JP7104966B2 - エキスパンションジョイントの床カバー材、床用エキスパンションジョイント及びその施工方法 - Google Patents
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そのため、先の震災以降、金属製のカバー材に代えて、施工性が良好で軽量な、合成樹脂材やゴム材で形成したカバー材(以下、「樹脂製カバー材」ともいう。)を採用するエキスパンションジョイントの態様が増えてきている(例えば特許文献1参照)。
数少ない採用例としては、例えば、屋外構造物であるプラットホームに発生する熱伸縮や地震による基礎の変位、基礎の不動沈下などを吸収するために設置された床用エキスパンションジョイントで、床カバー材としてプラットホームに設けられたクリアランスに沿って樹脂製カバー材を設置した態様のものがある(例えば特許文献2参照)。
床カバー材の撓み強度を確保するために、床カバー材の下地に金属板を入れることは従来から一般的に行われており、前記プラットホームのエキスパンションジョイントにおいても、クリアランスの内部に金属板を設置し、この金属板の上面で樹脂製カバー材の底部が支持されるように設けられている。
すなわち、前記クリアランスの両側の躯体が近づく方向に変位し、大きな可動量でクリアランス間が狭まり、これにともなって樹脂製カバー材が幅方向に縮むと、その表面が盛り上がって凸状の段差ができ、歩行に支障をきたす事態を生じさせる虞がある。また、樹脂製カバー材の収縮時と伸長時の荷重を金属板が担う構造であるため、樹脂製カバー材の可動量が金属板の大きさに依存することとなり、大きな可動量を確保することができない。
すなわち、第1に強度。
歩行や台車の通過などでその上面にかかる荷重に対して大きな撓みを生ずることなく歩行・通過ができること。
第2に可動。
間隙を挟んだ躯体の間隙X方向(間隙幅方向)、間隙Y方向(間隙長さ方向)及び間隙Z方向(鉛直方向)の変位に可動追従すること。あわせて、床に求められる可動量、例えばクリアランスに対して間隙X方向と間隙Y方向は1/4~1/2程度、間隙Z方向は1/5~1/3程度の可動量を保持すること。
第3に段差。
通常時に上面に人が躓くような段差がなく、可動時や可動後にも上方へ突出するような段差ができないこと。
第4に施工及びメンテナンス性。
床カバー材の取り付け、取り外しが容易であり、エキスパンションジョイントの施工も手間をかけずに行えること。
前記凹面部は、床に面する上部の開口幅を小さくして歩行者が躓いたりピンヒールや傘の先端が刺さったりしないようにし、また、この上部の開口幅よりも凹面部内部の開口幅が大きくなる断面形状、つまり下向き略V字形に凹んだ断面形状とし、クリアランスを狭める方向に躯体が変位するのにともなって床カバー材が収縮したときに、床カバー材がクリアランス側へ潰れやすくなるようにして、上面に凸状の段差ができないようにした。
間隙X方向の可動は、前記クリアランスに対しては1/4~1/2程度の可動量を確保するため、凹面部の形成深さ(D)と両中空部の縦方向の長さ(T)を所定の寸法比率に設けることで(図3参照)、建物の床面に設けるエキススパンションジョイントに要求される変動量に対応できるようにした。
間隙Y方向の可動は、クリアランスに面する構造物に取り付けられた支持部に対して、床カバー材の両側の接続部を支持部に係合させてスライド自在に取り付け、また、床カバー材の両側の接続部のうちの片方を前記支持部に固定することで、クリアランスを挟む躯体相互の間隙Y方向への変位に対応して同方向への可動がなされるようにした。
また、間隙Z方向の可動は、下地として金属板を設けないことで、床カバー材が躯体相互の同方向の変位に追従して可動するようにし、前記支持部に対する接続部の係合深さを十分に確保することで、可動したときに前記支持部にスライド自在に取り付けられた側の接続部が取り外れることがないようにした。
また、クリアランスに沿って床カバー材同士を継ぎ合わせたときに、クリアランスの長手方向の躯体の変位にともなって隣り合う床カバー材の端部同士が衝突して端部が上方へ捲れて段差が生じるのを防ぐため、前記両中空部の間に、床カバー材同士を長手方向に沿って接続するときに前記床カバー材の端部間に架け渡される接続部材の取り付け部を形成し、隣り合う床カバー材の端部の取り付け部に接続部材を取り付けて端部同士を接続し、床カバー材の長手方向の接続位置を揃え、前記クリアランスの長手方向の躯体の変位が生じたときは、隣り合う床カバー材同士が一体となって可動するように構成した。
また、クリアランスに面する躯体の端部は、床カバー材の支持部を構成するアルミ型材で見切り、クリアランスに床カバー材を取り付けた状態で、この見切りより床カバー材の側端部を同じ高さかそれよりも低く設けることで、クリアランスに連なる床面に段差ができないようにした。
すなわち、本発明の床カバー材は、構造物に設けられるエキスパンションジョイントを構成するカバー材であって、構造物の床面に配された間隙を覆う被覆面部と、この被覆面部の両側に設けられていて前記間隙に臨む躯体の端部に設けられた支持部に接続する接続部を有して帯状に形成された床カバー材において、
当該床カバー材は、前記被覆面部から下方へ凹んだ凹面部と、前記被覆面部の下側であって前記凹面部の両側にそれぞれ設けられた中空部を有して弾性変形可能に形成されているとともに、
前記中空部の下部を囲う枠面部の下面と前記被覆面部の上面までの間隔(中空部の上下幅:T)が前記凹面部の形成深さ(D)の略二倍(T≒2×D)となる成形寸法で前記凹面部と中空部が形成されていることを特徴とする。
そして、凹面部の形成深さ(D)と、両中空部の上下幅(T)を、〔T≒2×D〕となる寸法比率で形成することで、弾性を有する材料のみで耐荷重を担保することが可能となり、また、間隙が広がる方向に変位したときの可動量が大きく確保され、同方向に床カバー材が可動したときに、耐荷重強度を低下させることなく、かつ被覆面部内に段差を生じさせずにスムーズに伸長変形せしめることが可能となる。
具体的には、前記の如く床カバー材を形成することにより、間隙の幅が広がる方向に躯体が相対変位することにともなう床カバー材の最大伸長量(Ex)を、前記凹面部の形成深さ(D)の略二倍(Ex≒2×D)となる量に設定することができる。
前記両中空部の間に、床カバー材同士を長手方向に沿って接続するときに前記床カバー材の端部間に架け渡される接続部材の取り付け部が形成されていることを特徴とする。
また、床カバー材の凹面部内に連結板を挿入し、これを隣り合う床カバー材の端部間に架け渡し、凹面部上方から留めネジを連結板にネジ入れ、前記挿通孔を貫通させて連結板を隣り合う床カバー材の端部に留め付けてもよい。留めネジをネジ入れるときに、中空な挿通孔がガイドとなって留め付け作業がしやすくなる。
前記挿通孔に代わる取り付け部として、凹面部の下面から両中空部の間の部分に凹ませて設けられた凹部としてもよく、この凹部に隣り合う床カバー材の端部間に架け渡されるジョイントピンを挿入し、或いは凹部に重ねて連結板を留め付けて、床カバー材の端部同士の継ぎ合わせが行われるようにしてもよい。
すなわち、両中空部は、その周囲が被覆面部の下面と隔壁部の内面と枠面部の内面に囲われており、床カバー材が収縮又は伸長変形するときに、中空部は、被覆面部の下面と枠面部の端部との接続部及び枠面部の他端部と隔壁部との接続部の変形、つまり周囲を囲う面と面の分岐部である節の部分が変形することで潰れたり中空内部を広げたりする。節の部分が変形することで床カバー材が伸長したときの耐荷重の低下が抑えられ、間隙の幅が広がることに追従して凹面部とその両側の中空部の幅を効率良く広げて床カバー材を伸長させることが可能となる。
前記中空部を囲う枠面部の側部外面に形成されていて前記支持部の側面に被さって支持部の側面を覆う側面被着部と、
前記枠面部の側部の外側で被覆面部の下面から下方へ突出していて前記支持部のガイド凹部に係合する突起片部と、
被覆面部の幅方向外側に平坦に連なっていて前記支持部の上面に被さって支持部の上面を覆う上面被着部と、を有する形状に設けられていることが好ましい。
前記カバー材支持部材は、床カバー材の接続部を支持して床カバー材をその長手方向に沿ってスライド可能に支持するガイド凹部を有するレール部材と、このレール部材と一体に連結して構造物の端部に固定されるホルダー部材を備えて構成することができる。カバー材支持部材を構成するレール部材とホルダー部材は、ともに例えばアルミ型材により形成することができる。
具体的には、レール部材とホルダー部材でカバー材支持部材を構成する場合、例えば以下の工程により施工することができる。
先ず、間隙を挟んで対面する両躯体の端部に沿ってホルダー部材をそれぞれ固定する。ホルダー部材の固定は、躯体端部に重ねたホルダー部材にアンカーボルトを打ち込むなどして行うことができる。
次いで、床カバー材の両側の接続部にレール部材をそれぞれ取り付ける。取り付けは、レール部材のガイド凹部に接続部を係合させることにより行わる。接続部が側面被着部と突起片部を備えた形状の床カバー材では、レール部材のガイド凹部に突起片部を差し込むとともにガイド凹部の外面に側面被着部を覆い被せて装着することでレール部材を取り付けることができる。
このとき、レール部材が取り付けられた床カバー材の両接続部の片方を、前記突起片部が係合したガイド凹部にその外側からビスを打ち込むなどしてガイドレールに固定する。接続部のもう片方は突起片部とレール部材がスライド変位し得るようしておく。
そして、床カバー材の両接続部に取り付けられたレール部材を、前記間隙の両側に固定されたホルダー部材にそれぞれ接続して、間隙の両側の躯体間に床カバー材を架け渡して取り付けることで床用エキスパンションジョイントの施工が完了する。
しかしながら、エキスパンションジョイントが設置される躯体間隙の幅によっては、要求される間隙X方向の可動量が小さく、被覆面部に形成された凹面部がその開口幅を広げることで間隙X方向に沿って広がる変位を吸収することができる場合がある。その場合、前記凹面部の両側に中空部を配置した形状でなくとも、前記凹面部が潰れ又は広がることで間隙X方向の変位を、床カバー材の接続部が躯体端部に設けられた支持部に沿ってスライド移動し得るように取り付けられていることで間隙Y方向の変位を、同じく床カバー材の接続部が両躯体の支持部に対してある程度上下方向に変位が生じて外れないように取り付けられていることで間隙Z方向の変位をそれぞれ吸収することは可能である。ただし、この場合でも、床面の表面に常時かかる荷重に対する強度は高くしておく必要がある。
また、間隙に臨む躯体の端部に設けられた支持部に接続する床カバー材の接続部は、前記と同様に、床カバー材の側部外面に形成されていて前記支持部の側面に被さって支持部の側面を覆う側面被着部と、側部の外側で被覆面部の下面から下方へ突出していて前記支持部のガイド凹部に係合する突起片部と、被覆面部の幅方向外側に平坦に連なっていて前記支持部の上面に被さって支持部の上面を覆う上面被着部とを有する形状に設けることができる。
また、前記と同様に、床カバー材と目地材はともにゴム弾性を有する材料を用いて成形することができる。
また、前述の床カバー材同士を継ぎ合わす別の態様の床用エキスパンションジョイントとして、構造物の床面に配された間隙を覆う被覆面部と、この被覆面部の両側に設けられていて前記間隙に臨む躯体の端部に設けられた支持部に接続する接続部を有して帯状に形成されていて、前記被覆面部から下方へ凹んだ凹面部を有して、ゴム弾性を有する材料を用いて弾性変形可能に形成された床カバー材を用い、
前記間隙に沿って複数の床カバー材が架設されているとともに、隣り合う床カバー材の端部間に両床カバー材の凹面部内に連結板を挿入して架け渡し、かつこれを凹面部内に固着具で留め付けて、隣り合う床カバー材同士が接続された構成を有するものとしてもよい。
間隙X方向とZ方向の変位は床カバー材が変位方向に追従して収縮又は伸長変形することで、また、Y方向の変位は床カバー材が同方向に沿ってスライド移動して吸収することができるので、間隙を挟んで両躯体がX,Y及びZの何れの方向に相対変位しても、床カバー材で間隙を覆った床面内に、間隙が露出した欠損部ができることはない。また、床カバー材が間隙X方向に沿って収縮したときにその被覆面部が凹面部を起点として下向きに変形するように設けられているので、被覆面部内に凸状の段差ができることはない。躯体の変位が生じた後でも床面は平坦に維持され、歩行者が欠損部に足を踏み入れたり段差部に躓いたりする危険はなく、歩行の安全性を確保することが可能である。また、床カバー材の凹面部内に目地材を挿入設置した構成であれば、上方からかかる荷重に対する強度をより高くすることが可能である。
前記上面部31bと下面部31cには、後述する留めネジやビスなどの固着具10を上面部31aから下面部31cに貫通させてホルダー部材32に螺合するための孔部31f,31gが形成してある。孔部31fは固着具10の頭部が貫通する大きさ、孔部31gは固着具10の軸部のみが貫通する大きさに設けてある。また、主面部31aには床カバー材2を接続するための固着具10の軸部が挿通する孔部31hを形成してある。また、前記上面部32bの上面には床カバー材2との摺動抵抗を小さくするための突筋31iを列設してあり、鍵状面部31eには側方へ湾曲した凸面部31jを設けてある。この凸面部31jは、レール部材31,31をその端部同士を継ぎ合わせて接続する場合に、両端部の前記凸面部31jの内面にジョイントピン5を挿入して架け渡すことができるように設けてある。
前記各孔部31f,31g,31hはレール部材31の長さ方向に沿って所定間隔を開け、複数形成してある。
取り付け面部32aは、その面内に後述するアンカーボルト6の軸部が挿通する孔部32dが形成してあり、横支持面部32cにも後述する固着具10の軸部が挿通する孔部32eが形成してある。両孔部32d、32eは、ホルダー部材32の長さ方向に沿って所定間隔を開け、複数形成してある。
縦支持面部32bの上部には前記レール部材31の上面部31bの縁部が係合する凹部32fが形成してあり、横支持面部32cの下面には後述する補助シート9の端部が取り付けられるシート接続凹部32gを設けてある。
また、取り付け面部32aの前記縦横の支持面部32b、32cが設けられた側の端部には、断面略C字形に屈曲していてホルダー部材32,32を継ぎ合わせて設置する場合に用いるジョイントピン5の挿入枠32hを設けてあり、他側の端部には上方へ立ち上がりつつ内方へ湾曲した内折れ部32iが設けてある。前記挿入枠32hの縁部は、後述するホルダーカバー材33の一側の端部が係合し得るように設けてあり、また、前記内折れ部32iにはホルダーカバー材33の他側の端部が係合し得るように設けてある。
なお、孔部32eは、予め形成しておくのではなく、施工現場で電気ドリルを用いて形成してもよい。
ホルダー部材32,32の取り付けは、躯体A,Bの端部の間隙Gに面した部分に形成された凹所A1,B1にホルダー部材32の取り付け面部32aを重ね、孔部32dからアンカーボルト6を打ち込んで固定することにより行われる。なお、凹所A1,B1は、ホルダー部材32を固定した状態で前記縦支持面部32bの先端が床面Fa,Fbと略同じかそれよりも若干低くなる深さに設けて、床カバー材2を取り付けたときに床面Fに段差ができないようにする。
ホルダー部材32,32を凹所A1,B1に固定したならば、凹所A1,B1のそれぞれの側面と縦支持面部32bとの間にモルタル7を埋め込み、次いで、床面Fa,Fbの上面に表層材8を敷き重ねる。また、間隙G内に対向配置されるホルダー部材32,32のシート接続凹部32g,32gに補助シート9の端部をそれぞれ係合させて、間隙G内に補助シート9を架設しておく。
レール部材31の取り付けは、床カバー材2の突起片部28をレール部材31のガイド凹部31d内に差し込んで係合させるとともに、ガイド凹部31dの外面である鍵状面部31eの表面に側面被着部29を覆い被せて装着することに行われる。床カバー材2にレール部材31,31を装着した状態で、図8に示されるように、レール部材31の上面部31bには床カバー材2の上面被着部29が重なって上面部31bの上面が覆い隠される。また、上面被着部29の縁部を把持して捲り上げることで(図9参照)、上面部31bに形成された孔部31fを露出させることができる。
床カバー材2の接続部22,22にレール部材31,31を装着したならば、両接続部22,22の一方の接続部22とレール部材31とを一体に固定する。レール部材31の固定は、主面部31aに形成された孔部31hから前記突起片部28が係合したガイド凹部31dに固着具10を螺合して留め付けることにより行われる。他方の接続部22に装着したレール部材31は、突起片部28がガイド凹部31d内をスライド移動できるようにしておく。
レール部材31,31のホルダー部材32,32への取り付けは、先ず、ホルダー部材32の横支持面部32cにレール部材31を載せてその下面部31cを横支持面部32c上に重ねるとともに、ホルダー部材32の縦支持面部32bの上部に設けた凹部32fにレール部材31の上面部31bの縁部を係合させる。このとき、レール部材31の上面部31bと下面部31cに形成された孔部31f,31gと、ホルダー部材32の横支持面部32cに形成された孔部32eが鉛直に揃っていることを確認する。次いで、床カバー材2の上面被着部29を捲り上げ、露出したレール部材31の孔部31fから固着具10を挿入し、固着具10の先端を上下に重なり合った孔部31g,32eにあてがって螺合し、レール部材31の下面部31cとホルダー部材32の横支持面部32cを一体に留め付けて固定することにより行われる。
また、上面部33aには孔部33gが形成され、突片33eの前記孔部33gの直下に位置する部分にも孔部33hを形成してある。上面部33aの上面全体には防滑のための凹凸面が設けてある。
ホルダーカバー材33の取り付けは、図12に示されるように、躯体A,Bの凹所A1,B1に固定されたホルダー部材32の内折れ部32iにホルダーカバー材33の屈曲部33dを係合させるとともに、その側面部33cをホルダー部材32の主面部32aの内面に当接させた状態で、ホルダーカバー材33の上面部33aを下方へ押し込み、当該カバー材が有する弾性により前記側面部33cが主面部32aに沿って圧入することにより行われ、側面部33cの端部に設けた折れ部33fがホルダー部材32の挿入枠32hの縁部に係合することで、ホルダーカバー材33がホルダー部材32に固定される。
なお、上面部33aの孔部33gと突片33eの孔部33hは、予めホルダーカバー材33に形成しておくのではなく、ホルダーカバー材33をホルダー部材32に取り付け、固定した後で、上面部33aと突片33eにドリルを貫通させて設けるようにしてもよい。
床と内壁の取り合い部分に設置する場合、前記ホルダー部材32に代えて、内壁である躯体Bの凹所B1に、図15に示されるホルダー部材34を固定し、このホルダー部材34と躯体Aに固定されたホルダー部材32に、前記形態と同様の手順で、床カバー材2に取り付けられたレール部材31,31を取り付けることで床用エキスパンションジョイント1の施工が完了する。前記形態で用いた、床カバー材2とこれを支持するレール部材31、ホルダー部材32及びホルダーカバー材33は本形態でも共用可能である。
この場合、床カバー材2の凹面部23内に設置される目地材4は、図19に示されるように、下部4bに切り欠け部4dを設けた形状のものが用いられ、前記連結板11が留め付けられた部分に切り欠け部4dが重なるように配置して目地材4が取り付けられる。
また、床カバー材同士を継ぎ合わす別の態様の床用エキスパンションジョイントとして、構造物の床面に配された間隙を覆う被覆面部と、この被覆面部の両側に設けられていて前記間隙に臨む躯体の端部に設けられた支持部に接続する接続部を有して帯状に形成されていて、前記被覆面部から下方へ凹んだ凹面部を有して、ゴム弾性を有する材料を用いて弾性変形可能に形成された床カバー材を用い、
前記間隙に沿って複数の床カバー材が架設されているとともに、隣り合う床カバー材の端部間に両床カバー材の凹面部内に連結板を挿入して架け渡し、かつこれを凹面部内に固着具で留め付けて、隣り合う床カバー材同士が接続されていてもよい。
間隙X方向とZ方向の変位は床カバー材2が変位方向に追従して収縮又は伸長変形することで、また、Y方向の変位は床カバー材2が同方向に沿ってスライド移動して吸収することができるので、間隙Gを挟んで両躯体がX,Y及びZの何れの方向に相対変位しても、床カバー材2で間隙Gを覆った床面F内に欠損部ができることはない。また、床カバー材2がX方向に沿って収縮したときにその被覆面部21が凹面部22を起点として下向きに変形するように設けられているので、被覆面部21内に凸状の段差ができることはない。躯体A,Bの変位が生じた後でも床面Fは平坦に維持され、歩行者が欠損部に足を踏み入れたり段差部に躓いたりする危険はなく、歩行の安全を確保することが可能である。また、床カバー材2の凹面部23内に目地材4を挿入設置することで、上方からかかる荷重に対する強度をより高くすることができて安全である。
床カバー材2は、凹面部23の両側に中空部24,24を配置した断面形状に設けたが、間隙Gの幅が狭く、床カバー材2に要求される可動量が小さい場合には、被覆面部21内に凹面部23が形成され、中空部24,24のない断面形状の床カバー材を用いてもよい。その場合、上方からの荷重に対する強度を確保するため、凹面部23内には目地材4を挿入設置してあることが好ましい。
また、支持部3であるカバー支持部材は、レール部材31とホルダー部材32、さらにはホルダーカバー材33と複数の部材により形成したが、これらを一体に設けた部材により構成されていてもよい。
Claims (13)
- 構造物に設けられるエキスパンションジョイントを構成するカバー材であって、構造物の床面に配された間隙を覆う被覆面部と、この被覆面部の両側に設けられていて前記間隙に臨む躯体の端部に設けられた支持部に接続する接続部を有して形成された床カバー材において、
当該床カバー材は、ゴム弾性を有する材料を用い、かつ前記被覆面部から下方へ凹んだ凹面部と、前記被覆面部の下側であって前記凹面部の両側に設けられた中空部とを有して、弾性変形可能に形成されているとともに、
前記中空部の下部を囲う枠面部の下面と前記被覆面部の上面までの間隔(中空部の上下幅:T)が前記凹面部の形成深さ(D)の略二倍(T≒2×D)となる成形寸法で前記凹面部と中空部が形成されていることを特徴とするエキスパンションジョイントの床カバー材。 - 間隙の幅が広がる方向に躯体が相対変位することにともなう床カバー材の最大伸長量(Ex)が、前記凹面部の形成深さ(D)の略二倍(Ex≒2×D)となる量に設定されていることを特徴とする請求項1に記載のエキスパンションジョイントの床カバー材。
- 両中空部 の間に、床カバー材同士を長手方向に沿って接続するときに前記床カバー材の端部間に架け渡される接続部材の取り付け部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のエキスパンションジョイントの床カバー材。
- 被覆面部の両側から凹面部の上端縁部に向けて被覆面部の上面が下り傾斜した形状に設けられていることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載のエキスパンションジョイントの床カバー材。
- 凹面部はその上端の開口幅が狭く、それよりも下側の開口幅の方が広くなるように設けられた構成を有することを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載のエキスパンションジョイントの床カバー材。
- 両中空部は、一端が前記凹面部の中央下部から下方へ突出した隔壁部に接続していて他端が被覆面部の両側下面に接続した枠面部に囲われて、その横断面において、上部側の幅が狭く、それよりも下側の幅が広くかつ下方へ膨らんで湾曲した形状に設けられていることを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載のエキスパンションジョイントの床カバー材。
- 間隙に臨む躯体の端部に設けられた支持部に接続する床カバー材の接続部は、
中空部を囲う枠面部の側部外面に形成されていて前記支持部の側面に被さって支持部の側面を覆う側面被着部と、
前記枠面部の側部の外側で被覆面部の下面から下方へ突出していて前記支持部のガイド凹部に係合する突起片部と、
被覆面部の幅方向外側に平坦に連なっていて前記支持部の上面に被さって支持部の上面を覆う上面被着部とを有する形状に設けられていることを特徴とする請求項1から6の何れか一項に記載のエキスパンションジョイントの床カバー材。 - 請求項1から7 の何れか一項に記載の床カバー材と、床カバー材の凹面部内に挿入設置される目地材からなる床カバー体。
- 請求項1から7 の何れか一項に記載の床カバー材、又は請求項8に記載の床カバー体と、
構造物の床面に配された間隙に臨む躯体の端部に設けられて前記床カバー材、又は前記床カバー体の床カバー材の接続部が接続する支持部を構成するカバー材支持部材と、
を備えた床用エキスパンションジョイント。 - 床カバー材の両側の接続部のうち一方の接続部が、間隙に臨む一方の躯体の端部に設けられたカバー材支持部材に固定され、他方の接続部が他方の躯体の端部に設けられたカバー材支持部材に接続された構成を有する請求項9に記載の床用エキスパンションジョイント。
- カバー材支持部材は、床カバー材の接続部を支持して床カバー材をその長手方向に沿ってスライド可能に支持するガイド凹部を有するレール部材と、
このレール部材と一体に連結して躯体の端部に固定されるホルダー部材を備えた構成を有する請求項9又は10に記載の床用エキスパンションジョイント。 - 請求項9から11の何れか一項に記載された床用エキスパンションジョイントにおいて、
間隙に沿って複数の床カバー材が架設されているとともに、隣り合う床カバー材の端部間に両床カバー材の凹面部内に連結板を挿入して架け渡し、かつこれを凹面部内に固着具で留め付けて、隣り合う床カバー材同士が接続された構成を有することを特徴とする床用エキスパンションジョイント。 - 請求項11 に記載の床用エキスパンションジョイントの施工方法であって、
間隙を挟んで対面する躯体の端部に沿ってホルダー部材を取り付ける工程と、
床カバー材の接続部にレール部材を取り付ける工程と、
前記レール部材が取り付けられた床カバー材を前記ホルダー部材に取り付ける工程と、
を有する床用エキスパンションジョイントの施工方法。
Priority Applications (3)
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---|---|---|---|
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