JP7116049B2 - ミクロフィブリル化セルロースを含むフィルムの製造方法、フィルム及び紙製品又は板紙製品 - Google Patents
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Description
従って、高い平滑性及び改善されたバリア特性を有するMFCフィルムを作製する新しい方法が必要である。
本発明は、添付の特許請求の範囲の独立請求項に定義する。実施形態は、添付の特許請求の範囲の従属請求項及び以下の説明に記載する。
乾燥装置にてウェブを乾燥する前に、ウェブを支持体に適用するのが好ましい。支持体上でウェブは前記乾燥装置にて乾燥される。支持体は好ましくは金属ベルトであり、ウェブを支持体に適用する前に、支持体を60から150℃の温度に加熱するのが好ましい。更に、支持体は乾燥装置の一部であってもよい。驚くべきことに、フィルムの乾燥速度は、乾燥前に加熱した支持体に、ウェブを供することによって改善されることを見出した。
繊維ウェブを乾燥装置にて乾燥させる前及び/又は乾燥中に、該ウェブに圧力を加えることが可能な場合がある。5kN/mを超える圧力が好ましい。繊維ウェブを乾燥装置にて乾燥させる前及び/又は乾燥中、該ウェブを支持体に確実に接触させるために、圧力を加えてもよい。
懸濁液のミクロフィブリル化セルロースは、好ましくは90を超えるShopper-Riegler(SR)値を有する。
フィルムは、好ましくは乾燥後にASTM D-3985に従って400cc/m2/24h未満の酸素透過率(OTR)値(23℃、50%RH)を有する。従って、フィルムの酸素バリア特性は依然として非常に良好である。
本発明はまた、上記の方法によって得られたミクロフィブリル化セルロースを含むフィルムにも関する。フィルムは、40gsm未満、好ましくは30gsm未満の坪量、及びび700kg/cm3を超える密度を有するのが好ましい。フィルムは、ASTM D-3985に従って400cc/m2/24h未満の酸素透過率(OTR)値(23℃、50%RH)を有するのが好ましい。本発明によるフィルムは、高密度、高平滑性及び良好なバリア特性を有する薄い半透明又は透明フィルムであるのが好ましい。
本発明はまた、繊維ウェブが紙支持体又は板紙支持体上に形成される上記の方法によって得られる紙基材又は板紙基材にも関する。
驚くべきことに、多量のミクロフィブリル化セルロースを含む繊維ウェブを熱風に曝すことによって、フィルムのバリア特性に悪影響を及ぼすことなく、75kg(H2O)/m2/hを超える、好ましくは100kg(H2O)/m2/hを超える乾燥速度でMFCフィルムを乾燥させることが可能であることを見出した。高い乾燥速度で熱風を使用することにより、フィルム中の水は沸騰するであろうと考えられた。また、MFCフィルムが高密度であるため、水はフィルムの内側で沸騰し、フィルムのバリア特性を破壊するであろう、即ち、フィルムの平滑な表面を破壊することなく、MFCフィルムの内側から沸騰した水が「逃げる」ことは不可能であろうと考えられた。乾燥速度は、乾燥の前と後のフィルムの乾燥含量、時間及び乾燥されるフィルムの面積を測定することによって決定される。懸濁液は、全乾燥重量に基づいて70重量%から100重量%のミクロフィブリル化セルロースを含む。従って、製造されたMFCフィルムは多量のMFC、好ましくは70から100重量%のMFCを含み、この量は最終的な被覆層が追加される前のフィルム自体のMFCの量に関係する。
好ましくは、乾燥装置で使用される熱風は、100から350℃、好ましくは150から250℃の温度を有し、20から100m/s、好ましくは30から60m/sの速度で送風される。
懸濁液のミクロフィブリル化セルロースは、90超過、好ましくは95超過のShopper-Riegler(SR)値を有する。
乾燥装置は好ましくは衝突乾燥装置である。驚くべきことに、高温及び高乾燥速度を使用する衝突乾燥では、バリア性を有するMFCフィルムを乾燥することが可能である。
本発明はまた、繊維ウェブが紙支持体又は板紙支持体上に形成される上記の方法によって得られる紙基材又は板紙基材にも関する。従って、非常に効率的な方法で良好なバリア特性を有するMFCフィルムで被覆された(coating)紙製品又は板紙製品を製造することが可能である。
MFCは、木材セルロース繊維から、硬材繊維又は軟材繊維の両方から生産される。また、MFCは、微生物源、麦わらパルプ、竹、バガス等の農業繊維、又は他の非木材繊維源から製造することもできる。MFCは、バージン繊維由来のパルプ、例えば、機械的、化学的及び/又は熱機械的パルプを含むパルプから製造されることが好ましい。更に、MFCは、破損した紙又は再生紙から製造することもできる。
繊維懸濁液は、湿潤強度剤もまた含むことができる。即ち湿潤強度剤を懸濁液に添加することができる。驚くべきことに、湿潤強度剤を含むMFCフィルムを、乾燥装置を用いて高温で乾燥させることが可能であることが見出された。湿潤強度化学物質は、ミクロフィブリル化繊維を架橋することによって、ウェブの強度特性、延いてはフィルムの強度特性を改善し、高温での乾燥装置の使用によって湿潤強度剤及びMFCを含む乾燥フィルムを製造することが可能であるのは驚くべきことであった。種々の湿潤強度剤、例えばウレアホルムアルデヒド(UH)、メラミンホルムアルデヒド(MF)、ポリアミド-エピクロロヒドリン(PEA)、グリオキサール及び/又はポリアクリルアミド(PAM)、又はそれらの混合物を添加することができる。
懸濁液は、架橋剤もまた含むことができる。架橋剤を懸濁液に添加することによって、フィルムは高い相対湿度(RH)値で改善されたバリア特性を有する。種々の架橋剤、例えばクエン酸、ポリイソシアナート、金属イオン、好ましくはアルカリ土類金属イオン、アニオン-カチオン錯体及び/又は高分子電解質錯体を添加することができる。
本発明によるMFCフィルムは、シリアル等の乾燥食品を包装するときの箱詰め用バッグとして、包装基材として、紙、板紙又はプラスチックにおける積層材料として、及び/又は使い捨て電子機器用の基材として使用することができる。
図1は、本発明による方法の概略図を示す。
本発明の一実施形態に従う乾燥装置(1)は、熱風(3)を加える衝突フード(2)を含む。その後、特定の温度と速度の熱風は複数のノズル(4)を通して送風される。乾燥装置(1)は、加熱プレート(5)の形態の支持体を更に含み、該プレート上の繊維ウェブ(6)は乾燥装置を通して送られ、熱風が繊維ウェブ上に送風され、MFCフィルムが形成される。
乾燥装置にて繊維ウェブ上に異なる温度の空気を送風したときの乾燥速度を調べた。
全乾燥重量に基づいて70重量%のMFCを含む繊維懸濁液を、固形分4%で金属ベルト上にキャスティングした。キャスティング前に金属ベルトを特定の温度に加熱した。ベルト110℃は、金属ベルトが乾燥の終わり頃に110℃の温度であったことを意味する。ベルト120°C及びベルト130°Cのサンプルについても、それぞれ同じことが言える。ベルト110℃、ベルト120℃及びベルト130℃におけるMFCフィルムは加熱した金属ベルト(melt)によって乾燥されただけであり、基準サンプルとして使用することができる。キャスティングしたウェブはその後、剥離し易くなるまで、即ち約90重量%の乾燥含量まで乾燥された。
6つのサンプル全てについての乾燥速度の結果を図2に見ることができる。乾燥速度は、熱風を使用して衝突乾燥装置にてフィルムを乾燥させた場合に増加した。
全乾燥重量に基づいて70重量%のミクロフィブリル化セルロースを含む4重量%の濃度(consistency)の懸濁液を、加熱金属ベルト上にキャスティングして、繊維ウェブを形成した。その後、同じ金属ベルト上の繊維ウェブを、衝突ドライヤーを通して送った。ウェブを衝突ドライヤーにて乾燥したが、ここでは熱風をキャスティングした繊維ウェブに向けて送風した。金属ベルト及びキャスティング前の完成紙料について異なる温度で試験して、それがウェブの乾燥時間にどのように影響するかを調べた。
その後、乾燥時間を、フィルムが少なくとも90重量%の乾燥含量を有するまでの時間として測定した。試験中の乾燥速度は80kg(H2O)/m2/hであった。
本発明の上記の詳細な説明に鑑みて、当業者には、他の改変及び変更が明らかになる。しかしながら、このような他の改変及び変更を、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく行い得ることは明らかである。
Claims (9)
- 以下を含む、ミクロフィブリル化セルロースを含むフィルムの製造方法:
- 全乾燥重量に基づいて70重量%から100重量%のミクロフィブリル化セルロースを含む懸濁液を提供する工程、
- 前記懸濁液の繊維ウェブを形成する工程、
- 前記ウェブを乾燥装置にて乾燥させ、ここで前記ウェブを熱風を使用することによって75kg(H2O)/m2/hを超える乾燥速度で少なくとも部分的に乾燥させ、これによってフィルムを形成する工程、
ただし、前記熱風の空気は、100~350℃の温度を有し、20~100m/sの速度で送風され、
前記フィルムは、乾燥後にASTM D-3985に従って400cc/m2/24h未満の酸素透過率(OTR)値(23℃、50%RH)を有する;
ただし、前記ウェブは、支持体に適用され、その後、前記支持体上で前記乾燥装置を通して送られ、前記支持体は金属ベルトである。 - ウェブが支持体に適用される前に、前記支持体が60~150℃の温度に加熱される、請求項1に記載の方法。
- 繊維ウェブが懸濁液を基材上に加えることによって形成され、前記基材は紙基材、板紙基材、ポリマー基材又は金属基材である、請求項1又は2に記載の方法。
- 繊維ウェブが懸濁液を前記基材上にキャスティングすることによって形成される、請求項3に記載の方法。
- 繊維ウェブが懸濁液をワイヤ上に供することによって形成される、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
- 乾燥装置でのウェブの乾燥前及び/又は乾燥中に繊維ウェブに圧力が加えられる、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
- 繊維ウェブが乾燥装置にて乾燥される前に10~40重量%の乾燥含量を有する、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
- 懸濁液のミクロフィブリル化セルロースが90を超えるShopper-Riegler(SR)値を有する、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
- 乾燥装置が衝突乾燥装置である、請求項1~8のいずれかに記載の方法。
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