JP7106839B2 - ゴム組成物および空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、ゴム組成物および空気入りタイヤに関する。
ジエン系ゴムを配合したゴム組成物では、通常、加硫促進剤、酸化亜鉛、脂肪酸の他に、粉末硫黄や不溶性硫黄などの硫黄が用いられる。耐摩耗性能、引張り性能をより改善するために、硫黄と共に、フレキシス社製のPERKALINK900(1,3-ビス(シトラコンイミドメチル)ベンゼン)、田岡化学工業(株)製のタッキロールV200(アルキルフェノール塩化硫黄縮合物)などのハイブリッド架橋剤を併用する場合もある。
更に、硫黄の代わりに、硫黄含有の紛体や硫黄含有の液状化合物などの硫黄含有化合物、例えば、ランクセス社製のVulcuren VP KA9188(1,6-ビス(N,N’-ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサン、川口化学工業(株)製の2OS4(ポリ-3,6-ジオキサオクタン-テトラスルフィド)を用いる場合もある(例えば、特許文献1)。
特開2012-111888号公報
本発明者が鋭意検討した結果、硫黄及び/又は硫黄含有化合物を配合した場合、ゴム組成物を混練する際に硫黄原子がラジカルを発生するため、ポリマーが切断され、フィラーとポリマーの混和性、生地の加工性が改善する一方、耐摩耗性能、引張り性能が低下する場合があることを理解した。
引張り性能の中でも、100℃における引張り性能は、タイヤが発熱した場合や高温環境下での耐久性、カットリップ性に影響がある。
本発明は、耐摩耗性能、引張り性能をバランスよく改善できるゴム組成物、及びこれを用いた空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意検討した結果、ゴム組成物には、老化防止剤としてN-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミンなどのp-フェニレンジアミン系老化防止剤が配合されているが、p-フェニレンジアミン系老化防止剤のみでは、ポリマーの切断を抑制できないことが分かった。
本発明者は、ポリマーの切断に有効な成分を探索した結果、フェルラ酸エステル化合物によりポリマーの切断を抑制できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、ゴム成分と、カーボンブラック及び/又はシリカと、硫黄及び/又は硫黄含有化合物と、フェルラ酸エステル化合物とを含み、ゴム成分100質量部に対するフェルラ酸エステル化合物の含有量が0.01~10質量部であるゴム組成物に関する。
前記フェルラ酸エステル化合物が、γ-オリザノールであることが好ましい。
ゴム成分100質量部に対するγ-オリザノールの含有量が0.01~1.0質量部であることが好ましい。
ゴム成分100質量部に対する米油の含有量が9質量部以下であることが好ましい。
p-フェニレンジアミン系老化防止剤を含むことが好ましい。
ロジンエステル樹脂を含むことが好ましい。
タイヤ用ゴム組成物であることが好ましい。
本発明はまた、上記ゴム組成物を用いて作製したタイヤ部材を有する空気入りタイヤに関する。
本発明によれば、ゴム成分と、カーボンブラック及び/又はシリカと、硫黄及び/又は硫黄含有化合物と、フェルラ酸エステル化合物とを含み、ゴム成分100質量部に対するフェルラ酸エステル化合物の含有量が0.01~10質量部であるゴム組成物であるので、耐摩耗性能、引張り性能をバランスよく改善できる。
本発明のゴム組成物は、ゴム成分と、カーボンブラック及び/又はシリカと、硫黄及び/又は硫黄含有化合物と、フェルラ酸エステル化合物とを含み、ゴム成分100質量部に対するフェルラ酸エステル化合物の含有量が0.01~10質量部である。
フェルラ酸エステル化合物を配合することによって耐摩耗性能、引張り性能をバランスよく改善できる理由は必ずしも明らかではないが、以下のように推察される。
上述の通り、硫黄及び/又は硫黄含有化合物は、ポリマーに混練りされる過程でフリーラジカルを発生してポリマーを切断するため、ブチルゴムやSBR、NR等のいずれのポリマーを用いた場合においても、耐摩耗性能、引張り性能が悪化する。
これに対して、フェルラ酸エステル化合物を配合した場合、フェルラ酸(下記式で示す化合物)に由来する芳香族環及び側鎖が有する二重結合が共鳴してラジカルを吸収し、ポリマーの切断を抑制でき、良好な引張り性能が得られるものと推測される。また、ポリマーの切断を抑制できるためポリマーの分子量を高く維持でき、良好な耐摩耗性能が得られるものと推測される。このことは、フェルラ酸エステル化合物を配合した場合、粘度が高く、耐摩耗性能、引張り性能をバランスよく改善できていることからも裏付けられる。
また、従来から、ゴム組成物に老化防止剤として配合されてきたp-フェニレンジアミン系老化防止剤などは常温~80℃付近で効果を発揮するのに対して、フェルラ酸エステル化合物は、より高温の100~200℃超の温度範囲において好適にポリマーの切断を抑制できるため、耐摩耗性能、引張り性能をバランスよく改善できるものとも推測される。
なお、本明細書において、単に引張り性能と記載する場合は、常温における引張り性能である「引張り性能(常温)」、100℃における引張り性能である「引張り性能(100℃)」の両方を意味するものとする。
Figure 0007106839000001
上記ゴム組成物は、フェルラ酸エステル化合物を含む。
フェルラ酸エステル化合物としては、フェルラ酸とアルコールとのエステル化合物であれば特に限定されないが、効果がより好適に得られるという理由から、γ-オリザノールが好ましい。
本明細書において、γ-オリザノールは、フェルラ酸にステロールがエステル結合したエステル化合物を意味する。
γ-オリザノールは、米糠油、米胚芽油に特有の成分で、例えば、市販の米油にはγ-オリザノールが0.2~0.5質量%含まれる。通常、γ-オリザノールは、化学合成ではなく、米糠油又は米胚芽油から抽出、精製される。例えば、イネ科イネ(Oryza sativa Linne)の種皮(もみ殻)から抽出、精製される。そのため、天然由来のγ-オリザノールは、単一物質ではなく、フェルラ酸に数種のステロールがエステル結合したエステル化合物の混合物である。
フェルラ酸に結合しているステロールとしては特に限定されないが、フィトステロールであることが好ましい。天然由来のγ-オリザノールにおいてフェルラ酸に結合しているステロールとして、シクロアルテノール(炭素数30)、24-メチレンシクロアルタノール(炭素数31)、カンペステロール(炭素数28)、β-シトステロール(炭素数29)、シクロブラノール(炭素数31)などの炭素数25~35(好ましくは炭素数27~33)のステロールが知られている。
γ-オリザノールとしては、シクロアルテノールフェルラ酸エステル、24-メチレンシクロアルタノールフェルラ酸エステル、カンペステロールフェルラ酸エステル、β-シトステロールフェルラ酸エステル、シクロブラノールフェルラ酸エステル等が挙げられる。市販のγ-オリザノールは、通常、シクロアルテノールフェルラ酸エステル、24-メチレンシクロアルタノールフェルラ酸エステル、カンペステロールフェルラ酸エステル、β-シトステロールフェルラ酸エステル、シクロブラノールフェルラ酸エステルの混合物である。なかでも、シクロアルテノールフェルラ酸エステルが好ましい。
フェルラ酸エステル化合物(γ-オリザノール)としては、例えば、オリザ油化(株)、築野食品(株)等の製品を使用できる。
フェルラ酸エステル化合物(γ-オリザノール)の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、0.01質量部以上であり、好ましくは0.02質量部以上、より好ましくは0.05質量部以上、更に好ましくは0.07質量部以上、特に好ましくは0.08質量部以上である。0.01質量部以上(特に、0.07質量部以上)であると、良好な加工性能を維持しつつ、耐摩耗性能、引張り性能をバランスよく改善できる。また、該含有量は、10.0質量部以下であり、好ましくは7.00質量部以下、より好ましくは5.00質量部以下、更に好ましくは3.00質量部以下、特に好ましくは1.00質量部以下、最も好ましくは0.70質量部以下である。10.0質量部以下であると、良好な加工性能を維持しつつ、耐摩耗性能、引張り性能をバランスよく改善できる。
上述の通り、市販の米油にはγ-オリザノールが0.2~0.5質量%含まれる。しかしながら、米油に含まれるγ-オリザノール量が少ないため、γ-オリザノールを望ましい量配合しようとすると、米油の配合量が多量となり、タイヤ用ゴム組成物において好んで用いられる石油系プロセスオイルを使用した場合に比べて、耐摩耗性能が悪化するおそれがある。そこで、上記ゴム組成物では、ゴム成分100質量部に対する米油の含有量は、好ましくは9質量部以下、より好ましくは5質量部以下、更に好ましくは3質量部以下、特に好ましくは1質量部以下、最も好ましくは0質量部(実質的に含有しない)である。
上記ゴム組成物に使用できるゴム成分としては、イソプレン系ゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、スチレン-イソプレン-ブタジエン共重合ゴム(SIBR)等のジエン系ゴムが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。フェルラ酸エステル化合物はいずれのジエン系ゴムに対してもポリマーの切断抑制効果を有するためゴム成分としては特に限定されないが、SBR、BR、イソプレン系ゴムが好ましい。上記ゴム組成物をトラック・バス用タイヤのトレッドに用いる場合は、イソプレン系ゴムが好ましく、イソプレン系ゴムと共にBRを用いてもよい。上記ゴム組成物を乗用車用タイヤのトレッドに用いる場合は、SBR、BRが好ましく、SBR、BRを併用することがより好ましい。上記ゴム組成物をクリンチに用いる場合は、BR、イソプレン系ゴムが好ましく、BR、イソプレン系ゴムを併用することがより好ましい。
SBRとしては、特に限定されず、例えば、乳化重合スチレンブタジエンゴム(E-SBR)、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S-SBR)等を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
SBRのスチレン量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上である。また、該スチレン量は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。上記範囲内であると、効果が良好に得られる傾向がある。
なお、本明細書において、SBRのスチレン量は、H-NMR測定により算出される。
SBRのMwは、好ましくは10万以上、より好ましくは20万以上である。また、該Mwは、好ましくは160万以下、より好ましくは150万以下、更に好ましくは140万以下である。上記範囲内であると、効果が良好に得られる傾向がある。
なお、本明細書において、ゴム成分の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(東ソー(株)製GPC-8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMALTPORE HZ-M)による測定値を基に標準ポリスチレン換算により求めることができる。
また、SBRとしては、非変性SBRでもよいし、変性SBRでもよい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
変性SBRとしては、シリカ等の充填剤と相互作用する官能基を有するSBRであればよく、例えば、SBRの少なくとも一方の末端を、上記官能基を有する化合物(変性剤)で変性された末端変性SBR(末端に上記官能基を有する末端変性SBR)や、主鎖に上記官能基を有する主鎖変性SBRや、主鎖及び末端に上記官能基を有する主鎖末端変性SBR(例えば、主鎖に上記官能基を有し、少なくとも一方の末端を上記変性剤で変性された主鎖末端変性SBR)や、分子中に2個以上のエポキシ基を有する多官能化合物により変性(カップリング)され、水酸基やエポキシ基が導入された末端変性SBR等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記官能基としては、例えば、アミノ基、アミド基、シリル基、アルコキシシリル基、イソシアネート基、イミノ基、イミダゾール基、ウレア基、エーテル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、メルカプト基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、アンモニウム基、イミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、カルボキシル基、ニトリル基、ピリジル基、アルコキシ基、水酸基、オキシ基、エポキシ基等が挙げられる。なお、これらの官能基は、置換基を有していてもよい。なかでも、効果がより好適に得られるという理由から、アミノ基(好ましくはアミノ基が有する水素原子が炭素数1~6のアルキル基に置換されたアミノ基)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1~6のアルコキシ基)、アルコキシシリル基(好ましくは炭素数1~6のアルコキシシリル基)が好ましい。
SBRとしては、例えば、住友化学(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)等により製造・販売されているSBRを使用できる。
BRとしては特に限定されず、例えば、高シス含量のBR、シンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBR、希土類元素系触媒を用いて合成されたブタジエンゴム(希土類系BR)等を使用できる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、希土類系BRが好ましい。
BRは、非変性BRでもよいし、変性BRでもよい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
変性BRとしては、上述の変性SBRと同様の官能基が導入された変性BRが挙げられる。
希土類系BRは希土類元素系触媒を用いて合成されたブタジエンゴムであり、シス含量が高く、かつビニル含量が低いという特徴を有している。希土類系BRとしては、タイヤ製造における汎用品を使用できる。
上記希土類元素系触媒としては、公知のものを使用でき、例えば、ランタン系列希土類元素化合物、有機アルミニウム化合物、アルミノキサン、ハロゲン含有化合物、必要に応じてルイス塩基を含む触媒が挙げられる。なかでも、ランタン系列希土類元素化合物としてネオジム(Nd)含有化合物を用いたNd系触媒が特に好ましい。
ランタン系列希土類元素化合物としては、原子番号57~71の希土類金属のハロゲン化物、カルボン酸塩、アルコラート、チオアルコラート、アミド等が挙げられる。なかでも、前述のとおり、Nd系触媒の使用が高シス含量、低ビニル含量のBRが得られる点で好ましい。
有機アルミニウム化合物としては、AlR(式中、R、R、Rは、同一若しくは異なって、水素又は炭素数1~8の炭化水素基を表す。)で表されるものを使用できる。アルミノキサンとしては、鎖状アルミノキサン、環状アルミノキサンが挙げられる。ハロゲン含有化合物としては、AlX 3-k(式中、Xはハロゲン、Rは炭素数1~20のアルキル基、アリール基又はアラルキル基、kは1、1.5、2又は3を表す。)で表されるハロゲン化アルミニウム;MeSrCl、MeSrCl、MeSrHCl、MeSrClなどのストロンチウムハライド;四塩化ケイ素、四塩化錫、四塩化チタン等の金属ハロゲン化物が挙げられる。ルイス塩基は、ランタン系列希土類元素化合物を錯体化するのに用いられ、アセチルアセトン、ケトン、アルコール等が好適に用いられる。
上記希土類元素系触媒は、ブタジエンの重合の際に、有機溶媒(n-ヘキサン、シクロヘキサン、n-ヘプタン、トルエン、キシレン、ベンゼン等)に溶解した状態で用いても、シリカ、マグネシア、塩化マグネシウム等の適当な担体上に担持させて用いてもよい。重合条件としては、溶液重合又は塊状重合のいずれでもよく、好ましい重合温度は-30~150℃であり、重合圧力は他の条件に依存して任意に選択してもよい。
上記希土類系BRは、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が好ましくは1.2以上、より好ましくは1.5以上である。下限以上にすることで、良好な加工性が得られる傾向がある。該Mw/Mnは、好ましくは5以下、より好ましくは4以下、更に好ましくは3以下、特に好ましくは2以下、最も好ましくは1.9以下である。上限以下にすることで、良好な耐摩耗性能が得られる傾向がある。
上記希土類系BRのMwは、好ましくは20万以上、より好ましくは25万以上であり、また、好ましくは90万以下、より好ましくは60万以下である。更に、上記希土類系BRのMnは、好ましくは10万以上、より好ましくは15万以上であり、また、好ましくは80万以下、より好ましくは70万以下である。MwやMnを下限以上にすることで、良好な耐摩耗性能が得られる傾向がある。上限以下にすることで、良好な加工性が得られる傾向がある。
上記希土類系BRのシス含量は、好ましくは90質量%以上、より好ましくは93質量%以上、更に好ましくは95質量%以上である。下限以上にすることで、良好な耐摩耗性能が得られる傾向がある。
なお、本明細書においてゴム成分のシス含量は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
上記希土類系BRのビニル含量は、好ましくは1.8質量%以下、より好ましくは1.0質量%以下、更に好ましくは0.5質量%以下、特に好ましくは0.3質量%以下である。上限以下にすることで、良好な耐摩耗性能が得られる傾向がある。
なお、本明細書においてゴム成分のビニル含量は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
BRとしては、例えば、宇部興産(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)等の製品を使用できる。
イソプレン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、改質NR、変性NR、変性IR等が挙げられる。NRとしては、例えば、SIR20、RSS♯3、TSR20等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。IRとしては、特に限定されず、例えば、IR2200等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。改質NRとしては、脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度天然ゴム(UPNR)等、変性NRとしては、エポキシ化天然ゴム(ENR)、水素添加天然ゴム(HNR)、グラフト化天然ゴム等、変性IRとしては、エポキシ化イソプレンゴム、水素添加イソプレンゴム、グラフト化イソプレンゴム等、が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
SBR、BR、イソプレン系ゴムの含有量は用途に応じて適宜調整すればよい。
上記ゴム組成物をトラック・バス用タイヤのトレッドに用いる場合、ゴム成分の含有量は以下の通りが好ましい。これにより、効果がより好適に得られる。
ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴムの含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは60質量%以上、特に好ましくは70質量%以上であり、100質量%であってもよい。
一方、イソプレン系ゴムと共にBRを用いる場合は、ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴムの含有量の上限は、好ましくは90質量%である。また、ゴム成分100質量%中のBRの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上であり、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下である。
上記ゴム組成物を乗用車用タイヤのトレッドに用いる場合、ゴム成分の含有量は以下の通りが好ましい。これにより、効果がより好適に得られる。
ゴム成分100質量%中のSBRの含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは60質量%以上、特に好ましくは70質量%以上であり、上限は高グリップ性能指向の場合は100質量%であってもよいが、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下である。
ゴム成分100質量%中のBRの含有量は、耐摩耗性能に優れる観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは20質量%以上であり、グリップ性能に優れる観点から、好ましくは90質量%以下、より好ましくは70質量%以下、更に好ましくは40質量%以下、特に好ましくは30質量%以下である。
上記ゴム組成物をクリンチに用いる場合、イソプレン系ゴムとBRが主体となるが、ゴム成分の含有量は以下の通りが好ましい。これにより、効果がより好適に得られる。
ゴム成分100質量%中のイソプレン系ゴムの含有量は、引張り性能に優れる観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上であり、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、更に好ましくは60質量%以下、特に好ましくは40質量%以下である。
ゴム成分100質量%中のBRの含有量は、耐摩耗性能に優れる観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは50質量%以上、特に好ましくは60質量%以上、最も好ましくは65質量%以上であり、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは80質量%以下、特に好ましくは75質量%以下である。
上記ゴム組成物は、カーボンブラック及び/又はシリカを含有する。これにより、効果が好適に得られる。上記ゴム組成物を乗用車用タイヤのトレッドに用いる場合、良好な低燃費性能が得られるという理由から、シリカを配合することが好ましい。一方、上記ゴム組成物をクリンチ又はトラック・バス用タイヤのトレッドに用いる場合、良好なゴム強度、耐摩耗性能、引張り性能が得られるという理由から、カーボンブラックを配合することが好ましい。
カーボンブラックとしては、特に限定されないが、N134、N110、N220、N234、N219、N339、N330、N326、N351等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記ゴム組成物をトレッドに用いる場合、カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は、70m/g以上が好ましく、80m/g以上がより好ましく、100m/g以上が更に好ましい。70m/g以上であると、補強性が向上し、充分な耐摩耗性能が得られる傾向がある。また、上記NSAは、300m/g以下が好ましく、250m/g以下がより好ましく、200m/g以下が更に好ましく、150m/g以下が特に好ましい。300m/g以下であると、カーボンブラックの良好な分散が得られやすく、効果が良好に得られる傾向がある。
なお、カーボンブラックの窒素吸着比表面積は、JIS K 6217-2:2001によって求められる。
上記ゴム組成物をクリンチに用いる場合、カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は、40m/g以上が好ましく、50m/g以上がより好ましく、60m/g以上が更に好ましい。40m/g以上であると、補強性が向上し、充分な耐摩耗性能が得られる傾向がある。また、上記NSAは、200m/g以下が好ましく、150m/g以下がより好ましく、130m/g以下が更に好ましく、100m/g以下が特に好ましい。200m/g以下であると、カーボンブラックの良好な分散が得られやすく、効果が良好に得られる傾向がある。
カーボンブラックとしては、例えば、旭カーボン(株)、キャボットジャパン(株)、東海カーボン(株)、三菱化学(株)、ライオン(株)、新日化カーボン(株)、コロンビアカーボン社等の製品を使用できる。
カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは2質量部以上、より好ましくは3質量部以上である。2質量部以上であると、十分な耐紫外線クラック性能、補強性を得ることができ、良好な耐摩耗性能が得られる傾向がある。また、該含有量は、好ましくは150質量部以下、より好ましくは120質量部以下、更に好ましくは80質量部以下である。150質量部以下であると、カーボンブラックを良好に分散でき、良好な耐摩耗性能が得られる傾向がある。
なお、上記ゴム組成物をクリンチ又はトラック・バス用タイヤのトレッドに用いる場合、カーボンブラックの含有量の下限は、更に好ましくは20質量部、特に好ましくは30質量部、最も好ましくは40質量部、より最も好ましくは50質量部である。一方、上記ゴム組成物を乗用車用タイヤのトレッドに用いる場合、カーボンブラックの含有量の上限は、特に好ましくは80質量部、最も好ましくは70質量部、より最も好ましくは60質量部、更に最も好ましくは40質量部、特に最も好ましくは20質量部、より更に最も好ましくは10質量部である。
シリカとしては、例えば、乾式法シリカ(無水ケイ酸)、湿式法シリカ(含水ケイ酸)等が挙げられるが、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
シリカのチッ素吸着比表面積(NSA)は、70m/g以上が好ましく、150m/g以上がより好ましい。70m/g以上にすることで、耐摩耗性能が向上する傾向がある。また、該NSAは、300m/g以下が好ましく、200m/g以下がより好ましい。300m/g以下にすることで、加工性能が改善される傾向がある。
なお、シリカの窒素吸着比表面積は、ASTM D3037-81に準じてBET法で測定される値である。
シリカとしては、例えば、デグッサ社、ローディア社、東ソー・シリカ(株)、ソルベイジャパン(株)、(株)トクヤマ等の製品を使用できる。
シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは2質量部以上、より好ましくは5質量部以上、更に好ましくは10質量部以上、特に好ましくは30質量部以上、最も好ましくは60質量部以上である。2質量部以上であると、グリップ性能、低燃費性能が改善される傾向がある。また、該含有量は、好ましくは150質量部以下、より好ましくは140質量部以下、更に好ましくは130質量部以下、特に好ましくは100質量部以下である。150質量部以下であると、シリカを良好に分散でき、良好な耐摩耗性能が得られる傾向がある。
上記ゴム組成物がシリカを含有する場合、更にシランカップリング剤を含有することが好ましい。
シランカップリング剤としては、特に限定されず、例えば、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2-トリエトキシシリルエチル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、などのスルフィド系、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシラン、Momentive社製のNXT、NXT-Zなどのメルカプト系、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどのビニル系、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ系、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、などのグリシドキシ系、3-ニトロプロピルトリメトキシシラン、3-ニトロプロピルトリエトキシシランなどのニトロ系、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリエトキシシランなどのクロロ系などがあげられる。市販品としては、デグッサ社、Momentive社、信越シリコーン(株)、東京化成工業(株)、アヅマックス(株)、東レ・ダウコーニング(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、効果が良好に得られる傾向がある点から、スルフィド系シランカップリング剤が好ましい。
シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、3質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましい。3質量部以上であると、添加による効果が得られる傾向がある。また、上記含有量は、20質量部以下が好ましく、15質量部以下がより好ましい。20質量部以下であると、配合量に見合った効果が得られ、良好な混練時の加工性が得られる傾向がある。
上記ゴム組成物は、硫黄及び/又は硫黄含有化合物を含有する。これにより、効果が好適に得られる。
硫黄としては、ゴム工業において一般的に用いられる粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄、可溶性硫黄などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
硫黄としては、例えば、鶴見化学工業(株)、軽井沢硫黄(株)、四国化成工業(株)、フレクシス社、日本乾溜工業(株)、細井化学工業(株)等の製品を使用できる。
硫黄含有化合物としては、硫黄を含有し、加硫剤として使用可能な化合物であれば特に限定されず、例えば、1,2-ビス(N,N’-ジベンジルチオカルバモイルジチオ)エタン、1,3-ビス(N,N’-ジベンジルチオカルバモイルジチオ)プロパン、1,4-ビス(N,N’-ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ブタン、1,5-ビス(N,N’-ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ペンタン、1,6-ビス(N,N’-ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサン、1,7-ビス(N,N’-ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘプタン、1,8-ビス(N,N’-ジベンジルチオカルバモイルジチオ)オクタン、1,9-ビス(N,N’-ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ノナン、1,10-ビス(N,N’-ジベンジルチオカルバモイルジチオ)デカン、ポリ-3,6-ジオキサオクタン-テトラスルフィド、1,6-ヘキサメチレン-ジチオ硫酸ナトリウム・二水和物などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
硫黄含有化合物としては、例えば、ランクセス社、川口化学工業(株)等の製品を使用できる。
硫黄、硫黄含有化合物の合計含有量(好ましくは硫黄の含有量)は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上である。また、上記含有量は、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5.0質量部以下、更に好ましくは3.0質量部以下である。上記範囲内であると、効果が良好に得られる傾向がある。
上記ゴム組成物は、ロジンエステル樹脂を含有することが好ましい。
ロジンエステル樹脂を配合した場合、ロジンエステル樹脂中の芳香族部位が、ポリマーへの分散過程で生じる硫黄のラジカルを吸収し、ゴム中に適切なせん断トルクを発生させ、硫黄分散を促進させると考えられる。また、ロジンエステル樹脂中のCOOH基が硫黄と結合し、硫黄分散を促進させると考えられる。これらによって、ポリマーの分子切断を抑制しつつ、硫黄を均一に分散させることが出来るため、耐摩耗性能がより改善されると考えられる。この効果は、フェルラ酸エステル化合物と共にロジンエステル樹脂を配合することにより相乗的に生じ、耐摩耗性能、引張り性能をよりバランスよく改善できるものと推測される。
ロジンエステル樹脂としては、ロジン類のエステル化物を使用することができ、該ロジン類としては、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン等の原料ロジン;原料ロジンの不均化物;原料ロジンを水素添加処理した安定化ロジン;重合ロジン等が挙げられる。ロジン類の主成分は、アビエチン酸、パラストリン酸、ネオアビエチン酸、ピマール酸、イソピマール酸、デヒドロアビエチン酸等の樹脂酸である。
ロジンエステル樹脂は、上記ロジン類とポリオール(グリセリン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール)のエステル化反応により生成される。エステル化反応は、公知の方法、例えば、不活性ガスの雰囲気下で、ロジン類とポリオールを200~300℃に加熱し、生成した水を系外に除去することにより行うことができる。
ロジンエステル樹脂の酸価(mgKOH/g)は、好ましくは1以上、より好ましくは5以上であり、好ましくは100以下、より好ましくは80以下、更に好ましくは50以下、特に好ましくは30以下である。酸価が上記範囲内であると、効果がより好適に得られる。
本明細書において、酸価とは、樹脂1g中に含まれる酸を中和するのに要する水酸化カリウムの量をミリグラム数で表したものであり、電位差滴定法(JIS K0070)により測定した値である。
ロジンエステル樹脂の軟化点は、好ましくは-20℃以上、より好ましくは0℃以上、更に好ましくは40℃以上、特に好ましくは60℃以上である。ロジンエステル樹脂の軟化点は、好ましくは180℃以下、より好ましくは140℃以下、更に好ましくは100℃以下である。軟化点が上記範囲内であると、効果がより好適に得られる。
なお、本明細書において、軟化点とは、JIS K6220:2001に規定される軟化点を環球式軟化点測定装置で測定し、球が降下した温度である。
ロジンエステル樹脂の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上である。ロジンエステル樹脂の含有量は、好ましくは20質量部以下、より好ましくは10質量部以下、更に好ましくは5質量部以下である。含有量が上記範囲内であると、効果がより好適に得られる。
なお、上記ゴム組成物は、ロジンエステル樹脂以外の樹脂を含有していてもよい。樹脂としては、タイヤ工業で汎用されているものであれば特に限定されず、ロジンエステル樹脂以外のロジン系樹脂、クマロンインデン樹脂、α-メチルスチレン系樹脂、テルペン系樹脂、p-t-ブチルフェノールアセチレン樹脂、アクリル系樹脂、C5樹脂、C9樹脂等が挙げられる。市販品としては、丸善石油化学(株)、住友ベークライト(株)、ヤスハラケミカル(株)、東ソー(株)、Rutgers Chemicals社、BASF社、アリゾナケミカル社、日塗化学(株)、(株)日本触媒、JXエネルギー(株)、荒川化学工業(株)、田岡化学工業(株)、東亞合成(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記ゴム組成物は、老化防止剤を含有することが好ましい。
老化防止剤としては、例えば、フェニル-α-ナフチルアミン等のナフチルアミン系老化防止剤;オクチル化ジフェニルアミン、4,4′-ビス(α,α′-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン等のジフェニルアミン系老化防止剤;N-イソプロピル-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1,3-ジメチルブチル)-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン、N,N′-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン等のp-フェニレンジアミン系老化防止剤;2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンの重合物等のキノリン系老化防止剤;2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、スチレン化フェノール等のモノフェノール系老化防止剤;テトラキス-[メチレン-3-(3′,5′-ジ-t-ブチル-4′-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等のビス、トリス、ポリフェノール系老化防止剤などが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、p-フェニレンジアミン系老化防止剤、キノリン系老化防止剤が好ましく、p-フェニレンジアミン系老化防止剤がより好ましい。フェルラ酸エステル化合物と共にp-フェニレンジアミン系老化防止剤を配合することにより相乗効果が生じ、耐摩耗性能、引張り性能をよりバランスよく改善できる。この効果はイソプレン系ゴムを配合した場合により顕著に得られる。
老化防止剤としては、例えば、精工化学(株)、住友化学(株)、大内新興化学工業(株)、フレクシス社等の製品を使用できる。
老化防止剤(好ましくはp-フェニレンジアミン系老化防止剤)の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上である。また、上記含有量は、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下である。含有量が上記範囲内であると、効果がより好適に得られる。
上記ゴム組成物は、ワックスを含有することが好ましい。
ワックスとしては、特に限定されず、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油系ワックス;植物系ワックス、動物系ワックス等の天然系ワックス;エチレン、プロピレン等の重合物等の合成ワックスなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、石油系ワックスが好ましく、パラフィンワックスがより好ましい。
ワックスとしては、例えば、大内新興化学工業(株)、日本精蝋(株)、精工化学(株)等の製品を使用できる。
ワックスの含有量は、前記性能バランスの観点から、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.3質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上であり、好ましくは20質量部以下、より好ましくは10質量部以下である。
上記ゴム組成物は、加硫促進助剤として、脂肪酸を含有することが好ましい。
脂肪酸としては、従来公知のものを使用でき、例えば、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸等が挙げられ、効果が良好に得られる傾向があるという点から、ステアリン酸が好ましい。
脂肪酸としては、日油(株)、NOF社、花王(株)、和光純薬工業(株)、千葉脂肪酸(株)等の製品を使用できる。
脂肪酸の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上である。また、上記含有量は、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下である。上記数値範囲内であると、効果がより好適に得られる。
上記ゴム組成物は、オイルを含有してもよいし、高度な耐摩耗性能を指向する場合は含有しなくてもよい。
オイルとしては、例えば、プロセスオイル、植物油脂、又はその混合物が挙げられる。プロセスオイルとしては、例えば、パラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイルなどを用いることができる。植物油脂としては、米油、ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生油、ロジン、パインオイル、パインタール、トール油、コーン油、べに花油、ごま油、オリーブ油、ひまわり油、パーム核油、椿油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、桐油等が挙げられる。市販品としては、出光興産(株)、三共油化工業(株)、(株)ジャパンエナジー、オリソイ社、H&R社、豊国製油(株)、昭和シェル石油(株)、富士興産(株)等の製品を使用できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、アロマ系プロセスオイルが好ましい。
オイルの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上である。また、上記含有量は、好ましくは50質量部以下、より好ましくは30質量部以下である。上記数値範囲内であると、効果がより好適に得られる。
上記ゴム組成物は、加硫促進助剤として、酸化亜鉛を含有することが好ましい。
酸化亜鉛としては、従来公知のものを使用でき、例えば、三井金属鉱業(株)、東邦亜鉛(株)、ハクスイテック(株)、正同化学工業(株)、堺化学工業(株)等の製品を使用できる。
酸化亜鉛の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上である。また、上記含有量は、好ましくは10質量部以下、より好ましくは5質量部以下である。上記数値範囲内であると、効果がより良好に得られる傾向がある。
上記ゴム組成物は、加硫促進剤を含有することが好ましい。
加硫促進剤としては、2-メルカプトベンゾチアゾール、ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド等のチアゾール系加硫促進剤;テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラベンジルチウラムジスルフィド(TBzTD)、テトラキス(2-エチルヘキシル)チウラムジスルフィド(TOT-N)等のチウラム系加硫促進剤;N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-t-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-オキシエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-オキシエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N′-ジイソプロピル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジン等のグアニジン系加硫促進剤を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、効果がより好適に得られるという理由から、スルフェンアミド系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤が好ましい。
加硫促進剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは0.7質量部以上、更に好ましくは1質量部以上、特に好ましくは1.5質量部以上である。また、上記含有量は、好ましくは10質量部以下、より好ましくは7質量部以下である。上記数値範囲内であると、効果がより好適に得られる。
上記ゴム組成物には、前記成分の他、タイヤ工業において一般的に用いられている添加剤を配合することができ、有機過酸化物、炭酸カルシウム、タルク、アルミナ、クレー、水酸化アルミニウム、硫酸マグネシウム、ゴム粉などの充填剤等を例示できる。これら充填剤の各含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上であり、好ましくは200質量部以下である。
上記ゴム組成物は、例えば、前記各成分をオープンロール、バンバリーミキサーなどのゴム混練装置を用いて混練し、その後加硫する方法等により製造できる。
混練条件としては、架橋剤(加硫剤)及び加硫促進剤以外の添加剤を混練するベース練り工程では、混練温度は、通常100~180℃、好ましくは120~170℃である。加硫剤、加硫促進剤を混練する仕上げ練り工程では、混練温度は、通常120℃以下、好ましくは85~110℃である。また、加硫剤、加硫促進剤を混練した組成物は、通常、プレス加硫などの加硫処理が施される。加硫温度としては、通常140~190℃、好ましくは150~185℃である。
上記ゴム組成物は、タイヤ、靴底ゴム、産業用ベルト、パッキン、免震ゴム、薬栓等に使用でき、なかでも、タイヤに好適に使用できる。
上記ゴム組成物は、良好な耐摩耗性能が要求されるトレッド(キャップトレッド)、クリンチに好適に用いられるが、上記ゴム組成物は、良好な引張り性能を有するため、トレッド、クリンチ以外のタイヤ部材、例えば、サイドウォール、ベーストレッド、アンダートレッド、ビードエイペックス、ブレーカークッションゴム、カーカスコード被覆用ゴム、インスレーション、チェーファー、インナーライナー等や、ランフラットタイヤのサイド補強層に用いてもよい。
クリンチとは、サイドウォール下部に存在するリムとの接触部をカバーするゴム部であり、クリンチエイペックス又はラバーチェーファーともいう。具体的には、例えば、特開2008-75066号公報の図1等に示される部材である。
(空気入りタイヤ)
本発明の空気入りタイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法で製造される。すなわち、上記成分を配合したゴム組成物を、未加硫の段階でトレッドなどの各タイヤ部材の形状にあわせて押出し加工し、他のタイヤ部材とともに、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することによりタイヤを得る。
上記空気入りタイヤは、乗用車用タイヤ、大型乗用車用、大型SUV用タイヤ、トラック・バス用タイヤ、競技用タイヤ、スタッドレスタイヤ(冬用タイヤ)、2輪車用タイヤ、ランフラットタイヤ、航空機用タイヤ、鉱山用タイヤ等に好適に使用可能である。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
実施例及び比較例で使用した各種薬品について、まとめて説明する。
NR:TSR20
SBR:日本ゼオン(株)製のNS616(非油展SBR、スチレン量:20質量%、ビニル量:66質量%、Tg:-23℃、Mw:24万)
BR:ランクセス社製のCB25(Nd系触媒を用いて合成したBR(Nd系BR)、シス含量:97質量%、ビニル含量:0.7質量%、Mw/Mn:1.78、Mw:50万、Mn:28万)
カーボンブラック1(N220):キャボットジャパン(株)製のショウブラックN220(カーボンブラック、NSA:114m/g)
カーボンブラック2(N330):キャボットジャパン(株)製のショウブラックN330(カーボンブラック、NSA:79m/g)
シリカ:デグッサ社製のウルトラシルVN3(NSA:175m/g)
シランカップリング剤:デグッサ社製のSi75(ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド)
ロジンエステル樹脂:ハリマ化成(株)製のハリスターTF(軟化点80℃、酸価10mgKOH/g)
テルペンスチレン樹脂:ヤスハラケミカル(株)製のYSレジンTO125(芳香族変性テルペン樹脂、軟化点:125℃、酸価:0mgKOH/g、Mw:800、Tg:64℃)
α-メチルスチレン樹脂:アリゾナケミカル社製のSylvatraxx4401(α-メチルスチレン系樹脂(α-メチルスチレンとスチレンとの共重合体)、軟化点:85℃、酸価:0mgKOH/g、水酸基価:0mgKOH/g、Mw:700、Tg:43℃)
C5樹脂:丸善石油化学工業(株)製のマルカレッツT-100AS
パラフィン系ワックス:日本精蝋(株)製のオゾエース0355
ステアリン酸:日油(株)製の椿
AH-24:出光興産(株)製のダイアナプロセスAH-24(アロマ系プロセスオイル)
米油:米油(米油の構成脂肪酸100質量%中のオレイン酸の含有量:41質量%、米油の構成脂肪酸100質量%中のパルミチン酸の含有量:17質量%、米油の構成脂肪酸100質量%中のリノール酸の含有量:37質量%)
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛2種
6PPD:住友化学(株)製のアンチゲン6C(老化防止剤、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン)
TMQ:FLEXSYS(株)製のFLECTOL TMQ(2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン重合体)
γ-オリザノール:オリザ油化(株)製のγ-オリザノール(イネ科イネ(Oryza sativa Linne)の種皮から抽出、精製されたγ-オリザノール(シクロアルテノールフェルラ酸エステルの含有量:98質量%以上))
5%オイル含有粉末硫黄:細井化学工業(株)製のHK-200-5(5質量%オイル含有粉末硫黄)
TBBS:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS(加硫促進剤、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
DPG:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD(加硫促進剤、1,3-ジフェニルグアニジン)
(実施例及び比較例)
表1に示す配合処方にしたがい、(株)神戸製鋼所製の1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の薬品を設定温度150℃の条件下で5分間混練りし、混練り物を得た。次に、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて、100℃の条件下で5分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。
得られた未加硫ゴム組成物を表1に記載の加硫条件でプレス加硫することにより、加硫ゴム組成物を得た。
また、得られた未加硫ゴム組成物をトレッドの形状に成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせて未加硫タイヤを作製し、表1に記載の加硫条件でプレス加硫して試験用タイヤ(サイズ:205/65R15(乗用車用タイヤ)、11R22.5(トラック・バス用タイヤ))を得た。
得られた未加硫ゴム組成物、加硫ゴム組成物、試験用空気入りタイヤを使用して、下記の評価を行った。それぞれの試験結果を表1に示す。なお、トラック・バス1では比較例1-1、トラック・バス2では比較例2-1、乗用車1では比較例3-1、乗用車2では比較例4-1、クリンチでは比較例5-1を基準比較例とした。
(ムーニー粘度)
JIS K 6300-1「未加硫ゴム-物理特性-第1部:ムーニー粘度計による粘度及びスコーチタイムの求め方」に準じて、ムーニー粘度試験機を用いて、1分間の予熱によって熱せられた130℃の温度条件にて、小ローターを回転させ、4分間経過した時点での上記未加硫ゴム組成物のムーニー粘度(ML1+4/130℃)を測定した。測定結果を基準比較例の結果を100とし、各配合のムーニー粘度を指数表示した。指数が大きいほど粘度が高く、ポリマーの切断が抑制できており、良好な加工性能を有することを示す。
(破断時伸び)
JIS K 6251「加硫ゴムおよび熱可塑性ゴム引っ張り特性の求め方」に準じて、加硫ゴムからなる3号ダンベル型試験片を用いて引張試験を実施し、加硫ゴム試験片の破断時伸び(引張伸び;EB〔%〕)を常温(23℃)、100℃で測定し、基準比較例を100として指数表示した(破断時伸び指数)。破断時伸び指数(常温)が大きいほど、引張り性能(常温)に優れることを示し、破断時伸び指数(100℃)が大きいほど、引張り性能(100℃)(高温環境下での引張り性能)に優れることを示す。
(耐摩耗性能)
(トレッド用ゴム組成物)
上記試験用タイヤを車両に装着し、走行距離8000km後のトレッドの溝探さを測定した。そして、溝深さが1mm減るときの走行距離を算出し、下記式により指数表示した。数値が大きいほど、耐摩耗性能に優れることを示す。
(耐摩耗性指数)=(各配合の溝深さが1mm減るときの走行距離)/(基準比較例の溝深さが1mm減るときの走行距離)×100
(クリンチ用ゴム組成物)
ランボーン摩耗試験機を用いて、温度20℃、スリップ率20%および試験時間2分間の条件下で上記加硫ゴムシートのランボーン摩耗量を測定した。そして、測定したランボーン摩耗量から容積損失量を計算し、下記計算式により、各配合の容積損失量を指数表示した。なお、ランボーン摩耗指数が大きいほど、耐摩耗性能に優れることを示す。
(ランボーン摩耗指数)=(基準比較例の容積損失量)/(各配合の容積損失量)×100
(総合性能)
表1では、破断時伸び指数(常温)、破断時伸び指数(100℃)、耐摩耗性能指数の合計を総合性能として評価した。
Figure 0007106839000002
表1より、ゴム成分と、カーボンブラック及び/又はシリカと、硫黄及び/又は硫黄含有化合物と、フェルラ酸エステル化合物とを含み、ゴム成分100質量部に対するフェルラ酸エステル化合物の含有量が0.01~10質量部である実施例は、良好な加工性能(高いゴム粘度、すなわち、混練工程においてポリマーの切断による粘度低下を抑制できていることを示す)を維持しつつ、耐摩耗性能、引張り性能をバランスよく改善できることが明らかとなった。特に、乗用車用タイヤのトレッドにおいて、引張り性能(100℃)、耐摩耗性能の向上が顕著であった。

Claims (10)

  1. ゴム成分と、カーボンブラック及び/又はシリカと、硫黄及び/又は硫黄含有化合物と、フェルラ酸エステル化合物と、ロジンエステル樹脂とを含み、
    前記ロジンエステル樹脂の軟化点が、60~100℃であり、
    ゴム成分100質量部に対する前記ロジンエステル樹脂の含有量が0.5~20質量部であり、
    ゴム成分100質量部に対するフェルラ酸エステル化合物の含有量が0.01~10質量部であるゴム組成物。
  2. 前記フェルラ酸エステル化合物が、γ-オリザノールである請求項1記載のゴム組成物。
  3. ゴム成分100質量部に対するγ-オリザノールの含有量が0.01~1.0質量部である請求項2記載のゴム組成物。
  4. ゴム成分100質量部に対する米油の含有量が9質量部以下である請求項1~3のいずれかに記載のゴム組成物。
  5. 前記ロジンエステル樹脂の酸価が5~30mgKOH/gである請求項1~4のいずれかに記載のゴム組成物。
  6. ゴム成分100質量部に対する前記ロジンエステル樹脂の含有量が1~5質量部である請求項1~5のいずれかに記載のゴム組成物。
  7. p-フェニレンジアミン系老化防止剤を含む請求項1~6のいずれかに記載のゴム組成物。
  8. ゴム成分100質量部に対する前記p-フェニレンジアミン系老化防止剤の含有量が2.5~5質量部である請求項7記載のゴム組成物。
  9. タイヤ用ゴム組成物である請求項1~8のいずれかに記載のゴム組成物。
  10. 請求項1~8のいずれかに記載のゴム組成物を用いて作製したタイヤ部材を有する空気入りタイヤ。
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