JP7106853B2 - レーザ装置および内燃機関 - Google Patents

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Description

本発明は、レーザ装置および内燃機関に関する。
半導体レーザを励起用光源として用いたレーザ装置は、点火装置、レーザ加工機、医療用機器など様々な分野への応用が期待されている。特に、このようなレーザ装置を自動車などの内燃機関における点火装置として用いる方法が検討されている。
このような点火装置では、半導体レーザから発振されたレーザ光(励起光)をQスイッチ式のレーザ共振器に照射して、エネルギー密度の高いパルスレーザ光を発振する。発振されたパルスレーザ光は、シリンダヘッド内の集光用レンズおよび入射用の透明な燃焼室窓(光学窓)を通して、燃焼室内に導入された混合気中に集光させる。これにより、燃焼室内にプラズマが発生し、燃焼室内に噴射された燃料を着火させる(例えば、特許文献1参照)。
また、従来の点火装置では、光学窓の両端を保護ガラスホルダで挟み込み、保護ガラスホルダをハウジングに固定している。そして、光学窓の入射面側には反射防止膜を設けて、レーザ共振器から発振されたパルスレーザ光が光学窓の入射面で反射することを抑制し、燃焼室内に照射されるパルスレーザ光の光量の低下を抑えるようにしている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、従来の点火装置では、光学窓の入射面または出射面に、厚さの均一な膜を形成することは検討されていない。そのため、光学窓の入射面または出射面に形成された膜の厚さが不均一な場合には、前記膜でパルスレーザ光の一部が反射され、パルスレーザ光の透過性が低下する可能性がある。その結果、燃焼室内に入射するパルスレーザ光の光量が低下し、燃焼室で安定して燃料を着火させることができなくなる可能性がある。
本発明の一態様は、パルスレーザ光の光量の低下を抑制することができるレーザ装置を提供することを目的とする。
本発明の一態様によるレーザ装置は、レーザ光を射出する光源と、前記光源から出射される前記レーザ光を集光する光学系と、前記光学系を介した前記レーザ光が通過する光学窓と、前記光学系が収容される筐体と、前記筐体に固定され、前記光学窓を保持する光学窓保持部材と、を有し、前記光学窓は、前記レーザ光が通過しかつ前記光学窓保持部材の端部と同一平面上にある面を有し、前記同一平面上にある面に、前記光学窓と前記光学窓保持部材とに跨って膜が形成されている。
本発明の一態様によるレーザ装置は、パルスレーザ光の光量の低下を抑制することができる。
第1の実施形態に係るレーザ装置を備える内燃機関の主要部を模式的に示す図である。 レーザ装置の構成の一例を示す図である。 窓部材の構成を具体的に示す断面図である。 窓部材の他の構成を具体的に示す断面図である。 窓部材の他の構成を具体的に示す断面図である。 窓部材の他の構成を具体的に示す断面図である。 窓部材の他の構成を具体的に示す断面図である。 窓部材の他の構成を具体的に示す断面図である。 窓部材の他の構成を具体的に示す断面図である。 窓部材の他の構成を具体的に示す断面図である。 窓部材の他の構成を具体的に示す断面図である。 第2の実施形態に係るレーザ装置の窓部材の構成を示す図である。 第3の実施形態に係るレーザ装置の窓部材の構成を示す図である。 窓部材の部分拡大図である。 微細構造部の具体例を示す図である。 微細構造部の他の具体例を示す図である。 微細構造部の他の具体例を示す図である。 微細構造部の変形例を示す図である。 微細構造部の他の変形例を示す図である。 ガウス分布を説明するための図である。 微細構造部領域1を説明するための図である。 微細構造部領域2を説明するための図である。 微細構造部領域3を説明するための図である。 有効ビーム径を説明するための図である。 微細構造部領域4を説明するための図である。 微細構造部領域5を説明するための図である。 従来の窓部材のレーザ光の反射を説明するための図である。 実施形態に係る窓部材におけるレーザ光の反射を説明するための図である。 窓部材の反射光の低減効果を説明するための図である。 窓部材の変形例1を説明するための図である。 窓部材の変形例2を説明するための図である。 窓部材の変形例3を説明するための図である。 窓部材の変形例4を説明するための図である。 窓部材の変形例5を説明するための図である。 窓部材の変形例6を説明するための図である。
以下、実施形態について詳細に説明する。
[第1の実施形態]
第1の実施形態に係るレーザ装置を内燃機関に適用した場合について、図面を参照して説明する。本実施形態では、内燃機関としてエンジンを用いた場合について説明する。
<内燃機関>
図1は、第1の実施形態に係るレーザ装置を備える内燃機関の主要部を模式的に示す図である。図1に示すように、エンジン10は、レーザ装置11、燃料噴出機構12、排気機構13、燃焼室14、およびピストン15を有する。
エンジン10の動作について簡単に説明する。燃料噴出機構12が、燃料と空気とを含む可燃性混合気を燃焼室14内に噴出させる(吸気)。その後、ピストン15が上昇して、可燃性混合気が圧縮される(圧縮)。レーザ装置11は、燃焼室14内の圧縮された混合気中にレーザ光を集光させ、プラズマを発生させる。発生したプラズマにより、混合気中の燃料に点火させる(着火)。点火により混合気が燃焼(爆発)することで、燃焼室14内で燃焼ガスが膨張する。これにより、ピストン15が降下する(燃焼)。その後、排気機構13が、燃焼ガスを燃焼室14外へ排気する(排気)。
このように、エンジン10では、吸気、圧縮、着火、燃焼、および排気からなる一連の工程が繰り返される。そして、燃焼室14内の気体の体積変化に対応してピストン15が運動し、運動エネルギーを生じさせる。燃料には、例えば、天然ガスやガソリンなどが用いられる。
なお、レーザ装置11は、エンジン10の外部に設けられている駆動装置16と電気的に接続されており、レーザ装置11におけるレーザ光の出射は、エンジン制御装置17の指示に基づいて駆動装置16により制御される。
<レーザ装置>
レーザ装置11について説明する。レーザ装置11の構成の一例を図2に示す。図2に示すように、レーザ装置11は、面発光レーザ(光源)21、第1集光光学系22、光ファイバ(伝送部材)23、第2集光光学系24、レーザ共振器25、第3集光光学系26、窓部材27A、および筐体(ハウジング)28を有する。なお、図2中、レーザ光は、二点鎖線で示す。本明細書では、3軸方向(X軸方向、Y軸方向、Z軸方向)の3次元直交座標系を用い、面発光レーザ21からのレーザ光の出射方向を+Z方向とし、レーザ光の光軸に直交する面において、互いに直交する2つの方向のうち一方をX軸方向とし、他方をY軸方向として説明する。
面発光レーザ21は、励起用光源であり、複数の発光部を有している。各発光部は、垂直共振器型の面発光レーザ(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser)である。面発光レーザ21からレーザ光を出射する際には、複数の発光部が同時に発光し、面発光レーザ21からレーザ光を出射しない場合には、複数の発光部が同時に消灯する。面発光レーザ21から出射されるレーザ光の波長は、例えば、約808nmである。
面発光レーザ21は、駆動装置16と電気的に接続されており、エンジン制御装置17の指示に基づいて、駆動装置16が面発光レーザ21を駆動して、面発光レーザ21からレーザ光が出射される。
半導体レーザとして、端面発光レーザが知られている。しかし、端面発光レーザから出射されるレーザ光の波長は、温度に対して大きく変動しやすい。レーザ装置11は、エンジン10の周辺の高温環境下で使用されるため、端面発光レーザを励起用光源に使用する場合、端面発光レーザの温度を一定に保つための精密な温度制御機構が必要になる。そのため、レーザ装置11の大型化や高コスト化を招く。
一方、面発光レーザ21から出射されるレーザ光の波長の変動は、端面発光レーザから出射されるレーザ光の波長の変動の約1/10である。レーザ装置11は、面発光レーザ21を励起用光源に使用しているので、精密な温度制御機構を必要としない。そのため、レーザ装置11は、小型かつ低コストにすることができる。また、面発光レーザ21は、発光領域が半導体内部にあるため、端面破壊の懸念がなく、安定して発光することができる。
さらに、面発光レーザ21は、出射されるレーザ光の、温度による波長ずれが非常に小さい。そのため、面発光レーザ21は、波長ずれによって特性が大きく変化するQスイッチ式のレーザ共振器でレーザ光のエネルギー密度を高めるのに有利な光源である。そこで、面発光レーザ21を励起用光源に用いると、環境の温度制御を簡易なものにすることができる。
第1集光光学系22は、面発光レーザ21から出射されたレーザ光を光ファイバ23の-Z側端面の中心部に集光する。第1集光光学系22は、少なくとも1つの集光レンズを有する。本実施形態では、第1集光光学系22は、マイクロレンズ221、および集光レンズ系222を有している。
マイクロレンズ221は、面発光レーザ21から出射されたレーザ光の光路上に配置されている。マイクロレンズ221は、面発光レーザ21の複数の発光部に対応する複数のレンズを有する。各レンズは、対応する発光部から出射されたレーザ光を略平行光とする。すなわち、マイクロレンズ221は、面発光レーザ21から出射されたレーザ光をコリメートする。
面発光レーザ21とマイクロレンズ221とのZ軸方向に関する距離は、マイクロレンズ221の焦点距離に応じて決定される。
集光レンズ系222は、マイクロレンズ221を介したレーザ光を集光する。
集光レンズ系222は、マイクロレンズ221を介したレーザ光の断面積、光ファイバ23のコア径および開口数(NA)に応じて適切なものが選択される。なお、集光レンズ系222は、複数の光学素子から構成されていてもよい。
なお、第1集光光学系22は、少なくとも1つの集光レンズを有していればよく、複数の光学素子で構成されていてもよい。
光ファイバ23は、第1集光光学系22によってレーザ光が集光される位置にコアの-Z側端面の中心が位置するように配置されている。本実施形態では、光ファイバ23としては、例えば、コア径が1.5mmの光ファイバが用いられる。
光ファイバ23に入射したレーザ光は、コア内を伝播し、コアの+Z側端面から出射する。
光ファイバ23を設けることによって、面発光レーザ21をレーザ共振器25から離れた位置に置くことができる。これにより、面発光レーザ21や第1集光光学系22の配置の自由度が増大する。また、エンジン10の周辺の高温領域から面発光レーザ21を遠ざけることができるので、エンジン10の冷却方法の幅を広げることができる。さらに、振動源であるエンジン10から面発光レーザ21を遠ざけた位置に設けることができるので、面発光レーザ21から出射されるレーザ光のぶれを防ぐことができる。
第2集光光学系24は、光ファイバ23から出射されたレーザ光の光路上に配置され、光ファイバ23から出射された光を集光する。第2集光光学系24で集光されたレーザ光は、レーザ共振器25に入射する。本実施形態では、第2集光光学系24は、第1レンズ241、および第2レンズ242を有している。
第1レンズ241は、コリメートレンズであり、光ファイバ23から出射されたレーザ光を略平行光とする。
第2レンズ242は、集光レンズであり、第1レンズ241によって略平行光とされたレーザ光を集光する。
なお、第2集光光学系24は、集光レンズを有していれば、1つの光学素子で構成されていてもよいし、3つ以上のレンズを有していてもよい。
レーザ共振器25は、Qスイッチ式のレーザ共振器である。本実施形態では、レーザ共振器25は、レーザ媒質251、および可飽和吸収体252を有している。レーザ共振器25では、入射されたレーザ光のエネルギー密度が高められて、波長が例えば約1064nmのレーザ光が短いパルス幅で出射される。
レーザ媒質251は、略直方体形状のNd:YAG結晶であり、Ndが1.1%ドープされている。
可飽和吸収体252は、略直方体形状のCr:YAG結晶である。可飽和吸収体252は、レーザ光の吸収量によって透過率が変化するものであり、初期透過率は約0.50(50%)である。レーザ光の吸収量が小さい時は吸収体として機能し、レーザ光の吸収量が飽和すると透明になる。可飽和吸収体252が透明になることで、Qスイッチ発振が発生する。
Nd:YAG結晶およびCr:YAG結晶は、いずれもセラミックスであるため、単結晶に比べて生産コストが低く、安価である。また、Nd:YAG結晶とCr:YAG結晶とは接合されて、いわゆるコンポジット結晶となっている。そのため、Nd:YAG結晶とCr:YAG結晶との境界は分離していないため、レーザ共振器25は、単一の結晶と同等の特性を得ることができる。
また、レーザ媒質251の入射側(-Z側)の面(入射面)251a、および可飽和吸収体252の出射側(+Z側)の面(出射面)252bは、光学研磨処理が施されている。これにより、ミラーの役割を果たすことができる。
さらに、入射面251aおよび出射面252bには、面発光レーザ21から出射される光の波長(例えば、808nm)、およびレーザ共振器25から出射されるレーザ光の波長(例えば、1064nm)に応じた誘電体層が形成されている。例えば、入射面251aには、波長が808nmのレーザ光に対して高い透過率を示し、波長が1064nmのレーザ光に対して高い反射率を示す誘電体層が形成される。出射面252bには、波長が1064nmのレーザ光に対して約50%の反射率を示す誘電体層が形成される。
第2集光光学系24で集光されたレーザ光がレーザ共振器25に入射すると、レーザ光はレーザ共振器25内で共振し増幅される。また、レーザ媒質251に入射したレーザ光によってレーザ媒質251が励起される。なお、面発光レーザ21から出射されるレーザ光の波長(例えば、808nm)は、YAG結晶において最も吸収効率の高い波長である。また、面発光レーザ21から出射され、第1集光光学系22および光ファイバ23を通って、レーザ媒質251に入射されるレーザ光を、「励起光」ともいう。
レーザ共振器25内でレーザ光が共振し増幅されることで、レーザ光のエネルギー密度が高くなる。可飽和吸収体252においてレーザ光の吸収量が飽和すると、可飽和吸収体252においてQスイッチ発振が発生する。これにより、エネルギー密度の高いレーザ光がレーザ共振器25から短いパルス幅でエネルギーを集中させて出射される。レーザ共振器25から出射されるレーザ光を、パルスレーザ光ともいう。パルスレーザ光の波長は、例えば、約1064nmである。
レーザ共振器25で増幅されたレーザ光は、第3集光光学系26に入射される。
第3集光光学系26は、レーザ共振器25から出射されるレーザ光の光路上に配置されている。第3集光光学系26は、レーザ共振器25から出射されるレーザ光を集光させ、集光点で高いエネルギー密度を得る。集光されたレーザ光は、ある一定のエネルギー密度を超えると、燃焼室14内の可燃性混合気に含まれる気体を構成する分子が電離し、陽イオンと電子とに別れ、プラズマ化(ブレークダウン)する。
本実施形態では、第3集光光学系26は、第3レンズ261、第4レンズ262、および第5レンズ263で構成されている。
第3レンズ261は、レーザ共振器25から出射されるレーザ光の発散角度を大きくするための光学素子であり、本実施形態では、凹レンズが用いられている。
第4レンズ262は、第3レンズ261からの発散光をコリメートするための光学素子であり、本実施形態では、コリメートレンズが用いられている。
第5レンズ263は、第4レンズ262からのレーザ光を集光するための光学素子であり、本実施形態では、集光レンズが用いられている。
第5レンズ263によりレーザ光が集光され、集光点で高いエネルギー密度を得ることができる。集光されたレーザ光は、ある一定のエネルギー密度を超えることで、燃焼室14内の可燃性混合気中の気体を構成する分子が電離され、プラズマが発生する。
第3集光光学系26は、第3集光光学系26を構成するレンズの光軸方向の位置や第3集光光学系26を構成するレンズの組み合わせによって、レーザ装置11から出射される光のZ軸方向に関する集光位置の調整を行うことができる。
なお、第3集光光学系26は、3つのレンズで構成されているが、少なくとも1つのレンズで構成されていればよく、一つの光学素子で構成されていてもよいし、複数の光学素子で構成されていてもよい。
窓部材27の構成について説明する前に、ハウジング28について説明する。ハウジング28は、第2集光光学系24、レーザ共振器25、第3集光光学系26、および窓部材27Aの光学窓271を収容している。本実施形態では、ハウジング28は、第1ハウジング28-1と第2ハウジング28-2とで構成されている。第1ハウジング28-1は、第2集光光学系24、およびレーザ共振器25を収容している。第2ハウジング28-2は、第3集光光学系26、および光学窓271を収容している。
ハウジング28には、例えば、鉄、Ni-Fe系合金、Ni-Cr-Fe系合金、Ni-Co-Fe系合金、ステンレスなどの耐熱性金属が用いられる。Ni-Cr-Fe系合金として、例えば、インコネルなどが挙げられる。Ni-Co-Fe系合金として、例えば、コバールなどが挙げられる。
次に、窓部材27Aの構成について説明する。光学窓271の構成を具体的に図3に示す。図3に示すように、窓部材27Aは、光学窓(窓本体)271、光学窓保持部材272、反射防止(AR:Anti Reflection)膜(AR膜)273、および触媒層274を有する。本実施形態では、光学窓271の、レーザ光が通過する入射面271aおよび出射面271bに形成される膜として、反射防止膜273および触媒層274が設けられている。
光学窓271は、第3集光光学系26から出射されるレーザ光の光路上に配置されている。光学窓271は、透明または半透明の材料で構成され、レーザ光が入射する入射面271aおよびレーザ光が出射する出射面271bを有する。入射面271aは、光学窓271の第3集光光学系26側の面であり、レーザ光が通過する面である。入射面271aは、光学窓保持部材272のレーザ光の入射側の端部である入射側端面272aと同一平面上にある。出射面271bは、光学窓271の燃焼室14側の面であり、レーザ光が通過する面である。出射面271bは、光学窓保持部材272のレーザ光の出射側の端部である出射側端面272bと同一平面上にある。なお、本実施形態では、光学窓保持部材272の端部である入射側端面272aおよび出射側端面272bは、平面としているが、曲面、凸状などでもよい。
光学窓271は、光学窓保持部材272の内面にロウ材(接合材)を用いて形成されたロウ付け部29で固定される。光学窓271は、ハウジング28の燃焼室14側の面に形成された開口に位置するように配置される。第3集光光学系26から出射されたレーザ光は、光学窓271を透過して、燃焼室14内で集光される。
光学窓271の平面視における形状は、特に限定されるものではなく、例えば、矩形状、円形状、楕円状、長方形状、多角形状などであってもよい。
光学窓271の材料としては、例えば、光学ガラス、耐熱ガラス、石英ガラス、サファイアガラスなどを用いることができる。特に、光学窓271は、燃焼室14内に発生する燃焼圧力からハウジング28の内部の光学部材などを保護するため、十分な耐圧強度が必要となる。そこで、光学窓271の厚みを厚くすることが考えられる。しかし、光学窓271の厚みが厚くなると、光学窓271の出射面で入射したレーザ光の一部が反射されて、光学窓271の内部で集光しやすくなる。そのため、光学窓271の内部での集光を抑制するためには、第3集光光学系26の焦点距離を長くする必要がある。
第3集光光学系26は、その焦点距離を長くすると、レンズの開口数(NA)が小さくなるので、集光強度が低下し、着火性が低下する。そのため、光学窓271の厚さは、できる限り薄いことが好ましい。そこで、光学窓271の材料としては、高温高圧環境下での耐久性に優れたサファイアガラスを用いることが好ましい。
光学窓保持部材272は、ハウジング28の燃焼室14側の面に形成された開口の周囲にハウジング28を覆うように取り付けられている。光学窓保持部材272は、レーザ溶接などにより形成される溶接部30により、ハウジング28に固定される。なお、光学窓保持部材272のハウジング28への固定方法は、レーザ溶接などの溶接以外に、例えば、ねじ止め、焼きばめ、接着などにより、ハウジング28に固定されてもよい。
光学窓保持部材272の出射側端面272bは、第2ハウジング28-2の端面28bと略同一平面上としている。これにより、溶接部30がレーザ溶接などを用いて形成される場合、溶接部30にレーザ光を集光させ易くなるので、光学窓保持部材272と第2ハウジング28-2との間に、溶接部30を安定してムラなく確実に設けることができる。そのため、第2ハウジング28-2に光学窓保持部材272を安定して固定できる。
光学窓保持部材272は、その内面(内壁)272cに、ロウ付け部29で光学窓271を固定して保持している。なお、本実施形態では、接合材として、ロウ材を用いているが、高温での耐熱性を有する他の接合材を用いてもよい。また、接合材を用いずに、ねじ止めや焼きばめなどにより、光学窓保持部材272に光学窓271を固定してもよい。
光学窓保持部材272を形成する材料としては、例えば、鉄、ニッケル、Ni-Fe系合金、Ni-Cr-Fe系合金、Ni-Co-Fe系合金、ステンレスなどの耐熱性金属材料を用いることができる。Ni-Cr-Fe系合金として、例えば、インコネルなどが挙げられる。Ni-Co-Fe系合金として、例えば、コバールなどが挙げられる。中でも、本実施形態では、光学窓271は、サファイアで形成されることが好ましいことから、光学窓保持部材272を形成する材料は、サファイアと熱膨張係数の近いコバールを使用することが好ましい。
本実施形態では、光学窓保持部材272は、光学窓保持部材272を固定する第2ハウジング28-2と同じ熱膨張係数を有する材料で形成することが好ましい。本実施形態では、光学窓保持部材272と第2ハウジング28-2とを同一の材料で形成しているが、同じ熱膨張係数を有するものであれば、異なる材料を用いてもよい。光学窓保持部材272と第2ハウジング28-2とを同じ熱膨張係数を有する材料で形成することで、これらの熱膨張係数の差により生じる応力がロウ材および溶接部30に加わることを抑制できる。なお、同じ熱膨張係数とは、まったく同一の値を意味する他、応力差としてロウ材や溶接部30に影響を与えない程度の数%の誤差を許容する意味である。
光学窓保持部材272および第2ハウジング28-2が同じ熱膨張係数を有する材料で形成されることが好ましい理由について説明する。光学窓保持部材272および第2ハウジング28-2は、燃焼室14に晒されているので、燃焼室14の温度の影響を受けやすい。そのため、燃焼室14内で混合気が燃焼している時は、光学窓保持部材272および第2ハウジング28-2の温度は、例えば、数百℃~約1000℃程度にまで上昇する。
ここで、光学窓保持部材272と第2ハウジング28-2とが異なる熱膨張係数を有する材料で形成されているとする。この場合、燃焼室14内が高温となっている時には光学窓保持部材272と第2ハウジング28-2との熱膨張係数の差により、応力が発生する。この応力により、ロウ付け部29や溶接部30が引っ張られたり、ロウ付け部29や溶接部30に亀裂が生じるなど、ロウ付け部29や溶接部30に負荷がかかり、ロウ付け部29や溶接部30を劣化させる可能性がある。
一方、光学窓保持部材272および第2ハウジング28-2が、同じ熱膨張係数を有する材料で形成されていれば、光学窓保持部材272および第2ハウジング28-2が、燃焼室14の温度の影響を受けて高温(例えば、数百℃~約1000℃程度)になっても、熱膨張係数の差により生じる応力がロウ付け部29および溶接部30に加わることはない。そのため、光学窓保持部材272と第2ハウジング28-2との間に生じる応力に起因して、ロウ付け部29や溶接部30が引っ張られたり、ロウ付け部29や溶接部30に亀裂が生じるなど、ロウ付け部29および溶接部30に加わる負荷を軽減することができる。よって、光学窓271を光学窓保持部材272に安定して固定することができる。
また、本実施形態では、光学窓保持部材272および第2ハウジング28-2を形成する材料としては、例えば、コバールなどを用いることが好ましい。コバールは、金属の中でも、常温付近での熱膨張率が低く、例えば、サファイアガラスなどのような硬質ガラスに近い。光学窓271が、例えば、サファイアで形成される場合、光学窓保持部材272および第2ハウジング28-2を形成する材料にコバールを用いることで、光学窓271と光学窓保持部材272および第2ハウジング28-2とは、近似した熱ひずみを生じる。そのため、光学窓271と光学窓保持部材272および第2ハウジング28-2との間に熱膨張係数の差異により生じる応力を低減することができる。
よって、熱膨張係数の差異に起因して生じる応力が、光学窓271と光学窓保持部材272との間に設けられるロウ付け部29に加わることを軽減できる。また、この応力が、光学窓保持部材272と第2ハウジング28-2との間に設けられる溶接部30とに加わることも軽減できる。これにより、ロウ付け部29および溶接部30の負荷をさらに軽減できる。
したがって、光学窓保持部材272および第2ハウジング28-2が、同じ熱膨張係数を有する材料で形成されている場合には、レーザ装置11は、燃焼室14内に入射するレーザ光の光量が低下することをさらに安定して軽減できる。また、レーザ装置11は、光学窓271を光学窓保持部材272に安定して固定できる。そのため、燃焼室14内が燃焼により高温環境下となっても、長期間、安定して使用できる。これにより、信頼性の高いレーザ装置が得られる。
なお、本実施形態では、光学窓保持部材272を固定する第2ハウジング28-2を、光学窓保持部材272と同じ熱膨張係数を有する材料で形成しているが、これに限定されない。例えば、第1ハウジング28-1および第2ハウジング28-2を光学窓保持部材272と同じ熱膨張係数を有する材料で形成してもよい。
反射防止膜273は、光学窓271の入射面271aに設けられ、レーザ光の反射を抑制する膜である。本実施形態では、反射防止膜273は、波長が1064nmのレーザ光に対しては高い透過率を有する。
反射防止膜273を形成する材料としては、例えば、Si、Na、Al、Ca、Mg、B、C、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Sr、Zr、Nb、Ru、Pd、Ag、In、Sn、Hf、Ta、W、Ot、Au、およびBiのいずれかを主成分とする材料、または前記主成分の窒化物、酸化物、炭化物、およびフッ化物のいずれかを少なくとも一つ含む材料を用いることができる。
具体的には、例えば、MgF、Si、SiOなどを用いることができる。また、反射防止膜273と光学窓271との屈折率差が少ないほうが、反射防止特性を向上させることができる。
反射防止膜273を光学窓271に形成する方法としては、例えば、蒸着、スパッタ、溶射、塗布、またはゾルゲル法などを用いることができる。
反射防止膜273は、例えば、光学窓271が光学窓保持部材272にロウ付けなどにより固定された状態で光学窓271の入射面271aに設けることが好ましい。光学窓271が光学窓保持部材272に固定される際、光学窓保持部材272が高温に加熱されるので、光学窓271も高温に加熱されてしまう。例えば、光学窓271が光学窓保持部材272にロウ材を用いて固定される場合、光学窓271が高温(例えば、約1000℃)で熱処理される。このとき、反射防止膜273は、上記の温度までの耐熱性を有していない可能性がある。反射防止膜273の耐熱温度は、例えば、400℃程度である。そのため、反射防止膜273は、光学窓271が光学窓保持部材272に固定された状態で、光学窓271の入射面271aに設けられることが好ましい。
本実施形態では、反射防止膜273の厚さは、波長が1064nmのレーザ光に対して高い透過率を有するように設計されている。例えば、光学窓271がサファイアガラスで形成される場合、サファイアの屈折率は1.74程度であるので、反射防止膜273の厚さは202nm程度、屈折率は1.32程度であることが好ましい。
なお、本実施形態において、反射防止膜273の厚さとは、光学窓271との接触面に対する反射防止膜273の垂直方向の長さをいう。反射防止膜273の厚さは、例えば、反射防止膜273の断面において、任意の場所を測定した時の厚さである。
本実施形態では、光学窓271の入射面271aは、図3に示すように、光学窓保持部材272の入射側端面272aと略同一平面上となるようにしている。これにより、光学窓271の入射面271aは、光学窓保持部材272の入射側端面272aよりも出射側に窪んだ状態とはならず、同じ面となる。そのため、光学窓271の入射面271aおよび光学窓保持部材272の入射側端面272aには、反射防止膜273を安定して形成できるので、面内での厚さのばらつきが小さい反射防止膜273が安定して形成される。
反射防止膜273の厚さのばらつきが小さいと、反射防止膜273の入射面273aに入射したレーザ光の一部が、入射面273aで反射されることをより低減できるので、レーザ光の透過率の低下をより抑えることができる。この結果、燃焼室14内に入射するレーザ光の光量が低下することを抑制できる。また、反射防止膜273に入射したレーザ光の一部が反射され、第3集光光学系26などに集光することをより抑えられるので、第3集光光学系26など光学部材の損傷を防ぐことができる。
本実施形態では、反射防止膜273の表面粗さRaは、100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましく、10nm以下であることがさらに好ましい。反射防止膜273の表面粗さRaが100nm以下であれば、反射防止膜273の入射面273aの全面において、入射面273aに入射したレーザ光の一部が入射面273aで反射することをさらに抑制できる。
本実施形態では、表面粗さRaは、反射防止膜273のレーザ光の入射側の表面における凹凸状態の平均値である。表面粗さRaとは、算術平均粗さであり、JIS B 0601(2013)に準拠して測定した値である。表面粗さRaは、例えば、公知の表面粗さ測定機などにより測定することができる。
また、本実施形態では、反射防止膜273は、光学窓271の入射面271aから光学窓保持部材272の入射側端面272aに跨がって形成されている。ここで、光学窓271の入射面271aのみに、反射防止膜273を形成しようとした場合、反射防止膜273を形成しない箇所にマスクを設置するなどの工程が必要になる。また、マスクを設置するなどの工程により、反射防止膜273の形成箇所の位置ずれが生じる可能性がある。反射防止膜273を入射面271aから入射側端面272aに跨がるように形成することで、確実にレーザ光の通過する面に反射防止膜273が形成され、かつ反射防止膜273の形成に要する費用が抑えられる。
なお、本実施形態では、反射防止膜273は、一層としているが、多層でもよい。
触媒層274は、光学窓271の出射面271bに設けられ、酸化還元反応を促進する膜である。
触媒層274は、粒子状の光触媒の集合体で形成することができる。光触媒の材料としては、TiO、WO、Fe、MoS、Si、CuO、CuInS、TaON、C、SiC、SrTiO、GaP、GaAs、CdSe、CdS、またはZnOなどを用いることができる。これら一種単独で用いてもよいし、二種以上併用してもよい。中でも、TiOを用いることが好ましい。
光触媒がTiOである場合、TiOは、アナターゼ型、ルチル型、またはブルッカイト型の結晶構造を有することが好ましい。中でも、結晶構造がアナターゼ型のTiOは、三種類の結晶構造の中でも、最も高い活性を示すため、アナターゼ型のTiOを用いることが好ましい。
光触媒は、光触媒の材料によって異なるが、光触媒が光触媒の機能を発揮するためには、光触媒のバンドギャップに相当する光子エネルギー(波長)を有する光、またはそれより大きい光子エネルギー(波長)を有する光を照射する必要がある。光触媒に、所定の波長以下の光を照射すると、光触媒は光を吸収して電子と正孔が生成される。生成された正孔が、直接、酸化反応に関与して、有機物を分解する。また、正孔が結晶表面の水分や水酸基(OH基)と反応してヒドロキシラジカル(・OH)を生じる。・OHが酸化反応に関わり、強い酸化力を生じることで、有機物を酸化、分解する。生成された電子は、光触媒の表面に存在する酸素を還元して、スーパーオキシドイオン(O2-)を生成する。O2-は、結晶表面の水分と反応して過酸化水素や、・OHが生じる。過酸化水素や・OHが酸化反応に関わり、強い酸化力を生じることで、有機物を酸化、分解する。
触媒層274で光触媒が光触媒効果を発現させる際、燃焼室14内でレーザ光が集光してプラズマ化することで発生した光、燃焼室14内に供給される空気、および燃焼室14内に存在する水分子が利用される。これにより、触媒層274で光触媒が光触媒効果を発現し、有機物などが分解される。
エンジン10では、一般的に、ピストン15の摩擦低減などのため、エンジンオイルが用いられており、燃焼室14内には霧状となったオイルミストが浮遊している。そのため、従来の窓部材では、窓部材の燃焼室側の面にオイルミストなどが付着する。そして、煤などが堆積して、デポジットを形成すると、燃焼室14内に入射するレーザ光の光量が低下し、着火安定性が損なわれる可能性がある。
本実施形態では、触媒層274が光学窓271の出射面271bに設けられることで、燃焼室14内に生じる有機物や煤などが触媒層274の表面に付着しても、これらを分解することができる。そのため、触媒層274の表面に汚れなどが付着することを抑制できる。これにより、触媒層274は、第3集光光学系26から出射されるレーザ光の透過性を維持できるので、燃焼室14内に入射するレーザ光の光量を維持できる。
光学窓271の出射面271bは、光学窓保持部材272の出射側端面272bと略同一平面上となるように設けられている。また、出射面271bは、光学窓保持部材272の出射側端面272bよりも出射方向である燃焼室14側に突出させてもよい(図5A参照)。後述するように、光学窓271の出射面271bが光学窓保持部材272の出射側端面272bよりも入射側に位置すると、光学窓271への触媒層274の形成時に、触媒層274を形成する材料が光学窓保持部材272やロウ付け部29に接触する可能性がある。その結果、触媒層274の厚さのばらつきや触媒層274の厚さを増大させるだけでなく、透過率を低下させる可能性がある。
本実施形態では、光学窓271の出射面271bは、光学窓保持部材272の出射側端面272bと略同じ平面上としている。これにより、光学窓271の出射面271bに、光学窓保持部材272およびロウ付け部29の影響を受けることなく、触媒層274を形成することができる。また、厚さのばらつきが少なく、厚さの小さい触媒層274を容易に形成できる。
本実施形態では、触媒層274の厚さは、1μm以下であることが好ましい。触媒層274の厚さが1μmを超えると、触媒層274の透過率が低下して、レーザ光の高い透過率を維持できない可能性がある。透過率の劣化は、レーザ共振器25から出射したレーザ光の強度を低下させるため、プラズマ化して発生する光の強度が低下してしまう可能性がある。そのため、エンジン10の燃焼性能が低下するか、場合によっては失火してしまう可能性がある。
なお、触媒層274の厚さの下限値は、触媒層274が高い透過率を有し、かつ光学窓271に安定して形成できれば、特に限定されない。触媒層274の透過率の点から、触媒層274の厚さは薄いほうが好ましい。しかし、触媒層274が光学窓271に直接形成される場合、触媒層274が薄すぎると、光学窓271の表面は撥水性が高い傾向にあるため、光学窓271上に触媒層274が安定して形成されない可能性がある。特に、光学窓271がサファイアで形成される場合、サファイアは高い撥水性を有するため、触媒層274は光学窓271に形成されにくい傾向にある。そのため、触媒層274の厚さの下限値は、光学窓271の材料に応じて適宜調整される。
また、触媒層274は、レーザ光の反射を防止するため、入射光と触媒層274の屈折率を考慮して、さらに適正な厚さに調整することが好ましい。例えば、触媒層274が単層である時、反射率が最も小さくなるように算出される触媒層274の屈折率nAR1は次の式(1)で表され、触媒層274の厚さdAR1は次の式(2)で表される。式中、nは空気の屈折率(n=1)であり、nは光学窓271の屈折率であり、λはレーザ光の波長(1064nm)である。
AR1=√(n×n) ・・・(1)
AR1=λ/(4×nAR1) ・・・(2)
例えば、光学窓271の材質がサファイアである場合、屈折率は1.74である。この場合、nAR1は1.32となり、触媒層274の厚さdAR1を201.5nmにすることで、単層の触媒層274は、高い反射防止機能を有することができる。よって、触媒層274が単層である場合には、上記式(1)および式(2)から算出した数値に近くなるように調整することが望ましい。
なお、本実施形態において、触媒層274の厚さとは、反射防止膜273の厚さと同様に定義でき、触媒層274の厚さは、反射防止膜273と同様に測定できる。
触媒層274を形成する光触媒の粒子の平均粒子径は、100nm以下であることが好ましい。光触媒が光触媒機能を発揮するためには、光触媒の表面に電子および正孔が多く生成されていることが好ましいといえる。電子や正孔は光触媒の表面に現れやすくするため、光触媒の粒子は小さい方が望ましい。一方、光触媒の粒子が大きいと、触媒層274の透明度が低下する可能性がある。そのため、触媒層274が光触媒機能を発揮しつつ、レーザ光の透過性を維持するためには、光触媒の粒子の平均粒子径は、100nm以下であることが好ましい。
なお、光触媒の平均粒子径は、光触媒を透過型電子顕微鏡(TEM)にて任意の数(例えば、100個)観察し、その投影面積を求め、得られた面積の円相当径を計算して粒径を求め、その平均値を平均粒子径とする。
触媒層274を光学窓271に形成する方法としては、従来より公知の方法を用いることができ、例えば、蒸着、スパッタ、溶射、塗布、またはゾルゲル法などを用いることができる。
触媒層274は、光学窓271が光学窓保持部材272に固定され、光学窓271の入射面271aに反射防止膜273が形成された状態で、光学窓271の出射面271bに設けられることが好ましい。光学窓271が光学窓保持部材272に固定される際、または反射防止膜273が光学窓271に固定される際、高温(例えば、1000℃程度)で熱処理されるので、光学窓271も高温に加熱されてしまう。例えば、光学窓271が光学窓保持部材272にロウ材を用いて固定される場合、光学窓271が高温(例えば、約1000℃)に加熱される。このとき、触媒層274は、反射防止膜273と同様、上記の温度までの耐熱性を有していない可能性がある。また、触媒層274を形成する材料によっては、加熱温度によって結晶構造が変化する可能性がある。そのため、触媒層274は、光学窓271が光学窓保持部材272に固定され、光学窓271の入射面271aに反射防止膜273が形成された状態で、光学窓271の出射面271bに設けられることが好ましい。触媒層274が、例えばTiO2で形成される場合、触媒層274は、例えば、650℃以下で加熱されることが好ましい。加熱温度が650℃を超えると、TiO2の結晶状態がアナターゼ型から、アナターゼ型よりも活性の低いルチル型に転移してしまう。
また、触媒層274は、光学窓271の出射面271bから光学窓保持部材272の出射側端面272bに跨がって形成されている。ここで、光学窓271の出射面271bのみに触媒層274を形成しようとした場合、触媒層274を形成しない箇所にマスクを設置するなどの工程が必要になる。また、マスクを設置するなどの工程により、触媒層274の形成箇所の位置ずれが生じる可能性がある。触媒層274を出射面271bから出射側端面272bに跨がるように形成することで、確実にレーザ光の通過する面に触媒層274が形成され、かつ触媒層274の形成に要する費用が抑えることができる。
なお、本実施形態では、触媒層274は一層としているが、多層でもよい。
以上のように、レーザ装置11は、光学窓保持部材272の入射側端面272aと同一平面上にある、光学窓271の入射面271aに厚さのばらつきが小さい反射防止膜273を有する。これにより、レーザ共振器25から出射されるレーザ光が反射防止膜273で反射されることをさらに抑えることができるので、燃焼室14内に入射するレーザ光の光量が低下することを一層軽減することができる。そのため、レーザ装置11は、燃焼室14内に入射するレーザ光の光量を維持することができる。
また、レーザ装置11は、光学窓保持部材272の出射側端面272bと同一平面上にある、光学窓271の出射面271bに触媒層274を有する。これにより、燃焼室内のオイルミスト、または煤などの汚れが出射面271bに付着することを抑制することができる。この結果、触媒層274でパルスレーザ光の透過性を維持できるため、燃焼室14内に入射するレーザ光の光量を維持することができる。
よって、レーザ装置11は、光学窓271の入射面271aに反射防止膜273を有し、出射面271bに触媒層274を有することで、燃焼室14内でプラズマを安定して発生させることができる。これにより、燃焼室14内で安定して点火させることができる。
また、本実施形態では、反射防止膜273は、光学窓271の入射面271aから光学窓保持部材272の入射側端面272aに跨がって形成され、触媒層274は、出射面271bから出射側端面272bに跨がって形成されている。これにより、反射防止膜273および触媒層274をレーザ光の通過する面に対して確実に形成することができると共に、反射防止膜273および触媒層274の形成に要する費用を抑えることができる。
さらに、本実施形態では、反射防止膜273の表面粗さRaを100nm以下とすることで、反射防止膜273の入射面に入射したレーザ光の一部が反射することをさらに抑制することができる。これにより、燃焼室14内に入射するレーザ光の光量が低下することを軽減することができるので、燃焼室14内でプラズマをさらに安定して発生させることができる。
また、本実施形態では、触媒層274の厚さを1μm以下としている。これにより、触媒層274におけるレーザ光の透過率の低下を抑制できるので、レーザ光の高い透過率を維持できる。
また、本実施形態では、触媒層274を形成する光触媒の粒子の平均粒子径を100nm以下とすることで、触媒層274が光触媒機能を発揮しつつ、触媒層274におけるレーザ光の透過性を維持することができる。
エンジン10(図1参照)は、レーザ装置11を備えているので、燃焼効率を安定して維持することができる。これにより、エンジン10(図1参照)の性能を安定させることができる。
(変形例)
なお、本実施形態では、光学窓271は、反射防止膜273および触媒層274の両方を備えているが、どちらか一方のみを備えてもよい。例えば、本実施形態では、反射防止膜273が光学窓271の入射面271aに設けられているが、反射光の影響などがない場合には、特に設けなくてもよい。
本実施形態では、光学窓271の入射面271aは、図3に示すように、光学窓保持部材272の入射側端面272aと略同一平面上となるように設計されているが、これに限定されない。例えば、入射面271aは、図4Aに示すように、光学窓保持部材272の入射側端面272aよりも入射方向(-Z軸方向)である第3集光光学系26側に突出していてもよい。この場合でも、光学窓271の入射面271aには、表面粗さRaが小さい反射防止膜273を形成することができる。これにより、反射防止膜273の入射面273aの全面において、反射防止膜273に入射したレーザ光の透過率が低下することを抑制できる。そのため、燃焼室14内に入射するレーザ光の光量が低下することをさらに安定して軽減できる。また、光学窓271に入射したレーザ光の一部が反射され、第3集光光学系26などに集光することを抑制できるので、第3集光光学系26など光学部材が損傷することを防ぐことができる。
また、入射面271aは、図4Bに示すように、入射側端面272aに対してへこんだ位置に設けられていてもよい。へこんだ位置とは、光学窓271の入射面271aまたは出射面271bが光学窓保持部材272の端部(入射側端面272aまたは出射側端面272b)よりも光学窓保持部材272の内側に窪んだ状態となるように、光学窓保持部材272の内面272cに設けられることを意味する。図4Bでは、入射面271aは、光学窓保持部材272の入射側端面272aよりも出射方向(+Z軸方向)側となるように光学窓保持部材272の内面272cに設けられ、光学窓保持部材272の内側に窪んだ状態で設けられている。この場合、光学窓保持部材272の内面272cが、光学窓271の入射面271aの位置から外側、つまり入射方向(-Z軸方向)にかけて拡径するように(一例として、テーパ状)に形成されている必要がある。光学窓271の入射面271aと、光学窓保持部材272の、入射面271aの位置から入射方向にかけて形成された拡径部とのなす角は90°より大きい。例えば、拡径部が図4Bに示すようなテーパ状に形成されている場合、光学窓271の入射面271aと、光学窓保持部材272の内面272cのうち入射面271aの位置から入射方向にかけて形成された拡径部272c1との間の角度θ1が90°よりも大きいことが必要であり、100°以上であることが好ましい。角度θ1は180°以上であってもよい。角度θ1が90°よりも大きければ、入射面271aに形成される反射防止膜273の全面において、反射防止膜273の厚さのばらつきを小さくできる。拡径部272c1は、光学窓保持部材272の内面272cのうち、光学窓271の入射面271aの位置から外側に向けて内径が拡大される面である。拡径部272c1は、光学窓保持部材272をレーザ光の出射方向(+Z軸方向)に向かって見た時、拡径部272c1の形状は、円形でもよいし四角形などでもよい。
ここで、例えば、入射面271aが入射側端面272aよりも出射方向(+Z軸方向)側に位置するように光学窓271が光学窓保持部材272に固定されている状態で、入射面271aに反射防止膜273を形成するとする。この場合、入射面271aの光学窓保持部材272と近い位置は、光学窓保持部材272の入射側端面272aの端部の陰になり易い。そのため、入射面271aに、厚さのばらつきが小さい反射防止膜273の形成は難しい。よって、反射防止膜273の入射面273aに入射したレーザ光の一部は反射され易く、反射防止膜として十分機能しない場合がある。この結果、レーザ光の透過率は低下し、燃焼室14内に入射するレーザ光の光量が低下する可能性がある。
本実施形態では、光学窓271の出射面271bは、図3に示すように、光学窓保持部材272の出射側端面272bと略同一平面上となるようにしているが、これに限定されない。光学窓271の出射面271bは、図5Aに示すように、光学窓保持部材272の出射側端面272bよりもレーザ光の出射方向(+Z軸方向)である燃焼室14側に突出していてもよい。この場合でも、触媒層274は、光学窓271の出射面271bに、光学窓保持部材272およびロウ付け部29の影響を受けることなく形成される。また、厚さのばらつきが少なく、厚さの小さい触媒層274が容易に形成される。
また、出射面271bは、上記の入射面271aの場合と同様、図5Bに示すように、出射側端面272bに対してへこんだ位置に設けられてもよい。すなわち、出射面271bは、光学窓保持部材272の出射側端面272bよりも入射方向(-Z軸方向)側となるように光学窓保持部材272の内面272cに設けられ、光学窓保持部材272の内側に窪んだ状態で設けられてもよい。この場合、光学窓保持部材272の内面272cが、光学窓271の出射面271bの位置から外側、つまり出射方向(+Z軸方向)にかけて拡径するように形成されている必要がある。そして、光学窓271の出射面271bと、光学窓保持部材272の内面272cのうち出射面271bの位置から出射方向にかけて形成された拡径部272c2との間の角度θ2は、角度θ1と同様、90°よりも大きいことが必要であり、100°以上であることが好ましい。角度θ2は、180°以上であってもよい。角度θ2が90°よりも大きければ、出射面271bに形成される触媒層274の厚さのばらつきを小さくできる。拡径部272c2は、拡径部272c1と同様、光学窓保持部材272の内面272cのうち、光学窓271の出射面271bの位置から外側に向けて内径が拡大される面である。拡径部272c2は、拡径部272c1と同様、光学窓保持部材272をレーザ光の入射方向(-Z軸方向)に向かって見た時、拡径部272c1の形状は、円形でもよいし四角形などでもよい。
角度θ2が180°である場合の一例を、図5Cに示す。すなわち、出射面271bと、光学窓保持部材272の拡径部272c3との間の角度θ3が180°である。この場合も、出射面271bに形成される触媒層274の厚さのばらつきを小さくできる。
本実施形態では、光学窓271は、図6に示すように、光学窓271の入射面271aおよび出射面271bの外周にテーパ部271cを設けてもよい。これにより、光学窓271と光学窓保持部材272とを接合する際に、ロウ材が入り込みやすくなる。なお、テーパ部271cは、レーザ光が通過しない領域に形成される。また、テーパ部271cは、入射面271aまたは出射面271bにのみ形成されていてもよい。
光学窓271が入射面271aおよび出射面271bの外周にテーパ部271cを有する場合、光学窓271の出射面271bは、図7に示すように、光学窓保持部材272の出射側端面272bよりも入射方向(-Z軸方向)に位置してもよい。この場合、光学窓保持部材272の内面272cに拡径部272c2が形成されている必要がある。そして、光学窓271の出射面271bと、出射面271bと接する光学窓保持部材272の内面272cのうちレーザ光の光軸に対して最大角度となる面である拡径部272c2との間の角度θ2が、90°よりも大きいことが必要であり、100°以上であることが好ましい。角度θ2が90°よりも大きければ、出射面271bに形成される触媒層274の厚さのばらつきを小さくできる。角度θ2が100°以上であれば、触媒層274を出射面271bにより均一に形成することができる。
光学窓271の出射面271bが光学窓保持部材272の出射側端面272bよりも入射方向(-Z軸方向)に位置している場合に、光学窓保持部材272の内面272cに拡径部272c2が形成されていないと、図8に示すように、角度θ2が90°となる。角度θ2が90°以下であると、触媒層274の形成時に光学窓保持部材272が邪魔してしまい、触媒層274を均一に形成することができない。光学窓271の周縁にテーパ部271cを設けても、出射面271bが出射側端面272bよりも入射方向(-Z軸方向)に位置していると、光学窓保持部材272の内面272cに近い場所に形成される触媒層274が盛り上がってしまう。そのため、出射面271b上に形成される触媒層274の均一性が低下する。
なお、図6~図8では、テーパ部271cは、光学窓271のレーザ光の入射面271aおよび出射面271bの両方の外周に設けているが、いずれか一方のみに設けてもよい。
本実施形態では、ハウジング28は、第2集光光学系24、レーザ共振器25、第3集光光学系26、および光学窓271を収容しているが、さらに、第1集光光学系22、および光ファイバ23を収容してもよい。
本実施形態では、第1ハウジング28-1は、第2集光光学系24、およびレーザ共振器25を、第2ハウジング28-2は、第3集光光学系26、および窓部材27を、それぞれ収容しているが、これに限定されない。例えば、第1ハウジング28-1は、第2集光光学系24だけ収容し、第2ハウジング28-2は、レーザ共振器25をさらに収容していてもよい。また、第1ハウジング28-1は、第2集光光学系24、およびレーザ共振器25の他に、第3集光光学系26をさらに収容し、第2ハウジング28-2は、窓部材27だけを収容していてもよい。
本実施形態では、励起用光源として面発光レーザ21が用いられる場合について説明したが、これに限定されるものではなく、他の光源を用いてもよい。
本実施形態では、面発光レーザ21をレーザ共振器25から離れた位置に置く必要がない場合は、光ファイバ23が設けられなくてもよい。
本実施形態では、本実施形態に係るレーザ装置11が内燃機関として燃焼ガスによってピストンを運動させるエンジン10の点火装置に用いられる場合について説明したが、これに限定されるものではない。レーザ装置11は、例えば、ロータリーエンジン、ガスタービンエンジン、またはジェットエンジンなど燃料を燃焼させて燃焼ガスを生成するものに用いることができる。また、レーザ装置11は、排熱を利用して動力、温熱、または冷熱を取り出し、総合的にエネルギー効率を高めるシステムであるコジェネレーションに用いてもよい。さらに、レーザ装置11は、画像形成装置(例えば、レーザ複写機、レーザプリンタなど)、画像投影装置(例えば、プロジェクタ)、レーザ加工機、レーザピーニング装置、またはテラヘルツ発生装置などにおける窓部材として用いることができる。
[第2の実施形態]
第2の実施形態に係るレーザ装置について、図面を参照して説明する。なお、上記実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。本実施形態は、第1の実施形態に係るレーザ装置は、上記図2および図3に示す第1の実施形態のレーザ装置11の窓部材27Aの構成以外は同様であるため、窓部材の構成についてのみ説明する。
図9は、第2の実施形態に係るレーザ装置の窓部材の構成を示す図である。図9に示すように、窓部材27Bは、光学窓271と触媒層274との間に親水性層275を有する。
親水性層275は、親水性を有する材料で形成されている。親水性を有する材料としては、例えば、Si、Al、Ca、Ti、Zr、Ta、Biなどの酸化物、窒化物、炭化物、またはフッ化物などを用いることができる。これらの中でも、Siの酸化物であるシリカ(SiO)を用いることが好ましい。親水性層275の材料は、これら一種を単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
光学窓271の出射面271bに親水性層275が形成されている場合、触媒層274の厚さの最大値は、1μmよりもさらに小さくすることができる。触媒層274の厚さが小さい場合には、上述の通り、触媒層274を光学窓271の表面に直接形成しても、触媒層274は光学窓271から剥離し易い傾向にある。本実施形態では、親水性層275を予め光学窓271の出射面271bに形成することで、触媒層274は親水性の高い面に形成することができる。そのため、触媒層274の厚さをより小さくしても触媒層274を触媒層274の出射側の面に安定して形成することができる。
また、親水性層275の厚さは、特に限定されるものではなく、波長が1064nmのレーザ光に対して高い透過率を有しつつ、光学窓271との付着力を維持することができる大きさであればよい。
よって、光学窓271の出射面271bに親水性層275を形成することにより、触媒層274の厚さをさらに小さくすることができるので、触媒層274の透明度をさらに高めることができる。これにより、レーザ光の透過率をさらに高くしつつ、光学窓271に汚れが付着することを抑制することができる。
また、触媒層274および親水性層275からなる二つの層が、レーザ光の反射を防止するため、触媒層274および親水性層275の屈折率を考慮して、それぞれ、適正な厚さに調整することが好ましい。光学窓271の出射側に触媒層274および親水性層275からなる二つの層が形成される時、触媒層274および親水性層275の二つの層の反射率Rは、式(3)で表される。また、親水性層275の厚さdAR1は次の式(4)で表され、触媒層274の厚さdAR2は次の式(5)で表される。式中、nは空気の屈折率(n=1)であり、nは光学窓271の屈折率であり、nAR1は親水性層275の屈折率であり、nAR2は触媒層274の屈折率であり、λはレーザ光の波長(1064nm)である。
R=[(n×(nAR2-n×(nAR1/(n×(nAR2)+n
×(nAR1 ・・・(3)
AR1=λ/(4×nAR1) ・・・(4)
AR2=λ/(4×nAR2) ・・・(5)
上記式(3)式から分かるように、触媒層274および親水性層275からなる二つの層の反射率Rを小さくし、良好な反射防止機能を得るためには、触媒層274および親水性層275の屈折率差を大きくする必要がある。そのため、触媒層274および親水性層275は、高い屈折率差を有するように、それぞれの材料を用いることが好ましい。本実施形態では、触媒層274および親水性層275は、それぞれ、上記式から算出した厚さに調整することで、触媒層274および親水性層275の二層は、高い反射防止機能を有することができる。
親水性層275は、例えば、光学窓271を光学窓保持部材272とロウ付けにより固定し、光学窓271の入射側の面に反射防止膜273を形成した後、光学窓271の出射面271bに形成することができる。親水性層275を光学窓271に形成する方法としては、例えば、蒸着、スパッタ、溶射、塗布、またはゾルゲル法などを用いることができる。
なお、本実施形態では、親水性層275は一層としているが、これに限定されるものではなく、多層でもよい。
<第3の実施形態>
第3の実施形態に係るレーザ装置について、図面を参照して説明する。なお、上記実施形態と同様の機能を有する部材には、同一の符号を付して詳細な説明は省略する。本実施形態は、第1の実施形態に係るレーザ装置は、上記図2および図3に示す第1の実施形態のレーザ装置11の窓部材27Aの構成以外は同様であるため、窓部材の構成についてのみ説明する。
図10は、第3の実施形態に係るレーザ装置の窓部材の構成を示す図であり、図11は、図10の部分拡大図である。図10および図11に示すように、窓部材27Cは、光学窓271の出射面271bに微細構造部31を有し、微細構造部31の表面に触媒層274が形成されている。微細構造部31は、複数の凸状の微細構造体(以下、「微細凸構造体」と称する)31aを有する。
微細凸構造体31aは、窓部材27Cの入射側から出射側に向かう方向(+Z方向)に、断面積が徐々に小さくなる錐形状(テーパ形状)に形成されている。これにより、窓部材27Cと燃焼室14との界面での屈折率の変化を小さくできるので、該界面でのレーザ光の反射を抑えることができる。
微細凸構造体31aは、入射するレーザ光(入射光)の波長(例えば、1064nm)よりも短いピッチP(頂点間隔)で複数設けられている。なお、本実施形態では、微細凸構造体31a同士の間隔は、隣り合う2つの微細凸構造体31aの頂点同士の間隔としているが、隣り合う2つの微細凸構造体31aの底面の中心間の距離としてもよい。
微細凸構造体31aの直径、および微細凸構造体31a同士のピッチPは、レーザ光の反射率を低下させるため、レーザ光の波長よりも短ければよい。微細凸構造体31aの直径は、レーザ光の波長の1/2以下であることが好ましく、5nm~1000nmの範囲内であることがより好ましい。微細凸構造体31aの直径が、5nm~1000nmの範囲内であれば、レーザ光の反射率を十分に低下させることができる。
複数の微細凸構造体31aのピッチPは、レーザ光の波長の1/2以下であることが好ましく、10nm~2000nmの範囲内であることがより好ましい。複数の微細凸構造体31aの間隔が、10nm~1000nmの範囲内であれば、レーザ光の反射率を十分に低下させることができる。
また、隣接する2つの微細凸構造体31a同士の間には平坦部33が形成されていることが好ましい。具体的には、平坦部33の面積は、例えば、微細構造部31の面積の30~60%とする。
テーパ形状の微細凸構造体31aの具体例を図12~図14に示す。図12に示すように、微細構造部31Aでは、高さが約300nm、底面の直径が約300nmの円錐形状の微細凸構造体31a-1が約300nmの間隔(頂点間隔、底面の中心間距離)で千鳥状に配列されている。
図13に示すように、微細構造部31Bは、高さが約500nm、底面の直径が約300nmの円錐形状の微細凸構造体31a-2が約300nmの間隔で千鳥状に配列されている。この微細凸構造体31a-2は、微細凸構造体31a-1に比べ、最大径に対する高さの比率が高い高アスペクト比を有する。そのため、微細凸構造体31a-2は、レーザ光に対してより緩やかな屈折率の変化を与えることができるので、反射率をより低くすることができる。
図14に示すように、微細構造部31Cでは、高さ500nm、底面が一辺300nmの正方形の四角雛形状の微細凸構造体31a-3が格子状に配列されている。微細構造部31Cでは、微細凸構造体31a-3同士の間に隙間がなく、屈折率nの変化(n2→n(>n1))を確実に小さくできるため、上記微細構造部31A、31Bよりも、入射光の界面での反射率を低くすることができる。
また、微細凸構造体31aの形状は、図15に示すように、釣り鐘形状であっても良いし、図16に示すように、隣接する2つの微細凸構造体の間隔が等間隔でなくてもよい。なお、便宜上、図15に示す微細構造部を「微細構造部31D」とし、微細凸構造体を「微細凸構造体31a-4」とする。また、図16に示される微細構造部を「微細構造部31E」とし、微細凸構造体を「微細凸構造体31a-5」とする。
なお、隣接する2つの微細凸構造体31aの間隔が等間隔でない場合でも、微細構造部31における隣接する2つの微細凸構造体31aの平均間隔は、入射光の波長の1/2以下であることが好ましい。微細構造部31における隣接する2つの微細凸構造体31aの間隔は、ガウス分布に従った間隔であることが好ましい。なお、ガウス分布に従った間隔とは、図17に示すように、ガウス分布の2σ値が波長の1/√2倍以下となる間隔である。
微細構造部31A~31Cは、主に、電子ビームリソグラフィーとエッチングを用いて作製され、微細構造部31Dおよび微細構造部31Eは、主に金属ナノ粒子をマスクとしたエッチング加工により作製される。なお、この他にも、X線リソグラフィー、フオトリソグラフィーなどを用いて作製することもできる。
次に、窓部材27Cの出射面271bに設けられる微細構造部31の領域(微細構造部領域)について説明する。
微細構造部領域1は、図18に示すように、出射面271bにおけるハウジング28に接合される矩形枠状の平坦領域の内側の領域であって、出射面271bのビーム通過領域を含む領域である。この場合、出射面271bを通過する全てのレーザ光(ビーム)が微細構造部領域1に入射し、全てのレーザ光の反射率が低下する。また、出射面271bに対するレーザ光の通過位置が少しずれても、全てのレーザ光の反射率が低下する。
微細構造部領域2は、図19に示すように、出射面271bのビーム通過領域と一致する領域である。この場合、出射面271bを通過する全てのレーザ光が微細構造部領域2に入射し、全てのレーザ光の反射率が低下する。また、出射面271bのレーザ光が通過する範囲にのみ微細構造部31を形成すればよいため、加工範囲を狭くすることができる。
微細構造部領域3は、図20に示すように、出射面271bのビーム通過領域に含まれ、かつ出射面271bにおける有効ビーム径を最大径とする領域を含む領域である。なお、「有効ビーム径」とは、図21に示すように、光強度のガウス分布において最大強度(100%)に対する相対強度が1/e2(13.5%)の部分のビーム径を意味する。
この場合、出射面271bを通過するレーザ光のうち面発光レーザ21から出射されるレーザ光の強度変動に実質的に影響する有効ビーム径を最大径とする領域内の全てのレーザ光が微細構造部領域3に入射し、全てのレーザ光の反射率が低下される。また、出射面271bに対するレーザ光の通過位置が少しずれても、有効ビーム径を最大径とする領域内の全てのレーザ光の反射率が低下される。また、強度変動に実質的に影響するレーザ光が通過する領域にのみ微細構造部31を形成すればよいため、加工範囲をより狭くできる。
微細構造部領域4は、図22に示すように、出射面271b上の有効ビーム径を最大径とする領域に一致する領域である。この場合、出射面271bを通過するレーザ光のうち、面発光レーザ21から出射されるレーザ光の強度変動に実質的に影響する有効ビーム径内の全てのレーザ光は微細構造部領域4に入射する。そして、該全てのレーザ光の反射率は低下する。また、有効ビーム径を最大径とする領域内にのみ微細凸構造体31a-4を形成すれば良いため、加工範囲を更により狭くできる。
微細構造部領域5は、図23に示すように、出射面271b上の有効ビーム径を最大径とする領域の中心を含む該領域に含まれる領域である。この場合、出射面271bを通過するレーザ光のうち、有効ビーム径を最大径とする領域内を通過する一部のレーザ光が存在する。該一部のレーザ光は、最大強度のレーザ光を含む強度が大きいレーザ光であり、面発光レーザ21により強度は大きく変動しやすい。該一部のレーザ光は、微細構造部領域5に入射し、該一部のレーザ光の反射率は低下する。また、有効ビーム径を最大径とする領域よりも小さい範囲にのみ微細凸構造体31a-5を形成すればよいため、加工範囲を更により一層狭くできる。
本実施形態では、微細構造部領域は、上記微細構造部領域1~微細構造部領域5のいずれかとなるように設定されている。
このように、本実施形態の窓部材27Cは、出射面271bに微細構造部31を備えることにより、窓部材27Cの出射面271bでのレーザ光の反射を抑制することができると共に、汚れの付着抑制を図ることができる。
微細構造部31の効果について詳細に説明する。
光学窓271に微細構造部31が形成されていない窓部材(従来の窓部材)では、図24に示すように、光学窓271と燃焼室14内の雰囲気の界面では屈折率変化(n2→n1)が急激である。なお、図24中、光学窓271の屈折率はnとし、燃焼室14の雰囲気の屈折率はnとする。そのため、入射するレーザ光の該界面での反射率が高くなる。
そのため、従来の窓部材では、上記界面で入射したレーザ光の一部が反射され、窓部材内で集光する場合がある。これにより、光学窓271が変質したり、燃焼室14内で発生する煤などが窓部材に付着する可能性がある。また、光学窓271に入射したレーザ光の一部が反射され、レーザ媒質251や面発光レーザ21に戻ることにより、レーザ装置11から出射されるレーザ光の強度が変動する可能性がある。また、燃焼室14内で発生した煤などが光学窓271に付着し、燃焼室14内に入射するレーザ光の光量が減少する可能性がある。
また、従来の窓部材では、窓部材に入射したレーザ光の一部が反射することを低減するため、窓部材に反射防止膜を形成する方法が用いられる。しかし、点火装置では、窓部材が燃焼室に臨んで設けられているため、高温(例えば、約600℃)に晒されることで、反射防止膜が変質してしまう場合がある。そのため、出射面271bを反射防止膜が有効に機能しない可能性がある。
これに対し、本実施形態の窓部材27Cは、窓部材27Cの出射面271bに、レーザ光(入射光)の波長よりも短い間隔で微細凸構造体31aを複数備えた微細構造部31を有する。そして、微細凸構造体31aは、入射側から出射側へ向かう方向に、断面(横断面)が徐々に小さくなるテーパ形状に形成されている。そのため、図25および図26に示すように、窓部材27Cと燃焼室14との界面での屈折率nの変化(n2→n(>n1))が緩やかになるように屈折率を連続的に変化させることができる。これにより、該界面でのレーザ光の反射率を低下させることができるので、該界面でのレーザ光の反射率を低くすることができる。また、微細凸構造体31aの凸方向の長さが、最大径よりも長い場合には、屈折率変化をより緩やかにでき、反射率をより低下させることができる。
よって、本実施形態では、レーザ光が窓部材27Cの内部に集光して窓部材27Cが変質して透過率が低下することや、レーザ光がレーザ媒質251や面発光レーザ21に戻ることを抑制することができる。これにより、レーザ光の強度が変動するのを抑制できる。
また、微細構造部31により、燃焼室14内で発生する煤などが微細凸構造体31a同士の間に入り込み難くなるので、微細凸構造体31aへの煤などの付着力を弱めることができる。これにより、微細構造部31への煤などの付着を仰えることができる。よって、窓部材27Cは、微細構造部31により煤などの付着を仰えつつ、微細構造部31の出射側に設けられている触媒層274の表面に付着した煤などを分解することができる。そのため、窓部材27Cの汚染をより効率良く防止することができる。この結果、第3集光光学系26から出射されるレーザ光の透過性をより安定して維持し、レーザ光の強度の変動をより抑制することができるので、燃焼室14内に入射するレーザ光の光量をさらに安定して維持することができる。
また、本実施形態では、光学窓271は、耐熱性および耐圧性が高い材料で形成されているので、微細構造部31が燃焼室14に晒される位置に配置されていても、微細構造部31の変形は生じない。そのため、本実施形態の窓部材27Cは、微細構造部31が形成されていない場合に比べ、出射面271bにおけるレーザ光の反射をより安定して抑制することができる。
また、窓部材27Cは、複数の微細凸構造体31aの中心間隔が略一定であることが好ましい。これにより、窓部材27Cは、微細凸構造体31aが形成された全域で略均一な反射率低減効果を得ることができる。
このように、本実施形態に係るレーザ点火装置は、窓部材27Cを備えているので、反射防止膜273および光学窓271でのレーザ光の反射を抑制することができる。よって、本実施形態に係るレーザ点火装置によれば、燃焼室14内に入射するレーザ光の光量が低下することをさらに安定して抑制することができる。
なお、窓部材27Cに形成される微細凸構造体31aは、入射光の波長よりも短い間隔(例えば、頂点間隔)で並ぶ凸状の構造であれば、形状、大きさ、配列は、特に限定されるものではない。
本実施形態では、微細凸構造体31aの形状が錐形状である場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、微細凸構造体31aの形状は、楕円錐形状、正四角錐形状以外の多角錐形状、円錐台形状、楕円錐台形状、多角錐台形状などのテーパ形状であってもよい。また、微細凸構造体31aの形状は、例えば、円柱形状、楕円柱形状、多角柱形状などであってもよい。
また、微細凸構造体31aは、縦断面(出射方向に平行な断面)の側面は、湾曲していてもよい。
本実施形態では、微細凸構造体31aは、テーパ形状のように、出射方向に断面が徐々に小さくなるものとしているが、これに限定されず、出射方向に断面積が段階的に小さくなる形状であってもよい。
本実施形態では、複数の微細凸構造体31aは、それぞれ、同じ形状および大きさとしているが、これに限定されず、複数の微細凸構造体31aは、互いに形状や大きさが異なっていてもよい。
本実施形態では、微細構造部31は、複数の微細凸構造体31aを規則的に配列しているが、複数の微細凸構造体31aの間隔が入射光の波長よりも短い構造であれば、複数の微細凸構造体31aの間隔は規則的に配列していなくてもよい。
次に、微細構造部31の変形例について説明する。
変形例1を図27に示す。図27に示す変形例1の窓部材27C-1のように、出射面271bに、凹状の微細構造体(以下、「微細凹構造体」と称する)31bを形成してもよい。このとき、微細凹構造体31bと触媒層274の合わせた深さh、ピッチPとなるようにする。微細凹構造体31bは、窓部材27C-1の一面の複数箇所をエッチングして、複数の微細凹構造体31bを形成することで得られる。変形例1でも、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
変形例2を図28に示す。図28に示す変形例2の窓部材27C-2のように、微細構造部31を、入射端面(入射側の面)に深さh、ピッチPとなるように形成してもよい。変形例2では、ハウジング28内の雰囲気と窓部材27C-2の入射端面との界面での屈折率変化をn3→n2よりも緩やかに(n3→ni(>n2))できる。そのため、入射端面での反射を抑えることができ、レーザ媒質251や面発光レーザ21へレーザ光が戻ることを抑制でき、結果としてレーザ光の強度変動を抑制できる。
変形例3を図29に示す。図29に示す変形例3の窓部材27C-3のように、微細凹構造体31bを、入射端面に深さh、ピッチPで形成してもよい。具体的には、光学窓271の一面の複数箇所をエッチングして、複数の微細凹構造体31bを形成してもよい。変形例3でも、ハウジング28内の雰囲気と光学窓271の入射端面との界面での屈折率変化をn3→n2よりも緩やかに(n3→ni(>n2))できる。これにより、入射端面での反射を抑えることができる。そのため、レーザ媒質251や面発光レーザ21へレーザ光が戻ることを抑制でき、結果としてレーザ光の強度変動を抑制できる。
変形例4を図30に示す。図30に示す変形例4の窓部材27C-4のように、微細凸構造体31aを、出射面271bおよび入射端面に形成してもよい。このとき、出射面271b側では、微細凹構造体31bと触媒層274の合わせた状態で深さh、ピッチPとなるようにする。入射端面側では、微細凹構造体31bを深さh、ピッチPで形成してもよい。変形例4では、出射面271bおよび入射端面での反射を抑えることができるので、窓部材の変質およびレーザ媒質251や面発光レーザ21へレーザ光が戻ることを抑制できる。これにより、レーザ光の強度変動をさらに抑制することができる。
変形例5を図31に示す。図31に示す変形例5の窓部材27C-5のように、微細凸構造体31aの形状が、柱形状であってもよい。この場合であっても、従来よりも、反射光を低減させることができる。そのため、耐熱性の向上と反射光の低減とを両立させることができる。なお、柱形状として、円柱形状、楕円柱形状、四角柱形状、多角柱形状などがある。
変形例6を図32に示す。図32に示す変形例6の窓部材27C-6のように、隣接する2つの微細凸構造体31aの間隔がほぼ0であってもよい。すなわち、上記実施形態における平坦部33が設けられていなくてもよい。この場合であっても、従来よりも、反射光を低減させることができる。そこで、耐熱性の向上と反射光の低減とを両立させることができる。
なお、上記変形例1~6において、出射面271bにおける微細凸構造や微細凹構造が形成される領域は、上述した微細構造部領域1~6と同様の領域とすることが可能である。
また、上記変形例4では、微細凸構造同土や微細凹構造同土の位置が揃っているが、ずれていてもよい。
また、微細構造部領域は、円形に限らず、楕円形、多角形などの他の形状であってもよい。
なお、本実施形態においては、微細凸構造および微細凹構造を窓部材27Cに形成しているが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、触媒層274に微細凸構造および微細凹構造を形成するようにしてもよい。
また、本実施形態においては、微細構造部31の表面に触媒層274を形成しているが、本実施形態はこれに限定されるものではなく、微細構造部31と触媒層274との間に、上記の図9に示す第2の実施形態において説明した親水性層275を設けてもよい。
以上の通り、実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、上記実施形態により本発明が限定されるものではない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の組み合わせ、省略、置き換え、変更などを行うことが可能である。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
10 エンジン(内燃機関)
11 レーザ装置
21 面発光レーザ
22 第1集光光学系
23 光ファイバ
24 第2集光光学系
25 レーザ共振器
26 第3集光光学系
27A~27C 窓部材
271 光学窓(窓本体)
271a 入射面
271b 出射面
272 光学窓保持部材
272c1、272c2 拡径部
272a 入射側の端部(入射側端面)
272b 出射側の端部(出射側端面)
273 反射防止膜
274 触媒層
275 親水性層
28 ハウジング
29 ロウ付け部
30 溶接部
31、31A~31E 微細構造部
31a、31a-1~31a-5 凸状の微細構造体(微細凸構造体)
31b 凹状の微細構造体(微細凹構造体)
θ1~θ3 角度
特開2016-109128号公報 特開2015-1158号公報

Claims (16)

  1. レーザ光を射出する光源と、
    前記光源から出射される前記レーザ光を集光する光学系と、
    前記光学系を介した前記レーザ光が通過する光学窓と、
    前記光学系が収容される筐体と、
    前記筐体に固定され、前記光学窓を保持する光学窓保持部材と、を有し、
    前記光学窓は、前記レーザ光が通過しかつ前記光学窓保持部材の端部と同一平面上にある面を有し、
    前記同一平面上にある面に、前記光学窓と前記光学窓保持部材とに跨って膜が形成されていることを特徴とする、レーザ装置。
  2. レーザ光を射出する光源と、
    前記光源から出射される前記レーザ光を集光する光学系と、
    前記光学系を介した前記レーザ光が通過する光学窓と、
    前記光学系が収容される筐体と、
    前記筐体に固定され、前記光学窓を保持する光学窓保持部材と、を有し、
    前記光学窓は、前記レーザ光が通過しかつ前記光学窓保持部材の端部よりも突出している面を有し、
    前記突出している面に、前記光学窓と前記光学窓保持部材とに跨って膜が形成されていることを特徴とする、レーザ装置。
  3. レーザ光を射出する光源と、
    前記光源から出射される前記レーザ光を集光する光学系と、
    前記光学系を介した前記レーザ光が通過する光学窓と、
    前記光学系が収容される筐体と、
    前記筐体に固定され、前記光学窓を保持する光学窓保持部材と、を有し、
    前記光学窓は、前記レーザ光が通過しかつ前記光学窓保持部材の端部に対してへこんだ位置にある面を有し、
    前記光学窓保持部材は、前記へこんだ位置にある面から外側に向けて内径が拡大される拡径部を有し、
    前記へこんだ位置にある面に、前記光学窓と前記光学窓保持部材とに跨って膜が形成されていることを特徴とする、レーザ装置。
  4. 前記面は、前記光学窓の前記レーザ光が入射する入射面であり、
    前記膜は、前記レーザ光の反射を抑制する反射防止膜である請求項1から3のいずれか一項に記載のレーザ装置。
  5. 前記反射防止膜の表面粗さRaが、100nm以下である請求項4に記載のレーザ装置。
  6. 前記面は、前記光学窓の前記レーザ光が出射する出射面であり、
    前記膜は、酸化還元反応を促進する触媒層である請求項1から3のいずれか一項に記載のレーザ装置。
  7. 前記触媒層の厚さが、1μm以下である請求項6に記載のレーザ装置。
  8. 前記触媒層に含まれる光触媒の平均粒子径が、100nm以下である請求項7に記載のレーザ装置。
  9. 前記光学窓と前記触媒層との間に親水性層をさらに有する請求項7または8に記載のレーザ装置。
  10. 前記光学窓は、前記レーザ光が通過する面の少なくとも一面に、凸状または凹状の微細構造体を複数備えた微細構造部を有する請求項1から9のいずれか一項に記載のレーザ装置。
  11. 前記同一平面上にある面は第1の面であり、前記膜は第1の膜であり、
    前記光学窓は、前記レーザ光が通過しかつ前記光学窓保持部材の前記端部と異なる他の端部と同一平面上にある第2の面を有し、前記第2の面に第2の膜が形成されている請求項1に記載のレーザ装置。
  12. 前記同一平面上にある面は第1の面であり、前記膜は第1の膜であり、
    前記光学窓は、前記レーザ光が通過しかつ前記光学窓保持部材の前記端部と異なる他の端部よりも突出している第2の面をさらに有し、前記第2の面に第2の膜が形成されている請求項1に記載のレーザ装置。
  13. 前記同一平面上にある面は第1の面であり、前記膜は第1の膜であり、
    前記光学窓は、前記レーザ光が通過しかつ前記光学窓保持部材の前記端部と異なる他の端部に対してへこんだ位置にある第2の面をさらに有し、
    前記光学窓保持部材は、前記第2の面から外側に向けて内径が拡大される拡径部を有し、前記第2の面に第2の膜が形成されている請求項1に記載のレーザ装置。
  14. 前記光学窓保持部材と前記筐体とが、同じ熱膨張係数を有する材料で形成される請求項1から13のいずれか一項に記載のレーザ装置。
  15. 前記光学窓保持部材と前記筐体とが、コバールで形成される請求項14に記載のレーザ装置。
  16. 請求項1から15のいずれか一項のレーザ装置と、
    燃料を燃焼させる燃焼室と、を有し、
    前記燃料が前記レーザ装置からの前記レーザ光により点火されることを特徴とする内燃機関。
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