JP7109048B2 - 酸化触媒、ハロゲン化芳香族化合物の酸化分解方法 - Google Patents

酸化触媒、ハロゲン化芳香族化合物の酸化分解方法 Download PDF

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Description

本発明は、酸化触媒およびそれを用いたハロゲン化芳香族化合物の酸化分解方法に関する。
ポリ塩化ビフェニル(PCB)は、溶け難く、沸点が高く、熱で分解し難く、不燃性であり、電気絶縁性が高い等、化学的に安定な性質を有することから、電気機器の絶縁油、熱交換器の熱媒体等の様々な用途で用いられてきた。その一方で、ポリ塩化ビフェニルは、極めて毒性が高い環境汚染物質の1つである。そのため、ポリ塩化ビフェニルの処理方法は非常に厳しく制限されている。また、ポリ塩化ビフェニルは、化学的に非常に安定な物質であるため、分解するには、触媒の存在下にて数百℃以上の高温に加熱したり(例えば、特許文献1参照)、高温のプラズマを用いたり(例えば、特許文献2参照)する必要があった。すなわち、従来のポリ塩化ビフェニルの処理方法は効率的ではなかった。また、前記のような過酷な条件でポリ塩化ビフェニルを分解すると主に二酸化炭素が生成する。二酸化炭素は、資源としての利用価値が低い上に、温室効果ガスであるため、前記のような過酷な条件でポリ塩化ビフェニルを分解することは合理的ではなかった。
また、ポリ塩化ビフェニルの水素化脱塩素反応では、トリエチルアミンを加えることにより、パラジウム炭素の触媒活性が向上することが知られている(例えば、非特許文献1参照)。また、t-クロロベンゼン、1,3,5-トリクロロベンゼンを、V/TiO触媒で酸化する方法が知られている(例えば、非特許文献2参照)。しかしながら、これらの方法を用いても、ハロゲン化芳香族化合物を効率的に分解して、利用価値が高い生成物を得ることは難しかった。
特開2015-23972号公報 特開2017-127869号公報
Hironao Sajiki,Akira Kume,Kazuyuki Hattori,Hisamistu Nagase,Kosaku Hirota、Tetrahedron Letters 43,2002,p7251-p7254. Jian Wang,Xue Wang,Xiaolong Liu,Tingyu Zhu,Yangyang Guo,Hao Qi,Catalysis Today 241,2015,p92-p99.
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、ハロゲン化芳香族化合物を効率的に分解することができ、かつ資源としての利用価値が高い生成物を得ることができる酸化触媒およびそれを用いたハロゲン化芳香族化合物の酸化分解方法を提供することを目的とする。
[1]ハロゲン化芳香族化合物を酸化分解する酸化触媒であって、下記式(1)で表わされるN-ヘテロ環状カルベン配位子を有するパラジウム(II)錯体からなる酸化触媒。
Figure 0007109048000001
(式中、R~R16は、水素原子、または、アルキル基、ハロゲノ基、ニトロ基、トリフルオロメチル基等、あらゆる置換基の導入が可能である。)
[2]ハロゲン化芳香族化合物を酸化分解する方法であって、前記[1]に記載の酸化触媒と犠牲酸化剤を含む水溶液に、ハロゲン化芳香族化合物を加え、それらの混合物を攪拌する工程を有するハロゲン化芳香族化合物の酸化分解方法。
[3]前記犠牲酸化剤は、硫酸水素カリウム、硫酸カリウムおよびペルオキシ一硫酸カリウムの複塩化合物である前記[2]に記載のハロゲン化芳香族化合物の酸化分解方法。
本発明によれば、ハロゲン化芳香族化合物を効率的に分解することができ、かつ資源としての利用価値が高い生成物を得ることができる酸化触媒およびそれを用いたハロゲン化芳香族化合物の酸化分解方法を提供することができる。
N-ヘテロ環状カルベン配位子を有するパラジウム(II)錯体のH-NMRチャートである。 HCOOHのH-NMRチャートである。 DCOOHのH-NMRチャートである。
本発明の酸化触媒およびそれを用いたハロゲン化芳香族化合物の酸化分解方法の実施の形態について説明する。
なお、本実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
[酸化触媒]
本実施形態の酸化触媒は、下記式(1)で表わされるN-ヘテロ環状カルベン配位子を有するパラジウム(II)錯体(以下、「パラジウム(II)錯体」と略すこともある。)からなる。
Figure 0007109048000002
(式中、R~R16は、水素原子、または、アルキル基、ハロゲノ基、ニトロ基、トリフルオロメチル基等、あらゆる置換基の導入が可能である。)
パラジウム(II)錯体としては、具体的には、下記式(2)で示すものが挙げられる。
Figure 0007109048000003
本実施形態の酸化触媒は、後述するハロゲン化芳香族化合物の酸化分解方法にて、ハロゲン化芳香族化合物の酸化分解反応の触媒として用いられる。
本実施形態の酸化触媒によれば、後述するハロゲン化芳香族化合物の酸化分解方法に適用することにより、ハロゲン化芳香族化合物を効率的に分解することができ、かつ資源としての利用価値が高い生成物を得ることができる。すなわち、本実施形態の酸化触媒によれば、後述するハロゲン化芳香族化合物の酸化分解方法において、酸化分解反応の温度を室温付近(20℃~30℃)とすることができる。したがって、ハロゲン化芳香族化合物の酸化分解を行うために大規模な設備が不要である。また、本実施形態の酸化触媒によれば、ハロゲン化芳香族化合物を酸化分解して、水素源となるギ酸を生成することができる。
[ハロゲン化芳香族化合物の酸化分解方法]
本実施形態のハロゲン化芳香族化合物の酸化分解方法は、ハロゲン化芳香族化合物を酸化分解する方法であって、本実施形態の酸化触媒と犠牲酸化剤を含む水溶液に、ハロゲン化芳香族化合物を加え、それらの混合物を攪拌する工程を有する。
本実施形態のハロゲン化芳香族化合物の酸化分解方法により酸化分解可能なハロゲン化芳香族化合物としては、o-ジクロロベンゼン、クロロベンゼン、4-クロロベンゼンスルホン酸ナトリウム、m-ジクロロベンゼン、p-ジクロロベンゼン、1,2,3-トリクロロベンゼン、1,2,4-トリクロロベンゼン、1,2,4,5-テトラクロロベンゼン、フルオロベンゼン、ブロモベンゼンおよびこれらの誘導体等が挙げられる。
上記の工程において、上記の混合物を攪拌する際の温度(酸化分解反応の温度)は、特に限定されないが、20℃~30℃であることが好ましい。
犠牲酸化剤は、硫酸水素カリウム(KHSO)、硫酸カリウム(KSO)およびペルオキシ一硫酸カリウム(KHSO)の複塩化合物(KHSO・KSO・2KHSO)であることが好ましい。
本実施形態のハロゲン化芳香族化合物の酸化分解方法によれば、本実施形態の酸化触媒と犠牲酸化剤を含む水溶液に、ハロゲン化芳香族化合物を加え、それらの混合物を攪拌することにより、ハロゲン化芳香族化合物を酸化分解して、水素源となるギ酸を生成することができる。また、本実施形態のハロゲン化芳香族化合物の酸化分解方法によれば、通常の空気中で実験操作が行われ、酸化分解反応の温度が室温付近(20℃~30℃)であるため、ハロゲン化芳香族化合物の酸化分解を行うために大規模な設備が不要となる。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[合成例]
「N-ヘテロ環状カルベン配位子を有するパラジウム(II)錯体の合成」
下記式(3)で表わされる公知の配位子前駆体であるイミダゾリウム塩を用意した。このイミダゾリウム塩は、例えば、X.Zhang et al.,J.Organomet.Chem.2009,694(15),2359-2367.に記載された方法により合成されたものである。
Figure 0007109048000004
遮光下、アセトニトリル溶媒中にて、このイミダゾリウム塩に対して、過剰量の酸化銀を添加し、これらの混合物を約2日間攪拌した。
その後、未反応の酸化銀を濾別し、得られた濾液に対して、ビスアセトニトリルパラジウム(II)をイミダゾリウム塩に対して1当量添加した。
その後、室温下、濾液を約10時間攪拌し、白色沈殿を含む黄色~橙色の溶液Aを得た。
次いで、白色沈殿を濾別した後、溶液Aの溶媒を減圧しながら加熱して除去することにより、下記式(4)で表わされる錯体を得た。
Figure 0007109048000005
水中にて、得られた錯体に対して2当量のトリフルオロメタンスルホン酸銀または硝酸銀を添加し、約60℃にて、これらの混合物を攪拌した。
攪拌を継続すると、塩化銀の白色沈殿が生じた。その白色沈殿を濾別し、得られた濾液(水溶液)に対して、大過剰量のヘキサフルオロリン酸カリウムまたは過塩素酸ナトリウムを添加して、白色固体を得た。
「NMR分析結果」
得られた白色固体を重水(DO)に溶解した溶液について、H-NMRスペクトル(核磁気共鳴スペクトル)を測定した。結果を図1に示す。
図1において、5.87ppmのピークは図1に示すパラジウム(II)錯体の(3)の位置の4Hに由来する。また、図1において、7.54ppm-7.56ppmのピークは図1に示すパラジウム(II)錯体の(1)の位置の2Hに由来する。また、図1において、7.67ppm-7.71ppmのピークは図1に示すパラジウム(II)錯体の(6)の位置の2Hに由来する。また、図1において、7.85ppm-7.88ppmのピークは図1に示すパラジウム(II)錯体の(2)の位置の2Hに由来する。また、図1において、7.96ppm-7.98ppmのピークは図1に示すパラジウム(II)錯体の(4)の位置の2Hに由来する。また、図1において、8.19ppm-8.23ppmのピークは図1に示すパラジウム(II)錯体の(5)の位置の2Hに由来する。また、図1において、8.98ppm-8.99ppmのピークは図1に示すパラジウム(II)錯体の(7)の位置の2Hに由来する。
以上の測定結果から、得られた白色固体は、上記式(2)で表わされるパラジウム(II)錯体であることが確認された。
[実施例1]
「ハロゲン化芳香族化合物の酸化分解」
生成物のH-NMRスペクトル測定を行うために、溶媒としては、重水を用いた。
生成物を定量するために、内部標準物質として、4,4-ジメチル-4-シラペンタン-1-スルホン酸ナトリウム(Sodium 4,4-dimethyl-4-silapentane-1-sulfonate、DSS)を溶解させた重水溶液(以下、「定量溶液」と言う。)を調製した。
生成物のH-NMRスペクトル測定を行う直前に、ハロゲン化芳香族化合物の酸化分解反応液400μLと定量溶液400μLとを混合し、この混合液を測定用溶液とする。このような測定用溶液を用いる理由は、内部標準物質が、犠牲酸化剤である、硫酸水素カリウム(KHSO)、硫酸カリウム(KSO)およびペルオキシ一硫酸カリウム(KHSO)の複塩化合物(KHSO・KSO・2KHSO、商品名:Oxone(登録商標)、デュポン社製)によって分解されることを防ぐためである。
また、反応容器を一定温度に保持するために、恒温装置によって25℃に調整した水浴を用意した。
反応容器としては、サンプル管瓶No.3を用いた。
磁気攪拌子を収容したサンプル管瓶No.3に、Oxone(登録商標)61.47mgを量り取り、さらに、重水(1000-x)μLを加え、犠牲酸化剤含有溶液を調製した。なお、xは、後述するパラジウム(II)錯体を含む水溶液(以下、「パラジウム錯体水溶液」と言う。)の体積(μL)を示す。
別途、次に示すようにパラジウム錯体水溶液を調製した。
反応容器として用いるサンプル管瓶とは異なるサンプル管瓶に、パラジウム(II)錯体を約1mg量り取り、さらに、重水を1mL加えて、重水にパラジウム(II)錯体を溶解させ、無色のパラジウム錯体水溶液を得た。
得られたパラジウム錯体水溶液xμLを、サンプル管瓶No.3内の犠牲酸化剤含有溶液に添加した。パラジウム錯体水溶液と犠牲酸化剤含有溶液の混合溶液におけるパラジウム(II)錯体の濃度は0.1mmol/L、Oxone(登録商標)の濃度は0.1mol/Lであった。
その後、直ちに、サンプル管瓶No.3内の混合溶液に、ハロゲン化芳香族化合物であるo-ジクロロベンゼン1mLを添加し、サンプル管瓶No.3の蓋を閉めた。
次いで、水浴中に蓋を閉めたサンプル管瓶No.3を浸漬し、遮光下、空気下にて、磁気攪拌子により、サンプル管瓶No.3内の混合溶液とo-ジクロロベンゼンの混合物を、25℃にて24時間、攪拌した。
攪拌終了後、上述の通り、o-ジクロロベンゼンの酸化分解反応液400μLと定量溶液400μLとを混合して測定用溶液を調製し、この測定用溶液を用いて生成物のH-NMRスペクトル測定を行った。結果を図2に示す。
図2の結果から、8.3ppm付近にギ酸のホルミル基のプロトン由来のピークが観測された。
また、o-ジクロロベンゼン-Dの酸化分解反応液1mLを、重水の代わりに水を溶媒として調製し、この測定用溶液を用いて生成物のH-NMRスペクトル測定を行った。結果を図3に示す。
図3の結果から、8.3ppm付近にギ酸のホルミル基の重水素由来のピークが観測された。
したがって、o-ジクロロベンゼンの酸化分解によって、ギ酸が得られていることが確認された。
また、内部標準物質であるDSSを基準として、H-NMRスペクトル測定において内部標準物質中のメチル基と、生成物のNMRシグナルの積分比により定量した結果、ハロゲン化芳香族化合物がo-ジクロロベンゼンである場合、触媒回転数(Turnover Number、TON)が46であった。結果を表1に示す。
なお、触媒回転数とは、触媒であるパラジウム(II)錯体1分子が行う物質変換量のことである。
さらに、次のようにして酸化剤効率を測定したところ、酸化剤効率は3.4%であった。結果を表1に示す。
酸化剤効率は、生成物であるギ酸の濃度に3を掛けた値を、酸化剤として用いたOxone(登録商標)の濃度に4を掛けた値で割り、100倍して算出した。
なお、酸化剤効率とは、生成物の物質量に、原料から生成物へと変換するのに必要な電子数を掛け、酸化剤の濃度で割り、100倍した値である。
[実施例2]
ハロゲン化芳香族化合物をクロロベンゼンとしたこと以外は実施例1と同様にして、ハロゲン化芳香族化合物を酸化分解した。
また、実施例1と同様にして、生成物のH-NMRスペクトル測定を行った。その結果、生成物としてギ酸が得られていることが確認された。
また、実施例1と同様にして、触媒回転数と酸化剤効率を測定した。結果を表1に示す。
[実施例3]
ハロゲン化芳香族化合物を4-クロロベンゼンスルホン酸ナトリウムとしたこと以外は実施例1と同様にして、ハロゲン化芳香族化合物を酸化分解した。
また、実施例1と同様にして、生成物のH-NMRスペクトル測定を行った。その結果、生成物としてギ酸が得られていることが確認された。
また、実施例1と同様にして、触媒回転数と酸化剤効率を測定した。結果を表1に示す。
[実施例4]
ハロゲン化芳香族化合物をm-ジクロロベンゼンとしたこと以外は実施例1と同様にして、ハロゲン化芳香族化合物を酸化分解した。
また、実施例1と同様にして、生成物のH-NMRスペクトル測定を行った。その結果、生成物としてギ酸が得られていることが確認された。
また、実施例1と同様にして、触媒回転数と酸化剤効率を測定した。結果を表1に示す。
[実施例5]
ハロゲン化芳香族化合物をp-ジクロロベンゼンとしたこと以外は実施例1と同様にして、ハロゲン化芳香族化合物を酸化分解した。
また、実施例1と同様にして、生成物のH-NMRスペクトル測定を行った。その結果、生成物としてギ酸が得られていることが確認された。
また、実施例1と同様にして、触媒回転数と酸化剤効率を測定した。結果を表1に示す。
[実施例6]
ハロゲン化芳香族化合物を1,2,3-トリクロロベンゼンとしたこと以外は実施例1と同様にして、ハロゲン化芳香族化合物を酸化分解した。
また、実施例1と同様にして、生成物のH-NMRスペクトル測定を行った。その結果、生成物としてギ酸が得られていることが確認された。
また、実施例1と同様にして、触媒回転数と酸化剤効率を測定した。結果を表1に示す。
[実施例7]
ハロゲン化芳香族化合物を1,2,4-トリクロロベンゼンとしたこと以外は実施例1と同様にして、ハロゲン化芳香族化合物を酸化分解した。
また、実施例1と同様にして、生成物のH-NMRスペクトル測定を行った。その結果、生成物としてギ酸が得られていることが確認された。
また、実施例1と同様にして、触媒回転数と酸化剤効率を測定した。結果を表1に示す。
[実施例8]
ハロゲン化芳香族化合物を1,2,4,5-テトラクロロベンゼンとしたこと以外は実施例1と同様にして、ハロゲン化芳香族化合物を酸化分解した。
また、実施例1と同様にして、生成物のH-NMRスペクトル測定を行った。その結果、生成物としてギ酸が得られていることが確認された。
また、実施例1と同様にして、触媒回転数と酸化剤効率を測定した。結果を表1に示す。
[実施例9]
犠牲酸化剤としてペルオキソ二硫酸ナトリウムを用いたこと以外は実施例1と同様にして、ハロゲン化芳香族化合物を酸化分解した
また、実施例1と同様にして、生成物のH-NMRスペクトル測定を行った。その結果、生成物としてギ酸が得られていることが確認された。
また、実施例1と同様にして、触媒回転数と酸化剤効率を測定した。結果を表1に示す。
[実施例10]
ハロゲン化芳香族化合物をフルオロベンゼンとしたこと以外は実施例1と同様にして、ハロゲン化芳香族化合物を酸化分解した。
また、実施例1と同様にして、生成物のH-NMRスペクトル測定を行った。その結果、生成物としてギ酸が得られていることが確認された。
また、実施例1と同様にして、触媒回転数と酸化剤効率を測定した。結果を表1に示す。
[実施例11]
ハロゲン化芳香族化合物をブロモベンゼンとしたこと以外は実施例1と同様にして、ハロゲン化芳香族化合物を酸化分解した。
また、実施例1と同様にして、生成物のH-NMRスペクトル測定を行った。その結果、生成物としてギ酸が得られていることが確認された。
また、実施例1と同様にして、触媒回転数と酸化剤効率を測定した。結果を表1に示す。
[実施例12]
芳香族化合物をベンゼンとしたこと以外は実施例1と同様にして、ハロゲン化芳香族化合物を酸化分解した。
また、実施例1と同様にして、生成物のH-NMRスペクトル測定を行った。その結果、生成物としてギ酸が得られていることが確認された。
また、実施例1と同様にして、触媒回転数と酸化剤効率を測定した。結果を表1に示す。
[比較例1]
パラジウム(II)錯体を用いなかったこと以外は実施例1と同様にして、ハロゲン化芳香族化合物を酸化分解した。
また、実施例1と同様にして、生成物のH-NMRスペクトル測定を行った。その結果、生成物としてギ酸が得られていることが確認された。
また、実施例1と同様にして、酸化剤効率を測定した。結果を表1に示す。
[比較例2]
パラジウム(II)錯体を用いなかったこと以外は実施例2と同様にして、ハロゲン化芳香族化合物を酸化分解した。
また、実施例1と同様にして、生成物のH-NMRスペクトル測定を行った。その結果、生成物としてギ酸が得られていることが確認された。
また、実施例1と同様にして、酸化剤効率を測定した。結果を表1に示す。
[比較例3]
パラジウム(II)錯体を用いなかったこと以外は実施例3と同様にして、ハロゲン化芳香族化合物を酸化分解した。
また、実施例1と同様にして、生成物のH-NMRスペクトル測定を行った。その結果、生成物としてギ酸が得られていないことが確認された。
また、実施例1と同様にして、酸化剤効率を測定した。結果を表1に示す。
[比較例4]
パラジウム(II)錯体を用いなかったこと以外は実施例4と同様にして、ハロゲン化芳香族化合物を酸化分解した。
また、実施例1と同様にして、生成物のH-NMRスペクトル測定を行った。その結果、生成物としてギ酸が得られていることが確認された。
また、実施例1と同様にして、酸化剤効率を測定した。結果を表1に示す。
[比較例5]
パラジウム(II)錯体を用いなかったこと以外は実施例5と同様にして、ハロゲン化芳香族化合物を酸化分解した。
また、実施例1と同様にして、生成物のH-NMRスペクトル測定を行った。その結果、生成物としてギ酸が得られていることが確認された。
また、実施例1と同様にして、酸化剤効率を測定した。結果を表1に示す。
[比較例6]
パラジウム(II)錯体を用いなかったこと以外は実施例6と同様にして、ハロゲン化芳香族化合物を酸化分解した。
また、実施例1と同様にして、生成物のH-NMRスペクトル測定を行った。その結果、生成物としてギ酸が得られていることが確認された。
また、実施例1と同様にして、酸化剤効率を測定した。結果を表1に示す。
[比較例7]
パラジウム(II)錯体を用いなかったこと以外は実施例7と同様にして、ハロゲン化芳香族化合物を酸化分解した。
また、実施例1と同様にして、生成物のH-NMRスペクトル測定を行った。その結果、生成物としてギ酸が得られていることが確認された。
また、実施例1と同様にして、酸化剤効率を測定した。結果を表1に示す。
[比較例8]
パラジウム(II)錯体を用いなかったこと以外は実施例8と同様にして、ハロゲン化芳香族化合物を酸化分解した。
また、実施例1と同様にして、生成物のH-NMRスペクトル測定を行った。その結果、生成物としてギ酸が得られていることが確認された。
また、実施例1と同様にして、酸化剤効率を測定した。結果を表1に示す。
[比較例9]
犠牲酸化剤としてペルオキソ二硫酸ナトリウムを用いたこと以外は実施例9と同様にして、ハロゲン化芳香族化合物を酸化分解した。
また、実施例1と同様にして、生成物のH-NMRスペクトル測定を行った。その結果、生成物としてギ酸が得られていることが確認された。
また、実施例1と同様にして、酸化剤効率を測定した。結果を表1に示す。
[比較例10]
パラジウム(II)錯体を用いなかったこと以外は実施例1と同様にして、ハロゲン化芳香族化合物を酸化分解した。
また、実施例1と同様にして、生成物のH-NMRスペクトル測定を行った。その結果、生成物としてギ酸は観測されないことが確認された。
また、実施例1と同様にして、酸化剤効率を測定した。結果を表1に示す。
[比較例11]
パラジウム(II)錯体を用いなかったこと以外は実施例1と同様にして、ハロゲン化芳香族化合物を酸化分解した。
また、実施例1と同様にして、生成物のH-NMRスペクトル測定を行った。その結果、生成物としてギ酸は観測されないことが確認された。
また、実施例1と同様にして、酸化剤効率を測定した。結果を表1に示す。
[比較例12]
パラジウム(II)錯体を用いなかったこと以外は実施例1と同様にして、芳香族化合物を酸化分解した。
また、実施例1と同様にして、生成物のH-NMRスペクトル測定を行った。その結果、生成物としてギ酸は観測されないことが確認された。
また、実施例1と同様にして、酸化剤効率を測定した。結果を表1に示す。
Figure 0007109048000006
表1に示した結果から、実施例1~実施例11における酸化分解反応は、ハロゲン化芳香族化合物に特異的に反応が進行することが示唆された。また、実施例12における酸化分解反応は、比較例11における酸化分解反応と比較すると、ベンゼンにおいても進行することが示唆された。また、クロロ基の数が増えるに従って、パラジウム(II)錯体を用いた酸化分解反応は進行し難くなることが分かった。
一方、比較例1~比較例11でも、生成物としてギ酸が得られているものの、実施例1~実施例11と比較すると、パラジウム(II)錯体を用いている実施例1~実施例11の方が、3倍~68倍ほど効率がよくなっていることが確認された。
本発明のハロゲン化芳香族化合物の酸化分解方法は、廃棄できずに貯蔵されているポリ塩化ビフェニルやダイオキシン類が分散された溶液中に、上記式(1)で表わされるN-ヘテロ環状カルベン配位子を有するパラジウム(II)錯体からなる、本発明の酸化触媒と犠牲酸化剤を溶解させ、それらの混合物を、室温で攪拌することにより、極めて有害な廃棄物を無害化し、水素貯蔵物質として有用なギ酸の溶液を得ることができる。従って、本発明の酸化触媒およびそれを用いたハロゲン化芳香族化合物の酸化分解方法は、ハロゲン化芳香族化合物の酸化分解を効率的かつ合理的に行うために大きく貢献することができる。

Claims (3)

  1. ハロゲン化芳香族化合物を酸化分解する酸化触媒であって
    下記式(1)で表わされるN-ヘテロ環状カルベン配位子を有するパラジウム(II)錯体からなることを特徴とする酸化触媒。
    Figure 0007109048000007
    (式中、R~R16は、水素原子、または、アルキル基、ハロゲノ基、ニトロ基、トリフルオロメチル基等、あらゆる置換基の導入が可能である。)
  2. ハロゲン化芳香族化合物を酸化分解する方法であって、
    請求項1に記載の酸化触媒と犠牲酸化剤を含む水溶液に、ハロゲン化芳香族化合物を加え、それらの混合物を攪拌する工程を有することを特徴とするハロゲン化芳香族化合物の酸化分解方法。
  3. 前記犠牲酸化剤は、硫酸水素カリウム、硫酸カリウムおよびペルオキシ一硫酸カリウムの複塩化合物であることを特徴とする請求項2に記載のハロゲン化芳香族化合物の酸化分解方法。
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