JP7116396B6 - トンネル切羽管理方法 - Google Patents
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Description
また、例えば下記特許文献1には、トンネルの坑内に設置されたレーザ距離計によってトンネル切羽面の押し出し量を監視するトンネル切羽面監視方法であって、レーザ距離計によって、トンネル切羽面までの距離を計測するトンネル切羽面測定工程と、繰り返し実行されるトンネル切羽面進行工程によるトンネル切羽面の進行によってレーザ距離計からトンネル切羽面までの距離が離れ、レーザ距離計での計測距離の精度が不十分である場合に、レーザ距離計を取り外して、トンネル切羽面に近い位置に再設置する盛替え工程と、を備え、盛替え工程にてレーザ距離計を再設置した際にはレーザ距離計にNDフィルターを装着してレーザ光または反射光を減光し、トンネル切羽面の進行の結果、距離の計測に減光不要と判断される場合には、NDフィルターを計測器から取り外す技術が開示されている。
また、上述した特許文献1のトンネル切羽面監視方法は、計測器によってトンネル切羽面までの距離を計測できる範囲を広げ、盛替えの頻度を軽減するのには役立つが、やはり、トンネル切羽の肌落ちや崩落・崩壊を予見するために常時監視し、作業員や事務職員などトンネル工事関係者全員がトンネル切羽の状況をリアルタイムに把握可能な技術ではない。
1台の水平監視用計測装置に水平方向に旋回可能な構成で搭載されたレーザー距離計を水平方向に旋回させて、トンネルのスプリングラインと天端部との間の1/2以上、3/4以下の範囲内の任意の高さにレーザー光を照射することにより、リアルタイムな計測データの変化に基づくトンネル切羽の押し出し量が計測され、その計測されたデータが予め設定した前記計測データの変化に基づく管理基準値を超えたとき、コンピュータにより、グリーンレーザ等の高速レーザー照射ユニットを作動させて、前記トンネル切羽における前記管理基準値を超えた計測点周辺にマーキングを行うと同時に、スカウター型又は透過式メガネ型の頭部に装着するタイプのウェアラブル端末に、前記レーザー距離計によるトンネル切羽のリアルタイムなトンネル切羽の押し出し量の変位データや、前記管理基準値を超えた危険箇所が可視化されて、常にトンネル切羽の肌落ちや崩落・崩壊が予見できる構成であることを特徴とする。
本発明に係るトンネル切羽管理方法は、図1等に示したように、切羽監視用カメラでトンネル工事におけるトンネル切羽が常時撮影され、その撮影データがディスプレイに表示されることで、トンネル切羽の状況をコンピュータによりリアルタイムに管理可能なトンネル切羽管理方法であって、
1台の水平監視用計測装置に水平方向に旋回可能な構成で搭載されたレーザー距離計を水平方向に旋回させて、トンネルのスプリングラインと天端部との間の1/2以上、3/4以下の範囲内の任意の高さにレーザー光を照射することにより、リアルタイムな計測データの変化に基づくトンネル切羽の押し出し量が計測され、予め設定した前記計測データの変化にかかる管理基準値を超えたとき、コンピュータにより、グリーンレーザ等の高速レーザー照射ユニットを作動させて、前記トンネル切羽における前記管理基準値を超えた計測点周辺にマーキングを行うと同時に、スカウター型又は透過式メガネ型の頭部に装着するタイプのウェアラブル端末に、前記レーザー距離計によるトンネル切羽のリアルタイムなトンネル切羽の押し出し量の変位データや、前記管理基準値を超えた危険箇所が可視化されて、常にトンネル切羽の肌落ちや崩落・崩壊が予見できる構成であることを特徴とする。
ちなみに図中の符号Jは、削孔マシーンを示している。符号Bは、トンネルTの天端部に吊り支持させた切羽監視用カメラを示している。そして、前記切羽監視用カメラBでトンネル切羽1を常時撮影し、その撮像データをディスプレイ(図示省略)で表示しながら、上述したトンネル切羽管理方法に基づく崩落・崩壊を予見するための監視が常時行われる。なお、前記切羽監視用カメラBの設置部位は、視界が良好であればトンネルTの天端部に限らない。
この水平監視用計測装置2は、トンネル切羽1にレーザー光3を照射して照射点で反射されたレーザー光3を検知することで前記照射点までの距離を計測するレーザー距離計と、前記レーザー距離計の水平方向の旋回と停止を可能にする水平方向旋回装置と、前記水
平方向旋回装置の任意の角度での旋回と停止を制御する制御装置とを備えている。要するに、前記水平監視用計測装置2は、レーザー距離計が水平方向に自在に旋回可能な構成とされ、トンネル切羽1に対して順次レーザー光3を設定したピッチ(本実施例では約1.0m間隔で計測点Pを10個(No.1~No.10)設定)で照射し、照射点までの距離を順次、自動的に計測することが可能な装置である。
前記水平監視用計測装置2が、計測制御用のコンピュータ(通常はPC、以下同じ。)10Aと有線で接続されて連動している。前記コンピュータ10Aは、前記水平監視用計測装置2の遠隔操作や、データを演算処理等する。
そして、前記トンネル切羽1へのマーキング5と同時に、前記トンネル切羽1の変化状況を前記ウェアラブル端末6にてリアルタイムに可視化(映像化)7させる。その可視化7は、前記コンピュータ10Bが無線で制御・指示して行う。図4A、Bの右方に拡大して示したリアルタイムな可視化(された描画)7は、例えば危険度に応じて、危険な順から赤色、黄色、緑色等の色分けと、表示範囲(例えば、円や矩形、或いは斜線)の大きさを区別する等して表示される(3Dレーザースキャナによる面的な切羽挙動把握手段で実施した場合は一例として図8A、B参照)。ちなみに本実施例では、トンネル切羽監視責任者Sに前記した頭部に装着するタイプのウェアラブル端末6の着用を義務づけ、片方の眼で前記ウェアラブル端末6によって可視化7されたトンネル切羽1の変化状況を見ると共に、他方の眼で、トンネル切羽1の直接的な目視を行って監視に万全が期されている。
なお、前記可視化7(図4、図8参照)には、前記変位データ(数値)等を含む。すなわち、前記ウェアラブル端末6には映像データや画像データの他に、必要に応じ、変位データ(数値、文字)そのもの、或いは当該変位データ(例えば、前記押し出し量)の遷移状況を心電図のような折れ線グラフ(例えば、押し出し量変位を縦軸、時間を横軸)でリアルタイムに表示することもできる。
また、トンネル坑内に立ち入る工事関係者全員にバイブレーション機能を装着させたり、警告音(サイレン)等の警報手段を作動させたりすることにより当該工事関係者全員に即座に注意を喚起する等の工夫は適宜行われるところである。
上述の工程は、管理基準値Kの許容範囲内である場合は、警告灯を緑色で点灯させる等して、工事関係者に安全であることが知らされる。管理基準値Kを超える異常時には、トンネル切羽監視責任者S等の工事関係者に異常が知らされる。
ちなみに、本発明に係るトンネル切羽管理方法の実証実験で得られたトンネル切羽1の肌落ち監視挙動の経時変化の一例を図6に、その時の切羽写真を図7に示す。図6より、計測点PのNo.3の変位速度が24.1mm/h程度と急激に増加した後、また、絶対変位量は、45.5mmを最大とし、肌落ちを確認した。これらの計測実績より、脆弱地山でのトンネル切羽1の押出しの挙動を十分に捉えられることが確認され、変位速度や絶対変位量等に対する管理基準値Kを設定することにより、トンネル切羽1の肌落ちや崩落・崩壊を予見(予測)できる可能性が非常に高いことが実証された。よって、この予見を利用すれば、トンネル工事関係者(全員)にトンネル切羽1の状況をリアルタイムに発信することで、十分に切羽作業の安全性を向上させることができる。
例えば、本実施例では、前記管理基準値Kを、変位速度(変化率)と絶対変位量に基づいて設定しているがこれに限定されない。前記トンネル切羽1の近傍位置に音感知センサーを設置し、トンネル切羽1(岩盤)にクラックが入った場合の音の有無、更には音の周波数等を管理基準値Kの設定要素に採用することもできる。要するに、本発明に係る前記「リアルタイムな計測データDの変化」には音の要素も含む。
また、本実施例では、前記管理基準値Kを超えたときに、トンネル切羽1へのマーキング5とウェアラブル端末6への可視化7を実行して監視しているが、前記管理基準値Kを
超えなくてもトンネル切羽1へのマーキング5とウェアラブル端末6への可視化7を実行する機能は当然に備えている。よって、前記管理基準値Kへあと少しで到達する(例えば、変位データが管理基準値Kの80%の)時点等でトンネル切羽1へのマーキング5及び/又はウェアラブル端末6への可視化7を実行することは適宜行われるところである。
また、トンネル切羽1に対するグリーンレーザー等の高速レーザー照射ユニット4によるマーキング5には、前記段落[0023]で説明した、ウェアラブル端末6への可視化7のバリエーションのうち、前記変位データ(例えば、前記押し出し量)の遷移状況を心電図のような折れ線グラフでリアルタイムに表示する手法を含む。
2 水平監視用計測装置
3 レーザー光
4 高速レーザー照射ユニット(グリーンレーザー)
5 マーキング
6 ウェアラブル端末
7 可視化
8 端末機器
9 メール
10A コンピュータ
10B コンピュータ
11 取付部材(ブラケット)
A 警告灯
B 切羽監視用カメラ
C ネットワークカメラ
D 計測データ
H 計測点の高さレベル
J 削孔マシーン
K 管理基準値(閾値)
P 計測点
S トンネル切羽監視責任者
T トンネル
Claims (3)
- 切羽監視用カメラでトンネル工事におけるトンネル切羽が常時撮影され、その撮影データがディスプレイに表示されることで、トンネル切羽の状況をコンピュータによりリアルタイムに管理可能なトンネル切羽管理方法であって、
1台の水平監視用計測装置に水平方向に旋回可能な構成で搭載されたレーザー距離計を水平方向に旋回させて、トンネルのスプリングラインと天端部との間の1/2以上、3/4以下の範囲内の任意の高さにレーザー光を照射することにより、リアルタイムな計測データの変化に基づくトンネル切羽の押し出し量が計測され、その計測されたデータが予め設定した前記計測データの変化に基づく管理基準値を超えたとき、コンピュータにより、グリーンレーザ等の高速レーザー照射ユニットを作動させて、前記トンネル切羽における前記管理基準値を超えた計測点周辺にマーキングを行うと同時に、スカウター型又は透過式メガネ型の頭部に装着するタイプのウェアラブル端末に、前記レーザー距離計によるトンネル切羽のリアルタイムなトンネル切羽の押し出し量の変位データや、前記管理基準値を超えた危険箇所が可視化されて、常にトンネル切羽の肌落ちや崩落・崩壊が予見できる構成であることを特徴とする、トンネル切羽管理方法。 - 前記管理基準値は、少なくとも変位速度および絶対変位量に基づいて設定されることを特徴とする、請求項1に記載したトンネル切羽管理方法。
- 前記管理基準値を超えたとき、前記コンピュータにより、インターネットを介して、スマートフォンやタブレット、PC等の端末機器にてメールが発信され、前記リアルタイムなトンネル切羽の押し出し量を含むトンネル切羽状況が、映像データ及び/又は画像データで工事関係者に通知されることを特徴とする、請求項1又は2に記載したトンネル切羽管理方法。
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