JP7108078B2 - 宇宙環境試験装置および該宇宙環境試験装置の液体窒素回収方法 - Google Patents
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宇宙環境試験装置においては、一般的に、真空容器の内部にシュラウドと呼ばれる熱吸収壁を設置し、該シュラウドに液体窒素などの低温冷媒を供給して低温(液体窒素を用いた場合には100K以下)に冷却することで、真空容器内に宇宙環境に近い冷暗黒を模擬した状態にすることができる。
従来の宇宙環境試験装置においてシュラウドを冷却する方式としては、特許文献1に開示されているワンスルー式(図5参照)と、フリーボイリング式(図6参照)がある。
そして、試験が終了した後、放液溜め9に溜められた液体窒素は、ポンプ73により回収配管75内を移送されることにより、液体窒素供給装置5に回収することができる。
そして、試験が終了した後、ヘッドタンク39に溜められた液体窒素は、上述のワンスルー式と同様に、ポンプおよび回収配管(図示なし)により液体窒素貯槽35に回収することができる。
また、ワンスルー式の宇宙環境試験装置においてシュラウドに残った液体窒素を回収するために、シュラウドから液体窒素を放液溜めに排出し、該放液溜めに溜められている液体窒素をポンプで液体窒素供給装置に移送する方法が考えられるが、放液溜めが断熱されていない場合、液体窒素を排出および回収する過程での侵入熱が多く、液体窒素の蒸発量が多くなってしまい回収できる量が少なくなってしまう問題があった。この問題は、ヘッドタンクを用いたフリーボイリング式の宇宙環境試験装置においても同様であった。
<宇宙環境試験装置>
本発明の実施の形態1に係る宇宙環境試験装置1は、図1に示すように、真空容器3内に設けられ、液体窒素供給装置5から液体窒素の供給を受けて冷却されるシュラウド7と、シュラウド7から排出された液体窒素を溜める放液溜め9とを備え、シュラウド7をワンスルー式で冷却することで真空容器3内を宇宙環境の冷暗黒を模擬した状態にして試験を行うものであって、供給配管11と、排出配管13と、回収配管15と、開閉弁17と、気体窒素供給部19とを備えたものである。
真空容器3は、内部を宇宙環境を模擬した状態にするものであり、人工衛星などの各種試験体が設置される。そして、真空容器3は、内部を高真空とするため、真空ポンプ(図示なし)により排気される。
液体窒素供給装置5は、宇宙環境試験装置1を用いて試験を行う際にはシュラウド7に液体窒素を供給して冷却するものであり(図2参照)、試験が終わって液体窒素を回収する際には、放液溜め9およびシュラウド7の液体窒素が回収されるものである(図1参照)。液体窒素供給装置5は、所定の供給圧力で液体窒素を供給および回収できるものであればよく、例えば、真空断熱された液体窒素貯槽を用いることができる。
例えば、比較的小型の宇宙環境試験装置1では、液体窒素供給装置5として小型可搬式液体窒素供給装置等が用いられことがあり、比較的大型の宇宙環境試験装置1では、液体窒素供給装置5として大型の液体窒素貯槽等が用いられることがある。
しかし、液体窒素供給装置5の種類の違いによって、本願発明の効果には影響はない。
シュラウド7は、液体窒素が供給されて所定の温度に冷却されることで、真空容器3内に宇宙環境の冷暗黒を模擬した状態とするものである。液体窒素を供給することによりシュラウド7は100K以下に冷却することができ、シュラウド7の温度は、液体窒素の供給量と供給圧力により調整することができる。なお、シュラウド7に供給された液体窒素は、シュラウド7を冷却する過程においてその一部が気化し、気体窒素となる。
放液溜め9は、液体窒素供給装置5からシュラウド7に供給されて冷却した後の液体窒素又は液体窒素と気体窒素の混合流体を排出し、該排出された液体窒素を溜めるものである。
放液溜め9には、シュラウド7から排出された気体窒素を大気中に放出するために気体窒素放出配管21および気体窒素放出弁23が設けられている。
供給配管11は、液体窒素供給装置5とシュラウド7とを接続し、シュラウド7に液体窒素を供給するものであり、供給配管11aおよび11bからなる。
排出配管13は、シュラウド7と放液溜め9とを連結し、シュラウド7を冷却した後の液体窒素と気体窒素の混合流体を放液溜め9に排出するために設けられたものである。シュラウド7と放液溜め9とが排出配管13により連結されていることにより、シュラウド7と放液溜め9は気密を保って連通される。
回収配管15は、放液溜め9と供給配管11とを接続し、放液溜め9に溜められた液体窒素を液体窒素供給装置5に回収するためのものである。
回収配管15は、放液溜め9内に溜められている液体窒素を効率良く回収するため、その端部が放液溜め9の最下部に接続しているものが好ましい。
開閉弁17は、回収配管15に設けられたものであり、シュラウド7に液体窒素を供給して冷却する際には開閉弁17は閉じた状態であり(図2参照)、放液溜め9内にある液体窒素を回収する際には開閉弁17を開いた状態である(図1参照)。
気体窒素供給部19は、放液溜め9に設けられ、放液溜め9内に加圧された気体窒素を供給するものであり、図1に示すように、気体窒素供給配管19aと気体窒素供給弁19bとからなるものを用いることができる。
次に、本実施の形態1に係る宇宙環境試験装置1における液体窒素回収方法について、図1および図2に示す宇宙環境試験装置1の動作とともに説明する。
冷却運転時においては、回収配管15に設けられた開閉弁17と気体窒素供給部19の気体窒素供給弁19bを閉じた状態にするとともに気体窒素放出弁23を開いた状態として、シュラウド7を冷却した後の液体窒素および気体窒素の混合流体は排出配管13から放液溜め9に排出される。そして、該排出された液体窒素は放液溜め9に溜められるのに対し、排出された気体窒素は気体窒素放出弁23を介して気体窒素放出配管21から大気に放出される。
<宇宙環境試験装置>
本発明の実施の形態2に係る宇宙環境試験装置31は、図3に示すように、真空容器33内に設けられ、液体窒素貯槽35から液体窒素の供給を受けて冷却されるシュラウド37と、液体窒素貯槽35から供給された液体窒素を一時貯留し、該一時貯留した液体窒素をシュラウド37に供給するとともに、シュラウド37から排出された液体窒素を貯留するヘッドタンク39とを備え、シュラウド37をフリーボイリング式で冷却することで真空容器33内を宇宙環境の冷暗黒を模擬した状態にして試験を行うものであって、液体窒素貯槽35とヘッドタンク39とを接続する第1供給配管41と、ヘッドタンク39とシュラウド37とを接続する第2供給配管43と、シュラウド37とヘッドタンク39とを接続する排出配管45と、第2供給配管43と第1供給配管41とを接続する回収配管47と、回収配管47に設けられた開閉弁49と、ヘッドタンク39に設けられた気体窒素供給部51と、を有するものである。
液体窒素貯槽35は、宇宙環境試験装置31を用いて試験を行う際にはシュラウド37に液体窒素を供給して冷却する液体窒素供給装置であり、試験が終わって液体窒素を回収する際には、液体窒素貯槽35にヘッドタンク39およびシュラウド37の液体窒素が回収される(図3参照)。
シュラウド37は、前述の実施の形態1におけるシュラウド7と同様、液体窒素が供給されて所定の温度(例えば100K以下)に冷却されることで、真空容器33内に宇宙環境の冷暗黒を模擬した状態とするものである。
なお、本実施の形態2に係るシュラウド37として、アルミニウム製で液体窒素の貯液量が9000Lのものを例示できる。もっとも、シュラウド37の材質に関しては100K程度の低温を維持できるものであればよく、貯液量に関しては、シュラウド37を設置する真空容器33のサイズや熱負荷に応じて適宜設定すればよい。
ヘッドタンク39は、液体窒素貯槽35から供給された液体窒素を一時貯留し、該一時貯留した液体窒素をシュラウド37に供給するとともに、シュラウド37から排出された液体窒素を貯留するものであり、シュラウド37よりも鉛直方向上方に設置されている。
第1供給配管41は、液体窒素貯槽35とヘッドタンク39とを接続し、液体窒素貯槽35からヘッドタンク39に液体窒素を供給するものであり、図3および図4においては、第1供給配管41aおよび41bからなる。
第2供給配管43は、図3および図4に示すように、ヘッドタンク39とシュラウド37とを接続し、ヘッドタンク39に一時貯留した液体窒素をシュラウド37に供給するものであり、第2供給配管43aおよび43bからなる。そして、一端側(第2供給配管43a)がヘッドタンク39の最下部に接続し、他端側(第2供給配管43b)がシュラウド37の下部に接続している。
排出配管45は、シュラウド37とヘッドタンク39とを連結し、シュラウド37を冷却した後の液体窒素と気体窒素の混合流体をヘッドタンク39に排出するために設けられたものである。シュラウド37とヘッドタンク39とが排出配管45により連結されていることにより、シュラウド37とヘッドタンク39は気密を保って連通される。
回収配管47は、第2供給配管43と第1供給配管41とを接続し、ヘッドタンク39およびシュラウド37内の液体窒素を液体窒素貯槽35に回収するためのものである。
開閉弁49は、回収配管47に設けられたものであり、シュラウド37に液体窒素を供給して冷却する際には開閉弁49は閉じた状態となり(図4参照)、ヘッドタンク39およびシュラウド37内にある液体窒素を回収する際には開閉弁49を開いた状態となる(図3参照)。
気体窒素供給部51は、ヘッドタンク39に設けられ、ヘッドタンク39内に加圧された気体窒素を供給するものであり、図3および図4に示すように、気体窒素供給配管51aと気体窒素供給弁51bとからなるものを用いることができる。
次に、本実施の形態2に係る宇宙環境試験装置31における液体窒素回収方法について、図3および図4に示す宇宙環境試験装置31の動作とともに説明する。
なお、加熱手段としては、前述の実施の形態1と同様にヒーターを用いることができ、該ヒーターの出力を調整することによりヘッドタンク39内を所定の圧力に加圧することができる。
3 真空容器
5 液体窒素供給装置
7 シュラウド
9 放液溜め
11 供給配管
13 排出配管
15 回収配管
17 開閉弁
19 気体窒素供給部
19a 気体窒素供給配管
19b 気体窒素供給弁
21 気体窒素放出配管
23 気体窒素放出弁
25 温度計
31 宇宙環境試験装置
33 真空容器
35 液体窒素貯槽
37 シュラウド
39 ヘッドタンク
41、41a、41b 第1供給配管
43、43a、43b 第2供給配管
45 排出配管
47 回収配管
49 開閉弁
51 気体窒素供給部
51a 気体窒素供給配管
51b 気体窒素供給弁
53 気体窒素放出配管
55 気体窒素放出弁
57 液面制御弁
59 液体窒素循環弁
61 弁箱
63 温度計
71 宇宙環境試験装置(従来例)
73 ポンプ
75 回収配管
81 宇宙環境試験装置(従来例)
LN2 液体窒素
GN2 気体窒素
Claims (4)
- 真空容器内に設けられ、液体窒素供給装置から液体窒素の供給を受けて冷却されるシュラウドと、前記液体窒素供給装置から供給された液体窒素を一時貯留し、該一時貯留した液体窒素を前記シュラウドに供給するとともに、前記シュラウドから排出された液体窒素を貯留するヘッドタンクとを備え、前記シュラウドをフリーボイリング式で冷却することで、前記真空容器内を宇宙環境の冷暗黒を模擬した状態にして試験を行う宇宙環境試験装置であって、
前記液体窒素供給装置と前記ヘッドタンクとを接続し、前記液体窒素供給装置から前記ヘッドタンクに液体窒素を供給する第1供給配管と、
前記ヘッドタンクと前記シュラウドとを接続し、前記ヘッドタンクに一時貯留した液体窒素を前記シュラウドに供給する第2供給配管と、
前記シュラウドと前記ヘッドタンクとを接続し、前記シュラウドを冷却した液体窒素を前記ヘッドタンクに排出する排出配管と、
前記第2供給配管と前記第1供給配管とを接続し、前記ヘッドタンクおよび前記シュラウド内の液体窒素を前記液体窒素供給装置に回収する回収配管と、
該回収配管に設けられた開閉弁と、
前記ヘッドタンク内の液体窒素を加熱して気化させる加熱手段と、を有し、
前記開閉弁が開いた状態で、前記加熱手段により前記ヘッドタンク内の液体窒素を加熱して気化させることで前記ヘッドタンク内を加圧し、該ヘッドタンク内および該ヘッドタンクと連通する前記シュラウド内の液体窒素を前記第2供給配管および回収配管を介して前記第1供給配管側に圧送し、該圧送した液体窒素を前記液体窒素供給装置に回収するようにしたことを特徴とする宇宙環境試験装置。 - 前記第1供給配管又は前記回収配管に温度計が設置されていることを特徴とする請求項1に記載の宇宙環境試験装置。
- 前記回収配管は、前記第2供給配管の最下部と前記第1供給配管の最下部とを連結することを特徴とする請求項1又は2に記載の宇宙環境試験装置。
- 真空容器内に設けられ、液体窒素供給装置から液体窒素の供給を受けて冷却されるシュラウドと、前記液体窒素供給装置から第1供給配管を介して供給された液体窒素を一時貯留し、該一時貯留した液体窒素を第2供給配管を介して前記シュラウドに供給するとともに、前記シュラウドから排出された液体窒素を貯留するヘッドタンクとを備え、前記シュラウドをフリーボイリング式で冷却することで、前記真空容器内を宇宙環境の冷暗黒を模擬した状態にして試験を行う宇宙環境試験装置における液体窒素を回収する宇宙環境試験装置の液体窒素回収方法であって、
前記第2供給配管と前記第1供給配管とを回収配管を介して連結し、前記ヘッドタンクの液体窒素を加熱して気化させることで該ヘッドタンク内を加圧することにより、前記ヘッドタンク内および該ヘッドタンクと連通するシュラウド内にある液体窒素を前記第2供給配管および前記回収配管を介して前記第1供給配管側に圧送し、該圧送した液体窒素を前記液体窒素供給装置に回収することを特徴とする宇宙環境試験装置の液体窒素回収方法。
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