ここで、特許文献1に記載された移動式ベッドでは、ハンドルの大きさが、ヘッドボードに相当する程度に大きく、ハンドル自体の操作がしづらいものと考えられる。
また、特許文献1に記載された移動式ベッドでは、その構造上、キャスターの向く方向に制限があり、移動式ベッドの前後方向と略直交する方向(左右方向)に移動できない欠点があった。即ち、患者や物を載せた状態で、ベッドの向きはそのままにして、左右方向に移動することができなかった。
また、特許文献1に記載された移動式ベッドでは、ハンドルが、ハンドル軸を介してキャスターに接続されているが、ベッドの本体となるベッド基台に対して、ハンドルが直接取り付けられておらず、重量物を運ぶ際に、ベッド自体が破損しやすくなっている可能性がある。
また、ベッドの破損に注意しながら操作する場合には、その操作性にも悪影響を及ぼしてしまう。さらに、ハンドルを押す力が、ベッド基台に伝わりにくい問題もあった。
また、通常の医療用ベッドでは、急変時に患者の頭側にヘッドボードがあると、このヘッドボードが邪魔になり、緊急挿管などの処置が遅れることになり、患者の予後に悪影響を与える可能性がある。
そして、特許文献1に記載された移動式ベッドでは、ハンドルがヘッドボード相当の大きさを有し、その取り外しや位置の変更ができないことから、そのようなケースに対応しづらいという欠点を有している。
また、仮に、移動式ベッドにおいて、ハンドルがついたヘッドボードが取り外し可能に構成されていたとしても、ヘッドボードを取り外す作業や、外したヘッドボードをどこかに置く作業に時間を要してしまう問題があった。
また、荷物を運ぶキャリアーにおいても、その形状が、荷物の積み込みや積みおろしが行い易い形状であることが望まれている。
本発明は、以上の点を鑑みて創案されたものであり、搬送物を搬送する際の操作性に優れ、使い勝手の良い搬送車を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために本発明の搬送車は、枠状の本体を有し、該本体の一端側に、進行方向が可変自在な車輪を有する一対の第1のキャスターが、同本体の他端側に、進行方向が可変自在な車輪を有する一対の第2のキャスターが、それぞれ設けられたベースフレームと、該ベースフレームの他端側に立設され、前記一対の第1のキャスターの一方のキャスターの進行方向を制御する第1の制御機構が設けられた第1の操作部支持部と、該第1の操作部支持部に取り付けられ、その回転動作を前記第1の制御機構に伝達可能に構成された第1の操作部と、前記第1の操作部支持部の鉛直方向の長さを調整可能な第1の長さ調整機構とを備える。
本発明の搬送車における第1の操作支持部は、高さ調整が可能で、患者が急変し、緊急挿管が必要な場合でも、第1の操作支持部が、ワンタッチで、緊急挿管に邪魔にならない部位に移動できるため、極めて短時間で急変に対応できるという特徴を有している。
ここで、ベースフレームに、本体の一端側に、進行方向が可変自在な車輪を有する一対の第1のキャスターと、本体の他端側に、進行方向が可変自在な車輪を有する一対の第2のキャスターとがそれぞれ設けられたことによって、第1のキャスターの車輪及び第2のキャスターの車輪を回転させ、ベースフレームを意図した方向に移動させることができる。また、ベースフレームは、作業者が手で押す等して外力を与えることで移動させることができる。なお、第1のキャスター及び第2のキャスターを明示しているが、ベースフレームにおいて、さらにキャスターを増やした構成を除外するものではない。
また、第1の操作部支持部が、ベースフレームの他端側に立設され、一対の第1のキャスターの一方のキャスターの進行方向を制御する第1の制御機構が設けられ、第1の操作部が、第1の操作部支持部に取り付けられ、その回転動作を第1の制御機構に伝達可能に構成されたことによって、第1の操作部を操作して、第1のキャスターの一方のキャスターの進行方向を操作可能となる。また、第1の操作部支持部を介して、第1の操作部がベースフレームに取り付けられているため、作業者が第1の操作部を押して、搬送車を動かす際に、作業者の力がベースフレームに伝わりやすく、搬送車を動かしやすくなる。また、第1のキャスターの一方のキャスターの操作性も良好になる。
例えば、ベースフレームの他端が、患者の頭側になる際には、患者の頭側に作業者が立ち、第1の操作部を作業者が押す等しながら、第1の操作部を操作して、患者の足側にくる第1のキャスターを操作可能となる。また、例えば、ベースフレームの他端が、作業者が荷物を運びたい進行方向側になる際には、進行方向と反対側に作業者が立ち、第1の操作部を作業者が押す等しながら、第1の操作部を操作して、進行方向側にくる第1のキャスターを操作可能となる。
また、第1の制御機構が、一対の第1のキャスターの一方のキャスターの進行方向を制御可能であることによって、各キャスターの進行方向の向きの自由度を高めることができる。つまり、第1の制御機構は、一対の第1のキャスターのうち、一方のみのキャスターの進行方向を制御して、他方のキャスターは、回転自在に構成することができる。これにより、一方のキャスターと他方のキャスターの進行方向を、一致させることもできるし、異ならせることもできる。この構造により、例えば、ベッドを長軸方向と垂直な方向に移動させることが可能であり、かつ、搬送車の中心から第1及び第2のキャスター各4つのキャスターまでの距離を半径とする円周に沿うように第1及び第2のキャスターの4つのキャスターの向きを各々異ならせることが出来るため、4つのキャスターの中心点を中心として搬送車をその場で360度回転させることも可能となる。この構造により、搬送車の意図した任意の方向への移動が制限されることがなくなる。
また、第1の操作部支持部の鉛直方向の長さを調整可能な第1の長さ調整機構によって、第1の操作部支持部の長さを変えて、鉛直方向における第1の操作部の高さ位置を変えることができる。この結果、例えば、第1の操作部を低い位置に調整して、第1の操作部を作業者の作業の邪魔にならない位置に配置可能となる。また、作業者の背の高さに合わせて、第1の操作部の高さ位置を変えて、操作性を向上させることができる。
また、第1の制御機構が、鉛直方向に沿って回転自在に配置された筒状体であり、その回転動作により、一対の第1のキャスターの一方のキャスターの進行方向を制御する第1の筒状部と、第1の筒状部の貫通孔に挿通されると共に、第1の操作部の回転動作が伝達され、第1の筒状部と嵌合して一体的に回転可能な第1の回転軸とを有する場合には、第1の制御部の回転動作を、第1の回転軸及び第1の筒状部の回転を介して、第1のキャスターの一方のキャスターに伝達することができる。
また、第1の制御機構が、鉛直方向に沿って配置された筒状体である第1の筒状部と、第1の筒状部の貫通孔に、鉛直方向に移動自在に挿通された第1の回転軸とを有する場合には、鉛直方向において、第1の筒状部に対する第1の回転軸の位置を変えることができる。つまり、鉛直方向おける、第1の筒状部と第1の回転軸を合わせた長さを変えることが可能となる。
また、第1の操作部支持部が、少なくとも一方の端部が開口した箱状体に形成され、他方の端部側で、第1の操作部を回転自在に支持すると共に、その内部に、第1の筒状部及び第1の回転軸の少なくとも一部を収容する第1の内箱体と、一方の端部が本体に連設され、第1の内箱体より大きな箱状体に形成されると共に、他方の端部が開口して、その内部に、第1の内箱体を収容可能な第1の外箱体とを有する場合には、ベースフレームに繋がった第1の外箱体と、第1の外箱体に収容可能な第1の内箱体により、第1の操作部、第1の筒状部及び第1の回転軸を支持可能となる。また、第1の操作部が、ベースフレームに繋がった箱状体の第1の外箱体と、箱状体の第1の内箱体で支持されたことから、頑丈な支持構造となると共に、作業者が第1の操作部を押して搬送車を動かす際に、作業者の力をしっかりと受け止め、押した力がキャスターの回転に伝わりやすくなる。さらに、第1の操作部の回転は、第1の内箱体の内部に配置された第1の筒状部及び第1の回転軸に伝わり、第1の内箱体及び第1の外箱体自体を回転させる構造ではないため、第1の操作部の回転を、第1のキャスターの一方のキャスターに伝達しやすい構造となる。なお、ここでいう箱状体とは、その形状が、必ずしも矩形に限定されるものではなく、円柱状や多角形の形状も含むものである。
また、第1の操作部支持部が、少なくとも一方の端部が開口した箱状体に形成され、他方の端部側で、第1の操作部を回転自在に支持すると共に、その内部に、第1の筒状部及び第1の回転軸の少なくとも一部を収容する第1の内箱体と、一方の端部が本体に連設され、他方の端部が開口して、その内部に、鉛直方向に移動自在に第1の内箱体を収容可能な第1の外箱体とを有する場合には、鉛直方向において、第1の外箱体に対する第1の内箱体の位置を変えることができる。つまり、ベースフレームの本体の位置を基準として、鉛直方向おける、第1の外箱体と第1の内箱体を合わせた長さを変えることが可能となる。また、この際には、第1の操作部、第1の筒状部及び第1の回転軸を支持しながら、第1の筒状部に対する第1の回転軸の位置も変えることができる。
また、第1の長さ調整機構が、鉛直方向に沿った、第1の外箱体に対する第1の内箱体の高さ位置を変え、第1の内箱体の高さ位置を固定する場合には、鉛直方向おいて、第1の外箱体と第1の内箱体を合わせた長さと、第1の筒状部と第1の回転軸を合わせた長さを変えて、ベースフレームの本体を基準とした第1の操作部の位置を調整して維持することが可能となる。また、第1の外箱体と第1の内箱体を合わせた長さと、第1の筒状部と第1の回転軸を合わせた長さを所望の長さで維持することができる。この結果、例えば、第1の操作部を低い位置に調整して、第1の操作部を作業者の作業の邪魔にならない位置に配置可能となる。また、作業者の背の高さに合わせて、第1の操作部の高さ位置を変えて、操作性を向上させることができる。さらに、第1の外箱体と第1の内箱体、第1の筒状部と第1の回転軸の長さを短くして、第1の操作部支持部の全体をコンパクトな構造にすることができる。このことによって、第1の操作部支持部も、作業者の作業の邪魔にならないような長さに調整可能となる。
また、ベースフレームが、第1のキャスター及び第2のキャスターとは反対側に設けられ、ベースフレームと対向する側と反対側にマットレスを配置可能、かつ、鉛直方向に沿って高さが調整可能なストレッチャー枠体が設けられた場合には、ベースフレームにマットレスを配置して、搬送車を病院等で患者の搬送に使用するストレッチャーとして使用することができる。
また、第2の操作部支持部が、ベースフレームの一端側に立設され、一対の第2のキャスターの一方のキャスターの進行方向を制御する第2の制御機構が設けられ、第2の操作部が、第2の操作部支持部に取り付けられ、その回転動作を第2の制御機構に伝達可能に構成された場合には、第2の操作部を操作して、第2のキャスターの一方のキャスターの進行方向を操作可能となる。また、第2の操作部支持部を介して、第2の操作部がベースフレームに取り付けられているため、作業者が第2の操作部を押して、搬送車を動かす際に、作業者の力がベースフレームに伝わりやすく、搬送車を動かしやすくなる。また、第2のキャスターの一方のキャスターの操作性も良好になる。また、第1の操作部と、第2の操作部の両方で、搬送車を操作することができ、より一層、搬送の効率を高めることができる。
例えば、ベースフレームの一端が、患者の足側になる際には、患者の足側に作業者が立ち、第2の操作部を作業者が押す等しながら、第2の操作部を操作して、患者の頭側にくる第2のキャスターを操作可能となる。
また、第2の制御機構が、一対の第2のキャスターの一方のキャスターの進行方向を制御可能であることによって、各キャスターの進行方向の向きの自由度を高めることができる。つまり、第2の制御機構は、一対の第2のキャスターのうち、一方のみのキャスターの進行方向を制御して、他方のキャスターは、回転自在に構成することができる。これにより、一方のキャスターと他方のキャスターの進行方向を異ならせることができる。この結果、例えば、搬送車の中心から、第1のキャスター及び第2のキャスターの各4つのキャスターまでの距離を半径とする円周に沿うように、一対の第2のキャスターにおける、一方のキャスターの進行方向の向きと、他方のキャスターの進行方向の向きを異ならせることができ、その場でベッドを360度回転させることが可能となる。
また、第2の操作部支持部の鉛直方向の長さを調整可能な第2の長さ調整機構を備える場合には、第2の操作部支持部の長さを変えて、鉛直方向における第2の操作部の高さ位置を変えることができる。この結果、例えば、第2の操作部を低い位置に調整して、第2の操作部を作業者の作業の邪魔にならない位置に配置可能となる。また、作業者の背の高さに合わせて、第2の操作部の高さ位置を変えて、操作性を向上させることができる。
また、第2の制御機構が、鉛直方向に沿って回転自在に配置された筒状体であり、その回転動作により、一対の第2のキャスターの一方のキャスターの進行方向を制御する第2の筒状部と、第2の筒状部の貫通孔に挿通されると共に、第2の操作部の回転動作が伝達され、第2の筒状部と嵌合して一体的に回転可能な第2の回転軸とを有する場合には、第2の制御部の回転動作を、第2の回転軸及び第2の筒状部の回転を介して、第2のキャスターの一方のキャスターに伝達することができる。
また、第2の制御機構が、鉛直方向に沿って回転自在に配置された筒状体である第2の筒状部と、第2の筒状部の貫通孔に、鉛直方向に移動自在に挿通された第2の回転軸とを有する場合には、鉛直方向において、第2の筒状部に対する第2の回転軸の位置を変えることができる。つまり、鉛直方向おける、第2の筒状部と第2の回転軸を合わせた長さを変えることが可能となる。
また、第2の操作部支持部が、少なくとも一方の端部が開口した箱状体に形成され、他方の端部側で、第2の操作部を回転自在に支持すると共に、その内部に、第2の筒状部及び第2の回転軸の少なくとも一部を収容する第2の内箱体と、一方の端部が本体に連設され、第2の内箱体より大きな箱状体に形成されると共に、他方の端部が開口して、その内部に、第2の内箱体を収容可能な第2の外箱体とを有する場合には、ベースフレームに繋がった第2の外箱体と、第2の外箱体に収容可能な第2の内箱体により、第2の操作部、第2の筒状部及び第2の回転軸を支持可能となる。また、第2の操作部が、ベースフレームに繋がった箱状体の第2の外箱体と、箱状体の第2の内箱体で支持されたことから、頑丈な支持構造となると共に、作業者が第2の操作部を押して搬送車を動かす際に、作業者の力をしっかりと受け止め、押した力がキャスターの回転に伝わりやすくなる。さらに、第2の操作部の回転は、第2の内箱体の内部に配置された第2の筒状部及び第2の回転軸に伝わり、第2の内箱体及び第2の外箱体自体を回転させる構造ではないため、第2の操作部の回転を、第2のキャスターの一方のキャスターに伝達しやすい構造となる。なお、ここでいう箱状体とは、その形状が、必ずしも矩形に限定されるものではなく、円柱状や多角形の形状も含むものである。
また、第2の操作部支持部が、少なくとも一方の端部が開口した箱状体に形成され、他方の端部側で、第2の操作部を回転自在に支持すると共に、その内部に、第2の筒状部及び第2の回転軸の少なくとも一部を収容する第2の内箱体と、一方の端部が本体に連設され、他方の端部が開口して、その内部に、鉛直方向に移動自在に第2の内箱体を収容可能な第2の外箱体とを有する場合には、鉛直方向において、第2の外箱体に対する第2の内箱体の位置を変えることができる。つまり、ベースフレームの本体の位置を基準として、鉛直方向おける、第2の外箱体と第2の内箱体を合わせた長さを変えることが可能となる。また、この際には、第2の操作部、第2の筒状部及び第2の回転軸を支持しながら、第2の筒状部に対する第2の回転軸の位置も変えることができる。
また、第2の長さ調整機構が、鉛直方向に沿った、第2の外箱体に対する第2の内箱体の高さ位置を変え、第2の内箱体の高さ位置を固定する場合には、鉛直方向おいて、第2の外箱体と第2の内箱体を合わせた長さと、第2の筒状部と第2の回転軸を合わせた長さを変えて、ベースフレームの本体を基準とした第2の操作部の位置を調整して維持することが可能となる。また、第2の外箱体と第2の内箱体を合わせた長さと、第2の筒状部と第2の回転軸を合わせた長さを所望の長さで維持することができる。この結果、例えば、第2の操作部を低い位置に調整して、第2の操作部を作業者の作業の邪魔にならない位置に配置可能となる。また、作業者の背の高さに合わせて、第2の操作部の高さ位置を変えて、操作性を向上させることができる。さらに、第2の外箱体と第2の内箱体、第2の筒状部と第2の回転軸の長さを短くして、第2の操作部支持部の全体をコンパクトな構造にすることができる。このことによって、第2の操作部支持部も、作業者の作業の邪魔にならないような長さに調整可能となる。
また、ベースフレームが、第1のキャスター及び第2のキャスターとは反対側に設けられ、ベースフレームと対向する側と反対側に荷受けとなる板状体を配置した場合には、ベースフレームに配置した板状体を荷受けとして、板状体に、荷物を載せて搬送するキャリアーとして使用することができる。
また、上記の目的を達成するために、本発明の搬送車は、枠状の本体を有し、該本体の一端側に、進行方向が可変自在な車輪を有する一対の第1のキャスターが、同本体の他端側に、進行方向が可変自在な車輪を有する一対の第2のキャスターが、それぞれ設けられたベースフレームと、該ベースフレームの他端側に立設され、前記一対の第1のキャスターの一方のキャスターの進行方向を制御する制御機構が設けられた操作部支持部と、該操作部支持部に取り付けられ、その回転動作を前記制御機構に伝達可能に構成された操作部と、前記ベースフレームの、前記第1のキャスター及び前記第2のキャスターとは反対側に設けられ、同ベースフレームと対向する側と反対側に荷受けとなる板状体とを備える。
ここで、操作部支持部が、ベースフレームの他端側に立設され、一対の第1のキャスターの一方のキャスターの進行方向を制御する制御機構が設けられ、操作部が、操作部支持部に取り付けられ、その回転動作を制御機構に伝達可能に構成されたことによって、操作部を操作して、第1のキャスターの一方のキャスターの進行方向を操作可能となる。また、操作部支持部を介して、操作部がベースフレームに取り付けられているため、作業者が第操作部を押して、搬送車を動かす際に、作業者の力がベースフレームに伝わりやすく、搬送車を動かしやすくなる。また、第1のキャスターの一方のキャスターの操作性も良好になる。
例えば、ベースフレームの他端が、作業者が荷物を運びたい進行方向側になる際には、進行方向と反対側に作業者が立ち、操作部を作業者が押す等しながら、操作部を操作して、進行方向側にくる第1のキャスターを操作可能となる。
また、制御機構が、一対の第1のキャスターの一方のキャスターの進行方向を制御可能であることによって、各キャスターの進行方向の向きの自由度を高めることができる。つまり、制御機構は、一対の第1のキャスターのうち、一方のみのキャスターの進行方向を制御して、他方のキャスターは、回転自在に構成することができる。これにより、一方のキャスターと他方のキャスターの進行方向を異ならせることができる。この結果、例えば、搬送車の中心から、第1のキャスター及び第2のキャスターの各4つのキャスターまでの距離を半径とする円周に沿うように、一対の第1のキャスターにおける、一方のキャスターの進行方向の向きと、他方のキャスターの進行方向の向きを異ならせることができ、その場でベッドを360度回転させることが可能となる。
本発明に係る搬送車は、搬送物を搬送する際の操作性に優れ、使い勝手の良いものとなっている。
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」と称する)を説明する。
なお、本実施の形態においては、図1を基準として、第1ハンドル13に対する第2ハンドル14の位置を「前(前方)」とし、第2ハンドル14に対する第1ハンドル13の位置を「後ろ(後方)」とする。また、ストレッチャー枠部2に対するベース部1の位置を「下(下方)」とし、ベース部1に対するストレッチャー枠部2の位置を「上(上方)」とする。
また、図3を基準として、第1の自由キャスター102に対する第1の制御キャスター101の位置を「右(右方)」とし、第1の制御キャスター101に対する第1の自由キャスター102の位置を「左(左方)」とする。
また、本実施の形態においては、図1を基準として、前後方向及び左右方向を「水平方向」とし、上下方向を「鉛直方向」と呼ぶ場合がある。
なお、以下の説明においては、同一の機能を有する部材には同一又は関連する符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
本発明を適用した搬送車の一例であるストレッチャーAは、ベース部1と、ストレッチャー枠部2を有している(図1参照)。ストレッチャーAは、病院等において、患者の搬送等に使用する搬送車である。
ベース部1は、ストレッチャーAの搬送機構の本体となる部材である。ベース部1は、フレーム本体10と、一対の前部キャスター11と、一対の後部キャスター12と、第1ハンドル13と、第2ハンドル14を有している。ベース部1の詳細な構造については後述する。
ストレッチャー枠部2は、患者等を載せる部分を構成する枠体である。ストレッチャー枠部2は、ベース部1の上部に固定具20を介して固定されている。また、ストレッチャー枠部2の上面にマットレス21が載置されている。
また、ストレッチャー枠部2は、昇降機構22が設けられている。ここで、マットレス21は、搬送の対象となる患者等が載せられる部分となる。また、昇降機構22は、マットレス21を載せたストレッチャー枠部2の上面の高さ位置を昇降させる部材である。なお、この昇降機構22は、既知のストレッチャーの昇降機構が採用しうるため、詳細な説明は省略する。
また、本発明を適用した搬送車の一例であるキャリアーBは、上述したベース部1と、荷受け部3を有している(図2参照)。キャリアーBは、荷受け部3に、大量の箱状のコンテナや段ボール等を載せて、これらの荷物の搬送に使用する搬送車である。
荷受け部3は、キャリアー枠部30と、パネル部31と、ガード枠32を有している。キャリアー枠部30は、荷受け部3の外形を構成する枠体である。また、パネル部31は、搬送対象となる荷物を載置する部分であり、凹凸を有する略板状体が、キャリアー枠部30の内側に取り付けられて構成されている。
また、ガード枠31は、パネル部31に乗せられた荷物が、パネル部31の外側に落下することを抑止するための抑えとなる枠体であり、キャリアー枠部30の前後及び左右に1つずつ設けられている。
[ベース部1]
以下、上述したストレッチャーA及びキャリアーBが共通して備えるベース部1の構造について説明する。なお、ストレッチャーA及びキャリアーBの構造は、本発明を適用した搬送車の一例に過ぎず、本発明の構造及び用途は、ストレッチャーA及びキャリアーBの内容に限定されるものではない。
ベース部1は、ストレッチャーA又はキャリアーBの搬送機構の本体となる部材である。また、ベース部1には、第1ハンドル13又は第2ハンドル14の動きを、一対の前部キャスター11と、一対の後部キャスター12に伝える動作伝達機構(制御機構)が設けられている。
ベース部1は、上述したように、フレーム本体10と、一対の前部キャスター11と、一対の後部キャスター12と、第1ハンドル13と、第2ハンドル14を有している(図1及び図3参照)。即ち、ベース部1は、フレーム本体10の角部となる4か所に、一組のキャスター及びホイールが設けられている。
フレーム本体10は、ベース部1の本体であり、例えば、金属製の枠体で形成されている。フレーム本体10は、前部フレーム100と、後部フレーム110と、前部フレーム100及び後部フレーム110との間を繋ぐ2本の側部フレーム120を有している。
また、前部フレーム100の左右端部には、一対の前部キャスター11が設けられている。この一対の前部キャスター11は、前部フレーム100の右側端部に設けられた第1の制御キャスター101と、前部フレーム100の左側端部に設けられた第1の自由キャスター102で構成されている。
この第1の制御キャスター101は、フレーム本体10の後方に設けられた第1ハンドル13の回転動作で、その回転方向を制御可能となっている。また、第1の自由キャスター102は、回転自在に構成されている。
また、第1の制御キャスター101には、前部ホイール103が取り付けられている。また、第1の自由キャスター102には、前部ホイール104が取り付けられている。
つまり、第1の制御キャスター101が前部ホイール103の進行方向を規定すると共に、第1の自由キャスター102には、前部ホイール104が、その進行方向が自由に向きを変えられるように、フリーな状態で取り付けられている。
この構造により、第1の制御キャスター101で、前部ホイール103の進行方向を制御して、前部ホイール104については、前部ホイール103の進行方向に追従したり、前部ホイール103の進行方向とは独立して、異なる向きに向かせたりすることができる。
また、後部フレーム110の左右端部には、一対の後部キャスター12が設けられている。この一対の後部キャスター12は、後部フレーム110の右側端部に設けられた第2の制御キャスター111と、後部フレーム110の左側端部に設けられた第2の自由キャスター112で構成されている。
この第2の制御キャスター111は、フレーム本体10の前方に設けられた第2ハンドル14の回転動作で、その回転方向を制御可能となっている。また、第2の自由キャスター112は、回転自在(フリー状態)に構成されている。
また、第2の制御キャスター111には、後部ホイール113が取り付けられている。また、第2の自由キャスター112には、後部ホイール114が取り付けられている。
つまり、第2の制御キャスター111が後部ホイール113の進行方向を規定すると共に、第2の自由キャスター112には、後部ホイール114が、その進行方向が自由に向きを変えられるように、フリーな状態で取り付けられている。
この構造により、第2の制御キャスター111で、後部ホイール113の進行方向を制御して、後部ホイール114については、後部ホイール113の進行方向に追従したり、後部ホイール113の進行方向とは独立して、異なる向きに向かせたりすることができる。
[ハンドル及び支持構造]
ハンドル及びその支持構造について説明する。
なお、第1ハンドル13及びその支持構造と、第2ハンドル14及びその支持構造は、同様の構造であるため、以下では、第1ハンドル13を中心に説明を行い、第2ハンドル14については、詳細な説明を省略し、必要に応じて言及するものとする。
図3に示すように、第1ハンドル13は、ハンドル支持部4により支持されている。ハンドル支持部4は、フレーム本体10の後部側に設けられ、第1ハンドル13を支持すると共に、その高さ位置を調整する部材である。
また、ハンドル支持部4の内部には、第1ハンドル13の回転動作を、第1の制御キャスター101に伝達する制御機構が設けられている。
ハンドル支持部4は、二重の箱状体で構成された外部支持部40と、外部支持体40の内側に収容された回転部41で構成されている(図3及び図4参照)。
[外部支持体]
外部支持体40は、第1ハンドル13を支持する部分である。また、外部支持体40は、作業者が第1ハンドル13を押して、ベース部1を前方へ移動させる際に、作業者の押す力を各ホイールの回転に繋げるための、力の受け部分となる。
また、後述するように、外部支持体40及び回転部41は、第1ハンドル13の高さ位置及びハンドル支持部4の鉛直方向における長さを変更するための長さ調整機構が設けられた部材である。
外部支持体40は、角柱状の外箱400と、外箱400の内側に収容可能な角柱状の内箱401を有している。
また、外箱400は、下端が、後部フレーム110から後方に突出した突出部115の上面に固着されており、上部側が開口して、その内部に、回転部41の一部(下部側)を収容可能に構成されている(図3及び図4参照)。
また、外箱400の左側側面には、長さ調整機構を構成する調整ネジ50が取り付けられている。調整ネジ50は、ネジ頭部500と、軸体部501と、先端部502と、軸体部501の外周面側に配置されたバネ503で構成されている(図4(b)参照)。
また、調整ネジ50は、ケース部504に形成された貫通孔に軸体部501及び先端部502を挿通させ、ケース部504の内側に軸体部501及びバネ503が収容されている。また、ネジ頭部500は、ケース部504の外側に位置している。
また、先端部502は、外箱400の左側面に形成された貫通孔(符号書略)を通過して、その先端が、後述する内箱401の側面に形成された嵌合孔51に到達している。
また、調整ネジ50の軸体部501の端部にはフランジ部505が形成され、バネ503は、フランジ部505とケース部504の内周面に挟まれた状態で配置されている。
また、内箱401は、外箱400より一回り小さい外形を有する角柱状の部材である。内箱401は、上部側に、第1ハンドル13と、回転部41との接続部分となるギアボックス402が設けられている。即ち、内箱401は、ギアボックス402の部分で第1ハンドル13及び回転部41を支持している。
また、内箱401の下部側は開口しており、その内部に、回転部41の一部(上部側)を収容可能に構成されている。また、内箱401の左側側面のうち、調整ネジ50と対応する位置には、上下方向に沿って、複数の嵌合孔51が形成されている。
また、調整ネジ50による規制を解放した状態では、内箱401は、鉛直方向に沿って、外箱400に対して移動可能に構成されている。
[第1ハンドル]
第1ハンドル13は、ハンドル本体130と、ハンドル本体130の略中央部に取り付けられ、前方に突出したハンドル軸部131と、ハンドル軸部131の外周面上に配置されたギア132を有している。
また、第1ハンドル13のハンドル軸部131の一部と、ギア132は、内箱401のギアボックス402の内部に配置され、ハンドル軸部131及びギア132は、ギアボックス402に回転自在に支持されている。
また、ハンドル本体130、ハンドル軸部131及びギア132は一体化した構造となっている。そのため、作業者がハンドル本体130を手で握って、ハンドル本体130を回転させることで、その動きに伴い、ハンドル軸部131及びギア132も回転する。
[回転部]
回転部41は、第1ハンドル13の回転を、後述するプーリ及びベルト等を介して、第1の制御キャスター101に伝達する部材である。
回転部41は、棒状の回転軸410と、回転軸410の下部側に配置され、その一部を収容可能な筒状部411を有している(図3及び図4参照)。
また、回転軸410は、上部にギア412が取り付けられ、ギア412は内箱410のギアボックス402の内部に収容されている(図4(a)参照)。また、ギア412は、第1ハンドル13のギア132とかみ合い、第1ハンドル13の回転を、回転軸410に伝達する部材である。また、回転軸410の下部には、外周面から突出した突起部413が設けられている。
また、筒状部411は、上部が開口して、その内部に、回転軸410の一部を収容可能に構成されている(図4(a)、図4(b)、図5(a)及び図5(b)参照)。
また、筒状部411の外周面には、長手方向に沿って所定の長さを有するスライド孔414が形成されている。このスライド孔414は、回転軸410の突起部413が嵌合し、回転軸の鉛直方向における移動を案内する部分となる。
また、回転軸410が回転すると、突起部413とスライド孔414が嵌合していることで、筒状部411は、回転軸410と一体的に回転するものとなっている。
また、筒状部411の下部には、その外周面にプーリ415が取り付けられている(図3参照)。プーリ415は、回転軸410及び筒状部411と一体的に回転する部材である。
図5(a)及び図5(b)に示すように、回転軸410は、突起部413及びスライド孔414を介して、鉛直方向に沿って、筒状部411に対して移動可能に構成されている。
また、第2ハンドル14についても、第1ハンドル13と同様の指示構造が設けられている。
次に、ハンドル支持部4の長さ調整機構について説明する。
まず、上述したように、鉛直方向に沿って、内箱401は、外箱400に対して移動可能に構成され、また、回転軸410は、筒状部411に対して移動可能に構成されている。即ち、外部支持体40及び回転部41は、長手方向の長さが可変可能に構成されている。つまり、ハンドル支持部4の長さは可変可能となっている。
また、外部支持体40では、調整ネジ50を介して、外箱400に対する内箱401の位置を固定可能な構造となっている。
より詳細には、調整ネジ50のネジ頭部500を左側に引っ張ると、軸体部501及びフランジ部505が左に移動して、バネ503が縮むと共に、先端部502が嵌合孔51から抜け、内箱401を上下方向に移動させることが可能となる。この状態が、調整ネジ50による規制を解放した状態となる。
また、ネジ頭部500をはなすと、バネ503の付勢力により、軸体部501及びフランジ部505が右に移動して、先端部502が、内箱401の嵌合孔51の側に戻るようになっている。先端部502が嵌合孔51に嵌まると、内箱401の上下方向への移動が規制される。
また、内箱400を上下方向に移動させる際には、ギアボックス402を介して繋がった第1ハンドル13を上下に動かすことで、内箱400を移動させることができる。また、内箱400の上下動に伴い、これに支持された回転軸410も筒状部411に対して移動して、回転部41の長さを変えることができる。
このような動作により、ハンドル支持部4の長さを変えると共に、鉛直方向における第1ハンドル13の高さ位置を変えて、所定の位置で固定することができる。このように、調整ネジ50を引っ張る、又は、はなす動作により、簡単に、ハンドル支持部4の長さを調整することができる。
この長さ調整機構を有することで、ストレッチャーA又はキャリアーBの使い勝手が向上する。例えば、第1ハンドル13の高さ位置を低くして、かつ、ハンドル支持部4の長さを短くすることで、マットレス21よりも低い位置に、第1ハンドル13及びハンドル支持部4を配置して、患者等への処置を作業者が行う際に、第1ハンドル13及びハンドル支持部4が邪魔にならないようにすることができる。キャリアーBにおいても同様の利点が生じる。
また、長さ調整機構を有することで、作業者の背の高さに応じて、第1ハンドル13(又は第2ハンドル14)の高さ位置を変えて、操作を行いやすくすることができる。
ここで、必ずしも、長さ調整機構が、調整ネジ50を用いた構造となる必要はなく、ハンドル支持部4の長さを変えて、一定の長さを維持できる構造であれば、種々の固定構造が採用しうる。
また、必ずしも、回転部41が、回転軸410の突起部413と、筒状部411のスライド孔414を介して、回転軸410が鉛直方向に移動可能、かつ、回転軸410と筒状部411が一体的に回転可能な構造となる必要はない。例えば、図5(c)に示すように、断面が歯車状の外周を有する回転軸410aと、内周面が、これと嵌合可能な歯車状に形成された筒状部411aを採用することもできる。このような構造を採用すると、回転軸410aが鉛直方向に移動可能、かつ、回転軸410aと筒状部411aが一体的に回転可能になり、さらに、回転方向への負荷にも強い構造とすることができる。
また、必ずしも、第1ハンドル13(または第2ハンドル14)の形状が、ハンドル本体130のような外形が略楕円形の形状(図4(b)及び図6(a)参照)となる必要はない。また、第1ハンドル13は、必ずしも、ハンドル支持部4と略平行な向きに配置される必要はない。
例えば、略棒状のハンドル本体130aが、ハンドル支持部の上部に取り付けられた構造(図6(b)参照)や、略U字状のハンドル本体130bが、ハンドル支持部の上部に取り付けられた構造(図6(c)参照)を採用することもできる。このように、第1ハンドル13(又は第1ハンドル14)の形状や、配置の向きは、適宜変更することができる。
[動作伝達機構]
続いて、第1ハンドル13及び第2ハンドル14を介した、第1の制御キャスター101及び第2の制御キャスター111の進行方向を制御するための動作伝達機構について説明する。
なお、第1ハンドル13による制御と、第2ハンドル14による制御は、ほぼ同様の内容であるため、以下では、第1ハンドル13に関する動作伝達機構を中心に説明を行い、第2ハンドル14に関する動作伝達機構については、詳細な説明を省略し、必要に応じて言及するものとする。
まず、図3に示すように、フレーム本体10の内部には、後部フレーム110の突出部115の内部に位置するプーリ415と、前部フレーム100の内部に配置されたプーリ105との間に、ベルト106が張設されている。なお、プーリ415は上述したように、回転部41の筒状部411の下部に設けられた部材である。
また、プーリ105は、前部フレーム100を上下方向に貫通する軸体105aで軸支されている。
また、前後方向で、ベルト106を張設した中間部分に、角度調整部107及びプーリ108が配置されている。この角度調整部107及びプーリ108は、ベルト106がゆるみ、プーリ108とベルト106が空回りすることを防ぐ部材である。
例えば、使用中にベルト106が多少伸びても、角度調整部107がベルト106の張力を維持することにより、ベルト106とプーリ108の空回りを防ぐようになっている。
この空回りの防止は、角度調整部107の支持部にスプリング(符号省略)が内蔵されており、このスプリングが、角度調整部107の角度が開く方向に力を加えることにより、ベルト106の円周を押し広げる方向に力が働くことによって行われる。
なお、ベルト106が伸びないことを前提に設計する場合には、本機構は不要である。但し、ベルト交換の期間が短くなる可能性があることから、角度調整部107及びプーリ108が採用されることが好ましい。また、このプーリ108及びベルト106の部分は。回転軸等のほかの構造で代用することも可能である。
例えば、回転度を調整することで、第1ハンドル13を一回転させることで、第1の制御キャスター101が一回転するように、回転の割合を設定することができる。なお、回転度調整部107及びプーリ108は、2本の側部フレーム120に架け渡された桟部材121の上面に配置されている。
また、第1の制御キャスター101は、上部にプーリ101aを有している。また、プーリ105と、プーリ101aとの間には、ベルト109が張設されている。なお、第2ハンドル14と、後部フレーム110との間にも、同様の構造が設けられている。
続いて、第1ハンドル13から第1の制御キャスター101までの回転の伝達を説明する。上述したように、第1ハンドル13の回転動作は、ハンドル軸部131及びギア132を介して、ギア412及び回転軸410に伝えられる。また、回転軸410は、筒状部411と一体となって回転する。このため、筒状部411の下部のプーリ415が回転する。
また、プーリ415の回転は、ベルト106を介して、前部フレーム100のプーリ105に伝わり、プーリ105が回転することで、ベルト109を介して、プーリ101aが回転して、第1の制御キャスター101が回転する。この第1の制御キャスター101の回転により、進行方向が変わり、前部ホイール103の向きを制御することができる。
なお、動作伝達機構における回転する各部材は、正逆の両方の方向に回転可能に構成されている。また、第2ハンドル14の回転も、同様の構造を介して、第2の制御キャスターに伝わり、後部ホイール113の向きを制御することができる。
また、図示しないが、各キャスター及び各ホイールには、ホイールの回転の規制と、その規制の解除が可能なロック機構が設けられている。これにより、ベース部1を移動させたくない場合には、ホイールの回転を規制して、その場からの移動を抑止することもできる。
以上で説明したように、本発明を適用した搬送車の一例であるストレッチャーA又はキャリアーBは、第1ハンドル13(又は第2ハンドル14)を介して、ハンドルが設けられた側と反対側のキャスターの一方の進行方向を制御することができる。
また、第1ハンドル13が、ハンドル支持部4で支持されることで、作業者は、安定して操作を行うことができ、かつ、第1ハンドル13を押す力が、ベース部1に伝わりやすく、動かしやすい構造となっている。
また、ハンドル支持部4の長さ調整機構により、第1ハンドル13の高さ位置や、ハンドル支持部4の長さを調整することができる。
ここで、必ずしも、ストレッチャーA及びキャリアーBにおいて、第1ハンドル13と第2ハンドル14の2つの操作部が設けられる必要はない。例えば、キャリアーにおいては、ベース部1の一方のみにハンドルを設けられれば充分である。但し、ストレッチャーでは、病院内の通路や室内、エレベータの中など、限られたスペースの中で、ストレッチャーを前方向と後ろ方向の両方に押すケースが頻繁にあるため、ベース部の前後の両方にハンドルが設けられることが好ましい。
以上のように、本発明に係る搬送車は、搬送物を搬送する際の操作性に優れ、使い勝手の良いものとなっている。