JP7111526B2 - パルス管冷凍機 - Google Patents

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Description

本発明は、パルス管冷凍機に関し、より詳しくは、作動ガスの圧力損失が少なくて熱交換効率がよい構造を持つものに関する。
この種のパルス管冷凍機は例えば特許文献1で知られている。このものは、作動ガスに対し圧力振動を発生させる圧力振動発生手段と、圧力振動させた作動ガスが流入するパルス管と、圧力振動発生手段とパルス管との間に設けられてパルス管に流入する作動ガスを予冷する蓄冷器と、パルス管の高温端に連通するバッファタンクを有して作動ガスの圧力振動の位相を制御してパルス管の低温端にて作動ガスの膨張に伴う寒冷を発生させる位相制御手段とを備える。また、パルス管の低温端と蓄冷器とはステージ部材を介して接続され、このステージ部材が熱交換器としての役割を果たすようになっている。
ステージ部材は、例えば銅製の円柱状部材で構成される冷却ステージ本体(ブロック体)とその上面に装着される蓋体とで構成され、冷却ステージ本体には、一方向にのびる凹溝からなる複数のスリット溝が形成され、スリット溝により作動ガスの流通を許容する通路が形成されるようになっている。そして、蓋体に穿設した接続孔を介してパルス管と蓄冷器とが蓋体に接続されて、両者がスリット溝を介して連通する。
ここで、上記従来例のパルス管冷凍機において、より一層冷却特性を高めるためには、熱交換器としてのステージ部材での熱交換効率を高めることが重要となり、これには、例えば、作動ガスが流通する凹溝の幅を狭くしてスリットの数を増加させたり、スリットの全長を長くしたりして熱伝熱表面積を増加させることが考えられる。然し、これでは、圧力損失が増大して寒冷発生量の減少を招来し、却って、冷却特性が低下するという問題がある。
特開2006-284061号公報
本発明は、以上の点に鑑みなされたものであり、圧力損失の増加を招来することなく、高い熱交換効率が得られる冷却性能に優れたパルス管冷凍機を提供することを課題とするものである。
上記課題を解決するために、本発明のパルス管冷凍機は、作動ガスに対し圧力振動を発生させる圧力振動発生手段と、圧力振動させた作動ガスが流入するパルス管と、圧力振動発生手段とパルス管との間に設けられてパルス管に流入する作動ガスを予冷する蓄冷器と、パルス管の高温端に連通するバッファタンクを有して作動ガスの圧力振動の位相を制御してパルス管の低温端にて作動ガスの膨張に伴う寒冷を発生させる位相制御手段とを備え、パルス管の低温端と蓄冷器とが、一方向にのびて作動ガスの流通を許容するガス通路を有する冷却ステージを介して接続され、パルス管の低温端に第1熱交換器、冷却ステージのガス通路内に第2熱交換器を備え、第2熱交換器は、ガス通路に沿ってのびる複数のスリット溝が凹設されたブロック体で構成され、ブロック体は、各スリット溝の少なくとも一部がパルス管の低温端を臨むと共に、ガス通路を区画する冷却ステージの内面とスリット溝の開口面との間に空隙を存在させてガス通路内に配置され、パルス管の低温端側とガス通路との間の隔壁部に設けた複数個のノズル孔を介して、当該パルス管の低温端側と当該ガス通路とを互いに連通させたことを特徴とする。このとき、前記ノズル孔の各々は、前記ブロック体のスリット溝に対向すると共に、同一の仮想円周上に位置させて設けられる構成を採用することができる。また、前記ノズル孔の各々は、前記ガス通路から前記パルス管に向けて拡径させた形状を有する構成を採用してもよく、更には、前記スリット溝が凹設された前記ブロック体の部分が円形の輪郭を有し、前記スリット溝の両端が前記ブロック体の部分の外周面まで達し、前記ブロック体の部分の外周面と前記ガス通路を区画する冷却ステージの内面との間に環状の前記空隙が存在する構成を採用してもよい。
本発明によれば、圧力振動発生手段が、例えば、圧縮機と高圧弁と低圧弁とを備えるような場合、高圧弁が開弁すると(低圧弁は閉弁状態)、圧縮機で高圧に圧縮された作動ガス(例えばヘリウムガス)が蓄冷器に流入し、この流入した作動ガスが蓄冷器で冷却されて温度を下げながら、蓄冷器の低温部から冷却ステージ内のガス通路を経てパルス管の低温端へ流入する。そして、バルス管とバッファタンクとの間に生じる圧力差でバルス管内の作動ガスがバッファタンクへ流入する。
次に、高圧弁を閉弁して低圧弁を開弁すると、パルス管内の作動ガスが蓄冷器の低温部内に流入して蓄冷器内を通過し、このとき、通過する作動ガスが低温であるため蓄冷器の熱を奪い、蓄冷器の高温端から低圧弁を経由して圧縮機へと回収される。上記の工程が繰り返されることで、作動ガスは、圧力振動発生手段、蓄冷器、冷却ステージ及びパルス管を通り、位相制御手段のバッファタンクに通じる一連の系の中で往復動流として略正弦波的に圧力振幅を伴って流れる。このとき、作動ガスの圧力変化と流量変化の間に位相差が発生し、この一定の位相差によってパルス管の低温端において作動ガスの膨張に伴う寒冷が発生し、冷却ステージが極低温(数K~数十K)に冷却される。
ここで、作動ガスが冷却ステージのガス通路を流通する際、第2熱交換器のスリット溝に加えて、ブロック体と冷却ステージの内面との間の空隙自体がガス通路の一部を構成するようになる。このため、熱伝熱表面積を増加させるために、例えばスリット溝の幅を狭めてスリット溝の数を増加させたり、ガス通路に沿ってのびるスリット溝を長くしたりしても、圧力損失の増大を可及的に抑制することができる。しかも、作動ガスがガス通路を流通する際には、例えば、上記空隙を流通する作動ガスが冷却ステージの内面に衝突して跳ね返ってブロック体に繰り返し衝突するようになることで、熱交換効率が向上する。このように本発明においては、第2熱交換器として、ガス通路に沿ってのびる複数のスリット溝が凹設されたブロック体を用い、各スリット溝の少なくとも一部がパルス管の低温端を臨むと共に、ガス通路を区画する冷却ステージの内面とスリット溝の開口面との間に空隙を存在させてブロック体をガス通路内に配置する構成を採用することで、圧力損失の増加を招来することなく、高い熱交換効率を達成し、ひいては冷却性能の優れたものにすることができる。
本発明において、前記第1熱交換器は、夫々がパルス管に接合される、銅また銅合金の網部材を積層して構成されることが好ましい。これによれば、作動ガスがパルス管内へ流出する際に整流作用を促す役割を果たし、有利である。また、前記冷却ステージが銅または銅合金で構成されている場合には、前記第2熱交換器が、冷却ステージに銀ロウ付けで接合されることが好ましい。
本発明の実施形態のパルス管冷凍機の構成をその一部を拡大して示す模式断面図。 図1のII-II線に沿う断面図。 図1のIII-III線に沿う断面図。 パルス管冷凍機の変形例を示す模式断面図。
以下、図面を参照して、作動ガスをヘリウムガスとし、所謂一段式のものを例に本発明のパルス管冷凍機の実施形態を説明する。以下において、上、下、左、右といった方向を示す用語は図1の姿勢を基準とする。
図1を参照して、PRは、本実施形態のパルス管冷凍機を示す。パルス管冷凍機PRは、ヘリウムガスに対し圧力振動を発生させる圧力振動発生手段1と、圧力振動させたヘリウムガスが流入するパルス管2と、圧力振動発生手段1とパルス管2との間に設けられてパルス管2に流入するヘリウムガスを予冷する蓄冷器3と、パルス管2の高温端2aに連通するバッファタンク41を有してヘリウムガスの圧力振動の位相を制御してパルス管2の低温端2bにてヘリウムガスの膨張に伴う寒冷を発生させる位相制御手段4とを備える。そして、パルス管2の低温端2bと蓄冷器3の低温端3bとがガス通路51を有する冷却ステージ5を介して接続され、パルス管2の低温端2bの直下に位置するガス通路51の部分に第2熱交換器6が設けられている。
冷却ステージ5は、銅や銅合金などの熱伝導に優れた金属製で角柱状の部材で構成され、冷却ステージ5内には、一方向としての左右方向にのびるガス通路51が設けられている。冷却ステージ5の左右方向両端においてその上面には、第1及び第2の各凹部52,53が夫々設けられ、第1凹部52は、その底部に設けた図示省略の連通孔を介してガス通路51に連通している。また、冷却ステージ5の左端においてその下面には、第2凹部53に背向させて、第3凹部54が設けられている。この場合、第3凹部54の内部空間はガス通路51に連通してこのガス通路51の一部をなすと共に、後述のスリット溝62が凹設されたブロック体6の上部61を収容する役割を果たすようにしている。また、第2凹部53と第3凹部54との間の隔壁部55には、例えば同一の仮想円周上に位置させて複数個のノズル孔56が設けられ(本実施形態では、3個)、第2凹部53が、ノズル孔56を介してガス通路51に連通している。
圧力振動発生手段1は、ヘリウムガス用の圧縮機11を備え、圧縮機11の高圧ガスの出力側には高圧弁12が、圧縮機11のガス回収側には低圧弁13が夫々設けられ、図外の制御コントローラにより、高圧弁12と低圧弁13の開弁、閉弁が周期的に切り換えられるようになっている。圧縮機11からの第1配管14は蓄冷器3の高温端3aに接続されている。
蓄冷器3は、筒状の蓄冷器本体31を有する。蓄冷器本体31内には、蓄冷材32が充填されている。蓄冷材32としては、公知のものが利用できるため、ここでは、詳細な説明を省略する。そして、蓄冷器本体31の低温端3b側は、蓄冷器本体31の外形に一致する輪郭を持つ第1凹部53に、気密保持した状態で嵌着され、これにより、蓄冷器本体31内がガス通路51に連通するようになっている。パルス管2は、筒状のパルス管本体21を有する。パルス管本体21の上部及び下部には、上部熱交換器22と下部熱交換器23とが夫々組み込まれている。
上部熱交換器22と下部熱交換器23は同一の形態を有し、例えば、銅や銅合金などの熱伝導に優れた金属製の線材を例えば格子状に編み込んでなる網部材22a,23aの複数枚を有し、各網部材22a,23aを上下方向に隙間を存して夫々積層して構成されている。網部材22a,23aを構成する線材としては、その線径が0.03~0.35mmの範囲のものが利用され、網目の寸法が0.04~0.6mmの範囲になるように編み込まれ、各網部材網部材22a,23aの周縁部がパルス管本体21の内面に、例えば熱拡散接合など適宜選択される公知の方法で接合されている。この場合、下部熱交換器23が本実施形態の第1熱交換器を構成する。そして、パルス管本体21の低温端2b側は、パルス管本体21の外形に一致する輪郭を持つ第2凹部53に気密保持した状態で嵌着され、パルス管本体21内がノズル孔56を介してガス通路51に連通するようになっている。この場合、パルス管本体21の低温端2b側は、銀ロウ材71を用い、冷却ステージ5の第2凹部53に銀ロウ付けで接合されていることが好ましい。
位相制御手段4はバッファタンク41を有する。バッファタンク41は、第2配管42を介してパルス管本体21上部の高温端2aに接続され、第2配管42にはオリフィス43が介設されている。また、第2配管42には、パルス管2の高温端2aと蓄冷器3の高温端3aとを連通するバイパス管44が接続され、このバイパス管44にはオリフィス45が介設されている。
第2熱交換器6は、図2及び図3にも示すように、銅や銅合金などの熱伝導に優れた金属製のブロック体で構成されている。ブロック体6は、径の異なる円柱状部材を上下に重ねた形態のものであり、比較的小径の上部61には、ガス通路51に沿ってのびる複数のスリット溝62が等間隔でかつ互いに平行に凹設されている。この場合、例えば、冷却しようとする冷却ステージ5の温度、熱交換効率やヘリウムガスの圧力を考慮して、スリット溝62の溝幅Swは0.2mm~2. 0mmの範囲内に設定され、各スリット溝62相互の間隔Sdは0.5mm~3.5mmの範囲に設定されている。そして、ブロック体6の比較的大径の下部63が、第3凹部54に、その内側壁に設けた段差54aで係止させて、気密保持した状態で嵌着されている。この場合、ブロック体6の下部63は、銀ロウ材72を用い、冷却ステージ5の第3凹部54に銀ロウ付けで接合されていることが好ましい。
ブロック体6の下部63が第3凹部54に嵌着された状態では、各スリット溝62を凹設したブロック体6の上部61がガス通路51内に突出し、これにより、ノズル孔56を介してパルス管本体21の低温端2bを臨み、パルス管2内のヘリウムガスが各スリット溝62の長手方向に対して直交する方向から供給される。また、第3凹部54の内部空間はブロック体6の上部61の輪郭より大きく設定され、ブロック体6を配置した状態では、第3凹部54の内部空間を区画する冷却ステージ5の内側面、ブロック体6の上部61との間に環状の空隙81が存在するようにしている。これに加えて、上部61の上下方向長さを適宜設定して、ブロック体6の上部61上面と、隔壁部55の下面との間にも空隙82が存在するようにしている。つまり、ブロック体6が、ガス通路51を区画する冷却ステージ5の内面とスリット溝62の上方及び側方の開口面との間に空隙81,82を存在させた状態でガス通路51内に配置されるようにしている。空隙81の幅Wdは、ヘリウムガスを流通させるときの圧力損失等を考慮して、スリット溝62の幅と同等以上、例えば0.5mm~3.5mmの範囲に適宜設定される。なお、スリット溝62の長手方向とガス通路51との長手方向とは平行であることが好ましいが、ガス通路51との長手方向に対して±10度以内の角度でスリット溝62の長手方向が傾く程度の組付誤差は許容できる。
パルス管冷凍機PRの運転時、先ず、高圧弁12を開弁すると共に低圧弁13を閉弁すると、圧縮機11で圧縮された高圧のヘリウムガスが第1配管14を経て蓄冷器3に流入する。蓄冷器3に流入したヘリウムガスは、蓄冷器3内に配設された蓄冷材32で冷却されて温度を下げながら、蓄冷器3の低温端3bから冷却ステージ5のガス通路51に流入し、第2熱交換器としてのブロック体6で更に冷却されてパルス管2の低温端2bへ流入し、第1熱交換器としての下部熱交換器23で冷却される。そして、パルス管2の低温端2bへ高圧のヘリウムガスが流入すると共に、圧縮機11で圧縮された高圧のヘリウムガスの一部がバイパス管44のオリフィス45を経て第2配管42に流入することで、バルス管2の圧力がバッファタンク41内より高くなってバルス管2内のヘリウムガスが、第2配管42のオリフィス43を通ってバッファタンク41へ流入する。
次に、高圧弁12を閉弁して低圧弁13を開弁すると、パルス管2内のヘリウムガスは蓄冷器3の低温部3b内に流入し、蓄冷器3内を通過し、このとき、通過するヘリウムガスが低温であるため蓄冷器3の熱を奪い、蓄冷器3の高温端3aから低圧弁13を経由して圧縮機11へと回収される。上記の工程が繰り返されることで、ヘリウムガスは、圧力振動発生手段1、蓄冷器3、冷却ステージ5及びパルス管2を通り、位相制御手段4のバッファタンク41に通じる一連の系の中で往復動流として略正弦波的に圧力振幅を伴って流れる。このとき、ヘリウムガスの圧力変化と流量変化の間に位相差が発生し、この一定の位相差によってパルス管2の低温端2bにおいてヘリウムガスの膨張に伴う寒冷が発生し、冷却ステージ5が極低温(数K~数十K)に冷却される。位相差は、位相制御手段4としてのバッファタンク41の容積や第2配管42のオリフィス43を適宜設定することで調整される。
ここで、上記パルス管冷凍機PRの運転時、冷却ステージ5のガス通路51をヘリウムガスが流通する際、第2熱交換器としてのブロック体6のスリット溝62自体もガス通路を構成することになり、より一層冷却特性を高めるためには、第2熱交換器6での熱交換効率を高めることが重要となるが、ヘリウムガスの圧力損失が増大したのでは、寒冷発生量の減少を招来し、却って、冷却特性が低下してしまう。それに対して、本実施形態では、へリウムガスが冷却ステージ5のガス通路51を流通する際、第2熱交換器としてのブロック体6のスリット溝62に加えて、空隙81,82自体がガス通路の一部を構成するようになる。このため、熱伝熱表面積を増加させるために、例えばスリット溝62の溝幅Swを狭めてスリット溝62の数を増加させても、圧力損失の増大を可及的に抑制することができる。しかも、ヘリウムガスがガス通路51を流通する際には、例えば冷却ステージ5の内面に衝突して跳ね返ったヘリウムガスがブロック体6の上部61に繰り返し衝突するようになることで、熱交換効率が向上する。その結果、圧力損失の増加を招来することなく、高い熱交換効率を達成し、ひいては冷却性能の優れたものとすることができる。また、第1熱交換器23が積層した網部材23aで構成されているため、ヘリウムガスがパルス管2内へ流入する際に整流作用を促す役割を果たし、有利である。
次に、本発明の効果を確認するために、図1に示すパルス管冷凍機PRを用いて熱流体解析(CFD)により冷却ステージのガス通路51を流通する1.0MPaの圧力のヘリウムガスに対する圧力損失を確認した。先ず、図1に示すパルス管冷凍機PRにて、ガス通路51に第2熱交換器としてのブロック体6を設けていない状態では、圧力損失が410Paであった(これを、基準品とする)。次に、発明品として、空隙81の幅Wdを2mmに設定してガス通路51に第2熱交換器としてのブロック体6を配置した場合、圧力損失は、510Paであり、基準品と比較して30%以下の増加に抑制できることが確認され、ヘリウムガスの通気量を確保できていると考えられる。他方、比較品として、不回避的な隙間のみがある状態でブロック体6をガス通路51に設けた場合、圧力損失は、1075Paであり、基準品と比較して倍以上増加している。この場合、比較品は、圧力損失が大きくて発明品のようなヘリウムガスの通気量を確保できていないと考えられる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の技術思想の範囲を逸脱しない限り、種々の変形が可能である。上記実施形態では、パルス管2直下に位置する冷却ステージ5の部分にのみ第2熱交換器としてのブロック体を設けたものを例に説明したが、これに限定されるものではない。特に図示して説明しないが、第2熱交換器を構成するブロック体を平面視で長円や長方形の輪郭を持つ柱状体とし、スリット溝がパルス管2直下の位置から、蓄冷器3付近までのびるようにガス通路内に設けてもよい。この場合にも、上記のように、ガス通路の内面と各スリット溝が凹設されたブロック体の周囲との間及びブロック体の上面とガス通路との間に空隙が形成される。これにより、ガス通路に沿ってのびるスリット溝が長くなり熱交換効率を向上でき、また、空隙の存在により圧力損失の増加も抑制できる。
また、上記実施形態では、所謂一段式のものを例に本発明のパルス管冷凍機を説明したが、これに限定されるものでなく、多段式にすることもできる。例えば、図4には二段式のパルス管冷凍機PRが示されている。上記実施形態と同一の要素、部材には同一の符号を用いて説明すると、圧力振動発生手段1の圧縮機11からの第1配管14が一段目の蓄冷器3の高温端3aに接続され、高温端3aが一段目の冷却ステージ5のガス通路50aに連通すると共に、二段目の蓄冷器3の高温端3aに接続されている。二段目の蓄冷器3は、二段目の冷却ステージ5のガス通路50bに連通している。そして、各パルス管本体2,2上部の高温端2aには、オリフィス43を設けた第2配管42を介してバッファタンク41に接続されている。この場合、各パルス管本体2,2及び蓄冷器3,3としては同一の構成のものを用いられる。また、冷却ステージ5,5についても、上記の如く、第2熱交換器を構成するブロック体を両冷却ステージ5,5に設けることができ、冷却性能を一層高めることができる。
PR…パルス管冷凍機、1…圧力振動発生手段、2…パルス管、2a…パルス管2の高温端、2b…パルス管2の低温端、23…下部熱交換器(第1熱交換器)、22a,23a…網部材、3…蓄冷器、4…位相制御手段、41…バッファタンク、5…冷却ステージ、51…ガス通路、6…第2熱交換器,ブロック体、62…スリット溝、81,82…空隙。

Claims (4)

  1. 作動ガスに対し圧力振動を発生させる圧力振動発生手段と、圧力振動させた作動ガスが流入するパルス管と、圧力振動発生手段とパルス管との間に設けられてパルス管に流入する作動ガスを予冷する蓄冷器と、パルス管の高温端に連通するバッファタンクを有して作動ガスの圧力振動の位相を制御してパルス管の低温端にて作動ガスの膨張に伴う寒冷を発生させる位相制御手段とを備えるパルス管冷凍機であって、
    パルス管の低温端と蓄冷器とが、一方向にのびて作動ガスの流通を許容するガス通路を有する冷却ステージを介して接続されるものにおいて、
    パルス管の低温端に第1熱交換器、冷却ステージのガス通路内に第2熱交換器を備え、
    第2熱交換器は、ガス通路に沿ってのびる複数のスリット溝が凹設されたブロック体で構成され、
    ブロック体は、各スリット溝の少なくとも一部がパルス管の低温端を臨むと共に、ガス通路を区画する冷却ステージの内面とスリット溝の開口面との間に空隙を存在させてガス通路内に配置され、
    パルス管の低温端側とガス通路との間の隔壁部に設けた複数個のノズル孔を介して、当該パルス管の低温端側と当該ガス通路とを互いに連通させたことを特徴とするパルス管冷凍機。
  2. 前記ノズル孔の各々は、前記ブロック体のスリット溝に対向すると共に、同一の仮想円周上に位置させて設けられることを特徴とする請求項1記載のパルス管冷凍機。
  3. 前記ノズル孔の内面は、前記ガス通路から前記パルス管に向けて拡がるテーパ形状を有することを特徴とする請求項2記載のパルス管冷凍機。
  4. 前記スリット溝が凹設された前記ブロック体の部分が円形の輪郭を有し、前記スリット溝の両端が前記ブロック体の部分の外周面まで達し、前記ブロック体の部分の外周面と前記ガス通路を区画する冷却ステージの内面との間に環状の前記空隙が存在することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のパルス管冷凍機。
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