を第2ガラス基板300に塗布する際に、ディスペンサ810のノズル811から吐出された周壁410の材料M10をノズル811で押圧しないようにしている。そして、ディスペンサ810を、ノズル811から材料M10を吐出しながら、図5に経路T10で示すように、第2ガラス基板300の周縁に沿って移動させる。その後、材料M10を乾燥させて周壁410を形成する。これにより、図7に示すように、第1~第4辺410a~410dが高さH1と幅W1を持つ周壁410が得られる。周壁410の高さは、一対のガラス基板200,300が対向する方向における周壁410の寸法である。本実施形態では、周壁410の高さは、第1~第4辺410a~410dの高さH1である。高さH1及び幅W1は、ディスペンサ810の移動速度及び材料M10の吐出量等により調整され得る。
仕切り形成工程は、第1仕切り421a~421d及び第2仕切り422a~422jを形成する工程である。仕切り形成工程の説明において、第1仕切り421a~421d及び第2仕切り422a~422jを区別する必要がない場合には、第1仕切り421a~421d及び第2仕切り422a~422jを一括して仕切り420という。この仕切り形成工程は、図8に示すように、ディスペンサ820により仕切り420の材料(第2封着材)M20を一対のガラス基板200,300の一方(ここでは第2ガラス基板300)に塗布して仕切り420を形成する工程である。このように、仕切り形成工程は、複数の仕切り420の材料M20を一対のガラス基板200,300の一方に塗布する塗布工程を含む。仕切り形成工程では、図8に示すように、仕切り420の材料M20を第2ガラス基板300に塗布する際に、ディスペンサ820のノズル821から吐出された仕切り420の材料M20をノズル821で押圧している。これは、仕切り420の高さを調整するためである。このようにすれば、図9に示すように、周壁410の高さH1より低い高さH2を持つ仕切り420が得られる。仕切り420の高さは、一対のガラス基板200,300が対向する方向における仕切り420の寸法である。仕切り420の幅W2は、ディスペンサ820の移動速度及び材料M20の吐出量等により調整され得る。しかしながら、ディスペンサ820の移動速度及び材料M20の吐出量等により調整できる範囲には限界がある。そこで、本実施形態では、仕切り420の幅W2を周壁410の幅(つまり、第1~第4辺410a~410dの幅W1)より大きくするために、仕切り420の材料M20を仕切り420の幅方向となる方向に隣接させて塗布する回数を増やしている。つまり、仕切り420の幅方向となる方向に材料M20を隣接させて塗布する回数は、周壁410の幅方向(各辺410a~410dの幅方向)となる方向に材料M10を隣接させて塗布する回数よりも多い。言い換えれば、仕切り420を形成する場合に、周壁410を形成する場合よりも、塗布列を多くしている。
本実施形態では、図10に示すように、仕切り420の材料M20を、仕切り420の幅方向となる方向に隣接させて、仕切り420の長さ方向となる方向に沿って2回塗布して、2つの塗布列L21,L22を形成している。具体的には、ディスペンサ820を、ノズル821から材料M20を吐出しながら、図5に経路T21a~T21d,T22a~T22jで示すように、四角形の辺に沿って移動させる。なお、経路T21a~T21dは、それぞれ第1仕切り421a~421dに対応する。また、経路T22a~T22jは、それぞれ第2仕切り422a~422jに対応する。なお、経路T21a~T21dを区別しない場合、必要に応じて符号T21を用い、経路T22a~T22jを区別しない場合、必要に応じて符号T22を用いる。ここで、隣接する塗布列L21,L22間の間隔D1は、隣接する塗布列L21,L22の表面が平坦につながる(同一平面上に位置する)ように設定されている。これによって、隣接する塗布列L21,L22の表面間の窪みが生じないようにしている。このようにすれば、図11に示すように、表面が平坦な仕切り420が得られる。
その後、材料M20を乾燥させて仕切り420を形成する。これにより、図11に示すように、H2の高さとW2の幅を持つ仕切り420(421a~421d,422a~422j)が得られる。このように、仕切り形成工程では、ディスペンサ820のノズル821から吐出された仕切り420の材料M20をディスペンサ820のノズル821で押圧している。これによって、仕切り420が周壁410より低くなるようにしている。また、仕切り形成工程では、上述したように、周壁410の各辺410a~410dの幅方向となる方向に材料M10を隣接させて塗布する回数よりも、仕切り420の幅向となる方向に材料M20を隣接させて塗布する回数を多くしている。これによって、仕切り420が周壁410よりも幅が広くなるようにしている。
本実施形態では、図12に示すように、第2仕切り422(422a~422j)は、第2仕切り422の幅方向(図12における上下方向)において両側に突出する膨出部425を端部423に有している。膨出部425は、第2仕切り422の本体部分(中央部分)よりも幅が広い。図12では、膨出部425は、球状である。この膨出部425によれば、図13に示すように第1仕切り421及び第2仕切り422を変形させて隔壁42を形成した際に、角部分C10の角度を、第1仕切り421と第2仕切り422とが交差する角度(本実施形態では、90度)に近付けることができる。角部分C10は、隔壁42において第1仕切り421で形成される領域S10と第2仕切り422で形成される領域S20との接続部分の角を含む部分である。例えば、図14に示すように、第2仕切り422が端部423に膨出部425を有していない場合には、図15に示すように、領域S10と領域S20との接続部分にくびれ(窪み)が生じ得る。この場合、角部分C10の角度が第1仕切り421と第2仕切り422とが交差する角度(本実施形態では、90度)と大きく異なってしまう。このような接続部分のくびれは、隔壁42の強度の低下や見た目の悪化の原因になる。本実施形態では、膨出部425は、仕切り422の両端部423にそれぞれ設けられている。そのため、仕切り420(隔壁42)が通気路600を塞いだ部分において窪みが生じて細くなってしまうことを抑制できる。そのため、仕切り420(隔壁42)の強度の低下を低減でき、歩留りの向上が図れる。特に、仕切り421,422で形成される領域S10,S20間の接続部分での強度の低下や見た目の悪化を抑制できる。更に、膨出部425は、仕切り421の両端部423にも設けられていてよい。これによって、隔壁42と周壁41との間の接続部分での強度の低下や見た目の悪化を抑制できる。なお、膨出部425は、少なくとも、第2仕切り422の幅方向において排気空間511側に突出していればよい。例えば、第2仕切り422が排気空間511とそれ以外の空間(緩衝空間512又は通気空間520)との間にある場合、膨出部425は、少なくとも、第2仕切り422の幅方向において排気空間511側に突出していればよい。つまり、膨出部425は、第2仕切り422の幅方向において、排気空間511以外の空間(緩衝空間512又は通気空間520)側に突出していなくてよい。排気空間511以外の空間については、隔壁42の強度の低下は大きな問題にならないからである。なお、第2仕切り422が排気空間511間にある場合、もちろん、膨出部425は、第2仕切り422の幅方向において両側に突出することが好ましい。
膨出部425は、ディスペンサ820をノズル821から材料M20を吐出しながら経路T22に沿って移動させる速度を調整することで形成できる。具体的には、材料M20を第2仕切り422の短辺に沿って塗布する際の速度(矢印A12に沿って移動させる際の速度)を、材料M20を第2仕切り422の長辺に沿って塗布する際の速度(矢印A11,A13)よりも遅くすればよい。これによって、図12に示すような膨出部425が得られる。ここで、材料M20を第2仕切り422の短辺に沿って塗布する際の速度(矢印A12に沿って移動させる際の速度)を、材料M20を第2仕切り422の長辺に沿って塗布する際の速度(矢印A11,A13)以上としたとする。この場合には、図14に示すような膨出部425のない先細りの端部423が得られる。
第4工程は、ピラー70を形成する工程(ピラー形成工程)である。第4工程では、複数のピラー70を予め形成しておき、チップマウンタなどを利用して、複数のピラー70を、第2ガラス基板300の所定位置に配置する。特に、第4工程では、ピラー70を、排気空間511a~511hと緩衝空間512a~512fと通気空間520に亘って配置する。ここで、ピラー70は、仕切り420より低くしている。なお、複数のピラー70は、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を利用して形成されていてもよい。この場合、複数のピラー70は、光硬化性材料などを用いて形成される。あるいは、複数のピラー70は、周知の薄膜形成技術を利用して形成されていてもよい。
第5工程は、ガス吸着体60を形成する工程(ガス吸着体形成工程)である。第5工程では、ディスペンサなどを利用して、ゲッタの粉体が分散された溶液を第2ガラス基板300の所定位置に塗布し、乾燥させることで、ガス吸着体60を形成する。特に、第5工程では、ガス吸着体60を、緩衝空間512a~512f及び通気空間520には配置せずに、排気空間511a~511hの各々に配置する。
第1工程から第5工程が終了することで、図16に示すように、第2ガラス基板300に、周壁410、仕切り420、通気路600、排気口700、複数のガス吸着体60及び複数のピラー70が形成される。
第6工程は、第1ガラス基板200と第2ガラス基板300とを配置する工程(配置工程)である。第6工程では、図16に示すように、第1ガラス基板200と第2ガラス基板300とは、互いに平行かつ対向するように配置される。
上述した組立工程によって、組立て品100が得られる。そして、組立工程の後には、第1溶融工程(接合工程)と、排気工程と、第2溶融工程(封止工程)とが実行される。
第1溶融工程は、周壁410を一旦溶融させて周壁410で一対のガラス基板200,300同士を気密に接合する工程である。具体的には、第1ガラス基板200及び第2ガラス基板300は、溶融炉内に配置され、第1溶融温度で所定時間(第1溶融時間)だけ加熱される。第1溶融温度及び第1溶融時間は、周壁410によって第1ガラス基板200と第2ガラス基板300とが気密に接合されるが、仕切り420によって通気路600が塞がれることがないように、設定される。つまり、第1溶融温度の下限は、周壁410の軟化点であるが、第1溶融温度の上限は、仕切り420によって通気路600が塞がれることがないように設定される。例えば、周壁410及び仕切り420の軟化点が434℃である場合、第1溶融温度は、440℃に設定される。また、第1溶融時間は、例えば、10分である。また、第1溶融工程では、周壁410が軟化するため、周壁410自体は第1ガラス基板200を支えなくなり、第1ガラス基板200は仕切り420で支持される。
本実施形態では、組立て品100は、図3に示すように、内部空間500を第2方向(一対のガラス基板200,300の幅方向)に沿って貫通する通風経路P10(P10a~P10h)を有している。そこで、第1溶融工程では、組立て品100を溶融炉内で加熱するにあたって、第2方向に沿って熱風F10を送る(図16参照)。つまり、組立て品100を加熱する際に、熱風F10が通風経路P10内を通過するようにする。これによって、組立て品100の内部空間500にある仕切り420にも熱が十分に伝わるため、組立て品100の加熱(特に仕切り420の加熱)が容易になる。これによって、仕切り420の材料(第2封着材)に含まれるバインダ等のガスの発生源となる不要成分を第1溶融工程において十分に除去することが可能となる。したがって、このような不要成分から生じるガスに起因する歩留りの低下を低減できる。よって、ガラスパネルユニットの歩留りの向上が図れる。
排気工程は、通気路600と通気空間520と排気口700とを介して排気空間511a~511h及び緩衝空間512a~512fを排気して排気空間511a~511h及び緩衝空間512a~512fを真空状態(つまり、真空空間)とする工程である。排気は、例えば、真空ポンプを用いて行われる。真空ポンプは、図16に示されるように、排気管830と、シールヘッド840と、により組立て品100に接続される。排気管830は、排気管830の内部と排気口700とが連通するように第2ガラス基板300に接合される。排気管830とガラス基板300との接合は、例えば、接着材850を利用して行われる。接着材850は、一例として、ガラスフリットである。そして、排気管830にシールヘッド840が取り付けられ、これによって、真空ポンプの吸気口が排気口700に接続される。第1溶融工程と排気工程と第2溶融工程とは、組立て品100を溶融炉内に配置したまま行われる。そのため、排気管830は、少なくとも第1溶融工程の前に、第2ガラス基板300に接合される。
排気工程では、第2溶融工程の開始前までに、排気温度以上で所定時間(排気時間)は、通気路600と通気空間520と排気口700とを介して排気空間511a~511h及び緩衝空間512a~512fを排気する。排気温度は、ガス吸着体60のゲッタの活性化温度(例えば、350℃)より高く、かつ、仕切り420の軟化点(例えば434℃)より低く設定される。例えば、排気温度は、390℃である。このようにすれば、仕切り420は変形しない。また、ガス吸着体60のゲッタが活性化し、ゲッタが吸着していた分子(ガス)がゲッタから放出される。そして、ゲッタから放出された分子(つまりガス)は、排気空間511a~511h及び緩衝空間512a~512f、通気路600、通気空間520、及び、排気口700を通じて排出される。したがって、排気工程では、ガス吸着体60の吸着能力が回復する。排気時間は、排気空間511a~511h及び緩衝空間512a~512fの所望の真空度(例えば、0.1Pa以下の真空度)を有する状態になるように設定される。例えば、排気時間は、120分に設定される。
第2溶融工程は、仕切り420を変形させて通気路600を塞ぐことで隔壁42を形成して仕掛り品110を得る工程である。また、第2溶融工程では、通気路600が塞がれることで、排気空間511a~511hをそれぞれ囲む複数の枠体40が形成される。これによって、図1、図2及び図17に示すように、内部空間500を排気空間511a~511h及び緩衝空間512a~512fと通気空間520とに気密に分離する隔壁42a~42mが形成される。換言すれば、第2溶融工程は、仕切り420を変形させて通気路600を塞いで内部空間500を排気空間511a~511h及び緩衝空間512a~512fと通気空間520とに気密に分離する隔壁42a~42mを形成する工程である。なお、第2溶融工程では、仕切り420が軟化するため、仕切り420自体は第1ガラス基板200を支えなくなり、第1ガラス基板200はピラー70で支持される。
より詳細には、仕切り420の軟化点以上の所定温度(第2溶融温度)で仕切り420を一旦溶融させることで、仕切り420を変形させる。具体的には、第1ガラス基板200及び第2ガラス基板300は、溶融炉内で、第2溶融温度で所定時間(第2溶融時間)だけ加熱される。第2溶融温度及び第2溶融時間は、仕切り420が軟化し、通気路600が塞がれるように設定される。第2溶融温度の下限は、仕切り420の軟化点(例えば434℃)である。例えば、第2溶融温度は、460℃に設定される。また、第2溶融時間は、例えば、30分である。
第2溶融工程でも、内部空間500の排気を継続している。つまり、第2溶融工程では、第2溶融温度で、通気路600と通気空間520と排気口700とを介して排気空間511a~511h及び緩衝空間512a~512fを排気しながら、仕切り420を変形させて通気路600を塞ぐ隔壁42a~42mを形成する。これによって、第2溶融工程中に、排気空間511a~511h及び緩衝空間512a~512fの真空度が悪化することがさらに防止される。ただし、第2溶融工程では、必ずしも、内部空間500の排気を継続する必要はない。また、第2溶融工程は、仕切り420を変形させて、少なくとも、複数の通気路600のうち緩衝空間512a~512f間を繋ぐ通気路600以外の通気路600を塞ぐ工程であってよい。つまり、緩衝空間512a~512f間の通気路600は必ずしも塞がれる必要はない。ただし、緩衝空間512a~512f間の通気路600も他の通気路600とともに塞いでよい。
なお、封止工程では、隔壁42の形成後に、排気管830を除去する。排気管830を除去するにあたっては、ガラス基板300に接着された接着部分831を残して排気管830を除去してから接着部分831を削る。より詳細には、最初に、図18に示すように、比較的固い物体860により排気管830に衝撃を与えて、排気管830を折り、図19に示すように、接着部分831を残して排気管830を除去する。物体860により排気管830に与える衝撃は、一対のガラス基板200,300が割れたりしないように、十分に緩やかにすることが好ましい。次に、図19に示すように、グラインダ870によって、排気管830の接着部分831を接着材850とともに削って除去する。これによって、図20に示すように、排気管830がガラス基板300から除去される。この場合、ガラス基板300の排気口700の周囲は、鏡面ではなく粗面R10になる。粗面R10は、排気管830の接着部分831をグラインダ870等で削った痕跡を示していると考えてよい。ここで、図21に示すように、グラインダ870を用いずに、物体860で接着材850と一緒に排気管830を除去することも考えられる。しかしながら、物体860で接着材850と一緒に排気管830を除去するには排気管830だけを折る場合に比べて大きな衝撃が必要になり、一対のガラス基板200,300が割れる可能性がある。また、この場合には、図22に示すように、接着材850を完全には除去できず、接着材850の残留物R20がガラス基板300の排気口700の周囲に存在する。このような残留物R20は、ガラス基板300の表面から突出しているから、仕掛り品110の運搬等の際に邪魔になることがある。例えば、複数の仕掛り品110の運搬時に、複数の仕掛り品110を重ねようとした際に、残留物R20が他の仕掛り品110に当たって邪魔になったり、損傷を与えたりする可能性がある。図18~図20に示す方法によれば、物体860による衝撃を小さくでき、しかも、残留物R20が発生しない。よって、ガラス基板200,300の破損の可能性を低減でき、仕掛り品110の運搬が容易になる。
上述した準備工程によって、図3、図4及び図17に示す仕掛り品110が得られる。仕掛り品110では、第1溶融工程及び第2溶融工程で周壁410及び仕切り420が一旦溶融される。そのため、一対のガラス基板200,300間の間隔は、周壁410ではなく、ピラー70によって規定される。なお、仕切り420と周壁410とは高さが異なっているが、第1封着材及び第2封着材には同じ芯材を分散させている。そのため、仕切り420と周壁410から形成される周壁41と隔壁42とは同じ高さを有することになる。これによって、均一な高さの枠体40が得られる。
除去工程は、準備工程の後に実行される。除去工程は、仕掛り品110からガラスパネルユニット10A~10Hを得る工程である。除去工程は、緩衝空間512a~512f及び通気空間520を有する部分11(11A,11B)を除去することで、排気空間511a~511hを有する部分であるガラスパネルユニット10A~10Hを得る工程である。つまり、除去工程では、仕掛り品110を切断してガラスパネルユニット10A~10Hに分離する。仕掛り品110では、ガラスパネルユニット10A~10Hが一体に形成されているから、仕掛り品110を切断することによって、ガラスパネルユニット10A~10Hを相互に分離する。一例としては、図1に示すように、仕掛り品110(特に、ガラス基板200,300)を、隔壁42に沿った切断線900に沿って切断すればよい。本実施形態では、複数のピラー70が、内部空間500の全体(排気空間511a~511hと緩衝空間512a~512fと通気空間520の各々)に配置されている。そのため、仕掛り品110の切断時に一対のガラス基板200,300にかかる応力を複数のピラー70で分散して均一にでき、一対のガラス基板200,300の破損や切断不良の発生を低減できる。
上述した除去工程によって、図23に示すように、仕掛り品110から、ガラスパネルユニット10A~10Hが得られる。このとき、緩衝空間512a,512b及び通気空間520を含む部分11(11A)及び緩衝空間512c~512fを含む部分11(11B)が得られるが、これらは使用されない。
2.変形例
本開示の実施形態は、上記実施形態に限定されない。上記実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下に、上記実施形態の変形例を列挙する。
2.1 第1変形例
図24は、第1変形例のガラスパネルユニットの仕掛り品110Aを示す。図24に示すように、第1変形例のガラスパネルユニットの仕掛り品110Aは、隔壁42Aが仕掛り品110の隔壁42と相違し、その他の構成は仕掛り品110と同様である。隔壁42Aは、一対のガラス基板200,300及び周壁41で囲まれた内部空間500を複数(図示例では7つ)の排気空間511と緩衝空間512と通気空間520とに気密に分離する。第1変形例では、隔壁42Aは、複数の排気空間511と緩衝空間512と通気空間520とを個別に気密に分離する。ガラスパネルユニットに利用される複数の排気空間511はいずれも平面視において四角形状であるが、大きさ及び形状は同一ではない。仕掛り品110Aにおいても、排気空間511と緩衝空間512は、内部の圧力が通気空間520より低い状態(一例として真空状態)である。そして、仕掛り品110Aにおいて緩衝空間512及び通気空間520を含む部位を除く、排気空間511を含む所定部分がガラスパネルユニットを構成する。仕掛り品110Aにおいても、複数のピラー70は、内部空間500の全体(7つの排気空間511と緩衝空間512と通気空間520)に配置されている。つまり、複数のピラー70は、排気空間511と緩衝空間512と通気空間520に亘って配置されている。一方で、ガス吸着体60は、排気空間511の各々にだけ配置されている。つまり、ガス吸着体60は、緩衝空間512及び通気空間520ではなく排気空間511に配置されている。
仕掛り品110Aは、図25に示す、ガラスパネルユニットの組立て品100Aから得られ得る。組立て品100Aは、組立て品100と同様に、一対のガラス基板200,300と、周壁410と、複数の仕切り420と、複数の通気路600と、排気口700と、ガス吸着体60と、ピラー70と、を備える。
複数の仕切り420は、隔壁42Aを形成するために設けられる。よって、複数の仕切り420は、内部空間500を、複数(図示例では7つ)の排気空間511と緩衝空間512と通気空間520とを仕切る。図25に示すように、複数の仕切り420は、複数(図示例では8つ)の第1仕切り421と、複数(図示例では8つ)の第2仕切り422とを含む。なお、周壁410及び仕切り420は、上記実施形態と同様の手法により形成され得る。例えば、周壁410を形成するにあたっては、上記実施形態の周壁形成工程と同様に、ディスペンサ810を、ノズル811から材料M10を吐出しながら、図26に経路T10で示すように、第2ガラス基板300の周縁に沿って移動させればよい。また、仕切り420を形成するにあたっては、上記実施形態の仕切り形成工程と同様に、ディスペンサ820を、ノズル821から材料M20を吐出しながら、図26に経路T21,T22で示すように、四角形の辺に沿って移動させればよい。このとき、仕切り420の端部423には、上記実施形態と同様に、膨出部425を設けてよい。
複数の通気路600は、排気口700を介して第1空間(排気空間511及び緩衝空間512)を排気するために用いられる。複数の通気路600を介して、排気空間511及び緩衝空間512は、通気空間520に(直接的又は間接的に)つながれる。図25では、周壁410と仕切り420とは互いに接触しないように配置されている。そして、周壁410と仕切り420間の隙間の各々が、通気路600を構成している。各通気路600は、仕切り420を一旦溶融させて変形させることで閉塞される。これによって、少なくとも排気空間511同士を互いに(気密に)分離するとともに、排気空間511及び緩衝空間512を通気空間520から(気密に)分離する。
複数の通気路600は、一対のガラス基板200,300が互いに対向する第1方向と直交する第2方向に沿って並ぶ複数の(第1の)特定の通気路610を有する。複数の第1の特定の通気路610は、内部空間500を第2方向(図25における上下方向)に沿って貫通する(第1)通風経路P10を構成する。また、複数の通気路600は、第1方向と直交し第2方向に交差する第3方向に沿って並ぶ複数の(第2の)特定の通気路620を有する。複数の第2の特定の通気路620は、内部空間500を第3方向(図25における左右方向)に沿って貫通する(第2)通風経路P20を構成する。なお、図25では、単に説明を分かりやすくするためだけに、通風経路P10,P20を網掛けで示している。
このように組立て品100Aは、図25に示すように、第2方向に沿った複数の第1通風経路P10と、第3方向に沿った複数の第2通風経路P20とを有している。そのため、組立て品100Aは、第2方向に沿った熱風に加えて、第3方向に沿った熱風も通すことができる。これによって、組立て品100Aの内部空間500にある仕切り420に熱をよりが十分に伝わるため、仕切り420の加熱が容易になる。これによって、仕切り420の材料(第2封着材)に含まれるバインダ等のガスの発生源となる不要成分を第1溶融工程において十分に除去することが可能となる。
2.2 第2変形例
図27は、第2変形例のガラスパネルユニットの組立て品100Bを示す。組立て品100Bは、組立て品100Aと同様に、図24に示す第1変形例のガラスパネルユニットの仕掛り品110Aを形成するために用いられ得る。
組立て品100Bは、組立て品100Aと同様に、一対のガラス基板200,300と、周壁410と、複数の仕切り420と、複数の通気路600と、排気口700と、ガス吸着体60と、ピラー70と、を備える。なお、図27では、図示を簡略化するためだけに、ガス吸着体60及びピラー70を省略している。
複数の仕切り420は、隔壁42Aを形成するために設けられる。よって、複数の仕切り420は、内部空間500を、複数(図示例では7つ)の排気空間511と緩衝空間512と通気空間520とに仕切る。図27に示すように、複数の仕切り420は、複数(図示例では4つ)の第1仕切り421と、複数(図示例では4つ)の第2仕切り422とを含む。なお、周壁410及び仕切り420は、上記実施形態と同様の手法により形成され得る。例えば、周壁410を形成するにあたっては、上記実施形態の周壁形成工程と同様に、ディスペンサ810を、ノズル811から材料M10を吐出しながら、図28に経路T10で示すように、第2ガラス基板300の周縁に沿って移動させればよい。また、仕切り420を形成するにあたっては、上記実施形態の仕切り形成工程と同様に、ディスペンサ820を、ノズル821から材料M20を吐出しながら、図28に経路T21,T22で示すように、四角形の辺に沿って移動させればよい。このとき、仕切り420の端部423には、上記実施形態と同様に、膨出部425を設けてよい。
複数の通気路600は、排気口700を介して第1空間(排気空間511及び緩衝空間512)を排気するために用いられる。複数の通気路600を介して、排気空間511及び緩衝空間512は、通気空間520に(直接的又は間接的に)つながれる。図27では、周壁410と仕切り420とは互いに接触しないように配置されている。そして、周壁410と仕切り420間の隙間の各々が、通気路600を構成している。各通気路600は、仕切り420を一旦溶融させて変形させることで閉塞される。これによって、少なくとも排気空間511同士を互いに(気密に)分離するとともに、排気空間511及び緩衝空間512を通気空間520から(気密に)分離する。
複数の通気路600は、一対のガラス基板200,300が互いに対向する第1方向と直交する第2方向に沿って並ぶ複数の特定の通気路610を有する。複数の特定の通気路610は、内部空間500を第2方向(図27における上下方向)に沿って貫通する通風経路P10を構成する。なお、図27では、単に説明を分かりやすくするためだけに、通風経路P10を網掛けで示している。
このように組立て品100Bは、図27に示すように、第2方向に沿った複数の通風経路P10を有している。これによって、上記実施形態と同様に、仕切り420の材料(第2封着材)に含まれるバインダ等のガスの発生源となる不要成分を第1溶融工程において十分に除去することが可能となる。また、組立て品100Bによれば、組立て品100Aに比べて仕切り420の数を減らしながらも、組立て品100Aと同じ仕掛り品110A(図24参照)を得ることができる。
2.3 第3変形例
図29は、第3変形例のガラスパネルユニットの組立て品100Cを示す。組立て品100Cは、組立て品100A,100Bと同様に、図24に示す第1変形例のガラスパネルユニットの仕掛り品110Aを形成するために用いられ得る。
組立て品100Cは、組立て品100A,100Bと同様に、一対のガラス基板200,300と、周壁410と、複数の仕切り420と、複数の通気路600と、排気口700と、ガス吸着体60と、ピラー70と、を備える。なお、図29では、図示を簡略化するためだけに、ガス吸着体60及びピラー70を省略している。
複数の仕切り420は、隔壁42Aを形成するために設けられる。よって、複数の仕切り420は、内部空間500を、複数(図示例では7つ)の排気空間511と緩衝空間512と通気空間520とに仕切る。図29に示すように、複数の仕切り420は、複数(図示例では5つ)の第1仕切り421と、複数(図示例では3つ)の第2仕切り422とを含む。なお、周壁410及び仕切り420は、上記実施形態と同様の手法により形成され得る。例えば、周壁410を形成するにあたっては、上記実施形態の周壁形成工程と同様に、ディスペンサ810を、ノズル811から材料M10を吐出しながら、図28に経路T10で示すように、第2ガラス基板300の周縁に沿って移動させればよい。また、仕切り420を形成するにあたっては、上記実施形態の仕切り形成工程と同様に、ディスペンサ820を、ノズル821から材料M20を吐出しながら、図30に経路T21,T22で示すように、四角形の辺に沿って移動させればよい。このとき、仕切り420の端部423には、上記実施形態と同様に、膨出部425を設けてよい。
複数の通気路600は、排気口700を介して第1空間(排気空間511及び緩衝空間512)を排気するために用いられる。複数の通気路600を介して、排気空間511及び緩衝空間512は、通気空間520に(直接的又は間接的に)つながれる。図29では、周壁410と仕切り420とは互いに接触しないように配置されている。そして、周壁410と仕切り420間の隙間の各々が、通気路600を構成している。各通気路600は、仕切り420を一旦溶融させて変形させることで閉塞される。これによって、少なくとも排気空間511同士を互いに(気密に)分離するとともに、排気空間511及び緩衝空間512を通気空間520から(気密に)分離する。
複数の通気路600は、一対のガラス基板200,300が互いに対向する第1方向と直交する第2方向に沿って並ぶ複数の特定の通気路610を有する。複数の特定の通気路610は、内部空間500を第2方向(図29における上下方向)に沿って貫通する通風経路P10を構成する。なお、図29では、単に説明を分かりやすくするためだけに、通風経路P10を網掛けで示している。
このように組立て品100Cは、図29に示すように、第2方向に沿った通風経路P10を有している。これによって、上記実施形態と同様に、仕切り420の材料(第2封着材)に含まれるバインダ等のガスの発生源となる不要成分を第1溶融工程において十分に除去することが可能となる。また、組立て品100Cによれば、組立て品100Aに比べて仕切り420の数を減らしながらも、組立て品100Aと同じ仕掛り品110A(図24参照)を得ることができる。
2.4 第4変形例
第4変形例のガラスパネルユニットの組立て品は、図31に示すように、仕切り420(特に、第2仕切り422)の形状が上記実施形態と相違する。図31は、複数の仕切り420が、長さ方向が互いに異なる第1仕切り421及び第2仕切り422を含んでいる状態を示している。ここで、第2仕切り422の端部423は、第1仕切り421の側部424に所定間隔を空けて対向しており、通気路600は、第2仕切り422の端部423と第1仕切り421の側部424との間の空間である。第2仕切り422は、図31に示すように、第2仕切り422の幅方向(図31における上下方向)において両側に突出する膨出部425を端部423に有している。膨出部425は、端部423から、第2仕切り422の幅方向の両側に、斜め方向に突出した部分を有している。図31の膨出部425は、いわゆるハート状である。
この膨出部425によっても、図13に示すように、角部分C10の角度を、第1仕切り421と第2仕切り422とが交差する角度(本実施形態では、90度)に近付けることができる。これによって、仕切り421,422で形成される領域S10,S20間の接続部分での強度の低下や見た目の悪化を抑制できる。更に、膨出部425は、仕切り421の両端部423にも設けられていてよい。これによって、隔壁42と周壁41との間の接続部分での強度の低下や見た目の悪化を抑制できる。また、本変形例における膨出部425も、上記実施形態の膨出部425と同様に、少なくとも、第2仕切り422の幅方向において排気空間511側に突出していればよい。
図31に示す膨出部425は、ディスペンサ820をノズル821から材料M20を吐出しながら経路T23に沿って移動させることで形成できる。経路T23は、膨出部425を形成するための部分(矢印A21,A23,A25,A26)を含んでいる。つまり、ディスペンサ820を経路T23上で矢印A21~A27にしたがって動かすことで、端部423に膨出部425を有する仕切り422を形成することができる。なお、材料M20をディスペンサ820により塗布する際の速度は、一定であってよい。
このように、膨出部425の形状は、第2仕切り422の幅方向において両側に突出していれば、特に限定されない。また、膨出部425は、第1仕切り421と第2仕切り422との別に関係なく、必要に応じて仕切り420に設けてよい。例えば、仕切り420の端部423が周壁410に所定間隔を空けて対向し、通気路600が仕切り420の端部423と周壁410との間の空間である場合がある。この場合、仕切り420は、少なくとも仕切り420の幅方向において排気空間511側に突出する膨出部425を端部423に有していてよい。特に、仕切り420は、仕切り420の幅方向において両側に突出する膨出部425を端部423に有していてよい。
2.5 第5変形例
第5変形例のガラスパネルユニットの組立て品は、図32に示すように、仕切り420(特に、第1仕切り421)の形状が上記実施形態と相違する。図32は、複数の仕切り420が、長さ方向が互いに異なる第1仕切り421及び第2仕切り422を含んでいる状態を示している。また、第2仕切り422が排気空間511間にあるとする。ここで、第2仕切り422の端部423は、第1仕切り421の側部424に所定間隔を空けて対向しており、通気路600は、第2仕切り422の端部423と第1仕切り421の側部424との間の空間である。そして、第1仕切り421は、第2仕切り422の幅方向(図32における上下方向)において第2仕切り422の端部423の両側に位置するように第1仕切り421の側部424から突出する一対の突出部426を有する。各突出部426は、第2仕切り422に近付くほど幅が狭くなる。各突出部426は、いわゆる円弧状である。このように、第1仕切り421は、第1仕切り421の側部424から第2仕切り422の端部423側に突出する一対の突出部426を有している。そして、図32では、第2仕切り422が排気空間511間にあるから、一対の突出部426の各々は、第2仕切り422の端部423に対向し、かつ、第2仕切り422よりも排気空間511に近い。つまり、図32において、上側の突出部426は、第2仕切り422よりも、上側の排気空間511に近く、下側の突出部426は、第2仕切り422よりも、下側の排気空間511に近い。突出部426が第2仕切り422よりも排気空間511に近いとは、一例としては、突出部426の中心軸が第2仕切り422の中心軸よりも排気空間511に近いことをいう。一例としては、突出部426の中心軸は、突出部426をその幅方向に2分する線に沿った軸であってよい。また、第2仕切り422の中心軸は、第2仕切り422を幅方向に2分する線に沿った軸であってよい。ここで、図32では、第2仕切り422の中心軸は、一対の突出部426の中心軸の間にある。
この突出部426によっても、膨出部425と同様に、図13に示すように、角部分C10の角度を、第1仕切り421と第2仕切り422とが交差する角度(本実施形態では、90度)に近付けることができる。これによって、仕切り421,422で形成される領域S10,S20間の接続部分での強度の低下や見た目の悪化を抑制できる。なお、一対の突出部426は、少なくとも一方が、第2仕切り422よりも排気空間511に近くてもよい。例えば、第2仕切り422が排気空間511とそれ以外の空間(緩衝空間512又は通気空間520)との間にある場合、一対の突出部426の一方が、第2仕切り422よりも排気空間511に近くなる。つまり、1以上の突出部426の少なくとも一つが、第2仕切り422の端部423に対向し、かつ、第2仕切り422よりも排気空間511に近ければよい。この場合、第1仕切り421は、第2仕切り422よりも排気空間511に近い突出部426だけを有していてよい。これは、排気空間511以外の空間については、隔壁42の強度の低下は大きな問題にならないからである。
突出部426は、ディスペンサ820をノズル821から材料M20を吐出しながら経路T24に沿って移動させることで形成できる。経路T24は、突出部426を形成するために、一時的に仕切り422の端部423側に近付く矩形の3辺に沿った経路を含んでいる。つまり、塗布工程では、材料M20を第1仕切り421の長辺に沿って塗布する際に部分的に第2仕切り422の端部423側に近付けて、一対の突出部426を形成する。また、突出部426は、ディスペンサ820をノズル821から材料M20を吐出しながら、図33に示す経路T25に沿って移動させることでも形成できる。経路T25は、突出部426を形成するために、一時的に仕切り422の端部423側に近付く矩形の3辺に沿った経路を含んでいる。つまり、塗布工程では、材料M20を第1仕切り421の長辺に沿って塗布する際に部分的に第2仕切り422の端部423側に近付けて、一対の突出部426を形成すればよい。
突出部426の形状は、仕切り422の端部423側に突出していれば、特に限定されない。また、突出部426は、仕切り422の端部423に近付くように突出していればよく、仕切り422の長さ方向において、端部423と重複している必要はない。突出部426は、第1仕切り421と第2仕切り422との別に関係なく、必要に応じて仕切り420に設けてよい。なお、第5変形例では、第2仕切り422は、膨出部425を有していない。しかしながら、第5変形例においても、第2仕切り422は、端部423に膨出部425を有していてもよい。
また、突出部426は、周壁410に設けてもよい。例えば、仕切り420の端部423が周壁410に所定間隔を空けて対向し、通気路600が仕切り420の端部423と周壁410との間の空間である場合がある。この場合、周壁410は、仕切り420の端部423側に突出する1以上の突出部426を有していてよい。そして、1以上の突出部426の少なくとも一つは、仕切り420の端部423に対向し、かつ、仕切り420より排気空間511に近ければよい。特に、周壁410は、仕切り420の幅方向において仕切り420の端部423の両側に位置するように突出する一対の突出部426を有していてよい。なお、突出部426は、対象の仕切り420の端部423に近付くように突出していればよく、仕切り420の長さ方向において、端部423と重複している必要はない。この場合であっても、仕切り420は、端部423に膨出部425を有していてもよい。
2.6 その他の変形例
上記実施形態では、ガラスパネルユニット10は矩形状であるが、ガラスパネルユニット10は、円形状や多角形状など所望の形状であってもよい。つまり、第1ガラスパネル20、第2ガラスパネル30、及び枠体40は、矩形状ではなく、円形状や多角形状など所望の形状であってもよい。なお、第1ガラス基板200、第2ガラス基板300、周壁410、及び仕切り420のそれぞれの形状は、上記実施形態の形状に限定されず、所望の形状のガラスパネルユニット10が得られるような形状であればよい。なお、ガラスパネルユニット10の形状や大きさは、ガラスパネルユニット10の用途に応じて決定される。
一対のガラスパネル20,30は同じ平面形状及び平面サイズを有していなくてもよいし、同じ厚みを有していなくてもよい。また、一対のガラスパネル20,30は同じ材料で形成されていなくてもよい。これらの点は、一対のガラス基板200,300についても同様である。
枠体40は、一対のガラスパネル20,30と同じ平面形状を有していなくてもよい。同様に、周壁41,410は、一対のガラス基板200,300と同じ平面形状を有していなくてもよい。
周壁410(周壁41)の第1封着材と仕切り420(隔壁42)の第2封着材とは、必ずしも同じ芯材を含んでいる必要はなく、異なる芯材を含んでいてもよい。また、第1封着材は、熱接着剤のみを含んでいてもよいし、第2封着材も、熱接着剤のみを含んでいてもよい。また、膨出部425及び突出部426は必須ではない。
また、組立て品100では、周壁410は一対のガラス基板200,300間にあるだけでこれらを接合していない。しかしながら、組立て品100の段階で、周壁410が一対のガラス基板200,300同士を接合していてもよい。要するに、組立て品100では、周壁410は一対のガラス基板200,300間にあればよく、これらを接合していることは必須ではない。
また、上記実施形態では、通気路600は、仕切り420間の隙間や、仕切り420と周壁410との隙間であるが、仕切り420に形成された貫通孔であってもよい。あるいは、通気路600は、仕切り420と第1ガラス基板200との隙間であってもよい。
また、上記実施形態では、内部空間500は、複数の排気空間511及び緩衝空間512と単一の通気空間520とに仕切られている。ただし、内部空間500は、仕切りによって、1以上の排気空間511と1以上の緩衝空間512と1以上の通気空間520とに仕切られていてもよい。なお、緩衝空間512は、必須ではない。
上記実施形態では、周壁410、ガス吸着体60、及び仕切り420の加熱に溶融炉を利用している。しかしながら、加熱は、適宜の加熱手段で行うことができる。加熱手段は、例えば、レーザや、熱源に接続された伝熱板などである。
上記実施形態では、組立て品100は複数の通気路600を有しているが、通気路600の数は1以上であってよい。また、通気路600の形状は、特に限定されない。また、組立て品100は、1以上の通風経路P10を有していればよく、複数の通風経路P10がある必要はない。また、通風経路P10は、一対のガラス基板200,300の幅方向ではなく、長さ方向であってもよい。要するに、通風経路P10は、一対のガラス基板200,300が互いに対向する方向に直交する方向であってよい。
上記実施形態では、排気口700は、第2ガラス基板300に形成されている。しかし、排気口700は、第1ガラス基板200に形成されていてもよいし、周壁410(周壁41)に形成されていてもよい。要するに、排気口700は、通気空間520と外部空間とをつなぐように形成されていればよい。
上記実施形態では、ガラスパネルユニット10は、1つのガス吸着体60を備えているが、ガス吸着体60の数は特に限定されない。また、ガラスパネルユニット10は、ガス吸着体60を備えていなくてもよい。また、ガス吸着体60は、緩衝空間512及び通気空間520に設けてもよい。また、ガス吸着体60のゲッタは蒸発型ゲッタであるが、ゲッタは非蒸発型ゲッタであってもよい。
上記実施形態では、ガス吸着体60は、長尺の平板状であるが、他の形状であってもよい。また、ガス吸着体60は、必ずしも排気空間511の端にある必要はない。また、上記実施形態では、ガス吸着体60は、ゲッタの粉体を含む液体(例えばゲッタの粉体を液体に分散して得られた分散液や、ゲッタの粉体を液体に溶解させて得られた溶液)を塗布することにより形成される。しかしながら、ガス吸着体60は、基板と、基板に固着されたゲッタと、を備えていてもよい。このようなガス吸着体60は、ゲッタの粉末を含む液体に基板を浸漬し、乾燥することで得ることができる。なお、基板は、所望の形状であってよく、例えば、長尺の矩形状である。あるいは、ガス吸着体60は、第2ガラス基板300の表面に全体的あるいは部分的に形成された膜であってもよい。このようなガス吸着体60は、第2ガラス基板300の表面をゲッタの粉末を含む液体でコーティングすることで得ることができる。あるいは、ガス吸着体60は、ピラー70に含まれていてもよい。例えば、ピラー70を、ゲッタを含む材料で形成すれば、ガス吸着体60を含むピラー70を得ることができる。あるいは、ガス吸着体60は、ゲッタで形成された固形物であってもよい。
上記実施形態では、複数のピラー70が、内部空間500の全体(排気空間511、緩衝空間512及び通気空間520の各々)に配置されているが、緩衝空間512及び通気空間520にピラー70を配置することは必須ではない。また、ガラスパネルユニット10は複数のピラー70を備えているが、ガラスパネルユニット10は、一つのピラー70を備えていてもよい。あるいは、ガラスパネルユニット10は、ピラー70を備えていなくてもよい。
上記実施形態では、排気空間511及び緩衝空間512を真空状態としているが、真空状態の代わりに、減圧状態としてもよい。減圧状態とは、圧力が大気圧より低い状態であればよい。
3.態様
上記実施形態及び変形例から明らかなように、本開示は、下記の態様を含む。以下では、実施形態との対応関係を明示するためだけに、符号を括弧付きで付している。
第1の態様のガラスパネルユニットの組立て品(100;100A;100B;100C)は、互いに対向する一対のガラス基板(200,300)と、前記一対のガラス基板(200,300)間にある枠状の周壁(410)と、を備える。前記組立て品(100;100A;100B;100C)は、更に、複数の仕切り(420)と、排気口(700)と、複数の通気路(600)と、を備える。前記複数の仕切り(420)は、前記一対のガラス基板(200,300)及び前記周壁(410)で囲まれた内部空間(500)を排気空間(511)と通気空間(520)とに仕切る。前記排気口(700)は、前記通気空間(520)と外部空間とをつなぐ。前記複数の通気路(600)は、前記排気口(700)を介して前記排気空間(511)を排気するために用いられる。前記複数の通気路(600)は、前記一対のガラス基板(200,300)が互いに対向する第1方向と直交する第2方向に沿って並んで前記内部空間(500)を前記第2方向に沿って貫通する通風経路(P10)を構成する複数の特定の通気路(610)を含む。第1の態様によれば、ガラスパネルユニット(10)の歩留まりの向上が図れる。
第2の態様のガラスパネルユニットの組立て品(100;100A;100B;100C)は、第1の態様との組み合わせにより実現され得る。第2の態様では、前記複数の仕切り(420)は、前記第2方向に沿って延びる第1仕切り(421)と、前記第1方向に直交し前記第2方向に交差する第3方向に沿って延びる複数の第2仕切り(422)とを含む。前記複数の第2仕切り(422)の端部(423)は、前記第1仕切り(421)の側部(424)に所定間隔を空けて対向する。前記複数の特定の通気路(610)は、前記複数の第2仕切り(422)の端部(423)と前記第1仕切り(421)の側部(424)との間の空間である。第2の態様によれば、簡単な構造で通風経路(P10)を設けることができる。
第3の態様のガラスパネルユニットの組立て品(100;100A;100B;100C)は、第1又は第2の態様との組み合わせにより実現され得る。第3の態様では、前記複数の特定の通気路(610)は、前記第2方向において前記排気空間(511)と前記通気空間(520)とをつなぐ特定の通気路(610)を含む。第3の態様によれば、ガラスパネルユニット(10)の歩留まりの向上が図れる。
第4の態様のガラスパネルユニットの組立て品(100;100A;100B;100C)は、第1又は第2の態様との組み合わせにより実現され得る。第4の態様では、前記内部空間(500)は、前記複数の仕切り(420)で仕切られて、複数の前記排気空間(511)を含む。前記複数の特定の通気路(610)は、前記複数の排気空間(511)のうち前記第2方向において隣り合う排気空間(511)同士をつなぐ特定の通気路(610)を含む。第4の態様によれば、ガラスパネルユニット(10)の歩留まりの向上が図れる。
第5の態様のガラスパネルユニットの組立て品(100;100B;100C)は、第1又は第2の態様との組み合わせにより実現され得る。第5の態様では、前記内部空間(500)は、前記複数の仕切り(420)で仕切られて、緩衝空間(512)を含む。前記複数の特定の通気路(610)は、前記第2方向において前記排気空間(511)と前記緩衝空間(512)とをつなぐ特定の通気路(610)を含む。第5の態様によれば、ガラスパネルユニット(10)の歩留まりの向上が図れる。
第6の態様のガラスパネルユニットの組立て品(100)は、第1又は第2の態様との組み合わせにより実現され得る。第6の態様では、前記内部空間(500)は、前記複数の仕切り(420)で仕切られて、複数の緩衝空間(512)を含む。前記複数の特定の通気路(610)は、前記複数の緩衝空間(512)のうち前記第2方向において隣り合う緩衝空間(512)同士をつなぐ特定の通気路(610)を含む。第6の態様によれば、ガラスパネルユニット(10)の歩留まりの向上が図れる。
第7の態様のガラスパネルユニットの組立て品(100)は、第1又は第2の態様との組み合わせにより実現され得る。第7の態様では、前記内部空間(500)は、前記複数の仕切り(420)で仕切られて、緩衝空間(512)を含む。前記複数の特定の通気路(610)は、前記第2方向において前記通気空間(520)と前記緩衝空間(512)とをつなぐ特定の通気路(610)を含む。第7の態様によれば、ガラスパネルユニット(10)の歩留まりの向上が図れる。
第8の態様のガラスパネルユニットの組立て品(100A)は、第1~第7の態様のいずれか一つとの組み合わせにより実現され得る。第8の態様では、前記複数の通気路(600)は、前記第1方向と直交し前記第2方向に交差する第3方向に沿って並ぶ複数の第2の特定の通気路(620)を含む。前記複数の第2の特定の通気路(620)は、前記内部空間(500)を前記第3方向に沿って貫通する第2通風経路(P20)を構成する。第8の態様によれば、ガラスパネルユニット(10)の歩留まりの向上が図れる。
第9の態様のガラスパネルユニットの製造方法は、組立工程と、接合工程と、排気工程と、封止工程とを含む。前記組立工程は、第1~第8の態様のいずれか一つのガラスパネルユニットの組立て品(100;100A;100B;100C)を用意する工程である。前記接合工程は、前記第2方向に沿って熱風(F10)を送って前記周壁(410)を一旦溶融させて前記周壁(410)で前記一対のガラス基板(200,300)同士を気密に接合する工程である。前記排気工程は、前記複数の通気路(600)と前記通気空間(520)と前記排気口(700)とを介して前記排気空間(511)を排気する工程である。前記封止工程は、前記第2方向に沿って熱風(F10)を送って前記複数の仕切り(420)を変形させて前記複数の通気路(600)を塞ぐ工程である。第9の態様によれば、仕切り(420)の材料に含まれるバインダ等のガスの発生源となる不要成分を周壁(410)の加熱時に十分に除去できる。
第10の態様のガラスパネルユニットの製造方法は、第9の態様との組み合わせにより実現され得る。第10の態様では、前記封止工程では、前記複数の通気路(600)と前記通気空間(520)と前記排気口(700)とを介して前記排気空間(511)を排気しながら、前記複数の仕切り(420)を変形させる。第10の態様によれば、排気を効率よく行える。
第11の態様のガラスパネルユニットの製造方法は、第9又は第10の態様との組み合わせにより実現され得る。第11の態様では、前記ガラスパネルユニットの製造方法は、更に、除去工程を含む。前記除去工程は、前記通気空間(520)を有する部分を除去することで、前記排気空間(511)を有する部分であるガラスパネルユニット(10)を得る工程である。第11の態様によれば、排気口(700)のないガラスパネルユニット(10)が得られる。
第12の態様のガラスパネルユニットの組立て品の製造方法は、第1~第8の態様のいずれか一つのガラスパネルユニットの組立て品を製造するための方法である。第12の態様は、前記複数の仕切り(420)の材料(M20)を前記一対のガラス基板(200,300)の一方に塗布する塗布工程を含む。前記複数の仕切り(420)は、前記第2方向に沿って伸びる第1仕切り(421)と、前記第1方向に直交し前記第2方向に交差する第3方向に沿って伸びる複数の第2仕切り(422)とを含む。前記複数の第2仕切り(422)の端部(423)が前記第1仕切り(421)の側部(424)に所定間隔を空けて対向するようにして前記材料(M20)を塗布して、前記複数の特定の通気路(610)を形成する。第12の態様によれば、ガラスパネルユニット(10)の歩留まりの向上が図れる。