JP7111084B2 - イオンビーム照射装置及びイオンビーム照射装置用プログラム - Google Patents
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Description
この点に鑑みれば、前記学習データには、少なくともイオン源系モジュールの前記モニタ値が含まれていることが好ましい。
これならば、複数のモジュールの中でも状態が変化しやすいイオン源系モジュールの前処理時の状態を考慮して機械学習を行うことができるので、新たな処理時における初期値をより適切に決定することができる。
そこで、前記基本運転パラメータとして、前記イオン源を構成するプラズマチャンバに供給されるガス流量、又は、前記プラズマチャンバ内に磁場を生じさせるソースマグネットへの供給電流の少なくとも何れかが用いられていることが好ましい。
これならば、プラズマを効率良く生成できるように、ガス流量やソースマグネットへの供給電流の初期値を適切に決定することができる。
このような構成であれば、モジュールのセットアップシーケンスをこれまでのものから大きく変更することなく、学習アルゴリズムにより得られた初期値をも用いることができ、セットアップ時間のさらなる短縮化やセットアップ成功率のさらなる向上を図れる。
このように構成されたイオンビーム照射装置用プログラムであれば、上述したイオンビーム照射装置と同様の作用効果を発揮させることができる。
以下に本発明に係るイオンビーム照射装置の第1実施形態について図面を参照して説明する。
なお、上述したモジュールMは必ずしも全て備えている必要はなく、例えばイオンビーム照射装置100が、ターゲットWの機械的な走査方向と直交する方向において、ターゲットWの寸法よりも大きい寸法のリボンビームを照射するように構成されている場合、走査マグネット6は不要であるし、その他の加速管4、エネルギー分離マグネット5、平行化マグネット7などのモジュールMも適宜取捨選択して構わない。
レシピは、例えば図示しないホストコンピュータ等から送信されてくるデータであり、イオンビームIBに含まれるドーパントイオンのイオン種、イオンビームIBのビームエネルギー、イオンビームIBのビーム電流等といったイオンビームIBの質を示す種々の情報を含むデータである。
また、イオン源系モジュールに設定されている基パラとしては、プラズマチャンバに供給するガス流量や、ソースマグネットに供給する供給電流や、アーク電流等を挙げることができる。
また、引出電極系モジュールに設定されている基パラとしては、例えばプラズマチャンバ及び各電極の間の引出方向に沿った距離、各電極の位置、各電極の傾き等を挙げることができる。
また、ビームライン電磁場系モジュールに設定されている基パラとしては、例えば質量分離マグネット3の磁束密度、加速管4に印加する電圧、エネルギー分離マグネット5の磁束密度、平行化マグネット7の磁束密度等を挙げることができる。
以下、各部91~94の機能の説明を兼ねて、この機械学習装置9を用いた各モジュールMのセットアップについて、図3のフローチャートを参照しながら説明する。
学習データは、例えば過去の複数の処理から得られるデータであり、過去の複数の処理における種々の実績値を含むものである。具体的にこの学習データは、図4に示すように、過去の各処理のレシピ、各処理において基パラ入力部82が各モジュールMに入力した基パラの初期値、各処理において基パラチューニング部83が調整して得られた基パラの調整値、各処理の終了時におけるモジュールMの状態パラメータのモニタ値、及び各処理における所定の目的変数の実績値が関連付けられたデータセットを複数組含むものである。なお、ここでのモニタ値には、上述したように、基パラの調整値の一部又は全部が含まれており、その他にもモニタ部Zによりモニタされた変動値も含まれている。ただし、モニタ値としては、基パラの調整値又は変動値の少なくとも一方が含まれていれば良い。
この機械学習部92は、上述した人工知能により発揮される機能であり、教師あり学習、教師なし学習、強化学習、深層学習など適宜選択された機械学習を用いて上述した学習アルゴリズムを生成するように構成されている。
具体的に基パラ出力部94は、レシピ受付部81が受け付けた新たな処理時のレシピと、モニタ値記憶部84に記憶されている少なくとも1つのモジュールMの前処理時のモニタ値とを取得して、新たな処理におけるセットアップ時間を推測する。より具体的には、過去の複数回の処理時(例えば新たな処理時とレシピが同じ処理時や、前処理時とモニタ値が等しい或いは所定の範囲内に収まる処理時)における基パラの調整値を取得して、それぞれの調整値を新たな処理時の初期値として入力した場合のセットアップ時間をクラシフィケーション(格付け)或いは算出し、その結果を出力する。なお、過去の複数回の処理時における基パラの初期値を新たな処理時の初期値として入力した場合のセットアップ時間をクラシフィケーション(格付け)或いは算出し、その結果を出力しても良い。
その結果、この機械学習により生成された学習モデルを用いることで、新たな処理時において、例えばセットアップ時間が最短となるような基パラの初期値を決定することができる。
これに対して、本実施形態の学習データには、少なくともイオン源系モジュールの状態パラメータのモニタ値が含まれているので、モジュールMの中でも状態が変化しやすいイオン源の前処理時の状態を考慮して機械学習を行うことができ、新たな処理時における初期値をより適切に決定することができる。
次に、本発明に係るイオンビーム照射装置の第2実施形態について説明する。
BC基パラモードとしては、例えば制御装置8の従来のセットアップシーケンスを挙げることができる。具体的には、レシピ受付部81がレシピを受け付けると、基パラ入力部82が、基パラの初期値として、例えばレシピに応じて予め記憶されている初期値や、受け付けたレシピと同じレシピの過去の処理時に用いられた初期値を選択して、その選択した初期値を各モジュールMに入力する。その後、基パラチューニング部83が、レシピ通りのイオンビームIBが生成されるように、入力された基パラの初期値を調整して、各モジュールMをセットアップする。
・受け付けたレシピと同じレシピの1又は複数回前の処理において、所定の実績値(例えば、イオンビームIBのビーム電流量、イオンビームIBのビーム角度、イオンビームIBのビーム電流密度など)が所定の数値範囲を超えている場合。
・受け付けたレシピと同じレシピの1又は複数回前の処理において、BC基パラモードによるセットアップが完了していない場合。
・受け付けたレシピと同じレシピの1又は複数回前の処理が、大気開放してから最初或いは所定の処理回数までに行われている場合。
一方、事前予知部86は、BC基パラモードにより各モジュールMのセットアップが完了しないと予測した場合は、基パラ入力部82をAI基パラモードにより動作させる。
これにより、セットアップシーケンスをこれまでのものから大きく変更することなく、AI基パラモードによるセットアップ動作を導入することができ、従来に比べてセットアップ時間のさらなる短縮化やセットアップ成功率のさらなる向上を図れる。
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
8 ・・・制御装置
81 ・・・レシピ受付部
82 ・・・基パラ入力部
83 ・・・基パラチューニング部
9 ・・・機械学習装置
91 ・・・学習データ格納部
92 ・・・機械学習部
93 ・・・アルゴリズム格納部
94 ・・・基パラ出力部
Claims (8)
- 処理条件を満たすイオンビームを複数のモジュールにより生成して被処理物に照射するイオンビーム照射装置であって、
新たな処理時の処理条件と、当該新たな処理の1つ前の処理における少なくとも1つの前記モジュールの状態を示すモニタ値とを少なくとも説明変数とした学習アルゴリズムを用いて、前記モジュールの前記新たな処理時における動作を制御する基本運転パラメータの初期値を出力する基本運転パラメータ出力部を備える、イオンビーム照射装置。 - 前記複数のモジュールに前記初期値が入力され、その初期値を調整して得られた調整値に基づいて前記各モジュールが動作する装置構成において、
過去の複数の処理から得られた学習データであって、各処理の処理条件と、各処理の前記初期値又は前記調整値の少なくとも一方と、各処理の1つ前の処理における少なくとも1つの前記モジュールの前記モニタ値と、各処理における所定の目的変数の実績値とが関連付けられたデータセットを複数組含む学習データを格納する学習データ格納部と、
前記学習データを用いた機械学習により、前記学習アルゴリズムを生成する機械学習部とを備える、請求項1記載のイオンビーム照射装置。 - 前記目的変数が、前記調整値が得られるまでのセットアップ時間、前記調整値が得られたか否かを示す指標値、前記イオンビームのビーム電流量、前記イオンビームのビーム角度、又は前記イオンビームのビーム電流密度である、請求項2記載のイオンビーム照射装置。
- 前記学習データには、少なくともイオン源系モジュールの前記モニタ値が含まれている、請求項2又は3記載のイオンビーム照射装置。
- 前記基本運転パラメータとして、前記イオン源を構成するプラズマチャンバに供給されるガス流量、又は、前記プラズマチャンバ内に磁場を生じさせるソースマグネットへの供給電流の少なくとも何れかが用いられている請求項4記載のイオンビーム照射装置。
- 前記処理条件及び所定のセットアップシーケンスに基づき前記基本運転パラメータの初期値を選択して前記モジュールに入力し、その初期値を調整することで前記モジュールをセットアップする制御装置を備えた構成において、
前記制御装置による前記モジュールのセットアップが完了しなかった場合に、そのことを示す異常信号を取得するリカバリ部をさらに備え、
前記リカバリ部が前記異常信号を取得した場合に、前記基本運転パラメータ出力部から出力された前記基本運転パラメータの初期値が前記モジュールに入力される請求項1乃至5のうち何れか一項に記載のイオンビーム照射装置。 - 前記処理条件及び所定のセットアップシーケンスに基づき前記基本運転パラメータの初期値を選択して前記モジュールに入力し、その初期値を調整することで前記モジュールをセットアップする制御装置を備えた構成において、
前記処理条件及び前記セットアップシーケンスに基づき選択された初期値を用いた場合に、前記モジュールのセットアップが完了するか否かを予測する事前予知部をさらに備え、
前記事前予知部により前記モジュールのセットアップが完了しないと予測された場合に、前記基本運転パラメータ出力部から出力された前記基本運転パラメータの初期値が前記モジュールに入力される請求項1乃至5のうち何れか一項に記載のイオンビーム照射装置。 - 処理条件を満たすイオンビームを複数のモジュールにより生成して被処理物に照射するイオンビーム照射装置に用いられるプログラムであって、
新たな処理時の処理条件と、当該新たな処理の1つ前の処理における少なくとも1つの前記モジュールの状態を示すモニタ値とを少なくとも説明変数とした学習アルゴリズムを用いて、前記モジュールの前記新たな処理時における動作を制御する基本運転パラメータの初期値を出力する基本運転パラメータ出力部としての機能をコンピュータに発揮させる、イオンビーム照射装置用プログラム。
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