JP7105957B2

JP7105957B2 - 排気ろ過設備内に設けられた少なくとも１つのフィルタエレメントを交換する際に少なくとも１つの開口部を閉鎖する装置およびこのような装置を備える塗装設備

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Publication number: JP7105957B2
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Inventors: フレリヒスカーステン
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Filing date: 2021-03-29
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Description

本発明は、排気ろ過設備内に設けられた少なくとも１つのフィルタエレメントを交換する際に少なくとも１つの開口部を閉鎖する装置および少なくとも１つのこのような装置を備える塗装設備、特に自動車製造における塗装設備に関する。

物品の生産および／または表面処理の際に、粒子、有害物質等が空気中に混入してしまうことがある。例えば塗装設備の塗装ブース内の空気には、いわゆるオーバースプレー、つまり、顔料、溶剤およびバインダからなっていることができる噴霧された材料の一部であって、ワークに付かずに、スプレーミストまたは塗料ミストの形態で周囲に逃げた材料が含まれている。このオーバースプレーと、一般にすべての、生産設備および／または表面処理設備の空気中に蓄積した粒子、有害物質等とは、通常、空気流によって排気ろ過設備内に案内され、排気ろ過設備内で排気は、望ましくない内容物のろ過により清浄化され得る。好適な処理の後、空気は、再び設備内に戻されてもよいし、または、しかし、外部に排出されてもよい。

フィルタは、しかし、フィルタが完全に詰まった際には、交換されなければならない。このためには、このフィルタを取り出し、新たなフィルタを装填するために、人員が空気流の領域に入って、フィルタのところまで行かなければならない。多くの場合、このために閉鎖可能な検査開口部が使用される。人員を健康被害から守るために、その際、少なくとも交換したいフィルタの領域内の空気流は、遮断されなければならない。空気流の遮断中、有害物質が作業領域に蓄積してしまう可能性があるので、このような遮断は、往々にして物品の生産および／または表面処理の中断を結果として伴うことになる。この中断は、通例、極めて不都合である。

従来技術では、それゆえ、排気ろ過設備の運転中に如何にフィルタの交換を可能にし得るか、様々な解決手段が提案されている。多くの提案は、複数のフィルタモジュールのローテーションを含んでいる。フィルタモジュールには、他方、複数のフィルタエレメントが装着されている。ローテーションにより、詰まったフィルタエレメントは、空気流から出され、保護された位置へ移動され、そこで取り出され、あるいは交換され得る。代替的に示されているのは、詰まったフィルタエレメントをその交換のために保護された位置へスライドさせることである。空気流からのスライドまたはローテーションにより、その際、それぞれ１つの新品の、または代替的には、処理されたフィルタエレメントが、空気流中に入れられ、その結果、排気の途切れなしのろ過が保証されている。

従来技術におけるこれらの解決手段が、場所や技術に関して多くを要求し、それゆえ、それほど追及する価値がないことは、容易に見て取れる。

別の解決手段では、フィルタエレメントまたはフィルタモジュールを通る空気流を遮断するために、ジャロジー、フラップ、ローラーシャッター等が使用され、その結果、空気流は、部分的にのみ遮断される。しかし、この種のシステムは、排気中の分離させたい物質によっては不適である。それというのも、塗装設備の場合にそうであるように、可動の要素が例えば固着または凝固してしまい、これによりその機能がもはや保証されていないからである。

それゆえ本発明の課題は、ろ過したい空気の空気流を遮断することなく、排気ろ過設備のフィルタエレメントを交換し得る装置を提案することである。

本発明の課題は、請求項１記載の装置および請求項１０記載の塗装設備により解決される。本発明の別の好ましい構成は、従属請求項に挙げた残余の特徴から生じる。

本発明に係る装置は、排気ろ過設備内に設けられた少なくとも１つのフィルタエレメントを交換する際に、交換したい少なくとも１つのフィルタエレメントに対応する少なくとも１つの開口部を閉鎖するために設けられており、互いに略平行に配置された２つの走行レールであって、少なくとも１つの自己安定型の支持構造を走行可能に懸吊する走行レールと、少なくとも１つの自己安定型の支持構造を走行レールに沿って移動させ得る少なくとも１つの搬送手段とを備えて形成されており、走行レールは、少なくとも１つの自己安定型の支持構造を排気ろ過設備のフィルタエレメントに沿って案内し、少なくとも１つの自己安定型の支持構造には、少なくとも１つのカバー要素が配置され、排気ろ過設備のフィルタエレメントの方向に整列されており、少なくとも１つの支持構造を、交換したい少なくとも１つのフィルタエレメントに対応する少なくとも１つの開口部の前に位置決めすることで、少なくとも１つの開口部は、少なくとも１つのカバー要素により略全面的にカバーされている。

排気ろ過設備、特に、連続的な運転が行われる生産設備および／または表面処理設備に属する排気ろ過設備は、通常、長手方向に延在して形成されていることが多く、長手方向の延在の場合、片側または両側の長辺の側壁の壁内に開口部が設けられていて、開口部内または開口部の後ろには、フィルタエレメント、またはフィルタモジュールにまとめられたフィルタエレメントが配置されている。空気流が発生され、空気流は、生産および／または表面処理からの粒子、有害物質等を含んだ排気をそこから排気ろ過設備内に、そして排気ろ過設備を通して案内され、このとき、フィルタエレメント内で排気の清浄化が実施される。続いて排気は、循環空気系では処理および再利用に供給することができ、または設備の送気・換気系から排出することができる。

フィルタモジュールの１つのフィルタエレメントあるいは複数のフィルタエレメントの詰まりが最大に達すると、フィルタエレメントまたはフィルタモジュールを交換すべきであり、その際、確実な生産あるいは表面処理を保証すべく、上述の排気流が遮断されるべきでない場合、交換すべき少なくとも１つのフィルタエレメントまたはフィルタモジュールに対応する開口部は、カバーまたは閉鎖されなければならない。その結果、フィルタエレメントまたはフィルタモジュールの交換は、排気流から保護されて実施可能である。通例、１つの開口部または対向する２つの開口部をカバーしても、この場合、塗装ブース内へのまたは塗装ブースからの空気流のスループットにとって大勢に影響はない。それというのも、カバーは、時間的に限られて実施されるにすぎず、空気流は、このように圧力の関係が変動する際には、それに合わせて制御することができ、この場合、システム内の別のフィルタモジュールへ分配されるからである。

装置は、つまり、排気ろ過設備において少なくとも、交換したい少なくとも１つのフィルタエレメントに対応する開口部を閉鎖するために用いられる。それゆえ開口部は、単一のフィルタエレメントに対応していてもよいし、複数のフィルタエレメントに対応していてもよいし、１つのフィルタモジュールに対応していてもよい。１つのフィルタモジュールは、この場合、構造的にまとめられた一群のフィルタエレメントと解すべきである。本発明に係る装置は、その際、１つより多くのこのような開口部を閉鎖してもよい。

加えて２つの走行レールが設けられており、２つの走行レールは、略平行に延びている。走行レールは、排気ろ過設備のフィルタエレメントの上方において、例えば排気ろ過設備の側壁に配置されているが、別体の鋼製構造物に、壁突出部から、天井から、または天井の一部から吊設されてもよい。

これらの両走行レールにより、少なくとも１つの自己安定型の支持構造が懸吊されている。自己安定とは、この場合、支持構造自体が剛性であること、つまり、内部ですべりや、ねじれが生じず、ひいては荷重がかかってもその形状を維持するように形成されていることを意味している。このために支持構造は、例えばビーム、例えば鋼製ビームと、筋交いとからなるフレームを有して形成されていてもよい。好ましくは、ビームは、排気から堆積物が形成されてしまわないように、閉じた形材により形成されている。ビームまたは形材による形成は、排気ろ過設備内の空気流に過度に影響を及ぼさないように、略面状の特徴をもった支持構造の形成より好ましい。少なくとも１つの自己安定型の支持構造は、以下では読みやすさを高めるために単に支持構造とも称呼する。

この少なくとも１つの支持構造は、走行レールにより走行可能に懸吊されており、つまり、走行レールに沿って移動可能である。このことは、とりわけローラ、特にいわゆる走行キャリッジ（ローラキャリッジまたはローラ装置またはスライダとしても知られる）の形態のローラにより実現され得る。

自己安定型の支持構造の幅は、排気ろ過設備の長手方向の側壁間の間隔を略完全に埋めるように選択されている。その際、長手方向での少なくとも１つの支持構造の移動を保証すべく、これらの側壁の内法の幅に対し、差、即ち隙間が設けられていなければならない。

２つ以上の支持構造が走行レールにより走行可能に懸吊されてもよい。２つ以上の支持構造は、特に互いに対して間隔を置いて位置決めされており、その結果、間隔を置いた複数のフィルタエレメントまたはフィルタモジュールを同時に交換することが可能である。

支持構造の移動を実現すべく、少なくとも１つの搬送手段が設けられている。搬送手段は、少なくとも１つの自己安定型の支持構造を、走行レールにより定められた両方向で移動させることができるように形成されていることが望ましい。

略平行に延びる２つの走行レールにより懸吊されて走行可能な自己安定型の支持構造の配置構成により、走行レール、ひいては周囲に対して、支持構造の安定かつ確実な方向付けおよび案内が達成され、その結果、支持構造のためにレール、スペーサ等の形態のさらなるガイドを設けずに済む。

走行レールは、少なくとも１つの自己安定型の支持構造を、１つのフィルタエレメントあるいはフィルタモジュールにまとめられた複数のフィルタエレメントに沿って通過させるように配置されている。

少なくとも１つの自己安定型の支持構造には、その際、少なくとも１つのカバー要素が配置され、排気ろ過設備のフィルタエレメントの方向に整列されている。少なくとも１つのカバー要素は、つまり、それぞれの支持構造の、フィルタエレメントに向かう側面に配置されている。排気ろ過設備が長手方向で支持構造の両側にフィルタエレメントを備えて構成されている場合、有利には、それぞれの支持構造の両側にカバー要素が設けられていてもよい。複数のカバー要素が支持構造の同じ側に配置されていてもよい。少なくとも１つのカバー要素は、例えばプレートとして形成されていることができ、その際、例えば定期的なクリーニング（機械的なクリーニング法である場合もある）に耐えるように、十分に頑強であることが望ましい。少なくとも１つのカバー要素は、加えて、その上に堆積する物質のクリーニングをより容易にすることができるように、シートで上張りまたはグリースが付与されてもよい。

少なくとも１つのカバー要素の大きさは、交換したい少なくとも１つのフィルタエレメントもしくは交換したい一群のフィルタエレメントもしくは交換したいフィルタモジュール、またはフィルタエレメントの周りまたは前に生じる開口部の大きさに実質的に相当している。

少なくとも１つの搬送手段により、少なくとも１つの支持構造は、交換したい少なくとも１つのフィルタエレメントに対応する少なくとも１つの開口部の前に位置決めされる。この位置決めが実施されると、交換したいフィルタエレメントに面した少なくとも１つのカバー要素は、このフィルタエレメントを略全面的にカバーする。シール、または絶対的に全面的なカバーは、この場合、必ずしも必要でない。それというのも、排気ろ過設備内の排気流の結果、負圧が生じ、この負圧が、カバーされた開口部内に排気が流入するのを妨げるからである。それにもかかわらず、任意選択的には、好ましくは環状のシールが、少なくとも１つのカバー要素の周りに設けられていてもよい。

少なくとも１つの支持構造を、交換したい少なくとも１つのフィルタエレメントに対応する少なくとも１つの開口部の前に位置決めすると直ちに、フィルタエレメントは、取り出され、置き換えられ得る。このことは、例えばフィルタエレメントの後ろに延びるオペレーティングエリア（作業空間）を介して実施可能である。交換を行う人員は、その際、排気から保護されている。これにより、塗装ブース内への空気流および塗装ブースからの空気流は、遮断される必要がなく、関係する設備の生産および／または表面処理は、同じく中断される必要がない。

有意義とわかっているのは、排気ろ過設備内に少なくとも１つの自己安定型の支持構造のための待機位置または停留位置が設けられており、フィルタエレメント交換が行われないときは、少なくとも１つの支持構造が待機位置または停留位置へ移動される態様である。これにより、空気流と、搬送すべき空気量とについての損失は、回避または減少され得る。このような待機位置または停留位置は、例えばフィルタエレメントが配置されていない領域に設けられていることができる。

本発明に係る装置の第１の有利な構成において、それぞれの走行レールは、かつ／または少なくとも１つの搬送手段は、少なくとも流入した排気に対してカバー部材を有し、かつ／または少なくとも流入した排気に対して閉鎖されて形成されている。排気ろ過設備内では、排気流は、通例、同じ方向から流れ続ける。塗装設備内では、例えば排気は、塗装ブースから下方へ、排気ろ過設備内に案内され、つまり、上から排気ろ過設備内に流入する。それゆえ合目的であるのは、走行レールおよび／または少なくとも１つの搬送手段を排気流由来の堆積物から保護することである。このことは、例えばカバー部材により行うことができ、カバー部材は、それぞれ１つの走行レールまたは少なくとも１つの搬送手段を少なくとも空気流が走行レールまたは少なくとも１つの搬送手段に当たる側でカバーする。カバー部材は、例えば薄板でもよく、薄板は、好ましくは交換可能に取り付けられている。カバー部材は、それぞれ、走行レールおよび／または少なくとも１つの搬送手段の、機能上露出される必要のない残余の表面もカバーするように構成されていてもよい。カバー部材は、加えて、排気中に随伴される内容物が走行レールおよび／または少なくとも１つの搬送手段内に侵入するのを防止すべく、残余の表面において少なくとも部分的に走行レールあるいは少なくとも１つの搬送手段を越えて突出していてもよい。

代替的または付加的に、それぞれの走行レールは、かつ／または少なくとも１つの搬送手段は、少なくとも流入した排気が走行レールおよび／または少なくとも１つの搬送手段に当たる方向で、閉鎖されて形成されていてもよい。例えば走行レールがいわゆるチャンネルレールとして形成されているとき、走行レールは、上方および側方に向かって閉鎖されており、その結果、排気はそこからは侵入し得ない。

両変化態様の組み合わせは、例えば走行レールがチャンネルレールとして形成されており、かつ少なくとも１つの自己安定型の支持構造の走行可能な懸吊が走行キャリッジによりなされているときに考慮の対象となり得る：この場合、それぞれ１つの薄板がチャンネルレールを越えて延在しており、その際、走行キャリッジの側方を下方まで、それぞれの支持構造に向かってカバーするように寸法設定されていることができる。これにより排気の侵入、ひいては走行キャリッジの汚損は、防止または少なくとも軽減され得る。

本発明の第２の好ましい構成において、少なくとも１つの搬送手段は、プッシュチェーンを有して形成されている。プッシュチェーンは、リニアタイプの駆動技術に属する部品である。プッシュチェーンは、複数の特別なチェーンリンクからなっており、これらのチェーンリンクは、形状結合式に連続的に互いに係合し合っている。これによりプッシュチェーンは引き推しすることができる。プッシュチェーンの駆動部には、通常、ピニオンが嵌められ、ピニオンは、プッシュチェーンの中間リンクに係合し、チェーンを１リンク１リンク前進または後退させる。プッシュチェーンは、プッシュチェーンの座屈を回避すべく、滑動面上でまたはガイドレールにより案内され得る。プッシュチェーンにより、正しい位置に高信頼性に、一様にかつスムーズに到達することが可能である。プッシュチェーンは、その際、伸び縮みしない。このことは、排気ろ過設備内での少なくとも１つの支持構造の極めて精緻かつ再現可能な位置決めを可能にする。プッシュチェーンのさらなる利点は、極めて長い行程を実現するとともに、その際、行程を迅速に実現することもできることにある。さらに、プッシュチェーンが必要とするスペースは、比較的小さい。それというのも、プッシュチェーンは、巻き取られて収納され得るからである。複数のプッシュチェーンが結合軸により機械的に互いに同期され、ひいては同期運転が実現されてもよい。

さらに、少なくとも１つの自己安定型の支持構造は、幅の調整が可能であると、好ましい。この幅とは、この場合、少なくとも１つの支持構造の移動方向に対して垂直方向（横方向）の幅である。幅の調整は、排気ろ過設備内の製造公差を補償するために、または排気ろ過設備内の構造的な狭窄または拡張に適合させるために、有利であり得る。加えて、これにより少なくとも１つのカバー要素は、閉鎖すべき少なくとも１つの開口部にさらに接近可能である。幅の調整あるいは適合を実現すべく、例えばビームは、支持構造の横方向、つまり幅方向で伸長可能に、または互いに摺動可能に構成されていることができ、その結果、少なくとも１つの支持構造の、フィルタエレメントに面した側面の間隔は、増減され得る。

少なくとも１つのカバー要素が取り外し可能であると、同じく有利である。この取り外しは、例えば少なくとも１つのカバー要素がクリーニングされるべきとき、および／または少なくとも一時的にカバーするのに必要とされないときに実施され得る。少なくとも１つのカバー要素は、而して、つまり分離不能に支持構造に結合されるのではなく、分離可能な結合により支持構造に取り付けられる。少なくとも１つのカバー要素の確実な取り出しを保証するためには、それぞれの結合部は、排気の侵入および排気の内容物の堆積から保護されることが望ましい。

代替的または付加的に、少なくとも１つのカバー要素は、開放され得るかつ／または少なくとも１つのカバー要素の面積が減少され得るように形成されていてもよい。開放は、例えばフラップ、フィン等により実現され得る一方、表面積の減少は、少なくとも１つのカバー要素の巻き取りまたは折り畳みにより実現されていることができる。少なくとも１つのカバー要素の面積の減少は、その際、１つの開口部に対応していてもよい。而るに、開口部をカバーしなくてもよいため、カバー要素が必要とされないとき、または排気流に影響を及ぼすのが望ましくないとき、カバー要素は、開放され、かつ／またはカバー要素の面積は、減少され得る。しかし、本実施の形態は、幾つかの使用例、例えば塗装設備では、保守の手間の増大を必然的に伴い得る。それというのも、可動の部材が、排気中に随伴される塗料成分により固着してしまうことがあるからである。

少なくとも１つの搬送手段は、既述の通り、駆動部を有していることができる。

この駆動部は、特に塗装設備のような要求度の高い周囲内にあるときは、排気による被害から駆動部を保護すべく、好ましくは、排気ろ過設備外に配置されている。少なくとも１つの搬送手段への駆動力の伝達は、この場合、排気ろ過設備外で実施され、搬送手段は、この場合、好適にはシールされて、排気ろ過設備内に導入され得る。排気ろ過設備内への駆動部の配置も可能であることは、自明である。しかし、この場合、駆動部は、排気の侵入から保護されなければならない。

駆動部は、好ましくは原動機式、特に電気モータ式に形成されている。駆動部は、この場合、排気ろ過設備内または外に配置されていることが可能である。電気モータは、全速度領域にわたっての高い効率および途切れなしのトルク出力の点で優れている。電気モータは、加えてその他の原動機より小型かつ軽量であり、エミッションを引き起こさず、運転コストもごく僅かである。

少なくとも１つの自己安定型の支持構造を、交換したい少なくとも１つのフィルタエレメントに対応する少なくとも１つの開口部の前に位置決めすべく、本発明に係る装置は、制御装置を備え、または制御装置と協働することができ、制御装置は、少なくとも１つの搬送手段に対して作用する。つまり、固有の制御装置が装置内に設けられていてもよいし、または生産設備および／または表面処理設備内に設けられた別の制御装置が、少なくとも１つの搬送手段に対して作用してもよい。この場合、作用とは、制御装置が制御指令を少なくとも１つの搬送手段および特にその駆動部に伝え、その結果、少なくとも１つの自己安定型の支持構造が所望のあるいは必要な位置へ搬送されることをいう。

同じく特許請求するのは、排気ろ過設備と、少なくとも１つの本発明に係る装置とを備える塗装設備、特に自動車製造における塗装設備である。塗装設備は、通常、塗装ブースを備え、塗装ブースは、加えて複数の塗装ゾーンに分けられている場合がある。排気は、上で既に説明したオーバースプレーを含んでおり、排気ろ過設備に供給される。特に自動車製造においては、下方への導出が行われ、その結果、排気は、上から排気ろ過設備内に流入し、フィルタエレメントに供給される。塗装設備は、複数の塗装ブースを有している場合があるので、関係する排気ろ過設備に本発明に係る装置を少なくとも１つずつ設けることが有意義である。

本発明に係る装置により、１つまたは複数のフィルタエレメントの交換は、排気ろ過設備の運転中に実施可能である。これに伴い、生産および／または表面処理も中断される必要がない。それというのも、そこから導出すべき内容物は、引き続き排気ろ過設備に供給され、そこで排気から分離され得るからである。開示した装置は、極めて頑強であり、要求度の高い周囲内での要求に応える。少なくとも１つの支持構造および少なくとも１つのカバー要素の数および大きさにより、それぞれの排気ろ過設備への個別の適合が実施可能である。本発明に係る装置は、塗装設備において使用されるのが好ましくはあるが、それに限定されるものではない。

この出願において挙げた本発明の様々な実施の形態は、個々のケースで特に断りのない限り、有利には互いに組み合わせ可能である。

以下に、本発明について実施例において添付図面を参照しながら説明する。

本発明に係る装置の例示的な一構成の概略断面図および詳細図である。図１に示した本発明に係る装置の例示的な構成を備える排気ろ過設備の概略平面図および図である。

図１には、本発明に係る装置１０の例示的な一構成の概略断面図を示してある（図１ａ）。そこに楕円で細部を特定し、その部分を図１ｂに拡大して示してある。両図面（図１ａおよび図１ｂ）についてまとめて説明する。

本発明に係る装置１０は、塗装設備の排気ろ過設備内に設けられている。排気は、その際、塗装ブース（図示せず）から下方へ導出され、ひいては上から排気ろ過設備内へ案内される（矢印１０２）。

装置１０は、自己安定型の支持構造３０を備えて形成されており、支持構造３０は、ビーム３２と、例示的な本実施の形態では、付加的な筋交い（ブレース）３４とにより構成されている。ビーム３２は、この場合、直方体の縁をなしている。筋交い３４により、支持構造３０の剛性あるいは自己安定性が保証されている。

支持構造３０は、排気ろ過設備の側壁１１０間において２つの走行レール２０に懸吊されている。走行レール２０は、チャンネルレールとして形成されていて、互いに平行に配置されて、排気ろ過設備の側壁１１０に取り付けられている。走行レール２０は、図２からさらに看取可能であるように、排気ろ過設備のフィルタエレメント１４に沿って延びている。

支持構造３０の懸吊は、走行キャリッジ２２により走行が可能であるように実施されている。その際、支持構造３０の幅は、支持構造３０が、側壁１１０までほぼ達しているが、接触まではせず、側壁１１０間で側壁１１０に沿って案内され得るような寸法とされている。

チャンネルレール２０の各々の上方には、カバー部材として薄板２４が配置されており、薄板２４は、側壁１１０とチャンネルレール２０とにねじ止めされている。これにより薄板２４は、交換することも可能である。薄板２４は、チャンネルレール２０と走行キャリッジ２２とを排気から保護し、可動の支承部に堆積物が堆積したり、支承部が固着したりするのを回避するために設けられている。それゆえ薄板２４は、チャンネルレール２０を越えて走行キャリッジ２２を通り過ぎ、支持構造３０に向かって下方まで延在している。

支持構造３０の移動は、プッシュチェーンの形態の搬送手段４０により実現される。搬送手段４０の駆動部は、排気ろ過設備外に配置されており（図示せず）、電気モータとして構成されている。支持構造３０を精緻かつ再現可能に位置決めすべく、支持構造３０は、装置１０固有の制御装置（図示せず）により制御される。プッシュチェーン４０も、排気の侵入を防止すべく、その大部分がカバーによりハウジングされている。

側壁１１０内には、それぞれ、開口部１２が設けられており、開口部１２の後ろには、フィルタモジュール１６の形態のフィルタエレメント１４が配置されている（これについては図２参照）。

支持構造３０の両側には、側壁１１０に面して、それぞれ１つのカバー要素５０が配置されている。カバー要素５０は、それぞれ１つの開口部１２をカバーすることができる大きさに形成されている。開口部１２の後ろの１つのフィルタエレメント１４または１つのフィルタモジュール１６全体を交換すべきとき、支持構造３０は、制御装置により制御されてそれぞれの開口部１２の前に位置決めされ、開口部１２をカバー、つまり開口部１２を閉鎖する。而して、１つまたは複数のフィルタエレメント１４の交換は、交換者が排気に暴露されずに実施可能である。これについては図２を参照されたい。カバー要素５０は、例えばこのためにビーム３２内に設けられた凹部内に懸装されることにより、取り外し可能に支持構造３０に設けられている。カバー要素５０の１つが必要とされないときや、それがクリーニングされるべきときには、簡単に取り外され、必要であれば交換され得る。

図２には、塗装設備１００を概略図（図２ａ）と平面図（図２ｂ）とで示してある。塗装ブースは、この場合、ローマ数字Ｉ、ＩＩおよびＩＩＩで示した３つの塗装ゾーンに分けられている。塗装ゾーンＩと塗装ゾーンＩＩとの間には、支持構造３０のための停留位置１１２が設けられており、支持構造３０は、フィルタ交換が必要でないとき、停留位置１１２に位置決めされる。特に図２ａから看取可能であるように、それぞれ６つのフィルタエレメント１４が１つのフィルタモジュール１６にまとめられている。塗装設備１００の側壁１１０の後ろには、作業空間１１４が設けられており、作業空間１１４は、フィルタモジュール１６への保護されたアクセスを可能にする。

交換したいフィルタエレメント１４ａを含む交換したいフィルタモジュール１６ａは、図２ｂでは既に、交換のために所定の位置から取り出されている。加えて支持構造３０は、カバー要素５０とともに、取り出したいフィルタモジュール１６ａに対応する開口部１２の前に位置決めされている。交換が完了すると、支持構造３０は、停留位置１１２に帰還することができる。

１０装置
１２開口部
１４フィルタエレメント
１６フィルタモジュール
２０走行レール
２２走行キャリッジ
２４カバー部材
３０支持構造
３２ビーム
３４筋交い
４０搬送手段
５０カバー要素
１００塗装設備
１０２流入した排気
１１０側壁
１１２停留位置
１１４作業空間

Claims

排気ろ過設備内に設けられた少なくとも１つのフィルタエレメント（１４）を交換する際に、交換したい少なくとも１つのフィルタエレメント（１４ａ）に対応する少なくとも１つの開口部（１２）を閉鎖する装置（１０）であって、
互いに略平行に配置された２つの走行レール（２０）であって、少なくとも１つの自己安定型の支持構造（３０）を走行可能に懸吊する走行レール（２０）と、
前記少なくとも１つの自己安定型の支持構造（３０）を前記走行レール（２０）に沿って移動させ得る少なくとも１つの搬送手段（４０）と、
を備え、
前記走行レール（２０）は、前記少なくとも１つの自己安定型の支持構造（３０）を前記排気ろ過設備の前記フィルタエレメント（１４）に沿って案内し、
前記少なくとも１つの自己安定型の支持構造（３０）には、少なくとも１つのカバー要素（５０）が配設されて、前記排気ろ過設備の前記フィルタエレメント（１４）の方向に整列されており、
前記少なくとも１つの支持構造（３０）を前記交換したい少なくとも１つのフィルタエレメント（１４ａ）に対応する少なくとも１つの開口部（１２）の前に位置決めすることで、前記少なくとも１つの開口部（１２）が、前記少なくとも１つのカバー要素（５０）により略全面的にカバーされている、
排気ろ過設備内に設けられた少なくとも１つのフィルタエレメント（１４）を交換する際に、交換したい少なくとも１つのフィルタエレメント（１４ａ）に対応する少なくとも１つの開口部（１２）を閉鎖する装置（１０）。
それぞれの前記走行レール（２０）は、かつ／または前記少なくとも１つの搬送手段（４０）は、少なくとも流入した排気に対してカバー部材（２４）を有し、かつ／または少なくとも前記流入した排気に対して閉鎖されて形成されていることを特徴とする、請求項１記載の装置（１０）。
前記少なくとも１つの搬送手段（４０）は、プッシュチェーンを有して形成されていることを特徴とする、請求項１または２記載の装置（１０）。
前記少なくとも１つの自己安定型の支持構造（３０）は、幅の調整が可能であることを特徴とする、請求項１から３までのいずれか１項記載の装置（１０）。
前記少なくとも１つのカバー要素（５０）は、取り外し可能であることを特徴とする、請求項１から４までのいずれか１項記載の装置（１０）。
前記少なくとも１つのカバー要素（５０）は、開放され得るかつ／または前記少なくとも１つのカバー要素（５０）の面積が減少され得るように形成されていることを特徴とする、請求項１から５までのいずれか１項記載の装置（１０）。
前記少なくとも１つの搬送手段（４０）は、駆動部を有し、前記駆動部は、前記排気ろ過設備外に配置されていることを特徴とする、請求項１から６までのいずれか１項記載の装置（１０）。
前記少なくとも１つの搬送手段（４０）は、原動機式の駆動部を有することを特徴とする、請求項１から７までのいずれか１項記載の装置（１０）。
前記少なくとも１つの自己安定型の支持構造（３０）を前記交換したい少なくとも１つのフィルタエレメント（１４ａ）に対応する少なくとも１つの開口部（１２）の前に位置決めすべく、前記装置（１０）は、制御装置を備え、または制御装置と協働し、前記制御装置は、前記少なくとも１つの搬送手段（４０）に対して作用することを特徴とする、請求項１から８までのいずれか１項記載の装置（１０）。
排気ろ過設備と、請求項１から９までのいずれか１項記載の少なくとも１つの装置（１０）とを備える塗装設備（１００）。