JP7108129B2 - センサ挿入装置 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、持続血糖測定を行うためのセンサユニットを人体に挿入するためのセンサ挿入装置に関するものである。
従来、この種のセンサ挿入装置の使用に際しては、まず、滅菌状態で管理されているセンサユニットが、センサ挿入装置のセンサベースに取り付けられる。その後、センサ挿入装置が人体側に押し下げられる。これにより、センサベースが人体に装着されると共にセンサユニットが人体に挿入される(例えば、特許文献1参照)。
特表2015-509011号公報
上記従来例において、センサベースは下ケースに保持されており、センサ挿入装置の押し下げは、この下ケースに上方から被せられた上ケースが押し下げられることで行われる。
しかし、上ケースが押し下げられても、上ケースの下方には、押し下げる前と同様に、下ケースの下部が露出しているため、使用者は、センサ挿入装置がすでに使用されたものであるか否かを判断できず、再び、この使用済みのセンサ挿入装置を用いてセンサベースを装着しようと試みるおそれがある。ところが、使用済みのセンサ挿入装置では、新しいセンサユニットをセンサベースに取り付けることができず、その間、センサユニットが長時間放置されると、センサユニットの滅菌対策が無駄になって、測定の信頼性が低下してしまう。このように従来例では、センサ挿入装置が使用済みであるか否かの判定がしにくいので、極めて使い勝手の悪いものであった。
そこで本発明は、使い勝手を良くすることを目的とするものである。
本発明の一形態に係るセンサ挿入装置は、上端に上開口部および下端に下開口部を有する筒形状に形成された下ケースと、下端に開口部を有して上面で閉じられた筒形状に形成され、下ケースの外周に、上方から下動自在に被せられた上ケースと、下ケースの内部に配置され、センサユニットを有するセンサベースを保持するベースホルダと、下ケースの内部にてベースホルダの上方に配置された針ホルダと、下ケースあるいは上ケースの少なくとも一方の内部にて、針ホルダの上方に配置された針ホルダ上昇機構と、を備える。上ケースが押し下げられると、ベースホルダおよび針ホルダが下ケースの下開口部に向けて移動する。その後、針ホルダが針ホルダ上昇機構によって上昇する。上ケースの内周面あるいは下ケースの外周面の少なくとも一方に、保持機構が設けられている。保持機構は、上ケースの開口部が皮膚に当接するまで上ケースが押し下げられた状態で、上ケースを下ケースに保持するように構成されている。
本発明の他の形態に係るセンサ挿入装置は、上下両端が開放された筒形状に形成された下ケースと、下端に開口部を有した筒形状に形成され、下ケースの外周に上方から被せられた上ケースと、上ケースを下ケースに対して所定の上部位置で保持し、下ケースを上ケースから露出させる上部位置保持部と、センサユニットを有するセンサベースを予め保持して下ケースの内部に配置され、上ケースが下ケースに対して上部位置から押し下げられるとセンサベースを解放するベースホルダと、上ケースの開口部が下ケースの下開口部とほぼ同一位置になるまで上ケースが押し下げられた状態で、上ケースを下ケースに保持する保持機構と、を備える。
本発明においては、センサユニットを有するセンサベースがベースホルダに保持されているので、センサベースにセンサユニットを取り付ける作業が不要となる。上ケースが押し下げられることで、センサベースが皮膚に装着され、センサユニットが人体に挿入される。上ケースの開口部が皮膚に当接するまで押し下げられると、上ケースの開口部が下ケースの下開口部とほぼ同一位置となり、この状態が保持機構により保持される。使用が完了したことを一目瞭然で判断できる。このため、これを再び使用しようとする試みも行われず、極めて作業性の良いものとなる。
実施形態に係るセンサ挿入装置の使用前の状態を示す斜視図。 図1にセンサ挿入装置からキャップを取り外した状態で示すセンサ挿入装置の斜視図。 図2のセンサ挿入装置の使用状態を示す斜視図。 図2のセンサ挿入装置で使用される生体情報測定装置の斜視図。 図2のセンサ挿入装置の分解斜視図。 図2のセンサ挿入装置の断面図。 図2のセンサ挿入装置の下ケースの斜視図。 図2のセンサ挿入装置の下ケースの平面図。 図2のセンサ挿入装置のベースホルダの斜視図。 図2のセンサ挿入装置のベースホルダの平面図。 図2のセンサ挿入装置のベースホルダを下ケースに装着した状態を示す平面図。 図11の状態を説明する主要部の斜視図。 図11の状態を説明する主要部の断面図。 図2のセンサ挿入装置のベースホルダにセンサベースを保持した状態と、針ホルダとを示す斜視図。 図14のベースホルダおよびセンサベースを下方から見た下面図。 図14の針ホルダをベースホルダに装着した状態を示す斜視図。 図16の状態を下方から見た下面図。 図2のセンサ挿入装置の下ケースと上ケースを示す分解斜視図。 図2のセンサ挿入装置の動作状態を示す断面図。 図2のセンサ挿入装置の動作状態を示す断面図。 図2のセンサ挿入装置の動作状態を示す断面図。 図2のセンサ挿入装置の動作状態を示す断面図。 図2のセンサ挿入装置の使用済の状態を示す斜視図。 図2のセンサ挿入装置の下ケースと上ケースの関係を示す断面図。 図2のセンサ挿入装置の下ケースと上ケースの関係を示す断面図。 図2のセンサ挿入装置の保持機構の一例を示す断面図。 図26の状態を説明するための下ケースの斜視図。 図2のセンサ挿入装置のガイド針を示す斜視図。 図2のセンサ挿入装置のガイド針を示す正面図。 図2のセンサ挿入装置のガイド針を示す斜視図。 図2のセンサ挿入装置のガイド針を装着する手順を示す斜視図。 図2のセンサ挿入装置のガイド針を装着する手順を示す斜視図。 図2のセンサ挿入装置のガイド針を装着する手順を示す斜視図。 図2のセンサ挿入装置のガイド針を装着する手順を示す斜視図。 図2のセンサ挿入装置のセンサベースを示す平面図。 図2のセンサ挿入装置のセンサベースを示す断面図。 図2のセンサ挿入装置のセンサベースを示す拡大断面図。 図2のセンサ挿入装置のセンサベースを示す一部切欠側面図。 図2のセンサ挿入装置のセンサベースおよびベースホルダおよび針ホルダを示す断面図。 図2のセンサ挿入装置の針ホルダの一部拡大断面図。 図2のセンサ挿入装置のガイド針を示す平面図。 図2のセンサ挿入装置のガイド針の下端部分を示す拡大平面図。 図42のA-A線断面図。 図2のセンサ挿入装置のガイド針の下端部分を示す拡大正面図。 図2のセンサ挿入装置のガイド針を示す平面図。 図45のB-B線断面図。 図2のセンサ挿入装置のガイド針を示す斜視図。 図2のセンサ挿入装置のガイド針を示す斜視図。 図2のセンサ挿入装置のガイド針を示す斜視図。
以下、実施形態について添付図面を用いて説明する。全図を通じて同一のまたは対応する要素には同一の参照符号を付し、説明の重複を省略する。なお、実施形態に係るセンサ挿入装置は、一例として、概略円筒状に形成されている。「内外方向」は、センサ挿入装置の半径方向と対応し、「内周側」は半径方向において中心に近づく側、「外周側」は半径方向において中心から遠ざかる側である。「上下方向」は、センサ挿入装置の軸方向と対応し、「下方」は、センサ挿入装置の使用時に人体に向けられる方向である。
図1および図2は、実施形態に係るセンサ挿入装置1を示す斜視図である。図2に示すように、センサ挿入装置1は、上ケース2および下ケース7を備えている。図1に示すように、使用前の状態では、キャップ3が上ケース2に下方から取外し可能に結合され、下ケース7がキャップ3で覆われる。上ケース2とキャップ3との結合部には、パッキング(図示せず)が設けられる。これにより、上ケース2およびキャップ3の内部が密封され、当該内部を滅菌状態に保つことができる。
図2および図3に示すように、センサ挿入装置1の使用に際し、使用者は、キャップ3を上ケース2から取り外して下ケース7を露出させ、センサ挿入装置1を人体4に押し付け、上ケース2を下ケース7に対して下動させる。図4も参照すると、この押付けにより、センサベース5が、下ケース7から取り外され、人体4に装着される。センサベース5は、センサベース5から下方に延びる針状のセンサユニット6を有している。センサベース5の人体4への装着時には、センサユニット6が人体4内に挿入される。トランスミッタ8は、センサベース5の人体4への装着後にセンサベース5に装着される。トランスミッタ8は、センサベース5およびセンサユニット6と共に生体情報測定装置を構成するが、下ケース7内に収納されていない。
図5は、センサ挿入装置1の分解斜視図、図6は、使用前の状態におけるセンサ挿入装置1の断面図である。図5および図6に示すように、センサ挿入装置1は、前述した上ケース2、下ケース7およびセンサベース5の他、ベースホルダ12、針ホルダ13、および針ホルダ上昇機構14を備えている。
下ケース7は、上端に上開口部9および下端に下開口部10を有する筒形状に形成されている。上ケース2は、下端に開口部11を有して上面が閉じられた筒形状に形成されている。上ケース2は、上方から下ケース7の外周に被せられ、下ケース7に対して下動可能になっている。上ケース2と下ケース7とは同軸状に配される。
ベースホルダ12および針ホルダ13は、下ケース7の内部に配置されている。ベースホルダ12および針ホルダ13は、上ケース2の下ケース7に対する下動に伴って下ケース7内で下動する下動体を構成する。針ホルダ上昇機構14は、下ケース7あるいは上ケース2の少なくとも一方の内部に配置されている。図示例では、針ホルダ上昇機構14が両ケース2,7の内部に配置されているが、これは単なる一例である。針ホルダ13は、ベースホルダ12の上方に配置され、針ホルダ上昇機構14は、針ホルダ13の上方に配置されている。
図7および図8は下ケース7を示す。図5~図8に示すように、下ケース7は、その内周面で上下方向に延びる1以上の溝20を有している。更に、溝22が各溝20内に形成されている。溝20,22は、下ケース7の上開口部9から下方に延びている。下ケース7は、下ケース7の上開口部9から下方に延びる1以上のスリット27を有している。なお、本実施形態では、複数のスリット27が周方向に等間隔をおいて配置され、複数の溝20が周方向に等間隔をおいて配置されている。複数の溝20のうちの1つが、下ケース7の内周面のうち、周方向に隣接したスリット27の間の部分に形成されている。複数のスリット27のうちの1つが、周方向に隣接した溝20の間に形成されている。
図9および図10はベースホルダ12を示す。ベースホルダ12は、天板15、複数の垂下片16、複数の係合片17、複数の保持レバー18、複数の突起19および複数の突起21を有している。天板15は、一例として、円環状に形成されている。複数の垂下片16は、天板15の外周部に周方向に等間隔をおいて配置されている。各垂下片16は、天板15の外周部から下方に延びている。複数の係合片17および複数の保持レバー18は、複数の垂下片16それぞれに設けられている。各係合片17は、対応する垂下片16の下端から外方に延びた後に、上方に立ち上がっている。各保持レバー18は、対応する垂下片16の側辺から周方向に延びている。各保持レバー18は、一端部においてベースホルダ12に固定され、他端部において内外方向に変位自在となっている。複数の突起19は、複数の保持レバー18それぞれに設けられている。各突起19は、対応する保持レバー18の内周面(特に、変位自在の他端部)に設けられている。複数の突起21は、複数の係合片17それぞれに設けられている。各突起21は、対応する係合片17の上部から外方に突出する。
図11~図13はベースホルダ12を下ケース7に装着した状態を示す。ベースホルダ12の下ケース7への装着に際しては、ベースホルダ12が、上開口部9から下ケース7内に挿入される。係合片17が溝20に係合され、突起21が溝22に係合される。ベースホルダ12は、溝20,22に案内されて下ケース7内で下動する。溝22の下端は、溝20の下端よりも上方に位置する。このため、突起21が溝22の下端に当接すると、下ケース7の下動が停止する。装着時すなわち使用前の状態において、ベースホルダ12は、下ケース7の長手方向の中間部に設定された待機位置で、下ケース7内に一時的に保持される。
図14および図15は、センサベース5と組み付けられた状態におけるベースホルダ12を示す。図6、図14および図15に示すように、センサベース5は、ベースホルダ12内へ下方から押し込まれる。天板15は、センサベース5の上方に位置付けられ、垂下片16および保持レバー18は、センサベース5の外周に位置付けられる。センサベース5の外周部には、凹部5aが設けられている(図4も参照)。突起19が凹部5aに係合することで、センサベース5はベースホルダ12内に保持される。このように、ベースホルダ12が下ケース7に装着される時点で、センサベース5は、ベースホルダ12に予め保持され、下ケース7に予め収納される。センサ挿入装置1を実際に使用する段階で、センサベース5をセンサ挿入装置1に取り付ける作業が発生しない。
図5、図6および図14に示すように、針ホルダ13は、天板23、複数の立ち上がり片24、複数の突起25、および複数の抑制壁26を有している。天板23は、一例として、概略円板状に形成されている。複数の立ち上がり片24は、天板23の外周部に周方向に等間隔をおいて配置されている。各立ち上がり片24は、天板23から上方へ延びている。複数の突起25は、複数の立ち上がり片24それぞれに設けられている。各突起25は、対応する立ち上がり片24の上部から外方へ突出している。複数の抑制壁26は、天板23から下方に垂下している。
針ホルダ13の下ケース7への装着に際しては、針ホルダ13が上開口部9から下ケース7内に挿入される。複数の突起25が複数のスリット27に係合される。針ホルダ13は、スリット27に案内されて下ケース7内で下動する。針ホルダ13がベースホルダ12の上面に当接しており且つベースホルダ12の突起21が溝22の下端に当接すると、針ホルダ13の下動も停止する。これにより、針ホルダ13は、ベースホルダ12上に装着され、ベースホルダ12と共に下ケース7内で一時的に保持される。突起21および溝22は、装着時すなわち使用前の状態において、ベースホルダ12および針ホルダ13を待機位置に保持する待機位置設定部を構成している。なお、針ホルダ13が待機位置に保持されているとき、突起25はスリット27の上部内に位置する。
図16および図17は、針ホルダ13がベースホルダ12上に装着された状態を示す。図16および図17に示すように、針ホルダ13がベースホルダ12上に装着されると、抑制壁26が保持レバー18の外周に配置され、保持レバー18が外方に変位できなくなる。その結果として、突起19が、センサベース5の凹部5aに係合された状態で保持される。よって、センサベース5が、下方に不用意に落下することを抑止できる。
針ホルダ13は、ガイド針28を保持している。使用前の状態において、ガイド針28は、針ホルダ13から下方に延び、ベースホルダ12およびセンサベース5に挿通され、センサユニット6を内包する。なお、ガイド針28の形状や、ガイド針28がセンサユニット6を内包するための構造については、図27以降を参照して後述する。
図5および図6に示すように、針ホルダ13は、天板23に形成された開口部29を有している。針ホルダ13は、開口部29と隣接する位置で、天板23から上方に立ち上げられたラック30を有している。ラック30はピニオン32と噛合している。ピニオン32は、下ケース7に回転可能に支持された回転軸31上に設けられている。回転軸31は、下ケース7内で水平に向けられ、針ホルダ13(の天板23)よりも上方に配置されている。
図18は、上ケース2および下ケース7の分解斜視図である。図5、図6および図18に示すように、上ケース2は、上面を形成する天板33を有する。上ケース2は、天板33の下面から下方へ延びて上ケース2内に配置されるラック34を有する。針ホルダ上昇機構14は、これらラック30,34およびピニオン32によって構成されている。ラック30およびラック34は、ピニオン32を介し、回転軸31の半径方向に互いに対向するように配置される(図19~図22も参照)。上ケース2が下ケース7に組み付けられた状態において、ラック34は平面視において開口部29と重なるように位置付けられる(図19を参照)。
図18に示すように、上ケース2は、複数の係合部35および突起39を有している。複数の係合部35は、上ケース2の内周面の下部に設けられており、周方向に等間隔をおいて配置されている。本実施形態では、各係合部35は、開口部11から上ケース2の内周面で上方に延びる溝によって構成されている。2つの突起39が、開口部11付近の内周面上で上下に並ぶように設けられている。凹部が2つの突起39の間に形成される。他方、下ケース7は、外周面上に設けられた突起38を有している。突起38は、下ケース7の上部でスリット27の間に設けられている。下ケース7の周壁のうち突起38が配置された部位は、内外方向に撓むことができる。なお、スリット27は、開口部11から下方へ延び、下ケース7の長手方向中間部で終端している。スリット27の下端よりも上方の部分は撓むことができる一方、スリット27の下端よりも下方の部分は撓みにくい。
上ケース2は、ベースホルダ12および針ホルダ13が待機状態に保持されている状態で、下ケース7に装着される。まず、針ホルダ13の突起25が係合部35に係合される。開口部11が上開口部9に被せられて上ケース2が押し込まれると、2つの突起39のうち下側のものが突起38に当接し、楔作用で下ケース7の周壁が内方へ撓む。2つの突起39のうち下側のものが突起38を乗り越えて下方へ移動すると、下ケース7の周壁が復元し、突起38が2つの突起39の間の凹部に係止される(図24を参照)。これにより、上ケース2の下ケース7への装着が完了し、上ケース2が規定の上部位置に保持される。突起38は、上ケース2を上部位置に保持する上部位置設定部を構成する。2つの突起39は、上ケース2が上部位置に保持された状態で、突起38の上方部位および下方部位それぞれから内周方向に突出するようにして設けられている。
図19~図22は、センサ挿入装置1の使用時の動作を示す。図23は、使用済のセンサ挿入装置1の斜視図である。図24および図25は、上ケース2と下ケース7を抜粋して示し、図24は図19と対応し、図25は図21と対応する。
図19および図24に示すように、センサ挿入装置1の使用に際し、下ケース7の下開口部10が人体4の皮膚に当接される。このとき、ベースホルダ12および針ホルダ13は、待機位置で保持されており、ガイド針28は、皮膚から上方に離れて、両ケース2,7の内部に収納されている。
次に、上ケース2が下ケース7に対して押し下げられる。針ホルダ13の突起25は、スリット27を通って上ケース2の係合部35と係合している。より詳細には、突起25は、溝状の係合部35の上端と当接される。そのため、上ケース2を押し下げると、突起25が上ケース2により下方へ押され、押下力が針ホルダ13を介してベースホルダ12に伝わる。押下力が十分に大きいと、楔作用で上部位置設定部による上ケース2の保持が解かれ、かつ、待機位置設定部による待機状態の保持が解かれる。
図20に示すように、上ケース2は下ケース7に対して上部位置から下動し、ベースホルダ12および針ホルダ13は上ケース2に押されて待機位置から下動する。突起25がスリット27内で下方へ摺動し、針ホルダ13の下動がスリット27により案内される。このとき、ラック30がピニオン32に対して下動し、ピニオン32および回転軸31が一方向(図19の反時計回り方向)に回転する。また、係合片17が溝20内で下方へ摺動し、ベースホルダ12の下動が溝20により案内される。溝20は、スリット27よりも下ケース7の下方側へ延長されている。このため、ベースホルダ12は、下ケース7の開口部10まで移動できる。
下ケース7は、複数の係合部37を有している。各係合部37は、対応する溝20の下端部に凹状に設けられている。ベースホルダ12が下開口部10付近に到達すると、各突起21が対応する係合部37に打ち込まれるようにして係合する。ベースホルダ12は上動しようとしても、突起21が係合部37の上端と当接するので、その上動が規制される。
ベースホルダ12が開口部10まで移動すると、ガイド針28およびこれに内包されたセンサユニット6が人体4に挿入され、センサベース5の下面が人体4に当接する。センサベース5の下面には、皮膚テープ36(図5を参照)が設けられている。センサベース5は、皮膚テープ36の粘着力で人体4に装着される。
センサベース5が人体4に当接したとき、上ケース2の開口部11は下ケース7の下開口部10の上方に位置している。そこで、上ケース2は下ケース7に対して更に押し下げられる。押下力が十分であれば、突起25と係合部との係合が解かれ、上ケース2が下動し、ラック34の下端がピニオン32に噛み合わされる。その後、針ホルダ上昇機構14が機能する。ラック34は、ピニオン32と噛み合わされた状態でピニオン32に対して下動し、ピニオン32は、これまでと逆方向(図20の時計回り方向)に回転駆動される。これにより、ラック30が、これまでと逆方向すなわち上方へ移動させられる。ベースホルダ12およびセンサベース5は下ケース7に対する位置を変えずに留まる一方で、上ケース2は下ケース7に対して下動し、針ホルダ13は下ケース7内でベースホルダ12から離れて上昇する。ガイド針28は、針ホルダ13と共に上昇し、人体4から引き抜かれ、ベースホルダ12よりも上方へ引き上げられる。なお、ラック34は、針ホルダ13の天板33に形成された開口部29に挿通され、上ケース2の下動および針ホルダ13の上動は阻害されない。
図21および図25に示すように、上ケース2は、開口部11が下開口部10とほぼ同一位置になるまで押し下げられる。上ケース2は、人体4の皮膚に当接する皮膚当接部2aを有している。皮膚当接部2aは、開口部11の開口縁に、換言すると、上ケース2の下端部のうち人体4と対向する部分に形成されている。皮膚当接部2aが皮膚に当接するまで、上ケース2は押し下げられる。このように上ケース2が適切に押し下げられると、ガイド針28が、下ケース7内に引き上げられ、ガイド針28はベースホルダ12で下から覆われる。下ケース7は上ケース2内に完全に収納された状態となる。
また、センサ挿入装置1は、皮膚当接部2aが皮膚に当接するまで上ケース2が押し下げられた状態で、上ケース2を下ケース7に保持する保持機構を備えている。上ケース2の突起39は、上ケース2が上部位置から下ケース7に対して下動したことに伴って、下ケース7の外周面の下端部に押し付けられる。下ケース7の周壁の下端部は、スリット27の下端よりも下方にあるので、ほとんど変形することなくこの押付けを受けることができる。よって、上ケース2の突起39と、下ケース7のうち突起39と係合する部分とによって、上ケース2を下ケース7に保持する保持機構が構成されている。
更に、図26および図27に示すように、針ホルダ13の突起25も保持に寄与できる。上ケース2が押し下げられると、針ホルダ13は、突起25が上ケース2の係合部35の上端から押され、針ホルダ13が下動する。上ケース2の押下げの途中で、針ホルダ13は上昇に転じるが、このとき突起25と係合部35との係合が解かれる。立ち上がり片24は内方へ弾性変形し、突起25が立ち上がり片24の弾発力で上ケース2の内周面に係合する。皮膚当接部2aが皮膚に当接した状態では、突起25は上ケース2の内周面の上端部に係合する。針ホルダ13は、ラック30、ピニオン32および回転軸31を介し、下ケース7に係合されている。よって、針ホルダ13の突起25と、上ケース2のうち突起25と係合する部分とによっても、上ケース2を下ケース7に保持する保持機構が構成されている。
このように、保持機構を構成する突起は、上ケース2または下ケース7そのものに設けられている必要はなく、上ケース2または下ケース7と係合している部材に設けられていてもよい。また、保持機構は、下ケース7の外周面に設けられた突起と、上ケース2の内周面に設けられて当該突起と係合する係合部とによって構成されていてもよい。
針ホルダ13の上昇に伴い、針ホルダ13の抑制壁26は、ベースホルダ12の保持レバー18から離れて上昇し、保持レバー18の他端部は、外方へ変位可能になる。そのため、突起19がセンサベース5の凹部5aから外れ、センサベース5がベースホルダ12から解放される。
図22および図23に示すように、上ケース2の押下げを完了して、センサ挿入装置1を人体4から上方へ持ち上げると、センサベース5が人体4に装着された状態で残る。他方、ベースホルダ12が下ケース7の下開口部10を覆う。ガイド針28は、両ケース2,7の内部に収納され、ベースホルダ12で隠され、非露出状態となる。ガイド針28が使用者の手に触れることを防止でき、使用済のセンサ挿入装置1の安全性が保たれる。
更に、上ケース2の開口部11が下ケース7の下開口部10とほぼ同一位置にある状態、換言すれば、下ケース7が上ケース2内に完全に収納された状態で、上ケース2が下ケース7に保持される。使用者は、このように保持されているセンサ挿入装置1を見て、使用が完了したものであると一目瞭然で判断できる。その結果、このセンサ挿入装置1を再び使用しようとする試みも行われず、極めて作業性の良いものとなる。
なお、本実施形態では、下ケース7にスリット27が設けられている。可動部が下ケース7に設けられているため、上ケース2に剛性を持たせることができる。使用者は、上ケース2をしっかりと握り込むことができる。また、上ケース2の筒部の厚さは、下ケース7の筒部の厚さよりも大きい(図23を参照)。この点からも、上ケース2に剛性を持たせることができる。
なお、上記の例では、要素16~22,24~27,35,37の個数がいずれも3であるが、これら要素の個数は特に限定されない。
次に、ガイド針28について、図28~図49を用いて説明する。図28~図30は、ガイド針28を示す。ガイド針28は、一例として、一枚の板体を加工することによって形成されている。ガイド針28は、取付部40および人体挿入部41を有する。取付部40は、ガイド針28の上部に形成され、人体挿入部41は、ガイド針28の下部に形成される。
図31~図34は、ガイド針28の装着手順を示す。まず、ガイド針28は、保持治具(図示せず)で直立姿勢に保持される。ガイド針28は、センサベース5の第1貫通孔42に挿通される(図31、図35および図36を参照)。このとき、センサユニット6は、ガイド針28に内包される。この内包については後述する。
次に、ガイド針28は、ベースホルダ12の天板15に形成された第2貫通孔48に挿通される(図32、図37および図38を参照)。このとき、センサベース5がベースホルダ12に保持される。
第1貫通孔42が第2貫通孔48と上下方向に整合するようにして、ベースホルダ12はセンサベース5に対して周方向に位置決めされる必要がある。この点、前述のとおり、ベースホルダ12の突起19が、センサベース5の凹部5aに係合する。これにより、センサベース5の保持と同時に、ベースホルダ12が位置決めされ、貫通孔42,48が互いに整合し、ガイド針28がセンサベース5とベースホルダ12とに挿通される。
ガイド針28の取付部40は、ベースホルダ12の上方に突出する(図33を参照)。次に、ガイド針28は、針ホルダ13に保持される(図34、図39および図40を参照)。針ホルダ13は、ガイド針28を保持する保持部44を有する。針ホルダ13は、ラック30の歯を形成するため、天板33から上方へ突出する柱状部を有する。保持部44は、ラック30の歯とは反対側の面を利用し、当該柱状部に設けられている。保持部44は、柱状部の内部を上下方向に延びて少なくとも下方に開放された押し込み穴45と、押し込み穴45の内面から突出する突起47とを有する。針ホルダ13の取付部40は、下から押し込み穴45に押し込まれる。すると、突起47が針ホルダ13の取付孔46に係合する。これにより、ガイド針28の装着が完了する。
第2貫通孔48が保持部44と上下方向に整合するようにして、針ホルダ13はベースホルダ12に対して周方向に位置決めされる必要がある。この点、針ホルダ13は、天板23の下面から下方に突出する突起49を有する(図14を参照)。この突起49を第2貫通孔48に突入させることで、針ホルダ13が位置決めされ、第2貫通孔48と保持部44とが互いに整合する。この状態を形成するために、特に重要なのは、ガイド針28の人体挿入部41とセンサユニット6の下部挿入部(図36に示すように、センサユニット6の下端側に設けられ人体4へ挿入される部分)6aとの位置関係である。
本実施形態においては、図30に示すように、ガイド針28の取付部40には、切り起こしによって形成される一対の係合片50が設けられている。係合片50は、取付孔46と人体挿入部41との間に配置されている。図36および図37に示すように、係合片50は、第1貫通孔42に当接している。また、図38に示すように、ガイド針28の幅方向の端面も、第1貫通孔42に当接している。これにより、ガイド針28がセンサベース5に対して位置決めされる。他方、センサユニット6は、センサベース5に位置決めされた状態で設置されている。そのため、ガイド針28は、センサベース5を介し、センサユニット6に対して位置決めされる。
図35~図38に示す状態を形成するために、図31に示すように、センサベース5が、ガイド針28に対して、ガイド針28の上方から設置される。このとき、センサユニット6がガイド針28に挿入されるが、これをセンサユニット6側から見た状態を、図47~図49を用いて説明する。
図47は、保持治具(図示せず)によってガイド針28が直立保持された状態を示している。図48は、センサベース5をガイド針28の上方から設置させている状態を示している。図48は、センサユニット6の下部挿入部6aがガイド針28の摺動取付部40に当接した状態でセンサユニット6を下降させている状態である。図49は、センサユニット6の設置が完了した状態、つまり、図32に示すように、ガイド針28にセンサベース5が設置された状態を示している。
重要なことは、このようなガイド針28の設置作業時において、センサユニット6、特に、下部挿入部6aに、ガイド針28の人体挿入部41が触れないようにすることである。ガイド針28の人体挿入部41の先端は鋭利な形状であるため、ここにわずかながら触れただけで、センサユニット6は損傷を受けるおそれがある。
そこで、図47~図49に示すように、センサユニット6の下部挿入部6aが、ガイド針28の人体挿入部41とは反対側の摺動取付部40側からガイド針28の人体挿入部41へ設置されている。この構成によれば、設置作業時にセンサユニット6を、ガイド針28の人体挿入部41によって損傷させることがない。
また、このようにするために、ガイド針28の摺動取付部40にガイド面51(摺動取付部40において取付孔46から人体挿入部41までの間に設けられた平面部)の長さは、センサユニット6における下部挿入部の長さよりも大きい。これにより、センサユニット6の下部挿入部が、ガイド面51に導かれ、人体挿入部41へとスムーズに設置することが可能となる。
次に、ガイド針28における人体挿入部41について説明する。
ガイド針28は、上述のように、上方の摺動取付部40と、下方の人体挿入部41とを有している。人体挿入部41は、図41~図46に示すように、長手方向に直交する断面がU字状となっている。このU字状部の両側には、立壁端部41aが立ち上がっている。
人体挿入部41の下端側には、図44に示すように、U字状部の立壁端部41aの高さが下端に向けて連続的に低くなっていく端面41bと、U字状部の底面で構成される先端部41cとが設けられている。
本実施形態においては、人体挿入部41の先端部は、U字状部から下端に向けて連続的に断面積が小さくなる先端鋭利形状とし、この先端鋭利形状の部分には、連続的な刃付け部52が形成されている。つまり、端面41b部分から先端部41c部分にかけて、連続的な刃付け部52が形成されている。刃付け部52は、図43からも理解されるように、U字状部の立壁端部41aがU字状部の外方から研磨され、先端(下端)まで連続的に鋭利な刃付けが行われて形成されている。
その理由は、ガイド針28の人体挿入部41は、人体4に挿入されるものであるが、この人体挿入部41において、その外周に段差が存在すると、人体4への挿入時の抵抗となり、使用者に痛感を感じさせるおそれがあるからである。
すなわち、従来例のガイド針では、下端部の先端部分にのみ刃付けされ、その上方の端面の部分には刃付けがされていなかった。このため、U字状部の立壁端部41aの端面41b部分が段差として認識され、痛感を与えやすいものとなっていた。
そこで、本実施形態においては、ガイド針28は、センサユニット6を収納するために形成されるU字状部において、ガイド針28の下端側に近い部分に、図42~図44に示すように、連続的な刃付け部52が形成されている。より詳細には、下端側から近づく人体4の皮膚に対して、皮膚に対向する部分、つまり、端面41b部分と先端部41c部分に、連続的な刃付け部52が形成されている。
このため、下端側から近づく人体4の皮膚に対して直交する部分(段差)が無くなるので、人体4への挿入時の抵抗が少なくなる。その結果、使用者の痛感を小さくことができる。
以下、本実施形態の特徴点について説明する。
<特徴点1>
本実施形態のセンサ挿入装置1は、筒状の下ケース7と、下ケース7の外周に上方から下動自在に被せられた上ケース2と、を備えている。下ケース7は、上下面それぞれに開口部9、10を有する筒形状に形成されている。上ケース2は、下面に開口部11を有し、上面が閉じられた筒形状に形成されている。下ケース7内には、下方から上方に向けて順番に、ベースホルダ12および針ホルダ13が配置されている。針ホルダ13の上方の下ケース7内あるいは上ケース2内の少なくとも一方には、針ホルダ上昇機構14(ラック30、ピニオン32、ラック34)が配置されている。ベースホルダ12には、センサユニット6を有するセンサベース5が保持されている。上ケース2が押し下げられることで、ベースホルダ12と針ホルダ13とが下ケース7の下面側の下開口部10側に移動する。その後、針ホルダ13が上昇し、上ケース2がその下面側の開口部11が人体4の皮膚に当接させるまで押し下げられた状態で、上ケース2が下ケース7に保持機構(突起39と、下ケース7のスリット27よりも下方の外周壁部分)によって保持される。
このように、本実施形態においては、ベースホルダ12には、センサユニット6を有するセンサベース5が保持されている。このため、センサベース5にセンサユニット6を取り付ける作業が不要になる。しかも、上ケース2が押し下げられることで、センサベース5の皮膚への装着およびセンサユニット6の人体4への挿入が行われる。
さらに、上ケース2がその下面側の開口部11が人体4の皮膚に当接させるまで押し下げられた状態では、上ケース2の下面側の開口部11と下ケース7の下面側の下開口部10とは、ほぼ同一位置となる。よって、使用が完了したことが一目瞭然で判断される。このため、センサ挿入装置1を再び使用しようとする試みも行われず、極めて作業性の良いものとなる。
なお、本実施形態においては、突起39は上ケース2の下部内周面に形成され、それに対向する部分として、下ケース7のスリット27よりも下方の外周壁部分が設定されている。この保持機構は、例えば、突起39が下ケース7の下部外周面に設けられ、それを上ケース2の下部内周面に当接させる構成としてもよい。
<特徴点2>
なお、従来例では、センサベースの下動を案内する機構が下ケースに設けられ、針ホルダの下動を案内する機構が上ケースに設けられている。上ケースが押し下げられると、センサベースおよび針ホルダの各々が、対応する案内機構によって案内されて下動する。しかし、上ケースの下ケースに対する下動を許容するため、上下のケース間には適切なクリアランスが必要となる。このクリアランスが原因で、上ケースは下ケースに対してがたつく可能性もある。従来例のように、2つの案内機構が上下のケースに分かれていると、がたつきに起因して針ホルダの案内方向とセンサベースの案内方向との間にずれが生じ、針ホルダおよび/またはセンサベースが適切に下動しない可能性がある。その場合、センサベースが皮膚に適切に装着されない、あるいは、センサユニットが人体に適切に挿入されないおそれがある。
そこで、本実施形態のセンサ挿入装置1は、筒状の下ケース7と、下ケース7の外周に、上方から下動自在に被せられた上ケース2と、を備えている。下ケース7は、上下面に開口部9,10を有する筒形状としている。上ケース2は、下面に開口部11を有し、上面が閉じられた筒形状となっている。下ケース7内には、下方から上方に向けて順番に、ベースホルダ12、針ホルダ13が配置されている。針ホルダ13の上方の下ケース7内あるいは上ケース2内の少なくとも一方には、針ホルダ上昇機構14が配置されている。ベースホルダ12には、センサユニット6を有するセンサベース5が保持されている。下ケース7には、ベースホルダ12と針ホルダ13との下動を案内する案内手段として、溝20およびスリット27が設けられている。
つまり、ベースホルダ12は、溝20に案内されて下動することができ、針ホルダ13は、スリット27に案内されて上下動することができる。
このため、本実施形態においては、センサベース5の人体4の皮膚への装着とセンサユニット6の人体4への挿入が適切に行われる。すなわち、センサユニット6を有するセンサベース5と針ホルダ13とが、共に下ケース7に設けられた案内手段によって下動する。このため、センサベース5と針ホルダ13との下動状況における位置関係が安定する。その結果、センサベース5の人体4の皮膚への装着と、センサユニット6の人体4への挿入とが適切に行われる。
<特徴点3>
なお、従来例では、センサベースを保持するための突起が下ケースに設けられている。この突起による保持は、上ケースが下動し始めた直後に解かれる。そのため、センサベースが人体に装着される前に、センサベースがセンサ挿入装置から脱落する可能性がある。
そこで、本実施形態のセンサ挿入装置1は、筒状の下ケース7と、下ケース7の外周に上方から下動自在に被せられた上ケース2と、を備えている。下ケース7は、上下面に開口部9,10を有する筒形状としている。上ケース2は、下面に開口部11を有し、上面が閉じられた筒形状となっている。下ケース7内には、下方から上方に向けて順番に、ベースホルダ12、針ホルダ13が配置されている。針ホルダ13の上方の下ケース7内あるいは上ケース2内の少なくとも一方には、針ホルダ上昇機構14(ラック30、ピニオン32、ラック34)が配置されている。
ベースホルダ12は、センサベース5の外周において、その一端側が、ベースホルダ12に固定され、他端側が、内外方向に変位自在となった保持レバー18を有している。保持レバー18の他端側には、センサベース5の外周の凹部5aに係合する突起19が形成されている。針ホルダ13には、ベースホルダ12の外周部において保持レバー18の突起19が外方に移動するのを抑制する抑制壁26が設けられている。
つまり、本実施形態においては、センサベース5は、ベースホルダ12の保持レバー18によって保持された状態になっている。そして、保持レバー18の突起19が外方に移動することを、針ホルダ13に設けられた抑制壁26によって防止している。
このため、ベースホルダ12に保持されたセンサベース5が人体4に装着されると共に、針ホルダ13のガイド針28によってセンサユニット6が人体4に挿入されるまでは、センサベース5は、ベースホルダ12によって適切に保持される。この結果、人体4への装着前にセンサベース5が不用意に脱落することを防止することができる。
<特徴点4>
なお、従来例では、センサユニットはガイド針と共に人体に挿入される。そのため、ガイド針の先端は極めて鋭利である。センサユニットをガイド針にセットするに際し、ガイド針をセンサユニットに対して上下方向に相対的に移動させたとき、ガイド針の先端がセンサユニットの挿入部に僅かでも触れると、センサユニットを損傷させるおそれがある。その場合、所要の測定を適切に行えなくなる。
そこで、本実施形態のセンサ挿入装置1は、筒状の下ケース7と、下ケース7の外周に上方から下動自在に被せられた上ケース2と、を備えている。下ケース7は、上下面に開口部9,10を有する筒形状としている。上ケース2は、下面に開口部11を有し、上面が閉じられた筒形状となっている。下ケース7内には、下方から上方に向けて順番に、ベースホルダ12、針ホルダ13が配置されている。針ホルダ13の上方の下ケース7内あるいは上ケース2内の少なくとも一方には、針ホルダ上昇機構14(ラック30、ピニオン32、ラック34)が配置されている。
センサベース5およびベースホルダ12には、ガイド針28が貫通する貫通孔42,48が形成されている。針ホルダ13には、ガイド針28の上部を保持する保持部44が形成されている。
センサベース5とベースホルダ12には、センサベース5とベースホルダ12におけるガイド針28が貫通するそれぞれの貫通孔42,48を合致させる第1の位置決め部が設けられている。本実施形態において、第1の位置決め部は、センサベース5の外周の凹部5aにベースホルダ12の突起19が係合し、これにより、センサベース5の貫通孔42とベースホルダ12の貫通孔48を合致させることで構成されている。
また、ベースホルダ12および針ホルダ13には、ベースホルダ12の貫通孔48と針ホルダ13の保持部44とを合致させる第2の位置決め部が設けられている。本実施形態において、第2の位置決め部は、図14に示すように、針ホルダ13の天板23の下面側に下方に突出すると共に、ベースホルダ12の貫通孔48内に突入する突起49を貫通孔48(図30参照)に突入させることにより構成されている。すなわち、ベースホルダ12の貫通孔48に針ホルダ13の突起49が突入すると、ベースホルダ12の貫通孔48と針ホルダ13の保持部44とが合致する。
以上のように、本実施形態においては、ガイド針28の上部から、センサベース5、ベースホルダ12、針ホルダ13が、ガイド針28へと装着されると、針ホルダ13の保持部44において保持される。
ガイド針28は、センサユニット6の挿入部よりも長いため、以上のように、ガイド針28の上方からセンサベース5、ベースホルダ12、針ホルダ13が装着されると、ガイド針28の下部で鋭利な人体挿入部41はセンサユニット6の挿入部に傷つけることはない。その結果、センサユニット6を用いて適切な測定を行うことができる。
<特徴点5>
なお、従来例では、センサユニットは、ガイド針に内包され、ガイド針と共に人体に挿入される。ガイド針の先端は、人体に最初に触れて人体にスムーズに挿入されるべく先鋭に形成されている一方、その上方部分は、ガイド針を内包すべくU字状の断面を有している。人体には当該U字状部分も挿入されるが、U字状部分を形成する板体の端面は、挿入に対して大きな抵抗となるため、使用者に痛感を感じさせるおそれがある。
そこで、本実施形態のセンサ挿入装置1は、筒状の下ケース7と、下ケース7の外周に上方から下動自在に被せられた上ケース2と、を備えている。下ケース7は、上下面に開口部9,10を有する筒形状としている。上ケース2は、下面に開口部11を有し、上面が閉じられた筒形状となっている。下ケース7内には、下方から上方に向けて順番に、ベースホルダ12、針ホルダ13が配置されている。針ホルダ13の上方の下ケース7内あるいは上ケース2内の少なくとも一方には、針ホルダ上昇機構14(ラック30、ピニオン32、ラック34)が配置されている。
センサベース5とベースホルダ12とには、ガイド針28が貫通する貫通孔42,48が形成されている。針ホルダ13には、ガイド針28の上部を保持する保持部44が形成されている。ガイド針28は、上方への取付部として設けられた上方側の摺動取付部40と、下方側の人体挿入部41とを有している。人体挿入部41は、長手方向に直交する断面がU字状となる。その先端部は、U字状形状部から下端に向けて連続的に断面積が小さくなる先端鋭利形状を有し、先端鋭利形状の部分には、連続的な刃付け部52が形成されている。
本実施形態におけるガイド針28も、センサユニット6の挿入部を内包するために長手方向に直交する断面がU字状となっている。そして、その先端部は、U字状形状部から下端に向けて連続的に断面積が小さくなる先端鋭利形状を有し、この先端鋭利形状部には、連続的な刃付け部52が形成されている。このため、ガイド針28の人体挿入部41を人体4に挿入する際に大きな抵抗が発生しない。この結果、ガイド針28挿入時における使用者への痛感を減少させることができる。
(付記)
なお、本発明は、次のように表現することも可能である。
[付記A1]
上端に上開口部および下端に下開口部を有する筒形状に形成された下ケースと、
下端に開口部を有して上面で閉じられた筒形状に形成され、前記下ケースの外周に、上方から下動自在に被せられた上ケースと、
前記下ケースの内部に配置されたベースホルダと、
センサユニットを有し、前記ベースホルダに保持されるセンサベースと、
前記下ケースの内部にて、前記ベースホルダの上方に配置された針ホルダと、
前記下ケースあるいは前記上ケースの少なくとも一方の内部にて、前記針ホルダの上方に配置された針ホルダ上昇機構と、
前記下ケースに設けられ、前記ベースホルダおよび前記針ホルダを含む下動体の下動を案内する案内機構と、
を備える、
センサ挿入装置。
[付記A2]
前記案内機構は、前記下ケースの内周面に上下方向に延びる溝(20)と、前記溝(20)において摺動すると共に前記下動体の外周部に設けられた係合片(17)と、を有している、
付記A1に記載のセンサ挿入装置。
[付記A3]
前記案内機構は、前記下ケースの前記上開口部から下方に延びるスリット(27)と、前記スリットにおいて摺動すると共に前記下動体の外周部に設けられた第1の突起(25)と、を有している、
付記A1に記載のセンサ挿入装置。
[付記A4]
前記案内機構は、前記下ケースの前記上開口部から下方に延びる複数のスリット(27)と、前記下ケースの内周面のうち周方向において前記スリットの間の部分に上下方向に延びる溝(20)と、を有している、
付記A1に記載のセンサ挿入装置。
[付記A5]
前記案内機構は、前記ベースホルダの外周部に設けられて前記溝に係合する係合片(17)と、前記針ホルダの外周部に設けられて前記複数のスリットそれぞれに係合する複数の第1の突起(25)と、を有している、
付記A4に記載のセンサ挿入装置。
[付記A6]
前記溝は、前記スリットよりも前記下ケースの下方側に延長されている、
付記5に記載のセンサ挿入装置。
[付記A7]
前記溝には、前記ベースホルダを待機位置に保持する待機位置設定部が設けられ、
前記下ケースの外周面には、前記待機位置設定部よりも上方に、前記上ケースを上部位置に保持する上部位置設定部が設けられている、
付記A5またはA6に記載のセンサ挿入装置。
[付記A8]
前記上部位置設定部は、外周方向に突出する第2の突起(38)によって形成され、
前記上ケースには、前記第2の突起により前記上部位置に保持された状態で、前記第2の突起に対して上方および下方の部位それぞれから内周方向に向けて突出する第3の突起(39)が形成されている、
付記A7に記載のセンサ挿入装置。
[付記B1]
上端に上開口部および下端に下開口部を有する筒形状に形成された下ケースと、
下端に開口部を有して上面で閉じられた筒形状に形成され、前記下ケースの外周に、上方から下動自在に被せられた上ケースと、
前記下ケースの内部に配置されたベースホルダと、
前記ベースホルダに保持されるセンサベースと、
前記下ケースの内部にて前記ベースホルダの上方に配置され、ガイド針が装着された針ホルダと、
前記下ケースあるいは前記上ケースの少なくとも一方の内部にて、前記針ホルダの上方に配置された針ホルダ上昇機構と、
を備え、
前記ベースホルダは、前記センサベースより外周に配置され、その一端側が前記ベースホルダに固定されてその他端側が内外方向に変位自在となった保持レバーを有し、前記保持レバーの他端側には、前記センサベースの外周部に係合する突起が形成され、
前記針ホルダは、前記ベースホルダより外周に配置され、前記保持レバーの前記突起が外方に移動するのを抑制する抑制壁を有している、
センサ挿入装置。
[付記B2]
前記ベースホルダは、複数の前記保持レバーを有している、
付記B1に記載のセンサ挿入装置。
[付記C1]
上端に上開口部および下端に下開口部を有する筒形状に形成された下ケースと、
下端に開口部を有して上面で閉じられた筒形状に形成され、前記下ケースの外周に、上方から下動自在に被せられた上ケースと、
前記下ケースの内部に配置されたベースホルダと、
センサユニットを有し、前記ベースホルダに保持されるセンサベースと、
前記下ケースの内部にて前記ベースホルダの上方に配置され、ガイド針が装着された針ホルダと、
前記下ケースあるいは前記上ケースの少なくとも一方の内部にて、前記針ホルダの上方に配置された針ホルダ上昇機構と、
を備え、
前記センサベースは、前記ガイド針が貫通する第1の貫通孔(42)を有し、前記ベースホルダは、前記ガイド針が貫通する第2の貫通孔(48)を有し、前記針ホルダは、前記ガイド針の上部を保持する保持部を有し、
前記センサベースと前記ベースホルダとには、前記第1の貫通孔と前記第2の貫通孔とを合致させる第1の位置決め部が設けられ、
前記ベースホルダと前記針ホルダとには、前記第2の貫通孔(48)と前記保持部とを合致させる第2の位置決め部が設けられている、
センサ挿入装置。
[付記C2]
前記ガイド針は、上方の取付部と、下方の人体挿入部とを有し、
前記取付部には、前記第1の貫通孔(42)の開口縁に当接する切起こし片が設けられている、
付記C1に記載のセンサ挿入装置。
[付記C3]
前記取付部には、前記センサユニットのガイド面が設けられている、
付記C2に記載のセンサ挿入装置。
[付記C4]
前記センサユニットは、人体への挿入部(6a)を有し、
前記ガイド面の長さは、前記挿入部の長さよりも大きい、
付記C3に記載のセンサ挿入装置。
[付記D1]
上端に上開口部および下端に下開口部を有する筒形状に形成された下ケースと、
下端に開口部を有して上面で閉じられた筒形状に形成され、前記下ケースの外周に、上方から下動自在に被せられた上ケースと、
前記下ケース内に配置されたベースホルダと、
前記ベースホルダに保持されるセンサベースと、
前記下ケース内に配置され、ガイド針が装着された針ホルダと、
前記下ケース内あるいは前記上ケースの少なくとも一方の内部に配置され、前記針ホルダを上昇させる針ホルダ上昇機構と、
を備え、
前記ガイド針は、上方の取付部と、下方の人体挿入部とを有し、
前記人体挿入部は、長手方向に直交する断面がU字状に形成されたU字状形成部と、その先端部に形成され、前記U字状形状部から下端に向けて連続的に断面積が小さくなる先端鋭利形状部とを含み、前記先端鋭利形状部には、連続的な刃付け部が形成されている、
センサ挿入装置。
[付記D2]
前記先端鋭利形状部は、前記U字状形成部を構成する一対の立壁端部を外方から研磨することにより、形成されている、
付記D1に記載のセンサ挿入装置。
本発明は、例えば、持続血糖測定を行うためのセンサユニットを人体に挿入するためのセンサ挿入装置として、広く活用が期待されるものである。
1 センサ挿入装置
2 上ケース
2a 皮膚当接部
3 キャップ
4 人体
5 センサベース
5a 凹部
6 センサユニット
6a 挿入部
7 下ケース
8 トランスミッタ
9 上開口部
10 下開口部
11 開口部
12 ベースホルダ
13 針ホルダ
14 針ホルダ上昇機構
15 天板
16 垂下片
17 係合片
18 保持レバー
19 突起
20 溝
21 突起
22 溝
23 天板
24 立ち上がり片
25 突起
26 抑制壁
27 スリット
28 ガイド針
29 開口部
30 ラック
31 回転軸
32 ピニオン
33 天板
34 ラック
35 係合部
36 皮膚テープ
37 係合部
38 突起
39 突起
40 取付部
41 人体挿入部
41a 立壁端部
41b 端面
41c 先端部
42 第1貫通孔
43 上部
44 保持部
45 押し込み穴
46 取付孔
47 突起
48 第2貫通孔
49 突起
50 係合片
51 ガイド面
52 刃付け部

Claims (9)

  1. 上端に上開口部および下端に下開口部を有する筒形状に形成された下ケースと、
    下端に開口部を有して上面で閉じられた筒形状に形成され、前記下ケースの外周に、上方から下動自在に被せられた上ケースと、
    前記下ケースの内部に配置され、センサユニットを有するセンサベースを保持するベースホルダと、
    前記下ケースの内部にて前記ベースホルダの上方に配置された針ホルダと、
    前記下ケースあるいは前記上ケースの少なくとも一方の内部にて、前記針ホルダの上方に配置された針ホルダ上昇機構と、
    を備え、
    前記上ケースが押し下げられると、前記ベースホルダおよび前記針ホルダが前記下ケースの前記下開口部に向けて移動し、その後に前記針ホルダが前記針ホルダ上昇機構によって上昇し、
    前記上ケースの内周面あるいは前記下ケースの外周面の少なくとも一方に、保持機構が設けられており、
    前記保持機構は、前記上ケースの前記開口部が皮膚に当接するまで前記上ケースが押し下げられた状態で、前記上ケースを前記下ケースに保持するように構成されている、
    センサ挿入装置。
  2. 前記保持機構は、前記上ケースの前記内周面と前記下ケースの前記外周面との一方に設けられた第1の突起と、他方に設けられ前記第1の突起が係合する係合部とを有している、
    請求項1に記載のセンサ挿入装置。
  3. 前記第1の突起は、前記上ケースの前記内周面と前記下ケースの前記外周面との前記一方の下部に設けられ、前記係合部は、他方の下部に設けられている、
    請求項2に記載のセンサ挿入装置。
  4. 前記下ケースが、前記上開口部から下方に延びるスリットを有し、
    前記第1の突起は、前記上ケースに設けられ、前記係合部が、前記下ケースの前記外周面のうち前記スリットの下端よりも下方の部位に設けられている、
    請求項2または3に記載のセンサ挿入装置。
  5. 前記上ケースは、前記開口部の開口縁に形成された皮膚当接部を有している、
    請求項1から4のいずれか1つに記載のセンサ挿入装置。
  6. 前記下ケースは、前記上開口部から下方に延びるスリットを有し、
    前記針ホルダは、前記スリットを貫通し、前記下ケースの外周面から外方に向かって突出する第2の突起を有し、
    前記保持機構は、前記第2の突起と、前記上ケースの内周面のうち前記第2の突起が当接する部分とにより構成されている、
    請求項1に記載のセンサ挿入装置。
  7. 前記第2の突起は、前記スリット内において上下動自在に設けられている、
    請求項6に記載のセンサ挿入装置。
  8. 前記針ホルダは、天板と、前記天板から上方に延びる立ち上がり片とを有し、
    前記第2の突起は、前記立ち上がり片の上端部に設けられ、前記立ち上がり片の弾発力で前記上ケースの前記内周面に係合している、
    請求項6または7に記載のセンサ挿入装置。
  9. 上下両端が開放された筒形状に形成された下ケースと、
    下端に開口部を有した筒形状に形成され、前記下ケースの外周に上方から被せられた上ケースと、
    前記上ケースを前記下ケースに対して所定の上部位置で保持し、前記下ケースを前記上ケースから露出させる上部位置保持部と、
    センサユニットを有するセンサベースを予め保持して前記下ケースの内部に配置され、前記上ケースが前記下ケースに対して前記上部位置から押し下げられると前記センサベースを解放するベースホルダと、
    前記上ケースの前記開口部が前記下ケースの下開口部とほぼ同一位置になるまで前記上ケースが押し下げられた状態で、前記上ケースを前記下ケースに保持する保持機構と、を備える、
    センサ挿入装置。
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