JP7112083B2 - サイクロトロン及びサイクロトロンの加速方法 - Google Patents
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Description
図1は、サイクロトロンの構成の一例を示すブロック図である。図1に示されるサイクロトロンは、荷電粒子を放出するイオン源1と、荷電粒子を円運動させるための磁場を形成する磁石2と、荷電粒子を加速させるための電場を形成する電極3と、電極3に高周波電圧を印加する電源4とを含む。そして、図1に示されるサイクロトロンにおいては、荷電粒子を、磁石2が形成する磁場によって円運動させると共に、高周波電圧が印加されることによって電極3が形成する電場によって加速することが可能である。
図1に示されるイオン源1としては、荷電粒子を放出することが可能な機器であればいかなる機器を用いてもよい。例えば、イオン源1として、マルチカスプイオン源、デュオプラズマトロンイオン源若しくは電子サイクロトロン共鳴(Electron Cyclotron Resonance:ECR)イオン源等を用いること、又は、これらを複数組み合わせて用いることが可能である。また、図1に示されるサイクロトロンよりも小型のサイクロトロンをイオン源1として適用することも可能である。例えば、いわゆるリングサイクロトロンは、一般的なサイクロトロン(例えば、AVF(Azimuthally Varying Field)サイクロトロン)よりも大型の装置であることが多い。このような場合、当該リングサイクロトロンに対して荷電粒子を放出するイオン源として、より小型のAVFサイクロトロン等を適用することも可能である。
図1に示される磁石2としては、永久磁石、電磁石又は永久磁石と電磁石を組み合わせた磁石を用いることが可能である。図2及び3は、磁石2として複数の電磁石を適用する場合の一例を示す図である。なお、図2は、図1に示される磁石2の一例を示す上面図である。また、図3は、図1に示される磁石2の一例を示す断面図であり、具体的には、図2に示されるA-A’線における断面を示す図である。
図4及び5は、図1に示される電極3の一例を示す図である。なお、図4は、図1に示される電極3の一例を示す上面図である。また、図5は、図1に示される電極3の一例を示す断面図であり、具体的には、図4に示される負電荷粒子Nが通過するT-T’曲線に沿った断面を示す図である。
図1に示される電源4としては、図1に示される電極3に高周波電圧を印加することが可能な機器であればいかなる機器を用いてもよい。また、電源4から電極3への高周波電圧の供給は、容量結合を介して、又は、電磁誘導を利用して行ってもよい。また、図4に示されるように、電極3が複数のディー電極(例えば、図4に示されるディー電極31及び32)を含んで構成される場合、当該複数のディー電極のそれぞれに高周波電圧を供給する電源を個別に設けても良い。
図7及び8は、本発明の一態様のサイクロトロンにおいて利用される高周波電圧の一例を示す図である。図7は、サイクロトロンから放出されるビームを高品質化する際に利用される高周波電圧の一例を示し、図8は、カクテルビームから単一種の荷電粒子のビームを抽出する際に利用される高周波電圧の一例を示す図である。当該高周波電圧は、その周期Tにおいて、位相区間I~IV(図7参照)又は位相区間V及びVI(図8参照)を有する波形の電圧である。なお、図7及び8において示されている高周波電圧は、図6に示される高周波電圧Vxと同じ波形を備える電圧である。
ビームの高品質化を目的としてサイクロトロンを利用する場合、まず、位相区間I及びII(位相区間I及びIIを総称して、「第1位相区間」ともいう。)の電圧を利用して荷電粒子(例えば、図4等で示される負電荷粒子N)を所定速度まで加速させ(下記のステップA参照)、荷電粒子の速度が当該所定速度以上になった後、位相区間III及びIV(位相区間III及びIVを総称して、「第2位相区間」ともいう。)の電圧を利用して荷電粒子を加速させる(下記のステップC参照)。なお、荷電粒子の加速に際しては、原則的に、荷電粒子の円運動の周期が高周波電圧Vxの周期Tの整数倍と等しくなるように設定されている。そして、荷電粒子の速度が所定速度未満の場合においては、荷電粒子が電場(例えば、電場EF1)を通過する際に、電極(例えば、ディー電極31)には位相区間I又はIIの高周波電圧が常に印加されるように制御する。また、荷電粒子の速度が当該所定速度以上の場合においては、荷電粒子が電場を追加する際に、電極には位相区間III又はIVの高周波電圧が常に印加されるように制御する。他方、荷電粒子を加速させるために利用する高周波電圧の位相区間を変更する際(すなわち、位相区間I及びIIの電圧を利用する荷電粒子の加速から位相区間III及びIVの電圧を利用する加速に移行する際)には、一時的に、荷電粒子の円運動の周期が当該高周波電圧Vxの周期Tの整数倍からずれるように設定される(下記のステップB参照)。
まず、図7に示される高周波電圧における位相区間I又はIIの電圧が図1に示される電極3に印加されているタイミングに合わせて、荷電粒子(例えば、図4等に示される負電荷粒子N)が電場(例えば、図4等に示される電場EF1)を通過するように、当該荷電粒子を複数周に渡って円運動させる。より具体的には、位相区間Iの電圧がディー電極31に印加されているタイミングにおいて、ディー電極31と接地電極51の間に形成される電場EF1に負電荷粒子Nを通過させる。また、位相区間IIの電圧がディー電極31に印加されているタイミングにおいて、ディー電極31と接地電極52の間に形成される電場EF2に負電荷粒子Nを通過させる。
次いで、例えば、図12及び13に示される電磁石22-3及び22-4並びに23-3及び23-4に供給される電流を調整することにより、図12及び13に示される領域29-1の磁場の磁束密度を増加又は低下させる。これにより、領域29-1を通過する際の荷電粒子の角速度(角周波数ω)が一時的に増加又は低下する。すなわち、荷電粒子が1周する時間が高周波電圧Vxの周期Tの整数倍からずれる。そして、位相区間I及びIIの電圧を利用して加速されていた荷電粒子が位相区間III及びIVの電圧を利用して加速されるようになるように設定する(すなわち、位相区間III及びIVの電圧が印加されている際に荷電粒子が電場を通過するようにする)。次いで、例えば、図12及び13に示される電磁石22-1及び22-2並びに23-1及び2に供給される電流の調整することにより、図12及び13に示される領域29-2の磁場の磁束密度を低下又は増加させる。これにより、再び、荷電粒子が1周する時間が高周波電圧Vxの周期Tの整数倍と一致するように領域29-2の磁場の磁束密度を設定する。
次いで、図7に示される高周波電圧における位相区間III又はIVの電圧が図1に示される電極3に印加されているタイミングに合わせて、荷電粒子(例えば、図4等に示される負電荷粒子N)が電場(例えば、図4等に示される電場EF1)を通過するように、荷電粒子を複数周に渡って円運動させる。より具体的には、位相区間IIIの電圧がディー電極31に印加されているタイミングにおいて、ディー電極31と接地電極51の間に形成される電場EF1に負電荷粒子Nを通過させる。また、位相区間IVの電圧がディー電極31に印加されているタイミングにおいて、ディー電極31と接地電極52の間に形成される電場EF2に負電荷粒子Nを通過させる。
以上の方法によって、サイクロトロンから照射されるビームを高品質化することが可能である。なお、上述の方法によって加速されるビームは、単一種の荷電粒子のビームに限定されず、質量電荷比M/Qの値がほぼ同一の異種の荷電粒子を含むカクテルビームであってもよい。
カクテルビームから単一種の荷電粒子のビームを抽出することを目的としてサイクロトロンが利用される場合、位相区間V及びVIの電圧を利用して荷電粒子を加速させる。なお、荷電粒子の円運動の周期は、高周波電圧Vxの周期Tの整数倍と等しくなるように設定されている。
上述したサイクロトロン及びその加速方法と異なる構成、特徴を備えるサイクロトロン及びその加速方法も本明細書で開示されるサイクロトロン及びその加速方法に含まれる。
Claims (9)
- 荷電粒子を放出するイオン源と、
前記荷電粒子を円運動させるための磁場を形成する磁石と、
前記荷電粒子を加速させるための電場を形成する電極と、
前記電極に高周波電圧を印加する電源と、を含み、
前記高周波電圧は、正弦波波形を備える基本波電圧に、前記基本波電圧を基準とした高調波電圧を少なくとも二つ重畳して得られる合成電圧である、サイクロトロン。 - 前記高調波電圧の波長は、前記基本波電圧の波長の1/n(nは3以上の奇数)倍である、請求項1に記載のサイクロトロン。
- 前記電極は、複数のディー電極を含み、
前記複数のディー電極のいずれか一に前記基本波電圧のみが印加され、且つ、他のディー電極に前記高調波電圧の少なくとも二つが印加される、請求項1又は請求項2に記載のサイクロトロン。 - 前記磁石は、半径が異なるらせん状の複数の電磁石を含む、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のサイクロトロン。
- 磁石によって形成される磁場において円運動する荷電粒子を、電極に高周波電圧が印加されることによって形成される電場において加速するサイクロトロンの加速方法であって、
前記荷電粒子の速度が所定速度未満であり、且つ、前記電場を前記荷電粒子が通過する際に、前記高周波電圧における電圧の絶対値の変化量が正となる点が連続する第1位相区間の電圧を前記電極に印加する第1ステップと、
前記荷電粒子の速度が前記所定速度以上であり、且つ、前記電場を前記荷電粒子が通過する際に、前記高周波電圧において電圧が常に0以上又は0以下となる1/2周期の中心点を含む連続した区間であって、前記第1位相区間とは重複しない第2位相区間の電圧を前記電極に印加する第2ステップとを含み、
前記高周波電圧は、正弦波波形を備える基本波電圧に、前記基本波電圧を基準とした高調波電圧を少なくとも二つ重畳して得られる合成電圧である、サイクロトロンの加速方法。 - 前記高周波電圧の周期と異なる周期で前記荷電粒子が円運動するように、前記第1ステップ及び前記第2ステップにおいて形成される第1の磁場とは磁束密度が異なる第2の磁場を形成し、前記第2の磁場が形成される空間に前記荷電粒子を通過させて前記第1ステップから前記第2ステップに移行させる第3ステップをさらに含む、請求項5に記載のサイクロトロンの加速方法。
- 磁石によって形成される磁場において円運動する荷電粒子を、電極に高周波電圧が印加されることによって形成される電場において加速するサイクロトロンの加速方法であって、
質量電荷比M/Qの値が異なる異種の荷電粒子を前記サイクロトロンに供給する第1ステップと、
前記電場を前記荷電粒子が通過する際に、前記高周波電圧における電圧の絶対値の変化量が正となる点が連続する第1位相区間の電圧を前記電極に印加する第2ステップとを含み、
前記高周波電圧は、正弦波波形を備える基本波電圧に、前記基本波電圧を基準とした高調波電圧を少なくとも二つ重畳して得られる合成電圧である、サイクロトロンの加速方法。 - 前記第1位相区間の始点は、前記高周波電圧において電圧の絶対値が0よりも大きくなる点であり、
前記第1位相区間の終点は、前記高周波電圧において電圧が極大値又は極小値となる点である、請求項7に記載のサイクロトロンの加速方法。 - 前記高調波電圧の波長は、前記基本波電圧の波長の1/n(nは3以上の奇数)倍である、請求項5乃至請求項8のいずれか一項に記載のサイクロトロンの加速方法。
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